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2023-07-31

ある奴隷少女に起こった出来事』の翻訳炎上した件について

5つ星のうち3.0 翻訳がまずい

2023年6月10日日本レビュー済み

奴隷本人が書いたノンフィクションという点で貴重だし、内容には考えせされらる。

ただ翻訳がまずい。主語が抜けていたり、接続詞おかしかったり、読んでいて頻繁に違和感を覚える。なぜプロ翻訳家に翻訳させなかったのかはなはだ疑問だし、研究者でもなんでもない訳者物語を一部省略させるのを許したのかも分からない。とてももったいなく思う。

https://amazon.co.jp/gp/product/4102201114

翻訳ってカンタンにとらえられがちだけど、文化や背景をかなり深く理解していないと正確な翻訳はできない。

ぐぐったら外資系コンサルタント?とのことで、何か強烈なコネ政治力が働いたものと思われるが、

2017年くらいはまだまだそういう「昭和」なバタ臭いコネとか談合がある時代だったな、となつかしくなった。

今回のビックの件でもそうだし、昭和のままの企業はいずれ淘汰される。

コロナは良くも悪くも、日本人を浄化してくれたと思う。

2023-07-11

訳者はできるだけ作者に近い年齢の人にやってほしいな…

年寄り臭さが滲み出している訳だと興ざめししまう……

原書読めってことか…

2023-07-05

anond:20230630185828

54ページに参考文献が掲載されていた。

京都大学Python入門講座の補助教材として推奨されているようだ。

本講座が難しいと感じる初心者向けの副読本なのだろう。

 

参考文献

Python に関する書籍は近年,数多く出版されていて,どれを買っていいのか迷うかと思います

以下,いくつか挙げておきます

このほかの書籍図書館などで探される際には Python Version 3 を扱っていることを確認してください.

 

[2] Bill Lubanovic 著,鈴木 駿 監訳,長尾 高弘 訳:入門 Python3 第2版, オライリー・ジャパン (2021)

[asin:4873119324] 2021/3/22

データサイエンスウェブ開発、セキュリティなど、さまざまな分野で人気を獲得してきているPython

本書は、ベストセラー『入門 Python 3』の6年ぶりの改訂版で、プログラミング初級者を対象としたPython入門書です。

プログラミングおよびPythonの基礎からウェブデータベースネットワーク、並行処理といった応用まで、実践を見据えたPythonプログラミングをわかりやすく丁寧に説明します。

Python 3.9に対応し、f文字列などの新機能も追加され大幅にボリュームアップしました。

Python機能をひと通り網羅し、リファレンスとしても便利です。

 

この本は、薄い入門書じゃなくて、わりと厚めの詳細な説明が書かれている本。

リファレンス的に使うような本でもあるので、まったくプログラミングをやったことがない本当の初心者だと、この本を読んで理解するのは大変なんじゃないかと思う。

すでに他のプログラミング言語習得しているプログラマーで、Python言語仕様を1冊の本で把握した人には、本書は向いていると思う。

 

1冊目にこれを持ってくるあたり、受験勉強知識の丸暗記に長けたガリ勉ならOKかもしれないが、勉強が得意じゃない人にはちょっといじわるなチョイスではないか?と穿ってしまった。

一応持っておいて普段本棚の飾りにしつつも、必要とき辞典的に使えばいいのではないか?と思う。

自分なら、この本は2冊目以降に推奨するだろう。(1冊目には勧めない)

  

[3] 柴田淳:みんなの Python 第 4 版,SB クリエイティブ (2017)

[asin:479738946X] 2016/12/22

Python入門書デファクトスタンダードが4年ぶりに大改訂

近年、Pythonの利用が、機械学習AIなどの科学技術分野へ大きく広がっている現状を踏まえて、すべてのパートに手を入れいくつかの新章を追加しました。

次の10年を担うPythonプログラマ養成するための一冊。

 

Chapter01 プログラミング言語Python

Chapter02 Pythonプログラミングをはじめよう

Chapter03 Pythonの基礎をマスターする

Chapter04 組み込み型を使いこなす

Chapter05 Python関数型プログラミング

Chapter06 クラスオブジェクト指向開発

Chapter07 クラス継承と高度なオブジェクト指向機能

Chapter08 モジュール

Chapter09 スコープオブジェクト

Chapter10 例外処理

Chapter11 標準ライブラリを使う

Chapter12 Pythonデータサイエンス

Chapter13 Pythan2

 

・AnacondaやJupyter Notebookなど、Pythonの最新開発環境対応

・NumPy、matplotlibなどの科学技術ライブラリ対応

WindowsmacOSLinux対応

 

イラストや図解を多用しているので、一見すると初心者向けのように見えるけど、1冊目としてはどうだろうか?

やはり、この本も2冊目以降に読んだ方が良い本になってしまうだろうか?

悪くはないと思うけど、自分なら読まないかもしれない。

Amazonレビューでも、結構酷評されてるね?

買いたい人は、本屋で内容を確認してから買った方が良いと思う。

 

[4] 大津真:基礎 Pythonインプレス (2016)

[asin:484438015X] 2016/3/4

本書で解説するPython現在もっとも注目を集めているプログラミング言語ひとつです。

プログラミング言語の人気度の目安となるPYPLでは、2016年1月の時点でJavaに続いて2位に位置していることからも、その人気のほどが伺えるでしょう。

その大きな理由として、Pythonがパワフルなオブジェクト指向スクリプト言語でありながら、わかりやすく、すっきりしたプログラム作成可能であることがあげられます

文法シンプルで、これからプログラミングを始める方にとっても最適な言語です。

現在Pythonは、Python 2.x系からPython3.x系への移行時期にあります

Python 3.xでは、さまざま機能強化が行われ、さらに標準の文字コードユニコードベースに変更され、日本語も容易に扱えるようになったこから日本においてもさらなる普及が期待されるでしょう。

 

本書は、プログラミング初心者対象にしたPython 3の入門書です。

変数の取り扱いから、リスト、タプルといったPython固有のデータ操作制御構造関数などについて具体的でかつ短いサンプルを多数提示しながら、初心者でも基礎から学んでいけるように拝領したつもりです。

また、インデントブロック表現する点などなど、他のメジャー言語と比べてユニークな部分も丁寧に説明しています

前半部分で基本を説明した後は、ファーストクラスオブジェクトとしての関数活用方法オリジナルクラス作成などといった多少高度な項目を丁寧に説明していきます

 

Chap1 Pythonプログラミングをはじめるための予備知識

Chap2 Pythonの基礎について学ぼう

Chap3 プログラムの流れを変えたり処理を繰り返したりする

Chap4 組み込み型の活用方を理解しよう

Chap5 オリジナル関数作成する

Chap6 テキストファイルの読み書きを理解しよう

Chap7 オリジナルクラス作成する付録 開発ツールとの連携設定

 

Amazonサンプルページを見たら、お勧めエディターとして「Atom」が紹介されていた。

から7年前ならAtomでも良かったのかもしれないけど、今ならVisual Studio Codeの方が使い勝手が良いのではないだろうか?

7年前の情報という点を考慮して、検討したい。

Python文法説明に関しては悪くないと思うけど、自分なら読まないかもしれない。

 

[5] 松浦健一郎,司ゆき:はじめての Python エンジニア入門編,秀和システム (2019)

[asin:4798058327] 2019/5/25

■きちんと学びたい人のための最短教科書。■

Python開発者に求められる言語ツールライブラリなどの知識を、1冊で素早く学べます。■

 

「はじめて」でも「よくわかる」5つの必達ポイント

(1) Python言語効率よく習得できる文法入門。

(2) 豊富な例題で頭と手を刺激しながら学べる。

(3) 数多くの定番ライブラリや必携ツールを1冊で体験

(4) 人気のAIデータ分析Webフレームワークにも対応

(5) 開発したプログラムPyPIGitHubで公開できる。

 

可もなく不可もなくというかんじで、ありがちな入門書であるように見えた。

同じ著者の本なら、[asin:4815607648] Python[完全]入門 (2021/1/22) の方が良いのではないか

発売年もこっちの方が新しいし、受験参考書っぽい作りで、各項目の要点が頭に入ってきやすい。

Amazonサンプルページを見て、自分の好みの方を選んだら良いと思う。

この本なら1冊目でもお勧めできそうだ。

(ただし、自分場合はすでにオンライン教材を入門を済ませてしまったので、今さら読む必要はないけど)

時間があったら、図書館で借りてレビューしてみたい。(買うとは言ってない)

 

[6] 大澤文孝:いちばんやさしい Python 入門教室ソーテック社 (2017)

[asin:4800711592] 2017/4/8

はじめは誰でも未経験者!

Pythonプログラミングの基礎を身につけよう!

 

本書はプログラミング言語Python」の「いちばんやさしい」入門書です。

 

○「興味はあるけど、難しそう」と尻込みしている人

○「そもそもプログラミングって何?」という未経験

○「一度試したが、挫折してしまった」という初級者

○「スキルアップのためにPythonを学びたい」という経験

 

そんなPythonビギナーに向けて、プログラム根本概念、基礎知識、基本文法をきっちり端折らずに説明します!

さらには、「簡単計算」「ゲーム作成」「GUIアプリ」「モジュール活用」など、

実際に手を動かしながらの演習を通して、学んだことがしっかり身につくように構成しました。

 

豊富カラー図解とイラストで、初心者にも分かりやすい!

本書を一通り終えれば、Pythonのみならず、プログラミングの基本がバッチリ学べます

 

さあ、あたなもこの本をきっかけに、Pythonプログラミング世界に飛び込んでみませんか?

 

この著者の本は、他の本なら持っている。

本当に分かりやす説明するのが上手い方だと思う。

簡単な内容しか説明してないけど、他の本なら挫折してしまうようなガチ初心者でも、この本なら理解できるだろう。多分、中学生ぐらいが読んでも理解できると思う。

自分には物足りないような気がするので敢えて読もうとは思わないが、1冊目にお勧めするチョイスとしては間違ってないと思う。

 

[7] コーリー・アルソフ著,清水川貴之訳:独学プログラマー日経 BP (2018)

[asin:4822292274] 2018/2/24

本書は「Pythonだけ」を学ぶ本ではありません。

Pythonを使ってプログラミングを紹介していますが、伝えたい内容はPythonに限らない「プログラミング全般」の知識です。

 

プログラマになるためのスキルを独学できる本です。

Pythonプログラミングの基本を学べるだけでなく、プログラマとして必要スキル(シェル正規表現パッケージ管理バージョン管理データ構造アルゴリズム仕事の始め方・やり方)もひと通り学べるのが特徴です。

プログラミングを始めたい」「できればその道でプロを目指してみたい」――そんな読者にオススメです。

 

本書の著者、コーリー・アルソフ(Cory Althoff)は、「独学プログラマー」です。

本書は、彼が独学で、ゼロからプログラミングを学んだ体験に基づいて書かれました。

プログラミングを独学で身に付けるために、著者がPythonを通して学んだエッセンスが書かれています

彼の独学プログラマーとしての学び方は、多くの人に支持されています

――訳者あとがきより

 

目次については、日経BOOKプラスの本書のページをご覧ください。

そこでは目次ページだけをまとめたPDFファイルや、本書に登場するリンクをまとめたPDFファイル、補足もご連絡いただけます

 

出た~~~!!!

Python入門の「2冊目」としては鉄板の本だと思う。

しか!!!…敢えて、私は読まないだろう!!!

別にひねくれている訳じゃなくて、もっと他に良い本が出てきたから。

ハズレではないので、この本を進めときゃいいでしょ的な安易さは拭えないが、あえてケチをつけるならば、各項目が「広く浅く」で物足りなさが残るから

中途半端な本という印象が拭えない。

プログラミングを全くやったことがない初心者が、Python文法を覚えた後、脱入門で中級へステップアップするときの足掛かりとしては、本書は良い指南書になるだろう。

鉄板の本なので、時間があれば後で図書館で借りて目を通してみたい。(買うとは言ってない)

 

[8] 増井敏克:基礎からプログラミングリテラシー技術評論社 (2019)

[asin:4297105144] 2019/4/17

プログラミングをはじめる前に読む1冊!

 

プログラミングブームエンジニア不足を背景にプログラミング独習をする方が増えています

いざ、Webで人気の講座を受講してみたり、店頭平積みになっているベストセラープログラミング書籍を手にしたものの、どれも理解できずに挫折してしまった、という方も多いのではないでしょうか。

コンピュータプログラミング解説がわからないのは、次のような知識の不足が要因です。

 

1.コンピュータのしくみがわからない

2.プログラミングのしくみがわからない

3.アプリケーションが動くしくみがわからない

4.開発スタイルエンジニア仕事像がわからない

5.業界の標準やツールが知らない

6.プログラミング書籍の選び方がわからない

 

これらは専門書やインターネット検索上位にくるWeb記事では前提知識として省略されることが多く「読み進めるにはほかの資料必要になった」なんてことがよくあります

そこで、本書ではプログラミング独習者がつまずきやす知識を厳選して取り上げ、初心者の分からなかったをサポートします。

図解を多用し、「サーバークライアント」、「コンパイラインタプリタ」のように用語比較しながら学習することで、いままで曖昧になっていた知識が整理され理解が進みます

プログラミング初心者必携の1冊です!

 

自分記憶に間違いがなければ、この本は1回図書館で借りて読んだことがあるような気がする。(表紙を見ておぼろげに思い出した)

この本は、中学生とか高校生レベル知識しかない人が、学校の「情報」の授業の補助教材として使うようなイメージがある。

京都大学先生京大生に勧める本としては、どうなんだろう?

 

プログラミング以前の疑問として、そもそもコンピューター(電子計算機)って何だろう?というような素朴な疑問を持つ人が、ハードウェアなどの仕組みを知りたいなら、情報処理技術者試験の教科書を読んだ方が手っ取り早いと思う。

  1. ITパスポート試験
  2. 基本情報技術者試験
  3. 応用情報技術者試験

大学受験経験して、知識の丸暗記に慣れている人なら、これらの資格試験教科書の方が、要点がコンパクトにまとまっていて、吸収しやすいのではないか

 

cf. 情報処理技術者試験 - Wikipedia

https://w.wiki/3cnP

https://www.ipa.go.jp/shiken/

 

とりあえず、Pythonとは直接関係なさそうなので、今の私なら読まない。

パソコン自作できるし、ハードウェア知識もある程度あるので、本書を読む時間があったら、他の本を読むだろう。

本書を読みたい人は、自己責任で読んで欲しい。

 

 

https://anond.hatelabo.jp/20230705022129 へ続く)

2023-06-25

表現規制旗手フェミニズムからイスラム教徒に移る

今後10年以内に日本国内イスラム教徒の数は10倍になりモスクも増えるだろう。すると何が起きるか、BL,GLといった同性愛表現弾圧が始まる

悪魔の詩訳者殺人事件を起こした宗教グループは間違いなくコミケを標的にするだろう

2023-06-18

ローズマリー・サトクリフローマンブリテンシリーズ本一覧

※ほぼメモ書きです。

 ローズマリー・サトクリフ(Rosemary Sutcliff, 1920-1992)といえば、『第九軍団のワシ』をはじめとするローマンブリテンシリーズで有名な作家である。このシリーズは、一般ローマンブリテン三部作(『第九軍団のワシ』、『銀の枝』、『ともしびをかかげて』)ないし四部作(『辺境オオカミ』も加える)と呼ばれている。岩波書店でもそう書いている。

https://www.iwanami.co.jp/book/b269788.html

 一方、英語版Wikipediaのサトクリフの項目を見ると、『第九軍団のワシ』シリーズは他にもある。要は、4部作で終わっているというわけではないのだ。ファンサイトSutcliff Wikiでは、正式名称ではないとしつつ、"Dolphin Ring"と呼称している(一方、第九軍団のワシ、銀の枝、ともしびをかかげてを指してRoman Britain Trilogyという言葉遣いもされている。実際、1980年にThree Legionsというタイトルでセット本が出ている)。その作品群について整理しておく。

(1)作中時系列

2世紀:第九軍団のワシ(The Eagle of the Ninth)

3世紀:銀の枝(The Silver Branch)

4世紀辺境オオカミ(The Flontier Wolf

5世紀ともしびをかかげて(The Lantern Bearers)

5世紀:落日の剣(The Sword at Sunset)

6世紀夜明けの風(Dawn Wind)

9世紀:剣の歌(Sword Song)

11世紀:盾の輪(The Shield Ring

(2)出版順(訳者無記名は猪熊葉子

1954年:第九軍団のワシ(Oxford University Press)→岩波書店1972年

1956年:盾の輪(同)→山本史郎訳『シールドリング ヴァイキングの心の砦』原書房2003年

1957年:銀の枝(同)→岩波書店1994年

1959年ともしびをかかげて(同)→岩波書店1969年

1961年夜明けの風(同)→灰島かり訳『夜明けの風』ぽるぷ出版2004年

1963年:落日の剣(Hodder and Stoughton)→山本史郎山本泰子訳『落日の剣 : 真実アーサー王物語原書房2002年(2巻本)

1980年辺境オオカミ(Oxford University Press)→岩波書店2002年

1997年:剣の歌(The Bodley Head)→山本史郎訳『剣の歌 ヴァイキング物語原書房2002年

 これらの作品群がファンWikiDolphin Ringと呼ばれているのは、言うまでもなくアクイラ一家のあのイルカ指輪(=古代ローマ人のハンコ)が共通して登場するからで、時代の流れとしても共通した設定を持っているかである。ただ、『三銃士シリーズのような一貫した主人公陣営を描いているわけではない。第九軍団のワシの主人公マルクス・フラーウィウス・アクィラ(訳書には従っていない)は、元々属州ブリタンニア駐屯するローマ軍団に属していて、家のルーツエトルリアにあるから、もとはといえばイタリア半島人間なわけだ。ところが、彼が色々あってブリタンニア定住を決め込んだことが指輪運命を決めている。『銀の枝』の主人公ティベリウス・ルキウス・ユスティニアヌスジャスティン)とマルケルス・フラーウィウス・アクィラ、『辺境オオカミ』のアレクシオス・フラーウィウス・アクィラ、『ともしびをかかげて』の主人公アクィラ(上の名前は不詳)は、いずれもマルクスの子孫にあたる。

 もっとも、ローマ軍団が描かれているのは『辺境オオカミ』までであり、『ともしびをかかげて』はローマ軍団がいなくなったあとのブリタンニアを描いている。基本、サクソン人とブリトン人との戦争が描かれる。『落日の剣』はその後日譚にあたるが、主人公アンブロシウス・アウレリアヌス(この人は実在人物で、サクソン人と戦っていたブリトン人指導者)の甥アルトス(アルトリウス)となっている(もちろんアクィラも登場するが)。つまり本書はアーサー王伝説の翻案なわけであるしかも『ともしびをかかげて』よりも長い。『ともしびをかかげて』は、20年ほどを描くが、後者は40年ほどのスパンがある。本書は明らかに大人向けであり(ファンWikiにもFor Adult Readersとある)、児童書である他書と毛色がかなり異なる。

 『夜明けの風』はアルトスよりも100年ほどあとの時代で、デオルハムの戦いで壊滅したブリトン人王族の生き残りオウェインが指輪を持っている。『剣の歌』では主人公ヴァイキング少年ビャルニ(指輪は、ウェールズで暮らす少女アンガラドが持っている)になっている。そして時代的にはもっと最後にあたる『盾の輪』の主人公もまたヴァイキング少女フライサと孤児ビョルン(後者指輪を持っている)で、湖水地方に立てこもってノルマン人抵抗する様が描かれる。

 見ての通り、厳しい立場に立たされた者を主人公にするというプロットはほぼ一貫している。『第九軍団のワシ』は父親不名誉(ちなみに時代はあのハドリアヌス帝の治世にあたる)、『銀の枝』はカラウシウス帝に忠義を尽くした故に叛逆者となってしまった二人(なおこの頃の皇帝といえばディオクレティアヌスだ)、『辺境オオカミ』は軍人としての失態だが、同時にローマ帝国辺境民族ピクト人)との戦いが背景にある。『ともしびをかかげて』は撤退するローマから脱走して敢えてブリタンニアに残った主人公の苦労が描かれるが、彼の立場を厳しくしているのは、サクソン人のブリタンニア侵入である。サクソン人と戦う側が主人公になっているのは『夜明けの風』が最後で、『剣の歌』以降はヴァイキング主人公になっている。アングロ・サクソン人ブリテン征服が一段落して平和になったと思ったらデーン人がやってきたわけだ。さらにそのデーン人ノルマン・コンクエストで痛めつけられる(ノルマン・コンクエストは、思いっきり誇張すればデーン人(+アングロ・サクソン人)対ノルマン人の戦いであり、こいつら全員元をただせば海賊である)。ローマ人、ピクト人ブリトン人、サクソン人、デーン人ノルマン人イギリス史に登場する諸民族の融和がシリーズのコンセプトとなっている(それは第一作の時点から明らかで、イルカ指輪は父を殺害したピクト人長老マルクスに返却している)。

 出版年代を見ると、最初の『第九軍団のワシ』とシリーズ最終作となる『盾の輪』がもっとも早く出ていることが分かる。そして63年の『落日の剣』まではほとんど2年おきに出している。それから間が空いて80年の『辺境オオカミ』と遺作の『剣の歌』がある。特に『剣の歌』は推敲が十分でないように思われる箇所もある(作業途中で亡くなってしまったのだろう)。日本語訳では『ともしびをかかげて』が一番早い(おそらく、内容的に最も評価されているのではないかと思う。カーネギー賞もとっているし)。明らかに児童文学ではない『落日の剣』はともかく、児童文学作品でも猪熊訳と山本訳(と灰島訳)とに分かれる。版権取得の問題かもしれないが、あるいは猪熊作業量の限界だったのだろうか(1928年まれだし)。そもそも夜明けの風』は『ともしびをかかげて』の割と直接的な続編といって良いだろう。なお、自分の親は子どもの頃に『第九軍団のワシ』と『ともしびをかかげて』を読んでいたようだ(サトクリフ名前を出したら「あの小説か」と反応があった。結局「三部作」を貸している)。年齢が結構高い人でも、その二つは知っているのではなかろうか。

 英語圏では多分されていない「四部作」(第九軍団のワシ~ともしびをかかげて)という言い方も理由がないではない。この四つはシンメトリカルな構成をしている。『第九軍団のワシ』『辺境オオカミ』と『銀の枝』『ともしびをかかげて』(つまり13・24)と並べられる。前者では、主人公は百人隊長として失敗したあと、北方辺境名誉回復を遂げる。後者では、大陸への渡海という選択肢を捨て、ブリテン南部で戦う。「四部作」はアクィラ家のアイデンティティローマからローマンブリテンへと移り変わっていく物語なわけである(既に『銀の枝』でカラウシウス帝の口からローマ帝国亡き後にどうローマを残すのかというテーマが語られる)。そしてもはや「アクィラ」という名前が語られなくなった世でも、困難に立ち向かうアクィラ家の精神は、イルカ指輪象徴されてあとからきた民族へと受け渡されていく。そして現代イギリス人にも・・・というのがサトクリフの言いたいことなのだろう。

2023-06-01

[]2023年5月増田

記事文字数文字数平均文字数中央値
012654276289104.142
02246224145198.142.5
031952216775111.140
042103242969115.546
052406265219110.244
062214251374113.547
072353263879112.144
08242923747197.839
09267026538399.441
10268126660799.443
11272525936695.242
12256423469191.543
131774179320101.141
14266024549492.337
152650269007101.542
16269326452198.240
172587260952100.944
18300727582091.740
19266925763496.542
20215219975192.840
212489275719110.844
223062322298105.340
23317030028094.742
24260922020184.439
252405247212102.844
262445259218106.044
272336260721111.643
282478280841113.344
292494273456109.646
302544276585108.746
312568266373103.743
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2023-05-30

anond:20230530175114

何かを決め付ける気はねーけどさ

1.「変な意図による歪められた訳だ」

2.「歪めたのは訳者だ」

という二つのポイントを含む元増田の主張に対して2にしか反論しないのか?って疑問なだけよ 

anond:20230530174615

パンチのあるタイトルと、強烈な目次と、上記のような思想訳者編集者という素敵な組み合わせで話題になっている『射精責任』(邦題)ですが、どうも訳者村井理子氏が恣意的な訳し方しているようです

この分だと本書の中身も意訳だらけになって、訳者村井理子氏による利己的な内容に(リコだけに)書き換えられているかもしれません

そもそも元増田の主張は「タイトル訳者に歪められている」「この分だと中身も歪められてるかも」というものなので

前者が否定された時点で元増田が長々と書いた文章は全て無駄ですね

anond:20230530174438

うんだからあ、

邦題射精責任』が【訳者村井理子によって】歪められている可能

訳者村井理子によって】の部分にだけ反論するっていうことなのかなって

言ってるんだけど

日本語で書いてるのに何で伝わらないの?

anond:20230530173516

元増田じゃないけどそんなことあるかいなと思うんだが

訳者意見タイトル決めに入らないなんてことある

「私一人で決めた訳じゃない」とかなら理解するが

anond:20230530173049

ええ

タイトルなんて重要なところに訳者意思が入らないもんなの?

訳者の一存では決まらない」ぐらいならわかるけど。

(だから元増田訳者編集者の共同作業でゆがめた~みたいなニュアンスなのでは?)

anond:20230530173250

邦題射精責任』が訳者村井理子によって歪められている可能

タイトル訳者が決めているものではありません


で完全否定

邦題射精責任』が訳者村井理子によって歪められている可能

村井理子

@Riko_Murai

男性は、ほんのわずかに気持ちいいことのために、本当に女性人生危険晒すのでしょうか? ええ。晒します。そんなことは毎日起きています。道端に咲くタンポポぐらい、ありとあらゆる場所にある話です。

――ガブリエルブレア

射精責任 - 太田出版 https://ohtabooks.com/publish/2023/07/19181958.html

@OHTABOOKS_PR

より

ohtabooks.com

射精責任 - 太田出版

全米騒然! ニューヨークタイムズベストセラー選出 世界9カ国で翻訳 刊行からSNS話題沸騰!! 男性は、ほんのわずかに気持ちいいことのために、本当に女性...著『射精責任作品案内。/ISBN:97847783187892023年7月19日搬入発売。

午前11:47 · 2023年5月29日

村井理子

@Riko_Murai

本書で議論されているのは、「望まない妊娠責任100%男性にある」という点です。中絶の原因となる〈望まない妊娠〉という点が非常に重要なのです。避妊責任アンバランスさにも言及がありますので、よろしければお読み下さい。

午後6:17 · 2023年5月29日

ふじさわ📚編集者

@FUJISAWA0417

📚全米ベストセラー🏆日本でもTLを騒がせ続けてきた話題作『射精責任』、いよいよ予約開始です👏営業に「売れる未来が見えない…」と後ろ指刺されながらも、ヘルジャパンをぶっ壊すために版権取っちゃったので😇皆さんの力で日本でもベストセラーにしてくださいませ🙏予約だ👉

ふじさわ📚編集者

@FUJISAWA0417

Amazon売れ筋ランキング(全体)、2桁台、来た!すごい!!みんなの力で!!『射精責任』をベストセラーにしてくれ!!!日本を変えよう!!!!!私たちの肉体的、精神的痛みに、NOと言おう!!初版刷って少しでも安くこの本を広めよう!引き続きよろしくお願いしま!!!

ふじさわ📚編集者

@FUJISAWA0417

男は絶対責任を負わないぞという社会に対するミラーリングワードです。女はすでにしっかり責任を取ってるし、そこから逃れらないって話も書いてあります。7月刊行予定で頑張ってます。読んでね。



パンチのあるタイトルと、強烈な目次と、上記のような思想訳者編集者という素敵な組み合わせで話題になっている『射精責任』(邦題)ですが、どうも訳者村井理子氏が恣意的な訳し方しているようです。

Munehiko Matsuyama /松山宗彦ポーカー翻訳

@donkeydragonfly

タイトルインパクト訳者村井さんの百人組手上等の構えで話題沸騰中の「射精責任」だが、原題をそのまま訳すと「責任ある射精」となる。この二つ、微妙ながら大事ニュアンスの違いがあるように思えるのだが。

💫T.Katsumi🏳️‍🌈📢

@tkatsumi06j

そのまま訳すなら、

責任ある射精を」でしょうか。

原作者にどう伝えているのかは気になるところです。「逆翻訳してこう伝わります」と伝えたのかどうか。出版翻訳ではそこまでして著者と密に確認したりしないのかもですけれど、なにしろ書店に並ぶ本の表紙ですから。副題の訳も気になっています


モーリーン@読書ノート作る人

@maureen_kanae1

この原書”Ejaculate Responsibly”をポチった。タイトル動詞から名詞に変わるだけで印象がガラッと変わる。

原書責任を持って射精しなさい」

名詞の方が責任所在を探すニュアンスが強いな。タイトル大事

モーリーン@読書ノート作る人

@maureen_kanae1

翻訳者さんにとってこれは火を見るより明らかなことであるはずだから、『射精責任』という題名にするまでの決定プロセス意図を知りたい。

原題の方が男性側を咎めるような、諭すようなニュアンスがあるからかなあ。


かに射精責任』と『責任ある射精を』では受け取る印象が全然変わってしまますね。

射精責任』だと自慰行為による射精ですら責任を負わなきゃならんのかという気分になってしまます

この分だと本書の中身も意訳だらけになって、訳者村井理子氏による利己的な内容に(リコだけに)書き換えられているかもしれません。

しかしたら原書グローバルな視点で書かれている良書なのかもしれませんが、日本特有ミサンドリーベースのラディカルフミニズムによって原書作者のガブリエル・スタンリーブレアさんの思惑とは違う方向性に歪められてしまっている可能性が否定できません。

今のところ、ツイッター上で本書を絶賛しているのは(発売もしてないのに)、いかにも男性への憎悪毎日生きづらそうなミサンドリストばかりの印象でした。

そういった層にリーチをかけるために意図的にこういう訳し方したのでしょうか?自分が一から書いたわけでもないのに、海の向こうの人が書いた原書をダシに男性攻撃を煽るのは村井理子氏の翻訳家としての、そして太田出版出版社としての理念を疑います

発売は7月だそうです。

2023-04-09

anond:20230408110600

バトラーは悪文ひどくて原語で読むやつなんていないから、訳者の間違いがそのまま流布しちゃうんだね

2022-12-12

anond:20221211132121

改訳を出せるわけでも誤訳の指摘ができるわけでもない人の

僕が私が考える理想翻訳論に付き合ってあげるほど著者も訳者出版社も読者も暇ではないという感想しかない

anond:20221211132121

「何をするにあたって」原典にあたるという当然の事を重要視するか、って話ではあるよね

これメチャクチャ思いました。過去査読云々の論争を思い出しちゃいましたよ( anond:20181009070341 とか、 anond:20181011090428 とか、このへんの話ね)。「翻訳するとき原典から訳すのが当然だろ!」「いや、別に重訳でも意味が取れてればそれでいいじゃん……」「出版スピード感大事だし……」っていうやり取り、まんま過去の「論文は全部査読するのが当然だろ!」「ええ、別に査読で載せても、後続の論文でしっかり吟味されてればそれでいいじゃん……」「出版スピード感大事だし……」っていうやり取りとソックリというか。増田は「なんで原典にあたるという当然のことを重要視しないんだろう……」って思っちゃうんですけど、理系経済学の人たちも「なんで査読という当然のことを重要視しないんだろう……」って思ってたわけですよね。まあだからあんまり自分野の基準で他分野にケチつけるのはよろしくないなぁと、自戒を込めて。

はてなブログというサービスが無くはてなダイアリーをみんな書いてた時代

はてなダイアリーで「理数系分野でも研究の際には原典読んだ方が良くない?」みたいな事を言った人がいて、それに対し色んな意見が出たのを思い出す。

ただこれは物理学勉強してる人達ニュートンプリンピアを読んでないのはおかしい、みたいな極端な意見であり増田の言ってる事とは大いに違うし

あとそれを主張してた人が死んでしまったので批判はあまりしたくない

じゃあ、まずは数学理論物理の専門書を翻訳する際に原典にあたる必要があるかと言う話をさせて貰うけど

数学理論物理ではフランス語ドイツ語ロシア語辺りの本が英語翻訳されて、英訳だけ読んだ専門家が各国の言語に訳す例なんて珍しくも無い。

そして読む側も著者も訳者も誰も問題視してない事が多い。

皆が数学理論物理論理が完全に再現されているなら問題ないという立場からこのような事態が起きている。

翻訳だって訳す能力より専門分野に関する知識の方がずっと重要視されるし、論理的な構成に変更が無いなら文章の省略・追加・順番変更など平気で起きる。

あと最近数学の専門書の話なんだが、日本語の本を英語翻訳する際に日本語が分からない人が訳してる例なんかもあったりする。

訳者だって数式は別に分かるし日本語で書かれた数学の文は今なら機械翻訳通せば大体分かるからね。

主要な定義定理命題は著者の英語で書かれた論文と同じ分野内英語の本見れば同じものが見つかるので

元の本の論理再現するのは可能な訳だ。

こんなやり方で訳しますよって提案原著者はOKを出してしまう訳だ。

訳者が同じ専門分野で業績ある人だから問題ねえやってね。

こうしてみると一般論として重訳は問題かと言うと全く問題視されない分野もあるという話になるので

一般論で主張するのは無理だよ北村紗衣さん、と言いたい訳です。

ただ山形浩生ピケティ経済学の本を英訳から日本語に訳すのに批判をするのもアリだとは思う。

でもその場合やっぱ日本語訳と原著の両方を読んでから批判した方がいいんじゃないかな。

2022-12-09

anond:20221209135746

石塚

山形氏による訳は大変優れている

フランス語は専門外の人が訳す場合がありしばしば誤訳に悩まされ原著確認する必要に迫られた

・重訳であることによる誤訳は見当たらなかったように思う

不適切な訳があるなら具体的に指摘して直させればよい

経済に詳しい人が訳すべき本であり訳者の選定に誤りはなかったと思う

・あのような専門書の翻訳を引き受けるフランス語翻訳はいないのではないか

anond:20221209163603

このへん、文学研究経済学研究とのあいだの感覚の違いだよねえ。

文学研究、というか人文系あいだには

という感覚があるわけよ。したがって、

という結論になる。正直、こんなのどれも人文系研究者としては当たり前すぎて、反射で「いや直訳させろよ」って思っちゃう案件なんだよな。

ただこれは人文系が、文学作品とか、歴史上の人物書簡とか、とにかく細かな原文のニュアンス大事にする学問からであって、経済学の人が「いや、細かなニュアンスが多少おかしくても、経済学理論問題なく訳せてれば重訳でええやん……」って思う気持ちはわかるし、出版社が「文学作品ならともかく、こんな話題作なら、仕事が遅いフランス語訳者よりささっと出してくれる英語訳者に頼みますわ……」ってなるのもわかる。

外国文学場合は、そもそも読者層が上に書いたような「人文系論理」を内面化してる場合が多いから、多少進みが遅くても直訳した方が出版社利益になるんだよね。「あの○○をちゃんと原文から訳してくれたのか!」って評判になるので。

このへんの制約が緩めなのはジャンル文学かな。『三体』もエーレンデュル捜査シリーズも重訳だけど、みんな気にしてないし。エーレンデュル捜査シリーズなんてアイスランド語固有名詞表記メチャクチャだけど普通に受容されてるからな……。ただこの2作に関しては、「『三体』中国語版は当局意向で改変がなされており、劉慈欣の意向が反映されているのは英語版」とか、「アイスランド語マイナー言語であり、『アイスランド語ミステリコンスタント翻訳できる人』はほぼいないので、重訳でも仕方ない、ないよりマシ」とか、そういう擁護論を組み立てることもできる(実際、ワイはこの理由があるので納得してる)。でもピケティはねえ……フランス語でこんな擁護は無理でしょ……なので北村さんが怒るのもわかるんだよね。

ブコメへの返信はanond:20221211132121で。

anond:20221209135746

北村氏は一貫して版元を批判してる。ただ、訳者本人に対して悪感情があるのは事実っぽい。そもそも、以下ツイートRTしてからその呟きだし。

https://twitter.com/koheisaito0131/status/1599927813234393088

この山形浩生日本では、トマ・ピケティとかアダム・トゥーズとか翻訳してるわけで。そりゃ歪んだ受容になるよな、と。

以下、北村氏のツイート掘って出てきたもの

https://twitter.com/Cristoforou/status/1600392912927600640

最初から私は主に版元を批判してますけど。まあ、訳者も受けるなよ…とは思いますが、ほぼ版元の責任でしょ?

https://twitter.com/Cristoforou/status/1599969809978257409

ピケティ21世紀の資本』は英語からの重訳です。訳者本人が「下手な直訳よりうまい重訳のほうがずっと歪曲は少ない」って自己弁護していますけれども。ピケティちゃんと訳せるうまいフランス語翻訳者がいないとでも?

https://cruel.hatenablog.com/entry/20140711/1405091495

https://twitter.com/Cristoforou/status/1600420864217952256

まさに「蟻の一穴」です。売れ筋で今後も読まれそうな本がそうなるっていうことは、今後に良くない例を残しまから

個人的には、「翻訳の速度優先して仏語訳できる訳者さなかったのは版元の怠慢じゃないの? それやってるとフランス語翻訳文化どんどん衰退しない?」は的を射た批判だと思う。

ただ、この増田を書いている自分経済学には門外漢なので、山形氏はブログを読んでいる範囲経済学知識がめちゃくちゃある分、「重訳でも内容に極端な間違いが発生することはあるまい」と版元が判断したのはそれほどおかしくはないようにも感じる。結局本が売れなかったら出版文化自体が続かないし。

2022-11-30

筑波大学言論封殺し、言論の自由と学問の自由犠牲にしている。

東京都立大学宮台真司教授が何者かに襲われたという衝撃的な事件が起きた。言論暴力によって封じることは当然許されない。強い憤りを覚える。

さて、大学構内で大学教員が襲われたという事件で有名なもの中大事件、そして筑波大学の「悪魔の詩訳者殺人事件だろう。

サルマン・ラシュディの『悪魔の詩』に対してホメイニ師が反イスラーム的とし、関係者死刑を宣告するファトワーを発令し、日本語訳訳者であった筑波大学助教授が何者かに殺害されたという衝撃的な事件だ。最終的に迷宮入り犯人が捕まっていない。

ラシュディも近年アメリカで襲われたりといまだに尾を引いている事件である。なおインドムスリムとして生まれラシュディの『真夜中の子供たち』は最近岩波文庫入りして読みやすくなり、とても面白いので是非読んでみることをお勧めする。

中大事件個人的怨恨であるのに対し、本事件は明確な言論の自由、学問の自由への挑戦であるし、多くの人の印象に残っている事件だろう。

当然、学問の自由言論の自由を守るべき大学としては語り継いでいき、定期的なセレモニーなどを通して大学として言論の自由、学問の自由を再度確認すべきメモリアル事件である


……が、筑波大学は明確にこの事件無視している。

筑波大学歴史が浅い大学ブランド力の弱さを気にしているらしく、前身である東京高等師範学校東京教育大学権威を借りようといろいろと嘉納治五郎(師範学校教授)の銅像を建てたり、朝永振一郎顕彰したりしている。そんなに東京教育大学が素晴らしかったというなら潰すなよ。

それはともかく、その最たるもの筑波大学ギャラリーなのだが、ここには筑波大学の「悪魔の詩訳者殺人事件の展示・記述は一切ない。誰もが認める大学史、言論史上に残る大事であるにもかかわらずだ。

https://www.tsukuba.ac.jp/about/campus-gallery/

秋野豊博士というタジキスタン国連政務官として平和維持活動中に凶弾に倒れた先生の展示はある。

寡聞にしてこの秋野先生という方は存じ上げないが大事な方だったろうとは思うが、ニュースバリュー・事件重要性を考えればここに並んで悪魔の詩訳者殺害事件で倒れた五十嵐助教授の展示がないのはかなり解せない。

遺族側と仲悪いのか?とも考えられるが、近年出た記事では遺族側は事件の風化を気にされており、大学側の顕彰を拒むとは思えない。

では、何故筑波大学歴史からこんな重要事件が葬り去られているのか。その答えは、近年の大学(ひいては文科省)の方針にある。

筑波大学指定国立大学として、国から高い目標を掲げさせられている。その中で重要KPIとして設定されているのが留学生数だ。

留学元は大抵の大学がそうである通り、アジア圏が多い。中国韓国はもちろんだが、筑波大学中央アジアアラブ圏とのつながりも強く、学内でもイスラーム圏の留学生を観ることは多い。

これで答えが出ただろう。イスラームから留学生を受け入れ大学として数値目標を達成するためには、殺された五十嵐助教授は闇に葬られなければならないのだ。

本来であれば、大学として許されざるテロであることをイスラームから留学生にも理解してもらう努力をすべきだと思うのだが、その努力放棄大学言論の自由と学問の自由犠牲にして大学としての達成目標をとったということだ。

学生運動渦巻く東京教育大学を潰して、文科省肝いりで作ったトップダウン大学である以上、仕方ないかもしれない。だけれども、五十嵐助教授大学短期的な利益のため大学からも葬られていることに強い憤りを覚える。

anond:20221130204714

もう読まないと思うじゃん?でも今後、様々な読書経験を積んでいくと、例えば10年後とかライフステージが変わったりしたときに、ふと読み返したくなるんだよ。

海外文学訳者に注目して選書するのもおすすめです。

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