「静謐」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 静謐とは

2018-05-05

野球という欠陥だらけのスポーツ 」に真面目に回答してみる

https://anond.hatelabo.jp/20180503192028

出遅れしまったが、野球話題はてなで伸びることはあまりないので真面目に答えてみる。

競技フィールド問題

ブコメでも大量に指摘されているが、広大なフィールド必要とする競技は中心となる競技エリア以外の規定はアバウトに設定されていることが多い。サッカー競馬クリケットウインタースポーツ等の自然環境を利用した競技など。これらのスポーツが厳密に設定されたフィールドしか行えないのであれば、プレイする場所が限られすぎてしまうために現実的でない。

言うまでもないことだが、敵も味方も同じ環境で行っているのであれば場所の違いによる標準化問題は多少は許容されるのが大抵のスポーツ普通である環境標準化問題でいえば、標高差・湿度・風速・道具の問題など枚挙に暇がなく、野球に限った問題ではない。

プレイの洗練の問題

プレイが洗練されているかどうかは個人主観に拠るところが大きいが、サッカーシミュレーション柔道レスリング化等、野球に限った問題ではない。

<第三アウトの置き換え>

マンガあまりにも有名になってしまったが、個人的にはあまり問題に思ったことはない。現実殆ど起こらないので。というか、分かりづらいこととはいルールブックに明白に書いてあり、適用事例も示されていることを「曖昧」というのはどうか。問題にするとすれば厳密に適用されていないルール(例:バント時のバッターボックスからの足のはみだし)やチェックスイングの判定じゃないのか?

サイン盗み>

これもブコメで指摘されているが、サイン盗みが横行するとサインが複雑になり、試合時間無駄な延長に繋がるため。

故意のファールの見分け>

これはブコメになかったので解説する。通常バッターは打った直後、打つ方向に向けて頭(目線)が自然と向く。右打者なら打球を引っ張れば目線はレフト方向に行くし、流せばライト方向に向く。(たまに打球方向と目線の向きが異なってしまった場合が"あっち向いてホイ"状態である。)

打球をフェアゾーンに飛ばそうとしている打者はフェアゾーン方向に自然目線が向いているのが普通なので、打球を放った直後にフェアゾーン目線が向いておらず、打ったファール方向に目線が向いている場合故意にファールを打っていると見なすことが出来る。日本ハムにファール打ちを故意に行っているとされる中島卓也という選手がいるが、是非動画サイト等で彼がファールを打っている時の頭(目線)の向きに着目して欲しい。センターカメラから見て三塁ベンチ方向(つまり打球がファールしていく方向)に目線が向いていることが殆どである

しかし、故意にファールを打つ行為は打球をフェアゾーンに飛ばすことが目的であるはずのバッティングと相反する行為であるので、ルール上反則ではないものの、それに反感を覚える人が多いのは理解できなくはない。個人的には、故意のファールそのもの認定するのは線引きが難しいので、12連続でファールを打ったらアウトぐらいのルールを設けてもいいようには思う。

なお、ファールの方向に頭が向かずにファールで粘れる選手はかなりミート技術が高いと評価でき、プロの一流打者なかにはしっかりとしたスイングをかけながらファールで粘れる変態的打撃技術を持つ選手もいる(元日ハム阪神片岡篤史など)。

<大量リード時などゲーム終盤の手抜き>

サッカーの終了間際のボール回し、競馬勝利が確実なときに鞭を使わない、陸上距離決勝進出が確実な選手準決勝まで流す、カーリングのコンシード等、その試合のみで全てが終わるわけではない大会においては体力温存などのために最後までプレーしない行為は広く行われている。





以下はブコメ意見に対するレスポンス

バット振って当たればラッキーみたいな感じでスポーツとして怪しいかも>

130km/hのボール投手から打者まで到達するのにおよそ0.45秒、115km/hではおよそ0.51秒であるリリースポイントが投球板から2m打者方向、球速が一定仮定した場合計算が間違っていたらスマン)。その差はわずか0.06秒だが、距離にして約1mの差。バットボールの大きさは10cmもないので、130キロボールと115キロボールを同じタイミングで振っていたら全くかすりもしない。

プロ打者は数種ある投手の球種に0コンマ0何秒のタイミングバットを数cmレベルで、さらコースによってバットの出る角度を調整し、ただ当てるだけではなくそれなりの強度を持ったスイングで、前方45度の野手の居ない方向にボールを飛ばさなければならない。しかもこの作業は、職人静謐クリーンな集中できる作業場で行えるのではなく、砂埃舞うグラウンドで数万人の歓声と衆目の中で行わなくてはならないのである。誰にでも出来るようなことではなく、プレッシャーで潰れていく選手が出るのも不思議なことではない。

フォーメーションが決まってるから柔軟性、というか発展する余地がない?>

現在MLBでは広く行われるようになっている「極端な守備シフト」の出現は、伝統的な野手守備位置を崩す大きな野球の変革といえる。かつての王シフトのような極端な守備シフトは、一部の選手に対して行われるいわば"奇策"に近いような戦術であったが、近年は非常に多くの打者に対して行われるようになった、という点で大きな変革が起こったといえる。一方で極端な守備シフトによって野球醍醐味の一つである野手ファインプレーが減ってきているという指摘もあり、極端な守備シフト制限するための措置が行われるのでは?という噂もある。

喫煙肥満が云々>

喫煙肥満を推奨するわけではないが、一見アスリートとは思えないような見てくれの悪い人間活躍するのも、ある種野球面白さだと思う。松坂大輔攝津正のように若い頃の面影がなくなってくるとそれはそれで悲しいのだが、バートロ・コロンのように体型を維持しながらピッチングスタイルを変えて生き残っていく選手を見るのも楽しい

野球不文律について>

野球不文律については、特に野球ファンでないと思われる人々から野球の嫌なところ」として指摘されることが多いように思う。しかし、実際のところ暗黙の了解によって行われるプレーはそれほど多くはなく、それを破ることによって問題になる場面も多くはない(というか、頻繁に問題になるのであれば確実に成文化される)。"不文律"という仰々しい表現が使われているが、いくつかは慣習的に行われているマナーのようなもので、電車で騒いではいけませんとか他人の顔をジロジロ見てはいけないとかそういった類のものである。例えばwikipediaの「野球不文律」の項で取り上げられている"投手の集中を妨害するために相手に話しかけたりしてはいけない"とか、"投手野手文句言ってはいけない"などは、野球独特の暗黙のルールとして特筆するようなことでもないだろう。将棋で対局中に相手に話しかける棋士はいないだろうし(いたらスミマセン)、仕事で別部署の人がやってしまったミスをわざわざ咎めに行く人はいないだろうが、成文化されていないとしてももしそれらをやれば確実に顰蹙を買うはずだ。

wikipediaの「野球不文律」で書かれている項目は特筆するべきことでもないことかなにかしらの説明必要な項目ばかりで、野球を全く知らない人が参考にして見てもらいたくないことばかりである(もちろん全ての項目が気にするなというわけではなく、引退試合忖度などは無くすべき慣習のように思う)。

つまるところ、これらの問題はささいなことであって、外の人が「これが野球の嫌なところである」と声高に主張することがある種偏狂で、野球ファンからすれば不快だと言わざるを得ない。

アップデートの無いゲームは欠陥がかなり残っているでしょう>

まり知られていないことだが、実は野球ルールは毎年細かい変更が行われている。「野球規則改正」で検索してほしい。

ストライクゾーンってのがマジで理解出来ない 選手ごとに可変でしかも全部審判目視て>

MLBでは機械的な投球の測定システムの導入によって審判ストライクゾーンの精度がかなり向上したらしい。将来的にゾーンの判定が機械的に行われるようになることも非現実的ではないと思われる。

<一つのポジションピッチャー)のゲームへの寄与が、他のプレイヤー全員の寄与を合わせたよりも大きい点で、デザインおかしスポーツ

少し理屈をこねた回答をする。団体スポーツで一人の選手スタンドプレーによってゲームが決まってしまうことは、特にアマチュアレベルにおいては決して野球に限ったことではないように思う。子供の遊びレベルサッカーバスケットボールで、一人の運動神経のいい子供ボールを多く扱って何得点も決めてしまう場面を見たことがないだろうか。

野球においては投手が多くボールを扱っているか投手が全てを支配しているように見えてしまうが、ただボールを投げただけでは得点は入らないのが野球面白いところで、投手負担だけで野球というゲームの全てが決まってしまうわけではない。もちろん1試合のみでは絶対的投手によって試合の体勢が決まってしまうこともあるが、プロ野球においてはその点他のプロスポーツに比べて非常に多くの試合が組まれることによって、一人の投手のみによってシーズンが決まらないような体勢が整えられているのである。また投手の分業制は最早当然の戦略となっており、多くのイニングを投げる先発投手のイニング数も年々減少傾向にある。プロのみならず、最近高校野球でも複数投手を擁するチームが非常に多くなってきた。これは単に投手負担を減らす意味合いだけではなく、一人の投手能力だけではゲームをdominate出来ないことが多くなっているといえるからだと思う。逆説的にいえば、一人の選手ゲーム支配することもあるし、戦略的には複数投手制をとるチームが増えている点で、独特の興味深いゲームバランスになっているといえないだろうか。

ちなみにアメリカのbaseball_referenceとfangraphsというサイトがそれぞれに公表している「WAR」というMLB選手の貢献度を測る投手野手共通指標存在するが、2008年から2017年までのMLBリーグトップWAR20人中、reference版でトップになった投手は6人、fangraphs版ではわずか1人である。少なくとも長いシーズン戦うプロ野球においては、図抜けた投手一人より図抜けた野手一人のほうが貢献度が高いと見なされているのである

2018-03-09

おじさんでなにが悪い

もうおじさんになってしまった。

若い人のことはもう一切わからない。相撲が好きになった。ジャズが好きになった。漬け物が好きになった。茶碗が好きになった。

紅葉を見に行った。おじさんおばさんしかいない。静謐空間だった。そう、おれはここでいいと思った。

2018-03-07

上映中スマホの電源は切るし

ジュースポップコーンの音もなるべくたてないようにしてるし

身じろぎもそっとするし前のめりもしないようにしてるしエンドロール最後まで見る派だけど

映画観終わった後スゲー疲れるんだよな。

それでいて別に他人静謐さは求めてないので騒がしい映画館の方が色々楽なんじゃねって気付いた。

いやスマホ盗撮絡みでどうせ禁止だろうけど。

声だし系上映とか黙っててもいいんだろうか。

子連れおっけー上映とか子供いなくても行っていいものだろうか。

そっちの方が楽な気がしてきた

2017-09-09

静謐という言葉

静謐という言葉が好きだ。

静かでいて、なおかつ尊厳があって、言葉を発してはいけないような。美術館にいるような気分になる。そんな言葉

2017-07-22

今年よかった映画や本などのメモ

一時期赤羽の駅前を賑わせた男性がいる。彼はどう見ても普通の、背広を着てネクタイを外したサラリーマンなのだが、なぜか道行く人にノートを見せつけてくると言う。そのノートにはどれほど猥雑なことが書かれているのだろうかと怪訝に思われるだろうが、実はそうではなく、ノート手書きで書かれているのは

君の名は

に関するあらゆる情報。どうやら彼は映画館で観ていたく感動し、その作品を広く世に知らしめるべく行動に出たようなのだ。すごくないですか?このインターネット全盛の時代に。しかもすでにみんな結構観てるし。でもなんかいいなと思った。どうしても色んな人に観てもらいたかったのだろう。

今年観た映画には素晴らしいものが数多く、会う人会う人に、向こうのリアクションなどお構いなしに下を見ながらブツブツすすめ続けてしまう。わたしは何かを観たことによるマウントを行いたいわけではない、と思う。ただ、自分が今ラリっているブラントを配りまくっているジャンキーのようなもの。たぶん。ヘイ、ニガ!一緒に吸おうよ!みたいな。たぶん。知らないけど……。僭越ながら紹介させていただきます。とっておきのブラントなんだぜ、ニガ。

長い前置きすみませんでした。

◆超オススメ

①映画「お嬢さん」監督:パク・チャヌク

韓国鬼才によるエロサイコミステリーしか百合韓国映画敬遠しがちな人は度肝抜かれるので観てください……。戦時下、美しい日本庭園で美しい衣装を着て日本人のフリをする朝鮮人たちが騙し合うんですが、セリフがずっとカタコトの日本語。この時点でカルト映画だ!となるんですが、話の展開も予想だにしない方向へと引っ張られていき目が離せないです。しかも最後が爽やか。イェーイ!となるという。とにかくエロいんでそこ目当てでも観て欲しい。

公式サイト:http://ojosan.jp/sp/index.html

②映画「コクソン」監督:ナ・ホンジン

韓国の寂れた村に國村隼が住みついてから、村人が家族を惨殺する事件が相次ぐ……なんで國村隼?本当に犯人は國村隼?なんでフンドシで鹿の生肉食べてる國村隼?こう聞くとB級映画しか思えないと思いますが、カンヌ出品も納得のテーマへと迫っていく。何を信じるのか?終わり方は苦手な人もいそうだけど、でもそういう人こそ観るべきだと思う。途中、祈祷師なる人物がドラをジャンジャン鳴らしながらヤギの首をかっ切るシーンは尋常じゃない高揚感が得られます

公式サイト:http://kokuson.com/sp/

③映画「くすぐり」監督:デイビット・ファリア

Netflix話題を呼んでいるドキュメンタリーニュージーランド記者が「くすぐり我慢大会」なるものを見つけ取材を申し込むと「オカマ野郎には関わって欲しくない!てめーはクソだ」のような攻撃的な返事。調査を進めるうちに、まるでゲイポルノのようなくすぐり動画を撮影し、恐喝に用いていたことが判明する……。

実話であることが恐ろしすぎる!見ず知らずの若者を支配し人生をぶち壊すことにしか興味がない恐ろしきサディストの話。こんな怖い話があってたまるか……。ゾワゾワしたい人は是非観てほしい。すごく怖い。

参考サイト:http://cinemandrake.blog.jp/くすぐり

④本「勉強哲学 来たるべきバカになるために」著:千葉雅也

勉強するとはどういうことか?勉強するとはキモくなることである勉強すると100%キモくなる。なぜなら周りのノリに対し浮くからだ、という箇所に大納得。でもそれでも勉強してしまう。なぜなら自分が変わっていくマゾヒスティック快楽があるから。勉強とは、今までわからなかったことがわかること。言葉自分のなかで血肉を持つこと。でも言葉自分環境を一度切り離し、客観的に捉え直すことが必要自己啓発書風だけど中身はすごくわかりやすいドゥルーズだった。わたしがなぜ学生の時にドゥルーズに心惹かれたか、腑に落ちた。とても平易な言葉で書かれているけれど、勉強のものに切り込んでいくのでスリリング。名著だと思う。……伝わってますか?すごく読みやすいのに考えさせられる、とてもよい本。

