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はてなキーワード: 博物館とは

2024-10-01

最後にうれしいことを思いついた。美禰子は与次郎に金を貸すと言った。けれども与次郎には渡さないと言った。じっさい与次郎金銭のうえにおいては、信用しにくい男かもしれない。しかしその意味で美禰子が渡さないのか、どうだか疑わしい。もしその意味でないとすると、自分にははなはだたのもしいことになる。ただ金を貸してくれるだけでも十分の好意である自分に会って手渡しにしたいというのは――三四郎はここまで己惚れてみたが、たちまち、 「やっぱり愚弄じゃないか」と考えだして、急に赤くなった。もし、ある人があって、その女はなんのために君を愚弄するのかと聞いたら、三四郎はおそらく答ええなかったろう。しいて考えてみろと言われたら、三四郎は愚弄そのものに興味をもっている女だからとまでは答えたかもしれない。自分の己惚れを罰するためとはまったく考ええなかったに違いない。――三四郎は美禰子のために己惚れしめられたんだと信じている。  翌日はさいわい教師が二人欠席して、昼からの授業が休みになった。下宿へ帰るのもめんどうだから、途中で一品料理の腹をこしらえて、美禰子の家へ行った。前を通ったことはなんべんでもある。けれどもはいるのははじめてである。瓦葺の門の柱に里見恭助という標札が出ている。三四郎はここを通るたびに、里見恭助という人はどんな男だろうと思う。まだ会ったことがない。門は締まっている。潜りからはいると玄関までの距離は存外短かい長方形御影石が飛び飛びに敷いてある。玄関は細いきれいな格子でたてきってある。ベルを押す。取次ぎの下女に、「美禰子さんはお宅ですか」と言った時、三四郎自分ながら気恥ずかしいような妙な心持ちがした。ひとの玄関で、妙齢の女の在否を尋ねたことはまだない。はなはだ尋ねにくい気がする。下女のほうは案外まじめであるしかもうやうやしい。いったん奥へはいって、また出て来て、丁寧にお辞儀をして、どうぞと言うからついて上がると応接間へ通した。重い窓掛けの掛かっている西洋である。少し暗い。  下女はまた、「しばらく、どうか……」と挨拶して出て行った。三四郎は静かな部屋の中に席を占めた。正面に壁を切り抜いた小さい暖炉がある。その上が横に長い鏡になっていて前に蝋燭立が二本ある。三四郎は左右の蝋燭立のまん中に自分の顔を写して見て、またすわった。  すると奥の方でバイオリンの音がした。それがどこからか、風が持って来て捨てて行ったように、すぐ消えてしまった。三四郎は惜しい気がする。厚く張った椅子の背によりかかって、もう少しやればいいがと思って耳を澄ましていたが、音はそれぎりでやんだ。約一分もたつうちに、三四郎バイオリンの事を忘れた。向こうにある鏡と蝋燭立をながめている。妙に西洋のにおいがする。それからカソリック連想がある。なぜカソリックだか三四郎にもわからない。その時バイオリンがまた鳴った。今度は高い音と低い音が二、三度急に続いて響いた。それでぱったり消えてしまった。三四郎はまったく西洋音楽を知らない。しかし今の音は、けっして、まとまったものの一部分をひいたとは受け取れない。ただ鳴らしただけである。その無作法にただ鳴らしたところが三四郎情緒によく合った。不意に天から二、三粒落ちて来た、でたらめの雹のようである。  三四郎がなかば感覚を失った目を鏡の中に移すと、鏡の中に美禰子がいつのまにか立っている。下女がたてたと思った戸があいている。戸のうしろにかけてある幕を片手で押し分けた美禰子の胸から上が明らかに写っている。美禰子は鏡の中で三四郎を見た。三四郎は鏡の中の美禰子を見た。美禰子はにこりと笑った。 「いらっしゃい」  女の声はうしろで聞こえた。三四郎は振り向かなければならなかった。女と男はじかに顔を見合わせた。その時女は廂の広い髪をちょっと前に動かして礼をした。礼をするにはおよばないくらいに親しい態度であった。男のほうはかえって椅子から腰を浮かして頭を下げた。女は知らぬふうをして、向こうへ回って、鏡を背に、三四郎の正面に腰をおろした。 「とうとういらしった」  同じような親しい調子である三四郎にはこの一言が非常にうれしく聞こえた。女は光る絹を着ている。さっきからだいぶ待たしたところをもってみると、応接間へ出るためにわざわざきれいなのに着換えたのかもしれない。それで端然とすわっている。目と口に笑を帯びて無言のまま三四郎を見守った姿に、男はむしろ甘い苦しみを感じた。じっとして見らるるに堪えない心の起こったのは、そのくせ女の腰をおろすやいなやである三四郎はすぐ口を開いた。ほとんど発作に近い。 「佐々木が」 「佐々木さんが、あなたの所へいらしったでしょう」と言って例の白い歯を現わした。女のうしろにはさきの蝋燭立がマントルピースの左右に並んでいる。金で細工をした妙な形の台である。これを蝋燭立と見たのは三四郎の臆断で、じつはなんだかわからない。この不可思議蝋燭立のうしろに明らかな鏡がある。光線は厚い窓掛けにさえぎられて、十分にはいらない。そのうえ天気は曇っている。三四郎はこのあいだに美禰子の白い歯を見た。 「佐々木が来ました」 「なんと言っていらっしゃいました」 「ぼくにあなたの所へ行けと言って来ました」 「そうでしょう。――それでいらしったの」とわざわざ聞いた。 「ええ」と言って少し躊躇した。あとから「まあ、そうです」と答えた。女はまったく歯を隠した。静かに席を立って、窓の所へ行って、外面をながめだした。 「曇りましたね。寒いでしょう、戸外は」 「いいえ、存外暖かい。風はまるでありません」 「そう」と言いながら席へ帰って来た。 「じつは佐々木が金を……」と三四郎から言いだした。 「わかってるの」と中途でとめた。三四郎も黙った。すると 「どうしておなくしになったの」と聞いた。 「馬券を買ったのです」  女は「まあ」と言った。まあと言ったわりに顔は驚いていない。かえって笑っている。すこしたって、「悪いかたね」とつけ加えた。三四郎は答えずにいた。 「馬券であてるのは、人の心をあてるよりむずかしいじゃありませんか。あなた索引のついている人の心さえあててみようとなさらないのん気なかただのに」 「ぼくが馬券を買ったんじゃありません」 「あら。だれが買ったの」 「佐々木が買ったのです」  女は急に笑いだした。三四郎おかしくなった。 「じゃ、あなたお金がお入用じゃなかったのね。ばかばかしい」 「いることはぼくがいるのです」 「ほんとうに?」 「ほんとうに」 「だってそれじゃおかしいわね」 「だから借りなくってもいいんです」 「なぜ。おいやなの?」 「いやじゃないが、お兄いさんに黙って、あなたから借りちゃ、好くないからです」 「どういうわけで? でも兄は承知しているんですもの」 「そうですか。じゃ借りてもいい。――しかし借りないでもいい。家へそう言ってやりさえすれば、一週間ぐらいすると来ますから」 「御迷惑なら、しいて……」  美禰子は急に冷淡になった。今までそばにいたものが一町ばかり遠のいた気がする。三四郎は借りておけばよかったと思った。けれども、もうしかたがない。蝋燭立を見てすましている。三四郎自分から進んで、ひとのきげんをとったことのない男である。女も遠ざかったぎり近づいて来ない。しばらくするとまた立ち上がった。窓から戸外をすかして見て、 「降りそうもありませんね」と言う。三四郎も同じ調子で、「降りそうもありません」と答えた。 「降らなければ、私ちょっと出て来ようかしら」と窓の所で立ったまま言う。三四郎は帰ってくれという意味解釈した。光る絹を着換えたのも自分のためではなかった。 「もう帰りましょう」と立ち上がった。美禰子は玄関まで送って来た。沓脱へ降りて、靴をはいていると、上から美禰子が、 「そこまでごいっしょに出ましょう。いいでしょう」と言った。三四郎は靴の紐を結びながら、「ええ、どうでも」と答えた。女はいつのまにか、和土の上へ下りた。下りながら三四郎の耳のそばへ口を持ってきて、「おこっていらっしゃるの」とささやいた。ところへ下女があわてながら、送りに出て来た。  二人は半町ほど無言のまま連れだって来た。そのあい三四郎はしじゅう美禰子の事を考えている。この女はわがままに育ったに違いない。それから家庭にいて、普通女性以上の自由を有して、万事意のごとくふるまうに違いない。こうして、だれの許諾も経ずに、自分といっしょに、往来を歩くのでもわかる。年寄りの親がなくって、若い兄が放任主義から、こうもできるのだろうが、これがいなかであったらさぞ困ることだろう。この女に三輪田のお光さんのような生活を送れと言ったら、どうする気かしらん。東京はいなかと違って、万事があけ放しだからこちらの女は、たいていこうなのかもわからないが、遠くから想像してみると、もう少しは旧式のようでもある。すると与次郎が美禰子をイブセン流と評したのもなるほどと思い当る。ただし俗礼にかかわらないところだけがイブセン流なのか、あるいは腹の底の思想までも、そうなのか。そこはわからない。  そのうち本郷の通りへ出た。いっしょに歩いている二人は、いっしょに歩いていながら、相手がどこへ行くのだか、まったく知らない。今までに横町を三つばかり曲がった。曲がるたびに、二人の足は申し合わせたように無言のまま同じ方角へ曲がった。本郷の通りを四丁目の角へ来る途中で、女が聞いた。 「どこへいらっしゃるの」 「あなたはどこへ行くんです」  二人はちょっと顔を見合わせた。三四郎はしごくまじめである。女はこらえきれずにまた白い歯をあらわした。 「いっしょにいらっしゃい」  二人は四丁目の角を切り通しの方へ折れた。三十間ほど行くと、右側に大きな西洋館がある。美禰子はその前にとまった。帯の間から薄い帳面と、印形を出して、 「お願い」と言った。 「なんですか」 「これでお金を取ってちょうだい」  三四郎は手を出して、帳面を受取った。まん中に小口当座預金通帳とあって、横に里見美禰子殿と書いてある。三四郎帳面と印形を持ったまま、女の顔を見て立った。 「三十円」と女が金高を言った。あたか毎日銀行へ金を取りに行きつけた者に対する口ぶりである。さいわい、三四郎は国にいる時分、こういう帳面を持ってたびたび豊津まで出かけたことがある。すぐ石段を上って、戸をあけて、銀行の中へはいった。帳面と印形を係りの者に渡して、必要金額を受け取って出てみると、美禰子は待っていない。もう切り通しの方へ二十間ばかり歩きだしている。三四郎は急いで追いついた。すぐ受け取ったものを渡そうとして、ポッケットへ手を入れると、美禰子が、 「丹青会の展覧会を御覧になって」と聞いた。 「まだ見ません」 「招待券を二枚もらったんですけれども、つい暇がなかったものからまだ行かずにいたんですが、行ってみましょうか」 「行ってもいいです」 「行きましょう。もうじき閉会になりますから。私、一ぺんは見ておかないと原口さんに済まないのです」 「原口さんが招待券をくれたんですか」 「ええ。あなた原口さんを御存じなの?」 「広田先生の所で一度会いました」 「おもしろいかたでしょう。馬鹿囃子稽古なさるんですって」 「このあいだは鼓をならいたいと言っていました。それから――」 「それから?」 「それからあなた肖像をかくとか言っていました。本当ですか」 「ええ、高等モデルなの」と言った。男はこれより以上に気の利いたことが言えない性質である。それで黙ってしまった。女はなんとか言ってもらいたかったらしい。  三四郎はまた隠袋へ手を入れた。銀行の通帳と印形を出して、女に渡した。金は帳面の間にはさんでおいたはずであるしかるに女が、 「お金は」と言った。見ると、間にはない。三四郎はまたポッケットを探った。中から手ずれのした札をつかみ出した。女は手を出さない。 「預かっておいてちょうだい」と言った。三四郎はいささか迷惑のような気がした。しかしこんな時に争うことを好まぬ男である。そのうえ往来だからなおさら遠慮をした。せっかく握った札をまたもとの所へ収めて、妙な女だと思った。  学生が多く通る。すれ違う時にきっと二人を見る。なかには遠くから目をつけて来る者もある。三四郎は池の端へ出るまでの道をすこぶる長く感じた。それでも電車に乗る気にはならない。二人とものそのそ歩いている。会場へ着いたのはほとんど三時近くである。妙な看板が出ている。丹青会という字も、字の周囲についている図案も、三四郎の目にはことごとく新しい。しか熊本では見ることのできない意味で新しいので、むしろ一種異様の感がある。中はなおさらである三四郎の目にはただ油絵水彩画区別が判然と映ずるくらいのものにすぎない。  それでも好悪はある。買ってもいいと思うのもある。しか巧拙はまったくわからない。したがって鑑別力のないものと、初手からあきらめた三四郎は、いっこう口をあかない。  美禰子がこれはどうですかと言うと、そうですなという。これはおもしろいじゃありませんかと言うと、おもしろそうですなという。まるで張り合いがない。話のできないばかか、こっちを相手にしない偉い男か、どっちかにみえる。ばかとすればてらわないところに愛嬌がある。偉いとすれば、相手にならないところが憎らしい。  長い間外国旅行して歩いた兄妹の絵がたくさんある。双方とも同じ姓で、しかも一つ所に並べてかけてある。美禰子はその一枚の前にとまった。

anond:20241001222935

ベニスでしょう」

 これは三四郎にもわかった。なんだかベニスらしい。ゴンドラにでも乗ってみたい心持ちがする。三四郎高等学校にいる時分ゴンドラという字を覚えた。それからこの字が好きになった。ゴンドラというと、女といっしょに乗らなければすまないような気がする。黙って青い水と、水と左右の高い家と、さかさに映る家の影と、影の中にちらちらする赤い片とをながめていた。すると、

「兄さんのほうがよほどうまいようですね」と美禰子が言った。三四郎にはこの意味が通じなかった。

「兄さんとは……」

「この絵は兄さんのほうでしょう」

「だれの?」

 美禰子は不思議そうな顔をして、三四郎を見た。

だって、あっちのほうが妹さんので、こっちのほうが兄さんのじゃありませんか」

 三四郎は一歩退いて、今通って来た道の片側を振り返って見た。同じように外国景色かいものが幾点となくかかっている。

「違うんですか」

「一人と思っていらしったの」

「ええ」と言って、ぼんやりしている。やがて二人が顔を見合わした。そうして一度に笑いだした。美禰子は、驚いたように、わざと大きな目をして、しかもいちだんと調子を落とした小声になって、

「ずいぶんね」と言いながら、一間ばかり、ずんずん先へ行ってしまった。三四郎は立ちどまったまま、もう一ぺんベニスの掘割りをながめだした。先へ抜けた女は、この時振り返った。三四郎自分の方を見ていない。女は先へ行く足をぴたりと留めた。向こうから三四郎の横顔を熟視していた。

里見さん」

 だしぬけにだれか大きな声で呼んだ者がある。

 美禰子も三四郎も等しく顔を向け直した。事務室と書いた入口を一間ばかり離れて、原口さんが立っている。原口さんのうしろに、少し重なり合って、野々宮さんが立っている。美禰子は呼ばれた原口よりは、原口より遠くの野々宮を見た。見るやいなや、二、三歩あともどりをして三四郎そばへ来た。人に目立たぬくらいに、自分の口を三四郎の耳へ近寄せた。そうして何かささやいた。三四郎には何を言ったのか、少しもわからない。聞き直そうとするうちに、美禰子は二人の方へ引き返していった。もう挨拶をしている。野々宮は三四郎に向かって、

「妙な連と来ましたね」と言った。三四郎が何か答えようとするうちに、美禰子が、

「似合うでしょう」と言った。野々宮さんはなんとも言わなかった。くるりとうしろを向いた。うしろには畳一枚ほどの大きな絵がある。その絵は肖像画である。そうしていちめんに黒い。着物帽子も背景から区別のできないほど光線を受けていないなかに、顔ばかり白い。顔はやせて、頬の肉が落ちている。

「模写ですね」と野々宮さんが原口さんに言った。原口は今しきりに美禰子に何か話している。――もう閉会である来観者もだいぶ減った。開会の初めには毎日事務所へ来ていたが、このごろはめったに顔を出さない。きょうはひさしぶりに、こっちへ用があって、野々宮さんを引っ張って来たところだ。うまく出っくわしたものだ。この会をしまうと、すぐ来年の準備にかからなければならないから、非常に忙しい。いつもは花の時分に開くのだが、来年は少し会員のつごうで早くするつもりだから、ちょうど会を二つ続けて開くと同じことになる。必死勉強をやらなければならない。それまでにぜひ美禰子の肖像をかきあげてしまうつもりである迷惑だろうが大晦日でもかかしてくれ。

「その代りここん所へかけるつもりです」

 原口さんはこの時はじめて、黒い絵の方を向いた。野々宮さんはそのあいだぽかんとして同じ絵をながめていた。

「どうです。ベラスケスは。もっとも模写ですがね。しかもあまり上できではない」と原口がはじめて説明する。野々宮さんはなんにも言う必要がなくなった。

「どなたがお写しになったの」と女が聞いた。

三井です。三井もっとうまいんですがね。この絵はあまり感服できない」と一、二歩さがって見た。「どうも、原画が技巧の極点に達した人のものから、うまくいかいね

 原口は首を曲げた。三四郎原口の首を曲げたところを見ていた。

「もう、みんな見たんですか」と画工が美禰子に聞いた。原口は美禰子にばかり話しかける。

「まだ」

「どうです。もうよして、いっしょに出ちゃ。精養軒でお茶でもあげます。なにわたしは用があるから、どうせちょっと行かなければならない。――会の事でね、マネジャー相談しておきたい事がある。懇意の男だから。――今ちょうどお茶にいい時分です。もう少しするとね、お茶にはおそし晩餐には早し、中途はんぱになる。どうです。いっしょにいらっしゃいな」

 美禰子は三四郎を見た。三四郎はどうでもいい顔をしている。野々宮は立ったまま関係しない。

「せっかく来たものから、みんな見てゆきましょう。ねえ、小川さん」

 三四郎はええと言った。

「じゃ、こうなさい。この奥の別室にね。深見さんの遺画があるから、それだけ見て、帰りに精養軒へいらっしゃい。先へ行って待っていますから

「ありがとう」

「深見さんの水彩は普通の水彩のつもりで見ちゃいけませんよ。どこまでも深見さんの水彩なんだから。実物を見る気にならないで、深見さんの気韻を見る気になっていると、なかなかおもしろいところが出てきます」と注意して、原口は野々宮と出て行った。美禰子は礼を言ってその後影を見送った。二人は振り返らなかった。

 女は歩をめぐらして、別室へはいった。男は一足あとから続いた。光線の乏しい暗い部屋である。細長い壁に一列にかかっている深見先生の遺画を見ると、なるほど原口さんの注意したごとくほとんど水彩ばかりである三四郎が著しく感じたのは、その水彩の色が、どれもこれも薄くて、数が少なくって、対照に乏しくって、日向へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である。その代り筆がちっとも滞っていない。ほとんど一気呵成に仕上げた趣がある。絵の具の下に鉛筆輪郭が明らかに透いて見えるのでも、洒落な画風がわかる。人間などになると、細くて長くて、まるで殻竿のようである。ここにもベニスが一枚ある。

「これもベニスですね」と女が寄って来た。

「ええ」と言ったが、ベニスで急に思い出した。

「さっき何を言ったんですか」

 女は「さっき?」と聞き返した。

「さっき、ぼくが立って、あっちのベニスを見ている時です」

 女はまたまっ白な歯をあらわした。けれどもなんとも言わない。

「用でなければ聞かなくってもいいです」

「用じゃないのよ」

 三四郎はまだ変な顔をしている。曇った秋の日はもう四時を越した。部屋は薄暗くなってくる。観覧人はきわめて少ない。別室のうちには、ただ男女二人の影があるのみである。女は絵を離れて、三四郎真正面に立った。

「野々宮さん。ね、ね」

「野々宮さん……」

「わかったでしょう」

 美禰子の意味は、大波のくずれるごとく一度に三四郎の胸を浸した。

「野々宮さんを愚弄したのですか」

「なんで?」

 女の語気はまったく無邪気である三四郎は忽然として、あとを言う勇気がなくなった。無言のまま二、三歩動きだした。女はすがるようについて来た。

あなたを愚弄したんじゃないのよ」

 三四郎はまた立ちどまった。三四郎は背の高い男である。上から美禰子を見おろした。

「それでいいです」

「なぜ悪いの?」

「だからいいです」

 女は顔をそむけた。二人とも戸口の方へ歩いて来た。戸口を出る拍子に互いの肩が触れた。男は急に汽車で乗り合わした女を思い出した。美禰子の肉に触れたところが、夢にうずくような心持ちがした。

「ほんとうにいいの?」と美禰子が小さい声で聞いた。向こうから二、三人連の観覧者が来る。

「ともかく出ましょう」と三四郎が言った。下足を受け取って、出ると戸外は雨だ。

「精養軒へ行きますか」

 美禰子は答えなかった。雨のなかをぬれながら、博物館前の広い原のなかに立った。さいわい雨は今降りだしたばかりである。そのうえ激しくはない。女は雨のなかに立って、見回しながら、向こうの森をさした。

「あの木の陰へはいりましょう」

 少し待てばやみそうである。二人は大きな杉の下にはいった。雨を防ぐにはつごうのよくない木である。けれども二人とも動かない。ぬれても立っている。二人とも寒くなった。女が「小川さん」と言う。男は八の字を寄せて、空を見ていた顔を女の方へ向けた。

「悪くって? さっきのこと」

「いいです」

だって」と言いながら、寄って来た。「私、なぜだか、ああしたかったんですもの。野々宮さんに失礼するつもりじゃないんですけれども」

 女は瞳を定めて、三四郎を見た。三四郎はその瞳のなかに言葉よりも深き訴えを認めた。――必竟あなたのためにした事じゃありませんかと、二重瞼の奥で訴えている。三四郎は、もう一ぺん、

「だから、いいです」と答えた。

 雨はだんだん濃くなった。雫の落ちない場所わずしかない。二人はだんだん一つ所へかたまってきた。肩と肩とすれ合うくらいにして立ちすくんでいた。雨の音のなかで、美禰子が、

