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はてなキーワード: 形式上とは

2024-11-14

どうも、子供部屋オジサンです。

部屋にいるゴキブリを殺しました。

こいつを潰さなければ安眠はできないと思っていたところなので、私の華麗な本による圧殺手法が効いてよかったです。

形式上、私は仏教徒ということになるのでしょうか?しかゴキブリに対する慈悲はありません。

2024-11-09

anond:20241108223459

sonhakuhu23 えーと松本人志は訴えていた訳で、その訴えを自分で取り下げて謝罪、完全敗北だよ。松本人志が訴えられていたと勘違いしていない?SNS見ると本気で勘違いしている人が多く、日本人の知能にドン引きだよ。

こういうやつ無限に沸くけど問題理解がめちゃくちゃ浅いんだよな。

それなのに自分を賢い側だと思ってる。

松本謝罪内容なんて「もし迷惑された人がいたらごめんね」で単なる形式上のものしかないし

性加害の事実があったかどうかがクリティカルな部分で、対文春との裁判の勝ち負けなんて松本側の本筋じゃないのを理解してない。

2024-09-18

anond:20240918155055

男女雇用機会均等法で、

募集採用対象から男女のいずれかを排除すること」や

形式上、男女同一の採用活動を行うが、選考過程性別理由不採用にすること」は違法なんだけどね。

本当に男性スタッフがどの店でもゼロなら不自然

anond:20240917134400

こういう家族呪いから脱出するためにも【両性の合意があれば新しい戸籍をつくることがゆるされる婚姻】てのがあるんだろうに、気の毒だな。

49なんて孫がいてもおかしくない。最速だと孫も成人してる。

39や38だって孫がそろそろ気になる年なのに、この未熟さ。

日本人形式上の、目上への「やさしさ」を重んじるあまりに子孫を真綿で絞め殺してる。

弱い者は気遣うべきだが末っ子がこの考えなの全くわからん

2024-08-28

anond:20240827194945

親戚が創価女性結婚するときに「大丈夫、うちは学会っていっても形式上のことでそんなに熱心ではないから」って聞かされてたのに、いざ結婚したら一族揃ってガチ勢で、最終的には一家崩壊したのを見てるから自分彼氏と同じ立場なら同じムーブをするなと思った

ちなみに親戚は職を転々としてドヤ街に流れ着いたらしき情報最後に音沙汰ない

2024-08-19

アラサー喪女重い生理のためだけにピルを貰って数ヶ月

初めて診察担当になった女医に本当は検査しないと処方できないか検査して。性行為経験あるでしょ?って言われて

ないです……って言ったらめちゃくちゃびっくりされて数秒間時が止まった

それでもやっぱり形式上検査しないといけないみたいです。

2024-08-11

対処法が分からなかった記憶メモ

地方公共団体民間連携して、n歳以下の雇用機会増進事業みたいなのに参加した時のこと。

参加者希望企業の定員を踏まえて配属が決まるシステムで、数名が同じ企業に配属された。

そこがまぁすごかった。

労務管理0。

タイムカードナニソレ?だった。

こっちは形式上連携していた民間の方に期限付きで雇われている形だったので毎日タイムカードをつけ、担当者サインをもらっていたが、

配属先(?)は数部署に分かれていたなかで一致団結していた部署のみ、一定時間になると一斉に退社することで経営トップから攻撃を遠ざけているそうだった。

こっち側が配属された部署経営トップも参加する定期会議があったが、これもすごかった。

ひとりをターゲットにしてずっと怒鳴っている。

その人が関わっていてもいなくても、パーテーションを突き抜ける怒鳴り声が経営トップからまらない。

怒鳴られている側も虚ろな顔で時々返事をするくらいだった。

女性社員から発言に対しては猫なで声のような声で「うん」「うん」という返事ばかり。

会議だけでも状況がひどすぎて、民間側の担当者にもどこからどう言えばいいのかも当時は分からなかった。

社員参加の納会のようなものが1度だけあったので参加した時は、経営トップが「俺だってITなんて分かんねぇもん」「適当に頷いてれば相手勝手に納得するんだよ」と個室でもない飲食店で大声で発していて、特によく話していたこっち側の3人はドン引きだった。

何人か参加していたうちの1人がある日、連絡なしに出社しなかった。

始業開始時刻から数分して、社内がざわざわし始め、電話をしたが連絡がつかない。労務管理はしていないのに、こういう時は良心のある人たちがメインで心配はされるものなんだなと思った。

(結局単なる寝坊だったらしくその日は欠勤で翌日から普通に出社していた)

まあまあ何人か社員と会話する頻度が増えて、助成金が みたいな話もちらっと聞いた。

以前いた人たちは何年くらいいたとか、次が決まり次第辞めるという人の話もあった。

今回は双方が希望すればそのまま正社員として雇用する可能性もあったが、先の3人は満場一致でないだった。(無断欠勤ともう1人はそのまま正社員となった)

ハロワ経由の求人もかなりブラックが紛れていると聞くが、自分はそっちで就職したことがなかったけれど

こういう民間企業が挟まっていてもこうなんだったらブラック紛れはどうにもならなそうだなと思った。

ちなみにまだこの会社はある。

2024-08-05

anond:20240804131656

音楽界隈だと影響を受けて模倣が起きることで「ジャンル」が発生するけど、

イラスト界隈だと模倣を(形式上忌避するあまりジャンルオリジネーターへのリスペクト存在しないことになってねえかみたいなことを思う

影響を受けたことを肯定的評価できないと、オリジネーターへのリスペクト存在できなくない?

2024-07-17

anond:20240717032659

言論弾圧に繋がりうる」であってまだ言論弾圧ではないだろう。「ここから言論弾圧です」という静的・明示的な線はひけないので、それぞれが主張を戦わせて動的に判断されるのがよい。

安倍総理演説妨害も、現場判断で拘束されたこと・裁判を通じて「やりすぎでしたゴメンナサイ」したこと、両方ひっくるめて正しかったと言える。

もちろん権力者はまず自ら抑制であるべきだが、現時点で蓮舫は建前上ただの人である

また形式上のそれっぽい要素を誇大に取り上げて「民主主義危機だ!」と騒ぐのは、結局のところ小池みたいにマスコミが何言っても抗議も含め丸ごと無視という、面の皮の厚いふてぶてしい態度で受け流すことを最適解にしてしまう。それこそ民主主義における自由言論役割形骸化させる。

蓮舫が株を落とすのは当人勝手だ。それより小池のふてぶてしさが地位にそぐわしい鷹揚さで通ることは看過しがたい。

別段、蓮舫の“擁護”ではない。安倍政権時に放送法解釈を変更するとかしないとかですわファシズム到来だみたいに騒がれたことは、もう記憶もおぼろげである

他方、脱糞民主党刑事告訴は悪質なSLAPP手法だと思う。結局は主権者がどう思うかだ。用意された正解はない。

2024-07-15

anond:20240707114008

形式上は許しても本心は別なのでそこんとこ履き違えない様に

2024-07-14

anond:20240713100556

蜂「形式上聞いただけであなたのご意見は取り入れませんのでご了承くださいな」

2024-07-05

石丸伸二は良くて、長谷川岳は悪い理由がよくわからない

石丸伸二と長谷川岳との違いは何?

SNSの使い方が上手いならパワハラ言動は許されるの?

実績があるから許されると言うなら、長谷川岳の方があるのでは?

カスハラには厳しそうな国民民主党支持者の一部が石丸伸二を支持してるのもよくわからんわ。

長谷川岳は早く議員辞職してほしいが、形式上反省し、今後は改善すると表明してるわけだから(本当に改善するかは分からないが)、石丸伸二と比較すればどんぐりの背比べだが長谷川岳の方がマシ。

2024-06-22

27才、男性高卒アルバイトシナリオライターをやっている。

彼女いない歴=年齢、メンクリに通っていて、ADHD借金もある。いわゆるチー牛顔で、趣味カードゲーマーだ。

まだ若い、と言われるくらいの歳だろう。

同時に若者からすれば、もうアラサーおっさんに片足突っ込んでるくらいの歳でもある。

ここから先、人生はいくらでも変えられるし、変わっていくだろう……と、言われるだろう。

その上で。自分人生が、このまま緩やかに閉ざされていくことを、確信して、耐えられなくなって、壊れてしまいそうだった。

自分語りの前半は割愛しようと思う。

父親虐待を受け、一度母は離婚した。1才下の妹とは生き別れた。再婚し、そこそこ大きい家に連れ子として入った。

なにせ形式上長男の息子、長男長男ものから、そこそこ可愛がられた。感謝している。

9才と10才違う、種違い可愛い弟と妹が出来た。今でも本当に可愛い

順風満帆ではないが、極端に悪い育ち方はしていなかったと思う。問題は、その後の話だった。

元々大学に行こうと思っていたのだが、あまりにも学力が酷いもので、自分から諦めて高卒自動車工場就職した。

田舎住みで、同級生殆どが同じ選択をしていたし、それでそこそこ田舎者としては裕福で安定した生活を送れるものから自分もそれでいいやと思っていた。

とにかく、高卒工場に入れば安定。それがお決まり定番ルートだった。

だが、甘かった。一言で言えば、そのルート自分は乗れなかった。

まずは新人研修があった。毎日朝の8時から17時までの研修特に何の変哲があるでもなかった。

これに耐えられないというわけではなかった。実際に作業をするというわけでもなかったし、研修中の相手を詰めるような社員もいなかった。

ただ、高校卒業してすぐのことだから、少し長いなと思ったこと。それから学生時代にも悩まされていた、突然の眠気。

これがずっと治らなかった。まあ、それも現場に出て体を動かすようになれば……と、深くは考えていなかった。

現場作業には全くと言っていいほどついていけなかった。

自動車工場単純作業は、自分にとって全くと言っていいほど単純作業ではなかった。

いくつかの工場ラインを同時に監視し、製造数を確認し続ける。

規定の数まで部品が溜まったら、その中からいくつかを検査する。

検査合格したら、次のラインまで持っていき、不合格なら工作機械の刃を替える。

その他エラー問題が起きたら、ボタンを押して機械担当者確認をしてもらう。

使った工具は元の場所に戻しておく――――こんな単純なことが、自分には出来なかった。

それでも、3ヶ月ほどは続けていただろうか。度重なるミスも、新人からある程度は多めに見られていた中で。

とある日に、機械の刃を替えるために使った工具を戻し忘れて機械の傍に置いていた。

それが原因で班長に呼び出され、怒鳴りつけられた……自分は、大声で「すみませんでした!」と叫び、頭を下げたのを覚えている。

次の日、下手くそな字と何も整っていない紙面で辞表を提出した。

スマホの電源を断ち、実家住みだったが、家にも帰らず、車に乗ったまま、ゲームセンター駐車場で寝泊まりしていた。

それを1ヶ月ほど続けてから理由は忘れたが、実家に戻った。

しばらくは呆然としていたが、数週間ほどでバイトを初めて、すぐに警備会社就職した。

警備会社での仕事工場施設警備……夜の間、基本はひたすらぼーっと監視を続ける仕事だ。基本は、それだ。

自分には複雑過ぎた。

まず、鍵の管理があった。やってきた工場社員に鍵を渡し、受け取り、記録をつける。これはまだいい。

問題巡回の際に、自分が鍵を持ち出したとき。これを戻し忘れることが、何度も何度もあった。

鍵の閉め忘れもあった。何度もあった。日報の書き忘れもあった。何度もあった。

別にやる気がなかった、とかそういうことじゃない。出来ないのだ。どれだけ確認しても、どれだけメモをとっても。

何かが必ず抜け落ちていて、そのせいで誰かが苦情を受け、叱られる。

ミスをしても若い新人だった自分は、いつの間にか使えないトラブルメーカーとして、嫌われていく。

首を吊ろうとして、巡回中に飛び降りようとして、失敗した。死ぬ勇気すら無いんだと絶望した。

怒られているときに、ボロボロと泣き出してしまった。そこが限界だった。

研修を終えて、正社員になり、1週間も経たないくらいで、辞めた。

数ヶ月間、ニートをしていた。

家族には当然疎まれていたから、できる限り行動の時間が被らないように生きた。

自分の分の料理は用意されていない(当たり前だ)ものから、夜中に弟や妹が残したものを食っていた。

食事の回数を抑えるために、食事は2日に1回だったし、昼間は腹が減るので寝ていた。

それでも、働いている間よりは楽だった。働かなくてもいい、というのは、金が無いことよりも遥かに楽だった。

から追い出されて、神社で寝ていたこともある。それでも、働くよりはマシだった。

小学校時代からの友人である不良に、アルバイトを紹介された。

ヤンキーだがちゃんと働いて稼いでいるらしく、高校の時には毎日遊びに来て、ニートときも時折連れ出されていた。

正直アルバイトなんてやりたくなかったが、押しが強い店長と友人に負けて、渋々居酒屋厨房仕事を始めた。

これが意外とどうにかなって、元々料理は好きだったからか、それなりに出来るようになり、1年ほどは続いた。そして店が潰れた。

その時にもらったジョッキは今でも実家で使ってる。便利よね、大きいと。

ここまで書いてそこそこ出来た体験があっちゃだめだろ……と思って書く気無くした。

潰れてから足場屋と溶接屋を1年やった後泣かされて辞めたかアルバイトシナリオライター4年やってる。月収11万。

あとそのヤンキーに騙されて100万借金負った。残りあと30万くらいあるよ。ちなそいつ強盗致傷で9年実刑

自分がどれだけ情けなくてゴミみたいな人生かということを書こうかと思ったけどなんかどうでもよくなっちゃった

ぎっしり満足!チョコミント食べよ~っと。

追記:ぎっしり満足!チョコミントじゃなくてセルフチョコレートクラッシュチョコミントでした。

2024-06-06

アメリカ日本の政治献金

アメリカ政治献金制度はまるで合法的賄賂天国

企業個人がPAC(政治行動委員会)を通じて献金できる。スーパーPACってやつが特にヤバい

金持ち企業政治家自分たち操り人形にできる仕組みが整ってる。お金をたくさん出せば出すほど、政治家がその意向に沿って動くようになる。アメリカ政治オークションにかけられてるみたいなもん。

献金表現の自由の一部だ」と言う奴もいるだろうけど、それって本当に自由なのか?

金持ちけが発言力を持てる社会ってのは、ただの不平等だろう。普通市民の声なんて、金持ち喧嘩の背景音に過ぎないんだよ。

一方で、日本の政治献金制度も同じくらい滑稽。

企業や団体が直接政治家献金するのは基本的禁止されてるが、企業設立した政治団体を通じての献金OK

さらに、個人献金には上限があるけど、実際にはそれを超える額が献金されるケースがある。しかも、政治資金規正法の規定が緩くて、罰則も軽い。

形式上は厳しく見えるけど、実際にはザル法で、簡単抜け道が見つかるようになっている。

日本では「企業献金禁止されてる」とか「透明性が高い」とか言われるけど、実際には形を変えた賄賂が横行してる。政治家企業利益のために動くってのは、日本アメリカも変わらない。ただ、手法が少し違うだけで、結果は同じ。国民の声無視され、金持ち企業利益が優先される。

じゃあ、どうすればいいのか?

完全に政治献金禁止するのが理想だろうけど、そんなことが現実的可能かどうかは疑わしい。

企業金持ち政治に影響を及ぼそうとするのは、ある意味自然の摂理とも言える。

でも、少なくとも透明性をもっと高めるべきだろう。献金の流れを完全に公開し、誰がどれだけの金を出しているのかを明確にする。それによって、少しでも不正を防ぐことができるはず。

理想論だけどね。理想を捨てたら改善は無いから。

2024-05-17

フェミニスト大嫌いな人こそ、特権階級の女様が主人公ドラマ、虎と翼を見るといい

なぜなら主人公は「ひたすら恵まれている」ハイポジションリベラル女子」だから。日頃から女はズルいと怒り呆れがちな人たちが真っ先に鼻で笑うタイプの恵まれた女だから

ドラマ主人公の寅子は、投資銀行に勤める父と良妻賢母の母という大正昭和初期のアッパークラスの、それもリベラル色の強い理解あるご家庭に生まれて、その潤沢な社会資本を余すことな享受して弁護士の道を自由に邁進している。そして勉強大好きで周囲が態度を変えるほど頭が良く生まれついてもいる。そして子供のころから正義感がある。家柄が良くまっすぐ育った明るい優等生

大学に行っても目立つタイプ、拗らせミソジニーを発動する拗らせエリート同級生男子が、いつの間にかそのまっすぐな人柄にやられて好意を抱いたりする程度にはモテる

寅子の家には、父が面倒を見ている司法試験合格を目指す書生がいて(アッパークラスのご家庭ならでは)この書生とも「私たち同じ道を進む仲間よね」という異性友達ムーブをぶちかましているが、書生は寅子に片思いである。そしてこの書生よりも寅子の方が圧倒的学力がある。要するに立場的にも、恋愛的にも経済的にも非対称性が生じている年上の男性を寅子は「異性の友人」として遇している。中々のタマである

寅子は、前述した好意を抱かれていた拗らせエリートに「彼女結婚してくれとはいえない、彼女の夢を奪うことになるから」と思われて振られてしまうのだが、それまでどっちつかずの態度だったくせにいざ振られるとショックを受けたりするし、せっかく弁護士になったのに依頼が来ないのは私が結婚していない(社会的信用がない)からだ、と思いつき慌てて縁談を探してもらうがうまく行かない。そりゃそうだ。

ところが助け舟で、寅子に片思いしていた家の書生から結婚をしたいと言われる。渡りに船逃げ恥のような「条件偽結婚」だと思い込みスピード結婚を承諾するが、前述のとおり書生は寅子に片思いしていたわけで、初夜にぬいペニ状態となる。かわいそうな仲野太賀…。

と、寅子の痛さを中心に4月ドラマが始まって今日までの1カ月半を振り返った。フェミニスト嫌いの諸氏や、女はずるいと常々思っている諸氏が叩き放題の「豊かさという下駄を履いて産まれた恵まれた女様」それが寅子である伊藤沙莉が演じていなかったら大変なことになっていたと思う。

だが伊藤沙莉の演じる寅子はとっても魅力的である

「虎と翼」は、現代問題昭和初期の物語に練り込んでいる疑似歴史感が臭うドラマだが、一方でモデルになっている三淵嘉子は実在の人で、ドラマにおける寅子のキャリアや背景はモデルのそれをなぞっている。恵まれリベラルな家に生まれ弁護士になり、戦争時代突入し、色々あって戦後日本初の裁判官になるスーパーウーマンである

ドラマの寅子も恵まれた家に生まれ、厳然とした性差別がある世界を、明るく、元気に、強気に突き進んでいく。そして突き進む中で彼女は、自分が周囲と比べ恵まれていること、「自由選択ができるという」下駄を履いて生まれてきたことを徐々に自覚していく。

寅子が持って生まれた豊かな資源は、裏返せば、女に人権がなかった時代には、ここまで特権的に恵まれてなければ法曹界で働く道を切り拓くことができなかった、ということの証左だ。そしてこれを現在に照らせば、形式上男女平等になった現在の女は寅子に比べれば矜持や頑張りが足りない、という振り返りもできるし、現在でもまだまだ形式的しか男女の機会平等は達成されていないよなと振り返ることもできる(医大入試における性差別不正はつい最近出来事だが、あの時は差別だと批判する意見と、女はズルいから消耗が強い診療科を選ばないため合理的配慮だという意見に二分されていた)。

これは、女性人権がなかった頃を引き摺って今も残る男性優位の古い価値観を、改めてマーカーでなぞっていく作業であり、同時に現代の女が抱える特権性の問題も照らし出す作業でもある。

そしてドラマの中では、現代にもしっかり残っている、個人幸福を削るような価値観を改めて再発見することになる。

結婚しなければ社会的信用が得られない」、「エリート男が生きていくには従順に従う女が必要」、「女の弁護士なんて信用できない」、「自分より優秀な女は生意気で目障りだ」、「適齢期を過ぎると縁談がない」、「人は生まれた国や家や身分に縛られる」、「平等を求める声は不平等利益享受する側には届かない」、「上品批判下品な妬みには勝てない」、「お金がないと社会的意義の高い仕事につけない」などなど。昨日どこかのSNSでだれかがぼやいていそうな内容である

これらは女だけではなく、男も同様に削られる呪い価値観である。学友たちはこの呪い価値観によって法曹界で働くという夢を立たれていき、寅子は弱い立場に置かれた人を助けたいという正義実践に加えて、諦めなくてはならなかった仲間への思いを「使命」として背負う人生を選ぶことになる。

平等と戦うに十分な恵まれ武器を持って生まれて、更に先駆者の使命を背負った寅子は、おそらく来週から戦争ターンではどんどん「恵まれていたもの」を奪われていくことになるのだと思う。世紀の愚戦・負け戦の太平洋戦争ってそういうものだったから。男は戦争に行くし残った老人や女子供は空爆さらされる。男も女も人がたくさん死に経済活動は退潮する。

その時でも寅子は「正義」と「使命」をもって生きていくのだろうと思う。モデルの三淵さんは生き残ったし、何しろドラマ主人公なので正義や使命は捨てないだろう笑。

たくさんのものを奪われてなお「正義」と「使命」を失わない女がどんな生き方をするのかのドラマを私はとても楽しみにしている。

そして、形式上の機会が平等になった世界で、これまでずっと恵まれていたはずのものをどんどん奪われ不満が溜まっている人たち、「女は狡い」、「現代の女は特権階級だ」と思っている人こそ、奪われても正義と使命を捨てなかった人のドラマを見てほしいと思う。

フェミニズムドラマくっさー、と思う人も多かろうが、お勧めしたいのには、単純にドラマとして良くできているのもある。

寅子は「戦う女戦士」みたいな感じではまったくなく、前述通りそこそこの空気読めないわがままな、脇の甘い生き方をしていて、いちいちナレーションに突っ込まれている。ナレーション尾野真千子で、芝居がかったナレーションだがコメディの良い味付けになっている。

寅子の両親や兄夫婦明治家族観(男が働き女は家を守る)できわめて円満夫婦関係に描かれている。一方で嫁姑ちょっとしたストレスも描かれたり。父は帝人事件(疑獄事件)の当事者になり、リベラルエリート父親会社での立場に縛られる姿をシリアスに描いてもいる。

また、法曹界への女性進出を後押しする立場であるリベラル派の教授弁護士がしっかりと性差別をしていてフェミニズムにおける父権問題提示していたりもして、本当に痒い所にまで手に届く配慮がされている。セリフやシーンの伏線もとても豊かでドラマとして見ていて普通に面白い出演者はみな手練れの俳優だらけで演技へのストレスはほぼない。

単にドラマとしても面白いので、ぜひ。

フェミニズムドラマとしての側面については、あまりブコメが集まっていなかったがこの記事分析がとても分かり易かったhttps://bunshun.jp/articles/-/70764 これ読むと「女のためだけのドラマ」じゃないことがよくわかると思う。

ところで最後全然話は変わるのだが、昭和初期というのは実はWWIIジャンプして戦後と地続きになっていたかなり民主的かつ退廃的な時代だったらしい。「富国強兵」を叫んで強国を目指していた大日本帝国から現代にいたるGDPの推計推移をみると「戦争が無かったらこグラフの線が素直に上がっていたのではないだろうか」と感じさせるラインが描かれる(https://www.nippon.com/ja/in-depth/a04003/ 中ほどのグラフ)。まあ実際は戦争しないと色々糞づまっていたわけで後付けの皮算用しかないが。

ともかく、人が自由を求めそして退廃を享受できる程度の十分な豊かさが生まれていたのが大正末期から昭和初期の時代。ちょうど朝ドラで描かれているこの時代は、結構現代に近い時代だったりもする。

しかし、このニッポンドットコム笹川財団由来のかなり右寄り情報サイトなのだが、それでも「高度成長期ストック90年代で尽きてその後の策がねえぞ」という分析になっているのが、ちょっとだけ面白いですね。

2024-05-15

良くない体制はずっと治らない

組織体制を変えるのは難しいことなんだなと思った。

IT業界で、昔はSESで働いていて、大手によく客先常駐していた。どこも大手ばかりでノウハウはしっかり蓄積され、設計書なども充実していた。

SESを脱退し、そこそこ大手IT企業正社員になれた。しかし、そこはこれまでのSES客先常駐していたような企業とは違い、あまり体制的には良くはなかった。

工数管理

工数管理は基本中の基本であり、やらないIT企業はなかなかないだろう。しかし、当社は違った。

工数管理をしなかったのである

1日に何をしたのか、報告の義務はなく、ただ作業していればよかった。

工数管理とは、案件ごとに工数管理のための番号(工数番号)を振り、さらにその工数番号ごとに要件定義、基本設計、詳細設計実装/単体テスト結合テスト総合テスト、などのサブ番号に分割して、工数登録することである

さらセキュリティ教育などは個々の案件無関係なことが多いので、維持管理用の工数番号が振られていることもある。

リリース後のトラブル対応なども工数を消費するので、それ専用の工数番号などもあったりする。

さらに、日々の工数を詳細に記載する日報のようなものも導入しているところが多く、どの作業に何時間作業たかを15分単位などで記載する。

工数管理のいいところは、作業サボりにくくなることだ。作業効率客観的に見えてしまうため、現実を突きつけられ、もっと頑張らなきゃ、と思う。

工数管理のだめなところは、とにかく面倒くさいことだ。当然だが、工数管理を行うための工数、は工数管理には入力できる枠はない。が、確実に無視できないレベル工数を消費する。あとトイレなどにつける工数などもない。

当社の工数管理

工数管理はないと言ったが、実はある。

しかし、活用されておらず、形式上だけ数字さえ入っていればそれでいい、というものだ。

その形式上すら煩わしいらしく、若手の意見バリバリ言う人から

工数管理は全く意味がない。適当工数入力していても誰もチェックしていないのか、何も言ってこない。

工数管理をしっかりすれば、1日に働いた時間がわかるのだから、勤怠システム不要である工数管理システムと勤怠システムを一本化すべきだ。

などの意見が出ていた。

月末にテキトー工数入力することすら煩わしいらしい。

そりゃあ工数管理根付いてない企業工数管理を行えばそうなるでしょう。

工数管理業務に結びつくものではなく導入メリットは明確には測れない。しかし、めんどくささは圧倒的だ。

結果、工数管理システムは完全に廃れ、入力すらしなくても誰も何も言わなくなった。

まり、当社はよく言えば従業員意見が通りやすい、悪く言えば従業員わがままが通ってしま企業なのだ

従業員意見尊重し、押し付けをせず、それぞれのルールを重んじる。良いことであるが、それでは業務改善できない。

これまでもそこそこやれてるのだから、それを無視して新ルールを導入しても、組織が壊滅する可能性が出てくるだけだ。

工数管理は基本中の基本だ。どこもやっている。それすらも当社は従業員わがままが通ってしまうのだ。

(まあ当社の工数管理はテキトーからダメだったのであって、もっと厳密に管理して、日報なども義務化すれば、これまでサボってた社員もサボれなくなり、結果的業務改善していたと思うが。)

当社はPDCAを回さな

PDCAはPlan, Do, Check, Action頭文字を連ねたもので、つまり、まずは予定(Plan)ありき。予定がないと実行(Do)はしてはいけない。

実行した後は必ず振り返り(Check)を行いなさい。

それらをした上で次の作業を行いなさい(Action)。

という意味である

当社もPDCA概念はあるし、週報という形でそれを実現している。

しかしその概念根付いておらず、週報以外ではPDCA無視している。

まり当社は、まずは実行があり、計画は立てることは必須ではない。多くの人は計画を立てない。

振り返りも当然実施しない。実行のみがある。Do, Do, Doである

これは作業レベルでそうであるし、案件レベルでもそうだ。案件はたしか最後には振り返りの資料作成する必要がある。しかし、これは単に作成しなきゃいけないか作成してるだけで、綺麗事をまとめた振り返りである

本来は、まずは理想を語り、次に現実を語る。しかし当社は、過去グダグダ言っても仕方ない、と理想を一切語らず、現実のみを語る。しかし振り返り資料には上司受けするような荒唐無稽対策記載される。

当社は、作業の前には計画ありき、などの文化は全く根付いていない。優秀な人間でも根付いていない。

私はただの平社員なので、それらについて指摘はできない。指摘したところで「じゃあどうするの?」と詰められて終わりだ。指摘するなら十分な資料作成と具体的な対応策の準備、そして責任人を動かすカリスマ性が必要だ。私にはそれらを準備してまで無駄に頑張る気はない。

当社はマニュアルを作らない。

驚いたのが部の方針説明会の時だ。

業務改善必要だ。

個々のチームで業務改善に取り組んでほしい。」

と書かれていた。

本来は、業務改善は個々のチームだけの問題ではないので、上層部マニュアル化してルール化すべきではないのか?

アイデアは個々のチームから出してもらっても良いだろうが、それを取りまとめて全体で取り組ませるのは上層部の役目ではないのか?

それをなぜ、個々のチームに依頼する?

業務改善といえばマニュアル作成設計フォーマット作成だ。

マニュアルがなぜ必要か?

それは能力の低い人でもマニュアル通りに作業することで能力の高い人と同等の仕事をできるようにするためである

それすなわち業務改善である

しかし、当社はマニュアルを作る習慣はない。自分用のメモは作るが、維持管理に使えるマニュアルは誰も作らない。

また、当社には設計書のフォーマットはない。

フォーマットがあるだけで記載漏れがかなり減る。考慮漏れも減る。作業が具体化されるからタスクも細分化して記載できる。

当社には推奨するプログラミング言語はなく、推奨のフレームワークもない。

これらが共通化されていれば、開発者がいろいろなチームに参加しやすくなるし、別のチームの有識者相談やすくもなる。

こういった業務改善本来上層部が率先して枠組みを作るべきだ。しかしやらない。

上層部知識がなく、やるとしたら雑な仕事しかしないから、やられると逆に困るのだが。

まとめ

当社はとにかく従業員の声が大きい。強い。

業務改善などの施策を出しても、従業員が納得しないと続かない。

そういう組織文化なのだと思う。

そういう文化を変えるのは並大抵のことでは出来ない。

環境が変われば人は変わるだろうが、そもそも環境を変えるには人を変えないといけない。だから変わらない。

仕事が回らなくなり死にかければ変わるかと思ったが、たぶん変わらない。

仕事の仕方を変えるくらいならきっと死を選ぶだろう。それくらい変わらない。

追記

2024/05/15 10:48

工数管理の是非について:

実装者は成果物作成する側だからサボりにくいのよね。

工数管理すべきなのは成果物ではなくサービス提供する人なのかもしれない。例えばPMなど。

当社の開発チームは、開発者PM以外にも、君必要なの?何やってる人なの?打ち合わせには参加してるけど、ただの工数食い虫じゃね?みたいな人もいるのです。

あと外注さんにも何の工数管理しないのはやばいと思う。外注さんリモートワークだから案件掛け持ちされてる疑惑も出てたし。

2024-05-10

スタレ2.2更新分をこれから進める人よ

俺はボイス全聞きと軽い探索、道中の書籍含むフレーバー読みつつで11時間かかった。

筆舌に尽くしがたい凄まじい内容だったが、これを楽しみ尽くすために見落とし注意点がいくつかあるので、ネタバレに極力配慮しつつそれを伝えたい。

道中の書籍

序盤の探索中に少しずつ拾える『クロックボーイとキャプテンリボルバー』の寓話、上中下の3冊分は読みながらメインを進めると意味が分かるかもしれない

オーディションルート選択肢

予告番組でも言われたようにオーディションに参加することになるが、審査の1段階、2段階でそれぞれ2つのルートと、付随する個別マップがある。

選ばなかったルートマップはメイン終了後に受注できる一般クエスト「熱砂の休日」で体験できるが、メインクエストでいった場合との違いは、同行者(ホタ←白字反転)のセリフからボイスが消えている点と、実体ではなく幻像のような再現になっている点だ。

1段階は演技派ルートアクションルートに分かれるが、演技派ルートに入ると選択肢でわざと間違ったものを選んだ時の同行者からツッコミボイスなどが多めに聞ける。逆にネットリプレイ動画を見るつもりなら、選択する人が少ないアクション派を選ぶのもいいかもしれない。

2段階目はハヌとクロックボーイの分岐になるが、ハヌのほうだと同行者からニヤッとできるセリフが聞けるかもしれない。

3段階目の決戦は形式上は2ルートに分かれているが、メイン上ではどちらを選んでも内容に差はなく、かわりに会話中の選択肢によって戦闘回避するか交戦するかで分岐する。またそれによってアチーブメントも違う。

月明かりの下で休む

オーディション後、回想で「時計屋」の記憶をたどって最後車椅子に向かって歩むシーンがあるが、そこでクエスト一覧を開くと普段のようなあらすじではなく、長いメッセージ的な文章が読める。

見逃してもさして理解に影響はないが、見ておくとクライマックスがより印象的になるかもしれない。クエストの行動目標上記タイトル文になっているので目印に。

見逃した人用にXでスクショ貼ってる人がいた https://twitter.com/yoshi_otakatsu/status/1788198850953683305

ブラックスワンの5択

ボス戦後ブラックスワンとの会話で5択から正解を当てるところで、いきなり正解を当てても悪くないが、間違いを選んだ時のスワンから補足解説を聞きたい場合は正解の(←白字反転)を最後に選ぶといい。

2024-05-03

[]サラリーマンこわい話

数年前転職してきた(具体的な年数は記載しない。「a few years」の数年前)上司が飛んだ。もちろん形式上は通常の手続きでの自主退職だけど、引き継ぎなども特になくクロージングもなく「いなくなった」。

私もサラリーマン人生いから、今まで「鳴り物入り」の同僚や上司が来て、淡々と去っていくのを見てきた。中でも今回の「飛び」は印象深かったから、個人場所特定されない話として残しておこうと思った。

上司は本とその中に書いてある理論が好きだった。

推薦図書を全員にメールで送ってきた。結局ほとんど誰も読まなかったらしいけど、私は「上司の推薦図書=実質義務」だと思っているから、アマゾン中古本と図書館で借りることで一冊(アマゾンでも高かった)除いて全部読んだら「本が好きらしいので」と5冊持ってきて結局「義務」が私だけ5冊増えた。想像つくとは思うけど結局「読まなかった人へのペナルティ」も「読んだ人へのアドバンテージ」も特に無かった。もちろんそのあたりも最初から想定していたので特段の感慨はない。

感想?「何冊かは『読む』本じゃないよね」ということ。

仕組みやシステムを構築する時、困ったり抜けを確認するために該当箇所に当たってチェックする本だなというのが感想

就任後一ヶ月くらいで、私を呼んで分析用のデータ作成を指示してきた。

もちろんこちらも誠実に対処すべく質問をする。

網羅すべき内容は?」「全部」

「どのくらいの期間で?」「できるだけ早く。3日位で」

これを聞いた瞬間に感じた。

(ああ この方自分で読んでそして我々に推奨してきた本の中身を理解してない)と。

推奨図書のうち一冊には「なんでもそうだけど 内容を明確にして対処するのが一番大事だよね」的な書物があったんだけどな、ついでに自分仕事人生の中で「全部」と言われたデータが役に立った例は古今東西あった例はないな…と思いながらデータを取りまとめる。

想像通り3日で作ったデータは死蔵品と化して、最後まで日の目を見ることはなかった。

推薦図書の中に「全てのデータを取得してアウトプットして活用する」的な本もあった。

だけど上司アウトプット資料殆どたことがない。強いて言うなら文字位置がガタガタなPowerPoint位と画像貼り付けノートとして使われてたEXCELくらいかな。

データ使いこなすと言うならまずはMicrosoft Officeを使いこなしてほしいかな、と思っていたけど流石に直接そう話すわけにもいかなかった。

そんな中で上司招集課題案件対応するための会議が始まる。

予感はしていたのだけど「ここ(現業)は◯◯が低迷し…」から始まった瞬間、皆の顔が微妙に歪むのを観察していた。私も現職で数社経験しているから身にしみて知っているのだけど、私が努めてきたどこの職場でも「課題問題もある。それは皆わかってる。でも別に好きでそうなってるわけじゃないし誰かがサボってそうなってるわけでもない」。そこまでの経緯や体制など色々な原因が横たわっているからそこを改善しないとどうにもならない。それをさも「怠惰」が原因であるかのように話をしてもどのプレイヤーも得をしない。

予想はつくと思うけど、その後も会議はたくさん招集された。だけど上司から出てくるのは「課題」「問題」「事象」。いや、上司に求められているのはその3つに横たわる「原因」を分析する能力なんだ。それら3つはもう全員が理解してる。だからすぐに「会議を開くこと。そして上司の話を聞くこと」が会議目的と化した。そして上司目的語が大きかった。業務遂行するうえで、顧客のどの層を想定するかは割と大事ポイントなのだけど、常に上司の口からは「お客さん」というワードけが出てきた。それとなく傷つけないように目的語を会議中に修正した事は何回かあったけど結局最後まで変わらなかったな。

私の嫌な予感は的中し、上司の話を聞き流す人が着実に増えていった。

その結果どうなったか上司コミュニケーションの機会そのもの自分で減らしていった。立場上忠実(にならざるを得ない)直属の部下のみを招集しての会議のみがやたらと増えた。直属の部下は上司との会議のすぐ後に他部署との会議自分業務を抱えて辛そうだった。そのなかで上司はいつも5時になるとすぐログアウト。そして退社するのがルーティンになっていた。

いかいか、は別として、現職の経営層は管理職に「プレイングマネージャーであることを望む傾向が強い。仮にプレイングマネージャーでなかったとしても、課題問題もあるわけだから暇な訳が無い、だからポジション募集して貴方が来たんでしょう?と思うのはごく当たり前のこと。だからイマイチ何をしているのかわからないが毎日定時で退社する上司」が現職の職場で目立ち始めるのに時間はかからなかった。

私の現職の部署はやや職場位置特殊で、本社の中枢部分に数人のデスクがあり、分館みたいな所で私を含む大部分のスタッフが働いている。

そんな中で、上司は分館の会議室に脇目もふらず直行して会議だけ行い(内容は少し聞こえてくるのだけど、何かが決まっている雰囲気はあまり感じられなかった)会議が終わるととてつもない速さで分館からいなくなり、分館スタッフと話す事は殆どなくなった。

コミュニケーションを嫌がる(怖がる、かもしれない。少なくとも私にはそう見えた)ものからメールの返信もいつも一行から三行位。「ふわっとした」疑問形で返されることも多かったから、メール案件上司が介入した結果結論に到達せずに途中で止まってしまう事が多かった。

承認書類も途中で止まるようになった。上司承認が止まるものから業務案件も滞る。その中で招集された会議上司承認待ち案件について「あの案件が停滞しているのは何故?」という発言が当の上司から出てくるというギャグみたいな状況に数度直面した。

外部業者コンサルも好きだった。

でも両方とも魔法使いじゃない。外部業者コンサルと打ち合わせを行うと、初回で外部業者必要しているデータそもそも持ち合わせていないことがわかり数回の打ち合わせで大半が立ち消えとなり、事前検証や打ち合わせの時間分の工数が消える結果となった。

それでもいくつかの案件稟議通過した。

おそらくは経営陣側が「上司の力量に一旦は任せてみよう」という判断になったのだと想像している。その一方でこうも思った「後日経営陣は確実に費用対効果確認してくるだろう。まあ私が問われるわけじゃないからいいけど…」。

良くなかった。

私の対応分野は「問題課題解決」や「業務の仕組み再構築」。

基本的には与えられた条件の中で新たな費用を発生させないことを前提としているが、どうしても少額の費用最近はサブスク的な月1000〜2000円とかの定期支払いが多い)が必要になる時があるが、そういう少額費用の決済が恐ろしく渋くなった。どれだけ費用対効果説明する資料を作っても駄目。

その中で「稟議通過したこの件だけど、まだまだ足りないかもっともっと金を使うぞぉ」的な資料を見つけてしまいため息しか出なかったのをよく覚えている。

結局はこの稟議案件数件が致命傷になったようだ。

会社数字でのリターンを求めてくる。でも部下とのコミュニケーション同様「ふわっとした」説明しかできなかったらしい。資料を作って見せるスキルもないからすっかり経営からマーク」されたらしい。

その結果、上司が分館に来て誰とも目を合わさなテーブルデスクではなく)で黙々とノートPCと向かい合って「何か」をして、5時になると姿を消す姿を連日目にするようになった。

から退職の話を聞いても何も驚かなかった。

だけど一つだけやっておきたいことがあった。

着任後半年くらいしてから現業未来像をどうするか」でブレーン・ストーミング会議を行いたいと言われてメンバー招集されたことがある。

結局はブレーン・ストーミングでもなんでもなかった。

役員が”将来像”は『A』になると言っているから、皆『A』にするための方策を考えて」だった。

私は基本的官僚スタッフなので、方向性として示された事をいかに実現させるかに頭を絞るのが職務だと捉えている。だがこの件は看過しているとまずいと考えて話をさせてもらった。「『A』はできない訳ではないのですが、会社体制対応のものを変える必要があり現職の状況には沿っていないと考えます。恐らくなのですが『B』という考え方があり…」とホワイトボードを使って説明した。参加者全員が納得してくれ、上司も「まあいいでしょう」と話をして次の会議予定を設定した。

次の会議になった途端、上司が『A』の話をし始めた。私から「先日お話した『B』の話は役員にしていただけましたか?」と話したところ「役員は『A』と言っているから」の一点張り。結局この将来像は、微妙にどうなっているかからない状態になっていた。

上司退職が決まって10日後位のこと。この”将来像”とは別案件で当の役員が来ることになった。別案件とは書いたが、この別案件の作り込み方は”将来像”によって180度に近いくらい作り込みが変わってくる。私もそれで悩んで色々な絵図面を散々描いては直し、を繰り返してきた。

私が事前に”将来像”について役員に直接確認する必要があるよねという話をしていたので、自ずと役員を前にその話題に流れていくことになった。

役員笑顔で話してくれた”将来像”は…

『B』だった。

私が話した内容とほとんど一致していた。

誤解しないでほしいのは、別に自分の自慢をしたいわけじゃないということ。

何故このような意思疎通の不全が起きたかということだ。

少しだけ捕捉すると『A』は「0か1か」の案で、『B』は「濃淡をつける」案。

外部の方からするとどっちも似たようなものに見えるのだが、実際は業務の作り込みから顧客への応対からシステムから何もかもが違ってくる。

恐らくなのだが、役員が『B』で話したのを、上司忖度して「役員の期待?に応えるためにはもっと厳しくしないと!『A』じゃないといけないだろう」と脳内変換したのではないかと推測している。

念の為だけど上司を責める気はまったくない。誤認や勝手忖度は初めての案件場合よくあること。問題はそこからどう修正するかであり、それを可能にするのがコミュニケーションだと思っている。

その会議には退職間近の上司も参加していてほとんど何も喋らなかったが、役員が『B』を笑顔で話している時に上司をちらりと見たところ、ずっと下を向いていた。

会議後、役員は次の会議に向かった。そして上司はそっと席を立った。その時、他部署の方が「◯年前にさっきの話を聞いていればこんなに時間からなかったのに…」と言っていたのが全てを表していたと思う。

その日から10日間、上司ほとんど別館のテーブルノートPCをおいて「何か」を見ていた。手は殆ど動いていない。誰かと会話する時間は一日10分程度。それでも定例の直属部下とのミーティングは開催されるし、案件会議には一応「出た」。そしてほとんど何も喋らなかった。

外部業者ほとんど実現可能性のない案件相談から次の打ち合わせの打診がメールで入ってくると「◯◯が設定します」の一行メールで返信が入ってくる。当該◯◯さんに「どう進めます?」と聞くと「話聞いてそれで終わりだねー」と「せやな」で返すしか無い見解いただき安心した。つまり上司が片っ端から声をかけてきた外部業者コンサルトのルートはほぼすべてがクローズされるという結果となった。

そして、上司最後に二回だけ話す機会があった。

一つは大きめのプロジェクト案件で私が話した内容。

実は十数年前現業転職したときから気になっていた。

やっと手が出るようになったのだが、他部署に関わることのため話の持って行き方をずっと考えていた。何とかうまく「敵に回さないよう」話ができた後、上司からしかけてきて「やっぱりダメだよね◯◯部署。ところでXXのデータには当たってみた?」

‥いや違うんだと。◯◯が怠惰でやっていないのではなく、現職の業務体制で手が出ていないだけでそこに「悪」存在しないんだと。そして私がやるべきなのは問題提起と提案まで。実務は◯◯に依頼しなくてはならないから、私がXXに当たる意義はほぼないんだと。何より私はただ一件の話をしているのではなく、背後に眠る数百件の類似ケースとその検証に手を回せない体制改善しようとしているんだと。

純粋な親切心でそこまで言おうかなと迷ったが、意味も意義も無いのでやめた。

もう一回は最後最後

退職1時間前に退職事由説明した長いメールが届いた。

退職メールではなく、普段から自分の口と文章資料経営陣とも部下ともコミュニケーションを怠らず「わかってもらう」努力を欠かさなければ結果が変わったかも…)と思いながら返信。

返信した30分後位に挨拶に来た。

聞いてみたところ、メールを出してすぐログアウトしたので返信は見ていないとのこと。

なので私の画面で返信をお見せした。

私の返信を要約すると「理論大事。だけど現実リンクさせないと殆ど無駄打ちに終わる」「コミュニケーション不在はやばい」となる。できるだけ親切に描いたつもりだった。

上司から感想はなかった。「頑張ってください」の一言だけだった。

私も想定内だったので「ありがとうございます」と挨拶した。話を聞く限り返信を返したのは私だけのようだ。

恐ろしいのはここから

上司が退室して10分後には「なんの支障もなく回る活発な職場」「上司がかつて通した稟議案件は(経営陣が追加コストを嫌気して)廃止になるかもしれないから準備をしておこう、と話すスタッフたち」の姿が。

…そう、最初からそんな人は「いなかった」んだよ。という扱い。

程度の問題ではあると思うんだけど、人間には承認欲求というごく当たり前の感情があるはず。これが怖くない人はいないと思う。

そのために何をすればいいか、という自戒も込めてここに残しておく。

https://anond.hatelabo.jp/20240502110846

2024-03-28

anond:20240327142919

電話番の学生ぐらいは現地で採用できるとしても、この場合採用リスクあるって判断になったんだと思う。

あわよくば正社員になりたい中年無職エージェント経由でお断り済)をバイト採用するのリスクしかいから、形式上面接だけはしたんじゃない?

2024-03-21

anond:20240320235431

金の出所大学側には関係ないんだよなあ。契約相手学生本人。形式上学生本人が払ってる。親はあくま保証人

社会に出たことないのかな?

2024-01-30

芸能界Part2を始めるしかないし、サブカルチャーPart2を始めるしかないし、オタクPart2を始めるしかない

かなり前から思ってたこ

最初に思い付いたのは島田紳助引退騒動の時なんだけど

もう、ある年代以上の芸能界とか、カルチャーとか、そういったものを、根本的に、文字通り「切り離す」しかないと思う。

何言ってんだこいつ、と思われるかもしれないけど

国家レベルの罪悪が革命であるとか戦勝国側の裁判形式上清算されるように(それが上手くいってないという問題はあるとしても、ポーズは取り続けている)

日本も、例えば2000年以前から活動している芸能人の、公に発された言動を一つ一つ精査して、ある程度以上の悪質さが累積した芸能人謝罪引退させ、ちゃんとしている芸能人ちゃん人権教育を受けている若い芸能人だけで構成された芸能界を作り直す

そういう仕切り直しをするしかないと思う。

個人的な話に絡むけど、2010年代入ってから卒論を書くときに、国会図書館70年代後半から80年代にかけての週刊誌を読んだんだけど、もう本当に別世界だったよ

完全に男による男の男の為のセックス暴力無知の賛美みたいな感じ、今のコンビニにかろうじて残されてる実話誌みたいなのが全てのページを乗っ取ってる感じ。

チビデブハゲブス年増障害者なんでも攻撃し放題。

「そういうものを調べてるんだからそういうのしか出ないだろ」ってのは違くて、本当に今はまともな報道誌扱いされてるような雑誌でも昔はそうで、しかもそれが今より部数が多い。

行ける奴は行って見てみるといいよ、今は週刊ポストとかサンケイとか大体デジタル化されてるみたいだから

それで私達は人権だ何だって普段さわいでるけど、90年代鬼畜系とか以前に、80年代そもそも地層の様にどっしりとそういう世界があって、それに使って生きていた人間が何百万といて、

あるインフルエンサーとかが個人で「80年代90年代の私は間違っていました、セクハラを軽視してすみません反省します」と謝罪しようが他の何百万人はヘッと笑ってるわけ。

幾ら数年前や十数年前のことを掘り返そうが運の悪かった奴扱い。

これからもそういった芸風は再生産されていく。若い世代のかなりの人達いくらアップデートしようが、追い付かなくて潰されたりしてしまう。

それを断ち切るにはもう、根本的にスパッと、「はい、お前らは芸能界Part1。ここまで。これからちゃんと新しい世代の、ちゃん客観視と人権を守れる人による芸能界Part2を始めます」とするしかないじゃん。

そして問題芸能界とか、サブカルみたいな分野だけじゃないんだよね。

オタク自身もそう

80年代90年代オタクって弾圧されてたとかそういう被害者面ばかり取り上げられるけど

コミケとかのイベントに「ぼくのロリータを紹介します」とかいって、大学生中学生とかを連れ込んで無修正80年代当時は黙認されてた)のエロ同人の売り子をさせてたとか

昔のオタクは明らかに少女ヌード児童ポルノも許容して一流の文化扱いしていたとかそういうことは忘却されているわけで

そういう時代の人脈、漫画家とかライターが今でも大手を振って下手したら文化人扱いされてるわけだよね

そしてコメントを求められても、明らかに本気でやっていたことを「あれはシャレ、遊びだった」「本気にしだす人がいて困った」とかいって逃げたりする。

逃げるなら逃げるで退場しないとだめだよ。

そして今のオタク文化もそういうものの上に成り立っている以上、存続したいなら切り離すしかない。

絵柄とか美意識とかは今現在は無理だとしても(あくまで今現在はね)、「もう繰り返しません」「この人脈の賛美はやめ、二度と肯定的引用しません」みたいなやり方をするしかない。

そうしないなら全部規制されるしかないよ。

突拍子ないとか狂ってるとか言われるかもしれないけど

数年前の時点では私も薄々どうかなって感じだったけど

今となってはもう被害者を直接産み出すシステム(それも熟成された何百年ものの)の否定をどう行うかが重要なんだから

あなたの息子や娘や友達が、そしてあなた自身がそういう昔の価値観被害者になったら、そして「そういうものから仕方ないじゃん」っていう空気に押しつぶされる側になったら遅いんだよ。

「もう被害者は発生させない」芸能界サブカルオタクPart2を始めようよ。

2023-12-10

anond:20231209101720

いろいろとデータが出てくると

はてサの言い分が、「結婚にこだわるのをやめよう」みたいにスライドしてるんだけど

金銭的・制度問題なのだという自説に固執したいみたいなのだけど)

この思想だといよいよ「子供は国が育てよう」なんだよね

例えば、イケメンヤリチンが10人孕ませたとして、10人の父として扶養費を出せるわけがないんだから

んで、そういう制度にしてまで女様に子供を産んでくださいませという方向だと

もう結婚バカバカしいのよ

形式上離婚してればシンママを国が手厚く扶養してくれるなら

子供が育つまで離婚してればいいってなるやん

事実上同棲して家族形成

書類上は離婚して補助金をたんまりもらう

今でも、離婚して女様は生活保護申請し、裕福な生活を「一家で」営む人がいるようだけども

そういうことを国家正式に望む形になる


個人的感想だけども、そこまでして国体を維持しようとするくらいなら

いっそ移民をたんまり受け入れて別の国になっちまえよって思う

アメリカだってフランスだって弊害はともかく)そうして国体を維持したわけさ

多分、フランスはもう少ししたら民族構成がガラッと変わると思うぞ

女様を優遇して平身低頭お子を産んでもらうことに全力になるくらいなら

日本もそういう国になっちまえや




就活結婚妊娠について聞かれ、イエスなら就職できず、ノーなら少なくとも数年は妊娠できない

変な話、持病持ちで慢性的に離席リスクのある人は、就活ではそのように遇されると思うんだよ

ここに対して

妊娠だけは特別忖度せよって話なわけ

例えば二人生むとしたらば

妊娠出産子育てで4年は休業を考えなければならず

その後も子供のために数年は不安定な勤務になる「子持ち様」

これを通常の人と組ませる場合、在籍してるのに戦力にならないという人員を抱えることになる

人員補充したくても、子持ち様が復帰したら仕事がなければならないから、それも難しい

それを含んだ上で組織を作る場合

常に余剰人員を抱える事になり

それはサービス対価へ跳ね返ることになる

2023-11-27

anond:20231127155230

形式上ジャンルの話じゃなくて、実際のゲームプレイの話なんだが。

それに放置系っていうほど放置でもないでしょ、30分とか1日とか放置してなにかゲームの展開に進展あるん?

編成以外でプレイヤーの介入出来るポイントが少ないゲームなだけだよね。

2023-11-20

anond:20231119130236

文系研究者のハシクレ(そろそろ若手じゃなくなりそう)として補足しておく。

今でも単位取得退学普通にある経歴

文系特に文系では博士論文執筆キッチリ3年で終わる人は少ないし、博士課程にいられる年限を使い果たしてしまう人も多い。しかし、東大をはじめとした多くの大学では「博士課程単位取得退学後3年間のうちに博士論文を出して防衛できたら、課程博士と見なす」という運用をしている。

したがって、最近よく見る経歴は、「◯◯大学大学博士課程単位取得退学博士(◯◯学)」というもの。これは単位取得退学したあとに博士号を取得した、という意味

今でも単位取得退学就職できる場合がある

実際に単位取得退学助教講師ポストをゲットした人は最近でもたまに見かける。増田の同年代で2~3人くらい(あくま増田観測範囲なので、実際はもっと多いだろう)。まあ、そういう人たちは和文論文だけじゃなくて、英語論文(分野によっては+英語以外の外国語論文)書いてたし、下手な博士より論文数多かったけどね……。博士号取得者を蹴落として任期付きポストをゲットした単位取得退学者も知ってる。純粋に業績が多ければたまに博士号取得者ではなく単位取得退学者が選ばれる場合があるということ。

このように、形式上単位取得退学でも応募できる公募は今でも多い。JREC-IN文系公募を見てみると、「博士号取得者、あるいは、博士学位を取得した者に相当する能力を有すると認められる者」っていう募集条件が書いてあることがあるけど、後者単位取得退学を指している。こういう条件の公募普通に東大でもまだ出てるからね。ただ、条件に書いてあるからといって選ばれるかというと、よっぽど卓越してない限り厳しいんじゃないかしら。

修士号しか持ってなくても業績が卓越してれば採用されるというのは、みんな大好きユーリィ・イズムィコa.k.a.小泉悠センセが示しているところだと思う。彼はそもそも博士課程に入ってないはずだけど、ロシア軍分析するアカデミックな著書を何冊も出してたら東大専任教員にまで上り詰めた)

とはいえ今はさすがに一部大学学振PDでは単位取得退学は不可

とはいえやはり、博士号持ってない人への風当たりは強まっている。一部の宮廷や有名どころの国立大学では、常勤ポスト募集にあたっては人文系であっても博士号を要求しているし、学振PD海外学振10年くらい前から文系でも博士必須になっていたはず(逆に言えば、40代以上の文系研究者の中には、博士号なしで学振PDやってた人が大勢いるってこと)。

エラいセンセの博士号の有無なんて誰も気にしてない

ただし、博士号持ってない人への風当たり、というのはあくまで若手の就職市場アカポス採用されるかどうかという話で、もう就職しちゃったセンセについては博士号の有無とかあんま気にしたことない……博士論文以降ロクに論文書いてない人より、単位取得退学面白い論文や著書いっぱい書いてる人の方がエラいじゃん? というのが文系感覚だと思うんだが、どうだろう。池内恵センセくらい業績があったら、博士号の有無なんてもう誤差でしょ誤差。

ただ、外国博士号獲った人についてはやっぱり一目置くかも。はてな界隈で有名な人だと北村紗衣センセとか。博士論文というのはだいたい1冊の本になるくらいの分量のものを書くということなので、それを外国語で書いてる時点ですごいよ。特にアメリカだと博士課程では厳しいコースワークがあるから、あれをくぐり抜けたってことだもんね。

文系と人文系って違うの?

最初に「文系特に文系」って書いたけど、「文系」と「人文系」は違う。「文系」は「人文系」と「社会科学系」に分かれていて、文学とか哲学とか歴史学とかは人文系社会学とか政治学とか経済学とかは社会科学系、ってことになってる(あくまでもこれは日本の話。国によって分類は違う。たとえば歴史学社会科学系に入れる国はヨーロッパはいくつもある)。「単位取得退学」はもともと文系全体でよくある経歴だったけど、今ではほぼ人文系に限られてる印象。上で書いた単位取得退学ポストをゲットした人たちも、観測範囲ではみんな人文系

ただ、法学政治学20年くらい前まで学士助手という制度があったので、学歴という点では人文系以上にガラパゴスだったりするのだが……学士しか持たずに教授になってらっしゃる人たちが何人もいる分野です。はてな界隈で有名な人だと木村草太センセとか大屋雄裕センセとかね!

外国で出された博士に相当する学位」って何だよ

ところで、公募条件に「外国で出された博士に相当する学位」という謎の文言があることがある。外国で出された博士、ならともかく、外国で出された博士に相当する学位って何だよ。

実はかつての日本同様に博士号は功成り名遂げた大物が書くものという文化がまだ残っている国があって、具体的にいうとロシアとかそのへんの旧ソ連諸国。あのあたりでは博士候補カンジダート・ナウク; кандидат наук; kandidat nauk)っていう学位があって、これがPh.D.に相当する。博士候補論文大学院に進んで数年かけて書くやつで、実質的博士論文博士候補号を持ってればロシアでは准教授になれる。ロシア留学して博士号獲った、って言ってる人のかなりの割合が、実は博士候補号の取得者だったりする。まあ、ロシアカンジダート号は他国Ph.D.と同等っていうのはよく知られてるから別に嘘じゃないんだけどね。

ところでウクライナでは2014年7月にこの博士候補制度Ph.D.に置き換える制度改正を始めて、2020年には全廃したらしい。うーん、ロシアとの縁を切って西欧共通制度に置き換えるなんて、2014年にいったい何があったんやろなぁ(棒読み)(時期的に完全な偶然というのもありそうだけど)。

ブコメへの応答

博士課程単位取得退学博士”これは課程博士と同じ扱いです。3年の課程を修了し学位論文間に合わずに退学した場合も、3年以内に学位論文が出れば課程博士となるのです。

厳密には、「◯◯大学大学博士課程単位取得退学博士(◯◯学)」のすべてが課程博士というわけではありません。単位取得退学から10年後に博士号取得したら論文博士ですし。なので、経歴を見るか(たとえば、2022年に単位取得退学して2023年に博士号獲ってればほぼ確実に課程博士)、あるいはCiNii博士論文検索するかしないとどちらかはわからないですね。

逆になんでそんなに論文書いていて博士とらずに満期退学なの。そこがわからぬ。

色んな理由があるので一概には言えませんが、本人の博士論文の構想が壮大すぎる、とか、書き上げる前にポストゲットできたから退学しました、とか、そういう場合が多いんじゃないでしょうか。課程博士論文を書き上げた人の経歴はみな似通っていますが、博論を書き上げられなかった人はそれぞれの理由があるものです。

博士ももたず、論文数も多くなく、それでもマネージメントの良さで教授職とかいうのもあったりするわな

そんな人、少なくとも最近は聞いたことないですけど、いつの時代の話ですか? 何がしかの業績(必ずしも論文という形である必要はないです。たとえば安藤忠雄センセみたいな場合)がなければ大学ポストには就くことはできません。もちろん霞が関から官僚ゴリ押しされたりすることはあるかもしれませんが、それは業績なんも関係ないし……

この議論ならストレート論文博士東浩紀はそれだけで尊敬されても良さそうだけど学者からも石投げられてるし結局空気なのかな

東浩紀センセは、デリダ研究博士号を獲った俊英だから叩かれてるんじゃなくて、彼の政治的意見を気に食わない人が多いから叩かれてるんでしょ。博士号獲った人は尊敬に値するけど、それはそれ、これはこれですよ。海外博士号獲ってる人の意見同意できないとか、日常茶飯事だし。

ロシアカンジダートって名称カンジダとか漢字だとか、いろいろ混乱しそうな(しない)。

英語のcandidateにあたる単語です。

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