テレビシリーズ「ル・ポールドラァグレース

こちらもNetflixにて。アメリカンドリームを夢見る、人種バックグラウンドも様々なドラァグクイーンたちがバトル!ル・ポールの前で1番を競い合う。カーテンドレスを作ったりものまねショーをしたり。あれ?意外に予算がかかってない?しまむらチックな私服を着た屈強な男たちがメイクと豪華なドレスで美しく変身する様、見習わないといけないなと思わせます。そしてなんてったってル・ポールが美しい!普段はダンディなスキンヘッドの50代のオジさま(声だけ女)なのに、ひとたびドレスアップすると193センチの美女!日本の番組ありがちな、 「でも実はオッサン」的ないじられ方をすることなく、ただただ美の化身として存在するル・ポール尊いです。あと発音がわかりやすくてリスニング力を鍛えることができる。

⑥映画「モアナと伝説の海」監督:ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー

海、砂、黄金テクスチャーが本物以上。海洋スペクタクルアドベンチャーモアナプリンセスというよりかは立派な施政者。16歳なのにあんなにしっかりしているなんて……。話の説明パートは歌かギャグが入るので飽きることがない。オチ完璧だったし、この映画を観て育った子供は絶対に自然環境破壊しないと思う。ホントか?半神ムアイは全身タトゥーだらけで顔もいわゆるディズニーヒーローとは違っているけど、とても愛らしい。ディズニーは反ルッキズムへと舵を切っているのかも。人間に御礼を要求する歌がいいです。派手なカニやココナッツマッドマックスも必見。

⑦映画「レゴバットマンムービー」監督:クリス・マッケイ

今激激激激オシしている映画。なぜなら全然流行ってないから。でもそれはどう考えたってオカシイだってこんなに面白い映画そうそうない。映画館で終始ニヤニヤ、たまにゲラゲラ、笑いすぎてむせてしまったかと思えばしんみりさせてくれる。バットマンでかつレゴ、でもどちらも必然性があるストーリー。レゴがとにかくかわいくカラフルで魅せられるんだけど、話は意外に考えさせられる。

ダークナイト」では、悪に対し私刑を加えるにすぎず、その行動がより悪を増長させ自らもまた悪の似姿となるバットマンが、アメリカオーバーラップさせる形で描かれた。奇しくもジョーカーを演じたヒース・レジャーの死によってダークナイト問題提起に答えが与えられることはなくなってしまったが、その答えを与えるのが「レゴバットマン」。まじです。しかも子供も楽しめる。すごい。ウォルデモート卿やマトリックスエージェントキングコングまで。騙されたと思って観てください。

公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/legobatmanmovie/

オススメ次点

⑧映画「アシュラ」監督:キム・ソンス

韓国ノワール。人がイヤな死に方をすることでは天下一品韓国映画にまた一作、観ていて痛そうな映画が。サイコ市長に飼い犬のように使われるダーティ刑事が牙を剥く。観終わったあとに結局なんだったのか?感が否めないが、市長がフルチンでキレたり、やたら痛そうな拷問など、観ると楽しい。主演が西島秀俊に似ている。

公式サイト:http://asura-themovie.jp/

⑨映画「ムーンライト」監督:バリージェンキンス

閉鎖的な黒人社会でセクシャルマイノリティとして生まれたこと、というよりかは孤独な子供あるあるとして観た。静謐さ、不安定な視界、不安げな表情、どれも既視感のある普遍的ものだったので、不器用な子供だった人にすすめたい。また、車、言動、振る舞い、筋肉、どれをとってもギャングスタに憧れないわけにはいかなかった。

公式サイト:http://moonlight-movie.jp/sp/

⑩映画「湾生回家」監督:ホアン・ミンチェン

台湾で生まれ育つも敗戦により引き揚げざるを得ず、しばらくかの地に足を踏み入れることのできなかった日本人を追ったドキュメンタリー故国ではないところに故郷がある人の、心はいつだって異邦人という言葉に痺れる。人の優しさと詩情に満ちている。

公式サイト:http://www.wansei.com/

11映画「スウィート17モンスター」監督:ケリー・フレモンクレイ

とにかく女の子ダサい二日酔いから覚めると一人しかいない親友といけすかない兄貴がウチでヤッてた!?最悪な気持ちのまま適当アジア系のイケてない男の子デートしたり先生悪口言ったり、ジタバタ。パーティで人に話しかけることができなかったり、目も当てられないが、それはまごうことのなきいつかの自分。近頃よく見るイケてない青春ムービー一角だが、大した事件が起きないのにしっかり成長するので見ごたえがある。サントラがいい。

公式サイト:http://www.sweet17monster.com/

2017-05-14

[]

夜とコンクリートを読んだ。青いサイダーで泣かされた。簡素かつ美しい線で描かれた物語から立ち昇ってくるのは、夏の寂寥感にも似た読書感だった。

恥ずかしながら中古で買ったんですけどね。棚を眺めていてひょいと手が伸ばしたら、こんな素敵な漫画出会えたわけです。運がよかった。

内容としては全体的にとってもシャープ無駄がなく、足りない箇所も見受けられない。絵柄も本当にすっきりしているから、人物たちの言葉と彼らがいる場所空気感ダイレクトに伝わってきた。

そのおかげか、はたまたAmazonでのレビューをチラ見したせいかは知らないけど、いま一度内容を思い返してみると、擬音語がなかったはずの場面から濃密に音の気配が聞こえてくる気がする。

変な言い回しになってるけど、例えば夏休みの町って話の扉絵から降り注ぐ蝉の鳴き声や、強烈な日差しが照り付けてる感じや、風の音なんかがひしひしと感じられるようになったのです。

感受性を刺激されたというか、想像力をたくましくさせられたというか。実際読みながら涙が出てしまったわけで、個人的感情を強く揺さぶられる表現が詰まっていたことは間違いないです。

どこまでも静謐で限りなく情緒的な一冊、つまりはすごい漫画だってこったな。

2017-04-20

201702xx_清宮質文と版画の魅力

今年の1~2月中の群馬県館林美術館企画展

多分1時間程度でまわれたと思う。

とにかく静謐雰囲気が特徴の木版画が多かった。

版木の木目を巧みに生かしていた。

ちなみに「清宮質文」で「せいみやなおぶみ」と読むらしい、初見でよむのはなかなか難しい。

2017-03-15

私はかつて差別主義者だった、『けものフレンズ』を観るまでは。

 私はかつて差別主義的なケモナーだった。

 ご存知のようにケモナーには様々な派閥存在する。

 メスケモ派、オスケモ派にはじまりマッチョ派、モフモフ派、デブ派、ショタ派(なぜかロリほとんど見ない)、モンスター派(極左人外連)、トランスファー帝国肥大化公国、融合辺境伯領、ロイヤル竜奇兵連(ドラゴナーズ)、爬虫人類委員会レプタリアンズ)、キグルミ派、母性探求派、海生動物会議(「海の人々」)、四ツ足派だけどズーフィリアじゃないもん派(愛ケモ主義極右)、丸呑みだけが人生だ派、卵胎生出産教会インターレイシャル(人×ケモ)派、反インターレイシャル派……

「天はケモナーの上にケモナーを造らず、ただし、ケモナーの横には無限ケモナーを造った」

 とは近代日本における先駆的ケモナー福沢諭吉名言である

 産業革命以降の通信技術の発達は、孤独だったケモナーたちに「同好の士」を発見する機会を与え、ファンダムの拡大に成功したものの、

 同時に細かな嗜好の違いによる派閥対立をも生じさせ、その軋轢がついに二度に渡る世界大戦の引き金となったことは今更説明するまでもないだろう。

 そうした争いは近年まで衰えることなく続き、いつしかケモナーたちは「派閥が違えば殺し合って当然」という野蛮な虐殺言語所与のものとして生きるようになっていた……。


 私もそうだった。

 私もある狭い派閥こそ唯一かつ至高と信じ、他者排除差別によって所属派閥への帰属意識を高めていった。

 派閥意志に叶うと思えば、喜んで我が手を血に染めてきたし、かつての友人たちをためらいなく2ch晒した。

 なかでもいっそう劣悪とされ、他のありとあらゆる派閥から敵視されていたのが「ケモミミストである

 サイバーコネクトツー・スペクトラムでいうところの「レベル2」。

 「ニンゲン身体に、ケモミミ(としっぽ)がついてさえいればよい」とする日和見主義的邪教徒たちだ。

 彼らにはケモコミュニティ内において最初から人権など与えられてこなかった。

 なので、ふだんは「一般人」に紛れて潜んでいたのだが、ときおり何かの間違いで何も知らない”レベル2”がケモコミュニティに迷い込んでくることがあった。

 多くの場合、彼らは痕跡も残さずにコミュニティから「除去」された。


 中道過激派秘密ケモナー警察あいだで流行ったジョークにこんなものがある。

 「”レベル9"(いわゆる真性の獣姦嗜好)はケモナー以上に進化してしまったケモナーだ。だから畏敬をもって殺す。

  ”レベル2”はケモナーになれなかったケモナーだ。だから哀れみをもって殺す」

 私も彼らを憎んだ。

 でじ子の肖像を何枚も焼いたし、それ以上におぞましいこともやった。


 

 現代ケモナー社会は、あらゆるケモナーには自分自身同胞である他のケモナーの「性欲」を認め、尊重することができる能力、そして性的志向の善し悪しについて自ら判断する能力があるというフマニスト的前提をもって、各人に普遍的ケモナー権を付与しようとしてきた。

 一見それは理性的合理的、かつ人道的な判断基準なように思える。

 だが、人は他者の良い面よりも悪い面を重視する傾向にあるようである。それが上記のような派閥争いとケモミミスト蔑視の引き金となったのである



 だが忘れもしない2017年の某日。

 私は『けものフレンズ』を観た。

 もちろん、観る前は”レベル2”だと貶していた。

 しかし、一種社会現象となるにつれ、そして「一般人」たちがけもフレを「ケモナー」と結びつける言説を多く弄するになるようにつれ、私は「世間無理解を忠実バラなぬ」という一種義憤から、けもフレを鑑賞したのである


 最初はなんと退屈でつまらなく、くだらないアニメだろうと思った。

 だが、一話の終わりにさしかかったあたりから胸がざわめきはじめ、

 画面にかじりつくようにして二話に没入し、三話を見終わるころにはすっかりフレンズたちに魅了されていた。

 のみならず、こう思うようにさえなっていた。


「これは”われわれ”について語られた、”われわれ”のためのアニメである」と。


 ケモナー一般に受けいられる性的志向ではない。というか、世間的には性的志向ですらないと考えられがちだ。

 同胞たちは自分たちの好きなものカミングアウトできずに日々気持ちを圧し殺して生きている。

 ファンダムとは、そうした「のけもの」たちを包摂するために存在するやさしいシェルターではなかったのか?

 それがいつのまに、我々自身から「のけもの」を作り出し、排除し、殺し合い、差別するようになってしまったのか――


「姿かたちも十人十色からこそ惹かれ合」い、「みんな自由に生きている」場所

「飾らなくても大丈夫」な場所

 それこそが我々が最初に求めたファンダムのあるべき形ではなかったのか?


 蒙が啓かれるとはまさにこのことだった。

 すべての教えは『けものフレンズ』のなかにあったのだ。 


 私はいてもたってもいられなくなり、地下壕から出て地上へとあがった。


 灰色廃墟が広がっていた。

 だが、つい先刻まで鳴り響いてはずの銃声や悲鳴はすっかり止んでいた。

 地には戦車ではなく瓦礫の影で戯れる少年少女が、空には爆撃機ではなく大きな翼の鳥たちが遊んでいた。

 こんな穏やかで静謐時間はどれくらいぶりだろう?

 まるで、あらゆる憎しみが「ぼくのフレンド」に包まれて溶けて消えてしまったのかように。


 私はあてもなく、ただ何かにつきうごされるかのごとく歩いた。

 そして、数分もしないうちに反対側の地下壕から出てきたであろう年老いた男と出くわした。

 老人はあきらかに”レベル2”であった。

 ふだんなら我々の姿を見て怯えて眼をそらすはずの彼らが、瞳に決意をたたえ、凛としてこちらを見据えている。


「きみも、観たのかね?」

 そう老人は問うてきた。

 私は無言で頷いた。 

 頭を傾げた途端に、一条の熱い何かが頬をつたい、顎からしずくとなって焼けた大地に滴った。

 涙を流している、と自覚したのは、湿った点が地面に染み込んで数秒経ったころである

「私は、私たちは」とうわずる声で私は言った。「許していただけるのでしょうか。あなたたちとフレンズになることは……できるのでしょうか?」


 老人は痩せこけた顔に、穏やかな微笑を浮かべて応えた。

「笑おうじゃないか。ともに笑ってみよう。

 高らかに笑い、笑えば、フレンズなのだ

 喧嘩してすっちゃかめっちゃかしても仲良しに戻れる」   


 そうとも、と老人は私の肩を叩いた。

 ここが、われわれのジャパリパークなんだ。

 われわれは『けものフレンズ』というサンドスターを通過して、今一度生まれ直したのだ。

 まっさら状態で。

 だから、ここからはじめよう。 

 本当の愛は、ここにあるのだよ。

2016-12-25

ASKA記憶──ASKAFUKUOKA」を聴いて

 ASKA新曲FUKUOKA」を聴いた。

 予想を大きく裏切る名曲となっていた。この曲は、ASKAが、自分故郷福岡を歌ったものだ。ASKA中学一年生から高校二年生までの約四年間を北海道で過ごしたが、生まれから大学在学中に歌手デビューをして上京するまで、彼は福岡に住んでいた。上京するときASKAはどのような心境だったのだろうか。

俺は東へ 上るつもりだ

勝手な奴だと思うだろうが

冷たい風に深くくるまっても

だまって俺は 歩いて行くだろう

「歌いつづける」より

 CHAGE&ASKAは、もともとCHAGEASKAの二人によって成り立っているわけではなかった。CHAGE&ASKAは、バンドメンバー5人を含めて、合計7人のバンド集団だった。だが、デビューできるのは、CHAGEASKAの二人だけだった。「勝手な奴だと思うだろうが」ASKAは、東京にやってきて、歌手活動をはじめることになる。

 デビュー一年後、「万里の河」(1980)でヒットをするものの、その後、約10年間、セールス的には大きなヒット曲に恵まれず、「冷たい風に深くくるまって」、歩き続けたのであった。CHAGE&ASKAを一気に国民シンガーに押し進めたのは、何よりまず「SAY YES」(1991)であっただろう。同年、ASKAソロとしても「はじまりはいつも雨」(1991)でミリオンセラーを達成する。ここからさきの活躍については言うまでもないだろう。「YAH YAH YAH」(1993)など大ヒット曲を連発するとともに、活動アジア圏にまで広げていき、またMTVアジア人初として出演するなど、「世界的」といってもいい活動を繰り広げていったのだった。

 そんな時、ASKAにとって生まれ故郷福岡はどんな場所だったのだろうか。 

 ASKA福岡に曲を捧げたのは今回が初めてではない。福岡市市制100周年を祝して、「心のボール」(1989)という曲を作っている。ここでは、故郷と幼い日を思い出して涙が出てくるが、でも思い出に浸っていてはいけない、人は未来を生きているのだから、ということが歌われている。

次のステージが待っている。自分を育ててくれた故郷ゆっくり過ごしたいが、待っている人たちがいる。自分は「ハンサムな道」を「歩きつづけ」なければならないのだ……。

          *

FUKUOKA」は「SCENE」シリーズ代表されるASKAバラード曲につながるものだとも言えようが、決して「お得意」のジャンルASKAは引きこもっているわけではない。むしろ、この曲にはASKAの新しい展開を予感させるものが凝縮して詰め込まれている。これほどまでに静謐言葉なかに激しい想いが込められたASKAの曲を私は知らないのだ。

発車のベルが鳴る 街が動いて行く

あの頃の僕は何を見ていたのか

 当たり前の、いつもの日常風景。通学する時、いつも見ていた何気ない風景剣道の道具を、あるいはギターを持って、つまらない顔をして車窓風景を見ていたのではないかしかし、車窓から流れていくその何気ない街の風景が、今、映写機が回っていくように、一コマコマ映画のように美しいものとして、かけがえのないものとして記憶の中に流れていく。

こんにちは さようなら おはよう おやすみなさい

繰り返しながら僕はここに居る

 何気ない挨拶たちと共に、出会いと別れを繰り返しながら、生きてきた。その一つ一つが今、生き生きと現れてくるのだ。

僕のニューシネマパラダイス

 ここで想起するのは、傑作映画ニューシネマパラダイス」だけではない。光GENJI提供した曲「パラダイス銀河」(1988)を私は思い出した。

ようこそここへ 遊ぼうよパラダイス

 同じ「パラダイス」という言葉が「パラダイス銀河」と「FUKUOKA」ではこれほど違った響きを与えられて存在している。この響きの違いのなかにこそ、ASKA時間記憶を、私は感じる。

野球の話をする タクシードライバー

 いささか唐突に出てくるこの節。中島みゆきタクシードライバーから引用だと見るのは深読みしすぎだろうか。

タクシードライバー 苦労人とみえ

あたしの泣き顔 見て見ぬふり

天気予報が 今夜もはずれた話と

野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す

 不器用タクシードライバーは、泣いている乗客にその理由を聞くわけではない。どうでもいい話ばかりを客に話すことで、静かに励まそうとしているのだ。静かに励ましてくれる街、福岡。そこでは「風が見える」のであるASKAにとっての「風」とは何かというのは、「風のライオン」「風の住む町」「風の引力」などの曲を再び聴いてもらいたい。

           *

私が「FUKUOKA」で最も感動を覚えたのは、

sweet and good memories

という箇所だ。様々な感情が入り乱れた「memories」の「s」の音である。静かに消えていくsの音には、記憶を手繰り寄せていく中で、当時気が付くことができなかった様々な人たちの気遣いに気が付き、泣きたくなるような「感謝」の想いが、「祈り」にまで高められているように感じられるのだ……

2016-12-22

日本映画評論界に失望した

今年は邦画のいい作品目白押しだった。

シン・ゴジラ」「君の名は」「聲の形」「この世界の片隅に

アニオタ自分的には4巨塔だったが、それ以外にもアイアムアヒーローやHIGH&LOW葛城事件、怒りなど様々な作品目白押しだった。


しかし、「君の名は」に関する評価についてははっきり言って失望している。

ここまで見る目がなく、日本一般大衆海外批評家海外アニメファン思考がこんなにも離れているとは思わなかった。

イギリス大手3誌の高評価ロサンゼルス批評家協会賞の受賞。

また、フランス映画通に有名なカイエ・デュ・シネマが★5をつけたことなどを見ると海外批評家筋はかなり高いクラス評価をつけている。※カイエ千と千尋にすら★5ではなかったと思う。

もちろん脚本論理的矛盾点を指摘している人もいる。

その上でこれだけの高評価を叩き出しているのだ。

まり作品の軸はきちんと他にあると明確に認識しているということになる。


中国での売上や海外アニメファン内での盛り上がり。

台湾タイ香港中国ユーザーレビュー投稿サイトでも超ハイクラスのレビュースコアを叩き出し

また、まだアメリカで公開されていないとは言えiMDBでは8.8という異常な点数である。(恐らく最終的には8程度になると思われるが。


また、作品評価する際の下手くそさもコレだけ目立つとは思わなかった。

とんでもなく下手くそ比較論で敵を多数作り上げ、比較されたそれぞれの映画ファン対立を誘発し映画界の盛り上がりを落とすような褒め方など

まり稚拙で幼稚な論評をする人が絶えない。

なるほどこれが日本映画界が沈没する一つの要因なのだなと思い知らされた。

今のうちにこの習慣を改めないと海外とどんどん意識乖離し、市場に捻れきった評論があふれることになる。

ナショナリズムで凝り固まった論評をする人が増え、近視眼的で客観的ではないレビューが増えることを危惧している。

そう、あの「ゲハ」のようにだ。

海外日本評論がずれる事による最大のデメリット可視化したのがゲハなのだ


個人としてはとてもいい映画だと思うが、あれだけハイコンテキストな「シン・ゴジラ」を海外で受けると思っていた人は反省してもらいたい。

また、「この世界の片隅に」のような静謐さを備えた伝統日本映画的なアニメーションもなかなか評価され難いだろう。

※japantimesは3/5の評価を下した。政治的な要素もマイナス作用する可能性は十分に高い。もちろん一定程度の評価は私も受けるとは思っている。


個人的には、この世界の片隅により「聲の形」の方がまだ海外では評価されやすいと思っている。

公開されるのを待たねばならないが楽しみにしておこう。


さて、言いたいことはとりあえず言い終わった。

この先海外に売り込むアニメ日本評価されるアニメに大きな違いが生まれ可能性すらありえる。

と言うか既になっている。

今のところ十分に楽しめているが、日本評論家発言を見ていると日本映画市場が「ゲハ化」する可能性は十分高いと思っている。

引き続き見届けていきたい。

2016-12-09

ひとりとふたり

ネウロのアヤ・エイジアのことを思い出す。孤独でいるために友人を殺した人。佳く生きるためにはわたしにも孤独必要なのではないか、と思う。どうも最近自分は淀んでいる。静謐な水面みたいだった心は波打つようになり、深みを失って雑多な情動にあふれている。まるでただの人みたいだ、と感じる(わたしは何様なんだろう)。他者へは無関心を貫き自分のみを愛す生き方と、自分を嫌いながら他者を愛する生き方。そのどちらかを選ばねばならない、そんな気がしている。これまでのわたしは前者の生き方をしてきたわけだけど、それはたんにそういう他者存在しないという消極的理由によるものだった。しかし今はそうではない。だから、どちらの道をとるか自分の心で選ばねばならないところに来ているのだと思う。わたしだけを愛する生き方は、きっと多様な困難に満ちているだろう。けれどもそのかわり、わたしわたしであるというトートロジーを胸に抱いて生きていくことが出来る。一方、他者を愛する生き方を選べば、大切だったわたし大勢の中に埋没し、しかし人々とのつながりの中で安全に生きていくことが出来るだろう。どちらを選んだものだろう、選ばなくても良いのかもしれない。ぐるぐるぐる。よくわからない。

マーベル副社長発言日本コンテンツ海外進出について

https://oriver.style/cinema/tcc2016-cb/

日東コミコンが開催され、その中でマーベル副社長であるC.B.セブルスキーさんのトークショーがあったようだ。

該当の記事には多くのブックマークコメントもついており、皆様々な意見を言い合っている。


しかし、この記事で一つ大きな誤解が生まれており、いくつかのコメントはその誤解のために少し的外れな内容になってしまっているように思える。

というより少々作為的意図すら感じてしまう。

記事ではその点についての私見と他国日本コンテンツをどう広めるていくかについて書こうと思う。


マーベル副社長は「日本人よ、日本しか通用しないものばかりを創るな」などと言っていない。


まず、大きな誤解を招きかねない原因はこの記事タイトルに原因がある。

マーベル副社長日本人よ、日本しか通用しないものばかりを創るな」

と、でかでかと記事タイトルを掲げているが、記事の内容を見るとセブルスキーさんはそんなことを言っていないのがわかる。


日本コンテンツをどうグローバルなものにしていくか?

という部分は「世界を目指せ!日本映画産業は小さくまとまりすぎている」という段落の中でまとめられている。


日本映画産業は小さくまとまりすぎであるというところ。日本ファン日本の観客のことしか見ていなくて、海外の観客のことを全然考えていない。日本監督映画プロデューサー映画会社もっとグローバルにやっていくべきなんですよ。だって日本にはとても優れたストーリー・テリング伝統があり、日本文化もっと世界に受け入れられるものなのだから物事もっと大きく考えるべき(Think Bigger)でしょう。」


ここでセブルスキーさんが言っていることをよく見るとわかるが

日本文化もっと世界に受け入れられるものなのだから物事もっと大きく考えるべき(Think Bigger)でしょう。」

まり日本映画アニメ文化的ものが受けないとは決して言っていない。

これはセブルスキーさんも言っているが、過去の実績からも明らかだ。

マジンガーZやグレンタイザがヨーロッパの一部で受けたり、セイントセイヤがラテンアメリカで受けたり、マッハGOGOGOアメリカマニアに受けたのは明らかだが、これらの作品果たして海外を強く意識した作品だっただろうか。

巨大ロボットに乗りながらも、強く苦悩したデュークフリードヨーロッパでの受けを狙ったとはとても思えない。


また、アニメに限らず実写映画でも同じだ。

海外で高名な黒澤明や小津の作品アメリカ風ヨーロッパ風、あるいは中国風の映画だっただろうか。

事実はその全く逆だ。

黒澤が作った作品で恐らく最も有名な作品である七人の侍」は時代劇ではないか

侍が出てきて日本刀百姓と一緒に戦う映画のどこに西洋らしさがあるのか。

小津の映画は全編が静謐としており日本人らしさに満ち満ちている。


明らかに日本人らしさに溢れているにもかかわらずこれらの映画はそのどれもが海外で受けた。

モチーフ西洋のものを使っていたとしてもその作品の根幹は日本人らしさで溢れている。


セブルスキーさんは現状存在する日本映画ストーリー・テリング伝統をそのまま貫けば良いといっているだけだ。

ここで注目すべきなのはしろ、前半の部分で海外の観客を見ろと言っている部分だ。

まりもっと単純に考えればいい。

海外の観客にコンテンツを届けたり、今現在既に存在する海外の観客が何を思っているのか良く考えろと言っているのだ。


それは、コンテンツの内容をアメリカ向けに変えろとかそういう話ではないはずだ。

例えばクランチロールアメリカカナダヨーロッパで受けている作品は何かの一覧を発表していた。

アメリカの多くで受けていたのは「ドリフターズ」だった。

なるほど、バイオレンスが好きなアメリカ人らしいと思うが、であればアメリカで物を売りたいのであれば今後そのような作品積極的に送り出せばいい。

しかし、そこでアメリカ人におもねって、不自然アメリカ要素を入れたりするべきではない。

我々日本人の考えるバイオレンスさと、ドリフターズで受けいれられた要素を真剣に考えるべきだ。


アメリカのような作品を作りたいと、アメリカコンテンツ適当にナメタような態度で作ってもアメリカ人の作った作品に敵うわけがない。

まれときからアメリカで育ち、アメリカのものの考え方をしている人のようなことを日本で育ち、日本生活をしているだけの人ができるわけがないのだ。

骨をうずめる覚悟で何年も生活すればまた別かもしれないが、そんな人がなぜ日本映画アニメ産業で物を作らねばならないのか。最早意味不明だ。


日本人日本人しかありえず、それ以上でもそれ以下でもない。

ましてや西洋人中国人では決してない。

それはつまり我々の作る作品日本人的でしかありえずその枠から出ることは決して出来ない。

かならずどこかに日本人的な部分が混じる。


アメリカ世界的なコンテンツを作ることが出来るのはある社会的な前提条件が存在するからだ。

それは文化的多様性をそもそも内包した社会からだ。

インディアン/ネイティブアメリカン生活していた文化ヨーロッパからやってきた文化

南アメリカ黒人文化日系人華僑などのアジア系文化

そのどれもが並立して存在しており、また映画製作現場でも多数の民族文化が交じり合う。

なぜならスタッフもまた多民族構成されるからだ。

このような状況を無理やり日本に作り上げたいなら東宝松竹社長アメリカ人にして、フランス映画監督でも引っ張ってくるしかない。そしてスタッフには多数の外国人スタッフを入れるべきだ。

しかし、残念ながら日本社会でそのような会社を作り上げるのは難しいだろう。

少なくとも主流にはなりえない。

であるなら、我々は逆に日本人であることを貫き続けるしかないのだ。


これは日本人文化SUGEEEEEEEEEEEEEとか日本最高!であるとかそういうことでは決してない。

日本で生まれ日本で育った日本人が「自分ストーリーを語る」とは一体なんなのか?

