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2019-06-22

独断偏見で選ぶ、動物を使った心理学に関心のある学生に勧める書籍30選

動物心理学」は動物学習、知覚、認知生理機構といった諸形質の放散と収斂の原理過程の解明を目指す心理学の一領域である

心理学全体の中ではマイナーではあるが、国内研究者の集まりである動物心理学会」は、実は数少ない戦前から続く (1933年発足) 学会であったりもする (ただし、悲しいことに、動物心理学が学べる大学は減り続けている)。

だが、動物心理学を学びたいと思った学生が、何から手を取ればいいのか、あまり紹介の記事が世に出回ってない気がした。そこで、独断偏見で、オススメ書籍を挙げてみた。番号はオススメ順とかではなく、特に意味はない。気になったものを読めば良いと思う。

(1) 動物たちは何を考えている? -動物心理学の挑戦- (技術評論社)

藤田 和生 (著, 編集), 日本動物心理学会 (監修)

日本動物心理学の主だった研究者たちが、動物心理学代表的研究について平易に語った本

(2) パピーニの比較心理学―行動の進化と発達 (北大路書房)

マウリシオ・R. パピーニ (著)

日本語で鈍器のような大きさでまとまっているのはこれくらいか

(3) 鳥能力―小さな頭に秘められた驚異の能力 (化学同人)

渡辺 茂 (著)

鳥類の行動とその神経基盤について解説した本

筆致が軽やかで、ベッドの上で寝転がりながら読んでも十分に理解できる。書名通り鳥限定であるが、名著である

(4) ハトがわかればヒトもわかる―比較認知科学への招待― (共立出版)

渡辺 茂 (著),

同著者がハト比較認知科学研究に特化して書いた本

心理学ではハト伝統的によく使われる。

(5) ソロモン指輪動物行動学入門 (早川書房)

コンラート ローレンツ (著)

動物行動学の創始者ローレンツいか動物と向き合い、その行動を観察していたのかを記したエッセイ

ローレンツ論文は難解で読みづらいことで有名だが、一般向けの著書は対照的に驚くほどとっつきやす

(6) タコの心身問題――頭足類から考える意識起源 (みすず書房)

ピーター・ゴドフリー=スミス (著)

哲学者である著者がダイビングタコイカと接することを通じて彼らの生き方

タコとて侮るなかれ。動物心理学を志す者が覚えていてほしい動物との向き合い方がぎっしり詰まった一冊である

(7) 動物心理学史―ダーウィンから行動主義まで (誠信書房)

R. ボークス (著)

動物心理学が、いかなる過程独立した分野として成立したのかを述べた本

傑作である絶版なので図書館で探そう

(8) 種の起源 (光文社古典新訳文庫)

ダーウィン (著)

言わずと知れたダーウィン古典である。いつ読んでも何かしら発見があるもので、それが古典古典である所以なのだ

余談だが、動物行動学の論文ダーウィンが扱った問題を再び取り上げるときは “Charles Darwin once said…” という殺し文句で始めることがある。

(9) 遺伝子から解き明かす脳の不思議世界 (一色出版)

滋野修一 (著), 野村真 (著), 村上安則 (著)

「脳」の起源と、その発生、さらには脊椎動物の脳のデザインいかに生じたのかを、ホヤから霊長類研究者まで多彩な研究者が論じた本

図や動画が手に入るURLQRコードがついてくる嬉しいおまけつき

(10) 感覚器の進化―原始動からヒトへ水中から陸上 (ブルーバックス新書)

岩堀 修明 (著)

はいかにして出来上がったのか?感覚器 (視覚聴覚、触覚、嗅覚、味覚) が現生の形になった進化道筋解説した本

(11) 生物から見た世界 (岩波文庫)

ユクスキュル (著), クリサート (著)

比較生理学の祖、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが豊かな想像力動物生理学的機序からその「環世界」について語った本

名著中の名著である

(12) 動物環境と内的世界 (みすず書房)

ヤーコプ・V・ユクスキュル

同著者が、生物の生きる、その固有な世界像について、当時の解剖学的知見と合わせてより詳しく解説した本

(13) あなたのなかのサル霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源 (早川書房)

フランス・ドゥ・ヴァール (著)

チンパンジー研究者大家、ドゥ・ヴァールの一般向けの著書

ドゥ・ヴァールはかなり擬人主義的な研究者で、研究者によって評価が真っ二つに分かれる。動物心理学一枚岩ではない。氏の著作同意するかどうかは、自分をどのような立脚点に置きたいのかをはっきりさせる意味でも一度は目を通すと良いだろう。

(14) 心の先史時代 (青土社)

ティーヴン ミズン (著)

人間の心はいかにまれたか?スティーヴン・ミズンは「元は個別用途進化させた認知機能が、文脈を問わず適用できるようになった」認知流動性により、高度に柔軟な我々の心が生じたと考える

内容は既にやや古いが、独創的な論考の面白さは色褪せない

(15) 行動理論への招待 (大修館書店)

佐藤 方哉 (著)

行動主義心理学エッセンスが詰まった本。絶版なので図書館で探そう。

「行動主義」的なもの見方は、認知研究では棄却すべき対立仮説として扱われることが多い。しかし、実際にはその対立仮説は多くの場合単なる誤解であり、藁人形を叩いているに過ぎない。

(16) 認知心理学有斐閣ニューリベラルアーツ

箱田 裕司 , 都築 誉史 他

比較認知科学は、動物心理学の中でも、動物認知機能を種間で比較し、その種差や共通性を描出する分野である比較認知科学実験では概念手続き認知心理学のものを援用することが多い

従って、認知心理学についてよく知るのが重要なのは至極当然なのだ

(17) キャンベル生物学(エッセンシャル版)

池内 昌彦 (監修, 翻訳), 伊藤 元己 (監修, 翻訳), 箸本 春樹 (監修, 翻訳), 道上 達男 (監修, 翻訳)

今日科学の分野間の壁はますます小さくなり、生物学と動物心理学をことさら区別する必要性も薄くなりつつある。

とはいえ原書版は鈍器のように重たいので、エッセンシャル版の方が挫折しないと思われる。

(18) カールソン神経科学

泰羅 雅登 (監修, 翻訳), 中村 克樹 (監修, 翻訳)

同様の理由で、自身神経科学を取り入れるか別に神経科学についてもどこかで通っておいた方が良いかと思われる。

そもそも、「動物心理学に固有」な方法論というのは現代にはなく、近隣領域連続的なつながりを持って成立しているのだ。

(19) 流れを読む心理学史 (有斐閣アルマ)

サトウ タツヤ (著), 高砂 美樹 (著)

心理学の成り立ちに関して、コンパクトかつしっかりまとまった本

歴史を学ぶと、どこかで役に立つ。物理学者エルヴィン・シュレディンガー言葉を引いておこう。

歴史は, あらゆる学問の中で最も基本的ものである。なぜなら、人間の持つ知識には、その成立条件や解決してきた問題や, 果たすべき機能が忘れ去られた場合, その学問的意義を失わないもの存在しないかである

サンキューシュレディンガー

(20) 視覚科学 (勁草書房)

横澤 一彦 (著)

別に動物研究の本ではないが、視覚についてよくまとまった本

視覚に興味があるなら、読んでおいて損はない。

(21) メイザー学習と行動 (二瓶社)

ジェームズ・E. メイザー (著), James E. Mazur (原著), 磯 博行 (翻訳), 坂上 貴之 (翻訳), 川合 伸幸 (翻訳)

学習完全に理解したマンになりたい人が必ず読む本。学習完全に理解したマンになりたいなら読もう。

次に読む本としては『オペラント心理学入門―行動分析への道』も良い本である

(22) 古典的条件づけの理論―パヴロフから連合学習研究最先端まで

入門レベルでは「犬とベルと唾液」くらいにしか教わらない古典的条件づけがいかに奥深く、理論的な探求に富んだ領域なのかが概観できる。例えるなら魔術書である

(23) 感じる脳 情動感情脳科学 よみがえるスピノザ (ダイヤモンド社)

アントニオ・R・ダマシオ (著), 田中 三彦 (翻訳)

これも動物研究者の本ではないが、ダマシオは身体性を重視する立場認知神経科学の方向を作った一人だ。

ダマシオは多作で、『デカルトの誤り』『自己が心にやってくる』など、他の著書も面白い。

(24) 盲目時計職人 (早川書房)

リチャード・ドーキンス (著)

進化学流布の急先鋒ドーキンス一般向け書籍。同氏がスリリングな筆致で進化について語る。

利己的な遺伝子』の方が有名だが、オシャレさでは『盲目時計職人』の方が上だ。

(25) 脳の中の幽霊 (角川書店)

V・S・ラマチャンドラン (著), サンドラブレイクスリー (著)

これの動物研究者ではなく、ヒトの神経科学者の本であるが、大変面白逸話がたくさん載っているので挙げた。

続編に『脳の中の幽霊再び』『脳の中の天使』も出ていて、どれも楽しく読める

(26) 鳥たちの驚異的な感覚世界 (河出書房新社)

ティムバークヘッド (著), 沼尻 由起子 (翻訳)

鳥にも我々と同じように目・耳が二つ、舌が一つ、皮膚には触覚受容器が備わっている。しかし、世界の見え方はまるで違うことがわかっている。彼らの感覚世界について、鳥類学者一般向けに語った本

(27) 実は猫よりすごく賢い鳥の頭脳 (エクスナレッジ)

イサンエメリー (著), 渡辺 智 (翻訳)

鳥の代表的認知研究について、各項目2p程度でまとまった入門書。どんな研究が、どのような方法で行われているのか、ざっと知るにはぴったりである

ちょっと邦題間抜けな感じがするが、原題は "Bird Brain: An Exploration of Avian Intelligenceである

(28) 脳科学と心の進化 (岩波書店)

渡辺 茂 (著), 小嶋 祥三 (著)

生物という視点から「心」がどのように形成されたのかを解説した本

まとめ方が独特だが、面白いことには間違いない

(29) 「つながり」の進化生物

岡ノ谷 一夫 (著)

動物コミュニケーションはヒトの「人間らしさ」について何を語るか?

元が高校生向けの連続講義であったらしく、大学生なら誰でも読める。

おまけ

(30) ご冗談でしょうファインマンさん (岩波書店)

リチャード P. ファインマン

ノーベル物理学賞を授賞した天才物理学者ファインマン好奇心に満ちた生涯について書かれた伝記

読めばきっと、未知への興奮と探究心、そして科学への憧憬が刺激されるに違いない

2019-02-16

百合ジャンル歴史現在 後

承前

https://anond.hatelabo.jp/20190216024920

 そして2018年現在百合ジャンルはその定義をやっと安定したものとして確立し、内部で属性の細分化が進行している。「少女小説」にルーツを持つ「正統派百合」や「セーラームーン」にルーツを持つ「戦闘美少女もの、多数のメディアミックス作品からなる「アイドルもの、「アイカツ!」や「プリパラ」の代表的女児向けアニメ本編での百合的な描写など、ひとことに百合といっても多岐にわたる作風や絵柄、対象層の想定の下で日々多くの作品創作されている。この流れを示唆するのが、2017年からみられるようになった細分化された特定百合ジャンル作品掲載したアンソロジーの発刊である。例としては、おねロリ(お姉さん×少女カップリング限定したアンソロジー)、社会人百合(学生設定の多い中、ヒロイン二人の年齢を成人以降に限定したアンソロジー)、夢(一人称視点ストーリーが進行し、主人公としての読者とヒロイン恋愛が描かれるアンソロジー)などがある。また、少年誌で連載されていた百合マンガアニメ化が続々と決定し、各書店百合特設コーナーが作られるなど、確実にやおいBLコンテンツと肩を並べられるまでの規模に成長しつつある。さらに、「ユリイカ」「ダ・ヴィンチ」といったオタク向けでない雑誌においても、「百合」が特集されて取り上げられることもあった。これらによって百合ジャンルは読者層をどんどん広げ、境界線の明確なものではなく、あらゆる作品エッセンスとして取り入れられるように変化してきているといえる。

まり2000年初頭にみられた「百合」論争とファン同士の対立とは逆に、ジャンルの細分化によっていい方向に百合という概念拡散してきているといえよう。女性男性議論を重ねながら平等構成している百合ジャンルは、マンガジャンルの中でも特異な体質のものだ。しかし、やおいBLジャンルに関する研究は数多くみられたが、百合GL ジャンルに関する研究現在ユリイカ掲載されたもののみである。今後、さら百合ジャンルが広まっていくにあたり、読者分析や内容分析によってさらに細かい分析をするに値する分野だと考えられる。特にマンガという表現形態だけに限らず、各時代代表する百合作品時代背景を踏まえ、ジェンダーフェミニズムといった視点からのより詳細な分析必要性を感じた。

<参考文献>

川崎賢子, 2014,「半壊のシンボル――吉屋信子百合欲望共同体」『ユリイカ12月号:42-49

上田麻由子,2014「内なる少女を救い出すこと――『シムーン』の孤独連帯」『ユリイカ12月号:190-198

藤本由香里「『百合』の来し方――『女同士の愛』をマンガはどう描いてきたか?」『ユリイカ12月号:101-109

アライ=ヒロユキ, 2015,「オタ文化からサブカルへ――ナラティヴへ誘うキャラクター繊研新聞社

<本文中で紹介した作品><単行本

吉屋信子, 1925,「花物語洛陽堂 『少女画報』掲載

山岸涼子, 1971,「白い部屋のふたり集英社 『りぼんコミック掲載

池田理代子, 1972-73,「ベルサイユのばら集英社 『週刊マーガレット掲載

池田理代子, 1974,「おにいさまへ…集英社 『週刊マーガレット掲載

武内直子, 1992-97,「美少女戦士セーラームーン講談社 『なかよし掲載

さいとうちほ, 1996-98,「少女革命ウテナ」小学館 『ちゃおフラワーコミックス掲載

介錯, 2004-05,「神無月の巫女角川書店 『月間少年エース掲載

サンライズ佐藤健悦, 2004-05,「舞-HIME-」秋田書店 『週刊少年チャンピオン掲載

なもり, 2008-「ゆるゆり一迅社 『コミック百合姫S』・『コミック百合姫』掲載

えばんふみ, 2010-2011,「ブルーフレンド」集英社 『りぼん掲載

白沢まりも, 2011,「野ばらの森の乙女たち」講談社 『なかよし掲載

アンソロジー

2017,「パルフェ おねロリ百合アンソロジー一迅社

2018,「あの娘と目が合うたび私は 社会人百合アンソロジーKADOKAWA

2018,「百合+カノジョふゅーじょんぷろだくと

雑誌

2003-05,「百合姉妹」ムック

2005-,「コミック百合姫」一迅社

2007-2010,「コミック百合姫S」一迅社

2007-2011,「コミック百合姫Wildrose」一迅社

2007-2014,「コミック百合姫」一迅社

2018,「ダ・ヴィンチ 3月号」KADOKAWA

テレビアニメ

2011,「魔法少女まどか☆マギカ

2012-2016,「アイカツ!サンライズバンダイナムコピクチャーズ

2014-2017,「プリパラタカラトミーアーツシンソフィア

あとがき

 これを書いたときはやが君アニメ化前だったので取り上げなかったな~と思うと感慨深い。あとファン考察が雑で本当に申し訳ございません。いつかしっかりやろうと思います

2019-01-30

小説 文体識別クイズ

はてなーの皆さまこんにちは今日も元気にウンコ漏らしてますか?初めて投稿します。

物心いたこからずーっと気になっていたことがありまして。それはズバリ、「みんな作家文体をどれくらい識別できてるんだろう?」という問題です。

気になった方は、まずは以下の問題に挑戦してみてください。



★以下の①~④と(ア)~(エ)の文章は、それぞれ同じ作家の書いた別の小説作品から、一部抜粋したものです。①と(イ)、②と(ア)...のように、同じ作者の作品どうしを組み合わせてください。

① そして彼が知ったのは、彼等の大部分が、原発というもの実態を把握していないらしいということだった。どこにどれだけの原発があるかも知らず、それが止まるということはどういうことかイメージできないようすだった。原発が止まっても大して困らないんじゃないかという意見もあれば、ろうそくを買うべきだろうかと異常に心配している声もあった。

② この人は母とは本当にお似合いだ。言葉表現した瞬間、それが的を射ていても、本当のことを言っていても、なぜか必ず嘘っぽく聞こえ、薄っぺらい印象になる。この人のこの言葉と僕の事実とに挟まれて、僕のあの放火未遂っぽい事件は行き場を失ってしまったようだった。

船長主催晩餐会は、さんざんなていたらくであった。夕刻から、この時期には珍しい西風が吹き始め、それは次第に客船上下に揺らした。乗客の中でもとりわけ過敏な者は、晩餐会のための服に着替える前に、すでに船酔いにかかって、各自のベッドに臥してしまった。

札幌の街には今年最初の雪が降り始めていた。雨が雪に変わり、雪がまた雨に変わる。札幌の街にあっては雪はそれほどロマンティックなものではない。どちらかというと、それは評判の悪い親戚みたいに見える。


(ア): 夢の中の俺はまだ子供で野球バットか何かを捜しに来たのだ。暗闇の中で金属バットが触れ合ってカランコロンと甲高い音を響かせる。俺は広いフロアを見渡す。たくさんの影はしんと静まり返って何も動かない。

(イ): バーは、二階に著名なフランス料理店があるビルの三階にあった。長い一枚板のぶあついカウンターと、四人掛けのテーブルが二つあるだけだったが、いかにも酒を飲むところといった風情で、助成従業員はいなかった。

(ウ): 三人目の相手大学図書館で知り合った仏文科の女子学生だったが、彼女は翌年の春休みテニスコートの脇にあるみすぼらしい雑木林の中で首を吊って死んだ。彼女死体新学期が始まるまで誰にも気づかれず、まるまる二週間風に吹かれてぶら下がっていた。今では日が暮れると誰もその林には近づかない。

(エ): 十九年前にさらわれた赤ん坊がどこにいるかを、早く彼女に教えてやらねばばらない。白血病で苦しむ息子が助かる道があることを示してやらねばならない。言葉を発しようと息を吸い込んだ時、小さな疑問が彼の胸に宿った。それは瞬く間に大きくなり、やがては衝撃となって彼の心を揺さぶった。

・答えは↓


















【答え】

①- (エ) 東野圭吾

②-(ア) 舞城王太郎

③-(イ) 宮本輝

④-(ウ) 村上春樹

①: 東野圭吾天空の蜂」(講談社2015年、p124、ハードカバー版)

②: 舞城王太郎「イキルキス」収録「パッキャラ魔道」(講談社2010年、p193、ハードカバー版)

③: 宮本輝海辺の扉(上)」(角川書店1991年、p151、ハードカバー版)

④: 村上春樹カンガルー日和」収録「彼女の町と、彼女の緬羊」(平凡社1983年p50ハードカバー版)

(ア): 舞城王太郎煙か土か食い物」(講談社2004年、p117、文庫版)

(イ): 宮本輝海岸列車(上)」(毎日新聞社1989年、p162、ハードカバー版)

(ウ): 村上春樹風の歌を聴け」(講談社文庫1975年、p77、文庫版)

(エ): 東野圭吾カッコウの卵は誰のもの」(光文社2010年、p204、ハードカバー版)



いかがでしたでしょうか?

なぜこんな問題を作ったのかといいますと、自分はけっこう文体に敏感な方なのではないかと、密かに感じてきたからです。

同じドラッカー作品でも、上田惇夫訳の「マネジメント」はすごく好きなのに、上賀裕子訳だとなぜか全然頭に入らなかったりします。趣味で読む本は、好きな著者のおすすめで買ってみたものの、文体が気に入らなくて読み進められないことも多いです。(村上春樹はすごい好きなのに、おすすめサリンジャーナインストーリーズ」は受けつけない、など。翻訳版をよく読む方にはあるあるなのでは)

それぞれの作者ごとに、「この人は勢いがあって脳が活性化する感じ」とか「クールな感じで読んでいても全然感情を感じない」とか「頭の中に繊細で暖かいイメージがふわっと浮かぶ」とか、料理でいう味みたいなものがあります

小説じゃなくても、エッセイでもビジネス書でも、どんなジャンルにも作者ごとの「味」がある。そして、これはその人の持つ「文体」が決めている部分が大きいと思っています。(本の装丁も全体の1~2割くらいは関係してる気がします。料理を載せる皿によってちょっと味の感じ方が変わる感じ?)

でもこの「味」って、大まかにはみんな感じるところがあるはずだけど、誰もが全く同じように感じていることはあり得ない。みんなで同じ料理を食べていて、「おいしい」「苦い」「熱い」などの大まかな感じも方向性は決まっていても、それをどこまで感じているかは人による。(同じ「辛い」カレーを食べても、人によってピリッとする辛さなのか、喘ぐくらいの辛さなのか、という辛さのニュアンスは異なるはず)

これって料理の味ならみんな共感できると思うんですけど、文章の「味」についてはほとんど議論されない。これって実際はどうなのか、という実験でした。

今回挙げた作家について、個人的に感じる「味」はこんな感じ。(あくま個人の感想です。前者二人の文体は大好き、後者二人はうーむ。ストーリーはそれぞれ面白いと思います。)

村上春樹: なんの抵抗もなくすっと頭に入って、胸にふわっと煙みたいに広がって染み渡る。イメージ幻想的ながら、ありありと脳裏に浮かぶ。もう村上春樹っぽいとしか言えない。

舞城王太郎: 「文圧」のすごさ。リズムと勢いで、パンパン読ませる。胸が暖まって脳が活性化する感じ。文体で読ませる作家天才

東野圭吾: 必要最低限の情報量情報は伝わるが、感情はあまり伝わってこない。マックハンバーガーみたいな感じ。

宮本輝: いいところのお坊っちゃん。淀みなく流れる川のように流麗。美しい文章だが、あといま一歩感情が胸に迫ってこない。脳の活性化いまいち


最後までお付き合いいただいたはてなーの皆さん、ありがとうございます!皆さんのやってみた結果は、コメントで教えていただけるとありがたいです。あと余裕のある方、同じような問題作って自分にもやらせて...!!

2018-09-17

anond:20160927193601

特許庁 「「商標」の定義への識別性の追加等について【概要】」

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/t_mark21/sankou1.pdf

この点を解決するため、判例は、自他商品識別機能ないし出所表示機能

を発揮する態様使用しない場合商標侵害構成しないとの解釈(商

標的使用論)で対処しているところ、これを何らかの形で立法的に解決(明

確化)すべきとの指摘がある。

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日本弁理士会 近畿支部 「商標権の効力・存続期間・更新について 商標侵害とは何ですか。」

http://www.kjpaa.jp/qa/46505.html

 しかし、ここでいう「使用」と言えるためには、商標的に使用していることが必要になります。すなわち、商標として(自他商品役務識別標識として)使用していない場合には、商標侵害には該当しません。例えば、商品商品パッケージに使われている文字であっても、商標として使用されていないような単なる飾り文字説明語句などは商標侵害対象にはなりません。

 「業として」の使用商標侵害対象になります。よって、家庭内での商標使用商標侵害対象にはなりません。

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高橋弁護士 弁護士ドットコム 商標権・商号 : [企業法務] 商標権・商号のお悩み対処

https://www.bengo4.com/c_1015/c_17/c_1265/b_402149/

路上アンケート形式で、製品知名度調査を行いたいと考えています

アンケートイメージは以下の通りです。

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Q.この製品を知っていますか?知ってる製品に全てチェックしてください。

□AAAAA □BBBBB □CCCCC

□DDDDD □EEEEE □FFFFF

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アンケート作成するにあたり、他社の製品名を勝手に使ってもいいものでしょうか?

問題ありません。

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安高史朗(弁理士,公認会計士) 「商標使用商標機能論の関係商標侵害要件実体判断~」

http://ipfbiz.com/archives/trademark.html

そして、「商標」とは、業として商品生産等するものがその商品等について使用をする標章であり(2条1項)、

商標の「使用」とは、商品標章を付する行為、付したもの譲渡等する行為等として定義がされています(2条3項各号)。

他にも、たとえば、ペプシコーラ広告に「コカコーラより美味しい」と記載した場合

これも指定商品飲料」に標章コカコーラ」を表示する広告使用ではありますが、商品性質説明するための記載であり、「コカコーラ」という出所を示すための使用ではないため、商標使用には当たらず商標侵害ではないと考えられます

比較広告による諸問題はありますが)

また、商品パッケージ等に、「雑誌○○に紹介されました」とか「○○の検索結果一位」等が表示されている場合も、説明記載であり、商標としての使用とは認められないでしょう。

デパート等の小売店において、「ブランド○○の商品を取り扱っています」といった表示がある場合も、商標であるブランド○○」が小売店や小売役務出所を示すための態様とは認められず、説明記載であり商標侵害ではないと考えられそうです。

まとめると、形式的には商標使用に当たるとしても、それが商品等の説明のための記載等であり、商品出所を示す又は自他商品識別機能を発揮する態様使用でなければ、商標侵害に該当しないということになります

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福井健策弁護士 福井弁護士ネット著作権ここがポイント人名グループ名を作品タイトルに使ってはいけない? ~水曜日のカンパネラヒカシュー騒動と疑似著作権~」

https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/757708.html

 そこで通常、短い単語であれば商標登録して保護を図る。こちらは国ごと、かつ商品サービスジャンルごとに登録することで初めて認められる権利で、その保護範囲著作権よりはだいぶ狭い。だからこそ、短い単語にも認める訳だ。

 ところが「ヒカシュー」というバンド名はそもそも商標登録されていなかった。しかも、仮に商標登録されていたとしても、商標権とは、人の登録商標をいわば「トレードマーク」的に使う行為規制できる権利で、その言葉自体を独占するほどの力はない。そこで、登録商標でも曲名など「作品タイトル」に使うのは通常は商標侵害ではないとされている。

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金原商標登録事務所 「「ボランティア」「NPO」の商標登録の取消しは正しかったのか? -2006年08月11日

https://shohyo-toroku.com/blog/archives/940.html

(2)角川書店商標登録されていても、商標として使用しなければ商標侵害にはなりません。たとえば新聞雑誌での文章中での言葉使用や、書籍タイトル内での言葉使用は単なる著作物の内容であって、商標として使用しているわけではありません。また、角川書店雑誌名称として記載しても、角川書店以外の人のブランド名として記載しているわけではなく、問題ありません。

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ファーイースト国際特許事務所 「「阪神優勝」が使えないは勘違い商標無効審判とは?」

https://riskzero.fareastpatent.com/trademark-right/%E9%98%AA%E7%A5%9E%E5%84%AA%E5%8B%9D%E5%95%86%E6%A8%99%E7%84%A1%E5%8A%B9%E5%AF%A9%E5%88%A4.html

当時商標阪神優勝」の問題が大きく話題になった理由は、この第三者商標阪神優勝」の登録により、阪神球団をはじめ、デパート商店街などや一般需要者までが「阪神優勝」の表記を使えない、と誤解した点にあるのではないでしょうか。

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福井健策弁護士オリンピック応援禁止令?--ツイート禁止通知と「アンブッシュ規制法の足音 - (page 2)」

https://japan.cnet.com/article/35087137/2/

 だが、いずれも、登録商標エンブレムを「商標として使う」行為対象である。つまり商品名や店名としての使用典型例だ。「記述使用」と言って、単にオリンピックという競技を指し示すために、いわば主語ではなく目的語としてこれらの言葉を使うのは、基本的違法ではない。この点で、JOCが挙げた懸念例は、明らかに広すぎる。こうした言葉をよほど特殊な状況で使うと違法になり得るという程度であって、通常のオリンピック応援レベル違法になるとは考えにくい。

 そもそも世の中の事象は多かれ少なかれ互いに連関し合って活動しているので、相互言及を全て止めさせようとしたら、経済社会じたいが成り立たないだろう。五輪をめぐる過剰な言葉狩りは、法的根拠がないのに知的財産権を装う「疑似著作権」の最たるものに思える((疑似著作権についてはこちら参照)。

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弁護士弁理士 戸野部法律事務所 「同じ名前商標なら即アウト?」

http://ip-k.info/%E5%90%8C%E3%81%98%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%AE%E5%95%86%E6%A8%99%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8D%B3%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%EF%BC%9F/

「そんなん、名前をパクってるなら即アウトだろ。」とならない理由は単純です。

そもそも商標法は「新しい名前」(を思いつくネーミングセンス)を保護する法律ではないからです。

商標というのは、メジャーな割に、「変な」知的財産権です。

「変な」というのは、一般の人が抱く知財イメージに反しているということです。


専門家解説もっと探せばこんなに出てくるんだな。固有名詞を書いて良いってこと。

2018-08-31

ここ最近左翼石原慎太郎の言ってることが同じになってきた。

どうなってるんだろうか?

中国共産党表現規制とか石原慎太郎の言ってることと、全く変わりがないんだけど、日本左翼石原慎太郎と同じことを言ってる。

大手出版社角川書店代表取締役も同じことを言い出した。

なんだかねえ。

2018-07-07

書籍タイトルには商標権は及ばないらしい。

https://shohyo-toroku.com/blog/archives/940.html (商標登録.com > 商標登録事務所通信 > 商標あれこれ > 「ボランティア」「NPO」の商標登録の取消しは正しかったのか?)

(2)角川書店商標登録されていても、商標として使用しなければ商標侵害にはなりません。たとえば新聞雑誌での文章中での言葉使用や、書籍タイトル内での言葉使用は単なる著作物の内容であって、商標として使用しているわけではありません。また、角川書店雑誌名称として記載しても、角川書店以外の人のブランド名として記載しているわけではなく、問題ありません。

弁理士解説によると、書籍タイトルには商標権は及ばない。

ということは、

ここでは書籍タイトル = 役務名と単純に考えてはいけないということだろうか。

2018-01-13

この記事は半保護されています。(半保護の方針による半保護) ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 曖昧さ回避ベートーヴェンベートーベン、ヴァン・ベートーヴェン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ベートーヴェン (曖昧さ回避)」をご覧ください。 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven Beethoven.jpg 基本情報 別名 楽聖 生誕 1770年12月16日頃 出身地 神聖ローマ帝国の旗 神聖ローマ帝国、ボン 死没 1827年3月26日(56歳没) オーストリア帝国の旗 オーストリア帝国ウィーン ジャンル 古典派音楽 活動期間 1792 - 1827 ベートーヴェンのサイン ウィキポータル クラシック音楽 ポータル クラシック音楽 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(独: Ludwig van Beethoven、標準ドイツ語ではルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェンに近い[1]、1770年12月16日頃[2] - 1827年3月26日)は、ドイツの作曲家。J.S.バッハ等と並んで音楽史上極めて重要な作曲家であり、日本では「楽聖」とも呼ばれる。その作品は古典派音楽の集大成かつロマン派音楽の先駆けとされている。 目次 [非表示] 1 生涯 2 作風 2.1 初期 2.2 中期 2.3 後期 3 後世の音楽家への影響と評価 4 芸術観 5 思想 6 人物 6.1 名前 6.2 ベートーヴェンフリーメイソンリー 7 死因また健康について 7.1 聴覚障害について 8 親族 9 弟子 10 代表作 10.1 交響曲(全9曲) 10.2 管弦楽曲 10.3 協奏曲、協奏的作品 10.4 室内楽曲 10.5 ピアノ曲 10.6 オペラ、劇付随音楽、その他の声楽作品 10.7 宗教曲 10.8 歌曲 11 著作 12 伝記 13 脚注 14 参考文献 15 関連項目 16 外部リンク 16.1 録音ファイル 16.2 伝記 生涯 ベートーヴェン(1803年) 1770年12月16日頃、神聖ローマ帝国ケルン大司教領(現ドイツ領)のボンにおいて、父ヨハンと、宮廷料理人の娘である母マリア・マグダレーナ(ドイツ語版)の長男[3]として生まれる。ベートーヴェン一家はボンのケルン選帝侯宮廷の歌手(後に楽長)であり、幼少のベートーヴェンも慕っていた、祖父ルートヴィヒの援助により生計を立てていた。ベートーヴェンの父も宮廷歌手(テノール)[4]であったが、元来無類の酒好きであったために収入は途絶えがちで、1773年に祖父が亡くなると生活は困窮した。1774年頃よりベートーヴェンは父からその才能を当てにされ、虐待とも言えるほどの苛烈を極める音楽のスパルタ教育を受けたことから、一時は音楽そのものに対して強い嫌悪感すら抱くようにまでなってしまった。1778年にはケルンでの演奏会に出演し、1782年11歳の時よりクリスティアン・ゴットロープ・ネーフェに師事した。 1787年、16歳のベートーヴェンウィーンに旅し、かねてから憧れを抱いていたモーツァルトを訪問したが、最愛の母マリアの危篤の報を受けてボンに戻った。母はまもなく死没し(肺結核)[5]、母の死後は、アルコール依存症となり失職した父に代わり、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を支え、父や幼い兄弟たちの世話に追われる苦悩の日々を過ごした。 1792年7月、ロンドンからウィーンに戻る途中ボンに立ち寄ったハイドンにその才能を認められて弟子入りを許され、11月にはウィーンに移住し(12月に父死去)、まもなく、ピアノ即興演奏の名手(ヴィルトゥオーゾ)として広く名声を博した。 20歳代後半ごろより持病の難聴(原因については諸説あり、鉛中毒説が通説)が徐々に悪化、28歳の頃には最高度難聴者となる。音楽家として聴覚を失うという死にも等しい絶望感から、1802年には『ハイリゲンシュタットの遺書』をしたため自殺も考えたが、彼自身の芸術(音楽)への強い情熱をもってこの苦悩を乗り越え、再び生きる意欲を得て新たな芸術の道へと進んでいくことになる。 1804年に交響曲第3番を発表したのを皮切りに、その後10年間にわたって中期を代表する作品が書かれ、ベートーヴェンにとっての傑作の森(ロマン・ロランによる表現)と呼ばれる時期となる。その後、ピアニスト兼作曲家から、完全に作曲専業へと移った。 40歳頃(晩年の約15年)には全聾となっり、更に神経性とされる持病の腹痛や下痢にも苦しめられた。加えて、度々非行に走ったり自殺未遂を起こすなどした甥カールの後見人として苦悩するなどして一時作曲が停滞したが、そうした苦悩の中で書き上げた交響曲第9番や『ミサ・ソレムニス』といった大作、ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲等の作品群は彼の未曾有の境地の高さを示すものであった。 1826年12月に肺炎を患ったことに加え、黄疸も併発するなど病状が急激に悪化し、以後病臥に伏す。病床の中で10番目の交響曲に着手するも未完成のまま翌1827年3月26日、肝硬変のため56年の生涯を終えた。その葬儀には2万人もの人々が参列するという異例のものとなった。この葬儀には、翌年亡くなるシューベルトも参列している。 作風 初期 作曲家としてデビューしたての頃は耳疾に悩まされることもなく、古典派様式に忠実な明るく活気に満ちた作品を書いていた。この作風は、ハイドンモーツァルトの強い影響下にあるためとの指摘もある[6]。 中期 1802年の一度目の危機とは、遺書を書いた精神的な危機である。ベートーヴェンはこの危機を、ウィーン古典派の形式を再発見する事により脱出した。つまりウィーン古典派の2人の先達よりも、素材としての動機の発展や展開・変容を徹底して重視し、形式的・構成的なものを追求した。この後は中期と呼ばれ、コーダの拡張など古典派形式の拡大に成功した。 中期の交響曲はメヌエットではなくスケルツォの導入(第2番以降)、従来のソナタ形式を飛躍的に拡大(第3番)、旋律のもととなる動機やリズムの徹底操作(第5、7番)、標題的要素(第6番)、楽章の連結(第5、6番)、5楽章形式(6番)など、革新的な技法を編み出している。その作品は、古典派の様式美とロマン主義とをきわめて高い次元で両立させており、音楽の理想的存在として、以後の作曲家に影響を与えた。第5交響曲に典型的に示されている「暗→明」、「苦悩を突き抜け歓喜へ至る」という図式は劇性構成の規範となり、後のロマン派の多くの作品がこれに追随した。 これらのベートーヴェンの要求は必然的に「演奏人数の増加」と結びつき、その人数で生み出される人生を鼓舞するかのような強音やすすり泣くような弱音は多くの音楽家を刺激した。 後期 1818年の二度目の危機の時には後期の序曲集に代表される様にスランプに陥っていたが、ホモフォニー全盛であった当時においてバッハの遺産、対位法つまりポリフォニーを研究した。対位法は中期においても部分的には用いられたが、大々的に取り入れる事に成功し危機を乗り越えた。変奏曲やフーガはここに究められた。これにより晩年の弦楽四重奏曲ピアノソナタ、『ミサ・ソレムニス』、『ディアベリ変奏曲』、交響曲第9番などの後期の代表作が作られた。 後世の音楽家への影響と評価 ベートーヴェンの音楽界への寄与は甚だ大きく、彼以降の音楽家は大なり小なり彼の影響を受けている。 ベートーヴェン以前の音楽家は、宮廷や有力貴族に仕え、作品は公式・私的行事における機会音楽として作曲されたものがほとんどであった。ベートーヴェンはそうしたパトロンとの主従関係(および、そのための音楽)を拒否し、大衆に向けた作品を発表する音楽家の嚆矢となった。音楽家=芸術家であると公言した彼の態度表明、また一作一作が芸術作品として意味を持つ創作であったことは、音楽の歴史において重要な分岐点であり革命的とも言える出来事であった。 中でもワーグナーは、ベートーヴェン交響曲第9番における「詩と音楽の融合」という理念に触発され、ロマン派音楽の急先鋒として、その理念をより押し進め、楽劇を生み出した。また、その表現のため、豊かな管弦楽法により音響効果を増大させ、ベートーヴェンの用いた古典的な和声法を解体し、トリスタン和音に代表される革新的和声で調性を拡大した。 一方のブラームスは、ロマン派の時代に生きながらもワーグナー派とは一線を画し、あくまでもベートーヴェンの堅固な構成と劇的な展開による古典的音楽形式の構築という面を受け継ぎ、ロマン派の時代の中で音楽形式的には古典派的な作風を保った。しかし、旋律や和声などの音楽自体に溢れる叙情性はロマン派以外の何者でもなかった。また、この古典的形式における劇的な展開と構成という側面はブラームスのみならず、ドヴォルザークチャイコフスキー、20世紀においてはシェーンベルクバルトークプロコフィエフショスタコーヴィチラッヘンマンにまで影響を与えている。 芸術観 同時代のロマン派を代表する芸術家E.T.A.ホフマンは、ベートーヴェンの芸術を褒め称え、自分たちロマン派の陣営に引き入れようとしたが、ベートーヴェンは当時のロマン派の、形式的な統一感を無視した、感傷性と感情表現に代表される芸術からは距離を置いた。ベートーヴェンが注目したものは、同時代の文芸ではゲーテやシラー、また古くはウィリアム・シェイクスピアらのものであり、本業の音楽ではバッハ、ヘンデルモーツァルトなどから影響を受けた[7]。 ベートーヴェンが「前衛」であったのかどうかは、多くの音楽学者で見解が分かれる。原博は「ベートーヴェンは前衛ではない」と言い切り[8]、彼は当時の「交響曲」「協奏曲」「ソナタ」「変奏曲」などの構造モデルに準拠し、発案した新ジャンルというものは存在しない。ただし、「メトロノームの活用」「母語での速度表示」「ピアノの構造強化と音域の拡張」「楽曲の大規模化」「大胆な管弦楽法」「演奏不可能への挑戦」「騒音の導入(戦争交響曲)」など、後世の作曲家に与えた影響は計り知れないものがある。 思想 ベートーヴェンカトリックであったが敬虔なキリスト教徒とはいえなかった。『ミサ・ソレムニス』の作曲においてさえも「キリストなどただの磔(はりつけ)にされたユダヤ人に過ぎない」と発言した。ホメロスプラトンなどの古代ギリシア思想に共感し、バガヴァッド・ギーターを読み込むなどしてインド哲学に近づき、ゲーテやシラーなどの教養人にも見られる異端とされる汎神論的な考えを持つに至った。彼の未完に終わった交響曲第10番においては、キリスト教的世界と、ギリシア的世界との融合を目標にしていたとされる。これはゲーテが『ファウスト』第2部で試みたことであったが、ベートーヴェンの生存中は第1部のみが発表され、第2部はベートーヴェンの死後に発表された。権威にとらわれない宗教観が、『ミサ・ソレムニス』や交響曲第9番につながった。 また哲学者カントの思想にも触れ、カントの講義に出席する事も企画していたといわれる[7]。 政治思想的には自由主義者であり、リベラル進歩的政治思想を持っていた。このことを隠さなかったためメッテルニヒウィーン体制では反体制分子と見られた。 その他にも、天文学についての書物を深く読み込んでおり、彼はボン大学での聴講生としての受講やヴェーゲナー家での教育を受けた以外正規な教育は受けていないにも関わらず、当時において相当の教養人であったと見られている。 人物 身長は165cm前後と当時の西洋人としては中背ながら、筋肉質のがっしりとした体格をしていた。肌は浅黒く、天然痘の瘢痕があったとされるが、肖像画や銅像、ライフマスクや近年明らかとなった多彩な女性関係などから容貌は美男とは言えないものの、さほど悪くなかったのではないかと思われる。表情豊かで生き生きした眼差しが人々に強い印象を与え多くの崇拝者がいた。 基本的に服装には無頓着であり、若い頃には着飾っていたものの、歳を取ってからは一向に構わなくなった。弟子のツェルニーは初めてベートーヴェンに会った時、「ロビンソン・クルーソーのよう」、「黒い髪の毛は頭の周りでもじゃもじゃと逆立っている」という感想を抱いたと言われる。また作曲に夢中になって無帽で歩いていたため、浮浪者誤認逮捕されてウィーン市長が謝罪する珍事も起こった。部屋の中は乱雑であった一方、入浴と洗濯を好むなど綺麗好きであったと言われる。また生涯で少なくとも60回以上引越しを繰り返したことも知られている。 当時のウィーンではベートーヴェンが変わり者であることを知らない者はいなかったが、それでも他のどんな作曲家よりも敬愛されており、それは盛大な葬儀と多数の参列者を描いた書画からも伺える。しかし、「ベートーヴェン変人説」も、メッテルニヒ政権によるデマであるとする見解もある。 潔癖症で手を執拗に洗うところがあった。 性格は矛盾と言っても差し支えのない正反対な側面があった。人づきあいにおいて、ことのほか親切で無邪気かと思えば、厳しく冷酷で非道な行動に出るなどと気分の揺れが激しかった。親しくなると度が過ぎた冗談を口にしたり無遠慮な振る舞いを見せたりすることが多かったため、自分本位で野蛮で非社交的という評判であったとされている。これもどこまで真実なのかは定かではないが、ピアノソナタ・ワルトシュタインや弦楽四重奏曲・大フーガつきの出版に際して、出版社の「カット」命令には律儀に応じている。癇癪持ちであったとされ、女中(女性)に物を投げつけるなどしばしば暴力的な行動に出ることもあったという。 師ハイドンに、楽譜に「ハイドンの教え子」と書くよう命じられた時は、「私は確かにあなたの生徒だったが、教えられたことは何もない」と突っぱねた。 パトロンカール・アロイス・フォン・リヒノフスキー侯爵には、「侯爵よ、あなたが今あるのはたまたま生まれがそうだったからに過ぎない。私が今あるのは私自身の努力によってである。これまで侯爵は数限りなくいたし、これからももっと数多く生まれるだろうが、ベートーヴェンは私一人だけだ!」と書き送っている。(1812年)この「場を全くわきまえない」発言の数々はメッテルニヒ政権成立後に仇となり、大編成の委嘱が遠ざかる。 テプリツェでゲーテと共に散歩をしていて、オーストリア皇后・大公の一行と遭遇した際も、ゲーテが脱帽・最敬礼をもって一行を見送ったのに対し、ベートーヴェンは昂然(こうぜん)として頭を上げ行列を横切り、大公らの挨拶を受けたという。後にゲーテは「その才能には驚くほかないが、残念なことに不羈(ふき)奔放な人柄だ」とベートーヴェンを評している。 交響曲第5番の冒頭について「運命はこのように戸を叩く」と語ったことや、ピアノソナタ第17番が“テンペスト”と呼ばれるようになったいきさつなど、伝記で語られるベートーヴェンの逸話は、自称「ベートーヴェンの無給の秘書」のアントンシンドラーの著作によるものが多い。しかし、この人物はベートーヴェンの死後、ベートヴェンの資料を破棄したり改竄(かいざん)を加えたりしたため、現在ではそれらの逸話にはあまり信憑性が認められていない。 聴覚を喪失しながらも音楽家として最高の成果をあげたことから、ロマン・ロランをはじめ、彼を英雄視・神格化する人々が多く生まれた。 死後、「不滅の恋人」宛に書かれた1812年の手紙が3通発見されており、この「不滅の恋人」が誰であるかについては諸説ある。テレーゼ・フォン・ブルンスヴィック(独語版)やその妹ヨゼフィーネ(独語版)等とする説があったが、現在ではメイナード・ソロモン(en:Maynard Solomon)らが提唱するアントニエ・ブレンターノ(独語版)(クレメンス・ブレンターノらの義姉、当時すでに結婚し4児の母であった)説が最も有力である。しかし、「秘密諜報員ベートーヴェン」[9]のような、これらの定説を覆す新たな研究も生まれている。 これらは氷山の一角に過ぎず、20-30代でピアニストとして一世を風靡していたころは大変なプレイボーイであり、多くの女性との交際経験があった。この行動を模倣した人物に、後年のフランツ・リストがいる。 メトロノームの価値を認め、初めて活用した音楽家だといわれている。積極的に数字を書き込んだために、後世の演奏家にとって交響曲第9番ハンマークラフィーアソナタのメトロノーム記号については、多くの混乱が生まれている。 彼はイタリア語ではなく、母語ドイツ語で速度表示を行った最初の人物である。この慣習の打破はあまり歓迎されず、多くの当時の作曲家も速度表示にはイタリア語を用い、本人も短期間でイタリア語に戻している。 パンと生卵を入れて煮込んだスープや、魚料理に肉料理、茹でたてのマカロニにチーズを和えたものが大好物であった。またワインを嗜み、銘柄は安物のトカイワインを好んでいた。父親に似て大の酒好きであり、寿命を縮めることになったのは疑いがない。 コーヒーは必ず自ら豆を60粒数えて淹れたという[10]。 名前 原語であるドイツ語ではルートゥヴィヒ・ファン・ベートホーフェン ドイツ語発音: [ˈluːtvɪç fan ˈbeːthoːfən] ( 音声ファイル)と発音される。 日本では明治時代の書物の中には「ベートーフェン」と記したものが若干あったが、ほどなく「ベートーヴェン」という記述が浸透していき、リヒャルト・ワーグナーのように複数の表記が残る(ワーグナーヴァーグナー、ワグネル)こともなかった。唯一の例外は、NHKおよび教科書における表記の「ベートーベン」である。 姓に“van”がついているのは、ベートーヴェン家がネーデルラントフランドル)にルーツがあるためである(祖父の代にボンに移住)。vanがつく著名人といえば、画家のヴァン・ダイク(van Dyck)、ファン・エイク(van Eyck)、ファン・ゴッホ(van Gogh)などがいる。 vanはドイツ語オランダ語では「ファン」と発音されるが、貴族を表す「von(フォン)」と間違われることが多い。「van」は単に出自を表し、庶民の姓にも使われ、「van Beethoven」という姓は「ビート(Beet)農場(Hoven)主の」という意味に過ぎない。しかしながら、当時のウィーンではベートーヴェンが貴族であると勘違いする者も多かった。 偉大な音楽家を意味する「楽聖」という呼称は古くから存在するが、近代以降はベートーヴェンをもって代表させることも多い。例えば3月26日の楽聖忌とはベートーヴェンの命日のことである。 ベートーヴェンフリーメイソンリー 詳細は「フリーメイソン#ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」を参照 死因また健康について 慢性的な腹痛や下痢は終生悩みの種であった。死後に行われた解剖では肝臓、腎臓、脾臓、他、多くの内臓に損傷が見られた。これらの病の原因については諸説あり、定説はない。近年、ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されて注目を集めた。鉛は聴覚や精神状態に悪影響を与える重金属であるが、ベートーヴェンがどのような経緯で鉛に汚染されたかについても諸説あり、以下のごとくである。 ワインの甘味料として用いられた酢酸鉛とする説。 1826年の1月から、肝障害による腹水治療を行ったアンドレアス・ヴァヴルフ医師が、腹部に針で穿刺して腹水を排水した際、毛髪の分析結果では腹部に穿孔するたびに鉛濃度が高くなっていることから、傷口の消毒のために使用された鉛ではないかとする説。 聴覚障害について 難聴(40歳頃には全聾となった)の原因については諸説[11]ある。 耳硬化症説 伝音性の難聴であり、中耳の耳小骨の「つち・きぬた・あぶみ」の内のあぶみ骨が硬化して、振動を伝達できず、音が聞こえなくなる難病。ベートーヴェンの難聴が耳硬化症である論拠として、ベートーヴェンが人の声は全く聞こえていなかったにも関わらず、後ろでピアノを弾いている弟子に、「そこはおかしい!」と注意したエピソードが挙げられる。これは耳硬化症に特有の、人の声は全く聞こえなくなるが、ピアノの高音部の振動は僅かに感じ取ることが出来る性質にあると考えられる。 又、ベートーヴェンは歯とピアノの鍵盤をスティックで繋ぐことで、ピアノの音を聞いていたという逸話もこの説を裏付ける論拠として挙げられる。 先天性梅毒説 「蒸発性の軟膏を体に塗り込んだ(水銀の可能性。当時梅毒の治療法の一つ)」という記述がある為に、論拠とされている。しかし、後にベートーヴェンの毛髪を分析した結果、水銀は検出されず、又、梅毒は眩暈(めまい)の症状を併発するにも関わらず、そうした話が無い為に、先天性梅毒説は説得力の乏しいものとなっている。 鉛中毒説 上載の死因また健康についてを参照。 メッテルニヒ政権説 ベートーヴェンが難聴であっても完全に失聴していたかどうかは、21世紀の現代では疑問視する声が大きい。ベートーヴェンは1820年代のメッテルニヒ政権ではブラックリストに入れられたため、盗聴を防ぐために「筆談帳」を使った可能性は大きい。その延長として「ベートーヴェンは暗号を用いていた」という仮説に基づく「秘密諜報員ベートーヴェン」[9]という書籍が出版された。 有名な逸話に「女中に卵を投げつけた」という類の物が残されているが、これは「女中に変装したスパイ」への正当防衛であるという見解がある。 デビューほやほやのリストの演奏に臨み、彼を高く評価したのは、もし失聴していれば出来ない行為である。 完全失聴や聴覚障害を患った作曲家に、ボイスやフォーレがいるが、彼らの作曲活動はその後伸び悩んでいるのに対し、失聴したベートーヴェンはその間に多くの重要作を書いている。 親族 祖父:ルートヴィヒ同姓同名) (英語版) フランドル地方メヘレン出身。ケルン大司教(選帝侯)クレメンスアウグストに見出され、21歳でボンの宮廷バス歌手、後に宮廷楽長となった。 祖母:マリア・ヨゼファ 父:ヨハン 母:マリア・マグダレーナ(ドイツ語版)  ヨハンとは再婚(初婚は死別)。肺結核により死去。 弟:カスパール・アントンカール 甥:カールドイツ語版)  カスパールの息子。1806年生まれ~1858年没。1826年にピストル自殺未遂事件を起こす。 弟:ニコラウス・ヨーハン 同姓同名の兄や妹2人がいるがすぐになくなっている。 弟カールの血筋が現在も残ってはいるが、ベートーヴェン姓は名乗っていない。カールの直系子孫の一人であるカール・ユリウス・マリア・ヴァン・ベートーヴェン(1870年5月8日生まれ)が1917年12月10日に他界したのを最後に、ベートーヴェン姓を名乗る子孫は途絶えている。 弟子 カール・ツェルニー - クラヴィア奏者・作曲家。 フェルディナント・リース - ボンのクラヴィア奏者・作曲家。 ルドルフ大公 - ベートーヴェンの最大のパトロン。のちにオルミュッツ大司教。弟子としては唯一、ベートーヴェンが彼のために曲を書いている。 ドロテア・エルトマン男爵夫人 - メンデルスゾーンと交流。 アントンシンドラー - 秘書だが、弟子とされることがある。 代表作 詳細は「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照 交響曲(全9曲) 第1番 ハ長調 op.21 第2番 ニ長調 op.36 第3番 変ホ長調エロイカ(英雄)』 op.55[12][13] 第4番 変ロ長調 op.60 第5番 ハ短調 (運命) op.67 [12][13] 第6番 ヘ長調 『田園』 op.68 [12] 第7番 イ長調 op.92 第8番 ヘ長調 op.93 第9番 ニ短調 (合唱付き) op.125 [12][13] 管弦楽曲 『レオノーレ』序曲第1番 op.138 『レオノーレ』序曲第3番 op.72b 序曲『コリオラン』ハ短調 op.62 交響曲『ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い』 op.91 『命名祝日』序曲 op.115 『アテネの廃墟』序曲 ハ長調op.113 『献堂式』序曲 ハ長調op.124 協奏曲、協奏的作品 ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 『皇帝』 op.73 [12] ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.61 ロマンス第1番 ト長調 op.40 ロマンス第2番 ヘ長調 op.50 三重協奏曲(ピアノヴァイオリン・チェロのための)ハ長調 op.56 合唱幻想曲 ハ短調 op.80 室内楽曲 弦楽四重奏曲(全16曲) 第7番 ヘ長調(ラズモフスキー第1番) op.59-1 第8番 ホ短調(ラズモフスキー第2番) op.59-2 第9番 ハ長調(ラズモフスキー第3番) op.59-3 第10番 変ホ長調(ハープ) op.74 第11番 ヘ短調『セリオーソ』 op.95 第12番 変ホ長調 op.127 第13番 変ロ長調 op.130 大フーガ 変ロ長調 op.133 第14番 嬰ハ短調 op.131 第15番 イ短調 op.132 第16番 ヘ長調 op.135 弦楽五重奏曲 (全3曲) ヴァイオリンソナタ(全10曲) 第5番 ヘ長調 『春』 op.24 第9番 イ長調 『クロイツェル』 op.47 チェロソナタ(全5曲) ピアノ三重奏曲(全7曲) 第5番 ニ長調『幽霊』 op.70-1 第7番 変ロ長調『大公』 op.97 その他の室内楽曲 ホルン・ソナタ ヘ長調 op.17 六重奏曲 op.81b 七重奏曲 変ホ長調 op.20 管楽八重奏曲 op.103 ピアノ曲 ピアノソナタ(全32曲)   第8番 ハ短調『悲愴』 op.13 第14番 嬰ハ短調 『月光』 op.27-2 [13] 第15番 ニ長調 『田園』 第17番 ニ短調『テンペスト』 op.31-2 第21番 ハ長調 『ヴァルトシュタイン』op.53 第23番 ヘ短調 『熱情』 op.57 [12][13] 第26番 変ホ長調『告別』 op.81a 第29番 変ロ長調ハンマークラヴィーア』 op.106 第30番 ホ長調 op.109 第31番 変イ長調 op.110 第32番 ハ短調 op.111 その他のピアノ曲(変奏曲、バガテル等) 創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 op.34 創作主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)変ホ長調 op.35 『ゴッド・セイヴ・ザ・キング』の主題による7つの変奏曲 ハ長調 WoO.78 『ルール・ブリタニア』の主題による5つの変奏曲 ニ長調 WoO.79 創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80 創作主題による6つの変奏曲 ニ長調 op.76 ディアベリのワルツによる33の変容(ディアベリ変奏曲) ハ長調 op.120 アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57 幻想曲 op.77 ポロネーズ ハ長調 op.89 7つのバガテル op.33 11の新しいバガテル op.119 6つのバガテル op.126 バガテル『エリーゼのために』 WoO.59 本来の曲名は『テレーゼのために』であった、という説が有力視されている。 オペラ、劇付随音楽、その他の声楽作品 歌劇『フィデリオ』 op.72c 劇付随音楽『エグモント』op.84 劇付随音楽『アテネの廃墟』 op.113 バレエ音楽プロメテウスの創造物』 op.43 オラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』 op.85 カンタータ『静かな海と楽しい航海』 op.112 別れの歌 皇帝ヨーゼフ2世の為の葬送カンタータ WoO.87 宗教曲 ミサ曲 ハ長調 op.86 ミサ・ソレムニス ニ長調 [12]  修道僧の歌 歌曲 アデライーデ op.46 汝を愛す 鶉の鳴き声 新しい愛、新しい生 口づけ 追憶 懺悔の歌 モルモット(旅芸人) 連作歌曲集『遥かなる恋人に寄す』 op.98 曇りのち、快晴 著作 『ベートホーヴェンの手紙』 外山楢夫訳、新しき村出版部、1926年。 『ベートーヷンの手紙』 中西武夫訳、啓明社、1928年。 『ベートーヷン書翰集』 中西武夫訳、啓明社、1930年。 『ベートーヴェンの手紙』第1編、鈴木賢之進訳、音楽世界社〈楽聖書簡叢書〉、1936年。 『ベートーヴェン書簡集』 小松雄一郎訳、岩波書店岩波文庫 2579-2581〉、1940年。 『ベートーヴェン書簡集』 小松雄一郎選訳、岩波書店岩波文庫〉、1950年。 『ベートーヴェン書簡集』 小松雄一郎訳、岩波書店岩波文庫〉、1957年、改訂増補版。 - 附:

