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2021-07-23

日本一ソフトウェア絶対に許さない。死んでも許さない。(追記)(再追記

オリジナル日本語版が出て時間が経ってからリリースから流出避けのために資料を絞ってるわけではないだろうになぜこんなに誤訳が多い……

引用はすべてスーパーダンガンロンパ2とdanganronpa2より)

軽微な事柄

「(前略)必要以上に勢い良くボタンを叩いた。」

"(前略)vigorously slammed the button more times than he needed to."

砂漠オアシスのようなさわやかな誤訳しか日本一ソフトウェアが免罪されるわけではない。

良くない

「斬新なローションプレイだね!じゃ、脱いでおいたほうがいいかな?」

"Ooooh, fresh coconut lotion! Would it be better if I take off my clothes first?"

ココナッツの汁をローションとして使うことが斬新だと言ってるのに英語版ではココナッツ汁が新鮮ということになっている。

かに採りたて新鮮だがそういうことを言ってるんじゃない。

*******

「嫌な手だな…」

"I wouldn't want to get punched by those hands..."

彼の言葉は手に対するものに見えるが実質は直前の相手発言への呆れというかツッコミというかだろう。

しか英語版ではその発言同意or黙認していることになり意味が違ってくる。

*******

「ほら、醜い顔だよね… 」

"Look, he has such a horrible expression on his face, don'tcha think...?"

心をぞわぞわさせるどぎつくて悪意あるセリフがごく普通描写になっている。

直訳してくれてればよかったのに。

*******

「チッ、細かいヤローだ…!」

"Tch! Nosy bitch...!"

かいヤロー呼ばわりされているのは彼の会話相手(男)でありbitch(女)ではない。

かに女子話題は出てくるが、このシーンで細かいといえるとしたら男の方である

追記2021/7/24/

  • bitchは男にも使うという指摘がいくつかあるが、

 この二つによりこのbitchはほぼ間違いなく話題に出た女キャラを指すと思われているだろう。

 ちなみにbitchは性的意味を含まないことが多いのは知っている。というかこのゲーム内でのbitchはすべてただのクソ女か意味のない悪態として使われていた。

追記終わり

*******

『けど…全国から優秀な学生だけを集めた学園なんだろ?』

"But...it's an academy that recruits only exceptional students from around the world, right?"

辞書を引かないのだろうか。

全体的に日本語がよくわかっていない訳が多い。

ひどい


「おいっ、何をしているっ!」「やめろっ!!」

"What the hell!? What going on here!?" "Th-This is...!"

有能で状況を正しく把握していた彼だが英語版ではとろい間抜け

********

「なんだよ…オメーもあの窓が気になんのか?」

"What...? Are you still thinkin' about that window?"

なにをどうやったらこんな訳になってしまうのか見当もつかない。

*******

「なんだぁ…使えない…」

"Aww...how useless..."

原文は話し相手無能呼ばわりしているが、英語版ではそれ(物)は壊れているか使用できないという意味のようだ。

意味も印象も全然違う。

*******

「このふとどき者っ!わたくしはそんなに膝の軽い女ではありません!」

"Imbecile! I am not some woman with flexible legs!"

「惜しい!もう少し上です。」

"O-O-Of course you're not! You're much classier than

that."

「けど…速く走れそうだな。」

"With legs like those, I could prolly do the splits real easy."

英語版はflexible legsなるドンピシャ言い回しがありながら活用(ancleでもhipでもいいだろうに)しないでつまらない訳をあてた。

二つ目セリフ発言者の表情も合ってない。

*******

「目覚めたぞ!」

"I have awoken!"

クラスメイト変態化を目撃した驚きが英語版では起床報告になっている。

本筋と関係ないのが救い。

*******

「わからないんだったらいいよ…わからないまま終わればいいよ…」

"It's fine if you don't understand... You can just see the end without knowing."

危うく見逃すところだった。感じたモヤモヤに従って立ち止まってみてよかった。

日本語版では「謎が解けないまま終了」だが英語版では「終了することに気づかない」。

クソひどい

「ボクらは昔から、そういう風に教わってきたはずだよ。」

「直接的に言葉で言われなくたって、ボクらを取り巻く世界を見ればわかるよね。」

テレビネット新聞から垂れ流される“希望溢れるメッセージ”がそう言ってるもん…」

「勝てない人間も…頑張らない人間も…頑張っても勝てない人間も…」

「…等しく無価値クズなんだって。」

"For a long time, humans have been taught that if you try hard enough, you can accomplish anything."

"Even if we weren't told this directly, you'd know it just by looking at the world around us."

"The Internet, TV, and newspapers are overflowing with hopeful messages that say exactly that..."

"But people who can't win...people who don't try to win...people who try their best and still can't win..."

"...They are all worthless trash."

気づいた瞬間血の気が引いた、個人的に最低最悪の誤訳機械翻訳にかけてもこうはならない。

元の文章にありもしない"if you try hard enough, you can accomplish anything"と"But"を入れようとした時点でおかしいと思わなかったのだろうか。

また英語版だと彼は"Internet, TV, and newspapers"に賛同していないことになるが、それなら"hopeful messages"と形容するのは不可解だと気づいてくれよ。

たとえ皮肉反語でもそれは言わないだろう。

訳者は単純に読み違えたのか勝手自分主義主張を入れ込んだのか。

個人的には中間をとって、先入観に惑わされて誤読したのだろうと思っている。

かに英語版敵役とかちょっと厨二かひねくれもの主人公とかライバルが言いそうな、または苦い現実を地道に描くような物語によく出てきそうな言葉だ。

でも彼はそうじゃない。

彼を、ちょっと幼げで熱情的で小物っぽい狂信者を表したセリフをよくもこんな訳にしてくれたものだ。

*******

「たとえば、夜の社交場で朝まで青春謳歌した帰りに、

通勤学者と逆に歩く自分に酔うような気分っす!」

"It's like the smug feeling you get when you explain something

with an elaborate metaphor no one understands!"

これで済むならこの世に警察翻訳家はいらない。

同時通訳者の逸話で、どこかに招かれてスピーチした人が日本語に訳しにくいジョークを言ったとき

「この方は面白いジョークを言いました。みなさん笑ってください」と言って

その場を丸く収めたという話を思い出すが、ゲーム訳者は客に笑えと頼む仕事ではない。

かに英語版もどことな彼女がいいそうなセリフだが日本一ソフトウェアの罪が軽くなるわけではない。

 ******

「オメーがオレを殴んだよ。」

"You're going to punch yourself."

だってお前…いつも俺を信じてなかったろ?」

"I mean...you always believed in me, didn't you?"

良いシーンで誤訳。二つも誤訳。どうしてそうなるのか意味不明すぎて恐怖すら感じる誤訳

おまけ

詳細は伏せるが日本語版ではあるキャラの口調が一時変わる。それはいいけど英語版微妙追従してるのが困る。

英語に口調の違いなどほとんどないのに無駄に一部だけ変更してるから違和感しかない。誤字脱字だと思った人が多いだろうなあ、あれ。

ささいなことだとは思ったがここはあえて日本語版に背きその変更は削っていつもと同じ口調にしてもらった。

*******

「そうか? 栄養ドリンクに見えなくもないけど…」

"Really? It looks like some kind of dietary supplement to me...Protein powder, maybe...?"

