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はてなキーワード: 生き甲斐とは

2021-06-08

才能がないことがバレるのが怖い

40代男。とある分野のクリエイターをやっているが、コロナになってから、大きな仕事キャンセルになったり、作品を作るペースが遅くなってしまいまったくいいものが残せていない。

ようやく力を振り絞って出したものも、全く話題にもなっていないしヒットもしてしない。依頼は減っているがまだ声がかかる公演や取材では、5年も前の受賞だったり、過去の栄光ばかりを紹介されて、それが更新できないことにほんとに嫌気がさす。

以前は、社会に認められることを生き甲斐していた時期もあったが、今は他人に褒められるたびにこれは今回が最後になるんじゃないかとか、自分の才能のなさはばれてしまうのではないかと心の中で動揺してしまう。

正直今の仕事を辞めて、同級生のように企業会社員をしてみたい人生想像してしまうが今更職種は変えられない。昔は大好きだった製作苦痛である子育て家事に追われる毎日が唯一の救いだ。安定した職に就いている妻は私の才能を信じてサポートしてくれているが、毎日何か申し訳ない気分でいっぱいである。かつては僕にも収入があったが、今は妻に支えられている。結婚当初彼女は僕の作品ファンだと言ってくれたが、いまやその作品の人気もおちめであり、新たな作品も少ない。

家族のことさえも喜ばせることができなくて自己効力感がどんどん下がっていく。

こういう気分になっても、作り続ける奴ら才能があるやつだと思う。私は違うのかもしれない。いつか忘れ去られると思うと恐ろしくて仕方ない。どうしたらいいのだろうか。

2021-05-25

anond:20210525132129

そういう格付けが済んじゃった人たちって今後の野球人生何を生き甲斐にしてすごすんだろう

今後日本でどれだけ勝ってもどれだけ数値を伸ばしてもそれは格下をどれだけ雑魚狩りしたかの証でしかないことを本人が一番痛感しちゃうのに

もう野球芸人みたいな割り切りなのかな

ファンのために頑張る野球ユーチューバーみたいな

2021-05-15

外食依存症

食べることしか生き甲斐がない。

友達恋人はいないし、ライブ旅行などの他の趣味コロナ言わずもがな

 

明日から緊急事態宣言が出るというのに、3000円のとんかつランチを平らげた後に物産展で大量のスイーツを購入してしまった。

前はスイーツは一日一つと決めてたけど、ここ最近は一日二個三個は食べてるなあ。

 

こんな外食生活楽しい

美味しいものを食べるときにだけ幸せになれるし。インスタに画像をあげたらいいねをもらえるし。

つの間にか「投稿を楽しみにしてます!」と言われるようになった。フォロワーが多いアカウントとの絡みも増えてきた。

 

ただ、危機感もある。

まず、コロナ心配。一人でしか食事に行かないけれど、隣の席でマスクを外して話してる集団がいるとひやっとする。

地方から店員マスクをしてない店も多いし。

 

あとは健康面。

20代なのに脂肪肝があるしコレステロール値も高い。酒を控えるようにしはじめたら、今度は甘いものを欲するようになった。

食べることしか楽しくないのに、食べることを控えるなんてできないよ。

控えるくらいなら死んだ方がマシ。

 

あー、怖い。将来怖い。

食べること以外の楽しみがほしい。

anond:20210514235615

何か勉強して、ランサーズ仕事を貰うんだ!生き甲斐お金を同時に得られる!

勉強中は、ブログ更新モチベアップだ!

2021-05-10

パヨクのためにどうか五輪開催を

反五輪派の楽しみを奪わないでください。わたしたちは、五輪がーーーーーーーって言うのが生き甲斐なのです。

2021-05-03

anond:20210503224238

そういうとこだぞ

気持ち悪いいじめっこみたいなコメントして

キモい以外の感想ないわ

もう気分悪いか書き込みやめろよ

まあ、やめられないんだろうけど

お前の生き甲斐だもんな

しょうもな

anond:20210503221605

性格悪いなお前

人を嫌な気持ちにさせるだけだから書き込みやめな

まあ、それが生き甲斐になっててやめられないんだろうけど

ゴミみたいな人生だな

弱者男性攻撃してる謎の勢力

何者なの?

別に弱者主張なんて自由じゃない

熱心に攻撃して回ってる謎の勢力って何者なの?

別に弱者男性が主張したからって誰かの権利侵害されるわけじゃないし

迷惑被るわけじゃない

同性婚の主張を攻撃する勢力とか

夫婦別姓の主張を攻撃する謎の勢力とか

誰に迷惑かかるわけじゃない主張を攻撃するのってきっと同じ層なんだろうな

とにかく弱い立場の人を攻撃してそれを生き甲斐にしてる人がいるということなんだろう

40代で子無しの♂って普段何してる?

20代後半なんだが、異性のために心血を注ぐ日々なんだわ。

仕事趣味も、全部モテるためにやってる。そう言い切れる。

しかしだな、性欲がこの頃落ちつつあり、今のように異性を貪る日々は終わるのだろうと思う。

ゲーム漫画も割とするが、映画も見るしスポーツもするが、こう、異性に対する情熱はどれもない。

30代とか40代って、生き甲斐は一体なんなんだ?