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

曖昧さ回避ベートーヴェンベートーベン、ヴァン・ベートーヴェン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ベートーヴェン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

Ludwig van Beethoven

Beethoven.jpg

基本情報

別名 楽聖

生誕 1770年12月16日

出身地 神聖ローマ帝国の旗 神聖ローマ帝国、ボン

死没 1827年3月26日(56歳没)

オーストリア帝国の旗 オーストリア帝国ウィーン

ジャンル 古典派音楽

活動期間 1792 - 1827

ベートーヴェンのサイン

ウィキポータル クラシック音楽 ポータル クラシック音楽

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(独: Ludwig van Beethoven、標準ドイツ語ではルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェンに近い[1]、1770年12月16日頃[2] - 1827年3月26日)は、ドイツの作曲家。J.S.バッハ等と並んで音楽史上極めて重要な作曲家であり、日本では「楽聖」とも呼ばれる。その作品は古典派音楽の集大成かつロマン派音楽の先駆けとされている。

目次 [非表示]

1 生涯

2 作風

2.1 初期

2.2 中期

2.3 後期

3 後世の音楽家への影響と評価

4 芸術観

5 思想

6 人物

6.1 名前

6.2 ベートーヴェンフリーメイソンリー

7 死因また健康について

7.1 聴覚障害について

8 親族

9 弟子

10 代表作

10.1 交響曲(全9曲)

10.2 管弦楽曲

10.3 協奏曲、協奏的作品

10.4 室内楽曲

10.5 ピアノ曲

10.6 オペラ、劇付随音楽、その他の声楽作品

10.7 宗教曲

10.8 歌曲

11 著作

12 伝記

13 脚注

14 参考文献

15 関連項目

16 外部リンク

16.1 録音ファイル

16.2 伝記

生涯

ベートーヴェン(1803年)

1770年12月16日頃、神聖ローマ帝国ケルン大司教領(現ドイツ領)のボンにおいて、父ヨハンと、宮廷料理人の娘である母マリア・マグダレーナ(ドイツ語版)の長男[3]として生まれる。ベートーヴェン一家はボンのケルン選帝侯宮廷の歌手(後に楽長)であり、幼少のベートーヴェンも慕っていた、祖父ルートヴィヒの援助により生計を立てていた。ベートーヴェンの父も宮廷歌手(テノール)[4]であったが、元来無類の酒好きであったために収入は途絶えがちで、1773年に祖父が亡くなると生活は困窮した。1774年頃よりベートーヴェンは父からその才能を当てにされ、虐待とも言えるほどの苛烈を極める音楽のスパルタ教育を受けたことから、一時は音楽そのものに対して強い嫌悪感すら抱くようにまでなってしまった。1778年にはケルンでの演奏会に出演し、1782年11歳の時よりクリスティアン・ゴットロープ・ネーフェに師事した。

1787年、16歳のベートーヴェンウィーンに旅し、かねてから憧れを抱いていたモーツァルトを訪問したが、最愛の母マリアの危篤の報を受けてボンに戻った。母はまもなく死没し(肺結核)[5]、母の死後は、アルコール依存症となり失職した父に代わり、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を支え、父や幼い兄弟たちの世話に追われる苦悩の日々を過ごした。

1792年7月、ロンドンからウィーンに戻る途中ボンに立ち寄ったハイドンにその才能を認められて弟子入りを許され、11月にはウィーンに移住し(12月に父死去)、まもなく、ピアノ即興演奏の名手(ヴィルトゥオーゾ)として広く名声を博した。

20歳代後半ごろより持病の難聴(原因については諸説あり、鉛中毒説が通説)が徐々に悪化、28歳の頃には最高度難聴者となる。音楽家として聴覚を失うという死にも等しい絶望感から、1802年には『ハイリゲンシュタットの遺書』をしたため自殺も考えたが、彼自身の芸術(音楽)への強い情熱をもってこの苦悩を乗り越え、再び生きる意欲を得て新たな芸術の道へと進んでいくことになる。

1804年に交響曲第3番を発表したのを皮切りに、その後10年間にわたって中期を代表する作品が書かれ、ベートーヴェンにとっての傑作の森(ロマン・ロランによる表現)と呼ばれる時期となる。その後、ピアニスト兼作曲家から、完全に作曲専業へと移った。

40歳頃(晩年の約15年)には全聾となっり、更に神経性とされる持病の腹痛や下痢にも苦しめられた。加えて、度々非行に走ったり自殺未遂を起こすなどした甥カールの後見人として苦悩するなどして一時作曲が停滞したが、そうした苦悩の中で書き上げた交響曲第9番や『ミサ・ソレムニス』といった大作、ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲等の作品群は彼の未曾有の境地の高さを示すものであった。

1826年12月に肺炎を患ったことに加え、黄疸も併発するなど病状が急激に悪化し、以後病臥に伏す。病床の中で10番目の交響曲に着手するも未完成のまま翌1827年3月26日、肝硬変のため56年の生涯を終えた。その葬儀には2万人もの人々が参列するという異例のものとなった。この葬儀には、翌年亡くなるシューベルトも参列している。

作風

初期

作曲家としてデビューしたての頃は耳疾に悩まされることもなく、古典派様式に忠実な明るく活気に満ちた作品を書いていた。この作風は、ハイドンモーツァルトの強い影響下にあるためとの指摘もある[6]。

中期

1802年の一度目の危機とは、遺書を書いた精神的な危機である。ベートーヴェンはこの危機を、ウィーン古典派の形式を再発見する事により脱出した。つまりウィーン古典派の2人の先達よりも、素材としての動機の発展や展開・変容を徹底して重視し、形式的・構成的なものを追求した。この後は中期と呼ばれ、コーダの拡張など古典派形式の拡大に成功した。

中期の交響曲はメヌエットではなくスケルツォの導入(第2番以降)、従来のソナタ形式を飛躍的に拡大(第3番)、旋律のもととなる動機やリズムの徹底操作(第5、7番)、標題的要素(第6番)、楽章の連結(第5、6番)、5楽章形式(6番)など、革新的な技法を編み出している。その作品は、古典派の様式美とロマン主義とをきわめて高い次元で両立させており、音楽の理想的存在として、以後の作曲家に影響を与えた。第5交響曲に典型的に示されている「暗→明」、「苦悩を突き抜け歓喜へ至る」という図式は劇性構成の規範となり、後のロマン派の多くの作品がこれに追随した。

これらのベートーヴェンの要求は必然的に「演奏人数の増加」と結びつき、その人数で生み出される人生を鼓舞するかのような強音やすすり泣くような弱音は多くの音楽家を刺激した。

後期

1818年の二度目の危機の時には後期の序曲集に代表される様にスランプに陥っていたが、ホモフォニー全盛であった当時においてバッハの遺産、対位法つまりポリフォニーを研究した。対位法は中期においても部分的には用いられたが、大々的に取り入れる事に成功し危機を乗り越えた。変奏曲やフーガはここに究められた。これにより晩年の弦楽四重奏曲ピアノソナタ、『ミサ・ソレムニス』、『ディアベリ変奏曲』、交響曲第9番などの後期の代表作が作られた。

後世の音楽家への影響と評価

ベートーヴェンの音楽界への寄与は甚だ大きく、彼以降の音楽家は大なり小なり彼の影響を受けている。

ベートーヴェン以前の音楽家は、宮廷や有力貴族に仕え、作品は公式・私的行事における機会音楽として作曲されたものがほとんどであった。ベートーヴェンはそうしたパトロンとの主従関係(および、そのための音楽)を拒否し、大衆に向けた作品を発表する音楽家の嚆矢となった。音楽家=芸術家であると公言した彼の態度表明、また一作一作が芸術作品として意味を持つ創作であったことは、音楽の歴史において重要な分岐点であり革命的とも言える出来事であった。

中でもワーグナーは、ベートーヴェン交響曲第9番における「詩と音楽の融合」という理念に触発され、ロマン派音楽の急先鋒として、その理念をより押し進め、楽劇を生み出した。また、その表現のため、豊かな管弦楽法により音響効果を増大させ、ベートーヴェンの用いた古典的な和声法を解体し、トリスタン和音に代表される革新的和声で調性を拡大した。

一方のブラームスは、ロマン派の時代に生きながらもワーグナー派とは一線を画し、あくまでもベートーヴェンの堅固な構成と劇的な展開による古典的音楽形式の構築という面を受け継ぎ、ロマン派の時代の中で音楽形式的には古典派的な作風を保った。しかし、旋律や和声などの音楽自体に溢れる叙情性はロマン派以外の何者でもなかった。また、この古典的形式における劇的な展開と構成という側面はブラームスのみならず、ドヴォルザークチャイコフスキー、20世紀においてはシェーンベルクバルトークプロコフィエフショスタコーヴィチラッヘンマンにまで影響を与えている。

芸術観

同時代のロマン派を代表する芸術家E.T.A.ホフマンは、ベートーヴェンの芸術を褒め称え、自分たちロマン派の陣営に引き入れようとしたが、ベートーヴェンは当時のロマン派の、形式的な統一感を無視した、感傷性と感情表現に代表される芸術からは距離を置いた。ベートーヴェンが注目したものは、同時代の文芸ではゲーテやシラー、また古くはウィリアム・シェイクスピアらのものであり、本業の音楽ではバッハ、ヘンデルモーツァルトなどから影響を受けた[7]。

ベートーヴェンが「前衛」であったのかどうかは、多くの音楽学者で見解が分かれる。原博は「ベートーヴェンは前衛ではない」と言い切り[8]、彼は当時の「交響曲」「協奏曲」「ソナタ」「変奏曲」などの構造モデルに準拠し、発案した新ジャンルというものは存在しない。ただし、「メトロノームの活用」「母語での速度表示」「ピアノの構造強化と音域の拡張」「楽曲の大規模化」「大胆な管弦楽法」「演奏不可能への挑戦」「騒音の導入(戦争交響曲)」など、後世の作曲家に与えた影響は計り知れないものがある。

思想

ベートーヴェンカトリックであったが敬虔なキリスト教徒とはいえなかった。『ミサ・ソレムニス』の作曲においてさえも「キリストなどただの磔(はりつけ)にされたユダヤ人に過ぎない」と発言した。ホメロスプラトンなどの古代ギリシア思想に共感し、バガヴァッド・ギーターを読み込むなどしてインド哲学に近づき、ゲーテやシラーなどの教養人にも見られる異端とされる汎神論的な考えを持つに至った。彼の未完に終わった交響曲第10番においては、キリスト教的世界と、ギリシア的世界との融合を目標にしていたとされる。これはゲーテが『ファウスト』第2部で試みたことであったが、ベートーヴェンの生存中は第1部のみが発表され、第2部はベートーヴェンの死後に発表された。権威にとらわれない宗教観が、『ミサ・ソレムニス』や交響曲第9番につながった。

また哲学者カントの思想にも触れ、カントの講義に出席する事も企画していたといわれる[7]。

政治思想的には自由主義者であり、リベラルで進歩的な政治思想を持っていた。このことを隠さなかったためメッテルニヒウィーン体制では反体制分子と見られた。

その他にも、天文学についての書物を深く読み込んでおり、彼はボン大学での聴講生としての受講やヴェーゲナー家での教育を受けた以外正規な教育は受けていないにも関わらず、当時において相当の教養人であったと見られている。

人物

身長は165cm前後と当時の西洋人としては中背ながら、筋肉質のがっしりとした体格をしていた。肌は浅黒く、天然痘の瘢痕があったとされるが、肖像画や銅像、ライフマスクや近年明らかとなった多彩な女性関係などから容貌は美男とは言えないものの、さほど悪くなかったのではないかと思われる。表情豊かで生き生きした眼差しが人々に強い印象を与え多くの崇拝者がいた。

基本的に服装には無頓着であり、若い頃には着飾っていたものの、歳を取ってからは一向に構わなくなった。弟子のツェルニーは初めてベートーヴェンに会った時、「ロビンソン・クルーソーのよう」、「黒い髪の毛は頭の周りでもじゃもじゃと逆立っている」という感想を抱いたと言われる。また作曲に夢中になって無帽で歩いていたため、浮浪者誤認逮捕されてウィーン市長が謝罪する珍事も起こった。部屋の中は乱雑であった一方、入浴と洗濯を好むなど綺麗好きであったと言われる。また生涯で少なくとも60回以上引越しを繰り返したことも知られている。

当時のウィーンではベートーヴェンが変わり者であることを知らない者はいなかったが、それでも他のどんな作曲家よりも敬愛されており、それは盛大な葬儀と多数の参列者を描いた書画からも伺える。しかし、「ベートーヴェン変人説」も、メッテルニヒ政権によるデマであるとする見解もある。

潔癖症で手を執拗に洗うところがあった。

性格は矛盾と言っても差し支えのない正反対な側面があった。人づきあいにおいて、ことのほか親切で無邪気かと思えば、厳しく冷酷で非道な行動に出るなどと気分の揺れが激しかった。親しくなると度が過ぎた冗談を口にしたり無遠慮な振る舞いを見せたりすることが多かったため、自分本位で野蛮で非社交的という評判であったとされている。これもどこまで真実なのかは定かではないが、ピアノソナタ・ワルトシュタインや弦楽四重奏曲・大フーガつきの出版に際して、出版社の「カット」命令には律儀に応じている。癇癪持ちであったとされ、女中(女性)に物を投げつけるなどしばしば暴力的な行動に出ることもあったという。

ハイドンに、楽譜に「ハイドンの教え子」と書くよう命じられた時は、「私は確かにあなたの生徒だったが、教えられたことは何もない」と突っぱねた。

パトロンカール・アロイス・フォン・リヒノフスキー侯爵には、「侯爵よ、あなたが今あるのはたまたま生まれがそうだったからに過ぎない。私が今あるのは私自身の努力によってである。これまで侯爵は数限りなくいたし、これからももっと数多く生まれるだろうが、ベートーヴェンは私一人だけだ!」と書き送っている。(1812年)この「場を全くわきまえない」発言の数々はメッテルニヒ政権成立後に仇となり、大編成の委嘱が遠ざかる。

テプリツェでゲーテと共に散歩をしていて、オーストリア皇后・大公の一行と遭遇した際も、ゲーテが脱帽・最敬礼をもって一行を見送ったのに対し、ベートーヴェンは昂然(こうぜん)として頭を上げ行列を横切り、大公らの挨拶を受けたという。後にゲーテは「その才能には驚くほかないが、残念なことに不羈(ふき)奔放な人柄だ」とベートーヴェンを評している。

交響曲第5番の冒頭について「運命はこのように戸を叩く」と語ったことや、ピアノソナタ第17番が“テンペスト”と呼ばれるようになったいきさつなど、伝記で語られるベートーヴェンの逸話は、自称「ベートーヴェンの無給の秘書」のアントンシンドラーの著作によるものが多い。しかし、この人物はベートーヴェンの死後、ベートヴェンの資料を破棄したり改竄(かいざん)を加えたりしたため、現在ではそれらの逸話にはあまり信憑性が認められていない。

聴覚を喪失しながらも音楽家として最高の成果をあげたことから、ロマン・ロランをはじめ、彼を英雄視・神格化する人々が多く生まれた。

死後、「不滅の恋人」宛に書かれた1812年の手紙が3通発見されており、この「不滅の恋人」が誰であるかについては諸説ある。テレーゼ・フォン・ブルンスヴィック(独語版)やその妹ヨゼフィーネ(独語版)等とする説があったが、現在ではメイナード・ソロモン(en:Maynard Solomon)らが提唱するアントニエ・ブレンターノ(独語版)(クレメンス・ブレンターノらの義姉、当時すでに結婚し4児の母であった)説が最も有力である。しかし、「秘密諜報員ベートーヴェン」[9]のような、これらの定説を覆す新たな研究も生まれている。

これらは氷山の一角に過ぎず、20-30代でピアニストとして一世を風靡していたころは大変なプレイボーイであり、多くの女性との交際経験があった。この行動を模倣した人物に、後年のフランツ・リストがいる。

メトロノームの価値を認め、初めて活用した音楽家だといわれている。積極的に数字を書き込んだために、後世の演奏家にとって交響曲第9番ハンマークラフィーアソナタのメトロノーム記号については、多くの混乱が生まれている。

彼はイタリア語ではなく、母語ドイツ語で速度表示を行った最初の人物である。この慣習の打破はあまり歓迎されず、多くの当時の作曲家も速度表示にはイタリア語を用い、本人も短期間でイタリア語に戻している。

パンと生卵を入れて煮込んだスープや、魚料理に肉料理、茹でたてのマカロニにチーズを和えたものが大好物であった。またワインを嗜み、銘柄は安物のトカイワインを好んでいた。父親に似て大の酒好きであり、寿命を縮めることになったのは疑いがない。

コーヒーは必ず自ら豆を60粒数えて淹れたという[10]。

名前

原語であるドイツ語ではルートゥヴィヒ・ファン・ベートホーフェン ドイツ語発音: [ˈluːtvɪç fan ˈbeːthoːfən] ( 音声ファイル)と発音される。

日本では明治時代の書物の中には「ベートーフェン」と記したものが若干あったが、ほどなく「ベートーヴェン」という記述が浸透していき、リヒャルト・ワーグナーのように複数の表記が残る(ワーグナーヴァーグナー、ワグネル)こともなかった。唯一の例外は、NHKおよび教科書における表記の「ベートーベン」である。

姓に“van”がついているのは、ベートーヴェン家がネーデルラントフランドル)にルーツがあるためである(祖父の代にボンに移住)。vanがつく著名人といえば、画家のヴァン・ダイク(van Dyck)、ファン・エイク(van Eyck)、ファン・ゴッホ(van Gogh)などがいる。

vanはドイツ語オランダ語では「ファン」と発音されるが、貴族を表す「von(フォン)」と間違われることが多い。「van」は単に出自を表し、庶民の姓にも使われ、「van Beethoven」という姓は「ビート(Beet)農場(Hoven)主の」という意味に過ぎない。しかしながら、当時のウィーンではベートーヴェンが貴族であると勘違いする者も多かった。

偉大な音楽家を意味する「楽聖」という呼称は古くから存在するが、近代以降はベートーヴェンをもって代表させることも多い。例えば3月26日の楽聖忌とはベートーヴェンの命日のことである。

ベートーヴェンフリーメイソンリー

詳細は「フリーメイソン#ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」を参照

死因また健康について

慢性的な腹痛や下痢は終生悩みの種であった。死後に行われた解剖では肝臓、腎臓、脾臓、他、多くの内臓に損傷が見られた。これらの病の原因については諸説あり、定説はない。近年、ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されて注目を集めた。鉛は聴覚や精神状態に悪影響を与える重金属であるが、ベートーヴェンがどのような経緯で鉛に汚染されたかについても諸説あり、以下のごとくである。

ワインの甘味料として用いられた酢酸鉛とする説。

1826年の1月から、肝障害による腹水治療を行ったアンドレアス・ヴァヴルフ医師が、腹部に針で穿刺して腹水を排水した際、毛髪の分析結果では腹部に穿孔するたびに鉛濃度が高くなっていることから、傷口の消毒のために使用された鉛ではないかとする説。

聴覚障害について

難聴(40歳頃には全聾となった)の原因については諸説[11]ある。

耳硬化症説

伝音性の難聴であり、中耳の耳小骨の「つち・きぬた・あぶみ」の内のあぶみ骨が硬化して、振動を伝達できず、音が聞こえなくなる難病。ベートーヴェンの難聴が耳硬化症である論拠として、ベートーヴェンが人の声は全く聞こえていなかったにも関わらず、後ろでピアノを弾いている弟子に、「そこはおかしい!」と注意したエピソードが挙げられる。これは耳硬化症に特有の、人の声は全く聞こえなくなるが、ピアノの高音部の振動は僅かに感じ取ることが出来る性質にあると考えられる。

又、ベートーヴェンは歯とピアノの鍵盤をスティックで繋ぐことで、ピアノの音を聞いていたという逸話もこの説を裏付ける論拠として挙げられる。

先天性梅毒説

「蒸発性の軟膏を体に塗り込んだ(水銀の可能性。当時梅毒の治療法の一つ)」という記述がある為に、論拠とされている。しかし、後にベートーヴェンの毛髪を分析した結果、水銀は検出されず、又、梅毒は眩暈(めまい)の症状を併発するにも関わらず、そうした話が無い為に、先天性梅毒説は説得力の乏しいものとなっている。

鉛中毒説

上載の死因また健康についてを参照。

メッテルニヒ政権説

ベートーヴェンが難聴であっても完全に失聴していたかどうかは、21世紀の現代では疑問視する声が大きい。ベートーヴェンは1820年代のメッテルニヒ政権ではブラックリストに入れられたため、盗聴を防ぐために「筆談帳」を使った可能性は大きい。その延長として「ベートーヴェンは暗号を用いていた」という仮説に基づく「秘密諜報員ベートーヴェン」[9]という書籍が出版された。

有名な逸話に「女中に卵を投げつけた」という類の物が残されているが、これは「女中に変装したスパイ」への正当防衛であるという見解がある。

デビューほやほやのリストの演奏に臨み、彼を高く評価したのは、もし失聴していれば出来ない行為である。

完全失聴や聴覚障害を患った作曲家に、ボイスやフォーレがいるが、彼らの作曲活動はその後伸び悩んでいるのに対し、失聴したベートーヴェンはその間に多くの重要作を書いている。

親族

祖父:ルートヴィヒ同姓同名) (英語版)

フランドル地方メヘレン出身。ケルン大司教(選帝侯)クレメンスアウグストに見出され、21歳でボンの宮廷バス歌手、後に宮廷楽長となった。

祖母:マリア・ヨゼファ

父:ヨハン

母:マリア・マグダレーナ(ドイツ語版)  ヨハンとは再婚(初婚は死別)。肺結核により死去。

弟:カスパール・アントンカール

甥:カールドイツ語版)  カスパールの息子。1806年生まれ~1858年没。1826年にピストル自殺未遂事件を起こす。

弟:ニコラウス・ヨーハン

同姓同名の兄や妹2人がいるがすぐになくなっている。

カールの血筋が現在も残ってはいるが、ベートーヴェン姓は名乗っていない。カールの直系子孫の一人であるカール・ユリウス・マリア・ヴァン・ベートーヴェン(1870年5月8日生まれ)が1917年12月10日に他界したのを最後に、ベートーヴェン姓を名乗る子孫は途絶えている。

弟子

カール・ツェルニー - クラヴィア奏者・作曲家。

フェルディナント・リース - ボンのクラヴィア奏者・作曲家。

ルドルフ大公 - ベートーヴェンの最大のパトロン。のちにオルミュッツ大司教。弟子としては唯一、ベートーヴェンが彼のために曲を書いている。

ドロテア・エルトマン男爵夫人 - メンデルスゾーンと交流。

アントンシンドラー - 秘書だが、弟子とされることがある。

代表作

詳細は「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照

交響曲(全9曲)

第1番 ハ長調 op.21

第2番 ニ長調 op.36

第3番 変ホ長調エロイカ(英雄)』 op.55[12][13]

第4番 変ロ長調 op.60

第5番 ハ短調 (運命) op.67 [12][13]

第6番 ヘ長調 『田園』 op.68 [12]

第7番 イ長調 op.92

第8番 ヘ長調 op.93

第9番 ニ短調 (合唱付き) op.125 [12][13]

管弦楽曲

『レオノーレ』序曲第1番 op.138

『レオノーレ』序曲第3番 op.72b

序曲『コリオラン』ハ短調 op.62

交響曲『ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い』 op.91

『命名祝日』序曲 op.115

『アテネの廃墟』序曲 ハ長調op.113

『献堂式』序曲 ハ長調op.124

協奏曲、協奏的作品

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 『皇帝』 op.73 [12]

ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.61

ロマンス第1番 ト長調 op.40

ロマンス第2番 ヘ長調 op.50

三重協奏曲(ピアノヴァイオリン・チェロのための)ハ長調 op.56

合唱幻想曲 ハ短調 op.80

室内楽曲

弦楽四重奏曲(全16曲)

第7番 ヘ長調(ラズモフスキー第1番) op.59-1

第8番 ホ短調(ラズモフスキー第2番) op.59-2

第9番 ハ長調(ラズモフスキー第3番) op.59-3

第10番 変ホ長調(ハープ) op.74

第11番 ヘ短調『セリオーソ』 op.95

第12番 変ホ長調 op.127

第13番 変ロ長調 op.130

大フーガ 変ロ長調 op.133

第14番 嬰ハ短調 op.131

第15番 イ短調 op.132

第16番 ヘ長調 op.135

弦楽五重奏曲 (全3曲)

ヴァイオリンソナタ(全10曲)

第5番 ヘ長調 『春』 op.24

第9番 イ長調 『クロイツェル』 op.47

チェロソナタ(全5曲)

ピアノ三重奏曲(全7曲)

第5番 ニ長調『幽霊』 op.70-1

第7番 変ロ長調『大公』 op.97

その他の室内楽曲

ホルン・ソナタ ヘ長調 op.17

六重奏曲 op.81b

七重奏曲 変ホ長調 op.20

管楽八重奏曲 op.103

ピアノ曲

ピアノソナタ(全32曲)  

第8番 ハ短調『悲愴』 op.13

第14番 嬰ハ短調 『月光』 op.27-2 [13]

第15番 ニ長調 『田園』

第17番 ニ短調『テンペスト』 op.31-2

第21番 ハ長調 『ヴァルトシュタイン』op.53

第23番 ヘ短調 『熱情』 op.57 [12][13]

第26番 変ホ長調『告別』 op.81a

第29番 変ロ長調ハンマークラヴィーア』 op.106

第30番 ホ長調 op.109

第31番 変イ長調 op.110

第32番 ハ短調 op.111

その他のピアノ曲(変奏曲、バガテル等)

創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 op.34

創作主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)変ホ長調 op.35

『ゴッド・セイヴ・ザ・キング』の主題による7つの変奏曲 ハ長調 WoO.78

ルール・ブリタニア』の主題による5つの変奏曲 ニ長調 WoO.79

創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80

創作主題による6つの変奏曲 ニ長調 op.76

ディアベリのワルツによる33の変容(ディアベリ変奏曲) ハ長調 op.120

アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57

幻想曲 op.77

ポロネーズ ハ長調 op.89

7つのバガテル op.33

11の新しいバガテル op.119

6つのバガテル op.126

バガテル『エリーゼのために』 WoO.59

本来の曲名は『テレーゼのために』であった、という説が有力視されている。

オペラ、劇付随音楽、その他の声楽作品

歌劇『フィデリオ』 op.72c

劇付随音楽『エグモント』op.84

劇付随音楽『アテネの廃墟』 op.113

バレエ音楽プロメテウスの創造物』 op.43

オラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』 op.85

カンタータ『静かな海と楽しい航海』 op.112

別れの歌

皇帝ヨーゼフ2世の為の葬送カンタータ WoO.87

宗教曲

ミサ曲 ハ長調 op.86

ミサ・ソレムニス ニ長調 [12] 

修道僧の歌

歌曲

アデライーデ op.46

汝を愛す

鶉の鳴き声

新しい愛、新しい生

口づけ

追憶

懺悔の歌

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2017-10-23

anond:20170630164348

さすがに「アホノミクス」は、反アベな人でもあまり使っていないから、最後羞恥心は残っているんだろう。

ただ、検索で今年一年以内に絞ると、

毎日新聞角川書店講談社書評が載ったり記事が出たりしているので、大手出版社でこれか…という感じが。この人の本って売れるんですかね?売れてるから出るのか…

2017-09-26

井上伸一郎氏にクソリプ飛ばす勢

多分、角川書店KADOKAWAカドカワ区別もロクについていないとは思うのだが、

彼の判断たつき監督降板させたみたいなツイートをみると、全身から力が抜ける気持ちになる。

なんかもうたつき監督降板とかどうでもよくて、理由つけて罵詈雑言を浴びせるのが気持ちいい人種なんだろうな。

2017-01-04

君の名がヒットしたのは、東宝が本気出したから。

http://anond.hatelabo.jp/20170104113800

細かな話は省くけど、君の名は。には、最大手広告代理店もついていなければ、テレビ局もついてないんです。

http://ch.nicovideo.jp/tep/blomaga/ar1038280

本作の出資者製作委員会)達を眺めても異様だ。失礼は重々で言うなら『大ヒット作品が作れない”制作会社」「お世辞にも大手と言えない広告代理店」「何を思って出資たかからない音楽アーティスト会社」「歌手所属する小さな有限事務所」「まあ少しでも利益になれば良いかな?(忖度)と思って舟に乗ったチケット屋」。そして、その他出版物と同様に赤字が出ない程度に捌ければ良いと考えたで(あろう)角川書店

なのに、東宝だけはいきなり300館上映で、ちょっと興味持った人がすぐに見れる環境ができあがってしまった。

からヒットしたんですよ。

2016-06-14

ブログ名に「徒然なる・・」をつけてるブログ、内容ろくでもない説

卜部左兵衛佐兼好「同感だ。俺様経験から考えても、たいていは碌でもないことしか書いてない」2016/06/13 01:13

誰それ?

風巻景次郎は、尊卑分脈の系図の記載によって、吉田家傍流の兼顕の子で、後二条天皇の六位蔵人となり、ついで五位に叙され、左兵衛佐に任じたと推定し(『西行と兼好』角川選書 角川書店 昭44。初出昭27)、これが通説となってきた。しかし、拙稿「卜部兼好批判―「兼好法師から吉田兼好」へ」(国語国文学研究熊本大学文学部〕49、平26・3)で考証した如く、この系譜と経歴は、戦国時代吉田家当主、兼倶(一四三五~一五一一)が捏造したものである兄弟とされてきた大僧正慈遍とも血縁はない。兼倶はなんらかの方法で兼好が一時卜部氏を称したことを知り、自らの家系に取りこんだらしい。吉田家号室町期に入って用いられたので「吉田兼好」の称が不適当であることは既に指摘されているが、兼倶以前に兼好が卜部氏であることに言及した者はいない。「兼好法師」の称を用いるべきであろう。

2016-02-17

http://anond.hatelabo.jp/20160217000630

ギャルゲーブランドなんて10年前は色んな所で作ってたイメージだったのが



イメージ」がどうかはわからないが「事実」ではないな。

2015年マルチプラットフォームで水増しされてるので、それはまとめて1タイトルカウントするなら88タイトルまで減る(手作業集計なので多少は誤差があるかもしれない)。

それを言い出すと2005年廉価版でかなり水増しされている(2015年にも少しはあるが、2005年はぱっと見20本ぐらいは過去に通常価格で出したソフトの出し直しだ)。

オマケ、メーカーリスト

2005年2015年
GNソフトウェアARIA
KID5pb.Games
TAKUYOdramatic create
WellMADEGNソフトウェア
アイディアファクトリーPLAYISM
アクアプラスZENITH BLUE
アルケミストアクアプラス
イエティアルケミスト
インターチャネルイエティ
コナミガスト
ザウス/日本一ソフトウェアガラット
サクセスコンパイルハート
ジェネックスシステムソフト・アルファー
スターフィッシュシルキープラスアルファ
セガセガ
ソニー・コンピュータエンタテインメントディースリー・パブリッシャー
ディースリー・パブリッシャーテイジイエル
データム・ポリスターバンダイナムコエンターテインメント
トミーバンダイナムコゲームス
バンダイフリュー
ピオーネソフトプロトタイプ
フォグマーベラス
プリンセスソフトみなとすてーしょん
ブロッコリーメディアケープ
マーベラスインタラクティブ加賀クリエイト
メーカー角川ゲームス
メディアワークス工画堂スタジオ
角川書店日本一ソフトウェア
工画堂スタジオ/日本一ソフトウェア

何も考えずにExcelソートしたらセガの隣がセガになったのはともかく、KIDの隣が5pb.になったのに感動したので貼った。それだけ。

よく見るとメーカーカウント修正する必要があるが面倒なのでこのまま。

2014-10-25

十二国記」 「小野不由美」 「新作小説」 ついにキタ!?

十二国記シリーズなどで知られる小説家小野不由美の新作「営繕かるかや怪異譚」が12月3日KADOKAWA角川書店より刊行される。装画は「蟲師」の漆原友紀が手がけた。

http://natalie.mu/comic/news/129285

ああ、うん・・・十二国記シリーズの続編ではないんだね・・・

何だろう、このバーボンハウスに入ったみたいなこの気持ち。

毎週、Googleニュース検索で「十二国記」って検索して、

全然関係ない記事ばかりが載る検索結果を見続けて、

ようやく動きがあったかと思ったら、この結末。

2014-07-31

http://anond.hatelabo.jp/20140731170818

エンターブレインとか角川書店のような出版社

こう書いてあったか大手でしょ

都内書店ならわりと弱小なとこも扱ってるし

アーリーアダプター漫画読みは都内在住が多いから面白ければ拡散されると思うけどね

一部の売れっ子漫画家しかからない出版社のあくどい手段がきつい

売れない訳じゃないけど一定クラスの売上げで印税収入160万程度じゃ暮らしていけないのは無理ない。

エンターブレインとか角川書店のような出版社が彼らにお金を出し渋ってる限り、きっと今後良質の作品は出て来ず

粗製乱造コピー商品の類しか生まれて来ない。

それをこの間秋元康主導でメディア戦略を講じようとした政府方針を見ても良質な作品を出せるだけ出させても

それに見合ったお金を出さないのは明らかで、出版社もこれに乗っかってる時点で出版業界もこれだから斜陽産業だと揶揄されるんだ。

印税満額で出せとは言わないけど、漫画家が血反吐吐いてようやく完成した傑作に対するインセンティブが程度知れてるなら

家電業界製造業界が衰退した時と同じように他所の国に人材流出するのも分からなくはない。

日本には実力や実績に見合うだけのインセンティブを常に出し渋って来た背景がある。

そのせいで、今じゃ他国に追い抜かれても追い抜く力が育たないままだ。

ある程度実力がある人は皆他国の実力ある会社に引き抜かれていくのは残念でもないし当然だ。

見合ったお金を払う、ただそれだけの事を渋るようじゃ、その業界未来なんて永劫来ない。

2014-05-31

ラノベ作家デビューできても3年以内に消える!はホントなのか?



*6/12追記しました (この記事には間違いが非常に多くあります、詳しくは記事最下部を御覧ください)

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3年前に1年間にデビューする新人ライトノベル作家は大体何人くらいなのか?という疑問について調べた以下の記録があります

2011年デビューしたライトノベル作家は何人でしょう? → 答.104人

 http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/news/1324040929/

    104人内訳

    やのゆい 乙姫式 月本一 湊利記 会川潮 川波無人 上総朋大奈川景晶 更伊俊介 根木健太 一橋

    浅羽なつ 朽葉屋周太郎宇部貞人 広沢サカキ 蝉川タカマル 和ヶ原聡司 兎月山羊 飛田マンダム

    阿羅本景 水上貴之 水沢黄平 葛西イダ榎本俊二 森野樹 みなみケント 西村文宏 槙岡きあん 朝倉サクヤ

    岸杯也 雨野智晴 野村193 中谷栄太 浅生楽 竜ノ湖太郎 若桜拓海 宮元戦車 カミツキレイニー 赤月カケヤ

    竹雀綾人 水無瀬さんご 明坂つづり 樹カナタ 澄守彩 森田陽一 中維 かみじま柚水 望公太 ツガワトモタカ

    大黒尚人 花花まろん 黛ましろ 浅葉なつ 末羽瑛 椎出啓 かじいたかし 鷹山誠一 秀章 根岸和哉 村上凛

    柊晴空 砂義出雲 秋目人 佐島勤 波乃歌 黒宮竜之介 東方博 彩木沙茄 叡惟匡見 野口祐加 優妃崎章人

    夜空野ねこ 神堂劾 北原みのる 玉城琴也 森田季節 マナベスグル 小林がる 火海坂猫 大坂翠 天羽伊吹

    中田村上裕一 瓜亜錠 千羽カモメ 本村大志 石原宙 葉巡明治 初美陽一 鷲宮だいじん 秋水 八針来夏

    大澤誠 小岩井蓮二 太田竹内高木幸一 山田隆道 直井章 佐原菜月 二丸修一 宮澤伊織 遊佐真弘 涼木行

ここから現在2014年)、いったい何人が続刊を出し作家を続けているのかを調べてみました

上の104人ついてもそうですが調査は結構キトー、活動の有無は単純に2014年に発刊された本があるかないかで分けています

以下がその結果です

 ●が現在も活動されている方

 --が現在は活動されていないと思われる方です


    シリーズ数   作品数     作家名     主なレーベルデビューレーベル


 ●     20     30     森田季節      MF

 ●     18     18     北原みのる     ぷちぱら      *成人向けレーベル

 ●     02     15     初美陽一      GA

 ●     06     14     望公太       HJ

 ●     01     13     佐島勤       電撃        *アニメ化魔法科高校の劣等生

 ●     01     11     和ヶ原聡司     電撃        *アニメ化はたらく魔王さま

 ●     01     11     竜ノ湖太郎     MF         *アニメ化問題児たちが異世界から来るそうですよ

 ●     11     11     夜空野ねこ     ぷちぱら      *成人向けレーベル

 ●     04     10     川波無人      一迅社

 ●     02     10     上総朋大      ファンタジア

 ●     04     10     兎月山羊      電撃

 ●     01     10     岸杯也       MF

 ●     02     10     鷹山誠一      HJ

 ●     01     09     更伊俊介      ファミ通       *アニメ化犬とハサミは使いよう

 ●     02     09     雨野智晴      MF

 ●     07     09     水無瀬さんご    一迅社

 ●     01     09     村上凛       ファンタジア

 ●     02     08     ツガワトモタカ   HJ

 --     03     07     阿羅本景      スーパーダッシュ

 ●     02     07     中谷栄太      GA

 ●     02     07     澄守彩       講談社ラノベ

 ●     01     07     大黒尚人      ファンタジア

 --     02     07     高木幸一      GA

 --     02     06     多宇部貞人     電撃

 --     02     06     広沢サカキ     電撃

 ●     02     06     蝉川タカマル    電撃

 ●     02     06     赤月カケヤ     ガガガ

 ●     05     06     浅葉なつ      メディアワークス

 --     04     06     秋目人       電撃

 ●     03     06     葉巡明治      スーパーダッシュ

 --     02     05     八奈川景晶     ファンタジア

 --     05     05     朽葉屋周太郎    メディアワークス

 --     02     05     カミツキレイニー  ガガガ

 --     02     05     明坂つづり     ガガガ

 --     02     05     森田陽一      GA

 ●     04     05     中維        電撃

 --     01     05     かじいたかし    HJ

 --     01     05     砂義出雲      ガガガ

 ●     05     05     玉城琴也      ぷちぱら       *成人向けレーベル

 --     01     05     瓜亜錠       HJ

 ●     03     05     竹内佑       ガガガ

 ●     02     05     二丸修一      電撃

 --     02     05     宮澤伊織      スニーカー

 --     01     04     やのゆい      ファミ通

 ●     02     04     みなみケント    スニーカー

 --     02     04     浅生楽       メディアワークス

 ●     02     04     若桜拓海      HJ

 --     03     04     樹カナタ      スーパーダッシュ

 --     01     04     火海坂猫      GA

 ●     02     04     石原宙       スーパーダッシュ

 ●     02     04     八針来夏      スーパーダッシュ

 --     01     04     遊佐真弘      MF

 --     02     03     乙姫式       ファミ通

 ●     03     03     月本一       ファミ通

 --     02     03     飛田マンダム    スーパーダッシュ

 --     03     03     水上貴之      一迅社

 --     02     03     末羽瑛       電撃

 --     02     03     秀章        ガガガ

 --     02     03     根岸和哉      ファンタジア

 --     02     03     柊晴空       ファンタジア

 --     02     03     波乃歌       電撃

 ●     03     03     優妃崎章人     ぷちぱら        *成人向けレーベル

 --     02     03     マナベスグル    ファンタジア

 --     02     03     小林がる      ファンタジア

 --     02     03     天羽伊吹清     電撃

 --     01     03     千羽カモメ     MF

 --     01     03     本村大志      MF

 --     01     03     小岩井蓮二     MF

 ●     03     03     太田僚       一迅社

 --     01     03     涼木行       MF

 --     01     02     湊利記       講談社BOX

 --     01     02     会川潮       スーパーダッシュ

 --     01     02     根木健太      ファミ通

 --     01     02     一橋鶫       ファミ通

 --     01     02     森野樹       講談社BOX

 --     01     02     朝倉サクヤ     スーパーダッシュ

 --     01     02     宮元戦車      HJ

 --     01     02     花花まろん     GA

 ●     02     02     椎出啓       スニーカー

 --     01     02     黒宮竜之介     電撃

 --     02     02     野口祐加      幻狼ファンタジア

 --     02     02     神堂劾       ぷちぱら         *成人向けレーベル

 --     02     02     大坂翠       メディアワークス

 --     02     02     中田明       電撃

 --     01     02     鷲宮だいじん    電撃

 ●     01     02     秋水        スニーカー

 --     01     02     大澤誠       スーパーダッシュ

 ●     01     02     佐原菜月      電撃

 --     01     01     水沢黄平      ファンタジア

 --     01     01     葛西イダイ    電撃

 --     01     01     西村文宏      HJ

 --     01     01     槙岡きあん     スーパーダッシュ

 --     01     01     野村193     ファンタジア

 --     01     01     竹雀綾人      スーパーダッシュ

 --     01     01     かみじま柚水    スーパーダッシュ

 --     01     01     黛ましろ      美少女           *成人向けレーベル

 --     01     01     東方博       幻狼ファンタジア

 --     01     01     彩木沙茄      幻狼ファンタジア

 --     01     01     叡惟匡見      幻狼ファンタジア

 --     01     01     山田隆道      メディアワークス

 --     01     01     直井章       電撃

 △     **     **     浅羽なつ                   *浅葉なつの間違い(重複)

 △     **     **     榎本俊二                   *漫画家

 △     **     **     村上裕一                   *非ラノベ作家



結論としては

元の104人には非ライトノベル作家や成人向けレーベル作家が混じってしまっているのでその方たちを除き、母数を104人改め95人とし


3年後も作家活動を続けている確率

 35人 / 95人 = 37%

3年以内にアニメ化する確率

 04人 / 95人 = 04%



となりました

発刊3巻以下で活動を辞めてしまった方達が43人もいます

逆に既にアニメ化されている作品執筆している方も4人いますが、全員が1シリーズのみです

ちなみに出版社レーベル毎に見ると


 アスキー・メディアワークス - KADOKAWA (電撃文庫

   07人 / 18人 = 39%

 アスキー・メディアワークス - KADOKAWA (メディアワークス文庫

   01人 / 05人 = 20

 メディアファクトリー - KADOKAWA    (MF文庫J

   04人 / 09人 = 44%

 角川書店 - KADOKAWA          (角川スニーカー文庫

   03人 / 04人 = 75%

 エンターブレイン - KADOKAWA      (ファミ通文庫

   02人 / 06人 = 33

 富士見書房 - KADOKAWA         (富士見ファンタジア文庫

   03人 / 10人 = 30%

 ソフトバンククリエイティブ        (GA文庫

   02人 / 06人 = 33

 一迅社                  (一迅社文庫

   03人 / 04人 = 75%

 小学館                  (ガガガ文庫

   02人 / 06人 = 33

 講談社                  (講談社BOX講談社ラノベ文庫

   01人 / 03人 = 33

 集英社                  (集英社スーパーダッシュ文庫

   03人 / 12人 = 25%

 ホビージャパン              (HJ文庫

   04人 / 08人 = 50%

 幻冬舎                  (幻狼ファンタジアノベルス

   00人 / 04人 = 00%




 成人向けレーベル             パラダイム(ぷちぱら文庫) フランス書院美少女文庫

   04人 / 06人 = 66%

 角川レーベル

   20人 / 52人 = 38%

 非角川レーベル

   15人 / 43人 = 34%


アニメ化率は

 角川レーベル

   03人 / 52人 = 06%

 非角川レーベル

   01人 / 43人 = 02%



ということで表題ラノベ作家デビューできても3年以内に消えるってホントなの?」に対する答えは

 ― 3人に2人くらいは消えるけど、20人に1人くらいはアニメ化までこぎ着ける

でした

6/12追記

もう誰も見ないだろうと思いましたが「ラノベ作家 デビュー」等のワードで検索しするとそれなりに上の方に出るみたいなので一応追記しておきます

まず杜撰な調査でラノベ作家を辞めたかのように書いてしまった作家の方たちには謝罪します、申し訳ありませんでした

あくまで本年に入ってから5月末までに発刊されていないという意味で活動されていないと便宜的に表現したつもりでしたが

タイトルがそもそも消える消えないなので普通に見れば消えた作家と捉えられてしまうでしょう、改めてすみません

それ以前に単純なミスで活動を辞めた作家に入っている方もいるようです、こちらも本当に申し訳ありませんでした

このように片手間の非常に雑な調査なのですが下記のブログで具体的に間違いを指摘してくれていますので

気になる方はぜひ見てください

ラノベ作家デビューできても3年以内に消える!はホントなのか?」に、ツッコミを入れてみた

http://blog.livedoor.jp/gurgur717/archives/51515893.html

2014-03-18

http://anond.hatelabo.jp/20140318154444

残念だが民民案件裁判は、どんな言いがかりだろうがくだらない理由だろうが、起こすことは可能。

もちろん裁判所も受付時から裁判開始から、あらゆる手段で原告に「訴えるな」圧力をかけるけど、

原告の神経が太ければ、とにかく一通りの裁判は始まる。

被告には結構コストがかかるんだよ。

くだらない案件だと弁護士も受けてくれない(まぁアドバイスはしてくれるけど)。被告が毎回出廷しないといけないし、

当然原告敗訴・被告の勝ちになっても、被告の得られるものはないし。

から裁判官弁護士被告

「くだらない訴訟で、あなたに非がないことは重々承知しているが、原告敗訴の判決が降りても

控訴してくるかもしれない。その手間暇を考えたら、あなたが悪くなくても和解に応じるのも一つの手だ」

アドバイスしてくるなんてのも、よくある話し。

そんな被告理不尽裁判で有名なのが

「うちのネコが訴えられました!?

http://ameblo.jp/tackchan/entry-10002129289.html

角川書店から書籍も出ているけど、ブログ版をどうぞ。

あと「司法書士だった祖父が亡くなって3年。過払い請求?がきた!!その額なんと800万。」

http://oniyomediary.com/archives/3809322.html

2014-01-17

http://anond.hatelabo.jp/20140117000618

僕らの社会においてセックスは、金銭とはまったく別の、もうひとつ差異システムなのだ

そして金銭に劣らず、冷酷な差異システムとして機能する。

そもそも金銭のシステムセックスシステム、それぞれの効果はきわめて厳密に相対応する。

経済自由主義ブレーキがかからないのと同様に、そしていくつかの類似した原因により、セックス自由化は「絶対的貧困化」という現象を生む。

何割かの人間毎日セックスする。何割かの人間人生で五、六度セックスする。そして一度もセックスしない人間がいる。

何割かの人間は何十人もの女性セックスする。何割かの人間は誰ともセックスしない。

これがいわゆる「市場法則である

解雇が禁止された経済システムにおいてなら、みんながまあなんとか自分の居場所を見つけられる。

不貞が禁止されたセックスシステムにおいてなら、みんながまあなんとかベッドでのパートナーを見つけられる。

完全に自由な経済システムになると、何割かの人間は大きな富を蓄積し、何割かの人間失業貧困から抜け出せない。

完全に自由なセックスシステムになると、何割かの人間は変化に富んだ刺激的な性生活を送り、何割かの人間マスターベーション孤独だけの毎日を送る。

経済自由化とは、すなわち闘争領域の拡大である

それはあらゆる世代、あらゆる社会階層に向けて拡大している。

同様に、セックス自由化とは、すなわち闘争領域の拡大である

それはあらゆる世代、あらゆる社会階層に拡大している。


「そうだとも。ずっと前から駄目なんだ。最初から駄目なんだよ。ラファエル

君は絶対に、若い娘が抱くエロチックな夢をかなえられない。

仕方がないものと諦めなくてはいけない。

自分はこういった物事に縁がないことを受け入れることだ。

いずれにせよ、手遅れなんだ。

いいかいラファエルセックス面における敗北を君は若いから味わってきた。

十三から君につきまとってきた欲求不満は、この先も消えない傷跡になるだろう。

たとえ君がこの先、何人かの女性関係を持てたとしても――はっきりいってそんなことはないと思うけど――それで満たされることはないだろう。

もはや、なにがあっても満たされることはない。

はいつまでも青春時代恋愛を知らない、いってみれば孤児だ。

君の傷は今でさえ痛い。痛みはどんどんひどくなる。

容赦のない、耐え難い苦しみがついには君の心を一杯にする。

君には救済も、解放もない。そういうことさ。」


ミシェル・ウエルベック『闘争領域の拡大』(中村佳子訳、角川書店、P111-112,133)より


ブクマコメ返

nenesan0102

男性には風俗があるけれども、もてない、とことんもてない男に縁がない女性には風俗すらないので、女の人のほうが切ないんじゃないかなと私は思っています。。。 2014/01/17

でしょうね。「もてない男」は可視化されてるけど「もてない女」はサバルタン

dagama

金が無いと困るけどセックスが無くても困らないから貧困にはならないのでは? 2014/01/17

心の貧困をうみます

hal9009

内面の問題だけに公権力による再配分はありえないもんなw 2014/01/17

トラバにもありますが、性の再分配とか性の公共事業なんて明らかに人権侵害ですからね。

経済自由化倫理的に批判されますが、性の自由化絶対善、だからこそラファエルは救われないのです。

wdnsdy

金は生きるために誰でも絶対にある程度は必要だけど、セックス場合必要ない人はゼロでも全然普通に生きてられる(心の貧困も産まない)んだが、その点はどうなんよ? 2014/01/17

もちろんノンセクの人たちは異性愛が満たされないことで心が貧困になったりしないでしょう。

ここでは「強制的異性愛ワナに絡め取られた(上野千鶴子発情装置』より)」あわれな人たちの話をしています

plusqplusq

強制的異性愛ワナから脱出すればいいじゃん。それができないなら自由恋愛市場にて満たされるよう動くしかない。 2014/01/17

上野千鶴子ほど聡明で自らのセクシュアリティ自覚的な人でさえ「ワナに絡め取られている」と認めるのですから

わたしたち凡人がそこから脱出するのはなかなか難しいでしょう。

セクシュアリティを自由に操作する薬の開発が待たれますね。

2013-12-03

ロジック・ロック・フェスティバル』は盗作なのか?

 先日ネット上にて、星海社から発売された『ロジック・ロック・フェスティバル』が古野まほろの『天帝のはしたなき果実』の盗作であるという疑惑が生じ話題となった。

 そして、その『ロジック・ロック・フェスティバル』が本日、晴れて全文公開された。

http://sai-zen-sen.jp/awards/logic-lock-festival/

 そういうわけで今日は本作が本当に盗作であるかというかのを考えていきたいのだが、その前提として知っておかなければならない事実として、「盗作」とは何かということである

 ここで日本盗作について一番詳しく書いている栗原裕一郎の『〈盗作〉の文学史から一部引用させていただこう。

 本文に先立ち、何を「盗作」と呼んでいるかをはっきりさせておく必要があるだろう。

 「盗作」にしろ剽窃」にしろ、いずれも俗語から、明確な定義は持っていない。

 したがって、「盗作であるか否かを区別する客観的基準というものも――明白な著作権侵害である場合を除いて――存在しない(中略)「影響」も「模倣」と捉えれば、広義には「盗作」と呼べないこともない。

 つまり何かが盗作であると断ずるには、著作権侵害レベルの一致がない限り難しいのである。そして、肝心の版元である星海社盗作の件について

今回の「盗作疑惑につきましては完全な事実無根であることを表明いたします。

 と、はっきりと否定。また、盗作された側である古野まほろtwitter

本歌取り日本の伝統、本格の伝統です。だから、もし本歌取りを「盗作」などと貶めるなら、それはとんでもない侮辱冤罪です。私は、元の和歌が分かるマナーのある本歌取りなら、むしろ嬉しく思います。逆なら悲しい。私は、話もせず真実も知らず、人を断罪することは、不正義だと考えます(古野)

 と言っており、両者の意見が「盗作ではない」と一致しており、晴れて『ロジック・ロック・フェスティバル』が盗作ではないことが確定したのである。パチパチパチ。

 しかし、それでは面白くない両者の意見をよく較べてみると、あらゆる面で一致しているわけではない。

 古野側は

ですから「類似点が多い」のはどうしてか。そして、これまで古野について一切、どこかで語ったり、書かれたりしていないのは何故なのか。これらがハッキリすれば、何の問題もないと思います。「盗作」は考えにくいから。もし本格の後継者でいらっしゃるのなら、古野とは仲間だから島津

 という具合に、盗作とは言わないが、こんだけ類似点が多いのは偶然で済ませられないだろと主張しているのに対し、星海社側はあくまで、

本作『ロジック・ロック・フェスティバル』においては小説を構成する主要素であるところのテーマプロットキャラクターおいて、先行作品との「盗作」に該当する類似点は一切ございません。

 と類似点なんてねーよと全ツッパ。

 ここで難しいのは、先ほども書いたように、「盗作」というもの定義がはっきりしていないため、星海社のいう『「盗作」に該当する類似点』というものがどういったものかわからないのである

 どこまでが、『「盗作」に該当しない類似点」であり、どこからが『「盗作」に該当する類似点』というのを言ってくれないと判断に困る。

 しかし、言ってくれないものは仕方ないので、こちらで勝手検証していく。

 さて、ではここで問題となっている両作品の類似点とはどういったものなのか。

 まず、読者の印象に大きく残る点として、全体のストーリーの流れが挙げられるだろう。

天帝のはしたなき果実

吹奏楽大会中に殺人事件が発生、それを主人公たちが発見する

  ↓

事件が発覚すると大会台無しになる、多数決でこれからどうするか決める

  ↓

これまで練習してきた努力無駄にしないために

一時的警察の介入を拒んで自分たちで犯人を見つけようとする

  ↓

捜査開始、推理合戦

  ↓

主人公真犯人を庇って偽の推理を披露する

ロジック・ロック・フェスティバル

文化祭最中殺人事件が発生、それを主人公たちが発見する

  ↓

事件が発覚すると文化祭台無しになる、多数決でこれからどうするか決める

  ↓

これまで準備してきた努力無駄にしないために

一時的警察の介入を拒んで自分たちで犯人を見つけようとする

  ↓

捜査開始、推理合戦

  ↓

主人公真犯人を庇って偽の推理を披露する

 2chからコピペだが、両者を読み比べた自分から見ても、この通りの展開が書かれていたし、印象もだいぶ似ていた。

 これに対して星海社は、

たとえば本作『ロジック・ロック・フェスティバル』にてテーマとなっている「学園での殺人事件」につきましてはミステリーを描く上では一大ジャンルを成すポピュラーなテーマであり、ご承知の通り、先行作品を枚挙することに暇はありません。また、文化祭殺人が起こり、その発覚によって学園祭が中止してしまうことを恐れて生徒達が独自に行動する、という本作のプロットには先行作品としてはたとえば『前夜祭』(角川書店刊/芦辺拓西澤保彦・伊井圭、柴田よしき愛川晶北森鴻氏らによるリレー小説)の存在を指摘することができると思いますが、こちらの作品に関しても前段となる殺人の状況と、後段となる推理と解決へと至るプロットには、本作との密接な類似点を見出すことはできません。

そして、「特殊場所への警察権力の介入を防ぐために居合わせ人間素人探偵となって活躍する」といった本作のプロットに関してはたとえば『水の迷宮』(光文社刊/石持浅海)などの優れた先行作品を指摘することができると思いますが、こういったプロットに関してもまたミステリー界においては極めてポピュラーなものであると言えるでしょう。 キャラクターに関しても、学園の生徒会やその周辺の個性にあふれた生徒たちが登場し、事件を解決するのはいわゆる「学園ミステリーものの常であります

 という形の弁明を行っているが、これはいささか詭弁臭い

 この理屈がありならば、「少年漫画おいて、探偵主人公というのは一大ジャンルを成すポピュラーなテーマであり、大人だった主人公子供になるという設定も手塚治虫の『ふしぎなメルモ』など枚挙に暇がなく、また主人公が知り合いの博士おもしろグッズを作ってもらうのも、偽名に古今東西有名人名前を使うのも決して珍しいケースではないので、本作『名探偵ドイル』は完全なオリジナル作品なのです!」などという無茶苦茶理屈もありになってしまう。

 問題となっているのは、別個であるはずの2つの作品でこれだけ似通った要素が複数に渡って存在してる点なのに、それを因数分解のようにバラバラにして、よくあるケースだと主張するのはいささか無理がある。

 もっとミステリなんてのは、『名探偵、皆を集めて「さて…」と言い』という言葉があるぐらい、ある種の流れが決まっているジャンルだし、このぐらいのストーリーの類似はよくあることかもしれない。だがそれ以外でも古野側が、

私はこれまで徹底して、著者の方の名誉と将来のため、具体的指摘を避けていました。また性善説に基づき、盗作説を断固否定した上で、類似点の多さを悲しみました。それすら非のない方への中傷と言われれば、非は私にあることになる。ならば、相当数あるうちの1つだけ、まずお示ししましょう(古野)

鷹松学園と勁草館高校学校の設定を比較対照してみて下さい。 やや時間を置いた上で、その具体的指摘も行います。 できればこれに止めたいですが、私に非があるとされている間は、二の矢三の矢を射ちます。極めて不本意です。私はこの段階でも、平和裡に解決することを強く、強く希望します(古野)

 と主張しているように設定面においても、両校の舞台が「藩校を前身とする名門校であり、地下に軍事施設がある」という一致を見せている。

 普通、ここまでの一致はなかなか見られまい。

 また『ロジック・ロック・フェスティバル』の応募時キャッチコピーが「学園ミステリー青春に捧げる供物である」というものだったのに対し、『天帝のはしたなき果実』に対する、ミステリ作家有栖川有栖氏の推薦文が「これこそ、虚無なる青春への供物。真正の本格にして破格のミステリ」となかなかどうして似通っている。

 それ以外にも両作品の最後の一文も綺麗に対称関係となっている。

 このまま順調にいけば、古野によって二の矢三の矢が射たれるはずなので、今後の展開を楽しみにしておきたい。

 ただ、個人的な意見を言わせてもらえば、『ロジック・ロック・フェスティバル』において、軍事施設の設定は必ずしも必要ものではなく別の設定でも代替可能だったはずである。だから、もし作者に本当に盗作をする気があるならば、こうした部分は真っ先に変更したはずである。それにもかかわらず、このような明白な形で残っているのだから、この一致は作者によるオマージュリスペクトの一種とみなした方がいいだろう。

 しかし、オマージュであれ、リスペクトであれ、このような類似点が多数ある以上、星海社側の「完全な事実無根」や「なぜ火のないところに煙の立つような今回の「盗作疑惑が起こってしまったのか」という発言はいささか苦しい。少なくとも根や葉や火種はあったわけなのだから

 『ロジック・ロック・フェスティバル』のあとがきによれば、本作は作者が初めて書いた小説らしい。

 その点を考えれば、こうした部分はむしろ若気の至りや遊び心と言えるし、前途ある新人に対して執拗に非難するべきではあるまい。

 問題はむしろ出版社側にあると言える。

 本作を受賞させるにあたって、星海社太田副社長座談会でこのようなことを言っている。

この人、ミステリーの手つきが本当にいいわけ小ネタからネタまで、80点以上のミステリーが次々とやってくるって感じ。飲茶おいしい料理が次々やってくる感じなわけね。しかもなおかつ、法月綸太郎的、佐藤友哉的な青春の痛みがしっかりとあるのよ。だけど生々しく「法月綸太郎が」とか「佐藤友哉が」みたいな感じでは出さないようにしてるんですね。

 …………まほろガン無視である

 また、さらにこのようなことも言っている。

うん、この人は新本格ミステリーの正統後継者だと思うよ。あの世にいる宇山さんにも読ませたいよね。そういう意味で言うと、「ありそうでなかった」っていう感じがする作品なんだよね。新本格はその誕生以来ずっと奇形化が進んでいったわけだけど、正統的な先祖返りというか……この人の作品は音楽で言うと「黒いジョン・レノン」と呼ばれたデビュー当時のレニー・クラヴィッツみたいな感じなんだよね。あるいは、とかくビートルズと対比されたデビュー当時のオアシスとか。とにかく、これまでにありそうでなかった青春ミステリー最前線、みたいなわくわくする感じがこの作品にはあるような気がするんです。

 ここで太田が読ませたいと言っている、宇山氏が生前最後に送り出した作家古野まほろをまたしてもガン無視である。「ありそうでなかった」人扱いである。まほろ存在歴史から抹消されている。預言書が燃やされたのだろうか?

 それとも『天帝のはしたなき果実』の文庫版が講談社からではなく、幻冬舎から出ていることと何か関係しているのだろうか?

 そして受賞作の発売に寄せてこのようなことも言っている。

……というわけでぜひみなさん、『ロジック・ロック・フェスティバル』を読んでください。綾辻行人さんや法月綸太郎さん、有栖川有栖さんたち、かつての「新本格推理小説ムーブメントは終わっていなかった、それが見事に証明される一作です。学園祭密室の妙に酔いな……!

 やっぱりまほろガン無視である

 そりゃまほろも怒る。

 明らかに古野まほろの影響を受けている作品に対して、他の作家名前ガンガン引き合いに出してるのに、肝心のまほろ無視しているんだからそりゃ激おこにもなるだろう。

 この場合考えられるケースは4つ。

1.選考に関わった全員が『天帝のはしたなき果実』を読んでいないor内容を忘れていた。

2.色々類似点があると気づいていたが、この程度大した類似ではないと考えた。

3.色々類似点があると気づいていたが、読者は類似に気づかないと考えた。

4.気づかれることを想定してのネットでの炎上狙い。

 イラスト大御所CLAMPを使っている時点で4番は無いだろう。考えられる可能性は残りの3つ。外野である我々にはどれが真実なのかを判別する術はない。

 ただ、やっぱり上に挙げた類似点を考えれば、作者が古野まほろを全く知らなかったというのだけは考えられない。

 そして星海社は普段から新人賞選考おいオリジナリティ重要視しており、以前の座談会ではこのようなことを言っている。

太田

次は岡村さんが担当した『MV ―Meteddo Vevaea―』。これは高校生

岡村

そうですね、高校生でこの枚数書けるのは素直にすごいです。

山中

何枚くらい?

岡村

400枚以上ありました。

太田

おお、それは確かに頑張ったね。

岡村

ただ、肝心の内容がまんま『IS〈インフィニット・ストラトス〉』なんですよね……。

山中

タイトルもそれっぽい!

太田

岡村さんもさらときついことを言うようになってきたねえ(笑)

岡村

いやいや、でも本当にそうなんですよ。架空兵器があって、それを使える男性主人公だけ……という設定で、何から何まで『IS』を連想させてしまう内容でした。これをそのまま出版したら、ちょっとタダではすまないだろう、と(笑)

山中

大変なことになりそう(笑)

平林

似た例は僕のところにもあって、『コトホギ』ってのがそうなんですけど。

竹村

コトホギ……?

柿内

タイトルが既に不穏だなあ。

平林

これ、舞台大正二十年、帝都女の子悪魔に襲われているところに、書生姿の男が助けに入り……と、ほとんど『葛葉(くずのは)ライドウ』です(笑)

一同

まんまじゃん!

平林

電波塔がうんたらとか、もうほとんど二次創作でした(笑)。これでライドウ連想しない人はいないだろうと。

山中

もう一つありますよ、『虚無の旋律』!

太田

まだあんのかよ! いい加減にしてくれよ(笑)

山中

主人公着物姿で武器は刀……式の性別を男にしただけ、まんま『空の境界』!

岡村

冒頭1ページ読んだだけでそれと分かる感じでしたね……。

太田

わはは、タイトルもそれっぽい(笑)

山中

よく星海社にこれを送ってきたな、という。度胸はあるのかもしれませんけど、酷い!

太田

みんな、頼むからちゃんと自分の作品を書いてくれよ(泣)!

 別に新人賞オリジナリティを重視するのはかまわない。むしろ当然である。既に市場に似たような作品があるのならば、多くの読者は新人ではなく実績のある作家の作品を選ぶだろう。

 だが、だとしたら『天帝のはしたなき果実』を連想させてしまう『ロジック・ロック・フェスティバル』を受賞させたのは失敗ではなかっただろうか?

 普段の座談会で大上段から応募作を切り捨てているからこそ、受賞作にはそれ相応のクオリティが求められる。さらに帯に『まだあった「新本格推理小説! 全ミステリファン注目の新人登場』なんて書いたらハードルの高さはそりゃもうウナギ登りでよっぽどの脚力が無い限り、足を引っ掛けて転倒は免れまい。

 先程も書いたように、『ロジック・ロック・フェスティバル』の作者である中村あきにとって本作は初めて書いた作品である

 そうしたまだ若き作者に対して、これほど高い下駄を履かせるのはどうなのだろうか。

 少なくとも「全ミステリファン注目」というのはいささか厳しすぎる。

 そういう意味では、今回『ロジック・ロック・フェスティバル』が受賞してしまったことは決して幸運などではなく、むしろ運が悪かったのかもしれない。

 身も蓋もない話、これが星海社からではなく別の出版社から刊行されていたら、ここまで話題になることもなかったと思うのだが……。

 何はともあれネットアイドル増田星海社中村あき先生古野まほろ先生を応援しています

2013-09-04

マスダ80年代女性アイドル論~薬師丸ひろ子

これまでの記事。

80年代女性アイドル格付

マスダ80年代女性アイドル論~松田聖子論

マスダ80年代女性アイドル論~中森明菜論

マスダ80年代女性アイドル論~小泉今日子論

マスダ80年代女性アイドル論~インターバル


脇道から入りましょう。

資生堂松田聖子デビュー以来サポートしてきた企業でしたが、『Rock'n Rouge』の時に聖子はカネボウのCMに出演し、カネボウの業績が大きく伸びるきっかけになっています(『Rocn'n Rouge』の歌詞唐突に"pure, pure lips"と入っているのは口紅のCMに用いられたからです)。このことについて、当時、資生堂からは聖子を裏切り者扱いする声もありましたが、聖子をイメージキャラクターとして徹底して囲い込まなかった、資生堂戦術ミスでしょう。カネボウは一時期、資生堂に追いつき追い越せで急成長するのですが、元々は紡績会社であり、旧部門を整理しきれず、経営資源を集約化できない決断力の無さを「ペンタゴン戦略」と言い繕っていましたが、そのことが結局、命取りになりました。好調だった化粧品部門は今は花王の子会社です。

先年、アメリカではコダック社会社更生法適用を申請しました。写真フィルム業界は事実上日本2社、アメリカドイツがそれぞれ1社の寡占市場で、高収益を見込める市場だったのですが、ご存じのとおり、デジタル技術の普及によって市場が壊滅しています。その変化に対応しきれなかった、ということでしょう。

生物学では適者生存と言いますが、パラダイムの変化が起きる時に、真っ先に滅びるのは最適合していた強者です。似たようなことは生物史においてだけではなく、経済歴史文化においても起こっています

日本映画大国です。アニメーション映画も含めて年間400本以上制作されていますが、制作本数が割合多い方の国であるドイツの制作本数を日本人口に比例させて置き換えれば300本程度なのですから、相対的にも日本映画産業好調な国だと言えます。この映画産業が壊滅的に縮小したのが70年代であって、言うまでもなく、これはテレビの影響です。どこの国でも映画産業模索時代を迎えていたのですが、世界市場を持つアメリカ映画しか生き延びることは出来ないのではないか、そういう見方もありました。そのアメリカ映画でも従来の大手映画会社による支配が大きく崩れ、独立系の新進の若い映画人たちが大量に参入し、映画産業を立て直してゆくのも70年代のことです。ルーカススピルバーグらもそういう人たちでした。

日本映画製作会社大手五社のうち、日活はロマンポルノに特化し、大映はテレビドラマ向けの撮影所だけが存続しました。東映松竹東宝映画製作会社としては規模が大幅に縮小して、「洋画の興行」と不動産事業で何とか生き延びていたような時代です。日本映画はそのまま衰退していたとしてもおかしくはありませんでした。こう言う状況を受けて、70年代末期には独立系の志のある映画人、新興の映画製作会社市場に参入しています。代表的な企業としてはキティフィルムで、80年代には『うる星やつら』や『銀河英雄伝説』の制作で知られる、アニメーション制作スタジオとして有名になりましたが、元は映画製作会社で、『限りなく透明に近いブルー』を映画化しています

もうひとつ、大きな足跡を残したのが角川書店角川春樹事務所)です。薬師丸ひろ子はこの両企業の黎明期の作品に関わっています。そういう意味では日本映画復興を象徴する女優でした。


角川春樹事務所映画製作に乗り出しのは、本を売るためであって、メディアミックスの先駆けでした。メディアミックス戦略映画産業にとって荒天の慈雨となったのには理由があります。角川のように、映画出版、両方に関係していれば、グロスで元が取れればいいわけです。極端な話、映画の興行は赤字でも、本の売上で補えるなら、映画を作る意味はあります映画単体の採算ラインでは撮れなかった映画も撮れるようになりますし、制作費の規模自体が拡大するわけです。角川春樹映画人ではなかったからこそ、新しいビジネスフォーマットを提示することが出来たのです。

角川映画嚆矢は『犬神家の一族』ですが、『人間の証明』『野生の証明』と大作を毎年制作しました。この頃は、映画になりやす原作を選んでいましたが、本を売ることも目的ひとつなので、原作になる本は長ければ長いほどいいわけです(それだけ売れますから)。80年代アニメーション映画化した『幻魔大戦』は作品の長さで選んだきらいがあります

角川映画テレビCMをどんどん流し、サウンドバイトなコピー流行語になりました。『人間の証明』で言えば「母さん、僕のあの麦わら帽子、どうしたんでしょうね」です。続く『野生の証明』のキャッチフレーズが「お父さん怖いよ。何かが来るよ」でした。「母さん」の次は「お父さん」なのでしょうか。これは劇中、薬師丸ひろ子が演じる少女セリフのままです。


薬師丸ひろ子は『野生の証明』の一般オーディションを経て、デビューしています。当時14歳中学2年生です。どういうつもりでオーディションに応募したのかは分からないのですが、当時東京在住の女子学生にとって、あまり深い意味はなく、応募したのかも知れません。と言うのは、『野生の証明』で名を売ってからも、高校に進学するまで、薬師丸の芸能活動は抑えたものだったからです。当人も親も、深く考える間もないまま、日本中の喧騒に巻き込まれていった、その中で「普通であることを一生懸命守ろうとした、そういう感じです。

アイドル映画に出ることは多いのですが、薬師丸の場合は映画に出た後にアイドルになっています。その映画アイドル映画ではなく、日本映画界が渾身の力を込めた大作『野生の証明』で、監督スタッフキャリアがある人たちで、共演は高倉健という、新人デビュー作品としてはこれ以上はないほど、グレードの高い環境でした。おそらく薬師丸は今もってデビュー作ほどの環境に恵まれた現場は他には知らないでしょう。

彼女は日本映画界の最後王道を通って女優になった人です。アイドルとしてデビューしたわけではありませんが、彼女は日本中に知られ、彼女の台詞日本人なら誰でも知っているまでになりましたから、そうなってみれば彼女は角川映画資産です。彼女と言う資産をどう展開するか、それがその後の角川映画課題になりました。

薬師丸は学年で言えば松田聖子よりは3学年下になります。けれどもデビュー自体は2年早い。80年代と言う時代が聖子によって、聖子と共に輪郭をくっきりと明瞭にしたのだとしたら、薬師丸はその前に、登場した人です。70年代の色彩を持っている、だからこそ選ばれた、ということになります

70年代は学園闘争の時代が終わり、ノンポリティカル雰囲気が前面に出てきた時代ではありますが、成長がすべてを癒すのだとしたら、その果実がまだ蔓延なく行き渡っていない時代です。国民意識の総中流化が完成する一歩手前、むしろその完成が近かったからこそわずかな差違が表層に反映された時代でもあります。その時代に逢って薬師丸は本当の中産階級が持っていた無意識象徴する存在でした。

無意識は持てる者の特権です。異端は常に、自分が他と違うことを意識させられます無意識はいられないのです。薬師丸には70年代若い世代、それも東京山の手若い世代無意識が濃縮された形で詰め込まれています。薬師丸は男女の同級生の中で自然にリーダーシップをとる女子の役を多く演じているのですが、そのような存在無意識存在できたのは70年代東京だけだったでしょう。80年代には女子の商品化が進み、いずれの女子も商品としての自分無意識でいられることは出来なくなるのですが、70年代はまだマルキシズムの残り香のようなものがあって、ある意味都市部では若い女性の意識がニュートラルであることを許された最後時代かも知れません。

から薬師丸にはどこか、連合赤軍日本赤軍の流れみたいなものを感じます。彼女が政治見解として左翼的マインドを持っているということではなくて、ノンポリティカルであるがゆえに、マルキシズムの持っていた理想のようなものの流れを維持して、そこから生じた文化的な派生の中に身を置いている、そういう印象があります

それが以前言った、薬師丸にはジュヴナイル的な匂いがある、というものの正体です。

薬師丸は『野生の証明』以後、言ってみれば角川が彼女の鮮度を維持するために『戦国自衛隊』でカメオ出演させた他は、初主演で本格的に芸能活動を開始したのが、1980年公開の『翔んだカップルからです。高校2年生になっていました。この『翔んだカップル』は相米慎二の初監督作品でもあり、制作は角川ではなくキティフィルムです。やがて90年代にかけてそれぞれのジャンルで主流を担っていく人たち、そういう人たちが80年代最初期のこの時期に、ジュヴィナイル路線で台頭してきた、エポックメイキング意味がこの今ではほとんど知られていないこの作品にはあります。翌年、相米監督と薬師丸は『セーラー服と機関銃』で再び組むのですが、特に演技指導が厳しいことで知られる相米慎二洗礼を受けて、それだけに日本映画の最も濃厚な部分を最初から薬師丸は味わったことになります

今、『あまちゃん』で共演している尾美としのり主人公天野アキの父親役)とは『翔んだカップル』以来の付き合いで、尾美としのりもまた80年代日本映画界のジュヴナイルルネサンスの中心にいた俳優です。尾美としのり大林宣彦監督作品にほぼ漏れなく出演していて、大林監督は「彼は私の作品の署名のようなもの」と述べていますが、薬師丸が続いて出演した『ねらわれた学園』の監督大林宣彦です。

大林監督70年代後半、ホリプロに起用されてアイドル映画を撮っていますが、80年代以後は角川映画の印象が強い人です。『時をかける少女』は原田知世主演のアイドル映画でありながら、同時に自身の代表作品である尾道三部作の中核をなしているように、相当に監督側に委ねた撮影になっています(だからこそ今なお『時をかける少女』はアイドル映画の枠を超えて傑作として継承されているのですが)。

ねらわれた学園』は角川映画プログラムクチャとして初めて手掛けた薬師丸主演映画です。原作は当時の10年前の世相を背景にしていますが、それだけにジュヴナイル雰囲気特に強い作品です。この映画は、大林監督の名を売ると同時に、主題歌松任谷由実の『守ってあげたい』もヒットしました。松任谷由実の第二次黄金時代きっかけになった作品です。ただし楽曲の完成度自体は、第二次黄金時代に入る前、むしろ低迷期の方が出来がいいのですが。

この、『守ってあげたい』という楽曲も、ジェンダーフリーという意味において非常にジュヴナイル的です。ここでは女子は守られる側ではなくて、守ってあげたいという主体的な立場に立っています。こうして考えてみると80年代少女商品化の進行は、供給者としての少女立場を強めるのと同時に、主体的な消費者としてジェンダーとしての女性立場を弱めたのではないかという疑いが濃厚になってきます

私は薬師丸を理系的と言いましたが、薬師丸の映画キャラクターの10年後、20年後想像してキャリアのある姿は思い浮かべられるけれども、専業主婦ではおさまりがつかない、そういう印象があります。しかし松田聖子の場合、当人の生き方別にして、パブリックイメージとして結婚して主婦になって物語にエンドマークがつく、そういう側面を強化した面もあるのではないでしょうか。


一般にはアイドルとしての薬師丸のキャリアは続く『セーラー服と機関銃から始まります。ここから彼女は主題歌担当することになったからです。

角川映画は主に大作路線を手掛けていましたが、大作では数が作れません。これ以後、薬師丸らを主演に据えて、小品を季節ごとに提供してゆく、そういう手堅く儲ける路線に転化しました。薬師丸にとっては主演映画連続でしたが、初期の現場環境の完成度の高さに比較すればむしろ規模が縮小した感じもなくはなかったと思われます

歌手としての薬師丸の特徴は、中音域を含めてファルセットで歌い通すということで、本来のファルセット意味合いとは異なる用い方をしています。単に高音域をカバーするというのではなく、美空ひばりが「七色の声」と言われるように、歌唱に表情をつけて楽曲としての魅力を強める意味合いがあります。全編をファルセットで歌ったアイドルとしては天地真理がいますが、非常に嘘っぽい。そういう印象があります。薬師丸の場合は幸か不幸かファルセットも地声に近い印象があって、嘘っぽさはないのですが、表情に乏しい分だけ分かりやすい上手さもありません。

上手い下手で言えば、今聴くと異常に上手いなと感じますし、当時も上手いとは思ってはいたのですが、歌唱世界観が合いすぎて、印象に残らない、個人的にはそういう感じがあります

鉛筆で例えるなら原田知世は2Hで薬師丸は2B、松任谷由実がそう評したことは以前に述べましたが、薬師丸はわりあい線が太い、それが持ち味であるのに、薬師丸は歌唱では輪郭をぼやかしていますリアリティが無い。歌の題材も10代の少女不安げな感じをテーマにしているのですから、それが世界観に沿っているというならばそうなのですが、輪郭が細いのではなくて薄い、引っかかるところがないのです。ファルセットは本来、「引っ掛かり」として用いられるものですから、それで押し通すのは、強弱の表情が歌唱から無くなってのっぺりとなってしまうことを意味しています。非日常常態化すれば日常です。

彼女の楽曲では『Woman~"Wの悲劇"より』が比較的その弊害を免れているのは、歌詞が生々しい情事を歌っているからです。実態が生々しい情事であるからこそ、そこで用いられた詩的な表現が美しく浮かび上がりますし、薬師丸の加工的な歌唱現実の中のファンタジーにとどめられていて、現実と言う力を持っています。『探偵物語』や『メインテーマ』では、あら、きれいね、で終わってしまう、その傾向があります

器楽として美しいだけに、表現として弱いのです。

角川映画主演作品で主題歌を薬師丸が歌う、と言うのがアイドル薬師丸の代表的なフォーマットであるとすれば、実はそれに相当するのはシングルでは4曲しかありません。『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『メインテーマ』『Woman~"Wの悲劇"より』だけです。『Wの悲劇』を最後にして、彼女は角川映画角川春樹事務所を離れ、それ以後も、主演映画主題歌を歌うというフォーマットは続きましたが、そこから先はもう、アイドルとしては取り上げなくてもいいでしょう。

続く

http://anond.hatelabo.jp/20130904155640

2013-05-15

2012-11-30

http://anond.hatelabo.jp/20121130203906

出生許可ってのが難しいと思う。

国が放っておいたって、増えるときは増える。これを厳格に管理するだけの説得力がいるな。

逆に少子化が予想されているなら、実際に起きる前に手を打たなければいけなかったわけだ…

  

SFやばい。どこまで読んでも足りない。

定年までSF読みまくってから執筆するということ?

それよりも、今ある時間を使って書いたほうが良いと思う。定年まで生きているかからないぜ

  

不老不死を扱った小説というと

山田宗樹『百年法』角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/sp/201207-05/

最近発売されていて、記憶にあった。読んでないけども。

http://anond.hatelabo.jp/20121130203906

出生許可ってのが難しいと思う。

国が放っておいたって、増えるときは増える。これを厳格に管理するだけの説得力がいるな。

逆に少子化が予想されているなら、実際に起きる前に手を打たなければいけなかったわけだ…

  

SFやばい。どこまで読んでも足りない。

定年までSF読みまくってから執筆するということ?

それよりも、今ある時間を使って書いたほうが良いと思う。定年まで生きているかからないぜ

  

不老不死を扱った小説というと

山田宗樹『百年法』角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/sp/201207-05/

最近発売されていて、記憶にあった。読んでないけども。

2011-08-06

国立国会図書館に「けいおん!」が無い件

国会図書館といえば日本最大の図書館で、漫画だろうとエロ本だろうと集めていることで有名である

その使命は国民文化財産を永く後世に残すことだそうな。

であれば、ここ数年の日本文化を語るのに外せない「けいおん!」は当然置いてあるはずである

以下のデータベースで調べられるようなので、「けいおん!」「かきふらい」で検索してみた。

国立国会図書館 NDL-OPAC

結果

>和図書 1-1(1件)

>1. けいおん!テレビアニメ公式ガイドブック / かきふらい[他]. -- 芳文社, 2010.1. -- (Manga time KR comics)

へー公式ガイドもあるんだ凄いね

…ってちょっと待て。

肝心のコミックスが入ってねぇ!!

色々と条件を変えて検索したが、マジで持っていないようだ。

ここに無いということは、数百年後には誰もけいおんを読めなくなる可能性がある。

クソッなんて政治だ!

ちなみにBDは全部入っている。(「音楽録音・映像」にチェックする)

音楽録音・映像 1-18(18件)

>1. けいおん! [映像資料]. 1 / かきふらい[他]. -- TBS, 2009.7

>2. けいおん!! [映像資料]. 1 / かきふらい[他]. -- TBS, 2010.7

> :以下続く

どうやら国はアニメ派のようだ。

これってかきふらい先生の功績を歴史から抹消しようという政府陰謀じゃね?

…が、他にも検索してみると、ひだまりGAAチャンネルも入ってない。

要するに芳文社が本を送っていないのが実情の模様。

納本制度 - Wikipedia

一応雑誌の方は入っているが、コミックス限定のネタ結構あるしな…。

後世の研究者に「ムギちゃんのたくあんネタアニメが発祥」とか勘違いされても困る。

とりあえず国会図書館メールしてみた。

けいおん!のようなここ数年の文化に大きな影響を与えた作品が残らないのは、日本国として由々しき事態である

芳文社が送らないなら俺が買って送るので、送り先を教えれ

デスクリムゾン国会図書館に寄贈したという人がいたので、個人からの寄贈を受け付けていることは確認済み。

国会図書館にデスクリムゾン寄贈へ

しばらく経ってから返事。

・ご指摘ありがとうございました。

・確かに当該出版社から納本率が低いようなので、先方に督促します。

Oh…寄贈用にブックオフで全巻揃えてしまった…。

まあ芳文社から直接送ってもらった方が、けいおん以外もあるし良いだろうね。

気になって他の漫画も調べてみたが、結構入っていないのが多い。

少年画報社ヘルシングとかそれ町とか

一迅社かんなぎとかゆるゆりとか

角川書店電撃コミックスがほぼ皆無。一方でらきすたは入っているのが謎。

角川なんて角川歴彦納本制度の委員を務めてるくせに、この有様だよ。

納本制度審議会 | 国立国会図書館-National Diet Library

逆に集英社講談社小学館といった大手はさすがに全部納めている。

ただ、古い本は入っていないようだ。

例えばジョジョなら、1993年の35巻より前が入っていない。

これはどの出版社も同じなので、想像だが「税金漫画を買うとはけしからん」という時代だったのかもしれない。

ジョジョみたいな有名作品なら文庫版が全部入っているけど、打ち切り漫画なんかはそれもないか雑誌しか後世に残らないな。

自分本棚で調べたところ、幽遊白書10巻以前や、KCコミックス版の魔法騎士レイアース聖闘士星矢コスモスペシャル、ファンロードハンドブック、蘭宮涼の昔のエロ本等、70冊近くが所蔵されていない。

本以外もセガサターンレイアース(名作)や、LeafWindowsソフト(雫、痕etc)、おさわり探偵小沢里奈等々が入っていない。

再度メール

ヤングキングコミックス等も入ってないよ

・古い漫画ゲームで、国会図書館にないもの結構あるんだが、寄贈してよいか

返事

出版社には督促する。

・古いもの出版社でも持っていないと思われるので、寄贈してほしい。

送り先は国立国会図書館収集書誌国内資料課収集第二係

ただ、CDゲームは未開封に限る。

あと、何か連絡するかもしれないので住所と名前を。

未開封に限るんじゃゲームは送れねえよ…。

まあディスクの中身が違っている可能性とか考えると、お役所としては仕方ないのかね。

宅急便で送ってひとまず任務完了。住所と名前を求められていたが、エロ本もあるのでHNで送らせてもらった。

肝心のけいおんについても、芳文社が督促されたからといって送るとは限らないので、半年後くらいに再チェックせんとな。

しかしこんなに抜けがあるんじゃ、漫画オタとして激しく不安だわ。

結論:

おまいらもNDL-OPACでヒットしない本とか雑誌があったら、ブックオフに売る前に国会図書館に送ってやってください。

数十年後、数百年後のオタが喜ぶかもしれないから。

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