はてなキーワード: 白髪とは
私は悪くない大学を出て、それなりに良い会社に就職して数年働いた。ほぼ純粋な頭脳労働で、30歳時点の基本給は500万円程度だったはず。自分のように中の上くらいの学業成績が限度な人間にしては、かなりよい条件である。しかし中堅社員になるにつれ上司と上手くコミュニケーションがとれなくなり、頭と体がおかしくなって休職→退職に至った(その後いろいろ診察を受けて最終的に自閉スペクトラム症の診断が出た)。しばらく貯金を食いつぶして無職をやっていたのだけど、とうとう尽きたので働かなければ生きていけなくなった。今は倉庫で誰でもできるような肉体労働をしている。面接らしい面接もやってないから、名前や住所が自分で書けて、毎日決まった時間に出勤できればとりあえずヨシの仕事だ。ちなみに私の学生時代の体育の成績は、5段階で2とか3であった。典型的なお勉強以外だめなモヤシである。肉体労働が得意だからやっているのではない。
このとおり、客観的に見て私の経歴は有能ではない。げんに非正規の肉体労働者なのだから、世間的にも底辺と呼ばれる身分である。しかしどういうわけか、私は職場で有能扱いされている。「やっぱり有能な人間は何をやっても有能だねー」とそのものすばりなことを実際に言われたこともある。社員雇用試験にも誘われた(当然だが務まる気がしないので断った)。数少ないまともな人は全員誘われているのかと思ったけれど、そうでもないらしい。
いちおう先に言っておくと、誰でも入れるような職場なので、大学卒業程度の知能があるだけで有能扱いされる側面は当然ある。そんな事ある?と思うくらい飛び抜けてバカの人もいるので。ただそれだけで「何をやっても有能」とはならない。実際に作業スピードランキングみたいなものを見ても、トップ20%に入るかどうかぐらいだった。20%なら優秀じゃんと思うかもしれないが、下半分くらいは白髪の生えた主婦のお婆ちゃんとか、ちょっと耳が遠いお爺ちゃんとか、何度教えても言われた通りに作業できない知能の人だ。それらの地獄みたいな人材を除いて考えれば上位40%とかだろうか。悪くはないが飛び抜けて良くはない。にもかかわらず、他の人をさしおいて有能呼ばわりされる。職場にのべ100人ぐらい居るのに、「有能」なんて呼ばれ方をしているのは多分5人いるかどうかだ。そして私はそのうちの1人。アスペガイジなのに。自分や事実と他者の認識にギャップが有る。めちゃくちゃ怖い。周囲の高すぎる期待値に付いていける気がしない。以上語り終わり。
このままだと意味わかんなすぎて怖いので、理由をさぐるために周囲の人間を観察した。そこ得た当座の結論は「普通の人は大体何かしら下手」ということだ。
具体例があったほうがわかりやすいと思うので私の職場の話をする。現場にはだいたい10個ほどのポジションがある。倉庫なので荷物を持ち上げたり、分けたり、運んだりする肉体作業は当然ある。ただし例外処理が必要なもの(壊れている、ビチャビチャに濡れてる、実在しない送り先が書いてある、etc.)は荷物によって適切な処理が変わるから、少々知識とか判断が必要である。またスケジュールが押してるところに追加人員を呼ぶとかの原始的頭脳労働も一応ある(その日限定のバイトリーダーみたいな業務だ)。当たり前だがいきなり労働者がその場にポップするわけはないので、他の配置から人を抜いてこなければいけない。よそのチームと揉めない程度のコミュニケーション能力も必要だ。
で、私より仕事が速い人達を見ていると、定常作業は速いが例外的な対応は出来ないから他の人にやってもらってるとか、仕事は超速いのにヘルプ出さないから過剰な業務量抱えててスケジュールはすごい押してるとか、だいたいのことは一通りできるけど永久に誰かの文句言ってるからコミュニケーションが必要な配置には置きづらいとかで、彼ら彼女らは得意とする一部業務以外、私より下手か全く務まらないことに気づいた。先にも述べた通り、私は1つ1つの仕事は決して上位ではない。しかし無能というほどではない。おそらくこれが重要である。仮に1つ1つの仕事は上位40%に入れる程度の平凡な能力だったとしても、10個の仕事全部で上位40%程度に入れるなら、それは40%の10乗で0.01%の希少人材である。たかだか1、2個の仕事で上位10%に入る程度ではがんばっても1%の人材にしかならないので、私のような0.01%人材よりは有能でないことになる。
そういうわけで、私はどうやら自分で思っているよりも遥かに有能な人間であったらしい。ただ今述べた通り、それは有能だからというよりも、「何をやっても下手くそすぎることがない」程度の意味でしかない。そもそも私は頭脳労働の職場で全然仕事ができなくて頭がイカれたアスペガイジである。たんに今の職場では評価されない項目だから困ってないだけだ。ともあれ、気負うことはないとわかったのは良かった。有能扱いされるのは気が重かったが、理由がはっきりしたので。
さて、ここから今日のまとめ的な自分語りである。現代は苦手なことを潰す努力をしてゼネラリストになるよりも、得意なことを伸ばしてスペシャリストになるべきだとの風潮が強い世の中だ、と思う。違ったらごめんなさい。だから何をやってもスペシャルになれない自分は無能だと思っていた。しかしスペシャリストになるべきというのは、転職とか個人事業をやるときに専門性がないとアピールできるポイントがなくて困るからなのだろう。ちょっと前まで死んでもいいやとか上司殺して一生刑務所でも良いやとか思ってた私としては、意識高すぎてついて行けない世界の話だ。しばらくは底辺職場でゼネラリストとして頑張った方が精神には良さそうである。幸か不幸か、肉体労働はしばらくAIに取って代わられる見込みもない。ロボットにも100年ほど奪われないまま来ている。非正規有期雇用だからあと何年かしたらやめなきゃいけないけど、次の非正規労働でも見つければ食いつなげるだろう。そんな感じで生きてきた年上の人が職場にもたくさんいるしね。あと今の時期は汗かくから仕事終わりのラーメンとかめっちゃ美味しい。これは爆アド。
だから頭がおかしいみたいになって人生詰んだ人は、とりあえず死ぬ前に肉体労働現場に来ることをおすすめしたい。パワハラ上司がいたら半日で逃げたら良いし。どうせたいした職歴にならんけど、明日死ぬなら職歴いらんでしょ。私は裕福な老後のための、将来性ある仕事を得るための、キャリア形成を行うための、上流大学進学のための~みたいな人生からは落伍したのでそうしている。以上自分語りサンドイッチ終わり。
テーマ。
「リーゼントというのは前頭部の髪型(ポンパドール)ではなく後頭部の髪型(ダックテイル)のことだ」って本当なの?
だいたいの前回のまとめ。
さて、今回の記事の主眼は、前回の記事でも書いた「ポール・グラウス」という人物は何者か、というところにあるのだが、そのまえに増田英吉が戦前から「リーゼント」を施術していたという証拠を提示しておきたい。というのも国立国会図書館デジタルコレクションで検索したところ1936年の広告を見つけたのである。
スタア 4(21)(82) - 国立国会図書館デジタルコレクション
「ゲーブル」というのは俳優のクラーク・ゲーブルのことだろう。
などがこれでわかる。
なおインターネット上で「リーゼントの命名者」とされるもう一人に尾道の理容師・小田原俊幸がいるが、彼が「リーゼント」を発表したのは昭和24年=1949年だというので遅すぎる。おそらくは既にあったリーゼントを独自にアレンジしたとかそういう話なのだろう。
さて、では増田英吉や小田原俊幸とは違って、ググっても検索結果に引っかかりすらしない「ポール・グラウス」とは何者なのか。あらためて調べてみると、1931年にイギリスで刊行された『The Art And Craft Of Hairdressing』という書籍にその名が掲載されていることがわかった。
7ページ(16 of 700)より。
PAUL GLAUS, Past President, Academy of Gentlemen’s Hairdressing (London), a former Chief Examiner in Gentlemen’s Hairdressing, City and Guilds of London Institute.
ポール・グラウスは、ロンドンの「Academy of Gentlemen’s Hairdressing」の前会長であり、かつては「City and Guilds of London Institute」の紳士向け理髪の主任試験官でした。
同姓同名同職の別人の可能性もなくはないが、おそらくはこの人が「ポール・グラウス」なのだろう。ただし、この書籍の著者はGilbert Foanという人物で、ポール・グラウスは「Special Contributor」としていくつかの記事を寄稿しているだけである。
そして驚くべきことに、この『The Art And Craft Of Hairdressing』では「リーゼント(Regent)」についても解説されているのである。「リーゼント」は和製英語であると思われていたが、やはり由来はイギリスにあったのだ。
118ページ(146 of 700)より。
One of the most artistic and distinguished of haircuts, the Regent has been worn by elderly society gentlemen for many years. Then it was always associated with long hair, in most instances nice natural wavy white or grey hair. Since the present writer first decided to cut this style shorter, but in exactly the same shape, the style has been in great demand.
リーゼントは、最も芸術的で格調高いヘアスタイルのひとつで、長年にわたり、年配の社交界の紳士たちに愛されてきました。当時、リーゼントは長い髪、それも自然なウェーブのかかった白髪や白髪の髪によく似合う髪型でした。筆者がこのスタイルをより短く、しかし全く同じ形にカットすることに決めて以来、このスタイルには大きな需要があります。
Rub the fixative well into the hair, spreading it evenly, but do not make the mistake of using so much that it runs on to the face and neck. Then, when the hair is saturated, draw the parting and comb the hair in the position required, sideways, going towards the back of the ears.
整髪料を髪によく揉み込んで均一に広げます。顔や首に流れるほど使いすぎないよう注意してください。髪に馴染んだら、分け目を作り、耳の後ろに向かって横向きに髪をとかします。
「リーゼント」の解説を読むかぎり、そしてイラストを見るかぎり、その前髪には分け目があり、側面の髪を横向きに撫でつけて、襟足はバリカンでV字に刈り上げていたようだ。どうやら前髪を膨らませるわけではなさそうである。また、この書き方だと、もともと「髪の長いリーゼント」が存在しており、それから「筆者」によって「髪の短いリーゼント」が生み出されたらしくはある。具体的なところは不明だが。
ちなみに、この書籍の281ページ(316 of 700)では「Duck-Tailed Pompadour」という髪型も紹介されている。おおっ、と思ったがこれは女性向けの髪型で、いわゆる「エルビス・プレスリーの髪型」とは異なるように見える。しかし、後頭部をアヒルのお尻に見立てる発想や、それとポンパドールを組み合わせる発想は、まず女性向けに存在していて、それが1950年代にアレンジされて男性にも適用されるようになった、ということなのかもしれない。
ただし、ややこしいことに、このスキャンされた『The Art And Craft Of Hairdressing』は1958年に発行された第四版なので、どこまでが改訂の際に追加された内容かわからない。1936年にポール・グラウスが日本でリーゼントを紹介した、という話があるからには、少なくともリーゼントは1931年から存在していたと思うのだが…。
『The Art And Craft Of Hairdressing』はイギリスで30年以上にわたって改訂されつつ出版されていた名著らしいので、当時のイギリスの理容師のあいだでは「リーゼント」はそれなりに広まっていたのではないかと思うのだが、現在では「リーゼント」という言い方はぜんぜん残っていないようだし、それどころか英語圏でさえ「リーゼント」は和製英語だと書かれていたりするのも謎ではある。
ともあれ推測するに、まず1930年代初頭かそれ以前にイギリスで「リーゼント」という髪型が生まれ、1936年ごろにイギリス人のポール・グラウスが日本に「リーゼント」を紹介し、その「リーゼント」を見た増田英吉が日本人に合うように「前髪を膨らませるかたち」にアレンジして広告を打った、という流れなのではないかと思われる。
というわけで大枠の結論としては前回の記事と変わらないが、いくつかのディテールが明らかになったことで状況の理解度は上がったと思う。こちらからは以上です。
最近ヒゲ脱毛をはじめた。今のところ大変良いので現時点の感想を記録しておく。
今年の正月休みにヒマすぎるから今から脱毛に行こう、と思い立ったのがきっかけだった。
選択肢がありすぎて全然わからんので知人から聞いた医療脱毛クリニックに申し込んだ。
自分の知識は、脱毛なら医療脱毛がいいよという話を聞いたことがある程度で、あまり詳しくはない。
どうやら医療脱毛の方がレーザーを高出力にできるので毛根を殺しやすくなるらしい。
金額感としては6回セットで20万、それでも濃い人・気になる人は以後100円で何回でもやり放題、みたいな感じだ。
(VIOやその他の箇所も同時に申し込んだのでヒゲだけの正確な値段はアヤフヤですまん。
ググってくれればわかるが、頬とか首とか色々オプションをつけると各社ボチボチ良い値段になる)
通っているクリニックはレーザーが二種類あり、出力が強くて痛いのと出力がマイルドでやや痛くないのとあるらしい。
せっかくなので強くて痛い方にして笑気麻酔オプションをつけた。
ちなみに笑気麻酔ありでも圧倒的に痛い。
顔に痛点が集中している影響もあるだろうし、他の箇所より毛根が太いなどの理由もあるだろう。
自分の感覚だと金をケチって麻酔なしにする選択肢は絶対に無いが、小数ながら麻酔なしの人もいるらしい。
自分はもともとヒゲが薄い方だと思うが、それでもヒゲ剃り後の青ヒゲはバッチリ分かる程度だった。
また、ヒゲが少し生えてくると気になって顎や首を頻繁に触ったり、ヒゲをつまんで抜くクセがあり、同棲中の彼女は若干引いていたらしい(最近聞いた)。
いまヒゲ脱毛2回目が終わって6週間くらい経過したところなのだが、目に見えてヒゲが減った。
青ヒゲは本当に目立たなくなったし、ヒゲを抜くクセも無くなった。
また、ヒゲが少なくなると毛穴のボコボコが減ってスキンケアもやり甲斐が出てくる。
肌の状態としては手で触ってもジョリジョリというよりスベスベの方が近いレベルになっており、彼女からも大変好評である。
顔の手触りが良いのは精神衛生にも良い気がして、これは大きなメリットと言えるだろう。
2回目でこれはおそらく早すぎる部類なので、一般論として期待しすぎない方がいいとは思う。
特に元々ヒゲの濃い人がスベスベになるのは数年単位を覚悟した方がいい。
実際、入会時に事例として見せられたヒゲ脱毛10回目の人の写真は0回目の自分と同程度だった。
レーザー照射から数日後にヒゲが毛根ごとスルッと抜け落ちるような話を聞いていたのだが、その様子を確認できたことはない。
メラニン色素をレーザーで焼き切る仕組みらしいので、白髪のヒゲはレーザー方式では脱毛できない。
年を取ればとるほど手遅れになるので、もっと若いうちにやっておくんだったなと思った。
頬のヒゲが何本か白髪で、それは今でも気になって触ってしまう。
毛穴に針を打ち込んで毛根を処理する方式だと白髪もいけるらしいので、全部終わってまだ気になるようなら試したい。
その前日は、プロジェクトの責任者として費用対効果が目標に至らず、詰められ、報告と対策の提案は翌週に持ち越しになった。
その日は燃えるゴミの収集日だった。虫が苦手だから、燃えるゴミの日は何が何でもゴミ出しをせねばならない。
ギリギリ近所を歩ける格好に着替え、靴を履き、ゴミ袋とスマホと鍵を持ち、すやすやと寝ている夫を背に玄関を出る。ごみ収集所に向かい、ゴミを捨て、天を仰ぐ。雲ひとつない晴天。
死ぬならこんな綺麗な日がいい。
ふと思い浮かんだその気持ちに、抗うもなく、肯定するもなく、ただ足は近くの踏切に向かって歩いていた。
永遠を誓ったはずが独身の自由さに戻るため離婚したいという夫。人の意思は自由だから。
何度も調整し言質をとり議事録にも残っていることを認めず責任を問う経営層。立場上、弱音を吐くことを他の従業員や役員に見せることはできないから。
期日を過ぎても成果物を提出してくれない取引先。他の案件も忙しいなかで大変だから。
疲弊するだけで工数ばかりがかかり成果の見合わないプロジェクトを売った営業担当。彼には達成しなければならない売上目標があるから。
人にはみな都合があり、都合のぶつかり合いで世の中は意思決定がなされていく。
都合を主張するのが苦手な自分は、かと言って『察しろ』と開き直ることもできず、都合と都合の調整に追われ、今日まで来てしまった。ただ疲れてしまった。
自分の都合などとうに捨てた。何がしたかったのかも分からない。
いや、正確には一つあった。夫と老人になってもただ二人で緩やかに暮らしたかった。
しかしそれは叶わぬ都合だった。では、私にはもう望むものなどないのだ。
、
シミュレーションのために1本、2本と踏切の先で通り過ぎる電車を見る。 駅の近くにあった踏切だから、電車は遅く見えた。
この速度なら、跳ね飛ばされるよりも車輪下に入り込んですり潰されかねない。それはとても痛そうだ。
電車が通過し遮断器があがった。踏切に入り、横に遠く伸びる線路を眺めた。
少し先にいくつかまた踏切が見える。あちらの方が、電車の速度が出ていそうだ。
手押しのカートをひいた白髪のおばあちゃんがよろよろ歩きながら私の後ろにいるのに気がついた。
いま踏切にとどまれば、このおばあちゃんにグロテスクなものを見せてしまうかもしれない。
そう思うと、踏切で止めるべき足は止まらず、渡りきってしまった。
次の電車を待とうと踵を返そうとしたら、線路脇の一軒家、2階ベランダで洗濯物を干している女性と目があってしまった。踏切前をふらふらしている人間なんて不審者でしかない。
居心地が悪くなり、線路から見えた一つ奥の踏切に向かおうと思い、歩き出した。
いのちの電話、かけたことあるよ。ただ、電話口で「さあ話して」と構えられても何から話していいか分からずロクに話をせずに一言謝り切ってしまったけど。救われる人もいるのだろう。
閑話休題、その踏切は道幅の割に意外と交通量が多かった。どこかの抜け道になっているのかもしれない。
人に見られると思うと憚られた。遮断器に入ってる間に緊急停止ボタンを押すかもしれないし、白昼堂々、あまりよろしくないものを見せるのは望んでない。
ここもダメだと歩き出した。首都圏ベッドタウン、連休初日の朝。
都合よく人のいない踏切や道などなく、次の踏切、次の踏切、と歩いている間にとうとう隣駅についてしまった。
ついぞ踏切で立ち止まることはできなかった。
駅前のコンビニでコーヒーを買って、ロータリーのベンチに座る。
私以外みんな幸せそうに見えたが、そんな自己憐憫に浸っている自分が恥ずかしく、思わず下を向いた。
ベンチの足元には花が咲いていた。小ぶりで白い可憐な花。
じわりと視界が歪み、涙が目に溜まり、地面に落ちた。
来た道を戻りもう一度踏切行脚をする気力も体力もなかった。
スマホに入れたSuicaで改札に入り、駅のホームに設置されたベンチから空を眺めた。
今日でなくて、明日でもいいかもしれない。いや、明日するなら今日でもいい。
今日なら、夕方でもいいか。今日ずっと考えて、明日結論を出すのはどうか。
猶予は5日間あるのだから焦らなくてもいいと結論を出すまでに2時間が経っていた。
その日はおとなしく帰宅し、ただ泥のように眠った。
次の日は曇りだった。踏切を思うことはなく、持ち帰っていた仕事を片付けるためにPCを開いた。
オッス。自分オナニー大好きなんでよくエロ動画見るっすけど、サイトに表示される広告(特に出会系)の画像が前まではどこかからか引っ張ってきた本物の人だったのが、4月頃から明らかにAIに生成させた人が使われる様になったっす。
それは、加齢による体力、気力の衰えから、ちゃんとした服を着ることができなくなることだ。
昔着ていたテーラードジャケットやレザーブルゾンなんかは重いし動きにくい…
すると薄くなった白髪交じりの髪。
そこでCOMOLIである。
このブランドは一言でいうならジャケットのようにちゃんとした風に見えるジャージである。
ダークトーンを基調にした軽く伸縮性のある生地はとにかく軽く動きやすい。
ゆったりとしたオーバーサイズ気味のシルエットはドメスティックブランドなだけあって日本人の体型を理解しており、くずれた体型を隠してくれる。
実際にこのぶらんとは30代40代のおっさんに売れまくってる。
価格もジャケット8万円、シャツ5万円、カットソー3万円、パンツ4万円…と高騰し続けるファッション会にあって激安と言ってもいい。
頭が悪くて不細工で運動神経も悪かったので教師や同級生からゴミみたいな扱いを受けてた俺は、学校環境が堪らなくストレスだった。
学校に行くだけで酷くストレスだったのて、高校は定時制に行って自分のペースで勉強したかったが、親に拒否され、ゴミみたいな中学の成績を抱え近所の底辺高校に入学した、高校に入るとみんな比較的落ち着いていて、女の子にゴミ扱いされることしかなかったので、同級生に殴られることもなく平和に過ごせた。
俺の社会性は中学でバチボコにぶっ壊されて、高校では壊死していてもう社会に何も希望を持てなかったので働きたくなかった。親には「2年で公務員になるから浪人させてくれ」といって公務員浪人をさせてもらった。
2年間、公務員試験の過去問を解きまくった俺は最寄りの市役所の筆記試験を突破し(一年目は厳しかった)、同級生からゴミみたいな扱いを受けて社会性が壊死していた俺も元々は人好きで人懐っこい性格だったので、年配者の多い二次試験の面接もスムーズにパスし晴れて市の正規職員になった。
振り返ると中高の6年間は俺にとって何もプラスになっておらず、教育機関を離れた途端好転し始めたように感じる。
「学校がしんどかったけど、行くたびに慣れてくるやつ」も中には居るんだろうけど、俺は行けば行くほど疲弊していた。中学の頃、俺の母親が小学校の同級生の親御さんから「増田くん白髪すごいあって顔が疲れてたけど大丈夫?なんかあったの?」と心配していたと言っていた。たぶんうちの親も狂ってるんだと思う。学校に通うストレスが身体に出てる息子の心配よりも、息子が不登校やレールを外れる心配が上回るのだ。家にいるのは学校にいるよりマシ程度の地獄で、当時はよく世界が曇って見えた。
下の毛に白いものを発見して、白が増えて出来なくなる前にと思って急いで処理したが、
(※黒い色素に反応させて毛根を焼くので、白髪は脱毛出来ないため)
正直言うと、下の世話を自分で出来なくなったら、生きていたくない
と思っていることに気づいた。
ところで誰かの下の世話を一度でもすると分かるが、
下の毛があったら、そこに排せつ物が絡まって、
粗くは拭き取るとしても、細かい物はそのままにされる。
そもそも介護脱毛が必要な事態に陥りたくないことが本質だった。
こんなん言い出すと、
公に議論もしにくいが、
先祖代々続く正真正銘の薄毛家系だが、20代から育毛に心血注いできた。
いくらイケメンでも、スタイル良くても、髪が薄いだけで嘲笑の的。
決して煽りではない。50年生きてきた俺が言うのだから間違いない。
なんとか薬のおかげで髪を維持してきたが、ここ数年は白髪まで出てきやがった。
禿げも困るが、白髪もみっともない。
世の中にはシルバーグレーカッコいい!なんて風潮もあるが、そんなもん幻想だ。
美容院でやると金がかかるため、ドラッグストアで買った¥500くらいの
10分やそこらじゃ染まらない気がして、1時間くらい放置してたら
髪が抜けだした・・・・。頭皮も赤みがかってかぶれてきたかも?
染めないと白髪みっともないし、染めると髪が傷んで抜けてくる。
どうしたらいいんだよ。