はてなキーワード: 借家とは
地方都市在住の50歳。妻子あり。東京に単身赴任中だが、コロナが始まってからは東京の借家には月に一度、一週間ほど滞在するだけになった。
中学2年生の時から書き溜めてきた日記帳を東京の借家に持って来ている。20年前の1月に書いたのを最後に更新が途絶えている。死後に読まれたくないが、処分してしまうと自分が自分でなくなってしまうような気がして、ドキュメントスキャナーでPCに取り込むことにした。
部活でいじめを受けていた中学時代。高校は県内トップ校を受検するもボーダーラインに数点足りず、県立高校の二次募集で片道1時間半の中堅高校に通うことになった。学校に馴染めず悶々としていた高1の夏、母親が癌で入院し、その冬にあっけなく逝ってしまう。その頃、今の高校を退学して大検を受けようと考え始め、父親とも激しく対立する日々──。
日記を読むつもりはなく、ただスキャン作業だけを淡々と進めるつもりだったが、どうしても作業の都合上、目に留まったページは読んでしまう。辛い記憶が蘇ってくる。
4冊目の大学ノートをバラそうとしたら、高1の進路指導のプリントが挟まっていた。提出したプリントに担任の先生がひとりひとりに手書きのメッセージを書いて、3学期の終業式の日に返却してくれたものだ。国語と書道を担当する年配の男性教諭である担任のS先生には、退学や大検受検のこともよく相談に乗っていただいたものだ。プリントの余白には、こんなメッセージが書かれていた。
今年度はいろいろ辛い思いをして、本当にたいへんでした。一ぺんに学校以外のことで試練を受けましたネ。それにくじけなかった増田君は、本当に強い、と感心しました。新年度は、又、心機一転がんばってください。この1年、何の役にも立てなかったこと、許してください。K先生(部活の顧問)や必要あれば進路指導部の先生などとよく相談して、最終的には自分自身で決意してください。悔いのないように! 将来を期待しています。
藁半紙のプリントにボールペンで書かれたこのメッセージを見た瞬間、涙が止めどなく溢れてきて、声を立てて泣いてしまった。記憶から抜け落ちていたこの文章が、あの頃の辛かった記憶を呼び戻したのだろうか。あまりにも予想外のことで、自分でもびっくりした。
S先生は翌年度から県内の別の高校に転任され、それ以来お目にかかっていない。ご存命なら、今は80代中頃だろうか。
結局、高校は退学せずに卒業した。大学受験は何度も失敗し、就職してからも苦労が絶えなかったが、今では人並み以上の幸せな生活ができている。当時は自分のことで精いっぱいだったが、今思い返せば、S先生にはずいぶんと支えていただいた。直接お礼を伝える機会はもうない気がするのが、なおさら悲しい。
元増田です。偽物かもしれないけど。
年末の出来事を1月末まで引きずり、やり切れない思いを書き殴った文章が思ったより多くの人に読んでもらえたみたいで驚いている。
想像以上に暖かい言葉が多くて嬉しかった。そして、自分の妬み嫉みの酷さに吐き気がしそうだが、現在もその気持ちは変わらない。
その後、彼女から「今度はちゃんと遊びにきて!ちゃんとおもてなしするから。」との誘いもあったんだった。彼女の母に気に入ってもらったらしい。嬉しい反面、遊びに行くのが怖い。妬みの感情が渦巻くが、彼女の家は居心地が良かった。自分の生活に帰れなくなりそう。幸いコロナのせいでしばらく訪問は実現しそうにないけど。
彼女の事を書くと身バレに繋がるので、控える。状況的に苦労もあっただろうと思うが、それを差し引いても恵まれていると思う。奨学金の額を聞いて驚いた。私の4分の1以下。学費の全額を賄っているわけではないだろう。私立高校出身だし。正直かなりの世間知らずだと思う。私の事は話す気にはまだなれない。
読み返して思ったが、羨ましいのは金銭面もそうだが、一番は親がキチンと働いてるというところだ。
すぐに仕事を辞めてしまう父、身体が弱いといってあまり働かない母。そのくせプライドが高く、生活水準を落とす事ができず、嵩む借金。総額は知らないけど。
体裁とか見栄とか捨てて、生活保護を受ければいいのに。家も借家だし。財産なんてないのだから。
地元の人見れば確かに都会の大学へ進学でき、羨ましがられる事もあるだろう。親は自慢しているみたいだし。だが、実情はこんなもんだ。取り繕った親の見栄の仮面を剥がしたい。
都内4万のアパートに住んでるけど、これ以下の返済額で同じ地域に持ち家をローン購入できるとは到底思えない
固定金利1.5%35年ローンだと、月々支払3万くらいで買えるのせいぜい800万くらいの物件になるんだが、
23区内にそんな神物件存在するの?あったとして相当ヤバそうなんだが
ペット飼いたいから、子供の足音を気にしたくないから、十倍の値段を出して8000万円の家を買うってのならまあ、お金に余裕のある人なら選択肢あってもいいんでね〜のとは思うけど
そら金は使ってなんぼみたいなところもあるしな
個人的には広い家に住むだけで人生が豊かになるとかいうアホみたいな幻想は信じられんし、アホみたいに広い実家に住んでた頃は家族が散らかし放題でストレスマッハだったから、家の大きい小さいで人生が変わると信じてる人のピュアさみたいなのがマジで意味わかんねーけど。まあ本人がやりたいってならその気持大事だよな
あとは、都市部で不動産価格上昇が見込める優良物件なので、購入しますとかならわかるけど
自分が家を建てるか否かという状態での情報収集を行っていることから
不動産系の文章は面白くてなるほどなるほど、と興味深く見ることが多いんだけど
借家にしているという事は住宅ローンは使用していないという認識で問題ないだろうか。
私が使用しようとしている住宅ローンは大抵自宅用で、貸家にする場合は一括返済が求められる規約がある。
もし、他行の住宅ローンで途中で借家にしても問題ないような住宅ローンを使用しているのならば教えてほしい。
加えて、その場合の年利は何%だったのだろうか。
私が知る限り(住宅ローンの場合は)変動金利制であれば1%を切って
長期の固定金利であれば1%~2%
(無いとは思うが)カードローンやフリーローンなら3~15%といったところだが
住宅ローン以外で5,000万円も貸してくれるフリーローンはあったとしても私には関係のない話だからと調べていないのもあり
いまいちイメージがつかめない。担保付フリーローン…という事なのだろうか。
~
https://www.sbi-efinance.co.jp/contents/what_is_mortgage_loan/
~
銀行系の不動産担保フリーローンは一般的に2.9%~9.5%なんですね。
これを見て一般的な最低金利である2.9%程度と見込んだ上でお話を再度拝見しました。
(実際の年利がいくらかだったのかは返信がもらえれば是非知りたい)
早期返済と投資のバランスは悩んだが、今借りている家の家賃が100だとすれば、(ローン返済)+(賃料)で50くらいプラスになる程度までは早期返済した。
ボーナス払い・繰り上げ返済無しで元利均等返済の場合\274,802/月の支払いになる。
なお元金均等返済の場合は返済から5年近く経過しないと毎月の返済が\300,000/月を超えるので
そこに、
という一文があるがこれについては恐らく家賃収入からではなくご自身の別収入から(家賃を支払わなくて済む分を)全額持ち出しという事なのだろう。
というのも¥274,802/月の支払いは毎月固定で発生する事と
家賃収入の部分\200,000/月以上という点を仮に\290,000だとして(\300,000/月を超えている場合は20万以上とは書かないだろうという考えから)
海外転勤もある、という事は管理に関して不動産管理会社に委託しているだろうから賃料の2~3%くらいは支払っているだろう。
加えて地震や台風に備える為の保険料と修繕費に関しては積み立てが必要だ。
築10年を築古とはさすがに言わないが目に見えたダメージについては修繕する必要も発生していると思う
(外壁のコーキングに加え水周りやサッシ周りのコーキングなどの細かい部分から据付の給湯器やエアコンなどの機械類等も直す必要が発生している箇所もあるのではないだろうか)
更には5,000万円もの物件ともなると固定資産税もなかなかの金額だと考えられる。
30年後でも物件価値が大きく棄損しないか(価値に締める土地比率が高いほうがよい)
大手の2/3 ~ 1/2の坪単価で建てた。
建物に2,000万円と土地が3,000万円というイメージだ。
その場合の固定資産税(路線価や税率が仮定でしかないが)は小規模住宅用土地の範囲内とし
