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2019-04-30

もう平成も終わるし平成エロゲを語っておきたい。

何処かのweb記事があまりに酷かったので思い出に浸りたいだけなんだ。

ここ数年は年2~3本ペースなのでめっきりやらなくなってしまったけど思い出は残しておきたい。

といっても全部挙げてたらキリがないのでタイトルを見回して忘れたくは無いなあと思ったのをピックアップ。なので大作っぽいやつや有名作は入っていたりいなかったりする。

1994

野々村病院の人々

今でも探偵ものイメージはこれとEVEだと思う。

1995

同級生2

恐らくエロゲにのめり込むことになった主要因。

夢幻夜想曲

流石に昔過ぎて雰囲気の良かった作品しか憶えていない。

遺作

「猫も鳴かずば殺されまい」は憶えてた。

EVE burst error

あの犯人入力を一周目で正解できた人は居るのだろうか。

1996

悪夢 ~青い果実の散花~

当時としては珍しく確か2年ぐらい延期、しかし内容はただのCG集という散々な記憶

脅迫

対してこちらは一種の謎解きもの面白かったという。

下級生

時間を掛ければよいとは限らない。

今回調べてて一番驚いたのが、雫が96/6/26発売、痕が96/7/26発売ということ。

痕 -きずあと-

今思うとそう長くないボリュームなので密度が濃かったんだと思う。

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

20年越しにアニメ化されるとは誰が思ったか。名作なのに、しょうも無い規制で完全な復刻が叶わないのが残念。

放課後恋愛倶楽部恋のエチュード

自分プレーしていないが、それまでエロ系の作品しか出してこなかったブランドイメージ一新してまさかの学園恋愛ものを出すという奇抜さ、しか半年後にはエロに振った外伝的な作品放課後マニア倶楽部)を発売するという合わせ技が印象深い。

ハーレムブレイド

当時としては珍しいOP曲付き。しか86音源必須という。

1997

猟奇の檻 第2章

今思えば猟奇って程でも無かった気がするけど、バッドエンドの後味の悪さが。

ToHeart

自分にはあまり合わなかったなあ、という記憶

1998

LOVE ESCALATOR

この頃から延期のイメージが付いた。

ONE輝く季節へ

何だかんだでやりこんだからこれ系のテキストが好きなんだと思う。

With You ~みつめていたい~

決して悪くは無い、のに結局妹に人気が集中した結果を重く受け止めて欲しかった。

永遠の都 Eternal Love

もの+痕系のちょいミステリーみたいなの、だったはず。隠れた良作。

1999

加奈いもうと

テレビ番組晒し上げられた人が不憫だった。

Blow ~満ちた月、欠けた月~

後味の悪さで名を残す作品

絶望 ~青い果実の散花~

悪夢で味をしめたというかなんというか。キャラの数だけは圧倒的だと思う。

夜勤病棟

当時から人気だったけどあんシリーズ物になるとは誰が思ったか

2000

螺旋回廊

混沌とした当時のネット界隈を絡めた恐怖感の煽りが上手かった。

ゆきのかなた

シナリオは憶えてないけどOP曲は好き。

贖罪教室 ~The seven stories of sin

叙述トリックの名作……なのかもしれないし話は面白かったけど、システムフラグがあまりに酷すぎた。

果てしなく青い、この空の下で…。

爽やかな田舎での青春ものだったね。

銀色

ねこねこ出世作

発情カルテ緋色の陵辱肉玩具

二次創作的なキャラデザのせいか直前に通販限定になったという。確かマイナーキャラ最後まで元ネタ不明だったような気がする。

2001

Renaissance

インテリゲー。

さよならを教えて ~comment te dire adieu

当時の記憶ではうーん、って感じ。好きな人は好きなんだろうなって。

椿色のプリジオーネ

全く話題にも残らず隠れた良作でも無いけど、雰囲気だけは好きだった。

秋桜の空に

口コミだけで売れた佳作。バグ抱えたシステムユーザが作り直すとか後にも先にも無いんじゃあ。

君が望む永遠

この辺りから体験版が長くなっていった。

あしたの雪之丞

勢いがなくなってはいてもエルフエルフという。

灰被り姫の憂鬱

ジャンプ打ち切りエンドみたいな、ここで終わり?!みたいなのが非常に惜しい雰囲気ゲー。

Crescendo ~永遠だと思っていたあの頃~

卒業式前後ってこんな感じだった。

月陽炎 ~つきかげろう~

OP名曲な上にシナリオも非常に好み。

蜜柑

物語物語

螺旋回廊2

確かフラグ管理が独特で、直前にプレーしたルートが次のルートに反映されるという仕組みだったような。

Kasumisan# -真夏リフレイン-

隠れすぎた良作枠。

2002

僕と、僕らの夏

冬子さんルートが最高なんだよなあ。

腐り姫 ~euthanasia~

救いの無い話だった気がする。

水月 -すいげつ-

雪さん好き。

世界ノ全テ

たまソフトは良くも悪くも本作だけだった。

姉妹 ~濡れた相姦図~

当時の規制に反するために故・田所氏が独自流通販売したという記憶だけ。

魔法少女アイ2

アイは2作までだよ、3作目なんて無かったよ。OPの格好良さは異常。

人形の館 ~淫夢に抱かれたメイドたち~

かぐや出世作。やはり声優重要だったと。

ヤミと帽子と本の旅人

発売当時はワゴン行きの良作だったのに、アニメ化で火が付いたという。

2003

SNOW

kanonパクリみたいな感じで適当に作り始めたはずがそのうち本気で作ってしまったとかなんとか。言うだけあって面白かった。

私立アキハバラ学園

当時は面白かったけど今やったとしたらどう感じるだろうなと。

Clover Heart's

今でもまだ「それは、必然で偶然の出会いでした」から台詞を全パターン諳んじることができる。

2004

WW&F ~大正帝都伝奇譚~

これまたジャンプ打ち切りエンドのような最後が気になる終わり方。灰被りと同じライター作品だったはずだけど何処かで完結させて欲しい。

PARADISE LOST

厨二作品としては一番好きかも知れない。

Fate/stay night

20年近く経ってもまだシリーズやってるなんて思わなかったよね。

CARNIVAL

OP詐欺

何処へ行くの、あの日

妹ゲー枠なら一番好き。

3days -満ちてゆく刻の彼方で-

なぜ終盤がギャグになってしまったのか。

はるのあしおと

OPムービーほど本編が話題にならないけど、本編も良い意味でよく刺さる名作だよ。

瀬里奈

かぐやの名作。

六ツ星きらり

OP曲は今聴いても名曲だった。

2005

処女はお姉さまに恋してる

発売時は難民になった。

パルフェショコラ second brew~

そういえばショコラパルフェアニメ化という悲劇回避してたのは意外だった。

プリンセスうぃっちぃず

カードゲームベース魔女っ娘バトルは面白かったけど、やってる内に敵の手札を憶えてしまうという問題が。

さくらむすび

いつかフルボイス版でも良いかリメイクして欲しい。

鎖 -クサリ-

まりに悪役のキャラが立ちすぎてて人気。

群青の空を越えて

「なんでエロゲでこのジャンルをやろうと思った?」で初めて「なるほどこれはエロゲしかできないな」となるまでがテンプレ

2006

彼女たちの流儀

fripSide最初に注目された切っ掛け。

牝姫の虜 ~廃校舎の制服少女

陵辱ゲっぽく見えるものの濃厚和姦ゲとして良作。

ef - the first tale.

アニメ含め、efシリーズminori最高の作品だった。

2007

いつか、届く、あの空に。

狙ったにせよ、ここまで途中で作風が変わるシナリオも珍しい。

姫騎士アンジェリカあなたって、本当に最低の屑だわ!~

末期のシルキーズが生み出した半ばギャグに近いようなサブタイトル台詞シリーズ。独特の台詞回しと声優さんの熱演が勝利の鍵だった。

夢見師

据え置き機で出た作品が逆移植という枠。ループもので陵辱含むバッドエンドありというのはなかなか頑張ってる。

2008

Garden

誰かが、ほんの少し優しければメインヒロインにもシナリオパッチが作られただろう。でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ。だから−−この話はここでお終いなんだ。

殻ノ少女

完結編はまだ製作中とこの前見た。

ティンクル☆くるせいだーす

当時は遊び込みました。

学園催眠隷奴 ~さっきまで、大嫌いだったはずなのに~

主人公何気に良い奴なのを含めてギャグ枠としても良作という。

ヨスガノソラ

未だに穹のグッズが出てる。

2009

星空のメモリア -Wish upon a shooting star-

伏線とその回収が非常に巧かった。

Dies iraeActa est Fabula

厨二バトルもここまで極めたら芸術だよね

2010

素晴らしき日々不連続存在

エロゲオタク達にシラノ・ド・ベルジュラックを広めた名作。

WHITE ALBUM2 ~introductory chapter~

名作のはずなのに、アニメの二期は叶わなかった。

処女はお姉さまに恋してる ~2人のエルダー~

シナリオの良いところもダメなところも1作目を踏襲してたのは笑った。

君の名残は静かに揺れて

Flyable Heartスピンアウトだけど単体でも十分楽しめるというのは凄い。

黄昏シンセミア

珍しいぐらいに正統派伝奇もので、実用的なフローチャート実装という遊びやすさは他も見習って欲しい。

2011

グリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-

え、ついこの前までアニメやってなかった?そんな昔だっけ?

穢翼のユースティア

従来の作風から離れ、ダーク路線作品への挑戦は高く評価したい。

sisters ~夏の最後の日~

これまた延期に延期を重ねたのはいいとして。シナリオは無いに等しいと言うよりも、読解力・想像力を求められすぎる。

晴れときどきお天気雨

修羅場嫉妬シーンは大好きです。

2012

はるまで、くるる。

体験版で期待を勝ち取った良作。

ものべの -monobeno-

シナリオに全く期待できない炉理ゲーと見せかけて伝奇ものとしてもある程度楽しめるという意外性は記憶に残った。

古色迷宮輪舞曲 ~HISTOIRE DE DESTIN~

YU-NOフォロワの中では尤もよくできた作品では。あまりに高難易度理不尽の域に達しそうな仕掛けは不親切だがシステムと高次に融合するシナリオはやはり面白い。

月に寄りそう乙女の作法

また安易男の娘ものか、と思わせてきっちり人気シリーズにしてしまNavel底力

ティンクル☆くるせいだーす Passion Star Stream

ラストバトルの盛り上がりは最高。

2013

ハピメア

作品によってブレが大きく、また単体作品としても完成度が惜しかったpurpleが本気になったのはここからだと思う。

シナリオエロ含めての良作。

君と彼女と彼女の恋。

非常に仕掛けが凝った怪作。仕掛けやフラグが多数ありすぎて自力で見るのはやりこんだ人だけ、というのもこの作品のコンセプトを考えると面白いところ。

大図書館の羊飼い

8月が他の学園モノに差を付けられるのは、やはりキャラを脇役に至るまできちんと立たせることができる点だと教えてくれる。

2014

12の月のイヴ

面倒くさいヒロインが大好きなので、コンプレックスとか色んなものに思い悩むヒロインが超可愛い。好き。

Clover Day's

Clover Heart's好きだったし期待してたのに、どうにも合わなくてなんでだろうと考えてたら自分自身の好みが変化してしまったという結論に達して哀しくなった思い出。

2015

ソレヨリノ前奏

夏ペル以降のminori作品の中では一歩抜きん出てる良作。主人公を理詰めで責めて振るヒロイン最高でしょ。

2016

トメドメイン

男の娘主人公ものって女装してる時は去勢されたかのようになるくせに突然ベッドヤクザという一種テンプレが成立してたので、普段から性欲と自分の姿のギャップに思い悩むのは良い試み。


ここ最近のだと、nineとかやってるけどあれはまだ完結してないし…… FLOWERS面白かったけど全年齢だし、で多分こんなところ。

2016-06-30

エロゲにおける泣きゲー概観

エロゲには泣きゲーというジャンルがある。傾向として18禁要素は少なく、その必然性が薄いこともままあることから時にエロ不要論が主張されたり、あるいは泣きゲーエロゲではないと揶揄する人もいるジャンルである

しかし「一般に、泣いたあと人間は気分がよくなる」(ウィリアムフレイⅡ『涙―人はなぜ泣くのか』)。快楽を得ながら体液を体外に排出する行為エロと称するのであれば、その意味で泣きゲーエロゲの一ジャンルであることは間違いない。

泣きゲーはある日突然出現したものではなく、それはどうプレイヤーの涙を誘ったか技術の積層であり、様式の歴史である。個々の作品論は星の数ほど存在し語り尽くされてきたが、この歴史という点での言及は少ない。当時それは歴史ではなくリアルタイムだったのだから、当然といえば当然ではあるが。

2016年現在、エロゲ論壇は死に、泣きゲーが語られることも少なくなった。

だが、だからこそ、最初からぶっ通してやり直してみることでその変遷について、その後に何が継承されていったのかという点で俯瞰することが出来るのではないか。

ということでやり直したので、増田に書きなぐっておく。

1988~1996年

そもそもエロゲの目的は何かといえば、もちろんエロである。主役はエロCGであり、脇役に過ぎない物語の出来を評価する者などいなかった。

その様子が変わり始めるのは80年代後半、『リップスティックアドベンチャー』(フェアリーテール,1988/5)辺りからであるエロゲが一つの娯楽物語として成立することが示されたことでプレイヤーはその物語性に目を向け始め、脇役だった物語はSFやホラーなど様々な要素を取り入れていく。その一つが「感動」であった。

例として、早くも1991年の『ELLE』(elf)に対して「ホロリとした」という感想が存在する(小林義寛『ゲーマーエロと戯れるか』)。泣ける物語かというと微妙だが、今プレイしても確かに面白いSFエロゲであり、感動的要素が含まれていると言える作品である

人は感動すると涙腺が弛むことがある。逆に言えば、涙腺が弛む種類の感動がある。この点での先行研究として米沢嘉博の『マンガで読む「涙」構造』があるが、そこで昭和の泣ける少女マンガ少年マンガを分析した米沢は、女性は不幸における愛と感動の物語に泣き、男性友情、努力、勝利の感動に泣く、としている。

男性向けであるはずのエロゲはしかし、何を血迷ったか「不幸における愛と感動」を物語に取り込むことに成功する。

DESIRE』(C's ware,1994/7)、『EVE』(C's ware,1995/11)、更に『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(elf,1996/12)と傑作を連発した剣乃ゆきひろはいずれも物語の中核に少女の悲劇を配した。それは壮大かつ感動的な物語の帰結としての落涙をしばしば生み、その感想に「泣いた」というものが少なくない。

さらに『同級生2』(elf,1995/1)の桜子シナリオにおいていわゆる難病物がエロゲに導入される。それは当時十分に涙を誘うものであったとして、これが泣きゲー元祖だとする説も存在する(小林,前掲)。

努力・勝利の感動が無かったわけではない。例えば『闘神都市2』(ALICESOFT,1994/12)は自分の無力さが生んだ悲劇きっかけに、強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す物語であり、高く評価された。……しかしそこにはやはり「悲劇」がつきまとっている。

「不幸における愛と感動」は、こうしてエロゲで広く受けいれられていく。

1997年

難病物は概ね、主人公ヒロインの仲が深まるにつれて病状が悪化する展開をとる。これを病気に限定せず、「不幸」に一般化したもの涼元悠一は「萌やし泣き」と呼ぶ(涼元悠一ノベルゲームシナリオ作成技法』)。ヒロインとの幸福日常をまず描いてから一気に雰囲気を暗転して二人の不幸な状況を綿密に描写、涙腺の緩んだプレイヤーに最後の一押しをするという、泣きゲーに慣れた人にはお馴染みのそれである

この萌やし泣きは、しかし突如エロゲに登場したわけではない。

前述の闘神都市2には、ごく短いが構造上萌やし泣きと解釈しうるイベントが存在する。同級生2桜子シナリオは難病物である以上もちろん萌やし泣きだが、その不幸描写は非常に短く、またオチが「主人公勘違い」というギャグである。それは手法としては古くから存在しており、変わってきたのは、それを物語上どの割合で展開するかという点であった。

1997年5月、それが一つの分水嶺を超える。『ToHeart』(Leaf)のHMX-12マルチシナリオは、萌やし泣きを1ルート全てを費やして実現した。

おそらくこれが(エロゲ上で)萌やし泣きの威力が十分に発揮された最初の例だろう。彼女の物語は感動的な場面をクライマックスに据え、それ以外の要素――ギャグも皮肉もセンス・オブ・ワンダーも滲ませること無く、ストレートに終わった。そのシンプルさに価値があったと言え、本作は多くのプレイヤーから「泣いた」と絶賛された。

そしてもう一つ、作り手の意思という点でも分水嶺を越えたものが登場する。『MOON.』(Tactics,1997/11)が「鬼畜サイコ涙腺弛まし系ADV」と自ら名乗ったことは、その後の歴史的意味でも強く象徴である。もし泣かすという意思で作られたもの泣きゲーと呼ぶならば、その明示という点で最初泣きゲーは本作と言うこともできるかもしれない。

MOON.は大量のエロシーンを擁し、エキセントリックな人物造形も無く、萌やし泣きでもない。後の作品よりも本作が泣けるし好きだという人もいるが、多くの人を確実に泣かせる威力に本作があと一歩不足したことは事実と思う。

はいエロゲはついに、プレイヤーを泣かすことを主目的とし始めたのである

1998年

ToHeartで泣かせる物語構造確立し、MOON.で泣かす意思が示され、そしてそれは『ONE』(Tactics,1998/5)において結実する。MOON.スタッフが作ったそのエロゲには、萌やし泣きが全ヒロインルートで導入された。

当時の多くのプレイヤーにとって、それは致死量だったと言っていいだろう。

本作はMOON.と変わって18禁要素は非常に薄く、無くても物語は成立する。物語は全ルートで感動と涙が目的に据えられ、それしかない。にも関わらずこれがプレイヤーの絶賛を浴びたことは、「泣かせること」がそれ単独ジャンルを成立させられることを示していた。

今やり直してみると甘い部分も多い。しかし『sense off』(otherwise,2000)、『それは舞い散る桜のように』(BasiL,2002)など、本作の影響下にありつつも秀逸な作品がのちにいくつも生まれたことを考えれば、その影響力と価値を軽んじられる者はいないだろう。

1999年

6月、MOON.を作りONEを作ったチームは独立してKeyと名乗り、『Kanon』をリリースする。これがどれだけの信者を獲得したかは言うまでもないだろう。

特に技術的な面でKanonはONEよりも洗練されている。OPとED、泣かせるための特殊演出などのソフトウェア面はもちろん、泣かすための専用BGMが用意された、という点も大きい。1997年の『アトラク=ナクア』(ALICESOFT,1997/12)は物語のクライマックス、その絶望的状況下で「Going On」が初めて静かに流れ出すことで異様な精神的高揚をプレイヤーに与えたが、これが事前に何度も使われていたら効果は半減していただろう。これと同様のアプローチKanonは泣かすという目的で採っている。

Kanonから3週間後に発売された『加奈』(D.O.,1999/6)もまた、この時代泣きゲー金字塔である。ONEやKanonが物語を中盤過ぎまでギャグで埋め尽くしたのに対し、加奈は10年以上に渡る兄妹の闘病生活を正面からシリアスに描いた難病物であるリアリティのある物語という点で「新しい」泣きゲーだったと言え、今なお評価は高い。

――一方で、ToHeartもONEもKanon加奈も、悪く言えばただのお涙頂戴であるハッピーエンドは奇跡や幸運によってのみ訪れ、主人公たちは運命に翻弄される無力な存在でしかない。こうしたお涙頂戴は今も昔も根強い人気を誇るが、一方で毛嫌いする人がいることも事実である

興味深いことに泣きゲーは、これらのお涙頂戴では泣けない人々をも泣かせようとするかのように、別の「泣かせる何か」の模索を少しずつ始めていく。

2000年

知名度も低く地味だが言及しておきたい良作として、1月に発売された『Lien』(PURPLE,2000/1)がある。不慮の事故幽霊になった主人公とその周囲の人々が残された2週間でその死に向き合い、改めて別れを告げる物語であり、主人公が生き返ることは無い。従ってお涙頂戴の文法に則っているが、しかしその最後において、彼らは前を向き、笑顔で別れを告げる。別れは悲しみしか生まないものではなく、人の強さを示すものでもあることをLienは描いていた。

そして9月、Keyのリリースした『AIR』は約束された勝利を遂げる。物語はもちろん難病物で、ヒロインは最後に死ぬ。その死を「ほとんどなんの意味もない」(東浩紀ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』)とするならば、これは従来通りのお涙頂戴だろう。

しかし、彼女無意味に死んだことが悲しくてプレイヤーは泣いたのだろうか。

もちろんそういう人もいるだろう。だがかの有名な「ゴール」は、彼女が最後まで努力し、やりきったこと――笑顔幸福記憶を全うしたからこそ、泣いた人も少なからずいたと筆者は考える。最後の別れにおいて、彼女は必死で前を向いていた。

悲劇象徴としての別れの描き方と、それに対する姿勢は少しずつ変化を見せ始める。

2001年

ところで萌やし泣きの多くは幸福8割、不幸2割程度の文量配分で構成される(※数字は筆者の体感であり、根拠はない)。これを反転し、幸福を2割以下、不幸を8割以上にするとどうなるか。

鬱ゲである

MOON.もその一つだが、『DiaboLiQuE』(ALICESOFT,1998/5)や『銀色』(ねこねこソフト,2000/8)など、爆発的に売れることは無くとも鬱ゲーは途切れること無く続いてきた。特に銀色の執拗な鬱展開は秀逸であり、未だ根強くファンがいることも頷けるものである個人的にはDiaboLiQuEももっと評価されていいと思う)。

そして8月、幸福と不幸がほぼ半々、つまり鬱ゲーであり泣きゲーでもある『君が望む永遠』(age,2001/8)が発売される。

男女関係修羅場シリアスに描いたエロゲといえば『WHITE ALBUM』(Leaf,1998/5)が有名だが、そこでは主人公修羅場の矢面に立たされることはない。対して本作のメインシナリオでは主人公は徹底して矢面に立たされ、主人公が別れを切り出すことでのみ悲劇は終幕する。

誰を切り捨てるかは、プレイヤー選択肢が突き付けられることで行われる。だからこそ最後に彼らが再び笑い合える可能性が示されることはプレイヤーを安堵させ、涙を誘った。彼らは奇跡によってではなく、心の強さによって悲劇を克服する。

さらに11月、物語の殆どがギャグで占められ、物語の構造自体は従来の萌やし泣きの延長ながら、にも関わらず枠を踏み越えたものが登場する。『家族計画』(D.O.,2001/11)である

家族に捨てられた連中が偶然集まり、やむなく家族を偽装し、衝突しながら家族になっていき、崩壊し、再び家族になる様が描かれる作品である加奈やAIRでも家族愛は描かれたが、いずれも兄妹あるいは母娘の二者間に閉じている。対して家計は父母兄姉妹という集団の絆を描く。

襲いかかる不幸は彼らの手によって跳ね除けられる。プレイヤーはもはや誰かの不幸にではなく、茉莉がお兄さんになって下さいと訴え、準が最後にスプーンを咥え、その家族としての努力が実ったことに涙する。

なにより家計ではもはや誰一人死ぬことはない。君望もメインシナリオでは誰も死なない。誰かを失う悲しさだけが泣かせる手段ではない。悲劇に敢然と抗い、心の強さで打ち勝つだけでも人は泣くのである

2002年

……などと枠を広げ、新しい要素を貪欲に取り込むパイオニアばかりではない。泣きゲーというジャンルを充実させたのは既存の要素で構成された作品群である

例えば『flutter of birds』(シルキーズ,2001/2)は極めて基本に忠実な難病物だし、特定ルートで萌やし泣きを取り込んだ『みずいろ』(ねこねこソフト,2001/4)や『水夏』(CIRCUS,2001/7)、『グリーングリーン』(GROOVER,2001/10)はいずれも好評を博した。またDESIRE同様、悲劇シナリオの感動としての落涙であれば『腐り姫』(Liar Soft,2002/2)はこの年の作品では秀逸である

また、集団間の絆も広く扱われていく。

うたわれるもの』(Leaf,2002/4)ではSRPGというジャンル上の必然もあるだろうが、家族的な仲間との絆が描かれている。『世界ノ全テ』(たまソフト,2002/4)や『ロケットの夏』(TerraLunar,2002/10)は後半こそ二者間が主軸になるものの、いずれも部活を通して仲間と触れ合うことで主人公が成長し、仲間との絆を育むことで成立する物語である

2003年

ONEとKanonとAIRを足して3で割ったような『SNOW』(Studio Mebius,2003/1)、あるいは『てのひらを、たいように』(Clear,2003/1)では、困難に対する仲間の存在がより大きな価値を持つ。その最後は奇跡による解決はいえ、ヒロインのために仲間全員が努力し、足掻くことでハッピーエンドが訪れる様は「与えられたもの」というより「勝ち取ったもの」という印象が強い。

これらを「みんなは一人のために」とするならば、「一人はみんなのために」もまた登場する。『CROSS†CHANNEL』(FlyingShine,2003/9)である

ToHeart型のよくある学園物語に始まり、それが綱渡りの上で構築されたものであることが明かされ、ばらまかれた伏線が繋がっていく様は見事の一言に尽きる。と同時にそれは、心の壊れた主人公が何度も失敗しながらトラウマを乗り越え、仲間のために自己犠牲を重ね、それによって心を再構築していく物語である。その実に静謐な最後において、そこで彼が平穏と幸福を遂につかんだことに、タイトルの意味と、そして彼が勝ち得たものが明かされることにプレイヤーは涙を流す。

2004年

そして1月、『Fate/stay night』(TYPE-MOON)が発売される。絶望的状況下で静かに流れだす「エミヤ」はプレイヤー凶悪な興奮を与え、「強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す」展開に涙を流した。

そこに「友情、努力、勝利の感動」があることを疑う者はいないだろう。

泣きゲーというとKanonやAIRがよく話題に出されるが、「泣いた」という感想がC†CやFateにも多く存在することは事実である。と同時に、いずれにも物語の重要位置に少女の悲劇と愛が配置されている。

そしてこれまで言及してきた「不幸における愛と感動」の泣きゲーに、努力や勝利が全く存在しないわけでもない。その努力が実ったかどうかの差はあれど、必死の行動があったことはどの作品でも紛れも無い事実である

としてみると、「泣いた」と感想を多く有する作品、すなわち泣きゲーには「不幸における愛と感動」と「友情、努力、勝利の感動」の要素が、両方含まれていると捉えても間違ってはいないだろう。そしてそうだとすれば両者は対立するものではなく、両立するものと言える。

そう捉えるならば泣きゲー歴史とは、時代によって、作品によって、この両者の配分を巡る歴史だった、ということもできるように思う。

2005年以降

いい加減読んでいる人も飽きただろうし2005年以降は割愛するが、一つ言及するなら不意打ちという手法が導入された点である

例えばいかにも安っぽいハーレムものとして始まりながらシリアスなSF展開を経て感動的最後を迎えたり、あるいは陰惨な陵辱物として始まりながら見事に綺麗な純愛物へと変貌したり、泣きゲーとしての姿勢最初は微塵も匂わせず、突如牙を剥くもの2005年以降に目立ち始める(いずれもタイトルは念のため伏せた)。

また泣けるイベントが用意されていても、それが作品としてのクライマックスと一致しないことが珍しくなくなる。中には語るべき物語は全て終わり、エピローグの最後の最後で油断しきったプレイヤーに猛然と襲いかかるものもある(いずれもタイトル以下略)。

昨今、泣きゲーが減ったと言われることがあり、実際、一見してわかりやす泣きゲーを現在はあまり見かけない。しかしプレイヤーを泣かせることが主目的化した時代を超えて、泣きゲーとしての技術や様式は再び物語を盛り上げるための一要素へと還元されていった、というのが現代の流れだとすれば、それは死につつあるのではなく、むしろ要素として広く普及し、遍在したことで目につきにくくなった、ということのようにも思えるのである

おわりに

リアルタイムにこれらを経験した人にしてみれば、有名作を並べただけでなんの面白みもない内容と思う。申し訳ない。が、今20歳前後若者にとってみればFateですら12年前の古典である。「泣きゲー元祖」がなぜ人によって違うのか。なぜ未だにはわわとかうぐぅとか言ってるヤツがいるのか。若者がそんなことを知っている方がおかしいし、それを知るために最初から全部やり直すなど正気の沙汰ではない。

かつて何が起きて、それが今にどうつながっているのか。粗く拙いまとめに過ぎないが、その理解一助として本稿に役立つところがあれば幸いである。加えて「そういや最近エロゲやってねぇなぁ。またちょっとやってみるか」と思うきっかけになれば、それに勝るものはない。

どうか、幸せエロゲライフを。

2008-03-13

2ちゃんねるでやっていないと恥ずかしいエロゲ

KeyCLANNAD

Aneken Staff and Vipper姉は一級建築士 -イケない構造設計-』

アリスソフト『しまいま。』

アージュ君が望む永遠

アージュマブラヴ

TYPE-MOONFate/stay night

TYPE-MOON月姫

CIRCUS NORTHERN『D.C.P.C.』

オーバーフローSchool Days

ネクストン『ONE -輝く季節へ-』

KeyKanon

KeyAir

LeafTo Heart

D.O.家族計画

きゃんでぃそふとつよきす

きゃんでぃそふと『姉、ちゃんとしようよっ!』

ねこねこソフトみずいろ

エルフ『臭作』

エルフ『鬼作』

アスキーカオスエンジェルズ』

NavelSHUFFLE!

オーガスト夜明け前より瑠璃色な

propeller『あやかしびと

TOPCAT果てしなく青い、この空の下で…。

Leaf『雫』

Leaf『痕』

colors魔法少女アイ

JAST『天使たちの午後』

FlyingShineCROSS†CHANNEL

アトリエかぐや『姉汁-白川三姉妹におまかせ-』

たっちー永遠となった留守番 -パパは帰らない-』

ぱれっともしも明日が晴れならば

戯画この青空に約束を―

ニトロプラス沙耶の唄

ういんどみる『はぴねす!』

菅野ひろゆきこの世の果てで恋を唄う少女YU-NO

アリスソフト戦国ランス

アリスソフト鬼畜王ランス

Keyリトルバスターズ!』

Leafうたわれるもの

スタジオメビウスSNOW

戯画『BALDR FORCE』

時計おたく☆まっしぐら

たまソフトLOST CHILD』

Leaf『フルアニ』

otherwiseSense Off -a sacred story in the wind-』

CIRCUS FETISH『すくみず -フェチ☆になるもんっ!-』

ブラックサイク『EXTRAVAGANZA -蟲愛でる少女-』

GROOVERグリーングリーン

戯画パルフェ -ショコラ second brew-』

Active『DISCIPLINE -The record of a Crusade-』

D.O.加奈 -いもうと-』

Littlewitch白詰草話 -Episode of the Clovers』

ねこねこソフト銀色

エルフ『下級生』

エルフ『同級生』

アリスソフト『妻しぼり』

silkys『姫騎士アンジェリカ

ivory『とらいあんぐるハート

otherwise未来にキスを -Kiss the Future-』

ソフトハウスキャラ巣作りドラゴン

ライアーソフトForest

ライアーソフト腐り姫 -euthanasia-』

ニトロプラス鬼哭街 -The Cyber Slayer-』

ニトロプラスPhantom -PHANTOM OF INFERNO-』

Selen燐月-リンゲツ-』

すたじおみりす月陽炎

エスクードふぃぎゅ@メイト

エウシュリー『幻燐の姫将軍

Key智代アフター -It's a Wonderful Life-』

あかべぇそふとつぅ車輪の国、向日葵の少女

ニトロプラス月光のカルネヴァーレ

ニトロプラス『斬魔大聖デモンベイン

ZyX『雷の戦士ライディ』

Purple software『秋色恋華

F & C『こなたよりかなたまで

Le ChocolatSWAN SONG

ニトロプラス吸血殲鬼ヴェドゴニア

LeafRoutes -ルーツ-』

ケロQ終ノ空

ザウス永遠のアセリア

130cm『彼女たちの流儀

たまソフト世界ノ全テ

CIRCUS最終試験くじら

F & C『水月

公爵『ジサツのための101の方法』

TerraLunarロケットの夏

AUGUST『月は東に日は西に-Operation Sanctuary-』

CIRCUS水夏-SUIKA-』

アリスソフト大悪司

Leafこみっくパーティー

キャラメルBOX処女はお姉さまに恋してる

Leaf天使のいない12月

アリスソフトアトラク=ナクア

TYPE-MOON歌月十夜

PULLTOPゆのはな

ねこねこソフト『朱 -Aka-』

light群青の空を越えて

アリスソフト大番長 Big Bang Age』

Surviveゆきうた

みなとそふと君が主で執事が俺で -They are My noble Masters-』

lightDear My Friend

minoriはるのあしおと

LittlewitchQuartett!

ニトロプラス『”Hello,world.”』

HERMIT『ままらぶ』

ねこねこソフトScarlett -スカーレット- 』

ぱじゃまソフトプリンセスうぃっちぃず

Marron秋桜の空に

ALcotClover Heart's 』

Cyc『夢幻廻廊』

HERMIT『世界でいちばんNGな恋』

http://anond.hatelabo.jp/20080313030006

 
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