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はてなキーワード: アルジャーノンに花束をとは

2023-02-09

ドン・キホーテダニエル・キイスアルジャーノンに花束を」を混ぜた話

主人公名前は「ジョシュア」。彼は非常に普通男子高校生で、音楽に熱心だった。ある日、彼は不思議な力を持った花束を手に入れ、異世界へと飛ばされる。

ジョシュア異世界「アルジャーノン」にいることに驚く。彼はここで「魔法使い」と呼ばれる存在たちと出会い、彼らと一緒に旅をすることになる。彼らは世界を守るために戦っていた。ジョシュアは彼らと共に「魔法使い」になろうと決意する。

彼はトレーニングを積み、「魔法使い」としてのスキルを向上させていく。また、彼は「魔法使い」たちに敵を倒すための「クエスト」に挑戦することになる。彼は困難に直面し、自分正義を貫くことが大切だと気付く。

ジョシュアは、異世界で新たな仲間たちと出会い、彼らと一緒に戦いながら、音楽技術も向上させていく。彼は「魔法使い」としての能力を使いながら、音楽を通じて人々を癒すこともできるようになった。

ジョシュアさらに大きな謎に直面する。彼は自分異世界にいる理由を知り、真実を知るための旅に出ることになる。そして、彼は「ドン・キホーテ」のような強力な敵と戦いながら、「アルジャーノン」を救うために奮闘することになる。

2022-10-24

バイト日記

 人の流れがビフォーコロナっぽくなってきた。どこへ行ってもめちゃ混みだが、そうなると逆にコンビニは暇になる。だから今日は暇かなーと思ったらそんなことはなかった。20時になる少し前に近所のスポーツ実業団が来店したのだ。

 そのちょっとから若干混んでいたのだが、実業団スポーツマンがわらわらとしていると、一般お客様達は恐れをなして逃げるように店を出ていった。残った一般お客様唖然としているか、店の外へ出てガラス越しに店内を見物していた。

 実業団の人たちは三人グループに別れて籠をひとつずつ取ると、それぞれ10分くらいかけて店内をまわり商品を籠に入れていった。そして、あらかじめ制限時間を決めてあったようで一斉に二台のレジのうちの奥の方(私の担当レジ)に一列に並んだ。

 三人組でレジに来ると一人は離脱。残った二人のうちの一人が

「袋は二枚 、お箸は五つ、おしぼりも五つ。次もまだあります

 と言う。私が商品バーコードスキャンしている間に二人はレジ袋を開いてスキャンし終わった商品を「これは誰々の、こっちは誰某の」と選別しながら袋詰めしていく。スキャンが終わると二人組はさっと袋を持って「あざましたー」と退店。

 すると次に並んでいた三人組が前に進み出て来て一人が離脱。残った二人のうちの一人が

「袋は二枚 、お箸は五つ、おしぼりも五つ。次もまだあります

 と言う。私が商品バーコードスキャンしている間に二人はレジ袋を開いてスキャンし終わった商品を「これは誰々の、こっちは誰某の」と選別しながら袋詰めしていく。スキャンが終わると二人組はさっと袋を持って「あざましたー」と退店。

 それが数回繰り返されたが、最後の一つ前のグループだけは慌てて去って行ったのでお箸おしぼりを忘れていった。

 最後スポーツ実業団会計係が一人で、

「袋は二枚、お箸は三つ、おしぼりも三つ。あとスプーンもください。お会計クレカで」

 と言って、私が商品バーコードスキャンしたそばから商品を袋詰めしていき、クレカで総額3万円もの代金を支払った。すご~く長いレシートが出た。

 スポーツ実業団を乗せたバスが去ると、ずっともう一つのレジで手持無沙汰にしていたAさんが、

「かなりのお客さん達が、実業団の連中にビビってなにも買わずに帰りましたよ」

 と言った。

 実業団お客様達にレジを一台塞がれてしまったためにもう一台のレジ担当を外れられなくなってしまったAさん、やっと休憩に。私はその間一人で店番。20時を過ぎてから一人の時は、大抵私がコンビニ仕事の中で最も嫌いな作業をしなければならない。その作業とは、朝刊の返品作業だ。

 なぜ嫌いなのかというと、全部の朝刊の1面を一度に見ると、今にも世界が終了するんじゃないかという気がしてくるから特に去年の11月くらいから深刻に酷いんだよ……世界が……。ちょっと疲れてきた時にこれをやるとズドンテンションが落ちる。