その頃には性欲も無く、20代の異性に見向きもされんだろうし、おれこのままだと無人間になりそうだわ。

出来れば、子供がいないやつに聞いてみたい。

子供生き甲斐!」って回答は予想つくから、なるべくそれ以外だと嬉しい。

2021-04-28

anond:20210428121342

世の中には他人馬鹿にするのが唯一の生き甲斐だという自己肯定感の低い人間がいるんだよ

2021-04-19

パスタピザ板にいるヤバいやつってホンモノって感じがするよね

アボカドゲェジは、元々はピザハットスレにてアボカドシュリンプ話題自演で延々と続け、荒し扱いを受けていた人物である名前の由来もアボカドシュリンプからきている。 ワッチョイ導入の流れがパスタピザ板にきたとき、一人で頑なに導入を拒否していたのがアボカドゲェジその人であった。理由は、飛行機ビュンビュンで自演することができないかである。 

結局パスタピザ板にワッチョイ導入はなされず、アボカドゲェジはますます調子に乗り荒らしまくるが、このとき既にハットスレでは相手にされておらず、ピザーラスレドミノピザスレ荒らし回るようになった。ドミノピザスレでは通称お里」として名を馳せており、特徴的な煽り口調で荒らす人物として有名だった。ドミノスレではお里としての活動と爪垢デブ自称ピザ屋に粘着することを近年では生き甲斐としていたが、そんなアボカドに真っ向から煽り返す人物が現れる。 

それがニンニクデブであるニンニクデブドミノピザラーメン二郎により半年10キロ太ったと報告したスレ住民である。 

この書き込みを見るや否や、アボカド煽りに入る。しかニンニクデブも負けじと煽り返す。 

そのやり取りのなかでニンニクデブはカマをかけ、自分を煽っている人間がかの有名なアボカドゲェジだと見抜くそれだけでなく爪垢デブ自称ピザ屋に粘着していたこと、お里と同一人物であること、ナマポ受給者であることなどを誘導尋問により認めさせ、ついでにデブであることも看破する。 これによりアボカドゲェジは活動を縮小せざるを得なくなり、今は使い古されたAAを貼り続けるだけのマシーンになってしまった。 

たまにレスをつけて自分不都合書き込みに反応することがあるが、基本的に単発であり、いわゆるレスバトルのようなことは一切できないほど壊れてしまった。

anond:20201119191843

女性

管理職への昇進や男性と同じ収入を得ることだけが人生の楽しみじゃないよ。

万年社員派遣社員人生を楽しんでいる人は男女ともたくさんいるよ。

他の楽しみを探しな。

会社から必要とされなくても、この趣味だけは誰にも負けないとか、子育てを頑張るんだとか、なにかあるよ生き甲斐が。



車いす電車に乗れないと騒いでる人たちへ

健常者と同じように旅行することだけが人生の楽しみじゃないよ。

コロナ禍で家の中に閉じこもっていても、人生を楽しんでいる人は障碍者・健常者を問わずたくさんいるよ。

他の楽しみを探しな。

健常者と同じように移動ができなくても、家の中でできるこの趣味だけは誰にも負けないとか、家事を頑張るんだとか、なにかあるよ生き甲斐が。



黒人大学に入れないことで悩んでる人たちへ

白人と同じように大学に入ることだけが人生の楽しみじゃないよ。

大学に行かなくても人生を楽しんでいる人はどの人種にもたくさんいるよ。

他の楽しみを探しな。

白人と同じような学歴をもてなくても、この趣味だけは誰にも負けないとか、ハイスクール卒まででできる中での仕事を頑張るんだとか、なにかあるよ生き甲斐が。



貧困だとわめくシングルマザー

両親がいる家庭と同じように子供を育てることだけが人生の楽しみじゃないよ。

片親で貧乏でも人生を楽しんでいる人は時代を問わずたくさんいるよ。

子供には他の楽しみを探させな。

共働きの家ほどの贅沢はできなくても、この趣味だけは誰にも負けないとか、子供仕事を頑張るんだとか、なにかあるよ生き甲斐が。



LGBT

異性愛者と同じように結婚することだけが人生の楽しみじゃないよ。

そもそも独身でも人生を楽しんでいる人は男女ともたくさんいるよ。

他の楽しみを探しな。

結婚できなくても、この趣味だけは誰にも負けないとか、仕事を頑張るんだとか、なにかあるよ生き甲斐が。

anond:20201119191213

おお…性別以外ほぼ同じ境遇だ、年齢まで同じ。

色々頑張っても、結局駄目なもんは駄目なんだなあと悟るよね

まだ良い人に出会ってないだけだって!とかポジティブ台詞聞いても、絶対にそうはならないだろうなという謎の確信があったし実際にそうなったし…

恋愛自分世界のものではないんだなと思って別の生き甲斐シフトしたけど、親の残念そうな顔を見ると申し訳ないなとか、自分のためだけに生きるのって結構しんどいなって思うよ。

安楽死したいなあ

2021-04-13

anond:20210412212643

あいつらは健常者に迷惑かけるのが生き甲斐から

暴言を吐くことで「自分の方が健常者より上だ!」と思い込みたいのよ

うるさい蝿だな、くらいに思わないとやってられないよ

2021-04-09

メンヘはメンヘと惹かれ合う

出会い

底辺ガールズバーとか、場末飲み屋とか、それこそ風俗とか。

ヘラ

なんとか心を奮い立たせて、居心地のよい飲み屋みつけて定住してる系。

酒でしか色々生きていけず、何軒も出禁になりながら飲み歩いてる系。

虚勢張ってたり、自信家風に装ってるのが多い。蓋開けたらクソヘラってる。

頼られることを生き甲斐と(も)するので面倒見がよかったりするが、いずれ本性がばれると地獄

ヘラ

依存心の塊。

自分価値が見いだせない。

男に比べて、結構カミングアウトが早い印象。隠さない。

で、男ヘラについつい頼りみを感じてしまう。

自分観測範囲だけの印象です。

2021-04-06

anond:20210406231356

「人を小馬鹿にすることが生き甲斐の生き物の巣」みたいな場に投稿するのが間違いである。

anond:20210406164125

本当に面白いと思うのは個人の好みでしかいからな。必ずしもインディーにそれがあるわけじゃない。

それと、面白いゲーム出会うのが生き甲斐ならそれは否定しないが、ゲームにそこまで時間や金をかけずに息抜き程度でやりたい人もいる。

2021-03-31

出羽守ロス

最近出羽守大人しくて、10年以上も神州日本毛唐かぶれどもの文化侵略から護る聖戦ネット上で繰り広げてきた僕の生き甲斐が無くなってしまった。

コロナ以来、白人黒人八つ当たりでぶん殴られるチビで醜い犬以下のアジア人立場になった欧米在住日本人たちは、すっかり自分たちの小さな世界に閉じこもるゲーティッド・コミュニティの住人と化してしまった。(僕らのクオモが老人をコロナ殺処分するセクハラ野郎だったのも痛手だったようだ)

一時期イキってた中国在住日本人たちも、香港ウイグル中国父さんのアレっぷりに(今さら)気付いたのか、黙って商売だけできりゃいいやって感じに閉塞してる。

個人的には台湾出羽守議論したいのだけど、ネトウヨ推しの国なのが気に入らないのか、イマイチ「○○(国名出羽アレもコレも最高! ソレに比べて日本は最低!」式の攻撃的な出羽守の殴り棒に採用されにくいようだ。

どっかに活きの良い出羽守はいないのか? インド出羽守とか異文明かつ多様性高すぎて強そう。

2021-03-30

anond:20210330103339

呉座先生自身教養もあれば結婚もしてるので

アニメラノベなどの安いポルノコンテンツを消費することしか生き甲斐のない人生終わってる低収入の中高年独身男性」ってのにあまりピンとこないな

饅頭とかあの辺はそういう層に支持されてるの?

2021-03-28

anond:20210328192121

ここまでではないけど俺も他人に興味持てなさそうで子供作ってない。

子供生き甲斐みたいな感じで全人格的にリソース投入してる人はほんと凄いよな。どうやったらああなるんだろう。

2021-03-23

自分がかつて大好きだったガンダムを大嫌いになった理由

自分にはかつて好きだったアニメがある。

機動戦士ガンダムだ。

8歳の頃に親が持っていたDVDを見てからどはまりプラモデルお小遣いで買い等身大ガンダム立像に連れていって貰った事もある。

成長し社会人になってもその想いは変わらずガンダムゲームをやり込みスーパーロボット大戦にはまりその経由でバンダイチャンネル配信されているガンダム以外の富野アニメにも手を出すほどはまっていた。

つい、この間までは。

シンエヴァンゲリオンという映画が公開された。

公開の際エヴァンゲリオンに興味の無い自分何となく暇潰しでネットツイッターの反応を見ていた。

エヴァスーパーロボット大戦経由で知ってはいても特に惹かれるものが無かったのでスルーしていたのだ。

しかエヴァンゲリオン監督オタクが嫌いだという文言を目にしショックを受けた自分は真偽を確かめるためネットの海を漁りそこで目にしてしまったのだ。

自分の大好きな富野監督オタクアニメ否定差別し容赦ない罵倒を浴びせている様を。

オタクアニメに誇りを持ち自己肯定感の高かった自分にとってそれは耐えがたいものだった。

あれだけ素晴らしい作品を作れる監督自身アニメ子供大人に隠れて見る物だ、大人になったら忘れろ等と言ったのは本当に悲しかったし許しがたかった。

昔の発言だと言うのはわかっているしこの発言がいつの発言かは定かでは無いが今やアニメ大人向けの作品が主流になっており親が子供と一緒に見る二世代に渡るコンテンツになっている。

この発言論破するのはとても簡単だ。

それでも自分の大好きなアニメ監督自分人生全否定されたと言うのは本当に許しがたかった。

それに何より腹立たしく腸が煮えくり返ったのは富野監督オタク人生の辛さを全く理解していない事だ。

富野監督に限らず庵野監督宮崎監督等著名な監督はみなオタク現実を見ろ、外に出ろという無責任メッセージを発する。

富野監督道徳を学べ、格言を読めと言いはなった。

だがオタクには現実を見ようにもその現実地獄しかなくたまたま理解のある妻に出会った庵野監督と違い現実に楽しみが一つもないのである

自分のような小中といじめられて不登校アニメけが生き甲斐アニメしか楽しみがなく通信制高校卒で工場低賃金で働いてる独身実家暮らしアニメオタクに面と向かって小説見て絵画見ろ、アニメ卒業しろなんて言えるのだろうか、彼らは?

断言するが彼らがアニメ依存しなくて済むのは地位も女も持ってるからである

努力しても努力しても努力しても現実地獄しかない人間も世の中にはいるのである

それを理解していない人間に偉そうに我が物顔で説教されたのが悔しくて悔しくて仕方なかったのだ。

かつて自分容姿を変えコミュニケーション力を付けようとして努力していたことがあった。

何度も挫折したがその度に努力して努力して努力していた。

しか姿勢を直す努力を5回して5回とも挫折

ファッションを直す努力をするもショッピングモールを歩く人々の服装を見て惨めになり他人からどう見られているかが怖くなり義務感に押し潰されそうになってノイローゼになりそうになった。

クラス職場に溶け込み他人と会話しようとする努力をしようとするたび爪弾きにされ却ってトラブルを起こし余計に環境を悪くし排除された。

こんな経験富野監督にあるのだろうか?

人生で唯一の生き甲斐を、楽しみを全否定され取り上げられ全く興味の無い文化押し付けられる苦しさを富野監督理解しているのだろうか?

好きでもない全く楽しくない美術を見せられ格言を読まされる気持ち理解できないのだろうか?

はっきりいってやっていることは自分思考好きな物を興味の無い他人押し付ける悪いオタクと同じである

それから自分富野アニメを、ガンダムを見られなくなった。

以前はどんなに楽しめていたアニメゲーム富野監督オタク叩き発言を思い出してしまい全く楽しめなくなった。

あんなに好きだったガンダムを見るのも嫌になった。

プラモデルフリマアプリ処分ゲームは押し入れにしまい視界に入らなくした。

恐らくもう二度とガンダムに触れることはないだろう。

それでもアニメを見るのをやめることは絶対にないがいつ富野監督のように自分の大好きなクリエイター自分の事を裏切るのか怖くて仕方がなくなり疑心暗鬼に陥ってしまった。

今でも本音を言うとまた元のようにガンダムが見たい。

素直にガンダムを楽しみたい。

だがそれは叶わぬ想いなのだ

機動戦士ガンダム視聴者リスペクトがない最悪の監督が作った作品だと知ってしまったのだから

2021-03-22

菰田

以上のお話によって、郷田三郎と、明智小五郎との交渉、又は三郎の犯罪嗜好癖などについて、読者に呑み込んで頂いた上、さて、本題に戻って、東栄館という新築下宿屋で、郷田三郎がどんな楽しみを発見たかという点に、お話を進めることに致しましょう。

 三郎が東栄館の建築が出来上るのを待ち兼ねて、いの一番にそこへ引移ったのは、彼が明智交際を結んだ時分から一年以上もたっていました。随したがってあの「犯罪」の真似事にも、もう一向興味がなくなり、といって、外ほかにそれに代る様な事柄もなく、彼は毎日毎日の退屈な長々しい時間を、過し兼ねていました。東栄館に移った当座は、それでも、新しい友達が出来たりして、いくらか気がまぎれていましたけれど、人間というものは何と退屈極きわまる生物なのでしょう。どこへ行って見ても、同じ様な思想を同じ様な表情で、同じ様な言葉で、繰り返し繰り返し、発表し合っているに過ぎないのです。折角せっかく下宿屋を替えて、新しい人達に接して見ても、一週間たつかたたない内に、彼は又しても底知れぬ倦怠けんたいの中に沈み込んで了うのでした。

 そうして、東栄館に移って十日ばかりたったある日のことです。退屈の余り、彼はふと妙な事を考えつきました。

 彼の部屋には、――それは二階にあったのですが――安っぽい床とこの間まの傍に、一間の押入がついていて、その内部は、鴨居かもいと敷居との丁度中程に、押入れ一杯の巌丈がんじょうな棚があって、上下二段に分れているのです。彼はその下段の方に数個の行李こうりを納め、上段には蒲団をのせることにしていましたが、一々そこから蒲団を取出して、部屋の真中へ敷く代りに、始終棚の上に寝台ベッドの様に蒲団を重ねて置いて、眠くなったらそこへ上って寝ることにしたらどうだろう。彼はそんなことを考えたのです。これが今迄いままでの下宿屋であったら、仮令たとえ押入れの中に同じような棚があっても、壁がひどく汚れていたり、天井蜘蛛もの巣が張っていたりして、一寸その中へ寝る気にはならなかったのでしょうが、ここの押入れは、新築早々のことですから、非常に綺麗きれいで、天井も真白なれば、黄色く塗った滑かな壁にも、しみ一つ出来てはいませんし、そして全体の感じが、棚の作り方にもよるのでしょうが何となく船の中の寝台に似ていて、妙に、一度そこへ寝て見たい様な誘惑を感じさえするのです。

 そこで、彼は早速さっそくその晩から押入れの中へ寝ることを始めました。この下宿は、部屋毎に内部から戸締りの出来る様になっていて、女中などが無断で這入はいって来る様なこともなく、彼は安心してこの奇行を続けることが出来るのでした。さてそこへ寝て見ますと、予期以上に感じがいいのです。四枚の蒲団を積み重ね、その上にフワリと寝転んで、目の上二尺ばかりの所に迫っている天井を眺める心持は、一寸異様な味あじわいのあるものです。襖ふすまをピッシャリ締め切って、その隙間から洩れて来る糸の様な電気の光を見ていますと、何だかこう自分探偵小説中の人物にでもなった様な気がして、愉快ですし、又それを細目に開けて、そこから自分自身の部屋を、泥棒他人の部屋をでも覗く様な気持で、色々の激情的な場面を想像しながら、眺めるのも、興味がありました。時によると、彼は昼間から押入に這入り込んで、一間と三尺の長方形の箱の様な中で、大好物煙草をプカリカリとふかしながら、取りとめもない妄想に耽ることもありました。そんな時には、締切った襖の隙間から、押入れの中で火事でも始ったのではないかと思われる程、夥しい白煙が洩れているのでした。

 ところが、この奇行を二三日続ける間に、彼は又しても、妙なことに気がついたのです。飽きっぽい彼は、三日目あたりになると、もう押入れの寝台ベッドには興味がなくなって、所在なさに、そこの壁や、寝ながら手の届く天井板に、落書きなどしていましたが、ふと気がつくと、丁度頭の上の一枚の天井板が、釘を打ち忘れたのか、なんだかフカフカと動く様なのです。どうしたのだろうと思って、手で突っぱって持上げて見ますと、なんなく上の方へ外はずれることは外れるのですが、妙なことには、その手を離すと、釘づけにした箇所は一つもないのに、まるでバネ仕掛けの様に、元々通りになって了います。どうやら、何者かが上から圧おさえつけている様な手ごたえなのです。

 はてな、ひょっとしたら、丁度この天井板の上に、何か生物が、例えば大きな青大将あおだいしょうか何かがいるのではあるまいかと、三郎は俄にわかに気味が悪くなって来ましたが、そのまま逃げ出すのも残念なものですから、なおも手で押し試みて見ますと、ズッシリと、重い手ごたえを感じるばかりでなく、天井板を動かす度に、その上で何だかゴロゴロと鈍い音がするではありませんか。愈々いよいよ変です。そこで彼は思切って、力まかせにその天井板をはね除のけて見ますと、すると、その途端、ガラガラという音がして、上から何かが落ちて来ました。彼は咄嗟とっさの場合ハッと片傍かたわきへ飛びのいたからよかったものの、若もしそうでなかったら、その物体に打たれて大怪我おおけがをしている所でした。

「ナアンダ、つまらない」

 ところが、その落ちて来た品物を見ますと、何か変ったものでもあればよいがと、少からず期待していた彼は、余りのことに呆あきれて了いました。それは、漬物石つけものいしを小さくした様な、ただの石塊いしころに過ぎないのでした。よく考えて見れば、別に不思議でも何でもありません。電燈工夫が天井裏へもぐる通路にと、天井板を一枚丈け態わざと外して、そこからねずみなどが押入れに這入はいらぬ様に石塊で重しがしてあったのです。

 それは如何いかにも飛んだ喜劇でした。でも、その喜劇が機縁となって、郷田三郎は、あるすばらしい楽みを発見することになったのです。

 彼は暫しばらくの間、自分の頭の上に開いている、洞穴ほらあなの入口とでも云った感じのする、その天井の穴を眺めていましたが、ふと、持前もちまえの好奇心から、一体天井裏というものはどんな風になっているのだろうと、恐る恐る、その穴に首を入れて、四方あたりを見廻しました。それは丁度朝の事で、屋根の上にはもう陽が照りつけていると見え、方々の隙間から沢山の細い光線が、まるで大小無数の探照燈を照してでもいる様に、屋根裏の空洞へさし込んでいて、そこは存外明るいのです。

 先まず目につくのは、縦に、長々と横よこたえられた、太い、曲りくねった、大蛇の様な棟木むなぎです。明るいといっても屋根裏のことで、そう遠くまでは見通しが利かないのと、それに、細長い下宿屋の建物ですから、実際長い棟木でもあったのですが、それが向うの方は霞んで見える程、遠く遠く連つらなっている様に思われます。そして、その棟木と直角に、これは大蛇肋骨あばらに当る沢山の梁はりが両側へ、屋根の傾斜に沿ってニョキニョキと突き出ています。それ丈けでも随分雄大景色ですが、その上、天井を支える為に、梁から無数の細い棒が下っていて、それが、まるで鐘乳洞しょうにゅうどうの内部を見る様な感じを起させます

「これは素敵だ」

 一応屋根裏を見廻してから、三郎は思わずそう呟つぶやくのでした。病的な彼は、世間普通の興味にはひきつけられないで、常人には下らなく見える様な、こうした事物に、却かえって、云い知れぬ魅力を覚えるのです。

 その日から、彼の「屋根裏の散歩」が始まりました。夜となく昼となく、暇さえあれば、彼は泥坊猫の様に跫音あしおとを盗んで、棟木や梁の上を伝い歩くのです。幸さいわいなことには、建てたばかりの家ですから屋根裏につき物の蜘蛛の巣もなければ、煤すすや埃ほこりもまだ少しも溜っていず、鼠の汚したあとさえありません。それ故ゆえ着物や手足の汚くなる心配はないのです。彼はシャツ一枚になって、思うがままに屋根裏を跳梁ちょうりょうしました。時候も丁度春のことで、屋根裏だからといって、さして暑くも寒くもないのです。

 東栄館の建物は、下宿屋などにはよくある、中央まんなかに庭を囲んで、そのまわりに、桝型ますがたに、部屋が並んでいる様な作り方でしたから、随って屋根裏も、ずっとその形に続いていて、行止ゆきまりというものがありません。彼の部屋の天井から出発して、グルッと一廻りしますと、又元の彼の部屋の上まで帰って来る様になっています

 下の部屋部屋には、さも厳重に壁で仕切りが出来ていて、その出入口には締りをする為の金具まで取りつけているのに、一度天井裏に上って見ますと、これは又何という開放的な有様でしょう。誰の部屋の上を歩き廻ろうと、自由自在なのです。若し、その気があれば、三郎の部屋のと同じ様な、石塊の重しのしてある箇所が所々にあるのですから、そこから他人の部屋へ忍込んで、窃盗を働くことも出来ます廊下を通って、それをするのは、今も云う様に、桝型の建物の各方面に人目があるばかりでなく、いつ何時なんどき他の止宿人ししゅくにんや女中などが通り合わさないとも限りませんから、非常に危険ですけれど、天井裏の通路からでは、絶対にその危険がありません。

 それから又、ここでは、他人秘密を隙見することも、勝手次第なのです。新築と云っても、下宿屋の安普請やすぶしんのことですから天井には到る所に隙間があります。――部屋の中にいては気が附きませんけれど、暗い屋根からますと、その隙間が意外に大きいのに一驚いっきょうを喫きっします――稀には、節穴さえもあるのです。

 この、屋根裏という屈指の舞台発見しますと、郷田三郎の頭には、いつのまにか忘れて了っていた、あの犯罪嗜好癖が又ムラムラと湧き上って来るのでした。この舞台でならば、あの当時試みたそれよりも、もっともっと刺戟の強い、「犯罪の真似事」が出来るに相違ない。そう思うと、彼はもう嬉しくて耐たまらないのです。どうしてまあ、こんな手近な所に、こんな面白い興味があるのを、今日まで気附かないでいたのでしょう。魔物の様に暗闇の世界を歩き廻って、二十人に近い東栄館の二階中の止宿人の秘密を、次から次へと隙見して行く、そのこと丈けでも、三郎はもう十分愉快なのです。そして、久方振りで、生き甲斐を感じさえするのです。

 彼は又、この「屋根裏の散歩」を、いやが上にも興深くするために、先ず、身支度からして、さも本物の犯罪人らしく装うことを忘れませんでした。ピッタリ身についた、濃い茶色の毛織のシャツ、同じズボン下――なろうことなら、昔活動写真で見た、女賊プロテアの様に、真黒なシャツを着たかったのですけれど、生憎あいくそんなものは持合せていないので、まあ我慢することにして――足袋たびを穿はき、手袋をはめ――天井裏は、皆荒削あらけずりの木材ばかりで、指紋の残る心配などは殆どないのですが――そして手にはピストルが……欲しくても、それもないので、懐中電燈を持つことにしました。

 夜更けなど、昼とは違って、洩れて来る光線の量が極く僅かなので、一寸先も見分けられぬ闇の中を、少しも物音を立てない様に注意しながら、その姿で、ソロソロリと、棟木の上を伝っていますと、何かこう、自分が蛇にでもなって、太い木の幹を這い廻っている様な気持がして、我ながら妙に凄くなって来ます。でも、その凄さが、何の因果か、彼にはゾクゾクする程嬉しいのです。

 こうして、数日、彼は有頂天になって、「屋根裏の散歩」を続けました。その間には、予期にたがわず、色々と彼を喜ばせる様な出来事があって、それを記しるす丈けでも、十分一篇の小説が出来上る程ですが、この物語の本題には直接関係のない事柄ですから、残念ながら、端折はしょって、ごく簡単に二三の例をお話するに止とどめましょう。

 天井からの隙見というものが、どれ程異様な興味のあるものだかは、実際やって見た人でなければ、恐らく想像も出来ますまい。仮令、その下に別段事件が起っていなくても、誰も見ているものがないと信じて、その本性をさらけ出した人間というものを観察すること丈けで、十分面白いのです。よく注意して見ますと、ある人々は、その側に他人のいるときと、ひとりきりの時とでは、立居ふるまいは勿論もちろん、その顔の相好そうごうまでが、まるで変るものだということを発見して、彼は少なからず驚きました。それに、平常ふだん、横から同じ水平線で見るのと違って、真上から見下すのですから、この、目の角度の相違によって、あたり前の座敷が、随分異様な景色に感じられます人間は頭のてっぺんや両肩が、本箱、机、箪笥たんす、火鉢などは、その上方の面丈けが、主として目に映ります。そして、壁というものは、殆ど見えないで、その代りに、凡ての品物のバックには、畳が一杯に拡っているのです。

 何事がなくても、こうした興味がある上に、そこには、往々おうおうにして、滑稽こっけいな、悲惨な、或は物凄い光景が、展開されています。平常過激反資本主義議論を吐いている会社員が、誰も見ていない所では、貰もらったばかりの昇給辞令を、折鞄おりかばから出したり、しまったり、幾度も幾度も、飽かず打眺うちながめて喜んでいる光景ゾロリとしたお召めし着物不断着ふだんぎにして、果敢はかない豪奢振ごうしゃぶりを示している、ある相場師が、いざ床とこにつく時には、その、昼間はさも無雑作むぞうさに着こなしていた着物を、女の様に、丁寧に畳んで、床の下へ敷くばかりか、しみでもついたのと見えて、それを丹念に口で嘗なめて――お召などの小さな汚れは、口で嘗めとるのが一番いいのだといいます――一種クリーニングをやっている光景、何々大学野球選手だというニキビ面の青年が、運動家にも似合わない臆病さを以て、女中への附文つけぶみを、食べて了った夕飯のお膳の上へ、のせて見たり、思い返して、引込めて見たり、又のせて見たり、モジモジと同じことを繰返している光景、中には、大胆にも、淫売婦(?)を引入れて、茲ここに書くことを憚はばかる様な、すさまじい狂態を演じている光景さえも、誰憚らず、見たい丈け見ることが出来るのです。

 三郎は又、止宿人と止宿人との、感情葛藤かっとうを研究することに、興味を持ちました。同じ人間が、相手によって、様々に態度を換えて行く有様、今の先まで、笑顔で話し合っていた相手を、隣の部屋へ来ては、まるで不倶戴天ふぐたいてんの仇あだででもある様に罵ののしっている者もあれば、蝙蝠こうもりの様に、どちらへ行っても、都合のいいお座なりを云って、蔭でペロリと舌を出している者もあります。そして、それが女の止宿人――東栄館の二階には一人の女画学生がいたのです――になると一層興味があります。「恋の三角関係」どころではありません。五角六角と、複雑した関係が、手に取る様に見えるばかりか、競争者達の誰れも知らない、本人の真意が、局外者の「屋根裏の散歩者」に丈け、ハッキリと分るではありませんか。お伽噺とぎばなしに隠かくれ蓑みのというものがありますが、天井裏の三郎は、云わばその隠れ蓑を着ているも同然なのです。

 若しその上、他人の部屋の天井板をはがして、そこへ忍び込み、色々ないたずらをやることが出来たら、一層面白かったでしょうが、三郎には、その勇気がありませんでした。そこには、三間に一箇所位の割合で、三郎の部屋のと同様に、石塊いしころで重しをした抜け道があるのですから、忍び込むのは造作もありませんけれど、いつ部屋の主が帰って来るか知れませんし、そうでなくとも、窓は皆、透明なガラス障子しょうじになっていますから、外から見つけられる危険もあり、それに、天井板をめくって押入れの中へ下り、襖をあけて部屋に這入り、又押入れの棚へよじ上って、元の屋根裏へ帰る、その間には、どうかして物音を立てないとは限りません。それを廊下や隣室から気附かれたら、もうおしまいなのです。

 さて、ある夜更けのことでした。三郎は、一巡ひとまわり「散歩」を済ませて、自分の部屋へ帰る為に、梁から梁を伝っていましたが、彼の部屋とは、庭を隔てて、丁度向い側になっている棟の、一方の隅の天井に、ふと、これまで気のつかなかった、幽かすかな隙間を発見しました。径二寸ばかりの雲形をして、糸よりも細い光線が洩れているのです。なんだろうと思って、彼はソッと懐中電燈を点ともして、検しらべて見ますと、それは可也かなり大きな木の節で、半分以上まわりの板から離れているのですが、あとの半分で、やっとつながり、危く節穴になるのを免れたものでした。一寸爪の先でこじさえすれば、何なく離れて了い相なのです。そこで、三郎は外ほかの隙間から下を見て、部屋の主が已すでに寝ていることを確めた上、音のしない様に注意しながら、長い間かかって、とうとうそれをはがして了いました。都合のいいことには、はがした後の節穴が、杯さかずき形に下側が狭くなっていますので、その木の節を元々通りつめてさえ置けば、下へ落ちる様なことはなく、そこにこんな大きな覗き穴があるのを、誰にも気附かれずに済むのです。

 これはうまい工合ぐあいだと思いながら、その節穴から下を覗いて見ますと、外の隙間の様に、縦には長くても、幅はせいぜい一分ぶ内外の不自由なのと違って、下側の狭い方でも直径一寸以上はあるのですから、部屋の全景が、楽々と見渡せます。そこで三郎は思わず道草を食って、その部屋を眺めたことですが、それは偶然にも、東栄館の止宿人の内で、三郎の一番虫の好かぬ、遠藤えんどうという歯科医学校卒業生で、目下はどっかの歯医者助手を勤めている男の部屋でした。その遠藤が、いやにのっぺりした虫唾むしずの走る様な顔を、一層のっぺりさせて、すぐ目の下に寝ているのでした。馬鹿几帳面きちょうめんな男と見えて、部屋の中は、他のどの止宿人のそれにもまして、キチンと整頓せいとんしています。机の上の文房具位置、本箱の中の書物の並べ方、蒲団の敷き方、枕許まくらもとに置き並べた、舶来物でもあるのか、見なれぬ形の目醒めざまし時計漆器しっきの巻煙草まきたばこ入れ、色硝子いろがらすの灰皿、何いずれを見ても、それらの品物の主人公が、世にも綺麗きれい好きな、重箱の隅を楊子ようじでほじくる様な神経家であることを証拠立てています。又遠藤自身の寝姿も、実に行儀がいいのです。ただ、それらの光景にそぐわぬのは、彼が大きな口を開あいて、雷の様に鼾いびきかいていることでした。

 三郎は、何か汚いものでも見る様に、眉をしかめて、遠藤の寝顔を眺めました。彼の顔は、綺麗といえば綺麗です。成程彼自身で吹聴ふいちょうする通り、女などには好かれる顔かも知れません。併し、何という間延びな、長々とした顔の造作でしょう。濃い頭髪、顔全体が長い割には、変に狭い富士ふじびたい、短い眉、細い目、始終笑っている様な目尻の皺しわ、長い鼻、そして異様に大ぶりな口。三郎はこの口がどうにも気に入らないのでした。鼻の下の所から段を為なして、上顎うわあごと下顎とが、オンモリと前方へせり出し、その部分一杯に、青白い顔と妙な対照を示して、大きな紫色の唇が開いています。そして、肥厚性鼻炎ひこうせいびえんででもあるのか、始終鼻を詰つまらせ、その大きな口をポカンと開けて呼吸をしているのです。寝ていて、鼾をかくのも、やっぱり鼻の病気のせいなのでしょう。

 三郎は、いつでもこの遠藤の顔を見さえすれば、何だかこう背中がムズムズして来て、彼ののっぺりした頬っぺたを、いきなり殴なぐりつけてやり度たい様な気持になるのでした。

 そうして、遠藤の寝顔を見ている内に、三郎はふと妙なことを考えました。それは、その節穴から唾つばをはけば、丁度遠藤の大きく開いた口の中へ、うまく這入りはしないかということでした。なぜなら、彼の口は、まるで誂あつらえでもした様に、節穴の真下の所にあったからです。三郎は物好きにも、股引ももひきの下に穿いていた、猿股さるまたの紐を抜出して、それを節穴の上に垂直に垂らし、片目を紐にくっつけて、丁度銃の照準でも定める様に、試して見ますと、不思議な偶然です。紐と節穴と、遠藤の口とが、全く一点に見えるのです。つまり節穴から唾を吐けば、必ず彼の口へ落ちるに相違ないことが分ったのです。

 併し、まさかほんとうに唾を吐きかける訳にも行きませんので、三郎は、節穴を元の通りに埋うずめて置いて、立去ろうとしましたが、其時そのとき、不意に、チラリとある恐しい考えが、彼の頭に閃きました。彼は思わず屋根裏の暗闇の中で、真青になって、ブルブルと震えました。それは実に、何の恨うらみもない遠藤殺害するという考えだったのです。

 彼は遠藤に対して何の恨みもないばかりか、まだ知り合いになってから半月もたってはいないのでした。それも、偶然二人の引越しが同じ日だったものですから、それを縁に、二三度部屋を訪ね合ったばかりで別に深い交渉がある訳ではないのです。では、何故なにゆえその遠藤を、殺そうなどと考えたかといいますと、今も云う様に、彼の容貌言動が、殴りつけたい程虫が好かぬということも、多少は手伝っていましたけれど、三郎のこの考かんがえの主たる動機は、相手人物にあるのではなくて、ただ殺人行為のものの興味にあったのです。先からお話して来た通り、三郎の精神状態は非常に変態的で、犯罪嗜好癖ともいうべき病気を持ってい、その犯罪の中でも彼が最も魅力を感じたのは殺人罪なのですから、こうした考えの起るのも決して偶然ではないのです。ただ今までは、仮令屡々しばしば殺意を生ずることがあっても、罪の発覚を恐れて、一度も実行しようなどと思ったことがないばかりなのです。

 ところが、今遠藤場合は、全然疑うたがいを受けないで、発覚の憂うれいなしに、殺人が行われ相そうに思われます。我身に危険さえなければ、仮令相手が見ず知らずの人間であろうと、三郎はそんなことを顧慮こりょするのではありません。寧むしろ、その殺人行為が、残虐であればある程、彼の異常な慾望は、一層満足させられるのでした。それでは、何故遠藤に限って、殺人罪が発覚しない――少くとも三郎がそう信じていたか――といいますと、それには、次の様な事情があったのです。

 東栄館へ引越して四五日たった時分でした。三郎は懇意こんいになったばかりの、ある同宿者と、近所のカフェへ出掛けたことがあります。その時同じカフェ遠藤も来ていて、三人が一つテーブルへ寄って酒を――尤もっとも酒の嫌いな三郎はコーヒーでしたけれど――飲んだりして、三人とも大分いい心持になって、連立つれだって下宿へ帰ったのですが、少しの酒に酔っぱらった遠藤は、「まあ僕の部屋へ来て下さい」と無理に二人を、彼の部屋へ引ぱり込みました。遠藤は独ひとりではしゃいで、夜が更けているのも構わず女中を呼んでお茶を入れさせたりして、カフェから持越しの惚気話のろけばなしを繰返すのでした。――三郎が彼を嫌い出したのは、その晩からです――その時、遠藤は、真赤に充血した脣くちびるをペロペロと嘗め廻しながら

anond:20210322093630

変わらないか? 本当に想像力働かせてそれ言ってるか?

 

介護の話で言えば、俺がいまやっているように、親父の施設代を一部負担するとか、そういうのあるだろ。

押し付けるじゃなくて、夫婦2人と夫婦兄弟4人なら、どう考えても4人が楽だろうが。

 

生き甲斐円満の話も、何も変わらないと思ってるのがマジなのか。己の家庭もった上での発言か?

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