はてなキーワード: 他愛とは
どこにも吐き出せないからせめてここにだけ書き残させて。
夢の内容は
「高校時代の友人と数年ぶりに会って現在の自分の生活や高校生活を振り返りながら談笑する」という字面だけ見れば何ら恐ろしい要素は無い他愛のない夢だった。
その友人との関係性を加味しなければの話だが。
元々面識はなかったが、高2の新学期コロナによる数ヶ月にわたる臨時休校の狭間で行われたクラス替えで同じクラスになり自己紹介で私が「趣味は読書で◯◯◯◯◯と◯◯◯◯が好きです」と言ったのがきっかけで仲良くなった。
自己紹介が終わって自由に席移動して気になる人と話していい時間になった時、私は元々友達が少ないためクラス内に友達がいないこと、そして他人に執着しない性格だったこともあり手持ちの本を読んでやり過ごそうとした。
すると、「ねえ、◯◯◯◯◯好きってホント?わたしも好きなんだ〜」とみらいが話しかけてきた。
第一印象は「綺麗だな」だった。
二重まぶたに通った鼻筋、光を湛える黒目がちの瞳、細く白い腕、赤い唇。
どこをとっても絵に書いたような美少女だ。
◯◯◯◯◯は私達の世代が好んで読むような作家ではないので本物の読書家だということは問わずとも明らかだった。
その後時間の許す限り◯◯◯◯◯や他の好きなこと、部活などの話をした。
その日の下校の時にはどちらともなく先生の目を盗んで校内でスマホの電源をつけ、LINEを交換するほど意気投合していた。
その日からは臨時休校で暇を持て余していたこともありほぼ毎日のようにLINEでいろいろな話をした。
初めて話したときからなんとなく感じていたが、みらいは私と思考パターンが似ていた。
そして学力もほぼ差が無かった。
得意な教科の話になったとき時、二人とも同じ教科を挙げた。
その教科は私が1年の間たった1度だけ1位を名も知らぬ誰かに明け渡してしまった教科だった。
まさかと思いながら「もしかして1位取ったことある?」と返信した。
すると、「もしかしてずっと1位だったの◯◯(増田の下の名前)だったの!?私、1回だけ1位取ったことあってその回以外はずっと2位だったの!」と返ってきた。
こんなことってあるのかと思った。
それと同時に彼女のは切磋琢磨しあえる良い関係になる予感がした。
それとともに私の中には負の感情が巣食いはじめた
初めて遠隔ではない担任の授業を受け、二人で談笑しながら教室へ向かっていると、担任から話しかけられた。
「増田に新川(みらいの苗字)(仮名)!お前ら1年の頃から同じクラスだったのか?」
担任にはそれぐらい仲がよく見えたのだろう。
「違いますよ〜!担任なら前のクラスぐらい把握しておくのが筋ってもんじゃないですか〜?」
とみらいが軽口を叩いているのを横目に見ながら私は内心嬉しくて堪らなかった。
こんな美少女と対等な友人関係を築けていることが他人の目から見ても明らかなこと、私はその事実に歓喜した。
その日、授業が終わると担任がロッカーを整理しているみらいの所へ向かうのが見えた。
その数秒後、廊下から二人の笑い声が聴こえてきて、今度は私のもとに担任がやってきた。
「ごめん。新川を増田だと勘違いして声かけちゃった。だってお前ら背丈といい雰囲気といいなんか似すぎなんだよ。」
だった。
信じられなかった。あの美少女を私だと見間違えるなんて。
それなのに見間違えるなんて許せない、彼女の美に対する冒涜だとさえ感じた。
きっと委員会の連絡か何がだったとは思うが、担任のその後の言葉が頭に入ってこないほどの衝撃だった。
担任と会話したあとチャイムがなったので自分の席に戻るともう一度さっきのことについて思索を巡らした。
そこで私は気付いてしまった。
私がおかしいということに。
普通の人間なら心の中で喜ぶべきことを私は赦されないことだと感じて、しかも怒りさえも感じた。
どう考えてもおかしい。
他人に執着しないはずの私が、彼女には彼女に対しては何故かこんなに心を掻き乱されている。
もう手遅れだった。
その頃にはもう彼女への、そして彼女の美に対する感情はもはや信仰の域に達していたことを、その時ようやくわからされた。
休み時間になると彼女の方から私の所へやってくるのが当たり前だった。
その美しさや性格から友達は多いが、その数多くの友達の中で私のことを選んでくれた。
それが私にとっては至上の喜びだった。
クラスメイトが
みらいは
「まぁね〜」と当たり前だとばかりに返答していた。
そんな彼女の自己肯定感の高さがこの上なく好きで、でもそんな彼女が眩しかった。
彼女が他のクラスメイトの「かわいい」と言われる時、私はいつも息苦しかった。
当たり前だ。わかってる。私が彼女より醜い事は私自身が誰よりも知っている。
決して表には出さなかったが称賛を全てほしいままにしている彼女が横にいると気が滅入ることも多々あった。
それでも私は彼女と一緒にいた。
二人でいる時だけは、その美しい瞳に私以外は映らないから。
もちろん全ての行動を共にした。
一日目は某県の某資料館へ2学年全員で向かった。
手が触れたのを契機に、どちらともなくお互いに指を絡めて相手の震えを感じながら暗い館内を歩いた。
私は手汗が出やすい体質なので1度手を解こうとしたが、
「怖いから話さないで」と小声で訴えられたので逆らえるわけもなく結局出口までそのまま向かった。
私がお土産を見繕っていると、みらいが
「ねえ、◯◯こういうの好きでしょ?」といきなり声をかけてきた。
彼女の指差す先には、色とりどりの硝子でできた美しいエジプト香水瓶(中は空)があった。
凄く綺麗……とつぶやくと
「全部一点ものらしいよ!せっかくだからお揃いで買おうよ!」とみらいはもう買う気満々でその手の中には桜色の香水瓶が収まっていた。
私は彼女のそれとデザインの一部がよく似た空色の香水瓶を選び二人でレジへ向かった。
なかなか量が多く、少食気味なみらいは食べきることができるのかと心配になったのでそれとなく隣にいる彼女を見やるともう限界という顔をしていた。
「これとこれ食べれる?」と言ってきたので有り難く拝借した。
それで終わると思いきや、デザートでミニケーキの二種盛りがやってきた。
私はぺろりと平らげたが、彼女はどうしても最後の一つが食べられないようだった。
そして
「ごめん。これ食べれる?」と聞いてきた。
私はうんと言おうとしたが、
私の食器やフォークはつい先程席を巡回しているホテルの方に回収されてしまったので食べる術がない。
手で食べるのははしたないしと逡巡していると
「はい、あ〜ん」
同じテーブルの生徒の視線が彼女の手と私の顔に集まり、恥ずかしさで頬に熱が走るのを感じた。
いつまでもこのままではいられないと思い、覚悟を決めて顔を近づけ、食べた。
修学旅行でそんなことが起こったため、その後の学校生活ではクラスメイトに彼女との仲をからかわれることも増えた。
「なんかみらいちゃんと増田さんって二人だけの世界?っていうか独特な空気感あるよね〜」と言われたりなんかもした。
今まではそう感じたことは無かったがあの修学旅行を経ると確かにと思う自分も居た。
その関係に心地よさを感じる一方、今振り返ればどこか嫌悪感があった。
念のため言っておくと、私は普通の女だ。
小中学生の頃は普通に男子と付き合っていたし、好きになるのはいつも男だった。
でも共学は嫌いだった。共学の女が嫌いだった。
あらぬ噂を立てて私と彼氏を引き離そうとする、そういう汚い女が大嫌いだった。
「女子校は本当に生きやすい。男がいないとそういう争いとかもないし。」と聞いていたのもあり必死に勉強して女子校に入学した。
秘密の花園なんてのは空想だけれど、進学校だったこともあり皆自分が一番大切だから自然と無駄な争いを避けるようになっていたから本当に生きやすかった。
今思い返すとというより当時から薄々感じていたが、みらいはボディータッチが多かった。
1日に少なくとも2回以上はハグしてくるし、堂々と人前で手は繋ぐし、とにかく距離感がおかしい。
最初こそ戸惑っていた私も仲良くなるにつれて気にしなくなってきたものの、時折嫌悪感に近いものを感じることさえあった。
でも、やめてとは言えなかった。
2年の3学期になって3年生0学期なんていう進学校あるあるワードが教師の口から出始める中、彼女との関係が変わった(と増田が勝手に思っている)出来事が起こった。
その前の記述模試から国数英3教科に加えて理社科目が追加された。
2年最後だしここで一つ頑張ってあの教科でみらいに勝ちたいと密かに思っていた。
毎晩負けまいと勉強して迎えた本番。
習っていない範囲もあったが自分で勉強してカバーした分自身はあった。
3月、結果が出た。
私はその教科で全国一桁の順位を取った。
模試の順位は掲示されるので早速見ると、みらいは私のすぐ下の段にいた。
私は勝ったと思う前に彼女の不調が気になった。
トイレに行っていたみらいがこちらに来て順位が張り出された紙を見ると
「やっぱり◯◯はすごいよ、」と一言言って自分の席に戻っていった。
その日は話しかけてもどこか上の空だった。
次の日、彼女は休んだ。
心配で休み時間隠れてスマホを起動させ、LINEを開いてメッセージを送った
すると数分後
こんな時まで謝ってくるのが彼女らしいなとその時は思った。
次の日予告通り彼女は帰ってきたが、いつものボディータッチは無いしなんだかひどく静かだった。
結局2年の終業式の日まで彼女はずっとそんな感じだった。
3年になるとクラスが離れた。
前はあんなに同じクラスがいいと思っていたのに、最近の彼女の煮えきらない態度をあまり好ましく思っていなかったので実際の所は
嬉しさ7割悲しみ3割といったところだった。
しかしその思いはすぐ覆された。
一つがクラスメイトの私に対する反応だった。
2年の時みらいと私ともう一人のクラスメイトの3人でたまに会話することがあった。
3年に進級してそのクラスメイトとはまた同じクラスになったので声をかけると
素っ気無いそぶりですぐ別の友達の所へ向かっていった。
そこで私は気付いてしまった。
結局私は彼女が隣りにいなければ価値のない、何も特別なところなどない人間だと。
みらいとはクラスが2つ離れていたため頻繁には話すことは無かったが、たまに会話するとそれはそれは惨めな気持ちになった。
私にとっての彼女はたった一人の心を許せる友人だった。
けれど彼女にとっては大勢の友達の中の一人でしか無いという事実に串刺しにされる気持ちだった。
私にはポテンシャルがあることを教えてくれた。
それだけに縋って、今までの人生でやったことのないぐらい死ぬ気で勉強した。
その成果は存外早く出て6月の模試では早速学年1位に躍り出た。
この結果には教師陣も驚いたのか露骨におだててくるようになった。
それをあしらいながら只管勉強した。
7月、もう何ヶ月もLINEなんて送ってこなかったのにみらいから急に連絡が来た。
良かったらうちの部室くる?」という内容だった。
3年に入ってからは画塾にも通い始めたと聞いた。
彼女には夏休み中特別に部室の一角を占領する権利を顧問からもらったらしい。
私はその誘いにあっさり乗った。
彼女と実質二人だけで過ごせる時間をみすみす手放す訳がなかった。
夏休み、みらいの部活の日はみらいの部室で、それ以外の学校開放日はひたすら教室と図書館で勉強をする日々が始まった。
部室ではみらいが自分の背丈ほどの大きさのキャンパスにひたすら油性絵の具を塗りたくっていた。
正直油性絵の具の匂いは苦手だったが、みらいと同じ空間にいる方が大切なので我慢した。
他愛のない話をしながら、彼女は絵を、私は過去問をそれぞれ仕上げていった。
そんな夏が終わると、また連絡を取る回数が減った。
それもそのはず、彼女は推薦と一般で美大を受験するため、画塾に通うだけでなく面接の練習なども必要になったからだ。
私はただ勉強していった。
この頃には志望校の偏差値を大幅に上回る成績を取れるようになってきた。
冬がやってきた。
そんなことを思いながら夜食で出されたホールケーキの残りを頬張りながら勉強していると突然LINE電話がかかってきた。
みらいだ。
修学旅行でまわったとこ、また二人で全部回ろう」
みらいは電話越しにそう言った。
私が
と言うと
突然そんな提案をしてきたのには驚いたが、その約束は私を鼓舞した。
かつて無い手応えを感じた。
自己採点をするとこれまで取ったことのないほどの高得点だった。
みらいは家の都合で国公立しか受けられないと言っていたから3月にならないと結果は出ない。
式が終わってもみらいの元へ向かった
「◯◯、待ってた」
そう彼女は言った。
「写真撮りたい」
自分の顔面に自信が無い私はせっかくだから二人で映ろうよと言って彼女のスマホを借りてツーショを撮った。
案外あっさりした別れだった。
そのときはそれでいいと思っていた。
その日、LINEで彼女のスマホで撮った写真が送られてきたのを最後、彼女からLINEが送られてくることは無かった。
彼女の志望校の合格発表日が過ぎても連絡が来なかったので、私はある決意をした。
整形をする決意を。
幼い頃から親に「醜い顔で産んだから整形代は出すよ。ただし、高校を卒業したらね」と言われていた。
今こそその時だと思い、すぐカウンセリングの予約をし、施術プランと日程も決まった。
私の思い一重は施術とダウンタイムを経て左右差のない整った二重になった。
私は私で上京したので新しい暮らしと新しい環境に慣れるので精一杯でみらいに連絡している時間もなかった。
「かわいい」なんて言われるようにもなった。
やっぱり美は正義だなと感じた。
前期は友達と遊んだりテストやレポートと格闘している間に過ぎ去っていった
夏休みも終わりに差し掛かった頃、ふとみらいのことを思い出した。
数時間後、数日後、数週間後。
待てども待てども返信が来ない。
それどころか未読無視をされている。
プロフィール画像などは変更されているからLINEを見ていない訳では無いだろうに。
しかし私は今でもふとした瞬間にかつての彼女を思い出してしまう。
いつだっただろうか。
私とみらいはあの時担任が言ったように本当に瓜二つだと初めて気付いたのは。
卒業式の後、送られてきた彼女と一緒に写った写真をまじまじと見てみると
私と彼女は鼻の高さ、形、口の大きさ、頭蓋の形が本当によく似ていた。
そう、違っていたのは目だけだった。
私が二重に整形したことで、私の目はぱっちりと開くようになり、彼女の瞳の形そのものになっていた。
今の彼女はどんな顔をしているのだろう。きっと美しさが増しているだろう。
今日見た夢は
みらいと数年越しに会って食事なんかしながら
近況や今までのこと、あの時はお互いをどう思っていたかについて話し合う夢だった。
美しいのは相変わらずだなぁなんて彼女を見つめていると、
「◯◯、整形したの?良いじゃん似合ってるよ」なんて言ってきた。
本当に彼女らしいなんて思っているとアラームの音で現実に引き戻された。
起きて夢かぁと思いながら十数ヶ月ぶりに彼女のLINEを開いたがやはり既読はついていない。
午後、用事を済ませて家に帰って来ると既読がつくはずないのになんとなくまたみらいのLINEを開きたくなった。
その衝動のまま、トーク画面を開き、自分の送ったメッセージを目で追う
「みらい!最近どう?元気?」
見慣れたそのメッセージの上に目を向けると、そこにはそのメッセージを送った日付が表示されていた。
それを見て息を呑んだ。
そこに表示されていたのは
「1年前の今日の日付」だった。
こんなに都合のいいタイミングで夢に出てくるほど彼女の幻影をいつまでも追いかけている自分が心底恐ろしい。
という話。
今朝あまりに鮮明に夢に見たので残しておく
本物の方はあらすじさえ知らないが小さい頃はジブリで育った
第一部
春と夏の間くらいの晴れた日
その友達の家に行くのは初めてで部屋の番号が分からなかったため団地の一階で待ち合わせをした。
家の台所が小学校の水道みたいな感じで廊下にあることに気づく。
「ここを共同で使うんだ」と友達に言われる。
一軒家に住む主人公にとってはとても珍しく見えた。
上にある棚には食器やグラスがみっちりおかれ、調味料も揃っていた。
物珍しさからその台所を見ていると、友達は彼の母親の車が帰ってくるのに気づく。
主人公はまだ台所を調べるのに夢中で、友達が降りていったのに気づかなかった。
よく見ると古本や絵筆など料理に関係ないものも雑多に置かれていた。
彼の母親が帰ってきたことも知らない主人公は友達を探しに団地の中をうろうろした。
ひとしきりうろうろして泣きそうになっていると
周りが木になっていることに気づく
外を見ると下に雲、その下に街が見えた
第二部
どうしたらいいのか分からなくなっていると後ろから声をかけられる
「何をしている?」
人間の大人くらいの大きさの直立する猫のぬいぐるみが喋っていた
どことなく敵視されているような気がした
よく見るとぬいぐるみではなくぬいぐるみが手に持つ紅茶のポット(丸いビーカーに蓋がついているもの)が喋っていることに気づく
喋るたびに蓋が動き蒸気が立ち上っていた
「友達を探してるんだ」
「ついてくるといい」
振り返って主人公がついてきているか確認するようなことはなかった
橋の先はより大きく高い木に繋がっていた
ぬいぐるみは振り返らずその橋を早足で渡りきってしまい見えなくなってしまった。
もう日が沈むことに気づき涙が出そうになるが、こらえているとすぐ隣にさっきのぬいぐるみと同じ大きさの黒い猫がいることに気づく
「どうしたんだい」
「友達を探しているんだ」
「この先で聞いてみるといい」
「怖いんだ」
「目をつぶってここに立ってみるだけでいい。やってみる?」
さっきのぬいぐるみより優しい口調になんとなく信頼できるような気がして、橋のスタート地点に目をつぶって立ってみる
主人公はなんとなく気になってこの猫に聞いてみることにした
「猫なの?」
「黒豹だよ。信じていい。目を開けないで」
そういって黒豹は主人公の背中をすごい勢いで押して橋の上を走らせた。
彼の足があまりに早くて主人公は転ぶ隙もなく、ほとんど走っていないようなものだった。
橋を渡り切って息を戻しながら、団地の木よりもこっちの木が古く苔むしていることに気づく。
巨大な木の中心部に向かいながら黒豹となにか他愛もないことを話した。
中心の体育館くらいの大きさのホールに着いたが、黒豹は入ることができないらしく、ここまでだ、と言い残して去っていった。
ホールの中にはぬいぐるみがいたが、ポットを持っていないことに気づく。
ポットを持っていないがぬいぐるみは喋った。
「めずらしいことだ」
口調から先に会ったぬいぐるみとは別の年長の気配を感じ、別の者らしいと感じる
友達のことも気になったがまず疑問に思ったことが口から出てしまう
「どこから喋っているの?」
つられて上を見ると大きな丸いく平べったいものが頭上にあるのが見えた
このホールが大きなポットだった
ここで起きてしまった
黒豹は服着てないバロンのイメージで会話をもっとした気がするけど忘れた
続きが気になる
ただそれだけ。
専業主婦の妻。結婚前から専業主婦になりたいといったから専業主婦になってもらった。
結婚前は普通の体型だった。でも段々と太っていって数年後にはお姫様だっこも無理というレベル。四肢や顔に脂肪がついてるな。力士じゃないほうの太り方だなと想像してもらえればいいかと思う。
掃除洗濯は手伝えても冷蔵庫の中身やお菓子を増やさないことや食べる量を減らすことは(増田が料理を作っても)専業主婦が持つ裁量では制御不可能だった。
そもそも、増田に妻の体型をコントロールする気はないから制御を強いたこともなかったはず。お互い、いい大人なので自己コントロールを尊重していて体型もそのひとつだ。
ただ、トータルで愛する妻であっても部分部分ではご要望に応えられない部分もある。
許容限界になった当時、妻には「今の体型ではセックスはできない」と伝えていた。妻はわかった痩せるねと言ってくれたが、現状はそのままずるずるとセックスレスになっていた。
妻は結婚当初もセックスできない宣言の後も子供が欲しいと言っていた。面と向かって緊迫した雰囲気ではなくてテレビや街中で子供を見かけて「子供ほしーね」ぐらいのトーンだ。増田も同じ気持ちなので毎回そうだねと返していた。
もちろん、通常の手段では夫婦でセックスしなければ子供はできない。今のままではセックスはできないし、仮に増田が性的に抱けても増田は今の体型の妻が妊婦になること(さらに体重が増えること)に母子共に悪影響がありそうで怖い。
増田が抱けないことは伝えた。妻は子供が欲しい。現状のボールは妻の手にある。ゴールは妻が痩せること。だから増田としてはつどリマインドするしかできなかった。
落ち着いた雰囲気のときに定期的にそれとなく「痩せなよ」とマイルストーンをお知らせする。それだけ。特に行動の強制はしない。
増田は性的にみられない以外は妻を愛してるから仮に痩せなくても・子供がいなくてもいいけど、妻の目的の前提条件に妻が痩せることがあるなら「こちらの条件・応援する気持ちは変わっていません。共同作業に進めるのをお待ちしております」としか言いようがない。急かすつもりもないし、責めるつもりもない。ただ忘れないでねとだけ。
だけど妻にとってはこれすらも増田が妻を責めていることになっていたようだ。痩せない私をずっと責めていると言われてしまった。痩せていないことを突きつけている、と。
怒りながら喋る妻の話を完全に理解することはできなかったが、咀嚼するに「痩せられない・太っている私を直視したくないのに指摘してくる」ことがストレスになっていた……のだと思う。あと、それとなく低カロリーな食べ物を欲しがったり休日に歩きを含む外出に誘ってみたり「増田がしたい」アピールをするのも負担だったらしい。
体型については自己コントロール、自主性に任せると書いたが、夫婦なのでもちろん協力できることで協力するつもりだった。二人で話し合い増田や環境によくない所があるのか、増田に手伝えることはあるのか聞いたことがあるが、歯切れが悪い感じではっきりとした返事はもらえず、結局、私が頑張るから。わかった。という形に終わった。
それでも上記のようにしたいアピールをしていたことはコントロール欲を抑え切れなかったと言われてもしかたないかもしれない。
太った妻に痩せろと怒鳴ることは増田もDVだと思う。しかし増田としては寄り添う姿勢を見せてきたし「待ち」の文脈で痩せたほうがいい気持ちを伝えてきたつもりだ。
正直に言って効果が薄くとも増田が何も言わなければ妻は痩せないだろうという気持ちはあったけれど……。
そしてなにより悲しかったことは増田ができるだけオープンな関係を築きたいと頑張ってきたのに妻の中で一人相撲されて爆発されたこと。なぜ言わないでと言ってくれなかったのか。増田がずっと何も言わずにいることが正解だったのか。八つ当たりの一時の感情だと思うが、家庭のために頑張ってきたことは無駄だったのかという気持ちが生まれグルグルしてしまっている。
お互い頭を冷やそうと言い聞かせたが、増田ができることはもう体型に口出ししないことしかないのではと考えている。
妻は痩せなくてもいいし子供を持てなくてもいい。増田にとっては現状維持になるし、そうなるだろうと思っていた未来が確定しただけ。
ちゃんと話し合ったことはなかったが養子縁組を考えてみてもいいかもしれない。
そしてこうやって書き出して気づいたが、そもそも妻は本気で子供を欲しがっていたわけではないのかもしれない。子供が欲しいは他愛無い常套句だったのかも。
すると増田の痩せろはイコール「セックスさせろ」と聞こえていたのかもしれない。これは盲点だった。性行為をしないのも離婚理由だし過度に迫るのもそうだろう。もしそう聞こえていたのなら釈明しなければ。
とにかく、増田としては夫婦心穏やかに過ごせれば幸いなので、もっと受身の人間になろうかとも思う。自分ではわからなかったが書き出すとこれでも自主性を重んじるといいながら口出ししすぎなのかもしれない。
・顔は普通
→特段告白されたことなどはないが、何人かとお付き合いしたことはある。本当に平均的な見た目だと思う。
お盆に帰省していたのだが、台風のせいで公共交通機関が止まることになり、東京に戻るまでの日数を伸ばした。
とは言ってもその分予定があるわけでもなく暇な1日ができてしまったので、ふと思い立ち、かねてより気になっていたパパ活に手を出すことを決意した。
使ったサイトはラブアンというもので、初めて聞いたがアプリのインストールが不要で証拠が残らなくて良いと思い選んだ。
名前は名字を少しもじった偽名を使い、年収も1000万とした(上述の通り嘘の年収だが、特にバレたり咎められることはなかった)。
年齢だけは免許証の認証が必要だったので本当の年齢(25歳)を記載した。
顔を晒すリスクを考え、4年くらい前に撮った大学生時代の後ろ姿の写真をアイコンにした。
プランが色々とあったが、最上級のプラチナプランを3日だけ体験できて1800円というものがあったため、帰省中の短い期間と合致しておりそれを選択した。
女性を色々な条件で検索でき、最初は23~27歳くらいのレンジで探していたが、年が近いと逆に避けられるようでうまくマッチせず、最終的には20~25歳のレンジで探していた。
デートプランも選択肢に入れられ、「食事のみ」「まずは食事から」「相手に合わせる」「積極的」の4つがあったが、「相手に合わせる」を選択した。「積極的」を選んでいるギラついた人と一緒になるとカモにされそうで怖かった。
余談だが「積極的」ってもう少しいい表現はなかったのだろうか…と思ったが、絶妙な品のなさがパパ活特化のサイトらしくて面白いと思い直すことにした。
また、サイトへの登録日数を検索条件に入れられたので、登録から7日以内とした。手練れが相手だと病気のリスクも頭をよぎってしまったからだ。
最後に地域を実家のある都道府県に設定して検索すると、10人程度がヒットした。
前提として「いいね」を男女双方から送ることでマッチングが成立するシステムなのだが、とりあえずその10人にはいいねと簡単なメッセージを送った。
そのほか最初の方に検索の仕方がわからずに適当にいいねした人や向こうからメッセージをくれた人も含めて、最終的には7人とマッチした。男性目線では送ったいいねに対してマッチング成立する率は一般のマッチングアプリに比べてかなり高いなと感じた。
また、向こうから自発的に「いいね」が届くことも多く、3日で累計40件近く向こうからの「いいね」が届いた。男性が選ぶ側に回れるのは普通のマッチングアプリでは考えられないと思う。
こちらがお金を出す分だけ女性側からの需要も高いのかもしれない。
7人とマッチングしたが、序盤よく分からず手当たり次第にいいねを送っていたこともあり、見た目が夜職のような派手な方(イメージとしては、AIKAっぽいビジュアル)が数人紛れており、少し怖かったのでその子たちには返信もしなかった。
マッチングした初手の会話で条件を切り出してきた子が上記を除いて2人おり、うち1人は「大人の関係を募集しています」とまで最初から言ってくれたのだが、むしろ手慣れてそうで怖かったので返信はしないことにした。
残った3人のうち2人は後ろ姿のみで顔を出しておらず、もう1人も顔の下半分をぼかしていた。顔を出していない子もそれなりに怖かったが、むしろパパ活アプリで顔を晒さないだけのリスクマネジメントができる子なのだと思って、むしろその子達を残した。
その3人の中で、1番返信が丁寧かつ腰が低くかったことから、最終的には20歳学生の女性とお会いすることにした。
急に思い立って始めたこともあり、日程的にもカフェの予約が取れなさそうだったのだが、「全然並びましょう!」と言ってくれたのが決め手だった。
お茶で0.5万、体の関係で2.5万。カフェ代やホテル代もろもろで結果としては4万弱という形だが、それでもソープで言えば平均的な相場感だし、女性と丸一日一緒にいられたことも踏まえるとむしろ割安だなと感じた。
マッチングした後のトーク中で実際の顔も送ってもらったが、よくいる大学生という感じの見た目で、顔立ちはかなり綺麗だと思った(たぬき顔というのだと思う)。少なくとも今までの人生で関係を持った人の中では1番の見た目をしていた。また、夜の世界の方々のような嫌な派手さがなく、むしろ純朴そうな見た目で好感が持てた。
サイトで大人の関係(と界隈では表現するらしい)になるのは初めてと言っており、そんなはずはないと思ったが、騙されてあげることにした。
余談だが、アポが取れてからもドタキャンが怖くて他愛もない会話をダラダラとしていたが、これは本当はしない方が良かったのだろうか。この点は有識者の意見をお伺いしたい。
お互いに中身がなさすぎて結構グダっていたような気はするが、一方で約束だけしてそこから連絡なしで当日行く気になるのだろうか?とも思った。
当日は県で1番の繁華街で待ち合わせをした。
背が低いこともあり、5つ下になるが、正直もっと離れているんじゃないかと思うくらい幼い印象を受けた。
他愛もない話ではあったものの、あまり慣れていないのか、こちらが怖くなってしまうくらいに大学の話やサークルの話をしてくれた。夏休みの日程や大学の最寄駅にあるラーメン屋の話なんかもホイホイしてくれたので、大学は普通に特定できてしまった(地方都市でそもそも大学が少ないのもあるとは思うが)。調べてはいないが、サークルもその気になれば特定できてしまうんだろうなと思った。
少しなんでも話してしまうリテラシーの低さが気になったものの、色々と話したことで、この子が本当に20歳の大学生で、親にも大切にされながら20年間育ってきたんだなということを妙に実感できて良かった。
これだけピュアで、親からも多額のお金を投じられて育ってきた子の、いちばん輝いている瞬間をたった3万で犯せるという悪魔的な思考が頭を支配して離さなかった。
1時間程度話した後、流れでホテルへと向かった。予め合意していたため、特にやりとりもなくスムーズに移動することができた。
まずはシャワーをお互いに浴び、ベッドに入った。
近くで見ると、やはり綺麗な顔立ちだなと思った。
照明を落としたそうな素振りは見せていたが、ホテルに慣れていないのか照明を落とせずじまいだった。明るい部屋でありありと身体を眺められるので、これ幸いとそのままにしておいた。
改めて近くで見ると本当に整った顔立ちをしているなと思った。
一方でムダ毛の話にはなるが、脇はカミソリで処理していたのだろうが少し甘く、下に関してはしばらく前に1度処理しただけのようだった。
おそらく全身脱毛に通っている途中なのだろうが、リアルな"20歳"を感じて非常に良かった。
カフェでの話の中で押しに弱いんだろうなということを感じていたので、3回戦で感度も落ちたため生本番を頼んでみたら、躊躇いつつも応じてくれた。しっかり中に出したが、外出しのフリをして「3回目はもう出ないんだよね」などと言ったら普通に信じていた。
やはりこういったことに慣れていないのか、お金をもらうということに過剰な引け目を感じているようだった。
そんな感じでフリータイムを4時間フルで楽しんだ後、ホテルを出てそのまま夜ご飯を食べた。
お手当なしでも一緒に居たいと言ってくれたので、甘えることにして、その辺の寿司屋に入った。
うまく表現できないが、純粋に今日という1日を楽しんでくれているようで、本当にいい子だと思えて仕方なかったし、さすがに中出ししてしまった罪悪感も少し芽生えてしまった。ただ、この子の元だといい子に育つだろうからそこは安心だなと思い、むしろいい子の元に我が子を残せて良かったなと思った。
LINE等は交換せず、アプリもその日の夜に退会したため、この先交わることはもう一生ないと思う。
今回はかなりの当たりを引いたと思うが、それでなくても本番ありで総額4万円程度で済むのであれば非常にコスパはいいと感じた(なお、東京の相場はもっと高いらしく、ソープの方がむしろコスパがいいかもしれない)。
一方で、店と違って性病検査などもしていないし、美人局なんかも含めてハズレを引いた時のリスクも非常に高いと考えられるので一長一短でもあるのかなとは思った。
また、相手の話によると競合は30~40代で、20代で有料会員の人はほとんどいないらしいので、その意味では若いうちに始めて当たりの子を引くのがいいのだろうと感じた。ここまでのいい子でなくても、長期的な関係を1人だけ見つけたいと言っているような子は多分いい子なんだと思う。
また、個人的な仮説だが、登録から日が浅い子とプロフィールであえて顔を出していない子は、まだ経験が浅かったり慣れておらず当たりの子が多いのではないかと思った。
俺はもう2度とやらないだろうが、読んでくれた諸兄は急いで登録してみて欲しい。
https://yashio.hatenablog.com/entry/20230729/1690639161
usi4444
MtF女性スペース反対だけで悪魔視しリンチするLGBT運動をハイソ民はどう思っておられるのか。 LGBT 社会 差別 ジェンダー
こ れ は す ご い
ここまで全力で「私はTERF(Trans- Exclusionary Radical Feminist)です」
って主張してるのすごいね。
というすがすがしいまでの意識表明がされていて感動した。
https://b.hatena.ne.jp/usi4444/bookmark
幸せそうなツイートにいちいちやっかみコメントをして回っているのだが
こういうアカウントを見ると
お元気ですか。
今はお互い実家を離れて暮らしているので、会う機会は全く無くなってしまいましたね。
はるかちゃんが隣に引っ越してきたのは、私が小学2年生の頃でした。
一つ年上だったはるかちゃんは、私より身長が高かったのもあるせいかとても大人びて見え、白い肌に映えるそばかすがとても可愛らしい女の子でした。
覚えていますか。
玄関から入るのが面倒になって、真向かいにある窓からお互いの家に行き来していたこと。
はるかちゃんの家ではちびポケハウス、私の家ではリカちゃん人形でよく遊んでいましたね。
はるかちゃんの家で見た、寝る時に着ける歯列矯正のヘッドギアは今でもトラウマです。
覚えていますか。
はるかちゃんは、私の足の爪にマニキュアを塗ってくれたこともありましたね。
古本屋で見かけた少しエッチな漫画の話をしたこともありましたね。
幼かった私たちは「あんなの何がいいんだろうね?」と笑い話にしていました。
覚えていますか。
私はまだまだ幼児体型でしたが、はるかちゃんのわずかに膨らみかけた胸を見て、いくら女同士とはいえ、なんだかいけないことをしている気分になり、少しドキドキしていました。
湯船に浸かり、学校での出来事など他愛もない話をした後、またエッチな漫画の話題になりました。
「こういうの、漫画で見たんだぁ」
そういって、ボディータオルを使って『透けた服ごっこ』を始めた私たちは、お互いの身体にタオルを張りつけ合いましたね。
胸元の少しの勾配に乗せた、薄水色のタオルから透ける乳頭は、とても魅惑的でした。
「お互いのお股を触り合いっこしてみない?」
私は驚ました。
大人がお股を触り合いっこするのは知っていましたが、女同士で触るのは、古本屋で見たエッチな漫画には描かれていなかったからです。
「え〜。できるかな?」
そう言いつつ、ためらいよりも好奇心が勝ってしまった私は、「やってみるね」と言い、あなたの素肌に触れる決意をしました。
湯船の中で、脚を肩幅に開いて立つあなたの脚の間に腕を伸ばし、そのままゆっくりと上げて、肘と手首の真ん中ら辺をそっとお股に沿わせました。
そしてそのままゆっくりと腕を引き抜きました。
手のひらで感じたあなたのお股は、お湯で濡れていました。
「どう?どんな感じ?」
「なんだかお股がくすぐったい」
あなたは笑い、「私も触ってあげるね」と言いました。
私は静かに頷き、ゆっくり立ち上がると、あなたと同じように脚を開きました。
あなたの細く白い腕が私のお股に触れた時、私は衝撃が走りました。
なぜなら、とても変な感じだったからです。
もちろん、トイレで用を足したときに拭くときや、お風呂で身体を洗うときなど、自分で自分のお股に触れたことはありましたが、それとは全く違う感覚になりました。
「どうだった?」
「ほんとだ。くすぐったいね」
あの時、私はそう言いましたが、本当はくすぐったくはなかったのです。
くすぐったいとは少し違うと思いましたが、それ以外にその感覚を説明する言葉が分からなかったのです。
「そうだね」
幼かった私たちは、そう言って笑い、あまり長風呂するとお母さんに怒られるからとお風呂を上がりました。
それからは、私の家族が転勤になりしばらく地元を離れて暮らしたこともあり、地元に戻ってからは学校も違ったので遊ぶ機会もなくなり、現在にまで疎遠になってしまいましたね。
20歳になって初めての彼氏ができるまで、私に触れたのははるかちゃんただ一人でした。
おれは脳内の垂れ流しや他愛もない放言とか、マジの日記として使ってる。常識的に言って叩かれる道理がない。稀にちょっとした会話を交わせてちょっと嬉しい。
それでもたまにゲボカスが絡んでくる。
「オレのキレキレなツッコミが効いたようだな」とか思われそうで、それはそれで不快になる。
嫌ならやめろというのは全くお門違いで、はてな匿名ダイアリーの治安がよろしくない事実から、だからいくらでも他人に唾を吐いていい、吐かれても文句は言えないといった結論にはならない。
とかいった所でゴミに社会性が芽生えるとも思えないし、やっぱディスコとかで居心地の良いコミュニティでも探そうかな。
おれの逆張り度と社会性の高さのバランスがいい塩梅にマッチして、かつある程度の人口がいる環境って中々見当たらない。
Twitterが限りなくそれに近かったけど、TLの人らが労働者になってから最近過疎気味だし、新たにTL構築するのもなんかな。
あとTwitterだとつらつら長文垂れ流せないし。
自分は天涯孤独だと思いたくなるときはありませんか。ただの思春期だと大人からは一笑されるのでしょう。でもきっとこの思いは、生まれてから死ぬまで、一生消えることのないものだと思います。なぜだかわからないけどすごく孤独を感じて、誰も自分のことを理解できないだろうと思う時、見晴らしの良い山の上にある、個人商店まで自転車を走らせます。そこは家から1時間の場所にあり、店内が少し薄暗く、雑貨や食品が売られていて、カウンターではソフトクリームを注文することができます。個人商店にもかかわらず24時間営業で、店主とアルバイト店員の二人で店を回しているようです。私はそこの店が気に入っています。店員たちは誰も愛想がなく、私なんて存在しないかのように扱います。まるでポルターガイストによってレジまで商品が運ばれて行き、清算をして、ふよふよと空をただよって菓子袋が外に出ていくかのような、そんな対応が心地よく、その時私は透明な存在になれるのです。
店を出ると前に道路が走っていて、道路をわたると眼下には海が見えます。人が降り立つような場所のない、何も手入れをされていない海。そんな海に親近感や憧れを覚えて、海に漂う透明な自分を想像します。店の横にはベンチがあり、そこでソフトクリームをなめたり、適当に手に取った菓子袋をあけて味わうこともせず雑に飲み込みます。スマホは家に置いてきて、ここにあるのは食べ物と自分と、店の室外機から聞こえるブーンという音、虫の鳴き声、かすかに聞こえる波の音だけ。1時間ほどそこで何もせず空を眺めてから、帰路につきます。
なにか生活に特別嫌なことがあるとか、不満があるわけではありません。家族仲はいいし、他愛のない話をする友人だっています。それでもただ漠然とした不安や焦燥を感じて、周りにあるすべてのものと距離を置きたくなるのです。きっと同じ思いをしている人は、過去も未来も含めてこの世の中に星の数ほどいるのでしょう。私はそんなよくある一般的な悩みを抱える平々凡々たるつまらない人間なんだなと、また苦しくなります。あの店に行くのは現実から目を背けるための逃避行なんです。
小学校までは男女隔てなく仲良く遊んでいた同級生達が中学に上がると、学ランに黒ズボンを履いた男子と、ブレザーにスカートを履いた女子に別れ、以前と全く違う人物かの様に急に振る舞い、お互いの間に透明で重厚な壁を立てた事がまず一つの原因だったと思う。
そしてまた別の理由は初めての恋。
仲の良かった女子の恋愛相談に乗っていて、彼女が好きな男子に振られると急に手の平を返して僕に好意を打ち明けてきた。その心変りの早さに僕は内心軽蔑した。
しかし、その頃物事を深く考えていなかった僕は、彼女の好意にロマンティックにも応える事にした。
放課後誰も居ない教室に二人きり、夕陽が窓から強烈に差し込む真っ赤に染まった教室の中で彼女に「付き合おう」と応えた。
顔は太陽と同じ様に真っ赤に染まっていたのに、その時の心情はただただ寂寥であった。
それは多分、自分自身でも心の内の声に気付いていたからかもしれない。
初めての彼女ができたものの、僕は具体的には一体何をすれば良いのか分からなかった。
恥ずかしさと面倒臭さで彼女と一緒にする登下校も拒否していた。
すると、どうしてそうなったのか直接的な原因は知らないが、彼女は一度告白をして断られた以前の男子といつのまにか付き合っていた。僕はその事を周りの同級生から人伝手に聞いた。
彼女と付き合う事を口言したわりに具体的な行動を示さなかったのは自分だ。
だから振られてしまっても仕方が無いのに、僕は自分でも驚くほどその事実にショックを受けていた。
気が付いたら学校に行くのが嫌になり不登校をし、家に居るのも何なので近所の空き地で身を隠して一日の大半を過ごしていた。
どうして自分は彼女に振られてショックを受けたのかをその時にじっくり考えた。
自分でも気付かない内に彼女の事をとても好きだったのだろうか。
彼女と付き合ってから変に意識し過ぎてよそよそしい関係にしかならなかった。
彼女の好きな男子の話しを聞いて軽く意見を述べたり二人で盛り上がったり。
彼女の話を聞く為に交換日記まで使って日々やり取りをするほど異様な時間を共に過ごした。
どうして僕はあんなにも心が躍っていたのだろうか。
そんな事を考えたり、空き地で飽きたら周りの人にバレない様に近所を散歩していた。
そしてある日いつも通り空き地で漫画本を読んでいる時に気付いた。
その時持っていた漫画は女友達に借りた少女漫画だったが、その中の主人公の女子と同じ様な感覚が、初彼女と共有していた感情にとても似ていた。
カッコイイ男の子を見てドキドキして、彼と話したくてでも話せなくてそんな状態にハラハラする。
漫画の登場人物に感情移入をする様に、彼女を通して僕は恋をしていたのだ。
そこまで考えて愕然とした。
僕はあの男子が好き?
もし僕が彼を好きだったら、僕は同性愛者なのかもしれない。
そういった行為が異常だという事は子供の頃からテレビや周りの人の反応で何となく認識していた。
なのに自分が異常と呼ばれる人間になるのかと思うと正直戸惑ってしまいよく分からない。
考えれば考えるほど自分は同性愛者なのでは無いかと疑問が湧いてくる。
それを確かめる術も同性愛という世界に対する知識を得る手段も何も無い。
男は女を好きになるものだ。それが当たり前とされてきた。
中学校の体育教師も「男は男らしくあれ、女は女らしくあれ」と、それがお前の遺言であれと思うほどに皆んなの前で説教していた。
周りの同級生達はアホ面を下げて遊んでいる。
その中の一人がすれ違いざまに「どうしたん?学校嫌になったん?」と声をかけて来た。
そして教室に入ると振ってきた彼女が何か言いたそうに暗い顔をして僕を見ていた。
その彼氏は僕と目を合わせない様にしているのが分かる。
僕が学校に来なくなったのは二人が原因だと彼等や周囲に意識されるのが癪で、負けず嫌いな僕は意地でも学校に行く様になった。
学校には行くし授業は真面目に受けるし周りの同級生とも普通に話していた。
でも心に虚無感を抱かない日は無かった。
同級生と下らない話の笑いに付き合えば付き合うほど、作り笑顔が上達すればするほど、心に抱えた虚しさは膨らみを増し、日に日に腹の中で闇が深まるのを感じた。
一連の出来事があった彼氏彼女とは学年が変わりクラス替えの為すぐに離れ離れになった。
彼と毎日クラスで会わなくて済む事に僕は心底救われた。彼もまた彼女に振られたようだ。
そんな彼に意外な言葉をかけられたのは冬のある日だった。
教室にあるストーブで温まっていた僕の隣に静かに彼が腰を下ろした。
その頃には挨拶程度は交わすものの会話という会話は避けていたので僕は気が気では無かった。
僕は何を言われたのか一瞬分からなくて答えに窮した。
それから彼は部活の話とか、教室で流行っているカードゲームの話を僕に振ってきた。
何となくどもらずに答えられた気がするが細かい会話の内容はハッキリとは覚えていない。
話している内に変にテンションが上がった僕達は他愛も無い話でバカみたいに盛り上がった。
彼の好きな女子の話は聞きたくないし、誰が誰を好きとか興味も無かったので僕は急に静かになった。少しの沈黙があって彼が小さな声で、でもハッキリとこう言った。
「お前が女だったらな」
…一瞬、頭が真っ白になった。
しばらくの沈黙の後、僕の頭の中に浮かんできた言葉はこうだった。
(俺は女じゃ無いし)
何故か怒りの様な感情が湧いた様な気もする。
それから僕達がどういう会話をして、その後どういう行動に移ったのかよくは覚えていない。
ストーブの熱のせいで頭がボーとしていた。
暖かくて明るい教室の雰囲気の中で僕の心だけが冷え冷えとしていた様な気がする。
そして自分の感情に蓋をして深く考え無い様にするしか術は無かった。
クラス替えをしてからは仲の良いクラスメイトに恵まれて楽しく過ごしていたし、1年生の頃の苦い思い出も自分に芽生えた小さな疑問も一先ず考え無い様に努めた。
こうやって自分を少しずつ殺していく日々が始まった。
自分を少しずつ取り戻していく日々の話はまた別の機会に。
#PRIDE月間
あと5㎏で100㎏の壁を突破するがなかなか太れないでいる。
とある広い公園で、年配の女性をナンパしてるスポーツ新聞片手じっじがワイ氏の後ろをついてくることに気が付いた。
ちらっと、ベンチに腰掛け隣に座れとジェスチャーしてるのが見えた。
ワイ氏は非常に麗しいツラをしている。
ハンターでいうところの優しい顔のミルキがボンレスハムと思ってくれればいい。
これが15-20歳ぐらい年上の一部の男性の性癖にずっきゅん刺さるらしい。
職場で、電車で、街角で、初対面であるというのに初手「ホテル行こう」という直球を投げてくる輩がいる。
道を歩いてても、いきなりジュースを買ってくれたり、小遣いを上げようと財布を出すおじさんもいる。
すぐスケベ話をしてくるので、そういう目的だ。
昭和生まれの男に、女のデブデブ脂肪が好きな層が一定数いるようだ。
もしくはデブ女はすぐヤれる、という成功体験をもっているのかもしれない。
平成、令和ときて、もろアウトなセクハラではあるが、ワイ氏はちょっと興味を持った。
スルーしていたが、戻って、ベンチの隣に座った。
じっじに比べれば若い女だ。
大喜びである。
会話は、競馬、競艇、どこに住んでるのか、独身か、男はいるか、などと個人情報を探ってくる。
じっじの一方的な会話と質問に、ワイ氏は嘘を並べて、真実は何ひとつ語らない。
嘘だらけのワイ氏の個人情報を聞き出して、じっじから結論であるところの「ヤりたい(意訳)」という言葉が出てきた。
先に、ワイ氏は興味を持った、と書いた。
興味は満たされた。
ワイ氏は少女時代からホワイトカラーからもブルーカラーからもお誘いを受けてきたが、
今回の60代半ばじっじも、隣に座れと席をべしべし叩いてみせたが、ワイ氏には指一本も触れないことが確認できた。
彼らは前時代の性規範で生きているが、痴漢行為と受け取られるような行為はしない。
これは失敗から学んだ学習成果か、それとも一応道徳心ある紳士であろうとしているのか。
判別がつきづらい。
『なぜ触らないのか』
誤解を恐れて尋ねることはできない。
「結婚したけど別れた。寂しい。女が欲しい」
「いいえ。いりません」
道を行く年配女性をナンパし、初対面のワイ氏をベッドに誘うようなじっじの人間性には間違いなく問題がある。
野良猫の交尾でもあるまいし、良識ある人間は名前も知らない異性と寝ようとは思わないのだ。
恋人でも結婚相手でもない男と金銭のやり取りもなくセックスする女はまずいない。
じっじの提案は「ガストで飯を奢る」という他愛ないものだった。
お互いに安いですねえ、とワイ氏は一人でちょっと笑った。
空の雲行きも怪しいし、帰ると告げて席を立ったら、また付いてくる、まだ話しかけてくる。
警告のちに面倒くさいけど警察コールかと思ったら、ヘルパーさんとそのお世話になる品の良いおばあ様が車椅子でやってきた。
ワイ氏はぱああああっと顔が明るくなる。
いいところに来てくれた。
じっじの目の前でその二人に話しかけた。
付きまとい終了。
何度か付きまとわれてるが警察が来る前に逃げてしまうパターンがほとんどだ。
一応、逃げてしまった場合でも警察に通報していいことになっている。
今回はワイ氏が付きまといに応じてしまったのがアカン要素で、本来ならば厳しく拒絶が望ましい案件である。
警察に通報した場合も、ワイ氏はたぶん怒られるか注意を受ける。
人間の食べ残しの味を覚えたクマが人里に降りてくるようなもので、
性欲と孤独に負けたじっじが再び年配女性や勢い余って未成年に近づいて警察に通報され、性犯罪者となり、逮捕される事態を招きかねないからだ。
一日の終わりに書き記して覚えられたら覚えていようと思う。
私は東大生であるが、『東大生なのにこんなことができません!』のような自虐のかたちをとった回りくどい自慢が死ぬほど嫌いなので、努めてそうならないように、東大生であること自体はストレートな自慢として割り切ってお話しする。
そもそも「東大生である」という絶対的な価値を前にして、自尊心の足りていない馬鹿共が東大生の欠点を探すことで優位に立とうとする捻くれた根性に問題があるのであって、こうした人々に対してはもっと努力しとけバカが、と全ての東大生が思っているのでご容赦願いたい。
先日、知人に誘われて新しいコミュニティに所属する機会があった。趣味の集まりのようなもので、メンバーは決して大学生ばかりという訳ではなく、社会人が大半を占めるコミュニティである。こういう状況に置かれると、東大生は決まって一つの問題を抱える。
どのタイミングで東大生であることをカミングアウトするか、である。
今回の場合、私をコミュニティに誘ってくれた先輩(非東大卒)がおり、私のことをメンバーに紹介してくれる流れだった。
コミュニティ共通の趣味の話題から入り、私が大学生なんです、という話までした段階で、先輩がすかさず「こいつ東大生なんですよ」と先にカミングアウトした。そして先輩は相手の反応を待たずに「こいつ天才なんで、マジで話通じないですよw」と続けた。
私はこれを受けて、「なんて事言うんすか!w」「そんなコトないですからね」というように反応した。
このように他人が先に行ってくれるカミングアウトとイジりを、私はとても助かる、と感じる。
この場合は先輩の驚くべき気遣い能力に支えられている部分が大きい。
別の例を挙げる。
私は大学の近くで接客業のアルバイトをしている。その職場は大学生が多く、シフトの多くは2人体制であり、客が来ない暇な時間などは初対面の相方であってもよく話す人が多い。
先日も初対面の大学生が相方になり、しばらく他愛のない話をしていたが、成り行きで相手が大学名探りを開始した。多少はぐらかしたものの、大学生ですか?→何年生ですか?→大学この辺ですか?のデスコンボを喰らい、やむなく東大をカミングアウトした。
読者の方々は飛び抜けた経歴などお持ちでない方が多いから経験がないだろうが、相手の想像力の範疇を越える経歴であるとカミングアウトした時、相手はびっくりしてお世辞しか言わなくなる。すると当然、自分に残された道は謙遜のほかにないのである。
大抵の東大生は、謙遜のレパートリーを複数用意している。ギリギリで合格しただけとか、『東大王』の面々とは比較にならないとか、そんな具合である。
しかしいくら手の込んだ謙遜カードを切ろうが、相手にとっては「いやでも東大はすごいですよ」が最適解のままなのだ。
こうなるとしばらくお世辞と謙遜のループから抜け出せない。しかもこの謙遜というのが非常に繊細で、「東大なんて大したことないですよ」なんて言おうものなら相手の大学を地に堕とすことになるからとても気を遣う。
1つ目の趣味コミュニティの例では、先輩が相手より先に「東大生の扱い方」を示してくれたことで、私は「お世辞を言わなきゃいけない相手」から「(もちろんネタで)イジってもいい相手」になることができた。
もちろんここからお世辞ルートに入ることも十分にあり得るが、少なくともバイトの例よりはだいぶマシである。
東大生にとってこうしたコミュニケーションが面倒な理由として、アイデンティティに占める「東大生」の部分が非常に大きいことが挙げられる。これは大学生一般に言えることだが、大学生が大学名を明かさずに自己開示することは不可能に近い。
学部にしろサークルにしろ、大学名抜きにして話は広がらないのだ。
東大生は、その大学名が無限謙遜編への片道切符なのだからどうしようもない。
つまるところ、大学生の最も一般的な会話のツールとしての「大学どこ?」を自分から訊くことができないし、相手に訊かれたらお世辞がほぼ確定するしで、初対面の会話がかなりのストレスになるのである。
ここまで読んでいただいた上で、こうしたストレスへの対処も予防も存在しないと考えている。まして東大生にお世辞以外の話を振ってほしいとか、相手の立場を考えて話題選択をしてほしいとかそういったことは期待していない。
昔のことに整理がついた。いつもお世話になっているはてなで語りたい。
ちょっと長くなるけどごめん。ピュアな気持ちが赤裸々に表現されているなんてことはないので安心してほしい。若かりし頃の日記を見ながら書いている。
かつては花の高校生だった。今はすっかりアラサーが身に付いている。
地元の小中学校を卒業してからは、家から十キロほど離れた高校に通っていた。進学理由は、そう、友達三人がその高校を志望していたから。制服もかわいかった。だから私も志望した。今思えばその程度の理由だけど、自分には大事なことだった。
偏差値が高い学校ではなくて、みんな専門学校とかに行く感じの、ごく平凡な高校だった。同じクラスで大学に進んだ子は5人もいない。そんな中で、晴れて高校生になった私は、コンビニのアルバイトに挑戦することにした。同じクラスの女子でアルバイトをしている子は少なかった。早く大人になりたかったのもある。
七月の始めだった。近所のセブンイレブンに応募した。夏は暑くて元気が出ないから嫌いで、新しいことを始めたくはなかった。けど、上の友達の一人がどうしても同じお店がいい!! というので、一緒に挑んでみることにした。
60才ほどのお爺さんがオーナーで、二人一緒に面接を受けたのを憶えている。パイプ椅子に座って面接を受けた。それで、志望動機を聞かれて、私は「社会勉強したいです」と言った。お小遣いが欲しかったのが本当だけど、別に嘘はついていない。
友達のMちゃんは、「タウンページを見て応募しました!!」と言っていた。「タウンワークのこと?」とオーナーに問い返されて、隣の部屋の大学生達が大笑いしていた。ほかにも同じくらいの時期にアルバイトで入った子達がいた。
八月頃だった。働いていて、ある男性に気が付いたのは。
その人は、がっしりした体形で、作業服を着ていた。あまり汚れはない。夏頃は薄い緑の作業服で、冬になると白い作業服の下からワイシャツとネクタイが覗いていた(作業服の下にワイシャツを着ている人がいるよね。わかるかな…? 建設コンサルタントみたいな)。黒いカバンを持っていて、手のひら大のキイロイトリのストラップがひとつ付いていた。
ある時だった。その人のレジを受けたのが何度目かの時だ。私がいるレジの前に来た時、「こんにちは」と声をかけてきた。その時、私はどうすればいいかわからなかった。ひとまず「こんにちは」と返して、何点かの食料品のバーコードを読み取っていった。
レジ袋を渡す際、少しだけ手が触れた。変な感じがして手を引っ込めた。
その後も、その人は週に1,2回は私のいるレジに来た。その度に、「こんにちは」や「こんばんは」と挨拶をする。私は黙ってることにしていた。挨拶は返さない。マニュアルにないのもあるけど、なんだか変な感じがした。
ほかのアルバイトの子は、みんな「落ち着いてる」とか「男らしい」とか言っていて、でも私にはわからなかった。嫌な人じゃないとは思っていた。
その人のことをMちゃんに話してみた。すると、Mちゃんも同じように挨拶されているとのこと。そういう人みたいだった。彼女は、ちゃんと男の人に挨拶を返していた。何度か見たことがある。Mちゃんと一緒のシフトになることは珍しかったけど、作業服の男性(当時の苗字を取ってKさんにする)に「こんにちは」と挨拶されると、「こんにちはー!!」と元気に返していた。
Mちゃんは人気があった。はつらつとしたキャラクターの子だった。30才になった今でもかわいい。異性にモテる子で、小柄で明るくて元気だった。不細工ではない。本当にいい子だった。
八月の終わり頃だった。生まれて初めて美容院に行った。当時実家には、両親と私と弟がいたんだけど、毎回千円カットだった。弟はスポーツ刈りで、私は簡単なボブカットだった。Mちゃんは小学校の時から美容院に連れて行ってもらっていて、うらやましいと思っていた。
で、私も晴れて、初めてもらったお給料で美容院に行ってみた。当時の私は物を知らない子だった。美容院にかかる料金も知らなかった。恥ずかしくて友達に聞くこともできなかった……。
入口では綺麗な人がこっちに来て、「初めてですか?」と聞かれた。緊張しながら「カットお願いします。ブローなしで」と言った。Mちゃんの受け売りだった。「シャンプーはしますか?」と問い返されたので、「お願いします」と伝えた。
こうして私は、まるで違う人になったみたいなショートヘアを手に入れた。料金はシャンプー込みで五千円だった。
それで、次の土曜の昼にコンビニでレジをしているとKさんがやってきた。彼の順番がくると、「ん!?」という声が店内に響いた(はずだ。さすがに記憶があいまい)。ちょっとびっくりした。
「増田さん、髪切った?」
どうしようかと思った。まだ、親以外の誰からもコメントをもらっていない。なんだか怖くなって、「はい……切りました」って小さい声で答えた。そうしたら、
「似合ってるね!!」
と、Kさんは言うのだ。自信満々の目つきで。
あの頃は、Kさんが特殊な人だと思っていた。まだ16年しか生きてなかったけど、彼のような人を見たことはなかった。でもその時、理由がわかった気がした。彼を特殊だと感じた理由が。
瞳だ。力強かった。当時、私と同じクラスの男子はもちろん、周りの大人や、教師でさえあんな瞳の人はいなかった。Kさんの目力はダントツだった。
「ありがとうございます…」
途切れ途切れだったと思う。恥ずかしいけど、嬉しかった。レジの中で私は小さくなっていた。心臓の音が大きくなってきて、震える手でKさんが選んだ商品を読み込んでいた。お釣りを返す時に、緊張のあまり10円玉を床に落としてしまった。急いで拾って、拭くのも忘れて返した。
別に、その人に会うためでは全くない。そんなことは全然ない。ただ、雇用契約書を交わす時のオーナーとの約束で、「平日は2日と、土日のどちらかにシフトに入る。お盆や正月もシフトに入る。試験期間中は休み」という約束を守っていただけ。
月に何度か、Kさんは話しかけてきた。他愛のない話で、10秒くらいで終わる。ほかの話しかけてくる男の人と違って、こちらが返しやすい問いかけや、共感を呼びかける言葉が多かった(雨が多いね、名札が曲がってる、ゴキブリの死体が落ちてる、会計金額が2000円ぴったりとか)。
和やかな日々が続いていた。学校の勉強は難しくなかった。偏差値が高くないところだった。風紀が乱れているとか、そういうことはなかったけど。制服を着崩す人は少ないし、部活動をやってる人もたくさんいた。女の子が可愛い、ということで有名な広島県東部の公立高校だった。思い出話が多くなってごめん。こんな時しか話せる機会がないので許してほしい。
その年の冬だった。放課後にMちゃんから相談を受けた。夕日が教室を照らしている時間帯で、ほんのりとまぶしかった。Mちゃんと一緒にやっている文化部の活動が終わった後だった。彼女が自分の机に座っていて、私は自分の椅子をそこに移動させていた。
Mちゃんがカバンの中から取り出したのは、手紙だった。薄い青色の封筒だったと記憶している。小さい便せん2枚に渡って手紙が添えられていた。
「これ、あの人からもらった」
とMちゃんが言った。Kさんのことだ。話を聞くと、一昨日の夜にKさんがコンビニに買い物に来て、帰り際にMちゃんに渡したという。それで、Mちゃんは受け取った。
もやもやとしていた。何かが燃える感じが、ぶすぶすと胸の奥から込み上げてくる。あの時、私の表情は歪んでいたかもしれない。へんな感情だった。心臓から血管へと、血液が流れ出ている感じがわかって、心臓から流れ出たその血が体の中を巡っていった。そういう感覚があった。
「増田さん。これどうすればいい?」
そのまま席を立って、教室を出て、靴箱まで下りるところの階段で涙が込み上げてきた。別にKさんのことが好きなわけじゃなかった。当時、私に「付き合ってよ」と告白してくる男子もいた。Kさんはただのお客さんだった。何の感情もない。本当だ。
今思うと、わかる。女として負けたのだ。Mちゃんに。だから気分がもやもやした。当時は「女としての負け」という考え方はなかった。でも、心の中で感じていたのは、まさにそれだった。
コンビニを休むようになった。それまでは試験期間中しか休んでなかったけど、行く気がしなくなっていた。休んでいる間は、別に普通だった。学校は楽しかったし、部活は週に二回しかなかったし、それ以外の日はまっすぐ家に帰っていたし、稼いで貯めたお金は好きな音楽や漫画や雑誌に使っていた。
美容院には通い続けていた。三ヶ月に一度。何度もお風呂で髪を洗っていると、セットしてもらった髪がシワシワになる。そうなったら行くことにしていた。周りのおしゃれな子に合わせて、大人の女性が読むような本も買った。
高二の梅雨時だった。Mちゃんがコンビニを辞めると聞いたのは。マクドで、同じ中学出身のみんなで騒いでいる時にMちゃんがそんなことを言った。別に理由はないらしい。
そんなことはないはずだ。だって、冬頃からMちゃんは太りだしていた。以前はスラっとしてこぢんまりしていたのに、今ではすっかり丸くなっていた。お腹が出ていて、制服を着ていても目立つ。以前はハムスターだったのに、今はチンチラだった。
Mちゃんが「オーナーが困ってるよ」と私に言った。ほかにも欠員が出て苦しいらしい。もう何ヶ月も休んだし、そろそろ出てみることにした。
Kさんは、やっぱり週に何度か来店していた。冷凍食品やホットスナックや炭酸水やビールを買っていく。最初は「久しぶりだね」と聞いてきたので、「はい、お久しぶりです!」と作り笑いを返した。
昨年入った高校生は、みんな辞めていた。先輩の大学生やパートさんに聞いてみたけど、そんなものらしい。オーナーは「働くという行為に耐性がつく子が少ない」「もっと楽なアルバイトを探す子も多い」と愚痴をこぼしていた。
それから、Kさんと話す頻度が増えていった。前よりも話すのが楽しくなっていた。Mちゃんが辞めて気分が楽になったのも正直ある。
その夏だった。一度、ファッションカラーというのをしてみたかった。夏休み限定で。完全に金髪にするんじゃなくて、線状にスッと部分的に染めるのをしてみたかった。
馴染みになった美容院に行って、当時流行っていたロングヘアの横髪の方に金色のラインを入れるのをやってもらった。後ろの毛先もちょっと染めた。
次の日、コンビニでレジを受けているとKさんが入ってきた。土曜日で、ジーンズとTシャツのラフな格好だった気がする。
「はい。変えました」
「うん、うん。変わってるね」
「どーですか?」
「似合ってるね!」
この時、息がしにくくなって、左手を前に出して2,3回すばやく振った。小さい声で会計の金額を告げて、お札を受け取って釣銭を取ろうとしたところで、また落としてしまった。お釣りを拾う時、休日だったので当たり前だけど、Kさんがカバンを持ってないことに気が付いた。キイロイトリ(リラックマ…)のストラップを思い浮かべて彼の前に立った。
Mちゃんの気持ちがわかったかもしれなかった。何も言わずにお釣りを返した。Kさんはほんのり笑っていた。2023年の今と違ってマスクをしていない。朗らかな笑顔だった。懐かしい。
でも、怖い時もあった。同じ年のことだったけど、私は中年のお客さんに怒られていた。声が聞き取りにくくて、タバコ選びに二度も失敗したからだ。Kさんがレジの三番目に並ぼうとしていた。
ずっと怒られ続けていて、ようやく終わるかと思ったけど、やっぱりまだ続いていた。すると、Kさんが割って入ってきた。「すいません。あと二名ほど並んでるんですが」とフォローしてくれた。
でも、その中年のお客さんはキレてしまった。「兄さんは関係なかろうが。おい!!」とヒートアップしてた。「関係あるでしょ」とKさんが返していた。
ほかに店員もいなくて、話のやり合い(ほとんど平行線)が続いている中、いきなりだった。Kさんが「あぁ!!?」と怒鳴ったのだ。彼はおじさんにこんなことを言っていた。
「さっきからお前、つまらんことをグチグチグチグチと……俺はのう、お前に手を出そうとするんを、ずっと我慢しとるんやぞ!!」
「……兄さん警察呼ぶよ」
「呼べ!!」
「……」
おじさんが退散すると、Kさんもバツが悪そうにしていた。ほかの子が応援に来たので、私は向こうのレジに行った。
もうすぐ高3になる頃だった。変化があったのは。
Kさんに手紙をもらった。夜9時くらいで、お客さんもほかの店員も誰もいなかった。会計を終えた後で、「増田さん、増田さん」と声をかけてきて、カバンの中から手紙を取り出した。
何も言わずに受け取って、家に帰って読んでみた。以下内容。
・増田さんはよく動いていてすごいと思う
・どんな人なのか知りたい、食事に行きたい
・今年中に引っ越すのでその前に
・興味があるならメールがほしい
当時は彼氏がいた。初めての彼氏だった。同じ学校で、お調子者タイプの男子だった。
そこまで好きではなかったけど、告白されて悪い気はしなかったし、嫌な人でもないから付き合っていた。クラスの中でも悪い立ち位置の子じゃなかったのもある。
ある夜、その彼氏とKさんとを心の中で比べてみた。別に、どちらがいいとか結論は出なかった。いや、見た目も中味もKさんの圧勝なんだけど、今の彼を嫌いにはなれなかった。それで、交際中の人がいる以上は、Kさんに何も答えない方がいいなって思った。
もし仮にKさんと会ってみて、一緒にご飯を食べて、もし仮に告白とかされて、付き合いはじめたとしても・・・・・・すぐにフラれるだろうなって、ベッドの中で思った。
Kさんは雰囲気が優しそうで、見た目も悪くない人だった。ほかのアルバイトの子も皆格好いいって言ってた。自分は相手にされない、付き合ってもすぐに幻滅されると思った。
高3に上がってからも、これまでどおりKさんとの関係が続いた。私のいるレジに並んで、たまに会話をする。天気の話が多かった。あとは、私のメイクとか、髪型とかが変わった時は気づいてくれた。ほかのお客さんがいない時に限って会話をしていた(迷惑になるから?)。
当時、高校を出た後の進路は美容の専門学校を考えていた。そこまで大した志じゃない。高校に入学した頃は、見た目が『じゃが芋』だった私も、メイクやファッションを覚えてだいぶましになっていた。『メインクーン』になっていた。
自分でいうのはどうかと思うけど、本当に私は変わったのだ。高1の時の写真と高3の時の写真を比べると、じゃが芋から進化した存在になっていた。別人みたいだった。
その年の秋になると、第一志望の専門学校に入るために、コンビニの隣にある地域集会所で毎日勉強していた。いつも親が仕事帰りに迎えにきてくれる。当然Kさんと会うことはできず、悶々とした気分になった。
入学試験のちょっと前だった。集会所を出て、お腹がすいていてコンビニに何かを買いに行こうとしていた。すると、ちょうどKさんがお店から出てきたところだった。自転車に乗ろうとしていて、コンビニの駐車場に入った私を呼び止めた。
「お疲れ様です」と声をかけてきて、私も「お疲れ様です」と返した。「今日も寒いね」には、「本当寒いですね」と返した。「元気そうでよかった」には、「はい、めっちゃ元気です!」と返した。泣きそうだった。嬉しかった。
その時、Kさんが「増田さん。俺、今日で最後なんだ」と手短かに言った。「今週末に引っ越す。今日でコンビニは最後だから。じゃあ、元気で」と、Kさんは自転車に乗った。
私が「こちらこそ、ありがとうございました」って言うと、「増田さんはいい社会人になると思う。もし、大人になってどこかで会うことがあったら何か奢る。約束な」って、自転車に乗って私の家とは反対方向に駆けていった。
あれから十年以上が経った。今は結婚二年目で、生活に慣れてきた頃だ。子どもはまだいない。そろそろ社会人として復帰しようかと考えている。コンビニで働こうか、それとも昔いた会社の契約社員のポジションを探そうか思案している。
実は、あの別れの日から数年後にKさんに会うことがあった。当時の私は、美容の専門学校を卒業した後、都会の方で美容とは関係のない仕事に就いていた。求人情報誌への掲載の営業で、とある喫茶店に出入りしてたんだけど、ある日そこでKさんがサンドイッチを食べているのを見た。その時は、作業服じゃなくてスーツだった。後日聞いたところだと、会社からの出向で政令指定都市に赴任しているとのこと。
「お久しぶりです。元気でした?」と声をかけてみたけど、Kさんはちょっと悩んだ様子だった。かくいう私もメイクが濃すぎたし、髪も長くなっていたから、気づくのに時間がかかったみたいだ。向こうも驚いてたっけ。やっぱり優しそうな雰囲気で、笑顔がまぶしかった。あの日の約束どおり、後日ご飯をおごってもらった。
この日記を書こうと思ったきっかけは、早朝に旦那を送り出した後で、昔の自分を思い出したからだ。玄関で、旦那のカバンに付いているぬいぐるみのストラップを眺めていて、思うところがあった。
とりとめのない内容だったけど、以上になる。最後まで読んでくれた方がいたらうれしいな。
4人のうち2人は結婚して子供ができた。1人は今回赤ちゃんを連れての集合。きゃわ〜!
集まってうまいもん食べて他愛のないお喋りをするだけ。食費やテーマは変われど高校時代と変わらない(昔は一杯のジュースでマックで宿題やってたなあ…)。仕事の話、趣味の話、それから子供や旦那の話。
独身の友人がこそりと言ってきた。「みんなが自分の子供の話で仲良く盛り上がってるとちょっと寂しくなるね?」
あまり考えたことがなくて、私は「ごめんよくわからない」と答えてしまった。
思えば、独身の友人は疎外感を感じていたのだろう。
結婚している二人が人生充実してそうに見える気持ちは私も分かる。たまに連れてきてくれる子供めっちゃ可愛いし。
「甥っ子はこうだよ!」「親戚の子はこうだよ!」みたいな妙な絡み方が多いなとは思ってたけど、それもきっと仲間に入りたいが故だろう。
せめて同じ独身の私と疎外感を共有することで安心したかったのかも、とあとで反省した。
まあ気持ちを偽ってまで同情しないといけないほど知らない仲でもないので別に後悔はしてないが、次に会うときはその子が楽しめる話題も考えてあげなきゃなあ。
わかるだろうか。学校でも、職場でも、趣味の集まりなんかでも、恋愛的な物事に一切関わらなかった人は少ないと思う。自分から恋愛をやってみるとか、アプローチを受けるとか、ほかの人が恋愛してるのを外から見るとか、みんなも体験してきてると思う。
私は企業での契約社員勤め(夫、子どもあり)の身分だけど、職場でそういうのを見てきた。その中でも、「恋愛に発展する可能性がない」ような、そういうシチュエーションがなんだかいいと思う。
その人と最初に会ったのは、会社のイベントでの動員だった。地域貢献をするタイプの会社で、敷地内で年に一度だけ出店をする。去年、その中のアトラクションのひとつで受付の仕事をすることになった。一緒の長机に、私とその人(Nさん)と、後は入社して半年の女性と、一番奥側に管理責任者の人が座ることになっていた。
イベントの本番前日の準備の時、Nさんを初めて間近で見た。一緒にアトラクション(風船釣りとか輪投げとか)を作っている時に、とても頼りになって、雑談を振ってくれて、体力もあって……。私と同じ30代のようだった。少し年上。独身。
その時に思い出したんだけど、私が契約社員として採用されたばかりの頃、他機関への申請ものの仕事があって、Nさんと絡んだことがあった。必要な添付文書がわからなくて、その時に丸投げみたいな感じ(○○の補助をもらうために必要なデータがほしいetc)で別部署のNさんに電話で依頼したんだけど、2日で取り寄せてくれた。
いい人だと思った。直接Nさんの部署に行ってお礼を言った。私は既婚だから、ほかの女性と違って恥ずかしがらずに堂々とNさんと話ができる。
これがもし独身同士だったら、お互いに廊下で話をしてるだけで噂になるかもしれない。でも、私は結婚指輪をしてる。普通に雑談してるだけだと周りに疑われることはおそらくない。
イベントの準備が終わった後は、Nさんとちょっとだけ話をした。落ち着いた雰囲気で、目力が強くて、やっぱりいい人だなと思った。私の夫は、知り合いだった頃も、友達だった頃も、付き合っている時も、結婚してからも細かい気遣いをしてくれない。話もあまり聞いてくれない。子どもっぽいところがある。
ほかの準備に参加してたスタッフのうち、学校出たての若い子も、私より年上の人も、Nさんと話す時に明らかに感じが違った。機嫌がいい。声が高かったり、逆にすごく低かったりしていた。Nさんの個人情報はあまり書けないけど、落ち着いた感じで、他人の話を聞ける人だった。大人だった。
これがもし独身同士だったら、たぶん会話もできないんだろうな。私が学生だった頃を思い出すに、好きな人と話す時とか、話しかけられそうになった時や、視線が合いそうになった時は、まともな状態じゃなかった。廊下で好きだった人と出会い頭に走って逃げたこともある。
ありていだけど、胸がドキドキとでも言えばいいのかな。今ではそんなことはないけど、若い時はしょっちゅうだった。例えば、会社の中でFAXの目の前にいて、気になる人が傍を通りすぎる時に、「増田さん、やり方がわからないの? 教えてあげる」というシチュエーションを想像して胸が痛んだ。もう、あの頃のピュアに戻ることはないのだろう。
そういえば、今の旦那と出会った時もそうだった。地方都市で大学生をしてたんだけど、ハタチの頃の旦那がゼミの帰り道に傘を持ってなくて、横断歩道に立っていた。すぐ後ろにはお婆さんがいて、「傘、途中まで一緒に入りませんか?」と問われて、旦那が承諾したみたいで、結局は駅の前まで二人で相合傘だった。お婆さんは旦那とずっと話をしていて、満足そうだった。
当時の旦那のそんな姿を見て、気になり始めたんだっけ。懐かしいな。
本番当日、Nさんと一緒にイベントの仕事をこなした後も、会社の中ですれ違う度に挨拶をしたり、他愛ない話をしたりした。結婚というのはスゴイと思う。どんなに素敵な人を目の前にしても、全然緊張しなくなる。自然体でいられる。この人と結ばれることがない、という安心感からだろうか。
ちょっと前なんかは、私のいる職場にNさんが用事でくることがあった。あっという間に帰ろうとしたのだけど、その時に彼の後ろを追いかけて、「あ、Nさん私と一緒のところに行くんですね。後ろ付いていっちゃお~」って、高校生の頃に戻ったみたいに、わざとらしいアピールをして反応をうかがった。「行き先が一緒なんですね。どうぞ」と返してくれた。
あと、別の日に「髪切った?」と聞かれて、ハイと答えると「似合ってるね!!」って言われた。この時も、特別な感情は芽生えなかった。いや、すごく嬉しかったけど。でも、ほかの友達と一緒に話をする時とそう変わらなかった。
繰り返しになるけど、『この人とは結ばれない』って心の底からわかってるから、平常心で会話が成り立つ。そうじゃなかったら、いろいろと無理だよ……。
先日のことだ。仕事を終えて事務室を出た後、途中でNさんと一緒になった。会話をしながら階段を降りて、カードキーをかざして建物を出て、駐車場まで歩いて行こうとした時に、「増田さんはいい人ですね!!」とNさんが言った。反応に困っていると「今度二人でご飯行きませんか?」と誘われた。
「いいですよ」とは言ったけど、正直反応に困った。子どもがいるから、夕方以降に完全に家を空けるのは……という思いがあるし、昼だと周りに見られるかもしれない。家で飼っている猫も気になる。
子どもに留守を任せることもできるけど、たまに実家の母が訪ねてくることもある。心配でならない。
Nさんとご飯に行きたいとは思うけど、正直迷っている。いったいどうすればいいのだろうか。たぶん、普通にご飯に行っても大丈夫なんだと思う。でも、絶対に安心というわけじゃない。ここに書いている暇があったら考えればいいのかもしれないけど、いい知恵が出る自信がない。
こんなに読ませた後で申し訳ないけど、誰か知恵を貸してほしい。手厳しい意見でもいいので。正直、人生で何番目かに迷っている。Nさんとご飯に行きたいけど、もしそういう感じになったら無理だと思う。どうしたらいいのだろう。