「遂行」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 遂行とは

2024-11-17

お父さん(夫)は仕事の鬼だなあと思うことには、仕事遂行する能力以上に、仕事を生み出す能力にある。

こどもにお手伝いをさせるにしても、彼らにはできることが少ないし、むらっけで、再現性要求される仕事は向かない。

食後にお茶入れてほすぃなあ~と思っても、熱湯を使うことも、毎晩やってもらうことも、彼らには向かないということだ。

そんな調子だと、やってもらうことって本当に少ないのだが、お父さん(夫)はこどもに仕事を割り付ける。

例えば、茶葉を小さい袋に詰めてティーバッグを生産させる。

まあ洗い物は急須と茶こしの分減るし、お店でティーバッグのお茶を買うよりはコスパはいい。簡単作業だし、ちょっと楽しい(らしい)。使う時にティーバッグが役に立ってるよ~と言うと嬉しそうだし、やってる感もある。

お父さん(夫)は日曜日の朝とかに、彼らを監督して、ティーバッグを生産してくれる。

これは発明である

まり、ばかばかしくて私にはちょっと思いつかないが、やらせてみるとうまいこと機能したのが、ちょっと意外ですごいぞと思う。

仕事を細分化して簡単で小さな仕事を生み出す仕事の鬼。

こういうのは、お父さん(夫)のすごいなあと思うことだ。

2024-11-14

anond:20241114223852

以下の問いに答えよ

(1)人間が知能によって遂行している問題解決意思決定を人工的に再現する技術であり、Artificial Intelligenceアーティフィシャル・インテリジェンス)の略語アルファベット2文字で何と言う?

(2)関西テレビで毎週火曜日20時台に放映されている番組で、海原やすよ・ともこ友近MCを務めているバラエティ番組は『やすとも・友近の〇〇〇〇!※あくま個人の感想ですである。さて、『〇〇〇〇』に当てはまる4文字は?

(3)留置場で身柄を拘束される際に、所持品はどのように扱われるか?

(4)(3)の際に、刑務官はどのようなことを考えているでしょうか?

(5)法曹資格者国民に対してどのようにして法を遵守させているのか100文字以内で答えよ

(6)法論理学を学ぶのに数学思考必要か否か100文字以内で答えよ

anond:20241114150033

財務省が財源がどうこう言おうが無視でいい。

法律を作るのも予算を決めるのも国会仕事だ。議員責任を持って遂行しろ

女神の見えざる手

バリキャリロビイストが、銃規制法案の強化に向けて大胆不敵なロビー活動を展開していく政治映画

ドンデン返し映画鉄板的な名作であり、痺れる面白さ。主演のジェシカ・チャスティから掌で踊らされる。エンタメとしてのドンデン返しがありながら、政治映画として社会性をグサッと鋭利に刺してくる。主人公が銃規制強化に向けて抜本的な戦略多種多様に仕掛けていくストーリーゆえに「果たして、銃規制の強化は成すのか?」と展開が気になるが、本作の肝心な点は銃規制強化を遂行する勝利ではなく政治闘争の見方だと思われる。

お仕事映画観点から見て、ジェシカ演じる主人公人物像が素晴らしい。バリキャリ仕事人として説得力がある。と言うのも、銃規制強化を推進していく者でありながらも、本人は銃規制強化に対して強い情熱を持っていない。「いや、そんな人は仕事出来ないだろう」とツッコミが入るけど、そもそも情熱がある=仕事が出来る」という理論こそ根拠がない。情熱うんぬんではなく、「能力が高い=仕事が出来る」という至極、当然な理論淡々と描くことで、解像度の高いシゴでき人間を具現化させている。本作の主人公は最善ながらも掟破りな行動を取るが、それもまた情熱が薄いからこそ実行できるものである。そんなことを重ねるうちに人心が離れて孤独に苛まれるのも、能力が高い人間宿命であり普遍性である。そうなりながらも、能力の高さで弱者を救済していく姿はシゴでき人間社会役割として示されている。あと、「仕事が出来る者=性欲が強い」という人間本能の面を描写しており、モリモリとセックスしていて更に解像度が高まっている。

評価

脚本ストーリー:⭐⭐⭐⭐

演出映像   :⭐⭐⭐

登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐

設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐

星の総数    :計15個

2024-11-12

コラボ企画きたと思ったら違った増田州間タッが智等タッも音田効く火器ボラ子(回文

「オハヨウゴザイマス!ステラブレイドコラボカクノ ニュースガ 1ケンリマス」

私は目覚まし時計に『ステラブレイド』のコラボ企画の項目があったらピックアップして目覚ましと共にお知らせして起こしてねってスマート目覚ましデバイスにそうお願いしていた。

慌てて私はそのニューストピックスに驚くと飛び起きた!

おはようございます

NIKKEと『ステラブレイド』のコラボついに来た!?

私はデバイスの端末の画面をぎゅっと指で押さえながら表示されるそのトピックスは、

ニーアオートマタとのコラボ企画のアップデート日程が決まったとの内容だった。

なーんだ、

ニーアの方か、

いや「なーんだ」って言うのはちょっと失礼よね。

まあ身内のコラボよりお客さん側のコラボの方が常識的に考えて先よね。

なんて思いながら、

ああ、

プレイステーションでニーアオートマタやってないわ。

そんなことを思い出したの。

ゲーム開始早々にしてセーブポイントがいきなり遠いいきなりのボス戦で死んでられない状況なのよ。

始めのセーブポイントまで到達するハードさ、

しばらく私はそのことすらも忘れていて、

NIKKEに取りかかったのよね。

まずまあニケ放置している間レヴェルアップの資材が貯まるまでおいておいて、

その間に「ニーアオートマタ」やろうかしら。

ニーアのキャラクターもカッコいいので私は期待してプレイステーションで遊んでみたけれど

キャラクターが遠いわ!遠すぎる!

なので、

ステラブレイドとのコラボプレイアブルなキャラクターでできるようなので、

それも楽しみよね。

ステラブレイド』のそのアップデートまでまだ1週間ぐらいあるから

その間に「ニーアオートマタ」をクリアするのは到底無理としても、

じっくり待てる自信はあるわ。

だってNIKKEがあるんだもん。

あれがあればいくらでも時間が潰せちゃうってことをもはや発見してしまってからは、

何においても待つことを重視することを重要だなって思ったの。

ステラブレイド』とニーアのコラボステラブレイド側も

ちょっと新しいナノスーツが登場するとのことで楽しみよね。

私周回を重ねてクリアしているにもかかわらず、

まだ発見されていない宝箱を開けていないナノスーツ設計図がまだあって、

ここよく通るところなのに、

設計図アイテムとってなかったの?って。

周回を自慢して私は全てを理解しているつもりだったけどまだそうでは無かったみたいね

周回を繰り返すたびに新たな発見があるのよ。

私は一通りそのニュース

まりステラブレイド』と「ニーアオートマタ」とのコラボ企画の決定の日にちのニュースを見終わると

起床して今日も一日始まるのねって。

そうなるとさ、

気になるのが本当に私が楽しみにしているNIKKEと『ステラブレイド』とのコラボの日程よ。

ここで散々予想を重ねているんだけれど、

まあ年末か『ステラブレイド』発売1周年記念なのかしら?ってポイントが2つあるので、

私はその箇所に期待しているところなのよ。

本当に待ち遠しいのは事実なので

それまでニケたちを育てて準備をしているところよ。

NIKKEってまだ全然よく分かってないんだけど、

クリア後の周回プレイってあんの?

これもしかしてまさか

ステラブレイド』のコラボ企画でイヴがやってくるまでにクリアちゃうのかも?