それを突き詰めると結局日本生活した人間目線から見た作品しかありえないのだ。

そういう意味多様性を語るのであれば

例えば、近年東京で増えてきた外国人日本人交流・衝突を描いた映画であるなら語れるだろう。

あるいは「シン・ゴジラ」のような日本ポリティクスを突き詰めた作品もっと作ってもいい。

最初はなかなか理解されない可能性も強い。

細部については理解やすいようにローカライズするのも構わないだろう。

しかし、将来を見据えるならそういったカルチャーの積み重ねによって理解してくれる人を増やすしかない。

海外では日本被れをweeeabooooといって揶揄する言葉存在する。

では、ハリウッド映画を毎年のようにバンバン見ている私たち日本人はなんなのだ

それこそまるで日本版weeeabooooではないか

日本スターウォーズが年間興行収入2位になる国なのだ

そこらじゅうweeeabooooだらけではないか

もし本当に日本コンテンツ海外に広めたいのであれば、文化的衝突を恐れてはならない。

日本進出したハリウッドがそうであったように。


海外の人が日本的ものを作って欲しいという要望を出しているのにもかかわらず

なぜか海外的なものをつくらなければならないと勘違いしてしまう事が日本では多発する。

この記事でもセブルスキーさんの言っている

日本にはとても優れたストーリー・テリング伝統があり、日本文化もっと世界に受け入れられるものなのだから

という発言を聞いておきながら

日本人よ、日本しか通用しないものばかりを創るな」

というタイトルをつけるのは雑すぎるだろう。

もっと日本人の観客の言っていること、海外の観客の言っていることを良く聞くという地道な

コミュニケーションを取る方法以外に解決策はないのだ。

そのキャッチボールを行うためにもっと流通網を整備し、海外意見を拝聴できる体制を整えるべきなのだと俺はそう思う。

つーか進撃の巨人実写版日本の客のことも考えてないだろ。

2016-10-11

[]

「いなくなった私へ」と「青の数学」を読んだ。どちらも軽快に読み進められたので満足でした。

まずは「いなくなった私へ」の感想言葉は悪いけれど。凡庸文章だなって思った。とても読みやすかったんだけど、はっと目を見張るような文章ではなかった。見方を変えればくどくどしさも嫌みなところもない中庸文章だといえると思う。

登場人物の年齢や、現代舞台青春小説であることもあって、小説すばる新人賞に応募する作品雰囲気が似てる気がした。高校生大学生なんかにおすすめかもしれない。

この小説は生まれ変わりの物語なんだけど、読書中になんども異世界召喚もの主人公について思いをはせてしまった。

ほとんど読んだことがないのにこういうことを書くのもあれだけど、異世界召喚物の作品って、体感したことがなかったり、知り合いが誰もいない世界に急に放り出されるのに、結構簡単に状況を受け入れちゃうのが多い気がする。

もちろん、帰れないことや変える方法主題を置いた作品もあるんだろうけど、人生をやり直そうって思えるところや、やるしかないと腹をくくれるところがすごいなって読んでもないのに勝手に思ってしまった。

「いなくなった私へ」は、現実世界に生き返るんだけど、死んでしまった自分から生き返った自分が切り離されていて、誰からも同一人物認識されない苦悩がじっくり描かれていたから、余計に異世界召喚物の主人公のことを思ってしまった。

内容でちょっと不思議に思ったのは、どうして樹まで転生してしまったのかってところ。梨乃の血を浴びたからなんだろうけど、梨乃の死体検視した人も、場合によっては転生してしまうんじゃないのかな。

検死官は地に直接触れないか大丈夫なのかな。あるいは作中にあったように、理不尽な死に対してしか転生減少は発生しないのだろうか。ちょっと気になる。

悪人役以外どの登場人物もすがすがしい精神の持ち主だったので心安く読み進めることができた。三人の現状を考えるとビターな終わり方だけど、しんみりしながらもどこか爽快感もあるのが素敵。優しいミステリー小説になっていた思う。


次「青の数学」の感想。当たり前のように続き物だったのが悔しい。けど、数学を取り扱った小説SF以外だと初めてだったので新鮮で面白かった。

この小説文章ちょっと不親切だと思う。過去の回想への導入とか、誰目線の心象なのかとか、不明瞭でちょくちょく手が止まってしまった。

また登場人物がどういうわけかうすぼんやりと感じられて、地の文名前が出てくるんだけど、誰だこいつってなることが多かった。特にキフユが誰のことを指しているのか、随分と進んでからじゃないと気がつかなかった。

ジャンクフードを食べるように読んでいるのも問題だとは思うんだけど、なんかわかりにくい文章だった。

また全体的に透明な文章になっていたと思う。タイトル通り。青く透き通ってるんだけど、情緒に訴えるところが弱い気がする。独特の読書感を与えてはくれるのだけれど。

内容としては、本当に続刊ありきの終わり方をしているので、中途半端だなあって思った。数学バトルの場面や、数学の先に見える風景など、見せ場はあるんだけど、しっかり着地してないのが残念。

ただ、高校までの数学に対する決められたルールの中でパズルを解くようなものだっていうのには強く首肯してしまった。感覚にわかっていたことが言語化されると気持ちがいいのです。

よくない気がしたところばかり書いたけど、恋に挫折に挑戦にと、静謐な筆致ながらもこれからますます盛り上がりそうな展開なので、続刊に期待です。

2016-08-20

京都神社仏閣をいろいろ巡ってみた後の率直な感想

清水寺】有名観光地と言われるだけあってやっぱり見ごたえがある。

金閣寺】壁に金箔貼り付けただけのただの家。ここに行くくらいなら銀閣に行った方が良い。

銀閣寺質素建物が周囲の木や池と溶け込んで美しい。周りの門前町もいい雰囲気

東寺五重塔はやっぱインパクトあるけど、1回見ればもういいかな。

二条城石垣普通の城と同じだが、当時の建物がちゃんと残ってるのはやっぱすごい。

龍安寺教科書で見たことある庭園が間近で見れるという感動はあるが、それ以外は特に見所なし。

醍醐寺観光客が少なく静かに見て回れるが、ここも1回見ればもう十分かなあ。

西本願寺建物デカいので近くで見ると圧倒される。

仁和寺】門や本堂の巨大さと、庭園の美しさを同時に楽しめる。

上賀茂神社】規模はデカいけど、ぶっちゃげただの神社と変わらん。

三十三間堂】千体の千手観音像が並ぶ姿は本当に圧巻。人にもお勧めしたい。

平等院建物は思ったほど感動しなかったが、付設の博物館がすごく良かった。

宇治上神社観光客ほとんどおらず、静謐神聖雰囲気平等院に来たらここにも立ち寄るべき。

天龍寺建物庭園・池が一体となった風景がすごい。これぞ、ザ・日本の美って感じ。

北野天満宮】まあ受験生なら言ってもいいんじゃね―の?ってレベル

八坂神社】提灯がいっぱい飾ってあるっていうくらいしか印象に残ってない。

2016-06-30

エロゲにおける泣きゲー概観

エロゲには泣きゲーというジャンルがある。傾向として18禁要素は少なく、その必然性が薄いこともままあることから時にエロ不要論が主張されたり、あるいは泣きゲーエロゲではないと揶揄する人もいるジャンルである

しかし「一般に、泣いたあと人間は気分がよくなる」(ウィリアムフレイⅡ『涙―人はなぜ泣くのか』)。快楽を得ながら体液を体外に排出する行為エロと称するのであれば、その意味で泣きゲーエロゲの一ジャンルであることは間違いない。

泣きゲーはある日突然出現したものではなく、それはどうプレイヤーの涙を誘ったか技術の積層であり、様式の歴史である。個々の作品論は星の数ほど存在し語り尽くされてきたが、この歴史という点での言及は少ない。当時それは歴史ではなくリアルタイムだったのだから、当然といえば当然ではあるが。

2016年現在、エロゲ論壇は死に、泣きゲーが語られることも少なくなった。

だが、だからこそ、最初からぶっ通してやり直してみることでその変遷について、その後に何が継承されていったのかという点で俯瞰することが出来るのではないか。

ということでやり直したので、増田に書きなぐっておく。

1988~1996年

そもそもエロゲの目的は何かといえば、もちろんエロである。主役はエロCGであり、脇役に過ぎない物語の出来を評価する者などいなかった。

その様子が変わり始めるのは80年代後半、『リップスティックアドベンチャー』(フェアリーテール,1988/5)辺りからであるエロゲが一つの娯楽物語として成立することが示されたことでプレイヤーはその物語性に目を向け始め、脇役だった物語はSFやホラーなど様々な要素を取り入れていく。その一つが「感動」であった。

例として、早くも1991年の『ELLE』(elf)に対して「ホロリとした」という感想が存在する(小林義寛『ゲーマーエロと戯れるか』)。泣ける物語かというと微妙だが、今プレイしても確かに面白いSFエロゲであり、感動的要素が含まれていると言える作品である

人は感動すると涙腺が弛むことがある。逆に言えば、涙腺が弛む種類の感動がある。この点での先行研究として米沢嘉博の『マンガで読む「涙」構造』があるが、そこで昭和の泣ける少女マンガ少年マンガを分析した米沢は、女性は不幸における愛と感動の物語に泣き、男性友情、努力、勝利の感動に泣く、としている。

男性向けであるはずのエロゲはしかし、何を血迷ったか「不幸における愛と感動」を物語に取り込むことに成功する。

DESIRE』(C's ware,1994/7)、『EVE』(C's ware,1995/11)、更に『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(elf,1996/12)と傑作を連発した剣乃ゆきひろはいずれも物語の中核に少女の悲劇を配した。それは壮大かつ感動的な物語の帰結としての落涙をしばしば生み、その感想に「泣いた」というものが少なくない。

さらに『同級生2』(elf,1995/1)の桜子シナリオにおいていわゆる難病物がエロゲに導入される。それは当時十分に涙を誘うものであったとして、これが泣きゲー元祖だとする説も存在する(小林,前掲)。

努力・勝利の感動が無かったわけではない。例えば『闘神都市2』(ALICESOFT,1994/12)は自分の無力さが生んだ悲劇きっかけに、強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す物語であり、高く評価された。……しかしそこにはやはり「悲劇」がつきまとっている。

「不幸における愛と感動」は、こうしてエロゲで広く受けいれられていく。

1997年

難病物は概ね、主人公ヒロインの仲が深まるにつれて病状が悪化する展開をとる。これを病気に限定せず、「不幸」に一般化したもの涼元悠一は「萌やし泣き」と呼ぶ(涼元悠一ノベルゲームシナリオ作成技法』)。ヒロインとの幸福日常をまず描いてから一気に雰囲気を暗転して二人の不幸な状況を綿密に描写、涙腺の緩んだプレイヤーに最後の一押しをするという、泣きゲーに慣れた人にはお馴染みのそれである

この萌やし泣きは、しかし突如エロゲに登場したわけではない。

前述の闘神都市2には、ごく短いが構造上萌やし泣きと解釈しうるイベントが存在する。同級生2桜子シナリオは難病物である以上もちろん萌やし泣きだが、その不幸描写は非常に短く、またオチが「主人公勘違い」というギャグである。それは手法としては古くから存在しており、変わってきたのは、それを物語上どの割合で展開するかという点であった。

1997年5月、それが一つの分水嶺を超える。『ToHeart』(Leaf)のHMX-12マルチシナリオは、萌やし泣きを1ルート全てを費やして実現した。

おそらくこれが(エロゲ上で)萌やし泣きの威力が十分に発揮された最初の例だろう。彼女の物語は感動的な場面をクライマックスに据え、それ以外の要素――ギャグも皮肉もセンス・オブ・ワンダーも滲ませること無く、ストレートに終わった。そのシンプルさに価値があったと言え、本作は多くのプレイヤーから「泣いた」と絶賛された。

そしてもう一つ、作り手の意思という点でも分水嶺を越えたものが登場する。『MOON.』(Tactics,1997/11)が「鬼畜サイコ涙腺弛まし系ADV」と自ら名乗ったことは、その後の歴史的意味でも強く象徴である。もし泣かすという意思で作られたもの泣きゲーと呼ぶならば、その明示という点で最初泣きゲーは本作と言うこともできるかもしれない。

MOON.は大量のエロシーンを擁し、エキセントリックな人物造形も無く、萌やし泣きでもない。後の作品よりも本作が泣けるし好きだという人もいるが、多くの人を確実に泣かせる威力に本作があと一歩不足したことは事実と思う。

はいエロゲはついに、プレイヤーを泣かすことを主目的とし始めたのである

1998年

ToHeartで泣かせる物語構造確立し、MOON.で泣かす意思が示され、そしてそれは『ONE』(Tactics,1998/5)において結実する。MOON.スタッフが作ったそのエロゲには、萌やし泣きが全ヒロインルートで導入された。

当時の多くのプレイヤーにとって、それは致死量だったと言っていいだろう。

本作はMOON.と変わって18禁要素は非常に薄く、無くても物語は成立する。物語は全ルートで感動と涙が目的に据えられ、それしかない。にも関わらずこれがプレイヤーの絶賛を浴びたことは、「泣かせること」がそれ単独ジャンルを成立させられることを示していた。

今やり直してみると甘い部分も多い。しかし『sense off』(otherwise,2000)、『それは舞い散る桜のように』(BasiL,2002)など、本作の影響下にありつつも秀逸な作品がのちにいくつも生まれたことを考えれば、その影響力と価値を軽んじられる者はいないだろう。

1999年

6月、MOON.を作りONEを作ったチームは独立してKeyと名乗り、『Kanon』をリリースする。これがどれだけの信者を獲得したかは言うまでもないだろう。

特に技術的な面でKanonはONEよりも洗練されている。OPとED、泣かせるための特殊演出などのソフトウェア面はもちろん、泣かすための専用BGMが用意された、という点も大きい。1997年の『アトラク=ナクア』(ALICESOFT,1997/12)は物語のクライマックス、その絶望的状況下で「Going On」が初めて静かに流れ出すことで異様な精神的高揚をプレイヤーに与えたが、これが事前に何度も使われていたら効果は半減していただろう。これと同様のアプローチKanonは泣かすという目的で採っている。

Kanonから3週間後に発売された『加奈』(D.O.,1999/6)もまた、この時代泣きゲー金字塔である。ONEやKanonが物語を中盤過ぎまでギャグで埋め尽くしたのに対し、加奈は10年以上に渡る兄妹の闘病生活を正面からシリアスに描いた難病物であるリアリティのある物語という点で「新しい」泣きゲーだったと言え、今なお評価は高い。

――一方で、ToHeartもONEもKanon加奈も、悪く言えばただのお涙頂戴であるハッピーエンドは奇跡や幸運によってのみ訪れ、主人公たちは運命に翻弄される無力な存在でしかない。こうしたお涙頂戴は今も昔も根強い人気を誇るが、一方で毛嫌いする人がいることも事実である

興味深いことに泣きゲーは、これらのお涙頂戴では泣けない人々をも泣かせようとするかのように、別の「泣かせる何か」の模索を少しずつ始めていく。

2000年

知名度も低く地味だが言及しておきたい良作として、1月に発売された『Lien』(PURPLE,2000/1)がある。不慮の事故幽霊になった主人公とその周囲の人々が残された2週間でその死に向き合い、改めて別れを告げる物語であり、主人公が生き返ることは無い。従ってお涙頂戴の文法に則っているが、しかしその最後において、彼らは前を向き、笑顔で別れを告げる。別れは悲しみしか生まないものではなく、人の強さを示すものでもあることをLienは描いていた。

そして9月、Keyのリリースした『AIR』は約束された勝利を遂げる。物語はもちろん難病物で、ヒロインは最後に死ぬ。その死を「ほとんどなんの意味もない」(東浩紀ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』)とするならば、これは従来通りのお涙頂戴だろう。

しかし、彼女無意味に死んだことが悲しくてプレイヤーは泣いたのだろうか。

もちろんそういう人もいるだろう。だがかの有名な「ゴール」は、彼女が最後まで努力し、やりきったこと――笑顔幸福記憶を全うしたからこそ、泣いた人も少なからずいたと筆者は考える。最後の別れにおいて、彼女は必死で前を向いていた。

悲劇象徴としての別れの描き方と、それに対する姿勢は少しずつ変化を見せ始める。

2001年

ところで萌やし泣きの多くは幸福8割、不幸2割程度の文量配分で構成される(※数字は筆者の体感であり、根拠はない)。これを反転し、幸福を2割以下、不幸を8割以上にするとどうなるか。

鬱ゲである

MOON.もその一つだが、『DiaboLiQuE』(ALICESOFT,1998/5)や『銀色』(ねこねこソフト,2000/8)など、爆発的に売れることは無くとも鬱ゲーは途切れること無く続いてきた。特に銀色の執拗な鬱展開は秀逸であり、未だ根強くファンがいることも頷けるものである個人的にはDiaboLiQuEももっと評価されていいと思う)。

そして8月、幸福と不幸がほぼ半々、つまり鬱ゲーであり泣きゲーでもある『君が望む永遠』(age,2001/8)が発売される。

男女関係修羅場シリアスに描いたエロゲといえば『WHITE ALBUM』(Leaf,1998/5)が有名だが、そこでは主人公修羅場の矢面に立たされることはない。対して本作のメインシナリオでは主人公は徹底して矢面に立たされ、主人公が別れを切り出すことでのみ悲劇は終幕する。

誰を切り捨てるかは、プレイヤー選択肢が突き付けられることで行われる。だからこそ最後に彼らが再び笑い合える可能性が示されることはプレイヤーを安堵させ、涙を誘った。彼らは奇跡によってではなく、心の強さによって悲劇を克服する。

さらに11月、物語の殆どがギャグで占められ、物語の構造自体は従来の萌やし泣きの延長ながら、にも関わらず枠を踏み越えたものが登場する。『家族計画』(D.O.,2001/11)である

家族に捨てられた連中が偶然集まり、やむなく家族を偽装し、衝突しながら家族になっていき、崩壊し、再び家族になる様が描かれる作品である加奈やAIRでも家族愛は描かれたが、いずれも兄妹あるいは母娘の二者間に閉じている。対して家計は父母兄姉妹という集団の絆を描く。

襲いかかる不幸は彼らの手によって跳ね除けられる。プレイヤーはもはや誰かの不幸にではなく、茉莉がお兄さんになって下さいと訴え、準が最後にスプーンを咥え、その家族としての努力が実ったことに涙する。

なにより家計ではもはや誰一人死ぬことはない。君望もメインシナリオでは誰も死なない。誰かを失う悲しさだけが泣かせる手段ではない。悲劇に敢然と抗い、心の強さで打ち勝つだけでも人は泣くのである

2002年

……などと枠を広げ、新しい要素を貪欲に取り込むパイオニアばかりではない。泣きゲーというジャンルを充実させたのは既存の要素で構成された作品群である

例えば『flutter of birds』(シルキーズ,2001/2)は極めて基本に忠実な難病物だし、特定ルートで萌やし泣きを取り込んだ『みずいろ』(ねこねこソフト,2001/4)や『水夏』(CIRCUS,2001/7)、『グリーングリーン』(GROOVER,2001/10)はいずれも好評を博した。またDESIRE同様、悲劇シナリオの感動としての落涙であれば『腐り姫』(Liar Soft,2002/2)はこの年の作品では秀逸である

また、集団間の絆も広く扱われていく。

うたわれるもの』(Leaf,2002/4)ではSRPGというジャンル上の必然もあるだろうが、家族的な仲間との絆が描かれている。『世界ノ全テ』(たまソフト,2002/4)や『ロケットの夏』(TerraLunar,2002/10)は後半こそ二者間が主軸になるものの、いずれも部活を通して仲間と触れ合うことで主人公が成長し、仲間との絆を育むことで成立する物語である

2003年

ONEとKanonとAIRを足して3で割ったような『SNOW』(Studio Mebius,2003/1)、あるいは『てのひらを、たいように』(Clear,2003/1)では、困難に対する仲間の存在がより大きな価値を持つ。その最後は奇跡による解決はいえ、ヒロインのために仲間全員が努力し、足掻くことでハッピーエンドが訪れる様は「与えられたもの」というより「勝ち取ったもの」という印象が強い。

これらを「みんなは一人のために」とするならば、「一人はみんなのために」もまた登場する。『CROSS†CHANNEL』(FlyingShine,2003/9)である

ToHeart型のよくある学園物語に始まり、それが綱渡りの上で構築されたものであることが明かされ、ばらまかれた伏線が繋がっていく様は見事の一言に尽きる。と同時にそれは、心の壊れた主人公が何度も失敗しながらトラウマを乗り越え、仲間のために自己犠牲を重ね、それによって心を再構築していく物語である。その実に静謐な最後において、そこで彼が平穏と幸福を遂につかんだことに、タイトルの意味と、そして彼が勝ち得たものが明かされることにプレイヤーは涙を流す。

2004年

そして1月、『Fate/stay night』(TYPE-MOON)が発売される。絶望的状況下で静かに流れだす「エミヤ」はプレイヤー凶悪な興奮を与え、「強くなるために精神をすり潰し、廃人になってでも最後の敵を倒す」展開に涙を流した。

そこに「友情、努力、勝利の感動」があることを疑う者はいないだろう。

泣きゲーというとKanonやAIRがよく話題に出されるが、「泣いた」という感想がC†CやFateにも多く存在することは事実である。と同時に、いずれにも物語の重要位置に少女の悲劇と愛が配置されている。

そしてこれまで言及してきた「不幸における愛と感動」の泣きゲーに、努力や勝利が全く存在しないわけでもない。その努力が実ったかどうかの差はあれど、必死の行動があったことはどの作品でも紛れも無い事実である

としてみると、「泣いた」と感想を多く有する作品、すなわち泣きゲーには「不幸における愛と感動」と「友情、努力、勝利の感動」の要素が、両方含まれていると捉えても間違ってはいないだろう。そしてそうだとすれば両者は対立するものではなく、両立するものと言える。

そう捉えるならば泣きゲー歴史とは、時代によって、作品によって、この両者の配分を巡る歴史だった、ということもできるように思う。

2005年以降

いい加減読んでいる人も飽きただろうし2005年以降は割愛するが、一つ言及するなら不意打ちという手法が導入された点である

例えばいかにも安っぽいハーレムものとして始まりながらシリアスなSF展開を経て感動的最後を迎えたり、あるいは陰惨な陵辱物として始まりながら見事に綺麗な純愛物へと変貌したり、泣きゲーとしての姿勢最初は微塵も匂わせず、突如牙を剥くもの2005年以降に目立ち始める(いずれもタイトルは念のため伏せた)。

また泣けるイベントが用意されていても、それが作品としてのクライマックスと一致しないことが珍しくなくなる。中には語るべき物語は全て終わり、エピローグの最後の最後で油断しきったプレイヤーに猛然と襲いかかるものもある(いずれもタイトル以下略)。

昨今、泣きゲーが減ったと言われることがあり、実際、一見してわかりやす泣きゲーを現在はあまり見かけない。しかしプレイヤーを泣かせることが主目的化した時代を超えて、泣きゲーとしての技術や様式は再び物語を盛り上げるための一要素へと還元されていった、というのが現代の流れだとすれば、それは死につつあるのではなく、むしろ要素として広く普及し、遍在したことで目につきにくくなった、ということのようにも思えるのである

おわりに

リアルタイムにこれらを経験した人にしてみれば、有名作を並べただけでなんの面白みもない内容と思う。申し訳ない。が、今20歳前後若者にとってみればFateですら12年前の古典である。「泣きゲー元祖」がなぜ人によって違うのか。なぜ未だにはわわとかうぐぅとか言ってるヤツがいるのか。若者がそんなことを知っている方がおかしいし、それを知るために最初から全部やり直すなど正気の沙汰ではない。

かつて何が起きて、それが今にどうつながっているのか。粗く拙いまとめに過ぎないが、その理解一助として本稿に役立つところがあれば幸いである。加えて「そういや最近エロゲやってねぇなぁ。またちょっとやってみるか」と思うきっかけになれば、それに勝るものはない。

どうか、幸せエロゲライフを。

2016-04-15

はてな流行りのディープラーニングに乗っかったらどうかな

はてなで一番がっかりする瞬間と言えば、興味あるヘッドラインを見つけてブクマもついてるからと開いてみたら炎上記事だった時だよね。

てめぇらそんなくだらねぇ記事にくだらねぇ突っ込み入れるためにわざわざ時間割いてブクマしてんじゃねーよカス。みたいに心のダークサイドが開かれるよね。

そんな事態を避けるために、ブクマ数の横に炎上マークを付けてくれたらいいと思うんだ。

ブコメの内容やブクマカーの傾向を分析して、3段階くらいで炎上度合いを示してみたらどうかな。

そうしたら余計なページを開いてしま時間も守られるし、はてなユーザーが戻ってくると思うんだ。

というか正直、最近はてなはもう知ってるよっていうニュースか、炎上記事しか上がってこなくてつまらないんだよね。

べつにどんな方法でもいいから炎上記事アクセスしてしま無駄時間だけはなくすような仕組みを作って。

じゃないとPV目的炎上商法がいつにたってもなくならないよ。

がんばれはてな

静謐環境で楽しく意欲的にインターネットができるようにしておくれ!

2015-10-11

東大本郷キャンパスへの「学外者」立ち入りに関する所感

http://anond.hatelabo.jp/20151002003234

の著者が

http://blogs.yahoo.co.jp/ut_kankyo/42274104.html

「当会が問題と考える点」(東大 キャンパス環境改善を求める有志)を読んだ。


匿名ブログでくだをまくことしかできない私と違い、実際に駒場学生支援課と駒場図書館と交渉されているそうで、その実行力に敬意を表したい。

その上で、「東大 キャンパス環境改善を求める有志」の会の方々は、主に駒場キャンパスでの問題に取り組まれているようなので、本郷キャンパスへの「学外者」立ち入りに関する所感を以下で述べてみたい。

私の基本的立場は、

というものだ。


東大本郷キャンパスの「学外者」立ち入りに関する現状

本郷キャンパスへはじつに様々な人たちが出入りしている。センター試験と2次試験以外の日に、もっともよく見かける人たちをあげてみるだけでも、これだけいる。



これだけの人たちの立ち入りを制限して、正門でいちいち入構手続きを求めるのはさぞかし大変だろう。

はいえ、本郷キャンパス観光地化しているという指摘はあたっている。

毎日のように大型バスが何台も大学前にやってきて、中高生観光客団体が列をなしてキャンパス内に入ってくる。日本国内からだけでなく、中国韓国台湾といったアジア諸国からやってきたらしい団体もよく見かける。

これらの人々が固まって道を塞いだり、騒ぎながらセルフィー棒で写真をとっているのを見かけて、眉をひそめる東大生がいたとしても全然おかしくないと思う。


しかし、「学外者」の立ち入りを完全にシャットアウトすることは難しいのではないかと思う。本郷へやってくる人たちのなかにはきっと、東大漠然としたあこがれを持ってやってくる人もいるのだろうし、そうした人たちに対して大学も悪い顔はできないだろう。

キャンパス内を物珍しそうな顔で歩いている中高生が、10から20年後には、彼らを迷惑そうに見つめる東大生はるかにしのぐ立派な研究東大でやり、場合によってはノーベル賞も取ることだってありうるのではないだろうか。


先日話題になった世界大学ランキングトップ10に入っている大学で、私が訪れたところはいずれも、東大よりはるか観光地化が進んでおり、観光客でごったがえしていた。大学の主要な建物の周りには土産物屋が立ち並び、大学ロゴが入ったパーカーTシャツを売っている。その周辺にはカフェレストランがあり、一つの経済圏形成している。

大学の方もまたしっかりしたもので、歴史的建物カレッジは入場料をとり、一日のうち限定した時間帯に立ち入りを許している。立派な美術館カテドラルを持っている大学カレッジ)は、これらの入場料から収入を得ている。

こうした大学観光客学生とのあつれきが問題になりにくいとしたら、先のエントリでも述べたように、もともと大学と周辺の街との境界線あいまいからだろう。

東大場合キャンパスの内と外の区別がかなりはっきりとしており、キャンパス内が手狭なので、そこに多数の人が一挙にやってくると、学生ストレスを感じやすいように思う。


「学外者」立ち入りから生じる問題


本郷キャンパスでは現状で、研究棟に「学外者」が団体で入ってくることはないので、研究室にこもっているかぎりでは、「学外者」との間で問題が生じることはない。

「学外者」が大声で話すことがあったとしても、現状では、研究棟の造成工事や、総合図書館の新設・改築工事騒音のほうが、はるかにうるさい。

問題が生じるのは、学生と「学外者」が共有するアメニティスペースや、「学外者」の団体立ち入りを許している施設だろう。

まず、キャンパスに立ち入る「学外者」のうち、もっとも人数が多いのは修学旅行団体であるが、彼らは門の前にしゃがんで集合したり、狭い道で立ち止まったりして完全に通行を遮断することがあり、引率の教員もそのことに気づいていない場合がある。

また、修学旅行生やウオーキングツアー団体が昼時に中央食堂へいっせいにやってくると、数十分間の間、学生にとっては食堂機能が完全にフリーズしてしまう。このため、12から13時までのあいだ、「学外者」の利用は遠慮してもらうよう依頼する貼り紙入り口にある。しかしこの制限がかかる時間帯の直前にやってくる団体は結局制限時間帯になってもいる場合があり、あきらかに貼り紙無視している人々も制限時間帯に複数いる。授業の合間や、実験論文執筆の合間をぬって食堂を利用したい学生にとっては、食堂が一体誰のために、何のために存在しているのかわからないと憤慨する時があっても無理はないように思う。

総合図書館は、現在工事中で「学外者」の見学を受け入れていないが、それ以前はキャンパスツアーの経路に入っていた。中に入る「学外者」は、大きな声で話すということはないものの、多数の人達がドカドカと足音を立てて閲覧室に入ってくる。彼らは勉強中の学生の姿やノートを、好奇心いっぱいで覗きこんでから、無言で立ち去っていく。このようなことを毎日のように繰り返されて、いい気持ちがする人はいないだろう。

医学部前の広場は、日暮れ時は、愛犬家交流スペースとなっている。犬と人が遊んでいるのを見るのは心和むひとときであるが、一部の人は、人通りが最も多い昼休み時に犬を連れて狭い道を歩きまわっており、さすがに周囲への配慮が足りないのではないかと思われることがある。


キャンパス空間利用の仕方は議論されてよい


キャンパス内でただくつろいだり歩きまわったりしたい人を追い出してしまったら、そこは学生にとってもさぞかし息苦しい場所だろう。

はいえ、学費を払って真剣勉強している学生が、配慮が足りない一部の人々の行為に対して黙っている必要はないのではないだろうか。

キャンパスにやってくるさまざまな人が快適にひとときを過ごすことができるように、お互いの存在に気づくことができるように、声を上げることは、全然おかしいことではないと思う。

たとえば、

といった要望をして、どれほどの問題があるだろうか。


学生が黙っていれば、大学教職員学生のことを「舐めて」かかる生き物である


大学教職員は、学生が集中して学習できるように、もちろん日々配慮しているだろうが、かれらは幾分年をとっているため、細かいことには気づかない場合がある。

年を取ってくると、10代後半から20代前半の学生は、教職員にとって、生理的に、まったく別の生き物に感じられるようなので、学生の細かい要望に応ずる善意があったとしても、そもそも相手が何を望んでどのように感じているのかわからないのではないか。

また、任期がない教職員基本的国家公務員メンタリティを持ち続けている(彼らは文部科学省社会保険に加入している)ので、自分がクビになるリスクがない限り、何らかの業務改善をしても得られるインセンティブはそれほど大きくないという認識を持っている。なので、文句をいわれないかぎり、学生要望を察知して自分から動くということは、あまりない。

したがって、学生が声を上げることが、現状を変えるための第一歩であるように思う。

2015-10-06

H23行政法

感想

・結局8時間かかった。途中で紙に書くのをあきらめてPCで打ち始めた。

・全体的に誘導分かりづらすぎ。上位答案も把握しきれていないのがほとんど。

・設問1については通達が「関係法令」(9条2項)に当たらないことを前提にして、それからどうすんの?みたいなとこを聞きたかったらしいけど、中原行政法に書いてない時点でりーむー。上位答案も書けてない。

・設問1書きすぎた。どう削ればいいのか要検討。

・設問2(2)はほんと難問。『行政法ガール』の参考答案さえ誘導に乗れてない時点で無理。上位答案がどこまで書いてんのか要検討。

・設問3はほとんど力尽きてどうでもいい記述になってる。

設問1

1. X1原告適格

 「法律上利益を有する者」(行政事件訴訟法〔以下「行訴」と略す〕9条1項)とは、当該処分により自己権利若しくは法律上保護された利益侵害され、又は必然的侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たる。

 そして、上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、行訴9条2項に規定されている考慮要素を勘案することとなる。

(1) 「当該法令趣旨及び目的」の考慮

(a) 本件許可によってX1は、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益侵害されると主張することが考えられる。

(b) モーターボート競走法(以下「法」と略す)1条は、同法の目的が「海に囲まれ我が国の発展」、「公益の増進を目的とする事業の振興」、「地方財政改善」にあるとしている。

この目的規定からは、法科大学院Sの静謐教育環境保護する目的は窺われない。

(c) 本件許可要件を定めたのは法5条2項・モーターボート競走法施行規則(以下「規則」と略す)12である。この規定は場外発売場の「位置」「構造及び設備」「施設及び設備」について抽象的な基準を定めているだけであり、規律内容は詳細とは言えない。

もっとも、規則12条1号は場外発売場の位置が「文教上・・・著しい支障をきたすおそれのない場所であること」を要件としている。文教とは文化教育のことであるから、同号は場外発売場により周辺の教育環境に支障をきたさないよう配慮していると言える。

(d) 規則11条2項1号は、場外発売場の設置許可申請に際し、申請書に場外発売場付近の見取図を添付するよう求めている。しかもそこには周辺1000メートル区域内にある「文教施設」の位置及び名称を明記することを求めている(同号括弧書)。この見取図は、国土交通大臣が、場外発売場が周辺の文教施設に与える影響を審査するために必要となるものであり、そのために添付が義務付けられていると解される。したがって同号は、法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとしていると言える。

(e) 法4条5項は、国土交通大臣が場外発売場の設置許可に条件を附すことを認めている。その要件国土交通大臣が「必要があると認めるときとあるだけである文言抽象から言って、周辺教育施設への影響をこの要件判断考慮することも可能と言える。したがって、同項は、法が法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとしていることと矛盾しない。

(f) したがって、法は目的規定にこそ掲げていないが、法科大学院Sの静謐教育環境保護しようとする趣旨であると解される。

(2) 「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」の考慮

 (a) まず、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、生命・身体・財産といった高次の利益に比べてその重要性は劣後する。

 (b) 法科大学院Sの静謐教育環境侵害する原因となるのは、まず場外発売場から発せられる騒音であるしかし、場外発売場と法科大学院Sとは400メートル離れていることから、この騒音もある程度減衰するとの反論も考えられる。

しかし、場外発売場は、多数の来場者が参集することによってその周辺に享楽的雰囲気喧騒といった環境をもたらす。特に本件では、P駅から来た来場者は県道を通って場外発売場に向かうことになるが、その際、県道に面した法科大学院Sの前を通ることになる。その結果、法科大学院Sの周辺には享楽的雰囲気喧騒といった環境がもたらされることとなる。法曹養成という目的の下、学生全員が静謐環境下で勉強することが求められる法科大学院性質上、教育環境に対する悪影響は甚大である

 (c) 本件施設が場外発売場として営業を行うのは1年間に350日であり、ナイターのない日は午前10から午後4時頃まで、ナイターのある日は午前10から午後9時頃まで、来場者が出入りし続けることとなる。

 しかも、本件施設敷地面積約3万平方メートルという大規模施設であり、700台を収容する駐車場が設置されることを考え合わせると、本件施設の来場者は多数人に上ることが予想される。

 そうすると、本件施設へ多数の来場者がほぼ一年中昼夜を問わず法科大学院Sの前を通ることとなる。その結果、法科大学院Sの静謐教育環境は絶えず侵害され続けることとなり、その侵害の程度は大きいと言える。

 (d) したがって、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、生命・身体・財産匹敵する高次の利益とは言えないもの重要利益である。また、本件施設によりその利益侵害される程度は大であるということができる。

(3) 結論

 以上の検討により、法科大学院Sにおいて教育をする際、それを静謐環境下で行うことができる権利利益は、法律上保護された利益に当たるということができる。また、本件認可はこの利益を害するということができる。

 よって、X1は「法律上利益を有する者」に当たり、原告適格が認められる。

2. X2の原告適格

 X2は「法律上利益を有する者」に当たるか。

(1) 「当該法令趣旨及び目的」の考慮

(a) 本件許可によってX2は、静謐環境下で生活する利益侵害されると主張することが考えられる。

(b) 法1条は周辺住民生活環境について言及しておらず、ここにX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(c) 規則12条1号も周辺住民生活環境に支障を来たさないことを要件としていない。したがってここにもX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(d) 規則11条2項1号は、場外発売場の周辺の見取図の添付を要求している。これにより国土交通大臣は場外発売場周辺の住宅状況等を把握することもできる。しかし、文教施設及び医療施設と違って住宅状況については詳細な記述を求めていない。設置許可審査住宅状況を考慮に入れることが規則11条2項1号の主目的であるわけではない。したがってここにもX2の静謐生活環境を保護する目的は窺われない。

(e) 法4条5項が、X2の静謐生活環境の保護矛盾しないのはX1について検討したところと同様である

(f) したがって、法はX2の静謐生活環境を保護しようとする趣旨ではないと解される。

(2) 「当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質」の考慮

 (a) まず、静謐環境下で生活する利益は、生命・身体・財産といった高次の利益に比べてその重要性は劣後する。

 (b)  X2の静謐生活環境を侵害する原因となるのは、場外発売場から発せられる騒音である。場外発売場とX2の住居は200メートルしか離れていない。これは、騒音を減衰するのに十分な距離とはいえないから、X2に予想される騒音被害は甚大といえる。

 (c) 本件施設へ多数の来場者がほぼ一年中昼夜を問わずX2の住居の前を通ることとなるのはX1について検討したところと同じである。その結果、X2の静謐生活環境は絶えず侵害され続けることとなり、その侵害の程度は大きいと言える。

 (d) したがって、X2が静謐環境下で生活する利益は、生命・身体・財産匹敵する高次の利益とは言えないもの重要利益である。また、本件施設によりその利益侵害される程度は大であるということができる。

(3) 結論

 以上の検討により、本件許可により、X2が静謐環境下で生活する利益侵害される程度は大といえる。しかし、法にX2の静謐生活環境を保護する趣旨を見出すことはできない。

 よって、X2は「法律上利益を有する者」に当たらず、原告適格が認められない。

設問2(1)

1. 候補

 本件で考えられる訴えは、①本件取消措置差止めの訴え(行訴3条7項)と、②本件要求措置違法であることの確認の訴えである

2. 比較検討

(1) 適法とされる見込み

 (a) ①の訴えの訴訟要件

 本件で国土交通大臣は、要求措置にAが従わない場合、取消措置を執ることを検討している。この状況下でAは国土交通大臣に対し、要求措置に従う意思がないことを表明している。そのため取消措置が執られる蓋然性が高く、「一定処分・・・がされようとしている場合」(行訴3条7項)に当たる。

 取消措置がされた場合、その後取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではないことから、「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴37条の4第1項・2項)があると言える。

 本件要求措置行政指導であり処分に当たらない以上、これの取消訴訟と取消措置に対する差止訴訟との関係問題とならない。そのため、補充性(行訴37条の4第1項但書)も認められる。

 本件取消措置の名宛人はAである以上、Aに原告適格(行訴37条の4第3項・4項)が認められる。

 以上の検討により、本件取消措置差止めの訴え訴訟要件を全て満たし、適法である

 (b) ②の訴えの訴訟要件

 ②の訴えの訴訟要件のうち問題となるのは確認利益である確認訴訟は不定型訴訟であり、最後の救済手段と考えられているから、補充性が要求されるのである

本件では取消措置に対して差止訴訟が認められることから、この補充性の要件を欠き、不適法となる。

(2) ①の訴えの実効

 Aは取消措置を受けるおそれを除去することを求めており、取消措置差止訴訟の認容判決が得られれば、国土交通大臣は取消措置を執ることができなくなる以上、Aの目的は達せられるといえる。したがって、①の訴えの実効性は高いといえる。

3. 結論

 本件でAは、①本件取消措置差止めの訴え(行訴3条7項)を提起することが適切である

設問2(2)

1. 本件取消措置適法性を論ずる前提として、国土交通大臣がAに対し執り得る措置範囲ないし限界検討する。

(1) 規則12条に定められた基準以外の理由許可拒否できるのか

 この問題は、Aが要求措置に従わないことを考慮して、許可拒否できるかという問題である。そこで、設置許可について国土交通大臣要件裁量が認められるかが問題となる。

 本件で設置許可基準を定めた規則12条各号は、場外発売場の「位置」「構造」「設備」「施設」に着目して具体的な基準を定めており、一般的な包括要件を定めていない。これは専ら「位置」「構造」「設備」「施設」について審査し、それ以外の点を考慮しない趣旨と思われる。そのため、国土交通大臣要件裁量を認めるとしても、「位置」「構造」「設備」「施設」と関係のない理由許可拒否する裁量までは存しないと解される。

(2) 通達に定められたことを理由にして許可拒否してよいのか

以上に述べた点に加えて、本件通達は法による委任を受けずに定められたものであるから、その性質行政規則である。したがって本件通達法的拘束力はなく、上述した裁量範囲を考え合わせると、Aが本件通達に従わなかったことを理由許可拒否することはできないと解される。

(3) 通達違反により許可の取消しまでできるのか

 設置許可の取消しについては法59条規定しているが、その要件は設置者が法58条2項の命令違反したことである。これは許可の取消しという、許可拒否に比べて強い効果を持つ処分をする要件を厳格に限定した趣旨と思われる。したがって、法58条2項の命令違反以外の事由を考慮する裁量は認められないと解される。

 したがって、通達違反により許可の取消しまですることはできないと解される。

設問3

1. 考えられる規定の骨子

 本件制度実効性を持つためには、T市長許可を得ていないにもかかわらず場外発売場を設置した事業者に、(a)罰則を与える規定、(b)場外発売場を強制撤去する規定必要である

2. 条例問題点

(1) 規定(a)の問題点

 条例刑罰規定を置くためには、地方自治法14条3項の要件を満たさなければならないという問題がある。

(2) 規定(b)の問題点

 ここには、条例行政上強制執行手段を創設することができるのかという問題がある。そしてこれは認められない。行政代執行法1条にいう「法律」に条例が含まれないからである。なぜなら、同法2条で「法律法律委任に基く・・・・・・条例を含む。以下同じ。)」とされていることの反対解釈から、そう解されるのである

2015-08-04

http://anond.hatelabo.jp/20150804230330

はい、駄目です

「何か話し合っている」は「話しあうということをなすために」というニュアンスにもならない

あと徒党を組むはその集団対外的もの目的にしている時に使う言葉だと思う

集団内部で完結するアクションについては使わない気がする

→このへん、駄目と断定してるけど思うという言葉を使ってるのは明確な根拠が見当たらないから



人形というよりも」とあるのに人形と喩えた表現というのは無理があるw

個人的にはこの精緻にはあまり違和感を感じないけど、「精」「緻」という語から見ると、基本人の手によるものに使う言葉だという元増田感覚が正しいだろうな

誤用云々を決めるのは感覚ってこと?



まあ絶対に駄目だとは思わないが、普通は使わないし不自然しか無いので、そういう表現をする価値は無いと思う

→つまり価値があると思う人にとってはOKってこと?



「鳥の声が静謐」←意味不明

→ 静かで落ち着いていること という意味らしいのでそちらの意味では使えない?

  静かで落ち着いている(静謐な)鳥の声



これも「音」を形容する表現としては不自然しか感じない

→感じただけ? 



調査アルバイトでも無い限り、人の群れを枚挙しようとする奴なんていね

→つまり慣用句は 句の中で使われている言葉に基づいた使用法に限られるということ?



自然

下手

→何を持ってして下手と言っている? 不自然→無理があること 何が無理がありそう?



うん無理

→ここは同意かな

ダンまち原作小説)の日本語がひどい」に関する疑問点(急いでダンマチ買ってきた)

http://anond.hatelabo.jp/20150804121911

既に似たようなこと書いてる人もいるけど、煽りとかではなく「誤用」というのはどのようなときに使うのか?というのも含めてなんだけど

私自身があまり日本語が得意ではないので分かる人がいれば答えて欲しい。

ドワーフ達が徒党を組んで何か話し合っている p49

井戸端会議のことを徒党を組むとは言わないとおもう

→あることをなすために仲間が団結する 話しあうということをなすために徒党を組む という使い方はなし? もっと強い「目的(あること)」でなければ駄目?

触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭精緻かつ美しく p83

輪郭精緻って、どこかに輪郭設計図でもあるのか?

→原文はこう:

触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭精緻かつ美しく、よくできた人形というよりも、それこそお伽噺なんかに出てくる精霊妖精といった方が、ずっとしっくりくる。

人形に例えた表現である。と捉えることは不可能

瞳孔が狭窄する p114

狭窄するのは視野

→本当に、瞳孔が狭窄したのでは? つまり瞳孔が狭まった。

静謐な鳥の声 p146

静謐って「シーン」ということばが似合うくらい静かなことを言うのだけど、鳥の声がするの?

→鳥の声が静謐であるという単なる比喩では?

靴を鳴らす楚々とした音 p155

楚々としたは、女性自身形容することばではないのか?

→主に女性に使うだけで特に 女性形容する言葉でなければならないという決まりはないのでは?

 あるいは、「あざやかなさま。鮮明なさま。」とか「キレイな」というような意味があるのでそちらの意味では?

枚挙に暇が無い人の群れ p224

枚挙に暇がないって、(例を挙げようとすれば)数え切れないくらい多いという意味で、単純にたくさんって意味で使うことはないと思う

http://www.weblio.jp/content/%E6%9E%9A%E6%8C%99%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%BE%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84

 数えられないほど沢山あるという意味なので、普通に使えるのでは?

答えになっていない答えに、僕は汗を湛えてしまった p225

汗でプールでも作った?

→汗がいっぱいという意味では使えない?

人垣の群れは、絶叫を放ってバラバラに散っていった p252

頭痛が痛いってやつですね

→これは重言のような気がする

 人垣自体をある種のグループ個体として考えれば それに対する群れという意味で捉えられなくもないが無理がある・・・かな?

http://anond.hatelabo.jp/20150804121911

ダンまち』読者の俺が擁護マジレスする。

ドワーフ達が徒党を組んで何か話し合っている p49

・読点の省略と読解すると通らなくはない。

 →「ドワーフ達が徒党を組んで、何か話し合っている」

 →→「徒党を組んだドワーフ達が何か話し合っている」だと通りがいいか。

触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭精緻かつ美しく p83

・厳密には誤用、と言えなくもないライン。一方で、「まるで作られたもののように美しい」という印象を与える意味では意図的とも思える。

瞳孔が狭窄する p114

・「狭窄」には「狭くすぼまっている・こと(さま)」という意味があり、瞳孔がすぼまることはあるので、誤用とは言えない。「あまり用いられない表現」なだけ。「視野狭窄」が一般的なのはその通り。

静謐な鳥の声 p146

辞書どおり、「静かで落ち着いた鳥の声」と置き換えなおせば特段おかしくない。

靴を鳴らす楚々とした音 p155

・「清らかで美しいさま」「鮮明なさま」という意味があるので、「靴を鳴らす鮮明な音」とすればおかしくない(一般的表現かどうかはまた別)。

枚挙に暇が無い人の群れ p224

・「いちいち数えきれないほどの人の群れ」と置換すればおかしくない(一般的表現かどうかはまた別)。

答えになっていない答えに、僕は汗を湛えてしまった p225

・「湛えた」には「液体がみちる」という意味があるので、漫画的にいうなら「汗がダラダラ」みたいなことだと解釈できる(一般的表現かどうかはまた別)。

人垣の群れは、絶叫を放ってバラバラに散っていった p252

・重複表現の印象が強い。この中でもっと誤用っぽいのはこれだと思う。

まり一般的な、いわばセオリー化した使い方をしていないことと、誤用区別したほうがいい、というのが俺の意見だ。よく見かける定型的な結び付け方を採用していないからと言って、「ひどい」と断じるのはどうか。

なお、「読んでいて辛かった」という感想は一切否定しない。

以下補足。

擁護しておいてあれだが、「誤用じゃないから万事OKなのか」と問われると、それもちょっと……感はある。一般的な使い方(=明らかに世のならい的に「正解」)な表現を用いておけば、読む側に変な引っ掛かりを与えずにスムーズに読んでもらえる可能性は高まるわけだし。ただ、そのへんは文体作家の持ち味とも近い位置に存在することだと思うから、合わなきゃ合わないでしょうがない部分でもあると思う。

なんかあれば追記します。

ダンまち原作小説)の日本語がひどい

例の紐でわだいになってた『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の第1巻を読んでみたんだが、日本語の誤用がひどくてつらかった。

ドワーフ達が徒党を組んで何か話し合っている p49

井戸端会議のことを徒党を組むとは言わないとおもう

触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭精緻かつ美しく p83

輪郭精緻って、どこかに輪郭設計図でもあるのか?

瞳孔が狭窄する p114

狭窄するのは視野

静謐な鳥の声 p146

静謐って「シーン」ということばが似合うくらい静かなことを言うのだけど、鳥の声がするの?

靴を鳴らす楚々とした音 p155

楚々としたは、女性自身形容することばではないのか?

枚挙に暇が無い人の群れ p224

枚挙に暇がないって、(例を挙げようとすれば)数え切れないくらい多いという意味で、単純にたくさんって意味で使うことはないと思う

答えになっていない答えに、僕は汗を湛えてしまった p225

汗でプールでも作った?

人垣の群れは、絶叫を放ってバラバラに散っていった p252

頭痛が痛いってやつですね

他にも、序盤も序盤で、ミノタウロス牛頭人体って漢字を当てておきながら、いきなり蹄が出てきたり。

ちょっと読んでいて辛かった。

こういうのって本を出す前に編集者から指摘が入ったりしないのだろうか?

15:30 追記

辞書ではこんなかんじ。

http://dictionary.goo.ne.jp/jn/

徒党を組む

あることをなすために仲間が団結する。「―・んで謀反を起こす」

精緻

極めて詳しく細かいこと。たいへん綿密なこと。また、そのさま。「―を極めた細工」「―な観察」<<

狭窄

すぼまって狭いこと。また、そのさま。「海峡の―な部分」「視野―」

静謐

1 静かで落ち着いていること。また、そのさま。「深夜、書斎に過ごす―なひととき

2 世の中が穏やかに治まっていること。また、そのさま。「―な世情」

楚々

清らかで美しいさま。可憐 (かれん) で美しいさま。多く若い女性についていう。「―とした人」「―たる風情」

枚挙にいとまが無い

たくさんありすぎて、いちいち数えきれない。「同種の事例は―・い」

湛える

1 液体などをいっぱいに満たす。「池に水を―・える」「目に涙を―・える」

2 ある表情を浮かべる。感情を顔に表す。「満面に笑みを―・える」「愁いを―・える」

人垣

1 多くの人が垣のように立ち並ぶこと。「沿道に歓迎の―ができる」「―をかきわけて前へ出る」

上代貴人の陵墓に多くの人を垣のように並べたこと。生き埋めにして殉死させた。

2014-05-13

あなた増田記事は鬼女速2chまとめブログ)に転載されています

本家2chが転載禁止になってから、転載元ソースに飢えた生活板系2chまとめブログ増田に目をつけたようだ。

ここ最近、相当数の転載をしているようなのでまとめてみた。

ググった結果がこれ。

抜けている記事もあるかもしれん。

NO元記事鬼女速転載
1姉がきょうだい児と離婚した http://anond.hatelabo.jp/20130615195013姉がきょうだい児と離婚した。結婚差別は良くないものだけど身近でこんな例をみせられると私は御免だと思う http://kijosoku.com/archives/38589164.html2014年05月13日21:01
2俺には知的障害者の兄がいまして。 http://anond.hatelabo.jp/20130616114249
3あーあ。言っちゃったよ。 http://anond.hatelabo.jp/20120616122645父親に「相変わらずブスだなあw」と言われたので「ブスなのはお父さんの遺伝子のせいだよ」と言ってしまった http://kijosoku.com/archives/38782520.html2014年05月12日21:01
4夫婦にとって子どもが一番大切なの? http://anond.hatelabo.jp/20130124230959夫婦にとって子どもが一番大切なの? 」って言われると違う。子供より嫁の方が大事http://kijosoku.com/archives/38712021.html2014年05月11日21:01
5子供より嫁の方が大事 http://anond.hatelabo.jp/20130125005923
6指輪いらない式挙げない旅行行かない写真撮らない http://anond.hatelabo.jp/20120521211001妻が「指輪いらない・式挙げない・旅行行かない」と言い張っています。時間と金と体力の無駄とのこと http://kijosoku.com/archives/38660040.html2014年05月10日21:01
737歳まで童貞だったので魔法が使えた http://anond.hatelabo.jp/20091022214644
8母親が子授かり祈祷してた http://anond.hatelabo.jp/20130723091420母親が子授かり祈祷してた。献金額は計10万円。うちは選択小梨なんだけど… http://kijosoku.com/archives/38568923.html2014年05月10日06:01
9理解のある母親感謝 http://anond.hatelabo.jp/20140322105546
10これはただの嫉妬である http://anond.hatelabo.jp/20130322005206結婚した友達が浮かれていて腹が立つ。独身ときは「世界で一番不幸なのは私」みたいに振舞っていたくせに http://kijosoku.com/archives/38694375.html2014年05月08日23:01
11嫁の価値 http://anond.hatelabo.jp/20131216233127嫁が嫁としての役割を満たしていない。リスクヘッジ要因として割り切るべきなのだろうか http://kijosoku.com/archives/38477030.html2014年05月08日21:03
12新しい女の生き方を探る:少子化問題の解決方法 http://anond.hatelabo.jp/20130401181801少子化問題の解決方法として新しい女の生き方を提案する。15歳で婚活を始め、35歳からキャリアスタートとして社会に出るべき http://kijosoku.com/archives/38676014.html2014年05月07日23:01
13かっこ悪い振られ方、二度と君に会わない http://anond.hatelabo.jp/20130326193638再会した元彼女が素敵な女性になっていたので口説いたら完全論破されて泣きそうになった http://kijosoku.com/archives/38674246.html2014年05月07日21:01
14草食系男子最期をみた http://anond.hatelabo.jp/20100215234838草食系男子最期をみた。デキ婚した後、奥さんの実家に住むことになり地獄だったらしい http://kijosoku.com/archives/38343375.html2014年05月03日21:08
15長年つきあってる三十代の彼女がいたら別れてあげてほしい http://anond.hatelabo.jp/201307021927588年付き合っていた彼氏と別れた。正直訴えたい。30過ぎた女捨てる事とか犯罪にしてほしい http://kijosoku.com/archives/38607787.html2014年05月02日21:01
1634歳で彼氏と別れた女の雑記 http://anond.hatelabo.jp/20131102132652
17子持ちの兼業主婦の方には大変申し訳ないけど… http://anond.hatelabo.jp/20130705213829子持ち兼業主婦の方には申し訳ないけど「手のかかる年齢の子供がいる人」とは同じ部署にはなりたくない http://kijosoku.com/archives/38492704.html2014年05月01日21:01
18ミニバンを買った。 http://anond.hatelabo.jp/20140412184724独身だけどVOXYを買った。本当はスイスポが欲しかったんだが部活動顧問という役目がそれを許さなhttp://kijosoku.com/archives/38531036.html2014年04月30日19:01
19部活動改革への抜本的な試案 http://anond.hatelabo.jp/20140413121517
20彼女の頭が悪くてたまにイラっとする http://anond.hatelabo.jp/20130801151929半同棲中の彼女の頭が悪くてイラっとする。鍵を閉めずに30分ぐらい散歩に出かけたら怒られた http://kijosoku.com/archives/38547209.html2014年04月29日21:01
21http://anond.hatelabo.jp/20140426155637会社の後輩が結婚するんだけど式と披露宴親族のみであげるそう。それはちょっと…と思ったので忠告してあげた http://kijosoku.com/archives/38529333.html2014年04月28日23:01
22夫婦の不平等制に納得がいかない http://anond.hatelabo.jp/20140421132203共働き年収ほぼ同じなのに家事は全て私がやるものという雰囲気になってしまった http://kijosoku.com/archives/38493294.html2014年04月27日12:03
23少子化高齢出産増加で責められるべきは男なんじゃ? http://anond.hatelabo.jp/20120727123914社会構造にも問題あるが、男が金持ちなら女も安心して産めるし余裕と機を見て職場復帰できるんだよ http://kijosoku.com/archives/38360665.html2014年04月27日06:01
24無職の彼に主夫になってもらうかどうか http://anond.hatelabo.jp/20140127170854無職の彼に専業主夫になってもらうかどうか悩んでいる。周りに相談すると「絶対だめだめ!」と言われる http://kijosoku.com/archives/38452571.html2014年04月26日23:01
25結婚式赤字だった http://anond.hatelabo.jp/20131023131933結婚式って制度なんなんだよ。式やらに約400万かかって持ち出し200万、無駄遣いにしか思えない。 http://kijosoku.com/archives/38457251.html2014年04月26日21:01
26結婚披露宴って http://anond.hatelabo.jp/20140109161532
27関西で働いてから、東京引っ越ししてきた人間からみた東京人の印象 http://anond.hatelabo.jp/20131225143541一時的出稼ぎと遊び以外で東京に行く価値は無い。正直、ここまで酷い場所だとは思ってもなかった。 http://kijosoku.com/archives/38398851.html2014年04月25日21:02
28どさんこが東京病みやすいのは当然な気がする http://anond.hatelabo.jp/20110301141300
29少子化問題のために恋愛結婚を推奨するのはおかしhttp://anond.hatelabo.jp/20140103090826社会団塊世代が反論「年金制度崩壊は次世代子供を生まないから」 http://kijosoku.com/archives/38419678.html2014年04月25日06:01
30出産 http://anond.hatelabo.jp/20131202115152はじめて出産した。こんなにハードだとは思わなかった。世の中のお母さん方はすごいと思った。 http://kijosoku.com/archives/38437145.html2014年04月24日21:02
31女ってやっぱり妊娠するよね、当たり前だけれど。 http://anond.hatelabo.jp/20130918110154経営者だけど、女性を雇うということそのもの会社経営にとってリスクであるということが厳然たる事実 http://kijosoku.com/archives/38361036.html2014年04月23日21:01
32経営者だけど。 http://anond.hatelabo.jp/20120927132657
33結婚式 http://anond.hatelabo.jp/20091022141906厳粛で静謐な式を挙げるのが夢だと言う妻。1歳の赤ちゃんがいる妹の参加に難色を示している http://kijosoku.com/archives/38344980.html2014年04月22日21:05
34ヤフー縁結びで酷い目にあった… http://anond.hatelabo.jp/20130520191133女って怖えぇ。真面目な婚活サイトで出会おうとしたら酷い目に遭った http://kijosoku.com/archives/38400602.html2014年04月21日21:05
35なぜ女は男に経済力を求めるのか http://anond.hatelabo.jp/20140305104723なぜ女は男に経済力を求めるのか。答えはただ一つ、妊娠出産授乳時に収入が途絶えることが恐ろしいからである http://kijosoku.com/archives/38286978.html2014年04月21日06:01
36女房と畳は新しい方が良い http://anond.hatelabo.jp/20130913220510アラフォー独身男性よ、とにかく若い女の子と付き合え!ただし容姿にはこだわるな! http://kijosoku.com/archives/38305831.html2014年04月20日21:01
37とある夫婦離婚序章 http://anond.hatelabo.jp/20090112230518嫁から「あなたとは人生を一緒に歩めません」と言われた。原因は俺の育児放棄だそう http://kijosoku.com/archives/38318499.html2014年04月19日12:01
38東京都心の求人状況がヤバイ。はよ移民入れろ、もしくはニート本気出せ。 http://anond.hatelabo.jp/20140406161839育児介護社会進出できない女性のために代わりにやってくれる外国人労働者を受け入れるべきだ http://kijosoku.com/archives/38307126.html2014年04月19日06:01
39外でキスすることは他人の迷惑なのか? http://anond.hatelabo.jp/20140327163556エスカレーターキスしてたら後ろのおっさんに睨まれて舌打ちされた http://kijosoku.com/archives/38038607.html2014年04月18日23:01
40【追記あり】娘がリア充に育ったらどうしようかと悩んでいる http://anond.hatelabo.jp/201306032054182歳の娘は美形で目立つルックスをしている。将来娘がリア充に育ったらどうしよう http://kijosoku.com/archives/38305196.html2014年04月18日21:01
41どう考えても楽勝だった男の子育て http://anond.hatelabo.jp/20130619155006育児で余裕のない母親に対して「大変だよね」って同情してあげないといけない風潮に違和感 http://kijosoku.com/archives/38035395.html2014年04月17日19:08
42ブラック企業社長だけどなんかある? http://anond.hatelabo.jp/20140403130136ブラック企業社長だけど雇ってやってんだから血反吐はくまで働くべし。無能死ぬまで働け。いやなら辞めろ http://kijosoku.com/archives/38093806.html2014年04月16日23:01
43女は見た目が9割と確信して絶望してる http://anond.hatelabo.jp/2014040919023030歳女・155センチ58キロ・一重・ワキガだけど、女は見た目が9割と確信して絶望してる http://kijosoku.com/archives/38230751.html2014年04月16日21:01
44もう家族になったのだからセックスをする気になれない http://anond.hatelabo.jp/20080723024921妻とスキンシップをしたいのに「子供もいる男とか女とかという意識になれない」と言われてしまいます http://kijosoku.com/archives/38286496.html2014年04月16日12:01
45彼女が急に不機嫌になった http://anond.hatelabo.jp/20100927212218俺・おかん彼女の三人でテレビ見ながら飯食ってたんだけど、彼女がいきなり真顔で抗議してきた http://kijosoku.com/archives/38209533.html2014年04月15日21:08
46http://anond.hatelabo.jp/20140310231910女性が目立つと容姿ジャッジする男が湧く。なのに「女は男の顔しか見ない」「※ただイケ」とか言うからよくわからん http://kijosoku.com/archives/38266185.html2014年04月15日06:01
47http://anond.hatelabo.jp/20140201101033
48一部のお客様が怖くてたまらない http://anond.hatelabo.jp/20130711121731コミュ障克服すべくスーパー準社員になってみた。常識を疑う客がたくさんいて世の中広いことを実感した http://kijosoku.com/archives/38061631.html2014年04月14日19:04
49彼氏職業が屠殺業だった http://anond.hatelabo.jp/20120805173411彼氏職業が屠殺業だった。職業に対して偏見を持つつもりはないけど気持ち悪いと思ってしまった http://kijosoku.com/archives/38229930.html2014年04月13日21:02
50普通の人の考える普通の生活をしている自分 http://anond.hatelabo.jp/20140303161611親のすごさをヒシヒシと感じている。親の援助がないまま結婚していたら貧乏ストレスプレッシャー発狂していたはずだ http://kijosoku.com/archives/38058776.html2014年04月12日23:01
51出産後の育児スタートのあまり過酷さに鬱になった話 http://anond.hatelabo.jp/20131016191631出産後の育児スタートのあまり過酷さに鬱になった。里帰りしなかったらどうなっていたことか http://kijosoku.com/archives/38097188.html2014年04月11日21:01
52私が悪いの? http://anond.hatelabo.jp/20140326001403身長180cmある女です。嘲笑されるのは慣れてますし笑って対応していますが塵も積もれば山になるんです http://kijosoku.com/archives/37962533.html2014年04月10日21:01
53現実世界で出会えなかった方へ http://anond.hatelabo.jp/20140413211645
54地味清楚系だと思って結婚した嫁の金遣いが荒かった http://anond.hatelabo.jp/20140313180236地味清楚系だと思って結婚した嫁の金遣いが荒かった。騙された気分でいる。 http://kijosoku.com/archives/38037443.html2014年04月10日19:01
55ノーメイク女の生きる道 http://anond.hatelabo.jp/20130414202222対立することの多いメイク派とノーメイク派。共存できるはずなのでお互い妥協するべきだと思う http://kijosoku.com/archives/38054173.html2014年04月08日21:01
5636歳女SE独身 もう死にたいです http://anond.hatelabo.jp/2012041119462636歳女ですが3年間付き合っていた二つ年下の彼氏と別れました。もう本当に死にたいです http://kijosoku.com/archives/37886044.html2014年04月06日21:01
57春子です http://anond.hatelabo.jp/20120412202946
58男はほんとに身勝手でバカ。 http://anond.hatelabo.jp/20131126152453男はほんとバカ。30前半までは「結婚メリットがない」とかいってるのに40前後になると「結婚したい」「寂しい」とか言い出す http://kijosoku.com/archives/38057601.html2014年04月05日19:02
592人目産むの無理ゲーすぎる http://anond.hatelabo.jp/20130606125435共働きで2人目産むの無理ゲーすぎる。上の子の検診や予防注射会社有給はカツカツなのが現状 http://kijosoku.com/archives/38052761.html2014年04月04日19:01
603.11が無ければ結婚していなかった http://anond.hatelabo.jp/201403121217583.11が無ければ結婚していなかった。不謹慎だと言われればそうなるだろう http://kijosoku.com/archives/38038926.html2014年04月03日12:02
61年収400万30歳既婚子持ちの俺が家計簿大公開するでー http://anond.hatelabo.jp/20130808160141メディアは「年収400万円子持ち世帯が何とかやりくりしている実例」をもっと取り上げればいいと思う http://kijosoku.com/archives/38035824.html2014年04月02日20:35
62きな子がワリカンを求めてくる(追記あり)(さらに追記あり) http://anond.hatelabo.jp/20140310002155きな子がワリカンを求めてくる。俺としては食事できるのが嬉しいからおごりでいいんだけど… http://kijosoku.com/archives/37960725.html2014年04月01日21:01
63初デートで金がない男って、最低じゃね? http://anond.hatelabo.jp/20140324174114初デートしてきた。デート代4500円もあれば足りるかなって思ってたんだけど大誤算だった http://kijosoku.com/archives/37885148.html2014年03月29日20:31
64結婚を前提に付き合いませんか?」 http://anond.hatelabo.jp/20130323224626結婚を前提に付き合いませんか?」と言われた。 6歳も年下の男友達に。 http://kijosoku.com/archives/37917897.html2014年03月27日22:30
65結婚、ました。 http://anond.hatelabo.jp/20140326132440



鬼女速増田転載して作成した記事数は52

日付を確認して貰えばわかるが、2014年3月末からほぼ毎日転載されている。

増田記事の投稿期間は2008年のものから2014年4月のものまで幅広く転載されている。

このままの状況が続けば、増田に記事を上げると鬼女速転載されてしまうと思っておいたほうがいいだろう。

はてラボ利用規約 - はてなによれば、著作権ユーザー財産権はてなが所有しているそうだから

鬼女速はてな業務提携企業運営するサービスでない限り、ユーザー著作権侵害している状況だ。

鬼女速の紹介ページには

現在open2ch・家庭ちゃんねる・2ch.scスレを紹介しています。

2chまとめ同様にネタ創作云々はあまり気にしておりません。

とだけ書いてあり、増田から転載しているとは書いていない。

ちなみに、削除には応じるとしているけど、コメント欄増田からの転載を咎めるような事を記入すると速攻で消されるので、試してみるといいよ!

2014-02-08

鬼武者サントラ収録時、指揮をした 新垣隆による楽曲解説(当時、佐村河内守作曲)と寄せ書き

多くの目に触れるようになる前から価格が高騰し、入手困難なCDであるため、これを引用公開することで、多くの人の目に触れることは、昨今の事情に照らし、有用だろうと思い、ここに記しておきます。じゃあ増田で書くなよ、というツッコミは効きません。たぶん期間限定

奇跡目撃者    指揮者 新垣隆

佐村河内スコアを詳細に眺め評価することは、近頃の劇音楽に屡々見られる基本的技術不足や、必要以上に技を凝らそうとする過剰なテクニックの持て余し。

これらとは明かに一線を画しているという事だ。

第一楽章邦楽静謐な、それでいて熱いエネルギーを内に秘めた佇まいから戦いを表現する大オーケストラへの見事な転換、目の眩むような、あたか生物細胞分裂の様な声部の増殖の緊張は、来たるべく英雄の出現(心に強く刻み込まれる主題[テーマ])を準備しているのだ。

第二楽章では、一楽章の主要な動機[モティーフ]や主題[テーマ]を巧みに変奏発展させてゆく、限られた時間の中で超絶的展開能力

神業である

そして遂に圧倒的なクライマックス突入する。

全く隙の無い構築力と完璧オーケストレーションには唯々感嘆するばかりだ。

これらの事が自然に在る、ということ、技術はその為にこそ使われなくてはならない事をこの奇麗なスコアは私達に示してくれている。

そしてこれこそが天才仕事なのだ

そんな氏の天才物語エピソードがある。

私がコーダ部の総譜を受け取りに氏宅に伺った日のこと。

着いてすぐ筆談で、まだ出来てないので待てとのこと。

以降氏は黙したまま延々4時間が流れた。

と突然立ち上がり、未だ見た事も無い80段はあろう巨大な五線紙を取り出し席に着くや否や、嵐の如くペンを走らせ始めた。

それは神憑り的な速さといった感じだった。

何やらスケッチでも書き写しているようだった。

10分も経った頃、「写譜なら手伝おう」と立ち上がり氏に近づいた私は思わず目を疑った。

氏が書き写している筈の五線紙の向こうには何も無かったのだ・・・・。

その恐ろしい光影に立ち尽くすばかりだった。

写し取っていたのは頭の中のスケッチだった、以降ペンは一度と止む事無く僅か20分で全ては終わった。

氏は見直しもせず「ポイ」と私に手渡した。

後に私が見直したところ、何の落度も無かった事は言う迄も無い。

こうして私は奇跡目撃者になったのだ。

注:引用者により、ルビを該当する熟語のあとに[]で読みを挿入してある。また、句点ごとに改行し、アラビア数字は半角に変更した。

交響組曲ライジング・サン』徹底アナリーゼ(分析)

遠い古からの声―長い間日本風土の中で培われてきた都節と呼ばれる伝統的な様式からこの曲は始まる。

この尺八の「息」が、はじめは琵琶の力強い一打や笙の開放的な響きを導き、外に開かれていく空間を形づくるが、つづく締太鼓合いの手を橋渡しとして、今度は逆に人間の持つ陰の部分、尺八の内に籠った響き、そこに影を落とす琴の不穏な調弦や笛の虚ろな息づかいなどが、前との微妙コントラストとして対置される―ここで提示された様々な要素(おもにコントラストという概念)がこの作品の全体を紡いでいく上での重要ポイントとなっている―。

やがて一本の竹のひびきは12もの竹(尺八)を呼び(ff)、静かに、しかし豊かにひびき渡る和太鼓の一打が大オーケストラを迎え入れ一転としてスペクタクルな場面に突入する。

前の部分と全く別な世界の様にみえるこの部分は実は冒頭の尺八旋律と深い関わりを持っている。

譜面を見てみよう。

(譜例1)ここでフレーズの後半にあたるAという部分にオーケストラ対応する。

(A')。

いわば西洋的に解釈―拡大される、という「複写」が行われる。

そして英雄の出現を伝えるファンファーレ(これは西洋で培われてきた伝統だ)につづいて(やはりこれも西洋伝統的な)ハーモニーのゼクエンツ(鎖)に乗って英雄テーマ提示され(譜例2)クライマックスを迎えた後、譜例1のBの和音の固定(オスティナート)による経過句に入る。

ここで邦楽の冒頭部分が新しい状況の上で再び現われる。

尺八サキフォーンに、笙がヴァイオリン群に、また12本の尺八は今度は虚ろで怪しげなハーモニーを醸し出し、三味線は乱れ(冒頭の拡大)、琴はますます不穏なアルペジュを掻き鳴らす、一瞬の閃光、地底から沸き起こったかのような轟音から出現したもの英雄テーマヴァリエーション、そして輝かしいマーチ(ファンファーレの変奏)―ここで西洋ハーモニーコントラスト(長三和音と短三和音)を挙げておく。(譜例3)

そして再びスペクタキュラーなシーンが登場し、コーダ(ゼクエンツ部分の変奏、このモティースがその後の楽章で大変重要役割を果たす)(譜例4)。

楽章は前半の静かな部分「夜の音楽」(佐村河内談)と後半の激しいアレグロからなるが、前章であらわれた様々なモティーフによる更なるヴァリエーションである

(一楽章ソナタ形式に於ける提示部と捉えるならば二楽章は展開部、三楽章は再現部とみなすこともできる)

楽章は前の余韻を受けて「能楽」の囃子コラージュ的部分を経て尺八の冒頭が再現される、ここでは笙のか代わりに弦楽器が増四度上で現れる、実に美事である

メインテーマがアダージュで(本来の姿で)再現され圧倒的なコーダで締めくくる……

以下は若干の譜例による指摘にとどめるが、この作品は様々な要素を複雑縦横に織り込んだ大変興味深い大曲であり、聴き手は注意深く聴き込む毎に新たな発見を見いださせる至宝の逸品と言える。

(譜例5)(譜例6)これは、まさに作曲者の静寂という苦悩の地より我々に届けられた一通の手紙なのだ……。

指揮者 新垣隆

引用者注:譜例3には『マーラー交響曲第8番(第6番かも、とにかく字が小さくて読みにくい)が想起される!』と書いてあるので、もともとマーラーが好きなんだろうと思う。また、誤字と思しきもの原文ママにしてある。

交響組曲ライジング・サン 参考動画

www.youtube.com/watch?v=ukFtX9iZPjU

余談だが、このサウンドトラックは贅沢にもxrcd2を採用している。ネットにある音源とは比べられないぐらい素晴らしい音楽が堪能できる。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん