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2024-09-20

オオカミ中年

俺は小説で飯を喰っている。最近年収が三千万超えになるのが確定した。

元々何かを書いていたとかはなく、というか書き始めのきっかけはここ、増田なんだ。

いつもはROMっていて、でもあるときふとその場の思い付きで書いてみた。そしたら5ブクマついてさ、凄く嬉しかった。

その後ちょくちょく投稿するようになって、でもそれは短篇というより掌編で、戯言みたいな内容のもの。でもそうやって書き続けていくうち、次第にブクマされることが多くなった。

調子のいい時期なんかは自分投稿したもの毎日人気エントリしてさ、正直自信がついた。そこで本格的に小説を書いてみるかってなって、半年かけて一つの小説を書き上げたんだよ。

まだまだ拙さが残っていたけど、運が良かったのだと思う。マイナーなコンペにいくつか送ってみたら、なんと受賞した。驚いたよ。本当に。そんなふうに物事が進むとは思っていなかったけど、意外とトントン拍子でデビューが決まった。

ありがたいことに今ではそれなりに名前を知られるようになったんだ。

でもね、今でもたまに思うことがある。

嘘っていうのは、基本的に無価値だってことを。嘘は本当のことじゃないから、金にならない。

金にならないから、嘘は本当のことほど価値がない。

俺は昔から嘘が好きだった。いや、正確にはホラ話が好きだったんだよ。

友達に「ありえねえだろ!」って言われながらも、ゲラゲラ笑いながらよくホラ話をしてた。でも、それが許されたのは学生で、友達相手からだ。

友達冗談半分で聞いてくれたし、俺のキャラとしてホラ話も受け入れてくれた。

だけど、大人になると、そうはいかない。当たり前だけど、社会人にとっては嘘よりも真実の方が重要だってのが常識になる。

もちろん真実だけに価値がある、とまではいかないけど、嘘を嘘として大いに受け入れてくれる人はそう多くない。大抵の人は「嘘はただの無駄話」として受け取るんだ。

俺はその考えを否定する気はないよ。だって真実には確かに重みがあるし、価値がある。

でも、面白いことに、人は金になる嘘なら話が変わるんだよ。

俺はそうした人間たちを何度も見てきた。普段は「嘘なんて無価値だ」なんて顔してる奴らが、俺と会うと「素晴らしい小説ですね」とか、金を出してくれたりする。

嘘が肯定される瞬間を、俺は何度も目の当たりにしてきた。

から最近、ふと考えてしまう。

金って、一体何なんだろう?ってね。

かに俺の嘘は金になった。

でも嘘は嘘で、嘘には変わりなく、嘘の中で嘘を吐いたところでそれはただの嘘だ。

俺はそれなりに小説を売りはしたけど、俺はただのオオカミ少年…じゃなくて今はもはや、ただのオオカミ中年だ。

オオカミ中年オオカミを呼ばずに金を呼ぶ。

そこで寄ってくるお金を、俺は実際、嘘だと思っているんじゃないか?ってことに最近気が付いた。

なんてことを思いつつ、とりあえず目標にしていた三千万越えを達成したので近日中に何か美味しい物でも食べに行こうと思います

2024-07-06

冬や寒いシーンが登場する作品おしえて

夏が苦手なので現実逃避したい。ジャンルは問わず小説でも漫画でも写真集でもゲームでも。

今までに触れたもの

・さよ(ゲーム)

・That Which Gave Chase(ゲーム)

ゼルダブレワイ、ティアキン(雪を踏む音が最高!)

極北動物誌(自然文学らしい)

・闇の左手(小説)

人間たちの話(小説)

・悠久の時を旅する(写真エッセイ集)

極北に駆ける(旅行記?)

北欧貴族猛禽嫁の雪国狩り暮らし(漫画で読んだ。完結してしまい寂しい)

ホテルメッツァぺウラへようこそ(漫画)

破戒(小説)

・氷(小説)

とか。

追記と返信】

予想以上の量で来年の夏も越せる気がしてきました。

いただいた返信を読んでいるうちに「寒いシーンというより、寒い環境下にある生物の話」を求めていることに気づきました。また、映像作品普段まったく触れないので宝の山でした。ありがとうございます

読み始めました。

検索したところ、オマケで「氷点下で生きるということ」というドキュメンタリーも釣れました。ありがとうございます

積んでしまいそうで躊躇していましたが買いました! やるぞ!

冬山登山系は寒い、覚えました。読みます

  • The long darkのためにあるような設問やんけ!凍える吹雪の中、薪に火がつくことを祈りながら着火するゲーム
  • The Long Darkを推させてくれ頼む 雪に閉ざされた世界を独りで探索するゲーム歩いてると雪を踏みしめる音・荷物金属音に癒される。

最高だ〜!!! Steamセール中だったので買いました。嬉しい。

これめちゃくちゃいい! さっそく登録しました。

はい

エロゲノータッチでした。虚の少女タイトル名で気になったので探して見ます

北條民雄好きです。作品集を積んでしまっていたので読みますきっかけをいただきありがとうございます

2024-06-01

anond:20240601110639

淫夢厨が完全に論破されてて草

はてなーの知性を舐めるなよ

ROYGB 国語辞書ものってる言葉

thirty206 ゆるっと使えて便利やからね、仕方ないね。/女性器が緩い、という用法では少なくとも1953年までは遡れる。https://x.gd/5Y24u

mobile_neko 淫夢ネタにはほとんど触れずにインターネットしてきたのでよくわからんが、元々「ガバガバ」という言葉用法にあったかビデオ内で使われて視聴者理解できたのでは?

mutinomuti 40年前にお下がり着てる子どもガバガバだね、詰めようかっていってたよ@関西

WinterMute "淫夢由来の言葉" 違います。お前の認識ガバガバだな

ignio 青空文庫はこういうときに便利。大倉燁子の「恐怖の幻兵団員」(昭和25年)に「孔のまわりの羽目板はがばがばにゆるんでいる」という文がある。

red_kawa5373 id:ignio 国立国会図書館サイトも良い。昭和28(1953)年の最高裁判例に「ガバガバゴム長靴を履いて」な記述があるので、ガバガバの「しまりがない」の意味淫夢由来ってのは違うと思う。 https://dl.ndl.go.jp/pid/1349044/1/52

officesitter 昭和筒井康隆短篇で、女性に対する罵倒語として使われていたのを見て覚えた。自分の口からしたことはない言葉。なんとなく関西弁っぽい気がする。

ni_ls ウン十年前の高校(男子校)生時代ガバガバアナルの略で「ガバナル」って呼ばれてた先輩がいたよ

redundancy 老が使ってる時点で元ネタそこじゃないって気づくだろうから書き手判断力ガバガバっていうネタでは

otihateten3510 普通に使う言葉淫夢用語だと思う方が何倍も恥ずかしいけどなあ

star_123 最初しか呼んでないけど前世からそういう意味で使われてたような…

marilyn-yasu 淫夢以前から穴の精度が悪くてガバガバ計画が穴だらけでガバガバなんて使ってたから何言ってんだコイツしか思えない。

ht_s 老人が(も)淫夢由来でガバガバって言葉を使っているあるいは淫夢以前は使っていなかったと思えるの、ちょっとかわいいな。バカほどかわいいってこれか。

2023-11-07

「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・追補編

条件を満たしているわけじゃないけど何となく思い出した作品

東浩紀

クォンタム・ファミリーズは並行宇宙から流れ込んできた情報きっかけに物語が進む。自分の娘と名乗る相手から受けたメッセージを手掛かりに、作家である主人公はもう一つの世界に入りこむ。そこでは妻との関係も良好で、作るのをためらっていた子供もいる。自分作家ではなく、ブロガー政治活動をしてコミュニティを作っているらしい世界適応していこうとするが、さらにほかの世界が絡まってきて……というお話

クリュセの魚未来火星舞台に、自分と同じ日系人の優しいお姉ちゃんとの出会いから始まるおねショタに見せかけて、お姉ちゃんが今は亡き日本国に関するとんでもない秘密を抱えていたっていうお話で、さっき書いた「日本沈没」の精神的な続編というくだりから思い出した。舞台は遠い未来で、日本という国家他国に吸収されてアイデンティティが失われているからだ。

柴田勝家

走馬灯セトリは考えておいて」Vtuber小説なんだけど、接続された女みたいな暗鬱な感じじゃなくて、現代推し文化肯定的描写していて楽しい

「ヒト夜の永い夢」仮想昭和史もので、意外な人物が意外な形で出てくるので歴史を知っていると深刻なストーリーなのに笑ってしまう。登場人物男性に偏っているのは往年の少年探偵団へのオマージュだろうし、だから世界の謎が女性の姿をしている。下ネタが多いのは屍者の帝国との差別化だろう。

宮内悠介

この人は創元SF短篇出身の中でも頭一つ抜けている。どれを読んでも大体面白いんだけど、まずはグロ描写もあるけど最初「盤上の夜」と、あえてユーモアSFである「超動く家にて」おすすめしたい。

というか、ギャグが書ける作家って貴重だよね。

長谷敏司

さっき「allo, toi, toi」を紹介したけど、BEATLESS面白かった。人工知能機械女の子主人公男の子という手垢のついたようなモチーフなんだけど、女の子のほうがあくま自分人間ではなく機械だと一貫して主張し、責任を取るのはあなただという。これはシンギュラリティを迎えたAI人間との信頼を築く話なのか、完全に人間を手玉に取っているのか、みんなはどう読む?

あなたのための物語は末期がん苦痛の中で孤立し、尊厳もなく死んでいく描写が冒頭にあり、なぜそうなったかが作中で語られていくのだが、二度と読み返したくないほど壮絶。

サイエンスを信じているという意味では藤井太洋候補に入ると思うんだけど、あまりにもオプティミスティックなのと、意識の高さと言うかビジネス描写面白いとは感じられなかった。今までの日本SFでは見られないタイプだし、優れているんだけど肌には合わない。

あと、ミシェル・ウエルベックとある作品人類未来描写するんだけど、ジャンルSFってことを言うとネタバレになるからどれかは言えない。

ちなみに今読んでいるのがフレドリック・ブラウンの全短編で、星新一の源流の一つなんだけど、自分は最新のSF古典SFを交互に読み、それに飽きたら純文学に走り、さらに飽きたらノンフィクションをぶっ通しで読むという癖がある。

読書系の増田を書くと普段ブクマしない人が来てくれるので楽しい

(翌日追記平野啓一郎「ドーン」ってSFを書いていて、政治色が強いけど面白かった)

そういえば「竜の卵」いいよね。civilizationゲームといい、小泉八雲安芸之助の夢」といい、僕は箱庭系の世界が好きなんだ。コンウェイライフゲームをぼーっと見ているのも好き。

全然関係ないけど、キム・スタンリーロビンソン火星三部作」で、火星の大地を巨大レーザー照射して運河作っちゃうシーンが好き。

月曜に増田書くと疲れるのでおやすみなさい。

2023.11.8追記

また早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部ツイッターに捕捉されてて吹いた。これが推し認知されるってやつだろうか?

ブクマが700まで行った。どひゃー。

そういえばブコメ女性宇宙を書く作家多いじゃんって突っ込まれてたけど、ここ数年を含めると確かにヒューゴー賞ネビュラ賞も大きく顔触れが変わっているね(アメリカでは受賞者の多様性をめぐって大きな議論があったんだけどそれ以来)。基礎資料に当たってなかったのはまずかった。

どうも僕は最新の文学を追うというよりも、数十年単位物事を見ている傾向にあり、というかここ三十年を最近とみなしているところがある。これが歴史に対する興味由来なのか、僕の年齢のせいなのかはわからない。

かにたくさんの作品を薦めすぎてしまったようだ(前編で書いた条件で絞りはしたものの、それ以外のものを含めればいくらでも薦めたい作品があるし、漫画だってある)。それでも、ふと思い出したのがJ. J. アダムス編黄金の人工太陽 巨大宇宙SF傑作選」で、「三体」が好きな宇宙ヤバい系で短編なので手に取りやすいんじゃないかな。

なんで小松左京「虚無回廊」が出てこないのかっていうと、一時期逆に大きなスケール物語に対する興味が薄れてた時期があるのだ。それを好む自分が「三体」で久しぶりに呼び覚まされたのだ。

ではまた。

2023-11-06

「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・後編

オラフ・ステープルドン

最後にして最初人類現代人類から数えて第18番目の人類進化描写する奇書で、巨大な脳みそだけの存在になったり、知性を退化させてトドアザラシみたいになってしまったりと、何億年にも及ぶ人類歴史が豊かな空想力で描かれる。プロットキャラクターは極めて希薄で、現代作家がこんな作品を書いて売れることは考えにくいのだけれど(ほぼ設定資料に近いかも)、個人的にはお気に入りと言うか性癖に近い魅力を感じる。

スターメイカーはそれをさらに発展させたもので、時間空間を越えて精神銀河を飛び回り、エキセントリックエイリアンの生態の設定を惜しげもなく披露しつつ、それが銀河歴史にどのような影響を与えたかを語る。そして、この宇宙創造した存在意図を探求する旅をする。光速限界があるため、その旅やエイリアン同士の交流テレパシーで行われるという設定はSFとしては苦しいが、宇宙創造目的たる究極の歓喜の瞬間を目指すヴィジョンは美しい。残念ながら、その瞬間までには人類はとっくに滅亡していることが示唆されるんだけどね。冷えて寿命を迎えつつある宇宙必死に命をつなごうとする生命描写は壮絶。

チャールズ・ストロス

「アッチェレランド指数関数的に発展するAI10年ごとに描いた小説で、タイトル通り加速のスピードがとんでもない。最初21世紀現実世界と地続きなんだけど、21世紀半ばには進歩しすぎたAI地球解体してダイソン球を作り始め、その過程地球のすべての化石だとか地質だとかをアーカイブ化しはじめる。人類暴走するAIを止められなくて太陽系辺境に追いやられていく。その途中でエイリアンともコンタクトを取る。

これはとある一族の三代にわたる因縁話でもある。最初世代では夫がAI特異点信奉主義者コピーレフト大賛成、妻がガチガチ保守主義著作権かに厳しく、しかSMプレイ女王様だ。2代目は妻が夫を無理やり犯すことで妊娠した子どもだという、ドロドロの設定。

酉島伝法

皆勤の徒」は遠い未来地球で、地球生命体に奴隷として使役されるコピー人間の苦悩を描いている。この短篇集は優れた言語感覚日本語漢字表記とルビの可能性を拡張した造語であふれており(というか酉島伝法作品はだいたいそう)、異文化に触れたときの驚きや、似ているけれども少し違う文化に対する戸惑いが感じられる。ただし、かなり読解に力を要するので、場合によってはネタバレ覚悟世界観を通常のSF用語説明した巻末の大森望解説を先に読んでもいいのかもしれない。

「宿借りの星」とある惑星地球人類との宇宙戦争に勝利した昆虫生命弥次喜多道中記で、舞台固有名詞こそ異質だがストーリーのものは非常に読みやすくなっている。まったく異質なものを作り出すことにかけてはこの作家は他の追随を許していない。そして、滅ぼしたはずの人類がどこかに生き残っているのでは? という疑惑から物語は不穏になっていく。

野尻抱介

こちらで述べた通り。太陽簒奪者」はいいぞ。

天文部だった主人公宇宙に出ていくという意味でもすごく夢がある。

スティーブン・バクスター

まずは前述したH・G・ウエルズの「タイム・マシン」の遺族公認続編タイムシップ面白い。前作で行方不明になってしまったヒロインを救うために、再び未来に旅立ったはずが、なぜか前回とは似ても似つかない未来にたどり着いてしまう。

時間旅行のたびに歴史改編がなされ、パラレルワールドが生成されてしまうとしたら、主人公はどうやってヒロインと再会するのか? いっそ歴史を改変してしまってもいいのか? さまざまなジレンマに悩まされる冒険小説だ。

また、この著者は時間無限大という作品も書いている。これは宇宙最強の種族ジーリーを扱ったジーリークロニクルの一編だ。作中世界では、人類クワックスというエイリアン支配を受けており、それに対抗する手段を知っているという「ウィグナーの友人」という、とある思考実験にちなんだ名前を持つ謎の団体が暗躍する。主人公父親との(正確にはその再現人格との)屈折した関係に悩んでいる。作中に出てくるタイムマシンは、少なくとも現代物理学とは矛盾しないらしい。ちょうど90年代の「ニュートン」で紹介されていた。

で、確かこの作品だったと思うんだけれど、人類クワックスもジーリーという宇宙最古・最強の種族テクノロジーおこぼれで生活してるんだけど、そのジーリーでさえ恐れている存在がいる……というのがこのシリーズの基本設定。

なお、同一世界観の短編集がプランクゼロ」「真空ダイヤグラムにまとめられていることを最近知った。それに、長編結構邦訳がある。未読だけど気になる。

林譲治

短編ウロボロス波動高校生時代に読んですごく好きだった。実際にかなりありそうな宇宙探査が描かれていたからだ。太陽系侵入してきた小型ブラックホール捕獲して天王星を周回する軌道に乗せるという設定と、作中の謎解きがすごく魅力的だった。

ただ、なぜかそれ以降のストリンガー沈黙」「ファントマは哭く」が読めなかった。キャラクターの会話や背景となる政治の設定がかなり説明的で、ぎこちなく感じられたからだ。読むのに気合がいる本は、持っていてもあえて図書館で借りることで、期限を決めるという強硬策があるが、まだ試していない。

春暮康一

オーラリーメイカー」「法治の獣」。とにかく事前情報なしで読んでほしい。日本ファーストコンタクトもの第一線に立っている。とにかく奇抜なエイリアンが出てくるし、どうやら知的生命体の連合らしきもの確立されていく歴史の一部らしいのだが、この「オーラリーメイカー」という宇宙人の種族の作り上げたシステムは、素晴らしく絵になる。

H・P・ラブクラフト

おなじみクトゥルフ神話創始者の一人。前にも書いたけど、ラブクラフト作品知識欲に負けて禁断の知識に触れて発狂するか未知の存在拉致されるかするオチばっかりなんだけれど、人類宇宙の中では取るに足りない存在なんだという絶望感が僕は好き。

SFを紹介するのが趣旨なのでエイリアン地球外の神々や人類以前の種族)の歴史の壮大さを感じさせてくれるのをピックアップすると、南極探検発見した人類以前の知的種族を扱う狂気山脈にて」や、異種族図書館幽閉される時間からの影」だ。侵略ものとしては宇宙からの色」かな。ニコラス・ケイジがこれを原作した映画で主演を務めていたはず。

ダンセイニ風のファンタジー作品も好きだ。読みやすいとは言えないが、ラブクラフト全集を読んでほしい。というかアザトースの設定が好きすぎる。元ネタのマアナ・ユウド・スウシャイそのままだとしてもね。

ピーターワッツ

ブラインドサイトについてはこちらに書いたので、「6600万年革命について。巨大小惑星の中で暮らす人類と、それを管理するAI物語だ。彼らは銀河系にワームホールネットワークを作る旅路に出ているのだが、もはや地球文明が存続しているかどうかも定かではない。すでに正気を失いそうな時間が経過しているが、使命をひたすらこなしている。

管理AI人間の知能を越えないようにギリギリ調整を受けている。そのことから「チンプ」つまりチンパンジーあだ名がつけられている。とはいえ地球時間で6600万年が経過していると、「もしかしてシンギュラリティ迎えたんじゃない?」みたいな出来事があり、人間AIに対してレジスタンスというか隠蔽工作をする。バイタルを始め何から何まで知られている人類は、AIに対して何ができる?

少し条件がずれるので乗せなかった作品

アシモフの例えば銀河帝国の興亡」なんかはシリーズが進むと鋼鉄都市「はだかの太陽などのロボットシリーズクロスオーバーして行って、確かにアシモフが発表順に読んだほうがわかりやすくなるんだけど、さすがに全部読む前提で書くのはちょっとしんどかった。個人的にはアシモフ黒後家蜘蛛の会というおっさん萌え短編ミステリおすすめ英米文学地理に関する雑学が無いとわからないところもあるけど、口の悪い仲良しなおっさんの同士のじゃれあいを読んでなごんでください。

堀晃の「太陽系から3光日の距離発見された、銀河面を垂直に貫く直径1200キロ全長5380光年に及ぶレーザー光束」が出てくるバビロニアウェーブハードだなって思ったんだけど、どういう話か思い出せなかったので省いた。まずは太陽風交点」かな?

あと、SFじゃないんだけどマン・アフター・マンあたりも未読だったのでリストに入れなかった。人類グロテスク進化という意味では、上記条件は満たしていたと思う。フューチャー・イズ・ワイルドは読んだ。

ダン・シモンズのハイペリオン四部SF全部乗せだし、AIの反乱だとか人類進化した宇宙の蛮族だとか愛が宇宙を救うとかとにかく壮大なんだけど、とある場所増田では評判の悪い(?)夏への扉以上に男性主人公に都合のいい描写があるのが欠点。あと、それ以外の作品もっと男性に都合がよくなっていて、保守的な僕もちょっと「おや?」って感じた。でも、「三体」にどっぷりハマった人だったら好きになると思う。「三体」よりも前の90年代SFから時代背景を知ったうえで、加点法で楽しんでください。

あと、全然エイリアン宇宙SFじゃないんだけど、今注目しているのは空木春宵で、この人は東京創元社の年間傑作選やGenesisですごくいい作品を描いてる。どれもいいんだけど、たとえば地獄を縫い取る」アリスとの決別」「allo, toi, toi」に並ぶロリコンペドフィリアを扱った名作に並ぶ。

エイリアンSFも出てくるけど、世界の中心で愛を叫んだけもの」「ヒトラーの描いた薔薇ハーラン・エリスン人種差別を扱った作品も書いていて、これもいい。穏健派黒人男性テロリストに転身してしま作品はつらい。とかくエリスン絶望と怒りは若い人に読んでもらいたい。

Q. 選んだ作家日本人・欧米人男性に偏ってない?

自分が一番SFを読んでいた時期は、今と比べて女性作家が推されるずっと少なかったし、さら自分古典を好んで読んでいた。アジア作家が紹介される機会も少なく、そういう意味では感受性のみずみずしい今の若い読者がうらやましい。

後は、女性作家で今回のテーマである宇宙を扱った作品男性よりも少ない気がするのだが、よく考えてみればル・グインハイニッシュ・ユニバースがあるし、ティプトリー・ジニア「たった一つの冴えたやり方」で始まるシリーズがある。スペースオペラでは「叛逆航路のアン・レッキーもいることだし、単純に探し方が悪いのかもしれない。

最近短編ばっかりで腰を据えて長編を読んでないな。銀河系で忌み嫌われた人類の唯一の生き残りが活躍する「最終人類とか、面白そうなのがいっぱいあるので、そのうち読みたい。

というか、僕の選んだ作品の他にもっといい作品を知っている、勧めたいという方は、どんどんトラバブクマ追記していってほしい。

気が向いたらまたなんか書きたいな。まだおすすめしたいSFもあるし、池澤夏樹世界文学全集を9割読んだのでその感想も書きたいし、かなり疲れるから数ヶ月後にはなるだろうけど。

みんなでやろうぜ増田ビブリオバトル

前回

【翌朝追記あり】劉慈欣「三体」の好きなところと微妙なところについて

前編はこちら

追記

「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・追補編

はみ出たのでこちらに。

【22時追記あり】「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・前編

選抜条件



上記の条件のうち、いくつかを満たしているもの作家ごとに紹介する。

作品オチには触れないつもりだが、途中に何が出てくるかとかそういったレベルでは作品の内容に触れる。

記憶を頼りに書いているので誤っているかも。

グレッグ・イーガン

思い入れが多い。ただ、近年のイーガン長編自然科学素養が無いと何を言っているかまったくわからない作品が多いので(高校どころかひどいのになると大学院レベル)、短篇から入るのがオススメ人類寿命が実質無限大なので、天文観測のために2人きりで宇宙に出て平気で数万年かけて工事するなんてエピソードもあったりするんだけど、わかりやす宇宙ヤバい系だったら「ワンの絨毯」かな。この長編版のディアスポラは未読。イーガン大好きなんだけど、たまに作者の顔がちょっと透けちゃう

アンディ・ウィアー

火星の人」はなぜか「オデッセイ」の邦題で公開された映画原作で、火星にたった一人取り残された男が持ち前のオプティミズムで生き延びていく話だ。不足する酸素を作り出し、糞便からジャガイモを育て、何とか地球コンタクトを取り、必死地球への帰還を目指す。コンタクトを取れた瞬間に希望が開けていく様子が素晴らしい。

気温の低い火星で暖を取る意外な方法に注目。

プロジェクト・ヘイル・メアリーは、基本的ネタバレなしで読んでほしい。冒頭は記憶喪失の人物意識を取り戻したところからまり振り子の周期から重力加速度を割り出すことで自分地球にいないことを悟る。そして、ご地球外のミッションに送り出された理由を思い出す(ブクマの指摘でネタバレ削除)。

仲間の二人が死んでミイラ化しているという絶望的な状況からスタート。この作品も、サイエンスに対する信頼が読んでいて楽しい

上田早夕里

「オーシャンクロニクルシリーズおすすめ

近未来スーパープルームで海面上昇と地殻変動が起こり、人口が減少した世界日本列島さらに小さな島嶼の群れになっている。この世界には現生人類に似た陸の民と、魚のような生き物と双子として生まれ、その魚を肉親・パートナーとして暮らす海の民がいる。短編長編もあり、海の民と交渉する陸の民の物語もあれば、やがて次の訪れるであろう、人類滅亡クラスさらに大きなスーパープルームから人類を何とか生き残らせようと健闘する人びとが主役の話もある。なんとか宇宙進出するとか、人類を海に適応した海生生物にしてしまうとか、核融合炉で地下都市建設するとか、その絶望的で悲痛な努力が胸を打つ。作品によっては「異形コレクション」にも収められている。ある意味では「日本沈没」の精神的な続編でもある。

イヴィッド・ウェリントン

最後宇宙飛行士」は後述の「宇宙ランデブー」にプロットが似ていて、太陽系に未知の物体侵入してくるんだけど、オウムアムアの正体に対する考察にもなっていて面白い。また、主役がどうしても宇宙に出たいんだけど、ミスで同僚を死なせてしまったがゆえに長らく宇宙とは無縁の生活を強いられているところからスタートする。挫折したヒーロー、いい意味映画的で、リーダビティが高い。ややホラー寄り。

H・G・ウエルズ

古典のはずなんだけど児童書をのぞいて意外と読めていないなって作家。なんだけど、自分タイム・マシンという小説で「複数の種に分岐してしま人類」「知性を失った人類の子孫」「太陽が死んで滅亡に瀕する地球」という趣味を開花させてしまった。そういう意味では自分読書傾向に決定的な影響を与えたと言っていい。

円城塔

言語数学モチーフにした幾分難解な作品が多いのだが、最初作品の1つである「Self Reference Engineは少し肩の力を抜いて読める。舞台現実改変能力を手に入れてしまったAIの発生により、無数のパラレルワールドに分裂してしまった宇宙で、AI同士が互いの存在物理法則もろとも演算して書き換えようと争っている。壮大な世界観だが、22の断章の中ではシリアスありユーモアあり小噺あり抒情的短編ありと、何でもありだ。とにかく翻弄される人類おかしい。

小川一水

この人は「天冥の標」で有名なんだけど、長すぎるし自分も未読だ。「老ヴォールの惑星とかフリーランチ時代とか、短篇集も面白いのが多くて、特に「老ヴォールの惑星」はエイリアンの生態ものでは特に面白かった。上記の条件を満たす作品じゃないけど好き。

オキシタケヒコ

この人はどちらかと言えば筺底のエルピスで有名かもしれないけど、僕が好きなのは短編連作「What We Want」「平林君と魚の裔」「止まり木暖簾だ。これは銀河系が巨大な通商連盟支配されているという設定で、アメリカ大統領契約違反国民ごとエイリアンに売り飛ばされている。主人公必死になって地球に帰還した関西弁日系アメリカ人特に面白かったのが2作目の「平林君と魚の裔」で、この通商連盟の究極の目的が明らかになる。

問題なのは、この短篇集があちこちアンソロジーバラバラに収録されていることかな。せっかくなのでそれぞれ購入したうえで他の作品も読んで、お気に入り作家を増やしてほしい。僕も河出書房の「NOVA」とか東京創元社の年間傑作選とかでお気に入り日本人作家を増やした。後者新人賞作品も載ってるしお得だよ。

A・C・クラーク

幼年期の終わりについては一度ここに書いたけど、人間進化していって人間の形を失っていく未来が好きだ。それでも残る人間らしさとは何だろうか。共感だろうか、知識だろうか、はたまた血縁だろうか。

2001年宇宙の旅キューブリック映画で有名で、「ツァラトゥストラかく語りき」のパロディが笑えるほど量産されているんだけど、これもまた人類進化を扱った作品なのでオススメというか、進化ものでは避けて通れない作品。悪役である人工知能HAL9000がなぜ狂ったのかは「2010年」で明かされるんだけど、理由がわかるとちょっとかわいそうになる。「3001年」は「ぼくのかんがえた最強の未来社会」っぽくてそういう楽しみがある。

あえて注意することとしたら、解説で紹介されているキューブリック映画に関するブラッドベリクラーク発言現代価値観では不穏当な個所があることかな。

あとは宇宙ランデブー太陽系侵入してきた物体を探査するという一直線のプロットなんだけど、とかく未知のものに触れる驚きがいい。人物描写が浅いと批判されるのもわかるんだけど、人類が訳の分からないものに触れて戸惑うのが好きなんだからしょうがない。

意外とクラークを読んでいないことに気づく。

小松左京

「果てしなき流れの果に」については前に書いたね。基本的小松左京作品の傾向は宇宙人類日本人運命テーマらしいので、「三体」が好きだった相性がよさそう。実は残念ながら長篇は日本沈没しか読めていない。と言うか三体は宇宙人類中国人運命テーマだよね。

続きはこちら

2023-08-11

婚活東京30代女、パートナーを探しています

マッチングアプリとは別の出会い方も試したく、増田婚活をしてみることにしました。

婚活中の男性からコンタクトや、そうでない皆さまからアドバイスをいただけましたら嬉しく思います

スペック

31歳/ 東京在住/ 153cm/ 38kg(増量予定)/ 年収600万/ 国立大卒(社会学専攻)

在宅で貿易系の仕事(正社員)/ 一人暮らし/

お酒弱い/ タバコ吸わない/ 黒髪ボブ/ 外見とコミュ力普通だと思いたい(注1)

(注1) アプリでのいいね数は現在250くらい

 売りにできる外見ではないもののお会いした方からはまた会いたいと言っていただけるので、最低限の足切りラインクリアしている…と思いたい

理想相手イメージ・条件

31~36歳/ 東京~千葉で会える/ 子供を持たなくてもいい/ お互いの条件についてメールで話せる(注2)

できれば映画が好きだと嬉しい/ 年収にはこだわらない(注3)

(注2) (修正) 好きになるのには時間がかかる一方で合わない部分は一瞬でわかることもあるので、

 そういった条件に関しては早めにぶっちゃけトークをしたいです。

 ここに書いていたのですが傷つくという意見があり、取り下げました。申し訳ありませんでした。

(注3) ただ、仕事が好き/ 社会を生き抜く能力がある/ 転職できるスキルがある等の要素には魅力を感じます

自己紹介

趣味・好きなこと

本/ 映画/ 植物/ コーヒー/ 予定のない休日/ 雨の日/ 料理

金銭感覚

10万くらいで満足して暮らせるミニマリストです。

かなり質素な方だと自覚しているのでパートナーに強いようとは思いませんが、

基本スタイルとして「贅沢を楽しみたい」より「ささやか幸せ見出したい」派の方が合うかと思います

食の好み

大体なんでもおいしく食べられます/ 高級店が苦手/ 外食より自炊派/

手料理は地味になりがち/ 中東料理メキシコ料理などやや変わったものも作ります/

健康によいものが好きですが、ピザパーティーや深夜のラーメンも楽しめます

出掛けたい頻度

週末の外出は隔週に1度くらいが理想/ インドア派/ お家大好き/

出掛けるとしたら映画館・現代美術(意味不明もの解釈をあれこれ言いたい)・キャンプ・海・山・夜のお散歩等/

世界を広げたい気持ちもあります

苦手なもの

旅行/ ディズニー/ カラオケ/ 夏の日差し/ 集団行動

理想関係

一緒に暮らしたい/ たとえば

ご飯をつくって、一緒に食べながら映画を観たい

・外で面白いものを見つけたら写真を撮ってLINEしたり「早く帰って話したい!」と思ったり

ポップストアでちょっといいスイーツやお惣菜を見つけ「買って帰ったら喜ぶかな」と想像して

 →買って帰って、食後にお茶をいれて食べながらお喋りしたい

問題が起きたら話し合いたい

 →ネガティブ感情価値観の違いも認め合って、長く一緒にいることを前提に向き合いたい

マストではないが、合致していたらテンションがあがること

キャンパー/ バイクドライブが好き/ 登山好き/ 筋肉質/ 副業起業している

 →興味と憧れがあり、いろいろ教えてほしいです

 →(追記) 重要ではない/ 自分になくて魅力を感じる要素の例です

リモートワーカー

 →住む場所時間の使い方が自由であることに価値を感じます

FIRE/ 気軽な移住に興味がある

・(追記) インドア派/ 本や映画が好き

 →アウトドアにも興味があります、と言いたかったのが、アウトドア派を求めているみたいになってしまいました

 基本的にはインドア派の方との方が性質が似ていると思います

たぶん合わない人

憧れもありつつ、以下のような発想の方は、私との相性でいうとちょっと違うかも

大勢の方が楽しいよ!

・せっかく旅行するならその土地しかできないグルメアクティティを目いっぱい楽しみたい!

投資ギャンブル

ブランド志向

・日々切磋琢磨してお互いを高めあえる関係でいたい

何故ここで婚活を?

・なんだかんだ高校生の頃から使っているので、私らしい場所=相性の良い人に出会えるかも

・少なくとも考えを整理できるし、失うものはない

・知らない人の書いた文章を読むのが好きな人/匿名でなにか書こうと思う人が好き

hatena.anonymous.diary(at)gmail.comメールいただけたら嬉しいです。

消すまで募集しています


追記

コメントいただき、補足しま

好きな増田エントリ (anond:20230811174837)

恋愛系のエントリから「こんな関係になりたい」というものピックアップしました

恋愛遍歴

中高女子校恋愛と無縁

大学から10年付き合った人がいたけれど、子供がほしい/ほしくないで別れる

→どんな人とうまくいくかわからず、それからずっと右往左往しています

 1人目は条件的な部分が合致すれば好きになれると思って付き合ってみたもののそうはならず、

 2人目はスペックをまったく見ずフィーリングで付き合ってみたけれど育った環境の違いが障壁になり、

 3人目は諸々違和感のない人だったけれど、彼にとって私は理屈っぽすぎ、私にとって彼は話合いのできない人で…

好きな映画

洋画派/ 字幕派/ SFサスペンス特に好き/ 痛いシーンが苦手

有名どころだと「メッセージ」とか「TENET」とか

not有名どころだと「ランダム 存在確率」とか「スウィング・オブ・ザ・デッド」とか

旅行は苦手だけど移住には興味がある理由 (anond:20230811220506)

要約すると「お家にいるままできる旅行、それが移住」という感じです

好きな本

正直に言うと特になくて、村上春樹の話をするか直近で読んだ本の話にすり替えるかすることが多いです

直近で読んだ本は「山女日記(湊かなえ)」「モーム短篇選(サマセット・モーム)」「婚活戦略(高橋勅徳)」です

パートナーが働けなくなったらどう思う?どう行動する?

