はてなキーワード: 領域とは
2021年は例年より多くの本を読んだ年だった。
本に手を伸ばす理由は、過ぎる時間の虚無を埋めてくれるからだ。
暇な時間にふと、理由のない虚無感や今まで自分の行ってきたことがふと無意味だったのではないだろうかという思いに襲われる。
そんな中、以前では現実逃避や問題の先送りが悪と捉えてきたものを、積極的に物事を放置、物語や文章に没頭することが心地よくなってきた。
恐らく、以前はもっと人生とは自分の思うように舵を切って、自身に起こりうる出来事は自分次第で制御できると考えていたのだ。
もちろん、突拍子のない願望や生まれ持った環境など、制御しようがないことが存在することはわかっていた。
しかし、心の奥で、自分の願望は全て叶えられる、変化できると思い込んでいたのだ。
そんな気持ちで日々を制御しようとしていた10代、20代、さぞかし理想と現実の差に苦しみ続けてきただろうと考える。
どこまで求めて、手に入れても満ち足りない日々は確かに何かを手に入れて、成長したこともあったのだろう。
けれども、取り組んできた物事の難易度が時間と共に上がり、自身の行動の影響する範囲が大きくなるにつれて、自分の能力では制御しきれない領域もあることを徐々に感じ始める。
精神が一気に崩れ落ちて、自身を鼓舞していた心のどこかにあっただましだまし、綱渡りのスイッチで稼働していた力の源泉から何も沸いてこなくなりついには割れてなくなってしまった。
この虚無感はいったい何なのか?答えを本の中に求めて、小説、エッセイ、ドキュメント、啓発など色々読んだ。
なるべく同年代の主人公で人が死なない日常の物語を最初は求めていたのだけれど、いつしかその縛りは忘れて、自由なジャンルのものを読み始めて没頭していた。
自分は何している時が満たされているのだろう?とふと考えた時にパソコンのキーボードを打ち込んでいる時と思った。
仕事柄キーボードは毎日叩くのだけれど、キーボードを打ち込むそれ自体の行為が好きなのではなく、打ち込んでできた成果物が完成した時に満足している。
のだと思っていたが、単純に今キーボードを叩いて文章を書く行為が気持ちいい。
そして、今さっきまだ読み途中なのだが、「中年の本棚」という本を読んでいた。
その中には超おおざっぱにいうといわゆる中年あるあると中年の虚無感を古今東西の本から該当する要素を抜粋してそれに対する思案を述べているものである。
当初自分が求めていた内容が書いてある本にようやく出合えたと謎の手ごたえを感じた。
その本の中で「隠居」について掘り下げて書いてあった。
では何も思い浮かばないが、
では真っ先に「隠居」がしたいと筆者は語っている。
自分も同じ考えだ。
そこから、「隠居」について書かれている本をピックアップしている。
その中で、「日曜〇〇家」というキーワードがでてくる。
要は、「日曜〇〇家」で社会人生活を60歳まで過ごし、以降は「日曜」ではなく「〇〇」を毎日やるのだ。
例として、そのような小説家を何人か取り上げている。
医師を平行して、小説を書き、定年後は本業、ないし隠居しながら小説を書くというものだ。
エッセイやら随筆やら小説やら、結局は自分のために書きたいものを書けばいいというメッセージがふと強く突き刺さった。
自分には教養も知識もないが、キーボードをひたすら打ち込むと心地がよいという属性がわかったので、これから何かしら文章を書きたいと思っている。
タイピングソフトでもやればいいのでは?という問いには、自分が何かしらの成果物を作り上げているという達成感がなければ意味がないと答える。
というわけで、なにかカタカタ打つからには、自分か他人に何かしら意味のあるものを書こうと思っている。
また自分の思考を整理する過程も好きなので、一石二鳥ということで。
難しいことはわからないし、無理に着飾ってもしょうがないので、自分が面白いと思うものをひたすら書こうと思う。
趣味は「キーボードをひたすら打ち込んでなにかしら成果物を作ること」にしたい。
一言でいうとなにになるのだろう。
作文かな
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ついにはてな社が公式に[あとで読む]ランキングを公表した。2021年の振り返りができる。指標としてブクマ数に占める[あとで読む]の率を重視している。これにも[あとで読む]がたくさん付いて14位にランクインした。
スーパーコンピュータシステムのファイル消失のお詫び
2021年12月14日 17時32分 から 2021年12月16日 12時43分にかけて,スーパーコンピュータシステムのストレージをバックアップするプログラム(日本ヒューレット・パッカード合同会社製)の不具合により,スーパーコンピュータシステムの大容量ストレージ(/LARGE0) の一部データを意図せず削除する事故が発生しました.
皆さまに大変なご迷惑をおかけすることになり,深くお詫び申し上げます.
今後,再びこのような事態の生じることのないよう再発防止に取り組む所存ですので,ご理解をいただきますよう,どうぞよろしくお願いいたします.
・ファイル削除期間:2021年12月14日 17時32分 ~ 2021年12月16日 12時43分
・消失対象ファイル:2021年12月3日 17時32分以降,更新がなかったファイル
・影響グループ数:14グループ (うち,4グループはバックアップによる復元不可)
http://www.iimc.kyoto-u.ac.jp/ja/whatsnew/trouble/detail/211216056978.html
スーパーコンピュータシステムの納入会社である日本ヒューレット・パッカード合同会社によるバックアッププログラムの機能改修において,不用意なプログラムの修正とその適用手順に問題があったことで,本来は不要になった過去のバックアップログファイルを削除する処理が,/LARGE0 ディレクトリ配下のファイル群を削除してしまう処理として誤動作しました.
日本ヒューレット・パッカード合同会社から提出された報告書を掲載します.
Lustreファイルシステムのファイル消失について (日本ヒューレット・パッカード合同会社)
今後の取り組み
現在バックアップ処理を停止しておりますが,プログラムの問題を改善し,確実に再発しない対策をした上で1月末までにはバックアップを再開する予定です.
ファイル消失後にバックアップが実行されてしまった領域のファイルの復元ができない状況となったことから,将来的にはこれまでのミラーリングによるバックアップだけでなく,1世代分の増分バックアップを残す等の機能強化を検討いたします.機能面だけでなく,再発防止に向けた運用管理についても改善に取り組みます.
一方で,機器故障や災害等によるファイル消失の可能性も含めて完全な対策は困難であるため,利用者の皆様におかれましても,重要ファイルについては別システムへのバックアップをお願い致します.
まとまった時間を確保して『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』『STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)』を3日間で一気に初プレイした。
1年以上前にアニメは視聴していたので大まかあらすじは把握しており、アニメ化されていないエンディングを見るため Steam で購入。エンディングが見られればいいのでフラグを知るため攻略サイトを利用し既読スキップしたが……思った以上にのめり込み文字どおり寝食を忘れてプレイした。振り返ると睡眠時間は6時間、食事は3回削ったと思う。
『STEINS;GATE』から『STEINS;GATE 0』へのストーリー上の分岐点をなんとなく覚えていたので、『STEINS;GATE』の True END 以外のエンディングを全部やってから True END 途中でいったんセーブし『STEINS;GATE 0』全エンディングを見て、最後に『STEINS;GATE』セーブをロードしてエンディングをみた。涙ぐむところ4か所、クリア後に嗚咽。ここ10年でいいところは語り尽くされていると思うので屋上屋を架すことはしない。
主な症状として――
これだけ強い後遺症が出たのは、おそらく金庸の日本語訳を読み尽くした時以来だ。好みに合う作品の一気呵成プレイはいけない
=====
開発元の MAGES. Inc. および制作に関わった方々へ
Maximas Tibi Gratias
できれば2人紹介したかったが、1人に留める。
ここまでの6人は問題ない。何かあっても私が責任を取ろう。が、この2人は今でもK市で働いている。うち1人は男性で、接触当時は入庁4年目だった。
協調性がないとの評判であり、人事評価では直属の上司から「免職を促すことが相当である」とのコメントが入っていた。しかし、実際に本人と面談してみると……といったパターンの子だ。本質が見えていないのは上司の方だった。
残り1人は女性で、接触当時は入庁1年目。先に挙げたGさんと同じく直向きな職員だった。地元の新聞記事にも「期待の新人職員!」という記事が載るほどに期待されていたのだが、残念なことに、頑張りすぎてうつ病になってしまった。その後のじりじりとしたリハビリと、復活後の活躍には目を見張るものがあった。よって、この子を取り上げようと思っていた。
迷ったが、男性の方を選んだ。理由は私と同性で、気質も似ているところがあったので心の内部を覗きやすいと感じたからだ。登場人物の男女比の関係もある。仮に、E太さんとする。
私が特定任期付き職員として採用されて3年目のことだった。E太さんと話したのは。彼は入庁4年目だった。ある意味で先輩にあたる。
当時は20代後半で、福祉の部署で働いていた。といっても、ケースワーカーや自立支援、福祉事業者の審査といった類ではなく、裏方の仕事だった。直接福祉の仕事に携わることはなかったが、それでも部署全体を支えるポジションだったのは間違いない。
梅雨時のある日、彼について人事面談をしてほしいと福祉課長から依頼があった。このE太さんというのは、いわゆる問題職員という扱いだった。私は、彼のいったい何が問題だったのか、その時は理解していなかった。が、K市の問題職員リストにE太さんが名を連ねていたのは事実だ。
福祉課長によると、彼には以下のような問題点があり、人事で指導してほしいという。
・みんなと協調的な行動を取ることができない。自己中心的である。
今回は3点目で引っかかったようだ。
いろいろと調べていったが、やはり机上のデータでは見えてこない。他の福祉課の職員から聞き取った情報も総合すると、先週あった課全体の飲み会でひと悶着あったらしい。
うす暗い飲み屋の片隅に座っていたE太さんが、近くにいた福祉課長やその他先輩がいた席まで呼ばれた。「この間のことで話がある。ちょっとこっちに座れ」と言われたE太さんは、ダイレクトに断った。「行きません」と突っぱねたとのこと。それで先輩職員らと口論になって、そのうち優しめの先輩職員が彼の席に移ってきて、まあ飲みなよとお酒を注ごうとしたところ、これもまた「帰りがバイクなので」(※真偽はわからない。E太さんの嘘かもしれない)と断った。
そんな態度に憤ったほかの上司や先輩が、E太さんに詰め寄り、お酒を吞ませようとした。それでも断固とした態度のE太さんに、先輩は次第に声を荒げ、ついに係長級の職員がE太さんの首根っこを掴んだところで、「やめてください!」と彼が拒否して……市役所職員の宴席から大声が響いたものだから、近くに座っていた別のお客のグループが店員に静かにさせるよう苦情を入れるも、店側も注意ができず……翌日になって、その居酒屋で飲んでいた人が市役所に直接クレームを入れたというのが顛末になる。
福祉課長の言うことは明らかに自分寄りである。ここまでのハラスメント行為があったとは聞いていない。私がほかの係員に聞き取りをしなかったら、あやうくE太さんだけを悪者にするところだった。
彼にしても、飲み会に参加したなら、もっと仲間意識を持つ必要があった。飲み会は、「供食」の場だ。供食は仲間同士でしかしない。古今東西、自分達の敵と一緒に食事を取るなんて文化はない。一緒に食事を取るということが仲間であることの証なのだ。昔の人間というのは、そんな儀式を神聖視せざるを得ないほどには、人間や組織の生き死にが間近にある生活をしていた。
ある日の午前、窓ガラスに雨粒が叩きつける中、面談室に入ってきたE太さんはソファの前で立ち止まった。「座ってください」と私が言うと、彼はゆっくりと腰かけた。
初めに言ってしまうと、私はE太さんがそこまで悪い人間ではないとわかっていた(後述)。それで、リラックスしながら、今日は何を話すんだっけ? とバインダーに挟んだ聞取票を手に取った私は、簡単な挨拶の後、E太さんとのやり取りを始めた。
「朝ご飯は食べた?」
「はい。食べました」
「どんなものを?」
「どんなカップ麺が好き?」
「特に好みはないです」
「そうか。私も毎日そんな感じだ。おにぎりとカップ麺は合うよね」
「そうですね」
「E太さんは、バイクだっけ?」
「私は……バイクではありません」
「バイクじゃないの?」
「自転車です」
「そういう意味じゃありません」
※重ねて言うが、これまで私が記してきた会話の記録には不自然さが否めない。方言や言葉の癖など、個人情報に関わる内容を編集していることによる。
指導を目的とした人事面談というと厳しいイメージが漂うだろうが、相手が筋金入りの問題職員でなければ概ねこんなスタートを切ることが多い。信頼関係を築くためだ。
雑談が続いた後、いよいよ問題の核心のフチに触れる問いかけをしてみる。
「それで、福祉課長から聞いた件なんだけど。今回の面談のきっかけ」
「……はい」
「周りの職員のこと、どう思ってる? この人は好きとか、嫌な人とかいる?」
「特にいません」
「E太さんの態度や行動が、同じ課の職員を傷つけることがあるみたいだ。私も調べてみたけど、そう思ってる人も確かにいる。どうしてこの結果になってしまうのか、考えていることを教えてほしい」
「普通に、とは」
「正しいと思うことを言ったりやったりして、でもほかの職員からするとそうでないみたいです。嫌われるのはわかっても、でも自分がやるべきだと思うのでやっています」
思ったより早く本音を出してくれている。チャンスだ。私は、聞取票が挟んであるバインダーを机の端に裏返しに置いた。ここからのやり取りはうろ覚えだ。
「E太さん。せっかくの機会だから、腹を割って話そう。公文書には残さないから、もうこのバインダーはいらない。一対一でE太さんと話したいと思ってる。ところで、私のことは知ってるよね。ここのプロパー職員じゃないって」
「知っています。2年前にK新聞(※地元情報誌)で読みました。〇〇社の出身で、人事領域のプロだと書いてありました」
「知ってるんだね。ありがとう。でも、プロと言えるほど経験は積んでない。社会人を20年以上やっているけど、人事は6年くらいしか経験がない。ほとんど営業だった。大人の事情というやつで、プロにはほど遠くてもプロなんだと――そうアピールしないといけないことがあるんだ(ここで両者の笑い声があった)。で、話を戻すけど、E太さんはどうして今の状態を保ってるのかな。変えてみたいとは思わない?」
「キツイと感じることはありますが、これでいいと思っています」
「どういう理由で、キツくてもいいと思ってる?」
「自分のやりたいことがあります。社会人として、こういう生き方がいいって。それで、その目的から逆算して考えると、今は人間関係よりも実力がほしいんです」
申し訳ないがここまでだ。これ以上は、私の記憶からE太さんの口述を曝け出すことはしない。
簡潔に言うと、彼は仕事が一番ではないタイプだった。E太さんの人生の優先順位の中で、仕事は3番目ということだった。だから、民間から公務員に転職しようと思ったし、だから、どれだけみんなに嫌われようがどこ吹く風でやってこれたのだ。
肝心なことを述べていなかった。E太さんの仕事ぶりだ。毎年、人事課に提出される査定表で、彼は3年連続で5段階中の2を取っていた。もちろん低い数字だ。実務能力は平均3.5だったが、礼儀やマナー、人格、職務遂行姿勢などで大幅に減点を受けていた。
私が再調査したところだと、彼の査定は控えめに見ても3はあったように思える。福祉課で彼と同じくらい「人柄が悪い」と評価を受けている人間も、その多くが3を取っていた。それに彼は、年は若いが福祉課の裏方として3年以上も職場を支えてきた実績がある。
ちなみに調査方法だが、①人事権限で福祉課の共有フォルダに入ってE太さんの成果物を確認する、②E太さんの同僚を面談室に呼んで印象に残った行為や実績を聞き出す、③過去のE太さん関係の始末書を読み解く――という3通りの方法で行った。確認できた事実は以下のとおりだ。
・オフィスソフトの腕前は一流である。パワポもExcelもAccessも使いこなせる。文も読みやすい。
・プレゼンテーションの能力が高い。普段は物静かだが、かつて大都市の商工会議所で行われた各市町合同での新人職員研修会の折、K市の未来について数分間のスピーチを行い、拍手喝采をもらったとのこと。
・事業計画立案。E太さんは広告会社の出身だった。その経験を活かし、福祉課の裏方としてケースワーカーなど福祉職を支えるための各種設備・インフラを整えるための計画書を作り、それがそのまま課の予算要求に使われていた → ということは、彼の上司はその仕事振りだけは認めていたということだ。
・福祉課の職員からの苦情はあるが、市民や取引業者とのトラブルの記録はない。
・年下の職員には人気があるらしい。例えば、彼が選挙のスタッフとして従事した際、開票作業の前に事務吏員の腕章をみんな装着するらしいのだが、「安全ピンが刺さりそうなので、私の腕に腕章をつけてください」という体で、何人かの女子職員がE太さんの前に並んでいたという。尾ひれが付いているとは思うが、そういうこともあったのだろう。
私が退職するまでの数年間で、E太さんと呑みに行くことが何度かあった。まさしく意気投合であり、今回ここまで赤裸々に彼のことを書いてきたのも、彼なら笑って許してくれるだろうという甘えから来ている。
私は、彼が悪い奴ではないとわかっていた。上の面談の1年前のことだ。かなり広めの川べりで行われたK市の音楽イベントに、私と彼もスタッフとして動員されていた。ステージ発表が始まると、スタッフはみな暇そうに周辺警備をしていた。
さて。一級河川にかかる橋の袂だった。カートを押している高齢のおばあさんがE太さんに声を掛けた。私は、高いところから偶然それを眺めていた。
E太さんは、話しかけてきた老婆としばらくにこやかに話をしていた。その老婆は、さっきはE太さんの上司や、ほかの若手職員にも声をかけていた。誰もが皆、迷惑そうに会話を切り上げてどこかに去ったというのに、彼だけは、その老婆の話し相手をしていた――貴重な体験だった。こういうところに人格が滲み出るのだ。
とはいえ、このままではE太さんの株は落ち続ける一方だ。それに、職員を傷つけるような冷たい態度もよくない。社会人には、絶えず相手を不快にさせないよう振る舞う義務がある。会話をしたくなくても、そうした態度をおくびにも出さず、明るく振る舞わねばならないことだってある。わかっているのといないのとでは、社会生活に大きな差が出てしまう。
E太さんに何度も伝えた。「こんなのはもったいない。もっと仕事に打ち込んで、本気をアピールして、みんなの信頼を集めてみたら?」と伝えてみたが、なしのつぶてだった。こちらとしても、今の状態でE太さんを問題職員リストから外すことはできない。どこかの部署で重大な人間関係トラブルを起こす可能性があるからだ。私はE太さんのことが好きだけれども、それとこれとは別問題だ。
結局、私が辞める時まで、E太さんを理解する人は少なかった。孤高で、人とは交わらない。でも仕事ができて、市民や業者からの受けがいい。いろいろと惜しい職員だった。今でも彼を思い出すことがある。今度K市に遊びに行った時は、また彼を呑みに誘うつもりだ。
この章の最後に。なぜ、私は彼を好きになったのか。
『渇き』を感じたからだ。E太さんは人生に飢えている。自分がやりたいこと、どんな人間になりたいのかはっきりしているのに、叶えられずにいる。叶えられる保障もない。
でも、足掻き続けている。まるで昔の私自身を思い出すようであり、懐かしい感じが脳内からビンビンと込み上げてくる――ビールは、渇いているからおいしいのだ。いつかE太さんが大成して、そんな美味を楽しめる未来があることを祈っている。
リクルートにおける VDI の導入、運用、コロナ対応、そして今後の ICT 環境を紹介する連載。
最終回は、現在取り組んでいる VDI と FAT PC のマルチ環境についてお伝えする。
石光直樹,リクルート(2021 年 06 月 04 日)
28 →目次に戻る
ただし、そうしたユーザーに対して環境が変わることについてきちんと説明しないと、混乱につながってしまいま
す。そこで、「なぜこのような環境に切り替えることに至ったのか」や、目的、狙いについてプロジェクト内で改め
て議論しました。ユーザーに対して納得感ある形で社内説明資料などをまとめて、各部署の主要なユーザーに向
けて情報を発信していきました。
今後の移行時には、さらに分かりやすい資料の共有や移行マニュアルの整備などを行い、社内広報の体制も整
えていきたいと考えています。
マルチ環境の実現は簡単なことではありません。特に FAT PC の環境をどう作るのかについては、時間をかけ
て検討しました。まずは、VDI 導入により大幅に解消された “3 つの課題 ”、すなわち「セキュリティの向上」「PC
管理コストの削減」「働き方変革への貢献」の対応策を FAT PC でどのように実現するか。これが次の課題です。
「セキュリティの向上」については、高セキュリティ業務にはセキュア VDI を提供し続け、FAT PC に対しては従
来よりもセキュリティを強固にすることにして、この課題をクリアしました。
続いて「PC 管理コストの削減」では先述の通り、VDI 化によって大きなメリットを得られた部分でした。例え
ば、夜間にパッチを当てたりできるのは、システム管理担当者からすると非常にメリットになります。ところが、FAT
PC に切り替えると、このメリットは享受できなくなってしまうことから、VDI 導入時に刷新した PC 管理システム
を FAT PC にも導入することで一定の解決を図るのに至りました。VDI の導入前に使っていた “ お手製 ” の PC
管理システムでは、パッチ当てや OS 更新などが大変でしたが、最新の PC 管理システムを導入することで、かな
り容易になっていたからです。とはいえ、VDI の管理性には劣ります。この点は、中長期視点でのより良い環境を
目指すために、優先度を下げた部分といえます。
そして「働き方変革への貢献」については、先述の通り、昨今の状況を踏まえると、ビデオ会議をより活用で
きる FAT PC の方がメリットを引き出せるのではないかと考えました。ただし、FAT PC に切り替えることで、い
ままでとはネットワークの流れ方が変わってきます。VDI では、データセンターと端末の間でやりとりされるのは
VDI 画面のデータが中心でしたが、FAT PC ではさまざまな実データがやりとりされることになります。また、社
外などから社内に VPN 接続をする必要があり、その部分がボトルネックになりがちです。その問題に対しては、
ネットワークを再検討することで解決を図ることにしました。われわれの社内ネットワークは VDI に最適化されて
いたので、FAT PC の増加に合わせて拠点のネットワークを増強したり、VPN を増強したりすることを検討しま
した。これにより、働き方変革で求められていたテレワークの要件に対しても十分応えることができると考えてい
たのです。
29 →目次に戻る
しかしながら、この方針は大きく変更を余儀なくされることになります。その理由は 2 つあります。1 つ目はコ
社内ネットワークの再検討はコロナ禍の影響を強く受けることになりました。在宅勤務の方針が示されたこと
で、社内からの接続が減る一方、リモート接続が増え、社内のネットワークトラフィックの在り方が大きく変わって
しまったからです。コロナ禍が続く中で、そしてアフターコロナでそういった状況がどうなるのかについては予測が
難しく悩みました。単純に拠点のネットワーク、特に WAN を増強したとして、使われなくなるなら投資が無駄に
なってしまいます。また、ネットワークにおいては今後のトレンドとして「ゼロトラストネットワーク」が注目されて
きています。おそらく、われわれの目指す「クラウド&マルチデバイス環境」を支えるネットワークは「ゼロトラス
トネットワーク」になることでしょう。
では、いま「ゼロトラストネットワーク」のようなネットワークを入れるべきなのか。それともいまは暫定構成に
して将来的に「ゼロトラストネットワーク」に移行できるようにするのか――。
コロナ禍で勤務の環境が急速に変わってきていることも踏まえて、この点を検討しなければならなくなりました。
いまもまさに検討しているところで、いまだに完全な結論は出ていませんが、現時点では PC 環境と同じく、将来
的には「ゼロトラストネットワーク」に移行できるように、いまのネットワーク構成を考えるべきと思っています。
変化に対応して、かつ自ら変化を引き起こす
さらに、FAT PC 導入においては大きな変化があります。それは「SAC」(Semi-Annual Channel、半期チャ
ネル)の導入です。
VDI 環境においても「Windows 10」の導入は完了していましたが、「LTSB」(Long Term Servicing Branch※)
を導入していました。頻繁な更新を望まないユーザー向けに作られた、機能更新がない固定的な Windows 10 のモ
デルです。これに永続ライセンス版の「Microsoft Office」を組み合わせて利用していました。
※現在の名称は、「LTSC」(Long Term Servicing Channel、長期サービスチャネル)
これは、「レガシーアプリが存在するので、機能更新がない OS の方がいい」と思っての選択でした。しかし、機
能が更新されないので、OS や Office の最新機能が利用できないなど、将来的には「Microsoft 365」への接続
も制限されるような状況でした。
30 →目次に戻る
他方、SAC なら OS や Office が常に最新の状態になります。そのため、半期あるいは 1 年に 1 回程度のペー
スで機能が大きく更新されます。IT 部門としては、機能更新時に社内アプリケーションの動作確認などをする必
要があり、PC 管理タスクが増えてしまうことになります。PC 運用コストの増大につながり得るので、VDI から
FAT PC に切り替える際の検討ポイントの一つでもありました。しかし、ここでもわれわれは中長期視点を大事に
しました。
今後の「クラウド&マルチデバイス環境」においては、環境が常に最新になる世界が普通になるでしょう。いま
のスマートフォンを見てもそうですが、OS はどんどん更新されて、次々と新たな機能やサービスが利用可能にな
るのがむしろ普通であり、その波が PC の世界にも到来しているのです。PC 運用コストが上がったとしても、わ
れわれもこの波に乗って、ユーザーに対しても新機能やサービスを次々に提供していき、より良く業務を行っても
らえるようになればすてきだなと思いました。
そこで、VDI から FAT PC への切り替えに際して、OS のモデルも LTSB(LTSC)から SAC に変更すること
にしました。PC が最新に変わっていくSAC のような世の中の変化に対応しながら、われわれの環境においても
変化を引き起こして業務を変えることができればと思い、現在、導入を進めています。
VDI 基盤の抜本的な刷新
ここまでは大多数のユーザーが利用することになる FAT PC のことを中心に述べてきましたが、セキュア VDI と
特定用途 VDI として利用する VDI 基盤のリプレースも大きな仕事です。
VDI 基盤リプレースにおいてもいままでの構成を踏襲せず、一からあるべき姿を検討することにしました。まず
検討したのはクラウドの導入です。将来「クラウド&マルチデバイス環境」になれば、VDI 自体もクラウドのサー
ビスの一つという位置付けになるだろうと考え、クラウドでの VDI 利用を検討しました。
しかし、残念ながら今回クラウド VDI の採用には至りませんでした。われわれの試算ではオンプレミスに比べて
コストが見合わなかった点と、管理機能がまだまだのように思えた点が見送りの理由でした。クラウドはますます
発展する領域なので、今後は状況が変わるかもしれません。われわれも引き続き状況を観察し、一部の環境には
クラウドをトライアル的に導入してみることも視野に入れて、現在、検討しています。
当面の方針としてオンプレミスの VDI を構築することにしましたが、いままでの構成をそのまま踏襲するような
ことはしませんでした。必要としたのは、運用性やコスト、拡張性に優れたアーキテクチャでした。
31 →目次に戻る
議論、検討を重ね、さらに比較、検討した上で、われわれは HCI(Hyper Converged Infrastructure)構成
を選びました。HCI はサーバ中心のアーキテクチャで、SAN(Storage Area Network)スイッチやストレージ
を省くことができ、構成がシンプルになり、運用性やコストにメリットがある他、リソース拡張はサーバを追加する
だけでよいので、拡張性にも優れています。われわれが望んでいた点を満たすアーキテクチャと評価しました。
いままでは「サーバ+ネットワーク+ストレージ」のいわゆる「3Tier」構成で安定運用できていたので、これを
変えるのは大きなチャレンジでした。とはいえ、チャレンジしないことには運用性もコストも拡張性も勝ち取れませ
ん。「新たなことに挑戦するのが、われわれのエンジニアリングの方針だ」と考え、HCI 構成を選びました。
加えて、VDI 基盤のデータセンターのネットワークを SDN(Software Defined Network)に切り替える決断
◆藤本宗将 Copywriter/Creative Director@fujimotors
12月末で電通を退職します。約25年にわたり社内外のみなさまには大変お世話になりありがとうございました。1月からは独立し、UltraBlackという会社をつくってやっていきます。電通との専属契約などはありませんので、これまで以上に多くの方々とお仕事できれば幸いです。よろしくお願いいたします。
https://twitter.com/fujimotors/status/1473887352691236865
この社名も気持ち悪いが、それに対する電通社員(元電通社員)の反応がまた気持ち悪い
◆藤本宗将
https://twitter.com/keitatata/status/1473887571629719556
◆栗田雅俊@kurita_ma
◆藤本宗将
https://twitter.com/kurita_ma/status/1473893208283582465
◆藤本宗将
https://twitter.com/setsukooo/status/1473921538856722433
悪い解釈をされていいことがあるのか?
100ワニやオリンピック問題で悪い解釈されていいことあったのか?
◆岡部将彦 Que / Quest/Creative Director/CM Planner@okavader
最高の社名ですねw
◆藤本宗将
https://twitter.com/okavader/status/1473900728414765059
どんな名前にしようと人が死んだら叩かれるのが当たり前だと思うが
遺族の人が見たらどう思うか?
こういう奴らがいろんな人たちが見る広告を作っていると思うと複雑になる
「人が死んでんのに自虐か知らんが、面白いと思ってるこういう馬鹿がおるからブラックなんだよな。」
誰でも見れるツイッターでこんな人格を疑われることを書くのは普通じゃない
dentsu zero コピーライター/クリエーティブディレクター。1997年、電通入社。コピーライターとして多くの企業のメッセージ開発に携わる。主な仕事は、ベルリッツ「ちゃんとした英語を。仕事ですから。」、本田技研工業「負けるもんか。」、からだすこやか茶W「おいしいものは、脂肪と糖でできている。」、トヨタ「トヨタイムズ」など。TCC最高新人賞・TCC賞・ADCグランプリ・ACCグランプリ・毎日広告デザイン賞最高賞など受賞。
電通 マーケティング・クリエーティブセンター コピーライター
1976年大阪生まれ。チベット、カシミール、アフガニスタンなど世界中を旅をして電通に入社。コピーライターとして勤務する傍ら、写真家、セルフ祭実行委員、UFOを呼ぶバンド「エンバーン」のリーダーとして活動している。『商店街ポスター展』を仕掛け、佐治敬三賞を受賞。他、東京コピーライターズクラブ最高新人賞、ゆきのまち幻想文学賞など受賞多数。また、都築響一氏編集「ROADSIDERS' weekly」でも写真家として執筆中。ツッコミたくなる風景ばかりを集めた『隙ある風景』日々更新中。
栗田雅俊(くりた・まさとし)
電通zeroクリエーティブディレクター/コピーライター/CMプランナー
1981年岐阜県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、電通入社。最近の主な仕事に、サントリー「話そう」「デカビタC・元気すぎるご当地キャラ」、宝くじビンゴ5、KINTO、Netflix「リラックマとカオルさん」、パートナーエージェント「ドロンジョとブラックジャック」、カシワバラ「大規模修繕な人々」など。
2010年電通入社。2016年度東京コピーライターズクラブ最高新人賞を受賞した長崎自動車/長崎バスのシリーズ広告は、TCC賞とのダブル受賞となった。他、毎日広告デザイン賞優秀賞、日本民間放送連盟賞ラジオCM部門最優秀賞、FCC賞、CCN賞、CCN最高賞、OCC賞、FCC最高賞、広告電通賞OOH部門最優秀賞など。山梨県出身。
岡部将彦(おかべ・まさひこ)
1978年、大阪生まれ。関西大学卒業後、2000年電通入社。 以降17年間、CMプランナー、コピーライターとして数多くの広告を手がける。 2005年東京コピーライターズクラブ最高新人賞をはじめ、広告賞を多数受賞。 東京コピーライターズクラブ賞審査員、ACCラジオ部門審査員。 主な仕事に、トヨタ自動車「AQUA」「MIRAI」「PRIUS PHV」「C-HR」のテレビ、ラジオCM。「ほっともっと」のリブランディング「やっぱり、お弁当屋さんのおべんとうはおいしい。」プレイステーション発売20周年特別映像「みんなのゲーム愛にありがとう。」「決断を迫る山田」「山田、全力のモンハンワールドごっこ」他、各種ゲームタイトルのテレビCMを多数手がける。 近年は広告に限らず、ロックバンド マキシマム ザ ホルモン映像作品集(DVD)「Deka Vs Deka」の制作&コミュニケーションなど、コンテンツ領域でも活動。
日本に足りないのは「めっちゃ楽しそうにサッカーをする下手なおっさん」 欧州で目撃した、勝利(とビール)を真剣に目指す大人たち
https://number.bunshun.jp/articles/-/851448
↑
今日この記事を読んだのだが、私が知る現状とは違うと思ったので、少し書いてみる。
私は高校時代はクラブチームでプレーをし、その後は学生時代の友人や仕事を通じで知り合った人々と草サッカーを楽しんできた。そんなわけで、引退した今でもサッカーに真剣なガチ勢や、テレビの試合やウイニングイレブンを通じて、「ちょっと自分もプレーしてみたいな」なんて思って飛び込んでくる、サッカーエンジョイ勢の両方を私は知ってる。
地域としては関東圏に限定されるが、他の地域もそれほど誤差は無いと思う。
僕は、日本に一番足りていないのは、「めっちゃ楽しそうにサッカーをする、死ぬほどサッカーが下手なおっさん」だと思っています。
週末に、仕事終わりに、競技レベルの高低とは全く関係のない次元で、おっさんがユラユラと集まって、しかし真剣に、サッカーをする。11対11である必要は全くなくて(どうせ最後は走れなくなって2対3くらいになるのだから)4対4でも、6対6でも構わない。
僕は大学卒業まで日本でサッカーをしましたが、各年代のチームメイトで、週末だけでもサッカーを続けている人間は数えるほどしかいません。皆、短くない期間打ち込んできたにも関わらず、です。
それはサッカーがプレーするに足らない、魅力のないスポーツだからではなく、熱中していた時にあった序列的な空気構造がサッカーを「つまらなく」感じさせてしまったからではないでしょうか。「サッカーと自分の蜜月関係」の間に、上手くいかない、嘲笑される、誰かにジャッジされる、という横槍がザクザクと入り込んで、サッカーを「誰かより劣っていた記憶」として、あるいは「自らを序列に当てはめた記憶」として刻んでしまう。好きで始めたサッカーが、ヒエラルキーの象徴に化けてしまう。
↑
このようにあるが、これは一部の世界だと思う。と言うよりも草サッカーにも階層があって、サッカーの上手い人は上手い人同士でつるみたがる。サッカーの上手い人達にとって、素人と一緒にプレーするのは基本的には歯痒いモノなのだ。
ボールの蹴り方からディフェンス時のボジション取り、チームメイトの狙いを汲み取っての連動的なオフザボールの動き、挙げればキリが無いが素人とプレーをすると、その全てがどうしても気になってしまう。
実際に草サッカーと言えど、ある一定のレベルにあるメンバーがいないと分かると、予定をキャンセルするサッカー上級者も私は見たことがある。いわゆる「介護プレイはゴメンだぜ」ってやつだ。悪く言えば差別と言えるかもしれないが、実際にハイレベルな人間同士でないと実現できない領域はあって、それが実現できた時の快楽が何ものにも変えられない魅力に包まれてるのも事実だ。
確かに冒頭の記事の中野遼太郎さんが語るように、見えない序列はある。ただし一部の世界で。ガチガチの序列がある草サッカーチームは、そもそもチームの存続が難しい。
東京都内で考えてみる。
サッカーグランドを借りようと思うと、2時間で5000円~10000円ほどかかる。しかもナイターの照明代金が30分ごとに1700円なんでプランの場所がちらほら……。結構なお金がかかる上に時間制限まであるのだ。
「それなら埼玉や千葉の河川敷に行って勝手にボール蹴ってれば良いだろ?」と思うかもしれない。実はそれもNGだ。地域の職員さんが勝手に利用してないかチェックするために車で巡回をしている。河川敷もその地域に住む人が抽選をして初めて使える仕組みだったりする。意外にも誰でも自由に使って良い場所は都内には少ないのだ。
さらにまともにサッカーをやるには10人以上は確実に必要だ。10人でも5対5のミニゲームができるくらい。その人数を忙しい社会人の中から集めるのは至難の技だ。22人ならもっと難易度が上がるのは想像に難しくないと思う。
これは私の妄想だが、あらゆる草サッカーチームは慢性的な人手不足なんだと思う。
変に「サッカーの上手い人には従うべき」だとか、学生時代のノリでやろうと思うものなら、金はかかるしマウントは取られるしで簡単に人は離れ、そのチームは満足にサッカーができない状態に陥るだろう。
草サッカーで個人個人の技術向上を常に考え、常に大会で勝利することを目指すガチ勢のチームの運用は、本当に難易度が高い。だから私が知る限りサッカーをしたい人には、どれだけボールを蹴ったことがなかろうが、基本的にはウェルカムな姿勢のチームが多いと思う。
上の項で書いたが、サッカーは都心では金がかかる。しかも人数を集めるのが難しく、それを継続するのも、相当なサッカーに対するモチベーションやメンバー同士の絆が無いと難しい。
フットサル場もサッカーと変わらずあるいはそれ以上の料金(10,000円以上など)を覚悟しなくてはならない。しかし、仲間内だけでやるなら10人集めれば条件はクリア。さらに当日に集まった知らないメンバー同士でフットサルをする個サルのチョイスもある。個サルなら1人2000円程度で参加可能だ。
なのでサッカーよりもフットサルの方が、現状ではエンジョイ向きであり、そっちに多くの人が流れているのではないかと私は推測してる。
おそらく冒頭の記事の中野遼太郎さんは、草サッカーの中でも上手い人達の世界しか見てなかったのかもしれない。ちゃんと目を凝らすと「めっちゃ楽しそうにサッカーをする、死ぬほどサッカーが下手なおっさん」は結構見つけることが出来るハズだ。
今回の記事は日本サッカーの未来を憂いて書いたと推察する。しかし僭越ながら言わせてもらうと、あなたがもっと危機感を持つべきは、『金のかかるグラウンド』の存在だ。
現在東京を中心に関東圏では、どこでボールを蹴るにしても金がかかる。しかも時間制限もある。サッカーやフットサルにおいて2時間なんてスグだ。ちょっとプレイしてスグにその場所をどかないといけない。そんな状態で例え経験者と言えど、サッカーをわざわざチョイスする人が、どれだけいるのだろう??
また、これからの未来を担うサッカー少年に対しても、この現状はマイナス。自由に無料でサッカーができる場所があるから、自分の技を磨けるのにその場所が有料で時間制限があるのだから、どうやってサッカーを上手くなるのだろうか??高校サッカーでもクラブユースでも、首都圏ではなく地方のチームが強い理由が、ここに表れてると私は思う。
本来サッカーとはボールと仲間さえいれば、どこでも楽しめるものだが、その本質とズレた状態が、今の日本の大きな問題なんだと私は思う。
仮想システムを構築するにあたり、CIFS しか使えない NAS をバックアップ用に選定してきた SI 屋さんが居たので、CIFS と iSCSI のどちらが早いのか、試してみました。
テストに使う NAS は QNAP の Turbo NAS TS110
http://www.tekwind.co.jp/products/entry_6719.php
です。もう6年以上愛用して、カビが生えてもおかしく無い程に古いし, Marvell 800Mhz という低スペックな Qnap NASです。 100Mbps 時代のモノです。
昨年、HDDがお亡くなりになったので、3Tb の HDD に交換しました。ファームウェアはこんなに古い機械でも、QNAP シリーズの最新バージョンが利用できます。
iSCSI は、今あまり見なくなりましたが SCSI ケーブル規格や、SASケーブル接続のハードディスクを、一般的なIPネットワークで規格で仮想化したものです。
マウントするホストシステム側は iSCSI initiator, ディスクストレージの機能を提供する側を iSCSI Target と呼びます。
ホストから「マウントするしない」はイニシエータ側のソフトウェア的な操作で行います。これは便利な機能で、ディスクの故障などで、一時的に物理的に取り外さなければいけない場合でも、ホストからの操作だけで実際のケーブル結線の脱着を行う必要がないので、今時での SAS の外付けディスクドライブの様に、ホストもシャットダウンして電源を切り、結線を外して修理、交換する、という必要がないので、ディスクデバイスの修理をホストの電源を止めないで実施できると言う、実に便利な事ができます。
という事で、仮想環境では実に使いやすいストレージデバイスなのです。
マウントするホスト側から見ると単純に SCSI/SAS のハードディスクに過ぎません。iSCSI のストレージをマウントしてからは、通常の増設ディスクの様にフォーマットして、ホスト側で使う一般的な XFS, ext4, NTFS などのフォーマットでフォーマットする必要があります。
Linux の iSCSI ターゲット側からは、内部にターゲットとして使う「巨大なファイル」が、どん! とあるだけです。この巨大ファイルを、イニシエータ側に仮想ディスクイメージとして提供しています。当然シンプルな仮想イメージなので、ファイルそのものをバックアップコピーすれば、ストレージのイメージそのもののバックアップができます。
※ qnap NAS の場合、iSCSI イメージは、 /share/HDx_DATA/.@iscsi.img の下にドンと作られるようです。
[Solved]How to mount iSCSI file?
https://forum.qnap.com/viewtopic.php?f=180&t=25322
[/share/HDA_DATA/.@iscsi.img] # pwd
[/share/HDA_DATA/.@iscsi.img] #
[/share/HDA_DATA/.@iscsi.img] # ls -l
-rw------- 1 admin administ 6442450944 Nov 12 2017 iSCSI-2015ace1-5a078d66.000
-rw------- 1 admin administ 1073741824 Jun 24 09:52 iSCSI-lun4-5d0de534.000
-rw------- 1 admin administ 107374182400 Nov 4 2015 iSCSI-nss01-56399e1a.000
-rw------- 1 admin administ 5368709120 Nov 11 2017 iSCSI-nss2015-5a06cf6d.000
-rw------- 1 admin administ 21474836480 Jun 22 17:11 iSCSI-test-56b3ce90.000
-rw------- 1 admin administ 5368709120 Jun 22 17:11 iSCSI-test-56b3ce90.001
[/share/HDA_DATA/.@iscsi.img] #
※ とても重要
CIFS/NFS のファイル共有NAS と違い、iSCSI でマウントして一つのターゲットを制御できるのは、一つのホスト、一つのイニシエータだけです。複数のホストからイニシエータでマウントする(できちゃいます)と、ファイルの排他制御は行われないので、ファイルシステム自体の不整合が起こります。
つまりファイル共有という目的には向いていない、という事です。あくまでも iSCSI ターゲットはネットワーク上の仮想ディスクです。
もっとも、一つのホストからマウントしてファイルを保存して、いったんオフラインにして、ターゲットを別なホストからマウントする、という事はできます。また、ターゲットは一つの iSCSI デバイスで複数作れるので、1台の iSCSI 装置に複数のターゲットを実装して、複数のホストから別々のターゲットイメージをマウントする事は問題ありません。
極端な話、ホストのハイパーバイザーは USB メモリやSANブートさせて、後はマウントした iSCSI の仮想イメージ上で、仮想マシンを動かす、HDDレスなハイパーバイザー運用もできます。
物理的な転送速度は、ネットワークの速度とディスクデバイスの性能に依存します。当然 10Gb base のネットワークカード、HUB、高規格なケーブルを使えば、論理的な性能は 10Gbps です。大抵は NAS の性能がそこまで出ないのですけどね。ヨドバシカメラあたりで売っている 4,000 円程度の 1G HUB でも、そこそこの性能が出てしまいます。
距離は、IPがつながればどこでもなので、ホストコンピュータとメインのストレージを自社のサーバールームに置き、イニシエータを動かし、バックアップ用の iSCSI ターゲットをデータセンターに置く、なんてこともできます。
【送料無料】QNAP TS-431P2(ホワイト) NAS 4ベイモデル クアッドコア CPU / LAN 2ポート搭載 (TS431P2)
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感想(0件)
iSCSI の耳慣れない言葉に LUN (論理ユニット番号 : Logical Unit Number)というのがあります。
昔の SCSI は、 SCSI バスアダプタに7番のIDを振り、残りの 0 ~ 6 のディスクや CD, Tape などに ID を振り分ける物理的な3ビットのディップスイッチやジャンパ端子が付いていました。これが SCSI アドレスです。
これが実に難物でした。特に、複数の SCSI バスアダプタカードをデュプレクス設定する場合、割り込み番号も別々にするので、手が滑ってジャンパピンを飛ばして床を這いまわって探したり、難解なディップスイッチを前に数日悩んだものです。
つまり一つのSCSIバスには 0~7の合計8台(うち大抵7番はSCSI バスカード)の物理ユニットデバイスがつながって別々に見えたという仕組みだったわけです。
ところが SCSI バスを使った Raid コントローラが出てくると、ディスクの鈴なりが、一つの物理デバイスに見えてしまうわけです。これを「論理的な仮想番号」に分割して、システムからは、単一の鈴なり Raid ディスクを複数の論理番号に分割したわけですね。
これが LUN というヤツです。
iSCSI 機器のターゲットも、内部のソフトウェア的に複数の論理デバイスに分割して、複数のホストコンピュータから複数の物理デバイスのように見せかけるわけです。
別々な LUN は一つ、あるいは複数の iSCSI 機器によって、複数のホストに別々のディスクデバイスとして見せかけるンです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Logical_unit_number
Qnap NAS の場合、iSCSI ターゲットはウィザード形式で簡単に作成できます。EXT4 ファイルシステム上で、オンラインでも簡単にサイズの拡大ができるので、 Windows の Storage Server のように NTFS の VHD 形式ではないので、そこそこ性能が出ますが、いかんせん古さと遅さは否めません。
Qnap NAS の iSCSI ターゲットの設定は、偉そうな Linux 系サイトに書いてある程、面倒なことはありません。ストレージマネージャから iSCSI タブにあるウィザードに従って iSCSI ターゲット名に任意の名前を付けると IQN にその文字列が追加されるだけです。わざわざ vi エディタに「正確に」綴りを間違えずに設定する必要もありません。ここでは Chap 認証は付けませんでした。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16405779.jpg
機械は古いのですが、逆に言うと、「古くて遅い」ため、サーバーとNASとの接続プロトコルの性能差が、如実に現れる事になります。
QNAP TVS-951X 10GBASE-T/NBASE-Tポート内蔵
Windows10 の Microsoft 製 iSCSI イニシエータは「コントロールパネル」>「システムとセキュリティ」>「管理ツール」の中にあるので、ここで、設定済の iSCSI 「ターゲットを」 「検索」して選んで「接続」します。Chap 認証を付けておいた場合はターゲットで設定したパスワードが必要でしょう。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16412132.jpg
新規に作成して、接続した後は、フォーマットされていないため、ディスクマネージャからフォーマットして使います。ちなみに、フォーマットして利用した iSCSI ターゲットの仮想ディスクは、他のマシンでマウントすることもできます。つまりHDDを取り外して、他のPCに繋げる事と同じことですね。
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ちなみに opeSUSE で使うにはこんな感じになりました。
open SUSE Leap 15.1 で iSCSI NASを使ってハマった
https://islandcnt.exblog.jp/239328437/
一番イラつくのは、巨大なファイルの転送でしょう。という事で 3G 程ある SUSE Linux のインストール用DVDの ISO ファイルを CIFS でコピーしてみます。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16414334.jpg
3分11秒かかりました。1Gビットネットワークで 12~3% 程度の帯域を使って通信しています。明らかに古いNAS の性能が足を引っ張っているようです。
スループットは 150Mbps 程度で全体の最大15%程度でしょうか。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16415832.jpg
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16422170.jpg
初速は出るのですが、その後は、ボロイ TS-110 の性能がモロに出ます。それでも 20 MB/s から 25 MB/s 程度は出ています。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16423835.jpg
2分25秒でした。 大体20%程度のスループットです。
--
数字に弱い私の脳みそですが、 iSCSI は CIFS より 1.5倍くらい早い、という事が言えます。
Zabbix で QNAP TS-110 の I/O を見てみると、前半の CIFS アクセスより後半の iSCSI アクセスの山が高い事がよくわかります。
仮想化時代の NAS 選び - やっぱり iSCSI は早い。_a0056607_16425860.jpg
CIFS を使ったリモートディスクのマウントは、他のPCからもアクセスができる、というメリットがありますが、iSCSI は単一のホストからのアクセスしかできません。<--- これ重要.... -- もっとも、ターゲットストレージを複数作って複数のサーバーから異なるデータ領域にアクセスはできますが -- バックアップ用途や、サーバーの増設ストレージとして考えれば、良い選択であると言えます。
もっとも、iSCSI デバイスそのものは、ターゲット単位で別々なホストから接続できます。しかし同じターゲットで別々のホストからイニシエータから繋ぐと、とても笑いごとにならない事態になるので、普通やりません。
ハイパーバイザー同士で一つのターゲットを共有してライブマイグレーションはしたことはあります。
こうした性能のわずかな違いが、仮想化システムのハイエンドな領域で違いとなって出てきます。なお Qnap でも openiSCSI でも Windows Storage Server でも取った領域そのままのサイズのでかいファイルが作成されるようです。
国産 NAS の「ハイエンド」と称する「LANxxxx」などのモデルでは Windows Storage Server を使って NTFS フォーマットしています。Windows Storage Server は見た目 Windows サーバーそのものなのですが、ところどころちゃんとデチューンされているようで、SOHO向けが限度です。
こういった国産 NAS メーカーの製品カタログでは、「ハイエンド」は Windows Storage Server を搭載して、低価格のNASは Unix 系のシステムで「低価格」を謳っていますが、そもそも、上位モデルは、CPUやメモリの性能が高いものが使われています。性能が違うのは当たり前なのですが、あまり性能が出ないだろうと思います。
Windows Storage Server じゃなくて、ちゃんとした Windows Server と CAL 買えよな、という事なのですね。
このあたりは独自OSを NAS としてチューニングした Qnap や Synology, asuster などの iSCSI 機能付きの NAS を中規模ネットワークのミドルレンジの NAS として利用したほうが良いと思います。
仮想環境でのネットワークアタッチストレージ(NAS)は、本回線(構内LAN)とは切り離し、ストレージ専用のネットワークとして独立して運用させるのが基本です。サーバーとNAS間で凄まじい通信が発生します。サーバーNICが2ポート以上のものが推奨されます。
iSCSI はあくまでもネットワーク上のストレージのみの機能を提供するものであり、ファイル共有の手段ではない、という事です。
NAS をCIFSで使うと NAS が持つ独自のアクセス権限を設定しなければなりません。セキュリティも当然 NAS 独自の機能で設定します。
iSCSI はあくまでも「外付け SCSI デバイス」のネットワーク版なので、マウントする側のOSそのもののファイルシステム、セキュリティ機能、アクセス制限がホスト側の機能をそのまま利用できます。セキュリティ的には、マウントする際のパスワード制限しかないので、独自のストレージネットワーク内に配置すべきで、ユーザが使う構内ネットワークに配置すべきではありません。
FF、ドラクエの古き良き「思い出」を超えろ――絶滅危機を乗り越え、再注目されるドット絵
14
任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」の誕生から38年。16×16の四角形の集合体にすぎないドット絵の「マリオ」は世界の人々をとりこにした。ゲームは進化して実際の映像に近づく中で、衰退したはずのドット絵が復興し、若い世代にも広がっている。その魅力とは。(取材・文:河村鳴紘/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
今年5月、「ドラゴンクエスト3」のリメイク(対応ハード未定)が発表された。公開されたティザームービーにはキラキラと光を反射する水面や、住人の息づかいが感じられる町の灯りと影の世界が描写されている。
こうした臨場感あふれる表現を可能にしたのが「HD-2D」だ。四角い点を枡目状に並べて表現するレトロなドット絵に3DCGを融合させる手法で、懐かしさと新しさが同居する不思議な魅力がある。
「ドットに関しては『今の時代にこれか』というユーザーの声ももちろんあるんです」
そう語るのは株式会社スクウェア・エニックスのプロデューサー・高橋真志さん。
高橋さんの制作チームでは「狭くともちゃんとユーザーに刺さるものを作ろう」というコンセプトのもと、ドット絵ベースのゲーム制作を開始した。
初めて「HD-2D」を採用したタイトルは、2018年にリリースした「オクトパストラベラー」だ。同作では試行錯誤の末に「HD-2D」というアプローチを見いだした。
「『ファイナルファンタジー5』や『6』のようなドット絵を目指そうとやって……できた試作版の感想が、いい意味でいうと “懐かしいね”、悪い意味でいうと“古臭い”というものでした」
明らかに試作版の方が昔のものよりきれいな絵なのに、なぜか「劣る」ように思えてしまったのだ。
「それは過去の思い出が美化されてしまう『思い出補正』のせいでした。私は初めてスーパーファミコンでプレーしたのが『ファイナルファンタジー5』なのですが、当時の体験とともにドット絵が原風景として強く残っているんです。ユーザーさんも同様に感じ取ってしまうはずだから、その分の下駄を何で履かせるか考えた先に3Dに行き着きました」
FF、ドラクエの古き良き「思い出」を超えろ――絶滅危機を乗り越え、再注目されるドット絵
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任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」の誕生から38年。16×16の四角形の集合体にすぎないドット絵の「マリオ」は世界の人々をとりこにした。ゲームは進化して実際の映像に近づく中で、衰退したはずのドット絵が復興し、若い世代にも広がっている。その魅力とは。(取材・文:河村鳴紘/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
今年5月、「ドラゴンクエスト3」のリメイク(対応ハード未定)が発表された。公開されたティザームービーにはキラキラと光を反射する水面や、住人の息づかいが感じられる町の灯りと影の世界が描写されている。
こうした臨場感あふれる表現を可能にしたのが「HD-2D」だ。四角い点を枡目状に並べて表現するレトロなドット絵に3DCGを融合させる手法で、懐かしさと新しさが同居する不思議な魅力がある。
「ドットに関しては『今の時代にこれか』というユーザーの声ももちろんあるんです」
そう語るのは株式会社スクウェア・エニックスのプロデューサー・高橋真志さん。
高橋さんの制作チームでは「狭くともちゃんとユーザーに刺さるものを作ろう」というコンセプトのもと、ドット絵ベースのゲーム制作を開始した。
初めて「HD-2D」を採用したタイトルは、2018年にリリースした「オクトパストラベラー」だ。同作では試行錯誤の末に「HD-2D」というアプローチを見いだした。
「『ファイナルファンタジー5』や『6』のようなドット絵を目指そうとやって……できた試作版の感想が、いい意味でいうと “懐かしいね”、悪い意味でいうと“古臭い”というものでした」
明らかに試作版の方が昔のものよりきれいな絵なのに、なぜか「劣る」ように思えてしまったのだ。
「それは過去の思い出が美化されてしまう『思い出補正』のせいでした。私は初めてスーパーファミコンでプレーしたのが『ファイナルファンタジー5』なのですが、当時の体験とともにドット絵が原風景として強く残っているんです。ユーザーさんも同様に感じ取ってしまうはずだから、その分の下駄を何で履かせるか考えた先に3Dに行き着きました」
再び活況を取り戻したドット絵ゲームだが、2006年ごろになると、モバイルゲームのトレンドはMobageやGREEなどのプラットフォームが提供する「美麗カードゲーム」へと移っていく。小林さんも現場から退きディレクター職に軸足を置いていた。またもドット離れの時代の到来か……。そんな諦念を払拭したのが、2013年にエイリムから出たスマートフォンアプリゲーム「ブレイブ フロンティア」だ。ドット絵ベースRPGにスマートフォンのタップ操作を掛け合わせたゲーム性が90年代のゲームファンを魅了。全世界で合計3800万ダウンロードを記録する大ヒットとなった。
勢いに乗るエイリムにいた元同僚から声がかかり、小林さんも再びドッターとして腕を振るうこととなった。現場では、ユーザーのダイレクトな反応にも触れることができた。
「『やっぱりドット絵好きです』っていう声が、具体的に上がるようになったんです。過去の産物とかではなく、ドット絵はドット絵でいいよね、って認識できました」
さらに大きなうねりをもたらしたのは海外のインディーズゲームだった。
2011年に正式リリースされた「マインクラフト」はドットテイストの3Dブロックによって自由に世界を構築するゲーム。複雑な造形物を描くにはドット絵の素養が必然的に要求される。さまざまなプラットフォームに配信され2億本以上売り上げるなど、一大ブームを巻き起こした。
(Christian Petersen/Getty Images News/ゲッティイメージズ)
完全ドットベースのインディーズゲームでは2015年リリースの「Undertale」もその代表格だ。アメリカのゲームクリエイターであるトビー・フォックス氏の個人開発で、100万本以上の売り上げを誇る。モンスターのすむ地底世界を舞台に、子どもが地上に戻るための冒険をする……という内容だ。ゲーム好きをうならせるストーリーと個人開発とは思えぬほどの異常な細部へのこだわりが熱狂的なファンを獲得し、口コミで広がっていった。
CGに比べて制作コストの低いドット絵はインディーズゲームクリエイターに好まれた。しかし、あくまでクリエイターの趣味の領域にとどまり、それ以上の広がりにはつながりにくい一面もあった。そこにSteam等のゲーム配信プラットフォームや、Twitter、YouTubeといったSNSの普及もあいまって多くの人の目に触れ、ドット絵の灯が紡がれたといえる。特にマインクラフトに関してはティーン層にも広くリーチし、新たなドット絵ユーザーの拡大に大きく寄与している。
テレビゲームからモバイルゲームへと、時代に応じて活躍の場を広げてきたドット絵。
近年はゲームの世界だけでなく、「ピクセルアート」のように、ドット絵をゲーム以外の文脈と接続しながら新たな魅力を発信する試みもある。
シブヤピクセルアート プロデューサー 小野氏(左)・代表 坂口氏(右)
東京・渋谷で2017年から毎年展開されるアートイベント「SHIBUYA PIXEL ART」。
「近年、街がDX化される中で、文化的なものを組み込みたいと考えた」
「ゲーム文脈から拡張されたピクセルアートを、多様な形で展開できる場所として渋谷を選んだ」
現在は50人以上のクリエイターが国内外から参加し、大手企業による協賛やアーティスト・ゆずとのコラボレーションなど盛り上がりを見せている。
参加クリエイターのうち、3割が10~20代と若い。彼らにはドット絵のシンプルな技法が新鮮に映るという。また、四角形の集合体で構成するドット絵に対して縦横ではなく「斜め」の線を使い物議を醸すなど、“常識”に挑む斬新なアプローチが光る。
バウエル・ジゼル・愛華さん
「SHIBUYA PIXEL ART 2021」で優秀賞を受賞した高校生モデルのバウエル・ジゼル・愛華さんもその一人。ドット絵をプログラムで動かすYouTubeの企画がきっかけで、ドット絵を描くようになった。「少ないピクセルの中でどれだけきれいに描けるか、というのが楽しい」と話す。下書きもせず何となくテーマを決め、タブレットとペンでバランス良くモノを配置しながら作りあげてしまう。
「SHIBUYA PIXEL ART 2021」で優秀賞を受賞したバウエルさんの作品
「粗いドットのデジタルの雰囲気が逆に新しい」とバウエルさん。ドット絵は新たなファン・クリエイターを取り込みながら、活躍の場を広げている。
新世代も取り込みながら進化を続けるドット絵。制作中の「ドラゴンクエスト3 HD-2D リメイク」にも、新たな可能性を示す仕上がりを期待したい。
いや、そりゃあ分かるよ、フェミニズムの領域からは、産婦人科医療が特に問題視されるのは
でも産婦人科の問題ばっかり騒がれて、それ以外の医療の問題点はまるで一切存在しないかのように語られる事には違和感ある。
患者個人の行動とは必ずしも因果関係が認められない歯科疾患やいわゆる生活習慣病なんかだって、自己責任論で思い切り叩かれてるよ?それに比べたら妊娠はセックスさえしなければ確実に避けられる訳で、因果関係はばっちりあるじゃん。
掻爬法による妊娠中絶は身体に負担を与えるからやめるべきだと思っているし、海外各国で薬による中絶が主流なら日本もそれにすべきだと思う。値段も下げられるならそうすべきだと思う。
でもさあ、妊娠中絶ってレイプでもない限り避けられるじゃん。仮にレイプだとしても産んだ上で養子に出すって手段もあるし、中絶は誰もが当たり前のように行う手段ではない。
それに比べたら歯一本につき何十万円と罹る自費の根幹治療やセラミック、100万単位の金が飛ぶ歯列矯正、わざわざ自分で用意しなければならない糖尿病専用食なんかの方がずーーーっと大変だし患者に理不尽な負担を強いていると思うんだけど
女性に不利なのって何も妊娠や産婦人科疾患に限った話ではなく、全般的な給与の低さからあらうる医療負担は重くのしかかってくるというのに。
死刑存置派として、個人的な考えを書き記して残すことにした。これを書くのは「死刑廃止派って何がきっかけでそうなるの?」と題する増田を読んだのが切っ掛けである。
あくまでも現時点で死刑存置派なのであって、私が未来永劫、死刑反対派にならないとは限らない。
私は人文・社会科学を修めていない人間なので、専門知識がある人から見れば、私が述べることには愚かなところが多々見つかるであろう。しかし、死刑について広く社会的な議論が行われるべきであるとするならば、私のような市井の愚か者一人の考えをサンプルとして書き残して提出しておくことにも、何らかの意義はあるであろう。
「馬鹿の考え、休むに似たり」とも言うが「お前が考える程度のことは、既に先人が考え尽くし、議論し尽くしている」と、学習すべき資料などを御教示してもらえれば幸いである。
最初は箇条書きのメモ程度にするつもりだったのだが、書いているうちに思ったよりも長くなったので、分割して投稿する。
本稿では、犯罪や死刑に関連した考え、人間観とか世界観とでも呼ぶべきことについて記す。
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細胞というものは、ある程度の自立性は有るものの、基本的には有機体の一部としてしか生きていく術はない。そのため、細胞同士が連携して、有機体全体の存続を図ることには価値がある。
犯罪とは「社会という有機体の内部で発生する、病理現象」である。社会という有機体の存在無しには、犯罪という現象は起こりえない。
犯罪者とは、社会という有機体にとって「病理を引き起こす、悪変した細胞」である。
犯罪とは「悪変した細胞が、他の健康な細胞に害を及ぼす現象」である。この「害」には2種類がある。それは
・害(1):他の細胞を餌食にすること=同じ社会の構成員である、他の人間を犯罪の被害者にすること
・害(2):他の細胞を悪変させること=同じ社会の構成員である他の人間を、自分と同じく犯罪者にすること(共犯関係に引き込むことや、犯行動機の思想や犯行手口等に関する情報を与えることによって模倣犯化させること等を指す)
の2種類である。したがって、仮に社会という有機体から全く独立/孤立した状態の細胞(=構成員たる人間)が存在するとしたら、犯罪という病理現象を引き起こすことはできない。害を及ぼす対象が存在しないからである。
犯罪を「病理現象」と見なすならば、対処方法は大きく3つに分けられる。ただし、互いに完全に分離することが可能という訳ではなく、重なる部分もある。
・対処(3):リハビリテーション=治療が終了した後の元・悪変細胞や、悪変細胞によって害を被った周囲の健康な細胞へのアフターケア
捜査・逮捕・裁判・刑罰という一連の司法的な処理は、このうち対処(2)に該当する。死刑やそれに相当するような犯罪に関する話とは関係が少ないので割愛するが、対処(1)・(3)に該当するのは、主に教育、経済的援助などの社会的なセーフティーネットである。ただし、死刑以外の刑罰を受けている間、犯罪者が更生教育を受けることもあるので、ここまで簡単に3つの領域を分離できるわけではないことは承知している。
死刑に処すほどではない犯罪者は「健康な状態に戻すことが可能な細胞」である。
死刑に相当する犯罪者は「除去するしか方法が無いガン細胞」である。また、ガン細胞は単独活動による害だけでなく、周囲にシグナル(情報)を発して、他の健康な細胞を悪変細胞に変えて、ガン細胞の集団を生み出すこともある。
現時点の私が、死刑の存置に賛成する根底には、このような人間観/世界観がある。死刑反対派と存置派の対立を理解するには、両者の間に人間観/世界観の相違が有ることを踏まえる必要があると思ったので、私のそれを書いた。
おそらく、死刑反対派と存置派を分けるのは、個人の自由に至上の価値観を見出すか否かの相違ではないか。個人の自由に至上の価値観を見出すことで「死者は権利を主張しない」「だから、死んだ人間のことを考えても仕様がない」「それよりも、生きている人間である、加害者のことを優先的に考えるべきである」という考えに行き着くのではなかろうか。
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クリエイティブな仕事をする人はアウトプットを大量に出すことが大事だけれど
優れたUIを作る人は普段からいろんなUIに触れて使い倒している
創作の基本は模倣から、というのと同じでとにかくインプットを増やさないとアウトプットは出ない
インプットの無いアウトプットは駄作か同じものばかりになるか、途中で飽きて何も出てこなくなる
逆にインプットばかりが多くてアウトプットしないとどんどん肥えていく
評論家という形のアウトプットに落ち着いてクリエイティブなことはできなくなるか
模倣やくだらないもののアウトプットをたまに出すだけになってしまう
便秘気味でたまに固いのを出すか水洗では処理しきれない量を出して困らせる状態と同じだ
このあたりはクリエイティブな業界では概ねコモンセンスとして受け入れられてきていたが
最近思うのはこれは人生においてもあてはまるのではないか、ということだ
学生時代にインプットとアウトプットを繰り返してとにかく社会に早く出ようとするような人達がいる
いわゆる意識高い系と呼ばれている彼らだが
彼らは学生時代や社会人になって数年ほどはそれなりに活躍するものの
その後に伸び悩むことが非常に多い
少量のインプットに対して少量のアウトプットを繰り返し、細々と先端領域に住み着いているように見受けられる
先端領域だから食べられるご飯も少なく、少し食べたらすぐにウンコしてるような胃が小さい人種に育ちがちだ
一方で30台後半ぐらいからメキメキと活躍をするような中年層のクリエイターは
学生時代や社会人の初期に多くの経験という名のインプットを行い
アウトプットはそこそこで腹にため込みながら
この頃になると逆にインプットを減らし、アウトプットを増やすことでモリモリとアウトプットをし続ける
アウトプットされたものはすぐには流されないのでしばらく滞留することになるが
これは大きいと思う。パワーユーザーもかなりノートPCで済むようになった。ゲームとバカでかいストレージを除けば巨大なデスクトップも要らないし、2TBでもSSDで済むなら大半の用途はノートでいい。昔は趣味と実益(安さと高性能)を兼ねられたから自作PCは良かったのだが、実益の部分でノートに移行したユーザーは多いと思う。
10TBとかHDDをたくさん積むようなのは動画コレクターぐらいになってしまった。
・ゲーミングPC
つまり、物語にガベージコレクションの機能があれば、自然と伏線は回収されるのではないか
参照をカウントしてゼロになったときにデストラクタが発動するだけでも構わない
つまり、スコープから外れるとスタックなどに確保された変数の領域が開放されるように、
物語のある地点のスコープに含まれるもの、近くてどうでもいいものは記憶からも消えていく
しかし、グローバルではないが、どれだけ広範囲なのか分からない伏線のようなものがあり、
物語が如何に進行しようとも、そのポインタだけはキープしている
ときどき登場人物が思い出したかのように伏線を語るとき、参照カウントが追加される
そうやってカウントが増えたり減ったりして、
最後は大団円でauto release poolの中に登録された伏線がドバーッと開放されていく
だから伏線にはポインタのように誰が所有しているとか責任を取るべきみたいな概念が当てはまるのかもしれない
つまるところ、メモリにゴミを置いたままプロセスが終了するということであり、
それでも問題ないのはOSのように周囲が尻拭いしてくれるからである
作者はコアダンプを吐くべきだ
先日、ラグジュアリー・トラベルをテーマにしたシンポジウムで基調講演を行ってきました。
「量か単価か」でも整理しましたが、ラグジュアリー、富裕層に向けた対応を行うことは労働生産性の向上に寄与し、絶対的な人数を抑えることで、いわゆるオーバーツーリズム問題にも対応できるようになることが期待されます。
でも、現実的には、なかなか、このラグジュアリー対応は現場では進みません。
日本はバブル期まで製造業社会であり、一億総中流とも呼ばれていたことに加え、日本型社会主義と指摘されるように、全体主義的発想、社会の階層化に対する否定的な発想が高く、富裕層に切り込んだ対応をすることは一般的ではなありませんでした。
基本的なマーケティング用語である「差別化」という言葉自体、かつては使うことが憚られたと聞いたこともあります。
今でも、行政や地域レベルでは、ターゲッティングによって、客層を絞り込むことに難色を示されることは少なくありません。端的に言えば、ラグジュアリー市場「にも」なら問題ありませんが、ラグジュアリー市場「に」となると、一気にハードルが上がるわけです。
一方、事業者サイドから見れば、前述のコラムで示したように、ミドル層の市場が膨張しており、ここにミートしていけば売り上げは増えていく訳で、対象市場をアッパー層に向けアップグレードする動機は弱い。
さらに、事業者の立場からみてラグジュアリー市場が「美味しくない」のは、その利益率が低いからです。
単価が高いのに、利益率が低い? とは、理解しがたいことかもしれませんが、論より証拠。世界最大級のホテルチェーン、マリオットのIR情報からセグメント別の単価と利益率を見て見ましょう。
マリオットグループのセグメント別単価及び利益率(IR情報より)
まず、単価を見てみるとラグジュアリー・セグメントではADR(平均1日単価)は$300前後、RevPAR(販売可能部屋数あたりの売り上げ単価)は$200強となっています。その下のフルサービス・セグメントでは、ADRが$170前後、RevPARは$120といったところ。これが、バリュー・クラスとなるアンリミテッドサービス・セグメントではADRが$130、RevPARは$100を割り込むことになります。
一方、利益率について見てみると、アンリミテッド・サービスは20%を超えるのに対して、ラグジュアリー・セグメントと、フルサービス・セグメントを合算した「フルサービス・セグメント」では10%にも届きません。
マリオットグループでは、収益についてはホテルブランド単位では公表しておらず、ラグジュアリーとフルサービスを合算したものしか出していません。
フルサービス・セグメントの利益率は2016年に上昇していますが、このタイミングで、マリオットグループは、スターウッドグループを買収しています。スターウッドグループのホテル(W、シェラトン、ウェスティンなど)が加わったことが原因と考えられます。
Wは数が限られることを考えれば、利益率の上昇に貢献したのは、ミドルクラスとなるシェラトン、ウェスティンであったと考えるのが自然でしょう。
絶対的な売り上げと利益額を見ても、スターウッドグループ買収前の2015年では、売り上げ(Revenues)はフルサービスの方が高いものの、収益(Profits)ではリミテッドサービスの方が高い状態でした。
買収後は、フルサービスの方が収益も高くなりましたが、これは(ミドルクラスである)シェラトン、ウェスティンの貢献でしょう。とは言え、売り上げではフルサービス$14,300ミリオン、リミテッドサービス$4,002ミリオンと3倍近い差があるのに、収益では$1,182ミリオン対$816ミリオンとかなり接近します。
マリオットグループのセグメント別売り上げと収益(IR情報より)
これらの結果は、ラグジュアリー・セグメントは「単価は高いが、儲からない」ということを示しています。単純な儲けだけを考えれば、バリュークラス、アンリミテッドサービス・セグメントに特化した方が良いとも言えます。
グループ全体で採算を合わせる
にも関わらず、なぜ、マリオットグループがJWやリッツ・カールトンといったラグジュアリー・ブランドを展開するのかと言えば、トップを作ることによって、バリュークラスのホテルにまで、そのブランド力を浸透させ、その競争力を高めるためだと言われています。
例えば、稼ぎ頭であるリミテッドサービスのコートヤードは、ADRを見ればわかるように、日本で言えば、一般的なビジネスホテル(北米は、全般的に日本より宿泊料は高い)であり、付加価値での勝負は難しい(=価格競争に陥りやすい)領域です。でも、ここに「バイ マリオット」をつけることで、マリオットグループという価値を持つようになります。本家のマリオットに比べれば、サービスは限定されるものの、マリオットに対してロイヤルティをもつ顧客は選好しやすくなります。また、CRM、ロイヤルティ・プログラムは共通化されているので、いわゆる「ポイント狙い」の人からも選好されることになります。
これは、マリオットのブランド力を高く評価してくれる市場では、特に有効です。例えば、銀座にできたコートヤードは、一泊3万円位で出ています。これは、北米のADRの倍近い金額であり、北米であればJWクラスです。
どういう交渉の結果、こうなったのかわかりませんが、マリオットというブランド力が作用しているのは否定できません。
また、若者であるミレニアムズ(多くは、まだ、富裕層では無い)にブランドの入り口として、バリュークラスのホテルを使ってもらうことで、生涯を通じた顧客になっていってもらうということも狙っていくことができます。星野リゾートが、近年、ビジネスホテル市場に乗り出しているのは、おそらく、これが狙いです。
つまり、ラグジュアリー・ホテルは、それ単体で儲けていくことは難しく、稼ぎ頭となるバリュークラスをグループ内にもち、全体で収益を確保していくということが必要になるわけです。
国内では、こういう取り組みをしているホテルチェーンは限定されているため、外資が入らなければラグジュアリー対応が進まないのは、ある意味、当然の帰結です。
ただ、これはホテル事業者の立場から見た時の話であり、地域としては、やはり、ラグジュアリー市場はとても「美味しい」市場です。
なぜなら、ホテルの売り上げが高いのに、収益が低いということは、その売り上げを立てるために各種の調達をしているということだからです。
端的な例は人件費です。
ラグジュアリー・セグメントでは、対応力の高さが求められますから、より質の高い人材を多く雇用することになります。これは働く側からすれば、自身のレベルを高めれば、キャリアパスが開けるということになります。
また、ラグジュアリー・セグメントでは、食材が「地のものである」「安全なものである」ということは売り上げと顧客満足を高めることに寄与します。これは、ラグジュアリー・セグメントを利用する顧客が「そうした価値観」と「経済力」を持っているからです。そのため、地元の農業者、漁業者は、こだわりを持った良いものをしっかり作った際の販路が広がることになります。
工芸品などについても同様です。部屋の調度品にしても、売店での取扱商品にしても、単価と顧客満足を高めるに、ホテルは、どこにでもあるものを並べるのではなく、できるだけオリジナルであり、ストーリー性を持ったもの(なぜ、ここにそれがあるのかを訴えられるもの)を揃えることが求められます。そうしたホテルの需要に応えていけば、多くの商工業者は、自身のこだわりを経済価値に変えていくことが出来るようになります。
ただし、こうした波及効果は、ラグジュアリー・セグメントのホテルを中心に、富裕層の利用が持続的に行われていくことが必要です。
持続的な取引関係がなければ、人材が自身のキャリアを掴んでいくことも、農業者や商工業者などが、こだわりを持った商品サービスづくりに取り組んでいくことも出来ないからです。
その意味で、単発のラグジュアリー旅行を誘致しても、地域にはほとんど恩恵はありません。瞬間的な売り上げには繋がっても、人材面についても経済的についても効果は極めて限定的だからです。
しかしながら、前述のように、ホテル側としては収益面だけを見れば、サービスを限定し、大量の顧客をさばく方が儲かるわけで、そちらに動こうとする動機が常に存在します。例えば、ラグジュアリー・セグメントであるにも関わらず修学旅行を受け入れる…というのは、そういう選択の結果でもあります。
そういう動きを抑え、ラグジュアリー・トラベルの恩恵を地域が受け取っていくためには、恩恵を受ける地域としても、核となるホテルが収益を確保出来、ブランド力を高められることが必要条件です。
例えば、富裕層は環境問題や健康問題に対する意識も高い傾向にあります。そうした価値観に合わせ、地域全体で環境負荷の高い製品(例:プラスチック製のストロー)を使わないようにしたり、ジョギングが出来るトレイルを整備したりといったことが考えられます。
地域とホテルが、適切なパートナーシップを組んで一緒に取り組むことで、富裕層が滞在したいと思うデスティネーションになることが出来るということを認識しておきたいところです。