「フロック」を含む日記 RSS

はてなキーワード: フロックとは

2024-10-24

anond:20241024142503

泥縄でもフロックでも勝てば官軍

たとえでもなんでもなく候補者たちが泣いたり喚いたりしてる選挙戦真っ只中に

こういうカスの建前論出してきて何の意味があるんだかな

2024-10-02

九  与次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た。その時三四郎は黒い紬の羽織を着た。この羽織は、三輪田のお光さんのおっかさんが織ってくれたのを、紋付に染めて、お光さんが縫い上げたものだと、母の手紙に長い説明がある。小包みが届いた時、いちおう着てみて、おもしろくないから、戸棚へ入れておいた。それを与次郎が、もったいないからぜひ着ろ着ろと言う。三四郎が着なければ、自分が持っていって着そうな勢いであたから、つい着る気になった。着てみると悪くはないようだ。  三四郎はこのいでたちで、与次郎と二人で精養軒の玄関に立っていた。与次郎の説によると、お客はこうして迎えべきものだそうだ。三四郎はそんなこととは知らなかった。第一自分がお客のつもりでいた。こうなると、紬の羽織ではなんだか安っぽい受け付けの気がする。制服を着てくればよかったと思った。そのうち会員がだんだん来る。与次郎は来る人をつらまえてきっとなんとか話をする。ことごとく旧知のようにあしらっている。お客が帽子外套給仕に渡して、広い梯子段の横を、暗い廊下の方へ折れると、三四郎に向かって、今のは誰某だと教えてくれる。三四郎はおかげで知名な人の顔をだいぶ覚えた。  そのうちお客はほぼ集まった。約三十人足らずである広田先生もいる。野々宮さんもいる。――これは理学者だけれども、絵や文学が好きだからというので、原口さんが、むりに引っ張り出したのだそうだ。原口さんはむろんいる。いちばんさきへ来て、世話を焼いたり、愛嬌を振りまいたり、フランス式の髯をつまんでみたり、万事忙しそうである。  やがて着席となった。めいめいかってな所へすわる。譲る者もなければ、争う者もない。そのうちでも広田先生のろいにも似合わずいちばんに腰をおろししまった。ただ与次郎三四郎けがいっしょになって、入口に近く座を占めた。その他はことごとく偶然の向かい合わせ、隣同志であった。  野々宮さんと広田先生あいだに縞の羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司という博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授であるフロックを着た品格のある男であった。髪を普通の倍以上長くしている。それが電燈の光で、黒く渦をまいて見える。広田先生坊主頭と比べるとだいぶ相違がある。原口さんはだいぶ離れて席を取った。あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。折襟に、幅の広い黒襦子を結んださきがぱっと開いて胸いっぱいになっている。与次郎が、フランスの画工は、みんなああいう襟飾りを着けるものだと教えてくれた。三四郎肉汁を吸いながら、まるで兵児帯の結び目のようだと考えた。そのうち談話だんだん始まった。与次郎ビールを飲む。いつものように口をきかない。さすがの男もきょうは少々謹んでいるとみえる。三四郎が、小さな声で、 「ちと、ダーターファブラをやらないか」と言うと、「きょうはいけない」と答えたが、すぐ横を向いて、隣の男と話を始めた。あなたの、あの論文を拝見して、大いに利益を得ましたとかなんとか礼を述べている。ところがその論文は、彼が自分の前で、さかんに罵倒したものから三四郎にはすこぶる不思議の思いがある。与次郎はまたこっちを向いた。 「その羽織はなかなかりっぱだ。よく似合う」と白い紋をことさら注意してながめている。その時向こうの端から原口さんが、野々宮に話しかけた。元来が大きな声の人だから、遠くで応対するにはつごうがいい。今まで向かい合わせに言葉をかわしていた広田先生庄司という教授は、二人の応答を途中でさえぎることを恐れて、談話をやめた。その他の人もみんな黙った。会の中心点がはじめてできあがった。 「野々宮さん光線の圧力試験はもう済みましたか」 「いや、まだなかなかだ」 「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」 「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理実験はそううまくはいかない」 「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」  隣に田村という小説家がすわっていた。この男は自分インスピレーション原稿の催促以外になんにもないと答えたので、大笑いになった。田村は、それから改まって、野々宮さんに、光線に圧力があるものか、あれば、どうして試験するかと聞きだした。野々宮さんの答はおもしろかった。――  雲母か何かで、十六武蔵ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶の糸で釣るして、真空のうちに置いて、この円盤の面へ弧光燈の光を直角にあてると、この円盤が光に圧されて動く。と言うのである。  一座は耳を傾けて聞いていた。なかに三四郎は腹のなかで、あの福神漬の缶のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。 「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。 「野々宮さん、水晶の糸がありますか」 「ええ、水晶の粉をね。酸水素吹管の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」  三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織批評家が口を出した。 「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」 「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフという人がはじめて実験証明したのです。近ごろあの彗星の尾が、太陽の方へ引きつけられべきはずであるのに、出るたびにいつでも反対の方角になびくのは光の圧力で吹き飛ばされるんじゃなかろうかと思いついた人もあるくらいです」  批評家はだいぶ感心したらしい。 「思いつきもおもしろいが、第一大きくていいですね」と言った。 「大きいばかりじゃない、罪がなくって愉快だ」と広田先生が言った。 「それでその思いつきがはずれたら、なお罪がなくっていい」と原口さんが笑っている。 「いや、どうもあたっているらしい。光線の圧力は半径の二乗に比例するが、引力のほうは半径の三乗に比例するんだから、物が小さくなればなるほど引力のほうが負けて、光線の圧力が強くなる。もし彗星の尾が非常に細かい小片からできているとすれば、どうしても太陽とは反対の方へ吹き飛ばされるわけだ」  野々宮は、ついまじめになった。すると原口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言で、人々はもとのとおりビールの気分に復した。広田先生が、こんな事を言う。 「どうも物理学者は自然派じゃだめのようだね」  物理学者と自然派の二字は少なからず満場の興味を刺激した。 「それはどういう意味ですか」と本人の野々宮さんが聞き出した。広田先生説明しなければならなくなった。 「だって、光線の圧力試験するために、目だけあけて、自然を観察していたって、だめだからさ。自然献立のうちに、光線の圧力という事実印刷されていないようじゃないか。だから人工的に、水晶の糸だの、真空だの、雲母だのという装置をして、その圧力物理学者の目に見えるように仕掛けるのだろう。だから自然派じゃないよ」 「しか浪漫派でもないだろう」と原口さんがまぜ返した。 「いや浪漫派だ」と広田先生がもったいらしく弁解した。「光線と、光線を受けるものとを、普通自然界においては見出せないような位置関係に置くところがまったく浪漫派じゃないか」 「しかし、いったんそういう位置関係に置いた以上は、光線固有の圧力を観察するだけだからそれからあとは自然派でしょう」と野々宮さんが言った。 「すると、物理学者は浪漫自然派ですね。文学のほうでいうと、イブセンのようなものじゃないか」と筋向こうの博士比較を持ち出した。 「さよう、イブセンの劇は野々宮君と同じくらいな装置があるが、その装置の下に働く人物は、光線のように自然法則に従っているか疑わしい」これは縞の羽織批評家言葉であった。 「そうかもしれないが、こういうことは人間研究上記憶しておくべき事だと思う。――すなわち、ある状況のもとに置かれた人間は、反対の方向に働きうる能力権力とを有している。ということなんだが、――ところが妙な習慣で、人間も光線も同じように器械的の法則に従って活動すると思うものから、時々とんだ間違いができる。おこらせようと思って装置をすると、笑ったり、笑わせようともくろんでかかると、おこったり、まるで反対だ。しかしどちらにしても人間に違いない」と広田先生がまた問題を大きくしてしまった。 「じゃ、ある状況のもとに、ある人間が、どんな所作をしてもしぜんだということになりますね」と向こうの小説家が質問した。広田先生は、すぐ、 「ええ、ええ。どんな人間を、どう描いても世界に一人くらいはいるようじゃないですか」と答えた。「じっさい人間たる我々は、人間しからざる行為動作を、どうしたって想像できるものじゃない。ただへたに書くから人間と思われないのじゃないですか」  小説家はそれで黙った。今度は博士がまた口をきいた。 「物理学者でも、ガリレオ寺院釣りランプの一振動時間が、振動の大小にかかわらず同じであることに気がついたり、ニュートン林檎が引力で落ちるのを発見したりするのは、はじめから自然派ですね」 「そういう自然派なら、文学のほうでも結構でしょう。原口さん、絵のほうでも自然派がありますか」と野々宮さんが聞いた。 「あるとも。恐るべきクールベエというやつがいる。v※(アキュートアクセント付きE小文字)rit※(アキュートアクセント付きE小文字) vraie. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう猖獗を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。小説だって同じことだろう、ねえ君。やっぱりモローや、シャバンヌのようなのもいるはずだろうじゃないか」 「いるはずだ」と隣の小説家が答えた。  食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに九段の上の銅像悪口を言っていた。あん銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。それより、美しい芸者銅像でもこしらえるほうが気が利いているという説であった。与次郎三四郎九段銅像原口さんと仲の悪い人が作ったんだと教えた。  会が済んで、外へ出るといい月であった。今夜の広田先生庄司博士によい印象を与えたろうかと与次郎が聞いた。三四郎は与えたろうと答えた。与次郎は共同水道栓のそばに立って、この夏、夜散歩に来て、あまり暑いからここで水を浴びていたら、巡査に見つかって、擂鉢山へ駆け上がったと話した。二人は擂鉢山の上で月を見て帰った。  帰り道に与次郎三四郎に向かって、突然借金言い訳をしだした。月のさえた比較寒いである三四郎ほとんど金の事などは考えていなかった。言い訳を聞くのでさえ本気ではない。どうせ返すことはあるまいと思っている。与次郎もけっして返すとは言わない。ただ返せない事情をいろいろに話す。その話し方のほうが三四郎にはよほどおもしろい。――自分の知ってるさる男が、失恋の結果、世の中がいやになって、とうとう自殺をしようと決心したが、海もいや川もいや、噴火口はなおいや、首をくくるのはもっともいやというわけで、やむをえず短銃を買ってきた。買ってきて、まだ目的遂行しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。友だちはそれを質に入れて一時をしのいだ。つごうがついて、質を受け出して返しにきた時は、肝心の短銃の主はもう死ぬ気がなくなっていた。だからこの男の命は金を借りにこられたために助かったと同じ事である。 「そういう事もあるからなあ」と与次郎が言った。三四郎にはただおかしいだけである。そのほかにはなんらの意味もない。高い月を仰いで大きな声を出して笑った。金を返されないでも愉快である与次郎は、 「笑っちゃいかん」と注意した。三四郎はなおおかしくなった。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さんから金を借りることができたんだろう」  三四郎は笑うのをやめた。 「それで?」 「それだけでたくさんじゃないか。――君、あの女を愛しているんだろう」  与次郎はよく知っている。三四郎はふんと言って、また高い月を見た。月のそばに白い雲が出た。 「君、あの女には、もう返したのか」 「いいや」 「いつまでも借りておいてやれ」  のん気な事を言う。三四郎はなんとも答えなかった。しかいつまでも借りておく気はむろんなかった。じつは必要な二十円を下宿へ払って、残りの十円をそのあくる日すぐ里見の家へ届けようと思ったが、今返してはかえって、好意にそむいて、よくないと考え直して、せっかく門内に、はいられる機会を犠牲にしてまでも引き返した。その時何かの拍子で、気がゆるんで、その十円をくずしてしまった。じつは今夜の会費もそのうちから出ている。自分ばかりではない。与次郎のもそのうちから出ている。あとには、ようやく二、三円残っている。三四郎はそれで冬シャツを買おうと思った。  じつは与次郎がとうてい返しそうもないから、三四郎は思いきって、このあいだ国元へ三十円の不足を請求した。十分な学資を月々もらっていながら、ただ不足だからといって請求するわけにはゆかない。三四郎はあまり嘘をついたことのない男だから請求理由にいたって困却した。しかたがないからただ友だちが金をなくして弱っていたから、つい気の毒になって貸してやった。その結果として、今度はこっちが弱るようになった。どうか送ってくれと書いた。  すぐ返事を出してくれれば、もう届く時分であるのにまだ来ない。今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の手蹟で書いた封筒ちゃんと机の上に乗っている。不思議なことに、いつも必ず書留で来るのが、きょうは三銭切手一枚で済ましてある。開いてみると、中はいつになく短かい。母としては不親切なくらい、用事だけで申し納めてしまった。依頼の金は野々宮さんの方へ送ったから、野々宮さんから受け取れというさしずにすぎない。三四郎は床を取ってねた。  翌日もその翌日も三四郎は野々宮さんの所へ行かなかった。野々宮さんのほうでもなんともいってこなかった。そうしているうちに一週間ほどたった。しまいに野々宮さんから下宿下女を使いに手紙をよこした。おっかさんからまれものがあるからちょっと来てくれろとある三四郎講義の隙をみて、また理科大学の穴倉へ降りていった。そこで立談のあいだに事を済ませようと思ったところが、そううまくはいかなかった。この夏は野々宮さんだけで専領していた部屋に髭のはえた人が二、三人いる。制服を着た学生も二、三人いる。それが、みんな熱心に、静粛に、頭の上の日のあたる世界をよそにして、研究をやっている。そのうちで野々宮さんはもっと多忙に見えた。部屋の入口に顔を出した三四郎ちょっと見て、無言のまま近寄ってきた。 「国から、金が届いたから、取りに来てくれたまえ。今ここに持っていないから。それからまだほかに話す事もある」  三四郎ははあと答えた。今夜でもいいかと尋ねた。野々宮はすこしく考えていたが、しまいに思いきってよろしいと言った。三四郎はそれで穴倉を出た。出ながら、さすがに理学者は根気のいいものだと感心した。この夏見た福神漬の缶と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。  次の講義時間与次郎に会ってこれこれだと話すと、与次郎はばかだと言わないばかりに三四郎をながめて、 「だからいつまでも借りておいてやれと言ったのに。よけいな事をして年寄りには心配をかける。宗八さんにはお談義をされる。これくらい愚な事はない」とまるで自分から事が起こったとは認めていない申し分である三四郎もこの問題に関しては、もう与次郎責任を忘れてしまった。したがって与次郎の頭にかかってこない返事をした。 「いつまでも借りておくのは、いやだから、家へそう言ってやったんだ」 「君はいやでも、向こうでは喜ぶよ」 「なぜ」  このなぜが三四郎自身はいくぶんか虚偽の響らしく聞こえた。しか相手にはなんらの影響も与えなかったらしい。 「あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」  三四郎は返事をしないで、講義を筆記しはじめた。二、三行書きだすと、与次郎がまた、耳のそばへ口を持ってきた。 「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」  三四郎まさか、そうかとも言えなかった。薄笑いをしただけで、またペンを走らしはじめた。与次郎それからはおちついて、時間の終るまで口をきかなかった。  ベルが鳴って、二人肩を並べて教場を出る時、与次郎が、突然聞いた。

anond:20241001234545

「あの女は君にほれているのか」

 二人のあとから続々聴講生が出てくる。三四郎はやむをえず無言のまま梯子段を降りて横手玄関から図書館わきの空地へ出て、はじめて与次郎を顧みた。

「よくわからない」

 与次郎はしばらく三四郎を見ていた。

「そういうこともある。しかしよくわかったとして、君、あの女の夫になれるか」

 三四郎はいまだかつてこの問題を考えたことがなかった。美禰子に愛せられるという事実のものが、彼女の夫たる唯一の資格のような気がしていた。言われてみると、なるほど疑問である三四郎は首を傾けた。

「野々宮さんならなれる」と与次郎が言った。

「野々宮さんと、あの人とは何か今までに関係があるのか」

 三四郎の顔は彫りつけたようにまじめであった。与次郎一口

「知らん」と言った。三四郎は黙っている。

「また野々宮さんの所へ行って、お談義を聞いてこい」と言いすてて、相手は池の方へ行きかけた。三四郎は愚劣の看板のごとく突っ立った。与次郎は五、六歩行ったが、また笑いながら帰ってきた。

「君、いっそ、よし子さんをもらわないか」と言いながら、三四郎を引っ張って、池の方へ連れて行った。歩きながら、あれならいい、あれならいいと、二度ほど繰り返した。そのうちまたベルが鳴った。

 三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな唐物屋へはいった。小僧が奥からいろいろ持ってきたのをなでてみたり、広げてみたりして、容易に買わない。わけもなく鷹揚にかまえていると、偶然美禰子とよし子が連れ立って香水を買いに来た。あらと言って挨拶をしたあとで、美禰子が、

「せんだってありがとう」と礼を述べた。三四郎にはこのお礼の意味が明らかにわかった。美禰子から金を借りたあくる日もう一ぺん訪問して余分をすぐに返すべきところを、ひとまず見合わせた代りに、二日ばかり待って、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送った。

 手紙文句は、書いた人の、書いた当時の気分をすなおに表わしたものではあるが、むろん書きすぎている。三四郎はできるだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものであるしか感謝以外には、なんにも書いてない。それだから自然の勢い、感謝感謝以上になったのでもある。三四郎はこの手紙ポストに入れる時、時を移さぬ美禰子の返事を予期していた。ところがせっかくの封書はただ行ったままであるそれから美禰子に会う機会はきょうまでなかった。三四郎はこの微弱なる「このあいだはありがとう」という反響に対して、はっきりした返事をする勇気も出なかった。大きなシャツを両手で目のさきへ広げてながめながら、よし子がいるからああ冷淡なんだろうかと考えた。それからこのシャツもこの女の金で買うんだなと考えた。小僧はどれになさいますと催促した。

 二人の女は笑いながらそばへ来て、いっしょにシャツを見てくれた。しまいに、よし子が「これになさい」と言った。三四郎はそれにした。今度は三四郎のほうが香水相談を受けた。いっこうわからない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。三四郎は気の毒なくらいであった。

 表へ出て別れようとすると、女のほうが互いにお辞儀を始めた。よし子が「じゃ行ってきてよ」と言うと、美禰子が、「お早く……」と言っている。聞いてみて、妹が兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連で追分の方へ歩くべき宵となった。日はまだまったく落ちていない。

 三四郎はよし子といっしょに歩くよりは、よし子といっしょに野々宮の下宿で落ち合わねばならぬ機会をいささか迷惑に感じた。いっそのこと今夜は家へ帰って、また出直そうかと考えた。しかし、与次郎のいわゆるお談義を聞くには、よし子がそばにいてくれるほうが便利かもしれない。まさか人の前で、母から、こういう依頼があったと、遠慮なしの注意を与えるわけはなかろう。ことによると、ただ金を受け取るだけで済むかもわからない。――三四郎は腹の中で、ちょっとずるい決心をした。

「ぼくも野々宮さんの所へ行くところです」

「そう、お遊びに?」

「いえ、すこし用があるんです。あなたは遊びですか」

「いいえ、私も御用なの」

 両方が同じようなことを聞いて、同じような答を得た。しかし両方とも迷惑を感じている気色がさらにない。三四郎は念のため、じゃまじゃないかと尋ねてみた。ちっともじゃまにはならないそうである。女は言葉でじゃまを否定したばかりではない。顔ではむしろなぜそんなことを質問するかと驚いている。三四郎は店先のガスの光で、女の黒い目の中に、その驚きを認めたと思った。事実としては、ただ大きく黒く見えたばかりである

バイオリンを買いましたか

「どうして御存じ」

 三四郎は返答に窮した。女は頓着なく、すぐ、こう言った。

いくら兄さんにそう言っても、ただ買ってやる、買ってやると言うばかりで、ちっとも買ってくれなかったんですの」

 三四郎は腹の中で、野々宮よりも広田よりも、むしろ与次郎非難した。

 二人は追分の通りを細い路地に折れた。折れると中に家がたくさんある。暗い道を戸ごとの軒燈が照らしている。その軒燈の一つの前にとまった。野々宮はこの奥にいる。

 三四郎下宿とはほとんど一丁ほどの距離である。野々宮がここへ移ってから三四郎は二、三度訪問したことがある。野々宮の部屋は広い廊下を突き当って、二段ばかりまっすぐに上がると、左手に離れた二間である。南向きによその広い庭をほとんど椽の下に控えて、昼も夜も至極静かである。この離れ座敷に立てこもった野々宮さんを見た時、なるほど家を畳んで下宿をするのも悪い思いつきではなかったと、はじめて来た時から、感心したくらい、居心地のいい所である。その時野々宮さんは廊下下りて、下から自分の部屋の軒を見上げて、ちょっと見たまえ、藁葺だと言った。なるほど珍しく屋根に瓦を置いてなかった。

 きょうは夜だから屋根はむろん見えないが、部屋の中には電燈がついている。三四郎は電燈を見るやいなや藁葺を思い出した。そうしておかしくなった。

「妙なお客が落ち合ったな。入口で会ったのか」と野々宮さんが妹に聞いている。妹はしからざるむねを説明している。ついでに三四郎のようなシャツを買ったらよかろうと助言している。それから、このあいだのバイオリン和製で音が悪くっていけない。買うのをこれまで延期したのだから、もうすこし良いのと買いかえてくれと頼んでいる。せめて美禰子さんくらいのなら我慢すると言っている。そのほか似たりよったりの駄々をしきりにこねている。野々宮さんはべつだんこわい顔もせず、といって、優しい言葉もかけず、ただそうかそうかと聞いている。

 三四郎はこのあいだなんにも言わずにいた。よし子は愚な事ばかり述べる。かつ少しも遠慮をしない。それがばかとも思えなければ、わがままとも受け取れない。兄との応待をそばにいて聞いていると、広い日あたりのいい畑へ出たような心持ちがする。三四郎は来たるべきお談義の事をまるで忘れてしまった。その時突然驚かされた。

「ああ、わたし忘れていた。美禰子さんのお言伝があってよ」

「そうか」

「うれしいでしょう。うれしくなくって?」

 野々宮さんはかゆいような顔をした。そうして、三四郎の方を向いた。

ぼくの妹はばかですね」と言った。三四郎はしかたなしに、ただ笑っていた。

「ばかじゃないわ。ねえ、小川さん」

 三四郎はまた笑っていた。腹の中ではもう笑うのがいやになった。

「美禰子さんがね、兄さんに文芸協会演芸会に連れて行ってちょうだいって」

里見さんといっしょに行ったらよかろう」

「御用があるんですって」

「お前も行くのか」

「むろんだわ」

 野々宮さんは行くとも行かないとも答えなかった。また三四郎の方を向いて、今夜妹を呼んだのは、まじめの用があるんだのに、あんのん気ばかり言っていて困ると話した。聞いてみると、学者だけあって、存外淡泊である。よし子に縁談の口がある。国へそう言ってやったら、両親も異存はないと返事をしてきた。それについて本人の意見をよく確かめ必要が起こったのだと言う。三四郎はただ結構ですと答えて、なるべく早く自分のほうを片づけて帰ろうとした。そこで、

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」と切り出した。野々宮さんは、

「なに、大してめんどうでもありませんがね」とすぐに机の引出しから、預かったものを出して、三四郎に渡した。

「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別とあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」

 野々宮さんは三四郎を見て、にやにや笑っている。三四郎はまじめに、「お気の毒です」と言ったばかりである。野々宮さんは、若い者を、極めつけるつもりで言ったんでないとみえて、少し調子を変えた。

「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」と聞いた。よし子は大きな声を出して笑った。三四郎にもばかげているところがすこぶるおかしいんだが、母の言条が、まったく事実を離れた作り話でないのだから、そこに気がついた時には、なるほど軽率な事をして悪かったと少しく後悔した。

「そうすると、月に五円のわりだから、一人前一円二十五銭にあたる。それを三十日に割りつけると、四銭ばかりだが――いくらいなかでも少し安すぎるようだな」と野々宮さんが計算を立てた。

「何を食べたら、そのくらいで生きていられるでしょう」とよし子がまじめに聞きだした。三四郎も後悔する暇がなくなって、自分の知っているいなか生活ありさまをいろいろ話して聞かした。そのなかには宮籠りという慣例もあった。三四郎の家では、年に一度ずつ村全体へ十円寄付することになっている。その時には六十戸から一人ずつ出て、その六十人が、仕事を休んで、村のお宮へ寄って、朝から晩まで、酒を飲みつづけに飲んで、ごちそうを食いつづけに食うんだという。

「それで十円」とよし子が驚いていた。お談義はこれでどこかへいったらしい。それから少し雑談をして一段落ついた時に、野々宮さんがあらためて、こう言った。

「なにしろ、おっかさんのほうではね。ぼくが一応事情を調べて、不都合がないと認めたら、金を渡してくれろ。そうしてめんどうでもその事情を知らせてもらいたいというんだが、金は事情もなんにも聞かないうちに、もう渡してしまったしと、――どうするかね。君たしか佐々木に貸したんですね」

 三四郎は美禰子からもれて、よし子に伝わって、それが野々宮さんに知れているんだと判じた。しかしその金が巡り巡ってバイオリンに変形したものとは、兄妹とも気がつかないか一種妙な感じがした。ただ「そうです」と答えておいた。

佐々木馬券を買って、自分の金をなくしたんだってね」

「ええ」

 よし子はまた大きな声を出して笑った。

「じゃ、いいかげんにおっかさんの所へそう言ってあげよう。しかし今度から、そんな金はもう貸さないことにしたらいいでしょう」

 三四郎は貸さないことにするむねを答えて、挨拶をして、立ちかけると、よし子も、もう帰ろうと言い出した。

「さっきの話をしなくっちゃ」と兄が注意した。

「よくってよ」と妹が拒絶した。

「よくはないよ」

「よくってよ。知らないわ」

 兄は妹の顔を見て黙っている。妹は、またこう言った。

だってしかたがないじゃ、ありませんか。知りもしない人の所へ、行くか行かないかって、聞いたって。好きでもきらいでもないんだから、なんにも言いようはありゃしないわ。だから知らないわ」

 三四郎は知らないわの本意をようやく会得した。兄妹をそのままにして急いで表へ出た。

 人の通らない軒燈ばかり明らかな路地を抜けて表へ出ると、風が吹く。北へ向き直ると、まともに顔へ当る。時を切って、自分下宿の方から吹いてくる。その時三四郎は考えた。この風の中を、野々宮さんは、妹を送って里見まで連れていってやるだろう。

 下宿の二階へ上って、自分の部屋へはいって、すわってみると、やっぱり風の音がする。三四郎はこういう風の音を聞くたびに、運命という字を思い出す。ごうと鳴ってくるたびにすくみたくなる。自分ながらけっして強い男とは思っていない。考えると、上京以来自分運命はたいがい与次郎のためにこしらえられている。しかも多少の程度において、和気靄然たる翻弄を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき悪戯である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分運命を握られていそうに思う。風がしきりに吹く。たしか与次郎以上の風である

 三四郎は母から来た三十円を枕元へ置いて寝た。この三十円も運命翻弄が生んだものである。この三十円がこれからさきどんな働きをするか、まるでわからない。自分はこれを美禰子に返しに行く。美禰子がこれを受け取る時に、また一煽り来るにきまっている。三四郎はなるべく大きく来ればいいと思った。

2024-10-01

与次郎用事というのはこうである。――今夜の会自分たちの科の不振の事をしきりに慨嘆するから三四郎もいっしょに慨嘆しなくってはいけないんだそうだ。不振事実であるからほかの者も慨嘆するにきまっている。それから、おおぜいいっしょに挽回策を講ずることとなる。なにしろ適当日本人を一人大学に入れるのが急務だと言い出す。みんなが賛成する。当然だから賛成するのはむろんだ。次にだれがよかろうという相談に移る。その時広田先生の名を持ち出す。その時三四郎与次郎に口を添えて極力先生賞賛しろという話である。そうしないと、与次郎広田食客だということを知っている者が疑いを起こさないともかぎらない。自分は現に食客なんだから、どう思われてもかまわないが、万一煩い広田先生に及ぶようではすまんことになる。もっともほかに同志が三、四人はいから大丈夫だが、一人でも味方は多いほうが便利だから三四郎もなるべくしゃべるにしくはないとの意見である。さていよいよ衆議一決の暁は、総代を選んで学長の所へ行く、また総長の所へ行く。もっとも今夜中にそこまでは運ばないかもしれない。また運ぶ必要もない。そのへんは臨機応変である。……  与次郎はすこぶる能弁である。惜しいことにその能弁がつるつるしているので重みがない。あるところへゆくと冗談をまじめに講義しているかと疑われる。けれども本来性質のいい運動から三四郎もだいたいのうえにおいて賛成の意を表した。ただその方法が少しく細工に落ちておもしろくないと言った。その時与次郎は往来のまん中へ立ち留まった。二人はちょうど森川町神社鳥居の前にいる。 「細工に落ちるというが、ぼくのやる事は自然の手順が狂わないようにあらかじめ人力で装置するだけだ。自然にそむいた没分暁の事を企てるのとは質が違う。細工だってかまわん。細工が悪いのではない。悪い細工が悪いのだ」  三四郎はぐうの音も出なかった。なんだか文句があるようだけれども、口へ出てこない。与次郎の言いぐさのうちで、自分がまだ考えていなかった部分だけがはっきり頭へ映っている。三四郎はむしろそのほうに感服した。 「それもそうだ」とすこぶる曖昧な返事をして、また肩を並べて歩きだした。正門をはいると、急に目の前が広くなる。大きな建物が所々に黒く立っている。その屋根がはっきり尽きる所から明らかな空になる。星がおびただしく多い。 「美しい空だ」と三四郎が言った。与次郎も空を見ながら、一間ばかり歩いた。突然、 「おい、君」と三四郎を呼んだ。三四郎はまたさっきの話の続きかと思って「なんだ」と答えた。 「君、こういう空を見てどんな感じを起こす」  与次郎に似合わぬことを言った。無限とか永久かいう持ち合わせの答はいくらでもあるが、そんなことを言うと与次郎に笑われると思って三四郎は黙っていた。 「つまらんなあ我々は。あしたから、こんな運動をするのはもうやめにしようかしら。偉大なる暗闇を書いてもなんの役にも立ちそうにもない」 「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」 「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」  三四郎は即答ができなかった。 「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。 「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。 「知りもしないくせに。知りもしないくせに」  三四郎憮然としていた。 「あすもよい天気だ。運動会はしあわせだ。きれいな女がたくさん来る。ぜひ見にくるがいい」  暗い中を二人は学生集会所の前まで来た。中には電燈が輝いている。  木造廊下を回って、部屋へはいると、そうそう来た者は、もうかたまっている。そのかたまりが大きいのと小さいのと合わせて三つほどある。なかには無言で備え付けの雑誌新聞を見ながら、わざと列を離れているのもある。話は方々に聞こえる。話の数はかたまりの数より多いように思われる。しかしわあいにおちついて静かである煙草の煙のほうが猛烈に立ち上る。  そのうちだんだん寄って来る。黒い影が闇の中から吹きさらしの廊下の上へ、ぽつりと現われると、それが一人一人に明るくなって、部屋の中へはいって来る。時には五、六人続けて、明るくなることもある。が、やがて人数はほぼそろった。  与次郎は、さっきから煙草の煙の中を、しきりにあちこちと往来していた。行く所で何か小声に話している。三四郎は、そろそろ運動を始めたなと思ってながめていた。  しばらくすると幹事が大きな声で、みんなに席へ着けと言う。食卓はむろん前から用意ができていた。みんな、ごたごたに席へ着いた。順序もなにもない。食事は始まった。  三四郎熊本赤酒ばかり飲んでいた。赤酒というのは、所でできる下等な酒である熊本学生はみんな赤酒を飲む。それが当然と心得ている。たまたま飲食店へ上がれば牛肉である。その牛肉屋の牛が馬肉かもしれないという嫌疑がある。学生は皿に盛った肉を手づかみにして、座敷の壁へたたきつける。落ちれば牛肉で、ひっつけば馬肉だという。まるで呪みたような事をしていた。その三四郎にとって、こういう紳士的な学生親睦会は珍しい。喜んでナイフフォークを動かしていた。そのあいだにはビールをさかんに飲んだ。 「学生集会所の料理はまずいですね」と三四郎に隣にすわった男が話しかけた。この男は頭を坊主に刈って、金縁の眼鏡をかけたおとなしい学生であった。 「そうですな」と三四郎は生返事をした。相手与次郎なら、ぼくのようないなか者には非常にうまいと正直なところをいうはずであったが、その正直がかえって皮肉に聞こえると悪いと思ってやめにした。するとその男が、 「君はどこの高等学校ですか」と聞きだした。 「熊本です」 「熊本ですか。熊本にはぼくの従弟もいたが、ずいぶんひどい所だそうですね」 「野蛮な所です」  二人が話していると、向こうの方で、急に高い声がしだした。見ると与次郎が隣席の二、三人を相手に、しきりに何か弁じている。時々ダーターファブラと言う。なんの事だかわからない。しか与次郎相手は、この言葉を聞くたびに笑いだす。与次郎ますます得意になって、ダーターファブラ我々新時代青年は……とやっている。三四郎の筋向こうにすわっていた色の白い品のいい学生が、しばらくナイフの手を休めて、与次郎の連中をながめていたが、やがて笑いながら Il a le diable au corps(悪魔が乗り移っている)と冗談半分にフランス語を使った。向こうの連中にはまったく聞こえなかったとみえて、この時ビールのコップが四つばかり一度に高く上がった。得意そうに祝盃をあげている。 「あの人はたいへんにぎやかな人ですね」と三四郎の隣の金縁眼鏡をかけた学生が言った。 「ええ。よくしゃべります」 「ぼくはいつか、あの人に淀見軒でライスカレーをごちそうになった。まるで知らないのに、突然来て、君淀見軒へ行こうって、とうとう引っ張っていって……」  学生ハハハと笑った。三四郎は、淀見軒で与次郎からライスカレーをごちそうになったもの自分ばかりではないんだなと悟った。  やがてコーヒーが出る。一人が椅子を離れて立った。与次郎が激しく手をたたくと、ほかの者もたちまち調子を合わせた。  立った者は、新しい黒の制服を着て、鼻の下にもう髭をはやしている。背がすこぶる高い。立つには恰好のよい男である演説いたことを始めた。  我々が今夜ここへ寄って、懇親のために、一夕の歓をつくすのは、それ自身において愉快な事であるが、この懇親が単に社交上の意味ばかりでなく、それ以外に一種重要な影響を生じうると偶然ながら気がついたら自分は立ちたくなった。この会合ビールに始まってコーヒーに終っている。まったく普通会合であるしかしこのビールを飲んでコーヒーを飲んだ四十人近くの人間普通人間ではない。しかもそのビールを飲み始めてからコーヒーを飲み終るまでのあいだに、すでに自己運命の膨脹を自覚しえた。  政治自由を説いたのは昔の事である言論の自由を説いたのも過去の事である自由とは単にこれらの表面にあらわれやす事実のために専有されべき言葉ではない。我ら新時代青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ時運に際会したと信ずる。  我々は古き日本の圧迫に堪ええぬ青年である。同時に新しき西洋の圧迫にも堪ええぬ青年であるということを、世間に発表せねばいられぬ状況のもとに生きている。新しき西洋の圧迫は社会の上においても文芸の上においても、我ら新時代青年にとっては古き日本の圧迫と同じく、苦痛である。  我々は西洋文芸研究する者であるしか研究はどこまでも研究である。その文芸のもとに屈従するのとは根本的に相違がある。我々は西洋文芸にとらわれんがために、これを研究するのではない。とらわれたる心を解脱せしめんがために、これを研究しているのである。この方便に合せざる文芸はいかなる威圧のもとにしいらるるとも学ぶ事をあえてせざるの自信と決心とを有している。  我々はこの自信と決心とを有するの点において普通人間とは異なっている。文芸技術でもない、事務でもない。より多く人生根本義に触れた社会原動力である。我々はこの意味において文芸研究し、この意味において如上の自信と決心とを有し、この意味において今夕の会合一般以上の重大なる影響を想見するのである。  社会は激しく動きつつある。社会産物たる文芸もまた動きつつある。動く勢いに乗じて、我々の理想どおりに文芸を導くためには、零細なる個人を団結して、自己運命を充実し発展し膨脹しなくてはならぬ。今夕のビールコーヒーは、かかる隠れたる目的を、一歩前に進めた点において、普通ビールコーヒーよりも百倍以上の価ある尊きビールコーヒーである。  演説意味ざっとこんなものである演説が済んだ時、席にあった学生はことごとく喝采した。三四郎もっとも熱心なる喝采者の一人であった。すると与次郎が突然立った。 「ダーターファブラ、シェクスピヤの使った字数が何万字だの、イブセンの白髪の数が何千本だのと言ってたってしかたがない。もっともそんなばかげた講義を聞いたってとらわれる気づかいはないか大丈夫だが、大学に気の毒でいけない。どうしても新時代青年を満足させるような人間を引っ張って来なくっちゃ。西洋人じゃだめだ。第一幅がきかない。……」  満堂はまたことごとく喝采した。そうしてことごとく笑った。与次郎の隣にいた者が、 「ダーターファブラのために祝盃をあげよう」と言いだした。さっき演説をした学生がすぐに賛成した。あいにくビールがみな空である。よろしいと言って与次郎はすぐ台所の方へかけて行った。給仕が酒を持って出る。祝盃をあげるやいなや、 「もう一つ。今度は偉大なる暗闇のために」と言った者がある。与次郎の周囲にいた者は声を合して、アハハと笑った。与次郎は頭をかいている。  散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、三四郎与次郎に聞いた。 「ダーターファブラとはなんの事だ」 「ギリシア語だ」  与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。二人は美しい空をいただいて家に帰った。  あくる日は予想のごとく好天気である。今年は例年より気候がずっとゆるんでいる。ことさらきょうは暖かい三四郎は朝のうち湯に行った。閑人の少ない世の中だから、午前はすこぶるすいている。三四郎は板の間にかけてある三越呉服店看板を見た。きれいな女がかいてある。その女の顔がどこか美禰子に似ている。よく見ると目つきが違っている。歯並がわからない。美禰子の顔でもっと三四郎を驚かしたものは目つきと歯並である与次郎の説によると、あの女は反っ歯の気味だから、ああしじゅう歯が出るんだそうだが、三四郎にはけっしてそうは思えない。……  三四郎は湯につかってこんな事を考えていたので、からだのほうはあまりわずに出た。ゆうべから急に新時代青年という自覚が強くなったけれども、強いのは自覚だけで、からだのほうはもとのままである休みになるとほかの者よりずっと楽にしている。きょうは昼から大学陸上運動会を見に行く気である。  三四郎は元来あまり運動好きではない。国にいるとき兎狩りを二、三度したことがある。それから高等学校の端艇競漕の時に旗振りの役を勤めたことがある。その時青と赤と間違えて振ってたいへん苦情が出た。もっとも決勝の鉄砲を打つ係りの教授鉄砲を打ちそくなった。打つには打ったが音がしなかった。これが三四郎のあわてた原因である。それより以来三四郎運動会へ近づかなかった。しかしきょうは上京以来はじめての競技会だから、ぜひ行ってみるつもりである与次郎もぜひ行ってみろと勧めた。与次郎の言うところによると競技より女のほうが見にゆ価値があるのだそうだ。女のうちには野々宮さんの妹がいるだろう。野々宮さんの妹といっしょに美禰子もいるだろう。そこへ行って、こんちわとかなんとか挨拶をしてみたい。  昼過ぎになったから出かけた。会場の入口運動場の南のすみにある。大きな日の丸イギリス国旗が交差してある。日の丸は合点がいくが、イギリス国旗はなんのためだかからない。三四郎日英同盟のせいかとも考えた。けれども日英同盟大学陸上運動会とは、どういう関係があるか、とんと見当がつかなかった。  運動場は長方形の芝生である。秋が深いので芝の色がだいぶさめている。競技を見る所は西側にある。後に大きな築山をいっぱいに控えて、前は運動場の柵で仕切られた中へ、みんなを追い込むしかけになっている。狭いわりに見物人が多いのではなはだ窮屈である。さいわい日和がよいので寒くはない。しか外套を着ている者がだいぶある。その代り傘をさして来た女もある。  三四郎失望したのは婦人席が別になっていて、普通人間には近寄れないことであった。それからフロックコートや何か着た偉そうな男がたくさん集って、自分が存外幅のきかないようにみえたことであった。新時代青年をもってみずからおる三四郎は少し小さくなっていた。それでも人と人との間から婦人席の方を見渡すことは忘れなかった。横からからよく見えないが、ここはさすがにきれいである。ことごとく着飾っている。そのうえ遠距離から顔がみんな美しい。その代りだれが目立って美しいということもない。ただ総体総体として美しい。女が男を征服する色である。甲の女が乙の女に打ち勝つ色ではなかった。そこで三四郎はまた失望した。しかし注意したら、どこかにいるだろうと思って、よく見渡すと、はたして前列のいちばん柵に近い所に二人並んでいた。  三四郎は目のつけ所がようやくわかったので、まず一段落告げたような気で、安心していると、たちまち五、六人の男が目の前に飛んで出た。二百メートルの競走が済んだのである決勝点は美禰子とよし子がすわっている真正面で、しかも鼻の先だから、二人を見つめていた三四郎視線のうちにはぜひともこれらの壮漢がはいってくる。五、六人はやがて一二、三人にふえた。みんな呼吸をはずませているようにみえる。三四郎はこれらの学生の態度と自分の態度とを比べてみて、その相違に驚いた。どうして、ああ無分別にかける気になれたものだろうと思った。しか婦人連はことごとく熱心に見ている。そのうちでも美禰子とよし子はもっとも熱心らしい。三四郎自分無分別にかけてみたくなった。一番に到着した者が、紫の猿股をはい婦人席の方を向いて立っている。よく見ると昨夜の親睦会で演説をした学生に似ている。ああ背が高くては一番になるはずである。計測係りが黒板に二十五秒七四と書いた。書き終って、余りの白墨を向こうへなげて、こっちを向いたところを見ると野々宮さんであった。野々宮さんはいつになくまっ黒なフロックを着て、胸に係り員の徽章をつけて、だいぶ人品がいい。ハンケチを出して、洋服の袖を二、三度はたいたが、やがて黒板を離れて、芝生の上を横切って来た。ちょうど美禰子とよし子のすわっているまん前の所へ出た。低い柵の向こう側から首を婦人席の中へ延ばして、何か言っている。美禰子は立った。野々宮さんの所まで歩いてゆく。柵の向こうとこちらで話を始めたように見える。美禰子は急に振り返った。うれしそうな笑いにみちた顔である三四郎は遠くから一生懸命に二人を見守っていた。すると、よし子が立った。また柵のそばへ寄って行く。二人が三人になった。芝生の中では砲丸投げが始まった。

砲丸投げほど力のいるものはなかろう。力のいるわりにこれほどおもしろくないものもたんとない。ただ文字どおり砲丸を投げるのである。芸でもなんでもない。野々宮さんは柵の所で、ちょっとこの様子を見て笑っていた。けれども見物のじゃまになると悪いと思ったのであろう。柵を離れて芝生の中へ引き取った。二人の女も、もとの席へ復した。砲丸は時々投げられている。第一どのくらい遠くまでゆくんだか、ほとんど三四郎にはわからない。三四郎はばかばかしくなった。それでも我慢して立っていた。ようやくのことで片がついたとみえて、野々宮さんはまた黒板へ十一メートル三八と書いた。

 それからまた競走があって、長飛びがあって、その次には槌投げが始まった。三四郎はこの槌投げにいたって、とうとう辛抱がしきれなくなった。運動会めいめいかってに開くべきものである。人に見せべきものではない。あんものを熱心に見物する女はことごとく間違っているとまで思い込んで、会場を抜け出して、裏の築山の所まで来た。幕が張ってあって通れない。引き返して砂利の敷いてある所を少し来ると、会場から逃げた人がちらほら歩いている。盛装した婦人も見える。三四郎はまた右へ折れて、爪先上りを丘のてっぺんまで来た。道はてっぺんで尽きている。大きな石がある。三四郎はその上へ腰をかけて、高い崖の下にある池をながめた。下の運動会場でわあというおおぜいの声がする。

 三四郎はおよそ五分ばかり石へ腰をかけたままぼんやりしていた。やがてまた動く気になったので腰を上げて、立ちながら靴の踵を向け直すと、丘の上りぎわの、薄く色づいた紅葉の間に、さっきの女の影が見えた。並んで丘の裾を通る。

 三四郎は上から、二人を見おろしていた。二人は枝の隙から明らかな日向へ出て来た。黙っていると、前を通り抜けてしまう。三四郎は声をかけようかと考えた。距離があまり遠すぎる。急いで二、三歩芝の上を裾の方へ降りた。降り出すといいぐあいに女の一人がこっちを向いてくれた。三四郎はそれでとまった。じつはこちからまりごきげんをとりたくない。運動会が少し癪にさわっている。

あんな所に……」とよし子が言いだした。驚いて笑っている。この女はどんな陳腐ものを見ても珍しそうな目つきをするように思われる。その代り、いかな珍しいもの出会っても、やはり待ち受けていたような目つきで迎えるかと想像される。だからこの女に会うと重苦しいところが少しもなくって、しかもおちついた感じが起こる。三四郎は立ったまま、これはまったく、この大きな、常にぬれている、黒い眸のおかげだと考えた。

 美禰子も留まった。三四郎を見た。しかしその目はこの時にかぎって何物をも訴えていなかった。まるで高い木をながめるような目であった。三四郎は心のうちで、火の消えたランプを見る心持ちがした。もとの所に立ちすくんでいる。美禰子も動かない。

「なぜ競技を御覧にならないの」とよし子が下から聞いた。

「今まで見ていたんですが、つまらいからやめて来たのです」

 よし子は美禰子を顧みた。美禰子はやはり顔色を動かさない。三四郎は、

「それより、あなたたこそなぜ出て来たんです。たいへん熱心に見ていたじゃありませんか」と当てたような当てないようなことを大きな声で言った。美禰子はこの時はじめて、少し笑った。三四郎にはその笑いの意味がよくわからない。二歩ばかり女の方に近づいた。

「もう宅へ帰るんですか」

 女は二人とも答えなかった。三四郎はまた二歩ばかり女の方へ近づいた。

「どこかへ行くんですか」

「ええ、ちょっと」と美禰子が小さな声で言う。よく聞こえない。三四郎はとうとう女の前まで降りて来た。しかしどこへ行くとも追窮もしないで立っている。会場の方で喝采の声が聞こえる。

高飛びよ」とよし子が言う。「今度は何メートルになったでしょう」

 美禰子は軽く笑ったばかりである三四郎も黙っている。三四郎高飛びに口を出すのをいさぎよしとしないつもりである。すると美禰子が聞いた。

「この上には何かおもしろものがあって?」

 この上には石があって、崖があるばかりであるおもしろものがありようはずがない。

「なんにもないです」

「そう」と疑いを残したように言った。

「ちょいと上がってみましょうか」よし子が、快く言う。

あなた、まだここを御存じないの」と相手の女はおちついて出た。

「いいからいらっしゃいよ」

 よし子は先へ上る。二人はまたついて行った。よし子は足を芝生のはしまで出して、振り向きながら、

「絶壁ね」と大げさな言葉を使った。「サッフォーでも飛び込みそうな所じゃありませんか」

 美禰子と三四郎は声を出して笑った。そのくせ三四郎はサッフォーがどんな所から飛び込んだかよくわからなかった。

あなたも飛び込んでごらんなさい」と美禰子が言う。

「私? 飛び込みましょうか。でもあんまり水がきたないわね」と言いながら、こっちへ帰って来た。

 やがて女二人のあいだに用談が始まった。

あなた、いらしって」と美禰子が言う。

「ええ。あなたは」とよし子が言う。

「どうしましょう」

「どうでも。なんならわたしちょっと行ってくるから、ここに待っていらっしゃい」

「そうね」

 なかなか片づかない。三四郎が聞いてみると、よし子が病院看護婦のところへ、ついでだからちょっと礼に行ってくるんだと言う。美禰子はこの夏自分の親戚が入院していた時近づきになった看護婦を尋ねれば尋ねるのだが、これは必要でもなんでもないのだそうだ。

 よし子は、すなおに気の軽い女だからしまいに、すぐ帰って来ますと言い捨てて、早足に一人丘を降りて行った。止めるほどの必要もなし、いっしょに行くほどの事件でもないので、二人はしぜん後にのこるわけになった。二人の消極な態度からいえば、のこるというより、のこされたかたちにもなる。

 三四郎はまた石に腰をかけた。女は立っている。秋の日は鏡のように濁った池の上に落ちた。中に小さな島がある。島にはただ二本の木がはえている。青い松と薄い紅葉がぐあいよく枝をかわし合って、箱庭の趣がある。島を越して向こう側の突き当りがこんもりとどす黒く光っている。女は丘の上からその暗い木陰を指さした。

「あの木を知っていらしって」と言う。

「あれは椎」

 女は笑い出した。

「よく覚えていらっしゃること」

「あの時の看護婦ですか、あなたが今尋ねようと言ったのは」

「ええ」

「よし子さんの看護婦とは違うんですか」

「違います。これは椎――といった看護婦です」

 今度は三四郎が笑い出した。

「あすこですね。あなたがあの看護婦といっしょに団扇を持って立っていたのは」

 二人のいる所は高く池の中に突き出している。この丘とはまるで縁のない小山が一段低く、右側を走っている。大きな松と御殿一角と、運動会の幕の一部と、なだらかな芝生が見える。

「熱い日でしたね。病院あんまり暑いものから、とうとうこらえきれないで出てきたの。――あなたはまたなんであんな所にしゃがんでいらしったんです」

「熱いからです。あの日ははじめて野々宮さんに会って、それから、あすこへ来てぼんやりしていたのです。なんだか心細くなって」

「野々宮さんにお会いになってから、心細くおなりになったの」

「いいえ、そういうわけじゃない」と言いかけて、美禰子の顔を見たが、急に話頭を転じた。

「野々宮さんといえば、きょうはたいへん働いていますね」

「ええ、珍しくフロックコートをお着になって――ずいぶん御迷惑でしょう。朝から晩までですから

だってだいぶ得意のようじゃありませんか」

「だれが、野々宮さんが。――あなたもずいぶんね」

「なぜですか」

だってまさか運動会の計測係りになって得意になるようなかたでもないでしょう」

 三四郎はまた話頭を転じた。

「さっきあなたの所へ来て何か話していましたね」

「会場で?」

「ええ、運動会の柵の所で」と言ったが、三四郎はこの問を急に撤回したくなった。女は「ええ」と言ったまま男の顔をじっと見ている。少し下唇をそらして笑いかけている。三四郎はたまらなくなった。何か言ってまぎらそうとした時に、女は口を開いた。

あなたはまだこのあいだの絵はがきの返事をくださらないのね」

 三四郎はまごつきながら「あげます」と答えた。女はくれともなんとも言わない。

あなた原口さんという画工を御存じ?」と聞き直した。

「知りません」

「そう」

「どうかしましたか

「なに、その原口さんが、きょう見に来ていらしってね、みんなを写生しているから、私たちも用心しないと、ポンチにかかれるからって、野々宮さんがわざわざ注意してくだすったんです」

 美禰子はそばへ来て腰をかけた。三四郎自分いかにも愚物のような気がした。

「よし子さんはにいさんといっしょに帰らないんですか」

「いっしょに帰ろうったって帰れないわ。よし子さんは、きのうから私の家にいるんですもの

 三四郎はその時はじめて美禰子から野々宮のおっかさんが国へ帰ったということを聞いた。おっかさんが帰ると同時に、大久保を引き払って、野々宮さんは下宿をする、よし子は当分美禰子の家から学校へ通うことに、相談がきまったんだそうである

 三四郎はむしろ野々宮さんの気楽なのに驚いた。そうたやす下宿生活にもどるくらいなら、はじめから家を持たないほうがよかろう。第一鍋、釜、手桶などという世帯道具の始末はどうつけたろうと、よけいなことまで考えたが、口に出して言うほどのことでもないから、べつだんの批評は加えなかった。そのうえ、野々宮さんが一家の主人から、あともどりをして、ふたたび純書生と同様な生活状態に復するのは、とりもなおさず家族制から一歩遠のいたと同じことで、自分にとっては、目前の迷惑を少し長距離へ引き移したような好都合にもなる。その代りよし子が美禰子の家へ同居してしまった。この兄妹は絶えず往来していないと治まらないようにできあがっている。絶えず往来しているうちには野々宮さんと美禰子との関係も次第次第に移ってくる。すると野々宮さんがまたいつなんどき下宿生活永久にやめる時機がこないともかぎらない。

 三四郎は頭のなかに、こういう疑いある未来を、描きながら、美禰子と応対をしている。いっこうに気が乗らない。それを外部の態度だけでも普通のごとくつくろおうとすると苦痛になってくる。そこへうまいあいによし子が帰ってきてくれた。女同志のあいだには、もう一ぺん競技を見に行こうかという相談があったが、短くなりかけた秋の日がだいぶ回ったのと、回るにつれて、広い戸外の肌寒がようやく増してくるので、帰ることに話がきまる。

 三四郎も女連に別れて下宿へもどろうと思ったが、三人が話しながら、ずるずるべったりに歩き出したものから、きわだった挨拶をする機会がない。二人は自分を引っ張ってゆくようにみえる。自分もまた引っ張られてゆきたいような気がする。それで二人にくっついて池の端を図書館の横から、方角違いの赤門の方へ向いてきた。そのとき三四郎は、よし子に向かって、

「お兄いさんは下宿なすったそうですね」と聞いたら、よし子は、すぐ、

「ええ。とうとう。ひとを美禰子さんの所へ押しつけておいて。ひどいでしょう」と同意を求めるように言った。三四郎は何か返事をしようとした。そのまえに美禰子が口を開いた。

「宗八さんのようなかたは、我々の考えじゃわかりませんよ。ずっと高い所にいて、大きな事を考えていらっしゃるんだから」と大いに野々宮さんをほめだした。よし子は黙って聞いている。

 学問をする人がうるさい俗用を避けて、なるべく単純な生活にがまんするのは、みんな研究のためやむをえないんだからしかたがない。野々宮のような外国にまで聞こえるほどの仕事をする人が、普通学生同様な下宿はいっているのも必竟野々宮が偉いからのことで、下宿がきたなければきたないほど尊敬しなくってはならない。――美禰子の野々宮に対する賛辞のつづきは、ざっとこうである

 三四郎赤門の所で二人に別れた。追分の方へ足を向けながら考えだした。――なるほど美禰子の言ったとおりである自分と野々宮を比較してみるとだいぶ段が違う。自分田舎から出て大学はいったばかりである学問という学問もなければ、見識という見識もない。自分が、野々宮に対するほどな尊敬を美禰子から受けえないのは当然である。そういえばなんだか、あの女からかにされているようでもある。さっき、運動会はつまらいから、ここにいると、丘の上で答えた時に、美禰子はまじめな顔をして、この上には何かおもしろものがありますかと聞いた。あの時は気がつかなかったが、いま解釈してみると、故意自分を愚弄した言葉かもしれない。――三四郎は気がついて、きょうまで美禰子の自分に対する態度や言語を一々繰り返してみると、どれもこれもみんな悪い意味がつけられる。三四郎は往来のまん中でまっ赤になってうつむいた。ふと、顔を上げると向こうから与次郎とゆうべの会で演説をした学生が並んで来た。与次郎は首を縦に振ったぎり黙っている。学生帽子をとって礼をしながら、

「昨夜は。どうですか。とらわれちゃいけませんよ」と笑って行き過ぎた。

anond:20241001201601

2024-05-23

日本ダービー 展望

もはやウマ娘から3年たち、増田はてな競馬話題が上がらなくなって久しいですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

それでもやはり、ダービー有馬記念くらいはちょっと見ておきたいという気持ちの残った方もいるかと思います

では今年のダービーについて考えていきましょう。

日本ダービーって何?

そもそも馬って、今みたいに車が流通する前は、自家用車であり、トラックであり、ベルトコンベアーであり、トロッコであり、戦車であったわけで、人の移動や物の輸送、または戦闘に欠かせないものだったわけ。

当然、仕事に適した車、さらには高級車やスーパーカーが求められるように、名馬は昔から珍重され求められた。

で、名馬の格付け品評会にあたる競争があり、そこで優秀な成績をあげた馬が種牡馬となり、名馬の親となったわけだ。

その最高の馬格付けレース日本ダービーで、これは三歳の同い年の馬だけが生涯一度だけ走れるレース

まり、その世代の最高の馬がこのレースで決まるってわけ。

わくわくだよね!

競馬界のカレンダーダービー基準になってて、ダービーが終わると翌週から次の世代、2歳馬のデビュー戦が始まる。

これからデビューする馬は、来年ダービーを目指すってわけ。

要は馬にとって一番大事な時期が、2歳の初夏から3歳の初夏、ダービーからダービーまでってことだ。

誰が出れるの?

ダービーに至るまで細かいレースがあり、そこで結果を残した子だけが出れる。

レースの着順に応じた賞金があり、その賞金をたくさん稼いだ子や、指定された有力競争で上位に入った子が出れる。

まりダービー最下位になろうとも、世代トップの18頭に名を連ねられるというのは名誉だってこと。

誰が勝つの

有力馬は何頭かいものの、今回は確勝と言えるような飛び抜けた馬がいないと言われている。

まり、多くの馬に勝つチャンスがある。

しかし、実力が明らかに上位だろう、という馬も何頭か見当たる。

ダービー東京競馬場2400mという条件で行われるけど、東京競馬場は広く、最終直線が長いコースなので、紛れが起きにくいレースでもあり、馬の実力が反映されやすい。

そう考えると、今回のレースは着順まで当てることは難しいが、3着以内に入れる範囲をある程度絞ることができる、という認識でよいと思う。

馬はある程度スパートをかけられる距離はせいぜい600m、本気で全力疾走できる距離は200mくらいなのだが、東京競馬場の最終直線は500m以上あり、勝負どころがコーナーでごちゃつく、という事態にはあまりならず、直線のスパート勝負で何とかなりやすい、というのが、東京競馬場レースが荒れにくい理由だ。


では、今回勝つチャンスを持っている有力馬を紹介していこう。

ジャスティミラノ

ここまで3戦無敗の皐月賞馬で、今回一番人気になると考えられている馬。

間違いなく強い。

皐月賞は新記録が出るような高速決着で、さらに前が止まらない馬場だったことと、キズナ産駒の消耗戦上等な性質が見事にマッチした結果だった。

皐月賞中山2000は、後ろからの末脚一閃が決まりにくく、前を高速で走ってスタミナ勝負に持ち込むのは血統的にも最も適した戦法だったと思う。

じゃあ、じっくり行けば瞬間最高速の切れ味はそうでもないの?というとそれもそんなことなく、ドスローだった共同通信杯で見せた末脚は驚愕するレベルだった。

そうなると隙はないのか?というとそうでもなく、共同通信杯皐月賞もペースが極端だったのが気にはなる。

両極端な条件でどちらもハイパフォーマンスだったのなら、どんな展開でも対応できるような気はしつつも、ミドルペースで末脚勝負が決まりやす東京の直線、本職の差し馬の後ろからの追撃を凌げるか?というと正直差されても驚かない。

今回のダービー、おそらく皐月賞ほどの高速決着にはならないだろうが、共同通信杯みたいなドスローにもならないだろう。

そのペースをうまくコントロールできるかが勝負ポイントだと思う。

ガレイラ

メス馬なのに2歳のオスメス混合のG1で優勝した女傑。

一級品の末脚が最大の武器になっている。

今回、瞬間的な末脚を出した馬は実はたくさんいるのだけど、ジャスティミラノ共同通信杯や、ダノンエアズロックアイビーステークスは驚くほど前半のペースが遅かったので、誰もがすごい末脚を使える条件での末脚だった。

ガレイラの末脚はそうではなく、ハイペースに流れた展開でもすごい末脚を必ず使えるのが彼女の魅力。

なんちゃって末脚じゃなくて、本職の末脚だ。

ただ、彼女スタートは遅く、道中でポジションを取れない。

今回のレース相手ジャスティミラノだと思うと、最後にそこまでダレるとは思えず、ある程度の位置を取って最終直線に入らなければ届かないだろう。

そこはルメール騎手が何とかしてくれるとは思うが。

皐月賞で6着に負けたことで嫌われている傾向があるが、皐月賞の時、調教後馬体重から11キロ減ってのレースで、かなり消耗があったという話が聞こえてきている。

フケ(発情)もあって、レース当日前日にかなり暴れて落ち着きがなかったとか。

正直、それが最大の敗因になっている。

今回は時期も変わり、もうフケの影響はないはずなので、そこは気にはならないと思う。

が、木村調教師のインタビューでも、以前から彼女は気高く、人を信頼しすぎず人と距離を取るような性格だそう。

なので、馬装をつけたり、パドック回ったり、多くの人と関わらなければならないレース前に、不必要な消耗をしてしまうことを心配していた。

やはり当日どれだけ力を消耗せずレースに迎えるかがポイント

ひとつ間違いなく言えるのは、皐月賞本来彼女の力ではないってこと。

レース中の接触の不利や、ゴール前の向かい風で差し馬の不利も起きていたし、言いだせば細かい不利はいっぱいある。

コスモキュランダ

弥生賞馬で、皐月賞2着。

その皐月賞2着も、勝ったジャスティミラノタイム差はなかった。

ジャスティミラノに迫るほどのスタミナを持ちつつ、レガレイラに近い末脚を持つのがこの馬。

当初の勝ち上がりに時間がかかったことと、勝ち切ってはいないこと、前回のモレイラが今回のらないことから人気を落とすようだけど、実績で言えば絶対買わなきゃいけない馬。

スターズオンアースオークス前とかぶる。どう考えても強いのに、フロック視される馬というのはいて、この馬がそれに当たる気がしている。

ジャスティミラノの真後ろのポジション取れたら、ミラノ差し切れると思っている。

が、不調のデムーロは向こう正面で動くレースもやりがちなので、末脚残しているかは正直わからない。


シックスペンス

皐月賞組を走っていないので他の馬との比較がしにくい。

しかし、ダービーを勝つためにあえて皐月賞を使わなかった馬、というのは大体が強い。

この馬はそれに当てはまる。

しかもここまで無敗。

騎手日本最高の騎手川田

調教師も国枝先生

前のレースのものレベルの高いレースではなかったから、前走を見てダービーでどんな走りができるかは何とも言えない。

でも、わからいからこそ抑えておきたい馬の筆頭と言えそう。


ダノンエアズロック

これまで小さいながら骨折などもあり過程は順調ではなかった。

しかし、ドスローだったとはいえアイビーステークスでレガレイラと同じ上がりタイムを出してレガレイラに勝っている。

最終的に間に合わせてダービーに滑り込んだし、鞍上はモレイラ

レース後の骨折が判明した弥生賞けふがいない走りをしたが、万全の状態で出てくれば実質無敗とも言える。

勝っても驚きはしない。

その他

勝ち馬はこの5頭から出ると思っているよ。

あと、3着内で言えば、アーバンシック、シンエンペラーも抑えたい。

もうひとつやすなら、シュガークンも3着ならあるかな

シンエンペラーは、血統や実績から軽視されがちだと思うけど、能力は間違いなく高く、状態皐月賞より断然いいらしい。

ただ、気を抜いて遊ぶ癖があるので、本気を出してくれるかわからないのが難しさのようだ。

矢作先生世界最高峰調教師だし、鞍上坂井瑠星騎手も成長目覚ましく、もはやトップジョッキーの実力を持つ。

シンエンペラー覚醒の2着とかは普通にあり得ると思うよ。

ダービー楽しみだね。

2023-07-15

ボトル宅配ウォーターサーバー契約しているのなぁぜなぁぜ?

お前だよ!お前!

同じアパートの隣に住むお前だよ!

なんで、ウォーターサーバーなんて頼んでんだよ!

お前の部屋に宅配員が水のボトルを運んでいたのを見たからわかってんだよ!

蛇口ひねれば超格安の水がいくらでも出てくんだろうが!

なんでウォーターサーバーなんて契約する必要があるんだよ?

水道水安全性に信頼がない、だとぅ?

水道管や貯水槽の汚れが気になる、だとぅ?

阿呆がっ!

俺らが住んでるアパートは築2年だ!

水道管や貯水槽がたったの2年で汚れるわけねーだろ!

水道水のものが汚い、だとぅ?

たわけがっ!

岐阜市水道水はどこでも長良川が水源だ!

東京大阪の汚ねぇ水源地なんかと一緒にするな!

浄水場ってのは大抵は沈砂池・フロック形成池・砂ろ過池によって汚れを取り除く設備があるんだけど、長良川の水は清涼だからそうした設備が無いんだ!

岐阜市浄水場には最低限の消毒装置しかついてねえんだ!

それくらい長良川の水はキレイなんだよ!

隅田川道頓堀の汚ねぇ水を、飲み水にしている東京大阪とは違うんだよ!

てめぇも岐阜市民なら鵜飼を見たことあるだろうがよ!

天然の鮎が生息できるくらいに長良川の水はきれいなんだよ!

だいいち、てめぇが契約してるウォーターサーバーの水はどこから汲んできたもんだ?

どうせ、どっかの水道水だろ!

それも長良川よりも汚くてまずい水だろうな!

なにぃ?水道水じゃないだと?湧き水だと?

で、どこの湧き水だ?そこの湧き水長良川よりキレイなのか?鮎が生息できるのか?

そんなわけねぇよなぁ!?

しかもその水は汲み上げてから、一体何日経過してるんだ?

水源地から汲み上げてタンクに詰め込んで保存して各家庭へと配送してるだろうけど、一日や二日でできることじゃねぇよな!?

最低でも一週間くらいはかかってることだろうな!

そのタンクキレイか?ウォーターサーバー本体キレイか?

最近はクソ暑くて梅雨でじめじめしてるけど、カビが生えたりしないのか?

蛇口から出てくる水は、新鮮な長良川の水をリアルタイム採取して、その上塩素で消毒して安全で清潔だっていうのによ!

蛇口をひねれば長良川の清涼な水が出てくるのに、高い金をかけて場所も取るウォーターサーバーを設置しているなんて、お前はなんで縛りプレイ人生を送っているんだ?

発展途上国ごっこか?

先進国に住んでいて水道から飲める水が出てくるのに、高い金かけて水を輸送してもらって自宅に保管をするなどと発展途上国の真似事して楽しいのか?

それとも、自身に課す苦役か?苦役として水をわざわざ買ってんのか?

臥薪嘗胆ってやつか?

復讐の志を忘れないために薪で寝て苦い胆を嘗めるように、わざと金をかけて部屋の場所を取るウォーターサーバーを設置してまずい水を飲んでるのか?

わかってる。

お前は悪くない。

悪いのはお前にウォーターサーバー契約させた奴だ。

お前はウォーターサーバーをやっている会社に餌食にされているんだ。

いわゆる弱者ビジネスってやつだ。

どうせ、水道水水道管は汚いだのヤバい薬品水道水に入っているだのと洗脳されてしまったんだろ?

お前はなんて哀れなんだ。

助けたい。

俺はお前を助けたい。

お前以外にも、市内にはお前のような犠牲者が数多くいることだろう。

そいつらも助けたい。

そのためにもウォーターサーバーをやっている会社は滅びるべきだ。

ウォーターサーバー会社はどこもかしこ胡散臭い会社ばかりだ。

会社としての歴史伝統なんてないだろうし、上場してる企業だってなさそうだ。

ウォーターサーバー用の水をどのように管理しているかなんて、わかりゃしねえ。

こんな奴らのあやしい水を飲んで、長良川の水を飲まない人がいるという事実が、俺には許せねえ。

2023-06-10

みかとみっく

みかもとー!

その日、私は東京競馬場スタンド席にいた。JRA日本中央競馬会)が開催するG1レースは人気のある芝コースレースほとんどでダートG1レースは稀なのだが、

その日はたまたまダートG1レースであるフェブラリーステークスを観戦するために東京都府中市東京競馬場に来ていたのだった。

2月のレースなので屋外スタンドでの観戦は少し寒い。メインレースである11レース本馬場入場時間になって、各馬がレース場に入場する度にジョッキーや馬に対して

観客から声援が送られる。1頭の馬が馬場に入場した時に、どこからおっさんの声で「みかもとー!」という聞き慣れない声援が聞こえてきた。

「みかもと?」「おかもと?」、岡本にしても聞いたことのないジョッキー名前だなー、と思ってネットで調べてみたら御神本(みかもと)さんという地方競馬所属するジョッキーの方だった。

競馬には中央競馬地方競馬というのがあって、通常は別々にレースが開催されていて一緒のレースで走ることはない。そもそも中央競馬は週末の土日に、地方競馬は平日の午後から夜にかけて

レースが開催されるのが一般的だ。フェブラリーステークス交流戦なので中央競馬レースではあるが、地方競馬の馬も出走できる特別レースなので普段目にする機会のないジョッキーも出場しているのだ。

私は地方競馬に行ったことがなかったので知らなかったのだが、交流戦に出てくるくらいなのだから地方競馬では成績のよいジョッキーなんだろうなとその時は思った。「みかもと」という聞き慣れない音の響きがなぜか記憶に残った。

そうこうしている内にメインレースが始まり、私が軸にしていた馬が飛んだので肝心の馬券はハズれてしまった。

ミックファイア

その後数ヶ月が経ち、大井競馬場で開催された羽田盃という地方競馬レースで4番人気のミックファイアという馬が2位に6馬身(1.2秒差)の大差をつけて強い勝ち方をしたという記事ネットで目にした。

鞍上はあの御神本訓史ジョッキー。「おぉ、あのみかもとさんだ!」と思いつつミックファイアという馬にも興味を惹かれた。競馬ウマというのは血統がよいと何億円という値がつくのだがこの馬は550万円で落札されているので、

正直それほど注目されていなかった馬ということになる。その馬が1着賞金3,500万円のレースに優勝しているのだから大したものだ。ミックファイアという馬名も私の記憶に残った。

東京ダービーって何?

また数ヶ月が経ち、ふとしたことから6月に東京ダービーと言うレースがあることを知った。東京ダービー?、日本ダービーとは違うの?、ややこしいのだが、ここでも中央競馬地方競馬の二重構造関係してくる。

日本で「ダービー」というと5月に開催される日本ダービーのことを指す(世界的には違うがもっとややこしくなるので割愛)。で、中央競馬では3歳馬限定のクラッシック三冠レース皐月賞日本ダービー菊花賞の3つのレースを指す。

地方競馬にも3歳三冠レースというのがあって、南関東地区では、羽田盃東京ダービージャパンダートダービーの3つが3歳三冠レースということになっているらしい。

まり先の羽田盃三冠レースひとつ目でありミックファイアは地方三冠馬になる可能性を持った馬ということになる。ちなみに中央競馬のクラッシック三冠レース皐月賞日本ダービーで違う馬が勝ち馬になったので、今年はクラッシック三冠馬が誕生することはない。

今まで大井競馬場に行ったことがなかったのと、ミックファイアという馬に興味が湧いたので当日現地に行ってみることにした。こうやって話題性のある馬が出て客が増えることはよいことだと思う。

無敗二冠馬誕生

仕事を早めに切り上げて大井競馬場へ向かう。最寄り駅から近いのは北門なのだが初めての大井競馬場なので正門から入場する。正門はとってもレトロ建物

日本ダービーものすごい人で身動きが取れないような状態だったが、東京ダービーはそこそこの人出で比較的快適に競馬が楽しめる感じ。当日入場制限もなく余裕。

ミックファイアは単勝1.4倍の1番人気に推されていたものの、競馬ファンからは「羽田盃フロックなんじゃないか」という声も多く聞こえていた。

パドックでミックファイアと初めてご対面したのだが、走る前から汗びっしょりなのに加えてめちゃめちゃチャカついていて正直「こりゃだめだ」と思った。最終的に単勝倍率が1.5倍に上がったのはパドックの見栄えの悪さが影響したのではないかと思う。

でもまあこの馬を見に来たんだから単勝馬券を買ってスタンドで観戦。スタートよく飛び出して2番手の好位につけて3角から4角にかけて先頭に立ち、後は馬なりで2位に6馬身(1.2秒差)つけて圧勝した。今回もとても強い競馬だった。

私もあのおっさんの真似をして「みかもとー!」とゴール前で夢中に叫んでいた。これで無敗の5連勝。獲得賞金も9,250万円になった。夢がある。

ミックファイアとみかもとさんのファンになってしまったので、次のジャパンダートダービーが楽しみになってきた。「みっくー!」「みかもとー!」と大きな声を上げて応援したい。


2022-11-10

エリザベス女王杯 予想の備忘録

エリザベス女王杯が悩ましい

とても難しいのでなんとなく今のところ調べた情報を書き連ねておこうと思う

自分備忘録もかねて


まず有力馬を紹介

有力馬

・復活を狙う女王 デアリングタクト

全盛期なら余裕で勝ちそうな気がするけど、全盛期の力はない

しかし、半端な馬よりは今でも強い


秋華賞馬 スタニングローズ

今年のクラシックの主役2番手

桜花賞こそ間に合わなかったがオークス2着、秋華賞1着

紫苑ステークスから秋華賞メイチの秋3戦目で中3週の余力が心配


クラシック惜敗 ナミュール

豪快な切れ味とスケールの大きさはピカイチで、そのうちG1を勝つ逸材

出遅れたりコーナー膨れたり競馬は下手だけど、完璧に噛み合った日には圧勝する能力がある

体が小さくて秋華賞から中3週でくる余力が心配

こちらは秋2戦目


女王の娘 ジェラルディーナ

昨年から3戦重賞で惜敗続きだったが、今年6月鳴尾記念から雰囲気が変わり、ただの惜敗ではなく本気の勝ち負けに

鳴尾記念から3戦目のオールカマーでついに重賞タイトルを初戴冠

しかオールカマーは有力ライバルの自滅と、トラックバイアスの有利があったのでフロック視されがち


アイドルを粉砕した嬢 イズジョーノキセキ

昨年のエリ女5着

大事前哨戦府中牝馬でソダシを破って重賞タイトル初戴冠

地味だが大崩れせず、末脚が鋭い

前走以外は強いライバルと戦ってきたわけではないため、伏兵イメージを消し切れない


・病を克服した名優 ウインマリリン

G2 3勝、オークス2着と実力は間違いない

日経賞勝ち、天皇賞春5着とスタミナはメンバー随一

昨年のオールカマー以降は肘の病気でまともに走ることができなかったが、この夏ごろから回復傾向

今回と同じコース宝塚記念では7着、札幌記念で3着と復活の兆し

体調さえよければとっくにG1を勝っていた馬に訪れた最大のチャンスが今回


欧州から遠征 マジカラグーン

重賞3勝、オークス馬で、実力は文句なしの3歳馬

欧州馬の中ではこの馬は高速馬場にも強いほうと言われるが、今回の阪神馬場と合うかは未知数

これまで57kg程度でずっと走ってきたのが、今回54kgで走る


・前年度女王 アカイイト

エリ女リピーター多い、阪神2200がコース実績あるほうが強い、大きめの差し馬が強い、のようなデータからすると積極的に切る理由がない

そのうえ調教も1年ぶりにいいらしい

気になるのはこの1年何も結果を出してないこと


あとは、アンドヴァラナウト、ピンハイ、ウインマイティーあたりが有力だよ

次は上記で上げた馬に関して、さらに詳しいことを書いていくよ

今の時点で自分が調べたことなので、枠が出て、さらにいろんな情報が出ればまた変わっていくと思うよ


デアリングタクト

この馬に関しては、もう終わったのか終わってないのかだけ

三冠馬としては終わったけど、競走馬としては終わっていない、というのが結論

復帰後の成績だけ見て、三冠馬過去イメージを捨てて考えなきゃいけないと思う

しかし、その場合でも宝塚記念で3着に入る馬は切れないな、となっている

調教はとてもいいとのこと

出れるならジャパンカップに出るべき馬だがエリ女選択した、というのが、「確実に勝てるほうを選んだ」のか「ジャパンカップは無理だから少しでも勝算があるほうを選んだ」のか

後者だと思われる

しかし、宝塚記念3着をすぱっと切れますか、というとそれは無理だよね

あー、しかし、昨年の宝塚記念3着、オールカマー4着のレイパレエリ女6着、2016年宝塚記念1着、オールカマー5着のマリアライト京都開催だけどエリ女6着ってのと被る

ただの有力な1頭って感じがする


タニングローズ

この馬に関しては秋華賞の疲れがあるかどうかが最大の疑問

結論としては、疲れはある

確実に疲れが見える

陣営現状維持できていると言っているけど、そんなこと言って沈んだ馬はいくらでもいる

アカトリノムスメも、ガイアフォースもそんな感じだった

仮に現状維持できていたとして、阪神2200は阪神2000以上に過酷でタフでスタミナを要求するコースだし、難しい面はあるはず

天皇賞から宝塚記念つのだってなかなか難しいのに、メイチ秋華賞から阪神2200エリ女はなかなか厳しい

切ってもいいけど、実力があるのは疑いがないし、根性馬券内もなくはないとは思う

母系の奥にはシャーリーハイツがいて、ミルリーフクロスもある

クロフネイメージでスタミナ不安と思う必要はなさそう


ナミュール

秋2戦目なので、スタニングロースと違って疲れどころか上積みがあるらしい

馬体が大きく減るようなことがなければ秋華賞からの疲れ、というのはそれほど考えなくてよさそう

阪神2200が東京コースのような一瞬の切れ味を要求するコースではないためナミュールイメージコースが合わない気がするが、タフなコースに強いハービンジャー産駒だし、父の血が騒げば案外こなすかもしれない

そもそも秋華賞2着というのも、絶妙コースの合わなさを見せながらの僅差2着だったわけで、そのレベルの馬なら適性外でもそつなく能力でこなしそうには見える

しかし、こいつに関しては確かなことは言えない

勝ってしまっても驚きはしないし、最後方をやる気なく走っても驚きはしない


ジェラルディーナ

気になるのは実力が本物なのか?ってところだと思う

デアリングタクトやヴェルトライゼンデは故障経験者だし、案外あんもの、と思えば、あのオールカマーはやり直してもまた勝つと思う

そういう意味ではフロック勝ちではなくて、相手が弱かったってこと

鳴尾記念から馬体も変わってきて「勝ったらいいよね」が「今回は勝つんじゃないかな」に変わってきた中でのオールカマーなので、この夏から秋にかけて本格化してきたのは疑いようがない

その中で負けた相手マリアエレーナやヴェルトライゼンデなど一線級だった

そして今回はオールカマーより状態がいいってことなので、夏前の重賞4着してる頃のイメージで見くびらないほうがいいのは間違いない

気になるのは乗り変わりで、微妙に手があわなかった福永騎手から武史騎手に乗り変わりで一気に結果に結びついたが、今回もCデムーロに乗り変わり

武史騎手のほうがよかったけど、デムーロうまいから、まだ調子は上がってないけど、まあなんとかなるかなと信じたい

あとは最初の直線が長い阪神2200で、中団前目7番手前後で内にスッと入って脚をためれるかどうか

二の足がつかない馬なので、最初に折り合い重視の福永騎手の時はいポジションとれなかった

デムーロポジションとれるかどうか?後方になってしまうと厳しいと思うので中団インが欲しい

理想はウインマリリンの後ろのポジション

あと、陣営距離問題ないと言っているけど、阪神2200の適性は本当に大丈夫なのかな、ってちょっと気になってる

あ、あと、ジェラルディーナにとって久々のG1なので、初めてこの子見る人も多いかもしれない

パドックでは目をむいて首を振りまくって、野武士のような形相になって入れ込むけど、それで平常運転なので気にしないであげてください

普段は可愛らしい女の子なのに、レース終わっても目が逝ったまんまのめちゃくちゃ雄々しい馬ですが、それで普通です


イズジョーノキセキ

府中牝馬組が強いとか、過去阪神2200の成績がいいとか、末脚があるほうが強いとか、そういうデータがあつまってくるとイズジョーノキセキが条件に合うよな、ってなる

問題は実力が通用するか、だけど、昨年5着なら通用するとみていいと思う

勝つかはわからないけど、勝つかもしれないし、馬券内なら普通にあると思う


ウインマリリン

気になるのは阪神適性だと思う

阪神天皇賞春5着、阪神エリ女4着、中山重賞で2勝、洋芝札幌記念で3着など、これまでの成績を見て、阪神がこなせないと見るほうがおかし

調教師も阪神はこなせるはず!と言っている(でも結果が出てないから向いてないのかも、とも言っているw)

輸送は苦手みたいだったけど、前乗りして克服しているし、コースに関してはあらかた問題はないはず

あとは肘の問題

ようやく気にせずにトレーニングができてて、この3年で一番いい状態で出れる、と陣営は言っているし、実際に調教は抜群!

陣営のしゃべり方も、今回は勝つために出ているって色気をプンプン感じる

本来の実力はメンバーでもトップクラスなので、勝ち負けの1頭だと思う

2020年ラッキーライラック宝塚記念6着、札幌記念3着、阪神エリ女1着なので、あやかりたいところ


マジカラグーン

まじでわからない

わからんやつを軸にはできないし、日本の有力馬もみんなそこそこに不安点がある

勝つ気できているのは伝わるし、阪神2200は外国馬も比較勝負やすコース

買い目から抜くことはできないだろう


アカイイト

正直言うと去年ができすぎただけで、完全にフロックだったと思っている

というか、そう思うしかないような成績を今年はあげている

これで絡むと思う方がおかし

んだけど、そのレースにだけは強い子っているからねー

去年だって普通は来れないのに来てしまうんだから、そうさせるだけの何かがあるんだろうね

と思うと一応絡めたいよね


まとめ

あとは伏兵

アンドヴァラナウト、ピンハイ、ウインマイティーらが馬券に絡むこともあるかと思います

インキートスはこないと思ってます


個人的には今のところの一番手評価はウインマリリンとデアリングタクト

次いでジェラルディーナ、イズジョーノキセキ、ナミュール

有力視しているのはこの5頭

だけど、3着までなら、というか、上記有力5頭の間2着に差し込んでくる馬がいるかもしれなくて、その可能性あるのが、マジカラグーンアカイイト、スタニングローズ、ウインマイティーあたりだと思う

ひょっとしてひょっとすると、荒れたらピンハイ、アンドヴァラナウト、クリノプレミアム、ローザノワールあたりも絡むかもしれません

そうなるとお手上げかなあ

アンドヴァラナウトは長い距離走ってないけど、長距離にも似た阪神2200をほんまにこなせるの?というのを疑問視してる

クリアできそうって情報を得たら、有力にするかもしれない

2022-02-24

ゲーム配信1周年を迎えたウマ娘に、今後新規参戦しそうなキャラ妄想する

2022年2月24日ゲーム配信1周年を迎えたウマ娘

先日、一挙5キャラ新規参戦発表には驚いたが、

世代の穴を埋める追加ばかりで、競馬ファン自分としてはかなり満足している。


今後も新規参戦は続々と増えるだろうと考えると、膨らむ妄想が抑えきれなくなったので、

参戦可能性がある程度ありそうで、実際参戦したら主に俺が喜ぶウマたちを、

モデル馬のプロフィールと合わせて紹介しようと思う。


キョウエイマーチ

1994年4月19日まれ

メジロドーベルシーキングザパールサイレンススズカタイキシャトルマチカネフクキタルと同期で、

キングヘイローと同じ、ダンシングブレーヴ産駒の快速牝馬

5戦4勝で迎えた桜花賞で、前年の2歳王者メジロドーベルをぶっちぎって優勝。

オークスでも1番人気になるが、距離が長すぎたのかメジロドーベル惨敗

秋は始動戦で2000Mを克服するも、秋華賞では再びメジロドーベルに敗北。

次走は牝馬限定戦のエリザベス女王杯ではなく、距離を縮めて牡馬合戦マイルCS選択

サイレンススズカを制し超ハイペースで逃げて粘るも、

タイキシャトルにかわされ2着に敗れた。

以降、短距離ダートを中心に使われGIII勝ちやGIでの好走もあったが、

2度目のGI制覇は最後までかなわなかった。

当時、ヴィクトリアマイルがあれば……


ウマ娘としては、快速馬のイメージからバクシンオーみたいな猪突猛進型のキャラになるかも。

対戦の多かったメジロドーベルシーキングザパールタイキシャトルや、

ダンシングブレーヴのつながりで、キングヘイローカワカミプリンセスとの絡みはぜひ見てみたい。


タニノギムレット

1999年5月4日まれ

2002年の第69回日本ダービー馬。ウオッカの父として有名(馬主も同じ)

皐月賞NHKマイルC日本ダービーという、

中2週で行われる春の3歳GI3戦全て出走してすべて1番人気に支持されている。

(現状、一流馬はまず選択しないローテーション)

勝ったのはダービーだけだったが、皐月賞は、主戦の武豊が負傷で乗れず差し遅れて3着、

NHKマイルCは直線で勝ち馬の斜行で致命的な不利を受けての3着と、

歯車がかみ合っていれば春3冠を成しえる強さは間違いなくあった。

ダービーの後も飛躍が期待されたが、

シーズン始動前に不治の病と言える浅屈腱炎発症し、引退することとなった。

大変残念ではあったが、4歳まで現役を続けていたら初年度産駒であるウオッカは生まれず、

父娘ダービー制覇も達成しなかったことになるので、なんとも複雑な話である


ウマ娘としては、ギムレットの由来から軍医っぽい雰囲気キャラ勝負服になりそう。

ウオッカとの絆はもちろん、

父が同じナリタブライアンマヤノトップガンとの絡みも期待できる。

シナリオでは、春3冠達成の隠し要素、3歳秋、4歳のローテーションなど、

IF要素を多く盛り込めそう。


シンボリクリスエス

1999年1月21日まれ

ダービーではタニノギムレットの2着。

秋の天皇賞有馬記念を3,4歳時に連覇し、2年連続年度代表馬に輝いており、

種牡馬としてエピファネイア(その産駒に昨年の年度代表馬エフフォーリア、ルヴァンスレーヴといった芝ダートそれぞれで大物を生んでいる。

3歳秋の天皇賞では、ナリタトップロードを下し、

有馬記念は1番人気のファインモーションらを下して制するなど、

ウマ娘参戦済のキャラとも縁が深い。


ウマ娘としては、大型かつ漆黒の馬体、やや体質が弱い、アメリカまれのシンボリ系ということでキャラを立てやすそう。

同厩舎の後輩ゼンノロブロイや、後述タップダンスシチーとの関係も描きやすい。

ダービー制覇、2年連続3着だったJCを制覇しての秋3冠などのIFシナリオも考えられる。


タップダンスシチー

1997年3月16日まれ

5歳に覚醒した「晩成」の外国産牡馬

特に佐藤哲三騎手出会ってからの逃げ・先行戦法でファンを魅了した。

この馬をメジャーにしたのは、5歳時の有馬記念

実績不足で全く人気がなかったものの、

1番人気だったファインモーショントラウマを植え付けるようなレースぶりで、

終盤までレース支配

最後シンボリクリスエスに差されて2着に敗れたが、

強さの片りんを見せつけるものだった。

6歳時には、金鯱賞1着、宝塚記念3着と前年有馬記念フロックでないことを示し、

京都大賞典1着を経て挑んだジャパンカップでは、

2着を9馬身突き放す圧勝劇でGI初制覇を飾った。

次走の有馬記念ではハイペースに巻き込まれ失速し、

シンボリクリスエス引退花道を飾られてしまうが、

7歳時の宝塚記念GI2勝目と強いレースぶりを再び発揮。

同秋には凱旋門賞に挑むも遠征までのトラブルもあって惨敗

失意の中出走した有馬記念では、秋3冠を達成したゼンノロブロイの2着に入り力を見せている。


ウマ娘では、職人肌だった鞍上の印象からナカヤマフェスタみたいな無頼系、

エアシャカールみたいな気性の荒い理論キャラになりそう。

ジャパンカップへの思いの強さもシナリオで強調されるかもしれない。

また、シンボリクリスエスとのライバル関係(4回戦って2勝2敗)、

ファインモーション敵役ゼンノロブロイにとっての最後の壁など、

複数キャラとの絡みが展開できるはず。


ヒシミラクル

1999年3月31日まれ

タニノギムレットシンボリクリスエスと同期の牡馬

菊花賞春の天皇賞宝塚記念をそれぞれ10番人気、7番人気、6番人気で勝利したミラクルホース

宝塚記念時に出現したヒシミラクルおじさんの存在(同馬の単勝を1222万円分購入し、約2億円を獲得したといわれている)で、

競馬ファン以外に名が知れたこともある。

勝ち上がりはダービーと同日の未勝利戦と遅かったものの、

以降勝ち星を重ね、抽選滑り込み出走した菊花賞で1度目のミラクル勝利

なおこの年の菊花賞は、タニノギムレットシンボリクリスエスが参加しなかったこと、

断然1番人気の皐月賞ノーリーズンスタート直後に落馬して競走を中止したこと

16番人気のファストタテヤマが2着に突っ込んできたことなど、

あらゆる意味で大荒れのレースだった。

その後、余勢をかって出走した有馬記念でいいところなし。

翌年阪神大賞典大阪杯GIIを連戦するも、ここでもいいところなし。

結果、菊花賞勝利フロック視され始めたが、

叩き3戦目で挑んだ春の天皇賞で、菊花賞再現するかのような2度目のミラクル勝利

続戦となった宝塚記念では、

前年の年度代表馬シンボリクリスエス、同年クラシック2冠馬のネオユニヴァースをはじめ、

安田記念で復活勝利を遂げた2刀流アグネスデジタル有馬記念2着後2連勝中のタップダンスシチー

といった超豪華メンバーが参戦。

勝ったGI2つの評価が芳しくなく、戦前の注目は低かったが、

先述のおじさんによって単勝オッズが急激に下がり、前日の時点ではなんと1番人気(最終的には6番人気まで落ち着いた)

一躍注目の存在になったことで気分を良くしたのか、

おじさんの期待に応えるレースぶりで3度目のミラクル勝利を飾った。

(タップダンスシチー3着、ネオユニヴァース4着、シンボリクリスエス5着、アグネスデジタル13着)

この勝利で秋の飛躍も期待されたが、

メジロマックイーン引退に追い込んだ繋靭帯炎発症

長期休養を経て復帰するも精彩を欠き、再び繋靭帯炎発症したため引退した。


ウマ娘としては、「ミラクル」を推しつつ、

勝ってもなかなか評価が上がらなかったこから

明るいが影のあるキャライメージできる。

馬主ヒシアケボノとの絡み(ステイヤースプリンター凸凹コンビ感ある)

父が同じで菊花賞馬という共通点もあるナリタトップロードとの絡みも面白そう。


ツルマルボーイ

1998年3月5日まれ

アグネスタキオンマンハッタンカフェと同期。

お母さんがツルマルガール(母父サッカーボーイ)で息子がツルマルボーイ

安易というなかれ。

4歳時に頭角を現し、中長距離GIで互角の勝負を続けたが、2着3回と中々勝ちきれなかった。

(この中にはヒシミラクル宝塚記念シンボリクリスエスが連覇を果たした秋の天皇賞がある)

悲願を達成したのは、2年半ぶりのマイル戦となった6歳時の安田記念

元々左回りコースで強かったことや、スタミナを要する馬場になったことに加え、

コンビとなった安藤勝己騎手の「マジック」があったのかもしれない。


ウマ娘としては、女の子で「ボーイ」ということもあり、

そのままボーイッシュな見た目になる予感。

同じく女の子で「キング」なキングヘイローともいい関係を築けそう。

中々GIを勝てずに6歳時に悲願を達成したというところも共通しているので。

サッカーボーイつながりで、ナリタトップロードらとも絡んでほしい。


テイエムオーシャン

1998年4月9日まれ

ツルマルと同じくアグネスタキオンマンハッタンカフェと同期の牝馬

父はキングヘイローの父と同じダンシングブレーヴ

母父はナリタタイシンの父と同じリヴリア

母母父はミホノブルボンの父と同じマグニテュード

2000年阪神ジュベナイルフィリーズ(当時阪神3歳牝馬S)を制し、

翌年桜花賞秋華賞牝馬2冠を達成。

2冠目のオークスも断然1番人気だったが、3着に敗れている。

牝馬劣勢の時代牡馬にも果敢に挑戦し、

4歳時、エアグルーヴも勝った札幌記念勝利(しかも前走比+38kgで)したことで、

秋の天皇賞では1番人気に推された。

(13着敗退。1着シンボリクリスエス、2着ナリタトップロード)

マイルで強かった印象もあり、中距離路線に行かなければ…と今でも思わされる存在

キョウエイマーチ同様、当時ヴィクトリアマイルがなかったことが悔やまれる。

デビュー2戦は1200Mで連勝しており、ひょっとしたら短距離でも強かった可能性がある。

なお、JRAでは2001年から年齢表記が数えから満年齢に変更となったため、

JRA賞の「最優秀3歳牝馬」を2年連続で受賞するという珍記録を持っている。


ウマ娘としては、同馬主テイエムオペラオーとの絡みが面白くなりそう。

(繁殖牝馬としても5年連続で配合されている)

他には先述した血統的に縁のある3人や、

厩舎・主戦騎手が同じで、キングヘイローの血を引くカワカミプリンセスとの掛け合いも見てみたい。




まだまだ書き足りないけどキリがないのでここまでにする。

2022-01-26

anond:20220125220516

今度、知り合いにしか発信しない新機能名前フロックだったか)かつくるらしいけどそもそも最初から鍵垢にすりゃいいんやで

2022-01-13

マルシュロレーヌとJRA賞特別

マルシュロレーヌがJRA賞特別賞を得られなかった問題については以下の論点が考えられる。

マルシュロレーヌの成績

マルシュロレーヌと共に遠征してBCフィリー&メアターフ勝利したラヴズオンリーユーは、

それ以前にQE2世カップ勝利しており、また直後に香港カップ勝利した歴史的名馬だった。

仮にラヴズオンリーユーが最優秀4歳以上牝馬を受賞しなければ、おそらくJRA賞特別賞を与えられていただろう。

一方で、マルシュロレーヌは、BCディスタフ以外には交流GIの勝ちすらない。

はっきり言ってしまえば「フロック」「大駆け」だと思われている。

それが低評価の一因なのだろうと思われる。

日本競馬界のダート軽視

マルシュロレーヌは初めてアメリカダートGI勝利した日本馬となった。

なぜこれまで日本馬がアメリカ(のダート)で勝利することがなかったかと言えば、

それはアメリカ遠征する日本馬が少なかったかである

しかも、はっきり言えば二線級の馬が挑戦する場合が多かった。

めぼしいのはエスポワールシチーくらいだろうか。

まり日本競馬界は、そもそもダート競馬が主流のアメリカ競馬を軽視しているのだ。

アメリカ遠征評価されようと思えば、本当の最高峰であるBCクラシックケンタッキーダービーを勝つしかない。

いや、そうしてさえ国内GIでの勝ちがなければ、JRA賞最優秀ダートホースを受賞できるかは疑問である

海外成績を優遇すべきか

JRA賞日本国内の賞である

であれば、国内成績が同等のとき考慮するなどはあるとしても、海外成績のみで選出するようなことがあってはならない。

今年のJRA賞でも、海外GIを3勝したラヴズオンリーユーではなく、国内GIを3勝したエフフォーリアが圧倒的な支持を得て年度代表馬になっている。

アメリカレースでの結果であれば、それはアメリカ競馬界が表彰すべきなのだ

このような話で思い出されるのは1999年エルコンドルパサー年度代表馬だが、

あれは日本競馬海外コンプレックス猖獗を極めた結果として起きた事故のようなものだと思う。

当時のホースマンたちは「ジャパンカップで勝つよりも凱旋門賞で負けるほうがすごい」と本気で思っていたのだろうが、

現在に至ってもそのような劣等感を持ち続けている日本ホースマンはいないはずだ(と信じたい)。

いまや「国内では勝てないか海外遠征する」時代になった。

いつまでも海外で勝ったからすごい」という感覚でいるべきではない。

2021-11-15

アカイイト

エリザベス女王杯大波乱

さすがにこれは当たらないです

アカイイト強かった!

今回の増田では、アカイイトフロックではなく本当にG1勝てるレベルに強くて、今後もG1戦線活躍できるか?について考えようと思う

今回の一番人気は大阪杯勝ち馬レイパレだった

二番人気は秋華賞アカトリノムスメ

G2を今年2勝しているウインマリリンは3番人気だった

そもそもこのレースレベルがどうなのか?という問題がある

レイパレ三冠馬マイル女王に大差をつける圧巻の走りで無傷のG1制覇を果たしたのが印象深いが、そもそも大雨の大阪杯が異質であったのと、同じメンツ天皇賞秋では三歳馬エフフォーリアが同じくこれらの馬に勝っている

そうすると、どうもあの大阪杯は、クロノジェネシスエフフォーリア、またはマイルでのグランアレグリアのような、トップブトップの集まるレースではなかったうえに、重馬場だった影響がでかいレースだったと言える

あの時のコントレイルはトップブトップと信じてたんだけどね

レイパレ特殊な条件のG1には勝ったけど、それを二度と再現できない時点で本来G1レベルではない、ということ

その後の宝塚記念3着は立派でもあるが、限界を露呈もしている

その後G2オールカマー4着だ

運が重なってG1勝っちゃったけど、力の面ではG2勝てる程度の馬なのだろう

アカトリノムスメは今後もG1狙える力はあると思う

が、秋華賞からの2度の輸送が難しさだったのと、レース前にかなり落ち着かない様子ではあったので、今日は心身ともに整っていなかったのだろう

G1勝てる馬が調子が整わずにずるずる沈むことはよくある

その日だったように見える

ウインマリリンハ、G2勝てる馬なので強い

実力はもっともあったかもしれない

そろそろG1勝ててもおかしくない頃だよね、というのは正直あった

が、まだまだG2クラスの馬なのだろう

レイパレのようにどこかでかみ合えばG1ひとつふたつとれるかもしれない

でも、クロノみたいにいくつも勝てるような馬ではないことは明白

そのうえで怪我での調整遅れもでかかった


まり、今回の上位人気のメンツ、みんなG2レベルだったということだ

G1レベルは、普通はよほど何かないと勝てない

ただG1でも2着3着は誰がきてもおかしくはない

G2レベルだった今回のエリ女、というのはつまりハイレベルG1での3-5着を争うようなものだった

まり、誰がきてもおかしくない

そういうわけで、アカイイトは確かに強かったが、本物のG1レベルと戦えばまず勝てないだろう

が、それと同時に、カレンブーケドールやウインマリリンなんかと似た水準では今後も勝負できると思う

まあ、それにしても荒れたなあ

2021-09-30

じゃあ凱旋門賞についてもっと簡単解説するよ

凱旋門賞ってなに?

フランスの芝2400mのGIレース

フランスだけでなく欧州各国から出走馬が集まってくる。

欧州版のジャパンカップみたいなもん。

ちなみに今年の発走は日本時間10月3日23時5分。

なんで凱旋門賞だけこんなに話題になるの?

日本ホースマン古参ファン海外コンプが強いから、

凱旋門賞に勝ったときこそ日本競馬欧州競馬に並んだことになる」みたいに思ってる。

そんで何度も挑戦していちども勝ててないからムキになってる。

もはや凱旋門賞挑戦が目的化してる。

いちおう言っとくと、日本競馬はすでに芝の中距離では世界トップクラスと言われてるし、

実際に海外GIでも普通に勝てるようになってるので、最近競馬ファンほど海外コンプは薄いと思う。

というか、いまでも凱旋門賞挑戦に意義があるとするなら、

それは「まったく適性の異なる日本欧州チャンピオンになれば凄い」という点であって、

年度代表馬ですらないのに「斤量が軽いから」とかなんとか言って毎年のように適当な馬を連れて行ってどうすんのとは思うよね。

どっかでフロック勝ちするかもしれないけど、それで勝ってもどっちらけでしょ。

なんで凱旋門賞で勝てないの?

欧州競馬場は、日本みたいに馬場を人工的に作って管理しているわけではなく、

自然草原の上に競馬場を建てているので、コースの起伏が大きく、芝生の性質も異なると言われている。

(それでもイギリスと比べればフランス競馬場はまだ日本に近いらしいが)

レース展開なんかもかなり違うので日本馬には慣れない環境になる。

また欧州はなんだかんだ長距離血統が強いので、単純にスタミナの差もあるかもしれない。

あとは運。

今年の注目出走馬

クロノジェネシス

日本馬。GI4勝。グランプリでやたら勝ってる牝馬

条件がハマるとめちゃくちゃ強いけどそうでないと勝ちきれないという印象。

ディープボン

日本馬。GI勝利

「また適当な馬を遠征させて…」と思ったけど、凱旋門賞前哨戦フォワ賞で勝ったので「やるやん」となった。

とはいえディープボンドがもし勝ったらめちゃくちゃ微妙空気になるだろうな…。

スノーフォー

日本まれアイルランド育ちのディープ産駒ということで日本からも注目されている。

イギリスオークスで16馬身差という歴史的圧勝をして生ける伝説となり、

そこからGIを3連勝、すべて圧勝で飾ったので凱旋門賞最有力となったが、

前走で普通に負けちゃったのでちょっと評価が下がった。

ダイヤ

今年のイギリスダービー馬でKG&QESの勝ち馬

3歳でダービーキングジョージを制覇したのは20年ぶりだとか。

3歳馬は斤量が軽いということもあって人気を集めている。

ルナ

去年のBCターフ勝ち馬

凱旋門賞と同じロンシャン芝2400mのヴェイルメイユ賞で勝利しているのは加点要素。

ダイヤーと並んで人気を集めているけど、個人的にはそんな強いのかな?という感じ。

ハリケーンレーン

イギリスダービーこそアダイヤーに敗れたものの、そこからGIを3連勝、7戦6勝の戦績は安定感がある。

凱旋門賞と同じ競馬場・同じ距離パリ大賞典圧勝しているのもポイント

というわけで、今年は抜けた本命がいなくて群雄割拠というところ。

イギリスの3歳勢が強い感じなのでアダイヤーやハリケーンレーンに注目。

でも単に「勝ってほしい」のはどの馬かと聞かれたらスノーフォールだな。

anond:20210915183559

2021-03-10

ウマ娘から競馬に興味を持ち始めた人へオススメする競馬名実

ウマ娘競馬に興味を持った人たちには、毎週土日にBS11フジテレビ等でやっている競馬中継も是非視聴して頂きたい

プロ野球中継やその他のスポーツ実況と違って、1~2分そこらでレースが終わってしま競馬中継の実況は非常に難しいとされる反面で

非常に素晴らしい、心に残る名実況も数々あるので、自分の気に入っているものを紹介する

ベガベガでもホクトベガ!」(1993年エリザベス女王杯 ホクトベガ)

1番人気は桜花賞オークス牝馬二冠を制しこのレース牝馬三冠達成がかかったベガ

一方のホクトベガは9番人気と低評価ながらも見事なイン強襲でG1勝利を飾った

マックイーンだマックイーンだ!メジロでもマックイーンの方だ!」(1990年菊花賞 メジロマックイーン)

祖父メジロアサマ、父メジロティターンに続いて親子三代での天皇賞制覇を果たしたメジロマックイーン

菊花賞出走時点では条件馬であり重賞初出走ということもあって4番人気の評価

1番人気は僚馬メジロライアンであったが、ステイヤーとしての素質を遺憾なく発揮し見事菊花賞を制覇した

モチが粘っている!モチが粘る!」(2007年若駒ステークス モチ)

珍馬名で有名な小田オーナーの所有馬

モチが粘って1着だからいいものの、モチが詰まっていたらと思うと…

「負けられない南井克己!譲れない武豊!(1989年マイルチャンピオンシップ オグリキャップ)

馬主脱税容疑がかかり馬主資格が剥奪されそうになったため急遽売却されてしまったオグリキャップ

新馬主は高額の購入費用をペイするため、とんでもないローテーションを組むことに

今であれば秋は前哨戦含めて3戦、多くて4戦が常識だがこの年のオグリオールカマー毎日王冠天皇賞

マイルチャンピオンシップジャパンカップ(京都から府中輸送して連闘!)⇒有馬記念というダビスタでもやらない地獄のローテに挑むことに

最後の直線、絶対に届きそうもないところからハナ差バンブーメモリー差し切った脚はダビスタのアグリキャップ並みのチートな末脚であった

ニンジャがスルスル忍び寄る!」(2013年北九州記念 ニンジャ)

直線先頭に立ったツルマルレオンの外からニンジャがスルスルと…

オグリキャップ先頭か! 200を切った!オグリキャップ先頭! (ライアン!) オグリキャップ先頭!オグリキャップ先頭! そして、そして(ライアン!)」(1990年有馬記念 メジロライアン)

メジロライアン本命◎をうった大川慶次郎御大

レース中に解説者が実況の邪魔をするという前代未聞のハプニングを引き起こすもオグリ引退レースを勝ったこともあり、終わりよければ全て良しというハッピーエンドとなった

「これはもう、フロックでも、なんでもない!二冠達成!」(1997年日本ダービー サニーブライアン)

牡馬クラシックの一冠目である皐月賞で逃げ切り勝ちをおさめたサニーブライアン

しかしながらたまたま展開が向いただけのフロック勝ちなどと見られ、レース発走直前では7番人気の低評価

皐月賞と同じ大外18番枠からスタートとなったが「逃げ争いになっても絶対に退かない」と公言していた通り

サイレンススズカを抑えてハナを切ると、そのまま一度も先頭を譲ることなく先頭でゴールを駆け抜けた

ウィンストン・チャーチルが「ダービー馬のオーナーになることは一国の宰相になることより難しい」と述べたというのは後世の創作なのだ

ダービー馬のオーナーとなった馬主宮崎氏がダービー勝利時に所有していた現役競走馬はこのサニーブライアン1頭のみ

たった1頭の所有馬日本ダービーを勝ち二冠馬となったことは奇跡的な出来事であるといえよう

2021-03-01

ウマ娘に出てきてほしい名馬たち

シンザン

1961年まれ。史上2頭目三冠馬、そして史上初の五冠馬であるディープが登場するまでの史上最強馬といえばルドルフであり、そしてルドルフが登場するまではシンザンこそが史上最強馬だった。19戦15勝、2着4回。3着以下に負けたことがなく、そのわずかな敗戦トライアルばかりで「調教代わりに手を抜いて走っているのでは」とも言われた。ルドルフを超える神のごときカリスマを持った最強のウマ娘として出てきてほしい。

タケシバオー

1965年まれ。29戦して海外遠征を除けばすべて3着以内という強さを誇った怪物。驚くべきはそのレース選び。芝でもダートでも長距離でも短距離でも勝ちまくる。いわば強化版アグネスデジタルである。3200mの天皇賞春と1200mのスプリンターズステークスを両方勝っているのはタケシバオーだけであり、当時はシンザンと並ぶほどの評価を与えられていたらしい。豪放磊落って感じのウマ娘として出てきてほしい。

ハイセイコー

1970年まれ日本競馬史上においてオグリキャップと並ぶアイドルホース地方から中央競馬に殴りこんで連勝を重ねたのも同じ。しかハイセイコー皐月賞では勝ったもの日本ダービータケホープに敗れてしまう。実はハイセイコーは2000mまでの馬。馬場ダートのほうが合うと言われていた。マイル路線ダート路線もまだ整備されていない時代ハイセイコーは不利な戦いを強いられ、しかしそれにより更なる人気を獲得した。同性から人気があるタイプの不良っぽいウマ娘として出てきてほしい。

カブラヤオー

1972年まれツインターボメジロパーマーの究極形。人呼んで「狂気の逃げ馬」。とにかく最初から最後まで全力で逃げ続ける。しかもその戦法で9連勝して皐月賞ダービーの二冠馬となっているのである。なぜそんな極端な戦法をとっていたかというと、実は幼い頃に他馬に蹴られたトラウマのせいで、馬込みの中で走らせることができないからだった。狂気暴走と思いきや泣きながらいじめっ子から逃げていたわけで、この時点でもうウマ娘っぽい。

テンポイント

1973年まれ。「流星貴公子」と呼ばれたアイドルホースである競馬ではしばしば「三強」の構図が表れるが、テンポイントにもトウショウボーイグリーングラスという同世代の好敵手がいた。三頭とも出走したレースでは必ずワンツースリーを占め、三頭ともが年度代表馬になったという、稀有ライバル関係だった。そしてレース中に骨折予後不良となった名馬としてキーストンサイレンススズカと並んで語られることが多い。正統派イケメンウマ娘として出てきてほしい。

ミスターシービー

1980年まれ。(ウマ娘に)もう出てるだろ!って突っこまれそうだけど、個人的に大好きなので、まだゲームには実装されてないのを言い訳に紹介するわ。

ミスターシービーは史上三頭目三冠馬最後からまくって追い込む豪快な競馬身上で、皐月賞では泥んこの不良馬場を後方から差し切り、ダービー菊花賞では当時のセオリーをガン無視して勝ってしまった。とにかく破天荒でド派手な馬だというイメージがある。ルックスイケメンで、現役時はアイドルホースと言っていいくらいに人気があった。また、父親は「天馬トウショウボーイ母親はそのトウショウボーイと同じ新馬戦を走ったシービークインで、この母からミスターシービーしかまれていない。これも「初恋の馬に操を立てた」などとドラマチックに語られて人気の一因となった。

しかし悲しいことに、シービーの一歳年下には無敗の三冠馬シンボリルドルフがいた。シービーは皇帝と戦い、完膚なきまでに負けてしまう。ジャパンカップ有馬記念天皇賞春。いちども勝つことができなかった。当時の人気が忘れ去られた現在では、シービーは「史上最弱の三冠馬」などと言われてしまう始末である言い訳をすると、シービーは本質的には中距離馬だと言われており、ルドルフと戦った距離は得意としていなかった。また体質も弱く、菊花賞のあとは一年もの休養を余儀なくされており、古馬になってからは蹄がボロボロだったらしい。ゆえに私は、もしルドルフと同世代皐月賞を戦ったなら、彼はきっと皇帝を倒していただろうと信じてやまないのである

実にミスターシービーこそは、ディープインパクトのような走り、トウカイテイオーのようなアイドル性、ナリタブライアンのような悲劇性を兼ね備えた名馬だと思う。ウマ娘でもかっこよく描かれてほしい…早く実装してくれ…。

サニーブライアン

1994年まれ通称「サニブ」。ほとんど注目されずに皐月賞では11番人気。しかしそこでまんまと逃げ切ってしまう。誰もがフロック(まぐれ勝ち)だと思ったその次の日本ダービー皐月賞馬なのに7番人気。しかしサニブはまたしても逃げ切ってしまうのである。「これはもうフロックでもなんでもない!」という実況が有名だが、サニブはその直後にあっさり故障引退してしまったため、いまでも「サニブは本当に強かったのかどうか」で議論になるのだった。昼行灯な態度で周囲を油断させて実は有能みたいなウマ娘として出てきてほしい。

ステイゴールド

1994年まれ通称ステゴ」。GIでも好走するのに何故か1着が取れない「シルバーコレクター」の代表的存在としてファンから愛された。そして50戦目の香港遠征引退レースでついにGI勝利するのだから、作ったようにドラマチックである。が、ステゴの真の活躍それからだった。種牡馬として次々に超大物を輩出したのであるウマ娘アニメには「キンイロリョテイ」なんて名前で出ていたが、やはり実名で出てほしい大器晩成型の名馬だ。

クロフネ

1998年まれダービーがはじめて外国産馬にも開放された年の馬だったので「黒船から名付けられた。が、毛色は芦毛(白)である。有力馬としてダービーに出走したが勝てず、さまざまな巡り合わせからダートに出走したところ、驚異的なレコードで9馬身圧勝。次走のジャパンカップダートでも7馬身差でレコード勝利を収めたが、その直後に屈腱炎引退した。ダートではたった2走だけだったがその強さは鮮烈で、今なお「史上最強ダート馬」として支持されている。やはりまだまだダート馬が少ないのでダート最強格のウマ娘として出てきてほしい。

ヒシミラクル

1999年まれ10番人気で勝利した菊花賞。7番人気で勝利した天皇賞春。6番人気で勝利した宝塚記念GIを3勝もしているのに「強い馬」とはなかなか思われないムラのある個性派だった。特に有名なエピソードとして、宝塚記念ときヒシミラクル1000万円を賭けて的中させた通称ミラクルおじさん」の話がある。払い戻しは2億円だったという。まさに「奇跡」という言葉がよく似合う馬であるウマ娘としてはマチカネフクキタルあたりと仲良くやってほしい。

ロードカナロア

2008年まれサクラバクシンオーをも超える日本史上最強スプリンター香港スプリントを連覇した世界のロォォォォォォォォォォォドカナロア。異名は「龍王」。また種牡馬としても初年度から9冠牝馬アーモンドアイを送り出し、ディープ亡き後のリーディングサイアー最有力候補とみなされている。カレンチャンと同じ厩舎で、カレンチャンから距離路線王者の座を受け継いだので、ウマ娘でもそのあたりの絡みを見たいところである

ジャスタウェイ

2009年まれ馬主アニメ銀魂』の脚本家だったため、作中に登場する謎の爆弾ジャスタウェイ」の名前がつけられた。ググってもらうと分かるが完全にギャグである銀魂を知っているとネタ馬としか思えないが、しかし4歳時の天皇賞秋で突如として覚醒三冠牝馬ジェンティルドンナをぶっちぎって勝利した。中距離ではサイレンススズカ級の評価を受けている。最強12世代ウマ娘ではゴルシしかいないのは寂しい。社台系は無理でも個人馬主ジャスタウェイなら…。

キズナ

2010年まれ。生まれた翌年に東日本大震災が発生し、そのことで苦労した馬主が、関係者への感謝を込めて、震災復興スローガンである「絆」を、その年の一番馬に名付けたと言われている。皐月賞を捨ててまで狙った日本ダービー。1枠1番1人気。大外一気で見事に1着となり、父ディープインパクトの主戦だった武豊ダービー5勝目を贈った。とにかく主人公感がある。ウマ娘としては挫折してもめげない王道主人公っぽい感じで出てきてほしい。

2021-02-10

水道について

これは半分釣りです。業界関係といっても日が浅く、決して専門に勉強しているわけではないのです。ここからより詳しい増田がでてくることを期待します。

最近水道関連で立て続けにニュースがありましたね。浄水業界に少しだけ関わっているのでちょっとだけ。

まず、水道事業は古くから各自治体が主導であり、地域ごとに歴史文化やしがらみがあります。なのであなた地域では当てはまらないケースは多々あると思いますし、自分の知るものマイナーだってケースもあるはずです。

水を生産する浄水場においては、主に以下の薬剤を使うのが一般的だと思います



pH調整剤

濃硫酸苛性ソーダ水酸化ナトリウム)。今回の事件(https://gigazine.net/news/20210209-hacker-poison-water-supply/)で入れられたのはこのph調整剤の一つ。硫酸アルカリ性のもの酸性へ、苛性ソーダ酸性アルカリ性中和させます濃硫酸というとどこぞの高校生探偵を思い浮かべやすいのですが、実際に添加されている量は僅かなので人体に影響はありません。もちろん水酸化ナトリウムも微量なら問題ないのですが、今回のハッキングのように大量に添加されると危険です。

凝集剤

PAC(ポリ塩化アルミニウム)。これを添加すると効率的に泥などの汚れが凝集して塊になり沈殿します。水道水は法律によって厳しく規制されているので、濁り(濁度)が高くなると大問題となります

消毒剤

次亜塩素酸ナトリウムなど。これによって細菌等を殺します。塩素と呼ばれるものの元です。水道法によって蛇口からでる遊離塩素の濃度は0.1mg/L以上となっています

さらにここに臭気等取り除く粉末活性炭を時期によっていれたり、オゾンで殺菌もします。

苛性ソーダについてですが、通常の川の水はアルカリ性によっているため濃硫酸だけで済ますケースが多いと思います自分の知る浄水場でも苛性ソーダは単に保存されているだけでずっと使われていません。硫酸が過剰に添加されてしまうケースでの中和が主な目的かと思います。仮に川が酸性によっても、次亜塩素酸ナトリウムアルカリ性なので中和されてしまうでしょう。

この冬は自分地域で雨が少なく、川のアルカリ度が高い傾向にあります。なので硫酸活躍しても苛性ソーダはまず使われないでしょう。事故がなければ。

そんなに薬品入れて大丈夫

大丈夫です。水に対して極々微量ですから薬品は、主に濁りのもとを取り除き細菌微生物を殺してきちんと飲める水にするためのものです。これがなければ日本の多くの家庭では水道水をそのまま飲めなくなります

水道水は法律によって厳しく規制されています殆どの人には、味・匂い・濁り・残留塩素大事かと思います。そこに細菌微生物、各種化学物質等の基準が設けられています浄水場ではほぼ毎日検査をして基準にあっているか確認しており、安心して飲めるように配慮しているとのことです。

この基準国際的にはかなり抑えたものらしく、それで健康に害がでるなら別な要因を疑うべきかと。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html

大昔は残留塩素がかなりある状態で送り届けていたそうです。しかし、いまは味や臭気を気にする人が増えたこともあって、そのままでも美味しく飲めるようにだいぶ薬品の量を変えている自治体が多いそうです。もちろんそれでも水質基準クリアしています洗濯に使うような水でも平気で飲めるのはかなり恵まれていると思います

ハッキングを受ける可能性は?

わかりませんが、日本の浄水設備の一部はリモートになっていると聞きます。浄水事業はどこも人手不足なので設備の一部は民間委託したりリモート常態化するでしょう。お金もなく設備が古いままなケースも有り水道管の破裂は今後も増えるでしょう。水質測定装置故障しても直せなかったりすると大変です。管が破裂したところの職員は復旧まで徹夜だそうです。ハッキングよりそちらのほうが心配です。


水道水はどうやって作られているのか

主な水道施設は「取水場」「浄水場」「配水場」なのですが、わかりやす浄水場簡単に。

設備能力浄水場ごとに千差万別です。近くの浄水場同士で全く違う浄水設備なんてのもみますそっくりものを探すのも大変かと思います自治体による運営が基本なので仕方ないんです。

例えば以下は北千葉浄水場概要図です

https://www.kitachiba-water.or.jp/site/facility/1035.html

簡単に言えば、水に薬剤をまぜて汚れをろ過して消毒する、という単純な仕組みです。

水源から着水井へ

川や地下水などから水が浄水場に運ばれてきます

そうするとこの着水井という場所に集められます。ない場合もあります

薬品混和池

ここで凝集剤やpH調整剤や消毒剤が投入されます機械で急速に混ぜたり、滝状にして混ぜることもあります接触地と呼ばれるケースもあります別にここだけでなく色んな場所で薬剤を注入するのですが最初に入れるのはここですかね。

フロック形成池・沈でん池

取水場によって水源の汚れはある程度除去されていますが、それでもかなり濁っています。その濁りは凝集剤によってフロックと呼ばれる塊に成長し、沈でん池でゆっくりと沈んでいきます。沈んだ汚れは一箇所にまとまり最終的には脱水されて適切に処分されますフロック形成池は縦移動か横移動のどちらかのケースが多いようです。ゆっくりと長距離を移動することでフロックは成長します。沈でん池の中には傾斜板という斜めになった大量の板が配置されており(ない場合もあります)、そこを通過する過程フロック比較的澄んだ水と分離していきます

見学してみるとわかりますが、単に水を流しているだけでよくここまで汚れが落ちるなと感心します。

高度浄水処理施設

ここは匂いや様々な有害物質を取り除く場所です。オゾン生活性炭等によって、匂い物質トリハロメタン等が取り除かれます。この高度浄水施設は急速濾過池の前後どちらかに設置されているケースが殆どです。北千葉は急速ろ過の前段階で処理していますね。高度浄水処理施設自体がない場合もあります

急速ろ過池

殆どの浄水施設にはこの「急速ろ過池」があり浄水施設の要です。ようは砂や砂利を使って水をろ過する装置です。重力式といって水を上から注いでろ過するのが一般的だと思います。浄水施設航空写真で見たときに並んでいるどでかい四角形の水槽の半分はこの急速ろ過池です。残りの半分はフロック形成池や沈でん池。

急速ろ過池には色んなタイプがあって、機械でぐるぐるかき回す奴もあるそうですがメンテナンスが厳しいとか。

急速ろ過池と反対に緩やかに濾過するのが「緩速ろ過方式」。東京都の一部にあるそうです。これは微生物の力を使って広大な土地を用いる古い手法だそうで、今でもやっているところは少ないとか。他にも膜を使ったろ過装置もあるらしいのですが、それはよく知りません。

なお、ブラックエンジェルズという漫画でろ過池に浮いているシーンが有りましたが、あれってまだろ過の前の濁った水なので全然れいではありません。

浄水地

れいにした水をためておく場所です。大抵は地下に埋まっているはず。ここに至るまでに何度か消毒剤が添加されたりします。濾過の過程で薬剤も同時に失活するので。最終的にここからポンプによって配水池に飲水が送られます


全部を通った水は驚くほどきれいです。高度浄水処理を通らなくとも、大抵は薬剤と沈でん池と急速ろ過だけで結構れいになるそうです。もちろん水源や季節に大きく依存するのですが。

でも大抵の浄水処理ってかなり単純な作りで、こんな程度で濁った水を飲めるようになるのか?って思います。でもちゃんと飲めるのは凄いことなんですよ。


水道水が配られる過程

そもそも皆さんが日常的に利用している水道は色々な種類があります殆どの家庭の蛇口からでるのは浄水場で作られた水ですが、実際は浄水場から直接送られているケースはそれほど多くないと思います浄水場で作られた水が各家庭に送られる前に、大抵は配水池(配水場)等に入り、そこからさらに消毒剤を添加して各家庭に給水されています。つまり浄水場工場ではあり、家庭に届く前に卸し問屋である配水池を経由しているわけです。

時々水道管が破裂するケースがありますしか水道管と言ってもその区別は「導水管」「送水管」「配水管」「給水管」と別れています。どれが破裂するかで管轄がぜんぜん違うのです。

導水管は水源から浄水場あいだまで。ここを受け持つところは浄水場とは別なケースが大半かと思います

送水管は浄水場と配水池の間にある管です。浄水場が所有する管です。

配水管は配水池送られる管で、各自治体の受け持ちです。

給水管は配水管から分岐して各家庭に届けられる管です。

去年の年末に発生した千葉富津市水道管破裂事件は、送水管によるものでした。つまり管轄は浄水施設を持つかずさ水道広域連合企業団。地下深くにあるため難航したようです。気の毒に。なおどこの自治体浄水場でも管の老朽化は深刻です。特に送水管は圧力が高くて太い所が多いため、破裂したときリスクも高いでしょう。配水場に水を送れないので断水の範囲が非常に広くなります

残留塩素


浄水場で作られた水が各配水池に送られる過程で、塩素の濃度は低下します。浄水場の送り出した水が0.6mg/Lの塩素濃度だとすると、15km離れた配水池にたどり着くと0.4mg/Lくらいまで低下します。これは管の状況や施設ごとに違ってくるので概算です。水道基準的にはそれで大丈夫ですが、そこからさらに各家庭に配るため、配水池を管理する自治体によって改めて消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)が添加されるようです。なので「浄水場に近いと塩素が濃い」は必ずしも当てになりません。自治体場所によります。単純に配水池から遠いほど残塩は減るでしょう。

水道民営化すべきか


水道事業お金になりません。そんなところに民間がくるメリット全然わかりません。優秀な人を沢山雇って送水管をどんどん改修して計器を新しくしてトラブルにも即時対応してくれるならいいでしょう。でも水道料金が高くなるのは否めません。皆さんの飲料水公務員の安月給(たぶん)で支えられています



苛性ソーダ事件水道水に多くの薬剤が入っていると知った人は多いはずです。水に携わる人からすると、水道水は工業製品と言っていいと思います。どの過程でも水質には気を配っていますし、薬剤やオゾン活性炭をたくさん使います。その上で安全でおいしい水を安価供給するのって凄いと思うんですよね。管理している人たちは大変でしょうけど。

大学工業を習っている人は、地元水道事業に携わるのも手かと思います

もう一度いいますが、水道水の工程自治体によって千差万別なので今いったことが全てではなく、間違いも当然あると思います

いまは多くの浄水場見学を見合わせ中ですが、非常事態が解禁されてコロナ収束したなら再開されるかもしれません。

そうしたときにそれぞれの浄水場や配水池等の違いを見比べると、地域毎の特徴がわかって面白いと思います

勉強がてら書いてみました。

2019-11-08

北海道の綺麗な場所メモ(google画像検索キーワード)

ほとんど未訪問

※訪れる際は時期外れ、移動距離の長さ、ガソリンスタンドの少なさ、渋滞、雪、アイスバーン、狭い山道公共交通の少なさ、畑や牧場への不法侵入ヒグマなどに注意する。

※それぞれリンクを貼ろうとしたがスパムと見做されたのか弾かれたので諦めた。

※残念ながらどこのステマでもない。25万円欲しい。

 

https://www.google.co.jp/imghp?hl=ja

 

留萌振興局

苫前町 上平グリーンヒルウインドパーク

羽幌町 海鳥観察舎

留萌市 黄金岬 夕日

 

宗谷総合振興局

利尻富士町 南浜湿原

礼文町 澄海岬

稚内市 宗谷丘陵

 

オホーツク総合振興局

網走市 能取湖 紅葉

網走市 大曲湖畔園地

網走市 あばしりフロック公園

遠軽町 太陽の丘えんがる公園 コスモス

大空町 ひがしもこと芝桜公園

大空町 リサイクルセンター前 飛行機

北見市 北見市営本沢牧場

清里町 裏摩周展望

清里町 神の子

小清水町 ゆりの郷こしみずリリーパーク

佐呂間町 キムアネップ岬 紅葉

斜里町 知床二湖

滝上町 芝ざくら滝上公園

湧別町 かみゆうべつチューリップ公園

 

根室振興局

羅臼町 知床展望台 星空

 

釧路総合振興局

釧路市 幣舞橋 夕日

釧路市 阿寒湖 フロストフラワー

釧路市 くしろフェスティバル

釧路町 細岡展望台 夕日

弟子屈町 川湯温泉 ダイヤモンドダスト

 

十勝総合振興局

足寄町 オンネトー

帯広市 八千代公共育成牧場

帯広市 紫竹ガーデン

上士幌町 緑深橋 松見大橋

更別村 コタニアグリ 菜の花

鹿追町 然別湖 -コタン

清水町 十勝千年の森

新得町 増田山 紅葉

 

日高振興局

様似町 幌満峡 紅葉

 

上川総合振興局

旭川市 就実の丘

旭川市 上野ファーム

旭川市 神居古潭 紅葉

上川町 銀泉台 紅葉 星空

上川町 黒岳 紅葉

上川町 大雪森のガーデン

上川町 大雪アンガ牧場

上富良野町 フラワーランドかみふらの

上富良野町 ファーム富田ラベンダーイースト

士別市 羊と雲の丘

占冠村 氷の教会

中富良野町 ファーム富田

中富良野町 彩香の里

美瑛町 青い池

美瑛町 四季彩の丘

美瑛町 ぜるぶの丘

美瑛町 新栄の丘展望公園

美瑛町 ケンメリーの木

美瑛町 白金模範牧場

東川町 旭岳 紅葉

東川町 羽衣の滝

富良野市 ニングルテラス 夜

幌加内町 そばの花展望

 

空知総合振興局

浦臼町 浦臼神社 エゾリス

滝川市 たきかわ菜の花まつり

北竜町 ひまわりの里

由仁町 ゆにガーデン

 

胆振総合振興局

白老町 倶多楽湖

洞爺湖町 浮見堂公園

洞爺湖町 イルミネーショントンネル

苫小牧市 樽前ガロ

室蘭市 室蘭港 ナイトクルージング

室蘭市 地球岬展望台 夜

 

石狩振興局

江別市 美原大橋

札幌市 藻岩山展望台 夜

札幌市 国営滝野すずらん丘陵公園 チューリップ

札幌市 二見吊橋 紅葉

札幌市 大通公園 クリスマス

千歳市 支笏湖

千歳市 オコタンペ湖

千歳市 苔の回廊

 

後志総合振興局

小樽市 小樽運河 夜

小樽市 北一ホール

小樽市 小樽芸術村 ステンドグラス

小樽市 旧青山別邸

小樽市 青の洞窟

共和町 神仙沼 紅葉

倶知安町 イワオヌプリ 紅葉

積丹町 神威岬

ニセコ町 ニセコ高橋牧場

ニセコ町 ニセコアンヌプリ 紅葉

 

檜山振興局

せたな町 村上牧場ミルク工房レプレラ 風車

 

渡島総合振興局

知内町 青の洞窟

七飯町 大沼国定公園

函館市 函館山展望

函館市 五稜郭 桜

函館市 恵山つつじ公園

函館市 金森赤レンガ倉庫 クリスマス

2017-08-03

あの有名なポスターを作った会社セミナーを受けている企業一覧 一都三県

増田に書ききれないのでひとまず一都三県だけ

埼玉県

コーワ株式会社

株式会社三幸製作所

株式会社トーシンパケージ

株式会社ヒタチ

株式会社匠栄房

セントラル化工株式会社

株式会社富士住建

株式会社井上鉄工所

ケー・エム・エス株式会社

株式会社アーネスト

社会福祉法人熊谷福祉会

末広工業株式会社

啓装工業株式会社

株式会社不二運輸

株式会社テクノスセキグチ

株式会社天極

有限会社岩上運輸

株式会社新日本エステート

株式会社デイライン

株式会社セイワハウジング

株式会社山口技研

株式会社デンソーサービス西埼玉

株式会社SCORE

マックホーム株式会社

株式会社CK・ファニチャー

シンコースポーツ株式会社

寄居印刷紙器株式会社

株式会社関東エース

株式会社ファーム

日本技研工業株式会社

株式会社大和紙工業

有限会社いしい

株式会社環境流通システム

丸善超硬株式会社

株式会社野上工業

三協ダイカスト株式会社

株式会社トハン

川口真株式会社

株式会社小島レッカー

株式会社YNハウジング

有限会社三階菱

株式会社ワイエス

島崎株式会社

末広自動車株式会社

株式会社アールエムシー

大敏製作所株式会社

株式会社リープ

株式会社大宮電化

株式会社スポフレ21

株式会社深谷組

サーマル化工株式会社

株式会社フラワーロジテム鴻巣

株式会社キハラ

株式会社はうす壱番館

株式会社ショーモン

株式会社ヨシケイ埼玉

株式会社躍進

株式会社セキネ

有限会社スリーサプライ川口

学校法人田中学

有限会社共和エレック

株式会社オートセンター新生

株式会社東部重機

株式会社ケン・ハウジング

株式会社ティーエムエス

株式会社アクアエージェンシー

株式会社レスト

株式会社櫻谷

株式会社dohome

株式会社ホンダ二輪・新宿

株式会社ヒロタ

株式会社オレンジホーム企画

株式会社ケイビー・コム

三協自動車株式会社

タイホー株式会社

ISM株式会社

株式会社横田自動車

ヤマダ産業株式会社

株式会社セーフティ

株式会社富士環境

株式会社セーフティユニオン

千葉県

川名建材株式会社

株式会社関東消防機材

株式会社サン測量設計

株式会社糸川製作所

株式会社稲葉電機

有限会社すずとみ

株式会社ライズホーム

カタオカプラセス株式会社

株式会社カラー

ケミカルトランスポート株式会社

セイワ輸送株式会社

株式会社アイナ

株式会社テック

株式会社初石鈑金

有限会社丸原自動車

秀工業株式会社

三友工業株式会社

株式会社協和ハウジング

学校法人日栄学園

千葉産業株式会社

土佐工業株式会社

株式会社岡田電気工事

大信電業株式会社

株式会社花田食肉

株式会社ユニオンテック

株式会社ベルローネ

株式会社ドッグファイトレーシング

株式会社ナショナルアート

有限会社イセ化工

国際理工情報デザイン専門学校

株式会社太陽社

プラント設備株式会社

株式会社竜場工務店

株式会社三早電設

株式会社東葉テクノ

社会福祉法人九十九里ホーム

新葉瓦斯機器株式会社

豊福ロジテム株式会社

株式会社江戸川バルブ・プロテクション

株式会社髙橋製作所

株式会社ティ・エス・シー

株式会社テスコム

東京都

有限会社井上建工

株式会社和商工

三和建装株式会社

株式会社コバヤシ

株式会社ジュポンインターナショナル

株式会社ダイヤコーポレーション

東洋米菓株式会社

丸勤食販企業組合

株式会社メディカル技研

協栄プリント技研株式会社

株式会社ラッキーコーポレーション

株式会社シグマテクノ

東洋化学工業株式会社

ウィッツェル株式会社

ジャパンカスタム株式会社

中里会計事務所

株式会社シグマクレスト

株式会社スパイスロード

アルプス住宅サービス株式会社

株式会社測量舎

ヱビナ電化工業株式会社

株式会社堀越

株式会社映像システム

株式会社フリーエスピー

有限会社吉原工業所

株式会社富士ストア

株式会社生田化研社

東京ワーナー観光株式会社

加藤会計事務所

トータルフィットネス株式会社

筑前建物管理株式会社

株式会社日本運輸機構

株式会社地域環境計画

日本リサイクル研究所有限会社

株式会社オータ

株式会社最上建工

株式会社トーエイ

株式会社オオノ商事

東亜紙巧業株式会社

旭産業株式会社

有限会社ヤマミツ電機製作所

株式会社アート

株式会社プロスペック

株式会社大幸インターナショナル

株式会社中嶋精工

アクアエンジニアリング株式会社

株式会社マルゴ

中央東和レジスター販売株式会社

有限会社まんてんダイニング

山芳製菓株式会社

株式会社リネット

株式会社ドルフィンスルー

株式会社開発機工

株式会社システムプロダクツ

株式会社ファミリー工房

株式会社トーワソフトウェア

株式会社フロック

株式会社建材サービスセンター

株式会社コトブキホームビルダー

株式会社サンエストレーディング

中央電設株式会社

山豊護謨株式会社

東京ガスライフバル南多摩株式会社

株式会社ニッペコ

有限会社フラワープリントセンター

株式会社ジーピーコーポレーション

株式会社FSC

株式会社シマスタジオ

太陽物産株式会社

株式会社ル・シェール

三信製織株式会社

エスジー工業株式会社

株式会社玉海力

東京高分子株式会社

ハルデンタルクリニック

株式会社アレシア

株式会社トネ製作所

ムサシノ機器株式会社

関東白蟻防除株式会社

秩父石灰工業株式会社

株式会社スカイ

株式会社さくらモンデックス

株式会社上田製作所

株式会社君塚

株式会社ゲニアス・デック

株式会社アーバンフロンティア

株式会社曽我工業

株式会社伊勢惣

株式会社ウイングベル

株式会社新社会システム総合研究所

株式会社LAIZ

エスエーエム株式会社

株式会社ヤマグチ

株式会社セレモ・ワールド

有限会社藤野金属挽物

株式会社モト・ギャルソン

株式会社キタセツ

株式会社日鋲

府中自動車株式会社

誠和自動車興業株式会社

株式会社弘久社

株式会社メタルクリエイト

株式会社シルバーバック

株式会社ブルシー

武蔵オイルシール工業株式会社

株式会社森田質店

株式会社コーポレーション

株式会社あまい

JC株式会社

株式会社コムフィー

株式会社ヒッツ

株式会社東京ポリエチレン印刷社

社会福祉法人修敬会

株式会社キングホーム

株式会社アーク・ジオ・サポート

奥多摩建設工業株式会社

有限会社サブネットコーポレーション

国産化成工業有限会社

宮城建設株式会社

ノースガラス株式会社

株式会社おもちゃ箱

ホッティーポリマー株式会社

株式会社ナチュラル

株式会社三功工業所

株式会社ノブカワ

央2株式会社

株式会社事務所

株式会社アド・アクセス

株式会社銘林

東京シマダヤ株式会社

マップレンド株式会社

東京ガイダンス株式会社

株式会社山内工務店

株式会社AREAD

有限会社綜合建装

株式会社ラストリゾート

株式会社東京天竜

社会福祉法人藤花学園

株式会社エーネット

平岩塗装株式会社

ウシヤマ電機株式会社

墨田加工株式会社

株式会社増渕商店

光洋自動車株式会社

全粉商事株式会社

リスクコンサルティング株式会社

アクシス株式会社

有限会社テイクオー

三陽電器株式会社

有限会社サンエイメンテナンス

株式会社ゴーゴーカレーグループ

陣内金型工業株式会社

日本綜合警備株式会社

株式会社システムクエスト

大葉セラム株式会社

大一企業株式会社

正和興業株式会社

株式会社ヤマテック

株式会社トリネックス

コモリ運輸株式会社

株式会社サントス

株式会社須賀製作所

神奈川県

株式会社インクルーブ

有限会社湘南仲介センター

株式会社ハーツエイコー

株式会社代々木デンタルクラフト

株式会社アイクリーン東京

株式会社モリヤマ

朝日電気株式会社

財団法人富士白厚生文化事業団

株式会社レジオン

株式会社常盤製作所

すぎい設備株式会社

広和システム株式会社

株式会社水島商事

株式会社クマザキエイム

株式会社電通ハウジング

神鋼産業株式会社

株式会社美都住販

株式会社横浜グレープ商事

株式会社若武者ケア

株式会社グランドジャパン

株式会社日本消音研究所

株式会社リーブ21

株式会社室星

テクノハカルエンジニアリング株式会社

株式会社根建

株式会社メルシーフラワー

飯田測量設計株式会社

株式会社東鈴紙器

株式会社大島測量事務所

大同産業株式会社

株式会社ナック

旭工業有限会社

厚木ヤクルト販売株式会社

株式会社サン

株式会社ベニスクリーニング

株式会社鈴木油脂

株式会社アクセスプランニングオフィス

株式会社グッドライフ

文明堂印刷株式会社

プロス株式会社

株式会社林技研

株式会社北全

株式会社栄光セフロ

屏風浦工業株式会社

富士興業株式会社

株式会社リーヴライフトゥエンティーワン

株式会社神奈川葬祭

岡谷セイケン株式会社

有限会社ピュアコーポレーション

株式会社ビプロス

株式会社エスジーエム

株式会社K2

株式会社アス

株式会社F-Design

金子自動車運輸株式会社

荻野化成株式会社

一富士電工株式会社

関矢産業株式会社

有限会社

京浜楽器株式会社

株式会社鈴和

株式会社昌和精機

株式会社

アジア金属工業株式会社

アップコン株式会社

有限会社高橋冷暖房

株式会社三和

フォークリフト株式会社

有限会社杉本園芸

スタジオ茅ヶ崎株式会社

中央運輸株式会社

株式会社ジェス

株式会社井上

有限会社樹脂リードモデル

株式会社アクセスプランニングオフィス

株式会社ウィルフロンティア

株式会社アーバン企画開発

大島機工株式会社

株式会社伊那精工

株式会社日立ホーム

株式会社三英空調工業

有限会社定工

株式会社アイ建設

有限会社ボンペックスジャパン

東亜警備保障株式会社

株式会社北浦工業

株式会社富士消毒

株式会社新栄託建

関東航空計器株式会社

株式会社ア・ドマニー

株式会社グッド未来

相生電子工業株式会社

有富設計株式会社

ブタ塗料株式会社

2017-04-11

四月の満月増田吠える絵帆だ須磨に津減摩の注がし(回文

今日満月

ピンクフォームーン。

ネイティブアメリカンの人たちがそう言って名付けたお月様よ。

4月モスピンク色のフロックスの花が咲くから

この季節の頃の満月は、

ピンクムーンなの。

狼が満月に向かって吠える声聞いたことある

ムーントラック

これは秋の季語なんだけどね。

満月からって誰かを襲っちゃダメよ!

ガオー!

なーんて。

あーあ、でも今日雨なのね。

ピンクムーンは拝めないかも。

夜晴れるといいなぁ~。

うふふ。


今日朝ご飯

あいつもと変わり栄えない

サンドイッチよ。

今日はミックス。

そしてホッツコーヒー

軽く食べる感じっ!

デトックスウォーター

もうスーパー果物売り場には

ブドウが並んでたわ!

なんか、まだ夏も来てないってのにもう秋の果物!?

ビックリちゃうわね。

まださすがに出始めは高いので、

葡萄ウォーラーはいかないけど

また試してみたいわね。

そんな思いを込める、

オレンジパインミントとお手軽に。

炭酸で果汁を割るときは、

先に炭酸を入れて、

そこに果汁を入れる方が、

変に泡立たないか

順番考えてから入れないとだめね。

気をつけなくっちゃ。


すいすいすいようび~

今日も頑張りましょう!

2016-09-30

君の名は。』は秒速レクイエム

ようやく見てきたので感想

ネタバレあるよ。

 

君の名は。』は秒速レクイエムと『ほしのこえ』ぐらいから新海を見てきたヤツは言うんじゃないかなと思う。

終盤の展開は、わざとらしいぐらいモロカブリだった。

そーなんす。自分の中からほとんど失われてしまったあの子を、何を探してるかすらも忘れてしまったのにそれでもずっと追い求めてる、ってゆーある意味クッソ気持ち悪いアレをもっかいやるんすよ。

でもって明確にリフレインされてるのが、“すれ違う”と“電車に乗ってるときに見かける”のふたつ。

すれ違いは、『秒速』のラストで印象的に使われていた。線路で“君”とすれ違い、お互い渡りあった後に振り返るけど電車が走ってきて、それも何本も重なって長い時が流れる。遮断器が上がったときには“君”はもういない。

君の名は。』では今度こそ振り返った時そこに阻むものは何もなく再会できるのかと思わせておいてスカす。心憎い演出だと思う。

でもって“電車に乗ってるときに見かける”。

『秒速』では電車に乗ってる貴樹は“君”らしきひとを見つけるけど乗ってるのは急行彼女も気づかず再会できない。

君の名は。』ではお互いが電車に乗っていて、ドア越しに決定的な再会を果たす。すぐ間に電車が走って分かたれるけど、『秒速』と違ってお互いが求めあってるので“君”がいなくなったりはもうしないのだ。

 

で、この違いを生んだ最大の理由に奥寺先輩をあげておきたい。瀧のバイトの先輩で、淡い恋心を抱いていた女の人。

三葉と入れ替われなくなった瀧は彼女を求めて飛騨に向かう。なぜか奥寺先輩(と友人A)がついてくる(そう、貴樹と違って瀧くんには友人がいるのだ!)。演出上は探せど探せど手がかりが見つからないシーンのコメディリリーフなんだけど、彼女が「ラーメン食べたい」と言ったお陰で次のシーン、ひいては三葉との再会へとつながる。

構造的に言うと、瀧くんには三葉との間を埋めてくれる第三者がいて、貴樹にはいなかったっつー話になる。

あともうひとつ機能として避雷針

瀧は奥寺先輩に二度振られる(といってもどちらのタイミングもすでに三葉のことが好きになってるので、違うっちゃ違うんだが)。特に二回目は奥寺先輩の薬指に結婚指輪が見える形でそれが露わになる。

これは三葉の指に存在しかねなかった指輪を奥寺先輩が引き受けてくれた――と『秒速』を経た人間としては思った。

 

音楽

天門RADWIMPSだね、と。うん、この映画にはあの前向きなボーカル必須なので大正解だと思う。川村元気の功績として語られることが多いこのチョイスだけど、ガチならそれだけでプロデューサー役割は果たしたと言えるぐらいにRADWIMPSだった意味は大きい。

なお歌が流れてるとき映像が後景化しあたかも曲のPVであるかのようにしつつ話を圧縮して転がしていくのは見ていてかなり気持ち良かった。

この辺りはファルコムを出すにしろminoriを出すにしろ長編映像を作る前に短い映像をたくさん作ってた話を出すにしろ、新海の本領と言える部分なので、さもありなん、といった感じ。

 

あと映像について。

初めて話を見せるための映像になったなという印象。『秒速』って映像を見せるためにお話がついてくるといった感じがあったでしょう。『秒速』に限らず、『ほしのこえ』も『雲の向こう、約束の場所』に関してもそう。

今回だって「あー、このシーンみせたいんだなー」と感じるところは何個もあって(隕石が落ちてきてそれを眺める最初のシーンとか、太陽を背にふたりが逢魔が時に再会するのとか)、新海の癖だろう映像から話おこしてる感が完全に消えたわけじゃない。

でも、今回は映像を見てるんじゃなくお話を追ってる感が見てるあいだずっとあった。だから映像キレイだし印象に残ってる画面はあるけどそれじゃなくお話で満足した感がある。

もっと言えば映像凄さは超展開の強引さを埋めるために機能したというか。

あのかなり無理やりなお話を、映像凄さで納得させたというか。

新海誠自分の絵の凄さをようやくフルに使えたんではなかろうか。

 

ここまで来たらぜんぶ書いちゃうか。

三葉ちゃんめちゃくちゃ可愛かったね。新海のどこがいちばん成長しまたかって聞かれたら女の子がちゃんと可愛かったって答えるわ俺。世界をしょった儚い女の子とか可憐女の子はこれまで何人も出てきてたけど(『星を追う子ども』と『言の葉の庭』は見てない)、三葉のような見ていて楽しい、素直に可愛いと思える、愛着の湧くヒロインは初めて。このタイプヒロイン自体が初めてなのに圧倒的に成功してるというのはほんとすごいと思う(単純にキャラデザがいいってのはあるけど。『ほしのこえ』は新海本人、あとはいろんなひとに作監お願いしてきたけど、今回がいちばんウェルメイドだと思いますふつーに)。

 

おっぱいについて。

瀧くん執拗なほど三葉のおっぱい揉み揉みしますよね。あれもちろん単なるセクハラじゃなくて(セクハラなんだけど)、①サービスシーン、②(妹につっこまれることで)コメディシーン、③(重ねることで微細な差が生まれる)コメディシーン、④キャラの置かれてる状況の違いを強調する小道具エトセトラ効果があります

おっぱいモミモミにこれだけの多重性を持たせられたってのも新海成長したなあと思いました。というかこれ誰かがそうしろって新海をたぶらかしたんじゃないかと思うんだけどどうだろ。

 

とりあえず。

映像のためのお話じゃなく、お話表現するための映像になったのと、三葉がものすごく好感の持てるキャラクタになってたという二点で新海は本当に化けたと思う。見る前はただのフロックじゃねーのと眉唾だったけど、地力ついてきたとふつーに思うので、これまでもがき苦しんできた新海本人はもとより支えてきた周囲の方々にも本当にお疲れ様、次回も楽しみにしてますと言いたい。あと天門はどこかでまたいっしょに仕事してあげてください。minoriとはもうしなくていいです。

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん