2024-09-20

オオカミ中年

俺は小説で飯を喰っている。最近年収が三千万超えになるのが確定した。

元々何かを書いていたとかはなく、というか書き始めのきっかけはここ、増田なんだ。

いつもはROMっていて、でもあるときふとその場の思い付きで書いてみた。そしたら5ブクマついてさ、凄く嬉しかった。

その後ちょくちょく投稿するようになって、でもそれは短篇というより掌編で、戯言みたいな内容のもの。でもそうやって書き続けていくうち、次第にブクマされることが多くなった。

調子のいい時期なんかは自分投稿したもの毎日人気エントリしてさ、正直自信がついた。そこで本格的に小説を書いてみるかってなって、半年かけて一つの小説を書き上げたんだよ。

まだまだ拙さが残っていたけど、運が良かったのだと思う。マイナーなコンペにいくつか送ってみたら、なんと受賞した。驚いたよ。本当に。そんなふうに物事が進むとは思っていなかったけど、意外とトントン拍子でデビューが決まった。

ありがたいことに今ではそれなりに名前を知られるようになったんだ。

でもね、今でもたまに思うことがある。

嘘っていうのは、基本的に無価値だってことを。嘘は本当のことじゃないから、金にならない。

金にならないから、嘘は本当のことほど価値がない。

俺は昔から嘘が好きだった。いや、正確にはホラ話が好きだったんだよ。

友達に「ありえねえだろ!」って言われながらも、ゲラゲラ笑いながらよくホラ話をしてた。でも、それが許されたのは学生で、友達相手からだ。

友達冗談半分で聞いてくれたし、俺のキャラとしてホラ話も受け入れてくれた。

だけど、大人になると、そうはいかない。当たり前だけど、社会人にとっては嘘よりも真実の方が重要だってのが常識になる。

もちろん真実だけに価値がある、とまではいかないけど、嘘を嘘として大いに受け入れてくれる人はそう多くない。大抵の人は「嘘はただの無駄話」として受け取るんだ。

俺はその考えを否定する気はないよ。だって真実には確かに重みがあるし、価値がある。

でも、面白いことに、人は金になる嘘なら話が変わるんだよ。

俺はそうした人間たちを何度も見てきた。普段は「嘘なんて無価値だ」なんて顔してる奴らが、俺と会うと「素晴らしい小説ですね」とか、金を出してくれたりする。

嘘が肯定される瞬間を、俺は何度も目の当たりにしてきた。

から最近、ふと考えてしまう。

金って、一体何なんだろう?ってね。

かに俺の嘘は金になった。

でも嘘は嘘で、嘘には変わりなく、嘘の中で嘘を吐いたところでそれはただの嘘だ。

俺はそれなりに小説を売りはしたけど、俺はただのオオカミ少年…じゃなくて今はもはや、ただのオオカミ中年だ。

オオカミ中年オオカミを呼ばずに金を呼ぶ。

そこで寄ってくるお金を、俺は実際、嘘だと思っているんじゃないか?ってことに最近気が付いた。

なんてことを思いつつ、とりあえず目標にしていた三千万越えを達成したので近日中に何か美味しい物でも食べに行こうと思います

  • 楽しい嘘はみんな好きだから

  • この話も嘘っぽい

  • 嘘だ!絶対に嘘!頭ではわかってる! でもワイは信じる 何故ならそれがワイの唯一残された良心だから

  • こんな文体で稼げるわけねーだろ そもそも、自称作家の平均年収分かってんのか

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