いや、

うーんちょっとそれは難しそうだけど、

なにしろレヴェルが全然上げられない無課金勢なのでゼイゼイいっているところよ。

だいたいしばらく放っておいて資材が貯まったらレヴェルあっぷさせて、

それの繰り返しだから

ここまで来て急に展開が激遅なのよ。

まあこれ幸いかやることがたくさんあるので、

日々のジュエル回収に翻弄しているところよ。

でもさ、

私「ウマ娘」は何やっていいのかさっぱり分からなかったけれど、

競走馬を育てるには何をしなくちゃいけないのかって言葉全然からないし、

まあこれはNIKKEとも一緒だけど

いきなりたくさんのキャラクターが登場して、

みんなの世話を満遍なくしなくちゃいけないってところがちょっと戸惑いもあり、

結局のところ、

競馬ってよく分からいからどうやってキャラクターを育てたらいいのか分からずにそっと閉じた思い出はここでは何度も256回ほどしていると思うわ。

それに比べて、

NIKKEの方は俄然イヴがやってくる!ってだけが原動力なので、

それまでに何をすべきかっ!って必至で何か最初何も分からないまま進めていって今に至るワケなのよ。

だんだんと画面のこととか何をして良いのかレヴェルアップはもちろんいろんなことが分かってきたわ。

やっぱり「気」が無いと進められないのかな?って思っちゃったわ。

ステラブレイドだって泣きそうなほど難しい1周目は涙ながらに何度もしにながら

ゲーム難易度をイージーにしても全然イージーにならないっくて、

辛かったけれど。

何としてでもイヴ任務遂行させるんだ!って意気込みで押し進めたストーリーだったのよね。

まあやる気のないかあるかってことよねきっと。

やっとこさ、

ステラブレイド』は1周死に物狂いでクリアして、

次の周回プレイからは強くてニューゲームで始めることも出来るから

もちろん、

限界突破の成長を遂げる限界まで強く仕切ったイヴに仕上げたのよ!

そして私は全て理解したつもりだったけど、

まだぜんぜんナノスーツ設計図を取り逃していたり、

ちなみに今さらだけどナノスーツってイヴコスチュームね。

コスチュームが替わっても防御力とか一切関係ないので容姿が変わるだけなのよ。

そのコスチュームを作るための設計図必要なのね。

それを全部コンプリートして取ったと思っていたけれど取れてなかったのよね。

そして、

私は強くなったイヴに頼らずとも、

自分の腕前が強まったことを証明するために、

通常のニューゲーム最初から弱いまんまでさらにはハードモードで始めたの!

そしたら、

雑魚敵すら強敵ボス並に強くて固くて泣いたわ。

弱々のイヴってこんな感じだったっけ?って

二段ジャンプも序盤はできないし、

かなりこれはハードだわ。

ハードモードでのニューゲーム全然進められないわさらに難しすぎて。

私の今の原動力はNIKKEに注がれているので、

ちょっとそっちの方は「ニーアオートマタ」とのコラボでどうなってるか待ちね。

私のパワー注ぎ原動力100とすると

いまNIKKE90スプラトゥーン3は10ってところかしら。

かなりスプラトゥーン3は下火になっちゃったわ。

でも1日1勝の1ガチャノルマ自分に課している状態

さらには

私が持ったら強いブキである熟練度5つ星をゲットしたブキは使わない縛りをおこなうことで、

プレイにも熱と気合いが入るかなって。

でもさ、

私思ったの。

スプラトゥーン3改めてやると

インク管理ガチガチに考えてしないと

すぐにインクが切れちゃうしいざって時にインクが無く立ち回れないときもあったり

もの凄く考えられてるなーってそのインクの加減は。

NIKKEの方は装填数多いかバンバン撃てるのに慣れてしまって

スプラトゥーン3に戻ると全然火力が足りないっ!って思ってしまうわ。

あの火力一番強火力のハイドラントをもってしてもそう思ってしまうぐらいなのよ。

今日はそんなご機嫌な目覚めで起きたところがスタートでよかった。

コラボの日程発表まで、

NIKKEと一緒に待ち遠しい日々を楽しむわ!

うふふ。


今日朝ご飯

納豆巻きにしました。

たまに食べたくなる納豆

だけど手間なので、

この納豆巻きは手軽に私の好みのニューヨークスタイルで食べ持ちながら歩くことができるので、

忙しい私にまさにうってつけよ!

巻くとき納豆をこぼさないようにしなくちゃいけないけれどねっ!

デトックスウォーター

あ!

昆布存在を忘れていたとろろ昆布にお湯を注げば

とろろ昆布ホッツ白湯ウォーラーの出来上がり!

お吸い物感覚でいただくことができるし、

味はとろろ昆布一発で決まるからそんなに難しくないんだけど、

お好みでお醤油を落してもいいかもしれないわ。

そうなると

本当にお吸い物みたいになっちゃうけどね。

とろろ昆布ホッツ白湯ウォーラーオススメよ!


すいすいすいようび~

今日も頑張りましょう!

2024-11-06

anond:20241106153100

古代ローマ共和政は、ローマ都市国家、あるいは都市国家連合である時代には有効機能した。

しかしながらローマ地中海世界ほとんどを支配する巨大国家になると、システムとして限界を呈してきた。

このような巨大国家の指導者地位は、都市国家ローマの有力者の集まりにすぎない元老院や、首都ローマ市民選挙によって選ぶ執政官には、とうてい務まらなくなったのである

小規模な国家であれば市民元老院利害関係の調整も何とか機能したのであるが、国家大規模化するとそれが機能せず、元老院議員たる貴族私利私欲を優先させるようになった。

また市民集会への参加権利の無い属州民は、国家運営から完全に排除され、属州まで含めた大局的な見地での国家運営は、到底遂行しえない状態であった。


古代ローマにおけるパトロネジの問題があった。

古代ローマは、主に貴族からなるパトロヌス(親分)が、主に平民からなるクリエンテス(子分)を従え、かつ保護する相互関係があった。

ローマ都市国家の段階では、貴族たるパトロヌスがクリエンテスを保護する事により、私利私欲を追求する存在ではなくノブレス・オブリージュ体現者となっていた。

しかローマが巨大国家になると、貴族たるパトロヌスが保護するクリエンテスは国家構成員の少数派となり、結果、貴族自分に近い身内だけを利益を優先する存在となり、大局的な国家運営よりもクリエンテスの利益代表者としての立場を優先した。

この現状を打破するには、個々のパトロヌスとクリエンテスの複雑な上下関係を、ただ一人を頂点とする単純な上下関係へと整理する必要があった。


しかし、かつて王を追放共和制に移行した歴史を持つ古代ローマでは、君主制は最大のタブーであった。

内乱一世紀」と呼ばれる動乱の時期を経て、終身独裁官就任したカエサルは、共和政ローマ伝統を守ろうとする者たちによって暗殺される事になる。


その後を継いだオクタウィアヌスは、紀元前27年に元老院より「アウグストゥス尊厳なる者)」の称号を受け、古代ローマ最初の「皇帝」となったとされる。

だがそれは後世の認識であり、アウグストゥスは建前上は君主地位に就いたわけではなく、共和政守護者として振る舞った。

このような、実質上は皇帝地位に就いたものの、建前としては古代ローマ伝統墨守共和政体裁を守ったこ体制を、後世になって元首政(プリンパトゥス)と呼ぶ。




アウグストゥス統治あくま共和政継続という外面を持っており、その権力独裁官という非常時大権ではない、共和制平時のさまざまな権限を一身に帯びるという形で構成されている。

一つ一つは完璧合法でありながら、それらを束ねると共和制とはひどく異質な最高権力者地位となる。

こうした地位についてアウグストゥスは「私は権威において万人に勝ろうと、権力の点では同僚であった政務官よりすぐれた何かを持つことはない」と自身で表向きの説明をしている。

プリンケプスの地位構成したうち、主要なもの執政官権限上級プロコンスル属州総督)権限、トリブヌス・プレビス(護民官)職権の3つで、プリンケプスの権力基本的にはこの3つから説明される。

これら3つの権限アウグストゥスローマ合法的に統治する根拠であると同時に、執政官権限上級属州総督権限の2つは合わせると実質全ローマ軍の統帥権意味し、アウグストゥス軍事力を掌握する根拠でもあった。

以上の行政権軍事力のほかにアウグストゥス自身が述べるように圧倒的な「権威」が重要な要素であった。

アウグストゥスポンティフェクス・マクシムス(最高神祇官)という神職にも就任しており宗教上の最大権威者となってもいたが、それ以上に「内乱の最終的な勝者」という軍事的実績を伴った権威は正面から体制への挑戦者を寄せ付けなかった。


歴史は繰り返さないが韻を踏む、だ

anond:20241105144238

逆だよ「安倍ちゃん総理大臣だったか国民大目に見られてた」

普通総理大臣では、国民のあの状態を許容して職務遂行できない。それは自民でなくても。

2024-11-05

anond:20241105095657

業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員が転退職するなどして事業運営が困難になった「人手不足倒産」も前年を上回るペースで推移しており

高齢職人引退の話しと新入りの数も減ってるの両方ぽいですね

車の整備士もかなり似た状況で補助金入れてるとか見た気がしま

2024-11-04

自衛隊員の不足をどう解決するか

自衛隊員慢性的に不足している。

これをどうすべきか。

 

まず「お国の為に命を捨てるなんて嫌だよね」という老若男女問わず大多数の認識をどう扱うかというのが肝心だ。

この認識中国レベル情報検閲でもなければ変えることはできない。

から変えるというのは無しだ。暇なジジィをさらに先鋭化するだけで逆効果右翼ビジネスの売り文句しか無い。

 

キツくて死ぬかもしれない、そしてそれがくだらない誰かの為になるリスク

それと天秤にかけられる即物的リターン。

これらを考える必要がある。

 

まず自衛隊員待遇改善は一番やりやすいところで、

首相もそれに取り組む意欲を見せている。

これは良い。

しかし「最高の名誉を」などとも言ってるのが気にかかる。精神的なリターンを与えれば与えるほど、与えられた方は萎えるはずなので気をつけて欲しい。

また、今ホッテントリに上がってる自衛隊員の足ケアに出てくるベビーパウダーなど、業務遂行必要なあらゆる製品支給されるような細かな福利厚生必要だ。

 

次に「誰の為に」だ。

自衛隊員政治家の道具として使われる事になる。

から裏金議員のような私欲に塗れた政治家排除絶対必要だ。

今回の選挙で多くが落選したがまだまだ残っている。「誰がこんな奴らの為に死ねるかよ」と言われれば、せやなしか言えない状況だ。

彼ら脱税議員組織票によって支えられているので駆逐が難しい。

から組織票を弱体化させる為に、投票率を上げ母数を増やす必要がある。その為に投票義務化などやれる事をやるべきだ。

2024-11-01

「やらない善より、やる偽善」というキショすぎる標語の正体

この言葉って、党派的な「当事者」が口にする言葉ではなく、無関係な「第三者」が口にして初めて成立する言葉なんだよ。

それを党派的な当事者が「自己正当化」、あるいは「予防線」のために口にするからキショいんだよ。

それがこの言葉を多用する人間に対する違和感の正体。

そもそも、ある行為が善なのか偽善なのか、はたまた悪なのかは、当事者が事前に決められることではない。

当事者が発する「やらない善より、やる偽善」というキショい標語は、当事者にとっての「信仰告白」でしかない。

その信仰による行為は、他者を含む社会によって事後に審判される。

ヒトラースターリン麻原彰晃も、自分行為を「やらない善より、やる偽善」と内心は思って遂行してたかもしれんだろ。

2024-10-30

anond:20241030090928

命令を出しただけで遂行できる部下ばかりなら、上司は要らんわけで。

上司がいるときといないときの成果の差を全プレイヤー分合計したのが、上司管理者としてのバリューだよね。

2024-10-25

射精って脳みそ機能金玉移管されて、股間ユニットが「全弾発射」と命令を下す様子に例えられますが、

女の子オーガズム意識骨盤を補完する球体に宿りエクストラ・アクメ・ドクトリンを発布して腰背骨を経由し脳にアクメ機能とドクトリンが逆伝播し、脳、脊椎及び脳の支配する全感覚器が命令遂行するいわば「フェスティバル」とされる点について、

なぜ私はこの1人には知り得ない2つを科学論理演繹を経ずに肯定するかというと、私が2つの主観を持ち得るもの、つまり、神であるから

結局「意思」だよな。意志の力があれば意図する結果に近づくための行動ができる。力は外注できる。

意思決定の検定は、主に効率を見るものであって、自分第一に持つ最も強い意志遂行するのが第一目標なんだよな。

他は妥協ってのは頭に置いとくべき。

2024-10-23

性自認のこと(追加あり)

私はトランスジェンダーで、「性自認って結局何?」とよく聞かれるから、私の理解する限りで書いてみる。と言っても、専門家でも何でもない当事者の一人が本を読んだりして考えたことなので、正確性は保証できない。

まず「性自認」はgender identityの訳語だ。identityは「自己同一性」と訳したり「アイデンティティ」とカタカナで書いたりするが、高校現代文キーワードとしてお馴染みだからよく知られてる言葉だと思う。もともとはエリクソンという心理学者提唱した概念エリクソンは難しくてちゃんと読めてないけど、解説とかを見ると、要は安定して持続的な「自分はこういう存在だ」という意識のことらしい。

アイデンティティ確立青年期の課題だとエリクソンは考えていた。思春期自分は何者なのかという課題に向き合い、それを乗り越えるなかで自分アイデンティティ確立していく。それがうまくいかないと同一性拡散という自分が何者なのかわからない崩壊状態になり、様々な精神的な疾患を生じさせる。

このアイデンティティだが、単に個人の内で完結するものではなく、社会との相互交流の中で、社会自分自身を位置付けるようにして形成される面も大きい。それは例えば、自分自身を特定言語と結び付けるとか、特定の国と結び付けるとかして、「自分はこの国の人間だ」というアイデンティティ形成する場合などに起きる。性別もこの関連で扱われる。

この社会には主に二つの性別グループがあって、良し悪しはともかくとしてそれぞれ違う扱いを受け、違う行動傾向を育んでいる。思春期の体の変化に気持ちが追いつかず、いきなり「男」や「女」を期待されて苦痛を覚えた人は多いと思うけれど、そうした人はアイデンティティ確立が始まる時期にまさに自分性別グループの結び付けという課題解決に困難を覚えていたのだろう。でも多くの人は思春期を過ごす中で遅かれ早かれ少しずつこの課題を乗り越え、安定した仕方で自分特定性別グループを関連付け、その性別人間としてのアイデンティティ確立する。

gender identityというのはこの話だ。多くの人は青年期にアイデンティティ確立する過程の一部として、葛藤を乗り越えながら自分特定性別とを結び付ける自己理解を発現させ、それで心理を安定させる。

性別に関してややこしいのは、こうした青年期の課題としてのアイデンティティ確立とは別に子供の頃に決められ、周りから識別に使われるラベルとしても性別機能している点だ。だからgender identityの確立は単にアイデンティティを安定させるだけでなく、すでに与えられているラベルに即したアイデンティティ形成を期待されるという面もある。多くの人は多少の葛藤はあれど、これらをいずれも遂行していく。こうして人はシスジェンダーに育っていく。シスジェンダーの中にも葛藤が他の人より長引いたり強かったりする人もいて、そうした人は性別違和に似た感覚を覚えたことのあるシスジェンダーになるのだろう。

けれど、ごく稀に何らかの理由でそれがどうしてもできない人がいる。つまり性別に関してあらかじめ与えられたラベルに従おうとするといつまで経ってもアイデンティティ拡散し続け、心理的な症状を生じさせる人だ。言い換えると、性別違和を感じる人だ。そうした人の中には、周りから期待される性別と異なる性別自己を結び付けて初めてアイデンティティが安定する人もいる。ただ、その場合でもそのままでは周囲がそのアイデンティティ承認してくれず、社会と摩擦が生じ続けるし、自分アイデンティティもその都度疑われて安定しづらくなる。だから、摩擦が生じないように見た目を自分と結びついている性別人間として周囲に承認されやすものに変えていくことがある。これがトランスジェンダーだ。

中には、どちらの性別グループとも安定した結び付きを形成できない人もいる。そうした人たちの中には、ノンバイナリーという新しいグループの一員として自己理解したらアイデンティティが安定する人もいる。

一人の当事者に過ぎない非専門家素人意見だけど、性自認というのはこういうものだと私は考えている。

追記

この考え方だと、反トランス右派トランス攻撃する中で持ち出してくる「トランスエイジも認めないとならないのか」という議論馬鹿らしさも見て取れる。特定の年齢や年代であることというのは常に流動的で、青年期における安定したアイデンティティ確立課題には関わりようがなく、例えば18歳としてのアイデンティティ葛藤を乗り越えて獲得するなどといったことはなされない。なので、そもそもアイデンティティには年齢という要素は入っておらず、それゆえ割り当てられた年齢と年齢自認のギャップなどというものは生じない。性自認を単なる自称貶めるためのレトリックに過ぎない。

トランスレイスも反トランスレトリックで頻繁に持ち出されるけど、こちらについては人種アイデンティティのことに詳しくないからよくわからない。ただ、人種養子とかでなければ多くの場合で親から子へと引き継がれるがゆえに、その家庭の人間としてアイデンティティ形成することとその家庭の人間にはない人種の持ち主としてアイデンティティ形成することが矛盾し、安定したアイデンティティに向かわないとかはあるかもしれない。そうすると、性別場合と違ってトランスが、不可能かはわからないけどかなり困難になるだろう。

2024-10-21

anond:20241020141755

「暗黙の型」を意識するといいですよ

・単純指示 誰と、何を、いつまでに、どのように、遂行する。(期待される結果:)

みたいな枠を身体に染み込ませて、穴を埋めていきます。会話ではよく省略されるので、そこは尋ねます

議事録を取るときと同じですね。

2024-10-20

北朝鮮社会ウクライナ戦争帰還兵が不満分子となって大きく揺れ動く

1千や2千程度の人数ならともかく1万を超える兵力派兵するとなると必ずその帰還兵は大きな不安定要素となって閉鎖された北朝鮮社会に大きな動揺を与えると考えられる。

アジアではベトナム戦争終結以来大きな紛争は起こっていない。

日本しろ中国しろ北朝鮮しろ、どの国の軍隊戦争経験していない兵士ばかりだ。

この点が定期的に実践経験している米兵やずっと紛争状態を維持している中東兵隊アフリカ兵士たちと違うところだ。

同じ軍隊と言っても本当に戦うための軍隊と、そうでない軍隊とでは大きく意味が違ってくる。

笑い話で、戦争が始まれ自衛隊の隊員は一斉に除隊をする、などと言われるように実際の生き死に関わることとただ日々の生活のための働き口としての軍隊意味が異なる。

独裁者からすれば自分命令であれば軍人は喜んで死にに行く、と思っているのかもしれないが、もちろんそんなわけはない。

ただ北朝鮮のような閉鎖社会であれば洗脳ブーストが掛かるので、普通民主主義社会と比べれば多少は独裁者への絶対的忠誠心もつ人の比率は高いかもしれない。

しかし、それも実際に戦場自分の命が失われる可能性に直面すれば、あっという間に正気に戻るだろう。

そして、ウクライナに行った兵隊たちに起こるであろう心理的変化だ。

おそらく北朝鮮のような閉鎖社会は極度に相互監視状態にある。

誰それが何時にトイレに行った、そこで誰それとコソコソ話をしていた。

そんなことすら互いに意識し合いながら生きている社会のはずだ。

だがウクライナ戦場へと行けば、ある意味での「自由」を得ることになる。

また戦争という本物の仕事遂行するのは、相互監視閉鎖社会での儀礼としての仕事をすることとは大きく異なるはずだ。

彼らはある意味、本当の人生ウクライナ戦地で始まるとさえ言っても過言ではない。

目的のために自由に行動して、自由に考え、自由に話し合える場所としての戦場

ウクライナ戦争経験をした人たち。

意味もわから死地へと追いやられた恐怖を実感した人たち。

自分の頭で考え始めた人たち。

そんな彼らが北朝鮮に戻ったとき、いったいその社会にどんなインパクトを与えるのだろうか?

2024-10-18

計画主義プロジェクトマネジメント

anond:20241018215210

目的決めて、ターゲット見つけて遂行できるメンバーを集めてって奴らちゃんビジネス回してるよな

anond:20241018101400

こうやって「正解」出そうとするのが一番バカ

だったら政党政治家もいないほうがいいよ

無記名で政策コンテストやって多数決で一等賞決めて官僚遂行すればいい

なんでそうなってないかわかる?

2024-10-15

anond:20241015094801

A:「〜さんのこと愛してます」(事実確認文)

B:「…じゃあ付き合おうか」(行為遂行文)

A:「べつに事実確認しただけで誰もつきあってくれとか言ってないんですけど? なにこのひと…」

でも構造は一緒ですから

モノは加減ではあるけど

2024-10-14

RX-7からRX-78までの道のり

RX-7マツダスポーツカーからRX-78(ガンダム)までどういう変遷を辿ったのか。

ふとこんなことを思いついたけど自分で考える知識想像力もなかったのでChatGPTに考えてもらいました。

最初全然違うものから〜って言われて「あれ、これ答えてもらえないかな」と思わせつつちゃんと答えてくれたので優しい。

RX-50で飛躍があったのでもうちょっと詳しく知りたかったけどあんまり掘り下げられていない。

誰かやってみてください。

プロンプト

RX-7ロータリーエンジンを搭載した軽量ボディと高回転エンジンによる優れたハンドリングが特徴のスポーツカーです。

RX-8はRX-7の後継車でロータリーエンジンを搭載し、後部の観音開きドアを採用して実用性を向上させて家族でも使える4人乗りになったスポーツカーです。

RX-78は地球連邦が開発した人が搭乗して操作するモビルスーツと呼ばれる人型ロボットです。上半身、胴体となる飛行機であるコアファイター下半身に分離し、人はコアファイターに搭乗します。

RX-7からどのような変遷を辿ってRX-78へ至ったかを推測して、RX-9からRX-77までそれぞれの特徴を説明してください。

以下回答

RX-7からRX-78ガンダムに至る変遷を想像することはユニーク面白いですが、現実マツダRX-シリーズRX-7RX-8)とアニメガンダムシリーズRX-78)は全く異なるフィクション領域にあるため、直接的なつながりはありません。しかし、ここではあくま架空進化物語を考え、RX-7からRX-78へ至るまでに開発された「RX-9」からRX-77」の特徴を推測して説明してみます

RX-9: 高性能かつ実用性を持った進化スポーツカー

RX-9は、RX-8の後継車として開発された新世スポーツカーです。ロータリーエンジン革新により、環境性能を大幅に向上させつつも、軽量なボディと高回転エンジンによる走行性能さら進化しています。また、4ドアデザインを維持しながら、さら家族向けの利便性が向上しており、より多様なドライバー層に対応しています。電動化技術も取り入れ、ハイブリッドパワートレインを搭載しているモデルも展開されています

RX-10: 電動化スポーツモビリティ

RX-10は、ロータリーエンジン伝統を残しながらも、完全電動化が進んだモデルです。軽量素材と次世代バッテリーテクノロジー使用し、従来のエンジンを超える加速性能と静粛性を実現しました。デザイン未来的で、空力性能を意識したエッジの効いたフォルムが特徴です。スポーツカーの楽しさを維持しつつ、地球環境配慮したモデルとなっています

RX-11: スポーツドローン技術の応用

RX-11は、空陸両用車両への技術移行が始まったモデルです。地上での走行はもちろん、限られた距離での短時間飛行機能を搭載し、モビリティ自由度を大幅に向上させました。空力特性ロータリーエンジン技術進化させた、非常に軽量かつ高機能ハイブリッドドローン車として活躍します。

RX-12: フル飛行モビリティへの移行

RX-12は、地上走行役割を大きく縮小し、完全な空飛ぶスポーツビークルとして登場しました。人々が都市部の空を移動する未来を見据えたモデルで、従来のロータリーエンジン技術が姿を消し、代わりにジェットエンジンや電動ローター技術使用されていますコンパクトで機動力に優れ、都市間移動を革新する未来のモビリティとして高い評価を得ています

RX-50: 次世代モビルスーツ開発の基礎

RX-50は、地上走行や飛行を超えて、二足歩行ロボット技術を本格的に取り入れた機体です。この時点で車両概念は完全に人型ロボットに移行しており、ドライバーコックピットに搭乗して操作します。主に工業用途での大規模作業特殊環境での作業を行うために開発されたものですが、これが後のモビルスーツ技術に繋がる重要ステップとなります

RX-60: 軍事用途への拡張

RX-60は、RX-50をベース軍事用の戦闘モビルスーツとして改良されました。この時点で戦闘用の武装が搭載され、地上や空中での戦闘行動を遂行できるようになっています武器としてビームライフルのような光学兵器ミサイルが搭載され、戦闘に適した装甲も強化されています

RX-70: 宇宙空間対応モビルスーツ

RX-70は、地球上の戦闘を超えて、宇宙空間での使用を想定したモビルスーツです。宇宙での推進システム軌道上での長期間活動可能なように設計され、さまざまな極限環境対応します。このモデルは、人型でありながらも非常に高い機動力を持ち、地上と宇宙の両方での戦闘可能です。

RX-77: 初期型汎用モビルスーツ

RX-77は、地球連邦軍が開発した初期型の汎用モビルスーツで、RX-78ガンダムの直接的な前身とされています。このモデルでは、重装甲と火力に重点を置き、従来の車両兵器と比べて非常に高い防御力を発揮しますが、機動力はそれほど高くありません。大型キャノンを装備し、敵の機動兵器との対戦に活躍しました。

RX-78: ガンダム

そして、RX-78ガンダムが完成形です。高度な汎用性、強力な武装ビーム兵器などを備え、アムロ・レイによって運用される最強のモビルスーツとして、地球連邦軍に勝利をもたらしました。

2024-10-10

anond:20241010172611

ぶっちゃけもう適当タイプして

だいたいあってるやつが出たら遂行なゆかしないでゴーするもんどし

意識を買えていかなきゃいけないよ

2024-10-08

anond:20241008095156

初対面の女にちゃんとチンポ立ててセックスするのって相当コミュニケーション強者じゃないと無理でしょ

弱者男性には絶対に無理よ

ましてや風俗嬢が客の事をめちゃくちゃ嫌ってるのがSNSで露呈してる現代

最後までセックス遂行できるのは半分異常者レベル強者だけだろう

2024-10-04

男児を一人で男風呂に入れさせるとレイプされ殺されて内臓を湯船にぶちまけられてしま

から親は男風呂男児を入れることを拒む

男はオスガキなんかいらん!死ね!と熱い意思で行動を起こしてオスガキを男湯から締め出しているのだ

女も、オスガキがいらないなら男の行動を見習うべきだ

男児ペニスをちょんぎり殺して内臓を湯船にぶちまけるべきだ

フェミネット愚痴るかデモするか、そんなのじゃぬるいんだよ

嫌いなものを追い出すためなら犯罪にでも手を染める、その覚悟が足りない

男はオスガキを排除して大人紳士の場を守ろうと決死覚悟作戦遂行し何人もが逮捕された

女も犯罪者になることを恐れるな、安心して女湯に入りたいならその手を汚せ

2024-10-02

九  与次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た。その時三四郎は黒い紬の羽織を着た。この羽織は、三輪田のお光さんのおっかさんが織ってくれたのを、紋付に染めて、お光さんが縫い上げたものだと、母の手紙に長い説明がある。小包みが届いた時、いちおう着てみて、おもしろくないから、戸棚へ入れておいた。それを与次郎が、もったいないからぜひ着ろ着ろと言う。三四郎が着なければ、自分が持っていって着そうな勢いであたから、つい着る気になった。着てみると悪くはないようだ。  三四郎はこのいでたちで、与次郎と二人で精養軒の玄関に立っていた。与次郎の説によると、お客はこうして迎えべきものだそうだ。三四郎はそんなこととは知らなかった。第一自分がお客のつもりでいた。こうなると、紬の羽織ではなんだか安っぽい受け付けの気がする。制服を着てくればよかったと思った。そのうち会員がだんだん来る。与次郎は来る人をつらまえてきっとなんとか話をする。ことごとく旧知のようにあしらっている。お客が帽子外套給仕に渡して、広い梯子段の横を、暗い廊下の方へ折れると、三四郎に向かって、今のは誰某だと教えてくれる。三四郎はおかげで知名な人の顔をだいぶ覚えた。  そのうちお客はほぼ集まった。約三十人足らずである広田先生もいる。野々宮さんもいる。――これは理学者だけれども、絵や文学が好きだからというので、原口さんが、むりに引っ張り出したのだそうだ。原口さんはむろんいる。いちばんさきへ来て、世話を焼いたり、愛嬌を振りまいたり、フランス式の髯をつまんでみたり、万事忙しそうである。  やがて着席となった。めいめいかってな所へすわる。譲る者もなければ、争う者もない。そのうちでも広田先生のろいにも似合わずいちばんに腰をおろししまった。ただ与次郎三四郎けがいっしょになって、入口に近く座を占めた。その他はことごとく偶然の向かい合わせ、隣同志であった。  野々宮さんと広田先生あいだに縞の羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司という博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授であるフロックを着た品格のある男であった。髪を普通の倍以上長くしている。それが電燈の光で、黒く渦をまいて見える。広田先生坊主頭と比べるとだいぶ相違がある。原口さんはだいぶ離れて席を取った。あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。折襟に、幅の広い黒襦子を結んださきがぱっと開いて胸いっぱいになっている。与次郎が、フランスの画工は、みんなああいう襟飾りを着けるものだと教えてくれた。三四郎肉汁を吸いながら、まるで兵児帯の結び目のようだと考えた。そのうち談話だんだん始まった。与次郎ビールを飲む。いつものように口をきかない。さすがの男もきょうは少々謹んでいるとみえる。三四郎が、小さな声で、 「ちと、ダーターファブラをやらないか」と言うと、「きょうはいけない」と答えたが、すぐ横を向いて、隣の男と話を始めた。あなたの、あの論文を拝見して、大いに利益を得ましたとかなんとか礼を述べている。ところがその論文は、彼が自分の前で、さかんに罵倒したものから三四郎にはすこぶる不思議の思いがある。与次郎はまたこっちを向いた。 「その羽織はなかなかりっぱだ。よく似合う」と白い紋をことさら注意してながめている。その時向こうの端から原口さんが、野々宮に話しかけた。元来が大きな声の人だから、遠くで応対するにはつごうがいい。今まで向かい合わせに言葉をかわしていた広田先生庄司という教授は、二人の応答を途中でさえぎることを恐れて、談話をやめた。その他の人もみんな黙った。会の中心点がはじめてできあがった。 「野々宮さん光線の圧力試験はもう済みましたか」 「いや、まだなかなかだ」 「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」 「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理実験はそううまくはいかない」 「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」  隣に田村という小説家がすわっていた。この男は自分インスピレーション原稿の催促以外になんにもないと答えたので、大笑いになった。田村は、それから改まって、野々宮さんに、光線に圧力があるものか、あれば、どうして試験するかと聞きだした。野々宮さんの答はおもしろかった。――  雲母か何かで、十六武蔵ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶の糸で釣るして、真空のうちに置いて、この円盤の面へ弧光燈の光を直角にあてると、この円盤が光に圧されて動く。と言うのである。  一座は耳を傾けて聞いていた。なかに三四郎は腹のなかで、あの福神漬の缶のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。 「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。 「野々宮さん、水晶の糸がありますか」 「ええ、水晶の粉をね。酸水素吹管の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」  三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織批評家が口を出した。 「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」 「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフという人がはじめて実験証明したのです。近ごろあの彗星の尾が、太陽の方へ引きつけられべきはずであるのに、出るたびにいつでも反対の方角になびくのは光の圧力で吹き飛ばされるんじゃなかろうかと思いついた人もあるくらいです」  批評家はだいぶ感心したらしい。 「思いつきもおもしろいが、第一大きくていいですね」と言った。 「大きいばかりじゃない、罪がなくって愉快だ」と広田先生が言った。 「それでその思いつきがはずれたら、なお罪がなくっていい」と原口さんが笑っている。 「いや、どうもあたっているらしい。光線の圧力は半径の二乗に比例するが、引力のほうは半径の三乗に比例するんだから、物が小さくなればなるほど引力のほうが負けて、光線の圧力が強くなる。もし彗星の尾が非常に細かい小片からできているとすれば、どうしても太陽とは反対の方へ吹き飛ばされるわけだ」  野々宮は、ついまじめになった。すると原口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言で、人々はもとのとおりビールの気分に復した。広田先生が、こんな事を言う。 「どうも物理学者は自然派じゃだめのようだね」  物理学者と自然派の二字は少なからず満場の興味を刺激した。 「それはどういう意味ですか」と本人の野々宮さんが聞き出した。広田先生説明しなければならなくなった。 「だって、光線の圧力試験するために、目だけあけて、自然を観察していたって、だめだからさ。自然献立のうちに、光線の圧力という事実印刷されていないようじゃないか。だから人工的に、水晶の糸だの、真空だの、雲母だのという装置をして、その圧力物理学者の目に見えるように仕掛けるのだろう。だから自然派じゃないよ」 「しか浪漫派でもないだろう」と原口さんがまぜ返した。 「いや浪漫派だ」と広田先生がもったいらしく弁解した。「光線と、光線を受けるものとを、普通自然界においては見出せないような位置関係に置くところがまったく浪漫派じゃないか」 「しかし、いったんそういう位置関係に置いた以上は、光線固有の圧力を観察するだけだからそれからあとは自然派でしょう」と野々宮さんが言った。 「すると、物理学者は浪漫自然派ですね。文学のほうでいうと、イブセンのようなものじゃないか」と筋向こうの博士比較を持ち出した。 「さよう、イブセンの劇は野々宮君と同じくらいな装置があるが、その装置の下に働く人物は、光線のように自然法則に従っているか疑わしい」これは縞の羽織批評家言葉であった。 「そうかもしれないが、こういうことは人間研究上記憶しておくべき事だと思う。――すなわち、ある状況のもとに置かれた人間は、反対の方向に働きうる能力権力とを有している。ということなんだが、――ところが妙な習慣で、人間も光線も同じように器械的の法則に従って活動すると思うものから、時々とんだ間違いができる。おこらせようと思って装置をすると、笑ったり、笑わせようともくろんでかかると、おこったり、まるで反対だ。しかしどちらにしても人間に違いない」と広田先生がまた問題を大きくしてしまった。 「じゃ、ある状況のもとに、ある人間が、どんな所作をしてもしぜんだということになりますね」と向こうの小説家が質問した。広田先生は、すぐ、 「ええ、ええ。どんな人間を、どう描いても世界に一人くらいはいるようじゃないですか」と答えた。「じっさい人間たる我々は、人間しからざる行為動作を、どうしたって想像できるものじゃない。ただへたに書くから人間と思われないのじゃないですか」  小説家はそれで黙った。今度は博士がまた口をきいた。 「物理学者でも、ガリレオ寺院釣りランプの一振動時間が、振動の大小にかかわらず同じであることに気がついたり、ニュートン林檎が引力で落ちるのを発見したりするのは、はじめから自然派ですね」 「そういう自然派なら、文学のほうでも結構でしょう。原口さん、絵のほうでも自然派がありますか」と野々宮さんが聞いた。 「あるとも。恐るべきクールベエというやつがいる。v※(アキュートアクセント付きE小文字)rit※(アキュートアクセント付きE小文字) vraie. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう猖獗を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。小説だって同じことだろう、ねえ君。やっぱりモローや、シャバンヌのようなのもいるはずだろうじゃないか」 「いるはずだ」と隣の小説家が答えた。  食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに九段の上の銅像悪口を言っていた。あん銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。それより、美しい芸者銅像でもこしらえるほうが気が利いているという説であった。与次郎三四郎九段銅像原口さんと仲の悪い人が作ったんだと教えた。  会が済んで、外へ出るといい月であった。今夜の広田先生庄司博士によい印象を与えたろうかと与次郎が聞いた。三四郎は与えたろうと答えた。与次郎は共同水道栓のそばに立って、この夏、夜散歩に来て、あまり暑いからここで水を浴びていたら、巡査に見つかって、擂鉢山へ駆け上がったと話した。二人は擂鉢山の上で月を見て帰った。  帰り道に与次郎三四郎に向かって、突然借金言い訳をしだした。月のさえた比較寒いである三四郎ほとんど金の事などは考えていなかった。言い訳を聞くのでさえ本気ではない。どうせ返すことはあるまいと思っている。与次郎もけっして返すとは言わない。ただ返せない事情をいろいろに話す。その話し方のほうが三四郎にはよほどおもしろい。――自分の知ってるさる男が、失恋の結果、世の中がいやになって、とうとう自殺をしようと決心したが、海もいや川もいや、噴火口はなおいや、首をくくるのはもっともいやというわけで、やむをえず短銃を買ってきた。買ってきて、まだ目的遂行しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。友だちはそれを質に入れて一時をしのいだ。つごうがついて、質を受け出して返しにきた時は、肝心の短銃の主はもう死ぬ気がなくなっていた。だからこの男の命は金を借りにこられたために助かったと同じ事である。 「そういう事もあるからなあ」と与次郎が言った。三四郎にはただおかしいだけである。そのほかにはなんらの意味もない。高い月を仰いで大きな声を出して笑った。金を返されないでも愉快である与次郎は、 「笑っちゃいかん」と注意した。三四郎はなおおかしくなった。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さんから金を借りることができたんだろう」  三四郎は笑うのをやめた。 「それで?」 「それだけでたくさんじゃないか。――君、あの女を愛しているんだろう」  与次郎はよく知っている。三四郎はふんと言って、また高い月を見た。月のそばに白い雲が出た。 「君、あの女には、もう返したのか」 「いいや」 「いつまでも借りておいてやれ」  のん気な事を言う。三四郎はなんとも答えなかった。しかいつまでも借りておく気はむろんなかった。じつは必要な二十円を下宿へ払って、残りの十円をそのあくる日すぐ里見の家へ届けようと思ったが、今返してはかえって、好意にそむいて、よくないと考え直して、せっかく門内に、はいられる機会を犠牲にしてまでも引き返した。その時何かの拍子で、気がゆるんで、その十円をくずしてしまった。じつは今夜の会費もそのうちから出ている。自分ばかりではない。与次郎のもそのうちから出ている。あとには、ようやく二、三円残っている。三四郎はそれで冬シャツを買おうと思った。  じつは与次郎がとうてい返しそうもないから、三四郎は思いきって、このあいだ国元へ三十円の不足を請求した。十分な学資を月々もらっていながら、ただ不足だからといって請求するわけにはゆかない。三四郎はあまり嘘をついたことのない男だから請求理由にいたって困却した。しかたがないからただ友だちが金をなくして弱っていたから、つい気の毒になって貸してやった。その結果として、今度はこっちが弱るようになった。どうか送ってくれと書いた。  すぐ返事を出してくれれば、もう届く時分であるのにまだ来ない。今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の手蹟で書いた封筒ちゃんと机の上に乗っている。不思議なことに、いつも必ず書留で来るのが、きょうは三銭切手一枚で済ましてある。開いてみると、中はいつになく短かい。母としては不親切なくらい、用事だけで申し納めてしまった。依頼の金は野々宮さんの方へ送ったから、野々宮さんから受け取れというさしずにすぎない。三四郎は床を取ってねた。  翌日もその翌日も三四郎は野々宮さんの所へ行かなかった。野々宮さんのほうでもなんともいってこなかった。そうしているうちに一週間ほどたった。しまいに野々宮さんから下宿下女を使いに手紙をよこした。おっかさんからまれものがあるからちょっと来てくれろとある三四郎講義の隙をみて、また理科大学の穴倉へ降りていった。そこで立談のあいだに事を済ませようと思ったところが、そううまくはいかなかった。この夏は野々宮さんだけで専領していた部屋に髭のはえた人が二、三人いる。制服を着た学生も二、三人いる。それが、みんな熱心に、静粛に、頭の上の日のあたる世界をよそにして、研究をやっている。そのうちで野々宮さんはもっと多忙に見えた。部屋の入口に顔を出した三四郎ちょっと見て、無言のまま近寄ってきた。 「国から、金が届いたから、取りに来てくれたまえ。今ここに持っていないから。それからまだほかに話す事もある」  三四郎ははあと答えた。今夜でもいいかと尋ねた。野々宮はすこしく考えていたが、しまいに思いきってよろしいと言った。三四郎はそれで穴倉を出た。出ながら、さすがに理学者は根気のいいものだと感心した。この夏見た福神漬の缶と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。  次の講義時間与次郎に会ってこれこれだと話すと、与次郎はばかだと言わないばかりに三四郎をながめて、 「だからいつまでも借りておいてやれと言ったのに。よけいな事をして年寄りには心配をかける。宗八さんにはお談義をされる。これくらい愚な事はない」とまるで自分から事が起こったとは認めていない申し分である三四郎もこの問題に関しては、もう与次郎責任を忘れてしまった。したがって与次郎の頭にかかってこない返事をした。 「いつまでも借りておくのは、いやだから、家へそう言ってやったんだ」 「君はいやでも、向こうでは喜ぶよ」 「なぜ」  このなぜが三四郎自身はいくぶんか虚偽の響らしく聞こえた。しか相手にはなんらの影響も与えなかったらしい。 「あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」  三四郎は返事をしないで、講義を筆記しはじめた。二、三行書きだすと、与次郎がまた、耳のそばへ口を持ってきた。 「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」  三四郎まさか、そうかとも言えなかった。薄笑いをしただけで、またペンを走らしはじめた。与次郎それからはおちついて、時間の終るまで口をきかなかった。  ベルが鳴って、二人肩を並べて教場を出る時、与次郎が、突然聞いた。

anond:20241001234545

「あの女は君にほれているのか」

 二人のあとから続々聴講生が出てくる。三四郎はやむをえず無言のまま梯子段を降りて横手玄関から図書館わきの空地へ出て、はじめて与次郎を顧みた。

「よくわからない」

 与次郎はしばらく三四郎を見ていた。

「そういうこともある。しかしよくわかったとして、君、あの女の夫になれるか」

 三四郎はいまだかつてこの問題を考えたことがなかった。美禰子に愛せられるという事実のものが、彼女の夫たる唯一の資格のような気がしていた。言われてみると、なるほど疑問である三四郎は首を傾けた。

「野々宮さんならなれる」と与次郎が言った。

「野々宮さんと、あの人とは何か今までに関係があるのか」

 三四郎の顔は彫りつけたようにまじめであった。与次郎一口

「知らん」と言った。三四郎は黙っている。

「また野々宮さんの所へ行って、お談義を聞いてこい」と言いすてて、相手は池の方へ行きかけた。三四郎は愚劣の看板のごとく突っ立った。与次郎は五、六歩行ったが、また笑いながら帰ってきた。

「君、いっそ、よし子さんをもらわないか」と言いながら、三四郎を引っ張って、池の方へ連れて行った。歩きながら、あれならいい、あれならいいと、二度ほど繰り返した。そのうちまたベルが鳴った。

 三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな唐物屋へはいった。小僧が奥からいろいろ持ってきたのをなでてみたり、広げてみたりして、容易に買わない。わけもなく鷹揚にかまえていると、偶然美禰子とよし子が連れ立って香水を買いに来た。あらと言って挨拶をしたあとで、美禰子が、

「せんだってありがとう」と礼を述べた。三四郎にはこのお礼の意味が明らかにわかった。美禰子から金を借りたあくる日もう一ぺん訪問して余分をすぐに返すべきところを、ひとまず見合わせた代りに、二日ばかり待って、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送った。

 手紙文句は、書いた人の、書いた当時の気分をすなおに表わしたものではあるが、むろん書きすぎている。三四郎はできるだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものであるしか感謝以外には、なんにも書いてない。それだから自然の勢い、感謝感謝以上になったのでもある。三四郎はこの手紙ポストに入れる時、時を移さぬ美禰子の返事を予期していた。ところがせっかくの封書はただ行ったままであるそれから美禰子に会う機会はきょうまでなかった。三四郎はこの微弱なる「このあいだはありがとう」という反響に対して、はっきりした返事をする勇気も出なかった。大きなシャツを両手で目のさきへ広げてながめながら、よし子がいるからああ冷淡なんだろうかと考えた。それからこのシャツもこの女の金で買うんだなと考えた。小僧はどれになさいますと催促した。

 二人の女は笑いながらそばへ来て、いっしょにシャツを見てくれた。しまいに、よし子が「これになさい」と言った。三四郎はそれにした。今度は三四郎のほうが香水相談を受けた。いっこうわからない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。三四郎は気の毒なくらいであった。

 表へ出て別れようとすると、女のほうが互いにお辞儀を始めた。よし子が「じゃ行ってきてよ」と言うと、美禰子が、「お早く……」と言っている。聞いてみて、妹が兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連で追分の方へ歩くべき宵となった。日はまだまったく落ちていない。

 三四郎はよし子といっしょに歩くよりは、よし子といっしょに野々宮の下宿で落ち合わねばならぬ機会をいささか迷惑に感じた。いっそのこと今夜は家へ帰って、また出直そうかと考えた。しかし、与次郎のいわゆるお談義を聞くには、よし子がそばにいてくれるほうが便利かもしれない。まさか人の前で、母から、こういう依頼があったと、遠慮なしの注意を与えるわけはなかろう。ことによると、ただ金を受け取るだけで済むかもわからない。――三四郎は腹の中で、ちょっとずるい決心をした。

「ぼくも野々宮さんの所へ行くところです」

「そう、お遊びに?」

「いえ、すこし用があるんです。あなたは遊びですか」

「いいえ、私も御用なの」

 両方が同じようなことを聞いて、同じような答を得た。しかし両方とも迷惑を感じている気色がさらにない。三四郎は念のため、じゃまじゃないかと尋ねてみた。ちっともじゃまにはならないそうである。女は言葉でじゃまを否定したばかりではない。顔ではむしろなぜそんなことを質問するかと驚いている。三四郎は店先のガスの光で、女の黒い目の中に、その驚きを認めたと思った。事実としては、ただ大きく黒く見えたばかりである

バイオリンを買いましたか

「どうして御存じ」

 三四郎は返答に窮した。女は頓着なく、すぐ、こう言った。

いくら兄さんにそう言っても、ただ買ってやる、買ってやると言うばかりで、ちっとも買ってくれなかったんですの」

 三四郎は腹の中で、野々宮よりも広田よりも、むしろ与次郎非難した。

 二人は追分の通りを細い路地に折れた。折れると中に家がたくさんある。暗い道を戸ごとの軒燈が照らしている。その軒燈の一つの前にとまった。野々宮はこの奥にいる。

 三四郎下宿とはほとんど一丁ほどの距離である。野々宮がここへ移ってから三四郎は二、三度訪問したことがある。野々宮の部屋は広い廊下を突き当って、二段ばかりまっすぐに上がると、左手に離れた二間である。南向きによその広い庭をほとんど椽の下に控えて、昼も夜も至極静かである。この離れ座敷に立てこもった野々宮さんを見た時、なるほど家を畳んで下宿をするのも悪い思いつきではなかったと、はじめて来た時から、感心したくらい、居心地のいい所である。その時野々宮さんは廊下下りて、下から自分の部屋の軒を見上げて、ちょっと見たまえ、藁葺だと言った。なるほど珍しく屋根に瓦を置いてなかった。

 きょうは夜だから屋根はむろん見えないが、部屋の中には電燈がついている。三四郎は電燈を見るやいなや藁葺を思い出した。そうしておかしくなった。

「妙なお客が落ち合ったな。入口で会ったのか」と野々宮さんが妹に聞いている。妹はしからざるむねを説明している。ついでに三四郎のようなシャツを買ったらよかろうと助言している。それから、このあいだのバイオリン和製で音が悪くっていけない。買うのをこれまで延期したのだから、もうすこし良いのと買いかえてくれと頼んでいる。せめて美禰子さんくらいのなら我慢すると言っている。そのほか似たりよったりの駄々をしきりにこねている。野々宮さんはべつだんこわい顔もせず、といって、優しい言葉もかけず、ただそうかそうかと聞いている。

 三四郎はこのあいだなんにも言わずにいた。よし子は愚な事ばかり述べる。かつ少しも遠慮をしない。それがばかとも思えなければ、わがままとも受け取れない。兄との応待をそばにいて聞いていると、広い日あたりのいい畑へ出たような心持ちがする。三四郎は来たるべきお談義の事をまるで忘れてしまった。その時突然驚かされた。

「ああ、わたし忘れていた。美禰子さんのお言伝があってよ」

「そうか」

「うれしいでしょう。うれしくなくって?」

 野々宮さんはかゆいような顔をした。そうして、三四郎の方を向いた。

ぼくの妹はばかですね」と言った。三四郎はしかたなしに、ただ笑っていた。

「ばかじゃないわ。ねえ、小川さん」

 三四郎はまた笑っていた。腹の中ではもう笑うのがいやになった。

「美禰子さんがね、兄さんに文芸協会演芸会に連れて行ってちょうだいって」

里見さんといっしょに行ったらよかろう」

「御用があるんですって」

「お前も行くのか」

「むろんだわ」

 野々宮さんは行くとも行かないとも答えなかった。また三四郎の方を向いて、今夜妹を呼んだのは、まじめの用があるんだのに、あんのん気ばかり言っていて困ると話した。聞いてみると、学者だけあって、存外淡泊である。よし子に縁談の口がある。国へそう言ってやったら、両親も異存はないと返事をしてきた。それについて本人の意見をよく確かめ必要が起こったのだと言う。三四郎はただ結構ですと答えて、なるべく早く自分のほうを片づけて帰ろうとした。そこで、

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」と切り出した。野々宮さんは、

「なに、大してめんどうでもありませんがね」とすぐに机の引出しから、預かったものを出して、三四郎に渡した。

「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別とあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」

 野々宮さんは三四郎を見て、にやにや笑っている。三四郎はまじめに、「お気の毒です」と言ったばかりである。野々宮さんは、若い者を、極めつけるつもりで言ったんでないとみえて、少し調子を変えた。

「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」と聞いた。よし子は大きな声を出して笑った。三四郎にもばかげているところがすこぶるおかしいんだが、母の言条が、まったく事実を離れた作り話でないのだから、そこに気がついた時には、なるほど軽率な事をして悪かったと少しく後悔した。

「そうすると、月に五円のわりだから、一人前一円二十五銭にあたる。それを三十日に割りつけると、四銭ばかりだが――いくらいなかでも少し安すぎるようだな」と野々宮さんが計算を立てた。

「何を食べたら、そのくらいで生きていられるでしょう」とよし子がまじめに聞きだした。三四郎も後悔する暇がなくなって、自分の知っているいなか生活ありさまをいろいろ話して聞かした。そのなかには宮籠りという慣例もあった。三四郎の家では、年に一度ずつ村全体へ十円寄付することになっている。その時には六十戸から一人ずつ出て、その六十人が、仕事を休んで、村のお宮へ寄って、朝から晩まで、酒を飲みつづけに飲んで、ごちそうを食いつづけに食うんだという。

「それで十円」とよし子が驚いていた。お談義はこれでどこかへいったらしい。それから少し雑談をして一段落ついた時に、野々宮さんがあらためて、こう言った。

「なにしろ、おっかさんのほうではね。ぼくが一応事情を調べて、不都合がないと認めたら、金を渡してくれろ。そうしてめんどうでもその事情を知らせてもらいたいというんだが、金は事情もなんにも聞かないうちに、もう渡してしまったしと、――どうするかね。君たしか佐々木に貸したんですね」

 三四郎は美禰子からもれて、よし子に伝わって、それが野々宮さんに知れているんだと判じた。しかしその金が巡り巡ってバイオリンに変形したものとは、兄妹とも気がつかないか一種妙な感じがした。ただ「そうです」と答えておいた。

佐々木馬券を買って、自分の金をなくしたんだってね」

「ええ」

 よし子はまた大きな声を出して笑った。

「じゃ、いいかげんにおっかさんの所へそう言ってあげよう。しかし今度から、そんな金はもう貸さないことにしたらいいでしょう」

 三四郎は貸さないことにするむねを答えて、挨拶をして、立ちかけると、よし子も、もう帰ろうと言い出した。

「さっきの話をしなくっちゃ」と兄が注意した。

「よくってよ」と妹が拒絶した。

「よくはないよ」

「よくってよ。知らないわ」

 兄は妹の顔を見て黙っている。妹は、またこう言った。

だってしかたがないじゃ、ありませんか。知りもしない人の所へ、行くか行かないかって、聞いたって。好きでもきらいでもないんだから、なんにも言いようはありゃしないわ。だから知らないわ」

 三四郎は知らないわの本意をようやく会得した。兄妹をそのままにして急いで表へ出た。

 人の通らない軒燈ばかり明らかな路地を抜けて表へ出ると、風が吹く。北へ向き直ると、まともに顔へ当る。時を切って、自分下宿の方から吹いてくる。その時三四郎は考えた。この風の中を、野々宮さんは、妹を送って里見まで連れていってやるだろう。

 下宿の二階へ上って、自分の部屋へはいって、すわってみると、やっぱり風の音がする。三四郎はこういう風の音を聞くたびに、運命という字を思い出す。ごうと鳴ってくるたびにすくみたくなる。自分ながらけっして強い男とは思っていない。考えると、上京以来自分運命はたいがい与次郎のためにこしらえられている。しかも多少の程度において、和気靄然たる翻弄を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき悪戯である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分運命を握られていそうに思う。風がしきりに吹く。たしか与次郎以上の風である

 三四郎は母から来た三十円を枕元へ置いて寝た。この三十円も運命翻弄が生んだものである。この三十円がこれからさきどんな働きをするか、まるでわからない。自分はこれを美禰子に返しに行く。美禰子がこれを受け取る時に、また一煽り来るにきまっている。三四郎はなるべく大きく来ればいいと思った。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん