2020-08-09

アメリカ保険会社重役の懺悔、あるいは餓鬼で一杯の地獄 その2

anond:20200809233419 からの続き

にもかかわらず、業界スポークスマンとしてその年、業界20年いた最後の年であったその年の大半を、ジャーナリストや議員達へAHIPの「情報」を広めること)に費やした。我々の健康医療制度カナダのそれより優れているという印象を作るために。我々は人々にカナダ制度崩壊の寸前にあると信じさせようとしていたのだが、このキャンペーンは上手く行った。カナダシステムを悪く描くストーリー報道に流れ始めたのだ。そして民主党がのちにAffordable Care Actとなるものを書き出し始めた2009年の初めには、彼らもカナダのような公的負担システム真剣考慮することはなかった。我々がそういったアイデア過激ものであるとするのにあまり成功したので、上院財政委員会委員長であるMax Baucus上院議員民主党モンタナ州選出)はシングルペイヤー(訳者注:政府保険提供するシステム)の支持者たちを公聴会から追い出すほどだった

今日コロナウィルスパンデミックへのカナダ合衆国それぞれの結果が、私が広めるのを手助けした考えがどれほど間違っていたのかを証明している。人口比でみて合衆国コロナウィルス感染は3倍以上であり、死亡率はカナダ2倍になっている。そして今では人口比で我々の方がより多くの人を検査するようになってはいるが、我らの北の隣人は検査でより早期に成功を収めており、これがパンデミックにおいての違いを生み出すのを助けた。

我々が広めたうちでもっと効果的な神話、大きな改革提案されると業界が引っ張り出す神話は、カナダ人や他のシングルペイヤー諸国の人々は必要医療の為に長く待つことを余儀なくされているというものだ。去年もまた、The Medicare for All Act of 2019(訳者注:Medicareはアメリカ高齢者向けの政府による公的健康保険で、Medicare for allというのはこれを全国民適用しようというもの。勿論、民間保険会社は反対。)についての議会委員会公聴会へ提出された声明において、AHIPはシングルペイヤーシステムにおいては「患者はより多く支払い、より長く待って、より酷いケアを受ける事になる」と主張している。

カナダ人が時折、選択可能処置(人工膝関節置換術がよくあげられている)の為に数週間なり数ヶ月なり待つことになるのは事実だが、大部分の医療サービスについては彼らは全く待つ必要がないというのが真実だ。そして、私が売り歩いていた別の神話カナダ医者たちは合衆国へ大挙してやってきているという神話(訳者注:政府規制されたカナダから自由アメリカ市場カナダ医者が逃げきているという嘘。)とは異なり、1000人あたりでみてこの国よりもカナダの方が医者が多いカナダ人はその医者達に平均して年に6.8回診てもらっているが、比較してこの国ではたった4回である

 

anond:20200809233712 へ続く

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