かつ固定資産税評価額については土地が取得価格の70%、建物は50%とした上で土地のサイズは
とすると坪単価が50万円の土地(都内で言えば町田市や八王子市あたりだろうか)、と考えたが固定資産税に関しては
土地の固定資産税 = 土地固定資産税評価額 × 1/6 × 税率(標準税率1.4%)
建物の固定資産税 = 建物の固定資産税評価額 × 1/2(特例・減価補正率等を勘案し1/2とした) × 税率(標準税率1.4%)
に照らし合わせると
土地の固定資産税 = (3,000万円×70%) × 1/6 × 1.4% = \49,000
建物の固定資産税 = (2,000万円×50%) × 1/2 × 1.4% = \70,000
両方を合わせて\119,000/年という所だろうか
加えて都市計画税が0.3%とすると土地については小規模住宅用地の為
土地の都市計画税 = (3,000万円×70%) × 1/3 × 0.3% = \21,000
建物の都市計画税 = (2,000万円×50%) × 0.3% = \30,000
となって合計すると\170,000/年となる。
月にならすと\14,166/月となる為に月当たりの利益は全て税金で飛んでしまう計算になる。
となると、不動産管理諸費用や保険料を抜いた手取り部分が\290,000だとしても
賃料で得た利益分のキャッシュは微々たるもので単独での繰り上げ返済はかなり難しい。
そして、
という記述だか当初貸している家賃(\290,000)つまり現在は14万~15万程度の利益が出ていると考えて読んでいたが
読み直したら借りているだったのでかなり不確定だなと考えつつ
ローン5年目に500万あるいは1000万返済し繰り上げ後の返済回数を減らさない場合
500万返済した場合は\34,000/月の減額
1000万返済した場合は\68,000/月近くの減額になる事から
68,000/月あるいは136,000/月程度の借家に3人住まわれている(単身赴任されている可能性もあるが)という考えに至りました。
5年目に持出しで繰り上げ返済していれば確かに毎月のキャッシュが増えるから…とかも考えたがどうでしょう。気になりすぎて頭がグチャグチャです。
あとは減税の絡みも非常に気になる。
すべては使えなかったがローン減税の恩恵もかなりあった。
との事だが前述の通り貸家用途に使える住宅ローンがあるのか否か
そしてそれに住宅ローン減税が適用されるのか。非常に気になる。
是非教えてほしい。
こんなん払うぐらいなら賃貸の方がマシ
戸建てと違って資産が目減りしないっていうけど、それは単にこれらの固定費を払い続けてるから
おまけに新築で売り抜くためにわざと低めに設定しておいて数年後に値上げするとかもあり得る
そのせいで問題が起きたときに賛成・反対に分かれがちで揉め事しか起きない
まぁタワマンなんてまだ10年も経ってないからそこまで問題起きないだろうけど
そもそもそれって売れたらの話
売りに出して買い手が付けば売れるけど、中古マンションのリスクを考えると買ってくれるかどうか謎
まぁ売れなきゃ価格が下がるから結局価値が下がるっていう話だけどね
不動産投資が過熱しててまだまだ住宅価格は下がらないっていうけど
企業によっては住宅補助出してくれるから高い家賃でもやっていけるはず
10年ちょっと前に5,000万円のローンで土地購入+注文住宅を建てたが得しかない、という例です。
つまり、住宅に趣味や夢は求めず、いざと言う時に人に貸しやすいか、収益化しやすいか、そして30年後でも物件価値が大きく棄損しないか(価値に締める土地比率が高いほうがよい)どうかで判断した。
転勤でどの程度の家賃補助がでるかというのはある程度相場があり、その相場の範囲内で「ちょっと家族の人数が多い、または、子供が大きい家庭にとって、困る要素がないように、一度住んだら引っ越ししたくないよう設計した。
上物に大手のメーカーを使わなかったのも同様。人は家を借りる際にどれだけ住宅メーカーがどこかを気にするだろうか?少なくとも私の身の回りでは聞かない。間取りや駐車場、学校区の方が100倍気にされる。
「家を建てると転勤させらえる」というジンクスの通り、その後国内外への転勤により、建てた家には1年弱しか住んでいない。
建てた家のローンは、あと10年もすれば全て他人様のお金で全て支払ったっことになる。
また上の期間で浮いた分のキャッシュフローは一部早期返済+投資信託に。
早期返済と投資のバランスは悩んだが、今借りている家の家賃が100だとすれば、(ローン返済)+(賃料)で50くらいプラスになる程度までは早期返済した。
投資で言えば、この10年程度の市場の状況はご存じの通り。完全にローン金利<株価成長率なので儲かった。ローンを完済しようと思えば今でもできる。
人口も減りにくい地域で、かつ徒歩圏内での再開発が決まったため、土地評価も下がっていない。
最終的に売却するか上物だけ終の棲家としてリフォームするかはまだ検討中。
卒業式の日、平良は清居から不意にキスされた直後に突き飛ばされ、携帯を側溝に落とし水没させてしまう。携帯から失われた、清居の連絡先。平良は清居と自分はもう関係ないものと自分に言い聞かせる。そして大学に進学した平良は写真サークルに入り、そこで小山と出会った。小山との時間は平良の心を温かくしてくれる。平良は小山との心地よい関係にずるずると浸かり、友達以上恋人未満のような付き合いを続ける。
ところが、小山の誕生日、小山に誘われて観に行った劇に、なんと清居が出演していた。平良は1日を小山の為に過ごすはずが、清居から打ち上げに誘われた瞬間、「行く!」と反射的に答えてしまい……。
毎度言ってるけど、今回もまた萩原利久の平良再現度が120%。完璧過ぎてヤバい。これぞまさに平良。原作既読勢は、ストーリーが原作に忠実でないとか平良にしては背が低すぎるのではないかとか(だが実のところ萩原利久は結構高身長さんだったりする。どちらかと言えば清居役の八木勇征の背が高すぎるとも言えるが、あの身長だからこそのプロポーションの良さなわけで……)で不満の人もいるみたいだけれども、少なくとも平良だけはマジで平良なので原作既読勢もニッコリ、になるといいんだけどなぁ……。
ビーバー小山が思った以上に好青年風なので、小山に対する平良の無自覚塩対応はただ「何この冷たい奴」くらいの寒い印象を与えただけでスルーされるほどのものになって霞んでしまうのではないかなと危惧したけど、清居に打ち上げに誘われた時の平良の「行く!」の即答はピュアさがありつつも無慈悲な無自覚俺様キングオブキモうざ感に満ちており、とてもよかった。直後に場の空気が瞬間冷凍され小山がピキピキしてる様もとてもいい。あー、このドラマの役者さん達ほんと芸達者すぎていいわぁ〜。
そして遂に孤高のクールビューティー清居の化けの皮が剥がれる時がきた……! 実はさびしん坊で甘えん坊の清居がツンツンツンデレで平良の脛に蹴りの一撃。このエンドから来週は遂に清居のターン。次回予告に興奮を禁じ得ない。平良による城田フルボッコ事件が清居の視点から見れるだなんて最高過ぎる。
私みたいな二次創作からBLに手を染めた系の人間には、商業BLは恋愛に重きを起きすぎていて少女漫画のようにゲロ甘くネチネチしていてあんまり受け付けられないっぽい。というあなたにはこれがおすすめ!! と言われて手に取ったんだけれども、本当は同作者の『RIKO――女神の永遠――』から読んだ方がよかったのかな。本作の主人公は『RIKO』シリーズに登場する人気キャラクター麻生龍太郎。物語はサスペンスとかミステリーとかの類だけれども、麻生龍太郎とその同性のパートナー山内練のBL要素がある。しかしBLレーベルから出版された作品ではないので「非BL」扱いだ。
麻生龍太郎は色々あって警察を辞め、私立探偵として独立開業する。人を雇う余裕はないが、自分一人で食べていくには何とかなる程度に、細々とやっている所に依頼人がやって来たり、恋人の練がふらりと現れたりする。短編4話。ちなみに、BLとしてのあらすじはというと、ずっと別れ話してる、の一言で表せる。
麻生の事務所に裕福そうな身なりの女性 唐沢が依頼の為に訪れた。彼女の依頼は意外なことに、子供の頃に住んでいた借家の縁の下に埋めた「タイムカプセル」を探してほしいというもの。借家は取り壊されてしまったものの、管理していた不動産屋のつてにより、借家の過去の住人達の消息がトントン拍子に知れて、調査は順調に進むと思われた。ところが、唐沢には思いもよらない思惑があったようで……。
もっといい部屋に引っ越そうと誘う練。だが麻生は乗り気ではない。練に金を出させていい所に済む気は麻生にはないのだった。挨拶もせずに練が帰ってしまった後、依頼人が訪れる。今回の依頼人は、憔悴した様子の中年男の石田。彼は私立女子学園中等部の校長をしていたが、既に退職した若い女性教師・河野から、身に覚えのないセクハラで訴えられかけていた。しかも河野は最初から石田を陥れる為に巧妙な罠を張っていたという。仕事を引き受けたものの、石田の話に釈然としない麻生。そんな時、一本の電話がかかって来た。電話の主は麻生の古い知り合いの沖田。彼女は元警察官で、現在は麻生の同業者だ。沖田の誘いで飲みに出た麻生だったが……。
風邪を引いてしまった麻生。病院を受診し、調剤薬局へと薬をもらいに行ったところ、そこの薬剤師の顔に見覚えがあるような気がした麻生だった。そして相手も麻生に見覚えがあるという。薬剤師の名は川越琢磨。川越とはいつどこで出会ったのか、どうしても気になって仕方のない麻生は、おそらく川越とは警察官時代に麻生が担当した事件関係者の誰かだろうと麻生は見当をつけ、昔の仕事仲間・山背に川越琢磨という人物を知らないかと問い合わせた。すると、後に山背は川越琢磨について、思いもよらない情報を電話でよこしてきて……。
女をたぶらかして風俗に落とす、いわゆる「スケコマシ」の田村。田村と偶然に再会した麻生は彼と会食をしているのだが、練との煮えきらない関係について説教をされてしまう。
田村と別れた後、麻生はある女性から声をかけられる。彼女は後藤絹子。東京地検の元検事で、現在は弁護士をしており、離婚して旧姓の「早坂」に戻っていた。
早坂絹子は麻生に奇妙な依頼をしてきた。それは、彼女が叔母の啓子から貰った指輪が盗難に遭ったので探してほしいというもの。早坂は指輪を叔母から不正な手段により取得したため、指輪の所有権を持たず、そのため警察に頼ることが出来ないという。麻生は指輪の手がかりを求めて、まずは啓子の元婚約者・犀川修造の元を訪ねたが……。
ネタバレになっちゃうから詳細には言えないけど、どの話も面白かった。得に4話目の『CARRY ON』は本の半分弱のページ数を占める中編なだけあって、複雑に伏線が張り巡らされている。
トリックもいいけど、登場人物の得に女性の心理描写が巧みで素晴らしい。『TEACH YOUR CHILDREN』で河野が石田校長を陥れようとした理由には、相手をハメるほどの気力と頭脳はなくとも、自分が同じ目に遭わされたら出来るものなら相手を地獄の底に突き落としてやりたいと思うだろう。実際、私にも似たような経験はあるしね。『CARRY ON』で登場する馬淵尚美の、カッとなってハチャメチャな行動に出てしまった、その時の心理の移り変わりもリアルだった。
BLとしては、麻生と山内練は相思相愛だけど、前述の通り最初から最後までほぼ別れ話をしているようだし、練はたまにしか登場しないのもあって、そんなに満足度は高くはないかな。面白いミステリー小説を読みたいならいいけど、ガッツリBLを読みたい時に読むものではないかも。
あ、一話目の途中になんか古のケータイ小説みたいに行間の開いてる箇所が一箇所あるけど、その部分は古式ゆかしい感じのBLラブシーンだったのね……。そ、そういう表現するんだぁ。驚き。
本作はシリーズ物なので、これを読んだだけだと麻生と練の関係性とか練の人となりが良くわからないんだけど、麻生は元警察官で、練はヤクザの世界に片足をツッコんでお金を稼いでいる人。二人は相思相愛なんだけれども、麻生は練にヤクザ稼業から足を洗って欲しく、一方練はそういう気はなく、しかも恩人のヤクザの組長の跡目を継ぐかどうかっていう所。そんな訳で本作では別れ話が出ているのだ。
群馬の20代夫婦の女の方に似てた同級生がいた。似すぎて思い出したことがある。
その子をA子とする。私とA子は義務教育期間の9年間同じクラスだった。
A子は小学校入学時から同級生の2倍くらいの横の大きさだった。小3の時から不登校気味になった。
先生も同級生もA子に対して優しく、というか甘やかした。結果、A子は大人しい子をいじめる保健室登校児に進化した。変に口出ししたら、自分のせいにされ、不登校になるから誰も注意できなくなった。
小5になった。厳しいが理解のある男の先生が担任になった。A子の将来のことを踏まえて、教室に来れるように取り組んだ。その一環として、私の親友であるB美がA 子のお気に入りだったので私含めたグループで一緒に行動するように言われた。
しかし、A子は私が気に入らなかった。理由は、A子の言うことを聞く大人しい子ではなかったから。A子は私をハブにした。私は本人に面と向かって注意した。当たり前の主張をしたはずだが、本人からしたらあり得ないことだったので、A子は担任に私のせいで学校行かない旨を言った。担任は、状況把握してたので私は悪くないことを知っていたらしい。次から何かあったらA子に直接言わないで、先生経由で注意するから相談するように言われた。
しかし、私の存在自体が気に入らなかったみたいなので、女子トイレの壁に「私の名前」と「死ね」を書かれた。事態を掻き回すのが大好きな意地悪な同級生と一緒に。ちなみにコンパスの針で。消えないやつじゃんwww
他の同級生が私の味方になってくれた。そしてA子は学校に来なくなった。
例の意地悪な同級生がその子が学校に来れるように、クラスのみんなに寄せ書きするように呼びかけた。私は断った。凄い顔で「は?」とか言われた。他の同級生の計らいで、私は書かなくていいことになった。書いたとしても「お前将来どうするの?」的な、追い詰めることしか書かなかったと思う。今思えば、書けばよかったかな。
その後は学校に来たり来なかったり。私に関わらなくなった。A子はB美がお気に入りだったからつるんでた。私はA子とB美が一緒にいる時は間に入らないようにして、他グループに入ってた。
中学3年間も同じクラスだった。最初は心機一転学校来てたがだんだん来なくなった。担任も同級生も、ちゃんと来れるように取りなしたが効果なし。他人の善意が当然なのか簡単に無駄にできるのが、世間知らずというか、少し哀れだった。
A子が保健室登校してる日に私は席が近いので給食を届けたことがある。目を合わさず何も言わないで受け取ってて、「ありがとうじゃないの?」と言ったら、次の日先生からA子の給食運ぶ係のクビを言い渡された。中学で会話?したのはこれだけ。私は、特別扱いしないで他の同級生と同じように接しようとしたが、上から目線が良くなかったかな。
義務教育終了したらあと、A子は高校に進学していない。本当は公立の定時制高校に進学するつもりだが直前でいきなり受験しない宣言をだした。
現在、たまに仕事の外回りでA子の実家を通る。前からゴミ屋敷だなーーて思ってた家がだんだんひどくなっている。動物禁止の借家なのに猫が何匹もうろついている。A子がその家にいるかは知らない。うまいこと、周りに恵まれて自立できてたらいいなとは思う。
ただの愚痴で私には実害ない話しだけれど。
夫の家は代々農家で土地だけはあるけれど、もう義両親共に高齢で、義父の趣味程度にしかお米や畑はやってないし、長男の夫も農業をやる気はさらさらないので、私と出会うずっと前から相続税対策でいくつか田んぼをつぶして借家にしている。ローンを家賃で払えるようにしているだけで、その借家の収入で悠々自適に暮らしてる…なんてことは全くない。むしろ、昔に持っていた土地を高速道路として国に買いとってもらったお金で当時は派手に使っていたらしくて、義父も義母も私から見ると金銭感覚がちょっとおかしくて「お金がないお金がない」と言いながら変なお金の使い方をしている。
借家の中には作りが古くて、長屋って感じのものもある。そこに入る人は生活保護を受けている人が多い。なんでもそういう人は家賃を本人からもらうのではなく、市とかから直接家賃として振り込まれるらしくて家賃の取りっぱぐれがないんだそうだ。
しかし、どうしてもやっぱりちょっと変な人が入居することが多い上に、お金が少しでも欲しい義父母は多少難がありそうな人でも入居を許可している。その物件は建物が古いので、ローンはもう終わっているらしくて、不動産屋に任せている管理費等を差し引いた毎月数万円が義父母に入ってきているらしい。夫と知り合って10年経つが、その間に夫から聞いたり3年前に結婚して同居し始めてから実際見てる限りでは、次から次へと変なトラブルが続いている。中でも今入っている人は、私が聞いてる限りでは一番やっかいだなと思った。
今年になってくらいに、その長屋に住んでいる一人が出て行くことになった。理由が「隣の人がお金を貸してくれと集ってくるのが嫌になった」というのだ。その2人は家の前でよく話しをしているので、仲が良いのかと思っていたのでビックリした。その人たちと義母は顔を会わしたら雑談くらいしていたらしくて、出て行く人が「大家さん、1回あの人(集る方の人)の家の中、確認した方がいいよ。家の中ボロボロだから」と教えてくれたらしい。
その人は70代くらいの男性で一人暮らしなのだが、犬が1匹と猫が3匹飼っている。(私は生活保護の受給者がペットって飼っていいんだっていうのを知らなかったので、ペットがいるのでもビックリした)入居当初は犬1匹と猫1匹と約束していたらしいが、実は猫は3匹いるし、犬もゴールデンレトリバーみたいな大型犬を家の中で飼っている。家の中の確認まで、居留守等で抵抗されたが、何とか義父母で中を確認したら、その人が入居する時にガスとかも直して、畳も張り替えてそんなに経ってなかったのに、ガスが壊れていて、家中多分ペットたちのせいでぼろぼろだし、しかも掃除もできてなくて非常に汚くて部屋の中は相当傷んでいるそうだ。
不動産屋に連絡したら「その人には出て行ってもらうようにしますね」となったが、今の所、いつ出て行くかは分からない。一応その人の次の部屋を不動産屋があてがう予定なのだが、今飼っている犬と猫を処分するのを条件としている。犬と猫には罪が無いので聞いているだけで辛くなった。
不動産屋と義父母は物件の修繕費を請求したくて市に問い合わせているが、市の対応はけんもほろろ。夫が詳しい人にちらっと相談したら「まず市からは貰えないでしょうね。できて、受給金額から毎月少しずつローンを返してもらう程度でしょう」とのこと。
この話題を最近、頻繁に義母から愚痴られる。正社員で働いているので、聞かされるのはいつも夕ご飯の時なのだが、仕事終わりで疲れている上に、現在妊娠しているので心身共に疲れているところにずっと愚痴を聞かされるのは本当に辛い。ご飯を食べているのにゴミや犬猫の糞尿の話しも平気でしてくる。こっちが疲れて碌に返事しなくても義母の愚痴は止まらない。
話題が少し脱線するが、ゴミに関しては義母は人の事が言えないと思う。掃除片付けが本当に苦手なようで折角広くて立派な家なのに、所々廃墟みたいになっているし、要らないものでぎゅうぎゅうの家は非常に住みづらい。ゴキブリやねずみも頻繁に家の中に出る。こんな所で子育てはできない…と手を出すと嫌がられるのを無視して最近少しずつ私が片付けてはいる。つい一昨日の休みも多分、乾物と粉物入れだったのかなという収納スペースを片付けた。蜘蛛の巣が張っていたり、かつて片栗粉だったのかな?という茶色い粉が大量に漏れていて、比較的手前にあったマカロニの賞味期限は2000年で切れていた。少し前は野菜室が半分くらい腐った野菜が液化した冷蔵庫も丸々洗った。台所だけでもそんなことになっている。
そんな家だし、ボロボロになった借家の修繕費の回収は絶望的だし、元々トラブルばかり頻発しているので、夫がその土地で借家を辞めて自分たちがリフォームなり建て替えて住むのを提案してくれた。私はその案に大賛成だったが、義母が激怒して「私の収入が無くなるでしょう!!」と言うので無理になってしまった。たかだか数万の話しなのになと思ったが、後から私たちが入れてる生活費もあてにしてんのかなと思ってちょっと納得してしまった。
義両親も高齢なので、もう管理や業者の窓口を夫が変わったらどうだと一度話しがたが「だって、それしても俺にお金が入ってこないんだよ?」といって無視を決め込む考えだった。義両親は所謂「長男教」の全く逆で、夫の下の兄弟ばかり可愛がっている。そのくせ面倒ごとや頼み事は夫に持ってくる。昔から義父の尻ふきばかりさせられてきたとも言っていた。同居しているのも、夫の都合がいいことがあるので住んでいるだけで「高齢の両親が心配だから」とかいう気持ちは微塵も持ってなさそう。介護も「その時は施設に入れるからいいよ」と言ってくれている。そんな親子関係しか築けてこなかったんだなと思って私も夫の考えに従うようにしている。
私は嫁の立場なので、根本的にどうこうすることも出来ないし、金銭的にも美味しい目も痛い目もあってはいないので蚊帳の外の話しだが、一度夫の方から打開案は反対するのに、現状をずっとぶつぶつ文句言ってる義母の愚痴を聞き続けるのは本当にしんどい。基本的に「でもでもだって」の人間がそもそも嫌いなのもある。できるだけご飯の時間をずらすようにはしているけれど、毎日のことなので難しい。今日は静かにご飯食べたいなぁ。義母はご飯の用意も大変だのしんどいだのめんどくさいだのばかり言うので、私が帰ってから作るよと言ったり、自分たちの分だけでも私が用意するから作らなくてもいいよと何度言ってもご飯を用意してくれる。最初はありがたかったが、こんな話しに付き合わされるくらいなら自分で作った方がましだ。義母、料理もちょっと苦手っぽいし。
話題的にも身近な人には言いづらいし、自分の親にも心配させたくなくて実害のないことだから黙っているけれど、いい加減嫌になって書き捨てにきた。長々とすいません。
K氏:マンションに隣接する土地を所有する地主。増田とはそんなに仲が良くない
L氏:K氏所有の借地に家を持ってる
Kの土地:KがLに貸している借地
Lの家:Kの土地に建っている家。廃屋寸前で増田のマンションに対して外壁が崩れ落ち始めている。本当はほかにテナントもあるが簡略化
何がしたいかというと、増田マンションに隣接するKの土地を丸ごと買って新しくマンションを建て替えたい。そのためにKやLと交渉したいのだが、ということ。
増田マンションは築20年弱の低層マンション。このマンションに隣接するのがLの家だがそこはツタが生い茂って外壁もボロボロ。正直もういつ崩れてもおかしくない状況だ。Lの家はもともとの家主が既に去っており、現在はその子供(Lとする)が住んでいる。Lはこの家に関してあまり関心がないのか知らぬ存ぜぬを決めているらしい。
増田としてはこんな危険な物件を放置しておきたくない。そもそもこのLの家を含めて増田マンションに隣接するテナントからもいろいろと迷惑行為をかけられている。
それとは別に増田のマンションは築20年とは言え、施工不良でさんざんな目にあっており、いまどきエレベーターもない。ならばいっそのこと隣のLの家を土地ごと買い取って全部をひとまとめにして更地にして一回り大きなマンションにしてはどうか。そう考えて地主であるKに対して打診した。けれどKは首を縦に振ってくれない状況だ。
Lの家は借家である。その地主であるKはもちろんLの家のことを知っており、老朽化が進みすぎたLの家を退去させたがっているとのこと。ようはK自身は上物を取り払いたいのだ。しかし借主Lはその交渉を無下にして全然立ち退かないらしい。増田としてもはやくLの家を壊して欲しい。でももしかして借地法(旧法)で契約しているとどこまでも立ち退かないかも
Kがその土地をどうしたいのかはよくわかっていない。不動産屋からの又聞きによると、以前に遺産相続でかなり争ったらしく、土地を売ることによって多額の現金が入ることを嫌っているらしい。だから立ち退きはさせても売る気はないとのこと。
だが新たにその土地を整備しなおすにしてもセットバックが必要だし、ぶっちゃけ駐車場にするくらいしか考えていないだろう。
増田からすると、長年マンションに損害を与えてきたLの家は早くどうにかしてほしい。だからその地主であるLを応援するのだが、同時にLにはその土地の底地も売ってほしい。
自分は不動産については素人だが、借地は借地権とその下の底地があると勉強した。借地権事態は売買ができるので、Lから増田が借地権買うことはできる。しかし、底地をもつKから土地も買い取らなければ自分のマンションを大きくはできない。逆もそうで、底地だけあっても借地権をLがもっていたらしょうがない。調べると底地の相場は非常に安いらしいが借地人が買い取る時だけは高くなるそうだ。だったらLが土地ごと買い上げてそれを増田が買うのがスムーズかもしれないが、そもそもLは金がないことが分かっているので難しい。というか地主のKがLに土地を売る可能性すら薄い。
なんか八方塞がりだな。
これを解決するにはどうすればいいのやら。Lを立ち退かせるのは大勢にメリットがある。となると借主Lか地主Kに対して民事裁判を起こすのがいいのだろうか。
幸いにもLの家から受けている被害は長年証拠がたまっているのと、現在進行形で被害は続いている。だからこれを元に裁判を起こすことは可能で、和解案の中でKの土地と借地権をすべて買い上げるようにすればいいのではないか。実際、そういう手があると教えられた。たんに裁判をしても先の計画なければあまり意味がないだろうから、銀行や不動産屋に相談するのが吉か?
というか、ぶっちゃけ土地が手に入るかどうかにかかわらず裁判して白黒つけたいのだが。台風のたびに隣の外壁が落ちてくるのは恐怖でしかない。
増田のマンションは駅近の商業エリアのど真ん中にある。もしもKの土地やその周辺の戸建て(交渉可能)をひっくるめれば、正方形の200坪前後の角地が商業地に生まれることになる。路線価は20万/平米なので1億くらいの価値かな。
近隣は開発が停滞しているしボロボロなビルばかりだ。立て替えていいという増田のような人は聞いたことがない。だから銀行や不動産屋に掛け合ったらおいしい話として積極的に動いてくれるのではないだろうか。
自殺した妹が猫を8匹残していった。
幸い自分の住んでる古い借家は大家が寛容で猫を飼うことは一応許してもらうことができた(数を伝えたら態度は変わりそうだけれど)が、できれば早急に不幸にならない形で新しい飼い主を探したいと思ってるんだが色々と困難にぶち当たっている。
まず保護団体をあたってみたが、現在はどこも飼い猫を直接引き取るようなことはしておらず、捨て猫や保健所で殺処分を控えた猫が優先されるらしい。
じゃあ一回捨てたら良いってことか?と思ったが、誰かに拾われる保証も無いし、カラスにでも襲われることを考えたら夢見が悪いので却下。
次に保健所に相談したが、こちらも自分の住んでる地域は飼い猫の引き取りは原則しないらしい。
道で拾った猫と遺族の部屋で拾った猫の違いはなんなんだ、そして突き放すような担当者の物言いにかなりイラッときた。
そもそも保健所は保護じゃなく処分する所なので、自分が相談するのも間違っていたかもしれない。
まず妹の猫は全員雑種の成猫だったので、周りの可愛らしい子猫の写真が掲載された投稿はどんどん成約していく中で、自分の投稿はほとんど反応が無かった。
何件かあった問い合わせは「自宅を知られたくないので近所の大きめの公園で引き渡し希望(しかも夜間指定)」っていうおじさんとか、自宅まで届けに行ったらボロボロのアパートから言動がおかしいおばさんが出てきたりで、その辺りは流石にこちらから断ってしまった。
自分が裕福であれば全員飼ってあげたいけど、金銭的にも健康管理って意味でも3匹ぐらいが限界なんだよな。
知り合いは山にでも放したらって言うが完全室内飼育だった猫を山に放すのって要は遠回しに殺すってことだよな。
どうすればいいんだろう。
などと書くのは大袈裟なつまんない話なんだけど、
かつてこの国ではね、一億総中流とか言われてた時代があったのよ。
一部少数の上流家庭はいるだろうけれど、下流の貧困家庭というものは払拭されてみんな中流なんだ。
という感覚な。
これが特に批判もされることなくテレビなんかで公言されてたの。
なんで批判されなかったのかと言えばみんなその通りだ、わたしもあの人も皆んな中流だと思ってたから。
これを書いてるわたしも子供ながらにうちは中流だな、と思ってた。
そんなわけねえよな。
少なくともウチはどちらかと言えば貧乏だった。
冷静に考えれば中流ではなかった。
でもさ、時代の空気なんだよ。
とにかく景気が良くて湧き上がるような時代の空気。
それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれという職業もなく、下宿屋にゴロゴロして本でも読んでいるか、それに飽ると、当てどもなく散歩に出て、あまり費用のかからぬカフェ廻りをやる位が、毎日の日課だった。この白梅軒というのは、下宿屋から近くもあり、どこへ散歩するにも、必ずその前を通る様な位置にあったので、随したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。それも、元来食慾の少い方なので、一つは嚢中のうちゅうの乏しいせいもあってだが、洋食一皿注文するでなく、安いコーヒーを二杯も三杯もお代りして、一時間も二時間もじっとしているのだ。そうかといって、別段、ウエトレスに思召おぼしめしがあったり、からかったりする訳ではない。まあ、下宿より何となく派手で、居心地がいいのだろう。私はその晩も、例によって、一杯の冷しコーヒーを十分もかかって飲みながら、いつもの往来に面したテーブルに陣取って、ボンヤリ窓の外を眺めていた。
さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形きくにんぎょうの名所だった所で、狭かった通りが、市区改正で取拡げられ、何間なんげん道路とかいう大通になって間もなくだから、まだ大通の両側に所々空地などもあって、今よりずっと淋しかった時分の話だ。大通を越して白梅軒の丁度真向うに、一軒の古本屋がある。実は私は、先程から、そこの店先を眺めていたのだ。みすぼらしい場末ばすえの古本屋で、別段眺める程の景色でもないのだが、私には一寸ちょっと特別の興味があった。というのは、私が近頃この白梅軒で知合になった一人の妙な男があって、名前は明智小五郎あけちこごろうというのだが、話をして見ると如何いかにも変り者で、それで頭がよさ相で、私の惚れ込んだことには、探偵小説好なのだが、その男の幼馴染の女が今ではこの古本屋の女房になっているという事を、この前、彼から聞いていたからだった。二三度本を買って覚えている所によれば、この古本屋の細君というのが、却々なかなかの美人で、どこがどういうではないが、何となく官能的に男を引きつける様な所があるのだ。彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の手狭てぜまな店だけれど、探して見たが、誰れもいない。いずれそのうちに出て来るのだろうと、私はじっと目で待っていたものだ。
だが、女房は却々出て来ない。で、いい加減面倒臭くなって、隣の時計屋へ目を移そうとしている時であった。私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。――その障子は、専門家の方では無窓むそうと称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。古本屋などというものは、万引され易い商売だから、仮令たとい店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞ふさいで了しまうとはおかしい、寒い時分なら兎とも角かく、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。そんな風に色々考えて見ると、古本屋の奥の間に何事かあり相で、私は目を移す気にはなれなかった。
古本屋の細君といえば、ある時、このカフェのウエトレス達が、妙な噂をしているのを聞いたことがある。何でも、銭湯で出逢うお神かみさんや娘達の棚卸たなおろしの続きらしかったが、「古本屋のお神さんは、あんな綺麗きれいな人だけれど、裸体はだかになると、身体中傷だらけだ、叩かれたり抓つねられたりした痕あとに違いないわ。別に夫婦仲が悪くもない様だのに、おかしいわねえ」すると別の女がそれを受けて喋るのだ。「あの並びの蕎麦屋そばやの旭屋あさひやのお神さんだって、よく傷をしているわ。あれもどうも叩かれた傷に違いないわ」……で、この、噂話が何を意味するか、私は深くも気に止めないで、ただ亭主が邪険なのだろう位に考えたことだが、読者諸君、それが却々そうではなかったのだ。一寸した事柄だが、この物語全体に大きな関係を持っていることが、後になって分った。
それは兎も角、そうして、私は三十分程も同じ所を見詰めていた。虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見わきみをしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。其時、先程一寸名前の出た明智小五郎が、いつもの荒い棒縞ぼうじまの浴衣ゆかたを着て、変に肩を振る歩き方で、窓の外を通りかかった。彼は私に気づくと会釈えしゃくして中へ入って来たが、冷しコーヒーを命じて置いて、私と同じ様に窓の方を向いて、私の隣に腰をかけた。そして、私が一つの所を見詰めているのに気づくと、彼はその私の視線をたどって、同じく向うの古本屋を眺めた。しかも、不思議なことには、彼も亦また如何にも興味ありげに、少しも目をそらさないで、その方を凝視し出したのである。
私達は、そうして、申合せた様に同じ場所を眺めながら、色々の無駄話を取交した。その時私達の間にどんな話題が話されたか、今ではもう忘れてもいるし、それに、この物語には余り関係のないことだから、略するけれど、それが、犯罪や探偵に関したものであったことは確かだ。試みに見本を一つ取出して見ると、
「絶対に発見されない犯罪というのは不可能でしょうか。僕は随分可能性があると思うのですがね。例えば、谷崎潤一郎の『途上』ですね。ああした犯罪は先ず発見されることはありませんよ。尤もっとも、あの小説では、探偵が発見したことになってますけれど、あれは作者のすばらしい想像力が作り出したことですからね」と明智。
「イヤ、僕はそうは思いませんよ。実際問題としてなら兎も角、理論的に云いって、探偵の出来ない犯罪なんてありませんよ。唯、現在の警察に『途上』に出て来る様な偉い探偵がいない丈ですよ」と私。
ざっとこう云った風なのだ。だが、ある瞬間、二人は云い合せた様に、黙り込んで了った。さっきから話しながらも目をそらさないでいた向うの古本屋に、ある面白い事件が発生していたのだ。
「君も気づいている様ですね」
と私が囁くと、彼は即座に答えた。
「本泥坊でしょう。どうも変ですね。僕も此処ここへ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」
「君が来てからまだ三十分にもなりませんが、三十分に四人も、少しおかしいですね。僕は君の来る前からあすこを見ていたんですよ。一時間程前にね、あの障子があるでしょう。あれの格子の様になった所が、閉るのを見たんですが、それからずっと注意していたのです」
「家の人が出て行ったのじゃないのですか」
「それが、あの障子は一度も開かなかったのですよ。出て行ったとすれば裏口からでしょうが、……三十分も人がいないなんて確かに変ですよ。どうです。行って見ようじゃありませんか」
「そうですね。家の中に別状ないとしても、外で何かあったのかも知れませんからね」
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。明智とても同じ思いに違いなかった。彼も少からず興奮しているのだ。
古本屋はよくある型で、店全体土間になっていて、正面と左右に天井まで届く様な本棚を取付け、その腰の所が本を並べる為の台になっている。土間の中央には、島の様に、これも本を並べたり積上げたりする為の、長方形の台が置いてある。そして、正面の本棚の右の方が三尺許ばかりあいていて奥の部屋との通路になり、先に云った一枚の障子が立ててある。いつもは、この障子の前の半畳程の畳敷の所に、主人か、細君がチョコンと坐って番をしているのだ。
明智と私とは、その畳敷の所まで行って、大声に呼んで見たけれど、何の返事もない。果して誰もいないらしい。私は障子を少し開けて、奥の間を覗いて見ると、中は電燈が消えて真暗だが、どうやら、人間らしいものが、部屋の隅に倒れている様子だ。不審に思ってもう一度声をかけたが、返事をしない。
「構わない、上って見ようじゃありませんか」
そこで、二人はドカドカ奥の間へ上り込んで行った。明智の手で電燈のスイッチがひねられた。そのとたん、私達は同時に「アッ」と声を立てた。明るくなった部屋の片隅には、女の死骸が横わっているのだ。
「ここの細君ですね」やっと私が云った。「首を絞められている様ではありませんか」
明智は側へ寄って死体を検しらべていたが、「とても蘇生そせいの見込はありませんよ。早く警察へ知らせなきゃ。僕、自動電話まで行って来ましょう。君、番をしてて下さい。近所へはまだ知らせない方がいいでしょう。手掛りを消して了ってはいけないから」
彼はこう命令的に云い残して、半町許りの所にある自動電話へ飛んで行った。
平常ふだんから、犯罪だ探偵だと、議論丈は却々なかなか一人前にやってのける私だが、さて実際に打ぶっつかったのは初めてだ。手のつけ様がない。私は、ただ、まじまじと部屋の様子を眺めている外はなかった。
部屋は一間切りの六畳で、奥の方は、右一間は幅の狭い縁側をへだてて、二坪許りの庭と便所があり、庭の向うは板塀になっている。――夏のことで、開けぱなしだから、すっかり、見通しなのだ、――左半間は開き戸で、その奥に二畳敷程の板の間があり裏口に接して狭い流し場が見え、そこの腰高障子は閉っている。向って右側は、四枚の襖が閉っていて、中は二階への階段と物入場になっているらしい。ごくありふれた安長屋の間取だ。
死骸は、左側の壁寄りに、店の間の方を頭にして倒れている。私は、なるべく兇行当時の模様を乱すまいとして、一つは気味も悪かったので、死骸の側へ近寄らない様にしていた。でも、狭い部屋のことであり、見まいとしても、自然その方に目が行くのだ。女は荒い中形模様の湯衣ゆかたを着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、股ももがむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。首の所は、よくは分らぬが、どうやら、絞しめられた痕きずが紫色になっているらしい。
表の大通りには往来が絶えない。声高に話し合って、カラカラと日和下駄ひよりげたを引きずって行くのや、酒に酔って流行唄はやりうたをどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。何という皮肉だ。私は妙にセンティメンタルになって、呆然と佇たたずんでいた。
「すぐ来る相ですよ」
明智が息を切って帰って来た。
「あ、そう」
私は何だか口を利くのも大儀たいぎになっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。
間もなく、一人の正服せいふくの警官が背広の男と連立ってやって来た。正服の方は、後で知ったのだが、K警察署の司法主任で、もう一人は、その顔つきや持物でも分る様に、同じ署に属する警察医だった。私達は司法主任に、最初からの事情を大略説明した。そして、私はこう附加えた。
「この明智君がカフェへ入って来た時、偶然時計を見たのですが、丁度八時半頃でしたから、この障子の格子が閉ったのは、恐らく八時頃だったと思います。その時は確か中には電燈がついてました。ですから、少くとも八時頃には、誰れか生きた人間がこの部屋にいたことは明かです」
司法主任が私達の陳述を聞取って、手帳に書留めている間に、警察医は一応死体の検診を済ませていた。彼は私達の言葉のとぎれるのを待って云った。
「絞殺ですね。手でやられたのです。これ御覧なさい。この紫色になっているのが指の痕あとです。それから、この出血しているのは爪が当った箇所ですよ。拇指おやゆびの痕が頸くびの右側についているのを見ると、右手でやったものですね。そうですね。恐らく死後一時間以上はたっていないでしょう。併し、無論もう蘇生そせいの見込はありません」
「上から押えつけたのですね」司法主任が考え考え云った。「併し、それにしては、抵抗した様子がないが……恐らく非常に急激にやったのでしょうね。ひどい力で」
それから、彼は私達の方を向いて、この家の主人はどうしたのだと尋ねた。だが、無論私達が知っている筈はない。そこで、明智は気を利かして、隣家の時計屋の主人を呼んで来た。
「主人はどこへ行ったのかね」
「ここの主人は、毎晩古本の夜店を出しに参りますんで、いつも十二時頃でなきゃ帰って参りません。ヘイ」
「どこへ夜店を出すんだね」
「よく上野うえのの広小路ひろこうじへ参ります様ですが。今晩はどこへ出ましたか、どうも手前には分り兼ねますんで。ヘイ」
「物音と申しますと」
「極っているじゃないか。この女が殺される時の叫び声とか、格闘の音とか……」
「別段これという物音を聞きません様でございましたが」
そうこうする内に、近所の人達が聞伝えて集って来たのと、通りがかりの弥次馬で、古本屋の表は一杯の人だかりになった。その中に、もう一方の、隣家の足袋屋たびやのお神さんがいて、時計屋に応援した。そして、彼女も何も物音を聞かなかった旨むね陳述した。
この間、近所の人達は、協議の上、古本屋の主人の所へ使つかいを走らせた様子だった。
そこへ、表に自動車の止る音がして、数人の人がドヤドヤと入って来た。それは警察からの急報で駈けつけた裁判所の連中と、偶然同時に到着したK警察署長、及び当時の名探偵という噂の高かった小林こばやし刑事などの一行だった。――無論これは後になって分ったことだ、というのは、私の友達に一人の司法記者があって、それがこの事件の係りの小林刑事とごく懇意こんいだったので、私は後日彼から色々と聞くことが出来たのだ。――先着の司法主任は、この人達の前で今までの模様を説明した。私達も先の陳述をもう一度繰返さねばならなかった。
「表の戸を閉めましょう」
突然、黒いアルパカの上衣に、白ズボンという、下廻りの会社員見たいな男が、大声でどなって、さっさと戸を閉め出した。これが小林刑事だった。彼はこうして弥次馬を撃退して置いて、さて探偵にとりかかった。彼のやり方は如何にも傍若無人で、検事や署長などはまるで眼中にない様子だった。彼は始めから終りまで一人で活動した。他の人達は唯、彼の敏捷びんしょうな行動を傍観する為にやって来た見物人に過ぎない様に見えた。彼は第一に死体を検べた。頸の廻りは殊に念入りにいじり廻していたが、
「この指の痕には別に特徴がありません。つまり普通の人間が、右手で押えつけたという以外に何の手掛りもありません」
と検事の方を見て云った。次に彼は一度死体を裸体にして見るといい出した。そこで、議会の秘密会見たいに、傍聴者の私達は、店の間へ追出されねばならなかった。だから、その間にどういう発見があったか、よく分らないが、察する所、彼等は死人の身体に沢山の生傷のあることに注意したに相違ない。カフェのウエトレスの噂していたあれだ。
やがて、この秘密会が解かれたけれど、私達は奥の間へ入って行くのを遠慮して、例の店の間と奥との境の畳敷の所から奥の方を覗き込んでいた。幸なことには、私達は事件の発見者だったし、それに、後から明智の指紋をとらねばならなかった為に、最後まで追出されずに済んだ。というよりは抑留よくりゅうされていたという方が正しいかも知れぬ。併し小林刑事の活動は奥の間丈に限られていた訳でなく、屋内屋外の広い範囲に亙わたっていたのだから、一つ所にじっとしていた私達に、その捜査の模様が分ろう筈がないのだが、うまい工合に、検事が奥の間に陣取っていて、始終殆ど動かなかったので、刑事が出たり入ったりする毎に、一々捜査の結果を報告するのを、洩れなく聞きとることが出来た。検事はその報告に基いて、調書の材料を書記に書きとめさしていた。
先ず、死体のあった奥の間の捜索が行われたが、遺留品も、足跡も、その他探偵の目に触れる何物もなかった様子だ。ただ一つのものを除いては。
「電燈のスイッチに指紋があります」黒いエボナイトのスイッチに何か白い粉をふりかけていた刑事が云った。「前後の事情から考えて、電燈を消したのは犯人に相違ありません。併しこれをつけたのはあなた方のうちどちらですか」
「そうですか。あとであなたの指紋をとらせて下さい。この電燈は触らない様にして、このまま取はずして持って行きましょう」
それから、刑事は二階へ上って行って暫く下りて来なかったが、下りて来るとすぐに路地を検べるのだといって出て行った。それが十分もかかったろうか、やがて、彼はまだついたままの懐中電燈を片手に、一人の男を連れて帰って来た。それは汚れたクレップシャツにカーキ色のズボンという扮装いでたちで、四十許ばかりの汚い男だ。
「足跡はまるで駄目です」刑事が報告した。「この裏口の辺は、日当りが悪いせいかひどいぬかるみで、下駄の跡が滅多無性についているんだから、迚とても分りっこありません。ところで、この男ですが」と今連れて来た男を指し「これは、この裏の路地を出た所の角に店を出していたアイスクリーム屋ですが、若し犯人が裏口から逃げたとすれば、路地は一方口なんですから、必ずこの男の目についた筈です。君、もう一度私の尋ねることに答えて御覧」
「一人もありませんので、日が暮れてからこっち、猫の子一匹通りませんので」アイスクリーム屋は却々要領よく答える。
「私は長らくここへ店を出させて貰ってますが、あすこは、この長屋のお上さん達も、夜分は滅多に通りませんので、何分あの足場の悪い所へ持って来て、真暗なんですから」
「それも御座いません。皆さん私の目の前でアイスクリームを食べて、すぐ元の方へ御帰りになりました。それはもう間違いはありません」
さて、若しこのアイスクリーム屋の証言が信用すべきものだとすると、犯人は仮令この家の裏口から逃げたとしても、その裏口からの唯一の通路である路地は出なかったことになる。さればといって、表の方から出なかったことも、私達が白梅軒から見ていたのだから間違いはない。では彼は一体どうしたのであろう。小林刑事の考えによれば、これは、犯人がこの路地を取りまいている裏表二側の長屋の、どこかの家に潜伏しているか、それとも借家人の内に犯人があるのかどちらかであろう。尤も二階から屋根伝いに逃げる路はあるけれど、二階を検べた所によると、表の方の窓は取りつけの格子が嵌はまっていて少しも動かした様子はないのだし、裏の方の窓だって、この暑さでは、どこの家も二階は明けっぱなしで、中には物干で涼んでいる人もある位だから、ここから逃げるのは一寸難しい様に思われる。とこういうのだ。
そこで臨検者達の間に、一寸捜査方針についての協議が開かれたが、結局、手分けをして近所を軒並に検べて見ることになった。といっても、裏表の長屋を合せて十一軒しかないのだから、大して面倒ではない。それと同時に家の中も再度、縁の下から天井裏まで残る隈くまなく検べられた。ところがその結果は、何の得うる処もなかったばかりでなく、却って事情を困難にして了った様に見えた。というのは、古本屋の一軒置いて隣の菓子屋の主人が、日暮れ時分からつい今し方まで屋上の物干へ出て尺八を吹いていたことが分ったが、彼は始めから終いまで、丁度古本屋の二階の窓の出来事を見逃す筈のない様な位置に坐っていたのだ。
読者諸君、事件は却々面白くなって来た。犯人はどこから入って、どこから逃げたのか、裏口からでもない、二階の窓からでもない、そして表からでは勿論ない。彼は最初から存在しなかったのか、それとも煙の様に消えて了ったのか。不思議はそればかりでない。小林刑事が、検事の前に連れて来た二人の学生が、実に妙なことを申立てたのだ。それは裏側の長屋に間借りしている、ある工業学校の生徒達で、二人共出鱈目でたらめを云う様な男とも見えぬが、それにも拘かかわらず、彼等の陳述は、この事件を益々不可解にする様な性質のものだったのである。
「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合ぐあいで男だったことは確かです」
「で、男だったという外に何か気附いた点はありませんか、背恰好とか、着物の柄とか」
「見えたのは腰から下ですから、背恰好は一寸分りませんが、着物は黒いものでした。ひょっとしたら、細い縞か絣かすりであったかも知れませんけれど。私の目には黒無地に見えました」
「僕もこの友達と一緒に本を見ていたんです」ともう一方の学生、「そして、同じ様に物音に気づいて同じ様に格子の閉るのを見ました。ですが、その男は確かに白い着物を着ていました。縞も模様もない、真白な着物です」
「それは変ではありませんか。君達の内どちらかが間違いでなけりゃ」
「決して間違いではありません」
「僕も嘘は云いません」
この二人の学生の不思議な陳述は何を意味するか、鋭敏な読者は恐らくあることに気づかれたであろう。実は、私もそれに気附いたのだ。併し、裁判所や警察の人達は、この点について、余りに深く考えない様子だった。
間もなく、死人の夫の古本屋が、知らせを聞いて帰って来た。彼は古本屋らしくない、きゃしゃな、若い男だったが、細君の死骸を見ると、気の弱い性質たちと見えて、声こそ出さないけれど、涙をぼろぼろ零こぼしていた。小林刑事は、彼が落着くのを待って、質問を始めた。検事も口を添えた。だが、彼等の失望したことは、主人は全然犯人の心当りがないというのだ。彼は「これに限って、人様に怨みを受ける様なものではございません」といって泣くのだ。それに、彼が色々調べた結果、物とりの仕業でないことも確められた。そこで、主人の経歴、細君の身許みもと其他様々の取調べがあったけれど、それらは別段疑うべき点もなく、この話の筋に大した関係もないので略することにする。最後に死人の身体にある多くの生傷について Permalink | 記事への反応(0) | 22:40
・借地権は強いんじゃないの?
→強いのは人が住む居住用の住居(の土地や建物)を借りてる場合。「住むところないと生きていけないよね」ていうのが保護の理由なので。
・でも借地契約があるよね。契約は双方の合意でないと解除できないのでは。
→強い居住借地・借家の場合ですら、一定期間以上の賃料未払いがあると「契約の信義を損ねた」として大家側から訴えて契約解除が認められる。
(「自主管理大家」のキーワードで検索するとそうやって未払い入居者に対処してるブログがでてくる)
まして今回は単なる倉庫(それも古くてボロボロな)の土地で、しかも相当長期にわたって賃料が全く未払いのようなので、当然に契約解除が認められる案件。
・でも自力救済は認められないよね
→それはそれ。GIGAZINE側は別に建物を壊された損害賠償請求訴訟を起こせばよい。
たぶん未払い賃料と相殺される(それどころか全く足りない)だろうけど。
賃料未払いの件は記事中では触れられず判決文の公開で初めてわかって、GIGAZINEは自己に不都合な情報をあえて隠してる可能性があり、
これまでに地主から「賃料不払いにより借地契約は終了しているので、建物は不法に土地を占拠している。建物を除去して土地をあけわたせ」「こちらは不法占拠により長期間土地を利用できず、多大な逸失利益の損害を被っている」「建物を存置させるならこれまでの未払い賃料全額を支払うか土地を買い取れ」「いついつまでに明け渡さなければ財産(土地)価値の保全のため建物をこちらで除去する」という内容証明等が地主から届いて無視してた可能性があり(ふつうなら費用と時間と労力がかかる裁判に訴える前にそうする)、GIGAZINE側が不法占拠状態になっていた可能性もある。
それでも自力救済は違法なのだが、全く根拠なく他人の建物を壊すのに比べると悪質性は低い。
→それは解体作業の発注者と受注業者、契約の当事者間で交わすものであって、突然現場に現れて建物の持ち主だと主張する第三者から要求されても対応する義務はない。
1年近く前に腐れ縁と交友を絶った。
中学校で同級生で、高校は向こうが私立の附属高、私は地元の公立校に入った。
たまに飯を食ったり酒を飲んだり(今は厳しいからできないが)しながらグダグダと近況を話し合った。
大学は私がFラン私立文系、彼女は理系の夜間部を選択し、昼間はSE・夜は学生をしていて、時給が良いからと夜のビルメンのバイトをぼんやりしながらやってる自分よりタフだなあと思った。
私は就活が面倒で、バイト先の上司に「ここって就職させてくれるの?」と聞いたら、女性は人手不足だからとホイホイとバイトから正社員になった。
一方彼女は、大学院に行っていた。院は夜間部の学生でも入学できて、そこで昼間部生になって卒業できると。
「これを学歴ロンダリングと呼ぶんだよ」
と苦笑いして話していたが、SEと夜間部二足の草鞋だけで凄いので、苦笑いでなく誇っていいんじゃないか?と思った。
その後お互い仕事や勉強が忙しく交流が途切れ、数年経ち、私が結婚報告と地方への転居のメールを送ると「今、イギリスに留学しているよ」と返事が来た。読んでみると、どうやら彼女も院を卒業するのを機に結婚をし、夫が留学をするので自分も学ぼうと思ったと。そのやりとりの中で互いのツイッターアカウントも教えあった。
まだまだ学を極めるのかい、英語できるんかい、と、木造アパートで秋刀魚の塩焼きがごちそうでsorry japanese onlyの私(夫婦)から随分違った世界に行ってしまったもんだな…と感じた。
彼女が帰国したあたりで私は妊娠出産をし、目をぐるぐる回しながらワンオペで育児をこなした。その間彼女は技術界隈では有名な企業で仕事をして、コツコツと業績を積んでいた。
私の子が小学生になる直前に、彼女も子を授かり、1年間の育児休暇の間に保育所選びに奔走や、職場復帰のための断乳、体力作りなどをしていた。私はやっぱりぼんやりしながらアパートで秋刀魚を焼いていた。
さすがに子どもが大きくなったからと、私たちは数年後に口利きで手頃な借家に引っ越したけれど、彼女は住んでいる自治体の子供への福祉のなってなさと、両親のヘルプをより近い場所で受けたいからと、分譲マンションを売却し、それを頭金に実家に近いマンションに移り住んだ。
ツイッターで彼女が自作のルッコラとモッツァレラチーズとプチトマトのバジルソースのサラダとかの写真を見ながら、いいもの食べてるなあ、と思いながら小松菜とちりめんじゃこの煮びたしを食べていた。
彼女は企業で確実に出世していって、私は徹頭徹尾ぼんやりしながら何事もこなしているうちに中年のおばさんになっただけだ。
だから私と彼女の距離がどんどん離れていくことに寂しさはない。
私は10万円のジャケットは買えないし、寝巻きに2万円は使えないし、10万円するジャケットを着て行く場所が思いつかない。PTA?
うちの子に公立は向かないから、中受のために受けさせるおすすめの塾は?と聞かれても、私の子は中受するほどの学力もない。
精神や立場的な距離が離れて疎遠というか交流がなくなっても良かった。
家族で北海道に旅行に行ったことと、その時の写真がツイートされていた。ちょうど、札幌での感染拡大が注目やニュースになっていた頃だ。
「お前何考えてんだよ?」とよっぽどリプライをつけたくなったが、いつもなら幾つかつくfavやRTが全くないのを見るに、これが皆の意思表示なのだと、私も何も触らなかった。
そして緊急事態宣言が出て、都会は大変だなあと思いつつじゃがりこを食べながらツイッターを眺めていたら
と、やはり写真付きで、目線はついていたが、マスク姿の彼女と子どもが映っていた。
なんでこいつ、こうなったかなあ?
私より、頭、ずば抜けていいはずだよな?
違う世界の住人になったと思った。
でもそれが、コロナ禍での行動によって、私の中で全て水泡に帰した。
彼女のアカウントをブロックして、スマホから電話番号とメールアドレス、LINEアカウント、全て消した。
さよなら、賢人。
元記事についたブコメについて、返信や補足です。どうやら増田には7000文字くらいで文字数制限がかかっていて、それを超過すると記事が途中で途切れるらしいことがわかったので、ブコメへの返信や補足などはこちらにかいております。ブコメを取り上げる・上げないの判断基準は「補足して何かを言いたいものであるかどうか?」です。ブコメの良し悪しでの判断ではありません。
本当はリンク全部書きたかったけども、URLが多すぎるせいか投稿に失敗したのでURL省きます。ここで引用しているコメントは全て、元記事についたブコメです。
法人で事務所や借り上げ社宅を借りるには、法人としての信用が必要です。具体的には3年間(もっと長いかも?)の黒字決算でそこそこの事業規模が無いとキツい、とか。
ちょうど友人がこういう投稿をしていたばかりだ。https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=3719818448134271&id=100003184580045
そう、未成年で天涯孤独だったりDV親だったりすると本当に人生詰むんじゃないかって思います。生きるための障壁は住居確保以外にもたくさんあることは想像に難くありません。はてな界隈で有名な話としては「私が休学を決めるまで - Tritamaブログ」が挙げられますね。この方は高校出てから放り出されてこれだけ酷い目に遭う訳ですが、中学出た時点で放り出されたらもっと大変かもしれません。世の中、特に未成年の環境については「協力的な親が実在する」という前提に立った制度が多過ぎます。
これほんと辛いよね。独身のときは家借りるの一苦労だったし、ちゃんと働いてるのに出自を値踏みされてる感じで屈辱だった。増田の案は妥当に思える。どっかに意見出したのかな?
SNS上で政治家のアカウントに軽く進言したりすることはありますが、きちんとした意見書を出したりパブコメに投稿したりということはありません。今後は検討したいです。
出自を値踏みされてる感じ、それはありますね。差別を受けるってこういうことなのか、って思います。
大手の不動産仲介よりは、地場の不動産管理会社の方がネゴは効くかもしれん。地主やビルオーナーが一階で営業して自分の物件や管理物件だけ紹介してることも多い。まあ古い考えの人も多いのでハズレも多いが。
これは、そうなんだろうと思います。問い合わせして回るのに足を使うので私は手っ取り早くURに保護を求めましたが、万が一URの運営が止まったり等すれば、この手段は頭に入れておきたいところです。
もしも長生きしてしまっても、そのころには安アパートを借りれるか借りれないかというシングル老人が大量発生しているころだろうから、なんとかなるんじゃねえかと思ってる。空き家も増えるだろうし。
「なんとかなる」状況が発生するとしたら、国内の治安や衛生状態が悪化して社会問題となり、法制度が改正された時、だと思っております。
定期借家契約が出てこないのに違和感がある。普通借家における貸主・借主のバランス(一般に「借主が強い」と言われがち)を若干貸主側に傾けたのが再契約条項ありの定期借家契約で、当然その活用が考えられるはず。
借主が緊急避難をする手段としては定期借家契約は非常に優れた話ではあります。実際に契約した経験が無く実態を知らなかったので省略しておりました。指摘ありがとうございます。
わかるけど、解決策はピントがずれている。問題は、賃貸借契約は相続されるということ。増田が急死したら、増田の相続人が借主になるので、相続人に連絡を取れないと貸主側から部屋を解約することが難しい。
これが一番ここで取り上げたかったコメントです。元の記事には書きませんでしたが、借主の死亡や失踪というのは大家にとって非常に大きなリスクです。他のブコメでもしてきされている通り、相続人となり得る者は存在しないという証明書を借主が提出することによって借主死亡or失踪時に大家は都合の良いように処分できるっていう制度が必要です。
少し話が逸れますが、例えばDV親から逃げ出した時にDV親を「相続人の廃除」することが私たちの人生で重要なポイントなのですが、このハードルが高すぎることも問題としてあります。相続人の排除を否定した判決の判例を見ると、ほんと頭痛がします。
賃借権だけでなく増田の遺品についても相続される。大家は勝手に処分することはできない。問題は家賃だけじゃないのよ。親族の連絡先がないとこれらの処分方法が確定できない。遺言執行人の選定も強制力ないし
こちらも同種のコメントです。日本の社会は、この問題も解決しなければなりません。
サービスアパートメントだめなんですかね。ずっと海外で住んでたけどよかったですよ。入居はパスポートとデポジットだけ。あとはシェアハウスかな。デポジットと前家賃払えば大抵のところは住めます。
海外に居たときは、私もデポジット(敷金のような扱い)払うだけですんなりとシェアハウスに住むことができていました。気をつけないといけないのは、歳を取ると(30代半ばくらいから?)シェアハウスで間借りするのは肩身が狭くなる、といったところでしょうか。
緊急連絡先は借主が死んだ時の処理のためにあるのか、そりゃそうか。じゃあ死後処理を頼める会社や団体ができるしかないな。遺書を預けた弁護士とか含む感じになるんだろうか。それはそれでニーズありそう。
団信なしでもフラット 35 は行けるので住宅ローンは出来るよ。共同名義じゃない限り連帯保証人も不要。賃貸なら UR という解決策が存在しているし、あらゆる物件に住めるわけでは無いが、選択肢自体は割とありそう。
フラット35がそういう制度になっているとは知らなかったです(調査が足らなかったです)。てっきり、フラット35でも団信を求められるものだと思っておりました。
東京にはURよりもう少しリーズナブルな「公社住宅」がありますよ。諸条件クリアしやすいです。そこにも漏れるような層をこぼさないようにさらにリーズナブルな「都営住宅」は場所を選ばなければ空がたくさんあります
公社住宅に関しては
都営住宅も「住宅に困っている収入の少ない方に対し低額な家賃でお貸しする住宅です。」と謳っており、やはり私たちは支援対象外です。 https://www.to-kousya.or.jp/toeibosyu/
全保連の「入居申込書兼保証委託申込書」を見る限りだと「緊急連絡先」があれば良さそうに見える。これとは別に親族の連絡先が求められるのかな?
記憶が確かではありませんが、私が2017年時点で見たのはこれかもしれません。2019年時点の家探しで出会うことができなかったのは運が無く、費やした探索労力が少な過ぎたせいかもしれません。
というか筆者は十分上級国民なので参考にならない。時給1,000円、氷河期非正規、前の住居が老朽化のため立ち退きを迫られている、ぐらい言わないと。
こういうケースを救うのは生活保護とかの制度だと思います。こういった保護はとても重要なのですが、これだけだと私のようなケースで人権が侵害されていってしまうという想いから、元の記事を書きました。元記事の上の方にある通り、私は1000万円ほどの物件を買えば(倒壊とかしなければ)保証会社と無縁の人生を得ることができますが、それだと同じ境遇の若い人たちが救われません。
一般論として「身元が確かでない人は家を借りにくい」という問題は「身元が確かでない人に貸してトラブルになると家主が困る」からで、家主の権利を強化すれば貸しやすくなる。さて、どうする?といういつもの話。
この「いつもの話」を解決するためには法改正するしかありません…!!
損をするのは悪意を持って詐欺や滞納とかやらかす輩だけで、それ以外の関係者全員がハッピーになれる社会を作っていきましょう!
賃貸契約まわりの契約書の中には、虚偽の情報を記載した場合は即時退去になるような条項が入っていることもあります。2019年の家探しの時に、不動産仲介屋に虚偽情報を記載することを示唆されましたが、リスクが高すぎるのでやめました。
分譲住宅で2DK未満の広さのものって、物量がそんなにありません。買いたくても買えないので、安値を狙うならボロボロの2Kや2DKとかになります。
ぜひ、その「1300万円ほど」の貯金で1Rマンションを購入し、貸し出してみてください。身銭を切って逆の立場になったら別の世界が見えるかもしれませんよ。例えばあなたが貸主で借主にどうやって強制退去させるんですか