はてなキーワード: 結婚指輪とは
Twitterで絶賛大炎上中の「中卒引きこもり歴6年の姉が大卒公務員と結婚した。」という文章を読んだ。
最近入籍した姉を持つ、現在進行形で無能ニートの俺には突き刺さりすぎる文だった。読み終えた後少し落ち込んだ。でもこれを書いた彼と決定的に違うのは、姉は発達障害だが、俺は定型だということだ。
姉はADHDと学習障害があり、姉は子供の頃、時間を守れない、宿題ができない、授業中に学校を抜け出す、とにかく学校一の問題児だったし、母は姉のことで何度も学校や同級生の親に謝りに行き、その度に姉をぶん殴っては泣いていた。父もよく姉のことをボコボコにしていた。
対して俺はなんの障害もなく、姉を反面教師にすくすく育ち、聞き分けのいいいわゆる「いい子供」だった。姉と違って、俺は親に殴られたことはない。先生にもほとんど怒られたことがない。姉を怒るとき、両親はよく俺のことを引き合いに出して「○○はできるのになんでお前はできないの!?」と怒鳴りつけた。「お前なんか産まなきゃよかった」と母親に泣きながら殴られる姉を何度も見たことがある。姉は母に連れられて月に一度カウンセリングに行っていたし、多動を抑える薬を毎朝飲んでいた。
俺はそんな姉のことを正直見下していた。姉と違って俺は普通なんだと、優越感に浸っていた。
姉は地元の偏差値ギリギリの公立高に進学し、その後短大に入学した。高校一年生から短大を卒業するまで、姉は何個もアルバイトをしていた。そして就職後、地元を離れて遠い土地で一人暮らしを始めた。
俺は地元のそれなりの公立高に落ち、滑り止めの私立高に入学した。馬鹿みたいに高い学費を親に払ってもらいながら、俺はアルバイトをしなかった。親にも働けとは言われなかった。高校では友達を一人も作れず、弁当は毎日一人で食べていた。友達がいないので使う金もなかった。実家から通える企業を探し、そこそこの会社に入ったが、上司とそりが合わず鬱になり、二ヶ月で辞めた。今はニートをしている。
姉も入社後何度も会社を辞めたい、上司に怒られる、地元に帰りたいと親に泣きつき、そして俺と同じように鬱になり休職までしたが、復職して今も同じ会社に勤めている。そして会社の先輩と交際を始め、つい先日入籍した。顔合わせで初めて姉の旦那に会ったが、どこまでも優しそうな気さくな男で、姉の尻に敷かれながらも心底惚れているという様子だった。妥協で付き合ったようには見えなかった。発達障害のことも旦那は全て理解した上で同棲を始め、何度も衝突しては姉と話し合って結婚を決めたらしい。姉の、素直で努力家なところが好きなんだと言っていた。
ADHDだから婚約指輪は絶対失くすと思って、代わりに結婚指輪を少しいいものにしてもらったの、と姉は嬉しそうに左手の薬指を見せてきた。
俺は二十一歳無職童貞、恋愛経験なし。女性と手を繋いだことすらない。
姉は発達障害のことで随分苦労したと思う。好きで障害を持って生まれてきたわけじゃないのに、と父親に泣き叫んでいたこともあった。なんで私みんなみたいにできないんだろう、とぼそっと呟いたこともある。それでも姉は、俺みたいに人付き合いや会社から逃げたりしなかった。
二十五歳になった姉は、とても明るくて優しくて素直で気遣いのできる人だ。その性格ゆえか友達が多く、帰省すると姉は毎日中高の同級生やら元バイト先の友達やらと忙しく遊び回っている。正月に帰省すると、ニートの俺にお年玉をくれる。二十歳の誕生日にはいいブランドのキーケースを贈ってくれた。両親の誕生日には必ずギフトを送ってくる。地元ではない就職先を選び、一人暮らしを始めたのも、俺の知らないところできっと家族に対して色んな葛藤があったのかもしれない。両親が何度も比較対象にしてきた俺にも、弟として以外の別の感情がどこかにあるのかもしれない。でも姉は家族に恨み言を吐いたりしない。
発達障害というハンデを抱えながらも俺よりまともな人間である姉と、定型のくせに友達もいなければ恋人もいない非生産的な無能ニートの自分を比べて死ぬほど鬱になる。
姉と俺の能力の差は、もう女だから、という枕詞じゃ誤魔化せないほど開いてしまっている。俺が同じ条件で女に生まれ変われたとしても、多分今と同じように真っ暗な部屋でトドみたいに寝っ転がってスマホをぽちぽちしてんだろうな。
俺も姉のことを、女だから救済されたと考えられたら、その方がきっと随分楽なんだろうな。
結婚指輪はお互いのものを買いあった。婚約指輪は僕から妻にプレゼントした。
僕はとんと知らなかったんだけど婚約指輪のお返しという文化が世の中にはあった。僕が結婚というものに疎いから知らないだけなのかもしれないけど結婚祝いみたいなので友達や上司から貰ったものについてもお返しするんだよって妻に言われて初めて知った。なんかそういうところって令和になっても昭和みてえだなと思ったりしたけど多分妻の感覚があってるので何も言わなかった。そんなわけで妻が何か買ってくれるということになった。が、これを選ぶのがとにかく難しかった。
調べたところ指輪のお返しとしては時計が第一候補になりがちらしいが、この金額が原因で時計に消極的だった。僕があげた婚約指輪が50万くらいだったので、金額目安としては15~25万円ということになる。僕は時計を見るのが結構好きで、数十万円の高級時計(時計界隈の人からしたら数十万で高級(笑)と言われるかもしれないけど僕にとってはスーパー高級時計)を買うなら欲しい時計があった。TUDORのブラックベイ。50万円くらいのやつ。当然お返しとしては随分予算オーバーなので論外。もっと高い指輪あげておけば良かったと後で思ったけど僕の貯金では100万以上の指輪はプレゼントできなかったからまあ仕方ない。とにかくTUDORが欲しかったので腕時計は避けたかった。
②指輪のお返しなんだから普段から身に着けられるものにしてよね
この一言で随分絞られてしまった。時計以外で考えたら旅行とか高級フレンチとかも選択肢だと思っていたんだけど。後はタブレットとか生活家電とか二人で使えるものでいいかなと思ってたんだけどそういうことではなかったらしい。この時点で時計、コート、万年筆あたりに絞られた。
③一生ものにしてよね
どうせ高いものあげるんだから一生使ってくれたら嬉しいな、とのこと。まあそうだよなと思いつつ、そうなるとコートは難しいような気がするし万年筆はもう少し年取ったら貰いがちなプレゼント筆頭なので「なんで私があげたもの使ってないのエッチ!」ってなるような気がしてやめた。
そんなわけで紆余曲折の末、腕時計を買ってもらうことになった。結局そこに落ち着いてしまうんですよね。
ピカチュウのガチヲタは多いけど120万の結婚指輪を素直に喜べるレベルなら既に家がピカチュウグッズで溢れかえってる筈だからなあ