 はぁ……。

 と一人でため息を吐いていた所へ、常連酔っぱらいのお爺さんなお客様が娘さんを連れて本日二度目のご来店。完全に出来上がっていらっしゃって、最近の当店の従業員は愛想がないとか、当店のオーナーはそれに輪をかけて愛想がなく接客業大失格だと私にやいやい言って来た。しかも娘さんが、

「そうね、接客業たるものね、」

 と合いの手を入れるものから酔っぱらいのお爺さんなお客様は益々調子が上がってくる。

 ところが私がすいませんすいませんと謝り倒していたら、酔っぱらいのお爺さんなお客様は急に、

「んなことでおめえさんが謝るこたぁねえんだよ。さて、辛気くさくなってきたから帰ぇるか。じゃあの!」

 と言って帰っていった。

 Aさんが、最近大勢お客様から最近店の雰囲気が悪くなった」「店員の愛想が悪くなった」と苦言を呈されると言った。私もよく言われる。気さくで若くて可愛いDさんと女子フリーターアルバイトさんが相次いで辞めたりくびになったりしてしまたからだ。

 でも、二年前にDさんと女子フリーターアルバイトさんが夕勤に入りだすまでは、当店は愛想の良い店員が私しかいないという状態が常だったので、元の木阿弥に戻ったというか、現状が当店の夕方の真の姿だといえると思う。お客様簡単に異常にクオリティの高い夕方に馴染んでしまったみたいだけど。

 最近の当店の夕勤は人手不足まれりって感じで、毎日コンビニ専門派遣アルバイト人達が必ず一人はシフトに入っているのだが、それがどいつもこいつも死ぬほど愛想が悪い。大抵の派遣アルバイト人達仕事ちゃんと出来るのだけど、揃いも揃って物凄く態度にやる気の欠片もないのだ。ちょっと話してみると、やるきなくダルそうなのは見た目だけだってわかるのだが、お客様からは見た目しか見えない訳で。

 最近の夕勤は愛想がないと言われてもどうしようもない。オーナーがいうにはバイト求人を出しても誰も電話すらかけてこないのだというし。すっかり人手不足極まっている。だから、愛想が悪かろうがなんだろうが派遣バイトに来てもらうしかないのだ。

 僅かな暇な時間に、AさんとアニメSPY×FAMILY』の話をした。当店でも売られている何かのアイスがこれとコラボっているかである。Aさんは『SPY×FAMILY』はひたすら優しい幸せ世界から好きなのだそうが、私はまだ1期の3話目くらいまでしか観ていない。うちの子供達もこのアニメをかなり気に入っていて、もう既に2期の最新話まで観ている。

「ねえ、Aさん。子供達が、『犬! 犬が出たよ!』って言うんですけど何なんですか、その犬って」

「あー、それは超能力を持った犬の事ですね。その犬は未来を見ることの出来る能力者でして、アーニャはその犬の心を読む事で未来余地が出来るも同然になるのです」

「ふーん。」

 人体実験により生まれ超能力者と、やはり実験の結果超能力を持つに至った動物の組み合わせとは。

「Aさん、なんかそれ急に『アルジャーノンに花束を』みが出てきました。Aさんは『アルジャーノンに花束を』を知っていますか?」

 Aさんは知らないというので、私は『アルジャーノンに花束を』のあらすじをざっくりと話した。

「なんか、『SPY×FAMILY』って極度に映画狂いっぽい人の描いた漫画ですよね。そういう人が『アルジャーノンに花束を』を知らない訳がないと思うんですけど、もしかしてその犬ってフラグなのでは? 仮に原作では犬はフラグではなかったとしてですよ。アニメのほうは『HUNTER×HUNTER』で無理矢理独自色を出そうとし、『るろうに剣心』と『どろろ』で原作にはない地獄表現した人が監督してるんですよね。そんな人が監督して、ずっと優しい幸せ世界で終わると思いますか?」

 と私が言ったら、Aさんはこの世の終わりみたいな顔をした。


 なんかふらふらと足どりの覚束無いお客様が来店。レジリキュールショート缶を持ってきて、会計をしに来たのかと思ったら私の目の前に突き出した缶を放そうとせずに、

「これこれ、もう一つ」

 というので、棚に一個しかなかったがもう一つ欲しいということかと思い、

かしこまりました、少々お待ちください」

 と私は言ってウォークイン冷蔵庫の中に入って同じものを探して戻ると、Aさんがそのお客様の前で、

「えっと、どういうことですか?」

 と困惑していた。私が、

「大変お待たせして申し訳ございません。もうひと缶持って参りました」

 頭を深々と下げたところ、お客様は、

「は? 一個でいいんだけど?」

 と、一つだけ買ってさっさと帰っていった。Aさんは、

「いや……困惑の極みなんですけど。客が、会計中に女の店員が急に逃げてったから代わりにレジ打てって言ってきて。俺も増田さんがウォークインに走ってくのは見たんですけど、逃げたって何すか」

 と眉をひそめる。

お客様がもう一つって言うから持って来たんですけど……」

 私の釈明は完全に聞き間違えたことを誤魔化す言い訳だと受け取られてしまった。

 なんかごっそり勤労意欲を削がれた。だからって暗い顔なんぞしているところを客に見られたら、また「この店の店員は愛想がない」って詰られるんだろうなあ。

2022-10-11

anond:20221010215654

アルジャーノンに花束を」、有名すぎて「こんな作品だろう」というイメージが出来上がってるけれど、読後感はだいぶ違っていた

2022-07-08

anond:20220707150505

出てくるってわけじゃないけど唐突に「アルジャーノンに花束を」が思い浮かんだ。

タイトルしか知らないレベルだったので調べてみたら、海外SF小説で、元は「Flowers for Algernon」なんだな。

でも読み上げるとリズミカル気持ちいいよね。翻訳に工夫は必要なかっただろうけど、たまたま七五調に収まったのは幸運だったろう。

かにも、「海外タイトル翻訳したら、七五調になった」例ってないかな?

それが翻訳者の工夫の結果だったら、もっと素敵だな

2022-04-21

昔は好きだった小説が…

ヘッセの「車輪の下」、キースの「アルジャーノンに花束を」、ドストエフスキーの「罪と罰

読んだ当時は感銘を受けて好きだった小説が、最近読み返すとただ主人公ストーリーを通して作者のオ〇ニーを押し付けられてるような感覚になる

これは自分内面にとってプラスの変化なんだろうか、マイナスの変化なんだろうか

老人と海」だけは色褪せないのが救い

2022-01-25

漫画アニメゲーム由来の学名

サウザー遺伝子

北斗の拳』の登場人物であるサウザーに由来。

内臓逆位のハエ発見された際に、その原因となった遺伝子に対し命名

ピカチュリン

ポケットモンスター』の登場キャラクターであるピカチュウに由来。

動体視力に影響のあるタンパク質に対し命名

何故ピカチュウなのか?動体視力から連想して素早いポケモンなので名付けたらしいが……ピカチュウさんより素早いポケモン結構いるよな……?

やっぱりポケモンの顔役だからってことなんでしょうか。

ソニック・ヘッジホッグ

ソニックシリーズ』の登場キャラクターであるソニック・ザ・ヘッジホッグに由来。

もともと「ヘッジホッグ」という名のタンパク質グループがあり、発見者がソニックファンだったこから命名

ソニックの方がピカチュウより素早いよなぁ!?

アルジャーノン

アルジャーノンに花束を』の登場キャラクターであるアルジャーノンに由来?

ダウン症を引き起こす遺伝子の働きを抑制する化合物

なお、効果が作中の結末と嚙み合っていない。

物質正式名称である「altered generation of neuron」の頭文字をとって「ALGERNON」としたらしく、作品にちなんだわけではないらしいが……。

ウブロンテス・ノビタイ

ドラえもん』の登場キャラクターである野比のび太に由来。

映画のび太君が自分名前恐竜につけたがっていたので、ドラえもんファン学者がそれなら自分が代わりに名付けたるわとなったらしい。

ほとんど生物学じゃねーか!

命名チャンスが多い分野だからかもしれない。

新たに命名されたオシリカリムシも生物学ジャンルだし。

小惑星命名命名チャンスが多いからか、漫画アニメゲーム小説由来のものがいろいろある。

フィクション由来じゃないけどシクロアワオドリンとか冗談みたいな化合物化学ジャンルでもあるし。

フィクション由来のエポニムは他にもある。

ぱっと思いつくのは赤の女王仮説ウラシマ効果などなど。

軽く調べて見つかったのはこのくらいだ。きっとまだまだあると思う。

シリカリムシは「そのまんまじゃん!」という命名がなされたという意味でやはり珍しいのかも。

2021-11-26

アルジャーノンに花束をってマジで名作だよな

まだ読んでないやつは読んだほうが良い

飛行機の中で読んでたらCA心配されるくらい泣ける名作

2021-11-09

anond:20211109113620

仮面ライダーには詳しいのに「アルジャーノンに花束を」すら読んだことなさそうなの、文化指数高くて好き。

B型作業所キラーワードになるネット世界を見て惨めになって発狂してる中年なんだね。

B型作業所って割り箸を袋に詰める仕事をするところなんだ、詳しいね

頑張って社会貢献して日本を支えてね。

2021-06-25

ゴジラSP面白くなかったね

思ったより円城塔連れてきた意味ないなあって。しりとりのシーンみたいに、もっと言葉遊びなら言葉遊びだけで押し通すと思ってた

ジェットジャガーも戦いが終わってアルジャーノンに花束をみたいな感じに一時的に獲得した自律知性を失うのが良かったのに普通自己犠牲でだいなし

アニメ映像的に美麗にゴージャスに人間サイズアクションをつけてくのは他でも見れるので怪獣モチーフでやらなくていいのにって思った

大怪獣普通人間ってサイズ感が違いすぎるから人間のほうは適当無視しないと怪獣中心の絵にならないのはわかりきってるがそうでないし

あるいは怪獣を大胆に無視して人間だけに寄ってくのかなと思ってたけど(元祖ゴジラぽいのが骨なのでそういう路線かと思ってた)

どっちもやりたいでどっちつかずで、いかにもネトフリオリジナルらしい売れる要素はコレだからで足し算して作った感じ

ブシロードとかサイゲとかカードゲームソシャゲでカネじゃぶじゃぶなとこが割とコンセプトはっきりした尖ったもの出してくるのに

同じカネじゃぶじゃぶなネトフリが尖ったもの出せないの何故なんだろうね

動画配信サイトとか一つのものがハマらなくても別のものがハマればいいわけ

それぞれ別方向に尖ったものを100並べて5ハマればいいと素人考えでは思うんだが(ユーザー検索誘導だってできるだろう)

なんでどれも同じような無難な作りを幾つも並べちゃうんだろ

2021-05-18

anond:20210518133153

かに言ってる通りかもしれん

ダニエル・キイスアルジャーノンに花束をで、精神遅滞を真似た文章キャラクターの歪な幼さや純真さ、それに伴う苦しみを描いたように

この元増田も不完全な倒置法や間違った助詞を使って弱者男性の不完全さや救われることのない辛さ、なぜ救われないのかという真実表現しようとしてたのかもしれん

俺の考えが浅はかだったと気がついたよ、ありがとう

2021-03-01

必読書コピペマジレスしてみる・自分オススメ41冊編(1)

日本文学編(anond:20210222080124)があまり注目されなかったけれども、記憶を頼りに続きを書く。

芥川龍之介河童

どの作品を入れるべきか迷った。古典翻案に見られる知性とユーモア晩年作品にみられる迫害的な不安、どちらの傾向を持つ作品であっても、元文学少年の心をひきつけてやまない。特に歯車」などの持つ、すべてのものが関連付けられて迫ってくる凄味は、学生時代に再読したとき、行き詰まりかけていた学生生活不安と重なり、ただただ恐ろしく、読み終わってからしばらくは寝床で横にならされた。

河童」を選んだのは中高生の頃で、河童の国を旅する要素に心を惹かれたことを思い出したからだ。それは、大学生の頃よりも不安が弱かったからなのか、この作品に潜む女性への憧れと恐れが自分に響いたのか、あるいは架空世界架空言語に魅せられたのか、その理由はわからない。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン雪の女王

アンデルセン小説を読んでいると、きっとこの人モテなかったんだろうなあ、ってのがひしひしと伝わってきて、何だったら今晩一杯つきあうよ、的な気分にさせられる。一人寂しいときへの痛みと、女性への復讐心が入り混じっていて、読んでいて心がきりきりとする。

で、この作品の中でひたすら「いいなあ」と思うのは、悪魔の鏡のかけらが心の中に入ると、どんな良いものもその欠点ばかりが大きく見えてしまうという設定だ。

ところで、ディズニー作品価値貶めるつもりはないけれど、原作とは全然違う話に似たタイトルをつけて世界中に広げるのってどうなんだろう。デンマーク人は怒らないんだろうか(「人魚姫だって原作改変をやってるし……。いや、ディズニー普通に好きなんですけど、最近こうした異文化の扱いって難しいですし……)

グレッグ・イーガン祈りの海」

「白熱光」にしようかと思ったのだが、これはエイリアンニュートンアインシュタイン物理学自力発見していく過程が延々述べられるだけの話で、燃えるけれども物理学の基礎をかじっていないとちっとも面白くないのでやめた。ついでに、彼の欠点として「科学者エンジニア最高、政治家宗教家文学者は役立たずのクズ」という態度を隠そうともしないところがある。要するに理系の俺TUEEE小説なのだ。それに、しょっちゅうヒロインから説教されるし、作者はいったいどういう恋愛経験をしてきたか非常に心配になる。

そうしたえぐみ比較的少ないのがこの短篇集で、最初に読んだ本だから愛着がある。それに、上の隠しきれない欠点にも関わらずイーガンが嫌いになれないのは、科学的な真理に向き合う姿勢と果てしのない好奇心がかっこよく、さらに己に課した厳しい倫理に身が引き締まるからだ。

カズオ・イシグロ日の名残り

友人と富士山に登るときに持っていったこともあり、これも自分にとって思い出深い小説だ。これは、大戦後の新しい時代適応できない英国執事物語である

彼の小説の語り手は基本的には何かを隠していることが多いので、いつも歯に物の挟まった言い方をする。そのうえ、誰もが自分の信念にしがみついているものから登場人物同士の会話は勝手な主張のぶつけ合いになり、実のところ会話になっていない。

カズオ・イシグロはそうした気持ちの悪さを楽しむ作家だ。そして、「日の名残り」は自分の本当の気持ちに蓋をして生きている人、やりたいことよりもやるべきことを優先してしまう人に、刺さる作品であるに違いない。

ミシェル・ウエルベック素粒子

彼の作品不快だ。主人公のボヤキは原則として次の通り。俺は非モテから思春期の頃には思いっきセックスできなかった。中年になって女を金で買えるようになったが、ちっとも楽しくない。子供も老人もみんな大っ嫌いだ、バーカ! これはひどい

作中に出てくる西欧文明の衰退だのなんだの宗教への逃避だの一見知的に見える議論も、すべて上記の嘆きを補強するためのダシに過ぎない。それでもなお、なぜオススメに入れたのかというと、人をエゴ抜きで愛することの難しさを逆説的に語っているからだ。そして、自分が愛されておらず、必要ともされていないと感じたとき人間がどれほど孤独とみじめさを感じるかを緻密に描いている。皮肉なことに、これは性と愛について真摯思考した書物である

ただ、どの作品も言っていることが大体同じなので何冊も読んではいない。

ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人

僕がウルフのことが好きなのは、単純に文章が美しいというだけじゃなくて、迷っている人間の頭の中で浮かぶ複雑な段階が細かいところまでよく見えているからだ。例えば親しい人への憎悪が浮かび、言葉ではそれを否定して見せるが、態度にふとこぼれ出てしまう。そうした過程子供が貝殻を見つけたときのように、ひとつひとつ並べている。

そして、意識の流れとでもいうのか、ある人物意識から別の人物意識へと、外界の描写連想を経てシームレスに移行していく感じが、本当に巧みな脚本映画みたいで、やっぱり映画って文学から相当影響を受けてるんじゃないかって勘ぐったりするのだけれど、本当のところどうなのかは知らない。眠る前の自分意識もふと過去に飛び、すぐに現代に戻り、夢想し、眠りに落ちていく。

灯台へ」とどっちにするかこれも迷った。

ミヒャエル・エンデはてしない物語

さえない少年万引きした小説を読んでいると、いつしかその物語の中に取り込まれしまう。これは主人公異世界に行き、そこでなりたい自分になるが(まさに公式チートだ)、その報いとして自分自身が本当は何者であったかをどんどん忘れてしまう。何よりも面白小説なのに、その小説現実に向きあう力からではなく現実逃避の手段となることの危険性を訴えている。主人公が万能チート野郎になってになってどんどん嫌な奴になっていく様子は必見。また、後半で主人公を優しく包み込む人物が、私の与えたものは愛でなく、単に私が与えたかったものに過ぎない、という趣旨台詞を言うシーンがあり、これが作品の中で一番自分の心に残っている台詞だ。

ちなみに子どものころ映画版を見て、原作とは真逆メッセージストーリーになっているのにショックを受け、初めて原作破壊行為に対する怒りを覚えた。僕が大人商業主義を信用しなくなったのはこれ以来かもしれない。

円城塔文字渦」

基本的自分は何かを知ることが好きで、だから知識の物量で殴ってくるタイプの彼の作品も好きである。それでいてユーモアも忘れないところが憎い。フィクションとは何だろう、言葉文字物語を語るってそもそもどういうことだろう、そうしたことをちらりと考えたことがあるのなら楽しく読めるはず。「Self reference Engine」で抽象的に触れられていたアイディアが、漢字という具体的な文字によって、具体的な形を与えられている。

元々SFの人だけれども、最近日本古典にも守備範囲を広げ始めていて、SFが苦手な人も楽しいと思うし、慣れたらSFにも手を出してほしいとこっそり思っている。

遠藤周作沈黙

どうしてこれほどあなた信仰しているのに、手を差し伸べてくれないのですか。せめてささやか奇跡あなたがいらっしゃるということだけでも示してください。そういう人類が何千年、何万年も悩んできたことについて。神に関しての抽象的な疑問は、具体的な舞台設定を与えないと机上の空論になる。

以前も述べたが、ここに出てくる仲間を裏切ったりすぐに転向したりしてしまう情けないキチジローという人物がとても好きで、彼の「迫害さえなければまっとうなキリシタンとして生きられたのに」という嘆きを、情けないと切り捨てることができない。

ただただ弱くて情けない人物遠藤周作作品にはたくさん出てくる。だから好きだ。僕が文学にすがらねばならなかったのは、それなしには自分の弱さ、愚かさ、卑怯さ、臆病さ、ひがみを許せなかったからで、強く正しい主人公たちからは救われなかった。

イタロ・カルヴィーノ「冬の夜一人の旅人が」。

男性読者」という名の作中人物が本を買うが、その本には落丁があった。続きを探すために彼は同じ本を手に取った別の読者である女性読者」を探し求める。彼はいろいろな本を手に取るが、目当ての本は結局見つからない。枠物語の内部に挿入されるつながらない小説の断片は、それだけでも完成度が高く、まるで本当に落丁のある文学全集を読んでいるような楽しみがある。

世界文学パロディー化した物語のページをつないで作った「鏡の中の鏡」かと思わされたが、それ以上のものだった。語りの文と物語関係とは、新作と偽作とは、そんなテーマ物語レベルメタレベルの二つの層の間で錯綜して語られている。

ダニエルキース「アルジャーノンに花束を

知的障害者チャーリーゴードンが脳手術で天才になるが、その知性は長続きしなかったという悲劇として知られている。けれども、僕はこれをただの悲劇として読まない。障害者セックスについて正面から向き合った最も早い作品の一つだからだ。

チャーリー女性の裸を考えるだけで罪悪感からパニックになってしまう。それは母からの過度な抑圧と体罰が原因だったが、それはチャーリーの妹を彼の性的好奇心から守ろうとするが故の行動だった(チャーリーの母が、周囲からもっと支援を得られていたら、あれほどチャーリーにつらく当たらなくて済んだんではないか、とも思う)。

天才になったチャーリーは恋をし、トラウマを乗り越え、苦労の末に愛する人と結ばれ、やがて元の知的障害者に戻ってしまう。一見すると悲劇だが、彼にはセックスに対する恐怖がもはやなくなっている。彼がただの障害者に戻ってしまったという感想は、その視点が抜けているのではあるまいか

ナタリア・ギンズブルグ「モンテ・フェルモの丘の家」

素晴らしかった。中年の仲良しグループというか、ツイッターでいうクラスタの間を行き交う書簡を通して話が進む。居場所をなくすこと、愛情を失うこと、自分の子供をうまく愛せないこと。そして、友人の死。テーマは深刻だ。なのに、読後感は良い。それは視点距離を取っているからか、登場人物を公平に扱っているからか、それとも愛を失う/奪われる過程だけじゃなくて、そのあともちゃんと書いているからなのか。長い時間の中で、家族や友人が近づいたり離れたりする感じ、これこそ人生だ、みたいな気持ちになる。

アーサー・C・クラーク幼年期の終わり

子供の頃、太陽が五十億年も経てば地球を飲み込んでしまうと知って、非常に恐ろしかったのだけれど、それ以来人類運命について書かれた物語がずっと好きだ(H・G・ウェルズの「タイムマシン」も何度も読んだ)。

人類は滅んでしまうかもしれない。生き延びるかもしれない。しかし、宇宙に出て行った結果、ヒトとは似ても似つかないものになってしまうかもしれない。彼らは人類の何を受け継ぐのだろうか。そして、今しか存在しない自分は、果たしてこの宇宙意味があるのか。

人類運命が気になるのと同じくらい、僕はきっと遠くへ行きたいと思っている。だから、ヒトという形から自由になってどこまでも進化していく話に魅了され続けるのだ。


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2020-09-05

勉強以外の一切を禁止されて育った増田さん、「無敵の人」 予備軍へ

秋葉原通り魔事件宮崎勤事件。ああい事件で「抑圧されて育った人間の歪み」を見聞きするたびに、他人事ではないなと感じる。

母親教育関係仕事をしており、子どもを立派な大学に入れたスーパーマザーである

しかし、その子どもは、無事に無い内定引きこもり無職(一応学生)となっている。社会性が育つ場面で極端に制限をかけられた子どもがどうなるか。20年をかけた壮大な人体実験の記録を一つ読んで欲しい。

1.恐怖で抑圧させて勉強させられてきた幼少期

 私は物心つく3歳の頃から毎日ノルマ」を課せられ、やりたくもない勉強と向き合い続けてきた。母親が帰ってくる前までに母親の決めた「ノルマ」を仕上げないといけない。このノルマが終わっていないと、「指導」が始まるのである。例えば、「なぜ今日は出来なかったのか」について一時間、二時間、と向き合う。答えられず無言でいると「そうやって私を無視するのか」と詰められ、「バカだったからです」と答えれば「勉強が出来ないバカは家から追い出す」、「離婚したダメ父親の元に送る」、などが提案される。この「話し合い」は深夜にまで及び、「なぜできなかったのか」答えさせられる「自己批判」の時間では「どのように答えればこの人は納得して寝かせてくれるのだろうか」をパニック状態の頭で考えることとなるが、どれを答えても地雷最後には不甲斐ない自分に関する悔し涙を流す。すると「反省しているポーズをとるな」と詰められる。涙を拭けとティッシュを渡され、鼻水を拭いたティッシュ丸めて置いておく。

今日ノルマをやってから寝るよ」。勉強をしていて情けなさに涙をこぼすと、「泣くな!」と怒られ、鼻水を拭いたティッシュを口に入れられることもあった。彼女自身子ども支配するのに必死だったように思う。子どもの一日というのは大変長く、誘惑に満ちているので、ついつい遊んでしまうのだが、昨晩課された、あるいはノルマ棚に置かれたプリントを見て勉強をするほど私は賢くはなく、この「指導」の時間が辛く無駄時間だったと感じる。

2.ゲーム漫画・交友関係制限された小学中学

 そんな物理的な圧で勉強に向かわせてくる母親であったから、うちはゲーム禁止だった。周りの友達が全員「たまごっち」を持っている中、買ってもらえずに輪に入れないということもあった。何度かお願いをしてみたのだが、ダメだったし、この人には何を言ってもダメだと分かっていたから、諦めた。現在、「スーパーマリオ」や「ポケモン」は基礎教養だと思うが、私はそれらで遊んだことが無く、アクセスできなかったため、それらに関する話題が出た時に全くついていけないのがかなり困っている。一生困ると思う。「ポケモンの金銀並みだな~」とかい比喩表現を聞いたとき、「そうですね」とへらへらと笑って合わせていくスキル20過ぎに身に着けたが、付け焼刃感というか、相手の言っていることが何も分からないので悲しい。

 友達の家でやればいいというお声もあるだろうが、「母の目の敵にしているゲームを触ること」は私にとっては「大麻トライすること」くらいハードルが高かったのである。今でもゲームをしている人を見ると謎の居心地の悪さを覚えてしまう。

 漫画は、年の離れた兄弟が大量に所持しており、そこからこっそりと借りることが出来た。捨てられたジャンプから、好きな漫画カッターで切り抜いて、単行本を作っていた。ただし見つかると私刑である生命活動勉強時間に全振りすることで東大合格できると思い込んでいた母親は、勉強以外の活動をしていると烈火のごとく怒った。弟の気に入って隠し読んでいた「純情パイン」は八つ裂きにされて捨てられてしまった。

 幸いにして私は小説を読む方にはまっており、私のメインの趣味である読書は「推奨」される行為だった。(ただしノルマをやった後、寝る時間を惜しんで読書を優先すると叩かれる)図書館お気に入りの本は読みつくしたし、母親検閲(中身には興味がなく、文字かそうじゃないか重要だった)をクリアする「涼宮ハルヒの憂鬱」等ライトノベルには大変お世話になった。グロ系や耽美18禁のものも、「本」なので良かった。ここに関しては寛大な処置を頂いたと思っている。

 そんな読書少女に育った私は、頭でっかちの、言語性だけが身に付いた、悲しいモンスターだった。小学生の頃、女子特有クラストラブルに悩んだ時、最高指導者である母に相談してみた。すると「増田ちゃんはそんなレベルの低い子と無理して仲良くしたいの?」と一刀両断。そうか。周りの子レベルが低いから、関わらなくていいのか。誤解した増田ちゃんは「基本的に物腰は柔らかいが、トラブルにすら巻き込まれないように一歩身をひく付き合い」を心がけるようになる。また、友達と遊ぶことは制限されており、家に友だちを呼んではいけなかった。新しい友達も「どこの、誰で、何をしている親の、どういう子」かを説明するという責任があり、母親に認められない子と遊ぶことは良い顔をされなかった。そんな中でも文通をしたり、こっそり会うといった方法で仲良くしてくれた友人には頭が上がらないのだが、やはり「友人と遊ぶ」ことがダメなので、せっかく仲良くなったクラスメイトとお祭りや、ショッピングなど楽しいイベントに出かけることは出来なかった。(そもそも自由お金がなかったし、バスにも乗れなった)

3.女子高生同士の付き合いが出来ない高校時代

 高校では、最初は素敵な友人グループに属させてもらった。友人たちと仲良くしてもらって感謝しているが、その中でも「この間のショッピングモールで~」のような会話にはついていけないことが増えていく。ついに深い交流をすることは出来なかった。今でも交友関係を続けている同級生同士がとても羨ましい。

 そういった抑圧の下で生きてきた結果、やはり20代半ばで実感しているのが、「勉強だけ出来てもダメ」ということだ。

最近教育分野では「非認知能力(社交性とかもろもろ)」が重視されているが、詰め込みノルマ型の勉強の成果をどうにか形にしたり、就職して社会還元したりする上ではこの能力必須である。元々ASD傾向がある上に、社交の一切合切無駄と切り捨てられて育ったことは大変大きな損失だった。そもそも母親も社交スキルが低く、同級生ママを見下しながら、自分適応できないことの憂さ晴らしをしていた。母親も、社交スキルをどう教えて良いかからなかったのだと思う。その結果、「コミュ強を見下す」という戦略に走ってしまった。結果はどうか。増田で長文を投稿し、コロナもあって友人関係が更に狭まり就活で全滅の、「無敵の人」予備軍の出来上がりである

 母親上記のようなことをほぼ忘れ、「でも〇大に受かったから、よくママ頑張ったでしょ」と承認を求めてくる。〇大に受かっていなかったら、今よりも肩身が狭い、バカコミュ障が出来上がっていたかもしれない。

ただ、〇大に受かった後、うつになり、頭の良さがかなり下がったので、結局「何もできないコミュ障」が完成してしまった。

 20年をかけ、社会的なコミュニケーション能力を切り捨てて詰め込み教育をするとどうなるか??うつになり、頭も悪くなる。

アルジャーノンに花束を」のチャーリィよろしく、どんどん阿呆になっていく様を記録して後世に残すことが私の役目なのかもしれない。

2020-07-15

anond:20200714170855

「『歳の割に若い』というdis」は心ひねくれた健常者の高度な心理戦から

アスペルガーの人は言葉を素直に使えばいいし、おじさんも素直に褒め言葉として受け取って喜んでるよ

アルジャーノンに花束を

2020-04-25

アルジャーノンに花束を」で、主人公ニューヨークブロンクスにある理髪店に入るシーンがあるんだけれど、そこのメニューに「日焼けリートメント」なるものがあって驚いた。

白人は日に焼けてることがステータスになるとは聞いたことがあるが、アルジャーノンが書かれた当時からそんな風潮があったのか。

その日焼けリートメントなるものは、日焼けサロンの簡易版みたいなもので、顔に紫外線ライトをあてて目には薬品をひたしたガーゼを当てるというものだった。

なるほど、人工的な紫外線を使って日焼けするときは目の周りをガーゼかなにかで覆うのがアメリカスタンダードなのか。だからトランプ大統領は目の周りだけ白いのね。

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