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はてなキーワード: 望遠鏡とは

2024-10-07

ああ、歳くったなあって思ったんよ

音楽垂れ流してるんだ、懐かしい曲をね。

聞き慣れた曲ばっかり学生時代に歌いまくってた曲ばっかりなのに。

なのに何故かちょっと違う。歌い方があの頃と違う。耳も老化したのかな、と

思ってタイトルみたら、2022RecordingVersionとな。

そりゃ歌い方やイントネーションも変わるか。

見えないものを見ようととして望遠鏡を覗きこんだっと。

2024-10-02

九  与次郎が勧めるので、三四郎はとうとう精養軒の会へ出た。その時三四郎は黒い紬の羽織を着た。この羽織は、三輪田のお光さんのおっかさんが織ってくれたのを、紋付に染めて、お光さんが縫い上げたものだと、母の手紙に長い説明がある。小包みが届いた時、いちおう着てみて、おもしろくないから、戸棚へ入れておいた。それを与次郎が、もったいないからぜひ着ろ着ろと言う。三四郎が着なければ、自分が持っていって着そうな勢いであたから、つい着る気になった。着てみると悪くはないようだ。  三四郎はこのいでたちで、与次郎と二人で精養軒の玄関に立っていた。与次郎の説によると、お客はこうして迎えべきものだそうだ。三四郎はそんなこととは知らなかった。第一自分がお客のつもりでいた。こうなると、紬の羽織ではなんだか安っぽい受け付けの気がする。制服を着てくればよかったと思った。そのうち会員がだんだん来る。与次郎は来る人をつらまえてきっとなんとか話をする。ことごとく旧知のようにあしらっている。お客が帽子外套給仕に渡して、広い梯子段の横を、暗い廊下の方へ折れると、三四郎に向かって、今のは誰某だと教えてくれる。三四郎はおかげで知名な人の顔をだいぶ覚えた。  そのうちお客はほぼ集まった。約三十人足らずである広田先生もいる。野々宮さんもいる。――これは理学者だけれども、絵や文学が好きだからというので、原口さんが、むりに引っ張り出したのだそうだ。原口さんはむろんいる。いちばんさきへ来て、世話を焼いたり、愛嬌を振りまいたり、フランス式の髯をつまんでみたり、万事忙しそうである。  やがて着席となった。めいめいかってな所へすわる。譲る者もなければ、争う者もない。そのうちでも広田先生のろいにも似合わずいちばんに腰をおろししまった。ただ与次郎三四郎けがいっしょになって、入口に近く座を占めた。その他はことごとく偶然の向かい合わせ、隣同志であった。  野々宮さんと広田先生あいだに縞の羽織を着た批評家がすわった。向こうには庄司という博士が座に着いた。これは与次郎のいわゆる文科で有力な教授であるフロックを着た品格のある男であった。髪を普通の倍以上長くしている。それが電燈の光で、黒く渦をまいて見える。広田先生坊主頭と比べるとだいぶ相違がある。原口さんはだいぶ離れて席を取った。あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。折襟に、幅の広い黒襦子を結んださきがぱっと開いて胸いっぱいになっている。与次郎が、フランスの画工は、みんなああいう襟飾りを着けるものだと教えてくれた。三四郎肉汁を吸いながら、まるで兵児帯の結び目のようだと考えた。そのうち談話だんだん始まった。与次郎ビールを飲む。いつものように口をきかない。さすがの男もきょうは少々謹んでいるとみえる。三四郎が、小さな声で、 「ちと、ダーターファブラをやらないか」と言うと、「きょうはいけない」と答えたが、すぐ横を向いて、隣の男と話を始めた。あなたの、あの論文を拝見して、大いに利益を得ましたとかなんとか礼を述べている。ところがその論文は、彼が自分の前で、さかんに罵倒したものから三四郎にはすこぶる不思議の思いがある。与次郎はまたこっちを向いた。 「その羽織はなかなかりっぱだ。よく似合う」と白い紋をことさら注意してながめている。その時向こうの端から原口さんが、野々宮に話しかけた。元来が大きな声の人だから、遠くで応対するにはつごうがいい。今まで向かい合わせに言葉をかわしていた広田先生庄司という教授は、二人の応答を途中でさえぎることを恐れて、談話をやめた。その他の人もみんな黙った。会の中心点がはじめてできあがった。 「野々宮さん光線の圧力試験はもう済みましたか」 「いや、まだなかなかだ」 「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」 「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理実験はそううまくはいかない」 「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」  隣に田村という小説家がすわっていた。この男は自分インスピレーション原稿の催促以外になんにもないと答えたので、大笑いになった。田村は、それから改まって、野々宮さんに、光線に圧力があるものか、あれば、どうして試験するかと聞きだした。野々宮さんの答はおもしろかった。――  雲母か何かで、十六武蔵ぐらいの大きさの薄い円盤を作って、水晶の糸で釣るして、真空のうちに置いて、この円盤の面へ弧光燈の光を直角にあてると、この円盤が光に圧されて動く。と言うのである。  一座は耳を傾けて聞いていた。なかに三四郎は腹のなかで、あの福神漬の缶のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。 「君、水晶の糸があるのか」と小さい声で与次郎に聞いてみた。与次郎は頭を振っている。 「野々宮さん、水晶の糸がありますか」 「ええ、水晶の粉をね。酸水素吹管の炎で溶かしておいて、両方の手で、左右へ引っ張ると細い糸ができるのです」  三四郎は「そうですか」と言ったぎり、引っ込んだ。今度は野々宮さんの隣にいる縞の羽織批評家が口を出した。 「我々はそういう方面へかけると、全然無学なんですが、はじめはどうして気がついたものでしょうな」 「理論上はマクスウェル以来予想されていたのですが、それをレベデフという人がはじめて実験証明したのです。近ごろあの彗星の尾が、太陽の方へ引きつけられべきはずであるのに、出るたびにいつでも反対の方角になびくのは光の圧力で吹き飛ばされるんじゃなかろうかと思いついた人もあるくらいです」  批評家はだいぶ感心したらしい。 「思いつきもおもしろいが、第一大きくていいですね」と言った。 「大きいばかりじゃない、罪がなくって愉快だ」と広田先生が言った。 「それでその思いつきがはずれたら、なお罪がなくっていい」と原口さんが笑っている。 「いや、どうもあたっているらしい。光線の圧力は半径の二乗に比例するが、引力のほうは半径の三乗に比例するんだから、物が小さくなればなるほど引力のほうが負けて、光線の圧力が強くなる。もし彗星の尾が非常に細かい小片からできているとすれば、どうしても太陽とは反対の方へ吹き飛ばされるわけだ」  野々宮は、ついまじめになった。すると原口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言で、人々はもとのとおりビールの気分に復した。広田先生が、こんな事を言う。 「どうも物理学者は自然派じゃだめのようだね」  物理学者と自然派の二字は少なからず満場の興味を刺激した。 「それはどういう意味ですか」と本人の野々宮さんが聞き出した。広田先生説明しなければならなくなった。 「だって、光線の圧力試験するために、目だけあけて、自然を観察していたって、だめだからさ。自然献立のうちに、光線の圧力という事実印刷されていないようじゃないか。だから人工的に、水晶の糸だの、真空だの、雲母だのという装置をして、その圧力物理学者の目に見えるように仕掛けるのだろう。だから自然派じゃないよ」 「しか浪漫派でもないだろう」と原口さんがまぜ返した。 「いや浪漫派だ」と広田先生がもったいらしく弁解した。「光線と、光線を受けるものとを、普通自然界においては見出せないような位置関係に置くところがまったく浪漫派じゃないか」 「しかし、いったんそういう位置関係に置いた以上は、光線固有の圧力を観察するだけだからそれからあとは自然派でしょう」と野々宮さんが言った。 「すると、物理学者は浪漫自然派ですね。文学のほうでいうと、イブセンのようなものじゃないか」と筋向こうの博士比較を持ち出した。 「さよう、イブセンの劇は野々宮君と同じくらいな装置があるが、その装置の下に働く人物は、光線のように自然法則に従っているか疑わしい」これは縞の羽織批評家言葉であった。 「そうかもしれないが、こういうことは人間研究上記憶しておくべき事だと思う。――すなわち、ある状況のもとに置かれた人間は、反対の方向に働きうる能力権力とを有している。ということなんだが、――ところが妙な習慣で、人間も光線も同じように器械的の法則に従って活動すると思うものから、時々とんだ間違いができる。おこらせようと思って装置をすると、笑ったり、笑わせようともくろんでかかると、おこったり、まるで反対だ。しかしどちらにしても人間に違いない」と広田先生がまた問題を大きくしてしまった。 「じゃ、ある状況のもとに、ある人間が、どんな所作をしてもしぜんだということになりますね」と向こうの小説家が質問した。広田先生は、すぐ、 「ええ、ええ。どんな人間を、どう描いても世界に一人くらいはいるようじゃないですか」と答えた。「じっさい人間たる我々は、人間しからざる行為動作を、どうしたって想像できるものじゃない。ただへたに書くから人間と思われないのじゃないですか」  小説家はそれで黙った。今度は博士がまた口をきいた。 「物理学者でも、ガリレオ寺院釣りランプの一振動時間が、振動の大小にかかわらず同じであることに気がついたり、ニュートン林檎が引力で落ちるのを発見したりするのは、はじめから自然派ですね」 「そういう自然派なら、文学のほうでも結構でしょう。原口さん、絵のほうでも自然派がありますか」と野々宮さんが聞いた。 「あるとも。恐るべきクールベエというやつがいる。v※(アキュートアクセント付きE小文字)rit※(アキュートアクセント付きE小文字) vraie. なんでも事実でなければ承知しない。しかしそう猖獗を極めているものじゃない。ただ一派として存在を認められるだけさ。またそうでなくっちゃ困るからね。小説だって同じことだろう、ねえ君。やっぱりモローや、シャバンヌのようなのもいるはずだろうじゃないか」 「いるはずだ」と隣の小説家が答えた。  食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに九段の上の銅像悪口を言っていた。あん銅像をむやみに立てられては、東京市民が迷惑する。それより、美しい芸者銅像でもこしらえるほうが気が利いているという説であった。与次郎三四郎九段銅像原口さんと仲の悪い人が作ったんだと教えた。  会が済んで、外へ出るといい月であった。今夜の広田先生庄司博士によい印象を与えたろうかと与次郎が聞いた。三四郎は与えたろうと答えた。与次郎は共同水道栓のそばに立って、この夏、夜散歩に来て、あまり暑いからここで水を浴びていたら、巡査に見つかって、擂鉢山へ駆け上がったと話した。二人は擂鉢山の上で月を見て帰った。  帰り道に与次郎三四郎に向かって、突然借金言い訳をしだした。月のさえた比較寒いである三四郎ほとんど金の事などは考えていなかった。言い訳を聞くのでさえ本気ではない。どうせ返すことはあるまいと思っている。与次郎もけっして返すとは言わない。ただ返せない事情をいろいろに話す。その話し方のほうが三四郎にはよほどおもしろい。――自分の知ってるさる男が、失恋の結果、世の中がいやになって、とうとう自殺をしようと決心したが、海もいや川もいや、噴火口はなおいや、首をくくるのはもっともいやというわけで、やむをえず短銃を買ってきた。買ってきて、まだ目的遂行しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。友だちはそれを質に入れて一時をしのいだ。つごうがついて、質を受け出して返しにきた時は、肝心の短銃の主はもう死ぬ気がなくなっていた。だからこの男の命は金を借りにこられたために助かったと同じ事である。 「そういう事もあるからなあ」と与次郎が言った。三四郎にはただおかしいだけである。そのほかにはなんらの意味もない。高い月を仰いで大きな声を出して笑った。金を返されないでも愉快である与次郎は、 「笑っちゃいかん」と注意した。三四郎はなおおかしくなった。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さんから金を借りることができたんだろう」  三四郎は笑うのをやめた。 「それで?」 「それだけでたくさんじゃないか。――君、あの女を愛しているんだろう」  与次郎はよく知っている。三四郎はふんと言って、また高い月を見た。月のそばに白い雲が出た。 「君、あの女には、もう返したのか」 「いいや」 「いつまでも借りておいてやれ」  のん気な事を言う。三四郎はなんとも答えなかった。しかいつまでも借りておく気はむろんなかった。じつは必要な二十円を下宿へ払って、残りの十円をそのあくる日すぐ里見の家へ届けようと思ったが、今返してはかえって、好意にそむいて、よくないと考え直して、せっかく門内に、はいられる機会を犠牲にしてまでも引き返した。その時何かの拍子で、気がゆるんで、その十円をくずしてしまった。じつは今夜の会費もそのうちから出ている。自分ばかりではない。与次郎のもそのうちから出ている。あとには、ようやく二、三円残っている。三四郎はそれで冬シャツを買おうと思った。  じつは与次郎がとうてい返しそうもないから、三四郎は思いきって、このあいだ国元へ三十円の不足を請求した。十分な学資を月々もらっていながら、ただ不足だからといって請求するわけにはゆかない。三四郎はあまり嘘をついたことのない男だから請求理由にいたって困却した。しかたがないからただ友だちが金をなくして弱っていたから、つい気の毒になって貸してやった。その結果として、今度はこっちが弱るようになった。どうか送ってくれと書いた。  すぐ返事を出してくれれば、もう届く時分であるのにまだ来ない。今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の手蹟で書いた封筒ちゃんと机の上に乗っている。不思議なことに、いつも必ず書留で来るのが、きょうは三銭切手一枚で済ましてある。開いてみると、中はいつになく短かい。母としては不親切なくらい、用事だけで申し納めてしまった。依頼の金は野々宮さんの方へ送ったから、野々宮さんから受け取れというさしずにすぎない。三四郎は床を取ってねた。  翌日もその翌日も三四郎は野々宮さんの所へ行かなかった。野々宮さんのほうでもなんともいってこなかった。そうしているうちに一週間ほどたった。しまいに野々宮さんから下宿下女を使いに手紙をよこした。おっかさんからまれものがあるからちょっと来てくれろとある三四郎講義の隙をみて、また理科大学の穴倉へ降りていった。そこで立談のあいだに事を済ませようと思ったところが、そううまくはいかなかった。この夏は野々宮さんだけで専領していた部屋に髭のはえた人が二、三人いる。制服を着た学生も二、三人いる。それが、みんな熱心に、静粛に、頭の上の日のあたる世界をよそにして、研究をやっている。そのうちで野々宮さんはもっと多忙に見えた。部屋の入口に顔を出した三四郎ちょっと見て、無言のまま近寄ってきた。 「国から、金が届いたから、取りに来てくれたまえ。今ここに持っていないから。それからまだほかに話す事もある」  三四郎ははあと答えた。今夜でもいいかと尋ねた。野々宮はすこしく考えていたが、しまいに思いきってよろしいと言った。三四郎はそれで穴倉を出た。出ながら、さすがに理学者は根気のいいものだと感心した。この夏見た福神漬の缶と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。  次の講義時間与次郎に会ってこれこれだと話すと、与次郎はばかだと言わないばかりに三四郎をながめて、 「だからいつまでも借りておいてやれと言ったのに。よけいな事をして年寄りには心配をかける。宗八さんにはお談義をされる。これくらい愚な事はない」とまるで自分から事が起こったとは認めていない申し分である三四郎もこの問題に関しては、もう与次郎責任を忘れてしまった。したがって与次郎の頭にかかってこない返事をした。 「いつまでも借りておくのは、いやだから、家へそう言ってやったんだ」 「君はいやでも、向こうでは喜ぶよ」 「なぜ」  このなぜが三四郎自身はいくぶんか虚偽の響らしく聞こえた。しか相手にはなんらの影響も与えなかったらしい。 「あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」  三四郎は返事をしないで、講義を筆記しはじめた。二、三行書きだすと、与次郎がまた、耳のそばへ口を持ってきた。 「おれだって、金のある時はたびたび人に貸したことがある。しかしだれもけっして返したものがない。それだからおれはこのとおり愉快だ」  三四郎まさか、そうかとも言えなかった。薄笑いをしただけで、またペンを走らしはじめた。与次郎それからはおちついて、時間の終るまで口をきかなかった。  ベルが鳴って、二人肩を並べて教場を出る時、与次郎が、突然聞いた。

anond:20241001234545

「あの女は君にほれているのか」

 二人のあとから続々聴講生が出てくる。三四郎はやむをえず無言のまま梯子段を降りて横手玄関から図書館わきの空地へ出て、はじめて与次郎を顧みた。

「よくわからない」

 与次郎はしばらく三四郎を見ていた。

「そういうこともある。しかしよくわかったとして、君、あの女の夫になれるか」

 三四郎はいまだかつてこの問題を考えたことがなかった。美禰子に愛せられるという事実のものが、彼女の夫たる唯一の資格のような気がしていた。言われてみると、なるほど疑問である三四郎は首を傾けた。

「野々宮さんならなれる」と与次郎が言った。

「野々宮さんと、あの人とは何か今までに関係があるのか」

 三四郎の顔は彫りつけたようにまじめであった。与次郎一口

「知らん」と言った。三四郎は黙っている。

「また野々宮さんの所へ行って、お談義を聞いてこい」と言いすてて、相手は池の方へ行きかけた。三四郎は愚劣の看板のごとく突っ立った。与次郎は五、六歩行ったが、また笑いながら帰ってきた。

「君、いっそ、よし子さんをもらわないか」と言いながら、三四郎を引っ張って、池の方へ連れて行った。歩きながら、あれならいい、あれならいいと、二度ほど繰り返した。そのうちまたベルが鳴った。

 三四郎はその夕方野々宮さんの所へ出かけたが、時間がまだすこし早すぎるので、散歩かたがた四丁目まで来て、シャツを買いに大きな唐物屋へはいった。小僧が奥からいろいろ持ってきたのをなでてみたり、広げてみたりして、容易に買わない。わけもなく鷹揚にかまえていると、偶然美禰子とよし子が連れ立って香水を買いに来た。あらと言って挨拶をしたあとで、美禰子が、

「せんだってありがとう」と礼を述べた。三四郎にはこのお礼の意味が明らかにわかった。美禰子から金を借りたあくる日もう一ぺん訪問して余分をすぐに返すべきところを、ひとまず見合わせた代りに、二日ばかり待って、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送った。

 手紙文句は、書いた人の、書いた当時の気分をすなおに表わしたものではあるが、むろん書きすぎている。三四郎はできるだけの言葉を層々と排列して感謝の意を熱烈にいたした。普通の者から見ればほとんど借金の礼状とは思われないくらいに、湯気の立ったものであるしか感謝以外には、なんにも書いてない。それだから自然の勢い、感謝感謝以上になったのでもある。三四郎はこの手紙ポストに入れる時、時を移さぬ美禰子の返事を予期していた。ところがせっかくの封書はただ行ったままであるそれから美禰子に会う機会はきょうまでなかった。三四郎はこの微弱なる「このあいだはありがとう」という反響に対して、はっきりした返事をする勇気も出なかった。大きなシャツを両手で目のさきへ広げてながめながら、よし子がいるからああ冷淡なんだろうかと考えた。それからこのシャツもこの女の金で買うんだなと考えた。小僧はどれになさいますと催促した。

 二人の女は笑いながらそばへ来て、いっしょにシャツを見てくれた。しまいに、よし子が「これになさい」と言った。三四郎はそれにした。今度は三四郎のほうが香水相談を受けた。いっこうわからない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。三四郎は気の毒なくらいであった。

 表へ出て別れようとすると、女のほうが互いにお辞儀を始めた。よし子が「じゃ行ってきてよ」と言うと、美禰子が、「お早く……」と言っている。聞いてみて、妹が兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連で追分の方へ歩くべき宵となった。日はまだまったく落ちていない。

 三四郎はよし子といっしょに歩くよりは、よし子といっしょに野々宮の下宿で落ち合わねばならぬ機会をいささか迷惑に感じた。いっそのこと今夜は家へ帰って、また出直そうかと考えた。しかし、与次郎のいわゆるお談義を聞くには、よし子がそばにいてくれるほうが便利かもしれない。まさか人の前で、母から、こういう依頼があったと、遠慮なしの注意を与えるわけはなかろう。ことによると、ただ金を受け取るだけで済むかもわからない。――三四郎は腹の中で、ちょっとずるい決心をした。

「ぼくも野々宮さんの所へ行くところです」

「そう、お遊びに?」

「いえ、すこし用があるんです。あなたは遊びですか」

「いいえ、私も御用なの」

 両方が同じようなことを聞いて、同じような答を得た。しかし両方とも迷惑を感じている気色がさらにない。三四郎は念のため、じゃまじゃないかと尋ねてみた。ちっともじゃまにはならないそうである。女は言葉でじゃまを否定したばかりではない。顔ではむしろなぜそんなことを質問するかと驚いている。三四郎は店先のガスの光で、女の黒い目の中に、その驚きを認めたと思った。事実としては、ただ大きく黒く見えたばかりである

バイオリンを買いましたか

「どうして御存じ」

 三四郎は返答に窮した。女は頓着なく、すぐ、こう言った。

いくら兄さんにそう言っても、ただ買ってやる、買ってやると言うばかりで、ちっとも買ってくれなかったんですの」

 三四郎は腹の中で、野々宮よりも広田よりも、むしろ与次郎非難した。

 二人は追分の通りを細い路地に折れた。折れると中に家がたくさんある。暗い道を戸ごとの軒燈が照らしている。その軒燈の一つの前にとまった。野々宮はこの奥にいる。

 三四郎下宿とはほとんど一丁ほどの距離である。野々宮がここへ移ってから三四郎は二、三度訪問したことがある。野々宮の部屋は広い廊下を突き当って、二段ばかりまっすぐに上がると、左手に離れた二間である。南向きによその広い庭をほとんど椽の下に控えて、昼も夜も至極静かである。この離れ座敷に立てこもった野々宮さんを見た時、なるほど家を畳んで下宿をするのも悪い思いつきではなかったと、はじめて来た時から、感心したくらい、居心地のいい所である。その時野々宮さんは廊下下りて、下から自分の部屋の軒を見上げて、ちょっと見たまえ、藁葺だと言った。なるほど珍しく屋根に瓦を置いてなかった。

 きょうは夜だから屋根はむろん見えないが、部屋の中には電燈がついている。三四郎は電燈を見るやいなや藁葺を思い出した。そうしておかしくなった。

「妙なお客が落ち合ったな。入口で会ったのか」と野々宮さんが妹に聞いている。妹はしからざるむねを説明している。ついでに三四郎のようなシャツを買ったらよかろうと助言している。それから、このあいだのバイオリン和製で音が悪くっていけない。買うのをこれまで延期したのだから、もうすこし良いのと買いかえてくれと頼んでいる。せめて美禰子さんくらいのなら我慢すると言っている。そのほか似たりよったりの駄々をしきりにこねている。野々宮さんはべつだんこわい顔もせず、といって、優しい言葉もかけず、ただそうかそうかと聞いている。

 三四郎はこのあいだなんにも言わずにいた。よし子は愚な事ばかり述べる。かつ少しも遠慮をしない。それがばかとも思えなければ、わがままとも受け取れない。兄との応待をそばにいて聞いていると、広い日あたりのいい畑へ出たような心持ちがする。三四郎は来たるべきお談義の事をまるで忘れてしまった。その時突然驚かされた。

「ああ、わたし忘れていた。美禰子さんのお言伝があってよ」

「そうか」

「うれしいでしょう。うれしくなくって?」

 野々宮さんはかゆいような顔をした。そうして、三四郎の方を向いた。

ぼくの妹はばかですね」と言った。三四郎はしかたなしに、ただ笑っていた。

「ばかじゃないわ。ねえ、小川さん」

 三四郎はまた笑っていた。腹の中ではもう笑うのがいやになった。

「美禰子さんがね、兄さんに文芸協会演芸会に連れて行ってちょうだいって」

里見さんといっしょに行ったらよかろう」

「御用があるんですって」

「お前も行くのか」

「むろんだわ」

 野々宮さんは行くとも行かないとも答えなかった。また三四郎の方を向いて、今夜妹を呼んだのは、まじめの用があるんだのに、あんのん気ばかり言っていて困ると話した。聞いてみると、学者だけあって、存外淡泊である。よし子に縁談の口がある。国へそう言ってやったら、両親も異存はないと返事をしてきた。それについて本人の意見をよく確かめ必要が起こったのだと言う。三四郎はただ結構ですと答えて、なるべく早く自分のほうを片づけて帰ろうとした。そこで、

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」と切り出した。野々宮さんは、

「なに、大してめんどうでもありませんがね」とすぐに机の引出しから、預かったものを出して、三四郎に渡した。

「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別とあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」

 野々宮さんは三四郎を見て、にやにや笑っている。三四郎はまじめに、「お気の毒です」と言ったばかりである。野々宮さんは、若い者を、極めつけるつもりで言ったんでないとみえて、少し調子を変えた。

「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」と聞いた。よし子は大きな声を出して笑った。三四郎にもばかげているところがすこぶるおかしいんだが、母の言条が、まったく事実を離れた作り話でないのだから、そこに気がついた時には、なるほど軽率な事をして悪かったと少しく後悔した。

「そうすると、月に五円のわりだから、一人前一円二十五銭にあたる。それを三十日に割りつけると、四銭ばかりだが――いくらいなかでも少し安すぎるようだな」と野々宮さんが計算を立てた。

「何を食べたら、そのくらいで生きていられるでしょう」とよし子がまじめに聞きだした。三四郎も後悔する暇がなくなって、自分の知っているいなか生活ありさまをいろいろ話して聞かした。そのなかには宮籠りという慣例もあった。三四郎の家では、年に一度ずつ村全体へ十円寄付することになっている。その時には六十戸から一人ずつ出て、その六十人が、仕事を休んで、村のお宮へ寄って、朝から晩まで、酒を飲みつづけに飲んで、ごちそうを食いつづけに食うんだという。

「それで十円」とよし子が驚いていた。お談義はこれでどこかへいったらしい。それから少し雑談をして一段落ついた時に、野々宮さんがあらためて、こう言った。

「なにしろ、おっかさんのほうではね。ぼくが一応事情を調べて、不都合がないと認めたら、金を渡してくれろ。そうしてめんどうでもその事情を知らせてもらいたいというんだが、金は事情もなんにも聞かないうちに、もう渡してしまったしと、――どうするかね。君たしか佐々木に貸したんですね」

 三四郎は美禰子からもれて、よし子に伝わって、それが野々宮さんに知れているんだと判じた。しかしその金が巡り巡ってバイオリンに変形したものとは、兄妹とも気がつかないか一種妙な感じがした。ただ「そうです」と答えておいた。

佐々木馬券を買って、自分の金をなくしたんだってね」

「ええ」

 よし子はまた大きな声を出して笑った。

「じゃ、いいかげんにおっかさんの所へそう言ってあげよう。しかし今度から、そんな金はもう貸さないことにしたらいいでしょう」

 三四郎は貸さないことにするむねを答えて、挨拶をして、立ちかけると、よし子も、もう帰ろうと言い出した。

「さっきの話をしなくっちゃ」と兄が注意した。

「よくってよ」と妹が拒絶した。

「よくはないよ」

「よくってよ。知らないわ」

 兄は妹の顔を見て黙っている。妹は、またこう言った。

だってしかたがないじゃ、ありませんか。知りもしない人の所へ、行くか行かないかって、聞いたって。好きでもきらいでもないんだから、なんにも言いようはありゃしないわ。だから知らないわ」

 三四郎は知らないわの本意をようやく会得した。兄妹をそのままにして急いで表へ出た。

 人の通らない軒燈ばかり明らかな路地を抜けて表へ出ると、風が吹く。北へ向き直ると、まともに顔へ当る。時を切って、自分下宿の方から吹いてくる。その時三四郎は考えた。この風の中を、野々宮さんは、妹を送って里見まで連れていってやるだろう。

 下宿の二階へ上って、自分の部屋へはいって、すわってみると、やっぱり風の音がする。三四郎はこういう風の音を聞くたびに、運命という字を思い出す。ごうと鳴ってくるたびにすくみたくなる。自分ながらけっして強い男とは思っていない。考えると、上京以来自分運命はたいがい与次郎のためにこしらえられている。しかも多少の程度において、和気靄然たる翻弄を受けるようにこしらえられている。与次郎は愛すべき悪戯である。向後もこの愛すべき悪戯者のために、自分運命を握られていそうに思う。風がしきりに吹く。たしか与次郎以上の風である

 三四郎は母から来た三十円を枕元へ置いて寝た。この三十円も運命翻弄が生んだものである。この三十円がこれからさきどんな働きをするか、まるでわからない。自分はこれを美禰子に返しに行く。美禰子がこれを受け取る時に、また一煽り来るにきまっている。三四郎はなるべく大きく来ればいいと思った。

2024-09-30

 三四郎はじっとその横顔をながめていたが、突然コップにある葡萄酒を飲み干して、表へ飛び出した。そうして図書館に帰った。  その日は葡萄酒の景気と、一種精神作用とで、例になくおもしろ勉強ができたので、三四郎は大いにうれしく思った。二時間ほど読書三昧に入ったのち、ようやく気がついて、そろそろ帰るしたくをしながら、いっしょに借りた書物のうち、まだあけてみなかった最後の一冊を何気なく引っぺがしてみると、本の見返しのあいた所に、乱暴にも、鉛筆でいっぱい何か書いてある。 「ヘーゲルベルリン大学哲学を講じたる時、ヘーゲルに毫も哲学を売るの意なし。彼の講義は真を説くの講義にあらず、真を体せる人の講義なり。舌の講義にあらず、心の講義なり。真と人と合して醇化一致せる時、その説くところ、言うところは、講義のための講義にあらずして、道のための講義となる。哲学講義はここに至ってはじめて聞くべし。いたずらに真を舌頭に転ずるものは、死したる墨をもって、死したる紙の上に、むなしき筆記を残すにすぎず。なんの意義かこれあらん。……余今試験のため、すなわちパンのために、恨みをのみ涙をのんでこの書を読む。岑々たる頭をおさえて未来永劫に試験制度呪詛することを記憶せよ」  とある署名はむろんない。三四郎は覚えず微笑した。けれどもどこか啓発されたような気がした。哲学ばかりじゃない、文学もこのとおりだろうと考えながら、ページをはぐると、まだある。「ヘーゲルの……」よほどヘーゲルの好きな男とみえる。 「ヘーゲル講義を聞かんとして、四方よりベルリンに集まれ学生は、この講義を衣食の資に利用せんとの野心をもって集まれるにあらず。ただ哲人ヘーゲルなるものありて、講壇の上に、無上普遍の真を伝うると聞いて、向上求道の念に切なるがため、壇下に、わが不穏底の疑義解釈せんと欲したる清浄心の発現にほかならず。このゆえに彼らはヘーゲルを聞いて、彼らの未来を決定しえたり。自己運命を改造しえたり。のっぺらぼうに講義を聞いて、のっぺらぼうに卒業し去る公ら日本大学生と同じ事と思うは、天下の己惚れなり。公らはタイプライターにすぎず。しかも欲張ったるタイプライターなり。公らのなすところ、思うところ、言うところ、ついに切実なる社会の活気運に関せず。死に至るまでのっぺらぼうなるかな。死に至るまでのっぺらぼうなるかな」  と、のっぺらぼうを二へん繰り返している。三四郎は黙然として考え込んでいた。すると、うしろからちょいと肩をたたいた者がある。例の与次郎であった。与次郎図書館で見かけるのは珍しい。彼は講義はだめだが、図書館は大切だと主張する男である。けれども主張どおりにはいることも少ない男である。 「おい、野々宮宗八さんが、君を捜していた」と言う。与次郎が野々宮君を知ろうとは思いがけなかったから、念のため理科大学の野々宮さんかと聞き直すと、うんという答を得た。さっそく本を置いて入口新聞を閲覧する所まで出て行ったが、野々宮君がいない。玄関まで出てみたがやっぱりいない。石段を降りて、首を延ばしてその辺を見回したが影も形も見えない。やむを得ず引き返した。もとの席へ来てみると、与次郎が、例のヘーゲル論をさして、小さな声で、 「だいぶ振ってる。昔の卒業生に違いない。昔のやつは乱暴だが、どこかおもしろいところがある。実際このとおりだ」とにやにやしている。だいぶ気に入ったらしい。三四郎は 「野々宮さんはおらんぜ」と言う。 「さっき入口にいたがな」 「何か用があるようだったか」 「あるようでもあった」  二人はいっしょに図書館を出た。その時与次郎が話した。――野々宮君は自分の寄寓している広田先生の、もとの弟子でよく来る。たいへんな学問好きで、研究もだいぶある。その道の人なら、西洋人でもみんな野々宮君の名を知っている。  三四郎はまた、野々宮君の先生で、昔正門内で馬に苦しめられた人の話を思い出して、あるいはそれが広田先生ではなかろうかと考えだした。与次郎にその事を話すと、与次郎は、ことによると、うちの先生だ、そんなことをやりかねない人だと言って笑っていた。  その翌日はちょうど日曜なので、学校では野々宮君に会うわけにゆかない。しかしきのう自分を捜していたことが気がかりになる。さいわいまだ新宅を訪問したことがないから、こっちから行って用事を聞いてきようという気になった。  思い立ったのは朝であったが、新聞を読んでぐずぐずしているうちに昼になる。昼飯を食べたから、出かけようとすると、久しぶりに熊本出の友人が来る。ようやくそれを帰したのはかれこれ四時過ぎである。ちとおそくなったが、予定のとおり出た。  野々宮の家はすこぶる遠い。四、五日前大久保へ越した。しか電車を利用すれば、すぐに行かれる。なんでも停車場の近辺と聞いているから、捜すに不便はない。実をいうと三四郎はかの平野家行き以来とんだ失敗をしている。神田高等商業学校へ行くつもりで、本郷四丁目から乗ったところが、乗り越して九段まで来て、ついでに飯田橋まで持ってゆかれて、そこでようやく外濠線へ乗り換えて、御茶の水から神田橋へ出て、まだ悟らずに鎌倉河岸数寄屋橋の方へ向いて急いで行ったことがある。それより以来電車はとかくぶっそうな感じがしてならないのだが、甲武線は一筋だと、かねて聞いているか安心して乗った。  大久保停車場を降りて、仲百人の通りを戸山学校の方へ行かずに、踏切からすぐ横へ折れると、ほとんど三尺ばかりの細い道になる。それを爪先上がりにだらだらと上がると、まばらな孟宗藪がある。その藪の手前と先に一軒ずつ人が住んでいる。野々宮の家はその手前の分であった。小さな門が道の向きにまるで関係のないような位置に筋かいに立っていた。はいると、家がまた見当違いの所にあった。門も入口もまったくあとからつけたものらしい。  台所のわきにりっぱな生垣があって、庭の方にはかえって仕切りもなんにもない。ただ大きな萩が人の背より高く延びて、座敷の椽側を少し隠しているばかりである。野々宮君はこの椽側に椅子を持ち出して、それへ腰を掛けて西洋雑誌を読んでいた。三四郎はいって来たのを見て、 「こっちへ」と言った。まるで理科大学の穴倉の中と同じ挨拶である。庭からはいるべきのか、玄関から回るべきのか、三四郎は少しく躊躇していた。するとまた 「こっちへ」と催促するので、思い切って庭から上がることにした。座敷はすなわち書斎で、広さは八畳で、わりあい西洋書物がたくさんある。野々宮君は椅子を離れてすわった。三四郎は閑静な所だとか、わりあいに御茶の水まで早く出られるとか、望遠鏡試験はどうなりましたとか、――締まりのない当座の話をやったあと、 「きのう私を捜しておいでだったそうですが、何か御用ですか」と聞いた。すると野々宮君は、少し気の毒そうな顔をして、 「なにじつはなんでもないですよ」と言った。三四郎はただ「はあ」と言った。 「それでわざわざ来てくれたんですか」 「なに、そういうわけでもありません」 「じつはお国のおっかさんがね、せがれがいろいろお世話になるからと言って、結構ものを送ってくださったから、ちょっとあなたにもお礼を言おうと思って……」 「はあ、そうですか。何か送ってきましたか」 「ええ赤い魚の粕漬なんですがね」 「じゃひめいちでしょう」  三四郎はつまらものを送ったものだと思った。しかし野々宮君はかのひめいちについていろいろな事を質問した。三四郎特に食う時の心得を説明した。粕ごと焼いて、いざ皿へうつすという時に、粕を取らないと味が抜けると言って教えてやった。  二人がひめいちについて問答をしているうちに、日が暮れた。三四郎はもう帰ろうと思って挨拶しかけるところへ、どこから電報が来た。野々宮君は封を切って、電報を読んだが、口のうちで、「困ったな」と言った。  三四郎はすましているわけにもゆかず、といってむやみに立ち入った事を聞く気にもならなかったので、ただ、 「何かできましたか」と棒のように聞いた。すると野々宮君は、 「なにたいしたことでもないのです」と言って、手に持った電報を、三四郎に見せてくれた。すぐ来てくれとある。 「どこかへおいでになるのですか」 「ええ、妹がこのあいから病気をして、大学病院はいっているんですが、そいつがすぐ来てくれと言うんです」といっこう騒ぐ気色もない。三四郎のほうはかえって驚いた。野々宮君の妹と、妹の病気と、大学病院をいっしょにまとめて、それに池の周囲で会った女を加えて、それを一どきにかき回して、驚いている。 「じゃ、よほどお悪いんですな」 「なにそうじゃないんでしょう。じつは母が看病に行ってるんですが、――もし病気のためなら、電車へ乗って駆けて来たほうが早いわけですからね。――なに妹のいたずらでしょう。ばかだから、よくこんなまねをします。ここへ越してからまだ一ぺんも行かないものから、きょうの日曜には来ると思って待ってでもいたのでしょう、それで」と言って首を横に曲げて考えた。 「しかしおいでになったほうがいいでしょう。もし悪いといけません」 「さよう。四、五日行かないうちにそう急に変るわけもなさそうですが、まあ行ってみるか」 「おいでになるにしくはないでしょう」  野々宮は行くことにした。行くときめたについては、三四郎に頼みがあると言いだした。万一病気のための電報とすると、今夜は帰れない。すると留守が下女一人になる。下女が非常に臆病で、近所がことのほかぶっそうである。来合わせたのがちょうど幸いだから、あすの課業にさしつかえがなければ泊ってくれまいかもっともただの電報ならばすぐ帰ってくる。まえからわかっていれば、例の佐々木でも頼むはずだったが、今からではとても間に合わない。たった一晩のことではあるし、病院へ泊るか、泊らないか、まだわからないさきから関係もない人に、迷惑をかけるのはわがまますぎて、しいてとは言いかねるが、――むろん野々宮はこう流暢には頼まなかったが、相手三四郎が、そう流暢に頼まれ必要のない男だから、すぐ承知してしまった。  下女御飯はというのを、「食わない」と言ったまま、三四郎に「失敬だが、君一人で、あとで食ってください」と夕飯まで置き去りにして、出ていった。行ったと思ったら暗い萩の間から大きな声を出して、 「ぼくの書斎にある本はなんでも読んでいいです。別におもしろものもないが、何か御覧なさい。小説も少しはある」  と言ったまま消えてなくなった。椽側まで見送って三四郎が礼を述べた時は、三坪ほどな孟宗藪の竹が、まばらなだけに一本ずつまだ見えた。  まもなく三四郎は八畳敷の書斎のまん中で小さい膳を控えて、晩飯を食った。膳の上を見ると、主人の言葉にたがわず、かのひめいちがついている。久しぶりで故郷の香をかいだようでうれしかったが、飯はそのわりにうまくなかった。お給仕に出た下女の顔を見ると、これも主人の言ったとおり、臆病にできた目鼻であった。  飯が済むと下女台所へ下がる。三四郎は一人になる。一人になっておちつくと、野々宮君の妹の事が急に心配になってきた。危篤なような気がする。野々宮君の駆けつけ方がおそいような気がする。そうして妹がこのあいだ見た女のような気がしてたまらない。三四郎はもう一ぺん、女の顔つきと目つきと、服装とを、あの時あのままに、繰り返して、それを病院の寝台の上に乗せて、そのそばに野々宮君を立たして、二、三の会話をさせたが、兄ではもの足らないので、いつのまにか、自分代理になって、いろいろ親切に介抱していた。ところへ汽車がごうと鳴って孟宗藪のすぐ下を通った。根太のぐあいか、土質のせいか座敷が少し震えるようである。  三四郎は看病をやめて、座敷を見回した。いかさま古い建物と思われて、柱に寂がある。その代り唐紙の立てつけが悪い。天井はまっ黒だ。ランプばかりが当世に光っている。野々宮君のような新式の学者が、もの好きにこんな家を借りて、封建時代の孟宗藪を見て暮らすのと同格であるもの好きならば当人随意だが、もし必要にせまられて、郊外にみずからを放逐したとすると、はなはだ気の毒である。聞くところによると、あれだけの学者で、月にたった五十五円しか大学からもらっていないそうだ。だからやむをえず私立学校へ教えにゆくのだろう。それで妹に入院されてはたまるまい。大久保へ越したのも、あるいはそんな経済上のつごうかもしれない。……  宵の口ではあるが、場所場所だけにしんとしている。庭の先で虫の音がする。ひとりですわっていると、さみしい秋の初めである。その時遠い所でだれか、 「ああああ、もう少しの間だ」  と言う声がした。方角は家の裏手のようにも思えるが、遠いのでしっかりとはわからなかった。また方角を聞き分ける暇もないうちに済んでしまった。けれども三四郎の耳には明らかにこの一句が、すべてに捨てられた人の、すべてから返事を予期しない、真実独白と聞こえた。三四郎は気味が悪くなった。ところへまた汽車が遠くから響いて来た。その音が次第に近づいて孟宗藪の下を通る時には、前の列車よりも倍も高い音を立てて過ぎ去った。座敷の微震がやむまでは茫然としていた三四郎は、石火のごとく、さっきの嘆声と今の列車の響きとを、一種因果で結びつけた。そうして、ぎくんと飛び上がった。その因果は恐るべきものである。  三四郎はこの時じっと座に着いていることのきわめて困難なのを発見した。背筋から足の裏までが疑惧の刺激でむずむずする。立って便所に行った。窓から外をのぞくと、一面の星月夜で、土手下の汽車道は死んだように静かである。それでも竹格子のあいから鼻を出すくらいにして、暗い所をながめていた。  すると停車場の方から提灯をつけた男がレールの上を伝ってこっちへ来る。話し声で判じると三、四人らしい。提灯の影は踏切から土手下へ隠れて、孟宗藪の下を通る時は、話し声だけになった。けれども、その言葉は手に取るように聞こえた。 「もう少し先だ」  足音は向こうへ遠のいて行く。三四郎は庭先へ回って下駄を突っ掛けたまま孟宗藪の所から、一間余の土手を這い降りて、提灯のあとを追っかけて行った。  五、六間行くか行かないうちに、また一人土手から飛び降りた者がある。―― 「轢死じゃないですか」  三四郎は何か答えようとしたが、ちょっと声が出なかった。そのうち黒い男は行き過ぎた。これは野々宮君の奥に住んでいる家の主人だろうと、後をつけながら考えた。半町ほどくると提灯が留まっている。人も留まっている。人は灯をかざしたまま黙っている。三四郎は無言で灯の下を見た。下には死骸が半分ある。汽車は右の肩から乳の下を腰の上までみごとに引きちぎって、斜掛けの胴を置き去りにして行ったのである。顔は無傷である若い女だ。  三四郎はその時の心持ちをいまだに覚えている。すぐ帰ろうとして、踵をめぐらしかけたが、足がすくんでほとんど動けなかった。土手を這い上がって、座敷へもどったら、動悸が打ち出した。水をもらおうと思って、下女を呼ぶと、下女はさいわいになんにも知らないらしい。しばらくすると、奥の家で、なんだか騒ぎ出した。三四郎は主人が帰ったんだなと覚った。やがて土手の下ががやがやする。それが済むとまた静かになる。ほとんど堪え難いほどの静かさであった。  三四郎の目の前には、ありありとさっきの女の顔が見える。その顔と「ああああ……」と言った力のない声と、その二つの奥に潜んでおるべきはずの無残な運命とを、継ぎ合わして考えてみると、人生という丈夫そうな命の根が、知らぬまに、ゆるんで、いつでも暗闇へ浮き出してゆきそうに思われる。三四郎は欲も得もいらないほどこわかった。ただごうという一瞬間である。そのまえまではたしかに生きていたに違いない。

anond:20240930173941

二  三四郎東京で驚いたものはたくさんある。第一電車ちんちん鳴るので驚いた。それからそのちんちん鳴るあいだに、非常に多くの人間が乗ったり降りたりするので驚いた。次に丸の内で驚いた。もっとも驚いたのは、どこまで行っても東京がなくならないということであった。しかもどこをどう歩いても、材木がほうり出してある、石が積んである、新しい家が往来から二、三間引っ込んでいる、古い蔵が半分とりくずされて心細く前の方に残っている。すべての物が破壊されつつあるようにみえる。そうしてすべての物がまた同時に建設されつつあるようにみえる。たいへんな動き方である。  三四郎はまったく驚いた。要するに普通のいなか者がはじめて都のまん中に立って驚くと同じ程度に、また同じ性質において大いに驚いてしまった。今までの学問はこの驚きを予防するうえにおいて、売薬ほどの効能もなかった。三四郎の自信はこの驚きとともに四割がた減却した。不愉快でたまらない。  この劇烈な活動のものがとりもなおさず現実世界だとすると、自分今日までの生活現実世界に毫も接触していないことになる。洞が峠で昼寝をしたと同然である。それではきょうかぎり昼寝をやめて、活動の割り前が払えるかというと、それは困難である自分は今活動の中心に立っている。けれども自分はただ自分の左右前後に起こる活動を見なければならない地位に置きかえられたというまでで、学生としての生活は以前と変るわけはない。世界はかように動揺する。自分はこの動揺を見ている。けれどもそれに加わることはできない。自分世界現実世界は、一つ平面に並んでおりながら、どこも接触していない。そうして現実世界は、かように動揺して、自分を置き去りにして行ってしまう。はなはだ不安である。  三四郎東京のまん中に立って電車と、汽車と、白い着物を着た人と、黒い着物を着た人との活動を見て、こう感じた。けれども学生生活の裏面に横たわる思想界の活動には毫も気がつかなかった。――明治思想西洋歴史にあらわれた三百年の活動を四十年で繰り返している。  三四郎が動く東京のまん中に閉じ込められて、一人でふさぎこんでいるうちに、国元の母から手紙が来た。東京で受け取った最初のものである。見るといろいろ書いてある。まず今年は豊作でめでたいというところから始まって、からだを大事にしなくってはいけないという注意があって、東京の者はみんな利口で人が悪いから用心しろと書いて、学資は毎月月末に届くようにするから安心しろとあって、勝田の政さんの従弟に当る人が大学校卒業して、理科大学とかに出ているそうだから、尋ねて行って、万事よろしく頼むがいいで結んである。肝心の名前を忘れたとみえて、欄外というようなところに野々宮宗八どのと書いてあった。この欄外にはそのほか二、三件ある。作の青馬が急病で死んだんで、作は大弱りである三輪田のお光さんが鮎をくれたけれども、東京へ送ると途中で腐ってしまうから家内で食べてしまった、等である。  三四郎はこの手紙を見て、なんだか古ぼけた昔から届いたような気がした。母にはすまないが、こんなものを読んでいる暇はないとまで考えた。それにもかかわらず繰り返して二へん読んだ。要するに自分がもし現実世界接触しているならば、今のところ母よりほかにないのだろう。その母は古い人で古いいなかにおる。そのほかに汽車の中で乗り合わした女がいる。あれは現実世界稲妻である接触したというには、あまりに短くってかつあまりに鋭すぎた。――三四郎は母の言いつけどおり野々宮宗八を尋ねることにした。  あくる日は平生よりも暑い日であった。休暇中だから理科大学を尋ねても野々宮君はおるまいと思ったが、母が宿所を知らせてこないから、聞き合わせかたがた行ってみようという気になって、午後四時ごろ、高等学校の横を通って弥生町の門からはいった。往来は埃が二寸も積もっていて、その上に下駄の歯や、靴の底や、草鞋の裏がきれいにできあがってる。車の輪と自転車のあとは幾筋だかわからない。むっとするほどたまらない道だったが、構内へはいるとさすがに木の多いだけに気分がせいせいした。とっつきの戸をあたってみたら錠が下りている。裏へ回ってもだめであった。しまいに横へ出た。念のためと思って押してみたら、うまいあいあいた。廊下の四つ角に小使が一人居眠りをしていた。来意を通じると、しばらくのあいだは、正気回復するために、上野の森をながめていたが、突然「おいでかもしれません」と言って奥へはいって行った。すこぶる閑静である。やがてまた出て来た。 「おいででやす。おはいんなさい」と友だちみたように言う。小使にくっついて行くと四つ角を曲がって和土の廊下を下へ降りた。世界が急に暗くなる。炎天で目がくらんだ時のようであったがしばらくすると瞳がようやくおちついて、あたりが見えるようになった。穴倉だから比較涼しい。左の方に戸があって、その戸があけ放してある。そこから顔が出た。額の広い目の大きな仏教に縁のある相である。縮みのシャツの上へ背広を着ているが、背広はところどころにしみがある。背はすこぶる高い。やせているところが暑さに釣り合っている。頭と背中を一直線に前の方へ延ばしてお辞儀をした。 「こっちへ」と言ったまま、顔を部屋の中へ入れてしまった。三四郎は戸の前まで来て部屋の中をのぞいた。すると野々宮君はもう椅子へ腰をかけている。もう一ぺん「こっちへ」と言った。こっちへと言うところに台がある。四角な棒を四本立てて、その上を板で張ったものである三四郎は台の上へ腰をかけて初対面の挨拶をする。それからなにぶんよろしく願いますと言った。野々宮君はただはあ、はあと言って聞いている。その様子がいくぶんか汽車の中で水蜜桃を食った男に似ている。ひととおり口上を述べた三四郎はもう何も言う事がなくなってしまった。野々宮君もはあ、はあ言わなくなった。  部屋の中を見回すとまん中に大きな長い樫のテーブルが置いてある。その上にはなんだかこみいった、太い針金だらけの器械が乗っかって、そのわきに大きなガラスの鉢に水が入れてある。そのほかにやすりとナイフと襟飾りが一つ落ちている。最後に向こうのすみを見ると、三尺ぐらいの花崗石の台の上に、福神漬の缶ほどな複雑な器械が乗せてある。三四郎はこの缶の横っ腹にあいている二つの穴に目をつけた。穴が蟒蛇の目玉のように光っている。野々宮君は笑いながら光るでしょうと言った。そうして、こういう説明をしてくれた。 「昼間のうちに、あんな準備をしておいて、夜になって、交通その他の活動が鈍くなるころに、この静かな暗い穴倉で、望遠鏡の中から、あの目玉のようなもののぞくのです。そうして光線の圧力試験する。今年の正月ごろからとりかかったが、装置がなかなかめんどうなのでまだ思うような結果が出てきません。夏は比較的こらえやすいが、寒夜になると、たいへんしのぎにくい。外套を着て襟巻をしても冷たくてやりきれない。……」  三四郎は大いに驚いた。驚くとともに光線にどんな圧力があって、その圧力がどんな役に立つんだか、まったく要領を得るに苦しんだ。  その時野々宮君は三四郎に、「のぞいてごらんなさい」と勧めた。三四郎おもしろ半分、石の台の二、三間手前にある望遠鏡そばへ行って右の目をあてがったが、なんにも見えない。野々宮君は「どうです、見えますか」と聞く。「いっこう見えません」と答えると、「うんまだ蓋が取らずにあった」と言いながら、椅子を立って望遠鏡の先にかぶせてあるものを除けてくれた。  見ると、ただ輪郭ぼんやりした明るいなかに物差しの度盛りがある。下に2の字が出た。野々宮君がまた「どうです」と聞いた。「2の字が見えます」と言うと、「いまに動きます」と言いながら向こうへ回って何かしているようであった。  やがて度盛りが明るいなかで動きだした。2が消えた。あとから3が出る。そのあとから4が出る。5が出る。とうとう10まで出た。すると度盛りがまた逆に動きだした。10が消え、9が消え、8から7、7から6と順々に1まで来てとまった。野々宮君はまた「どうです」と言う。三四郎は驚いて、望遠鏡から目を放してしまった。度盛りの意味を聞く気にもならない。  丁寧に礼を述べて穴倉を上がって、人の通る所へ出て見ると世の中はまだかんかんしている。暑いけれども深い息をした。西の方へ傾いた日が斜めに広い坂を照らして、坂の上の両側にある工科の建築ガラス窓が燃えるように輝いている。空は深く澄んで、澄んだなかに、西の果から焼ける火の炎が、薄赤く吹き返してきて、三四郎の頭の上までほてっているように思われた。横に照りつける日を半分背中に受けて、三四郎は左の森の中へはいった。その森も同じ夕日を半分背中に受けている。黒ずんだ青い葉と葉のあいだは染めたように赤い。太い欅の幹で日暮らしが鳴いている。三四郎は池のそばへ来てしゃがんだ。  非常に静かである電車の音もしない。赤門の前を通るはずの電車は、大学の抗議で小石川を回ることになったと国にいる時分新聞で見たことがある。三四郎は池のはたにしゃがみながら、ふとこの事件を思い出した。電車さえ通さないという大学はよほど社会と離れている。  たまたまその中にはいってみると、穴倉の下で半年余りも光線の圧力試験をしている野々宮君のような人もいる。野々宮君はすこぶる質素服装をして、外で会えば電燈会社の技手くらいな格である。それで穴倉の底を根拠地として欣然とたゆまずに研究を専念にやっているから偉い。しか望遠鏡の中の度盛りがいくら動いたって現実世界交渉のないのは明らかである。野々宮君は生涯現実世界接触する気がないのかもしれない。要するにこの静かな空気を呼吸するから、おのずからあいう気分にもなれるのだろう。自分もいっそのこと気を散らさずに、生きた世の中と関係のない生涯を送ってみようかしらん。  三四郎がじっとして池の面を見つめていると、大きな木が、幾本となく水の底に映って、そのまた底に青い空が見える。三四郎はこの時電車よりも、東京よりも、日本よりも、遠くかつはるか心持ちがした。しかししばらくすると、その心持ちのうちに薄雲のような寂しさがいちめんに広がってきた。そうして、野々宮君の穴倉にはいって、たった一人ですわっているかと思われるほどな寂寞を覚えた。熊本高等学校にいる時分もこれより静かな竜田山に上ったり、月見草ばかりはえている運動場に寝たりして、まったく世の中を忘れた気になったことは幾度となくある、けれどもこの孤独の感じは今はじめて起こった。  活動の激しい東京を見たためだろうか。あるいは――三四郎はこの時赤くなった。汽車で乗り合わした女の事を思い出したかである。――現実世界はどうも自分必要らしい。けれども現実世界はあぶなくて近寄れない気がする。三四郎は早く下宿に帰って母に手紙を書いてやろうと思った。

anond:20240930171147

2024-09-12

anond:20240912213615

中の部品が全部日本製なんだマンが出てくる10秒前

あと世界に数個しかないような望遠鏡レンズ作れるのは日本だけとかいうどうでもいい話もしてくる

2024-08-03

anond:20240802154924

年齢=彼女無し童貞の俺からすると甘えでしかねえな

見えないものを見ようとして望遠鏡太陽を見て目を焼かれたアホみたいな生き物

知らなくていいもんもあるンだわ

2024-07-16

カメラ増田解説がお世辞にも良いと言えないので俺が話す

還暦を過ぎたカメラ歴50年のジジイの話で良ければ読んでいけ

マニュアルフォーカス

まずな?プロマニュアルしか使わないなんて嘘だ。特に動体撮影する連中は逆にオートフォーカスしか使わん。スポーツ写真でもアイドルライブ写真でもオートフォーカスが基本。

そしてSONYの正直に言ってマニュアルフォーカスは使いにくく、マニュアルフォーカスの扱いやすさで言えばキヤノンが優勢だ。なぜかって?家電量販店で試してこい。マニュアルフォーカス時のユーザーインターフェースの時点で出来が違うから

SONY

SONYはなオートフォーカスがすべてだ。キヤノン党やニコン党やフジ党に聞いてみろ。口を揃えて「SONYオートフォーカス"だけ"は敵わないっすねぇ」って言うから

SONYがはじめてカメラSONYオートフォーカスが当たり前になってみろ。他社へ乗り換えた際に「遅っ!!」「えっなんで認識しねぇの!?」となるのは確実だ。

動画撮影機能家電メーカーだけあって優れており、その辺りのバランスの良さからSONYカメラ子供が生まれ新米パパに人気になっている。購入年齢層が本当にそれなのである若者Youtubeで人気なのはこういう万能的なカメラだし実際に売れてる。

キヤノン

白飛びしやすいというのは些か語弊があり、露出オーバー気味・・・まりは明るく写そうとする傾向があるのだ。だから明暗差の大きい例えば室内の窓から屋外の景色を写そうとすると盛大に白飛びする。

しかしこれは他社でも明暗差の大きいシチュエーションでは同じでキヤノンはその傾向が強めに出ると思えば良い。何でもかんでも白飛びするわけでないので大げさに心配する必要はない。

キヤノンと言えば人肌と言われるほど人物撮影が得意と言われている。この評価は確かにそうだが実際には発色が良いと表現したほうが適切だ。

キヤノン現実世界の色味をそのまま出すのではなく人間が綺麗だと感じたり、過去の思い出の中で振り返る美しい景色などの色味、いわゆる「記憶色」で写すメーカーなのだ

からこそ雑誌インターネットで見たような色味の写真を撮りたいみたいな需要マッチする。iPhone的と言えばiPhone的だが、むしろ逆でiPhoneキヤノンパリッとした発色をソフト処理で真似てる。コンピュテーショナル・フォトグラフィーってやつだな。

あとファインダーを覗くと視線オートフォーカス対象を決定できる機能メチャクチャ凄いので、家電量販店マニュアルフォーカス試すついでにやってみると良い。むしろコッチのほうが感動する人は多いハズ。

ニコン

ニコン純正レンズだ!ニッコールだ!レンズ性能が他社よりも1歩2歩進んでいて、その光学性能はカメラメーカーというかレンズメーカーの中でも随一だと言って良いだろう。双眼鏡も単眼鏡望遠鏡ニッコール

オートフォーカスが弱い?いやそれは化物オートフォーカスSONY視線オートフォーカスキヤノンと比べるのが悪いのであって、こういうこと言う輩はRICHO GRシリーズとか使ったこと無い輩なので聞く耳持たなくて良い!下には下が居るぞ!RICHO GRシリーズユーザーGRオートフォーカス信用してるヤツに俺は会ったことがないからな!(笑)

ニコンの色味は現実に合ったナチュラルカラーの「自然色」だ。とは言っても大半のカメラマンはRAW現像してしまうので一発で決まった色味の出るキヤノン比較するならばRAW現像前とRAW現像後の比較がしやすいのがニコンだな!キヤノンは撮った時点のものがもうコレで良いんじゃね?となりがちだ!

RAWファイルギリギリまで追い込んで遊びたい!みたいなヤツはニコンの方が楽しいかもな。面倒臭いから一発で良い感じの出せって言うならキヤノンの方が良く、子供ペットを追いかけ回して写真動画も何でもやりたい!ならSONYだ。

あぁちなみにだが写真機としてのボディ形状やボタン配置などは好みの差はあるものSONYよりもキヤノンニコンの方が優れていると言うカメラマンは多いし実際に俺もそうだと思う。

Panasonic

もうハッキリ言おう!こいつは動画機だ!写真機としてはまだまだ未完成だ!いやぁ惜しいんだけどな!キヤノンニコンSONY富士フイルムの完成度と比較ちゃうとなぁ……。

しか動画機と見ればかなり良い。手ブレ補正は効きまくりだしYoutube全盛のインターネットで相当にマッチしていると言って良い。動画がメインで写真オマケっていうヤツが買え!

でも昨今の機種に搭載が始まっているユーザーが色味を自由自在に出来てしまリアルタイムLUTは非常に楽しい機能なので、リアルタイムLUTのためだけにパナにするってのもナシではない。

富士フイルム

中判というどデカイメージセンサーを搭載しているカメラ販売しているが主力は中判よりも小さいフルサイズよりも小さいAPS-Cイメージセンサーを搭載したカメラだ。

APS-Cよりも小さなマイクロフォーサーズ搭載カメラにも言えることだが、カメラレンズも小型軽量なのは正義ですよ。持ち歩く気になるか?ってのはカメラ趣味にとって大きな要素なのです。

からこそ言いたい女性諸君!キミたちのカメラはコレですよ!中判とかフルサイズとかデカくて重いしさ、結局のところ男が使うことを想定してるんだもの女性の手や体格じゃ中判やフルサイズキツイって!

ジジイもさ女性モデルさんにカメラ持たせて雑誌レビューしたことあるが、中判やフルサイズなんてモデルさんの顔面と同じくらいのサイズあるんだよ?ポーズ取って貰うんだけど重くてツラそうなの!実際に重いんだってさ!

そこでAPS-Cに本気な富士フイルムですよ!ついでにマイクロフォーサーズを本気でやってるPanasonicですよ!これのレビューときはねモデルさんも楽なんだよ!フルサイズカメラレンズなんて女の子の拳よりもデカいんだからね?APS-Cはそんなことない!

APS-Cサイズ感がちょうど良くて、更にフィルムメーカー富士フイルムがこだわる色味で撮影できるわけですよ。オートフォーカスの効きもそこそこ良いし動画だって撮影できる。ボディ筐体のデザインレトロでおしゃれだ。コスプレイベントでも富士フイルム女の子カメラマン見たこ結構あるぞ!

ジジイカメラ

ちなみにだがジジイカメラキヤノン EOS R3、SONY α7CR、ニコン Zf、富士フイルム X-T5、RICOH GR3x、Leica M11です。R3はしっかりした仕事以外で使いたくねーから普段はそれ以外の気分で持ち歩いてる

2024-07-13

手がかじかんでちんこが出せないから他の兵隊

ちんこを出してやる。ちゃんと出てない。おしっこでびしゃびしゃ。それが凍る。

尿道の中も凍って、しぼんぬ。あれは三國連太郎が憎くなる。

雪降る新潟女の子に会いに行き、高速道路脇にあるラブホに泊まる。

真夜中、二人でコンビニに買い物に出かけた。

雪は本当にしんしんと降り積もる。一面の真っ白に真っ黒な空。

近くのコンビニまでは20分ほど歩いた。そこで飲み物ビールや食べのやカップラーメンコンドーム2箱買った。

帰り道は身体の中まで冷えてきて、部屋に入ったとき暖房のむあっとした空気想像してた。

全裸で過ごせる暖かい部屋の窓を、外窓を開いて全裸で外の氷点下空気に当たる。

窓辺に腕を重ねて「あそこの家のあの部屋に中学生とか住んでないかな」「望遠鏡あればよかったね」

なんて会話してる女の子の毛が生えてるまんこを見る後ろから画角は、写真撮ってたかった。

時に男子だけど我慢できない尿意があって、「ちょっとおしっこするね」と真っ暗中、

田んぼに向かって縮こまったちんこを奥から出していた。

「私もしようかな」と女の子コートの前を開くと、下半身は裸だった。厚手の靴下は履いていた。

「ひやあっ、さっっぷー」。女の子下半身さらに雪よりも色白で、陰毛が生えていた。

「やっぱり出ない。さっむー」。僕はどぼどぼとおしっこをして、そのちんこを横から指でつまんできた。

八甲田山ときは、おしっこする人から死んでったらしいよ」「女の子はどうするんだろ」

残り10分の帰り道を手を繋いで歩いた。

2024-05-21

anond:20240521202225

望遠鏡を覗き込んで見えないものが見えちゃったら病気ってことだよね

2024-05-17

タイ国王って

国会書類丸め望遠鏡みたいにして遊んでそうな印象を受ける

2024-04-28

ビッグバンが起これば桶屋が儲かる

1. ビッグバンが起こる

2. それにより、宇宙には無数の星が生まれ

3. 星が多いと、天文学者仕事が増える

4. 天文学者が増えると、望遠鏡需要が上がる

5. 望遠鏡需要が上がると、ガラス工場が儲かる

6. ガラス工場が儲かると、砂の価格が上がる

7. 砂の価格が上がると、砂漠土地価値を持つ

8. 砂漠土地価値を持つと、キャメルラクダ)の需要が上がる

9. ラクダ需要が上がると、ラクダ乳の価格が上がる

10. ラクダ乳の価格が上がると、ラクダソープ流行

11. ラクダソープ流行ると、バスタブの売り上げが上がる

12. バスタブの売り上げが上がると、風呂屋が繁盛する

13. 風呂屋が繁盛すると、タオル需要が上がる

14. タオル需要が上がると、綿の価格が上がる

15. 綿の価格が上がると、綿菓子価格が上がる

16. 綿菓子価格が上がると、遊園地の入場料が上がる

17. 遊園地の入場料が上がると、ジェットコースターの乗車料が上がる

18. ジェットコースターの乗車料が上がると、酔っ払いが増える

19. 酔っ払いが増えると、吐き気をもよおす

20. 吐き気をもよおすと、ゲロを吐く場所を求めて桶屋が儲かる

2024-04-18

美容頑張ってるやつ特有の小汚さってあるんだよな

https://anond.hatelabo.jp/20240418045402

同僚と一緒に小さな仕事勝利を祝いました。チームワークは夢を実現させます

望遠鏡で星空を見て過ごしました。宇宙はとても広く、神秘的です。

https://anond.hatelabo.jp/20240418025155

特に意味はなかったんだけど

先生の自宅抑えて

写真を黒板に貼り付ける遊びにはまってた

「久美子、ゴミ捨て」

後ろ姿撮る

https://anond.hatelabo.jp/20240417234535#

ガイジだししゃーねえなって適当なところでリリースしがちだけど

そこを敢えてきっちり詰めたらしっかり泣きが入るから笑える

https://x.gd/2Uj6F

2024-03-22

概要】空と青とアイツ

概要

283プロプロデューサーは、事務所倉庫内の物の配置が変わっており、アンバランスに積み上げられていることに気づいた。

所属アイドル芹沢 あさひ事情を聞くと、改造して基地にするために借りているのだと言う。

倉庫は他の人も使う場所なので専有されては困るが、あまりにも楽しそうな様子にプロデューサーは強くは言えなかった。


あさひとの地方での仕事が終わり宿泊先のホテルフロントにアメニティを取りに来たプロデューサーは、あさひが無断で外出しようとしていることに気づく。

あさひが言うには、単なる外出ではなく窓から目撃した未確認飛行物体調査だという。一人で行かせるわけにはいかずプロデューサーはあさひと一緒に外に出る。

早々に未確認飛行物体を見失ったあさひは、光る看板に惹かれて土産物屋が並ぶ通りに出る。

あさひ土産物屋で売られている「音に反応して動く花」や「本物のような100万円札」などの珍しい物を見て大喜びした。

土産物屋であさひバットを購入する。未確認飛行物体が来たらこれで打ち返すのだという。

プロデューサーは自分修学旅行等で不必要ものを買った経験があるが、帰宅したらすぐに忘れてしまものだと語る。

あさひはこのバット特別必要ものだと抗議した。


夕方事務所。空腹を覚えたプロデューサーは昼食用に用意していたコロッケを食べずに残していたことを思い出した。

すっかり冷めきっており美味しくなさそうだと食べるのを躊躇していると、あさひ事務所にやって来る。

あさひは、プロデューサーが食べないのであればコロッケを譲って欲しいと頼んだ。給食で出たコッペパンを持ち帰ってきたのでそれに挟んで食べたいのだという。

プロデューサーは自分にも1口食べさせてくれるのであればと、コロッケあさひに譲る。

夢中になって食べるあさひを見て、プロデューサーは1口食べさせてくれるという約束を忘れられているのではないか心配になるが、

あさひプロデューサーが食べる一口分のコロッケパンを作っていたのだと言って、食べ終えた残りをプロデューサーに渡した。


昼の事務所プロデューサーは事務所屋上あさひが居ることに気づいた。寝そべって写真を撮っていたので上から覗き込むと、プロデューサーの頭が大写しに撮れたと大笑いされる。

あさひはそこから見える限りの空の写真を撮っているのだという、プロデューサーは体冷やさないようにと声を掛けて、忙しそうなあさひを残して中に戻った。


プロデューサーが倉庫を訪れると、倉庫内は乱雑さを増し天井には空の写真がたくさん吊り下げられていた。

驚いていると外に面した窓からカメラを持ったあさひが入ってきて「また空を捕まえてきた」と嬉しそうに笑った。

どうやらあさひ倉庫内に空を作っているらしい。

倉庫は皆が使うものなのできちんと使って欲しいと伝えるが、あさひ飛行機が飛んで来ているから急いで撮影に戻る必要があると言って立ち去ってしまう。

プロデューサーは色々言いたいことはあるものの、この空を狭めるわけにはいかないなと呟いた。


ハンモック望遠鏡、謎の本、缶詰バット倉庫さらに物が増え基地として発展していた。

あさひが言うには、今の倉庫は「謎の無人島」という設定で、海にすごい船や魚が来ないか望遠鏡監視をしているのだと言う。

プロデューサーは、その設定にロマンがあると認めつつも、あさひを諭すために例え話をした。

「ある日島に、島の所有者のおじいさんを乗せた船が来る。おじいさんは自分の島に知らない子が基地を作っていることを知ってひどく驚く」

あさひは、島にそんな設定はないと抗議する。

プロデューサーは、あさひの大切な基地を壊したりしたくないし誰かに壊されたりもして欲しくないと伝えた。


あくる日、プロデューサーが倉庫を訪れると基地はすっかり片付けられており、代わりに「家賃」と書かれた給食の「小魚アーモンド」が残されていた。

倉庫の前を通りかかったあさひ事情を聞くと、自分の島が見つかるまで基地解散することにしたと告げてすぐに立ち去ってしまう。

あさひを見送ったプロデューサーは、倉庫の隅にバットが置き忘れられているのを見つけて微笑んだ。

人物

プロデューサー

性別男性 / 年齢:XX歳

芸能プロダクション283(ツバサプロダクションに所属

アイドルプロデュースおよびマネジメント業務を行っている。

ゲームにおいてプレイヤー操作する人物

芹沢 あさひ(せりざわ あさひ

性別女性 / 年齢:14歳 / 出身地東京都

283プロの3人組アイドルユニット「ストレイライト」のメンバー

常に面白いことを探し、じっとしていることがない、探究心の強い女の子。興味を持ったら一直線だが、飽きっぽい一面も持つ中学2年生。

紹介者コメント

プロデューサーが実質主人公とも言えるストーリーノスタルジックな味わいが印象的

各話リスト

話数サブタイトル
第1話基地、なんだろうなぁ)
第2話修学旅行みたいだ)
第3話(見えるよ)
第4話(合掌。いただきます
第5話(見つけような)

関連リンク

アイドルマスターシャイニーカラーズのコミュのあらすじ紹介

google:空と青とアイツ シャニマス

アイドルマスターシャイニーカラーズ(外部リンク)

アイドルマスター シャイニーカラーズ 攻略Wiki(外部リンク)

Spotifyプレイリスト(外部リンク)

2024-02-28

盗撮犯「見えないものを見ようとして、望遠鏡を覗き込んだ🎵」

温泉盗撮ってどうやってるんだろうな…

2024-01-08

ホラー小説書いた

 年末年始暇だったから、ホラー小説書いてみた。

 4話構成短編で、流行りのモキュメンタリーっぽいやつ。

第1話:心霊写真 - 祠のある公園 - カクヨム

第2話:ドアノブ - 祠のある公園 - カクヨム

第3話:望遠鏡 - 祠のある公園 - カクヨム

最終話:ホラー作家 - 祠のある公園 - カクヨム

 いや、でも、やっぱり流行ってるよね、実録風のホラーって。

 最近だったら「近畿地方のある場所について」だったり、もっと前にも「ほねがらみ」だったかな、どちらもカクヨムで連載していて書籍化までいったやつだよね。

 複数の話(伝聞や新聞記事ネット投稿など)を時系列ばらばらに散りばめていって、それらが一つの話に収束していくスタイルのやつね。

 読んでる方も考えながらパズルを解いていってるような面白さがあって、それが当たって近年どんどん量産されていってる。

 そこで私も、なんかそれっぽいの書いてみようかなと思って書いてみて、できあがったのがこちらになります

 まずはそれらしい複数怪談話に、共通項を持たせるところから始まって、その共通項にまつわる謎を主人公が追求していくという流れで書いてみたら、わりあいすんなりと話が進んでいって、トータル二週間くらいで書けたかな。まぁ、ホラーなので、謎は謎のままで余韻を残す形で残しておけばよいかなと思って、最後うやむやで終わってるけど。

 こういう現実なのか、フィクションなのか、読んでるうちによくわからなくなってくるような、そういうふうに読者を混乱させるようなお話を考えるのが正直私は大好きなので、今後もこういうタイプ小説を書いていこうと思う。

2023-12-30

双眼鏡?妙だな...」

今日気付いたんだけど...

双眼鏡 → 「2つ」くっついて両目で見ることができる携帯に便利な望遠鏡

・それに対して1つだけの「単眼鏡」もある。

・そして「双眼鏡から「2つ」を意味する「双」を取ると「眼鏡(がんきょう)」で、これは「めがね」意味

現代「めがね」は、ふつう両眼用でレンズが「2つ」ある。

あれ?ふつうメガネ双眼鏡では?

2023-12-28

見えないパンツを見ようとして 望遠鏡をまた担いで

サイレンとポリ公の 帰り道を駆け抜けた

そうして知った痛みが いまだに僕のオカズなんだ

2023-09-30

天文台望遠鏡金星を見てきた

昼間だけど。

三日月型だったよ

天文台天井の丸っこいところがクルクルッと回って、そこがパカっと割れ

その隙間から望遠鏡で空を見た

天文台望遠鏡見るなんて初めてだったから嬉しかったよ

肉眼でも見えると言われたけど無理だった

今度は夜に行きたいな

2023-09-26

anond:20230926084108

ドラえもん出木杉君みたいな奴はクラスに一人いれば多い方だと思うぞw 

まあ、クラス優等生みたいなのは数人いてもおかしくないけれど、体育がダメとか、音楽が苦手とか、口下手とか、人望がないとか、そんな感じで出木杉君みたいなのはなかなか、、

勉強が好きというより、勉強趣味というか、新しいことを知ったりできるようになったりするのが楽しくて仕方がないというか、そういう感じ。スポーツ音楽や絵が好きな人たちと同じような感じかも。本を読んだり望遠鏡顕微鏡のぞき込んだりするのが楽しいというような。

2023-09-19

実家には地球儀があった

望遠鏡もあったし、日本地図パズルもあったし、ルービックキューブもあったし、元素周期表もあったし、広辞苑もあったし、世界国旗が全部載った本もあったし、本棚いっぱいに絵本図鑑がぎゅうぎゅうに詰まっていたし、500色の色鉛筆もあった。

毎年決まった日に七草粥を食べたり、菖蒲湯に入ったり、かぼちゃを食べたり、柚子湯に入ったり、おせち作りを手伝ってつまみ食いをしたりしていた。

ずっとそれが普通だと思っていたけど、自分大人になり、子どもを授かって、ようやく、自分は恵まれていたんだなと気づいた。

私が暮らす今の家には、地球儀も、図鑑も、500色はもちろん12色の色鉛筆すらない。日本の伝統的なイベントなんて正月すらほとんど何もしていない。

夫婦ふたりならこのままで良かったかもしれないけど、やっぱり、子どもには色んな経験をさせてあげたい。

興味を持ってくれるかどうかは分からないけど、自分の子どもにも好奇心きっかけになるものを用意してみようと思った。

2023-09-01

岡村孝子 渡辺美里 小沢健二

大学の時、中井君は「自分岡村孝子ファンで、アルバムは全部買っている。

だけど、今度新しいアルバムが出るけど、最近のは買っても聞いてない。

今は早く引退してほしいと思ってる」と言った。そのアルバムとはmistralのことだった。

ワイも岡村孝子はEau Du Cielまで買っていた。

それのワイの場合渡辺美里だった。アルバム最初から買っていて、

ribbontokyo人生いちばんよく聴いたアルバムだ。

同じ頃、ワイもBIG WAVEは買ったが通しで聞いた覚えはない。

Baby Faith、Spirits、ハダカノココロLove?Go Go!!は買ったけど聞いてない。

それ以降は買ってない。ベストSweet 15th Diamondは買ったけど、オリジナル音源がいい。

小沢健二渋谷王子様をやめて自分のやりたい音楽をやって、

久しぶりのアルバムは発売日に丸を付けて買って帰って聞いたけど、(あーあ)と思った。

そして19年ぶりのシングルで(わかりゃあいいんだよ)とゆう気持ちになった。

歳も50歳になると、20歳とき歌詞が書けなくなるのはどうしてだろうか。

経験してわかって当たり前のことをわざわざ詞に書くことに意味を見いだせないからだろうか。

それとも歳を取ると望遠鏡を担いで天体観測に行くこともないからだろうか。

泣きたいよね 泣きたいよね 男だってだって

立ち止まる時には

からみついた心の糸ほどくような優しいうた

あなたにも届け

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