ぷっwwぷろていんwww

リアルで吹いた訳。その人がプロテインなんて持ってると思ったか

ここで出てくるのは茶色で小さめの瓶。彼にはオロナミンcデカビタのようなものに見えたのだろう。

しかし他の人に尋ねたところ、海外にはそのような容器に入ったエナドリはないらしいかプロテインにされてても仕方がない。

ちなみにこの訳の違いによる実害はない。

*******

田中セリフはなぜか軒並み高品質だった。ソニアほとんどのネタ再現されていないのと鮮やかなコントラストを成していた。

*******

左右田の口癖は「メンドクセー」というものだが、残念なことに英語版ではこれが毎回違う単語で訳されており口癖になっていない。

彼が手間や時間がかかる作業についてそう表現したことは一度(あいまいなのを含めれば二度)しかない。

あとは全て、怖い・不安という気持ちときにのみメンドクセーと言っている。

臆病だったり地味に泥臭くこつこつ努力したりする左右田が恐怖を面倒という言葉に変えることでのんきで軽薄なパリピを装っている描写だと思っている。

これが好きなので英語版でも再現して欲しかった。

ちなみに、一度だけの純粋に手間がかかることをメンドクセーと呼ぶシーンは

みんなの手間を省こうと努力して成功したがそれでも手間が残ってしまったとき

「メンドクセーけどヨロシク(意訳)」だからむしろ上の思いを強化している。

*******

友達と仲間はそこそこ区別して使われているが英語版では全てfriendになっている。

なんとかしようと思ったが仲間をうまく表せる言葉英語にはないようだ。

他の人に聞いたところそこの言語には仲間にあたる言葉があるようで一度は喜んだ……が

実際のところとあるきっかからその言葉は廃れて今ではほぼ皮肉しか使われないと言われ不意に

歴史自分卑近物事に直結した音を聞いた。

最後

  1. これで全部ではない。
  2. 一番許せないのは自分自身だ。絶対に許さない。死んでも許さない。

追記2021/7/24/

 日本語解釈は怪しくても英文破綻なくきれい

 その人はゴッド・オブ・ウォーに戻しておいたそうだ。

  • 例えば通貨として円が出てきたり、もっとマトモなこと言えよの意味で「日本語通じない」などというシーンがある。

 それを英語版では円をそのままドルだったり"you don't speak English"だったりして違和感しかない。

 ありがたいことに他の人はこれもyenに直したり"Don't you understand in human terms?"という意味の訳文にしたりしてくれた。

2021-07-06

senbuuさんさぁ……

差別だ!」

被害者日本人かどうかは関係ない。とにかく人種差別を許してはいけない。

差別

senbuu 2021/07/04 08:15

https://b.hatena.ne.jp/entry/4704941543717371106/comment/senbuu

差別だというのはデマらしい!ネトウヨは読んどけ!」

デンベレグリーズマン日本人侮辱か…「醜い顔」「後進国言葉」「技術的に進んでいないのか」(ゲキサカ) - Yahoo!ニュース”という記事は、どうやら誤訳に基づくデマらしい。ネトウヨ必読(義務)。

デマ検証

senbuu 2021/07/04 09:22

quick_pastさんスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4704956080578706466/comment/senbuu

「正確な情報と冷静な分析に最も近づけた者が差別かそうでないか判断ができる!」

それは誰かというと、裁判長判決を下すのと同じで、正確な情報と冷静な分析に最も近づけた者です。後半の問いは、もちろん差別

senbuu 2021/07/04 12:36

eternal_reflectionさん がスターを付けました。

quick_pastさんスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4704974519419672802/comment/senbuu

侮辱ではあっても差別ではない!差別でないもの差別というのはネトウヨを利するデマ!」

よく読もう。侮辱ではあっても差別ではない。君の誤解の出発点がここ。両者は異なる概念差別でないもの差別喧伝してしまったら、それは紛れもなくデマだ。そしてこのデマネトウヨを利するものだ。

これで非表示

senbuu 2021/07/04 14:08

eternal_reflectionさん がスターを付けました。

quick_pastさんスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4704977483485453858/comment/senbuu

「やっぱ差別だって!でも差別だと最初から決めつけたネトウヨも間違い!」

差別でなく侮辱との記事があったが、二転してやはり差別らしいと。フランス語母語とする方の意見なら、それが真実かな。が、偏見誤読で初めから差別と決めつけていたウヨたち、その態度もまた間違いだ。

動画

反差別

どこからでもウヨ叩き

senbuu 2021/07/06 00:59

quick_pastさんスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4705036800233664610/comment/senbuu

言い訳せず差別だったと認めて真摯謝罪すべき!そうすれば許してもらえる!」

これは半端。差別かどうかに加害者意図被害者の心情も関係ないんだ。差別は必ずしも悪人けがするわけではない。だから下手に言い訳せず、素直に差別だったと認めるべき。真摯謝罪なら世間は許してくれるよ。

これはひどい

senbuu 2021/07/06 01:26

araikacangさん がスターを付けました。

wkoichiさん がスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4705044709956244674/comment/senbuu

差別じゃないと言った辻仁成差別だと決めつけたネトウヨも両方間違い!」

誤訳した辻氏は論理的意味で、結果的に正解でも情報不足の初期段階で偏見を広めたウヨ倫理的意味問題

senbuu 2021/07/06 09:40

quick_pastさんスターを付けました。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4705061632135173154/comment/senbuu

出てきた情報にすぐ飛びついて「差別だ!」「やっぱデマだ!」って逐次断定を繰り返してる人のどこに正確な情報と冷静な分析があるのか、

ネトウヨに向かってシャドーボクシングする前にまず鏡で自分見た方がいいだろ、「これはひどい」って自虐なん?って感じだけど、

senbuuさんほどの御方が言うならやっぱりこれは正確な情報と冷静な分析に基づく思慮深い判断であり辻とネトウヨに間違っているという判決を下す資格があるんだろうなぁ……。

一連の出来事から学ぶべきことは、ネイティブでない言語情報訳者バイアスがかかる(ネイティブ言語情報だって信者バイアスがかかるけど)のだから

すぐ飛びついて脊髄反射でなんか言うんじゃなく色々精査した上で「確からしい」というところまで持ってかなきゃなんない

(今回で言えばプロ翻訳家とか、ネイティブの仏人の反応とか、現地の報道とか、少なくともただ仏に住んでるだけの日本人作家よりも信頼性が高そうな発信元にあたるなどして、もちろんそれが正しいという保証もまたないのだから過信してはならない)

っていうことであって、

あいつの差別が悪いとかネトウヨが悪いとか辻が悪いとかいもの自分以外のあいつらが悪いゲームをやる前に教訓とするべきことはあるんじゃあないかと思うんですけどね……。

2021-05-04

日本語のとびっきり優れた英訳といえば

意味だけではなく、言葉の奥深さまでもが伝わる翻訳……源氏物語川端康成安部公房村上春樹、……やっぱり文学ということになる

漫画でも優れた訳者をつけることでもっとマーケットが広がるのではと思うのだが、文化的ではないと軽んぜられているのかな……

2021-03-24

anond:20210324190106

訳者後書き等で否定スタンスだったらまぁ非難するもんじゃないと思うがな。

ただ肯定や同一意見だったら結構致命的な気がする。

2021-03-04

日本人イスラム教徒を誤解している」という誤解

イスラム教めぐる佐賀県内の不適切模試 教徒受験 衝撃受ける】

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210204/k10012849051000.html

>「衝撃的でがっかりイスラム教テロを勧める宗教ではない」

いや、なにいってるの・・・普通にイスラームってテロを推奨してますからね(イスラム原理主義ではなくイスラム教自体の話)

イスラム恐怖症」って単語があり、日本人イスラム教徒を誤解している!みたいな言説が多いですけど、普通に誤解じゃないでしょ。

悪魔の詩訳者殺人事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A9%A9%E8%A8%B3%E8%80%85%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

ここ読めば分かりますけど、「イスラム最高指導者が直々に暗殺命令して」「謝罪撤回もせず」「支援財団は数億円の懸賞金を立てて煽り立てる」って宗教なのに何が誤解なの???っていうね。

肯定的に思ってほしいなら少なくともこの件に謝罪してからの話ですけど、戒律からして不可能から「誤解」が解けることは絶対にないです。

2021-02-12

必読書コピペマジレスしてみる・海外文学編(2)

(1)はこちら。anond:20210212080317

キャロル不思議の国のアリス

好き。ただし、当時の人にしかからないパロディジョークが多く、というかこの本を通じてしか残っていないのもあるので、純粋に笑えるかどうかはわからない。とはいえ、わからないなりにナンセンスさは楽しく(「ぽっぺん先生シリーズにも引き継がれている)、トーベ・ヤンソンなどいろいろな人の挿絵も楽しめるし、こじらせ文学少年文学少女とも仲良くなれるかもしれない。大学時代読書サークルは楽しかったなあ。

ドストエフスキー悪霊

ドストエフスキー小説基本的に頭がおかしい。ドストエフスキー自身ギャンブル依存症ユダヤ人嫌いのヤバいやつだし。

登場人物基本的自己主張が激しくて感情に溺れやすく、数段落数ページにまたがって独白する。プライド無駄に高くて空想癖がひどく、思い込みが激しくて人の話を聞いちゃおらず、愛されていないのに愛を語る。そしてそんな奴らが大好きだ。

ぜひとも増田ロシア文学沼に落としたいのだが、いかんせん「悪霊」を含む五大長編から挑戦するのはハードルがあまりにも高いので、「永遠の夫」か「賭博者」か「地下室の手記」か「白夜からおすすめロシア文学はいいぞ。

ところで、高校時代の友人曰く「ドストエフスキーにはまるのは自己愛自己嫌悪の衝突を必死プライドで支える人間、言い換えるとモテない」とのこと。ひどい。

チェーホフ桜の園

こっちはスマートなほうのロシア文学一家が没落して家や土地を売らないといけないのに、家の経済状態をわかっておらず(認めず)すぐに物乞い金貨を上げちゃう現実の見えていないお母さんのキャラが強烈。ギトギト描写するドストエフスキーに対し、勘所をびしりと抑えるチェーホフ

実家のお母さんと(特にお金関係で)うまくいっていない人におすすめ

チェスタトンブラウン神父童心

未読。怪作「木曜日だった男」は読んだんだが。ミステリはあまり読んでいないのでそのうち読む。

プルースト失われた時を求めて

誰もが冒頭のマドレーヌの香りから想起されるママンとの思い出についてしか語らず、たぶんみんなちゃんと読んでないかなのだが、実は無職マザコン自分の性の目覚め(野外オナニーを含む)やソープ通いや失恋の思い出について延々と語っている話で、何度語り手に向かって「働け!」と言いたくなったことか。

しかし、実のところ登場人物の九割がLGBTという当時としては非常に先進的な小説で、さらに当時炎上していたドレフュス事件という両陣営を真っ二つに分断した冤罪事件ネタにもしているので(今でいえばMeTooやBLMに相当する)、実は差別反差別についていろいろ語っている増田たちにすごく刺さる内容だと思う。俺差別してないし~、あいつは〇〇人だけどいいやつだよ~、的な態度もぐさりとやられている。最高でしかない。

ちなみに、金に苦労しないボンボンがうだうだ恋愛で悩む小説が好きになったのはこの本のせい。「アレクサンドリア四重奏」とかね。

カフカ審判

不条理ギャグすれすれで訳もわからずひどい目に合う小説。いきなりこの小説チャレンジするのはしんどいので、まずは「変身」か岩波文庫短編集を読んで、カフカのノリが気に入ったら読むといいんじゃないかな。

読んでいるとカフカがお父さんのことめちゃくちゃ苦手だったってのがびりびり伝わってきて気の毒(カフカは線の細い文学青年、父は叩き上げビジネスマン想像できるでしょ?)。お父さんとの関係がこじれている人におすすめ

魯迅『阿Q正伝』

最高のダメ人間小説精神勝利法なることばはどこかで聞いたことがあるんじゃないだろうか。作者は当時の中国人意識の低さを批判したつもりらしいが、万人に刺さる内容。

ちなみに自分ダメ人間、情けないやつ、どうしようもないやつが大好きなので「指輪物語」のゴクリ(ゴラム)だとか、「沈黙」のキチジローだとかが大好きです。

ジョイスユリシーズ

さえないおっさんが妻の浮気を知りながら一日中ダブリンの町をウロウロするだけの寝取られ小説で(途中で女の子スカートをのぞいて野外オナニーもする)、このリストの前に出てきた「オデュッセイア」のパロディでもある。

これだけだと何が面白いのかよくわからないのだが、実は当時の反英的な機運の高まっているアイルランド空気活写している。それだけではなく小説の様々な実験手法の見本市みたいになっており、和訳もすごい。たとえばある章では英文学の様々な文体歴史順に真似て英文学の発展をパロるのだけれど、和訳ではその章は祝詞に始まって漢文になり、漱石芥川文体を経て現代小説になるという離れ業で訳している。これがもっと無茶苦茶になると「フィネガンズウェイク」になるのだけれど、すでに言語の体をなしていないのでまだ読めてない。

上記説明ドン引きしないでください。「ダブリン市民」をお勧めします。

トーマス・マン魔の山

結核療養サナトリウム小説北杜夫ファンの間で有名な「ねーんげん的」の元ネタ。あらゆる知識を山のサナトリウムで吸収した主人公運命いかに! 「ノルウェイの森」で主人公京都山中精神病院にこの本を持っていくのは村上春樹なりのジョークか。

ただし、やっぱり長いので美少年萌えな「ヴェニスに死す」か陰キャの悲哀「トニオ・クレーゲル」にまずチャレンジするのがおすすめ

はまったら「ブッデンブローク家の人々」や「ファウストゥス博士」を読もう。

ザミャーミン『われら』

洗脳エンドのディストピア小説なんだけど、増田で「一九八四年」が古いと言われてしまうんだったらこれはどうなるんだろ。読むんだったら他の「すばらしい新世界」とか「ハーモニー」とかと読み比べて、ディストピア概念現実社会の変化に合わせてどんな風に発展してきたからを考えながら読むと面白いのかも。

ムージル特性のない男』

未読。長すぎる。

セリーヌ『夜の果ての旅』

未読。

フォークナーアブサロム、アブサロム!

文学サークルの友人に勧められて読んだんだけど、とんでもない小説だった。あらすじとしては、野望に取りつかれた南部人種差別主義者自分帝国を作るために理想女性結婚するが、その女性黒人の血が混じっていたために離婚して別の女性結婚することから始まる、二つの家系因縁なのだが、時系列しっちゃかめっちゃかなのでとにかくその男の妄念とその子孫の不幸ばかりがじりじりと迫ってくる。あまりにもすごかったのでフォークナーの他の作品は読めておらず、黒人差別を扱った小説も怖くて読めていない。

ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』

未読。

サルトル嘔吐

読んだがよくわからなかった。うつ状態ときには時間の経過さえも苦痛で、それを救ってくれるのは音楽だけだ、的な話だったか。とにかく本を読み漁っていたころ、新潮文庫サルトル短篇集を意味も分からず読んでいたのを思い出す。わけもわからないままヌーベルヴァーグを観ていた頃だ。さっき出てきた高校時代の友人曰く「フランス映画のあらすじはセックスして車で逃げて殺されるだけだ」とのことだが、起承転結還元できない小説を楽しむようになったのはこの頃からだった。

ジュネ『泥棒日記

未読。

ベケットゴドーを待ちながら

短いのですぐ読める。ゴドーはいまだに再臨しないキリストアレゴリーだという説もあるが、実際のところはよくわからない。意味の分からない話だけど、僕らの人生結構意味不明だよね、みたいな感じか。

ロブ=グリエ嫉妬

未読。「消しゴム」は数年前に読んだが理解できなかった。

デュラス『モデラートカンタービレ

未読。「愛人」は読んだが記憶のかなた。まだ幼くて没落する富裕層とその爛れた愛を十分に楽しめなかった。

どうでもいいが自分が年上萌えに目覚めたのは「海辺のカフカ」のおねショタシーンです。

レム『ソラリスの陽のもとに』

レムの作品の中では一番好き。たとえ出てくる科学技術描写が古くなっても(SFだとこういうことはよくある)、理解できない対象として立ちふさがるソラリスという惑星描写は古びない。

SFは考えうるあらゆる可能性を検討し、人類の達成しうることや宇宙の中での意味について想像力の境界をどこまでも遠くまで広げていく文学だ。中には人類がろくでもない理由で滅亡してしまったり、人間など取るに足りないという悲観的なヴィジョンに至ってしまったりするものであるが、それでさえ美しい。なぜなら、想像力がヒトという種の肉体に縛られまいと羽ばたいた結果なのだから

最近SFをろくに読んでいないが、元気が出たらまた読みたいものだ。

ガルシアマルケス百年の孤独

初めて読んだラテンアメリカ文学。起こりえないことが起こり、名前がややこしいので誰が誰だかすぐに混同され、しかもそのすべてが意図的である。混乱してもとにかく読み進めてほしい。目の前で起きる不可解な出来事をまずは楽しもう。

慣れてきたら、これが不条理しか言いようのない南米歴史の縮図だとかそんなことを考えてみるのもいいかもしれない。この本のおかげでボルヘスに、バルガスリョサに、ドノソに出会うことができた。

一説によるとこの本が文庫化されるとき世界の終末が近づくという本の一つ(未確認情報)。新潮社がなぜか頑なにハードカバーしかさない。ちなみに「薔薇の名前」にもそうした風説がある。

ラシュディ『真夜中の子どもたち』

インド独立の瞬間に生まれ子供たちが全員テレパシーの使い手だった! こんな話があの岩波文庫に収録されるんだから世の中わからない。

主人公は裕福な家で育つが、じつはそれは出産時の取り違えによるものであり、誤って貧しいほうで育ってしまった子供復讐にやってくる。それも、真夜中の子どもたち全員を巻き込む恐ろしい方法で。

インドパキスタンの分裂、人口抑制政策、そういったインド歴史ちょっと頭の隅っこに入れておくと面白いが、昼ドラ的な入れ替わりの悲劇の要素のあるSFとして娯楽的に読める。権力を持った強い女性に対する嫌悪感がほんのりあるのが難点か。

ちなみに、「悪魔の詩」も読んだが、(亡くなった訳者には本当に申し訳ないが)こっちのほうが面白かった。あれは当時のイギリスポップカルチャーがわかっていないと理解が難しい。

ブレイクブレイク詩集

独自神話的なヴィジョンで有名らしいんだが、邦訳あったっけ?

ベルダーリンヘルダーリン詩集

未読。

ボードレール悪の華

卒業旅行パリに持って行った。たぶん時期的には最高だったと思う。とにかく血だとか死だとか堕落だとか退廃だとかそういうのに惹かれる人生の時期というのがあり、まさにそのときに読めたのは幸せだった。もっとも、所詮自分はそれらを安全から眺めていただけだったが。

ランボーランボー詩集

同じく卒業旅行パリに持って行った。残念ながらフランス語はわからないのだが、フランスサンドイッチは最高だった。当時はまだピュアだったのでキャバレーフレンチカンカンは見に行っていない。

エリオット荒地

未読。

マヤコフスキーマヤコフスキー詩集

未読。

ツェランツェラン詩集

未読。詩をあまり読んでいなくて申し訳ない。

バフチンドストエフスキー詩学

ドストエフスキー作品カーニバル的、つまり一斉にいろんな出来事が起きてしっちゃかめっちゃかになって、日常価値観が転倒する、みたいな内容。確かにドストエフスキー作品爆弾抱えた人間が一か所に集まってその爆弾が一斉に大爆発、的な内容が多い。

ただ、これ以上のことは覚えていない。実はあまり文芸批評は読まない。

ブランショ文学空間

未読。

以上

疲れたので続編をやるかは不明日本文学哲学思想海外文学ほど読んでないし。まとめてみて、遠ざかっていた文学に久しぶりに手を伸ばしたくなった。

皆様も良い読書ライフを。

必読書コピペマジレスしてみる・海外文学編(1)

方針

ホメロスオデュッセイア

イリアス」は捕虜奴隷女の配分をめぐった交渉がこじれた結果、勇者が拗ねて戦場に出ず、味方がどんどん死ぬところからスタートするので、昨今の倫理観から問題があり、神話初心者にはこっちをお勧めしたい。「オデュッセイア」も家で待っている妻を忘れてよその女のところで数年過ごすが、まあ魔法をかけられていたということでこっちのほうがマシだ。舞台もあちこち移動するから飽きないし。

ユニークなのは劇中劇的にオデュッセウス時間をさかのぼって事件の進展を語る箇所があることで、ホメロス時代にはすでに出来事が起きた通りに語る手法が飽きられ始めていたのかな、と想像できる。

実は「ラーマーヤナとある共通点があるが読んでみてのお楽しみ。

旧約聖書創世記

聖書はなんせ二千年前以上の宗教書から原典に当たる前に基本的出来事の流れと時代背景や当時の常識理解していないと読解が難しい。当時のユダヤ民族偏見も混じっているし。加えて、ところどころ立法全書的に当時の習慣や禁忌を延々述べる箇所があり、通読はさすがにできてない。新約聖書だけは何とか意地で読破した。

ところで、どうして「創世記」だけを取り上げたのだろう。たとえば物語として盛り上がるのは「十戒」の「出エジプト記」だ。「ハムナプトラ」とかでエジプトが悪役になるのは大体これのせい。いきなりこれにチャレンジするのなら、手塚治虫聖書物語のほうがいいかもしれない。

ソポクレスオイディプス王

犯人探しが不幸を呼ぶことからミス的な要素もあるし、ギリシア神話の「不幸な運命を避けるために必死になって行動した結果、結局その運命を呼び寄せてしまう」というアイロニーが大好きな自分としては、その典型例なので好物だ(予言鵜呑みにした結果ドツボにはまる「マクベス」も好き)。

これが面白かったら、アイスキュロスの「オレステイア三部作」もおすすめしたい。何世代にもわたる恨みの念が恵みの女神として祀られることで鎮められるというモチーフは、異国のものとは思えない。

唐詩選』

一般教養唐詩の授業を取ったので岩波文庫でぱらぱらとめくった覚えがある。なにぶん昔のことなので記憶曖昧なのだが、はっきり覚えているのが王梵志の「我昔未生時」で、天帝に生まれる前の時代の安らぎを返してくれるように願う詩だ。当時は反出生主義が哲学思想界隈でここまでホットトピックになるとは予想してはいなかった。

他にいいな、と思ったのは杜甫厭戦歌「兵車行」。

ハイヤーム『ルバイヤート

酔っ払いの詩。酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞーという内容。著者は文学者であっただけでなく天文学者数学者としても知られるが(三次方程式を解いた実績がある)、ここで展開されている詩はひたすら現世の美しさとはかなさをうたったもので、酔っ払いは世の東西を問わず、というところか。イスラム世界の厳格なイメージをひっくり返してくれるので面白い。ガラン版のアラビアンナイト高野秀行の「イスラム飲酒紀行」とあわせてどうぞ。

ダンテ神曲

フィレンツェ追放されたダンテが苦しみの中生み出したキリスト教最高峰文学のはずだけれど、とにかく気に食わない政敵地獄でめちゃくちゃな責め苦に合わせているところを面白がる下世話な楽しみ方ができる。地獄にいる人物聖書ギリシア神話歴史上の人物も多く、ヨーロッパ歴史文学をざっくり知っているとダンテがどれだけやりたい放題やったかがわかるので愉快。

ただし、地獄編の続きの煉獄編・天国編はキリスト教哲学をかじっていないと結構しんどく、しか風景が山あり谷ありの地獄と比べてひたすら恵みの光が明るくなっていくだけなので、絵的に面白いのは地獄のほうだ。

ついでに、ヒロインがかつて片思いをしていたベアトリーチェという女性なので、ベアトリーチェの美しさを歌う箇所も下世話な目線で楽しめる。妻帯者の癖に未練たらたら。

ラブレーガルガンテュアとパンタグリュエルの物語

未読。後述のラテンアメリカ文学とかジョイスとかは読んだんだが、そこに出てくる過剰なものや糞尿譚も結構楽しんだので、いつかは読みたいと思っている。

シェイクスピアハムレット

四大悲劇と「ロミオとジュリエット」はざっくりと読んでおくと、いまにも受け継がれているネタ結構あることがわかって楽しいし、意外と下ネタオンパレードなので当時のイギリス人に親しみを持つことができる。ついでに上記のうち二作は黒澤明映画元ネタでもある。

興味深いのは、劇中劇というかメタフィクション必然性を持って登場することだ(父を殺した叔父の目の前で、その殺人の場面そっくりの劇を演じて動揺させるシーン)。すごく先進的だ。かっこいいぞシェイクスピア

セルバンテスドン・キホーテ

基本的には正気を失ったおじさんが繰り広げるドタバタ劇で、下巻では著名になったドン・キホーテからかう公爵夫妻までも出てくる。これだけだと精神を病んだ人をおちょくる悪趣味書物だとしか思えないのだが(というか最初時代遅れの騎士道精神批判するために書かれた)、昨今はドン・キホーテに同情的な解釈が主流。最近テリー・ギリアム映画化した。

スウィフトガリヴァー旅行記

自分が道を踏み外した元凶。誰だこんな子供人間嫌いにする本を児童書の棚に並べたのは。クレヨンしんちゃん夕方アニメにするレベルの蛮勇だ。四部作だが、最後の馬の国では人間という存在醜悪さをこれでもかと暴き立てており、おかげさまですっかり自分人間嫌いで偏屈な人になってしまった。作者の女嫌いの影響を受けなくて本当に良かった。

とはいえ、当時のアイルランド支配はこれほどまでの告発の書を書かせるほどひどかった、ということは知っておきたい。

スターントリストラム・シャンディ』

夏目漱石吾輩は猫である」に出てくる。基本的にはふざけた話であり、著者が自分誕生から一生を語り起こそうとするがなかなか著者自身誕生せず、しか物語の進捗が遅いせいで半年ごとに本を出す約束なのにこのままでは永遠に現在自分に追いつかない、みたいな語りで笑わせてくる。挙句の果てに著者が途中でフランス旅行に出かけてしまう。英文学というジャンルがまだ黎明期なのに、こんな愉快なのが出てくる懐の深さよ。

だが、これだけふざけているのに、登場人物の一人がうっとうしい蝿を「この世の中にはおれとおまえと両方を入れる余地はあるはずだ」といって逃がしてやるシーンはいい。

サド悪徳の栄え

未読。「毛皮を着たヴィーナス」と「眼球譚」は読んだんだが。バタイユどんだけおしっこフェチなんだよ。自分もお尻とかブルマーとか競泳水着が好きだから笑わないけどさ。

ゲーテファウスト

個人的にはとても好き。人生できっと何かを成し遂げられるはずという万能感ある思春期に読みたい。主人公行為は決して褒められたものではない。様々な悪事を働き、幼い少女妊娠させたうえ捨ててしまう。このシーンのせいで、もしかしたら二十一世紀には読み継がれない古典になってしまうかもしれない。しかし、主人公最後にたどり着いた境地の尊さの価値は失われることはないと信じている。現世で最も美しい瞬間とは何か、あらゆる物質的な快楽を手に入れた主人公が見つけた答えを読んでほしい。後半はギリシア神話を知らないとつらいかもしれないが、そのためにギリシア神話入門を読む値打ちはある。

スタンダールパルムの僧院

未読。同著者の「赤と黒」は貧乏青年がひたすらのしあがろうとする話で、あまりピンとこなかったのだが、文学サークルの友人から最近来たメールに「訳者を変えて再読したら面白かった」と書いてあった。

ゴーゴリ外套

さえないかわいそうなおじさんが好きなので好き。ロシア文学というものは、名前がややこしいうえに同じ人物が様々に呼ばれるので敬遠されがちなのだが(イワンが何の説明もなくワーニャと呼ばれるなど)、登場人物メモしたり、ロシア人名の愛称の一覧を頼りにしたりして飛び込んでほしい。このハードルさえ超えれば最高の読書体験が待っていることは保証する。ロシア文学はいいぞ。

ポー盗まれた手紙

ポーは大好きなんだけどどうしてこれを代表作に選んだのかはよくわからない。個人的には王道の「黒猫」とか「アッシャー家の崩壊」とかを最初に読むのがいいと思う。中学生の頃、狂気や暗鬱さにどっぷり浸っていた頃に読んだのだが楽しかったし、作中の詩が今でも世界で一番好きな詩のひとつだ。ちなみに、東京創元社ポー全集には、ポーユーモア作品もいくつか収録されており、意外な顔を知ることができる。もっとも、今読んで面白ジョークかどうかまでは保証しないが、こじらせ文学少年文学少女としては必読か。

エミリー・ブロンテ嵐が丘

最高の昼ドラにして非モテ文学。俺は愛されずに育った、俺は永遠にからも愛されない、だから他人幸福破壊してもいい、的な気分に一度もでもなった人は何としても読んでほしい。

メルヴィル白鯨

スターバックスコーヒー元ネタ

映画マチルダ」の中で児童書に飽きた天才少女がこれを読もうとする場面があるんだけど、これ小学生が読む本じゃないだろ。単純に難しいのではなく、とにかく話が脱線しまくる。まともにストーリーが進まずに、著者自身クジラに関するうんちくが延々と続く箇所もある。雑学隙の自分は楽しく読んだが。

敵のクジラを殺してやろうとするエイハブ船長狂気についていけるかどうか。

フローベールボヴァリー夫人

自分人妻萌え発症した元凶の一つであり、世界文学初のカーセックスシーンがあることでも知られている(自動車ではなく馬車でだが)。ストーリーは夢見がちな女性が夫に幻滅して若い男やチャラ男浮気し、サラ金から借金を重ねて自殺するという「闇金ウシジマくん」的なノリ。妻の浮気を知ったさえないボヴァリー氏の哀れな反応は必見。自分が寝とられ文学が好きになってしまった元凶の一つ。

続きますanond:20210212080411

2020-09-10

[]59日目 『戦争は女の顔をしていない』を読んだ

なわとび:401回

ボクシング:99kcal/26歳

徒歩:270.0kcal/8575歩

8月から少しずつ読んでた『戦争は女の顔をしていない』をやっとの思いで読了した

解説読むと訳者の人がガンになっても標準治療を拒絶して代替医療選択してそのまま死んでしまったっぽくて二重の意味で残念

左派的な人(フェミニズムの人も一部その傾向がありそうな気もするけど)は権威権力に対してどうしても対決姿勢を取らざるを得なくなることが多いので、そういった行動様式が「すでに確立されたもの」に対して疑いを抱きやす思考につながったりするのかなあと思ったりした(立憲民主党に群がる有象無象ことなども考えつつ)

「ルカシェンコ大統領わたしたちなんかより、野党知識人なんかより庶民との対話がずっと上手」っていうのは日本でもあるあるなので同意のし過ぎで首がもげた

あとがき解説の話しかしてないな

ベラルーシという土地柄もあるのだろうけれど、パルチザンの話が多くて、これがひたすらつらい

そしてこれだけ辛いことのオンパレードでもまだまだ語られない、語ることのできないことがたくさんあるのだということが巻末の方で示唆されていて、そりゃそうだとは思うけどよけいにつらい

だけど同時に独ソ戦を戦った女性たちという存在にどことなロマンを感じてしまうのも確かで、地上の地獄ともいうべきこのような惨劇ロマンを感じてしま自分のどうしようもなさに対して呆れたりもする

この本を読む前に予習として岩波新書の『独ソ戦』を読んでおいたんだけど、ドイツ国内にまで侵攻したソ連人たちのドイツの豊かさに対する戸惑いをみると、そりゃそう思うよなって感じがした

あの豊かさを維持するために戦争をしなきゃいけなかったんだって聞いたらソ連の人らはどう思ったろう

2020-08-09

アメリカ保険会社重役の懺悔、あるいは餓鬼で一杯の地獄 その3

anond:20200809233636 からの続き。

もっと重要な事は、カナダでは誰もお金が無いために医者に診てもらえないという事がなく、カナダ人は家計破綻させる医療費請求書を受け取る心配をせずにコロナウィルス検査治療を受けられるという事だ。これは間違いなく、カナダのcovid-19の死亡率が我々よりもずっと低い理由の一つだ。アメリカにおいては、とんでもない請求額が我々の健康医療制度の特徴の一つだ。トランプ大統領議会メンバーからのcovid-19の患者検査処置請求されないという保証にもかかわらず、多くの報道によると彼らは多額の請求によって苦しめられている。

カナダではこんな事はない。カバーされる医療サービスについてco-paysだの、deductiblesだのcoinsuranceだの(訳者注」全部、自己負担の事)はない。医療サービス提供時点では無料だ。そしてカナダでは失業者健康保険を失うことを心配することもない。合衆国では対照的に、このパンデミック4000万人以上が職を失ったが、そのうちの数百万は、そして家族もまた、保険もまた失った(訳者注:アメリカでは健康保険会社が購入して従業員提供している事が多い。そのため、失業すると健康保険を失うとか、健康保険の為に会社を辞めれないとか、更には健康保険家族への提供される場合、変更保険の為に結婚するとかいう事がある。)

そしてケアの質のこともある。数多くの尺度でみて、カナダの方が優れている。いくつか例をだそう:カナダ合衆国よりも予防可能な原因による入院比率がずっと低い。糖尿病では我らの国はほぼ2倍も多いし、高血圧では8倍以上も多い。そしてカナダヘルスケアに一人あたりでみて我々の半分以下しか使っていないが、彼らの平均寿命は82歳であり、対して合衆国では78.6歳である

パンデミック北米にやってきた時、毎年global budgets (運営費用を賄うために州や地域レベルで通常一定の額が支払われている)のもとで運営されているカナダ病院は多くのアメリカ病院よりも患者の増加により良く準備できていた。そしてカナダは各個人を守る備品生産増加も我々よりはるかに速かった。

生活の為にかつてやっていた事についての多くの後悔のなかで、その最大のうちの一つはカナダ健康医療制度への中傷だ。もし合衆国2009年に(あるいはそれ以降のいつかに)違う改革を実行出来ていたら(訳者注:2009年改革がACA、オバマケアの事。上述の通り、これは民間保険会社へ頼った制度改革だった。)、保険の支払いを制限する事へのインセンティブで一杯の民間保険会社に頼らない改革が出来ていたなら、我々は今日、より健康な国であっただろう。保険なしで生きる事は、避けえた死を迎える確率を劇的に上昇させる過去13年間にわたって、何万ものアメリカ人がおそらく早すぎる死を迎えただろう。我らの北の隣人たちと違って、彼らは保険を持っていなかったり、あるいはあまりに不十分な保険だったりして、必要医療を受けられなかったために。私はその事の恐ろしさと、その中の自分役割とともに生きている。毎日

アメリカ保険会社重役の懺悔、あるいは餓鬼で一杯の地獄 その2

anond:20200809233419 からの続き

にもかかわらず、業界スポークスマンとしてその年、業界20年いた最後の年であったその年の大半を、ジャーナリストや議員達へAHIPの「情報」を広めること)に費やした。我々の健康医療制度カナダのそれより優れているという印象を作るために。我々は人々にカナダ制度崩壊の寸前にあると信じさせようとしていたのだが、このキャンペーンは上手く行った。カナダシステムを悪く描くストーリー報道に流れ始めたのだ。そして民主党がのちにAffordable Care Actとなるものを書き出し始めた2009年の初めには、彼らもカナダのような公的負担システム真剣考慮することはなかった。我々がそういったアイデア過激ものであるとするのにあまり成功したので、上院財政委員会委員長であるMax Baucus上院議員民主党モンタナ州選出)はシングルペイヤー(訳者注:政府保険提供するシステム)の支持者たちを公聴会から追い出すほどだった

今日コロナウィルスパンデミックへのカナダ合衆国それぞれの結果が、私が広めるのを手助けした考えがどれほど間違っていたのかを証明している。人口比でみて合衆国コロナウィルス感染は3倍以上であり、死亡率はカナダ2倍になっている。そして今では人口比で我々の方がより多くの人を検査するようになってはいるが、我らの北の隣人は検査でより早期に成功を収めており、これがパンデミックにおいての違いを生み出すのを助けた。

我々が広めたうちでもっと効果的な神話、大きな改革提案されると業界が引っ張り出す神話は、カナダ人や他のシングルペイヤー諸国の人々は必要医療の為に長く待つことを余儀なくされているというものだ。去年もまた、The Medicare for All Act of 2019(訳者注:Medicareはアメリカ高齢者向けの政府による公的健康保険で、Medicare for allというのはこれを全国民適用しようというもの。勿論、民間保険会社は反対。)についての議会委員会公聴会へ提出された声明において、AHIPはシングルペイヤーシステムにおいては「患者はより多く支払い、より長く待って、より酷いケアを受ける事になる」と主張している。

カナダ人が時折、選択可能処置(人工膝関節置換術がよくあげられている)の為に数週間なり数ヶ月なり待つことになるのは事実だが、大部分の医療サービスについては彼らは全く待つ必要がないというのが真実だ。そして、私が売り歩いていた別の神話カナダ医者たちは合衆国へ大挙してやってきているという神話(訳者注:政府規制されたカナダから自由アメリカ市場カナダ医者が逃げきているという嘘。)とは異なり、1000人あたりでみてこの国よりもカナダの方が医者が多いカナダ人はその医者達に平均して年に6.8回診てもらっているが、比較してこの国ではたった4回である

 

anond:20200809233712 へ続く

アメリカ保険会社重役の懺悔、あるいは餓鬼で一杯の地獄 その1

ワシントン・ポストThe Health Care Scare ヘルスケアの恐怖:私はアメリカ人カナダ医学についての嘘を売り、いま我々はその対価を払っている、というコラムが載っていて、興味深かったので訳しました。アメリカ健康保険が高すぎて、保険に入れない人が多くおり、これがアメリカ嫌儲問題の一因となっていた事は有名だと思います。この問題をなんとかする為に、2009年オバマケアとも呼ばれるAffordable Care Act (ACA)が成立したわけですが、このACAは民間保険会社に大きく依存した制度でした。なぜ他の多くの国がやっているような(勿論、各国ごとのバリエーションは大きいわけですが)政府による保険提供が行われず、できる限り民間市場に頼った制度になったのか?色々理由はあるわけですが、その一つが保険会社によるプロパガンダであり、そ担当者だった保険会社の重役が書いた懺悔がこのコラムです。

なんか長すぎたようなので、2つに分割してあります

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ヘルスケアの恐怖:私はアメリカ人カナダ医学についての嘘を売り、いま我々はその対価を払っている

保険会社重役という私の以前の人生において、私の仕事アメリカ人自分たち医療について騙すことだった。利益を守る為に人々を欺いていたのだ。実際、企業プロパガンダ担当としての私の主要な目的の一つは、自分役割を果たすことで「株主価値を高める」ことだった。この仕事保険を受ける人たちを減らす環境作りに直接つながったが、これがコロナウィルス)という誰もが医療を受ける事を求めそして受けられる事によってのみ立ち向かえる状況に対する我らの国の苦難を生み出してしまった。私のようなスポークスマン達がアメリカカナダ健康医療制度の違いについての重要真実を誤魔化す事に給料が払われていなければ、このパンデミックの期間に亡くなった何万ものアメリカ人はまだ生きていたかもしれない。

2007年、私はCignaの広報担当(Corporate communications)の副社長として働いていた。その夏、マイケル・ムーアは彼の最新ドキュメンタリーSicko”をリリースする準備をしていた。アメリカ医療を他の豊かな国々のそれと比べるものだ(当然ながら、我々は酷いものに映っていた)。私は他の大手保険会社の同じ役割人間たちとその映画を叩く為の秘密裏会議に何ヶ月も費やしていた。この映画には重要医療処置への保険適用を認められなかった患者たちの多くの逸話が含まれていた。例えば3歳のAnnette Noeだ。彼女が聴こえるようになる為の2つ人工内耳移植の支払いを彼女の両親がCignaに求めてきた時、我々はただ1つしか認めなかった。

明らかに、私と仲間たちは強固なディフェンス必要としていた。業界の最大の事業者団体、America’s Health Insurance Plans (AHIP)の為のタスクフォースにおいて、我々はいかにしてカナダフランス英国、そしてはてはキューバ健康医療制度を我々のもの同様の酷いものに見せるかについて話し合った。我々は大手PR会社であるAPCOワールドワイドを雇い、そこのエージェントたちがAHIPと共に私のような企業宣伝屋がニュースリリース記者向けの声明で使える宣伝文句バインダーをまとめ上げた。

次はそのバインダーの中のAHIPの広報資料からの例だ:「2004年5月世論調査によるとカナダビジネスリーダの87%がもし緊急で医療必要になれば政府システムの外側の医療機関を探すとしている」。これのソース業界支援しているPacific Research Instituteの社長であるSally Pipesによる2004年の、「ミラクルケア:アメリカのヘルスケア危機をいかに解決するか、そしてなぜカナダは答えではないのか」というタイトルの本だ。同じ本からの他の主張は、カナダ放射線技師協会CEOが「カナダ放射線技術設備はあまりに酷すぎて、『早急の対応がなければ放射線技師検査信頼性品質について保証することはできなくなるだろう』」という言葉引用している。

こういったものほとんどは、多くのアメリカ人特に必要医薬品を手に入れる為にカナダの安い薬価に頼っている数百万の人たちの経験に反している(訳者注:アメリカの薬はバカ高いのでカナダ国境近くのアメリカ人カナダへ薬の買い出しツアーをしていたりした、コロナ以前は)。しかし、こういう主張を疑うよりはっきりとした理由があった。たとえば、この2004年の調査を行ったのは誰なのか我々は知らなかったし、そのサンプルサイズ調査方法についても何も知らなかった。「ビジネスリーダー」として認められる基準についてすら、だ。画像装置についての発言は信頼できるデータに基づいているのか、ただの個人意見なのかも知らなかった。そしてアメリカ病院での時代遅れ設備についての同様な文句簡単に見つけられる。

