はてなキーワード: 屋敷とは
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「ご家族と一緒に、来院してください」
そう呼び出されたときには予感はあったのだ。
俺には「家族は母しかいないので、一人で聞きます」としか言えなかった。
看護師はそれでも、優しい声で、兄弟や親戚などはいないのか、と尋ねてきた。
もう、この電話だけで、俺の身に何かが起こっていることはもう、明らかだった。
「余命は、1年だと思ってください」
そう告げる医師の言葉を聞いたとき、頭をよぎったのは母の事だった。
母が、暮らしていけるようにしなければ。
時間が無い。
でも、余命のことなんか、言えるはずも無かった。
それでも、母に施設に入って欲しいと懇願すると、素直に従ってくれた。
仕事は、やめた。退職金が出た。
その金と貯金があれば、母は一年は暮らせる。
そして俺が死ねば、保険金が出る。
それをあてにして、お金はかかるが、よい施設を選んだ。
余命を宣告される前は施設なんて考えられなかったが、これは良かったと思う。
施設に空きが出来たと言う連絡があった。
いよいよ母が施設に行く。二人暮らしも終わる。
新しい部屋、新しい施設。
また会いに来るから、と言い残して立ち去ろうとする時に、母が手を握って言うのだ
母は、俺が結婚するから、自分を施設に入れるのだと思い込んでいた。
「幸せになれ」と。泣きながら言う。
ちがうんだよ、そうじゃないんだよ、ああ、あの人は施設の事を相談してただけで、仕事が忙しくなったからさ。またくるよ。
空っぽの家に帰る。
余命を宣告されて、初めて泣いた。
ぷつりと糸が切れたように動けなくなる。
からだが思うように動かない。
家を片付けなければいけないのに。動けない。
車をぶつけて廃車にする。そこにもし誰かがいたらと怖くなり、車の運転を諦める。
思ったより医療費が嵩む。
このまま長生きしたら、俺が死ぬまで母の施設費が持たないかもしれない。
どうせ死ぬのだ。病院に通院する事をやめる。
医師に「別の病院にするので」と嘘を言った。
それでも母に電話をする。
話がかみ合わないことが増えた。
施設から届く手紙には、母の認知症が進んでいる様子が窺える。
ただ、俺を育ててくれた朗らかさは失っていないようだ。
もう20年も前に死んだ父のことを楽しそうに話している。
こいっそこのまま、何もかも分からなくなってしまえば、悲しませずに済むのかなと思う。
絶え間なく続く疼痛。
眠れない。堪えきれなくなる。ひとりのたうち回る。
何かが襲ってくるような、幻覚を見る。
スマホでアニメを何度もみる。なんどもなんども見る。
ついに、堪えられなくなって、医師に電話をする。
白状すると、何故早く相談してくれ無かったのかと、泣きながら叱られる。
救急車で入院。
ああ、これで腐乱死体にはならないで済むな、とか変な事を安心する。
もはや、処方された痛み止めは聞かないらしい。
それでも痛み止めがあたまをぼんやりさせて、自分が自分では無い気がする。
痛くて痛くて、堪えられなくなる。
暴れたいのに、体が動かない。
医師に、これから強い薬を使えば痛みは取れるが、もう目は覚めないだろうと言われる。
使って欲しい、と懇願する。
頭には、母の事がよぎる。ああ、とんだマザコンだな俺は、一生直らなかった。
それでも、また母の子どもに産まれたいと思う。
・
・
・
剣の稽古中、兄に頭を殴られた俺は、俺が前世の記憶を思い出した。
俺はたかし……じゃない、アルビ……?
お屋敷に帰ると、そこにいたのは若い頃の母にそっくりな……あれ?
『お母ちゃん?』思わず口をついたのはガイアディア語じゃなくて日本語。
『お、お母ちゃんって、あんた、まさかたかし……?』(CV:沢城みゆき)
俺のマザコンは、死んでも直らなかったのでした(笑)
「撃て!撃てェェェ〜!!」
アク=ニンの声が虚しく響く。
「知らないの?大根は"当たらない"。」
そう呟くと、大根はアク=ニンの頭を撃ち抜いた。
「これが、監視カメラに残っている全てだ……。」
アク=トクは、神妙な面持ちで語る。
恐れをなした彼は、凄腕と評判の護衛を雇った。
蕪である。
護衛蕪オオキ=ナは、力強くそう言った。
「大きな蕪を、一人では抜かせないさ。」
「来たか……。」
トクが気付いた時、部屋に立っているのは、トクとナ、殺人大根だけだった。
対峙するのは、蕪。
刹那のうちに蕪へと発砲する。
だが、蕪は傷付かない。
2発、3発、4発……。
いくら撃っても傷付かない。
うろたえる大根。
「なぜ、そんなに丈夫なんだ……?」
「馬鹿な……!」
がっくりと膝をつくスズシロ。
続けて蕪はささやいた。
「だが、ターゲットが半殺しになったとしても、死にさえしなければ、俺の"カブは下がらない"。」
名字については、夫の方が改姓し、以来、スズ=ナを名乗ることになったという。
最初は悪人たちはひれ伏すはず。 但しコレだけで平和的に解決できるかとなると、そうはいかない。
御老公による裁きが進むうちに、悪人どもは 「じじいを殺すしかない!」 と思いはじめてしまう。
最悪な結果となり、悪人どもと、助さん・格さんとの死闘が始まってしまいかねない。
そうなると御老公の命が危ないだけでなく、 戦闘を印篭によって収拾することができない。
多くの死傷者が出る可能性も有る。 いくら悪人とはいえ、これでは御老公の御希望どおりではない。
そこで先に、ある程度なぐって、敵に恐怖心を与えておいてから、 印篭で収拾させている。
悪人どもも、 あんな思いっきり殴られたら、刃の方でなくても死んでしまう、 などと思いはじめて、
やられても、やられても、立ち上がって戦う部下どもも、 戦いの空しさを痛感しはじめる。
そこを見計らって「もういいでしょう!」と御老公が叫ぶ。 悪人たちにとって、この声は神の声。
そこで印篭を出す。ひれ伏した悪人どもは、 ここまでくると、反撃しようという気力すら起こらない。
悪人にしてみれば、おとなしく裁きを受けるしかない。 という心境となる。
最初に印篭を出すよりも、はるかに合理的な方法、であるというわけ。
悪人どもは御老公よりも、助さんと格さんに対して、ひれ伏している!?
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ト、;;;;;;;;;;;;;;;` ` ー -- ‐ ";;;;;;;;;,:ィ;:;!
,';:``' ‐ョ 、 ,_ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; , - '"l;:;:;:;:l だまりゃ!麿は畏れ多くも帝より三位の位を賜り
l;:;:;:;:;:;:;ミ ` ` '' ー -‐ '" ,リ;:;:;:l
l;:;:;:;:;:;:;:ゝ く三) (三シ `ヾ;:t、 中納言を務めた身じゃ!
fミ{;:;:;:;:f'´ , ---_,, _,ィ 、_,,ィ,.--、 };f }
l トl;:;:;:;:l 、,ィ或tュ、゙:ミ {,'ィt或アチ l:l,/ すなわち帝の臣であって、徳川の家来ではおじゃらん!
゙i,tヾ:;:;:! `ヽ 二ノ ト ` ‐''"´ l:l:f
ヽ`ー};:l ,r'、 ヽ リ_) その麿の屋敷内で狼藉を働くとは言語道断!
`"^l:l ,/゙ー、 ,r'ヽ l
゙i ,ノ `'" 丶. ,' この事直ちに帝に言上し、きっと公儀にかけおうてくれる故
゙l、 ′ ,, ィrェェzュ、,_ 〉 } /
',ヽ ヘヾ'zェェェッ',シ' //ヽ 心しておじゃれ!!
} 丶、 ` ー--‐ '"'´,/ノ:.:.:ヽ
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これ微妙な話だと思ってて、実際どうですか?
たとえばよ、ウカツなアホウが山ん中のやばいスポットに立ち入ってしまい、お化けに憑かれた!って状況があったとします
ケケケ!ケケケ!とか言っちゃって、あきらかにもうテイクオーバーされてしまっている
表情なんかも完全に狂っちゃっていて、なんかわかんねえけど力もすげー強い 超怖い
そこに50メガトンの核爆弾を30発打ち込んで、周囲まるごと更地にしたとして、その焦土から依然元気にケケケ!つってお化けくんが出てきたら、はたして怖いか?ってことだ
核爆弾で焼け野原になったなかでお化け屋敷だけが完全に健在だったり、屋敷はなくてもお化けだけは元気だったりしたら、どうする?
それって怖いとか怖くないとかそういう問題じゃないですよね
逆に素直にやられてくれたほうが共感できる
爆心地を調査しにきたドローン(放射能汚染がひどくて人間は立ち入れない)を叩き壊す八尺様から感じられるのは、畏怖ではなく哀愁な気がする
しまちゃん家にはパパが二人いる。能天気でマイペースな茜パパと、理性的で優しい葵パパだ。
そんな二人に愛されすくすくと健やかに育ったしまちゃん。ところが、授業参観の後、パパが二人いてママがいないなんて変だとクラスメートに言われてしまう。
「変じゃない」と言い返したしまちゃん。だが、しまちゃんは自分の家族に何の不満もないものの、茜パパと葵パパがどうして結婚したのか、ふと疑問に思ったのだった。
授業参観の帰り道にパパ二人に疑問を投げかけたしまちゃんに、茜パパが葵パパとの馴初めを語ってくれた。そう、初めての出会いは、葵パパの「秘密基地」で……。
オメガバース作品。オメガバースとはなんぞ? というのは、ググれば私の説明よりもよっぽど解りやすい図解がいくつも出てくるので割愛。
私は普段、ツルツルテカテカな絵柄のビーボーイコミックスってあまり読まないんだけれども、表紙が助平じゃない作品は当たり率が高いという個人的観測により、試し読みを読んだ。そしたらパパ達の過去話の出落ち感が気に入ってしまい、購入してしまったという次第。実際のところ、わりと当たりだった。
オメガバース設定の作品は性質上悲惨になりがち……特にΩのほうが。そして悲惨な暮らしぶりのΩが理解のある彼くんに出逢って幸せになるというのがよくあるパターンのようだ。
だが、本作は型破りなストーリーだった。つまり、野性の本能に振り回された挙げ句の不幸展開ではなく、αもΩもそれぞれ本能を抑え着けてお互い相手を気遣って着々と幸せになっていったという、そんな結婚生活の序章話。
このご時世なんで、なるべくポリティカルコレクトネスに配慮したストーリー構成なのだろうか……。BLという時点で男性同性愛者の性的搾取だろけしからんと言われたら終わりだけれども。まあ、Ωが一方的にヤられて不幸になる話よりはストレスなく読めていいと思った。
茜と葵の若い頃に使っていたガラケーの型からして、彼らは00年代半ばくらいに高校生だった模様。ということは、現在は見た目は若いけど30代半ば。で、娘のしまちゃんが小学校低学年ぽいので、彼らはガチで計画的人生を歩んできたことがわかる。芸が細かい……。
とはいえ、エロシーンはエロい。別にエロがエロいのは悪くないけど、個人的にあんまり受けが派手にトロ顔するのは好きじゃないんで、そこだけは微妙と思った。
あ、これはネタバレになるけど、彼らはちゃんとゴムは着けていたというのが後のページに書かれていて、そんな後出し設定をだされてもなと思いつつ、ページを遡ってみたら、ほ、本当にゴムして致している!? それを修正が入らないように描くだなんて、なんつう芸と配慮の細かさなんだ……。半端ねぇ。
オメガバース設定はその性質と物語のよくあるパターンから、ずっとBL読みからも批判され一部からは嫌悪されて来たのだけれども、批判される部分を全て排除した作品も出て来るとは……。これもまた業界の自主的表現規制のたまものかと思えば、良し悪しだなぁ。そもそも、女性向けの作品で今時は古風な嫁入り譚とかが書きづらくなってきたというのも、オメガバース等特殊設定が流行った原因の一つだと思うので、オメガバまでクリーンになると行き場のない物語の受け入れ処が更になくなってしまうのでは。
この世ならざる者をホイホイ拾い、しかもまぐわうことで相手を成仏させるという特殊スキルを持った若者・左近桜蔵(さこんさくら)を主人公とした短編~中編連作集。シリーズは『左近の桜』『咲くや、この花』『さくら、うるわし』『その花の名を知らず』の全部で四作品が刊行されている。
大学生の桜蔵は、父方の祖父の墓参りに行く為にバスに乗った。そこで彼はまた自分が異界に迷い込んだことを察知し身構えたが、起きたのはなんと交通事故。
そこで物語は四年前、彼が高校に上がる春に遡る。祖父の遺品を祖父の縁者に形見分けをする際、遺品の一つが函だけを遺して中身がないことが判明。桜蔵は無くなった茶碗〈ざくろ〉探しの手伝いをすることになった。桜蔵は〈ざくろ〉の手がかりを求めて、祖父の生家・白鳥家の家系を辿るが……。
『さくら、うるわし』までは幻想小説の体だったが、『その花の名を知らず』はそこにミステリー要素が加わる。といっても、殺人など事件が起きて主人公がその解決にのり出すという話ではない。テーマは茶碗〈ざくろ〉の行方探しというよりは、茶碗探しにかこつけて桜蔵と血の繋がりのない父親・柾の系譜を遡り、彼らの因縁を解き明かすことにある。
そもそも、『左近の桜』シリーズのはじまりは、桜蔵が柾に懐いた疑問、「どうして柾は子どもを持つことにしたのか」なので、今回もまたその謎に、一族の系譜を紐解くことで迫ろうということのようだ。
私はずっとこのシリーズをなんかよくわからん幻想小説と思って読んでいたので、物語にミステリー要素があるということを完全に見逃していた。なんなら、あれだけ頻繁に登場しまくる柾をただの味のある脇役くらいに思っていたりとか……。なんだかなぁ、すごい訳わかんない話だけどなんなのこれ? と。
ところが、最新作『その花の名を知らず』を読んでみて、既刊とテイストが違いミステリー要素があるのは一体何故なのかと不思議に思い、それから、万葉集などの和歌や謡曲などの引用があるのが気になった。もしかすると、このシリーズは単なる思いつきとインスピレーションで書かれた幻想小説というより、何らかの大仕掛けが仕込まれた大作なのでは? と思い付いて、シリーズ一作目から全部読み返した。ああ疲れた!
細かいことは全部省くけど、『左近の桜』ワールドには「蛇性」というかつては水神を祀っていた一族……その者達自身が蛇あるいは水神なのかも……と、その伴侶となる「女」の血筋があって、前者が柾の家系、後者が桜蔵の血筋のようだ。桜蔵の育った左近家は、何故か「女」の血を継いだ男の子を、養子にするなど何らかの形で代々引き取ってきたらしい。
「蛇」も桜蔵の血筋(おそらく、『左近の桜』に出てきた「とても長生きな蜃=龍の子ども」というのがこれだ)も長寿だというが、家系図をみれば、柾の先祖にも桜の先祖にも誰も度を超えて長生きした人物はいない。「長寿」というのは、血統が絶えることなく長く続いているという意味なのだろう。
そもそも、タイトルおよび主人公の名が「左近桜」に由来している。左近桜は京都御所にあるとても長い歴史を持った桜だが、すごく長生きな一本の木なのではなく、枯死するごとに新しい桜を植え替えて守り続けて今に至るものだ。『左近の桜』シリーズにおける「長寿」も、そういう意味での長寿なのだと思う。
まあそういうわけで。桜蔵は「蛇」の伴侶になる「女」で、彼の戸籍上の父親の柾は「蛇」だ。柾は過去に彼の最愛の「女」を亡くした模様。そこで柾は桜蔵を自分のあたらしい「女」にするべく桜蔵を育て、彼が大人の「女」になるのを待っているのか、それとも単に「女」を育てるのが自分の役目と思って育てただけなのかは、『その花の名を知らず』でもまだ不明。
まあ、柾×桜蔵というカップリングが成立するのかどうかってとこだけど、年齢差が20歳以上もあるから、どうなるんだか。
『その花の―』はストーリーの大部分が桜蔵の子ども時代の話で、柾と桜蔵が親子らしくキャッキャしているシーンが微笑ましくてよかった。それを読まされると、あーこの二人がカップリングになることは無いかもしれんなぁーという気もしてくるけども。
「猫飼停」と呼ばれる豪奢な屋敷に棲む兄弟達のもとへ、とある必然によって引き寄せられた男達のなんやかんや。
『左近の桜』シリーズみたいに深い謎があるわけではない、肩の力を抜いて読めるちょっとえっちなBL短編連作小説だったー。
猫シッターのアルバイトのつもりがセックスのポジション的な意味で猫にされてしまう大学生の話から始まったので、猫飼停に住まわされて客を取らされる話かなあと思ったら別にそんな話ではなかった。
BL要素以上に、猫飼停の和洋折衷の豪華絢爛な内装や調度を想像するのが、とても楽しかった。
今回はこれまで。最近某BLレビューサイトのくじが当たらないし、長野まゆみ先生の新刊待ちでBLに使えるお金が乏しいので、BL日照りだ……。
聖夜だし無料で読めるエロ小説の紹介だ。去年のGWに anond:20200423221127 を投稿してから結構時間が経ってしまったけど、今度はエロ重視のものをおすすめしたいと思う。前回はライト目で文章が読みやすいものを中心に紹介したが、実用性が低いとの指摘を受けたので、今回はストーリーや設定は二の次でエロ重視なものも紹介したいと思う。
言うまでも無いがノクターンノベルズとは男性向け18禁版小説家になろうである。ちょっと前に広告が話題になった「ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない」のオリジナルが連載されていたところでもある(コミカライズ効果か何年も更新がないのにランキングに何週もランクインしてた)。あと「異世界NTR ~仲間にバレずにハーレムを~」も。
紹介する作品ジャンルは非エロ小説2、イチャイチャ3、催眠2、無理やり4、NTR8、おまけ1。またURLはhttps抜きで記載してる。面倒だけどコピペして下さい。
字面だけで内容を要約するとサイキョー主人公が不幸系ヒロインを拾うというなろうイズムな作品なのだけど、実態はツンデレ少年スコンブがサバイバーズギルト少女の淫ピを不器用な優しさで救う短編である。ちなみに淫ピとは淫乱ピンクの略。スコンブは育ての親からピンクは淫乱でえぬてぃーあーると聞かされた育ったので、ピンク髪を見るとこう反応してしまうのだ。エロが行方不明だけど爽やかな物語を読みたい人におすすめ。なお続編はミッドナイトの方。
リクオは冴えない幼なじみのイチカがずっと好きだった。その気持ちはずっと隠していた。彼女は高校に入って好きな人を見つけた。そして彼女は自動車事故で亡くなり、ダンジョンになった。72時間の制限時間以内にダンジョンに潜り過去を変えられればイチカを助けることができる。しかしダンジョンで再会した彼女はリクオの行為を咎め、何度繰り返しても歴史は事故に収束してしまう。過去の中で陵辱や殺人まで手を染め、自暴自棄になるリクオだったが…
作者のXPJboxさんは昔はてぶでも話題になった「JKハルは異世界で娼婦となった」の人。完全に余談だけど、増田は本作のミツキ、「絶頂都市エデン」のサラや「僕たちの教室にイジメはない」の玲奈のようにXPJboxさんの描く当たりが強いギャル系の美人だけど一途で純情なヒロインがめっちゃ好き。
ちょろいエルフが人間の幼馴染の百戦錬磨おちんちんに負けちゃうお話。エルフの村が領主オズマノクの兵により焼かれた。長の子セラフィナは突然の暴挙に対してオズマノクを誹るが、なにやら風向きが「あれエルフサイドが原因じゃね」となり、事態を決着させるためあれよという間に二人が結婚することになるが…。序盤の交渉パートが長いけど読み応えがあって面白いので読んで。エロの見所は、セルフィナにとって年下のかわいい幼馴染の男の子であったはずのオズのオズが成長によりアレになっててそのギャップでメダパニくらって負けちゃうところ(ショタものじゃないよ!)。しかしすっかり淫紋が一般的になりましたなあ。
童貞がおとなりのシングルギャルママの梨花さんと仲良くなる話。正直、今すぐこの三人には家族になって欲しい。子供のお守りをしてあげることでだんだんと仲を深めていき、主人公の誕生日を子供とママと三人でお祝いする描写がいいのです。エロ的な部分としては、梨花さんに誕生日のお祝いとしてコンドームをもらった上に、本当はMなのに童貞の主人公のためにS役を演じてくれる梨花さんにこってり搾り取られるのがとてもよい。
巨乳むっつりエルフにあてられてダンジョンなのにがっつりまぐわうお話。ソロ冒険者であるカイトは毒が満ちる洞窟を攻略するためエルフの魔法使いラウネを仲間に加えるが、とある理由によりラウネは戦力外であることが判明してしまう。しかし本来の目的である解毒だけは粘膜同士を接触させる!ことで出来たので、カイトが毒を受ける度に二人はキスをすることに。いつしかキスをするために毒を浴びるようになったカイト、それに気がついたラウネは誤魔化すカイトに嘘をつかなければキスよりももっと気持ちいい解毒をしてあげると告げ、それを聞いたカイトは…。 雰囲気が実にエロい。
貴族の令嬢に高貴な振る舞いを教えると称して催眠で嘘っぱちを刷り込むお話。「高貴ではない」振る舞いを知るために「獣」と「平民」のセックスを教え込まれイキまくるお嬢様がスケベ。本人が教育だと信じて至極真面目に対応しようとするところも常識改変モノとしてグッド。
擬音が特徴的な作者の短編。握手することで【友達】(セックスフレンド)になることができる能力を持つ主人公が、かるーいノリで小柄な女番長となかよくするお話。エロい。
タイトル通り、少年が男子トイレの個室で自慰で絶頂して気をやっている少女を見つけてしまう話。ネタバレ最終的には合意になる。同作者の「 露出狂の女の子の話 」は、ハプニングでスラックス越しに挿入しそのまま果てるという、ニッチ極まりない作品なのだけど刺さる人はチェックしてくれ。
タイトル通りテンプレ的な常識改変世界ものなのだけど、個人的に本作品が他の作品と一線を画しているのは行為に及んでいる二人以外のクラスメイトの反応。クラスのアイドル的女子が自分たちの目の前で犯されている。彼女の痴態に興奮して自分で扱く者、悔しさで泣く者、それぞれが彼女への思いを発露する。そんな大勢のモブを尻目に悠々とヒロインを自分のものとする主人公。この優越感と惨めさのバランスが大変素晴らしい。
ガチレイプ。中学生女子が顔見知りのお兄さんに自慰しているところを撮られ脅迫されるお話。救いはない。
とりあえずこのジャンルはこれを出しておけば良いという有名作。好きなところを読みましょう。個人的なおすすめは6章。脅迫され無理やりされた後、実はいまのは初めてではないとこれまでの録画を見せられて堕ちるシーン。最後の方は和姦もあるよ。
BSS/NTR には感情を励起させるポイントが二つある。一つは恋人の不貞を知ってしまう衝撃(ショック)で、もう一つは好きな人の心と体が自分のものでなくなっていくマゾヒズムだ。まずはこのポイントが分かりやすい五つの中短編を紹介する。
ショック系。内容としてはテンプレだけど要点をうまく抑えているのでおすすめ。最愛の彼女の友紀は貞操概念が固くキスまでしか許してくれない。でも最近体を押し付けてきたり胸の谷間を見せつけてきたり蠱惑的でドキドキしてしまう。そんないつものように彼女の部屋で一緒に勉強した帰り道、ふとノートを忘れたことに気がつき彼女の家へと戻るが何か違和感がある。そう玄関にはなぜか彼女の靴だけではなく親友である恭弥の靴もあったのだ。
取られるところから堕ちるところまで。テンプレ的なのだがそれはつまり王道ということである。
ショック+絶望。主人公のタクミはちょっと早熟な小学4年生。今日も幼なじみのナナとゲンの3人で夏休みの宿題を片付けていたが、突然ゲンが「ねぇ……“せっくす”って知ってる?」と爆弾発言をした。性行為について知識があったタクミがショックを受けている間に、せっくすを知らなかったナナとゲンは試してみようという流れになり…。タクミにとって地獄の夏休みが始まった。
幼いがゆえに行為にハマっていく二人と、早熟だったゆえに自分の気持ちを言い出せず無感情になっていくタクミの対比が残酷。
基本的にはタイトル通り。Mな僕があこがれの彼女の主宰する第8回M男射精会に参加してなんだかんだ気に入られて恋人になる話。ただその過程として第二話でSな彼女がデカチン運動部先輩に逆転セックスされるという心が痛い展開がある。結局最終話でラブラブになり、二人だけのM男射精会を開いちゃう(ハート)、なのだけど…イフの第四話で、第二話の先輩と彼女がもう一回セックスをするという展開があるのだ。そして溜めて、溜めて、溜めてのこの第四話がNTRとしての破壊力がすさまじいのである。Sな少女が逆転されMにされる展開が好きな人は必読。
体は堕ちるが心は堕ちていない(はず)。結婚資金を貯めたいが一向に貯蓄できない毅と明希二人の前に高校時代の同級生であるロボ山が現れ、女性の肉体を使ったコンドームの治験アルバイトを提案する。はじめは毅の目の前でバイトをしていたロボ山と明希の二人だが、次はビデオ越し、電話越しと距離が離れ、明らかに自分としているより感じている明希の声は離れていく。好きなシーンは第三話のシュレディンガーの生挿入(映像が途絶えた後、「どこで出した」「明希ちゃんがお願いしてきた場所で。ふぅ……知りたい?」)。
ここからはNTR長編を紹介する。このジャンルはヒロインへの感情移入が強いほど受けるネガ感情も強くなり、また堕ちるまでの過程が丁寧なほど良質な体験が得られるため、どうしてもおすすめは長編に偏ってしまう。ただ、長編作品は読み進めるのが大変であるため気が向いたら読んでみて欲しい。
「僕は死んでもいいって、そう思ったんだ」、「呪いのせいだから仕方ないよね」に続く田中フランチェスカ氏のNTR・寝取らせメイン?の長編。傍若無人な主人公が復讐?のためヒロインを巻き込んで、あっちこっちでエロいことしたりエロいことさせたりするロードムービー。作風がライトでとっつきやすい。基本的に主人公は可愛い女の子がエロい表情をしているところが見るのが大好きなので、エロい顔させるのが自分でも他人でもオーケーというスタンス。イリナちゃん編が辛い。
このノリが好きな人は前作「呪いのせいだから仕方ないよね」も似た作風なのでオススメ。しかし「僕は死んでもいいって、そう思ったんだ」( novel18.syosetu.com/n3557de/ )はライトではなくガチなので注意。こっちは相手が命より大切と言い切れるほど想い合っているアキオとアルシャを、愛の精霊マプゥがあの手この手(ドン引きする行為)で引き裂こうとする話。どこまでも健気に相手のことを想うがゆえに自らの体を犠牲にしあう二人。どれだけ陵辱されてもその心は決して折れないところがあまりにも辛い。
特に屋敷編が死ぬほどキツイ展開なのでNTRとして凄まじく良質。奴隷の身となったアキオの命を助けるために屋敷の主人の使用人兼性処理係となったアルシャ。その情報を知らされてひどく苦しむアキオに主人のアルベルトから命令が下る「倉庫から小箱を持って来い」。大量に積まれたそれは全てコンドームの箱だった。吐きそうになりながら一つの箱をアルベルトとアイシャの待つ部屋へ届けたアキオだったが、再びアルベルトから通信が入る「君の持ってきた箱は空箱だったよ」と。辛い。
書籍化もされている有名な作品。亡国の姫と幼馴染の騎士が祖国復興国のため旅をするのだが、行く先々でNTR展開を受けてしまうお話。お姫様は清純だし幼馴染に一途なのだけど淫紋のせいで肉欲に逆らえなくなってしまう。辛い。早く旅が終わって二人で慎しくも幸せに暮らしてほしい。
基本的にハーレム物なのだけど、ヒロインたちは容赦無く主人公以外の人間(非人間も)に催眠されたり陵辱される。割と倫理観が緩めの作品。ちなみに作者は、表のなろうで連載していたちょいエロだけど健全な作品の裏側(実はあのシーンはNTRされていた)を裏のノクターンで書くようなグレイトフルな作者であると指摘しておく。
実は自分の性癖が、父親(もしくは兄、弟)と姉・妹がしているところを目撃することだと最近気がついてしまった。多分BSSの亜種。この作品はお酒で酔っ払って出来上がったビール腹の親父が姉にセクハラして、姉がなし崩しにしょうがないなあと受け入れるところを思春期弟目線で描く作品。なにがいいかって、意外にガードが緩い姉がほろ酔いの思考力でずるずる流されてめちゃくちゃにされてしまうところを、障子越しの覗きという弟目線で描写されているところ。弟も姉の豊かな肢体にドキドキしているというところも良いスパイス
連載中の作品で、姉と初めて同士でエッチしたけど、伏線をよく考えると実は姉は父と一足先に初体験していた(NTRされていた)のではないか、というものがあったのだけど、どうも更新が止まったみたいで残念至極。この路線の作品でおすすめがあったら教えて欲しい。
それからと言うもの、借金を繰り返しては酒とドラッグに溺れる日々であった。
「ちくしょう……! なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだ!」
『あなたを幸せにするお手伝いさせてください。必ずや人生を取り戻して見せます』
その手紙にはその文章と一緒に、目的地までの地図が添えられており、それに従って歩いていくと巨大な屋敷の前に到着した。
洋館風の屋敷はまるで物語に出てくるような立派なもので、入り口前にはスーツ姿の男達が出迎えてくれた。
そして彼等に連れられて入った部屋には一人の白衣の老人がいた。
「よくきてくれたのう。わしらはちょうどお主のようなウサギを欲していたのじゃ」
そう言って差し出された名刺を見るとそこにはこう書かれていた。
「わしらの技術を結集しお主を改造ウサギ【テケリ・リ】にしてあげましょう……」
ウサギは老人のその申し出に対して、一も二もなく飛びついた。
「どうせ俺はもう何もかも失ったウサギだ……。この先に何があっても構わない」
手術代に乗せられたウサギの体には数え切れないほどのチューブが刺さり、薬品のようなものを入れられていく。
「うぎゃああぁあ!?︎なんだこれは……?体が熱いぃいいい!!」
拘束されたウサギは絶叫をあげ悶える。
「何まだ改造手術は始まったばかりじゃよ。お主はこれに耐えなければならん。耐えればきっと良い事あるぞい?」
老人の言葉など耳に入らない。それほどまでに痛みは強く意識を失いそうになるほど辛いものだった。
「ひぐぅっ……!!あがっ……!」
チューブから入れられた薬品は体を熱くし全身の筋肉を強化するものだと説明されたが、それにしても限度があるだろうと思うほどの苦痛に襲われる。
「うぐうぅッー!!助けて……誰かぁ!」
だがそれでもウサギは決して弱音を吐かなかった。なぜなら自分はこれから全てをやり直すことができるからだ。
「えぇいっうるさいのう、黙っておれ」
ドゴォン!
「ごふぉおおおおっ!?︎」
内蔵を押し潰すかのような衝撃を受け、ウサギは大きく目を見開く。
「静かにせんか、まだまだ薬を入れるぞい?」
そう言われてウサギは再び悲鳴を上げることをやめ、歯を食いしばった。
(大丈夫だ、これくらいなら耐えられる)
ウサギはこの苦しみさえ乗り越えることができたら全てが手に入ると思っていた。
ウサギはただひたすらに待ち続けた。自分の未来を掴むその時が来るまで……。
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一方ウサギとの競争に勝った亀はというと、何もかもがうまくいき幸せな生活を送っていた。
さらには会社を立ち上げ事業は成功。今はIPO直前の大事な時期である。
そんな彼が今何をしているかというと、社長室でのんびりとコーヒーを飲みながら秘書と雑談していた。
「ウサギとの競争に勝ってからというもの、人生は何をするにしても順調そのものですね。これも全てあの時のウサギのおかげでしょうか?」
彼は数年前のことを思い出した。
それは彼にとってはとても懐かしい記憶であった。
「そうだね。ウサギとの競争がなかったら、あの時の競争に勝っていなかったらボクはこの会社をここまで大きく成長させることはできなかったかもしれない」
しかし未だにウサギへの感謝の気持ちを忘れたことは一度もなかった。
「彼は今何をしているんだろうか」
亀との競争に敗れたウサギ。その社会的な評判はかなりひどいものであった。
亀にはひっそりとウサギが行方をくらました理由もよくわかっていた。だから、ウサギの行方を追いかけるようなことはしなかった。
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あの日、改造手術を受けてからというものウサギは地獄の日々を送っていた。
薬で無理やり強化された体は常に火照り、筋肉ははち切れそうな程パンプアップされている。
改造はあの手術だけで終わりではなかったのだ。
「ぐふっ……」
筋肉の量が明らかに増え、身長は伸びた。そしてその背中には巨大な白い羽が生えてきた。
その姿はさながら天使のようであったが、もちろん彼本人はそれを喜べる心境ではない。
むしろその逆、ウサギは自分の体が作り変わっていくことに恐怖を感じていた。
「うぎゅ……ぅ……」
毎日のように浴びせられる激痛、そして徐々に変わりゆく肉体。
「アハァ……キモチイィ……」
もはやかつてのウサギの面影はなく、そこにいるのは快楽を求めるだけの醜悪な生き物だった。
秘密結社での管理生活をされていたある日の事、ついにその日はやってきた。
「テケリ・リ……」
同時に彼の精神の奥底。その怒りが噴出した。
ウサギの人生を台無しにした亀に対する恨みつらみに、ウサギの精神は焼かれていく。
ウサギの体がガタガタと震え出す。
それと同時にウサギの目が大きく見開き、体が膨れ上がっていく。
「うがぁああぁああぁあ!!!!」
ウサギの全身の毛が抜け落ち、肌は褐色に染まり、歯は牙のように鋭くなっていく。
そして、ウサギはその場から飛び立つと天井を突き破り遥か上空へと飛んでいった。
「テケ……リ……リ……!」
ウサギはそう呟きながら飛び続け、亀の会社があるビルの上までやってくる。
ガシャァアン!! ガラスは粉々に砕け散った。
バリン!ベチャッ!グシュ! 次々と窓を破壊し、建物の中に侵入していく。
「助けてくれぇ!」
「ひぃいいっ!」
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「なんだか騒がしいな」
社長室にいた亀はそう言って立ち上がった。
確かにビルの別フロアで何か騒ぎが起きており、なんだか慌ただしくなっている。
何が起きたのかはわからないが、ただごとではない雰囲気を亀は感じ取っていた。
社長室を後にし、亀は階段を使って騒ぎのあるフロアへと移動した。
そしてたどり着いた先で、彼は信じられないものを見た。
「これは一体どういうことだ!?︎」
亀は思わず叫んだ。
血まみれになって倒れている人、ガラスの破片によって傷を負った人の姿がそこにあった。
「おい、大丈夫か?」
亀が一人の男に近づき話しかけるが、男は返事ができないほど衰弱していた。
「くそっ、とにかく手当てをしなくては……」
しかしそんなことをしている余裕は亀にはなかった。
「テケリ・リ……テケリ・リ……」
ウサギだ。
むごたらしく怪物へと成り果てたウサギが亀の前に現れたのである。
「なんだこの化け物は!」
パン、パァンと乾いた音が鳴り響く。
「銃が効かないだと?まさかこいつ不死身なのか?」
ならばと亀はナイフを取り出すと、それで化け物を斬りつけた。その体に刃が通る。だがそれは致命傷には至らない。
ウサギは反撃に出る。
「カメ……コロス……」
その鋭い爪で亀の体を切り裂いた。
「ぐわぁああぁっっっ!!!」
ズザア。亀の甲羅に一筋の切り込みが入る。
「ぐっ……うぐっ……」
「うがああっ、うがうがうがうがうがうがうがうがうがうがうがうがうがぁああ!!!」
このままでは生き埋めになってしまうだろう。
「こんなところで死んでたまるかよぉおおお!!」
亀は大声で叫ぶと、懐から手榴弾のようなものを取り出しピンを抜いて投げる。
ドォオオン!!! 爆発が起こり、ウサギもろとも建物は崩壊を始めた。
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瓦礫の中から這い出た亀は、全身の痛みに耐えながら歩き出した。
「死ぬところだったぜ……」
なんとか助かったものの、あの化け物を倒す方法は今のところない。
向こうは翼の生えた巨体、剥き出しの爪、そして強靭な筋肉を併せ持つ、完璧な生物。ひるがえってこっちはただの爬虫類。亀なのである。
自社ビルも倒壊位してしまった。もう亀の会社はおしまいだろうIPOにも失敗して多額の損失を出すことになる。
「クソッ!どうしたらいいんだ!!」
「そうだ、あれならあるいは……いや、だがまだ確証はない。まずは奴の動きを止めなくては」
亀は再び走り出す。
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ビルは崩れ去っており、ウサギは地上を自由に動き回れるようになったのだ。
「テケリ・リ……テケリ・リ……」
ウサギはあたりを見渡しながら歩く。
するとそこに、一匹の亀が現れた。
「やめろ、それ以上近づくんじゃねえ!」
「お前は何者だ?どうして俺を襲う?」
「テケリ・リ……テケリ・リ……、コロス、カメ、コロス」
「何を言っているかわからないが、まあいい。俺は今からある実験をする。それが成功すれば、お前を無力化できるかもしれない」
ウサギは更に一歩、亀に近づく。
「これ以上近寄るんじゃねぇ!」
「ジャマ、スルナ」
「くそっ、本当に手加減を知らないようだな」
亀は意を決して叫んだ。
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ウサギはその様子をじっと見つめている。
亀は赤い液体の入った注射器を取り出した。
「これを使うぞ。これはかつて宇宙怪獣を倒したという伝説の兵器、『キングコブラ』の血清が入った注射器だ。これを今から貴様に打つ」
「テケリ・リ……?」
「これで貴様は終わりだ。さあ、動くんじゃないぞ!」
「テケリ・リ……」
その体が徐々に痙攣をし始め、体が小さくなっていく。「よし、効いているようだ!」
ウサギは苦しみながら悶える。
「テケ……リ……リ……」
やがてウサギの体は縮み、その大きさは普通のウサギと同じくらいになった。
ウサギはその場で倒れ込み、動かなくなった。
「お、お前は!?」
亀の目の前には見知ったウサギの姿がそこにはあった。
「ウサギ……なのか?」
亀は恐る恐るウサギに近づいた。
ウサギは薄めを開けて、力無く笑っていた。
「へへ、ザマァねえぜ。オレは生まれ変わった。この血の滲むような訓練によってな……。そう思ってたってのによぉ!」
「お前、本当にウサギなんだな!」
亀はウサギに近づきその体を支え起こした。
「ウサギさんよ、一体何があったんだい?なんでこんな姿に……」
「クソカメ……俺はお前が憎かった。だからこの力で復讐してやろうと思ったんだよ。だがそれすら失敗してしまった!俺はお前を殺せなかったんだ!」
「ウサギ……」
「俺はこの程度のウサギだったんだ。最強のウサギになるなんて無理だったんだよ!!」
「ウサギ、そんなことはない。お前は確かに最強じゃなかった。でも最高のウサギだったよ。お前は、俺の誇りだ」
「亀……」
「帰ろう。一緒に」
「ああ。会社ぶっ壊しちまってすまないな」
「バカ、会社なんてまた作ればいいじゃないか。俺たちはまだ始まったばかりなんだぜ?」
こうして二人は幸せになりましたとさ。
今日は何もなかった。
夕方まで寝てしまった。昨夜は結局、ほとんど眠れなかったから仕方ないのだけれど……。
「もう起きようかな」
まだ時間は早いけど、このままベッドにいても仕方ないしなあ。
「よっと」
身体を起こすと、部屋の隅で丸まっていたピグシード辺境伯家の家精霊であるアイシアが目に入った。あたりまえだけど、何もしなかったので精霊も動きを止めて待機状態だ。だからといって何かする気が起きるというわけでもないのだが。さぁて、どうしよう? そういえば今朝はまだ【畑】を見に行っていなかったっけ。時間もあることだし見に行くことにしようか。
着替えを済ませ部屋を出る前に、いつものように軽く伸びをする。するとその気配に気付いたのか、アイシアが俺の方に近づいてきた。
「お出かけされるのですか?」
いつもどおり執事的な物言いなやつだ。まぁ借りてるんだから文句は言えない。
「うん、ちょっと畑に行ってくるよ」
「私もお供いたします」
「え、うん…別にいいけど」
なんでついてくるんだろう?家精霊なんだから家にいればいいものを。まぁ今日は家でほぼ何もしてなかったからやることがないのかな。というか普通先に許可を求めないか?まぁいいけどさ。玄関で靴を履き替え扉を開ける。目の前には
庭が広がっているはずなのだが、何故かそこに『空』が広がっていた。
「へ!?」
思わず変な声が出てしまう。だっておかしいだろう、普通地面が下で空が上のはずだぞ。なのにどうして青空が見えるんだよ!まさか夢遊病とかじゃないよね?自分の頬をつねってみる。痛い。
困ったな、このままでは空に落ちてしまう。我ながら陳腐な表現だなと思いつつも、アイシアに何が起きているのか訊いてみる。
「アイシア、これどういうことだと思う?」
アイシアはまるで何もなかったかのようなトーンで答えてくれた。
「ご主人様のお出かけに合わせて、私がお屋敷周りの重力場を調整しました」
「あーそういうことね……」
つまり、俺は宙に浮かんでいるということらしい。でもそうなるとひとつ疑問が残る。
「じゃあさっきは何でわざわざ確認したの?」
「申しあげます。私はご主人様をお慕いしておりますので、家から出したくないのです」
「いや、畑見に行きたいんだけど…」
アイシアは目を閉じて考え込んだ後、こう言った。
「ん?何を言ってるのかわかんないけど、とりあえずわかったよ」
どうせ聞き返してもわからないことが聞けることなんてないだろうし、ここは素直に従っておくことにした。
「従うと思ったか?」
不意にもう一人の僕がしゃべりだした。体が動かない―いや、正確には僕の意志では、だ。
ゆっくりと右手をアイシアの胸元に伸ばし果実を包む薄布を解いていく。
「ごしゅじんさまぁ…♡」
は?おい、こら待て。お前誰だよ。どうしてそんな甘えた声で名前を呼ぶんだよ。何でそんな蕩けた顔で俺を見るんだよ。
「これが現実です。受け入れてください」
くそっ、いつの間にか僕の口が勝手に動いてるじゃないか。どうしようもない…。
アイシアは屹立した僕のイチモツを優しくなで始めた。正直、気持ちがいい。目の前にはアイシアの大きすぎず小さすぎないちょうどよい乳房が露わになった。色白で薄桃色の乳首がよく映える。アイシアは腰を落とししゃがみこんでいく。そして口を開け舌を出し、先端部分を舐めまわし始めた。
「うぅ……はぁ……♡」
「そのまま全てを受け入れなさい」
「く、口に出すぞ…!」
言うか言わないかで僕は果てた。ドクンドクンと脈打つ度に精液が勢いよく吐き出され、それをアイシアは全て受け止めている。やがて射精が終わると、彼女は立ち上がりスカートを脱いだ。
「ご主人様のお情けを賜りたく存じます……♡」
完全にスイッチが入っているようだ。もはや抗うことなどできなかった。
「挿れるよ」
返事を聞く前に一気に貫いた。ああ、凄い締め付けてくる……。
「あっ……すごい……奥まで届いて……いい……」
アイシアは身体中から汗を流しながら快感に浸っている。その姿はとても綺麗で官能的だ。だが、その目はどこか虚ろで焦点があっていないように感じる。
「ふぁ……また出ちゃいましたぁ……いっぱい……あつい……しあわせ……もっと……くださいぃ……♡」
「あッ、あン、あァ!すご、いィ、ごしゅ、じんさ、まぁ♡」
次第に喘ぎ声が大きくなっていく。何かにとり憑かれたかのようにひたすらにお互いを求めあう。
「も、だめぇ、イっちゃいます!ごしゅじんさまぁ、いっしょに!あぁあ~!!」
一際大きく痙攣すると同時に膣内が激しく収縮し僕を締め付ける。
「ぐっ……あぁ……!」
耐え切れずに僕もまた達してしまった。
「あぁん、出てますぅ、ごしゅじんさまの子種、たくさん、きてますゥ!うれしい、しあわせ、きもちい、い、もっとぉ……」
「ごしゅじんさまぁ、すき、だいすきですぅ……あいしてますぅ、ずっとここにいてください、はなれたくないんですぅ」
結局畑には行けなかった。
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あれから数日経った。僕はアイシアの部屋にいた。もちろんあの日以来毎日のように体を重ね合わせていた。今日はアイシアは部屋にいるだろうか。そう思い扉を開けるとベッドの上で彼女が待っていた。
「お待ちしておりました。ご主人様」
「どうしたんだ?」
「実はお願いしたいことがありまして」
「何?」
「私を
まあネットにはポルノというものが溢れ返っており、我々は無自覚のままポルノを摂取してそれをメインストリームだと勘違いしながら生きている。
例えばスタンダールの『赤と黒』なんかはフランス文学史に燦然と輝く金字塔的文学とされているけど、実際読んでみたら完全にポルノやんけコレ、となる。当時欧州の文学界には姦通文学の嵐が吹き荒れており、玉石混交のグロテスクなモザイク画が出来上がっていたんだけど。まず、その最高レベルのものから言えば『アンナ・カレーニナ』である。貞淑な女性が徐々にぶっ壊れていき、自分の命さえ省みなくなる生々しいまでの過程はリアリズム小説の真骨頂であった。後はエミール・ゾラの『居酒屋』もいいね。首尾一貫した自然文学小説。それから、翻訳で読んでるからかやや粗い印象だけど(そして『赤と黒』同様にややポルノ臭がするけれど)、バルザックの『谷間の百合』。これは疑似姦通小説とでも呼ぶべきもので、母性的なものの没落を示唆している攻撃的な文学なんだ。
でもね、『赤と黒』は申し訳ないけどただのポルノだ。『ボヴァリー夫人』はアンナ・カレーニナより格が一段落ちるけど、『赤と黒』はそのボヴァリー夫人より更に一段下だ。
「おっす! オラ、ジュリヤン! 田舎の材木屋のしがない子せがれで、日々ぶん殴られながら生活してたんだけど、町の牧師に徹底的にラテン語を叩きこまれた結果、町一番の市長屋敷で家庭教師をすることになった! その結果、お屋敷の奥様に気に入られて、話の行きがかりでその奥様を旦那様である市長から寝取ってやった! そのことがほんのり露見したんで、オラ奥様から遠ざかるという意味合いで都会の神学学校に通わせられた! 都会に着いてからは暫く頭を冷やしてたんだけど、話の行きがかりで社交界の重鎮である侯爵家の世話になることになった! やがて侯爵の秘書としてパリの社交界にデビューしたんだけど、その侯爵家の娘さんは聡明な社交界花形の美少女で、最初はツンケンされたけども、最終的には行きがかりでその美少女をもモノにしてやった!」というものになる。
いやポルノやんけと。
というか、もうなろう小説だよね。『材木屋の子せがれの俺、ラテン語は完璧で聖書のありとあらゆる箇所を暗唱でき、市長家のお屋敷の奥様に気に入られてしまうも、最終的に社交界デビューし、侯爵の秘書としてスパイじみた任務をも任せられてしまい、戻ってこいと言われてももう遅い!』的な。
なろうだよこれ、と。
ちなみに同じスタンダールでも『パルムの僧院』は面白いです。まだ読んでる途中なんだけど。ただ、少なくともこの『赤と黒』に関してはどう控え目に言ってもポルノだし、スタンダール自身通俗小説としてこの小説を書いてたと思う。
とにかく、いかに権威ぶられてもどう見てもポルノ、ってものがあるように、いかに厳粛に見せかけてようが、結局は自分の主張を都合よく擁護してるだけのポルノ作品ってネットにはありふれてんだよね。「なろう」作品がポルノであるのと同じで、都合の良いポルノ作品に頭すっからかんにされてるとどうしても認知歪んでくるよね、って話。
全盲でありながら耳も全く聞こえないし話すことも全く出来ない知的障害まで負っている。
そのため親に介助して生きていたという人が親に先立たれたも、まず親の死を認識できないかもしれない。どこかに出て行ってしまったと思うかもしれない。
ここから弱り目に祟り目としてこの障害者に待ち受ける悲劇は三つ。
これがシングルマザーの子供(5歳)という立場でその母親が亡くなったという場合なら、その子供は十分な哀れみのもとで保護されることはあっても「被疑者として」事情聴取を受けることはありえないだろうし、実名報道されたり被疑者として自由を奪われることもないだろう。
見た目で子供と判断して被疑者扱いしないのであれば、同じように見た目で到底親の死が認識できないレベルの障害者と判断するなら被疑者扱いするべきではない。
子供かどうかも結局は戸籍等書類と照会しないと確かなことはわからないのだろう。小人症かもしれないし。
でも引きこもりで親が死んで死体遺棄で逮捕されている事例が多数ある。なかには障害者ゆえに引きこもりというカテゴリーに収まるしかない人もいるだろう。
それでも見た目で子供と分かる場合以外では逮捕してしまう。日本は逮捕されると即報道機関にFAXが送られるシステムになっているため逮捕とは同時に報道対象になるということである。
子供に見える場合と同じように「逮捕前に」障害者手帳の有無とか調べてあげるべきなんじゃないの?
八尾市母子餓死事件は別に子供が犯罪者として報道されてはいない。死んでるからかもしれない。
しかしそうだとすると、親の死後即座に通報できないような障害者に与えられている選択肢は、死ぬ代わりに犯罪者の誹りを受けないか、生き延びる代わりに一瞬でも実名や顔写真を報道されて一生近隣等に陰口を叩かれるような立場に立たされるかの二つに一つであるということになる。
つまり逆にいえば八尾市事件の子供がもし餓死する前に発見されていたら普通に犯罪者として実名報道されていたかもしれないのだ。理不尽このうえない。
なんか事件があったら近隣住民でも事情聴取を受けることはある。事情聴取イコール被疑者であることを前提として事情を聴いているのではない。
しかし死体遺棄に関する同居人に対する事情聴取というのはまずはなから著しくこいつは被疑者である可能性が高いと見積もってきてるわけだろう。
個人個人に犯罪者と疑われることに対してまで問題視してはきりがない。それはもう単なる内心の問題なのだから。
しかし打ち切った事件に対して一捜査官に本当は犯人なんじゃないかとか思われるようなことじゃなくて、こういった事例に対して警察組織の正式な意思として捜査官たちに疑われるようなことがあるならば、それはそういう仕組みに問題があるものとして糾弾や改善がされるべきだと思う。
たとえば10月13日に静岡県で死体遺棄事件として引きこもりが逮捕されている。
8日に引きこもり自ら119番に通報し、発覚しているということで、逮捕までに5日の期間がある。
死後4日経っているという報道内容があったので、これはその5日間の間に調べたことなのだろう。
つまり警察ははなからこの引きこもりを疑ってかかり、検死の結果4日経っていたということがわかったので放置とみなし逮捕したということだろう。
しかし4日程度逡巡としてありえるものとして見逃してくれてもいいものではないだろうか。もう弱い者いじめして実績あげたいだけなんじゃないの。
だいたい死体遺棄のお題目というのがまず「国民の一般的な宗教的感情」の社会秩序としての保護とかいうのであるのだが…
世の中でどれぐらい引きこもりの死体遺棄があるのか、報道されたもの以外については調べること自体できていない。
つまり報道されてはじめて国民に存在を認知されるようなものでしかないのに、その国民の感情を保護するとはどういう論理なのだろう。
保護したいのならば報道しないようにする、つまり埋葬義務者が死体を放置していたということについて警察発表を行わないようにするだけでよい。
わざわざ犯罪として定義したり裁かなくても保護することはできるわけだ。
それ以前に感情と秩序を結びつけてるのも引っかかる。何かについて人々がどう思うかというのは時の経過で自ずと変わってくるものだ。
保護するというのはそういった変質に対して人為的に介入して防ぐということである。「保護」してなければ死体遺棄に対する国民感情はとっくにポジティブになっていたかもわからない。少なくとも火葬や散骨以外の埋葬方法(剥製にするとか)にも許容するような気質になっていたかもしれない。
感情を秩序として保護、という名で管理するから、いたずらに旧守され何も考えない人や老害ばかりが居心地よくそうでない人が息苦しさを感じる世の中になるのではないか。感情を保護するから、罰するべき基準となる感情自体が変わらない。これは、その時代時代に応じて多くの人が不快に感じるものを罰するというのとは訳が違う。多様性に対する強い規制に他ならない。(規制の仕方の構造が刑法175条と似たところがある)
価値観の多様性を理解できない独裁者の法律なのである。タイムスリップできるならばこんな条項作った人に文句言いたい。
衛生上の意義もあるという学説もあるが、それだったらまずごみ屋敷を煽り運転とかと同じく法制化して罰するようにしないと公平じゃないと思う。
死体遺棄も罰してごみ屋敷の罰するならまだ筋が通るというわけである。しかしそもそも死体を放置して具体的にどんな病気のもとになるというのだろう。別にコロナ並みの感染症が流行るとかでもないんじゃないのか。悪臭が不快になるという話ならまず豚とか育ててる農家の近くに住んでる人はみんなその農家を罰してほしいと思ってもおかしくないな。ようは何が言いたいかというと衛生面でみても死体遺棄は罰するほどのことじゃないと思うわけ。
うちは普通のサラリーマン家庭なのですが、父方の祖母は、占い師か拝み屋みたいなことをしていました。とはいえ、謝礼にお金はもらっておらず、食べものばかりだったようです。それも手をつけることはなく、近所のお稲荷さんにお供えしていました。
私が大学の時、先輩と出会いました。先輩はゼミのOGで、就活の相談で知り合いました。色白で、黙って座っていたら良家のお嬢さんという印象です。しかしどこか掴みどころがない人でした。
祖母が先輩と会ったのは、相談の時に私が忘れ物をしたのがきっかけでした。
春先だったか梅雨だったか、よく覚えていないのですが、雨が続く時期だったと思います。
友だちからもらった、ディズニーのお土産のタオルハンカチでした。大事なものだったので、同じ沿線だから駅まで持っていって渡そうか、という先輩の言葉に甘えました。
出掛けに、祖母も駅前へ花を買いに行くというので、一緒に向かいました。
先輩を見るなり、祖母は「とら」と言いました。ハンカチを渡してもらいながら、何を言い出したかと、私はポカンとしていました。
「お嬢さん、ごおうのとらでしょ。お母さんとお父さんの干支は何?」
「母はひ(き?)のえうまです。父はごおうのとらです」
先輩はちょっと驚いていましたが、割と平然と答えました。
「昔、古いおうちに住んでた?」
ここで根掘り葉掘り尋ねる祖母をたしなめようとしましたが、「色々聞いちゃってごめんなさいね」と、自ら質問を切り上げたので空振りになりました。
後から聞きましたが、先輩は育ちが西の方で、昔住んでいた家が、さるお屋敷の離れを一戸建てに改築したものだったそうです。訛りが全くなかったので驚きました。
その時はそれで解散となり、おばあちゃん何なんだろな、と思いつつも、それで終わりでした。
祖母と先輩が次に会ったのは、夏になった頃です。祖母はこの時期に、一番拝み屋的な仕事をしていました。とはいえ、詳細はよく知りません。謝礼のお供えものをもらってくるので、そうと知れただけです。息子の父が何も言わないのはともかく、嫁の立場の母は、こういうのどう思っているんだろうと思っていましたが、母は全く咎めませんでした。祖母と母は、仲良しとまではいかないものの、ごく普通の関係でした(それが実は大変なことだというのは今はわかっていますが)。
7月の中頃だったと思います。先輩と連絡を取りたいと祖母に言われ、私はびっくりしました。拝み屋絡みか、と訊いたら否定しませんでした。しつこく粘られ、「先輩が承諾したら」「私にも詳細を教えてもらう」という条件でしぶしぶLINEしました。先輩は祖母が拝み屋ということにもさして引かず、むしろ面白げにあっさり了承しました。
手伝いというのは、祖母の指定する家に一晩泊まるという内容です。孫の私でも、かなり怪しい話です。
「心配なら、W(私)ちゃんも泊まりなさいな」と祖母は言い、私もそうすることに決めました。
向かった先は、有名な温泉街の駅でした。交通費は先方持ちとのことで、温泉に入った後、駅からタクシーで向かいました。山坂のある道で、結構距離はあったと思います。
途中、神社にお詣りし(なんという神社か失念しましたが、たぶん八幡様だったと思います)、着いた先は、ごく普通の一軒家でした。
祖母は入る前に、先輩に「和室で待ってる人がいるので、やってもいいと思うなら、肩を叩いてあげて」と言いました。それから、二階には上がらないこと、全員一階の和室で寝ることを言われました。
インターホンを押すと、奥さんらしき人が、扉を開けてくれました。少し疲れた印象でした。二階に上がる階段は、入って正面の突き当たりにありましたが、赤ちゃんやペット用の柵みたいなものが塞いでいたので、うっかり上がることもなさそうでした。
和室には祖母の言ったとおり、高校生ぐらいの男の子がいました。背の高い、いかにも運動部という感じの男の子です。集団でいたら避けたいタイプかもしれません。しかし妙に落ち込んでるように見えました。歳や見た目割りに、大人しいというか。先輩は、特になんともなく、その子と叩きました。
その泊まりは何もありませんでした。
ラップ音とか、怪しい影とか、変な声とか、何も。
というか、実はこの話、最後までそういうのはありません。
まあ、私も先輩もいわゆる霊感などなく、先輩に至っては、夢で幽霊や化け物が出たら、怒り狂って殺しにいくとのことでした。だから怖い夢が怖くないと言っていました。
夢占いだとそういう化け物殺しはストレスの兆候らしいのですが、今となってはどうかはわかりません。
夜のご飯は弁当(高いの)を持ち込みましたが、朝はおにぎりと味噌汁を出してもらい、そのまま帰りました。帰り際に、祖母は封筒(おそらく交通費や弁当代)と、お菓子か何かをもらっていました。
私と先輩は訳がわからなかったものの、温泉・高級弁当・タダということでラッキーという感じでした。当初の怪訝さはどこへやら、うまい話ヤッターみたいな感じになりました。
結論として、この手伝いは数年続きました。夏が多かったものの、季節関係なく、先輩のスケジュールが空いていれば成立しました。
色々なところに行きましたが、大体条件は同じでした。
温泉があれば寄る。
先輩が居間の人の肩を叩く。
二階や特定の部屋には入らない。
祖母・先輩・私は同じ部屋で寝る。
ほぼ、先輩は肩を叩きました。
時折、臭う不潔な人や、ずっとうめいてるような露骨に変な人もたまにいましたが、普通に叩きました。
しかし、数回だけ、叩かないことがありました。
その時はその家には泊まらず、謝礼も貰わず、祖母持ちで、ビジネスホテルや空いている旅館に泊まりました。
叩かなかったいずれの時も、先輩がものすごく機嫌が悪くなりました。本当に、露骨に触るのも嫌という様子でした。普段飄々とした先輩が、突然牙を剥くみたいになるのです。
先輩の声は女性にしては低い方なのですが、「叩けません」という声にはドスがきいて一層迫力がありました。はたから見ていても、とても怖いのです。
叩かれない人は、ずっと呆然としていたり、逆にニヤニヤしていたり、やはり変な様子でした。しかし、叩かれた人にも変な人はそこそこいたので、正直私には差が分かりませんでした。
先輩に後で訊いてみると、先輩も理屈はわからないものの、とにかく本当に触れない、触りたくもない、汚らわしい、腹が立つ、という気持ちになったそうです。
今思えば、そういう不思議なことは間違いなくあったのに、直接的に怖い訳ではないと、存外平気なものなのだな、と思いました。
この手伝いがなくなったのは、突然でした。祖母が「今までお手伝いありがとうございました、これで最後になります」と、宣言したのです。秋か、冬のことでした。
最後のおうちは、特に印象はありません。そこの人は、肩を叩かれました。白い猫ちゃんがいて、私にも先輩にもゴロゴロいってかわいい子でした。
先輩は「役に立ちました?」と訊き、祖母は「大変助かりました、ありがとうございました」と言って、先輩にお礼は何がいいですか、と尋ねました。
「それじゃ最後にWちゃんも含めてお食事しましょう、それがうれしいです」ということで、祖母の奢りで3人でふぐを食べました。祖母は奮発してくれ、一番いいコースで食べました。
その後、先輩は引っ越して県外に行ってしまい、私も仕事に慣れて忙しくなり、疎遠になりました。
結局あの手伝いはなんだったのか。
その時、祖母は、私が先輩から借りっぱなしにしているものはないかと訊き返しました。先輩とはものの貸し借りはなく、お金などは代わりのものを奢ったりして都度トントンにしていたので、そういうものはありませんでした。
それを聞くと、祖母は話してくれました。というかメールですが。
「K(先輩)さんはね、とらです。悪いものには、ものすごく怖いとら。動物のとらみたいに、いるだけで怖い。巡り合わせもありますが、滅多にいないひとです」
「泊まりの都合が、合わなかったひとは、もう最初から、助かるご縁がなかったんです。来てもらって、肩を叩いてもらえたひとは、許されてもいいってこと。叩いてもらえなかったひとは、だめ」
「強いと因果も色々あるんだけど、Kさんは、絶対大丈夫。あのひと、甘やかされてないから、馬鹿みたいに運がいいとかはない。だから負ける時は負けるけど、それはそれで、怖いことなんです。自分を負かした相手の運を、埋め合わせに、根こそぎ持っていってしまう。貸し借りのことを聞いたのはね、それと同じで、借りっぱなしで泥棒するのが、とても良くないことだから。ちゃんと謝って返すか、許して譲ってもらうかしないと、持ってるものぜんぶ無くなるまで、持っていきます。自分からは、どうこうしないけど、ずうずうしいとか、わきまえないひとに、容赦しない」
祖母がこのことを言うのは、たぶん私と先輩のご縁が切れたからで、でも忠告でもあるんだろうな、となんとなく思っています。
コロナが本格的に流行り出す前に、祖母は脳梗塞で亡くなりました。
お稲荷さんへの謝礼のお供えの話は、葬式の後に父から聞きました。
父も詳しくは知らないそうですが、他人様の不幸せを、自分の稼ぎにしてはいけない、ということでお供えにしていたようです。
母が嫌がらなかったのも、たぶん金儲けじゃなくて人助けだと思っていたからなのかもしれません。
先輩は、人づてに聞いたところ、普通に元気で、バリバリ仕事をしているそうです。
お手伝い中、会社でパワハラで有名なお局さんに嫌がらせされている、とボヤいていたのですが、結局そのお局さんが部署をたらい回しにされ、会社をやめたそうです。
たぶん、そのお局さんはこの先いいことはないんでしょう。知らないとはいえ、恐ろしいことをする人もいるものです。
もう一つ、昔の友人にCDを借りパクされたという話を聞いたのも、今書いていて思い出しました。それもどうなるのでしょう。
特にまとまりのない文章になってしまいました。まあ、別に怖くもないでしょう。
こんな話は誰もリアルには信じないと思うのですが、やはりこうも変な体験だと誰かに話したくて(フェイクも混ぜてますが)、ここに投げています。
唯一怖いといえば、都合のつかなかった人、叩いてもらえなかった人のことがあります。
どうなったんだろう、とふと思います。
気にはなりますが、出来もしないことに深入りしないのも大事でしょう。
私は虎のように強くもないし、祖母のようにそれを見極めることもできないので。
そうそう。また書いていて思い出しました。そういえば、タオルハンカチを届けてもらった時に「親切にしてもらうのだから、お礼を持っていかなきゃ」と、祖母はゼリーを用意してくれました。あれは今思えば、なかなかファインプレーだったのかもしれません。
オチのない話で申し訳ないですが、あなたの暇潰しにでもなれば幸いです。
***
虎の威を借る狐だった。
こんなこと何度もないですよ。これが初めてです。
皆さんもお気をつけて。
***
だから気をつけてと言ったのに。
まだ気付いてないんですね。
これはとらの話なんですよ。
残念です。
***
縁がなかった、許された、許されなかった。
その差は?
だって良かれと思ったことが、こちらは些細と思ったことが、向こうを怒らせてずっと恨みを買うなんて、よくある話じゃないですか。人間相手ですら。
びっくりするぐらい真反対の考え方の人って、実際いるでしょう?
私は間違えない?
私は正しい?
本当に?
信じるって、そんなあっけらかんにしていいことなんでしょうか。
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急に寒くなりましたね。
狐よ、肥えろ肥えろ、どんどん肥えろ。
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黄質黒章、鋸牙鉤爪。
のこぎりの歯とかぎづめを持つ、黒いすじを持つ黄色の化け物。
訳が分からなくて、怖いですよね。
でも、それに「虎」と名付けたら?
だから「とら」にした。
少しでも縁のある器に注いで、形を捉えた。
そういうことなんですかね。
でも、名前が付いたからって、虎は本質的に虎のままじゃないですか。
ましてや「とら」だなんて、図々しいじゃありませんか。
そういうものの名を、人の分際で決めて、しかも領するなんていうのは。
定義付けるべきじゃなかったなら、せめて、よくある作り話とみんなが思って、薄まらないかなって思ったんです。
これも、いまいちでした。
あんまり詳しく正しく書いて、道理を通そうとするのは良くないんですよ。この手のは。
言うじゃないですか、ラテン語か何かの格言で「神秘は秘匿されるが故に神聖也」って。
でも今時って、皆さん考察したり、伏線や矛盾を突いたり、暴くのがお好きでしょう?
かえって、あちこちに細く尾が走っていってしまってね。申し訳ないことに。
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これで手打ちにしてくれるそうです。皆さんどうも。
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長らくお付き合いありがとうございました。
こちら出張の片手間に推敲もせず書いたもので、始末に困って貼ったのですが、存外見ていただけたようで、驚いております。
それでは、本当のお開きでございます。
皆様、余さず頂戴し、骨の髄まで堪能させていただきます。
ご機嫌よう。