「薄氷」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 薄氷とは

2024-03-09

増田の下には何がある?

下には薄氷がある

その薄氷の下に弱者男性達がいる

運命嘲笑

まるで人々は糸に手繰り寄せられたように

今日も小さな端末から、間接的に死の匂いを嗅ぎ付け

恰も断頭台の上で順番を待つような寂寞に襲われるのだ

その共通認識の元に、我々は足元の深い谷底を見ないようにして薄氷まな板を踏みしめながら異国のダンスを踊っている

我々は大和民族なのに、金髪に憧れながら

米と沢庵を頬張りながら、いつまでも「強くなりたい」と息巻いているのだ

片手で女をなぶりながら、もう一方の手で女性解放を語気強く訴え

そのアンバランス人格を保持しながら、自分は正しい、自分はか弱く美しい女性は皆助けるのだと言って聞かない。

ヒロイズム人口膾炙し、山を越え海を越えいつのまにやら、国境までも越えてしまった

2024-02-22

「ばんおう」って面白い

個人的感想だが、主人公が強いのに共感できるってのが一周回って新鮮だからなんだよね

ジャンプ作品の多くがこういった主人公を取り上げると、まず間違いなく吸血鬼としての矜持とか定命との軋轢とかをあげたり、吸血鬼らしい能力葛藤を描いちゃうんだ

そして大抵は主人公容姿や強さだけが取り柄で、それ以外に引き立てるものがなくなる

どっちかというとそういう場合は周囲の人が面白くなっていくんだよね

そんな中でばんおうの月山って、凄く応援したくなる逸材なんだよ

自身がとてつもなく強いのはわかりきっているけど、その強さへの見方も変わってくる

序盤は「長く生きてきたから強くなった」

中盤は「とにかく天才的に努力型だった」

終盤は「ただただ強い…」

と余計な情報がそぎ落とされてきて、時間という資産を食ってきた道楽から純粋強者へと勝ち上がってしまった

それでいて終始将棋への熱とプロへの羨望が尽きないという異常事態

けれど他のプロ将棋指しと比べて、たった一度しか舞台に上がれないという絶対的制限が、月山無双薄氷の上にあることを忘れさせない

そこがこの作品面白いところなんだよね

月山主人公だし竜王戦という舞台なんだから最後まで勝ち上がるのは当然の結末なわけだ

けど、ぶっちゃけ俺はここまで強いとは思っていなかった

勝つなんて当たり前なのに、なんで勝ってるんだろうと終始思わせる

けれど竜王対峙したことには一切の違和感がない

そして「こいつは竜王並の本物の強者なんだ」って誰の目にも可視化されてる

素人チャンピオン対峙するという誰にでも描ける筋書きだし最初から強いことなんてわかりきっているのに、シリーズをとおして成長と挫折を繰り返して強者として認知されていくのが、なんかすごい構成力だなって感心した

これがなろう系で同じ設定でやったとしたら、間違いなく月山性格ねじ曲がっていて無自覚強者だったよね

プロを次々と蹴散らしながら「人間なんてこんなものか」や「まあ100年後にまた自分を忘れたころに遊んでやるか」みたいなセリフが飛んでいるのが目に見える

吸血鬼ってつまらない物語にすることが簡単キャラなんだよ

本当、構成力とキャラが立ちすぎているよな

2024-02-09

「打牌批判するな」って要は「勘ぐれ、お前」だよね

先日とある麻雀大会主催者VTuberが「打牌批判モチベーション下がったので選手参加止めます」って言ったわけ。

それで2日間くらい麻雀プロ含めて喧々諤々の論争してて、インフルエンサー側は概ね「打牌批判やめろ」って意見が主流だった。

打牌批判定義されていない

この件でインフルエンサー擁護する人は安易に打牌批判ダメ素人は黙ってろと言いがちだが、おそらくそいつらとインフルエンサーラインには距離がある。

特に意味のない「ナイス1p切り」とかいチャットでもタイミングによっては打牌批判とみなされるかもしれない。

レート戦で負けが込んだ状態には単なる煽りですら打牌批判扱いするだろうし。

この定義曖昧概念コミュニティ内で禁止した時点でコミュニケーションエラーが始まっている。

誰が打牌批判をしていたか

アンチ初見が打牌批判をしていたらインフルエンサー側もブロックして終わったと思う。

今回そうはならなかったのは、従前から視聴者だったファンが打牌批判とみなされるチャットを繰り返したからだろう。

美しいインフルエンサー視聴者関係性は崩壊してしまった。

ルール作りの難しさ

VTuber配信はいくつかルールがあることが多い。

例えば

チャット欄で視聴者同士の会話は禁止…読んでそのままの通り

チャット欄に関係のない他の配信者の名前は出さない」…そのままの通り

他所配信のことをチャット欄に書き込まない」…そのままの通り(通称行為禁止

これらは指示が明確なので守られてきたので守られた。良い関係性が築けていたが、そこに突然

「打牌批判禁止」…打牌批判ってなんだ?

が登場した。誰も打牌批判が分からないし、わかってた人は単にその人のオレオレ基準で自制していただけで。

そして他の視聴者のあれ、打牌批判じゃない?と思ったとしても、

視聴者同士の会話は禁止」もあるし、SNSでの自治行為マナー違反であるのは暗黙の了解としてある。

しばらく薄氷の上を歩くように運用していたが、いつの日か崩壊する。実際何人もしてる。

難しいね

高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変チャットしよう

今後麻雀配信を見るときは打牌批判を行わないように精一杯忖度してみるように気を付けましょう!

絶対無理だぜ! 人間言われたことも満足にできないのに、言われてすらなけりゃしっちゃかめっちゃかになるぜ!

必要なのはコミュニケーションの再構築であってSNSで何言っても多分無駄だぜ!

バベルの塔は倒れた!

2024-02-06

契約更新の打診しないでくれ

派遣でつとめているゴミなのですが、30超えて初めてやる仕事

さあ就業ってなったら、その仕事を請け負っている、先輩どころか同僚すらも一切合切辞めていて

毎日とにかく困っている。

ちょっとしたことを一応指導する人に聞きにいっても「担当じゃないからわからない」「引き継いでないです…」「社内資料を探してくれ」とか言われ

毎日薄氷を踏む感じで仕事をしている。

そんなんなので、俺も経験者じゃないし、毎日ストレス不安やばいし、職場でも対して役にも立ってない自覚があるので、

次の契約更新はないかなーと思ったら、派遣会社の担当から契約更新を打診されていると聞き耳を疑った。

なんか「期待はしてないけど、徐々に仕事を覚えて行ってくれたら」とか言われているとかなんとか。

あのさ、仕事を覚えるも何も、その仕事ロールモデルとなる人が居ないわけだし、なにせ何もわかんねえなかやってんのよ。

これ以上は無理よ。もう辞めてくれ。辞めさせてくれ……

2024-01-24

anond:20240124005521

我々が信じてきたデキる日本像は幻想、いや薄氷の上で成り立っていたものに過ぎなかったのです

2023-12-20

双極症(旧:双極性障害から見える世界

20代後半で、兼業ライターをやっている。

祖母と母が双極症で、例に漏れずその傾向を受け継いだ。

小さい頃から自分二面性というか、「どうしようもなくキレやすく、暴力を振るう時期」と「人生に対して完全に悲観的になってしまう時期」があることを自覚していた。

感情コントロールで非常に苦しんだ。安直に「どうにかしてこいつを殴りたい」と思ったことは数え切れない。もちろん行動には移さない。それくらいの社会性はある。

母親祖母も「躁」のときはキレまくっていたし、散財しては父親に怒られていた。とにかく元気でハキハキと仕事をこなすのだが、一旦怒らせると自室のものを全て壊された。

「鬱」のときはまた別の地獄が家庭に漂った。料理育児も全部放棄。家にいると陰鬱が移るから友達のいるところへ逃げ込んだ。

自分は二人の様子を見て「こうはなるまい」と中学生時に決意した。以降、明確な人間関係トラブルや、差し迫る危機などには縁がない。

が、薄氷渡り続けている。イライラしたらオンラインショッピングで数十万円分の買い物をする。それがパートナーにキレる前のストッパーとして機能している。どうしようもなく鬱な場合、隙があればすぐに死んでしまうような気がして、救急外来グロテスクな密着番組を見る。死は常に自分の隣に存在する。躁フェーズでは死は丁寧にマスキングされる。

