にもかかわらず、業界のスポークスマンとしてその年、業界に20年いた最後の年であったその年の大半を、ジャーナリストや議員達へAHIPの「情報」を広めること)に費やした。我々の健康医療制度はカナダのそれより優れているという印象を作るために。我々は人々にカナダの制度が崩壊の寸前にあると信じさせようとしていたのだが、このキャンペーンは上手く行った。カナダのシステムを悪く描くストーリーが報道に流れ始めたのだ。そして民主党がのちにAffordable Care Actとなるものを書き出し始めた2009年の初めには、彼らもカナダのような公的負担のシステムを真剣に考慮することはなかった。我々がそういったアイデアは過激なものであるとするのにあまりに成功したので、上院財政委員会の委員長であるMax Baucus上院議員(民主党、モンタナ州選出)はシングルペイヤー(訳者注:政府が保険を提供するシステム)の支持者たちを公聴会から追い出すほどだった。
今日、コロナウィルスパンデミックへのカナダと合衆国それぞれの結果が、私が広めるのを手助けした考えがどれほど間違っていたのかを証明している。人口比でみて合衆国のコロナウィルス感染は3倍以上であり、死亡率はカナダの2倍になっている。そして今では人口比で我々の方がより多くの人を検査するようになってはいるが、我らの北の隣人は検査でより早期に成功を収めており、これがパンデミックにおいての違いを生み出すのを助けた。
我々が広めたうちでもっとも効果的な神話、大きな改革が提案されると業界が引っ張り出す神話は、カナダ人や他のシングルペイヤー諸国の人々は必要な医療の為に長く待つことを余儀なくされているというものだ。去年もまた、The Medicare for All Act of 2019(訳者注:Medicareはアメリカの高齢者向けの政府による公的健康保険で、Medicare for allというのはこれを全国民に適用しようというもの。勿論、民間保険会社は反対。)についての議会委員会の公聴会へ提出された声明において、AHIPはシングルペイヤーシステムにおいては「患者はより多く支払い、より長く待って、より酷いケアを受ける事になる」と主張している。
カナダ人が時折、選択可能な処置(人工膝関節置換術がよくあげられている)の為に数週間なり数ヶ月なり待つことになるのは事実だが、大部分の医療サービスについては彼らは全く待つ必要がないというのが真実だ。そして、私が売り歩いていた別の神話、カナダの医者たちは合衆国へ大挙してやってきているという神話(訳者注:政府に規制されたカナダから自由なアメリカ市場へカナダの医者が逃げきているという嘘。)とは異なり、1000人あたりでみてこの国よりもカナダの方が医者が多い。カナダ人はその医者達に平均して年に6.8回診てもらっているが、比較してこの国ではたった4回である。
anond:20200809233636 からの続き。 もっとも重要な事は、カナダでは誰もお金が無いために医者に診てもらえないという事がなく、カナダ人は家計を破綻させる医療費の請求書を受け取る心配...
ワシントン・ポストにThe Health Care Scare ヘルスケアの恐怖:私はアメリカ人にカナダの医学についての嘘を売り、いま我々はその対価を払っている、というコラムが載っていて、興味深か...