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2019-12-14

anond:20191214180641

どちらであれ、王子という地位ステータスは変わらない。

その時点で、野獣の外見で選ばれた。

 

そのまま=得に何の問題もない

概観を変える=すでに選ばれているから、選ばれる可能性は増えない。 そりゃ選ばれないに変わる可能性はある。確率論上は選ばれない可能性が増えるだけのリスキー行為というのは昔から変わってない。

2019-11-26

生理バッジの作者、性加害を戯画化する漫画を描いていた

生理バッジを生んだ小山健氏、性加害を戯画化する漫画を描いていた

生理ちゃん』の作者である小山健氏は、女性への性加害をギャグマンガにしたり、それどころか「時効」と題して「【侵入した女子トイレ】で【使用済み生理ナプキン】を手に取る」過去行為マンガで自ら明らかにしたりしていた。

https://twitter.com/Haruka_5748/status/1198263872802541568

https://twitter.com/tachimimi_makio/status/1197920591384154112

https://togetter.com/li/1434909

 

近頃、大丸の「生理バッジ」が議論を呼んでいる。

店員月経バッジにて明示するというこの大胆な試みには賛否両論あり、概観する限りでは「便利でいい」と支持される一方で、「セクハラ」や「変態へのご褒美」との批判が根強く多数派を占めている(特にTwitterでは)。

生理バッジ」は、漫画作品生理ちゃん』とのコラボ企画で、オモコロ掲載された「ツキイチ!生理ちゃん」の第19話に初登場。ネット上の各所で話題になった。

https://omocoro.jp/kiji/199147/

作中では、「生理バッジ」に否定的な人たちはあたか保守的であるかのように描かれていて、女性社会の中で前進するには「生理バッジ」が重要なんですと言わんばかりだ。

年配の女性否定派、西洋人を賛成派、との描き分けをするあたりがいかにも恣意的で、作者の意図があからさまに反映されている。

しか生理バッジは、果たして本当に「女性のため」になりうるのだろうか。

実際には、「生理バッジ」で女店員下半身個人情報公共に明け渡すことで、女性身体への社会管理や消費を強化しているにすぎないのではないか

上半身裸になる欧米フェミニストと同様、文脈が共有されないために、かえって女性の物象化を促しているだけなのではないか

本当に必要なのはバッジなどではなく、月経困難症などへの社会から理解なのではないか

さて。この第19話が閲覧できるウェブページには、「今回の「生理ちゃん」は株式会社大丸松坂屋百貨店への取材をもとにしたフィクションです。」との注意書きがあり、こうして、案の定大丸梅田店にて「生理バッジ」が現実のものとなったのだった。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191125-00030892-forbes-soci

記事を読む限り、大丸立場は、作中に描かれた百貨店(の女店員であるヒロイン)と同じく「生理バッジ」には肯定的で、先進的な取り組みとして前向きのようである

しかし先述したように、この取り組みには批判が集中している。

否定意見は「生理」に対して保守的な人たちから? 違う。

保守的でなくともその過激さを指摘する声は少なくなく、男女問わず、女店員の「セクハラ被害では、との意見が中心だ。

そしてTwitterでは女性意見の方が目立つ。下半身状態晒し変態へのご褒美」を与えてしまう苦行、との見方が大方共通している。

 

そんな中、「生理バッジ」の生みの親である、『生理ちゃん』の作者小山健氏の過去過去作に注目が集まった。

(冒頭と同じURL

https://twitter.com/Haruka_5748/status/1198263872802541568

https://twitter.com/tachimimi_makio/status/1197920591384154112

https://togetter.com/li/1434909

小山健氏は、女性への性加害をギャグマンガにしたり、それどころか「時効」と題して「【侵入した女子トイレ】で【使用済み生理ナプキン】を手に取る」過去行為マンガで自ら明らかにしたりしていたのだった。

もともと『生理ちゃん』には女性から否定的な声もあった。

男性の作者が月経について語っているのが気持ち悪い、との声は、極端に受け止められるだろうが、しかその男性作者が小山健氏となると話は別だ。

気持ち悪いとの声は、今思えば、作品の背景にある欲望直感した真っ当な感想だったと言えるだろう。

(本論からは多少逸れるが)さらにこの漫画の特徴として、女性の読者に寄り添っているという錯覚を与える技巧に秀でている点が挙げられる。

この漫画は、「ツキイチ」第19話に限らず、生理に関する物事について、とかく二元論的に語りがちである二元論的に捉えるよう読者を誘導し、その二元論選択肢からわかりやすい「正答」を選び出し、作者が読者と同じ価値観もつ味方だと、読者に錯覚させる手法が頻々と用いられている。

結局のところ小山健氏は、性加害さえも戯画化する強烈なギャグ漫画家と、生理ネタ女性読者からの支持を集める「チンポ騎士団員」とのハイブリッドであると匂わせる状況証拠を、とうに出揃わせていたのだった。

これではやはり「女の敵」「生理の敵」としか判断されようがないのではないか

2019-10-24

田中亜以子さんの論考が滅茶苦茶

「感じさせられる女」「感じさせる男」という役割は、いつ生まれたか(田中 亜以子) | 現代ビジネス | 講談社

これな。中を読めばなるほどと思わされる近現代面白いトピックがたくさん書いてあるんだけど、それはいいんだが、総論があまりにおおげさじゃね? 「男性女性を『感じさせる』セックスデフォルトとする価値観誕生は、20世紀初頭の西欧に見出すことができる」とある。マジかよ、と驚いた。

とはいえ女性受動的、男性能動的とする当時の性別観は強固に維持された。(中略)『感じさせられる女/感じさせる男』の誕生である」ともある。そこに至る論旨がよくわからないんだが、なんか「女性受動的、男性能動的とする性別観」イコール「感じさせられる女/感じさせる男、という性別観」であり、そんな価値観19世紀以前の地球人類には存在しなかった、と言ってるように読める。そりゃいくらなんでもおおげさじゃねーの。

そんなに最近まれ特殊価値観だとしたら、「昔のセックスは男女対称だった」という例が,いくらでも挙げられるハズだ。しかしどこまで読んでも、それは、ない。ないのはどう考えてもオカシイんだが、そう指摘するブコメもない。春画では男女が対称的に絡み合ってる、という仄めかしが冒頭にあり、全体の締めに「性的快楽平等は、女性リプロダクティブ・ライツ保障はもとより、社会的女性男性と対等な存在となることなしに、ありえない。そして、そのときこそ単純な『感じさせられる/感じさせる』という性役割消滅しているのではないだろうか」とあるが、その割に、江戸時代町人男女は社会的に対等で性的に対称だった、のかどうか、踏み込んだ検証もない。なんでないの。ないならなんで仄めかすの。

オスがアプローチし、
諾否の決定権はメスが持つ。
オスが攻めでメスが受け。

その構図が、西暦1900年以降の西欧発明されたものだっちゅーの? アホか。地球上の大抵の虫も鳥も、カメレオンクジャクラッコカメも、そういうふうになってるじゃないか。それでも普遍的とは言えない、というなら別にそれでいいけど、数億年単位歴史があるものを「誕生は、20世紀初頭の西欧」って、ないわー

◉◉

精子は貧弱だが活発で無尽蔵、卵子は富栄養だが不活発で希少である。種の生存戦略としてそれが普遍的な正解だとは言わない。原初地球原初の海の所与の条件下で、たまたま結果としてそういうタイプ勢力を拡大した、ということなのかどうか、まあとにかく事実としてそうなった。そういうタイプ生物於いては、オスが遺伝子を残す確率は、ほぼ、孕ませたメスの数に比例する。要するに、片っ端からヤリたがるのが正しい。

一方、メスはいくらヤッたって、一繁殖期当たり、通常一体のオスの子しか孕めない。当然、遺伝子を残す確率を高めるには、相手を厳選しなくてはならない。クソみたいなカスみたいなオスに孕まされたら一巻の終わりだ。なにせ卵子は希少なのだからヤリチン英雄だがヤリマンは愚か。例外は「タマシギ」くらいしか知られていない。

ヒトの場合で言うと、オスは1年で300人を孕ませることだって(3000人だって原理的には可能だが、メスはその間、一度しか妊娠できない。クソみたいなオスのアプローチを、時にかわし時に撥ね付け、同時に一方では懐妊のタイムリミットも気にしつつ、落としどころで妥協して決断して受諾するしかない。人気ブコメに「女が『やらせてあげる』(男が『やらせてもらう』)っていう表現意識絶滅してほしい」というのがあるけれど、そういう意識の根源はここにあり、絶滅はなかなかむずかしいと思う。「誕生は、20世紀初頭の西欧」って、ないわー

◉◉

昔のブンガクの話をする。好色一代女は、「堂上家の姫君に生まれた一代女が、その道を踏み外して、快楽と苦悩とのないまぜになった売春生活の末に、次第次第に転落し、太夫から天神私娼へと堕ちてゆく」話で、1686年刊、とWikipediaにある。

あるいは八百屋お七。これはどこまでが史実でどこが創作文学なのかわからないんだが、大火で焼け出されたうぶな少女が、避難所遊び人にヤラれちゃって忘我の境地を知りメロメロになり、そのオトコに逃げられて想いを募らせ罪を犯すという話が、当時も、現代においても、深い同情と共感を呼ぶ。

あるいは竹取物語。男たちが求婚し、諾否の決定権は女が持つという、まさにそういう構図の話だ。

あるいは「逢ひ見ての のちの心にくらぶれば 昔はものを 思はざりけり」とか「つれなのふりや すげなのかおや あのようなひとが はたとおちる」とか、どうですか。エロいでしょう。西洋寓話には「眠れる美少女イケメンキスで目覚める」というのが多く、男女逆のは聞いたことがない。あれも、そういうことじゃないんですか。

あるいはオウィディウスの「恋愛指南」(複数和訳があるらしい。以下はネットで拾いましたすみません)。「私は[女が]自分の喜悦をついもらす声を聞くと嬉しくなる。私に待ってくれとか、こらえてくれとか、いってくれるのは嬉しい。女の愛の狂的な、もう参ったという目つきを見たいものだ。彼女をぐったりさせたい。もうさわってくれるなと拒ましめたい」「目当ての女性の膝に塵が落ちかかるようなことがあったら、指で払い取ってやらねばならぬ。たとえもし塵など全然落ちかかってこなくとも、やはりありもせぬ塵を払い取ってやりたまえ。なんでもいいから、君が彼女に尽くしてやるのに都合のいい口実を探すのだ」「接吻を奪ってからは、満願成就までなにほどのことがあろうか。ああ、なんたることぞ。そんなのは恥じらいではない、野暮というものだ。力ずくものにしてもいい。女にはその力ずくというのがありがたいのである。女というものは、与えたがっているものを、しばしば意に添わぬ形で与えたがるものだ」紀元前の書らしいよこれ。

これらに接して素直に浮かぶ感懐は、オレの場合、ああ、エロ事情って二千年前から変わらねえんだな、というものです。お前ら様はどうですか。ちなみに怪人小谷野敦は、怪著『もてない男』の中で「近代以降と中世以前との違いばかり強調するのがいまどきの流行だが、共通点だって普通にある(大意)」と述べている。「誕生は、20世紀初頭の西欧」って、ないわー

◉◉

まあブンガクは置いとくとして、「ほとんどの生き物が、オスが性的アプローチし、諾否の決定権はメスが持つ」というのは、珍説でもなんでもなく、大抵の人が知っているはずの事実だ。「ほとんどの生き物で、まあ控えめに言ってもほとんどの哺乳類で、メスは交尾の間、ただじっとしている」というのも「ヤリチン武勇伝として語られがちだが、ヤリマンは呆れられる」というのも、大抵の人が知っている。「男の性欲は視覚からでも、あるいは内なるリビドーからでも一瞬で火が点くが、女の身体時間をかけ手順を踏んで優しい接触から始めてもらわないとなかなかスイッチ入らない」とか、「多くの男は射精快感自然に知るが、多くの女は上手な男に上手に開発されないとなかなか目覚めない」とかいうのも、まあ俗説かもしれないが、フェミ勢を含む多くの人が直感的に、かつ体感的に、認めているのではないか

若い女可愛い」というのも、無視できない。もちろん筆者なら「それこそまさに社会押し付けジェンダーロール」と言うだろうが、本当にそうか。「ヒトは、小さくてすべすべでふわふわで声の高い生き物を可愛いと感じ、愛でたくなるようにチューニングされている。子育てに有利だから結果としてそういう特性が優位になった」という仮説は、そんなにおかしくないと思うんだが。写真を見るとこの筆者自身、明らかにオレより可愛い

「オスが攻めでメスが受けなのは性器の形状から考えても当たり前」というような一見バカっぽい主張だって、「いつ生まれたか」を本気で考えるなら、当然アタマをよぎるはずのファクターだ。

なぜ、それらをすべて無視して、20世紀初頭の西欧なのか。

それは、「いつ、なぜ生まれたか」を、本気で考える気がないからだ。

この人は「それは社会的刷り込みに過ぎない。それもごく最近の、特殊な」という結論ありきでものを言ってる。だから、その結論に都合の悪い話は無意識スルーする

◉◉

ホニャララという価値観はなんら普遍的ものではない」式の主張は、確かに快刀乱麻感があって気持ちいいが、そもそも価値観というものはすべて何らかの偏りであり、したがって「普遍的ではない」のは当たり前だ。それだけでは「価値観価値観だ」と言ってるのと変わりない。

それが意味を持つのは、ホニャララフリー世界も意外に広い、という事実とセットの場合だけだ。例えば「チョンマゲはカッコイイという価値観」に対して、「チョンマゲを奇異に思う世界の方が圧倒的に広い」と提示することには意味がある。また例えば「食事というもの主食とおかずから成る」と思い込んでる人に、そうでもない文化圏存在を示せば、有益な目ウロコ落としになるだろう。だが「感じさせられる女」の論考には、男女が互いに感じさせ合う文化圏も意外に広い、というような例は、ぜんぜん出てこない。

そんなら、最初からこう言えばいいんだよ。「普遍的かどうかとか、いつ生まれたのかとか無関係に、私はその価値観が嫌いだ」と。「想像してごらん、男女が対称的なセックスを。私を夢想家だと笑うかい?  But I'm not the only one. I hope someday you'll join us」と。

オレは「セックス快感の授与と受容において、男女はもっと対称的であるべきだ」という、なんとなくジョンレノンっぽい主張を、批判する気はない。特に賛成でもないが反対でもない。そう思う人はそう主張すればいいと思う。少なくとも、悪い意見じゃない。

また、男女の性行動の非対称性自然根拠があるからと言って、「自然根拠があるから肯定・維持すべきだ」とも思っていない。例えば「痴漢は男が多い」ことには、生物としてもっともな理由があると思うけれど、だからといって痴漢擁護する気はない。いくら本能的にもっともであっても、否定されるべきことというのはある。

からね、その主張自体は、べつにいいんだよ。ただ、その主張を強化するために、客観を装ってもっともらしい嘘を述べ、あるいは誰かのもっともらしい嘘を本気にし、それをあたかも確定した事実であるかのように無批判引用し、自分の主張の根拠とし、都合の悪い要素はスルー、という、その姿勢がイヤだ。恥ずべきだ。

◉◉

オレの方こそ些細な点をおおげさに問題にしてるのだろうか。

例えば「そういう価値観は太古からある。ちょっと20世紀初頭の西欧から概観してみよう」とでも書いてあれば何も文句はないんだし、脳内さらっとそう読み換えて流すのが大人のたしなみなのかも知れない。だけどさー、「いつ生まれたか」というタイトルで、いやまあタイトルなんてものはね、著者の意向無関係編集者が後から勝手につけたりするもんだけどね、これの場合は本文中に「本稿では、『感じさせられる女/感じさせる男』という役割が、そもそもどのようにしてつくられていったのか、その歴史的経緯を概観したい」と書いた上で、直後に「誕生は、20世紀初頭の西欧」って、はっきり書いてあるんだもんよー。長くてごめんねー。

2019-10-21

[番外編]ラグビーW杯 準々決勝概観準決勝展望

こんにちは

レビュー増田です。

日曜の日本×南ア戦、結果は少し残念なものとなったが、ちょっと苦し紛れっぽくポストしたプレビュー試合の見所を紹介でき、観戦の良い補助線になったというコメントいただき、多くの人に楽しみを提供できたかもしれないと思うと嬉しかった。

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日本代表の試合となると、勝ち負けの結果が最大の観戦ポイントとなるのは避けがたいが、そうなると負け試合になった時、ただ悔しい、辛い、つまらない、みるんじゃなかった、という思いも心に湧き上がってしまう。

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増田としては、それだけではなくて、事前に何をもって戦いに臨み、実際にフィールドで何が起きているのか、というところに目を向けて、このスポーツ面白みを発見できる見方を知って欲しかった。

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また、見方において日本戦だけでなく他の試合においても思うところあり、スコットランド戦レビューでも触れたように、「勝者の物語」はまた「敗者の物語」という側面を持っている。

日本に敗れたチームや、強豪に敗れたチームの詳細にも触れて、普段の観戦よりもう少しだけ多くの視点から風景を共有したいと思った。

そう言った意味では、ウェールズ×ジョージア戦や、ちょっと説教を頂いた日本×スコットランド戦レビューも、その遂行面ではともかく、視点としてはまあまあ気に入っている。

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さあ、準々決勝の4試合だが「多分リアルタイムで観るの難しいっぽいなー」と言っていたものの、蓋を開けてみるとクアラルンプールから帰国便は6時間余りあり、機内のモニタでも国際スポーツチャンネルがあったので、19日の2試合リアルタイム観戦ができた。

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さらに、南ア戦の翌日は1週間の旅の疲れを癒すために休暇をとっていたので、オンデマンド放送ウェールズ×フランス戦も観戦できた。

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詳細なレビューは書ききれないが、これらの試合概観し、準決勝展望についても触れたいと思う。

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イングランド×オーストラリア試合は、伝統的な重くてシンプルフィジカルラグビーに4年で鍛え上げた強力なオープン攻撃を組み合わせたイングランドの「進化フィジカルラグビー」と、「ストラクチャー」ではあるが地上戦のランで組み立てる今となってはクラシカルオーストラリアの「シークエンスラグビー」の激突となった。

シークエンス台本)」と言いながらも、オーストラリアはその布陣においてSHウィルゲニア、SOのクリスチャン・リアリーファノ、FBカートリービール試合タクトを振れる3人を並べ、トリプル司令塔攻撃冗長性と予測不能性を加えていた。

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しかし、その3人をもってしてもイングランドの強固なディフェンスの穴を見つけることができず、長時間ボール支配したにも関わらず、その時間に見合ったスコアを獲得できなかった。

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スタッツをみることができるなら、「ボール支配率(possession)」と「ゲインメーター(meters made)」に注目してほしい。

オーストラリアは62%もポゼッションし、イングランドの2倍以上の距離メイドした。

にもかかわらずスコアにはつながっておらず、これは多くの場合エラーディフェンスにあって突破ができなかったという事で、非常に効率の悪い攻めをしていたことを意味する。

このことの視点をひっくり返してタックルに注目してみると、イングランドタックル数において86回のオーストラリアに倍する193回のタックルを見舞っていたにも関わらず、オーストラリアの13回のタックルミスに対して21回のタックルミスしかしていない。

6.6回に1回捕まえられなかったオーストラリアに対し、倍の数を試して10回に1回しかミスしていないということだ。

イングランドディフェンスのなんと強固なことか。

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効率無視したメーター数と運動能力で圧倒するのはオーストラリアスタイルであり、簡単に変えるのが正しいとは言い切れないが、ボールを持たずに白い壁を作り、切り返しからの一発で獲るのもまたイングランドスタイルであり、オーストラリア自分たちプランに持ち込めたが、遂行の面でイングランド問題を突きつけられた、という形になった。

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オーストラリアイングランド、双方のHC、マイケル・チェイカエディー・ジョーンズコーチボックスでブチ切れる事で名高いが、フラストレーションの溜まる展開も、結果はかなり一方的ものとなり、チェイカはキレるというより憮然としてしまった。

こうしてイングランドが準々決勝に次いでまたも準決勝に一番乗りした。

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スタイルを貫いたのに壁に跳ね返される展開となった第一試合だったが、第二試合増田さらに息を呑むような衝撃的な光景を目の当たりにする。

ニュージーランド×アイルランド

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今年のテストマッチオールブラックスを破り、直前まで獲得した世界ランキング1位を引っ提げてW杯に乗り込んだアイルランドだったが、彼らはその「1位」という数字の当てにならなさを残酷なまでに突きつけられた。

もっと確実な数字で。

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36%しか獲得できなかった「地域獲得率(territory)」、オールブラックスと比して8割ほどの回数はボールキャリーできたのに半分ほどしかメイドできなかった「ゲインメーター(meters made)」、クリーンブレイク僅か2回、そして最終スコアの46−14は、「どんなプランを持っていたにせよ、ほとんど何もさせてもらえなかった」という事を意味する。

守備においては悲劇的ですらある。

オールブラックスとほぼ同じ回数タックルを見舞っていたにも関わらず、2.5倍もタックルミスをしてしまい、8回ものターンオーバーを喫している。

実際見ても、あの緑の壁が地上戦でズルズルと下がっていたのは恐ろしい光景だった。

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オールブラックスはアーディー・サヴェア、ブロディ・レタリックなど強力FW陣が躍動し、コーディーテイラー、デーン・コールズ(驚くべきことに2人ともFWだ)、ジョージブリッジなどの驚異的なランナーが次々とラインを破り、アーロンスミスボーデン・バレッドがその閃きで違いを作り出したが、増田個人的POMとしてSOのリッチー・モウンガを挙げたい。

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この地味な司令塔は、敵陣に侵入し、すわ驚異的なアタックが始まるぞという時でも、デフェンスラインが浅いとみるやゴロパントを蹴って22mのさらに深くからセットプレー相手に強い、ボールが暴れるやドリブルで蹴だしてボーデン・バレットへ脚でのパス

黒子に徹しながらも異常な反応速度と驚異的な回転の早さで黒衣の王者を動かした。

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後半2トライを奪ったアイルランドだが焼け石に水

緑の巨体を一蹴したオールブラックスが今度は白い壁がまつ準決勝に駒を進めた。

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かい数字の話が続いたのでスタッツからは少し離れることにしよう。

ウェールズ×フランスは、準々決勝で唯一、1点を争うクロスゲームが演じられた。

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緑の芝に赤と青のユニフォームが映える一戦は、個人の閃きで予測不能攻撃を仕掛ける青のフランスに対し、壁を作って切り返し、直線的なランとハイパントサインプレーからの一発を狙う赤のウェールズという展開となった。

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前半からボール支配し、次々と不確実性を突きつけるフランスに対し、守勢に回るウェールズは、数少ない攻撃のチャンスを得ても、ダン・ビガー、ガレス・デービスリーアム・ウィリアムズ個人しか出来ることがない。

そもそもウェールズは3フェイズ以上の攻撃になるとすぐに手詰まりを起こしてしまい、そこから先はキック個人技と密集戦くらいしかやることがなくなってしまうのだが、その3フェイズの切れ味で尸の山を築いてきたチームだ。

ボールをもってジャズセッションを奏でたいフランス相手に気分良い時間提供してしまう。

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しかし、しかしだ、フランスにはなぜかW杯で顔を出す、悪い、致命的に悪いクセがある。

前回W杯で密集のどさくさに紛れてオールブラックスリッチー・マコウに芝との挟み撃ちにするプレスパンチを繰り出し退場者をだした様に、今回もLOセバスティアン・ヴァーマイナモールのどさくさに紛れてウェールズ選手に肘打ちを見舞ってしまう。

しかもこれがレッドカード

掲げられた赤いカードは同じ赤のジャージを着たウェールズにとっては幸運カード、青のフランスにとっては逮捕状に見えたことだろう。

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ここからウェールズは徐々に息を吹き返し、ついには土壇場で勝負をひっくり返した。

フランスは優位に進めていた試合を自ら壊してしまい、涙を飲むことになった。

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W杯が始まってからというもの、「あーこりゃマズいな」という状況を執念でひっくり返し、薄氷勝利の道を踏み抜かずに歩き続けるウェールズは感嘆に値する。

毎度毎度、怪我人の穴埋めで呼び出されて司令塔になるW杯男、ダン・ビガーは、男であればこうありたいと思わせる勝負強さだし、肘打ちを食いながらもPOMに輝いたアーロン・ウェインライトは全てのパパが見習うべきで、父たるもの大男はちょっと厳しくてもヤンチャな娘の肘打ちくらいには耐えないといけない。

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土壇場に強い男たちの活躍準決勝3番目の椅子ウェールズのものとなった。

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そして準々決勝最後試合は昨日のレビューで書いたとおり。

4番目の椅子の獲得者は南アフリカだ。

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準決勝ニュージーランド×イングランドウェールズ×南アフリカという組み合わせとなった。

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ここで準決勝2試合展望について考えてみたいと思う。

ニュージーランドイングランドの対戦は実力伯仲だ。

ここまで圧倒的な強さを見せつけるオールブラックスだが、相手に付け入る隙を与えずねじ伏せてきたのはイングランドも変わらない。

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しかオールブラックスが優位に試合を運ぶのではないだろうか。

重厚クラシカルスタイルから進化して、未来フィジカルラグビーとでもいうべき戦法で次々と対戦相手を沈めてきたイングランドだが、その選択肢の多さが逆にオールブラックスの付け入る隙となるかもしれない。

いっそランニングを捨てて激しく前に出る高速ディフェンスによってオールブラックスモメンタムがつく前に潰し続け、ロースコアの展開に持ち込んだほうが勝機が見えて来るのではないかとも思う。

オールブラックスとしては、いかにして前に3mのスペースがある状態ボールを持つかということになる。

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名将スティーブハンセンと、勝負エディー・ジョーンズの采配に注目だ。

また、エディーがいつコーチボックスでブチ切れるかにも注目だ。

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南アフリカとウェールズの戦いに関しては、ともにフィジカルを盾にしたディフェンスに特色のあるチームであり、小細工を弄するような対戦になると考えづらい。

双方ともペナルティゴールを積み上げた上で、試合合計でも3個以内のトライを奪い合う展開になるのではないかと思う。

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自分自尊心を守る為に見えてるものに目を瞑る誘惑には耐えなければいけないが、それでも南アフリカが優位にゲームを進めるのではないだろうか。

南アフリカの方が取れる選択肢が多い気がするのだ。

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翻って必殺の一撃が世界最高クラスフィジカル相手にも通じるのか試さないといけないウェールズだが、どうもクロスゲームには縁があり、かつて日本相手テストマッチでも70分過ぎのドロップゴールで逃げ切った経験がある。

今回ももし75分を過ぎて手が届く点差なら何でも起き得る。

渡りうまい大男達がまたも勝負の谷を超え、頂への挑戦権を得るだろうか。

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日本の挑戦は終わったが、W杯で残された4試合はいずれも興味深いものばかりだ。

みんなも是非もう少しお付き合いいただきたい。

anond:20191020231916

2019-10-19

[番外編]ラグビーW杯 準々決勝 日本 vs 南アフリカ プレビュー

1週間のご無沙汰、レビュー増田(ありがたく名乗ることにした)です。

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これがポストされる19日は、イングランド×オーストラリアニュージーランド×アイルランドという非常に興味深い対戦が行われ、レビューのしがいがあることは間違い無いのだが、実は増田はこの1週間、所用で日本におらず、帰国日がまさに19日の夜になる。

なので、これらの対戦をレビューしてポストする頃には、日本×南アという大一番に皆が集中していることになるだろう。

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そこで、今回は番外編として、前回の日本×スコットランド戦でも触れたように、増田マレー半島北上しながらボーッと考えた南ア日本が取りうる選択肢展望について触れ、プレビューとしたい。

プレビュー分析すると良いのが、「双方や一方の戦略戦術機能せず、パッと見で凡戦や圧勝劇なったとしても、そこに遂行にまつわるドラマを感じることができる」という所だ。

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このプレビューで、みんなが事前に自分なりの注目ポイントを見つけることができ、より楽しく観戦できれば最高の喜びだ。

因みに前回のレビュー羽田空港外国人に囲まれながら試合を観戦し、翌朝クアラルンプールからポストした。

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4年前のW杯アップセットを演じ、今回も驚異的な戦績でプールAを突破した日本だが、直前のテストマッチの結果が示すように、地力南アには及ばないのは間違いない。

10回やって6回勝てる相手なら地力で優っているとも言えるだろうが。

NZ地元紙が予想した日本勝率24%というのは妥当とも言えるし、むしろ好意的だとも増田は思う。

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まずもっての所、ノックアウトランド勝ち点制でないので、すべての国が点数の大半をペナルティーゴールであげるような「堅い」展開になりやすい。

南アフィジカルを盾にしたディフェンシブでセットプレー中心のぶつ切りラグビーを得意とする国で、そういったゲーム大好物だ。

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また、それは現在メンバーにも現れており、司令塔、SOのハンドレ・ポラード地元南アスーパーラグビーチーム、ブルズで正にそういうゲームタクトを振っている。

ここで出てくるのが、ツーブロックなのかモヒカンなのか微妙髪型の控えSOエルトン・ヤンチースであれば、小柄ながら強気プレーでもって鳴らすSHファフ・デクラークとの連携ボールを回すオープンな展開になるのだろうが、初期代表チームでこのコンビの結果が出なかったため、ポラードの固定となった。

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その後、南アはでかい身体ですぐキレるLOエベン・エツベスや、大会最高クラス長身で掴み合いになると笑顔になるのが怖いLO RGスナイマン、一転してナイスガイオーラが滲み出る大男FLピーター・ステュフ・デュトイ、怖いとかナイスガイとかもうそういう話じゃなくてプレー身体も顔もなんかサイボーグっぽいHOマルコム・マークス、そんな中でどこか哲学者のような雰囲気を漂わせるキャプテンFLシア・コリシなどのFWが中心となった堅いラグビーを基本としながら、「ポケットロケットWTBチェスリン・コルビや、海外中継などだと「マッピンッピ!」と独特のアクセント名前を呼ばれる俊足WTBマカゾレ・マピンピ、直前のテストマッチ連続トライを挙げたワンダーボーイSHハーシェルヤンチース(本日2回目のヤンチース)などを加え、身体をぶつけてよし、走ってよしの非常に攻略しづらいチームになってしまった。

因みにシア・コリシは極貧の身からラグビーのし上がり、功なり名を遂げると、幼い頃に生き別れになった腹違いの妹を自力で探し出し、非常に煩雑な法的手続きを経て養女として迎え、共に暮らしているという。

知的人物として知られ、FW戦には付き物のジャッジ解釈をめぐるレフェリーとのコミニュケーションバッチリだ。

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おそらく南ア戦略ファーストチョイスは、ここ一番の時にオールブラックスさえ封じ込めるやり方、ハイパントを上げて着地点の競り合いやキャッチ後の攻防で直線的にドカンカン身体を打つけ、ボールを前に落とすノックオンからスクラムを狙ったり、ボール争奪戦で時に頭を突っ込み、時に圧力をかけて日本規律を崩してペナルティー獲得を狙うというものになるのではないかと思う。

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マイボールスクラムになったらまた直線的に走ってスクラム脇を急襲し、身体を打つけて1コマ前に戻る。

接点の圧力対応するため日本が人数を集めれば、さあ外のスペースに展開だ。

強力なランナーがいる。

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もっと良いことにペナルティーを獲得した場合、素直にペナルティーゴールで3点を狙うか、タッチキック前進してトライを狙うかは考えどころだ。

タッチ前進したあとの狙いは、立っての密集、ドライビングモールとなる。

日本は今大会スクラムになかなかの強さを見せるが、モールは止め切れていると言い難く、フィジカル絶対の自信を持つ南アが3点で満足せず、これを狙ってくる確率は高いとみる。

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日本としてはこの展開になりたくない。

なので、アイルランド戦やスコットランド戦で見せた、「ボールキープして攻撃時間を使う」という戦術が考えられる。

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しかし、ここで問題になるのが日程と経験値だ。

今回、南アは十分な休養日があり、たとえ守り通しの展開になっても、体力切れは起こしづらい。

それに、地上戦身体をぶつけ続けると、その衝撃で消耗してしまい、日本の方が先に体力切れになってしま可能性がある。

キープするならどのタイミングで繰り出すかが悩みどころとなる。

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さらに悪いことに、南アの多くのプレイヤー日本の早さや多彩な攻撃、意外と侮れないフィジカルの強さなどを「感覚的に」知っている。

これは日本代表クローンチーム、サンウルブズスーパーラグビーに参戦して数年来南アのチームと対戦し続けているのと、南アの多くのプレーヤーがジャパンラグビートップリーグプレーしているためで、お互いに顔見知りの選手も居るくらいだ。

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そこで考えられるのが、サモア戦で日本がとった、「ボール相手の背後に蹴って背走させ、身体接触を避けながら前進し、走力を削る」というやり方なのだが、これも蹴ってしまう事には変わりないので、相手が充分なところに蹴ると、正に相手好みの展開の呼び水となってしまう。

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大会日本ディフェンスはよく機能しているが、国際的日本評価は「恐ろしく早いテンポの多彩で素晴らしい攻撃と、脆弱守備を併せ持つ、『よく取るけどよく取られるチーム』」というもので、増田から見てもそういうチームであって、できれば守勢には回りたくない。

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南アが唯一対応に後手を踏む可能性があるのは、ボールがあっちに行ったりこっちに行ったり、攻守の交代が目まぐるしくなる「アンストラクチャーラグビー」の展開だが、その起点がハイパントだったりすると巨人揃いの南ア空中戦で競り勝たないといけない、ということになる。

ハイパントキャッチが「当たりの日」じゃなかったら果たしてどうやってここまで持ち込む?

アンストラクチャーのもう一つの起点は相手が持ち込んだ密集、ラックボールを無理やり引っこ抜いたり、激しいタックルで落球を誘い、有利状況の反則流し(アドバンテージ)で相手が攻めから守りへ切り替えられないうちに走り抜けるというやり方だ。

こうなってくると姫野やリーチ大阪弁第二外国語のトモさん(トンプソンルーク)に頑張ってもらうしかない。

エツベスがまたキレるかも、とか考えてる場合ではない。

というか、むしろソレについて考えなければいけないのはシア・コリシの方で、大体において宥めてしまうので期待薄だ。

あとデクラークも小さい身体で掴み合いには一歩も引かず、何だったら自分から掴みに行く勢いなので、危なっかしい事この上ない。

シア・コリシの胃壁の強さには感嘆するばかりだ。

あ、マルコム・マークスは大丈夫。彼は多分そういうの超越してる。

まあそれは良いや。

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日本はこれらの考えられる展開の中で、今まで挙げた戦術を切り替えて勝利の緒を探すかもしれない。

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ランキング1位だったアイルランドと5位だったスコットランドを倒したからいけるっしょ、と思いたくもなるが、このように概観した上で考えると、相性で見たところはそれら2チームより遥かに悪いのが現状ではないだろうか。

日本は相性最悪の強敵を前に、わずかな隙間に手を突っ込んで勝利へのドアをこじ開けるプランを見つけなければいけない。

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注目は最初の15分に日本ボールを持った時に蹴るか・キープするか、その後さりげなく戦術が変わっていないか前後半で戦術修正が入るかというプランのところと、地上の密集・ラックでどちらが優位に立つか、ファーストスクラムがどちら優位になるか、エラーや反則の数が時間と共にどう増減するかという遂行のところだと思う。

みんなはここを見てみてほしい。

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果たして試合は4年前の再現となるか、4年越しのリベンジとなるか。

増田普段序文で書く話を今書いてしまったので、レビューで何を書こうか、ちょっと不安だ。

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あ、あと日テレの実況が酷いという意見散見されるが、以前はラグビー界の松木安太郎にならんとして感情爆発実況をしていた元代表とか「いや、展開の複雑なラグビーでそれはちょっと」みたいなのもあったんだから、それを踏まえた上で、今回、数年来みずから映像編集してまでミニ番組Youtube配信ラグビー普及に尽力してきた日テレ安村アナはなかなかい仕事をしている思うぞ。

anond:20191014075520

2019-09-21

ラグビーW杯 21日第2試合 ニュージランド vs 南アフリカ レビュー

前のレビューをみんな読んでくれて、ラグビーの見所が伝わったというのが嬉しいので、注目の対戦カードが立て続けに3試合行われた21日の試合も続けてレビューすることにする。

義務感は感じてないけど、さすがにいい試合すぎて、これはちょっと書きたくなったので。

これでラグビーW杯もっと楽しんでもらえるとれしい。

とはいえ、全部は厳しいので1試合を選ばせてほしい。

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21日は面白い試合目白押しで、全く違う個性がぶつかったオーストラリア×フィジー、似た者どおしのシーソーゲームとなったフランス×アルゼンチンも良かったのだけど、この日最注目のカードということと、増田本人が普段から南半球ラグビーを追っており、選手個性もとりたい戦術理解してるということで、ニュージランドオールブラックス南アフリカスプリングボクス試合としたい。

南アフリカというと4年前、日本アップセット演出したので、ライバルとみなす向きもあるけど、実力でいったら日本は話にならないくらい負けている。

絶対王者オールブラックスはいうと、圧倒的に強い彼らが肝心なところで負ける時、相手フランスか、このスプリングボクスであり、因縁でいうとこちらの方が深い。

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ゲームが始まる前に、オールブラックス伝統ウォークライハカパフォーマンスをしたのだが、その演目は「カパオパンガ」であったのにちょっと驚いた。

通常、予選では、もう一つのバージョンである「カマテ」が演じられることが多いのだが、大勝負の時しか出ない「カパオパンガ」であったのはオールブラックスも相当な気合いが入っていたのだろう。

ちなみに、ハカは通常、リードとよばれる独唱からはじまり、これだけはマオリの血を引くメンバーでないといけない。

今回のリードはTJペレナラ。第二スクラムハーフ最近は彼が多い。

世界最高とも言われる第一スクラムハーフアーロンスミス資格があり、彼がリードだったこともあるが、国際試合の旅先で女性トイレに連れ込み、セクシー行為に及んだのがオールブラックスっぽくないと懲罰を受け、代表から外れていた時期があり、その時からペレナラリードになった。

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さて試合の方だが、伝統的にこのカードロースコアになることが多く、その理由スプリングボクスのとる戦術にある。

一言で言うと「トライはいらない、マイボールもいらない」。

彼らはボールを持つと、非常に単調な攻めを繰り返し、パワーをテコに相手苦し紛れペナルティを狙ったり、キックを蹴って落下地点でど迫力のタックルかまして、ポロリからリスタートスクラムでパワーで押しつぶして前進を狙う。

大事なのはディフェンスで、キックボールを渡すので、絶対突破されてはならず、それさえ可能ならロースコアにコントロールできる。

こんな戦術が取れるのは世界でもスプリングボクスくらいだ。

オールブラックスの華麗なパス回しと走力は世界一だが、それを止めうるのが「単純なガタイデカさ」「常識はずれのパワー」「きれない集中力」「決してサボらない真面目さ」そして「異常なくらいの単純さ」というのが面白い

実際この試合でもスタートスプリングボクスが狙い通りコントロールしていた。

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ただ、計算違いが生じたのは前半20分ほど。

予想外を演出したのはオールブラックス10番、リッチー・モウンガ。

彼は前W杯から3年ほど、本日15番に入ったボーデン・バレット怪我で今大会出場できなかったダミアン・マッケンジーの陰に隠れて、司令塔としては「第三の男」扱いされていたが、今年になって地元NZのチームでの活躍頭角を現し、オールブラックスの10番を射止めていた。

オールブラックスは、このどちらかと言うと手堅さと抜け目なさを信条とする地味なモウンガと天才的な閃きのある派手なバレットの2人を併用し、実質W司令塔形成していた。

モウンガについては、栄光オールブラックス司令塔という、ラグビー界において文句ない立場にいるのだが、「天才」だの「イケメン」だの「最注目選手」だのともてはやされるバレットと比べて、彼自身プレースタイルのせいかルックスのせいか立場に見合った注目をされてると言い難く、なんかちょっと悲哀を感じさせるものがある。

とはいえ、この男がこの試合を大きく変えた。

彼が自陣で平行に蹴ったキックパスきっかけに、オールブラックスは一気にトライを陥れる。

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その後も、モウンガかバレット、どちらかが密集に巻き込まれ機能停止しても、もう一方がゲームを組み立てるので止まらない、という攻めにスプリングボクス対応できない。

前半で計2トライを献上。

この時間帯はあまり長くなく、2トライを与えてしまった一瞬以外はディフェンスもよく機能し、前半のほとんどの時間がむしろスプリングボクスロースコア狙い戦術の通りに進んでいた、でも結果として一瞬の破綻で点差は開いてしまった。

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後半はトライがないとプラン遂行できないスプリングボクスだが、驚くべきことに彼らはあまり戦術を変えず、なんとオールブラックスの一瞬の油断から逆にトライをもぎ取ってしまった。

ここら辺は、自分たちのやることを信じて崩れなければ、幸運一定確率でやってくると言うことかもしれない。

さらに後半20分、SOポラードが虚をついてドロップゴールを狙うと、これが入り、当初の予定通り、「トライはいらない、キックで刻むぜ」戦術現実的に見える線まで引き戻した。

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しかし、その後、お互いがあまり大きなミスをしないまま時間は経過し、いくつかの幸運の中でオールブラックスが獲得したペナルティキックを、地味な男モウンガが確実にきめ、スプリングボクス勝機じわじわと離れていった。

スプリングボクスとしては長時間ゲームコントロールし、自分たち好みのゲーム演出したにも関わらず、前半に一瞬の隙で奪われた2トライ試合を失うという結果になってしまった。

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ゲーム概観としては、オールブラックススプリングボクスも非常に出来が良く、プールに彼らを脅かす敵がいないことから、双方決勝トーナメントに進む可能性は高いと見る。

そうなると、1ヶ月後に彼らは再び相まみえるかもしれない。

そのときスプリングボクス意趣返しできるだろうか。

なかなか楽しみではある。

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ブコメ質問があり、増田的にも非常に印象的だったので、フランス×アルゼンチンにおけるドロップゴールについて解説を試みたいと思う。

多分だけど、チームとしての戦術ではなく、個人のとっさの判断だと思う。

ドロップゴールは陣形ゲームスピードから、出そうなタイミングがわかるものだが、あの時「これは蹴るぞ」というタイミングでは全くなかった。

ゲーム全体の流れを思い出してほしいんだけど、あのゲームは前半、フランスが圧倒的に優位に進めていたものを、後半、アルゼンチンゲームを辛抱強く戻して、ペナルティキックで刻んで追い上げていた。

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特徴的なのはキックモールで、前半、双方まったくキックを蹴らず、ムキになって走り合っていた結果、フランスゲーム支配していたのが、後半アルゼンチンキックを蹴ったり、モールで押すようになり、長時間の走りあいにこだわらなくなった。

その結果、ゲームが落ちついてアルゼンチンは刻みながら追い上げ、ついには逆転した。

この時点で、計画的アルゼンチンゲームコントロール自分たちのものにしていた。

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フランスにとっての後半は、前半とうって変わってコントロールできない上にじわじわ追い上げられてしまいに逆転されるという非常に嫌なムードに飲まれそうになっていた時間だった。

はっきり言って増田アルゼンチンが勝つと思っていた。

そこにリザーブで入ってきた奴がまったく空気に合わせずにシレッとドロップゴールを決めて流れをブった切ってしまった。

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俯瞰で見てる奴がゲームをまるっきり変えてしまうのは、どことな会社などで中途採用よそ者がガラッと慣習をやぶって風穴をあけるのを連想させる。

あれはラグビーフィジカルな面でなく、「我慢スポーツ」「コントロールスポーツ」としてのメンタルな面をよく表していたと思う。

ラグビーでは、戦術フィジカルといった見えるものと、もっと上位にあって見えづらい「客観性」「空気」「メンタル」みたいなもの勝負を大きく左右するケースがあるので、そこにも注目してみると、味わい深くなると思う。

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あ、あとついでに、オールブラックス選手リーコ・イオアネのNZから日本に向かう様子を本人が投稿した動画リンクを貼っとくわ。

彼は「恩人が日本人なので日本語の名前を息子につけたい」と希望した両親に危うく「リエコ」と名づけられそうになったが、「それ女の子名前やで」と訂正され、「リーコ」になった経緯がある。でも綴りはRiekoやんけ。

そんな人たちもやってくるW杯、みなさん楽しんでほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=UQGqItNsago

anond:20190920220725

2019-07-02

anond:20190702182505

今回の発端これじゃねえの?

https://twitter.com/solt__P/status/1145718110478934016

それともこっち?

http://trpg.hatenablog.com/entry/2019/02/22/190000

誰が暴れたのか分からんけど、

概観するかぎり「最大勢力」は「お試しなら許容」派じゃないの。

というか「お試しならいいけど本格的にやりはじめるなら買ってね」と

「1度でもお試しで遊んだら買わないと許さない」だと似たこと言っててもだいぶ印象が変わるし

ましてや「体験会すら許さん買え」はまったく話が違ってくると思うけど。

印象操作

2019-06-22

独断偏見で選ぶ、動物を使った心理学に関心のある学生に勧める書籍30選

動物心理学」は動物学習、知覚、認知生理機構といった諸形質の放散と収斂の原理過程の解明を目指す心理学の一領域である

心理学全体の中ではマイナーではあるが、国内研究者の集まりである動物心理学会」は、実は数少ない戦前から続く (1933年発足) 学会であったりもする (ただし、悲しいことに、動物心理学が学べる大学は減り続けている)。

だが、動物心理学を学びたいと思った学生が、何から手を取ればいいのか、あまり紹介の記事が世に出回ってない気がした。そこで、独断偏見で、オススメ書籍を挙げてみた。番号はオススメ順とかではなく、特に意味はない。気になったものを読めば良いと思う。

(1) 動物たちは何を考えている? -動物心理学の挑戦- (技術評論社)

藤田 和生 (著, 編集), 日本動物心理学会 (監修)

日本動物心理学の主だった研究者たちが、動物心理学代表的研究について平易に語った本

(2) パピーニの比較心理学―行動の進化と発達 (北大路書房)

マウリシオ・R. パピーニ (著)

日本語で鈍器のような大きさでまとまっているのはこれくらいか

(3) 鳥能力―小さな頭に秘められた驚異の能力 (化学同人)

渡辺 茂 (著)

鳥類の行動とその神経基盤について解説した本

筆致が軽やかで、ベッドの上で寝転がりながら読んでも十分に理解できる。書名通り鳥限定であるが、名著である

(4) ハトがわかればヒトもわかる―比較認知科学への招待― (共立出版)

渡辺 茂 (著),

同著者がハト比較認知科学研究に特化して書いた本

心理学ではハト伝統的によく使われる。

(5) ソロモン指輪動物行動学入門 (早川書房)

コンラート ローレンツ (著)

動物行動学の創始者ローレンツいか動物と向き合い、その行動を観察していたのかを記したエッセイ

ローレンツ論文は難解で読みづらいことで有名だが、一般向けの著書は対照的に驚くほどとっつきやす

(6) タコの心身問題――頭足類から考える意識起源 (みすず書房)

ピーター・ゴドフリー=スミス (著)

哲学者である著者がダイビングタコイカと接することを通じて彼らの生き方

タコとて侮るなかれ。動物心理学を志す者が覚えていてほしい動物との向き合い方がぎっしり詰まった一冊である

(7) 動物心理学史―ダーウィンから行動主義まで (誠信書房)

R. ボークス (著)

動物心理学が、いかなる過程独立した分野として成立したのかを述べた本

傑作である絶版なので図書館で探そう

(8) 種の起源 (光文社古典新訳文庫)

ダーウィン (著)

言わずと知れたダーウィン古典である。いつ読んでも何かしら発見があるもので、それが古典古典である所以なのだ

余談だが、動物行動学の論文ダーウィンが扱った問題を再び取り上げるときは “Charles Darwin once said…” という殺し文句で始めることがある。

(9) 遺伝子から解き明かす脳の不思議世界 (一色出版)

滋野修一 (著), 野村真 (著), 村上安則 (著)

「脳」の起源と、その発生、さらには脊椎動物の脳のデザインいかに生じたのかを、ホヤから霊長類研究者まで多彩な研究者が論じた本

図や動画が手に入るURLQRコードがついてくる嬉しいおまけつき

(10) 感覚器の進化―原始動からヒトへ水中から陸上 (ブルーバックス新書)

岩堀 修明 (著)

はいかにして出来上がったのか?感覚器 (視覚聴覚、触覚、嗅覚、味覚) が現生の形になった進化道筋解説した本

(11) 生物から見た世界 (岩波文庫)

ユクスキュル (著), クリサート (著)

比較生理学の祖、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが豊かな想像力動物生理学的機序からその「環世界」について語った本

名著中の名著である

(12) 動物環境と内的世界 (みすず書房)

ヤーコプ・V・ユクスキュル

同著者が、生物の生きる、その固有な世界像について、当時の解剖学的知見と合わせてより詳しく解説した本

(13) あなたのなかのサル霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源 (早川書房)

フランス・ドゥ・ヴァール (著)

チンパンジー研究者大家、ドゥ・ヴァールの一般向けの著書

ドゥ・ヴァールはかなり擬人主義的な研究者で、研究者によって評価が真っ二つに分かれる。動物心理学一枚岩ではない。氏の著作同意するかどうかは、自分をどのような立脚点に置きたいのかをはっきりさせる意味でも一度は目を通すと良いだろう。

(14) 心の先史時代 (青土社)

ティーヴン ミズン (著)

人間の心はいかにまれたか?スティーヴン・ミズンは「元は個別用途進化させた認知機能が、文脈を問わず適用できるようになった」認知流動性により、高度に柔軟な我々の心が生じたと考える

内容は既にやや古いが、独創的な論考の面白さは色褪せない

(15) 行動理論への招待 (大修館書店)

佐藤 方哉 (著)

行動主義心理学エッセンスが詰まった本。絶版なので図書館で探そう。

「行動主義」的なもの見方は、認知研究では棄却すべき対立仮説として扱われることが多い。しかし、実際にはその対立仮説は多くの場合単なる誤解であり、藁人形を叩いているに過ぎない。

(16) 認知心理学有斐閣ニューリベラルアーツ

箱田 裕司 , 都築 誉史 他

比較認知科学は、動物心理学の中でも、動物認知機能を種間で比較し、その種差や共通性を描出する分野である比較認知科学実験では概念手続き認知心理学のものを援用することが多い

従って、認知心理学についてよく知るのが重要なのは至極当然なのだ

(17) キャンベル生物学(エッセンシャル版)

池内 昌彦 (監修, 翻訳), 伊藤 元己 (監修, 翻訳), 箸本 春樹 (監修, 翻訳), 道上 達男 (監修, 翻訳)

今日科学の分野間の壁はますます小さくなり、生物学と動物心理学をことさら区別する必要性も薄くなりつつある。

とはいえ原書版は鈍器のように重たいので、エッセンシャル版の方が挫折しないと思われる。

(18) カールソン神経科学

泰羅 雅登 (監修, 翻訳), 中村 克樹 (監修, 翻訳)

同様の理由で、自身神経科学を取り入れるか別に神経科学についてもどこかで通っておいた方が良いかと思われる。

そもそも、「動物心理学に固有」な方法論というのは現代にはなく、近隣領域連続的なつながりを持って成立しているのだ。

(19) 流れを読む心理学史 (有斐閣アルマ)

サトウ タツヤ (著), 高砂 美樹 (著)

心理学の成り立ちに関して、コンパクトかつしっかりまとまった本

歴史を学ぶと、どこかで役に立つ。物理学者エルヴィン・シュレディンガー言葉を引いておこう。

歴史は, あらゆる学問の中で最も基本的ものである。なぜなら、人間の持つ知識には、その成立条件や解決してきた問題や, 果たすべき機能が忘れ去られた場合, その学問的意義を失わないもの存在しないかである

サンキューシュレディンガー

(20) 視覚科学 (勁草書房)

横澤 一彦 (著)

別に動物研究の本ではないが、視覚についてよくまとまった本

視覚に興味があるなら、読んでおいて損はない。

(21) メイザー学習と行動 (二瓶社)

ジェームズ・E. メイザー (著), James E. Mazur (原著), 磯 博行 (翻訳), 坂上 貴之 (翻訳), 川合 伸幸 (翻訳)

学習完全に理解したマンになりたい人が必ず読む本。学習完全に理解したマンになりたいなら読もう。

次に読む本としては『オペラント心理学入門―行動分析への道』も良い本である

(22) 古典的条件づけの理論―パヴロフから連合学習研究最先端まで

入門レベルでは「犬とベルと唾液」くらいにしか教わらない古典的条件づけがいかに奥深く、理論的な探求に富んだ領域なのかが概観できる。例えるなら魔術書である

(23) 感じる脳 情動感情脳科学 よみがえるスピノザ (ダイヤモンド社)

アントニオ・R・ダマシオ (著), 田中 三彦 (翻訳)

これも動物研究者の本ではないが、ダマシオは身体性を重視する立場認知神経科学の方向を作った一人だ。

ダマシオは多作で、『デカルトの誤り』『自己が心にやってくる』など、他の著書も面白い。

(24) 盲目時計職人 (早川書房)

リチャード・ドーキンス (著)

進化学流布の急先鋒ドーキンス一般向け書籍。同氏がスリリングな筆致で進化について語る。

利己的な遺伝子』の方が有名だが、オシャレさでは『盲目時計職人』の方が上だ。

(25) 脳の中の幽霊 (角川書店)

V・S・ラマチャンドラン (著), サンドラブレイクスリー (著)

これの動物研究者ではなく、ヒトの神経科学者の本であるが、大変面白逸話がたくさん載っているので挙げた。

続編に『脳の中の幽霊再び』『脳の中の天使』も出ていて、どれも楽しく読める

(26) 鳥たちの驚異的な感覚世界 (河出書房新社)

ティムバークヘッド (著), 沼尻 由起子 (翻訳)

鳥にも我々と同じように目・耳が二つ、舌が一つ、皮膚には触覚受容器が備わっている。しかし、世界の見え方はまるで違うことがわかっている。彼らの感覚世界について、鳥類学者一般向けに語った本

(27) 実は猫よりすごく賢い鳥の頭脳 (エクスナレッジ)

イサンエメリー (著), 渡辺 智 (翻訳)

鳥の代表的認知研究について、各項目2p程度でまとまった入門書。どんな研究が、どのような方法で行われているのか、ざっと知るにはぴったりである

ちょっと邦題間抜けな感じがするが、原題は "Bird Brain: An Exploration of Avian Intelligenceである

(28) 脳科学と心の進化 (岩波書店)

渡辺 茂 (著), 小嶋 祥三 (著)

生物という視点から「心」がどのように形成されたのかを解説した本

まとめ方が独特だが、面白いことには間違いない

(29) 「つながり」の進化生物

岡ノ谷 一夫 (著)

動物コミュニケーションはヒトの「人間らしさ」について何を語るか?

元が高校生向けの連続講義であったらしく、大学生なら誰でも読める。

おまけ

(30) ご冗談でしょうファインマンさん (岩波書店)

リチャード P. ファインマン

ノーベル物理学賞を授賞した天才物理学者ファインマン好奇心に満ちた生涯について書かれた伝記

読めばきっと、未知への興奮と探究心、そして科学への憧憬が刺激されるに違いない

2019-05-31

男性被差別論と女性被差別論が噛み合わない理由

ネットで男女問題に興味のある人は、男性差別を訴える人と、女性差別を訴える人の噛み合わなさを目にしたことがあるだろう。

たとえば「女性差別を訴えると、男性もこれくらい差別されているという反論が来るが、それに対してじゃあ両方の差別をなくす運動をしていきましょうと言うと、なんだか話が続かなくなる」みたいな状況だ。

どうやら陣営間、男女間に意識の差があるようだが、なぜああいうことになるのか。

それについて書く。



結論から言うと、男性女性で、居心地よく感じる道徳度が違う傾向があるのが噛み合わない原因だ。

男性は、周囲から多少迷惑を受ける代わりに自分迷惑大目に見られるくらいの、やや低い道徳度の居心地がいいが、

女性は、自分を厳しく律する代わりに、他人から迷惑を受けない高い道徳度の方が居心地よく感じやすい。

から男性は、男性差別を訴えることを通じて、「自分たちもこれくらい差別抑圧を受けているが、これをなくそうとしたらコスト規律が莫大になるので俺もお前もやりたくないだろう。なので今後も受け入れていくから女性もこれくらいの抑圧は受け入れた方がいい」と社会全体の道徳度をやや低めに設定することを目指している。

一方女性は、女性差別を訴えることで本当にそれをなくしたいし、その一環として男性差別がなくなることも歓迎する、道徳度を高めにすることを目指している。

その、目標とする道徳度がズレていることをお互い理解していないから噛み合わないのだ。



たとえばセクハラ性的消費。

男性差別を訴える人は、男から男へのセクハラはあまり指摘しない。

から男へのセクハラ性的消費は指摘する。

これは単に女叩きがしたいからだと思われがちだが、実はそうではない。

男性差別を訴える人は、本当はセクハラ的なやりとりを一切なくしたいわけではなく、むしろある程度ならすることもされることも許される環境にしたい。

から男へのセクハラホモソーシャル交流として好ましいし残ってほしいので、指摘は活発にならない。

一方女から男へセクハラがされていることはよく指摘しているのだが、本音では、これもそんなになくしたいと思っていない。

から男へのセクハラだってこんなにひどいんだぞと語られる時、そこには暗に、(でもそれを全部なくせって言われたら息苦しくて困るだろう? 大目に見てほしいだろう? だから他の様々なセクハラもお互い大目に見ることにしよう)というメッセージがあるのだ。

性的消費だってそうだ。

書店BL本が堂々と並んでいる、男性アイドルセクシーな姿が色んなメディアに出ている、男も性的消費されている、男向けエロ規制するなら女向けエロもがっつり規制しろそうしたがらないかダブスタだ、などの指摘をする時、そこに含まれている真のメッセージは(でも本当に全部規制ゾーニングしたら人生まらんだろう? こっちもそんなこと望んでない。だからお互いうるさいことを言うまいなのだ

だがそれを言われた女性側は、(息苦しくて困るだろう?)という遠回しなメッセージを受け取っていない。

しろ男→女も女→男も清浄化された方が居心地がいいというのを当然の前提としているので、男性男性差別を訴えながら差別解決する気がなさそうなことが不条理にばかり感じられる。

逆に男性の方は、女性清浄化された環境想像してもそれほど窮屈に感じないとわかっていないので、通じない隠しメッセージを、通じているつもりでいつまでも送り続ける。



男性差別を訴える人も、女性差別を訴える人も、よほどタチのわるい差別主義者でなければ、男女平等は良いことだという大義名分共通している。

だが、低めの道徳度での平等が心地いいのか、高めの道徳度での平等が心地いいのかが違うし、そこがズレているというのをあまり認識していない。

このズレを頭に置くと、色々な論争のこじれ方が腑に落ちるはずだ。



こう書いていくと「男は寛容と言いたいのか? 気に食わないことがあると不機嫌をあらわにしたり怒鳴る男は結構いるのに」と思う人もいるだろうが、別に男性が寛容なわけではない。

男性が好む低い道徳度ではある程度の迷惑は受け入れあうといっても、黙って微笑み受け入れるというより、場合に応じて個人レベルで衝突することが想定されている。

その頻発する、毎度結果が違う衝突や力比べも含めて道徳度低めということだ。

低い道徳度では対立相手へ直接的に力を振るいあうことが基本で、高い道徳度では社会全体のルール不文律権力者の力を使うことが基本になる。

オタク議論/喧嘩で言えば、男性ジャンル揉め事炎上リンチ荒らしといった無法の荒野みたいな雰囲気になりやすいが、女性ジャンル揉め事は学級会などの規律を求めた管理社会的になりやすいようなものだ。

この喧嘩における雰囲気の差も、それぞれの馴染む道徳度が違っていることからまれているのだと考える。



最後予防線パート

男女ともに、目指す道徳度の世界はだいたい想像で描いて、それがいいとか悪いとか判断している。

道徳低めの社会希望しながらも実現したら「こんな不安で怖いと思ってなかった」という人、道徳高めが実現したら「こんな窮屈でディストピアみたいだと思ってなかった」という人、どちらもかなり現れそうな気がする。

なのでこのエントリは、実現した時に生きやす社会の違いというより、想像した時に好ましいと思う社会の違い、と読んだ方がいい。

また、もちろんこんなのは大まかな傾向に過ぎない。

男性差別を強く問題視する女性も、女性差別を強く問題視する男性も、いるだろう。

本気でセクハラホモソ的なやりとりを撲滅したくてそれらを非難していると男性も、いるだろう。

ラフコミュニケーションの方が好きで、あまり世間道徳的でお行儀良くなると嫌だという女性も、いるだろう。

このエントリで書いたことは、男は腕力気遣いも力加減が下手な代わりにタフで鈍感、女は細かなコントロールが得意だが傷つきやすく繊細、という典型の言い換えみたいなものである

はてブTogetterヤフコメの揉め方を概観する時にだけ使い、個人議論する時は忘れることをお勧めする。

2019-05-14

学歴コンプレックス研究概観展望津田容子)

【関心テーマ意図

日本社会は表向き実力主義成果主義を掲げつつ、未だ学歴主義体質が根強いと言われている(渡辺,2006)。そのような社会の中で、大学学者割合が初めて5割を超え(文部科学省,2009)、数十年前と比較して高学歴化が進んでいる。全入時代までは至らないが、志望大学に拘らなければ受験生の9割超が大学に進学できる時代となった。今後は大卒肩書きのみでなく、大学知名度や質を重視する傾向が強まり受験競争さらに激化するとも考えられる。ここで問題となるのが、受験という競争に伴う敗者と勝者の存在である。彼らが過剰な挫折感や劣等感、あるいは優越感に囚われた場合学歴コンプレックスとして諸々の心理的社会的な問題を引き起こす。しかし現状は、定義自体曖昧であるため、研究者独自概念言葉で当問題が扱われている。そこで、今回は心理学分野での学歴コンプレックスに関する研究に注目し、考察と今後の展望を述べることとする。

【先行研究概観

学歴コンプレックスとは、不満足の原因を自己あるいは他者学歴に関連づけることで感じる、劣等感自尊心のこと(鷲田,1995)であり、学歴に対して劣等感を抱く場合学歴への誇大な自尊心を抱く場合の2層に分けられる。両層に共通する主な特徴は、以下の3点に集約される。第1に、自己の実力不足や失敗を過度に学歴帰属すること、第2に、自己だけでなく他者をも学歴評価すること、そして最後に、学歴ばかりに囚われ学業という本来目的を見失いかねないことである。これらの根底には、学歴が高いほど将来は報われると考える「学歴社会意識」(安藤,2007)や有名大学の進学のみに価値を見出す「学校主義」(野田,1996)といった学歴志向存在が窺える。層別に見ると、劣等感層では上述の志向に加え、入試時に第1志望に落ちて仕方なく所属大学に入った「不本意入学」(伊藤、1995)がコンプレックスの主要因となっている。そして、不本意から多浪仮面浪人、退学を繰り返す再受験症候群や、国公立大の進学者優遇する国公立大学至上主義下での私大学者なども本層に含まれる。一方、誇大な自尊心層では、学歴社会の勝者であるがゆえに、学歴に比例して自己過大評価する傾向がある。その裏には人柄や実力よりも学歴イメージが先行する、レッテルとしての学歴の影響が見られる。その他、学歴に見合った社会待遇でないと受け入れられない学歴保証希求や、就職時に多い高学歴者の挫折体験等の問題も挙げられている。これらの学歴コンプレックスに伴い、失敗感、挫折からくる無気力自尊心低下、不本意感に由来する不適応抑うつ状態といった心理的問題に加え、充実感や生き甲斐の欠如、自我同一性拡散の深化など、生き方のものに関わる問題存在示唆されている。また、学歴志向や進学観が親子間で継承される(吉川,2005)ように、親子間でのコンプレックス継承家庭内学歴格差によるコンプレックスなど、個人のみでなく世代間に学歴問題が発展する可能性もある。

【先行研究臨床心理学的意義と展望

先行研究は、学歴コンプレックスを多側面から検討し、日本独自学歴観や学歴の持つ意味学歴認知思考に及ぼす影響について言及した点で、学歴問題の諸相と今後の研究可能性を提示した意義を有する。今後の展望としては、同じ状況下で不適応に陥る人とそうでない人との相違や学歴にまつわる不適応への対処法など、臨床実践に向けた研究を進めていく必要がある。

津田容子引用文献>

安藤聡一朗 (2007).学歴社会意識とスチューデントアパシーとの関係についての考察 学習院大学人文科学論集,16,137-165.

池上知子 (2004).「学歴社会」に対する意識大学自己同一視との関係 愛知教育大学研究報告(教育科学),53,79-86.

伊藤美奈子 (1995).不本意就学類型化の試みとその特徴についての検討 青年心理学研究,7,30-41.

吉川徹 (2005).7-106間移動を考える.日本教育社会学会大会発表要旨集録,(57),44-45.

文部科学省 (2009).平成21年度学校基本調査.2010/02/02情報取得

野田陽子 (1996).学歴観の構良智 (学生とその親の学歴観の分析をとおして― 淑徳大学研究紀要,30(II),87-113.

鷲田小弥太 (2005).コンプレックスに勝つ人、負ける人PHP研究所渡辺山.

渡辺良智(2006).学歴社会における学歴 青山学院女子短期大学紀要,60,87-106

引用元:東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース下山研究室 社会と臨床心理学―研究会活動から見えるその諸相―

2019-04-07

anond:20190407110832

何でもそのへんのカテゴリは当てにならん。

それに加えて、人によって感性も違う。

いいものってのは、世の中のカテゴリパターン概観して自分で見つけないと。

2019-03-17

もう鉄道ブルジョワホイホイ要素を入れるのはやめてほしい

年に1本面白そうな鉄道ネタがあれば行くくらいのライト層だけど、友人が薦めてくれた、「東北新幹線」に今ははまっている

最高速度が320km/hで、たしかスピード狂の自分好みに思えて毎週見ていた。

しかし、なんでこうちょいちょい座席課金要素があるのか、正直意味がわからない。

しまいには、完全に豪華列車まがいなサービスが出てくる有様。(これがまた「ここまで新幹線で頑張っちゃいました」みたいな感じでさら不快

こんなのわざわざする必要があるのだろうか。

東北ローカル線に乗ろうとした時に、変な電車が出てきて、なんとそれが茶色普通電車改造車

概観内装をいじっているだけ。

そしてこういった列車東北各地に走っているというカオスっぷり。

ここで先に進むのをやめた。

この東日本エリアに限った話ではないけれど、なんでわざわざ一部の利用者にこだわるのだろうか。

SNSや5chとかを見てみると、ブロジョワホイホイがあるからこそみたいな意見が非常にたくさんあるけれど、怒られるの承知でいってみると、食べ物が美味しいだのイスが快適だの正直こんなんだから、鉄オタは嫌いだの言われるんじゃないかなーと思ったりもするわけ。

家も大学東京JR線沿線にあるけど、電車テレビにそういった電車の紹介シーンが流れて、乗客は何も言わないものの、本当に勘弁してくれと思った。

かといって客層も少ない区間でコソコソ流すなんて余計にださいし、都会に住む鉄道の好きな裕福な人達は一体どんな風にこれを見ているのだろうか。

そんなにブルジョワホイホイが必要なら、上下分離でも導入して別会社運営させておけばいいだけだと思うのだが。

公共交通課金なんて全くいらないと思う俺は少数派なのだろうか。

ここにいる人達はあの課金要素をどういう顔で見ているの?

SNSや5chの住人みたいに食事が美味しいだのイスが快適だの喜んでるの?

 

追記

趣味の道具として鉄道自体は好きだからこそ残念に思う。

これが例えばスポーツカー歓楽街バーとか富裕層相手しか相手がいないようなコンテンツだったらこんなこと書いてない。そんなものは論外だし、子供若者を持ち込むなで終わってる。

現実は知らないけど、公共交通体裁であれば、そういった課金要素はいくらでも省くことはできたんじゃないかとも思えてしまうのよ。

もちろんそれはないと成立しないところはもう仕方ないにしても、あからさまに狙った課金要素だったり、必要のないところでいちいち突拍子もないホイホイ要素を入れてくるこの風潮に疑問を感じている。

そして、そういう突拍子もないホイホイ要素を入れてくる鉄道路線がとにかく多すぎるんじゃないかと思うのよね。

これはこないだ大阪に行って感じた、観測範囲が非常に狭いものではあるけれど、そんなのばかりで、コメントではやはり5chと同じく「座席が快適」だの「ブヒブヒ」だの。

久しぶりに電車旅行して非常に不快になったし、鉄道大金持ちの娯楽施設しかなっていないことがどうにも残念で仕方ない気持ちになったんだ。俺は貧しくはない方だけど、本当にこいつら気持ち悪いと思えてしまうのよ。

それだけの需要があるから運行業者側はやってることだとは思うんだけど、お前らがそれに乗っかって最高に気持ち悪い反応するからそういう風潮になったんだとストレス発散のためにここに書いてしまったということもある。

2018-11-06

男性差別主義者フェミニストは同じ方向を向いている?

まず、以下の記事を見てほしい。

https://togetter.com/li/1058347

タイトルは「男性にとって恋愛結婚は、危険で割に合わない。でも、女と社会は、男性叩きだけ。こりゃ草食は続くしかない」。

面白いのは、【反男性差別を掲げ、恐らくはフェミニズムなど「今の女尊男卑社会」の悪しき慣習として唾棄するであろう彼の主張が、

その実、フェミニズムと非常に親和性の高いものである】ことだ。

記事ではこの問題について、具体的な引用を交えながら考えてみることとしたい。

なお、このまとめで述べられている意見が、dsa0【男性差別が溢れてる2】 @dsa0自身のものなのか、あるいは別記事から引用なのか、判断が付かなかった。

このまとめ自体ツイートを集めたものだが、ツイートの内容はどこかから引用にも見えたからだ。

しかし、当記事では、これを統一して<彼>の意見と呼ばせてもらう。

便宜上意味もあるが、これらの言葉が彼自身のものであるしろ違うにしろ、今の社会で苦しむどこかの<彼>の主張ではあるのだろう、と考えたからだ。

では、内容に入りたい。

「男のチキン化」「ホモみたいな男」は「男性差別的な価値観」か?

男のチキン

最近ホモみたいな男多すぎなんだよ。

命かけることができないわけ。

恐らくどこかの記事(元記事URL失効のため参照不可)から引用したものであろうこの文言に対して、<彼>は以下のようにコメントしている。

恋愛離れ語るのに、【恋愛離れの原因になってる男性差別的な価値観】で考察してるアホ多すぎ。←これじゃ、恋愛離れなくなるわけないわ

<彼>は、「チキン化」した男性を「ホモみたいな男」と非難する価値観を、「男性差別的な価値観」と呼んでいる。

しかし、【「男はかくあるべき」という規範は、元来家父長的な価値観によって生み出されてきたものである】ことを忘れてはいないだろうか。

フェミニズムは、その打破を目的としている。

「女らしくあるべき」という束縛を破壊することは、「男らしくあるべき」という押し付けをも打ち砕くことである

彼がまとめの中で嘆いている、男性経済的負担に関しても、同じことが言える。

<彼>は、「男性立場で言うとね 「女様様」の今の女尊男卑社会では、おっかなくて結婚なんてできない」と述べながら、結婚についてこう語っている。

結婚メリットは少ない、負担義務が多い

・女に甲斐性ない

家事家電で省力化

離婚すると財産の半分を持っていかれる

慰謝料養育費さらドン

元妻は、夫からかっさらった金を手に。しかも、さらに稼ぐ男性再婚することも可能

続けて、<彼>は女性にこう求める。

女性の方から交際とか結婚とか申し込めばいいじゃんよ

お金のことは何とかなるよ」とか「一緒にがんばろうよ」とか言えば

男も少しは気が楽になるだろうに

<彼>の視点に、極端な部分や、視野の狭い部分があるのは事実である被害妄想的な傾向も。女性が聞いて腹を立てても仕方がない内容だ。

しかし、「男も少しは気が楽になるだろうに」というぼやきは、<彼>の「負担義務」の体感からくる切実なものではあるのだろう。

それは、耳を傾けられてよいように思う。

ただ、ひとつ言っておかなければならないことがある。

それは、<彼>の求める新たな男女関係の構築が、<彼>の今しているような【女性への非難】によっては到底実現されにくい、ということだ。

それを示唆するのは、同じく<彼>の言葉である

真の敵は誰だ?

非難すべきは誰なのか?戦うべきは誰なのか?

このことを考えるにあたり、例によって、<彼>の言葉を参照したい。

老害バカマッチョ「おまえも結婚して、家畜奴隷になれ!」

男性過労死させ続けたまま女性だけ楽にする日本の「男女平等社会

<彼>はここで、「老害バカマッチョ」が己に「家畜奴隷になれ!」と命じる、と述べている。

彼に「奴隷」になることを強いているのは、「老害バカマッチョ」なのである

老害」、言わば旧態的な、「マッチョ」。

とは、何か。

マッチョ」のもつ意味については、この記事http://y-uki.hatenablog.com/entry/2015/07/16/034652)がわかりやすい。

ここから一部を引用する。

英語で ”macho な男性” と呼ばれるのは、昔ながらの ”男らしい” 価値観を重視する人たちで、

洋画海外ドラマ日本語字幕などではしばしば “男尊女卑” と訳されることが多いようです。

支配である攻撃であるなどのネガティブイメージで使われることも多い言葉です(後略)

これが、フェミニズムの戦ってきた最大の敵であることは、特筆するまでもないことだろう。

老害バカマッチョ」を、【旧態的な男尊女卑】として言い換えることが出来るならば、<彼>も、女性も、等しくそ被害者である

<彼>が、「おまえも結婚して、家畜奴隷になれ!」という台詞を、「老害バカマッチョ」に言わせたのは、的を射ている。

家族を養うために男は外で働き、女は内で家事労働に励む、という仕組み】は、高度経済成長期に完成したという。

(ちなみに、この記述を私が見たのは平田厚『虐待と親子の文学史』(論創社である時代に伴う家族形態の変化と、その文学への反映を概観した良著。)

この仕組みは、既存男性優位な価値観の延長線上にあったうえ、その価値観を強化するものであった。

<彼>は女性に対して、「「お金のことは何とかなるよ」とか「一緒にがんばろうよ」とか言」ってくれることを、求めていた。

お金のこと」を「一緒にがんば」るためには、女性にも安定した収入源のあることが不可欠だ。

しかし、それを難しくしているのが、先に述べた構造である。【家族を養うために男は外で働き、女は内で家事労働に励む、という仕組み】だ。

この仕組みの後遺症は、未だに消えていない。男女間の賃金格差管理職割合格差を見れば、それは事実として明らかだ。

その打開を目指すのが、男女平等思想であり、フェミニズムであった。

まとめ

ここでひとつ結論いたことを言ってみたい。

今まで述べてきたことを纏めると、大変逆説的なことに、

【<彼>の目指す「男性差別」の解消は、「女性差別」の解消によってしか実現され得ない】と言える。

また、【真の敵は、「老害バカマッチョ」、すなわち、旧態的な男尊女卑価値観構造である、とも。

<彼>は反男性差別を掲げ、女性非難している。しかし、抵抗すべき対象は他にある、と言いたい。

女性は、またフェミニストは、本来<彼>の同志なのだ。手を取り合って、ともに戦うべき仲間なのである

インターネット上では、熾烈な男女対立の激化とともに、「フェミ」を巡る議論が後を絶たない。

匿名はてな小一時間も見ていれば、その議論が実のところ非生産的憎悪のぶつけ合いに陥りがちなことは、すぐ了解されるだろう。

今回取り上げたまとめも、一見、そういった動きのひとつ、単なる憎悪の噴出に見える。

しかし、当記事で行ったようにその言葉ひとつひとつ精査していけば、それは、

【反男性差別主義者フェミニストの間にすら共闘可能性があること】を示唆するものとして読み解けるのではないだろうか。

2018-08-05

青識亜論について調べてみた

Twitter右左界隈でも、ちょっとサイコパス感漂う青識亜論さんについて調べてみた

アカウント

https://twitter.com/dokuninjin_blue

概観

https://togetter.com/li/986696

対局風景

https://togetter.com/li/1147988

対局風景

https://togetter.com/li/1154255

なんとなくこの辺を読むと根幹が悪意で構成されている風味があるなと感じた

はてなの方でこの方についての見解や接触体験がある方がいたら教えてほしいです

2018-07-04

バトルメックのテクノロジー(後半)


原文:

 https://bg.battletech.com/universe/battlemech-technology/

兵装 WEAPONS

 バトルメックが装備できる武装は幅広い。メック搭載の核融合から事実上いつまででもエネルギー供給を受けることができるエネルギー兵器弾薬の補充を必要としない。このため一般的なバトルメックは、荷電粒子兵器もしくはレーザー兵器を主武装として搭載している。加えて、多くは短距離ミサイルや長距離ミサイルの発射システムを持っている。その他、連射型オートキャノンやマシンガンを搭載しているメックも多く、これらは対歩兵、対航空機、対メック戦闘に用いられる。兵器の各分類に関する概観は下記のとおりである

オートキャノン Autocannons

 オートキャノンは高速で連射が可能自動装填兵器であり、高性能炸薬を詰めた徹甲弾の奔流を吐き出す。「通常型」オートキャノンは徹甲弾、フレシェット弾、焼夷弾狙撃弾などの各種弾薬使用可能である。加えて、機能を追加した3種の改良型オートキャノン(LB-Xオートキャノン、ロータリー・オートキャノン、ウルトラオートキャノン)が存在する。オートキャノンの弾薬は、致命的な損傷を受けたりオーバーヒートによる自動発火が発生した際にメックの内部で誘爆を起こす可能性がある。

火炎放射器 Flamers

 メック搭載型の典型的火炎放射器は、核融合炉の発する熱を利用して短射程ながら強力な爆炎を作り出す。発熱が大きいわりに与えるダメージが小さいため、メックに搭載されることはまれであるが、焼夷兵器として有効場合もある。

ガウスライフル Gauss Rifles

 ガウスウライフルはライフル砲身の中に設置された磁石の列によって、標的に向けて弾体を加速する。動作必要な電力は莫大だが、発熱が非常に少ない上、発射時の弾速は他の通常兵器の二倍に達する。ヘビーガウスライフル、通常型ガウスライフル、軽量型ガウスライフルの3種がある。オートキャノンとは異なりガウスライフル弾薬は誘爆しないが、ガウスライフル自体ダメージを受けると爆発する。

ハチェット Hatchet

 中心領域製バトルメックの中には、装甲を切断するための劣化ウランの刃を備えたハチェット(手斧)を装備している機種がある。ハチェットはメックに固定され、標的にダメージを与えるにはターゲットに振り下ろさねばならない。ハチェットの変形としてソード(剣)がある。

レーザー Lasers

 レーザーは狭い範囲に莫大な熱量を集中することで標的にダメージを与える。バトルメック搭載の各種レーザーは射程と威力対応してマイクロレーザー、小型レーザー、中型レーザー、大型レーザーのいずれかに分類される。このほか、射程延長型レーザー、ヘビーレーザーパルスレーザーがある。レーザーダメージを受けても爆発することがなく弾薬不要だが、大量の熱を発する。

マシンガン Machine Guns

 バトルメックが装備することはまれだが、マシンガン機関銃機関砲)は高速で連射することが可能なので、素晴らしい対人兵器となる。マシンガンにはライトマシンガンとヘビーマシンガンがある。

ミサイルランチャー Missile Launchers

 ミサイルランチャーミサイル発射装置)は推進力と誘導装置を持つ弾体を発射し、標的にダメージを与える。非常に多くの種類があり、長距離ミサイルに始まって中距離ミサイル、短距離ミサイルさらにはクランの改良型戦術ミサイルシステムや〈ストリーク〉短距離ミサイルなどの各種改良型ミサイルまで様々である。その上、「通常型」長距離ミサイルランチャーであっても無数の派生型弾頭を使用できる。たとえばフレア型、分裂型、焼夷型、半誘導型、それに〈サンダー地雷散布ミサイルなどである。オートキャノン同様、ミサイルランチャー弾薬ダメージを受けたりメックが過剰に加熱すると誘爆を起こす可能性がある。

荷電粒子砲(PPC) Particle Projector Cannons (PPC)

 PPCは要するに磁気加速装置であり、高エネルギー陽子もしくはイオンの矢を撃ち出して衝撃と高熱によるダメージを与える。各種PPCはバトルメックが装備可能兵器のうちでは最強クラスだ。PPCには通常型PPCと射程延長型PPC存在する。

その他の装備 Other Equipment

 装甲と兵器に加えて、メックは広範な各種システムを装備可能である。多くは武器の正確性を向上させる電子システムや各種防御手段提供するものだが、各種の防御的機能を持つ純粋機械的システムもいくつか存在する。

アクティブプローブ Active Probe

 動力を切ったユニット偽装されたユニットであっても標準レベル電子戦装備一式より遠距離から探知・識別することができるため、アクティブプローブはあらゆる偵察部隊にとって有効な追加装備となる。

アンチミサイルシステム(AMS) Anti-Missile System

 アンチミサイルシステム(AMS)は連射可能な定点防御用マシンガンである。飛来するミサイルを追跡し、迎撃し、破壊することができる。きわめて効果的ではあるものの、大量の弾薬を消費するのが最大の弱点である

対人攻撃ポッド Anti-Personnel Pods

 対人攻撃ポッド(Aポッド)は要するに指向性地雷である。設置するのはバトルメック脚部の膝から下であり、そこは敵歩兵が繊細な駆動装置に爆発物を仕掛けようとする場合には必ず攻撃せねばならない部位である

アルテミスⅣ〉射撃管制システム Artemis IV Fire Control System

 〈アルテミスⅣ〉射撃管制システムは、通常型ミサイルランチャーによる射撃の正確さを向上させる。

C3コンピューター C3 Computer

 指揮/統制/通信Command/Control/Communications、すなわちC3)コンピューターは中心領域特有システムである複数の機体ーー最大12機ーーが照準データを共有することを可能とし、これによって射撃の精確さは大幅に向上する。このシステムには重大な欠点があり、それは「主要マスターコンピューター群」が破壊もしくはダメージを受けたり、敵の電子対抗手段干渉をうけたりすることで、ネットワーク構成部品が「消えて」しま可能性があることである。改良型のC3コンピューターでは「マスターコンピューター群」が失われることによるネットワーク消失という問題はなくなっているが、合計6ユニットまでしか接続できない。

弾薬収納運搬装備(CASE) Cellular Ammunition Storage Equipment (CASE)

 CASEは機体内部の弾薬誘爆による被害を軽減するダメージコントロール技術である。CASEによって防護された部位に格納された弾薬が誘爆した場合、CASEは特殊設計の外鈑と装甲を通じて爆圧を逃がす作りになっているため、爆発力のほとんどをコクピットエンジンなどバトルメックにとって致命的な部分から逸らすことができる。

CMスイート電子対抗措置装備一式) ECM Suite

 〈ガーディアン〉ECMスイートは広い帯域にわたってジャミングおよび電子対抗措置を行なう装置であり、敵の長距離探査・監視装置の効力を低下させる。

人工筋肉加速信号回路(MASC) Myomer Accelerator Signal Circuitry (MASC)

 MASCはバトルメックに短時間だけ爆発的なスピードを与えるが、繊細な脚部駆動装置を損なう危険もある。MASCの作用は脚部マイアマー(人工筋肉)への信号を増幅し、通常可能なよりも高速で収縮・弛緩を行なわせるというもので、これによってスピードは上がるが、使用時間が伸びると駆動装置と人工筋肉への負荷によって破滅的な事故が発生する可能性がある。

〈ナーク〉ミサイル・ビーコン Narc Missile Beacon

 〈ナーク〉ミサイル・ビーコンは大改造を施したミサイルランチャーであり、「ポッド」と呼ばれる特殊ミサイルを発射する。ポッド磁気を帯びた弾頭とその後ろに搭載される強力なホーミング・ビーコンで構成される。このミサイルは標的に命中すると、〈ナーク〉の信号を受信できる味方のミサイルシステムすべてに向けて追尾信号を発する。〈アルテミスⅣ〉ミサイルシステムと同様に、〈ナーク〉のポッドによって命中するミサイルの数が増える可能性がある。改良型の〈ナーク〉発射装置は通常型よりも射程が増大しているのみならず、以下の特殊ミサイルを発射することもできる。すなわち追尾型、爆裂弾頭型、ECM型、〈ヘイワイヤ〉および〈ネメシスミサイルである

TAG(タグ/照準確定機) Target Acquisition Gear (TAG)

 照準確定装備は観測機によって用いられ、〈アローⅣ〉ミサイル投射システムが発射するホーミングミサイルのため、もしくは長距離ミサイルランチャーが発射する半誘導タイプのLRMによる攻撃のために、標的を指定する。氏族もTAGの軽量化バージョンを用いており、これは軽量ではあるがより短射程である

照準コンピューター Targeting Computer

 氏族は様々なミサイル兵器用の特殊照準システムに加えて先進的な照準システムを開発しており、中心領域でこれに比肩するものが現れたのは最近のことである。照準コンピューターは以下の種類の直射兵器パフォーマンスを向上させる。すなわちレーザーPPCガウスライフル、オートキャノンである

三重強化筋肉 Triple-Strength Myomer

 中心領域科学者特殊タイプマイアマー(人口筋肉)を開発した。これはメックがオーバーヒートした時に極めて強い力を出す。この技術氏族のバトルメックでは使用できない。

※前半はこちら→ https://anond.hatelabo.jp/20180704014245

2018-07-01

anond:20180630210907

歴史漫画(とくに右左偏ってなく、古代から現代まで概観的に取り扱うような学習漫画)でさ、

第二次世界大戦末期に偉い人が神州日本だ!、一億総火の玉だ!神風が必ず吹く!みたいなの叫んでてさ、

横でズーンと他の人がうなだれてるような場面があるじゃない。

ほんま、今日本の全産業起業含む)ってあんな感じじゃないかと思うんよ。

高プロも採択されたしさ。

から崩壊してたて直すしかもう方向がないと全産業人間が思ってるんだろうなと思う。

ただ、自分はおとなしくして、責任を取らなくていい、逃げられる立ち位置にいようと。

2018-06-12

論理学概観できる良い書籍を知りたい

タイトルの通りです。

なぜ知りたいのか
世間一般に言う「教養」や「審美眼」を身に付けたいから。
なぜ論理学
論理学というのは(教養審美眼を養うことを含め)すべての学問の礎だと考えていて、まずその論理学をきちんと勉強したいから。
なぜ概観できる書籍が欲しいのか
ぶっちゃけ、今の時代インターネットで気になる語句検索してそれで知識を深めることはわりあい簡単にできると思ってる(出典などにさえ注意すれば)。黎明期・初期の頃と違って著名で有力な人物無償知識を公開してくれていたり、権威ある辞書辞典無料で閲覧できるからしかしその「気になる語句」や、「出典に気をつける」ことが問題であって、インターネットいくら発達してもこれらを持っていないと意味がないから。だからそういう語句網羅的に掲載している書籍を持てば、バカ自分でも知識を深めるきっかけが手に入ると考えた。
インターネットで得られないと思ってる知識はてな仕入れるのはどうかしている
どうかしている。しかし身近に一般教養を教えてくれる人に恵まれなかったので、矛盾承知はてなで訊いています

どうか情報を下さい。おねがいします。

2018-04-08

子ども子育て支援制度という難題と今後の展望

平成27年度から子ども子育て支援制度が始まった。

就学前のお子さんがいる世帯で、一番気になるのは認可保育所地域型や認定こども園等も含む)への入所が従来とどう変わるかだった。

概観の話をすれば、ほとんど何も変わっていない。

しかし、自治体施設運営している法人個人も含め)には大きな変化が2点あった。

保育所の利用が措置から契約へ変更されたこ

施設への委託費ではなく、児童(の保護者単位での給付費の代理受領となったこ

①については、26年以前は入所選考と言っていたものが、支給認定と利用調整の2つに分かれた。

旧制度では、児童福祉法により、保育園は様々な理由保育所を使う必要がある人に、自治体が「措置」として、保育所に入所させるという形だった。

認可保育所へ入る児童は、全員この形だった)

制度では、子ども子育て支援法により、幼稚園も含めて、保護者支給認定保護者)がどれくらい教育・保育を受ける必要があるのか「支給認定」を自治体申請して、支給認定証を受け取り、各保育所へ申し込み、施設と「契約」する形になった。

しかし、実際には待機児童と呼ばれる保育所に入る必要があるが、入れない児童がいる。

その場合には、自治体は「利用調整」を行える法律になっている。

まり、従来は「措置」で自治体選考基準を決めて、振り分ければよかったものが、全員が入れる前提の制度になったため、「支給認定」のみになったはずが、実際には入れない児童が生まれる現状があるので、「利用調整」を行う必要があるという制度である

大して変わっていないと思うかもしれないが、「支給認定」は幼稚園を使うだけの子どもにも行う必要がある。

それだけでも対象児童が増えた。

従来は「措置」だったので、自治体ごとに基準を設けていた。

また、「支給認定」は法律上の基準等があるが、「利用調整」には法律上の基準がなく、自治体ごとで設定する。

このことにより、「措置時代から使用していた自治体ごとの基準現在の「利用調整)と、「支給認定」の基準にズレが生じた。

これが結構難題で、本来であれば、「支給認定」を基に「利用調整」を行うはずなのに、旧制時代に作ったトリッキー基準を無くすこともできないため、自治体職員が混乱する事態になっている。


②については、自治体施設の双方が疲弊している。

いままでは、入所児童から換算して、自治体から施設運営法人へ概算払いを行い、実際の月別の児童数等を確認(途中入所や退所は自治体でわかる)して、清算する方法一般的だった。

施設職員向けの補助金等も、同様だった。

制度では、入所している児童ごとに給付を行い、それを施設代理受領している方式になった。

(この方式自体は、介護保険制度で行われており、健康保険制度でも一部行われている。)

しかし、そもそも保育所等を運営している法人は、事務職員が少ないため、新制度になって、毎月の給付費の請求事務が発生したため、事務量が増大した。

もちろん自治体職員である

子ども子育て支援制度は、介護保険と異なり、介護報酬にあたる「公定価格」の改定等だけでなく、職員への処遇改善など、様々な給付・補助が多く、また改定されまくるため、毎年、自治体施設職員が混乱している。


上記の2点から、今後の子ども子育て支援制度(いつまで新制度っていうのか謎)は、制度設計の基になったと言われる介護保険制度のようになっていくと思われる。

それは、運営法人の淘汰と大型化である

運営数が多ければ多いほど、②の事務負担を集約化、軽減できる。

今まで以上に、法人間のM&Aが行われていくと思われる。

①については、法人が大型化すると、園の運営効率化を超えて、硬直化したりするので、しょうがい児保育や医療ケア必要児童にとっては、難しい時代になるのかもしれない。

介護保険制度では、各サービスごとの給付だが、保育所では、通常の給付費+αのα部分が少ないため、運営法人としてほ旨みがない。寧ろ医療リスク事故リスクを考えると避けたいのが本音と思われる。

さてはて、これで認可外施設にも保育料無償化を推進したら、どうなることやら…

介護保険に置き換えたら、給付対象外の有料老人ホームに入った人が払う、毎月の施設利用料(家賃)を無料にするということ?

どうやって管理するんだ、これ。

そもそも大企業企業保育所も含めて、認可外保育施設の保育料も無償化という話が出始めてから積極的に認可外保育施設を設置し始めています

企業主導型保育所は、平成30年度時点では、施設種別では認可外保育所です。)

認可外保育所は、認可制度範囲外ですが、逆に言えば自由度が高いとも言えます

世田谷区にあるカドカワの認可外保育所など)

もし、この傾向が顕著になってくると、現在認可外保育所運営している法人は、認可保育所だけでなく、大企業運営する認可外保育所との競争にもさらされます

認可保育所は、ある意味、国の庇護の下ですが、認可外保育所自由競争です。

認可外保育所の動向についても、今後気になるところです。

取り留めもなくてすいません。

2017-09-07

新聞報道に「?」

メンデル遺伝学の訳語として使われてきた「優性」「劣性」は、遺伝子の特徴の現れやすさを示すにすぎないが、優れている、劣っているという語感があり、誤解されやすい。「劣性遺伝病」と診断された人はマイナスイメージを抱き、不安になりがちだ。日本人遺伝学会とも協議して見直しを進め、「優性」は「顕性」、「劣性」は「潜性」と言い換える。

http://www.asahi.com/articles/ASK963JY5K96PLZU001.html

これは、まだ分かる。だが、こっちがいただけない。

他にも、「バリエーション」の訳語の一つだった「変異」は「多様性」に。遺伝情報多様性が一人一人違う特徴となるという基本的な考え方が伝わるようにする。色の見え方は人によって多様だという認識から色覚異常」や「色盲」は「色覚多様性」とした。

これ variation という用語を、日本でだけ diversity に変えちゃうよ、って話なのか? じゃあ「突然変異」を「突然多様性」って言い換えるの? 「突然多様性」って、なんか日本語としておかしくね? それから、色覚「異常」や色「盲」を「多様性」とする、という話なのか? 「現象」を意味する語を「性質」に置き換える?? そう読めちゃうけど、コレ違うんじゃないか。 

色覚の「様々なあり方 variation」の全体、つまり、俗に正常とされる色覚や異常とされる色覚、あるいは色が認知できないという人間の知覚のあり方全体を総括する概念として新たに、「色の見え方の多様性 Color vision diversity」という概念を置くよ、という話だと思うんだが(というか、海外サイトだとこの語が普通に使われてるっぽいので、単にそれに合わせただけじゃないかと思うが)。個々の症状は、その概念のワンノブゼムになるってことだろ。遺伝なんて別に全然専門じゃないが、素直に読んだら意味不明情報構成し直せばそういうことではないか想像するよ。

これは、かつて個別にネーミングされていた自閉的な様々な症状を「自閉症スペクトラム」として概観したのと同じように、「色覚多様性」という認知の下で様々な症状の関連や位置づけを捉え直そうということになったって話なんじゃないか概念の枠組み自体が変わったよという話であって、用語を変えようという上の話とは全然別のレベル理解しないと、なんで置き換えられないはずの言葉が置き換わるって話になるのか理解できない。もしこの想像が当たってるんだとすると、これ訂正記事出した方がいいくらいの「誤報」じゃないかねえと思うんだが。

どうもこの記者(だけでなく許可した上司、ひいては記事を載せた朝日新聞社自体が、か)「○○」という用語は使っていい、ポリティカルにコレクトかどうか、みたいな底の浅い理解だけで記事を書き、伝えるべきことの本質理解出来ていないと思われる。こんな時代からこそ、大手と呼ばれるメディアは、速報性に主眼を置く発想ではなく、質の高い信頼できる情報報道に力を入れてもらいたい。これだけネットの発達した時代なんだから中間媒体として、そんなレベルの「情報」でいつまでも対価が取れると思ってるとじきに大変なことになると思うんだけどね。

2017-08-22

田舎父親に見る、ダメ上司アンチパターン

結婚したのを機に田舎引っ越して、ときどき父親農業を手伝ってる。その手伝いの仕事があまりイライラさせられるので、ある時なんでだろうと分析してみた。これが巷で見るダメ上司アンチパターンマッチしていて、興味深かったので残しておく。

作業概観を示さず詳細に入る

朝、トウモロコシネットかけるから手伝ってー、と言われて網やら棒やらを持たされ、畑に着くと開口一番「じゃそこに棒立てて」。何のために(鳥害・獣害を防ぐため)何をするのか(網をカサつきの棒で支え、下も隙間なく地面に留める)の共有がないので、アバウトな指示で何をしたらいいのか判断できない。

指示が客観的でない

指示がみんな「そっち引っ張って。そっちやない、こっちや、こっち」というありさま。こっちって東のこと? 東側を下に引っ張ったらいいんやね? といちいち確認する必要がある。

価値観を共有せず結果だけ伝える

最後に検分していて「あーダメダメ、こんなんじゃ(獣が)入ってしまうがな」。分かるわけないやん、と口答えすると「考えたら分かるやろ、そんなん常識や」。どういう価値基準や美意識判断してるかを知らされず、仕事が終わってからダメとだけ伝えられるのでやる気がなくなる。

◆ ◆ ◆

こんな上司いるわけないだろー、と本やネットを見てて笑っていたが、いた! と可笑しかった。しかし実際父親は悪くなくて、これらのことを伝えたらみるみる改善していきつつある。ただ他人作業する機会がこれまであまりなかっただけらしい。みんなも気をつけよう!

2017-06-21

FGOを無課金新規で始めて3週間で終局特異点クリアしたので

私の攻略法採用した戦略戦術感想やその他ゲームについての雑感などを交えてだらだらと語っていこうと思う。

ちなみに6月2日にインストールして、20日に終局特異点クリアしたので、正確には19日間ということになる。

長くなりそうなのでふわっとした結論だけ先に言うと、FGOはいゲームであり、無課金でも十分やっていけるので

まだやっていない人はストーリーを楽しむためにやってみのもいいんじゃないかな。その際私の攻略法も、少しは参考になるかもしれないよ、だ。

以上が結論で、以下が長文となる。

まず私について少し語ると、ゲーマーというものに該当すると思う。いわゆるゲームファミリーコンピュータから

ネトゲ歴は97年のDIABLOからから、もう20年か。これまで色々なゲームを楽しんできた。

Fateについては、オリジナルstay nightは遊んだが、それ以外のアニメや続編などは一切ノータッチ

ソシャゲはあまりやらず、PCや据え置き機がメインだ。ソシャゲなどの課金すると有利になるルールゲームでは、

これまでは常に無課金で遊んでいる。理由ゲームお金を使いたくないということではなく(例えば最近はPS4PROSSD換装済で

ダクソ3のDLCを、ラグの少ない光回線PSPLUSを準備し闘技場で金になるまでは遊んだ)、課金すると有利になるゲーム

完全無課金でどこまでできるのか試してみる、というのが私にとって非常に楽しいゲームからだ。もし今後、課金した方が

トータルで楽しめると感じるソシャゲが出たら、課金することだろう。

課金をしたほうがゲームを楽しめるという人も多くいるだろうし、楽しみ方は人それぞれなので、

各人自分の楽しさを最大化させる遊び方をすればよいだろう。

というわけで、FGOも課金した方が有利になるゲームなので、当然私は無課金遊んだ

また、課金しない以外にも自分ゲームをより楽しむために、以下の縛りを付けて遊んだ

ネットなどの攻略情報を見ることの禁止(※公式サイト及び素材のドロップ場所だけは調べてよい)

・フレンド登録禁止

リセマラ禁止

これらの理由について説明すると、まず攻略情報については、自分攻略法を調べたり考えたりするのが楽しみ

なので、公式以外の情報は一切遮断するのが基本姿勢だ。しかし途中でキャラを強化するのに必要アイテム

集める必要が出てきて、その入手場所自分でしらみつぶしに探すというのは不毛すぎる作業なので、その情報だけは検索して調べた。

フレンドの登録禁止については、本来なら私は一人でそのゲーム世界観に浸るプレイを好むので、他プレイヤー存在を感じる

要素は極力排除したい。(MMOでもチャット禁止他人パーティーを組むの禁止というルールでのソロプレイを基本としている。

ゲームによっては普通にギルドに入る場合もあるが、ケースによる)

そのためFGOにおいても、序盤の間はストーリーで加入するイベントキャラ以外の他プレイヤーサポートキャラは極力

出てこないように隊列の最後に入れて、ストーリー上のキャラのみで進めていた。しかしFGOというゲームでは、

プレイヤーキャラを一人パーティーに組み込む必要があるゲームデザインになっており、

その1キャラ戦闘に登場させないということは不可能だということが分かってきたので、

諦めて他プレイヤーキャラも利用も解禁することにした。

ただし継続的な繋がりは避けて一期一会に徹するために、フレンドの登録はしないというルールにした。

そのため4章からは他プレイヤーサポートキャラ活用している。

尚、フレンド以外のキャラの利用では宝具が利用できないが、フレンド登録した人のキャラを利用すると宝具が利用できるようだ。

そのため、これから始める方はこの縛りをつけないでおくと、私より非常に楽にゲームを進められるだろう。

宝具を利用できるなら、利用価値高まるキャラが多く居るし、選択肢の広がりは大きなアドバンテージだ。

リセマラは、配られたカードで出来ることをする、というスタイルでいつも遊んでいるので私はやったことはないが、

やったほうが楽しめる人はやったほうが有利になるのは間違いないだろう。

実際には他にも細かな戦闘上の縛りルールも設けていたが、その辺は割愛する。

ではこれらの条件下で、どのように19日間プレイしてきたか概観してみる。

6月2日 一日目 インストール

このゲームに対して持っていた事前情報は、Fateの続編であることと、人気があるということのみ。

名前は知っていたし、気が向いたのでとりあえずやってみようかとインストールした。

しばらくやっていくと、大体のゲームシステムは分かってきた。そしてやはりストーリーテキスト面白い

ソシャゲだと、ゲームシステムけがあり、テキストはとってつけたおまけのようなクオリティのものもあるが、

これはしっかりと作ってあるし、キャラの育成も楽しめそうだし、気合を入れてやっていくことにする。

ガチャシステムとAP(行動値)回復システムを踏まえて、このゲームを無課金でがんがん進めていくための戦略を考える。

特に聖晶石というのが、このゲームでは核となる資源だ。ガチャ、AP回復戦闘で全滅時の復活、という使い道があり、

これらにどう配分していくかが鍵になるだろう。のんびり遊ぶなら全てをガチャに回すのが正解だろうが、

課金でがんがん進めるにはガチャ以外にも割り振っていく必要がある。

そのために考えて出した戦略は以下の通り。

1.序盤はとにかくガチャを回し、キャラを集める。

2.その中からお気に入りキャラを選び、集中的に成長させる。

3.以後はガチャは引かず、聖晶石はストーリー進行に使う。

最初無料10連のほかに、ログボとフリクエなどで60個集めて後2回10連を引き、

呼符をあわせるとトータル40回くらいは序盤に引けるのではないだろうか。

これだけあると確率的には星4のキャラを一人は引けると思う。引けなければ星3でも

お気に入りであれば限定資源を投入して成長させていけるのでストーリー進行は可能だ。

私は一人のお気に入りを選び、その1キャラだけを集中して成長させることにした。

キャラの成長にもAPが必要なので、無課金短期プレイでは複数人を成長させる余裕はない。

もちろん、可能であれば成長させたほうが望ましい。)

上記のような経緯で戦略を定めて、結局私は以下の攻略スタイルとなった。

前衛は、マシュ、エースサポート、の3人で固定する。エース自分お気に入りキャラで、

このキャラを全資源を投入して成長させる。マシュはストーリーを進めると勝手にlv上限があがり、

かつ補助能力が高い有能キャラ

サポート役は相手に合わせて適宜選択する。

後衛にはコマンドカード調整用のキャラを配置するが、積極的には成長させずにあまった資源で成長させる。

クエストを進めるとマスターのlvがあがってAPも回復し上限も増えるので、とにかくストーリーを進めることを優先する。

結果、5日目には、マシュとエースはlv40以上だが、その他は20台になった。

7日目に4章クリア、9日目に5章クリア、12日目に6章クリア

週に一度の曜日クエストや、特定フリークエスト周回で素材を集めないとlv上限解放ができないことがわかり、がんばって集めた。

そのためのAPは聖晶石を使って工面していく。12日目と13日目にはゲイザーを50体ほど

狩って素材を集めたが、これが一番眠くなった。APも1000くらい使ったので、7日目のログインボーナス

黄金果実10個を消費した。

14日目にはエースが念願のlv100に到達。

効率重視なら、90止めでもいいのかもしれない。数千万QPを稼ぐために石を消費した。

15日目から季節イベントもやってみた。どんどん稼げるので、これがもっと早くあれば楽だったかもしれないが、仕方ない。

17日目に7章クリア、19日目の今日、終局特異点クリア

結局、ひとつ特異点につき2,3回は令呪や石でコンテニューしたと思う。

終局クリア時点で手持ちの聖晶石は70個ほど残っていた。

6日目からクエストAP半減が始まったのでこれがなければあと20個ほど余分に使っていただだろう。

クリア時点でのキャラレベルは、マシュ74、エース100、控え壱40、控え弐70、控え参54だった。

(ちなみに控え四は18。1章以来使っていない。強化はエースが季節イベの恩恵もありHPATK共に+1080))

メンバーが固定なので、戦術は一貫して、マシュが守ってエースサポートが殴る、というものだ。

サポートも(イベントキャラがいなければ)宝具が使えないので、選択肢は限られる。

私同様フレンド機能制限している人のために書くと、クーフーリンオルタは宝具が無くても大活躍だった。

後は相手攻撃タイミングに合わせてマシュがスキルや宝具を展開していくと、そこそこ3人で戦っていける。

例えば相手の宝具が単体攻撃だった場合、そのターンに無敵スキル攻撃集中スキルを使うことで封殺しつつ

ゲージを溜めて、次のターンに展開することが可能だし、相手の宝具が全体攻撃だった場合は、そのターンに

宝具を展開できるようにゲージをため、次回の相手の宝具のターンは無敵スキルマスタースキルで凌ぎ、

その次はまた宝具で凌ぐ、などができる。マスターの装備は私はずっと初期のものだったが、自キャラとの

組み合わせで最適なものは変わってくるだろう。(育てる時間があるかも含めて)

さて、私はこんな感じで遊んだということを長々と書いてきたわけだが、私は私の条件で効率を考えて遊んだだけであり、

課金での最高効率プレイとはまったく異なる。(そもそもフレンド不可縛りなどを無くせば非常に楽になるし、学生などで

ゲームに使える時間が私より長い人ならもっと短期間でクリアできるだろう)

しかしこれからFGOを始めようかと考えている人にとって、このような条件でもこのような感じてプレイしていくと

ストーリーはこのくらいで進められるという参考になればと思って書いてみた。私はやっている間ずっと楽しかったし、

いいゲームというものはやっていない人には紹介してみたくなるものだ。私のプレイ時間は一日4,5時間ほどだったろうか。

思ったことをつらつら書いてきたのでまとまっていない文章だが、よくここまで読んでくれたと思う。

ゲーム内容については(おそらく)紹介しているサイトが沢山あるだろうから、私は私の体験だけを書いた。

今後の私は、ストーリー区切りがいいのでここから攻略に集中するのは控え、プレイ時間を最短にしつつ効率よくキャラを育成していく

スタイルに切り替えてのんびり続けていこうと思う。鬼ヶ島イベントも素材以外の商品は全部揃いそうなので、急ぐ理由もない。

問題は今月末が締め切りの業務をこの三週間で極力後回しにしてきてしまったことだが、まあなんとかなるだろう。

人理焼却を防ぐオーダーに比べれば、国に提出する書類の準備など危険難易度も0に等しいオーダーに決まっている。

万能の天才や賢王であればこの業務をどう処理するのかに想いを馳せつつ、最高効率で処理してくれようぞ!

2016-10-15

[]

こども陶器博物館に行ってきましたわ。

館名から敬遠していましたけれど、大きなお友達陶器博物館改名するべきでした。

博物館運営するメーカー1968年(記念すべき1号は巨人の星から

生産しているキャラクター茶碗がたくさん展示されていて間接的にアニメ歴史概観できました。

館内に流れるBGMアニメのようでした。

古すぎる作品プレミアを気にする感じでみていましたけれど、

空想科学世界ガリバーボーイ」の茶碗には完全にやられてしまいましたわ。

そして「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」「魔法少女ちゅうかなぱねま!」のタイトル意味不明で引っかかります

およげ!たいやきくんってアニメだったのですね。およげ!さばやきくんも制作するべきですわ。

昔の作品カオスですわね……。

あさりちゃんの目の描き方は今の時代でも通るのでしょうか?

一方でクリィミーマミは間違いなく今でも通用しますわ。

簡単年代作品を見比べられるので明らかに先進的であったことが分かりました。

最近お茶碗はプリキュアレンジャー無双状態になっていて寂しかったですわ。

深夜アニメ茶碗も作ってほしいですわ。

またアナ女王茶碗では陶器への転写技術がどれだけ進歩たかがよく分かりました。

(初期からいい仕事をされているメーカーですけど)。

アンパンマンお茶碗セットが当然のようにあったのですが、

冷静に考えるとパン派への酷い裏切りに思えてなりませんでした。

ショクパンマンお茶碗で食べるまっしろごはんはどんな味かしら?

B1の特別展示では、やなせたかし先生がじきじきに絵付けをした

アンパンマンバイキンマンドキンちゃんのお皿もありました。

バイキンマンドキンちゃんのお皿でお食事をいただくのは勇気がいりますわね……。

http://anond.hatelabo.jp/20161015191932 の続きですわ

2016-09-09

アイヌおじさんことkotneiはなぜtwitterアイヌ検索して敵とみなした人物攻撃しまくるようになったのか

ナコルル問題で急に有名になったtwitterer、kotnei

ここ最近アイヌおじさんの名で有名だ

togetterをみるとアイヌ関連で攻撃的なまとめを何個も作り、軋轢を生んでいる人物であることがわかる

http://togetter.com/id/kotnei

このような人格はなぜ形成されたのか、2011年から始まる彼のつぶやき概観することで調査してみた

 

twitterを始めた当初、kotneiの会話の中身は他愛のない趣味カメラの内容ばかりであった。

変節が始まるのが2013年前半あたり。金明秀李信恵といったいわゆるしばき隊人脈との会話が増えていく

金明秀 KIM, Myungsooさんへの返信

忽然朔風 ?@kotnei 2013年3月8日

@han_org 質問させてください。ここでの同化主義排外主義対立する概念なんですか。それとも,一人の人がその両者を同時に持つことはあるのでしょうか。

1件のリツイート 1 いいね

そのきっかけはtwitterだけではわからないが、朝鮮まれ満州育ちの母や鶴橋で育ったという彼のルーツが影響を与えていることが推測される

忽然朔風 ?@kotnei 2013年4月23日

ネトウヨにならなかった理由を@rinda0818 さんが聞いていましたが,育った地域環境に加えて,朝鮮まれ満州育ちの母の影響はかなり大きかったのではないかと思います

忽然朔風 ?@kotnei 2013年4月27日

鶴橋ホテルに着いた。ここから上町台地を登ると、3年間通った母校がある。懐かしい風景

ここまでは韓国朝鮮関連とのかかわりが多く、アイヌに関するツィートはごくわずかだったのだが、

アイヌ関連の書き込みが増えるのが2014年後半あたり

忽然朔風 ?@kotnei 2014年8月14日

札幌市議によるヘイトスピーチRT "@kaneko_yasuyuki: @IcloudBurabu アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権行使しまくっているこの不合理。納税者説明できません。"

転機は金子快之市議が「アイヌはもういない」発言で除名された騒動のあたり

ちょうどこの頃、小林よしのりアイヌを標的にしだした時期であることから、敵の敵は味方とばかりにアイヌ関連の話に入り込むことになったのだろう

そもそも、彼は現在北海道在住なのでアイヌ問題話題にしやすかったものと思われる

忽然朔風 ?@kotnei 2014年11月15日

本来ならば必要のないことですが,カエル粘着があまりにも酷いので,私の生い立ちについて説明しておきます。私は四国まれ日本人の父と植民地時代朝鮮まれ日本人の母との間に生まれ日本人であり,在日コリアンではありません。高校までは大阪で育ち,その後北海道に住んでいます

ここまでの流れでわかるとおり、kotneiの激しい攻撃性は、しばき隊の行動理念根底がある

ここ数年は周辺のアイヌtwittererにも悪癖がうつっている傾向があり、頭の痛いところだ。

[追記]

はてこがアイヌに興味を持った理由は、本当によくわからない

表現規制賛成派なんでしばき隊と相性はよさそうだったけど、北海道関係ないよね

[追記の2]

togetter騒動は、どうやら両陣営お互いしか書き込めないまとめを作って収束したようでよかった。

このまとめを作った意味は、本来対立するべきでないオタクアイヌ対立を避けるために、攻撃対象を正しくしばき隊に向けることにあったんだけど

オタ陣営も「アイヌ警察」「アイヌ自警団」なる単語を作って切断処理を進めてくれたのでありがたかった

kotneiおじさんも普段相手とはまるで物量が違う相手が現れてさぞ疲れただろう、しばらく頭冷やしてくれればいいが、、、

 

しばき隊の影響下に置かれているtwitterアイヌも、今のしばき隊の内ゲバぶりが顕在化するにつれ

いずれ元の穏やかな書き込みの人たちに戻るだろう

その際には快く迎えたい

ただ、本来小林よしのり辺りがアイヌに噛みついた時点でしばき隊以外のもっとまともな面々が支えるべきだった

このために一時でもこんなに溝が深まったのが悔やまれ

[追記の3]

kotnei、今度は城娘に噛み付いてまた火だるまになっとる。いい加減学習しないか

それはそうと、今度はオタク側が金子快之や砂澤陣の記事著作を参照にし始めた。

こいつの中身を信じるのは良くない。

 

kotneiやマークウィンチェスターしばき隊に取り込まれアイヌ警察なら、

金子快之や砂澤陣は小林よしのりに取り込まれた反アイヌ論者。いうなれば鏡の存在

オタはこういうのに入れ込むのは良くないし、

なにより彼らの論法どおりアイヌ民族存在否定されたら、困るのはオタク趣味を持っているアイヌだ。

オタクアイヌ対立してしまったら、彼らはどこを拠り所にすればよいのだ・・・

今回の騒動で再びこの記事を参照する人がでてきたようなので、追記を見たらもう少し考えて欲しい

2016-06-30

エロゲにおける泣きゲー概観

エロゲには泣きゲーというジャンルがある。傾向として18禁要素は少なく、その必然性が薄いこともままあることから時にエロ不要論が主張されたり、あるいは泣きゲーエロゲではないと揶揄する人もいるジャンルである

しかし「一般に、泣いたあと人間は気分がよくなる」(ウィリアムフレイⅡ『涙―人はなぜ泣くのか』)。快楽を得ながら体液を体外に排出する行為エロと称するのであれば、その意味で泣きゲーエロゲの一ジャンルであることは間違いない。

泣きゲーはある日突然出現したものではなく、それはどうプレイヤーの涙を誘ったか技術の積層であり、様式の歴史である。個々の作品論は星の数ほど存在し語り尽くされてきたが、この歴史という点での言及は少ない。当時それは歴史ではなくリアルタイムだったのだから、当然といえば当然ではあるが。

2016年現在、エロゲ論壇は死に、泣きゲーが語られることも少なくなった。

だが、だからこそ、最初からぶっ通してやり直してみることでその変遷について、その後に何が継承されていったのかという点で俯瞰することが出来るのではないか。

ということでやり直したので、増田に書きなぐっておく。

1988~1996年

そもそもエロゲの目的は何かといえば、もちろんエロである。主役はエロCGであり、脇役に過ぎない物語の出来を評価する者などいなかった。

その様子が変わり始めるのは80年代後半、『リップスティックアドベンチャー』(フェアリーテール,1988/5)辺りからであるエロゲが一つの娯楽物語として成立することが示されたことでプレイヤーはその物語性に目を向け始め、脇役だった物語はSFやホラーなど様々な要素を取り入れていく。その一つが「感動」であった。

例として、早くも1991年の『ELLE』(elf)に対して「ホロリとした」という感想が存在する(小林義寛『ゲーマーエロと戯れるか』)。泣ける物語かというと微妙だが、今プレイしても確かに面白いSFエロゲであり、感動的要素が含まれていると言える作品である

人は感動すると涙腺が弛むことがある。逆に言えば、涙腺が弛む種類の感動がある。この点での先行研究として米沢嘉博の『マンガで読む「涙」構造』があるが、そこで昭和の泣ける少女マンガ少年マンガを分析した米沢は、女性は不幸における愛と感動の物語に泣き、男性友情、努力、勝利の感動に泣く、としている。

男性向けであるはずのエロゲはしかし、何を血迷ったか「不幸における愛と感動」を物語に取り込むことに成功する。

DESIRE』(C's ware,1994/7)、『EVE』(C's ware,1995/11)、更に『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(elf,1996/12)と傑作を連発した剣乃ゆきひろはいずれも物語の中核に少女の悲劇を配した。それは壮大かつ感動的な物語の帰結としての落涙をしばしば生み、その感想に「泣いた」というものが少なくない。

さらに『同級生2』(elf,1995/1)の桜子シナリオにおいていわゆる難病物がエロゲに導入される。それは当時十分に涙を誘うものであったとして、これが泣きゲー元祖だとする説も存在する(小林,前掲)。

努力・勝利の感動が無かったわけではない。例えば『闘神都市2』(ALICESOFT,1994/12)は自分の無力さが生んだ悲劇きっかけに、強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す物語であり、高く評価された。……しかしそこにはやはり「悲劇」がつきまとっている。

「不幸における愛と感動」は、こうしてエロゲで広く受けいれられていく。

1997年

難病物は概ね、主人公ヒロインの仲が深まるにつれて病状が悪化する展開をとる。これを病気に限定せず、「不幸」に一般化したもの涼元悠一は「萌やし泣き」と呼ぶ(涼元悠一ノベルゲームシナリオ作成技法』)。ヒロインとの幸福日常をまず描いてから一気に雰囲気を暗転して二人の不幸な状況を綿密に描写、涙腺の緩んだプレイヤーに最後の一押しをするという、泣きゲーに慣れた人にはお馴染みのそれである

この萌やし泣きは、しかし突如エロゲに登場したわけではない。

前述の闘神都市2には、ごく短いが構造上萌やし泣きと解釈しうるイベントが存在する。同級生2桜子シナリオは難病物である以上もちろん萌やし泣きだが、その不幸描写は非常に短く、またオチが「主人公勘違い」というギャグである。それは手法としては古くから存在しており、変わってきたのは、それを物語上どの割合で展開するかという点であった。

1997年5月、それが一つの分水嶺を超える。『ToHeart』(Leaf)のHMX-12マルチシナリオは、萌やし泣きを1ルート全てを費やして実現した。

おそらくこれが(エロゲ上で)萌やし泣きの威力が十分に発揮された最初の例だろう。彼女の物語は感動的な場面をクライマックスに据え、それ以外の要素――ギャグも皮肉もセンス・オブ・ワンダーも滲ませること無く、ストレートに終わった。そのシンプルさに価値があったと言え、本作は多くのプレイヤーから「泣いた」と絶賛された。

そしてもう一つ、作り手の意思という点でも分水嶺を越えたものが登場する。『MOON.』(Tactics,1997/11)が「鬼畜サイコ涙腺弛まし系ADV」と自ら名乗ったことは、その後の歴史的意味でも強く象徴である。もし泣かすという意思で作られたもの泣きゲーと呼ぶならば、その明示という点で最初泣きゲーは本作と言うこともできるかもしれない。

MOON.は大量のエロシーンを擁し、エキセントリックな人物造形も無く、萌やし泣きでもない。後の作品よりも本作が泣けるし好きだという人もいるが、多くの人を確実に泣かせる威力に本作があと一歩不足したことは事実と思う。

はいエロゲはついに、プレイヤーを泣かすことを主目的とし始めたのである

1998年

ToHeartで泣かせる物語構造確立し、MOON.で泣かす意思が示され、そしてそれは『ONE』(Tactics,1998/5)において結実する。MOON.スタッフが作ったそのエロゲには、萌やし泣きが全ヒロインルートで導入された。

当時の多くのプレイヤーにとって、それは致死量だったと言っていいだろう。

本作はMOON.と変わって18禁要素は非常に薄く、無くても物語は成立する。物語は全ルートで感動と涙が目的に据えられ、それしかない。にも関わらずこれがプレイヤーの絶賛を浴びたことは、「泣かせること」がそれ単独ジャンルを成立させられることを示していた。

今やり直してみると甘い部分も多い。しかし『sense off』(otherwise,2000)、『それは舞い散る桜のように』(BasiL,2002)など、本作の影響下にありつつも秀逸な作品がのちにいくつも生まれたことを考えれば、その影響力と価値を軽んじられる者はいないだろう。

1999年

6月、MOON.を作りONEを作ったチームは独立してKeyと名乗り、『Kanon』をリリースする。これがどれだけの信者を獲得したかは言うまでもないだろう。

特に技術的な面でKanonはONEよりも洗練されている。OPとED、泣かせるための特殊演出などのソフトウェア面はもちろん、泣かすための専用BGMが用意された、という点も大きい。1997年の『アトラク=ナクア』(ALICESOFT,1997/12)は物語のクライマックス、その絶望的状況下で「Going On」が初めて静かに流れ出すことで異様な精神的高揚をプレイヤーに与えたが、これが事前に何度も使われていたら効果は半減していただろう。これと同様のアプローチKanonは泣かすという目的で採っている。

Kanonから3週間後に発売された『加奈』(D.O.,1999/6)もまた、この時代泣きゲー金字塔である。ONEやKanonが物語を中盤過ぎまでギャグで埋め尽くしたのに対し、加奈は10年以上に渡る兄妹の闘病生活を正面からシリアスに描いた難病物であるリアリティのある物語という点で「新しい」泣きゲーだったと言え、今なお評価は高い。

――一方で、ToHeartもONEもKanon加奈も、悪く言えばただのお涙頂戴であるハッピーエンドは奇跡や幸運によってのみ訪れ、主人公たちは運命に翻弄される無力な存在でしかない。こうしたお涙頂戴は今も昔も根強い人気を誇るが、一方で毛嫌いする人がいることも事実である

興味深いことに泣きゲーは、これらのお涙頂戴では泣けない人々をも泣かせようとするかのように、別の「泣かせる何か」の模索を少しずつ始めていく。

2000年

知名度も低く地味だが言及しておきたい良作として、1月に発売された『Lien』(PURPLE,2000/1)がある。不慮の事故幽霊になった主人公とその周囲の人々が残された2週間でその死に向き合い、改めて別れを告げる物語であり、主人公が生き返ることは無い。従ってお涙頂戴の文法に則っているが、しかしその最後において、彼らは前を向き、笑顔で別れを告げる。別れは悲しみしか生まないものではなく、人の強さを示すものでもあることをLienは描いていた。

そして9月、Keyのリリースした『AIR』は約束された勝利を遂げる。物語はもちろん難病物で、ヒロインは最後に死ぬ。その死を「ほとんどなんの意味もない」(東浩紀ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』)とするならば、これは従来通りのお涙頂戴だろう。

しかし、彼女無意味に死んだことが悲しくてプレイヤーは泣いたのだろうか。

もちろんそういう人もいるだろう。だがかの有名な「ゴール」は、彼女が最後まで努力し、やりきったこと――笑顔幸福記憶を全うしたからこそ、泣いた人も少なからずいたと筆者は考える。最後の別れにおいて、彼女は必死で前を向いていた。

悲劇象徴としての別れの描き方と、それに対する姿勢は少しずつ変化を見せ始める。

2001年

ところで萌やし泣きの多くは幸福8割、不幸2割程度の文量配分で構成される(※数字は筆者の体感であり、根拠はない)。これを反転し、幸福を2割以下、不幸を8割以上にするとどうなるか。

鬱ゲである

MOON.もその一つだが、『DiaboLiQuE』(ALICESOFT,1998/5)や『銀色』(ねこねこソフト,2000/8)など、爆発的に売れることは無くとも鬱ゲーは途切れること無く続いてきた。特に銀色の執拗な鬱展開は秀逸であり、未だ根強くファンがいることも頷けるものである個人的にはDiaboLiQuEももっと評価されていいと思う)。

そして8月、幸福と不幸がほぼ半々、つまり鬱ゲーであり泣きゲーでもある『君が望む永遠』(age,2001/8)が発売される。

男女関係修羅場シリアスに描いたエロゲといえば『WHITE ALBUM』(Leaf,1998/5)が有名だが、そこでは主人公修羅場の矢面に立たされることはない。対して本作のメインシナリオでは主人公は徹底して矢面に立たされ、主人公が別れを切り出すことでのみ悲劇は終幕する。

誰を切り捨てるかは、プレイヤー選択肢が突き付けられることで行われる。だからこそ最後に彼らが再び笑い合える可能性が示されることはプレイヤーを安堵させ、涙を誘った。彼らは奇跡によってではなく、心の強さによって悲劇を克服する。

さらに11月、物語の殆どがギャグで占められ、物語の構造自体は従来の萌やし泣きの延長ながら、にも関わらず枠を踏み越えたものが登場する。『家族計画』(D.O.,2001/11)である

家族に捨てられた連中が偶然集まり、やむなく家族を偽装し、衝突しながら家族になっていき、崩壊し、再び家族になる様が描かれる作品である加奈やAIRでも家族愛は描かれたが、いずれも兄妹あるいは母娘の二者間に閉じている。対して家計は父母兄姉妹という集団の絆を描く。

襲いかかる不幸は彼らの手によって跳ね除けられる。プレイヤーはもはや誰かの不幸にではなく、茉莉がお兄さんになって下さいと訴え、準が最後にスプーンを咥え、その家族としての努力が実ったことに涙する。

なにより家計ではもはや誰一人死ぬことはない。君望もメインシナリオでは誰も死なない。誰かを失う悲しさだけが泣かせる手段ではない。悲劇に敢然と抗い、心の強さで打ち勝つだけでも人は泣くのである

2002年

……などと枠を広げ、新しい要素を貪欲に取り込むパイオニアばかりではない。泣きゲーというジャンルを充実させたのは既存の要素で構成された作品群である

例えば『flutter of birds』(シルキーズ,2001/2)は極めて基本に忠実な難病物だし、特定ルートで萌やし泣きを取り込んだ『みずいろ』(ねこねこソフト,2001/4)や『水夏』(CIRCUS,2001/7)、『グリーングリーン』(GROOVER,2001/10)はいずれも好評を博した。またDESIRE同様、悲劇シナリオの感動としての落涙であれば『腐り姫』(Liar Soft,2002/2)はこの年の作品では秀逸である

また、集団間の絆も広く扱われていく。

うたわれるもの』(Leaf,2002/4)ではSRPGというジャンル上の必然もあるだろうが、家族的な仲間との絆が描かれている。『世界ノ全テ』(たまソフト,2002/4)や『ロケットの夏』(TerraLunar,2002/10)は後半こそ二者間が主軸になるものの、いずれも部活を通して仲間と触れ合うことで主人公が成長し、仲間との絆を育むことで成立する物語である

2003年

ONEとKanonとAIRを足して3で割ったような『SNOW』(Studio Mebius,2003/1)、あるいは『てのひらを、たいように』(Clear,2003/1)では、困難に対する仲間の存在がより大きな価値を持つ。その最後は奇跡による解決はいえ、ヒロインのために仲間全員が努力し、足掻くことでハッピーエンドが訪れる様は「与えられたもの」というより「勝ち取ったもの」という印象が強い。

これらを「みんなは一人のために」とするならば、「一人はみんなのために」もまた登場する。『CROSS†CHANNEL』(FlyingShine,2003/9)である

ToHeart型のよくある学園物語に始まり、それが綱渡りの上で構築されたものであることが明かされ、ばらまかれた伏線が繋がっていく様は見事の一言に尽きる。と同時にそれは、心の壊れた主人公が何度も失敗しながらトラウマを乗り越え、仲間のために自己犠牲を重ね、それによって心を再構築していく物語である。その実に静謐な最後において、そこで彼が平穏と幸福を遂につかんだことに、タイトルの意味と、そして彼が勝ち得たものが明かされることにプレイヤーは涙を流す。

2004年

そして1月、『Fate/stay night』(TYPE-MOON)が発売される。絶望的状況下で静かに流れだす「エミヤ」はプレイヤー凶悪な興奮を与え、「強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す」展開に涙を流した。

そこに「友情、努力、勝利の感動」があることを疑う者はいないだろう。

泣きゲーというとKanonやAIRがよく話題に出されるが、「泣いた」という感想がC†CやFateにも多く存在することは事実である。と同時に、いずれにも物語の重要位置に少女の悲劇と愛が配置されている。

そしてこれまで言及してきた「不幸における愛と感動」の泣きゲーに、努力や勝利が全く存在しないわけでもない。その努力が実ったかどうかの差はあれど、必死の行動があったことはどの作品でも紛れも無い事実である

としてみると、「泣いた」と感想を多く有する作品、すなわち泣きゲーには「不幸における愛と感動」と「友情、努力、勝利の感動」の要素が、両方含まれていると捉えても間違ってはいないだろう。そしてそうだとすれば両者は対立するものではなく、両立するものと言える。

そう捉えるならば泣きゲー歴史とは、時代によって、作品によって、この両者の配分を巡る歴史だった、ということもできるように思う。

2005年以降

いい加減読んでいる人も飽きただろうし2005年以降は割愛するが、一つ言及するなら不意打ちという手法が導入された点である

例えばいかにも安っぽいハーレムものとして始まりながらシリアスなSF展開を経て感動的最後を迎えたり、あるいは陰惨な陵辱物として始まりながら見事に綺麗な純愛物へと変貌したり、泣きゲーとしての姿勢最初は微塵も匂わせず、突如牙を剥くもの2005年以降に目立ち始める(いずれもタイトルは念のため伏せた)。

また泣けるイベントが用意されていても、それが作品としてのクライマックスと一致しないことが珍しくなくなる。中には語るべき物語は全て終わり、エピローグの最後の最後で油断しきったプレイヤーに猛然と襲いかかるものもある(いずれもタイトル以下略)。

昨今、泣きゲーが減ったと言われることがあり、実際、一見してわかりやす泣きゲーを現在はあまり見かけない。しかしプレイヤーを泣かせることが主目的化した時代を超えて、泣きゲーとしての技術や様式は再び物語を盛り上げるための一要素へと還元されていった、というのが現代の流れだとすれば、それは死につつあるのではなく、むしろ要素として広く普及し、遍在したことで目につきにくくなった、ということのようにも思えるのである

おわりに

リアルタイムにこれらを経験した人にしてみれば、有名作を並べただけでなんの面白みもない内容と思う。申し訳ない。が、今20歳前後若者にとってみればFateですら12年前の古典である。「泣きゲー元祖」がなぜ人によって違うのか。なぜ未だにはわわとかうぐぅとか言ってるヤツがいるのか。若者がそんなことを知っている方がおかしいし、それを知るために最初から全部やり直すなど正気の沙汰ではない。

かつて何が起きて、それが今にどうつながっているのか。粗く拙いまとめに過ぎないが、その理解一助として本稿に役立つところがあれば幸いである。加えて「そういや最近エロゲやってねぇなぁ。またちょっとやってみるか」と思うきっかけになれば、それに勝るものはない。

どうか、幸せエロゲライフを。

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