「さっきのお金をお使いなさい」と言った。

「借りましょう。要るだけ」と答えた。

「みんな、お使いなさい」と言った。

2024-09-27

近隣の博物館コーヒー1杯150円

静かな場所スマホorPCいじりながら休憩するなら博物館が安上がりでよさそう。

万博民俗学博物館

めちゃくちゃいいな

常設展示の展示量すごすぎて1日じゃ無理だし特別展も知らんことばっかでめちゃくちゃじっくりみてまわれた

何より広すぎるからお客さんがいい感じに分散されてほぼ人がいないから落ち着いて鑑賞できたのがよかった

いい空間

2024-09-24

anond:20240923205228

たくさんコメントを貰えていて嬉しい。みんな、ありがとう

ただ、一番衝撃だったのは

美術館で会った人だろ そうさあんた まちがいないさ

から若いころの平沢進動画にたどり着いたことだったりする。昔はあんなんだったんだなあの人。

とりあえず、皆の今度のお休みが充実したものになることを祈らせていただく

反日教育

現実として中国以外のアジア殆どの国でも日本の悪行を歴史として詳しく教えていて「1945年までの大日本帝国」に対しては非常にネガティブ感情を持っている

歴史博物館テレビ歴史番組の中での日本軍の描かれ方について言えば中国と大差ない、これは台湾タイベトナムインドネシアフィリピンなどでも同じ

中国反日教育存在しない」というのは歴史教育に関する限りある程度正しい、それは普通の他の国でもやっている歴史教育だ

ゆえに「反日教育」という視点では問題を見誤る

大きな違いがあるのは「大日本帝国現在日本をどこまで同一視するか」という点

2024-09-23

バーチャルっていうのは事実現実なんだよ

Virtualの誤訳である仮想」はもうそろそろ言い換えるべきである

声を大にして言いたい。

俺はもう事実上と言っていく。仮想記憶のことも「事実上記憶」もしくは「バーチャルメモリー」と言っていく。仮想記憶とは死んでも言わん。

Virtualは仮想ではない

仮想は「事実でないことを仮にそう考えること。仮定しての想像」という意味である

反実仮想という語からきたものだと思われる。

反実仮想とは「事実に反することを想定し、仮に想像すること」という意味だ。

だが驚くことなかれ。Virtualは事実という意味である

仮想」という言葉はVirtualの意味真逆であるということ。

Virtualの意味本質は「実際そう考えること」「事実上そうだと考えること」であり「ほとんど事実(厳密には違うけどね)」である

たとえば「いつも私ばかり家事しててこれじゃ私家政婦みたいじゃん」というとき、これは「Virtual 家政婦」と表現できる。

鼻毛出てますよ」「え?! いやこれは鼻毛ではないんですよ。なんか黒い染みが鼻についてて…でも鼻毛出てるみたいに見えますね」というとき、これは「Virtual 鼻毛である仮想鼻毛ではない。

「Xって最近もうほとんど2chと変わらないですよね」というとき、Xは「Virtual 2chである

Virtualを仮想翻訳しはじめた当人ですら、誤訳であると間違いを認めている。

時代ゆえ仕方なかったと思うが、それでも擁護できないほど酷い。真逆からだ。

yellowgreenを「赤紫」と訳したぐらい酷い。それが今も続いているんだ。

俺たちは黄色緑色中間色のことを「赤紫」と呼ばされているようなものだ。

これについて「それで慣れてるからしょうがない」と言う人間もいるようだが、耐えられている人間感性おかしい。

バーチャル世界現実世界なんだ

こどものころ「バーチャル世界で遊んでけしからん」と親に言われたことがある。

自分はそのとき「親は、バーチャル世界のことを空想だと思っている?」と強く感じた。

親は、ICTに詳しいわけではなかった。だが、バーチャルという言葉は知っていたし、仮想という言葉も知っていた。

バーチャルがよくわからん者にとっては、バーチャルけしからんものなのだ

「なんでもかんでもバーチャルって。遊びじゃねえんだぞ!現実見ろよ!」という話である

だがバーチャルこそが現実なのだ

悪影響が大きすぎ

Virtualは仮想じゃない。だが「架空」の意味で使われていることがあまりにも多い。

そして今後もどんどんVirtualが増えていくはずだ。英語圏で新しいVirtualのものが出るたびに、日本では架空になっていく。

VRだって空想じゃないのに「架空現実」の意味で考えられている。

違う。「事実上現実」「実質現実」「本質現実」「ほぼ現実」のことである

でもVRに来るやつは幻想を求めていそうだ。Vtuberもそうだな。幻想を求めている。

どう考えたって「事実上YouTuber」「本質YouTuber」じゃない。あれは麻薬方面に近い思考を感じる。

幻想YouTuber」「架空YouTuber」だ。架空キャラのようなものだ。あん人間現実には存在しない。

デジタル化がいまいち流行らないのは空想から

Virtualが「虚」のものだと思われている。

すべてが虚の上に乗っていると。

虚ではない。事実上である。「物理世界はそっちなんだが、事実上こっちが本質だよ」である

真に仮想なのは自分の目で見えるものけがすべてだと思っている人間の頭だよ。

名前ときで変わると思っているか?変わるんだよな

名前変えたぐらいで変わるわけないと思っている人間も多いと思う。

だが変わる。

今の仮想という言葉は、

架空バーチャル」「空想バーチャル」「想像バーチャル

幻想バーチャル」「荒唐無稽バーチャル」「非現実バーチャル

「あてずっぽうバーチャル」「推測バーチャル」「憶測バーチャル」「幽霊バーチャル

夢幻バーチャル」「錯覚バーチャル」「事実と違うバーチャル」「空虚バーチャルなのだ

だが言い換えたあとは違う。

「実際バーチャル」「事実上バーチャル」「実質バーチャル」「真バーチャル

理論バーチャル」「実態バーチャル」「現実バーチャル」になる。

今後はVirtualなものが増えていくんだ。

俺のとる手段

今後はNon-Virtualなものについて仮想って言いまくってミーム汚染してやる。

仮想社会バーチャルバカ仮想一般人)たちを混乱させていくぜ。

考え方としては、今まで無標だったものにはすべて仮想とつけていい。仮想ってついていたものはVirtual(=事実上)な。

今後Virtualを仮想って言ったやつのことも、バーチャル仮想人って呼ぶ。

お前らも仮想人やめろよ。バーチャル人になれよ。

追記: 「仮想」という言葉をVirtual側に合わせるという案について

そもそも仮想じゃないんだよ。仮想という語をどれだけVirtualに合わせても「仮」という漢字と「想」という漢字が強すぎる。

「yellowgreenはもう赤紫って呼んでるんだから現実見ろよ。yellowgreenは赤紫ね」って言われて「えーーー???いや黄緑やん???!」って思わない?

あなたはyellowgreenを黄緑だと理解しているからいいかもしれないですけどね、赤紫だと思ってしまっている人たちが大勢いるんですよ!!意図的色弱の人を作り出してる状態ですね。事実上ね。

Virtualは仮じゃないし想像でもない。

それならば「事考」の方が正確。「事考記憶」「事考通貨」「事考水」「事考機械」「事考サーバー」のなんと正確なことか。

言葉は、最初にパッと見たときの印象が重要だと思う。とくに辞書を引かない人や言葉意味を深堀りしない人にとってはますますそうだ。

たとえば「類似」「レプリカ」「再現」にはネガティブイメージは少ない。だが「似非」「擬い物」「贋作」「模造品」は「偽物」の意味が強くなる。

仮想をVirtualの意味で使っていこうというのは、「贋作」を「レプリカ」のように使っていこうという主張だ。

だが漢字は強すぎる。どれだけ自分の中でわかっていたとしても、その漢字の主張から逃れることは難しい。

「じゃあ新しい博物館には贋作を作りましょう」と言われたときにすごく嫌な感じを受けないだろうか。そのぐらい漢字は強い。

ブコメ見たけど、仮想意味を正しく使っている人でも「事実はそうじゃないけど、実際そう考えることができること」という理解の人が多いと思う。

これは日本語・英語問題もあると思うけど、厳密にはこれは違う。バーチャルには正しいが。

仮想」をそう捉えている人は、バーチャルバーチャル理解していると言ってもいいだろう。だが厳密には理解していないはずだ。

「実際そう考えることができること(まあ細かくいうと現実事実ちょっと違うんだけど)」というのがより正しい。

単なる語順問題のように見えるが、いうならば存在の順番が違うということ。存在感が全然違う。

任意整数xが存在してそのxは範囲が2から10」であって、「範囲が2から10であるような任意整数xが存在する」わけではないのと似ている。「範囲」や「2から10」や「整数」はxより先に存在できない。

事実はそうじゃないけど」が先に来るともうあとは何言っても夢になる。「ふーん。事実はそうじゃないんだ。この話終わりね」のような感触だ。

「違うけど、そういうふうに考えることもできる」じゃないんだよ。「違わない」んだよ!!!違うけど。

関西弁の「知らんけど」に近い考えでいてほしい。

とにかく仮想は何をやってもダメ。そのぐらいの誤訳

これは仮想誤訳でもないし、バーチャル誤訳でもないし、事考誤訳でもないし、事実上誤訳でもない。

完全誤訳です。これぐらい素晴らしい誤訳は他になかなか無いです。

2024-09-17

東京文化資本を楽しむ観光旅行ってどういうんだろうな。

いわゆる観光地じゃなくて美術館とか博物館とか、地方のやつは東京に来たらここだけは行っとけみたいなやつ。

まえに関西絶対に行くべき美術館みたいな増田があったけど、そういうのの東京版はあったんだっけ?

2024-09-16

図書館とか博物館とか美術館とか

予算がなくてこのままだと大切な○○が存続できなくなります!みたいな話題を定期的に見る。

インテリかじってる方達には大変な事なんだろうけど高卒収入持病持ち連休無関係クズには全く響かない。

ああ大変なんだ、で?ってのが本音

良くなるといいねが建前。

そんなどうでもいい事に金使うなら俺の給料上げてくれよが本音本音

お前も○○が無くなったら困るだろ?!って言われても残念ながら人生に関わらなさそうな諸々が消えても全く困らんのだよ。俺は食材買って財布の現金が消える方が困ってる。生きるか死ぬかの毎日なのに皆心配してくれないよ。その気持ち図書館美術館博物館には分からないでしょうよ。

普段弱者気取りで気に入らないものを叩く癖にはてなインテリが多いと実感するし、無機物に負けてる存在意義がクソすぎて死にたくなる。

2024-09-15

日本の主要都市文化レベルを真面目に格付けした

1位 東京(58/60)

2位 京都(49/60)

3位 大阪(48/60)

4位 福岡(43/60)

5位 名古屋(40/60)

6位 神戸(37/60)

7位 横浜北海道(34/60)

9位 広島(30/60)

10位 仙台(29/60)

◆詳細

58東京(現代文10伝統文化8、サブカル10教育10芸術10、食10)

49京都(現代文化5、伝統文化10サブカル6、教育8、芸術10、食10)

48大阪(現代文化8、伝統文化7、サブカル8、教育7、芸術8、食10)

43福岡(現代文化7、伝統文化6、サブカル7、教育6、芸術7、食10)

40名古屋(現代文化7、伝統文化7、サブカル7、教育6、芸術7、食6)

37神戸(現代文化6、伝統文化5、サブカル6、教育6、芸術6、食8)

34北海道(現代文化5、伝統文化3、サブカル5、教育5、芸術6、食10)

34横浜(現代文化7、伝統文化3、サブカル7、教育4、芸術7、食6)

30広島(現代文化3、伝統文化5、サブカル4、教育4、芸術5、食8)

29仙台(現代文化3、伝統文化5、サブカル3、教育6、芸術4、食8)

◆各項目

現代文化…商業的な最新文化に触れられるか

伝統文化…主に江戸時代までの日本の伝統文化に触れられるか

サブカル映像音楽オタクなどの若者文化が盛んか

教育大学等の研究機関の充実度

芸術美術館博物館ギャラリー等の充実度

食…美味しいものが幅広く食べられるか

2024-09-14

anond:20240913113333

IT技術が発展して過去図書館司書に最も求められるものだったレファレンス必要なくなっちゃったんだよな

図書館司書自体無駄になったとは思ってはいないけど、それだけではあまり意味がなくて、他の資格との掛け合わせで生きるものなのかなと思う

例えば学芸員とか教諭とか

市町村レベルなら正直委託したほうが委託先のシステムも使えてアーカイブスにできるしメリットが大き過ぎる

委託先もたくさんあるしね

定型業務が多いし、非正規okというのもわかる

選書だけはセンスいると思うけどこれも委託して規模のメリットを生かしてもらった方が正直いい

レファレンス能力必要になり市民ニーズが高いのは子供学習支援の時と思うけど、それはどちらかというと教諭経験者がやったほうが良いし、現状だと専門分野については博物館学芸員の方が優れているまである

博物館学芸員図書館司書を取るメリットは大きくて郷土資料収集選書ができるというのは非常に大きい

郷土資料専門性必要なので個人的には図書館司書専門性では不足してると思う

最近図書館博物館を一体化する例もちょいちょい見かけるが、これはとても良い取り組みと思う

子ども学習支援郷土資料収集も進められるしね

anond:20240913113333

今の図書館司書に求められてる一番な使命は郷土資料散逸を防ぐこと、取りまとめをすることと思うけど実際はどうなってるんだろう

資料収集については各自治体の博物館やらせた方が良さそうな業務という気もするんだよな

2024-09-06

[]2024年8月滅多にホットエントリを出さなドメインからホットエントリ

ここ1年で初めてはてなブックマーク日毎の総合人気エントリ入りしたドメインからホットエントリブクマ数順トップ30

ブクマタイトルドメイン
1355ブラウザ履歴操作して「戻る」ボタン広告を出すやつについて – コーヒーサーバ香炉であるblog.maripo.org
1074Haystackhaystackeditor.com
1021とある博物館売店運営することになった話 - icorowww.icoro.com
813Stable Diffusion呪文集(プロンプト)完全ガイド。これで美少女AI画像が生成できる! - 画像生成ドットコムkindanai.com
627須藤にわかさんの私に対する反論記事が、映画史的に非常におかしい件について - Commentarius Saevussaebou.hatenablog.com
626セキュリティ監視入門mztn.notion.site
592ニンテンドーミュージアム任天堂museum.nintendo.com
584無課金おじさん」じゃない方金メダルの人について | あきゅらぼ Accu-Laboaccu-labo.com
563「寝ても取れない疲れ」原因はガチガチ背骨にあり!座ったまま背骨全体をほぐす簡単ストレッチヨガジャーナルオンラインyogajournal.jp
555無課金おじさん」に幻想を持ちすぎないで | あきゅらぼ Accu-Laboaccu-labo.com
514性別騒動女子ボクサー五輪初戦46秒で勝利 棄権相手激怒米紙問題視「鎮静にならない」the-ans.jp
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504神谷貴行氏の除籍と解雇について | 日本共産党福岡県委員会www.fjcp.jp
474半神萩尾望都短編集ー 半神 萩尾望都 | フラコミlike!flowercomics.jp
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467彬子女王殿下 | 和樂web 美の国ニッポンもっと知る!intojapanwaraku.com
459落合陽一さんの手法には明確に反対するよ、という話|けんすうkensuu.com
447ウー・ウェンの炒めもの高橋書店www.takahashishoten.co.jp
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419「掛け算の順序問題」について思うことblog.oimo.io
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397割り込みタスクが多くて困ってます」と相談を受けたらマネージャーはどうするか - るさんちまんnaopr.hatenablog.com
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389Microsoftが『コントロールパネル廃止を明言。40年近い歴史に幕?gazlog.jp
380異世界WANT TO BE - 安村洋平 / 特別読切 | マグコミmagcomi.com
372訃報】「はれときどきぶたシリーズの著者、矢玉四郎先生逝去されました。 - 株式会社岩崎書店 この1冊が未来をつくるwww.iwasakishoten.co.jp
367訃報松岡正剛 逝去のお知らせ | 編集工学研究所www.eel.co.jp
364『フワちゃんオールナイトニッポン0(ZERO)』について | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93www.1242.com

2024-09-05

anond:20240905094520

  • ボク

千葉県松戸市名物または名所を5つ教えてください

千葉県松戸市名物や名所を5つご紹介します。

これらの名物や名所は、松戸市の魅力を感じることができる場所です。

2024-09-04

夫と子育てして良かったの続き

anond:20240204002043

の続き。

無事に上の子小学校入学して2学期も始まったのでのろけの続き。結果として今のところ小1の壁はなんとかなったと思う!!!

夫がGW明けまで当たり前のように毎日小学校まで付き添って一緒に行ってくれて、こどもからもう1人で行ける大丈夫、って言ってくれるようになってくれたのがめちゃくちゃ助かった。あと小学校側も普通公立だけど保護者への連絡とか凄く密にしてくれるし担任先生学校全体としても当たり(?)だったのが大きいと思う。この辺りは土地柄とかあるからなんとも言えないけども。

子どももすぐに学童に馴染んでくれて夏休み中も毎日弁当は大変だったけど一回も行くの嫌といわずに楽しく過ごしてくれたので助かった。このあたりも個人差めちゃくちゃあるところだろうなと思う。

夫は4月から無事に昇進して忙しくもなったけど相変わらず良い意味での空気の読まなさを発揮してて、育休も後に続く後輩が出てきたり看護休暇を男性社員がとるのも普通になってきたらしい。全然絡んだことない別部署の人からこの会社男性で育休とる人がいるなんて思いませんでした!俺も取ります!って感謝されたって笑ってたw

私の仕事も元々融通効かせやす職場ではあるけど最近後輩(男)のところに子どもが産まれて、育休とる代わりに毎日2時間早く帰ってて、寝不足ヤバイっす、とか愚痴ってるのでいろんな意味で当たり前が変わってきたんだなぁって実感する。

子育ては忙しいし大変だけど夫と2人で週末に子どもたちが寝てからわざわざTSUTAYAで借りてきた旧作の映画DVD見ながら高級スーパーで買ってきたちょっといい生ハムワイン飲んだりするのが楽しかったりする。あとたまにチェーン居酒屋で5時から空いてるところに子どもたちも一緒に行って子ども唐揚げとかポテトフライ食べて満足して、大人ビール飲めて、19時からキッズルーム併設のカラオケで1時間歌って帰るっていう大学生みたいなことしてみたり。旅行も行きやすくなってきたし大人子どもも一緒に楽しめる場所が増えてきた感じある。地元広報紙に乗ってる地元博物館ワークショップとかちょっとしたイベントにわざわざ行ってみるのも楽しい

たまに夫は独身学生時代友達の家に集まってゲームばっかりやって過ごしてたりもするし、私もたまに学生時代友達と遊びに行ったり飲みに行ったりしてて、そういう日はお互い子どもよろしく!っていうんだけどワンオペ子ども見るのも楽になってきた。

私と夫はとにかく話すのが好きなのでその日あったことか不満とかすぐに言うしネットで見つけた面白かった記事とかすぐ共有するし頑張ったと思うことは私えらくない!?凄くない!?って主張するし相手が頑張ってたらえらい!ありがとう!って褒めあうのがいいのかもしれない。

もちろんこれからも大変なことがたくさん待ってると思うし、お互いアラフォーになって今度は健康のことだったり互いの両親のことだったりいろんな要素があると思うけど、やっぱり2人で得意分野生かして頑張っていこうな!って思う。

本当は習慣づけたいこと

日常生活

余暇

それらをせずに何をしているか

なんとかならないかな〜〜〜

2024-09-02

池袋文化会館ビル内「古代オリエント博物館

入り口には井上靖の手書を象った、この施設名が掲げられている

井上靖、字、下手

(下手というか、なんか可愛い字だ

博物館名前なんて、もっと気合入れてバリッとした字で書くイメージだけど

力抜けすぎ感

まあ、作家脳内に湧き出る文字列を凄い速さで書かないといけないから、字が下手・汚くなるのかな

というか、もしかしてアレでも気を使って書いた渾身の「古代オリエント博物館」だったのかもしれないしな)

2024-08-26

東京駅周辺はショッピングに便利だし、神田は渋い飲み屋があって良い、上野美術館博物館を見に行く

しか秋葉原、あそこには何もない

小汚くうるさく、ビジネスでもエンタメでも飲食でもなく、無目的な雑踏の町

聴覚障害の友人がいるのだが



 友人が、どうにもこうにもしんどくて仕方ない。どこにも書けないし、誰にも言えないからここに書き込む。本人や、知り合いがが見たら僕が書いたとバレる恐れがあるので所々ぼかす。

 友人・Nは、いわゆる大学の基礎ゼミが同じだったが故に知り合った。基礎ゼミ以外でも後述する理由で近くの席に座ることが多く、なるべくして親しくなったのだ。程々の仲でありたかったのだが。

 Nは聴覚障害者である。これを書くことにより彼にバレる可能性が飛躍的に上昇してしまうが、Nの話をするためにはどうしたって省く訳にもいかぬ。ともかく、そうした事情があるので、僕は彼の手助けを出来るだけ心がけている。手話挨拶程度しか出来ないが、筆談やらLINEやらでなんとか会話をしている状態だ。

 これがあることにより、嫌いだ苦手だということが健常者より複雑になるから困る。一歩間違えたら差別主義者と思われかねない。

 彼は講義のために文字起こし必要なため、ボランティアの手をかりている。そのため席は最前にならざるを得ない。そして僕はコンタクト使用しても視力が弱く、乱視もあるために最前席を取らざるを得ない。だから席がどうしても近くなるのだ。

 彼が苦手だ。なんならまあまあ嫌いだ。

 ひとつ断っておくが、障害があること自体理由では無い。あらゆる差別は根絶されるべきものだと思う。つまり、単純にNの言動が嫌いだ。ただし、障害があることにより発生してしまう彼の思考は苦手なため、事態をややこしくしている。

 しかし縁を切るわけにはいかない。大学毎日うからだ。フラストレーションは溜まるが、耐えてニコニコとし、大切なことは何も言わないようにしている。

 簡単スペック

 N

 ・男子大学

 ・二十歳越え

 ・重度の難聴

 ・意味わからんくらいポジティブ

 

 

 僕(K)

 ・男子大学

 ・二十歳越え

 ・耳が聞こえる

 ・ことなかれ主義

 


 █

 まず、とにかく話が合わない。というか、話が合わないとかい次元ですらないのかもしれない。

 彼の話はなんとなくスピリチュアルなうえにファンタジックで、その歳の人間が言ってると思うと薄ら寒い。幼い子供が言うならいいけども。そこまでガチモンのスピ系でもないが、割とうんざりする。

 一例を挙げる。自宅でLINEのやり取りをした際のNの言葉である。多少の原文はいじっているが、ほぼそのままだ。

 僕:そういやサークル合宿、めちゃくちゃ自然豊かな所行くっぽいよ

 僕:Nは合宿行かんよな?(サークル同じ)

 N:良いね自然

 N:何故か、時々、深呼吸したくなる。

 N:どうしてか、時々、走り出したくなる。

 N:なんだか、時々、宇宙と繋がってみたくなる。

 N:そんな時、あるよね?

 僕:あるかな~笑

 あるのかもしれんが、それを僕に言ってどうするんだ。話の脈絡特にない。無駄句読点も鬱陶しい。もちろんそれを本人に伝えると面倒臭そうなのであまり触れないようにして流す。

 次。その日は移動中にゲリラ豪雨に襲われたという背景を付す。これは対面でLINEしている様を想像してほしい。

 N:雨つよすぎ……

 僕:明日は晴れるらしいけどね~

 N:きっとさ、

 N:これは神様が「今日は雨降らそう」とかいう気分でそうしているんだよ。

 N:今日は機嫌が悪かったのかもしれない。

 N:きっと大きなジョウロを持っていて、それを俺たちに向けているんだ。

 これを聞いて、「少年の心を失わないピュア好青年」でも感じるべきだったのかもしれないが、僕にはそれが出来ない。ナチュラル宇宙神様ファンタジー的な話を持ち出されるのだ。結構辛いものがある。無論、大学である我らはとうの昔に成人済みの男である

 █

 そしてこれがかなり問題だと思うのだが、彼は物事押し付ける。これは断れない僕も悪いが、Nにも非があることは一目瞭然のはずだ。

 これは彼と出会った初期の頃の話。これも対面LINE

 僕:Nくんは好きな本とか作家いる?

 僕:僕は○○の『△△』が好き

 N:○○さんの作品全般好き!

 N:あとさ、

 僕:?

 N:くん付け要らないから。Nって呼んで。俺もK(下の名前)って呼ぶから

 僕:ずいぶん急だね

 僕:呼び捨て普段あんまりしないからさ

 N:Kの初めてってことだ! 呼んでね!

 これは特にNに伝えていなかったのでこちらも悪いが、僕は呼び捨てで呼ぶのも呼ばれるのも苦手な方だ。家族や幼馴染くらいしかしない。

 しかし、彼にとって友人になったら当たり前、みたいなことなのかもしれないとその時は受け入れることにした。価値観や考え方自体は多様であるべきである

 だが、まだNは友達になっていない人にもこれをやるのだから驚きである。基礎ゼミグループワークを行う際なども自分への呼び捨て強要。当然のようにメンバーを男女かまわず呼び捨てる。フレンドリーと言えば美点なのだろうが……僕には、距離感の詰め方が流石にバグっているように見える。

 ただし、これは障害があるというハンデがあるからこそ、距離ガンガン詰めて、避けられないように……という彼の生存戦略可能性もある。僕が価値観の違いで勝手不愉快になっているだけと考えればまだ許容範囲だろう。

 しかし、これは堂々と不愉快言動と言わせてもらう。

 大学主催ボランティア講習(Nのための文字起こしボランティア)があった時のこと。

 N:Kも来るよね? もう、Kは絶対参加だよー。

 僕:まぁ行くけど

 N:だよね! Kが来ないとかありえないから!

 行くのが嫌なのではない。友達なんだから来て当然みたいな雰囲気が嫌だ。ガクチカになるかもしれないし、困ってる人間は助けたい派なので行こうとは思っていた。それにしても、多分Nは僕をガッツリ頼る気満々である。僕と普段から仲がいい(と思っている)ため、頼りやすいからだとは思うが、初めから至極当然のようにアテにされるのは少々不満である

 そして、何より、「Nさんと仲のいいKさんは行くよね?」みたいな周りの目も嫌だ。これで行かなかったら薄情者と思われるのではないかと思ってしまう。

 図書館課題作成していた時のこと。Nは背後から忍び寄り、いくつか本を手渡してきた。

 N:オススメ! 

 N:俺の私物は借りたくないって言ってたか図書館ならいいかなって。Kって意外と潔癖? 笑

 僕:○○の本、前に好きって言ってたな

 N:あんまり読んだことないんでしょ? ここの図書館にあるやつだから読んでみて。

 僕:さんきゅー。でも、今日はとりあえずいいや笑

 N:良いの?

 僕:メモはとる

 僕:時間ある時読むわ

 彼の私物を借りるのがそもそも何となく嫌だった。既に彼を面倒くさがっていた頃のやりとりだ。そこでこのオススメ本の布教に来たのだろう。

 今ではない。確実に今やることではない。

 僕が今PCをカタカタやってるのが分かるだろう。机の上に資料があるのが分かるだろう。なぜ今渡すんだ?

 そして言いにくかったから言ってないが、僕はお前の好きな○○という作家にそこまで強い興味がない。すまないが、どんどん言いにくくなっていた。

 読書趣味だが、お互い好きな方向性が違うじゃないか触手をのばすのは悪くないが、押し付けられるからどんどん嫌になってしまうとなぜ気付けない。

 僕のオススメを聞いても、お前はお前で読まないしな。

 一年生の頃の夏休み直前のこと。

 N:夏休みってみんなどこ行くのかな?

 僕:海とかプールとかなんじゃね?

 N:調べてみる(Googleで『大学生 友達と出かける場所』と調べようとしているのを見せてくる)

 N:ボーリングとか買い物とかは手軽そうだな~。あと美術館とか博物館とかも面白いかもね

 僕:あ~定番っぽいね

 N:Kはどこ行きたい? 八月二十日!

 僕:え、二十日???

 N:俺と行けば博物館とかそういうの、同行者として割引とかあるよ。無料場合もある。

 僕:僕、同行者としてはあんま役立たんけど? 笑

 僕:手話分からんし笑

 N:俺がKと行きたい!

 知らない間に僕とNが出かけることになっていた。あれは仰天した。僕は一切こちらの予定など告げていない。同行者割引なんぞ要らんから、僕を誘う一言をくれ。予定を確認してくれ。僕はバイトもしている。流石にいただけないだろう。

 ちなみに彼はバイトをしていない。障害者がアルバイトをするのが難しいということだそうで、確かにそれは大変だとは思う。思うが、こっちの事情は考えてほしいものだ。実際その日が空いていたのも良くなかった。

 結局Nがその日は体調を崩し、なかったことになったため、内心ほっとしてしまった。その後にも何回か誘われたが、バイトやら他の予定やらが入っていたために事なきを得た。

 またある時は、

 N:俺のTwitterフォローしてないよね? 是非してね☆

 僕:してないけど……した方がいいの?

 N:して! これ俺のアカウント。(リンク貼ってある)

 僕:少し待ってくれる?

 僕はTwitterリア友を通したくない派だ。仕方なく新しい垢を作った。ほとんどその垢にログインしないが、Nはほぼ毎日何かしらスピリチュアルな何かや聴覚障害に関わるツイートをしている。

 N:Kの初めてのフォロワーじゃん! テンション上がる

 たった今作ったアカウントだって、見ればわかると思うけどな。

 ……もう、これ以上にも思い返せばまだまだあるのだ。僕のバイト先に押しかけて先輩に負担をかけるし、知らん障害者の自伝か何かを手渡して感想を求めるし、飲みの席では健常者同士でも全員筆談手話で話せと言い放ち、僕の着る服にまで口を出し、挙句には僕の一人称が「僕」であることにすら、幼く見えるからやめたら? などと言う。

 いくらでもある。こちらの話を聞かない。事情を考えない。自分の話ばかりする。とにかくゴリ押す。

 どうもこの辺りは見ている限り、ろう学校時代に培われたものらしい。というのも、こうした言動をしているのに対し、軽く非難にならない程度に指摘すると、「中高とか、みんな俺みたいな感じの奴らばっかりだったよ」と言う。中高とろう学校に行っていたそうだ。みんなNみたいなのか。しんどそうである

 でも、みんながみんなNのようであれば、意見が通るのが割と当たり前であり、言えば結構色々と叶ったのかもしれない。特別支援学校では、少しでも生徒が不便を感じたら、迅速に対応するべし──これは特別支援教育講義で学んだことである

 学問上、障害に関する勉強もしているためなんとなくは分かるのだが、彼は障害者の嫌なところの寄せ集めである

 先述のスピ系も同様だ。ろう学校のことを詳しく存じあげる訳では無いが、一般的学校に比べてこういう考え方が主流なんだろうか? ろう学校内でガラパゴス化しているのか? N本人も、一般的学校のことはよく分からないと言っていたことがある。

 彼はどうも、自分の主張はなんでも通ると思っているフシがある。

 耳が聞こえない不便さにより、周りを頼る習慣があるのは良い事だと思う。頼ってくれなければ助けようがないし、どう助けていいのかも分からいからだ。だから彼のためのボランティア講習に僕も参加した。彼に苦手意識はあるが、困っているのなら助けるぐらいの人の心はある。

 でもそれはあくまで誰かが厚意・善意でやっていることで、私的ワガママを通していいのとは違うのではないか? 必要な手助けと身勝手な振る舞いの許容は全くの別物だ。

 はっきり言って、Nは勘違いしているようにしか見えない。ワガママを言えば誰かが叶えてくれるという傲慢勘違いだ。そしてNにとってその"誰か"は、大学内においてはきっと僕だ。

 これを書いていたら、障害者に関わる機会が職業柄多い母が以前、「障害者は距離結構詰める人いるよ。見えない聞こえない動けない分からいから」と言っていたのを思い出した。だとしたら障害がある故にNはああなったのだろうか? だとすれば僕はそれを疎む差別主義者か?

 僕はNを心の中では信用していないので、これらの発言を嫌でも断れない。断ったら面倒なことになるのが目に見えるし、断ったところで彼の態度が変わるとは思えない。

 周りは僕を、「Nと仲が良く、Nと普段から行動を共にする人間」「Nに用があるなら耳が聞こえるKを通せばいい」と認識している。Nは他にも大学に友人はいるが、おそらく一番一緒にいるのは僕だ。周りにそこまでゴリ押し危害は及ばないのかもしれないが、だからこそ誰も僕を助けてはくれない。

 そして、これらのやりとりは当然筆談LINEを介する。会話にスピード感はない。更に当たり前だが可視化されてしまうため、Nのカロリー高めの発言言葉の端に上手く流すことは出来ずに僕に降りかかる。耳を介したやりとりなら、軽く笑ったり「まあまあ」とか言って、上手く話の流れを切り替えられるのに。

 会話に少しでもストレスを感じないために手話習得しようかとも思ったが、申し訳ないがそこまで彼のためにリソースを割けない。彼も本当は僕に手話を覚えてほしいらしいのだが、今は流石に無理だ。NHKの『みんなの手話』のテキストを定期的に貸してくれるが、無理なモンは無理だ。

 この夏休みが終われば、また彼に付き合わなくてはならんのかと思うと、正直憂鬱だ。

 もしここまで読んだ人がいるのなら、大変な乱文で申し訳ないと思う。書きなぐりであるゆえ、整っていない。

2024-08-23

花火が好きじゃないけど、リアルじゃ誰も共感してくれないだろうから、ここに書く

花火には正直、風流面白みも感じない。

色が付いた光を遠方に見て、バンバンと音が鳴って、何が面白いのかよくわからない。

暑くて眠い夜に、他人と押し合い圧し合いして見に行くには、内容があまりにも素朴すぎる。

先日、音楽ストーリー性が無いと流行らない、みたいな記事を見た気がするが、花火だってそう思う。

単純な光、単純な音で、ストーリー性をどうやったら喚起できるのだろう。

同じ時間があれば、歴史資料でも読み漁りたい。図書館だとかの有益情報を読み知りたい。

同じ混み具合なら、博物館とかの館内で歴史物や昔の事物だとか、価値の定まったものを知ったほうが、よっぽど楽しめる。

散って儚い花火なんかよりも、普遍的価値である歴史もっと尊ぶべきだ。

花火を挙げる費用があったら、博物館図書館管理に回すべきだ。

2024-08-22

正規学芸員になりたい人のためのちょっとした話

非正規学芸員20年やってきたが、正規試験が年齢オーバーになって受験できず退職した話「学芸員こそ経験必要なのになぜ年齢で区切るのか」 - Togetter [トゥギャッター]

https://togetter.com/li/2422212

こちらを見て、思うところがあったので書いてみます増田自身は現役学芸員ではないですが、かなり近い立場で様子を見ている人間です。また、Togetterを見た限りこの方は歴史博物館系のようですが、私が知っているのは美術系のみなので、多少違うところもあると思います

結論から書きます

正規雇用になりたい学芸員志望の方に言えるのは、日本全国どこで募集が出ていても、それが市町村立でも政令都市立でも都道府県立でも、自分募集の条件と適合していたら片っ端から受けてください。落ちても落ちても対策をしてめげずに受けてください。細かいことは下に書きますが、これだけです。

募集状況はこちらの掲示板が非常に参考になります

学芸員募集掲示板

https://yondaro.bbs.fc2.com/

学芸員を目指す人でまだ読んでない人はいないと思いますが、こちらの書籍も必読です。

杉本竜(2023)『これから学芸員をめざす人のために』‎創元社

以下細かい
学芸員募集について

基本的現在公立館の正規学芸員募集は、ほぼ欠員補充のみです。定年やその他の理由で誰かが辞めて、欠員が出たからその分野を補充する、という形です。個人的には、その学芸員が辞める前に、その人の後継者採用して専門分野の知識技術などの伝授、引継ぎを行うべきだと思うのですが、現実としてこうなっています

そのため、いつどこの博物館でどの分野の募集が出るかはかなり運任せです。自分大学院研究していた分野とマッチする募集が出ることなんてまずないと思ってください。そのため、募集要項を見て、ちょっとでも引っかかったら受けてください。例えば、北陸の某県で近世史を担当する学芸員募集が出ていたとして、自分の専門が幕末期の九州歴史だったとしても受けてください。引っかかってます。何なら専門が戦国時代東北史だったとしても、応募していいと思います。アンマッチだったら向こうが落としますし、試験結果次第では僅かでもチャンスはあります

筆記試験対策

通常の公務員試験同様の試験を課す自治体もありますが、近年では減少傾向にあると思います。課している自治体得点配分はかなり小さいです。重要なのは、専門分野の筆記試験です。受験する博物館収蔵品、近年の特別展(とくにコレクション展)および、これから予定されているコレクション展を調べ、その博物館がどういった特徴を持った博物館なのかを把握し、その周辺知識を中心に勉強してください。あとは専門分野の基本的知識必要となります。そのあたりは言うまでもないです。

この辺りの勘所が分かって、しっかり準備できるようになると、筆記試験はそこそこ通るようになるはずです。通らないとしたら、そもそも基礎知識が足りないのかもしれません。

面接対策

正直ここは8割運だと思います面接官との相性もありますし、そもそも取りたい人物像(年齢、経験性別、その他)とどのくらいマッチしているかという運もあります。年齢については、40歳まで、としていても、同じくらいの成績なら20代取りたいよねえ、ということもあるだろうし、性別についても、今は大っぴらには言いませんが、同じ成績なら今いる人とのバランスを考えてどっちがいいよねえ、みたいなのはあり得ます

必ずしも若いと有利とも言い切れず、例えば40代学芸員が何かの事情退職し、ある程度経験のある即戦力になる学芸員を探している、というようなケースもあり得ます。なのでこの辺、本当に運と巡り合わせです。そういった意味でも、数を受け続けるしかないのです。

おまけ
自分の専門とかけ離れた分野の学芸員になって幸せになれるか

補足として。まあ、この辺、周りを見ていると本当にその人次第だと思います大学院の専門とかなり違う分野の学芸員になって、しっかり展覧会企画してしっかりした紀要論文を書いて研究を進めている人もいれば、仕事仕事でやって、自分の専門分野についてはそれと別に研究している人もいます。これは学芸員に限った話ではなく、大学教員もそんな感じですよね。

また、一旦どこかの美術館に正規学芸員として入ったとしても、他の館で募集が出た際に受験することはもちろん可能です。

非正規学芸員について

非正規学芸員なんて取らないほうがいいのではないか、という話もありますが、これもケースバイケースです。Togetterで纏められている方もおっしゃっていますが、正規雇用の募集用件に実務経験要求されるケースは今でもあります非正規雇用は正規雇用に比べて募集が多いので、一旦非正規就職しつつ、条件に合う募集に応募しまくるのもひとつの手です。というか、基本それしかないと思います新卒正規採用合格できるの、よほど幸運なケースです。

また、非正規学芸員については、本職が別にあって、時間比較自由になる非正規学芸員をやっている、というケースもあります本業作家さんの方とかたまにいます

Togetterの方の非正規役職についている、というケースはちょっと私の周りにはないのですが、さすがにそれは是正すべきでは、とは感じます

※正直ここの「非正規学芸員ついて」の部分、館によって担わされる責任仕事内容、勤務時間などがあまりに違い過ぎて、10館あったら10館違ってて各人自分経験した内容しか知らないから誰も何も正確なことは言えない部分なような気がしてきました

縁故採用

その昔はあったという話は聞きますが、今はないんじゃないかなあ、と思います。一方、その博物館非正規雇用だった学芸員正規雇用試験を受けた場合面接までいけば多少有利になるケースは、ないこともないかもしれません。筆記試験がしっかり解けているのが大前提ですが、人柄が分かっている、というのは採用する側も安心なので。逆に言えば、人柄が悪い場合それが採用側にばれている、という話にもなりますが。

年齢制限

現在年齢を制限しているケースだと30歳前後のケース、40歳前後のケースが多い印象があります。前者は比較新卒採用に近く、若くてじっくり育てられる学芸員が欲しいケース、後者は将来の管理職候補を含めて探しているケースがある印象がありますとはいえ、実情は募集館によって千差万別で、後者でも実際は20代がいいけど、もし30代でめちゃくちゃ優秀な人がいれば……という場合もありますし、30代の学芸員退職したので、その人と同じくらいの年齢・経験の人が欲しい、というケースもあるでしょう。

年齢制限のない正規職の募集は、数は非常に少ないですが、丹念に探していると稀に出ています。ただ、この場合も同じような試験結果、経歴であれば若い人の方が有利なケースのほうが多いでしょう。聞いた話では、50代くらいに見える方がある募集筆記試験を受けに来ていらした、というようなケースもあります。素直にすごいと思います

最後

上では「片っ端から受けろ」と書きましたが、受けても受けても落ち続けるかもしれません。そういったときにどうするか。それでも受け続けるか。諦めて非正規雇用を続けるか。きっぱり学芸員を辞めて別の職種転職するか。最終的に決めるのは本人です。いずれにしろ、悔いの少ない選択をされることを祈っています

2024-08-19

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