心配して、なにかできることはないかなと思うと思います

心身の面でも経済的な面でも支えになりたいので、質素生活基準にですが二人分の生活費を賄える仕事をしています

痩せすぎ/病気

食事を忘れがちなだけで、心身ともに健康です

極端に細くはなく、筋肉が少ないのと骨格が小さい?のとで見た目のわりに低体重なのかなと…

最近意識的に食べていて、ジム通いでメリハリボディを目指しています

中東料理の例

フムス(ひよこ豆ペースト)/ タブーレ(パセリサラダ)/ ブルグル(小麦の粒)のピラフなど

同性でいいのでは?

同性では絶対ダメということもないのですが、同性で長期的に一緒に暮らしてくれる/支え合えるパートナーを探す方が難しいと思っています

子供がほしくない=性的なことに興味がない、というわけでもないし、一緒に寝たり甘やかしあったりしたいです

子供がほしくない理由

ほしくない理由があるというより、ほしい理由がなくて、だからリスクコストが気になってしまって…

ほしい理由がないのは本能問題で、自分で選んで決めたというより、そのように生まれ感覚です

(恋愛対象が男性/女性/他であることに理由がないのと近いと思います)

幼少期にトラウマがあるとか家族関係が複雑とか、そういった事情特にありません

生活10万の内訳

家賃5+食費2+光熱費通信費1.5+その他雑費1.5くらい

実家との関係/ 同居/ ペット

帰省は年2~3回/ 不仲でも特別親しくもない(と思う)/

将来的にも同居の予定はなし(親も望んでいないらしい)/

パートナー家族ともこのくらいの距離感だと感覚が合いますが、先のことはわからないので事情に応じて/

いざというときは支えになりたい/ 兄が一人と実家カメが2匹います

結婚したい理由

子供がいない場合結婚自体メリットは大きくないとは思う

一方で、誰かと長く一緒にいたいとは思っていて(いろんな人と遊びたいとは思っておらず)、

その場合には、するメリットはあっても、しない理由はないとも思う。同じように思ってくれる人がいい

結婚メリット

ずっと一緒にいると約束できる/ 家族が喜ぶ/ 世間プレッシャーから解放される/

一時的感情で別れずに済む/ 一度手続きを済ませれば、以降の手続き簡素化される

条件で人を見るべきではない/ 条件を明確にすべき/ 優先順位をつけてほしい

いろいろなご意見があり、自分の中でも揺らぎがあるのですが…

必須条件は「子供をもたなくてもいい」で、

数年かけて話し合った上で10年寄り添った人と別れたため、条件の合致重要と考えています

他のことは「異性として魅力を感じられて、価値観の合う人がいいな」と思っているのですが、

そんなの皆そうだし何も言っていないのと同じなので/

お互い不特定多数と繋がれる婚活の場で「条件をつけずまずはお話してみる」は現実的ではないので、

上に書いた条件があり、以下の順で優先しています

年齢:変えられないからこそ重要、大きく年上は将来が不安。年下についてはもっと柔軟に考えるべきかも

外見的魅力(変えられない部分):変えられないからこそ重要、逆に変えられる部分は変えればいいのであまり気にならない

年収/社会能力:大切ではあるが、年収が低くてもOKな例はたくさんあるので条件としての機能は弱い

趣味合致:大切ではあるが、新しい趣味が始まる可能性もあるので条件としての機能は弱い

居住地写真を送って晒されるリスクが怖いのでお会いできる距離がいいけど、顔を知らないままやり取りしてメル友まりでも構わない

友達になりたい

嬉しいです!メールください。友達希望と明示いただけたら助かります

結果を報告してほしい

これまでのところ大変有難い形で進んでおり、投稿してよかったと思っています

経過報告はこちら: anond:20230814175244

2023-04-05

最近読んで面白かった・つまらなかった漫画 ジャンプ+読切シリーズ 1

漫画からを高めるために読切を無選別に読んでみる試み。苦手なジャンルはそれだけで低評価になる当たり屋みたいで申し訳ないが、読み続ければ何か新しい嗜好が開拓されるかもしれない。

ロロドーム

ウルフラビット

ゲスの恩返し

古本屋槐軒事件

ウソキヅキ

・ ある王の日記

テラスハウスダスト

・ おもてなシミュレーションゲーム滝川

・ 遥かなるオウガスター

・ キュウビ

面白かった

ロロドーム

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549851

結構面白かった。ワンピース好きそうな画風?「なんでも甘く食べられる」道具が「なんでも食べられる」方面シフトするのは面白かった。けどそこから恋愛に行くのは曲げに曲げたなあって。序盤の彼氏描写や(あれで付き合ってたの?)浮気と断じる描写が弱くてオチはよかったけど気持ちちょっとだけ合わせられなかった。


ロロドーム…ああろろどーむってどういう意味だったの?

ウルフラビット

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549863

可愛い女の子によくまとまっていてるシナリオカタルシス。読切としてよくできてると思いました。

最後にもういっかい持ってくるの含めて文句なし

飛び降りるシーンやよじ登るシーン、ナイフで襲い銃を抜き突きつけるシーンとか動きのある絵がキマっていて良くてかっこよかったです。

ゲスの恩返し

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549869

オチ唐突暴漢を使うのやめろぉ!

でもそれ以外はとてもよかった。エロちゃんエロコメとしてのエロでお出ししてる。好印象。

幼馴染の距離感ギャグと年上の間がいい。幼少期の記憶の差いいよね…。クソダサ私服好き。

とても刀っぽい七星剣が気になるところ。

古本屋槐軒事件

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549878

台湾漫画家が日本漫画市場台湾舞台にした日本人のでてくる台湾人が主人公漫画日本語で書く。とものすごく混乱した漫画韓国翻訳漫画人名とかを日本ナイズして持ってくると見たことがあったのでこれもそれなのか?でも舞台台北だし、しか人名はギリ日本人でもありえそう…といらぬノイズが生じて集中できなかった。


絵と家族空気感ラストなどはとても良かった。が、しかしメインの"不思議"部分がちょっとなにをしたかったのかわからなかった。オチもうーん、全体的に読者の琴線に触れようとはしてるんだけど、はじき方が全然足りなくて感情が動かない。古本屋との出会いプロローグならOKだけど読みきりだとちょっとねーっと言ったラインだった。

ウソキヅキ

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549881

大甘に大甘でこっちに…?

フィクション創作ってウソだよねってところは一応加点要素なので。あそこの物語で笑ってる二人は好き。

読切なんてなんぼでもつまらない判定できますからね。

USOの名付けがダサく感じるのは「すマホ」が悪い。

主人公デスノの月タイプじゃなくてバカバカ感情で嘘の発明を得たんだから説明台詞オチみたいな知的ものよりバカっぽい面白い発想で広げていけばよかったのでは。

逆にテストの点の改ざんを削るだけでまだ「地頭はいい」キャラの線は残せるし、最低限やりたいストーリーキャラ知的レベルは合わせてほすぃ。

まらなかった

ある王の日記

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549845

星新一みたいな短篇異星間交流話。とくに…言うことはないかな。温和な人物を信用したこと農業従事すること、地表が多いこととかがノイズに感じた。さりげなくレアアースを匂わすとかでもっと誘引するか、即ネタバレでなくもうちょっと弱者を演じてオチに逆転的な要素を入れるとか…でもまあそれでも予定調和内か。

テラスハウスダスト

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549848

ピン芸人の一発芸を一人ひとつずつただただ流してくエンタの神様みたいな構成キャラ紹介だけで終わって物語相互作用がなかった。

おもてなシミュレーションゲーム滝川

https://www.shonenjump.com/p/sp/gatarou/w3tKVEbNHbi2TBzt/

まともに漫画描かないか画太郎嫌いなんだ。

遥かなるオウガスター

https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549860

うん

キュウビ

ttps://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549872

なぜかとてつもない若さエネルギーを感じる作品

ストーリーのためにキャラが喋ってるな。と思ってしまいノれなかった。

教授キャラ妖怪デザインはよかったです。

2023-01-04

カズオ・イシグロ大体読んだけど好きかわからなくなった

わたしを離さないで」(2005)

臓器移植のために育てられた人間の子どもから大人になるまでの記憶を綴る。

かに美しい小説だ。子供から大人になるにつれて、見える世界は広がっていく。たとえそれがどれほど酷なものであろうとも、子供たちはそれを受け入れねばならない。語り手は振り返り、ひとつ出来事を大切に手の中で壊れやすい卵を計るように並べている。

読者も少しずつ、まるで語り手と一緒に育っていったかのように、事の真相を知らされていく。細やかな、性格を端的に示すエピソードミルフィーユのように繊細に重ね、誰もが持つ幼いころの記憶登場人物シンクロさせる手際は見事と言っていい。主役三人の性格の違いとそれによっておこる対立の見事さは、この小説SFというよりも性格劇に分類したくなるほどだ。夢中になってはまる本とは違うけれど、読む価値はとてもある。

しかしながら、感情描写文章リズムがうますぎるあまり、根幹のSF的設定が、ふと荒っぽい夾雑物にまで見えてきてしまう瞬間がないでもない。細密な建造物を支える、太すぎる柱にたとえればいいのだろうか。

そもそも臓器移植のためだったら、人間を育てるんじゃなくて臓器だけ培養すればいい。

どうも舞台となっている世界技術水準や、テクノロジー社会に与えるインパクトの細部の詰め方が幾分甘い。

日の名残り」(1989)

かつて仕えた主人が第二次世界大戦中に対独協力者で、それを理由戦後に没落したため、その屋敷を買った米国人に仕えることになった執事の話だ。カズオ・イシグロ本領である、決定的な本音事実意図的にあるいは無意識に隠したまま語り続ける居心地の悪さ、気持ちの悪さがいかんなく発揮されている。

熟読すると面白いが、何があったかは作中では基本的には明確に語られているのもいい。

かつてはほのかな思いを寄せていた同僚であった女中からも、今となっては過去の人とみなされており、最後自分人生って何だったんだという悔恨にさいなまれるシーンは最高だ。

かつての美しいイギリス風土と、失われた執事美徳悪徳について。感情に蓋をしがちで、行動原理自分の「したいこと」ではなく「なさなければならないこと」になっているひとにおすすめしたい。面白かったので英国メイド執事の本を何冊か読んだ。

遠い山なみの光」(1982)

長崎出身現在イギリスの片田舎に住む悦子(語り手)の所へ娘のニキがロンドンから訪ねてくるところから始まる。ニキが言及する悦子の生涯を、ニキからのまた聞きや、写真の印象だけから詩にしようとする詩人が出てくるのだけれども、なんだか作者自身創作する自分のことを批判的に見ている姿が透けてみえる。全体として、シングルマザーとしての苦しみが複数語られている。

これは褒め言葉としていうのだけれど、読んでいてずっと不穏な感覚をぬぐうことができず、いいようのない気持ちの悪さがある。たぶんその正体は登場人物の会話が互いの自己主張に終わっていて、基本的相手の話を全然聞いていないところにあるのだろう。会話の形をしているのに、対話になっていない。むしろ並行する独白だ。映画脚本のお手本的でもある。

最初のうちは、この違和感終戦直後日本人ならこんなあからさまな会話なんてしないだろうからにも思われた。しかし、明治文豪の名作だって、会話が人工的であることも少なくはない。ただ、この作品ほどのひどい噛み合わなさはまれな気がする。少なくともあちらでは噛み合わせようという努力はしている。

台詞説明したり議論したりする手法は、大抵は粗削りというか不器用な印象を与えるので好まないのだが、この場合コミュニケーション不全というか、相互理解の失敗の雰囲気をよく伝えていて、効果的だった。

浮世の画家」(1986)

情けないかつての画家の話。老い第一線を退いた後も、自分はまだ影響力があると思いこんではいたが、世間自分存在などすっかり忘れている。自分のしてきたことなど、大したことではなかったのではないか、それどころか完全な誤りだったのでは。歴史によってそう裁かれることに怯えている。老人にとって、今までのお前の人生は何だったのか、と問うことほど残酷なことはあるまい。

そのくせ、隠しようのない自己満足防衛がどこまでも続いており、かつては地位のあった老人はどこまでのその虚飾から自由になれない。計算したうえでのことかどうかわからないが、この翻訳日本経済新聞の「私の履歴書」の文体そっくりだと思ってしまうのは、私のやっかみであろうか。

やはりカズオ・イシグロ真骨頂は情けのない自己弁護にある。

充たされざる者」(1995)

よく、入り組んだ官僚機構カフカ的というけれども、どっちかといえばこの作品みたいなのがカフカ的な気がする。過去というか記憶曖昧で、自分そもそも何をしたいのかわからず、その場の判断だけで物語全体が動いており、映画なんかでは必須の究極の目的・ゴールも曖昧だ。「夜想曲集」所収の旅する芸術家あるある話がベースになった作品と同じにおいがする(この短篇集は切り口の優れた良き英国短編集といった趣だ)。

すべての事件が宙ぶらりんのままにされて進み、星新一ショートショートでその場限りの対応しかしない軽薄な男を主役としたこんな作品があった覚えがあったことを思い出したが、読んだときにはどうしてもタイトルが思い出せなかった。それは結局「未来そっぷ」に収録された「熱中」であるとわかるんだが、一番満たされていないのはきっと読者だ。

カズオ・イシグロテーマひとつコミュニケーション不全が前面に出ているだけでなく、筒井康隆虚人たち」を思わせるような、自分が何者であるかわかっていないのにさほど気にしていない空疎さがあり、何かを風刺しただけではないのだろうが、それはまだ読み取れず。

奇妙だ。自分他人記憶の壁が溶けて無くなってしまったみたいな語りであり、語り手は身内だと感じるとちょっとしたことですぐに激昂したりすすり泣いたりして、いったいどういう人物なのかとらえどころがない。すべてが宙づりで半端なまま物語が終わる。語り手はどの街を訪れても、延々と同じことを繰り返すのだろうか。

わたしたちが孤児だったころ」(2000)

両親に置いていかれたのはなぜか、そして母はどこに行ったのか。著者の中では一番残酷な話かもしれない。物理的な暴力よりもその結末が。地獄の寝取らせ小説であり、真理に近づこうとして全員が不幸になる。それでも、なお、愛そうと試みたし、愛されてはいたのだ。

息子が親父と同じ道ならぬ愛という過ちを犯しかけるのは残酷ユーモアがあふれているようでいて、ある種の試練であったのだろう。試練に打ち勝ったからと言って直接幸福になるわけではないのが皮肉でいい。

追記】目の前に日本軍軍艦が停泊してるのにのんきにパーティーしている租界の人々って嫌なリアリティがあった。

忘れられた巨人」(2015)

忘却テーマだが、P・K・ディックのようにアイデンティティ曖昧になっていく離人感よりも倫理的な面を問うているようだ。つまり戦争責任とか政治的意図的隠蔽とか。

国家組織的に目を背ける行為と、個人がつらい過去を忘れることによって救われることの両方が描かれている。ファンタジーもある程度は書けるのがすごい一方で、見たくないものを見ようとしない描写や、自分のことばかりで会話が成り立たない場面は健在。

ファンタジーにしては「危険度」とか「スタミナ」の訳文がちょっといかなとも思ったけれども(別に嫌だと感じるレベルではない)、これは現代日本語としては普通に受け入れられてるのかな。

あと、サクソン人の穴を掘った(ホビットみたいな)家の描写があるんだけれど、これって実際にそうだったのかな? サクソン人の家とググっても出てこなかった。

ちなみにル・グインはこの作品を好まないらしく、ウィキペディアには両者の対話引用されている。

のしようとしたことには敬意を払いますが、私には効き目がありませんでした。うまくいくはずがありません。どの作家文学ジャンルの表層だけをうまく使えません。その深みはなおさらです。そのジャンルと同一化することを恐れるほど軽蔑している限りは。読んでいて痛ましく感じられました。まるで、高いロープから落下しながら聴衆にこんな風に叫んでいるみたいでした。「私は綱渡り芸人と呼んでもらえるのかな?」と。

ル・グインには私の本が好きか嫌いかを決める資格がありますが、私に関する限りは誤ったほうの肩を持っているようです。私は(註:作中では不可解で不気味な存在として現れた)妖精や竜の側に立っています

シグロ氏のご意見をうかがえてうれしく思います。同氏の「私の作品ファンタジーだと人々は思うでしょうか?」という質問に対する、私の明らかな早急な返答に傷つけるような内容があったことをお詫びします。

クララとお日さま」(2021)

人工知能太陽光病気回復させる効果があると思い込むことで起きる珍妙な話だ。

どう考えても不合理で奇妙な信念に従い、偶然によって祈りが叶えられる話で、しか最後はただゴミ捨て場で朽ちていく。これは無神論者による宗教パロディではないか? と勘ぐってしまう。無神論者からすれば、いかなるかたちであれ神を信じる人々は、誤った信念にすがり、存在しない相手効果のない祈りをささげる哀れな人々だ。

カズオ・イシグロSFは、SF主食人間からすると、不合理か古い知識に基づくように感じられる設定が多く感動すべきシーンもそこが気になってしまう。

たとえば、明らかに危険能力向上処置子どもにするような社会は、現代から相当な価値観の変遷があったはずだし、かなりの時間を経ていないと起こりえないだろうが、長い時間経過に伴うテクノロジーの発達については述べられていない。スマホさえ出てこない。

カズオ・イシグロSF設定がときどきザルなのはリアリティレベル小説よりSF風の映画テレビドラマくらいにまで下げていて(下手をすれば寓話絵本レベルまで)、それは脚本家でもあったからなんじゃないかって考えたんだけど、そこまでたくさん脚本を書いていたかまではわからなかった。

かに技術的細部に立ち入らないので古くなりにくい一方で、そこが物足りなく感じられる。新しい技術だけをポンと現代に放り込んだ感じで、今と地続きな感じがして生活感があるのはいいけれど、技術によって完全に変容してしまった人類の心性がもっと欲しいと感じる。未来を描く意味はそこにあるんじゃないだろうか。

だいたい、フレーム問題解決というか一般常識インストールされてないスタンドアローン親友ロボットなんて危険すぎるだろう。誰もアップデートされないスマホなんて使っていない。SFはどこまでリアリティのある技術を出すべきかという問題もないではないが、短編ならともかく長編でこのネタをこれをやるのは、平均的理系知識を持つ読者にとってはかなりしんどい

結論

以上。読んだ順。

私が好きなのはカズオ・イシグロではなく「日の名残り」だった。

追記

わたしを離さないで」だけ既読、似た感想。この小説SFというより寓話に近いと思う(増田も書いてた)。ドナー人権周りの描写も臓器を貰う側の葛藤も削ぎ落とし、搾取される者の命の輝きのみに焦点を絞ってる感じ

こちらのブコメがとても素敵だったので引用させていただきました。不都合がありましたらお知らせください。

2022-10-27

世界ビジネスエリートが身につける、教養としての「教養としての」

Amazonで「教養としての」で検索、結果

教養としての決済

教養としてのダンテ新曲

教養としての紅茶

教養としての投資

教養としてのワイン

教養としての着物

教養としての日本酒

教養としてのウイスキー

教養としてのゴルフ

教養としてのダンディズム

教養としての茶道

教養としての意識

教養としてのローマ

教養としてのフランス史

教養としての世界史

教養としての西洋美術史

教養としての神道

教養としての仏教

教養としての中国古典

教養としてのラテン語

教養としてのデータサイエンス

教養としてのコンピューターサイエンス

教養としてのAI

教養としての地政学

教養としての地理

教養としてのニーチェ

教養としての落語

教養としてのクラシック音楽

教養としての俳句

教養としてのグローバル経済

教養としてのラーメン

教養としてのビール

教養としての半導体

教養としてのギリシャローマ

教養としてのギリシャ神話

教養としての数学

教養としての心理学

教養としての能楽

教養としての能・狂言

教養としての食べ方

教養としての気象と天気

教養としての太平洋戦争

教養としての日本皇室

教養としての日本

教養としての映像動画

教養としての平成お笑い

教養としてのゲーム

教養としての宇宙生命

教養としてのプロレス

教養としての認知科学

教養としての化学入門

教養としてのアメリカ短篇小説

教養としてのお金アート

好きなのを選ぼう

2022-06-29

はてなー!!自分の好みのタイプ漫画全部書くからお薦めしてくれ!!

https://anond.hatelabo.jp/20220630040756

ブコメ信書きました!沢山おすすめしていただいてありがとうございます

知らないのも多くて嬉しい

 好きな漫画探しても既読か知ってるか読んでも微妙以外が3%しかない!助けて!!

自分の好みど真ん中のやつ

アタゴオルシリーズ

テガミバチ

図書館の大魔術師

・107号室通信

香魚子さんの短編

・週刊少年ガール

キーワードにするとすこしふしぎ日常物、児童書っぽさなどが好き

漫画以外の好きな物

BUMP OF CHICKEN

sasakure.UK

モモ

・黒ねこサンゴロウ

ななつのこ(加納朋子)

・ゆめうつつ草紙(原田 宗典)

・白乙一

他の既読漫画好みタイプ漫画

ダンジョン飯

九井諒子短編集全部

乙嫁語り

吾峠呼世晴短編

この世界の片隅に

夕凪の街 桜の国

こっこさん

長い道

よつばと!

賢い犬リリエンタール

クロクロ

だがしかし

からくりサーカス

ふらいんぐうぃっち

ARIA

天才柳沢教授日常

不思議な少年

虫と歌

蟲師

少女終末旅行

がっこうぐらしアンソロジー

スキップローファー

AI遺伝子

プラネテス

三文未来の家庭訪問

人類は衰退しました のんびりした報告

レスト夫人(三島芳治)

働かないふたり

変身のニュース

足摺水族館

夜とコンクリート

無限大の日々

最果てアーケード

さらば、やさしいゆうづる

地球放課後

図書館

空挺ドラゴンズ

ドラゴンちんちん見にこう

バーナード嬢曰く

銀河の死なない子供たち

ホクサイと飯さえあれば

つづきはまた明日

ミッションちゃんの大冒険

雨柳堂夢咄

魔術師探し(佐藤史生)

きらきらDUST(かまたきみこ)

クレマチカ靴店

メリーバッドエンド 酒井まゆ短編

マホタン(伊咲ウタ)

環状白馬車掌の英さん

繕い裁つ人

放課後保健室

プリンセスメゾン

明治緋色綺譚

クジラの子らは砂上に歌う

ひだまりスケッチ

スケッチブック(小箱とたん)

GA学園

棺桶担ぎのクロ

異国迷路のクロワーゼ

廃墟少女

夢の博物誌

こぐまレンサ

追記

二度寝してた……すまん

既読Amazon履歴見て思い出したやつ書いていく

絶対安全剃刀

綿の国星(図書館で読んだので思い出せんかった!ごめん)

リューシカ・リューシカ

イムリ

夢幻紳士(何篇かは忘れた)

水惑星年代記

あかりや(無料公開しているのにAmazonで買ってから気づいた)

https://www.mangaz.com/book/detail/46061

瑠璃夢幻古物店

最果てのソルテ(水上悟志作品は完結済みだとサイコスタッフ惑星のさみだれ戦国妖狐読んでて戦後妖狐大好きだけど児童書よりは少年漫画寄りかな?と思って上げなかった。ソルテ児童書感が一番強いので一番に好きになりそう!)

天顕祭

バベル図書館

ニッケルデオン

銀のニーナ

土星マンション

なんてないことのふつうの夜に

スピカ 羽海野チカ初期短編

春と盆暗

まがりひろあきのじゆうちょ

仁科晃壱短篇集 「まな板の猫/宴会

回転銀河

となりのロボット

踏切時間

ぜえはあ、、まだ既読作品あるけどとりま終わりにします……

ゆうてテガミバチネウロハガレンも大好きな人間なので別にとにかく面白いけどマイナー漫画でも投げてくれて全然かまいません!小説映画アニメゲームドラマでも可

①好みの系統の知らん漫画

②好みの系統の知らん漫画じゃない作品

③なんでもいいので知らないおすすめ作品ぐらいの優先順位でお願いします。

児童書ラノベ読んで育ち漫画描き出してから漫画ばかり読んでいるので他分野

ゲーム映画ドラマアニメ女性向けの漫画知識が薄いです。

つーわけで漫画に詳しいブクマカ頼みましたよ……私は寝ます……

追記

おはようごさいます

無事本日漫画増田になれたようで沢山ブクマお薦めしていただきありがとうございます

からブクマ返信増田書いていきます

宣伝カシワイさんに影響受けてた時に描いた漫画まとめてるからすこしふしぎ日常ファンタジー短編読みたい人は読んでみてね!

https://twitter.com/i/events/1446098829112070146?s=21&t=vKyvx4ZJwyhLKOX26W6q6Q

2021-07-20

探偵小説研究会ミステリを編みたいっ!」リスト

ジャーロ』誌(光文社)で連載中の、架空アンソロジー叢書を作る持ち回り企画書籍化希望

No. 55 (2015 Autumn-Winter) 第1回 千街晶之戦争ミステリ傑作選」

No. 56 第2回 鷹城宏「異論図書館(ビブリオテカ・パラロジック)」

No. 57 第3回 巽昌章「死のカードあわせ――可動式アンソロジーのすすめ」

No. 58 第4回 千野帽子ミステリフロンティアはここだ――K文社ミステロイド文庫・創刊!」

No. 59 第5回 蔓葉信博ライトミステリーの源流と現在

No. 60 第6回 法月綸太郎パリンプセストの舟――メタハードボイルド全集第一期)」

No. 61 第7回 並木士郎映画原作短篇十選」

No. 62 第8回 小田牧央「ポスト真実現代本格ミステリ

No. 63 第9回 波多野健「暗号解読――ミステリ現実

No. 64 第10回 廣澤吉泰「昭和五十年代アンソロジー国内編)傑作選」

No. 65 第11回 羽住典子「春を売る本格ミステリたち」

No. 66 第12諸岡卓真「『そして誰も』系ミステリ世界

No. 67 第13回 横井司「墓場へ持ちこまれた謎を解く」(テーマ…未完作品

No. 68 第14回 市川尚吾「海底ミステリ全集

No. 69 第15回 浦谷一弘飛行機ミステリ全集第一期)」

No. 70 第16回 円堂都司昭ベスト本格ミステリ21世紀

No. 71 第17大森滋樹「『人面瘡』幻想ミステリ全集

No. 72 (2020 Summer) 第18回 佳多山大地鉄道ミステリー選集(二巻本)」

No. 74 (2021 January) 第19回 小松史生子ミステリの中の『忘れえぬ女(ひと)』名場面傑作集(クラシック編)」

No. 75 第20笹川吉晴世界UMA小説(ミステリー)大図鑑第一期)」

No. 76 第21回 末國善己歴史時代小説作家ミステリ傑作選【戦後篇】」

2021-03-08

必読書コピペマジレスしてみる・やっぱりオススメの21冊編 (2)

戻る→ anond:20210308081829

デュマ・フィス「椿姫

個人的にはオペラよりも好きかもしれない。特に、愛した女性の墓を掘り起こして遺体に直面するシーンがあるところとか。不毛愛情というか、すれ違いや失恋ばかり読んでいたことがあり、これを読んだのもそんな時期だ(「エフゲニー・オネーギン」とか「マノン・レスコー」とか)。というか、そもそもオペラって「乾杯の歌」とかすごい好きなんだけど、台詞聞き取りにくいし、台詞を同時に歌う箇所もあるし、なんか難しい。

ちなみに主人公独白に曰く、「ああ! 男というものは、その偏狭感情の一つでも傷つけられると、実にちっぽけな、実に卑しい者になってしまものです」。……バレましたか

野尻抱介太陽簒奪者」

自分日本SFを読むきっかけになった人で、ハヤカワのJA文庫小川一水とか林譲治とかが特に好きだった。

この作品は、太陽の表面に異星から物体によってメガストラクチャーが作られ、日光を奪われた人類が滅亡の危機に瀕するのだが、若干のネタバレを言うと、最初からエイリアンには悪意が全く存在していなかった。僕はそんなところが好きだ。基本的自分の好きなシチュエーションは、他者との接触により悪意はないにもかかわらず傷つく、というのがあるのだ。

ちなみに日本SF作家をより広く読むようになったのは大森望日下三蔵の年刊日本SF傑作選のおかげ。感謝感謝

オルハン・パムク無垢博物館

三十歳で婚約者がいるのに、親戚の十八歳の女の子に手を出しちゃったダメな人が主人公結婚約束をした女性から婚約を破棄されてしまい、彼は思い出の品を集めた博物館を作りだす。イヤリングはともかく、自分が家をのぞき見た瞬間を画家に描かせた作品や、下着までも集めているあたり、ただの変態である。帯には「愛に生きた」とあるけれど、愛情というか執着や妄念であったような気がする。けれども、不毛な愛のほうが読んでいて面白い

ところでトルコという国は、女性スカーフを被るかどうかだけで政治的立場の表明になってしまう国であり(ハイヒールを履くかどうかも政治的立場の表明ではあるが、トルコはその傾向が顕著だ)、その点からも読んでいて面白い作家であった。

マヌエル・プイグ蜘蛛女のキス

映画オタクゲイ政治犯の獄中での対話劇。ゲイはどうやら看守から政治犯の様子を探るように頼まれているようなのだが、いつしか二人には友情が芽生えていく。緊張感のある対話であると同時に、ゲイお気に入り映画を語るとき調子推しについて語る幸せオタクのものである安易に神という表現は使いたくないが、語りが神懸っている。ゲイの口調が女言葉なので、少し古い訳なのかもしれないが。

リチャード・ブローティガン西瓜糖の日々」

大学時代年齢不詳の友人がいて、今も何をして食べているのかよくわからないんだけれども、今でも時々強烈な下ネタメールが来る。そんな彼が薦めてくれた小説村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の「世界の終わり」パートに影響を受けた作品を部誌に掲載したらものすごい勢いで薦めてくれた。

彼は物にこだわりがないというか、読み終えた本をよく譲ってくれた。同じブローティガン絶版になった本やシュティフターの「晩夏」などもおかげで読めた。「晩夏」はくどいのでいただいてから十年後に読んだのだが、現代小説では確実に切り捨てられる長さの風景描写を含む小説を、定期的に読みたくなる。

町田康パンク侍、斬られて候

就職のために架空宗教団体によるテロでっちあげる侍の話。時代劇の形を借りているんだけど、時代考証は完全に無視している。そして、自意識過剰人間クレーマーおバカしか出てこない語りの芸だ。だが、大体町田康作品は大体そんな感じだし、人間って元来そんなもんなのかもしれない。オチ基本的に完全に投げっぱなしだが、爆発落ちや死亡オチギャグ結構好きだったりする自分がいる。文学っていうのは自由でいいんだよ。

トーベ・ヤンソン「たのしムーミン一家

ムーミンシリーズ以外のヤンソン文学作品を選ぶべきかどうか迷ったのだがこっちにした。友人からなぜかヘムレンさんに似ていると言われていた時期があったことだし。

児童文学短篇って長篇とは違った難しさがある。短い文章と簡潔な表現という制約の中で、キャラクターを端的に表現しないといけないから。そのお手本みたいな作品がここにあり、内向的人間にやさしい世界がここにある。ちなみにとある哲学者の持っている本の名前が「すべてがむだであることについて」であり、すごく笑える。

全く関係ないが僕は萩尾望都の「11人いる!」のヴィドメニールヌームにも似ていると言われたことがある。緑の鱗に覆われた両性具有僧侶で、とても善い人で行動力もあるのだが、説明するときにやや言葉が足りない。

マリオバルガス=リョサ「悪い娘の悪戯

嘘つきで利己的で、のし上がることにしか興味がない空っぽ存在に恋をしてしまった善良な青年。「悪い娘」の人生航路は語り手の人生におおよそ十年ごとに交叉するが、一貫して彼女本位な関係に終始する。

これはどうしようもない女の子に恋してしまって、四十年間ものあいだそれを引きずった男の物語だ。地位財産もなにもかもなげうって、何度裏切られてもひたすらに与え続けた。そんじょそこら悪女ものとは格が違う。シェル・シルヴァスタインの「おおきな木」のように。

バルガス=リョサには基本的にどれも面白い

D・H・ロレンスチャタレイ夫人の恋人」。

猥褻だということで昭和時代裁判になったというので読んでみたが、どこが猥褻なのかちっともわからない。しかも、作者の思想がうるさいので文学的な美を損なっている。

表現露骨というよりも、おちんちんに花飾りを結ぶみたいなのどかヒッピー文化的な感じで、エロティシズムについては性描写の無い仏文学のほうがずっとぐっと来るものがる。しかし、時代を先取りしていていたという意味では素直にすごいと思うし、この程度で猥褻だと騒いでいた時代はさぞ不自由で息苦しかったのだろうなあとも思う。

ピーターワッツブラインドサイト

最強のファーストコンタクトものひとつで、ネタバレするとオチは「意識クオリアとはときとして生存に不利かつ無駄であり、この宇宙では淘汰される可能性がある」という絶望的な結論人間の心も愛も宇宙の中では無だ! みたいなSFが大好き。

基本的構造は「宇宙ランデブー」の変奏で、未知のエイリアン遺物の中を探検するのだが、強烈な磁場の中で意識が攪乱され様々な精神疾患一時的に患うという違いがある(実際に脳に強烈な磁場を近づけると活動する部位が変化する)。言及されるコタール症候群半側空間無視といった症状もすべて実在するが、脳科学知識がないと全部作者のほら話なんじゃないかって読者が誤解するんじゃないか若干心配

それと、ハードSFとしてはすごい好きなんだけど、どういうわけか吸血鬼が味方に出てきて(人類を捕食していた類人猿遺伝子を組み込んだ改造人間という設定)、味方のはずなのにこちらに危害を加えようとする不可解な設定があり、これは作者の吸血鬼ゾンビに対する偏愛のせいだろうが、プロットの上であまり関係がないし必然性もなく、そこが無駄に思われた。そもそもなんでそんな遺伝子組み込んだ危険なやつを作るんだ?

以上。

2021-03-01

必読書コピペマジレスしてみる・自分オススメ41冊編(3)

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E・M・フォースター「ハワーズ・エンド

「人をたくさん知れば知るほど、代わりを見つけるのがやさしくなって、それがロンドンのような所に住んでいることの不幸なんじゃないかと思う。わたししまいには、どこかの場所わたしにとって一番大事になって死ぬんじゃないかという気がする」

つの家族の間を行き来しながら、人間記憶や、場所への執着を捉えた文章。それはまるで、漱石のいいところだけ抜き出したような文章だった。

ところで、同じ著者の「インドへの道」もいい。これは大英帝国支配下インドで、未婚女性が現地の男性暴行されたという疑惑を巡る話だ。女性を守ろうとする騎士道精神排外主義が結びつき、支配者と被支配者の亀裂が広がる様を描く、不幸にして極めて現代的な作品である冤罪をかけられたインド人が、「誰があんな不美人な年増を」と心の中で毒づくの、とても嫌なリアリティがある。たぶん、帯を工夫したら売れるし、どっちの「弱者」がより保護されるべきか的な話題で定期的に盛り上がる増田住民にも刺さるんじゃないかな。

ニコルソン・ベイカー中二階

切れた靴紐を昼休みに買うだけの、注釈だらけの何だかよく分からない小説。細やかな観察眼と都市生活者が思わず共感してしまう日々の経験で、要するにあるあるネタで延々と読ませる。すごい。こういうのが現代文学なのね、みたいに一席ぶつのにも使えるかもしれない。

真面目な話をすると、文学はいろいろな機能があって、それは作者の意図とはかけ離れているかもしれないのだけれども、その結果的機能の一つとして、その時代言語化されていないもの文字化するというのがある。だから文学賞を受賞した作品からと言って、実は今の自分が読んでも面白いかどうかは全くの別問題なのだ文章が巧みで、いかにも知的主人公知的な悩みを描いた文学けが主流な時代は終わっているのかもしれない。そういうのが好きな人古典で充分であるし、逆に言えばいろんな立場の人のきれいごとではないこじれた気持ちが知りたければ現代文学面白い

ヘルマン・ヘッセ車輪の下

理由は書かないが、自分は周囲の期待を一身に背負っていたエリート挫折する話が好きだ。前途有望な若者が、将来を棒に振ったり挫折したりする筋書きに対するこの偏愛ゆえに、自分は「ゲド戦記第一部の前半部分や「スターウォーズ」のエピソード3に対する執着がある。

生きていくとは何らかの失望を味わうことであり、時間をかけてそれらを味わいつつ咀嚼していく過程であるのだけれど、こうした自分のどうにもならない感情言語化した先行作品があることで、自分孤独ではないとわずかな慰めが得られる。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス伝奇集」

「鏡の中の鏡」「魔術」「薔薇の名前」などの元ネタとなる作品を書いた人。「バベル図書館」は聞いたことがある人もいるかもしれない。

非常に濃密な短編を書く人で、このネタで長篇普通に書けちゃうだろ、みたいなネタをそのまま短篇調理する。どの作品も非常に濃密で、読み解くのにエネルギーがいる。文体は簡潔で、物語必要最小限の描写できびきびと進む。ただ、具体的に何が起きているのか、そしてなぜそうなったのか、その設定の意味は何か、を追うには読者に教養要求される。読破すると、それ以上のものが得られる。読み終わったらカルヴィーノだとかスタニスワフ・レムの「虚数」だとかミロラド・パヴィチ「ハザール事典」だとかそういう沼にようこそ。

ジョン・ミルトン失楽園

キリスト教文学の癖にルシファーがめちゃくちゃかっこいい。地獄に落ちても神への反逆を続けよとアジる場面は音読したくなる。そのくせ、彼の弱く情けない姿もまた魅力的だ。アダムエヴァ楽園で楽しげにしているところを見て、自分には愛する伴侶もなく、人類に与えられている神から恩寵も既に失われたことを嘆く場面もまた、声に出して読みたい。そして、彼は人類への憎悪嫉妬のゆえに、アダムエヴァ堕落させる。この叙事詩の主役はルシファーだ!

紫式部源氏物語

好きなヒロイン六条御息所自分の意に反して生霊飛ばし他人を苦しめてしまうことに悩むのがかわいそうでならない。今でいうなら、好きという感情コントロールできなくて、それでも好きな人が振り向いてくれなくて苦しんでいるタイプで、感情エネルギーが強い自分としては大いに共感する。

他に好きなキャラクターというか、嫌なリアリティがあっていいと思うのは薫で、その優柔不断さがいい。「この子とつきあいたいけど、でもこの子そっくりな別の子はい雰囲気だしなあ」みたいな優柔不断というか欲深さは、男性心理をよく観察していないと書けない。そういう意味で、自分の中では紫式部評価がすごく高い。

アルベルト・モラヴィア軽蔑

情けない夫が不機嫌な妻に、お前それだけはやっちゃダメだろ的な行為を延々続け、妻から完全に軽蔑され、とうとう上司に妻を寝取られしまうだけの話で、一人称視点から延々と繰り返される言い訳はひたすらに情けない。ねえ、僕のこと愛してる? 嫌いになっちゃった? と尋ねまくって、わかっているくせにとぼけないで! 今忙しいから後にして! うるさいからほっといて! もう愛してないったら! あなた軽蔑するわ! と怒らせるのは、完璧反面教師であり、ギャグすれすれだ。

しかし、作者は妻のことを相当恨んでたんだなあ。

サマセット・モーム人間の絆」

身体劣等感を持つ主人公が、付き合うだけで不幸をもたらす浮気性の彼女を振り切って、幸せにしてくれる女性を見つける話。多くの人が何かしらのコンプレックスを持っているし、何であん自分に敬意を払ってくれない人を好きになったんだろうって記憶を持っていることだろう。王道過ぎるといえばそうかもしれないが、結婚してハッピーになる王道何が悪い

マルグリット・ユルスナールハドリアヌス帝の回想」

ローマ皇帝自分の治世を振り返る体裁でありながら、欺瞞自己満足をさほど感じないのは文体のせいなのか。時代性別文化言語も超えて、別の個人に憑依しながらも、己を見失うことなく語る著者の声は、他人視点に立って(歴史小説を書くとはどういうことなのかを、これからも厳しく問い続けることだろう。

中年や老人にならないと書けない小説がある。そして何年もかけて書かれる小説があり、構想から数十年が過ぎて着手される作品もある。そうした重みを持つ文学作品がどれほどあることか。

技巧も素晴らしく、文体も素晴らしい。こうした作品に出合えるのは、年に一度か二度だ。

吉田兼好徒然草

説教臭い頑固おやじブログ基本的には仏教説話が多いが、それらに交じって挿入される、「〇〇という迷信には典拠がない」だの「〇〇という習慣は最近のもので、本来のありようや精神とはかけ離れている」だの「〇〇という言葉語源を考えれば正しくは〇〇と言うべきだ」だのが、まさにその辺のおじさんがいかにも言いそうなことで面白い

ただ、それだけじゃなくて、第三十九段の「或人、法然上人に、……」のエピソードは、「とりあえずできるところから頑張ればいいじゃん?」的な内容で励まされるし、十八段の「人は己れをつづまやかにし、……」は身軽に生きていくことの幸せさを教えてくれる。

ジュンパ・ラヒリ「その名にちなんで」

最高だった。ラヒリ大好き。体調崩すレベルで刺さった。アイデンティティの混乱という古典テーマもさることながら、ラストシーン過去と不在の人物記憶が、そして小説の全体が何気ないものによって濃密によみがえってくる様子がすばらしい。そのイメージプルースト以上に強度があるかもわからない。

これは、インテリインド系(ベンガル人移民第一第二世代の話なんだけれど、読んでいるうちに海外赴任者の寄る辺なさを思い、つまりイギリス暮らしていた自分の両親の境遇勝手連想させられ、ついつい感傷的になってしまった。随分と勝手な読み方だが、小説の読み方はいつも私的ものから構わないだろう。

外国では気候も習慣も何もかもが違う。両親の教えることと学校でやることが矛盾していて、両親が里帰りしても子供たちは故郷のノリについていけない、ってのが、すごくパーソナルなツボをついてくる。こういう経験がなくても、地方と都会として読み替えると、増田でいつも議論されている話にも近づくんじゃないかな。

H・P・ラブクラフト時間からの影」

正直なんでこの時代ラブクラフトを読むのか、というのはある。人種差別主義者だし、排外主義者だし、クトゥルフ物はパターンが決まっているコントみたいだし(人類理解できない名状しがたいものに触れて発狂するのが基本的オチ)。でも、彼の持っていた宇宙の巨大さと人類の取るに足らなさという感覚は、まさにセンス・オブ・ワンダーだ。そして、「人間感情の中で最も古くて強いのが恐怖であり、その中で最も強いのが未知のものへの恐怖である」という言葉の通り、究極的には理解できない「他者」という存在の恐怖にまっすぐに向き合おうとしたことを何よりも評価したい。

この作品が好きな理由もまた、不気味なクリーチャーが非常に知的であり、かつ知識欲が旺盛だということによっている。

U・K・ル・グインゲド戦記

一巻から三巻までは、ゲドという人物自我確立に始まり他者を助けることや世界を救う英雄行為が扱われる。しかし、実はゲド戦記は第四部からが本番なのだ。あらゆる魔法の力を失い無力な存在となった彼が、魔法のある世界いかに生きていくか。これは、老いに直面する男性物語だ。

そして第五巻! ゲドの生涯で一番の功績が、実は重大な誤り、人類傲慢に過ぎなかったのではないか、という仕事に生きてきた男性には非常に厳しい可能性が示される。

しかし、ル・グインはゲドにとてもいい歳の取らせ方をしている。果てしなく努力をすれば、男性女性を、女性男性理解できるのだと作者はどこかで述べていたが、その希望を見せてくれるし、そこに女性作家を読む喜びの一つがある。

男性気持ちがよくわからない女性にもオススメしたい。

ジュール・ルナールにんじん

いわゆる毒親について書かれた小説なんだけど、ねちねちしていなくていい。文体は軽く、描写も簡潔。だからこそ、彼の育った環境の異常さが際立ってくる。なんでこんな親子関係なっちゃったかについて掘り下げられることもほとんどない。

そして、暗鬱なだけの作品にならないのは、にんじん少年の異常なたくましさだ。ひどい目に合っても受け流し、冷淡な母から何とか愛されようともがいている。読んだときの年齢によって、感想は大きく変わるだろう。

以上。五十音順計算を間違って40冊の予定が1冊増えた。書いていて非常に楽しかった。

必読書コピペマジレスしてみる・自分オススメ41冊編(1)

日本文学編(anond:20210222080124)があまり注目されなかったけれども、記憶を頼りに続きを書く。

芥川龍之介河童

どの作品を入れるべきか迷った。古典翻案に見られる知性とユーモア晩年作品にみられる迫害的な不安、どちらの傾向を持つ作品であっても、元文学少年の心をひきつけてやまない。特に歯車」などの持つ、すべてのものが関連付けられて迫ってくる凄味は、学生時代に再読したとき、行き詰まりかけていた学生生活不安と重なり、ただただ恐ろしく、読み終わってからしばらくは寝床で横にならされた。

河童」を選んだのは中高生の頃で、河童の国を旅する要素に心を惹かれたことを思い出したからだ。それは、大学生の頃よりも不安が弱かったからなのか、この作品に潜む女性への憧れと恐れが自分に響いたのか、あるいは架空世界架空言語に魅せられたのか、その理由はわからない。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン雪の女王

アンデルセン小説を読んでいると、きっとこの人モテなかったんだろうなあ、ってのがひしひしと伝わってきて、何だったら今晩一杯つきあうよ、的な気分にさせられる。一人寂しいときへの痛みと、女性への復讐心が入り混じっていて、読んでいて心がきりきりとする。

で、この作品の中でひたすら「いいなあ」と思うのは、悪魔の鏡のかけらが心の中に入ると、どんな良いものもその欠点ばかりが大きく見えてしまうという設定だ。

ところで、ディズニー作品価値貶めるつもりはないけれど、原作とは全然違う話に似たタイトルをつけて世界中に広げるのってどうなんだろう。デンマーク人は怒らないんだろうか(「人魚姫だって原作改変をやってるし……。いや、ディズニー普通に好きなんですけど、最近こうした異文化の扱いって難しいですし……)

グレッグ・イーガン祈りの海」

「白熱光」にしようかと思ったのだが、これはエイリアンニュートンアインシュタイン物理学自力発見していく過程が延々述べられるだけの話で、燃えるけれども物理学の基礎をかじっていないとちっとも面白くないのでやめた。ついでに、彼の欠点として「科学者エンジニア最高、政治家宗教家文学者は役立たずのクズ」という態度を隠そうともしないところがある。要するに理系の俺TUEEE小説なのだ。それに、しょっちゅうヒロインから説教されるし、作者はいったいどういう恋愛経験をしてきたか非常に心配になる。

そうしたえぐみ比較的少ないのがこの短篇集で、最初に読んだ本だから愛着がある。それに、上の隠しきれない欠点にも関わらずイーガンが嫌いになれないのは、科学的な真理に向き合う姿勢と果てしのない好奇心がかっこよく、さらに己に課した厳しい倫理に身が引き締まるからだ。

カズオ・イシグロ日の名残り

友人と富士山に登るときに持っていったこともあり、これも自分にとって思い出深い小説だ。これは、大戦後の新しい時代適応できない英国執事物語である

彼の小説の語り手は基本的には何かを隠していることが多いので、いつも歯に物の挟まった言い方をする。そのうえ、誰もが自分の信念にしがみついているものから登場人物同士の会話は勝手な主張のぶつけ合いになり、実のところ会話になっていない。

カズオ・イシグロはそうした気持ちの悪さを楽しむ作家だ。そして、「日の名残り」は自分の本当の気持ちに蓋をして生きている人、やりたいことよりもやるべきことを優先してしまう人に、刺さる作品であるに違いない。

ミシェル・ウエルベック素粒子

彼の作品不快だ。主人公のボヤキは原則として次の通り。俺は非モテから思春期の頃には思いっきセックスできなかった(2023年10月3日追記。「処女と金銭のやり取りなしでイチャラブできなかった」が近いか?)。中年になって女を金で買えるようになったが、ちっとも楽しくない。子供も老人もみんな大っ嫌いだ、バーカ! これはひどい

作中に出てくる西欧文明の衰退だのなんだの宗教への逃避だの一見知的に見える議論も、すべて上記の嘆きを補強するためのダシに過ぎない。それでもなお、なぜオススメに入れたのかというと、人をエゴ抜きで愛することの難しさを逆説的に語っているからだ。そして、自分が愛されておらず、必要ともされていないと感じたとき人間がどれほど孤独とみじめさを感じるかを緻密に描いている。皮肉なことに、これは性と愛について真摯思考した書物である

ただ、どの作品も言っていることが大体同じなので何冊も読んではいない。

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人

僕がウルフのことが好きなのは、単純に文章が美しいというだけじゃなくて、迷っている人間の頭の中で浮かぶ複雑な段階が細かいところまでよく見えているからだ。例えば親しい人への憎悪が浮かび、言葉ではそれを否定して見せるが、態度にふとこぼれ出てしまう。そうした過程子供が貝殻を見つけたときのように、ひとつひとつ並べている。

そして、意識の流れとでもいうのか、ある人物意識から別の人物意識へと、外界の描写連想を経てシームレスに移行していく感じが、本当に巧みな脚本映画みたいで、やっぱり映画って文学から相当影響を受けてるんじゃないかって勘ぐったりするのだけれど、本当のところどうなのかは知らない。眠る前の自分意識もふと過去に飛び、すぐに現代に戻り、夢想し、眠りに落ちていく。

灯台へ」とどっちにするかこれも迷った。

ミヒャエル・エンデはてしない物語

さえない少年万引きした小説を読んでいると、いつしかその物語の中に取り込まれしまう。これは主人公異世界に行き、そこでなりたい自分になるが(まさに公式チートだ)、その報いとして自分自身が本当は何者であったかをどんどん忘れてしまう。何よりも面白小説なのに、その小説現実に向きあう力からではなく現実逃避の手段となることの危険性を訴えている。主人公が万能チート野郎になってになってどんどん嫌な奴になっていく様子は必見。また、後半で主人公を優しく包み込む人物が、私の与えたものは愛でなく、単に私が与えたかったものに過ぎない、という趣旨台詞を言うシーンがあり、これが作品の中で一番自分の心に残っている台詞だ。

ちなみに子どものころ映画版を見て、原作とは真逆メッセージストーリーになっているのにショックを受け、初めて原作破壊行為に対する怒りを覚えた。僕が大人商業主義を信用しなくなったのはこれ以来かもしれない。

円城塔文字渦」

基本的自分は何かを知ることが好きで、だから知識の物量で殴ってくるタイプの彼の作品も好きである。それでいてユーモアも忘れないところが憎い。フィクションとは何だろう、言葉文字物語を語るってそもそもどういうことだろう、そうしたことをちらりと考えたことがあるのなら楽しく読めるはず。「Self reference Engine」で抽象的に触れられていたアイディアが、漢字という具体的な文字によって、具体的な形を与えられている。

元々SFの人だけれども、最近日本古典にも守備範囲を広げ始めていて、SFが苦手な人も楽しいと思うし、慣れたらSFにも手を出してほしいとこっそり思っている。

遠藤周作沈黙

どうしてこれほどあなた信仰しているのに、手を差し伸べてくれないのですか。せめてささやか奇跡あなたがいらっしゃるということだけでも示してください。そういう人類が何千年、何万年も悩んできたことについて。神に関しての抽象的な疑問は、具体的な舞台設定を与えないと机上の空論になる。

以前も述べたが、ここに出てくる仲間を裏切ったりすぐに転向したりしてしまう情けないキチジローという人物がとても好きで、彼の「迫害さえなければまっとうなキリシタンとして生きられたのに」という嘆きを、情けないと切り捨てることができない。

ただただ弱くて情けない人物遠藤周作作品にはたくさん出てくる。だから好きだ。僕が文学にすがらねばならなかったのは、それなしには自分の弱さ、愚かさ、卑怯さ、臆病さ、ひがみを許せなかったからで、強く正しい主人公たちからは救われなかった。

イタロ・カルヴィーノ「冬の夜一人の旅人が」。

男性読者」という名の作中人物が本を買うが、その本には落丁があった。続きを探すために彼は同じ本を手に取った別の読者である女性読者」を探し求める。彼はいろいろな本を手に取るが、目当ての本は結局見つからない。枠物語の内部に挿入されるつながらない小説の断片は、それだけでも完成度が高く、まるで本当に落丁のある文学全集を読んでいるような楽しみがある。

世界文学パロディー化した物語のページをつないで作った「鏡の中の鏡」かと思わされたが、それ以上のものだった。語りの文と物語関係とは、新作と偽作とは、そんなテーマ物語レベルメタレベルの二つの層の間で錯綜して語られている。

ダニエルキース「アルジャーノンに花束を

知的障害者チャーリーゴードンが脳手術で天才になるが、その知性は長続きしなかったという悲劇として知られている。けれども、僕はこれをただの悲劇として読まない。障害者セックスについて正面から向き合った最も早い作品の一つだからだ。

チャーリー女性の裸を考えるだけで罪悪感からパニックになってしまう。それは母からの過度な抑圧と体罰が原因だったが、それはチャーリーの妹を彼の性的好奇心から守ろうとするが故の行動だった(チャーリーの母が、周囲からもっと支援を得られていたら、あれほどチャーリーにつらく当たらなくて済んだんではないか、とも思う)。

天才になったチャーリーは恋をし、トラウマを乗り越え、苦労の末に愛する人と結ばれ、やがて元の知的障害者に戻ってしまう。一見すると悲劇だが、彼にはセックスに対する恐怖がもはやなくなっている。彼がただの障害者に戻ってしまったという感想は、その視点が抜けているのではあるまいか

ナタリア・ギンズブルグ「モンテ・フェルモの丘の家」

素晴らしかった。中年の仲良しグループというか、ツイッターでいうクラスタの間を行き交う書簡を通して話が進む。居場所をなくすこと、愛情を失うこと、自分の子供をうまく愛せないこと。そして、友人の死。テーマは深刻だ。なのに、読後感は良い。それは視点距離を取っているからか、登場人物を公平に扱っているからか、それとも愛を失う/奪われる過程だけじゃなくて、そのあともちゃんと書いているからなのか。長い時間の中で、家族や友人が近づいたり離れたりする感じ、これこそ人生だ、みたいな気持ちになる。

アーサー・C・クラーク幼年期の終わり

子供の頃、太陽が五十億年も経てば地球を飲み込んでしまうと知って、非常に恐ろしかったのだけれど、それ以来人類運命について書かれた物語がずっと好きだ(H・G・ウェルズの「タイムマシン」も何度も読んだ)。

人類は滅んでしまうかもしれない。生き延びるかもしれない。しかし、宇宙に出て行った結果、ヒトとは似ても似つかないものになってしまうかもしれない。彼らは人類の何を受け継ぐのだろうか。そして、今しか存在しない自分は、果たしてこの宇宙意味があるのか。

人類運命が気になるのと同じくらい、僕はきっと遠くへ行きたいと思っている。だから、ヒトという形から自由になってどこまでも進化していく話に魅了され続けるのだ。


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2021-02-12

必読書コピペマジレスしてみる・海外文学編(2)

(1)はこちら。anond:20210212080317

キャロル不思議の国のアリス

好き。ただし、当時の人にしかからないパロディジョークが多く、というかこの本を通じてしか残っていないのもあるので、純粋に笑えるかどうかはわからない。とはいえ、わからないなりにナンセンスさは楽しく(「ぽっぺん先生シリーズにも引き継がれている)、トーベ・ヤンソンなどいろいろな人の挿絵も楽しめるし、こじらせ文学少年文学少女とも仲良くなれるかもしれない。大学時代読書サークルは楽しかったなあ。

ドストエフスキー悪霊

ドストエフスキー小説基本的に頭がおかしい。ドストエフスキー自身ギャンブル依存症ユダヤ人嫌いのヤバいやつだし。

登場人物基本的自己主張が激しくて感情に溺れやすく、数段落数ページにまたがって独白する。プライド無駄に高くて空想癖がひどく、思い込みが激しくて人の話を聞いちゃおらず、愛されていないのに愛を語る。そしてそんな奴らが大好きだ。

ぜひとも増田ロシア文学沼に落としたいのだが、いかんせん「悪霊」を含む五大長編から挑戦するのはハードルがあまりにも高いので、「永遠の夫」か「賭博者」か「地下室の手記」か「白夜からおすすめロシア文学はいいぞ。

ところで、高校時代の友人曰く「ドストエフスキーにはまるのは自己愛自己嫌悪の衝突を必死プライドで支える人間、言い換えるとモテない」とのこと。ひどい。

チェーホフ桜の園

こっちはスマートなほうのロシア文学一家が没落して家や土地を売らないといけないのに、家の経済状態をわかっておらず(認めず)すぐに物乞い金貨を上げちゃう現実の見えていないお母さんのキャラが強烈。ギトギト描写するドストエフスキーに対し、勘所をびしりと抑えるチェーホフ

実家のお母さんと(特にお金関係で)うまくいっていない人におすすめ

チェスタトンブラウン神父童心

未読。怪作「木曜日だった男」は読んだんだが。ミステリはあまり読んでいないのでそのうち読む。

プルースト失われた時を求めて

誰もが冒頭のマドレーヌの香りから想起されるママンとの思い出についてしか語らず、たぶんみんなちゃんと読んでないかなのだが、実は無職マザコン自分の性の目覚め(野外オナニーを含む)やソープ通いや失恋の思い出について延々と語っている話で、何度語り手に向かって「働け!」と言いたくなったことか。

しかし、実のところ登場人物の九割がLGBTという当時としては非常に先進的な小説で、さらに当時炎上していたドレフュス事件という両陣営を真っ二つに分断した冤罪事件ネタにもしているので(今でいえばMeTooやBLMに相当する)、実は差別反差別についていろいろ語っている増田たちにすごく刺さる内容だと思う。俺差別してないし~、あいつは〇〇人だけどいいやつだよ~、的な態度もぐさりとやられている。最高でしかない。

ちなみに、金に苦労しないボンボンがうだうだ恋愛で悩む小説が好きになったのはこの本のせい。「アレクサンドリア四重奏」とかね。

カフカ審判

不条理ギャグすれすれで訳もわからずひどい目に合う小説。いきなりこの小説チャレンジするのはしんどいので、まずは「変身」か岩波文庫短編集を読んで、カフカのノリが気に入ったら読むといいんじゃないかな。

読んでいるとカフカがお父さんのことめちゃくちゃ苦手だったってのがびりびり伝わってきて気の毒(カフカは線の細い文学青年、父は叩き上げビジネスマン想像できるでしょ?)。お父さんとの関係がこじれている人におすすめ

魯迅『阿Q正伝』

最高のダメ人間小説精神勝利法なることばはどこかで聞いたことがあるんじゃないだろうか。作者は当時の中国人意識の低さを批判したつもりらしいが、万人に刺さる内容。

ちなみに自分ダメ人間、情けないやつ、どうしようもないやつが大好きなので「指輪物語」のゴクリ(ゴラム)だとか、「沈黙」のキチジローだとかが大好きです。

ジョイスユリシーズ

さえないおっさんが妻の浮気を知りながら一日中ダブリンの町をウロウロするだけの寝取られ小説で(途中で女の子スカートをのぞいて野外オナニーもする)、このリストの前に出てきた「オデュッセイア」のパロディでもある。

これだけだと何が面白いのかよくわからないのだが、実は当時の反英的な機運の高まっているアイルランド空気活写している。それだけではなく小説の様々な実験手法の見本市みたいになっており、和訳もすごい。たとえばある章では英文学の様々な文体歴史順に真似て英文学の発展をパロるのだけれど、和訳ではその章は祝詞に始まって漢文になり、漱石芥川文体を経て現代小説になるという離れ業で訳している。これがもっと無茶苦茶になると「フィネガンズウェイク」になるのだけれど、すでに言語の体をなしていないのでまだ読めてない。

上記説明ドン引きしないでください。「ダブリン市民」をお勧めします。

トーマス・マン魔の山

結核療養サナトリウム小説北杜夫ファンの間で有名な「ねーんげん的」の元ネタ。あらゆる知識を山のサナトリウムで吸収した主人公運命いかに! 「ノルウェイの森」で主人公京都山中精神病院にこの本を持っていくのは村上春樹なりのジョークか。

ただし、やっぱり長いので美少年萌えな「ヴェニスに死す」か陰キャの悲哀「トニオ・クレーゲル」にまずチャレンジするのがおすすめ

はまったら「ブッデンブローク家の人々」や「ファウストゥス博士」を読もう。

ザミャーミン『われら』

洗脳エンドのディストピア小説なんだけど、増田で「一九八四年」が古いと言われてしまうんだったらこれはどうなるんだろ。読むんだったら他の「すばらしい新世界」とか「ハーモニー」とかと読み比べて、ディストピア概念現実社会の変化に合わせてどんな風に発展してきたからを考えながら読むと面白いのかも。

ムージル特性のない男』

未読。長すぎる。

セリーヌ『夜の果ての旅』

未読。

フォークナーアブサロム、アブサロム!

文学サークルの友人に勧められて読んだんだけど、とんでもない小説だった。あらすじとしては、野望に取りつかれた南部人種差別主義者自分帝国を作るために理想女性結婚するが、その女性黒人の血が混じっていたために離婚して別の女性結婚することから始まる、二つの家系因縁なのだが、時系列しっちゃかめっちゃかなのでとにかくその男の妄念とその子孫の不幸ばかりがじりじりと迫ってくる。あまりにもすごかったのでフォークナーの他の作品は読めておらず、黒人差別を扱った小説も怖くて読めていない。

ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』

未読。

サルトル嘔吐

読んだがよくわからなかった。うつ状態ときには時間の経過さえも苦痛で、それを救ってくれるのは音楽だけだ、的な話だったか。とにかく本を読み漁っていたころ、新潮文庫サルトル短篇集を意味も分からず読んでいたのを思い出す。わけもわからないままヌーベルヴァーグを観ていた頃だ。さっき出てきた高校時代の友人曰く「フランス映画のあらすじはセックスして車で逃げて殺されるだけだ」とのことだが、起承転結還元できない小説を楽しむようになったのはこの頃からだった。

ジュネ『泥棒日記

未読。

ベケットゴドーを待ちながら

短いのですぐ読める。ゴドーはいまだに再臨しないキリストアレゴリーだという説もあるが、実際のところはよくわからない。意味の分からない話だけど、僕らの人生結構意味不明だよね、みたいな感じか。

ロブ=グリエ嫉妬

未読。「消しゴム」は数年前に読んだが理解できなかった。

デュラス『モデラートカンタービレ

未読。「愛人」は読んだが記憶のかなた。まだ幼くて没落する富裕層とその爛れた愛を十分に楽しめなかった。

どうでもいいが自分が年上萌えに目覚めたのは「海辺のカフカ」のおねショタシーンです。

レム『ソラリスの陽のもとに』

レムの作品の中では一番好き。たとえ出てくる科学技術描写が古くなっても(SFだとこういうことはよくある)、理解できない対象として立ちふさがるソラリスという惑星描写は古びない。

SFは考えうるあらゆる可能性を検討し、人類の達成しうることや宇宙の中での意味について想像力の境界をどこまでも遠くまで広げていく文学だ。中には人類がろくでもない理由で滅亡してしまったり、人間など取るに足りないという悲観的なヴィジョンに至ってしまったりするものであるが、それでさえ美しい。なぜなら、想像力がヒトという種の肉体に縛られまいと羽ばたいた結果なのだから

最近SFをろくに読んでいないが、元気が出たらまた読みたいものだ。

ガルシアマルケス百年の孤独

初めて読んだラテンアメリカ文学。起こりえないことが起こり、名前がややこしいので誰が誰だかすぐに混同され、しかもそのすべてが意図的である。混乱してもとにかく読み進めてほしい。目の前で起きる不可解な出来事をまずは楽しもう。

慣れてきたら、これが不条理しか言いようのない南米歴史の縮図だとかそんなことを考えてみるのもいいかもしれない。この本のおかげでボルヘスに、バルガスリョサに、ドノソに出会うことができた。

一説によるとこの本が文庫化されるとき世界の終末が近づくという本の一つ(未確認情報)。新潮社がなぜか頑なにハードカバーしかさない。ちなみに「薔薇の名前」にもそうした風説がある。

ラシュディ『真夜中の子どもたち』

インド独立の瞬間に生まれ子供たちが全員テレパシーの使い手だった! こんな話があの岩波文庫に収録されるんだから世の中わからない。

主人公は裕福な家で育つが、じつはそれは出産時の取り違えによるものであり、誤って貧しいほうで育ってしまった子供復讐にやってくる。それも、真夜中の子どもたち全員を巻き込む恐ろしい方法で。

インドパキスタンの分裂、人口抑制政策、そういったインド歴史ちょっと頭の隅っこに入れておくと面白いが、昼ドラ的な入れ替わりの悲劇の要素のあるSFとして娯楽的に読める。権力を持った強い女性に対する嫌悪感がほんのりあるのが難点か。

ちなみに、「悪魔の詩」も読んだが、(亡くなった訳者には本当に申し訳ないが)こっちのほうが面白かった。あれは当時のイギリスポップカルチャーがわかっていないと理解が難しい。

ブレイクブレイク詩集

独自神話的なヴィジョンで有名らしいんだが、邦訳あったっけ?

ベルダーリンヘルダーリン詩集

未読。

ボードレール悪の華

卒業旅行パリに持って行った。たぶん時期的には最高だったと思う。とにかく血だとか死だとか堕落だとか退廃だとかそういうのに惹かれる人生の時期というのがあり、まさにそのときに読めたのは幸せだった。もっとも、所詮自分はそれらを安全から眺めていただけだったが。

ランボーランボー詩集

同じく卒業旅行パリに持って行った。残念ながらフランス語はわからないのだが、フランスサンドイッチは最高だった。当時はまだピュアだったのでキャバレーフレンチカンカンは見に行っていない。

エリオット荒地

未読。

マヤコフスキーマヤコフスキー詩集

未読。

ツェランツェラン詩集

未読。詩をあまり読んでいなくて申し訳ない。

バフチンドストエフスキー詩学

ドストエフスキー作品カーニバル的、つまり一斉にいろんな出来事が起きてしっちゃかめっちゃかになって、日常価値観が転倒する、みたいな内容。確かにドストエフスキー作品爆弾抱えた人間が一か所に集まってその爆弾が一斉に大爆発、的な内容が多い。

ただ、これ以上のことは覚えていない。実はあまり文芸批評は読まない。

ブランショ文学空間

未読。

以上

疲れたので続編をやるかは不明日本文学哲学思想海外文学ほど読んでないし。まとめてみて、遠ざかっていた文学に久しぶりに手を伸ばしたくなった。

皆様も良い読書ライフを。

2021-01-26

今更だけど2020年に読んだ本

1月(15冊)

池澤夏樹個人編集 世界文学全集II-11所収 ピンチョンヴァインランド

前野ウルド太郎バッタを倒しにアフリカへ」

ドナルド・キーン「百代の過客 日記に見る日本人」★★★

岡地稔「あだ名で読む中世史 ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる」☆

ドナルド・キーン「百代の過客〈続〉 日記に見る日本人」★★

町田康くっすん大黒」☆

西村淳「面白南極料理人

町田康夫婦茶碗

西村淳「面白南極料理人 笑う食卓

青山潤「アフリカにょろり旅」

石川啄木ローマ字日記

今尾恵介「ふしぎ地名巡り」★

奥野克巳「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らし人類学者が考えたこと」

ピーター・ゴドフリースミスタコの心身問題 頭足類から考える意識起源

西村淳 「面白南極料理人 名人誕生

現代語訳対照枕草子(上)」田中太郎訳注

2月10冊)

現代語訳対照枕草子(下)」田中太郎訳注

タミム・アンサーリーイスラームから見た「世界史」』★★★

ミカエル・ニエミ「世界の果てのビートルズ

アミン・マアルーフ「アラブが見た十字軍」★

池澤夏樹マシアス・ギリの失脚

テッド・チャン「息吹」★★

田尻祐一郎「江戸思想史 人物方法・連環」

ピエールバイヤール「読んでいない本について堂々と語る方法」☆

子安宣邦江戸思想史講義」☆

イリヤ・ズバルスキーサミュエルハッチンソン「レーニンミイラにした男」☆

3月12冊)

「1491―先コロンブスアメリカ大陸をめぐる新発見」★★

マイクル・フリン「異星人の郷」上巻。

マイクル・フリン「異星人の郷」下巻。

ボッカッチョデカメロン 上」(河出文庫

ヤスミナ・カドラ「昼が夜に負うもの」。★

チャールズ・C・マン『1493――世界を変えた大陸間の「交換」』★★★

ボッカッチョデカメロン 中」(河出文庫

ジョン・サザーランドヒースクリフ殺人犯か? 19世紀小説の34の謎」

甘耀明「神秘列車

ボッカッチョデカメロン 下」(河出文庫

東京創元社編集部「宙を数える」

4月12冊)

東京創元社編集部「時を歩く」

東京創元社編集部「年間日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形

葉月十夏「天象の檻

春暮康一「オーラメイカー」★★

高丘哲次「約束の果て―黒と紫の国―」

堀晃ほか「Genesis万年の午後 創元日SFアンソロジー

江戸川乱歩作品集I 人でなしの恋・孤島の鬼 他」

水見稜ほか「Genesis 白昼夢通信 (創元日SFアンソロジー 2) 」

江戸川乱歩作品集II 陰獣・黒蜥蜴 他」

今野真二「振仮名歴史」★★★

村上春樹ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集」★

サリンジャー「このサンドイッチマヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年」。

5月(13冊)

江戸川乱歩作品集III パノラマ奇談・偉大なる夢 他」

林俊雄「興亡の世界スキタイ匈奴 遊牧文明」★★★

清水勲「ビゴーが見た明治職業事情

原聖「興亡の世界ケルトの水脈」★★

夢野久作「瓶詰の地獄

大森望責任編集NOVA 2019年秋号」

パク・ミンギュ「短篇ダブル サイドA」☆

パク・ミンギュ「短篇ダブル サイドB」

チョン・ソヨン「となりのヨンヒさん」

森谷公俊「興亡の世界史 アレクサンドロス征服神話」★

三方行成「トランスヒューマン ガンマ線バースト童話集」

三方行成「流れよ我が涙、と孔明は言った」

高山羽根子オブジェクタム」

6月12冊)

宮内悠介「スペース金融道」。

草野原々「最後にして最初アイドル

石川宗生「半分世界」★

「ガラン版千一夜物語 1」★★★

「ガラン版千一夜物語 2」

「ガラン版千一夜物語 3」

「ガラン版千一夜物語 4」

「ガラン版千一夜物語 5」

「ガラン版千一夜物語 6」

オースン・スコット・カード無伴奏ソナタ

ジョン・サザーランドジェイン・エア幸せになれるか?―名作小説さらなる謎」★★

イアン・マクドナルド火星夜想曲

7月12冊)

ジョン・サザーランド現代小説38の謎 『ユリシーズからロリータ』まで」

J・P・ホーガン未来からのホットライン

ロバート・アーウィン「必携アラビアン・ナイト 物語迷宮へ」★

クリストファー・プリースト奇術師

ルーシャス・シェパード「竜のグリオールに絵を描いた男」

ウィルワイルズ時間のないホテル

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」(光文社)★★★

栗田伸子・佐藤育子「通商国家カルタゴ」★★

アーヴィングアルハンブラ物語」上巻☆

アーヴィングアルハンブラ物語」下巻

J・P・ホーガン創世記機械

J・P・ホーガン未来の二つの顔」

8月10冊)

ジュリアン・バーンズフロベールの鸚鵡」

松谷健二カルタゴ興亡史 ある国家の一生」★★★

イアン・マクドナルド黎明の王 白昼の女王

松谷健二「東ゴート興亡史 東西ローマのはざまにて」★★

ピーター・S・ビーグル「完全版 最後ユニコーン

松谷健二ヴァンダル興亡史 地中海制覇の夢」★

オルガ・トカルチュク「逃亡派」☆

ユヴァル・ノアハラリ「ホモデウス テクノロジーサピエンス未来」上巻☆

ユヴァル・ノアハラリ「ホモデウス テクノロジーサピエンス未来」下巻

シュティフター晩夏」上巻

9月(14冊)

シュティフター晩夏」下巻

岡嶋裕史「5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ」

住吉雅美「あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン」★★★

西田龍雄アジア古代文字の解読」☆

山内進『北の十字軍 「ヨーロッパ」の北方拡大』★★

マリオバルガス・ジョサ(リョサ)「嘘からたまこと」

吉岡乾「現地嫌いなフィールド言語学者かく語りき。」

原田実偽書が揺るがせた日本史」☆

ルーシャス・シェパード「タボリンの鱗 竜のグリオールシリーズ短篇集」

オルガ・トカルチュク「昼の家、夜の家」

森安孝夫「興亡の世界シルクロード唐帝国」★

後藤明「南島神話」☆

A・レシーノス原訳「マヤ神話 ポポル・ヴフ」

杉勇、屋形禎亮「エジプト神話修集成」。

10月(15冊)

八杉佳穂「マヤ文字を解く」★

トンマーゾ・ランドルフィカフカ父親

加藤文元「宇宙宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃」★★

スティーヴン・ミルハウザー「三つの小さな王国

エイミー・B・グリーンフィールド完璧な赤 「欲望の色」をめぐる帝国密偵大航海物語

リン・ディン「血液石鹸

ヴァールミーキ著、中村了昭訳「新訳 ラーマーヤナ1」

ザカリーヤー・ターミル「酸っぱいブドウ はりねずみ

ヴァールミーキ著、中村了昭訳「新訳 ラーマーヤナ2」

ダニヤール・ムイーヌッディーン「遠い部屋、遠い奇跡

ヴァールミーキ著、中村了昭訳「新訳 ラーマーヤナ3」

プラープダー・ユンパンダ」☆

ヴァールミーキ「新訳 ラーマーヤナ4」

チュット・カイ「追憶カンボジア

馬場隆弘「椿井文書 ――日本最大級の偽文書」★★★

11月(12冊)

ヴァールミーキ「新訳 ラーマーヤナ5」

タクブンジャ「ハバ犬を育てる話」☆

井伏鱒二山椒魚」(新潮文庫)★★

志賀直哉清兵衛と瓢箪網走まで」(新潮文庫)★★★

ヴァールミーキ「新訳 ラーマーヤナ6」

ホアン・ミン・トゥオン「神々の時代」★

カズオ・イシグロ充たされざる者

池上英洋・川口清香美少年美術史: 禁じられた欲望歴史

ヴァールミーキ「新訳 ラーマーヤナ7」

プラープダー・ユン地球で最後のふたり」☆

ソーヴァデーヴァ「屍鬼二十五話―インド伝奇集」☆

プラープダー・ユン「鏡の中を数える」

12月(12冊)

グレアム・グリーン第三の男

ローデンバック「死都ブリュージュ

ショレム・アレイヘム「牛乳屋テヴィエ」

池上英洋・荒井咲紀「美少女美術史 人々を惑わせる究極の美」

ヤスミナ・カドラ「カブールの燕たち」☆

ホセ・ドノソ「夜のみだらな鳥」

カズオ・イシグロわたしたちが孤児だったころ」★★

ロレンススターン紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」上巻

ロレンススターン紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」中巻

ロレンススターン紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見」下巻

ハン・ガン菜食主義者」★★★

マリオバルガスリョサ「継母礼賛」★

漫画(22冊)

入江亜季「北北西に曇と往け」(一)~(四)

浅野いにお短編集 ばけものれっちゃんきのこたけのこ

八木ナガハル物質たちの夢」

詩野うら「有害無罪玩具」★★

詩野うら「偽史山人伝」

道満晴明ニッケルデオン」【赤】【緑】【青】

中村明日美子「Aの劇場 新装版」★★★

panpanyaおむすびの転がる町」

中村明日美子「Bの劇場 新装版」

石黒正数「Present for me」

水上悟司「放浪世界

須藤佑実ミッドナイトブルー」☆

澤江ポンプ「近所の最果て」

道満晴明メランコリア上下巻★

カシワイ「光と窓」

ヨシジマシウ「毒百合乙女童話

総評

月ごとに一番面白かった本を3冊選び、★をつけた。ただし、どうしても入れたかったものは☆をつけた。月ごとの順位なので、たとえばパク・ミンギュにはもっと星をつけたいのだがそれが反映されていない。

数えてみたが、2020年に読んだのは活字149冊、漫画22冊だった。毎月12から13冊読んでいると思っていたので、単純計算で150冊を超えると思ったが、ぎりぎり足りなかった。とはいえ、毎月10冊という目標は達成している。

1年を通して見ると、ノンフィクションばかり読む時期や、SFばかり読む時期などが明確に交代していることがわかる。特に4月から6月SFファンタジーほとんどだったが、8月以降SFを全くと言っていいほど読んでいないし、逆に11月、12月は1冊をのぞいてノンフィクションがない。

また、芥川賞をはじめとした日本現代文学ほとんど手に取っていない。ベストセラーエンタメホラーもない。逆に、韓国タイペルーチリなど、日米欧以外の海外文学割合が高い。

意識してきたわけではないが、自分の好むジャンル科学歴史ノンフィクション神話、行ったことのないラテンアメリカアジア文学メタフィクション的であったり奇妙な味がしたりする短篇集、古典であるようだ。一方で、女性作家割合は低く、特に日本現代女性作家ほとんど手に取ってない。一時期は多和田葉子だとか江國香織とかをよく読んでいたので女性作家が嫌いなわけではなく、ヴァージニア・ウルフも好きだし、ハン・ガン自分の中では大当たりだったので、もう少し割合を増やしてもいいかもしれない(追記。身につまされる話よりも読んでいて気持ちのいい本を読む率も増えた)。

割合の話でいえば、大学時代はもう少し文豪作品を多く読んでいたように記憶している。それと、いくつから例外を除き、世間の動きや話題とは遊離したチョイスばかりである。世の中から目を背けているわけではないが、日々の雑事とはまた違う視点に立てたのはありがたかった。新型コロナウイルス関連の記事ばかり読んでいては気がめいってしまう。

今年は少し冊数が少なくなるかもしれないが、引き続き毎日の気晴らしとして、気が向いたものを好きなように読んでいきたい。

以上。

2020-11-30

現実逃避によって命を救う

昨日の深夜にリストのみ投下したが、再掲する。人間は深く先のことを考えすぎたり、コミュニケーションの中で他者にどう思われているかを考えすぎたりすると神経衰弱気味になることがある。現に自分大学の頃そうなったし、サラリーマンになった今でもよく破滅的な思考になることがある。特に夜。自殺を試みたことも2回ほどある。しかし、そういう時は一旦現実から離れ、距離を置くことで新しく見えてくるものもあるし、希死念慮も軽くなることがある。そのため、世の中の自殺志願者に向けて、手軽にできる現実逃避方法をここに記しておくことにする。

wikipediaサーフィン

ベタだけどけっこういい。個人的おすすめ記事の例は以下(教養のなさがバレたらごめんなさい)。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/なぜ何もないのではなく、何かがあるのか

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/技術的特異点

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/事象の地平面

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/哲学的ゾンビ

・寝る

夢という名の究極の現実逃避

散歩

ややパンチは弱いが、いい場所があるならまあまあ効く。ただ疲れるので元気のない時はあんまり

外食

自炊できるならそれも一緒だが。三大欲求を満たすのは大切。

読書

おもしろ小説とかがあればいいけど、そうじゃないなら読む気にならないことも多いが…青空文庫アプリを入れてランダムに読むのも割とおすすめ

音楽聴く

聴覚ごまかせるが、視覚が暇になってしまうという難点がある。youtubeはその点一石二鳥

風呂に入る

これもかなり効く。タブレットスマホを持ってネットサーフィンと組み合わせればより効く。ただ、のぼせるから注意。

適当な知人にメッセージを送るか直接会話する

他人を使うという点でハードルは上がるが、しゃべるとストレスが圧倒的に軽減されるのを感じるだろう。

日記を書く

書くまでにめんどくさい病を克服しないといけないけど、書き始めると過去の分まで補充して行きたくなる不思議

・部屋の掃除

掃除作業自体もいいし、部屋が片付けばそれによって気持ちがすっきりするから一石二鳥である

・服の洗濯

洗濯して干すまではいいけど、たたむのは実際面倒という難点はある。そしてたたまなければ部屋が汚くなるという諸刃の剣でもある。

Netflixアマプラ映画ドラマを見る

視聴環境によるが、かなりの長時間を稼ぐことができる。

音楽ダウンロードする

そもそも興味のある音楽が一切ない場合は無理なので、ラジオとかネットとかで気になった曲を頭のなかでリストアップされている時にほぼ限定される。

映画館に行ってひとり鑑賞

これはかなりいい。ただ唯一の難点は、時間が合わないと1時間とか2時間とかつぶさなければいけないこと。その間にやることがなくなってしまい、散歩という体力を消耗する手段に出てしま場合も多い。

・一人になれる場所

ただし、人があふれている東京ではなかなか難しい。都会だとマンション建設予定地などが意外とよかったりする。

はてな匿名ダイアリーに思いの丈を投稿する

webサイト民度が低く、実際上はなんの役にも立たないが、馬鹿がたくさんいることを確認して人類の中での自分立ち位置が意外に上位であることを知れる点でメリットはある。

青春18きっぷで旅に出る

番外編みたいなもん。時期も限定されるし金もかかる。

バイク屋さんに行ってバイクを眺める

男なら意外にも割と誰でも興味持てると思う。店員も、意外と無駄に話しかけてこないので快適。

kindle適当な本を買って読む

寝転がって読めたら最高なんだが、手がつかれるし首も疲れるのが難点。ハードルを感じる時は短編集がおすすめ村上春樹短篇集は引き込まれるような奇妙な魅力があるので一度試してもらいたい。

・歯を磨く

すっきり!これが意外にいい。

過去の思い出にひたる

日記とか写真とか昔の記録とか何か書いたりしたものとか材料があれば、それを見てのんびりする。夢日記をつけていれば、それを読むのもあり。

勉強

鬱屈した気持ち昇華

底辺を自慢するスレのまとまったまとめサイトを見る

下には下がいることを確認して安心できる。

映画予告編youtubeで見まくる

ザ・現実逃避。最近映画ストーリーを丸々10分程度にした動画も大量に出回っているので、それを見るのもアリ。また、「movie clip」で検索すると、過去の名作映画の名場面ばかりがたくさん見つかるのでこれもおすすめ(ただし日本語字幕基本的にない)。

ベリーダンスマーニャふんどし

ベリーダンスとの出会い

幼いころに観た、「ドラえもん のび太ドラビアンナイト」には、ぜんまい仕掛けの舞姫が出てくる。しかし、まだ自分はそれに欲情することはなかった。パンツエッチもの認識はあったのに、しずちゃんのへそ出し衣装にも、それどころかオアシスでの全裸水浴にも何の感慨も抱かなかったのである

もう少し大きくなってからとある学習漫画で見たベリーダンスには、なぜかエッチ気持ちになった。確か、アラビアと聞いて半裸の女性が踊っている不埒妄想をしているシーンだったような気がする。性の目覚めとは不思議もので、その時に出会ったものタイミングによって、その後の性癖に多大な影響を与えてしまうし、パンツの向こうにある女性器に興味が出てきたのは、中学生以降になってからだった。

文学ベリーダンス出会ったのはオルハン・パムク2006年ノーベル文学賞作家を読んでいた時だ。結婚式などの場にベリーダンサーを呼ぶべきかどうかについて議論している個所が作中に出てきた。どうやら、ベリーダンスの持っているイメージ社会的意味が、ヨーロッパとはかなり違うのではないかと気づいたのはこの時である

イスラーム圏におけるベリーダンス

今回はかなり日英のウィキペディア記事が充実しているので、そこから抜粋しよう。

そもそもベリーダンスには二種類の社会的コンテクストがある。一つはRaqs BaladiまたはRaqs Shaabiと呼ばれる社交ダンスで、別に露出度の高くない通常のファッションで行われる。保守的地域では男女別に踊るものとされている。もう一つがパフォーマンスとしてのダンサーだが、社会的地位はまだ高くない。想像する通り、イスラームでは禁忌とされる肌の露出を行うからである

衣装はbedlahと呼ばれ、典型的なのはぴったりしたブラトップ、臀部のベルト、そしてロングスカートハーレムパンツの組み合わせでできている。ブラとベルトはビーズスパンコールクリスタルコインビーズ刺繍で飾られている。ベルトはスカートと一体のこともあれば、別々のこともある。

起源

ベリーダンス起源は諸説存在するが、地中海世界中東アフリカ関係があるという証拠が最も多く挙げられている。たとえば、紀元前5世紀のものといわれるエジプトの墓の壁画には、半裸のダンサー達が描かれており、その姿はベリーダンサーが鏡の前で行う柔軟体操姿勢に似ている。ウィキペディアにはこんなことが描かれているが、画像がないのがもどかしい紀元前14世紀のネブアメンの墓には、少女が帯だけを身に着けて裸で踊る姿が描写されているが、紀元前5世紀とは年代が合わない。紀元前13世紀のもので、トップレスのダンサーの姿を描いた陶片も出土している。

健全精神がどうたらという言葉で有名なユウェナリスや、風刺詩人のマルティアリスは、現在スペイン小アジア地方で波打つ動きやカスタネット、太ももを震わせて床に沈み込む所作のある踊りを記録している。

そして、12世紀から13世紀にかけてのペルシアの細密画の中においてもベリーダンス描写が見られ、その歴史の長さを伺わせる、とあるが、これもウィキペディアリンクを貼っていない。やれやれ

ちなみに、アンダルシア地方ロマ人の踊りと融合してできたのがフラメンコだという説がある。

エジプト

エジプトベリーダンス西洋人最初に見た様式とされる。ナポレオンエジプトに侵攻した際、ナポレオン軍は芸人音楽家としてられるガワーズィー族と遭遇した。フランス人たちは重たげな宝石髪型に飾り立てられた踊りに徐々に引き付けられた、という。

現在エジプトベリーダンスの多くはカイロで行われ、その起源ナイトクラブにある。多くのダンサーエジプト映画に出演し、エジプト様式ダンスの発展に寄与した。

プロダンスエジプト人に限られていないが、2004年当局外国人ダンサーパフォーマンをすることを禁止した。現在は解除されてはいるが、排他的雰囲気は残っているようだ。

エジプトでは、ダンサーはbedlahを着用している。また、メッシュで覆われた切り込みの入ったドレスを着ることもある。エジプトには、ダンサーが着用できるものとできないものに関する法律があり、文学作品検閲に関する法律第430号によると、ダンサー乳房や腹部を含む下半身を覆わなければならない。事実衣装については「Raqs sharqi」の項にも詳しいが、1950年代以降、エジプトではベリーダンサーが腹部を露出して公の場でパフォーマンスをすることは違法とされ、ワンピースガウンを着用することが一般的になってきている。

と、書かれているそうだが、一般的には、肌色の薄手のメッシュ生地で腹部を覆うだけで十分である、という記載もある。カイロの多くのダンサーはこの規則無視しているが、この規則はそこまで厳密に施行されておらず、腹を出してパフォーマンスをした場合は単に罰金を科されるだけであるしかし、外国人ベリーダンサー衣装を着て逮捕されるという事件が何度も起きているとのこと。

ブラとスカートを別々に着用する場合は、ベルトはほとんど使用されず、タイトでなめらかなlycra(?)のスカートに直接刺繍が施されている。腹をカバーするために、薄手のストッキングを着用しなければならない。

エジプトダンサー伝統的に素足で踊るが、最近では靴を履いてハイヒールを履くことも多い。また、抑制のきいた正確な動きでも知られている。

トルコ

子孫繁栄を祈る踊りでもあるため、中東各国では結婚式に欠かせないそうだ。なるほどパムクの小説に出てきたのもこれで説明がつく。

トルコベリーダンス衣装は肌を露わにしたものであり、ダンサーたちは腰より高い位置で留められたベルトに脚を完全に露出させるようなスリットの入ったスカートをしばしば身にまとっていた。

多くのトルコ衣装の特徴的な特徴は、V字型または三角形ベルトが含まれており、上端の周りに形を整えたり、輪郭を描いたりすることができる。また、ブラジャーベルトの両方に多くの装飾やビーズフリンジが含まれる。スカートは、しばしばエジプト対応するものよりも充実しており、lycraよりもむしろシフォンベルベットで作られている可能性が高い。

1980年代から90年代にかけては、両足をヒップまで露出させたスカートや、広く開けたブラジャーやはなはだしくはスパンコールのみなど、非常に露出度の高い衣装採用された。何があったのだろう?

今日ダンサーエジプトスタイルを想わせる、淑やかなマーメイドスタイルスカートを穿いている。ダンサーたちはハイヒールプラットフォームシューズ(厚底靴)を履く事でさらに、ターキッシュスタイルである事を強調する。ト

トルコベリーダンスオスマン帝国スルタン宮殿にあるハレムに深いルーツを持ってはいた。しかし、今日トルコベリーダンスは、エジプトシリアレバノンと言った姉妹様式よりも、ロマ民族やローマ人様式により強く影響を受けている。現に、現在トルコダンサーの多くは、ロマ民族にルーツを持つ。トルコ法律は、エジプトのようにダンサーの踊りの様式衣装制限を課さなかった。

レバノン

エジプトトルコ様式中間であると言われる。レバノンダンスは、古典的オリエンタルダンスベースにしながらも、現代的でもある。大きなステップ体幹の後方への傾き、ヒップローテーションのねじれ、大きくて忙しい腕、そして多くのシミー(体自体は動かさず、肩のみを前後に動かす所作)がある。

衣装については、腹部を見せることを禁じる規定存在しないため、bedlahスタイル一般的であるスカートエジプトのものよりも透けている傾向にあり、ダンサー身体がよく見える。ヴェールエジプトと比べて広く用いられ、ハイヒール一般的レバノンダンサーエジプトよりも衣装自由享受している。

イラン

アラビア様式によく似ており、イランではベリーダンスのことをアラブダンスと呼ぶ。

tribal style

その他の伝統的な様式がある。興味深いのは、民族的スタイルのブラに着けられたコイン中近東のものとは限らず、日本や中後のものらしいものが含まれることだ。参考、ブラトップ。乾隆通宝とあるので、18世紀のものだ。当時からそこまで交易網が広がっていたことがありありと浮かぶインド洋交易歴史もっと古いが)。

欧米におけるベリーダンス

ベリーダンスという名称も、https://en.wikipedia.org/wiki/Belly_dance#/media/File:Jean-L%C3%A9on_G%C3%A9r%C3%B4me_011.jpg:title-ジャン=レオンジェロームの絵画]の俗称に由来しているという説がある。この絵画では腹部どころか乳房をあらわにして兵士たちの前で踊っているが、この画家空想を織り込むことで有名だ。たとえば別の有名な蛇使いの絵画]

の後ろにある青い壁と床の組み合わせも、確かどっかの宮殿モスク適当に組み合わせたもので、正確さに欠けている。異国情緒あふれていて魅力的だが、今ではたぶん許されない表現だろう。実際、ベリーダンスからイメージされるものは、元来その地域のものであったものとは異なる。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a9/Jean-L%C3%A9on_G%C3%A9r%C3%B4me_-_Le_charmeur_de_serpents.jpg

普通ベリーダンス衣装としてまず想起されるものは、1930年代エジプトダンサーたちが身にまとい、他の地域へと知れ渡った衣装で、たいていビーズコインがブラの周辺に飾られたブラジャー風のトップスで、腰のベルトにもビーズコインが飾り付けられている。下半身ハーレムパンツストレートタイプスカートサーキュラー・スカートパネル飾りがあしらわれたスカートである

20世紀バーレスク映画産業がこうした幻想を広めたのだが、当のエジプトダンサーたちもまたまたビーズで全面を飾り立てた衣装を身に纏うようになった。映画でも、セクシーな悪役のイメージとも結びつき、胡散臭いものとして見られることも増えてしまった。このイメージ払拭には時間がかかった。

今でもカイロにあるナイトクラブオーナー、バディア・マサブニは西洋人旅行者の期待に添うために露出度の高いドレス採用している。身体輪郭を覆い隠し、ダンスのたびに強調されるのはスカーフやお尻に巻かれたベルトくらいであエジプト民族衣装とは異なるのである

日本ゲーム漫画アニメベリーダンス

マーニャ

https://dic.pixiv.net/a/%E8%B8%8A%E3%82%8A%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%9C%8D]

踊り子と聞けば川端康成ではなくこっちを思い出してしまう人は多いだろう。

たぶん、日本ゲームベリーダンス的な幻想を多くの青少年に植え付けたもっとも古いものの例だ。今に至るまで踊り子といえばへそ出しであり、無数の同人誌で多くの人を悶絶させたはずである。ただ、中東ベリーダンス伝統的にはここまで脚を出さない。

ファンタジーの謎の前垂れの起源もこれだろうか?

マギ

【マギ】モルジアナさんの踊り【ぬるぬるな高画質】 - ニコニコ動画

現代漫画オリエント幻想を一番前に出しているのはこの作品だと聞いたのでリンクを張る。読書の傍ら、漫画も読もう読もうと思って全然読めていないのが悔しい。短篇ばっかり読んでいる。

ただし、書かれているのが謝肉祭とのことであり、結婚式の場ではないようだし、伝統的な衣装とは幾分異なる。

翠星のガルガンティア

https://www.nicovideo.jp/watch/sm21377022]

英語版ウィキペディアアニメの中のベリーダンスとして紹介されたのがこの作品だ。鳴子ハナハル作品については、エロ漫画ソムリエの友人から薦められて楽しく読んだ。大体、彼が進めてくれるのはストーリー重視で性欲があまり刺激されないものが多いのだが、それはさておいて、上の動画深夜アニメなだけのことはある。

しかし、衣装や腰の動きは半ばリオのカーニバルじゃなかろうか。未来舞台から文化が混交しているのかもしれないが。

イスラームと親密さ、異性に見せてもいい場所

Intimate parts in Islam - Wikipedia

で、実際イスラームにおけるへそ出しファッションってどのくらいのタブーに当たるのか?

上記記事によれば、身体のどの部分を覆うべきかについては大きな差があるようだ。主要な見方をまとめると次のようになる。

とはいえトルコのようにかなり世俗化しているところもあるし、特に教徒に対して顔を隠すべきかはかなり差があるようだ。

長くなったが、結論

実際のところ、イスラーム圏でへそ出しダンスって普及しているの? と思っていたので、意外と広まっていたのには驚いた。しかし、あれだけ広い地域に広がっている宗教なのだから戒律をどのくらい守っているかには地域差があって当然だし、都市農村では法の運用方法にも差があってもさほど驚くべきではないだろう。悪名高い女子割礼や名誉の殺人にしたところで、イスラーム本来の教えというよりはその土地部族の慣習が強化された面もあるようだ。海外に行くと善意から両手を合わせた挨拶をしてくれることがあるが、タイ人日本人を混同するような誤解を、きっと僕らもしていることだろう。

2020-09-17

婚活帰りにBL漫画を買う

日曜日婚活パーティーに行ったのだけれども、残念ながらマッチングしなかった。仕方がないことだけれども、こちらが気になった人に選んでもらえなかったのはちょっと寂しい。そういうわけで、繁華街ツタヤ漫画でも買って帰るつもりで足を運んだ。

本当だったら地元有隣堂で買うつもりだったのだけれど、持っていた歴史の本は読み終えてしまっていて、帰りの電車で手持ち無沙汰になるのが嫌だった。ついでに、部屋を掃除して見つけたクオカードを使いたかった。残念ながら、ツタヤではクオカードが使えなかったけれども。

買ったのは中村明日美子短編集で、2冊買ったから、日曜日の帰りの電車と、昨晩の仕事帰りに分けて読んだ。この人はまず絵がきれいから額縁に入れて飾っておきたいし、BLGLも、感情がこじれてもお互いが本当に好き合っているのが感じられて素敵で、シリアスコメディもうまくて、芸風が広い。何度読んでも飽きないし、いつの間にか全部のコマを覚えてしまうくらい読んでしまう。私の漫画の読むときはこんな風に短篇集を何度も読み返すことが多くて、本棚漫画の数はそれほど多くはない。そもそも私の主食活字で、漫画はおいしい食後のデザートみたいだ。なぜかあまりたくさんは読めなくて、お腹いっぱいになってしまう。

で、中村明日美子作品を読んでいると、好き、以外の感情がなくなってしまう。わかりやすい話のときも、平凡さを感じさせないのはなぜだろう。起承転結テンポの良さ、箸休めギャグのせい? 絵が美麗だからそこに入り込んでしまっているから? 言葉にすると、なんだか普通のことでしかないようだけれど、普通のことを当たり前にやるのは創作では難しい、と元文学サークル所属の私は思う。

童話翻案も素敵だ。あまり上手じゃない人が童話翻案すると、全部似たような話になってしまうのに、中村明日美子はそんなことが全然なくて、切り口が私にはとても思いつけない。昔、兼部していた合唱サークルで、結局そことは喧嘩別れをしてしまったのだけれどもそれはさておいて、合宿で学年ごとに寸劇を出し物としてやることになった。でも、どの学年も童話パロディで、凡庸だな、ってがっかりした(この感想にはきっと恨み言が混じっているから話半分に聞いて欲しい)。でも、この人の作品には全然そんなところはない。

読み通すと、美術館でだらだら、ぼんやりしたような幸せな気分になれるので、とにかくおすすめしたい。六本木でやっていたミュシャ展がすごくよかったときも、この間の浮世絵展も、こんな感じだった。だから、最高の帰りの電車だった。

ところで、結局使えなかったクオカード、何に使おう? また婚活頑張ったらご褒美にしようかな。

2019-09-12

言語とは陸軍海軍を備えた方言である

 そんな格言があるそうだが、まさにその通りだ。言語方言を隔てているのは何かと問われれば、国家によってそれに公的地位が与えられているかどうかだけで、本質的な違いはない。現に、気仙方言翻訳した福音書ケセン語聖書として発表し、時の教皇ヨハネ・パウロ二世から祝福を受けた例もある。

 そこで気になるのが、出版との兼ね合いだ。よく、海外文学ミステリを手に取ると巻末に「翻訳独占権取得」がどうこうと書いてあるのだが、たとえば「オリエント急行殺人事件」か何かをケセン語翻訳することはできるのだろうか。つまり出版から私たち翻訳独占権があります」と訴えられたとしても、「これは日本語ではありません。ケセン語です」と言って反論することは可能なのか。

 どう考えても東北方言だって立派な日本語だろう。しかし、「今日は海さ釣りっこしさ行ぐべし!」ならまだしも、「おぼっこさおづっこあげろでば」「あぞごにあったちかいぼっこしてしまったのっさ」という文字列を見て、東京弁話者理解できるだろうか。東北方言話者をおとしめるつもりはまったくない。ただ、神奈川県で育った私に取っては、仮名交じり文でようやく何を言っているのか推測できるのが実情だ。ましてや、母音発音が大きく異なる地域場合、口頭でのコミュニケーションはそれなりに困難になるだろう。現実的ケセン語版が出るかどうかは疑わしいが、出版されたとしても、独占権を持っていた側は、現実的にはそれほど懐は痛まない気がする。

 さて、こうしてケセン語が立派な言語とされ、ケセン語で「オリエント急行殺人事件」が出版されたとしよう。そうすると、今度は関西弁出版したらどうか、などという話になるかもしれない。関西弁は立派な独立した言語だろうか。大阪府人口八百万を超え、ブルガリアを超える。というか、近畿全体を含めるなら、チェコ語話者の一千万に及ぶだろう。ちょっとした規模の言語だ。いや、もっと深刻な問題がある。もしも、ウチナーグチ日本語とは別の言語として認め、翻訳出版されることになれば、自治独立問題を含めた政治的問題にまで発展するだろう。私たちは別の言葉を話す、別の民族である、と。

 もっとも、私が言いたかったのは、「おらおらでひとりいぐも」や「面影と連れて」みたいな方言文学自分日本語境界がぐらぐらするような小説が読みたいな、みたいなことなのだ。特に後者は、池澤夏樹世界文学全集短篇コレクションで読んだのだけれど、東京方言とはまったく異なる語りを、感じ仮名交じり文にすることで、沖縄言葉が全く分からない私にも理解できるようにするテクニックがすごかった。

 そう言えば、円城塔が「プロローグ」か何かで、「古語とは外国語日本語の間をふわふわ漂っているような印象だ」という趣旨のことを述べていた気がするが、僕にとって方言とは、そんな魅力を持つ存在だ。

 記事中の方言wikipediaケセン語」より引用した。

2019-09-10

[]文学賞メモ

 私用メモ

文学賞締切400字詰め原稿用紙賞金応募総数発表
創元SF短編賞1月10日前後40字×40行換算で10~25枚(原稿用紙ではない)規定印税500編前後4月下旬
文藝賞3月31日100枚以上400枚以内50万円1800編前後雑誌文藝2020年冬季
すばる文学賞3月31日100枚程度から300枚まで100万円1400編前後すばる11月
新潮新人賞3月31日250枚以内(短篇可)50万円2100編前後新潮11月
ハヤカワSFコンテスト3月31日100~800枚程度100万円400編~500編SFマガジン」(10月号?)
日本ファンタジーノベル大賞6月30日300枚以上500枚以下300万円700編前後小説新潮2019年12月
文學界新人賞9月30日70枚以上150枚以下50万円2700編以上文學界5月
星新一賞9月30日10,000文字以内100万円1500編前後日本経済新聞紙面、公式サイト3月上旬以降
群像新人文学賞10月31日70枚以上250枚以内50万円2000編前後群像6月
太宰治賞12月1050枚から300枚100万円1200編前後5月PR誌「ちくま」と筑摩書房ホームページ

 オンラインで応募できるところは着々と増えているようだ。

 応募総数は直近数年の平均や、データが明らかになっている最後の値をどんぶり勘定したもの。正確ではない。

追記原稿用紙は400詰めがほとんど。時折、何文字×何文字印刷した際に何文字、という指定があることがある。ラノベに多い印象。また、この表を利用したことによる一切の損害については責任を負いかねる。

2019-09-02

[]2019年8月はてブあとで読むトップ30リスト

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2019-05-23

anond:20190523161137

1989年少女小説『星からきたボーイフレンド』(津原やすみ名義)でデビュー。また3年間、代々木アニメーション学院にて特別講師を務めた。

1996年、『ささやきは魔法』を最後少女小説から引退し、翌年、津原泰水名義での長編『妖都』を上梓

1997年津原やすみ名義の作品北京語版・朝鮮語版で発売される。著者名は「津原靖美」と表記されている場合がある。

2003年、『少年トレチア』で第56回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門候補

2006年高校時代吹奏楽部での体験をもとにした『ブラバン』を発表。ベストセラーとなる。

2010年尾崎翠原案の『瑠璃玉の耳輪』を上梓。翌年には尾崎翠フォーラムにて講演を行う。(講演録は文庫版に収録。)『バレエメカニック』で第41回星雲賞日本長編部門候補

2011年、「五色の舟」「テルミン嬢」(『11 eleven』所収)ともに、第42回星雲賞日本短篇部門候補。『ブラバン』で第1回広島本大賞候補

2012年、『11 eleven』で第2回Twitter文学賞国内部門1位。

2014年近藤ようこにより漫画化された『五色の舟』で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞。

2016年、『ヒッキーヒッキーシェイク』でSUGOI JAPAN AWARD 2017 エンタメ部門候補、第33織田作之助賞最終候補

これで無名だったら95%以上の作家無名だよ

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