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2017-06-08

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今回はモアイで読んだ、第71回ちばてつや賞の感想

一部追加されたようなので、感想更新

ブラック企業新卒 座敷山童子の入社 (第71回ちばてつや奨励賞

ブラック企業という題材を、キャラクターや情景含めて程よく描いているバランス感覚が上手いと感じた。

リアリティをどう描くかってのは個人裁量が分かれるところではあるけれども、私としては漫画あくまエンターテイメントなわけだから、卑屈に描くにしろコミカルに描くにしろその範疇をどう意識しているかだと思うんだよね。

反面、登場人物の一人である座敷山の設定が馴染んでいないというか、ちょっとプロット調整すれば成立する構成なのが気になるところ。

グラスホッパー (第71回ちばてつや奨励賞

情景描写が丁寧で引き込まれるね。

プロット自体の皆無っぷりはそれを際立たせている側面もある。

ただ、象徴的なものであることを考慮しても、やっぱり中身のないストーリー構成に物足りなさを感じるのが正直なところ。

20XX年地球記念日 (第71回ちばてつや奨励賞

クライマックスまで話のテーマを開示させないストーリー構成に感心した。

そのせいで話にのめりこむまでにやや腰をすえないといけないかもしれないが。

あと絵の乱雑さはやはり気になる。

画風と割り切るには粗すぎるので、ネーム段階のものなんだろうけれども。

ただ構図とかはしっかりしているので地力は間違いなくあると思う。

エイト (第71回ちばてつや奨励賞

まず小奇麗な絵が引き付けてくれる。

終始コマの大小関係なく一定クオリティなあたり、デジタルの強みを存分に活かしているね(いや、もしかしたらデジタルじゃないかもしれないけれども)。

プロットは、まあ悪くないと思うんだけれども、言語化しすぎなキラいがあるかな

セリフの長さと多さがストーリーまで冗長にしてしまっている印象がある。

心臓は、つめたい (第71回ちばてつや賞佳作)

後半から終盤にかけての、キャラクターたちの人間模様の多側面的に描いていたのは面白いと思うんだけれども、それくらいかなあ。

絵が無個性なのと、プロットが所々不自然に感じるから、総括としては印象が薄かった。

今回、他の作品がどれもレベルが高かったり、個性的ものばかりだったせいもあるんだけれども。

絆創膏のためのメヌエット (第71回ちばてつや賞佳作)

絵の部分で読者を飽きさせないようにする工夫が丁寧だと思った。

コマ割とか構図とか、漫画としての絵の見せ方がすごく上手い。

ただストーリーのために必要情報の取捨選択ができないというか、構成が所々とっ散らかっている印象がある。

本作の話はコンプレックスを持つ主人公男の子ロマンスを、ピアノというアイテムを間に置くことで語るものであることは明らかなのだが、本筋一つに絞って描かれていない。

かといってそれらをきちんと消化しきっているわけでもないから、蛇足感が拭えない。

女子大生1円玉神様 (第71回ちばてつや賞佳作)

センス方面に振り切った漫画って感じ。

丁寧な人物絵に対して、線からしてやる気のない背景のギャップが可笑しい。

2ページ目の5コマの箇所とか、もうわざと描いてるんだろうなあと思わせてくれる。

ただ、わざとやっていることは何となく分かるんだけれども、演出表現だと割り切るには全体的に安定感には欠ける画力かなあという印象。

プロット破天荒すぎるというか、そのための説明構成もごちゃごちゃしすぎてて目が滑りやすいのがツラいところ。

三つ子のたましい (第71回ちばてつや賞準大賞)

まず導入部が良いと思う。

中盤がインパクトの薄いゆったりとした進行だから最初に引きつける描写を入れて読者を離れにくくしているのが賢い。

コマ割がやや淡白な印象はあるが、まあストーリー構成上これでよかったのかもしれない。

終盤、ちょっとキャラ言語化しすぎな印象はある。

ただ、話のおさまりを良くするためにある程度は説明する必要はあるから、丁度いい案配がどの程度かっていうと難しいところかもなあ。

引っ越し (第71回ちばてつや賞大賞)

内容自体はさしてドラマチックなわけでもエンターテイメント性が強いわけでもないんだけれども、絵の説得力が非常に高くてそう思わせない。

ストーリー構成も上手くて、サブキャラ事情なども最低限見せることで、しがらみによってより雁字搦めになっている様が見て取れる。

序盤での死神による抽象的な語りがやや気になるところではあるけれども、それ以外は概ね完成度が高いと思った。

余談

いやー、今回の受賞作品はどれもレベルが高すぎ。

私の中では印象が薄かったものもあったけれども、それだってあくま相対的にであって、かなりのクオリティだもんなあ。

それにしても、私がこのサイトを利用したときに、いつも気掛かりなことがあって。

受賞した漫画ストーリー概要とか、審査した人のコメントとかは漫画より上に表示されるんだよね。

それで批評コメントとかが目に入ったとき場合によっては内容とかを察してしまったり、読者の印象がそれに引っ張られる可能性がある。

これは映画とかの広告で「衝撃のラスト!」とか謳ってしまう位のことだと思うんだよね。

衝撃のラスト」って言われたら身構えるわけで、それが大したことなかったり予想通りだったら肩透かしだし、仮に予想外でも感動は薄れるわけで。

から私はこの手の漫画を読むとき批評コメントは後回しにするか極力見ないようにするんだけれども、いつも上に表示されるから個人的に煩わしい。

そこまでする必要があるとは思わないけれども、もし媒体によって表示が違うならそっちに変えてみるか、何らかの方法であれの表示だけブロックした方がいいかもなあ。

2015-06-01

巷の4コマ漫画に対して一言申したい

4コマ漫画」は「コマが4個並んでいる漫画」とは違うんです!

俳句が、ただ五七五のフォーマットに従っているだけでは駄目で、季語を伴っていないと俳句と呼べないように、4コマ漫画も「起承転結」を土台に組み上げられることではじめて「4コマ漫画」と呼べるというのが私の考えです!

じゃあそもそも「起承転結」って何なのよ、と言われそうなので、私の考える「起承転結」を説明したいと思います

「転」とは

まず一番分かりやすい「転」から

例えば

{1, 2, 3, 4, 5}

という数列があったとします。皆さんはこの後に 6 が続くだろうと予想しますよね?

そこで

{1, 2, 3, 4, 5, 8, 9, 15 ...}

と続きを見せることで、読者に「あれ?予想と違うぞ?」と思わせます。これが「転」です。

事前のストーリーの流れで何らかのパターンを作っておいて、そのパターンをがらっと変えるのが「転」の役割です。

「結」とは

「承」で「{1, 2, 3, 4, 5} と来れば次は 6 だろう」と思わせておき、「転」で 8, 9, 15 と流れを変えて「あれ、おかしいな?」と思わせて、最後

「実はこの数列は、A(n) = n ではありません。正解は

『n および n + 1 の約数がすべて 5 以下となるような自然数 n を小さいものから順に並べたもの

でした!」

という種明かしをして「なるほど!(スッキリ)」とさせる、これが「結」の役割です。

和音進行で例えると、ドミナントコード不安定な状態からトニックに推移して解決するという構造に似ています

もしも「転」で「あれ、おかしいな?」と思わせなければ「結」の種明かしのオチが活きてきませんよね。

「転」が充分に機能することで、はじめて「結」の面白さが出てくるのです。

「承」とは

もしも初めに見せられた部分数列が {4, 5} の二つだけだったら、

{4, 5, 8, 9} ... と続きの数列を見せても、あまり「あれ?」という感じにはならないですよね。頭の中でパターンが出来ていないためです。

はじめに {1, 2, 3, 4, 5 ...} というまとまった長さの数列を見せることで、はじめて読者に「次は 6 が来そうだな」と思わせることが出来て、「転」に繋げることが出来るのです。

このように、読者の頭の中に何らかのパターンを想起させるのが「承」の役割となります

「承」が充分な力を持っていないと「転」が死んでしまます。当然、それにつられて「結」も死ぬことになります

なお、一番シンプルで分かりやすい「承」の作り方は、「似たような場面のコマを2つ連続させる」などが挙げられます。(サザエさんによくある)

「起」とは

既に「承」「転」「結」で言いたいことをほとんど言ってしまったので、「起」について特筆すべきことはないのですが、敢えて役割定義すると

「『承』への橋渡しとなる情報提供すること」

と言えます。さきほど、与えられた部分数列が {4, 5} だけだと「承」が活きてこないということを説明しましたが、「承」を活かすための情報({1, 2, 3})を渡してやるという重要役割を担っています

以上で起承転結それぞれの役割について解説しましたが、これらの要素がそれぞれ独立して生きているわけではなく、相互作用をすることではじめて全体として意味をなすこと、どれか一つでも欠けるとその他の要素がすべて死んでしまうことがお分かりになるでしょうか。

この考え方を意識しながら、あらためてサザエさんコボちゃん等を読んでみてください。話そのもの面白いかどうかは別として、構成がきちんと「起承転結」を意識して練られていることが分かるのではないかと思います

補足

このエントリで言いたいのは「もっと起承転結意識して4コマ漫画構成してほしい」ということであって

起承転結」に則っていない4コマ漫画面白くない

ということでは決してありません。

また、起承転結いろはを充分に理解した上で、敢えてそれを崩す(守破離)という手法全然ありです。

例えば1コマだけでストーリーコンテキストを読者に存分に伝えられる能力を持つ漫画家であれば、「起・承」を一つにまとめた3コマ漫画というフォーマット確立することも出来るでしょう。

最終的には面白ければ何でもありなのですが、少なくとも基本的な型はマスターしていて欲しいです!

クラシックでは、ハイドンモーツァルト交響曲の型(ソナタ形式・緩徐楽章メヌエットソナタ形式からなる四楽章構成)を作り、ベートーヴェンなどがその形式追従しつつ声楽など新しい要素を取り入れ、マーラー交響曲の体裁を保ちつつフォーマットを大胆に崩す、といった歴史がありますが、それは交響曲というフォーマットが充分に確立されていたからこそ出来たことなのです。

参考文献

オンライン整数列大辞典

 
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