ワシントン・ポストからの応答の要請に対して、AHIPのスポークスマンはこれらの考えは「ACA以前の過去のものであり、我々はいまはフューチャーフォーカスドであって、上手くいくものを進め、いかないもの修正しています」と返答し、当団体は「誰もが購入可能で質の高い適用医療を受けとってしかるべきであると信じています健康状態所得、病歴に関わらず」と付け加えた。APCOワールドワイドスポークスパーソンはポストに、会社は「ヘルスケアシステム進化対応する顧客支援に関わってきた。やってきた仕事は誇りである」と伝えた。Cignaは応答の要請に答えなかった。)

anond:20200809233636 へ続く

2020-07-30

anond:20200728150123

米国製ソフト訳者理解できなくなるまでメッセージ切り詰めるブーム日本語訳がぶっ壊れ始めてるのよりはマシ

2020-06-25

Biggus Dickus をどう訳す

モンティ・パイソンギャグひとつに、ローマ皇帝が友人の名前として”Biggus Dickus”というのを挙げて、思わず吹き出した側近たちに怒るというのがある。

Big dick、デカチンを雑にラテン語っぽくした一見して悪ふざけと分かる名前をクソ真面目な顔で口にする皇帝の姿におかしみがあるんだと思う。

このBiggus Dickus、日本語で分かりやすく訳すならどうなるだろう。

ネットフリックス日本語字幕では「デカ・チン」としてたんだけど、これは意味は分かるんだけどラテン語っぽさは消えてしまっている点が残念だと思う。まあラテン語なんてやってる人はあんまりいないし(俺も知らん)、頑張って訳したところで仕方がないといえば仕方がないんだけど、どうも勿体ない気がするのだ。

デカウス・チンコイウスとか、チンコス・デカスギウスみたいな訳のほうがまだいいんじゃないか?と俺は愚考する。でもこんなん訳者の人もすぐ思いつくだろうし、普通に考えてデカ・チンのほうが面白いんだろうなあ。

悔しいぜ。

2020-06-24

anond:20200624135620

殺人事件が起きれば

けっきょくは命がけで差別したい奴はいないんだから減るはずだろう

 

「公での罵倒は、多くの国で強い報復を呼ぶ」

https://togetter.com/li/1226566

悪魔の詩訳者殺人事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A9%A9%E8%A8%B3%E8%80%85%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

ムスリム侮辱したらいけないよ宗教自由だよ」と語るよりたった一軒の殺人事件のほうが1億光年効果

 

2020-06-16

共同の古紙置き場に捨てた本が回収前に誰かに引き取られていった.

タオ自然学』フリッチョフ・カプラ

訳者のひとりに島田裕巳原著1975年にヒット,訳本は1984年改訂版1990年

親戚が集まった(たぶん曾祖父の33?回忌)時におじさんが読んでいた本,『本は10冊同時に読め!』(成毛誠,2008年)で絶賛されたていた.『タオ自然学』は東洋思想現代物理学類似性を指摘した本で,高度な物理学が発展すればするほど,それが人間存在なくしては存在し得ないことを説明している.

結局,ほとんど読めずに捨てた本である.端的に私には難しかった.

文字起源歴史

古紙置き場で拾った本.たぶん言語学文学テキスト参考書だろう.ヒエログリフアルファベット漢字を中心に紹介されている図説である漢字の章だけ読んだ.

日本語における同音異義語の多さと漢字を利用することによるそれらの区別というメリットなどが紹介されていた.

かにぐっとき解説があったようなきがするけどなんだっけ.

動的平衡2』福岡伸一

さよなら

動的平衡』や『生物と無生物のあいだ』は生物学面白く紹介した本だった.

しかし,著者はトンデモ疑似科学のオーソモレキュラー(分子栄養学とも)のセミナーで講演し,傾倒もしているようだ.

分子生物学者としては確かにメカニズム中心のオーソには親和性が高い.

しかし,実際に疫学根拠のないオーソとは距離をとってほしかったのである

さよなら

この本には罪はないけど.

2020-03-27

[]ひんがら目

斜視のこと。

使われていた文脈から判断して、あまりいい言葉じゃなさそう。

一応、今世紀に入ってから出版された本に出ていたのだが、訳者1931年まれなので、その辺の感覚ちょっと古いのかも。

2020-03-12

anond:20200311165317

あなたは、典型的美大卒のデザイナーなのだろうなと思いました。

いわゆる、自身の作ってきたものや作るのもに自信を持つ職人気質であるように読み取れました。

広告が金儲けの仕組みとして、正々堂々とした道徳的業界仕事である認識されたのは、30年前ぐらいという認識でいます。(これは2020年版の「不道徳経済学」(早川書房)、訳者あとがきに記されていたことを元にしていますが、自分は実際は40年位前じゃないかって考えてます理由90年代において、既に広告屋が不道徳でないという認識が広まっていたという個人的見解に基づく物です。不道徳経済学原本ウォルターブロックという方でアメリカでの話をしている点も個人的見解に影響をあたえています。)

それ以前は、「広告付加価値を生まないか不要である」と考えられていたようです。

まり、ここで言いたいのは、あなたが考える広告文化とは30年から40年間でやっと道徳的仕事である認識されるようになったという経緯を前提にして考えてみると、道徳的仕事であるという認識が元から浅かったのではないでしょうか。

また、「広告があるから製品がある」(広告製品)ではなく「製品があるから広告がある」(製品広告)という根本的なところについてはどうお考えでしょうか。

私は、広告製品(ないしサービス)の金儲けを手助けするためのものと考えています

まり、金儲けをお助けするのが根本にあると考えており、金儲け(ビジネス)なのですからお金さえ儲かればどうでもいいのです。

元来、広告とはそのような成り立ちがあったと考えます。つまるところ、広告業界とは表面的な変化は時代に沿って変わってきているが、根本的なところは何一つとして変わっていないと考えています

さてさて、そもそも文化」とはとても高尚な表現に聞こえますが、よく悪しき文化としてあがる政治的主張暴力解決する戦争だって人間文化です。(戦争文化で美しい!という思想をもっていましたら、ちょっと伝わらないかもしれないのですが...。)

デザイナーありがちな、自信の仕事を高尚なものであると考える誤解はほどほどになさった方がよいかと思いまして、コメントさせていただきました。

2020-03-07

anond:20200307125750

wikipediaとか見てるとたまにわけわからん日本語が出てくる事があって

どういう事かと調べると原文が英語重要フレーズを訳し忘れてたり

訳者思い込みで原文とは違う内容にねじ曲がってたりというのはまま見かける

訳書に対する「訳が悪い」は主観だよね?

書評でたまに見かける「訳か悪い」にちよっと違和感ある。

その感想ってあなた個人見解だよね?それに単に読解力が足りないだけでは?そもそも「良い文章自体が明確なわけでもないし、最初から日本語である日本語小説だって、えらく読み難いものだってあるじゃない(その上、そうした難解な文章の難解さが評価されているものも!)。

仮に、「訳が悪くて読み難い」という感想があったとして、元々の文章そもそも読み難いものであったとするならば、訳者に何ら責任はないのではないか

しろそうした文章安易にすることで片付けてしまえば、それこそ著者の意図意思冒涜するように思えてならないのだけど。

2019-07-29

字幕版の映画を観に行って、しょっぱな『字幕戸田奈津子』と見せられると身構えてしま


(追記)グリーンブックとか午前10時の映画祭だと、映画が始まる直前に、ゴシック体タイトル訳者バーンと出る画面があるのです

2019-05-03

トマス・ピンチョン小説の『V.』の翻訳がひどい気がする

新潮社トマス・ピンチョン小説の『V.』を読み返していたら、ちょっと気になる箇所があって、これは原文ではどうなってんだろうと、図書館原書を借りてきてみました。そしたら、あれ、もしかしてこれ、この翻訳ひどい?

というわけで、原文と翻訳を照らし合わせたうちで、これはいくらなんでもという箇所を以下で検証していきます

第六章のⅡの最初の方にある段落です。

この段落ニューヨーク下水道に巣食うワニを狩るパトロール隊として雇われているプロフェインという男が第五章で書かれたワニ狩りのことを回想しているというところです。訳文とそれに対応する原文を引用していきます。訳文の引用は『V.』上巻の217,218から

 フェアリング神父教区を抜けてイースト・リヴァー近くまで、独りで追っていったワニのことを、プロフェインは振り返ってみた。

He thought back to the one he'd chased solo almost to the East River, through Fairing's Parish.

「抜けて」とありますが、第五章を読めばわかるようにプロフェインは教区を抜けていません。ここのthroughは「~の間を通って」の意でしょう。

ちなみにフェアリング神父下水道ネズミキリスト教布教しようとしていた人物です。

そいつは、みずから歩をゆるめて追いつかせ、自分から求めるように撃たれていった。なにか取り決めでもあったのか。プロフェインが酔っぱらってか欲情してか、頭がポワンとしていたとき、ワニの足跡だらけの泥の上で、契約を交わしたのか?

It had lagged, let him catch up. Had been looking for it. It occurred to him that somewhere--when he was drunk, too horny to think straight, tired--he'd signed a contract above the paw-prints of what were now alligator ghosts.

「なにか取り決めでもあったのか」という訳文に対応する箇所がない。

これに対応するらしき原文はこのあと出てくるのですが、なぜここに置かれているのかわかりません。それ以外にも問題がありますが、それは後述。

It occurred to him thatが訳されていない。

tiredが訳されてない。

of what were now alligator ghostsが訳されていない。

この段落ではこのalligator ghostsなるものがどういう存在なのか、このあと縷々綴られていくので、これを落としてしまうのはちょっと。ここは訳すなら「今や幽霊であるワニたちが、かつてそうであった存在の」となるのでしょうか。あまり自信はないですが。

プロフェインはワニに死を与える、ワニは彼に職を与える、それでイーヴン、恨みっこなしと。

Almost as if there had been this agreement, a covenant, Profane giving death, the alligators giving him employment: tit for tat.

Almost as if there had been this agreement, a covenantが訳されていない。

上に出てきた「なにか取り決めでもあったのか」が訳文なのかもしれないけど、this agreement, a covenantとわざわざ言い直して二回言っているのを「取り決め」の一語にまとめるのはどうなんですか。しかもcovenantなんて「(神との)聖約」という強い意味の語なのに。そんな語がワニ相手に使われているというのがこの文のミソだと思うのですが。うーん。

プロフェインにワニは必要だが、ワニはなぜプロフェインが必要だったのか。その原始的な脳の回路に、記憶理解が生じていたのか。子供のころ自分たちはただの消費財で、財布やハンドバッグになった両親や親戚のおじさん、おばさんたちと一緒に、世界中デパートで、あらゆるガラクタと一緒に陳列されていたことを覚えていたのか。

He needed them and if they needed him at all it was because in some prehistoric circuit of the alligator brain they knew that as babies they'd been only another consumer-object, along with the wallets and pocketbooks of what might have been parents or kin, and all the junk of the world's Macy's.

息の長い原文を切って日本語として不自然じゃないようにしているのでしょうが、かえって意味のつながりが見えにくくなっているような。

it was becauseが訳されてない。

おかげで分かりづらい。これでは「必要だったのか」「生じていたのか」「覚えていたのか」と三つの疑問文がただ並列されているように見える。せめて「生じていたのか」「覚えていたのか」を「生じていたからなのか」「覚えていたからなのか」にした方が良いのでは。

the world's Macy'sを「世界中デパート」としているのは明らかに誤訳です。メイシーズ基本的アメリカしか展開していないようですし、なによりもこの挿話の元になった都市伝説ニューヨークのメイシーズで、ペット用に売られた赤ちゃんワニがトイレに流されて下水道で成長していたというものだったわけです。なのでthe world'sはここでは「ここらの界隈の」みたいな意味ではないでしょうか。

あと英語仮定法を日本語疑問文で訳すというのは翻訳テクニックとしてアリなのでしょうか。いや、アリならアリで全然いいんですけど。ただの素人なのでよくわかりません。

トイレを通って、地下の世界に流れてきたのは緊張の中の束の間の平和に――いずれは子供の、見かけだけ動きのあるオモチャに戻っていくしかない、それまでの借り物の時間に――すぎなかったのだろうか?

引用者注・「動きのある」のところにルビで「アニメート」)

And the soul's passage down the toilet and into the underworld was only a temporary peace-in-tension, borrowed time till they would have to return to being falsely animated kids' toys.

the soul's passageが訳されていない。

トイレジャバーっと流されて下水道に流れ着くという事態を「魂の道行き」なんて大げさな言い方をしているのが、面白いところなのになんで訳されていないのか。あとダッシュをいれて「――いずれは子供の(中略)借り物の時間に――」と挿入するくらいなら原文の語順通りに訳したほうがわかりやすいように思えます

もちろん自分から望んでのことではない。望みは、もとの自分たちの暮らしにある。それを叶える完璧な形は死ぬことだ。死んで、ネズミ職人の歯によってロココ様式の死骸になることしかない。そしてそのまま、教区の聖なる水に浸食され、あの日、あのワニの墓場を明るく満たした光のような燐光を発する、アンティークな骨細工になっていくしかない。

Of course they wouldn't like it. Would want to go back to what they'd been; and the most perfect shape of that was dead--what else?--to be gnawed into exquisite rococo by rat-artisans, eroded to an antique bone-finish by the holy water of the Parish, tinted to phosphorescence by whatever had made that one alligator's sepulchre so bright that night.

to go back to what they'd beenが「もとの自分たちの暮らしにある」でいいんでしょうか。このあとに続く文に則して意味をとるなら「暮らし」では変では? それに原文はto go backなのに「帰る」という意味が訳文から感じとれないです。

さて、ここから先が問題です。ここは第六章の中で非常に重要段落の中でも、さら重要な一文だと思うのですが、まともに訳されていなくて頭をかかえました。

まず、ダッシュで囲まれたwhat else?が訳されていない。

しかない」という形で間接的に訳されていると言えるかもしれませんが、それでもこれを落とす理由にはなりません。

exquisiteが訳されていない。

tinted toが訳されていない。

by whatever以後の節を「燐光」にかけて訳していますが、これは英文解釈的に無理なのではないでしょうか。また、そのせいなのか原文の語順がぐちゃぐちゃにされてしまっています。なぜeroded to an antique bone-finishとひとまとまりなっているのを千切って「浸食され」と「アンティークな骨細工」をかけ離れたところに置いているのでしょうか。

原文を素直に読めば、ワニは死後、gnawed-齧られてrococo-ロココ彫刻になって、そのロココ彫刻がeroded-浸食されてan antique bone-finish-骨仕上げのアンティークになり(bone-finishというのは妙な言い方ですが、matte finish-つや消し仕上げをもじったような表現だととりました)、そのアンティークがtinted-染められてphosphorescence-燐光になると読めます

まりワニの死後、時間の経過によってワニがどのように変貌していくかの推移を追うことができるように読めるわけです。しか翻訳ではそのように読むことはほぼ不可能です。

さらにこの段落の一番最後に来るのは原文ではwhatever had made that one alligator's sepulchre so bright that nightなわけで、ここに意味上の大きな負荷がかかっていると思えるのですが翻訳では「燐光」の前に置かれて目立ちません。

これでは、4コママンガコマの順序を入れ替えてしまったために、オチ意味がわからなくなっているようなものです。

ここのところをわたしなりに試しに訳してみたので、ここに置いておきます

そして、その望みの最も完璧な形とは死ぬこと――他に何があろう?――であって、そうして工匠ネズミに齧られて精妙なるロココ彫刻とされ、教区の聖なる水に浸食されて骨仕上げのアンティークになり、何ものかに染められて澄んだ緑色燐光と化すのであり、そしてその何ものかこそ、あの晩、あのワニの地下埋葬所をあんなにも輝かしく光らせていたのだ。

(phosphorescenceという単語を見ていたら、どうしても『宝石の国』のフォスフォフィライトの顔がチラついてしまったので「澄んだ緑色燐光」としてしまいました)

とにかく第六章にはここ以外にも訳されていない語、節、文がたくさん出てきます。他にも誤訳誤訳とは言いにくいけどおかしい訳もままあります誤訳ではなくてもあまり使われない珍しい単語が使われていたり、凝った表現がされていたりするところが、平易な分かりやすい、いいかえれば、ありきたりでつまらない日本語になっていたりします。

いったいなんでこんなことになっているのでしょうか。ピンチョンが好きでこの『V.』も何度も繰り返し読んできたというのに、今まで読んできたものは何だったのかという気分で、ショックが大きいです。

訳者の一人、佐藤氏は何十年もピンチョン研究翻訳をされてきた人で、こんな訳をするとは思えないのですが。それとも、このころ『重力の虹』の翻訳に集中していて実は『V.』にはあまり関わっていなかったとか? しかしもうひとりの小山氏もイギリス大学院留学して英語著作もある人だそうですし。学生に下訳させて、ろくに直さずに出版したとか? まさか

ただ原文を横において検討したのは第六章だけなので他の章はちゃんとしている可能性はありますわたし英語力では全文チェックするなんてとうてい無理なので、誰か英語を読むのが苦ではなくて、現代アメリカ文学に詳しい人に『V.』全編の翻訳をチェックしてみてほしいです。

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