ジェットコースターという例えは言い得て妙だ。「人生ってこんなに素晴らしい」と涙を流した数ヶ月後には「死にたい」という気持ちにどっぷりと浸かっている。自分人生は忙しい。躁であれば数日徹夜記事を書けるし、執筆後のフルタイム労働だって楽勝だ。鬱になると全然ダメだ。仕事が終わったらベッドに直行、そうしなければ死んでしまう。双極症の自殺リスクうつ病のひとより結構高いらしい。それはそうだと思う。どちらに感情が揺れ動いていたとしても、自分にとって「死」は階段を一歩駆け上がるよりフランク行為だ。ただ痛いのだけが嫌だから後回しにしている。

から躁へ動く瞬間は天国にのぼるくらい気持ちいい。シャブをやったことはないが、それに似たような気持ちだと思う。躁から鬱は地獄だ。文字通り立ち上がれなくなる。まともに職業をやれているのは逆説的に「このレールを外れたら死ぬ」と思い込んでいるからだ。

先ほどちょうど躁転の瞬間があった。今日という今日まで人生というものに飽き飽きしており、いつどのように死ぬかを考え、遺書を3通したためていたが、今は何と、将来の輝かしい未来ばかりが脳内を駆け巡っている。だから慰みにこんな文章を書いている。

自分はおそらく長くは生きていられないだろう。一ヶ月前は全てが灰色がかって見えた。大切にしてくれる友人やパートナー家族といった有機体凌駕する「脳内物質に振り回される自分の滑稽さ」と「永遠に続く単振動の苦しみ」がそこにはあって、逃れる方法はただひとつだ。自分はきっと(多分ひとより短い)一生の大部分をこの病気に振り回されて終わるのだろう。ラピッドイクラー型に有効治療法は少ない。

だが、少しは粘ってみるのだ。

双極性障害は「双極症」に名前が変わった。だからどうということでもないが、毎日這いつくばって、延々と続く日常にしがみついて、双極症の世界を生きている自分にとって、少しだけありがたく思う。

からもし、身近に双極症っぽいひとがいたら、どうにかして手を差し伸べてあげてほしい。

もしこの文章を読んでくれたひとの中に双極症の仲間がいたら、私もあなたも生き延びましょうね。できるだけ長く。

2023-10-29

ラグビーW杯2023 10/29 決勝 ニュージーランド対南アフリカ

9月9日開幕戦から20チームの激闘を見守り続けてきたウェブエリスカップ

50日間の戦いの末に、今日、その所有者が決まる。


おはようございますこんにちは、こんばんわ。

レビュー増田です。


4年に1度のラグビーの祭典ワールドカップ2023年フランス大会も、ついに決勝を迎えた。

47試合の末、ファイナルに駒を進めたのは、南半球、いや世界ラグビー象徴ニュージーランドと、ディフェンディングチャンピオン南アフリカ


開催国フランス好調や、ランキング1位で乗り込んだアイルランドフィジーサモアなどのアイランダーチームやアルゼンチンの成長などで、勢力図の変化が噂される中で開幕した今大会だが、蓋を開けてみると、決勝はおなじみの最強同士の対戦となった。


ニュージーランド開幕戦フランス相手に1試合を落として以降は、圧倒的な得点力で対戦相手沈黙させてプールステージ突破した上、準々決勝ではアイルランド相手守備の硬さも見せつけて準決勝進出。チーム初の優勝を狙うアルゼンチンに完勝して決勝まで勝ち上がってきた。


大会前までは仕上がりを不安視されていた黒衣の軍団だが、オールブラックスに関しては「史上最強」「完全な優勝候補」とみなされていたような大会の方が勝てないことが多く、今回のように「ぱっとしない」と言われる時の方が優勝を攫ったりする。


チームをみると、LOサム・ホワイトロックSHアーロンスミスなど、レジェダリーなベテラン選手活躍する一方、PRイーサンデクラークティレルロマックス、CTBリーコ・イオアネ、WTBマーク・テレアウィルジョーダンなど20代のプレーヤーも多く、ベテラン、中堅の経験値と、若手のエネルギーバランス良くミックスされたチームになっている。

大会で最強と呼ばれた世代の多くが引退した後、世代交代の最中で完成形が見えづらいままW杯に臨んだが、まさにこのW杯で成長したのかもしれない。

7週間にも及ぶ戦いの中で調子を上げ、持ち前の得点力だけではない守備の硬さ、意外とも言えるスクラムの強さも見せつけてきた。


HCのイアン・フォスター大会後の勇退が決定しており、スーパーラグビーの常勝軍団クルセイダーズHCのスコット・ロバートソンにその場を引き継ぐことが決定している。

つなぎの世代と言わせず、このチームこそが最強のオールブラックスであることを証明できるだろうか。


対する南アフリカはというと、フィジカルバトルを得意とするチームが集まったプールBをアイルランド戦の1敗以外に圧倒的な強さを見せつけて決勝トーナメント進出

フランス戦、イングランド戦の2試合連続の1点差で制して決勝に進出した。


優勝した前大会の時点で主力メンバーが若かったため、本大会でも優勝メンバーが残り、FWの安定感がチームを支えてきた南ア代表だが、なぜかこのチームに起こりがちな「完全な1本目のSOがいない」という問題に今回も悩まされ、重要得点源のキックの精度などはイマイチとみなされていた。

そこに、負傷で代表メンバーから外れていたハンドレ・ポラードが、大会中に負傷したメンバーと交代して第4戦目から復帰。

この決勝で先発のSOをベテラン司令塔に託すことになった。


ラードはあまり華麗なパスを見せる司令塔ではなく、南アらしいキックFW戦のタクトを振るのを得意としているが、この試合に望むリザーブメンバーを見ても、南アがどういう試合にしたいのかが垣間見える。というかクッキリ見える。

なんと8人のリザーブのうち、FWが7人。

SOはおろか、SHの替えすらなく、デクラークが負傷した際にはWTBチェスリン・コルビが務めるとアナウンスされるほど。

80分間、FWを惜しみなく使って身体を当て、キック得点する気満々で、スプリングボクスらしい戦いでオールブラックスを迎え撃つ構えだ。


オールブラックススプリングボクスが戦えば、激しいフィジカルバトルに耐えてちょっとの差を掴み取るゲームになるしかない。

決勝のスタット・ド・フランスは雨。

身体をぶつけあうには絶好のコンディションだ。

どちらが「ちょっと」をモノにしてウェブエリスカップを掲げることができるのだろうか。


両国国歌斉唱につづいて、オールブラックスが今大会最後ハカ、カパ・オ・パンゴを披露し、オールブラックスボーデン・バレットキックオフで試合が始まった。


前半

開始早々、大会を通して南アスクラムを引っ張ってきたンボナンビが脚を痛めてグラウンドに倒れて負傷後退。

その直後の交錯オールブラックスのシャノン・フリゼルイエローカード

双方がゲームの進行にダメージを受ける波乱の幕開けとなる。


ボールキープしてパスとランからゲインをねらうオールブラックスに対して、ディフェンスからキックを蹴らせ、受けたボールを蹴り上げて、キック前進する南ア

もとからお互いやりたいことをするとこうなるわけだが、南アがジリジリ前進できている。

リゼルの反則で獲得したものにつづいて、オールブラックスを押し込んで序盤に2つ連続ペナルティを獲得した南ア

ラードキック南ア 6 - 0 NZ とする。

ロースコアゲームで蹴り勝ちたい南アにしたら上首尾なゲームの入りだ。


オールブラックスボールを回しながら前進してPGを返すが、南アFW戦で圧力をかけてペナルティを狙い、PGを重ねて差を詰めさせない。

南ア 9 - 3 NZ


スコアで突き放されながらも、ゲームが進行するにつれボールをまわす攻撃で徐々に先進し始めたオールブラックスだが、雨の影響でボールが手元で滑り、掴みかけた攻撃のチャンスでボールを失っている。

そしてゲームの流れを大きく変える瞬間が訪れた。

28分にFLサム・ケインハイタックルレッドカードの退場。

前評判の低かったチームを獅子奮迅活躍で牽引してきたキャプテンまさかの決勝の舞台で一足先に試合を去ることになった。


荒れ模様前半はその後、双方がPGを重ね、南ア 12 - 6 NZゲームを折り返した。


試合としては前半の25分過ぎからオールブラックスボールを保持した攻めで南アディフェンスを切り裂き始めており、圧倒されているわけではない。

しかし、ラインアウトの不首尾や、滑る手元、高く入ってしまタックルなどで得点のチャンスを失うオールブラックスに対して、南アが手に入った機会に過大な結果を狙わず即座のPG得点を重ねて6点差。

攻めがつながっているので、後半での逆転もあり得る点差だが、相手そもそもロースコアを狙ってきている南アだなると話が違う。

それに、フィジカルバトルを狙ったオーダーを組んできた南ア相手に人数の不利を被ったのは大打撃だ。

南アにしてみれば、相手ミスに救われているところもあるが、それは要所でうまくプレッシャーをかけて、危機を切り抜け続けているという事になる。

この決勝でも当然のように発揮される南ア勝負強さは驚くべきものだ。


オールブラックスは不利を跳ね返して逆転のトライを決められるのか、それとも南ア得点以外でも前半につけた差を活かして突き放すのか。


後半

後半の南アキックオフから敵陣深くに侵入して圧力をかける。

得点匂いがする猛攻だったが、この攻撃のなかで、今度はシア・コリシの頭が当たってイエローカードで退出し、人数のアドバンテージを失う。


後半頭で試合を決めるチャンスを逃した南アに対して、オールブラックスは人数の不利がないうちに攻め込んでいく。

ボール展開すればゴールライン間際まで迫ることができるが、オールブラックスとしては歯がゆいことにスコアまでに至らず、トライラインまで到達したプレーも、ノックオンでチャンスを失ってしまう。

今日はずっとこんな調子だ。

全てがうまくハマる日もあれば、そのピースをはめる時に手がパズルの傍にあるグラスに当たったり、膝がテーブルの下を叩いたりする日もある。

それが起きているのが、4年間の努力の末のW杯の決勝の場で、相手最後まで勝負を投げない南アだというのが最悪だ。


ズルズルと時間勝機を失ういかけていたオールブラックスだが、58分、ついにゴールラインを破るトライを獲得。

ここで7点を取れば、ロースコアの試合で果てしなく大きい1点のアドバンテージを得ることができたところだが、決定力の高いモウンガのCVは外れて、リードを奪うまでに至らない。

南ア 12 - 11 NZ


W杯も残りは20分となり、ゲームの内容としてはボールを敵陣に運べているオールブラックスに傾きかけているのだが、勢いにのってひっくり返したいところで、雨の影響もあってかボールが手に付かない。


ゲームが動かないまま10分がすぎ、1本のPG勝利に直結する時間になってきた。

オールブラックスPG1本でも欲しい、南アは逆にこれをとって試合を決めたい。

試合を分ける攻防の中で、南ア・コルビの故意と見做されるノックオンオールブラックスPKとなり、またも試合をひっくり返すチャンスが訪れるが、ジョーディ・バレット重要な1本が外れて1点差のまま。


1プレーで逆転できる1点差が果てしなく遠い。

のこりは5分を切り、最後の攻めのチャンスが巡ってきたオールブラックスだが、ここでも敵陣深くまで迫りながらノックオンボールを失う。

残り10秒のスクラム最後希望をかけるも、必死で守る南アボールラインに押し出されて、試合終了を告げるホイッスル


最終スコア

南ア 12 - 11 NZ


降りしきる雨、試合開始直後の負傷退場やイエローカード、両キャプテンの反則退出、度重なるハンドリンエラーなど、双方にとってゲームは思惑通りに進まなかった。

しかし、オールブラックスが何度も訪れた逆転のチャンスを悉く掴み損ねたのに対して、ひっくり返されそうになった南アは、諦めずに自分達のするべきことに徹して耐え抜き、ゲームを決める「ちょっと」をものにした。


大会前はアイルランドフランスなどが見事な戦績を積み上げ、南アNZも今回は圧倒的な存在ではないと見做されていたが、両チームは大会の中で成長しながら決勝まで辿り着いた。

そして、歯を食いしばりながら薄氷勝利を積み上げた南アは、なんとこのW杯決勝トーナメント試合全てを1点差の勝利で勝ち抜いて、ついに連覇のウェブエリスカップを掲げる最後の勝者になった。


この大会前回大会から8年間、時代の主役だったプレヤーたちの多くが代表を去る。

ウェールスのダン・ビガー、アイルランドジョニー・セクストンニュージーランドアーロンスミス

日本代表でも年齢的に堀江などは次の大会で見られないかもしれない。

選手が入れ替わるだけでなく、大会レギュレーションも見直され、次のオーストラリア大会からは出場チームが24に拡大される。

4年後はラグビーを取り巻く景色が大きく変わっているだろう。

演者舞台も大きく変わる節目の大会となった。

時代の終わりに少しの寂しさがある。

でも、次の時代の準備はもう始まっている。


自分の話をさせてもらうと、今回は大会が始まる前までレビューを書くか迷っていた。

大会日本開催で多くの人が試合を見ることが予想されていたのに対して、今回はフランス開催で試合リアルタイムでは観戦しづらく、日本代表の苦戦も大会から予測されていた。

また、自分自身この夏から本業が急に忙しくなったので、1ヶ月半以上毎週レビューを書くだけの気力が続くかという心配もあった。

ただ、やはり4年に一度しかいからと、初戦のチリ戦からレビューを書き始めると、まだ待っていてくれていた人から応援コメントや、他の試合をみたトラバなどが寄せられて、ともにラグビーの祭典を楽しみたいという人がいたことにとても支えられた。

(あと、本業の厳しい局面でも「リーチ・マイケル堀江あんなに頑張ったしな」なんて思って自分を奮い立たせたりもした)

ラグビーを見る人の楽しみに少しの助けになりたい」と始めたことが、皆の支えでやり切れて、自分自身がこの4年の集大成を、そして時代の変わり目をしっかり目に焼きつけられたのは感謝気持ちでいっぱいだ。


ラグビー身体のぶつかり合いが特徴のスポーツで、試合感想を語ろうとすると「フィジカルに圧倒された」という話になりがちで、それ以外だと「反則が多かった」「あの選手のあのプレーが」という結果の一部だけを取り上げた議論になってしまう。

このレビューを書く上で意識していたのは、結果の現象だけでなく、双方のチームがどういう強みとプランをもって試合に臨んだのか、キックオフなどのゲームの状況が基本的にどちらに優位に働くのかなどに注目して、「なんとなく身体能力で負けた」「多分ミスで自滅した」「全力を尽くして感動した」よりもう少し理解度をあげて、とはいえつのサインプレーなどの細かい話に入りすぎて全体像が見えづらくならないようにと思って書いていた。

自分はいファンにすぎないので、長年のオールファンを唸らせるようなレビューは書けないと思っていたけど、日本代表試合から見てみようと思った人に、今回少しでも役に立てたなら嬉しい。


これが今大会最後レビューなる。

もう一度、みなさんありがとう

最後まで書き切れたのはみんなのおかげです。

またどこかで、会いましょう。


anond:20231021081219

2023-09-03

最近読んで納得した少子化解説

昔は子供の育成(家、教育育児)にそんなにコストがかからず、かつ15歳位で第一次産業従事できる労働力として使えるから、まぁまぁ納得感のある投資だった。

一方現在大学行ったら22歳まで面倒見るし、育児薄氷を割らないような丁寧さが求められる。家も高いという感じでコストが掛かりすぎる。そのくせ育てても家計を助ける労働力にはならないのでペットと同じ扱いになってる。

こう考えれば産業構造が高度化した先進国で軒並み出生率の低い説明つくし出生率あげたいなら子供の育成に関するコストを軒並みカットして、さらになんらかのご褒美もあげなきゃいけないというのがわかる。

2023-07-19

怒る上司ガラス天井

4月に来た新しい上司職場に慣れ始めて気に入らないことあると部下に詰めるようになってきた。語気が強くて怖い。

個人的に怒りっぽい年上の男性をみると、大嫌いな父親を思い出して身が凍る。仕事のやる気がめちゃくちゃ減る。

上司が怒るのは決まって男性だ。とてもかわいそう。と同時に、こういうときガラス天井」というものを感じる。

女性は怒られないけど、それは重い責任は課せられていないから。女性、怒られたら辞めるもんね。私は上司に怒鳴られたら辞める気マンマン。

私の職場における「ガラス天井」というのは、いまの50代くらいの昭和気質を引きずった男性が部下に怒鳴り散らすことが原因なんだと思ってる。怒らなくていいじゃんね、男性にも女性にも。

女性に怒らないけど男性には容赦なく怒るのなんて性差別だと思う。怒る必要なんてないし、怒ったって解決しないし。

怒らなければ女性はもちろん男性だって働きやすくなって、ガラス天井なんて薄氷みたいに薄くなると思うんだ。

なんか本当に怒られてる男性社員たちがかわいそう。男性社員たちはどう思ってるんだろ。

とにかく見ていて嫌。あーやだやだ

2023-06-27

小学生に教えるようにわかやすく 世界がどうできてるか今から一発で教えてやる

まずニューヨーク想像しろ

そこでつまずくなよ

アメリカニューヨークの巨大なビル群を 想像しろ

だってない! でもなんとなく想像できるだろうそういうもんだろうニューヨーク!!!

想像できたか

さらに頭ン中でどんどん広げろよそのビル群を

その重く巨大な果てしなく広がるビル群が おまえの “常識”だ

そこに全人類が住んでいる

最初はな

なぜなら 巨大ビル群の下には もう一つ 世界がある

もっと巨大で 黒い ドスグロい 沼が ムゲンに広がっている

不条理”という沼だ そこではジョーシキがまるで通用しない

少しはつかめてきたか

常識という巨大ビル群と そのサイアクの底なし沼との間には

薄氷一枚

透けて見えるほど薄い氷があるだけだ

毎日何万人単位で足下の氷が割れて 人生がぶっ壊れる

男女年齢善人悪人カンケーない 誰だって突然そこに落ちる可能性がある

地球”を想像しろ

それが この世界

今 ここにいて幸せか?

オちたんだよ

お前の足下の氷は

砕けた

2023-06-25

【☆爆☆誕☆】領土17,090,000 km2!核保有!!PMC【最★強】

中学生の考えた二次創作ガンダムシナリオか?

こんな冗談みたいな結末がダイスの目によっては起こりうるってもう滅茶苦茶じゃん。

世界平和薄氷ペラすぎねーか?

2023-04-20

おっさん美容に興味を持ってるとキモいっていう自虐ネタもそろそろ薄氷よな

2023-03-13

勝負師羽生善治

 第72期ALSOK王将戦7番勝負は、藤井聡太王将羽生善治九段を4勝2敗で破り、王将位の防衛を決めた。本当に、本当に面白かった。手に汗握る、ヒリヒリするような名勝負連続名実ともに歴史に残ることとなったこシリーズを振り返っていきたい。

 棋士は「勝負師」「研究者」「芸術家」の顔を持つ。そう唱えたのは永世名人谷川浩司である。この3要素は、どれか1つが10割というものではない。一流棋士は、これら全ての要素を持ち合わせ、盤上において切り替えながら戦っていく。それが、一流棋士の一流棋士たる所以である。そうはいっても、棋士によって個性、より強く出てくる要素というものは確実に存在する。私見だが、藤井聡太にとってのそれは「研究者」、羽生善治にとってのそれは「勝負師」だと考える。そして、羽生の「勝負師」としての側面が、何よりもこの番勝負を白熱させたように思う。

 6局が指された番勝負で、羽生勝利した第2局と藤井勝利した第5局は特に名局だった。第2局は羽生の先手番で相掛かり。59手目、盤上のそっぽに放たれた金が驚きの一手。どこから飛び出てきたのかという異筋の金打ちだが、浮かび上がってくるとこれがべらぼうに厳しい。簡単に指せる一手ではないが、羽生はこの手をノータイムで着手。凄まじい事前準備、乾坤一擲番勝負に懸ける決意をみた一手だった。しかし、この一手だけでノックアウトされる藤井ではなく、将棋はその後も難解な進行を辿る。羽生の本当に凄かった一手は、その後の銀打ちだ。盤上の中央で威張る藤井の馬にアタックする一手。理屈としては分かるが、それにしても怖い。この手を指すと、自らの玉頭に風穴が空く。無傷では済まされない変化だが、それでも羽生は果敢に飛び込んでいった。対する藤井、「許さん」とばかりに猛攻に出る。銀をかち込み、馬と角の睨みで羽生玉を一気に仕留めにかかる。危険まりない羽生玉だが、ここでほとんど唯一といってよい、絶妙な凌ぎの手順が存在していた。そして、羽生はそれを読みきっていた。これが本局のハイライト藤井の猛攻を正確にかわし続けた羽生が、シリーズ勝利ものにした。何という勝ち筋か。銀打ちの一手は、藤井をこの変化に誘い込んだ渾身の勝負手だったのかもしれない。羽生最後に放った香車は唯一の正解手である。持ち駒も打ち場所も多いが、ここにこの駒を打たなければ助からないのだ。傍目には怖すぎる変化にも果敢に飛び込んでいった勇者羽生投了図は、勝負師が生んだ最高の芸術であり、羽生の名局である

 第5局は藤井の先手番。戦型は羽生誘導して横歩取りとなった。飛車角が空中を乱舞するスリリングな戦型で、かくして本局も華々しい展開となる。激しいやり取りがあり、羽生陣は空中分解の寸前。玉が露出し、またしても危険まりない状態となった。戦況は藤井有利から優勢へ。このままじっくり勝ちを固めてもよさそうなところだったが、本局の藤井アクセル全開。防御を完全に放棄する驚愕の手順で、一目散に羽生玉に襲い掛かっていった。このまま押し切れば藤井の快勝譜だったが、その先で羽生が放った金が受けの妙手。藤井の攻めから逃れるために作った即興の囲いだが、この懐が妙に深い。アクセル全開だった藤井の手はパタリと止まり、戦況は混戦へともつれていった。本当に、妙なところに懐はあるものだ。将棋の奥深さ、恐ろしさ。羽生がどこまで狙っていたのかは分からないが、藤井の快勝に思われた一局は一気に混迷を深めていった。形勢は逆転し、むしろ羽生がよくなった局面もあったようだが、あまりに難解で、羽生はこれをつかみきれなかった。最後藤井が抜け出し、シリーズを一歩リードする3勝目。攻めの藤井と受けの羽生。互いの特徴がよく出た名局で、深淵羽生の受けは藤井の手をも止めさせた。藤井にとっては薄氷勝利だったといえるだろう。

 最終的には、4勝2敗で藤井が制した番勝負しかし、星の差以上に競っていた、紙一重局面が多かったように感じる。ここで冒頭の話題に戻るが、これは「研究者」と「勝負師」による名シリーズだったように思う。藤井は「研究者」。盤上の真理、最善を追求し、そのためには持ち時間を一気に注ぎ込むことも惜しまない。相手の戦法は全て受けて立ち、相手によって戦い方を変えるということをしない。横綱王者の戦い方である。一方の羽生は「勝負師」。もちろん将棋研究も超一級品には違いないのだが、羽生相手によって戦い方を変えることも多いように思う。相手を見て、その相手有効と思われる勝負手を果敢に仕掛けていく。勝負への抜群の嗅覚であり、勝負勘。「羽生マジック」と呼ばれる絶妙手の数々はまさにそれで、時には善悪を超越した一手で勝利をつかみ取ってきた。そして、本シリーズでもそんな「勝負師」としての一面を遺憾なく発揮した。特徴的だったのは羽生の戦型選択である。今期の藤井は、先手番で圧倒的な勝率を誇り、なんと一時は28連勝を記録。特に角換わりは絶対的エース戦法であり、付け入る隙がないという強さを誇っていた。これを踏まえた羽生は、後手番で戦型を工夫していく。第1局は一手損角換わり、第3局は雁木、第5局は横歩取り。苦しいとされる後手番で、羽生藤井絶対的エース戦法を避け、様々なコースボールを散らすことを選択した。何を投げるかというところから勝負は始まっている。球種の多さで、狙いを絞らせない。羽生勝負術は、「次は何を繰り出すのか」と将棋ファンを魅了し、この番勝負を白熱させた。もちろん、角換わりを避けたからといって簡単に勝たせてくれる藤井ではない。どこにボールを投げてもその応手は的確で、結果として羽生藤井から後手番で白星を挙げることはできなかった。それでも、羽生が後手番で繰り出した3種類のボールはどれも見応えがあり、複雑なねじり合いを生んだ。後手番で必死に食らいつきながら、先手番の2局では会心の内容で勝利をもぎ取った。心から、素晴らしい番勝負だったと思う。

 防衛を果たした藤井王将は、羽生九段との番勝負について問われ、「羽生先生の強さだったり自分課題を感じたところがあった」と振り返った。藤井インタビューで対戦相手名前を出すことは非常に珍しい。なぜなら藤井は、前述のように盤上の真理を追究するタイプであり、対戦相手がどうこうというタイプではないかである。今回、藤井が「羽生先生の強さ」と述べたのは、それを肌で強く感じたところがあったのではないかと推察する。羽生の強さ。すなわち、勝負術であり勝負勘。これまで何度も目にしてきたつもりだったが、本シリーズではその真骨頂を見せられた気がした。そんな羽生相手防衛を果たした藤井王将のことを、心から讃えたいと思う。

 五冠を堅持し、さらなる頂に向かって突き進む藤井王将将棋界の絶対王者であることは全く疑いようがない。その他の棋士は、極めて厳しい戦いを強いられている。しかし、厳しいからといって戦うことをあきらめてしまえば、その時に将棋界は終わる。今回、52歳の羽生がこれだけの戦いをみせた。勝負を仕掛けた。このことが、将棋界に良い化学反応を起こしてほしいと願う。選ばれしプロ棋士たちには、藤井という絶対王者に対し、果敢に「勝負」を仕掛けていってほしい。必死に戦い続けてほしい。そのように願う。

 羽生さん。敗れはしたが、あなたは本当にかっこよかった。藤井王将は、その勝負術に正面から触れ、この番勝負で吸収した。今後は「勝負師」としての要素も強め、さらに手が付けられなくなるほど強くなるのではないか。そういう確信に近い予感がある。それでも言う。さらに強くなった彼に再び挑むのは、あなたであってほしい。

2023-02-07

anond:20230206193942

相手が乗ってきたと勘違いしてるこいつが一番薄氷だと思う 技術指向メンツこだわりマン地頭の差が出ちゃってる

2022-11-23

君の名は。」「天気の子」への返歌としての「すずめの戸締まり

ネタバレあり】

過去の重さ』と『大人子ども』について

過去の重み

君の名は。」はタイムリープすることで、過去を「変える」物語である主人公の瀧は、過去の少しずつ忘れられはじめた悲劇追体験し、不思議な力によって惨劇回避する。その点において「すずめの戸締まり」では、誰も過去を変えることはできないということが明示される。常世過去現在も混在する世界であるし、主人公のすずめは物語の終盤で過去自分出会う。しかしそれは過去を改変することにつながるわけではないし、亡くなった母親常世で再会できるようなことがあるわけでもない。死者は死者である


「天気の子」における帆高の選択は、「すずめの戸締まり」のすずめとは真逆である世界なんかより君が大事だと叫び銃をぶっ放して走る帆高に対し、「すずめの戸締まり」ですずめは大震災愛する人を天秤にかけるという選択を迫られ、愛する人を選べなかった。それにはすずめの過去震災被害経験が重くのしかかっている。「天気の子」では帆高の過去意図的に透明化されているし、帆高と東京とのつながりはどうにも希薄である


翻って考えてみて、「君の名は。」の過去改変も、「天気の子」で世界よりも君を選ぶのも、エゴイスティック世界を改変する行為である。「すずめの戸締まり」では人知れず災害を防ぎ、薄氷の上にある世界を昨日と変わらず続ける選択を行う。「大事仕事は、人からは見えないほうがいいんだ」と草太は言う。世界微妙な均衡の上に成り立っており、それはいつすべてが灰燼に帰してもおかしくない。



過去の2作品と今作の対比で際立つのは、過去の果てしない重みである過去は変えられない。過去ははてしなく重くのしかかってくる。人にとっても社会にとっても。忘却するわけではない。でもどこかで区切りをつけて前に進まなければいけない。そのための儀式が戸締まり。鎮める。そうしてまた行ってきます

大人子ども

大人論理子ども純粋さ」という対立軸日本アニメ漫画文化普遍的テーマである。「君の名は。」では三葉の父親を説得するという小さな対決イベントはあるが、メインテーマに絡んでくるわけではない。祖母組紐伝統を三葉に受け継ぎ、導く役割を担うが、どちらかと言うと舞台装置として機能している。


「天気の子」では鮮明に「大人論理子ども純粋さ」が対立軸として描かれるが、対立解決落とし前をつけるというより、主人公たちがぶっちぎったような形で終わる。また登場する大人は、誰も主人公たちに対して大人としての役割を果たさない。須賀は大人のズルさを持ちつつも精神的には未熟でもある。子どもたかり、ほぼ無給でこき使い、保身のために投げだす。リーゼント刑事も少し思うところはありそうだったが、帆高の未熟さに毒づき、押しのけられるだけである象徴なのは須賀の義母である相手と会話しているようで、自分の中ですべて完結している。自分価値観から一歩も外にでることはない。大人たちが大人として子どもに向き合わず、与えられた仕事役割をこなすだけ(と描写される)のがある意味現代的ではある。


一方「すずめの戸締まり」では、環との葛藤和解が大きなストーリーライン構成する。物語のオモテ面が災害を防ぐため各地をめぐる旅だとすれば、ウラ面は過干渉な叔母から実家への逃避行である。環も、神戸出会シングルマザーのルミも、完璧とは程遠い人物である。環はすずめを引き取ったことで失ったものを未だに悩み、無理をして母親像を演じ裏切られると怒りを爆発させる。ルミはヒッチハイクしてきた高校生ベビーシッターをさせて、更に深夜までスナックで手伝わせる。そんな大人だが、二人とも真摯にすずめに向き合う。草太の祖父は、自分の孫が要石にされた状況で、その事態引き起こし当人に対して「これで良かった。すべてを忘れて帰りなさい」と声をかける。

もともと新海誠キャラクターの背景や生活史をほとんど深く描かない表現者だった。ほしのこえ、雲の向こう、秒速。ほとんど若者しか登場せず、「どの作品主人公ヒロインは一緒」と言われることすらあった。心理描写を最低限に、抒情的に美しい風景に仮託して表現し、視聴者勝手自分と重ねられるようにする。それを極限まで純化ささせた作家性だった。それがこのような作品を作るまでになるとは夢想もしていなかった。過去作品を糧にしつつ、全く新しい作家性を手に入れ、見事に作品に落とし込んだ。「新海誠最高傑作」との宣伝文句伊達ではないと思う。集大成であるし、ここまで来た新海誠が次に何を作るのかが今から楽しみである


小ネタ

・すずめとは「鎮め(地鎮)」であり、「ミミズを食べるもの」でもある

・すずめの瞳にミミズが反射して赤いハイライトが差すのが「すずめにしか見えていない」ことと、揺れがおきるたびにミミズを探してしまうすずめの恐怖をうまく描写していた

・冒頭の朝ごはんがやけに気合入っててこんな朝ごはん普通つくれねーよと思ったら伏線だった

椅子が三本足なのは「三本足でも立って歩いていける」ということ

・昔の閉じ師の本の表紙が「Agarta」(スペル違うかも)と書かれていた(星を追う子ども異世界

2022-09-23

心理的安全性って要は

コミュ力だよね

しかも超高度な

心理的安全性とは以下のような状況が担保されていることらしい

メンバー同士の会話でどのような発言をしたとしても、メンバーから嫌われたり、関係が壊れたりすることがなく、安心して自分意見や考えを言える状態のことを言います

これ、めちゃくちゃ高度なコミュニケーションだよね

肯定すれば良いだけってわけでもない(それは心理的安全性担保された組織ではなくただのぬるま湯組織と言われてた)

メンバーが間違っている時は間違っていることを伝えないといけないし、メンバー内で意見が完全に相反した場合はどちらかの意見却下しないといけない

ただ、それで相手が躊躇するようになってはいけない

多分これは指摘する側=上司だけじゃ達成できなくて言われる側の心構えも求められていると思う

言われる側が極度にネガティブ思考だと多分どれだけ優しく言っても否定された時点でもう意見を言うことに躊躇し出すと思う

まり、言われる側のネガティブ思考すら許されない

おそらく心理的安全性についていろんな教本があるとは思う

その教本にはこの場合はこう言うといったいろんな例が書かれていると思う

ただ、コミュニケーションの怖いところはそうして勉強して一生懸命築き上げた関係性がたった一言迂闊なことを言っただけで簡単に崩れてしまうこと

そして大抵やり直しが効かない

そんな薄氷の上を歩き続けるような高度で緻密なコミュニケーション現代人は求められている

富、名声、力・・・この世のすべてを手に入れた企業Googleがこの超難しいコミュニケーション提唱した世はまさに大コミュ力時代

イーストブルー企業ですら心理的安全性と言い始めたしもうコミュ症に生きる道はない

2022-05-25

余命使い切って3年経つ

まれつきの心臓病で、ずっと投薬しながら生きながらえてるんだが、小学生くらいのときに、「この病気のひとはみんな早死する。18とかまでにだいたい死ぬ」と言われた。

そしていま、21歳。

余命使い切って3年経つ。

  

すぐ死ぬもんだと思って死ぬほど適当に生きてしまった。小学生の時から「あと6年かあ」とか思いながら生きているから。

実感もないので「俺18で死ぬんだぜ」とか言って友達泣かせたりしたのも、全部嘘になってしまった。

俺はこれからどうすればいいんだろう。

目標もないし、やりたいことも正直ない。

スポーツ一家に生まれて、なのに運動心臓病でドクターストップがかけられているとなると、俺に残ったのは出来の悪い頭とヒョロヒョロのもやしボディだけ。

余命で死んでおきたかった。

3年間のオーバーランはずっとそればかり考えてる。

  

今日にも突然に死ぬかもしれない。

はいま、コインの表を出し続けているみたいな、薄氷の上みたいな、そんな命なのかもしれない。

余命は超えてからのほうが怖い。

この3年も、振り返ると無駄ばかりで、有意義に過ごせたのかもしれない。

でも、すぐ死ぬんだから関係いかと思う自分もいる。

  

俺は心臓が止まったことがある。

喋っているときに急に落ちて、「〜してるんだ」の「る」で落ちた。

明確に覚えてる。死ぬ瞬間、最後まで残ってるのは聴覚かいう説があるけど、多分合ってる。

俺が顔面を床に叩きつける寸前の、自分の声が「る」で止まったことだけを覚えてる。

死ぬ瞬間も多分こうなんだろう。

怖すぎる。

  

そろそろ就活が始まる。いま大学3年。

俺がしなきゃいけないのは終活じゃないのか。

嫌すぎる。

どっちも嫌すぎる。

  

寝るのが怖い。

死ぬ瞬間と似ている。

  

俺ってどうすればいいんだ。

ネット民のぽまいら、指導汁!

2021-11-01

anond:20211101000324

もちろん復活はする

が、小選挙区(地元)の指示を取り付けられない議員てのはどの党も格下扱いなので象徴的な側面の方が大きい

枝野ギリギリまで競っていて割と薄氷勝利だったので、今後の党運営にどんな影響を与えるのか分からなくなってきた

2021-05-30

anond:20210530090813

引くところ引けたからだと思うよ。あの辺りまでは国力がなかったから一歩間違えば国が滅びるって危機感があったから。

日露戦争だってホント薄氷勝利だった。賠償金も取れなかったか日比谷暴動とか起きている。

日本って調子がいいと自称思っているときストッパー聞かずに暴走する。上層の連中のなあなあで精神論ばかり叫び下層民は本当に死に追いやられる。最悪になるまでやめることはない。

その象徴と言えるのが第2次世界大戦であり、とくにインパール作戦

危機感ないんだろうね。とくに、自民は何をやっても、野党ネットで叩いていれば絶対選挙に勝つと思ってるんだろう。まあ、立憲民主党野党第一党でそれなりに議員当選できるし、なにか適当批判してあらが出た時に政権取れると甘ったれてる感じはするな。

2021-03-14

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇で描かれなかったこと、その感想

もちろんのようにネタバレを含むので、注意してほしい。

見終わった感想は、「本当に終わった」だった。

すごく丁寧に「伝える」ことに真摯に向き合っていると感じた。

それは描いていることだけではなく、描かれなかったことも含めて。

これまでのあらすじ

きちんと振り返り部分がある丁寧さが、この映画象徴しているといっても良い部分。

復習して来いよ、ではなく、劇場でこれまでを振り返る。その丁寧さが全編にわたってある。

忘れてならないのは、これは劇場4部作ではなくて、エヴァンゲリオンの最終作ということ。

から題名からして「シン・エヴァンゲリオン劇場版」であって「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」でないところで主張してる。

そして、「まごころを君に」「世界の中心で愛を叫んだけものときて、「未来からのホットライン」で落としているところに、本当に最後なんだな、という気概を感じる。

NOTでも(NOT)でもなく、今までの否定でも追認でも無い、終わりが来たんだなという予感は正しかった。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版序破QはTVシリーズみたいなもんで、今回が劇場版」みたいな位置づけっぽくみえる。

Qの続き

パリでの、序の裏返った模倣

冬月副指令側はネルフパリ支部を守る陽電子砲側で、ヴィレ侵略する側。

派手なアクションシーンであるとともに、赤いヤツって戻せるんだアレというのをこれ以上ないほど明確に見せる場面。

第三の村

アスカケンスケと合流したのち。

直接の描写牧歌的なだけで、薄氷を踏むような生活というのが描かれずに表現されているように思う。

トウジは「医者の真似事」だし、ケンスケは「なんでも屋だが風車メンテはできない」。

まり、あの村にはまともな医者エンジニアも居ない。

食事配給制で、一軒家はトウジの医者という特権性に由来する特別扱いになっている。

綾波初期ロットはそのトウジの客人ではあるが、農作業にわりとしっかり従事させられている。

そしてそこにいるのは老婆が中心。

若い男女や男性は、綾波型の心の触れ合いのような農作業には出てこない。

銭湯図書館牧歌的ではあるが、つまり個別風呂嗜好品が持てない生活を、直接の描写なしに示唆している。

でも、並行複発酵である日本酒を飲める程度には豊かさがある。衣服も残ってる。(心の余裕はまず生活の余裕から

でも、味噌汁に口をつけないことで激昂する大人がいる程度には食料に余裕がない。

たぶん、ココを受け付けるかどうかはその人のエヴァンゲリオンへの思いによる気がする。

第四話の「雨、逃げ出した後」だよねココ。

ひどい経験をしたシンジ家出をして、ケンスケとキャンプする。

TV版では、その後無理やり連れて帰られるけど、ネルフから出ていこうとして、自分意志では電車に乗らなかったと言う流れ。

ケンスケの描き方はあの時からある意味で一貫している。自身の興味には忠実だが、相手の心情には過度に踏み込まず、黙って見守る。

「なんでみんな僕にやさしいんだよ」という嗚咽がほぼすべてだけれども、誰にも強制されることなく、しっかりと時間をかけてシンジだけで結論を出すのが良かった。

今までのシンジくんって、口ではみんな色々言うけど、それほぼ強制じゃんってのが多かった。

あなたが決めなさい、とか。それシンジくん考えられる状況か?その環境作るのが大人だろうっていう。

あの農作業をしていたのがシンジで、みんなの優しさに触れてこの村を守るために戦うんだ、だったらたぶん流石についていけなかったと思う。

で、今までのエヴァだったら絶対にあのアスカの「泣くだけ泣いてスッキリたか家出は終わりか」みたいなセリフ入れなかったと思うんだよね。

その後の、ケンスケとの見回りと治水管理で「基幹産業たる農作業免除されてる」とか「池が村の生命線」とか言わなかったような気がする。

村が赤く浸食されてない理由とか、ニアサーも悪いことばかりじゃなかったさみたいなのは、察しろよ、みたいな描写になってたんじゃないかな。

プラグスーツを着ていないと体を保てない綾波型が、その短い生の間に、様々な感情を駆け抜けていったのも象徴的だったように思う。

その一方で、加持さんの子供がしっかりと「世界をもとに戻す」実験従事しているというのも、良かった。

ミサトさんは、スイカの種を見るだけなんだよね。種をまいて育てるのじゃなくて、種を残す方。

あの村のシーンこそが、シン・エヴァンゲリオン劇場版の急所だと思う。

シンジ好意を持つように設計された綾波型が感情を受け入れるも、なお運命の通りになる。

シンジは誰からも放っておかれる状態で、本当に自分がかけたいだけの時間をかけて、やっと決断する。

最初こそアスカに無理やり食わされるけど、シンジくん自分レーション食ってんだよね。そして食うことに対して泣く。

自分で食い、自分で泣き、自分時間をかけて、最後無垢な問いかけに返す形で結論を出す。本当に良かったと心から思った。

アスカが途中で言ってたけど、そんなシンジくんみるの相当しんどいと思う。

で、そこは委員長の異様なほど優しい言葉綾波初期ロットとのやりとりでカバーされてる。

TVシリーズだったら赤木博士に「村での摩擦は死に直結するわ。学習性無力感一種ね」くらいは言わせたと思うんだよねマジで

落ち着いた後で、トウジと会話をしてお前は十分やったって言われたり、ケンスケからは親父とは話しとけよって言われたり、加持と出会ったり。

時間計ってないけど、かなり丁寧に時間をかけてあの一連のシーンが描かれてたと思うし、相当な比重じゃなかったのかなアレ。

でもなあ、序破ときて、Qでのカヲルくんとのやりとりって、アレまんま洗脳だろ。そらシンジくんでなくても壊れるよ。

親しい人と引き離して孤独にし、信頼を得てから既存価値観を壊し、そのショックが大きい間に新しい方向性を示す。

で、洗脳が解ける前に、信奉した教祖たるカヲルくんが自分のせいで目の前で死んだら、そら壊れるよ。

それをきちんと作品内で比重を置いて向き合って時間をおいてくれたの本当に良かった。

ヴィレヴンダー艦内

前後関係あいまい

アスカのDSSチョーカーみて吐くシーンは象徴的過ぎてインパクト強いけど、マリアスカも対爆隔離室内に自室があって爆薬増やされてるってことは、シンジくんと同じよね。

シトと一緒だからじゃなくて、エヴァに乗る適性がある人間に対しての強い警戒心。

あと、振り返って考えると「ワンコくんとの進捗どうだった」のあと、「年頃の男には興味ないか」みたいなことマリアスカに言ってなかった?

そういや、冷酷っぽくふるまってるアスカが、劇中ほぼ唯一恥じらってるのがケンスケにカメラ向けられたときなんだよな。

シンジくんって、ヴィレ判定で精神的に安定してるって言われてるから綾波初期ロットとの直接のお別れを経験後なわけで、親父すでに超えてるんだよな。

しかその前後で、冬月副指令が、「自分と同じ喪失経験させるのも息子のためか碇」とか言ってなかったかな。

あと、どのシーンでもマリって劇中で誰かと相対するときには、相手パーソナルスペース内に入ってんだよね。

破で、シンジくんの匂いを嗅ぐ、引きこもってるシェルター内のシンジくんを引きずり出す。

アスカには抱き着く、後ろに回って髪を切ってあげる。シンジくんの後ろから手を回してだ~れだっていかける。

古今東西書物を読み漁り、相手の懐に入り、どのタイミングでも余裕たっぷりなのはイメージとしては「魔女」だよな。

アスカ死に装束でしょと返したスーツを着た後、シンジにわざわざ会いに行ったのはどう考えても最後だと思ったからで、

そのタイミング再見って、もう一回会う気満々なのも強い。

新劇場版通してみて、マリだけ高次の存在に見えるんだよな。

ブンドド

わざとだよなあの艦隊戦とあの曲。

そういや、エヴァで誰を殺せば世界平和になるかって言ったら真っ先に冬月副指令だと思うんだよな。

Q以降、ほぼ単独組織的攻撃対応してるのとか、そもそも研究室の件と言い、このオッサン元凶だろう。

舞台を整えるの全部やり切ってるしな。

甲板上になぜかみんな集まる

セカンドの海の浄化サードの大地の浄化だったら、フォースって空の浄化じゃないんかい

あとゲンドウがきっちり葛城大佐赤木くんって呼んで反論しててちょっと面白かった。

ミサトさんに息子の話をするシンジくんは、はっきりあいつのこと好きだよって言ってるんだよね。

自分が人を評して、それを他人に伝えることに躊躇しない最初相手ミサトさんなのは結構グッと来た。

アレなニュアンスの旧劇ではなく明確に母親ポジションとして描かれているので安心した。

宇宙

ゴルゴダオブジェクトの上で、マイナス宇宙でヒトが認識できる形を記憶からLCLが作ってるんだっけか。

きっちり旧劇っぽく親子喧嘩メタっぽく描いてるのがエヴァだよねって感じで良かった。

よくよく考えると、わりと新劇場のゲンドウって、最初から甘いんだよな。

息子とは墓参りに行くわ、息子との食事会には行こうとするわ、わざわざ褒めるわ、本部壊すまで駄々こねた息子をギリギリまでやらせるとか。

聞けば答える、本当にコミュニケーションが苦手な親父として描かれている感が最初からあったけど、まあそうなるかなーという。

異様に手際の良い冬月先生と対抗するマリ

やるべきことを完全にやり切って、マリ必要ものも全部集めておいて、見届けずにL結解密度が高い中で無茶してLCLになる冬月先生

やっぱこの人が完全に元凶な感じがしてならない。

ただまあ、ユイさんってこうサークラじゃないけど、なんだろうこのワールドクラッシャーな感じ。

ゲンドウの話

ゲンドウが大人理解力表現力で、内面をきっちり吐露していくシーン。

ユイ出会い、楽しかった、ユイけが受け入れてくれた」みたいなところで、どの場面でもマリちょっかいかけてるのに一切触れられてなくて草生える

あの流れだけ見ると、昔ちょっと好きだったゲンドウくんの息子のシンジくんを迎えに行く女みたいになるんで、それはちょっとという気にもなる。

新しく作られたガイウスの槍のシーン、シュワッキマッセリーって流れてて、聖☆おにいさんを思い出しました。

ただ、ミサトさんの死と思いを受け取れるシンジくんはほんとにゲンドウじゃないけど、大人になったなって感じた。

最後に息子から歩み寄られて謝っておそらくは和解したゲンドウが、息子の中にユイを見出すの、

繰り返しになるけど、死を否定したり無かったことにするのではなくて、受け入れたうえで先に進もうとするメッセージ性を強く感じた。

渚カヲルの話

狂言回し、なんだろうな。ゲンドウが降りたらもう確かに誰もその位置に立てないしな。岸辺露伴ポジション

ここからは、シンジくんからの別れの挨拶なんだよね。

旧劇の場所アスカに思いを伝えるシーン、マリが出てくるのバグってるっぽいなー

カヲルくんと加持さんが出てくるシーン、ゲンドウとシンジとの両方の位置カヲルくんが居るんだよね。

シンジくんに依存しない世界でのカヲルくんの理想の世界は、加持さんと接してたところになるのかなー

加持さんは、ヒトの存続よりも種の多様性を残そうと尽力したって位置づけなんだろうな。神の使徒に愛される男。

時間世界も戻さずに、エヴァに乗らなくて良い世界に書き換える。

時間の巻き戻しではなく、違うパラレルワールドでも無くて、継続したまま治そうとする。

しかマリさんも迎えに来るからって綾波に伝えて別れを告げる。

てことは、アノ世界はなかったことにはならずに継続したまま、シンジくんにエヴァを消された世界に作り替えられるけれども、シンジくんは戻れないってことだよな、と思った記憶がある。

あれだけゲンドウがユイの胸で泣きたかったって言ってたのに、母さんを送りたかっただけなんだねって納得するのは、シンジくんの理解力大人で成長したなあと。

アニメーション世界

ヒトから高次の存在ってよく映画では描かれるけど、

それを、アニメーションセル画っていう低次(二次元)の存在に落としたうえで、マリに迎えに来てもらって元に戻すっていうのは、すごいな。

リアリティのある世界

マリに相変わらずいい匂いって言われたあと、相変わらず可愛いよっていうシンジに対して、

いっぱしの口を利くようになってといって、DSSチョーカーを外すのって、あれシンジの主時間時間経過してない表現だよな。たぶん。あれが入らないと、何年も経ってるように見えるし。

そのために甲板でDSSチョーカー嵌めたのかなあ、自ら進んで嵌めるって演出にも見えたんだけどヴィレ的には必然性ないよなアレ。

最後シンジから手を引いて階段を昇っていくのが、ああ、終わったんだなって。

というか、ぶっちゃけると、シンジくんが緒方恵美さんの声から声変わりしていた瞬間の衝撃が強すぎて、あとは流れるように見ていた。

ハッキリと明確に、彼が大人になったと感じた瞬間だった。

ああ、エヴァンゲリオンアニメーションとしての作品は終わったんだなと思った。

終わりに

一人一人に引導を渡していって、最後にあまり知らないが好意を持ってくれる女と手を繋いで階段を昇っていく。

この先どうなるかはわからないけれども、しっかりと大人になったシンジを見て、ああ、本当に良かったと思った。

鏡を見ろ現実に帰れみたいな突き放し方じゃない、同じ意味でも伝え方の違うアニメーションの力。

加持さんは裏で我儘を通し切ってた。ミサトさんは意地を押し通した。ペンペンはきっと殖えてる。

アスカは素直になれた。ゲンドウは折り合いを付けた。レイは居場所を見つけた。シンジ大人になった。

あり得たかもしれない世界の中ではなく、序破Qの世界継続した上でシンジ大人になったのが、本当に良かった。

2021-03-06

anond:20210306120526

薄氷を踏むような仕事から、めちゃくちゃ大変だろうなとおもうから

多少の失言は聞かなかったことにするけど

大変だろうなぁと思う

2021-03-05

事件被害者になって、死にたくなってる話

ある事件被害者になって、いま死にたくなっている。

当たり前だけども当事者になるのと報道されているのを見るのとは全然違った。

事件被害者になるということは、ただただマイナスのことしかなく、失うものがすごく多いということがよくわかった。

この情勢になって誰かに話しを直接聞いてもらえることもなかなか難しいので、余計辛い。

家族に話せばいいと思われるかもしれないが、ただでさえ心配かけているのに「死にたい」なんてとても言えない。

死にたい死ぬわけにはいけないので、仕事はやらなくてはならない(というか稼がなければならない)。

こちらはただの被害者なのに会社に正直に話したら仕事を干されてしまった。

今後迷惑をかける可能性もあるだろうと思って正直に話をしたが、失敗だったかもしれない。

もし従業員被害に会って、その報告を受け、その従業員を大切に思うのならどうしたいかきちんと話を聞いてあげて欲しい。

休ませたほうがいいだろう、仕事を減らしてあげたほうがいいだろうと勝手判断して仕事を取り上げるようなことはしないほうが良いと思う。

もちろん会社にとって重要仕事を任せていたら、難しい判断をしなければいけないこともあるとは思う。(本業とは別に個人事業もやってるので少しはわかる)

ただその場合は(嘘でも)「あなたのことが大事から、そのような判断をした」ということが伝えわらないと、(なにかあってもこの会社は助けてくれないんだな)と思われてしまうと思う。

ある事件被害者迷惑がかかるから退職を申し出たところ、「(事件に立ち向かうには)働いているということが重要だ」と強く引き止められたらしい。

会社カウンセラーではないので、従業員プライベートケアまでする必要はないようにも思うが、被害者の心をより傷つけるようなことはしないで欲しい。

あと家族被害者がどんな心理状態にあるのか考えて行動してあげて欲しい。

被害者自己評価が地に落ちている(少なくとも私は)ので、ちょっとした言動で酷く傷ついてしまう。

薄氷の上にいるような状態なので、あとで後悔をするようなことがないように。

たぶん家族会社事件被害者にどのように接すればいいかは、インターネット上や本が出ている気がするのでまずはそれを読んでみるのがいいんじゃないかなと思います

報道されるような事件被害者になったひとは想像を絶する目にあっていると思う。

自分被害にあった事件は大したものではないのにも関わらずこんなに死にたくなるのに、ちゃんと生きてて本当に尊敬する。

最初はただ事件にあったことに呆然としたというか恐怖しか感じていなかったが、小さなことだけれども二次被害にもあって、加害者への憎悪が湧いている。

こちらは死にたくなっているのにのうのうと生きてるなんて許せない。

吐き出せばちょっと気持ちが薄れるかなと思いましたが、やっぱりまだ死にたいです。

いままで少しづつ積み上げてきたもの他者によって簡単に壊されてしまうなんて想像もしていませんでしたが、まずは「死なない」という選択毎日し続けて、時間解決することを願っています

事件被害者でなくても、こんな情勢で死にたいと思っているひとはやっぱり増えていると思うので、死ぬ前に(繋がりにくいらしいけど)いのちの電話でも増田でも「死にたい」と吐き出して欲しいと思って書きました。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん