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2022-04-29

スラヴ諸語における「ナ」と「ヴ」の違い

ロシア人ウクライナ人とのやり取りを和訳してくれてる増田に、こんな一節があったから、気になって書いてみることにしたよ!

——ロシア語で「ウクライナで」はどうしてв Украинеではなくна Украинеなの?

anond:20220428221434

この問いに答えるにはスラヴ諸語における「ヴ」と「ナ」の違いを理解する必要があるよね!

スラヴ諸語における処格(前置格)

スラヴ諸語はインド・ヨーロッパ語族に含まれるけど、インド・ヨーロッパ語族に属する言語豊富格変化が特徴だね!(英語格変化ほとんど失われちゃった異端児だけど!)

格の数は言語によって違うけど、スラヴ諸語はおおむね6+1格だね! +1っていうのは、呼格、つまり「おーい、○○よ!」って呼びかけるときに使う格のことだね! これは元々スラヴ祖語にあった格なんだけど、ロシア語では(「わが神よ!」みたいな文語表現を除いて)失われちゃってるんだ! ウクライナ語には残ってるよ!

でもって、スラヴ諸語で「~において」というのを表すときには、前置詞ヴ+処格(前置格)か、前置詞ナ+処格(前置格)っていう形を取るよ! ここでは便宜的に「ヴ」って書いたけど、言語によって発音が「フ」だったり「ウ」だったり、あるいは綴り「w」だったり「u」だったりするね! まあ元をたどれば同じものから、ここでは日本語話者にわかやすいように「ヴ」で統一するけど!

ちなみに「ヴ」と「ナ」の区別は、対格(直接目的語を表す格)の場合にも当てはまるよ! みんなも世界史の授業で「ヴ・ナロード」って言葉を習ったことがあると思うんだけど、あれは「ヴ+対格」なので「ナロードの中へ」って意味なんだね!

ここから先の解説は、スラヴ全般に当てはまるというよりも、増田が習った範囲でのスラヴ語での話だから、「いや、○○語では違う」っていう異議が出るかもしれないね! 増田専門家じゃないから、多少厳密じゃないところは許してほしいな!

「ヴ」と「ナ」の違い:一般論

感覚的だけど、「仕切りがあって閉ざされているところ」は「ヴ」、「仕切りがなく開けていたり、上の方にあるところ」は「ナ」を使うね!

たとえば、元増田には、

島や半島山地統治者のはっきりしない土地にはнаを使う。

anond:20220428221434

ってあるけど、まさにこの通りで、島とか半島みたいな「仕切られておらず開かれた土地」や、山みたいな「高いところ」は「ナ」を使うんだよ!

から、「高校で」は「ヴ」だけど、「大学で」は「ナ」を使うんだ! なぜかといえば大学学校システムヒエラルヒーの一番上にあるからだね!

町中にあるたいていの施設も「ヴ」を使うね! 建物は外界から仕切られた空間から当然だよね! でも空港は「ナ」だったりするよ! 確かに空港のメイン施設管制塔じゃなくてだだっ広い滑走路だから「ナ」感があるよね!

「ヴ」と「ナ」の違い:同じ語でも意味合いが変わる

さらに、同じ語でも、「ヴ」と「ナ」を使い分けると意味が変わることがあるよ!

たとえば、「○○通りに住んでます」って言いたいとき普通「ヴ」を使うんだ! 「○○通り」っていうのは区切られた街区意味する住所表示であって、物理的な道のことじゃないからね! 一方そこで「ナ」を使うと、「物理的に道の上に住んでいる」、つまり「○○通りで路上生活をしている」っていうニュアンスなっちゃうんだ!

あとはね、「夏休みは海に行きます」って言いたいとき普通「ナ+対格」を使うんだ! 海に行くというのは、海沿いの浜辺に遊びに行って、海面で泳いだりするということだもんね! そこで「ヴ+対格」を使うと「海の中に行きます」っていう意味なっちゃうよ! 浪の下にも都はあるもんね!

「村」もそういうニュアンスの違いが生じることがあるよ! 「ヴ」を使ったら「○○村で(つまり特定のある村で)」、「ナ」を使ったら「村落部で(田舎で)」っていう意味になる言語もあるんだ!

こうしてみると、「ヴ」は英語のinで、「ナ」は英語onみたいなものだと考えるとわかりやすいのかな!

ここまで説明したところで、「○○国で」を表すのにどっちを使うかという話ができるね!

「ヴ」と「ナ」の違い:国に対してどちらを使うか

「○○国で」というのは、基本的には「ヴ」を使うんだ! 国というのは広大な大地を国境で区切っているわけだから、「ヴ」になるっていう理屈だね! 「フランスで」とか「ドイツで」とかはみんな「ヴ」だよ!

ただ、島とか山とか半島とか、そういう「ナ」を使うべき土地がそのまま国になってるところに関しては「ナ」を使うんだ! たとえばマルタキプロスなんかは国だけど「ナ」を使うね!

ちなみに「日本で」は「ヴ」を使うんだけど、「うちら島国だけど?」ってネイティヴに聞いてみたら、あまりデカすぎて島国感がしない国に関しては「ヴ」を使うらしいよ! 確かに我々も普段は島に住んでるなんて意識せず「瀬戸内海の島に旅行したいなぁ~」なんて言ってるもんね! 本州四国瀬戸内海に面した島なのにね! 他にはインドネシアとかも「ヴ」らしいよ!

このへん、母語話者でも迷うみたいで、ググってみたら「キプロスって『ナ』だっけ? 『ヴ』だっけ?」っていうロシア語質問サイトが出てきたよ! 感覚とか慣習とかで決めてることだからね! まあ「ヴ」でも「ナ」でも意味は通じるからそんな気にしないよね!

面白いのはアイスランドで、ロシア語では「ヴ」なんだね! でもとある別のスラヴ語では「ナ」を使うんだ! ロシア語場合アイスランドのことを「イスランジヤ(Исландия)」って呼ぶんだけど、「ロシヤ」とか「ゲルマニヤ(ドイツ)」とか「フィンリャンジヤ(フィンランド)」みたいに「~イヤ」で終わる地名は一律で「ヴ」にするルールがあるのかもしれないね! そういえば日本も「ヤポーニヤ」だね! 一方で別のスラヴ語は島であることを優先して「ナ」を使ってるのかな! 興味深いね

ところで、ウクライナ島国じゃないけど、ロシア語では「ナ」を使うんだ!

なぜウクライナで「ナ」と「ヴ」が問題になるのか

ウクライナっていう国名は、「クライ」(地方)とか、「クライナ」(辺境)とか、そういう語に由来するみたいだね! 旧ユーゴスラヴィアにも「クライナ地方ってあったし、今もロシアには「クライ」っていう行政単位があるんだよね! ウラジオストクがある沿海地方ロシア語だとプリモスキー・クライだね!(「プリモスキー」は「海に沿った」を意味する形容詞男性単数主格形だよ!)

で、これがどうも「辺境の広々とした土地」みたいなイメージがあるみたいで、ロシア語では「ナ」を使ってるんだよね! これは別にロシア人積極的ウクライナ人馬鹿にしてるとかじゃなくて、「『ウクライナ』って語感だと『ナ』かな」っていう感じでなんとなく決めて、それが伝統になってるだけだと思うよ! まあそれは侮蔑的呼び方だと主張することもできるかもしれないけど、ここを突っつくのはさすがに言葉狩り感が否めないかな!

ただ、ウクライナ語では「ヴ」を使うんだよね! ウクライナはまずもって周囲から国境線で区切られた一個の国なんだという感覚みたいだね! それもそれで尊重すべき感覚だよね! どっちが合ってるとか間違ってるとかじゃなくて、「ロシア語ウクライナ語の違い」として認識すべきだと思うんだよね!

一部の民族主義ウクライナ人は「主権国家としてのウクライナには『ヴ』を使うべきだ」と主張してるみたいで、まあご本人がそういう用法を使うのは自由だと思うけど、ロシア人が「ナ」を使っているのを責めるのはどうかと思うんだよね! だってこんなの急に変えろって言われても難しいよね! っていうかウクライナ語でググってみたら普通キプロスに「ナ」を使ってる用例が見つかるんだよね! 「ヴ」と「ナ」の違いなんて明文化されてない曖昧ルール感覚と慣習で補って決めてるわけだから、そこを聞かれてもロシア人も「いや、そういうもんだし……」としか言えないんじゃないかな!

2022-04-02

ウクライナジョージア区別つかない馬鹿は黙っていればいいのに

南オセチア、ロシア編入へ住民投票 ジョージアは非難」のはてブがひどい。

ロシア系住民でも、今のロシア併合されて何か良い展望があるとは思えないけどなー

侵略して賛成するロシア民族以外はシベリア抑留して空いた家に賛成するロシア民族を住まわせて、住民投票するやばい国家ウクライナでも万単位拉致現在進行形で行われている

こんなコメントに☆が大量についているとか、はてな民知的水準も地に落ちたもんだな。

そもそも南オセチアに「ロシア系住民」「ロシア民族」なんてほとんどいねーよ。

ジョージアの主要民族ジョージア語(南コーカサス語族)を話し東方正教を信じるジョージア人だが、国内はいくつもの少数民族がいる。アブハズ語(北西コーカサス語族)を話し東方正教イスラム教を信じるアブハズ人と、オセット語(印欧語族イラン語派)を話し東方正教を信じるオセット人だ。彼らはロシア語(印欧語族スラヴ語派)を話すが、民族的にはスラヴ人ではない(南部アジャリア自治共和国にはジョージア語を話すイスラム教徒が住んでいるが、それはここでは割愛する)。

彼らは、ジョージア政府によるジョージア語やジョージア文化押し付けを嫌がり、「敵の敵は味方」の論理ロシアについている(オセット人については、コーカサス山脈の北側ロシア連邦に属する北オセチア共和国があるという事情もある。彼らは国境で分断された民族なのだ)。そしてロシアは、アブハズ人やオセット人にロシア国籍を与えている。つまりここで言われているロシア国籍者とは、そのほとんどが民族的には非スラヴ人のアブハズ人やオセット人だ。

ジョージア人は、ソ連時代にはロシア語やロシア文化押し付けを嫌がり、ついに独立を達成した。それ自体は素晴らしい。

では、なぜアブハズ人やオセット人がジョージアから独立を目指してはいけないのか?

なぜ、ロシア語やロシア文化押し付けられて嫌だったはずのジョージア人が、自国少数民族ジョージア語やジョージア文化押し付けようとするのか?(アブハズ語やオセット語とジョージア語は語族が違う。つまりロシア語とジョージア語くらい違う言語だ)

ソ連末期のジョージアでは、南オセチアではちっともジョージア語が通じない、と嘆く投書があったそうだ。トビリシロシア語が通じないと嘆くロシア人みたいな支配意識であり、露骨ジョージア人中心主義だよな。少数民族権利を重視するリベラルはてな民の皆様におかれては、まさかアブハズ人やオセット人の少数民族としての権利否定したりジョージア人の自民族中心主義同調したりすることはないだろうが……

もちろん、アブハズ人やオセット人は、独立を目指す紛争過程で、アブハジア自治共和国南オセチア自治州にいたジョージア人を追い出している。これは民族浄化だ。こういった点を問題にするのなら議論のやりようはある。

でも、南オセチアには独自オセット人という少数民族が住んでいる、程度の知識も持ってないのは論外。ウクライナ史についての雑な理解を振り回してジョージア問題いっちょかみしようとするのは害悪。彼らにも独自言語文化への権利がある、くらいの見識も持てないのは、ジョージア大使館プロパガンダに毒されすぎ。

今次の露宇戦争、こういうふうにロシアや周囲の事情に詳しくないのにしたり顔で頓珍漢なコメントするやつが倍増したので本当にイライラする(キエフキーウと書くべき! って言ってるやつがゼレンスキーって書いてるの見ると失笑ちゃうよね。日本政府は今後キーウと書くのなら責任を持ってゼレンシキー表記するように)。なんもかんもこんなアホな侵略戦争おっ始めたプーチンが悪い。プーチン責任を取って腹を切れ。ロシアもなんか伝統衣装とかあるだろ、そういうの着てキエフ城の門の前まで行ってキンジャールで腹かっさばくんだよ。ショイグを介錯につけてもいいぞ。とにかくこんなアホな戦争とっとと終わらせやがれ老いぼれ独裁者が。

2022-03-21

ロシアウクライナ侵攻を正当化するロジックは、北朝鮮朝鮮戦争正当化するロジックと同じものである

https://anond.hatelabo.jp/20220321014214

これがロシアウクライナ侵攻前だったら、まーたネトウヨ妄想かよで済ましてたと思うんだが、

例の琉球新報の「ロシア悪魔視をやめよ」を書いた人が、一昨年の北朝鮮訪問について話した講演録を読んで、

ネトウヨ妄想にそのまま合致するような人が実在することに愕然としてる。

講演録「わたしの目で見た朝鮮 -日本植民地主義を問う-」

http://chikyuza.net/archives/113658

この講演録に二点ほど、筆者の乗松氏が今回ロシア擁護せざるを得ない伏線があった。

一つは核廃絶運動に参加しておきながら北朝鮮の核開発には一切触れない点、

もう一つは北朝鮮朝鮮戦争を「祖国解放戦争」と呼ぶことに何の疑問も抱かない点の二点だ。

この人は信じがたいことに、金日成日本帝国主義とアメリカ帝国主義を倒した英雄であるという100%フィクションを受け入れているのだ。

特に後者だが、朝鮮戦争はほぼソ連傀儡であった北朝鮮韓国に突然侵攻する形で始まったことは今では広く知られている。

朝鮮戦争祖国解放戦争だという見方は、

ロシアウクライナ侵攻を正当化している時に用いる、

分断されたスラヴ民族西側傀儡政権を倒すことで統一するというロジックと瓜二つだ。

もうとっくに滅びたと思っていた親北ユートピア左派がしっかり生き残っているだけでなく、

マスメディアにまで登場しているということ。

立憲民主党大臣経験のある政治家DS陰謀論に嵌っていることと併せて、大きな驚きだった。

2022-03-05

ウクライナ語固有名詞日本語表記について

2年前に「ロシア語の表記揺れはなぜ起きるのか」っていう増田を書いた増田だけど、みんな覚えてるかな?

今回は最近話題ウクライナ固有名詞日本語表記についての話をするよ!

иは「イ」か「ウィ」か

ロシア語やその他の多くの言語で、иは「イ」の音を表す文字だよ! でもウクライナ語では違うんだ!

手元の教科書を見てみると、「ゥイー 母音字。[イ]より奥に舌を引き,唇を横にして出す」(『ニューエクスプレス ウクライナ語』10頁)って書いてあるよ! そうだね、日本語表記する上ではロシア語のыみたいになるんだね! ローマ字ではyで表記することになってるよ!

問題は、「ウィ」って表記するとややこしいことだね! 人名のМикола (Mykola)を「ムィコラ」と書くか「ミコラ」と書くかってことだね! きちんと数えたわけじゃないけど、ロシア語のыよりもウクライナ語のиの方が使用頻度高そうな気がするよ! 原語に敬意を払って「ウィ」と書くか、日本語の読みやすさを取って「イ」と書くか、究極の選択ってやつだね!

ちなみに「ムィコラ」はロシア語でいう「ニコライ」のことだよ! ロシア語の「ダニイル」はウクライナ語では「ダヌィロ(Данило)」、「ウラジーミル」は「ヴォロディムィル(Володимир)」になるね! 「ダニロ」や「ヴォロディミル」とどっちがいいと思う?

そういえば、ロシア語のыは日本語では「ウイ」って書くことも多いね! 「チェルノブイリ」も、Чернобыль (Chernobyl’)のыを「ウイ」って書いてるね! それに倣うならВолодимирも「ヴォロディムイル」って書くべきかな? うーん、チェルノブイリを「チェルノブィリ」と書くようにした方が早いかな! ちなみにウクライナ語ではЧорнобиль (Chornobyl’)だから「チョルノブィリ」だね!

またもや忘れられるь

ьの説明を覚えてるかな? そうだね、同じ文字ウクライナ語にもあるけど、ロシア語と同じで無視されやすいんだね!

ロシア語苗字でよく見かける語尾に「~スキー(-ский)」っていうのがあるけど(本来形容詞の形だね! 個人識別するために「○○の」っていう形容詞をつけてたのが苗字として定着したのかな?)、ウクライナ語だと-ськийになるよ! そうだね、ьがあるから「ス」じゃなくて「シ」になるんだね!

ということは、ウクライナ語的に表記するなら「~シキー」か「~シクィイ」になるべきだね! иをどう表記するかは上に書いたように色々な考えがあるけど、少なくとも「~スキー」にはならないね! 「~スキー」って書いてる時点でロシア語読みだね! Зеленськийは「ゼレンシキー」か「ゼレンシクィイ」だね!

ウクライナ語はロシア語だとьが入らないところにьが入ることがあるよ! 東部都市名前も、ロシア語だと「ドネツク(Донецк; Donetsk)」や「ルガンスク(Луганск; Lugansk)」だけどウクライナ語だと「ドネツィク(Донецьк; Donets’k)」に「ルハンシク(Луганськ; Luhans’k)だもんね!(ウクライナ語とベラルーシ語ではгはガ行じゃなくてハ行になるよ!)

цьは「ツィ」か「チ」か

ロシア語だとあんまり見ないけどウクライナ語だとよく見かける綴りがцьだね! ツァ行の子音цにьがついてるから「ツィ」って書くべきなんだろうけど、言いづらいよね! 学術論文とかでは「ツィ」と書くべきだと思うけど、新聞とかの一般向け媒体で「チ」って書かれてても仕方ないかな!

語末のв

語末に置かれたв (v)はロシア語でもウクライナ語でも無声化するよ! ロシア語ではこれを「フ」って書くことになってるけど、ウクライナ語だと「ウ」の音になるから「ウ」って書いた方がいいね!

からロシア語で「ハリコフ(Харьков; Khar’kov)」と書かれる地名ウクライナ語だと「ハルキウ(Харкiв; Kharkiv)」になるんだね!

語末とかで無声化したvを「ウ」って書くことになってるスラヴ系言語は、他にスロヴェニア語やスロヴァキア語があるよ! ベラルーシ語そもそも綴りを変えてў (ŭ)って書いちゃうから逆に迷わないね! ベラルーシ語だとハリコフじゃなくて「ハルカウ(Харкаў)」になるね! なんでそうなるのかについては「なぜアザレンカはアザレンカなのか」も読んでね!

їを棒引きで表記するか否か

ウクライナ語にはїっていう文字があるよ! この文字はйのうしろにіを続けた発音を表すんだ! йは半母音/j/で、іは母音「イ」だね! つまりїは/ji/の音を表すわけだよ!

母音/j/ってのは、要するに日本語のヤ行の子音にあたる音だね! ということは、їは日本語でいうとヤ行イ段の音ってことになるね!

……それ「イ」じゃね?

ただ、いちおう「йのうしろにіを続けた発音」なわけだから、「イイ」や「イー」と書くという考え方もありうるんだよね! そう書くと元の綴りがわかりやすくなるよね! іを「イ」で、їを「イー」で書くことにすると元の綴りがわかりやすいかも?

実はウクライナ国名ウクライナ語だとУкраїнаなんだよね! їを「イー」で書くなら「ウクライーナ」にすべきなんだけど、「ウクライナ」が定着しちゃってるから「ウクライーナ」と書くのは違和感があるね!

キエフ? キーウ? クィイーウ?

じゃあ、ここでウクライナ首都名前を見てみようか! ロシア語ではКиевで、これはそのまんま「キエフ」で問題いね

ウクライナ語ではКиївって綴るんだ!

ここまで書いた色んな論点が詰まってることがわかってもらえると思うな! иは「イ」か「ウィ」か? їは「イ」か「イー」か? 語末のвは無声音の「ウ」だけど、発音よりも原綴を重視して「ヴ」と書くべきか?

仮に「иは『ウィ』、їは『イー』、語末のвは『ウ』」で書くなら「クィイーウ」になるね! 「иとїはどっちも『イ』、語末のвは『ウ』」とするなら「キーウ」だね!

仮に「チェルノブイリ」のようにиを「ウイ」と書くなら「クイイウ」とか「クイイーウ」もありかもね! ごめん、やっぱなし! さすがに不自然すぎるね!

個人的には、日本語母語話者発音のしやすさを考えると「キーウ」が一番いいんじゃないかと思うんだけど、表記法には好みってやつがあるからね! どうしても「クィイーウ」じゃないと、という主義の人もいるかもしれないよね! 日本語表記をめぐる議論は最終的には不毛な争いになっちゃうからね!

はてなーの居る場所は既にウィキペディアン2000年代に通過した場所だッッッ

実は、ウィキペディアでは十数年前にウクライナをめぐる喧々諤々の論争があったんだよね! ウクライナ関係記事表記ウクライナ語で表記しよう! という動きが出てきたんだけど、иを「ウィ」で書く派の人が主導してたもんだから日本語母語話者には発音しづらい項目名ばかりになった頃があったんだ!

たとえば、みんなも世界史の授業で「フメリニツキーの乱」について習ったことがあると思うんだけど、乱を起こしたフメリニツキーウクライナ語ではХмельницький (Khmel’nyts’kyi)って綴るんだ! そう、иを「ウィ」で書くと「フメリヌィツィクィイ」になるんだよね! 読みづらいね! 一時期ウィキペディアウクライナ関係記事はこんな感じの表記だらけだったんだ!

さすがにこれは、ということで今は「フメリニツキー表記になってるけど、これもおかしな話だよね! 記事には「ボフダン・フメリニツキー」って書いてあるけど、それ何語なのかな? Богданを「ボフダン」と読むのはウクライナ語だけど、「フメリニツキー」はロシア語だよね! ちゃんぽんになってるね! せめて「ボフダン・フメリニチキー」か「ボフダン・フメリニツィキー」だよね! ちゃんぽんにするくらいならロシア語で「ボグダン・フメリニツキー」って書いた方が幾分かマシなんじゃないかな?

増田中二病をこじらせてた頃は「は~? ウクライナ語の『и』は『ウィ』ですが~?」みたいな感じで「フメリヌィツィクィイ」みたいなややこしい表記推してたんだけど、最近一般人にとっての可読性も大事だよな……」という気持ちになることも増えてきたよ! だから「クィイーウ」に「フメリヌィツィクィイ」じゃなくて「キーウ」や「フメリニツィキー」でもいいと思うよ! でも「クィイーウ」「フメリヌィツィクィイ」派も間違ってるわけじゃないよ! 音楽性の違いってやつだね!

どこまでウクライナ表記を貫徹させるか

法的には、ウクライナ国家語はウクライナ語だよ! そこには疑問の余地はないね! だからウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべきだというのはひとつの見識だよね!

一方で、ウクライナ住民の何割かはロシア語母語にしているんだ! 彼らも代々のウクライナ住民だよ! っていうか、ゼレンシキー大統領母語ロシア語だよ! ある意味ロシア語は「少数言語」という立ち位置なんだよね! 島国じゃなくてだだっ広い平原から、どういうふうに国境を引いても内側に少数派が残っちゃうんだよね!

ロシア語侵略者言語であると同時に、ウクライナの少数派の言語でもあるんだ! 「ウクライナに属するものはすべてウクライナ語で書くべき」というのは、ちょっと意地悪な言い方をすればウクライナナショナリズムの主張なんだよね! たとえば、在日コリアンの李さんや金さんが、自分は「い」や「きむ」だと言っているときに、「ここは日本なのだから日本語読みで『り』『きん』と表記すべきだ」と主張する人がいたとしたら、みんなはどう思うかな?

もちろん、何度も言うけどウクライナ語で貫徹するという方針も間違ってないよ! ロシア語での表記ロシアナショナリズムロシア中心主義じゃないの? と言われたら反論できないしね! ただ、「ロシア語読みを使うべきじゃない」みたいな強い言い方を目にしちゃうと、ん? それってどうなの? とは言いたくなるよね! まあ、増田は色々考えた上でだいぶ前からキーウ」って書くことにしてるけど、今頃になってロシア語読みはけしからんとか言い出した人たちについては眉毛によだれビチョビチョにして見ちゃうよね!

あ、「キーウ」は現代の話ね! たとえば歴史上のキエフルーシかについては、「キエフ」でいいと思うんだよね! その頃はまだ東スラヴ系民族は「ルーシ」という比較的同質性が高い集団で、それがロシアウクライナベラルーシ・ルシンに分かれていったのは近世近代以降の話だからね! 本当は教会スラヴ語のКꙑѥвъに準拠した表記にすべきなのかもしれないけど、教会スラヴ語には詳しくないから読み方がわからないや!

ちなみに「ロシア」も「ベラルーシ」も「ルーシ」が語源だよ! 「ルーシ」はこれら諸民族にとって共通過去なんだよね! 雑な喩えになっちゃうけど、ロシア人にとってのキエフ東日本出身者にとっての奈良みたいなものだと考えるとわかりやすいと思うよ!

ところで、昔はウクライナのことが「小ロシア」と呼ばれてたわけだけど、これはもともとは蔑称じゃないよ! 古典時代ヨーロッパには、近い方を「小」、遠い方を「大」と呼ぶ用法があったんだ! 東アジアの「大小」の感覚で考えてはいけないんだね! アナトリア半島が「小アジア」と呼ばれるのはヨーロッパから見て「近い方のアジア」ってことで、グレートブリテン島の「グレート」はフランスブルターニュ半島より遠くにあるから、つまり「遠い方のブリタニア」ってことだよ! 現在ポーランドには「マウォポルスカ県」と「ヴェルコポルスカ県」があるけど、それぞれ「小ポーランド」に「大ポーランド」って意味だよ! なのでかつてルーシの中心だったキエフの辺りは「小ロシア」って呼ばれてたんだね! まあ、近代以降は侮蔑的ニュアンスなっちゃってるみたいだから、使わない方がいいけどね!

最後に、戦争について

正直めちゃめちゃ憤ってるよ! 今回のプーチンの行いには欠片の理もないよ! 侵略どころか、ウクライナ人という民族存在否定しようとするなんて、ウクライナ人を民族として認めたソ連よりも退行してるよ! 70近くになって怪しい歴史認識に目覚めるとか、実家の親なら笑い話になるかもしれないけど核保有国独裁者だとちっとも笑えないよ!

ロシアから見てNATO東方拡大は脅威なんだ、だからロシアウクライナ侵攻は仕方ない、と言ってる人たちもいるけど、どう考えてもおかしいよね! 仮にそれを是とするなら、日本にとって中国軍拡は脅威なんだから韓国親中政権ができたら日本韓国に攻め込んでもいい、みたいな話になっちゃうよね! 狂ってるよね!

でも、その憤りをロシア人やロシア文化に向けるのは絶対に間違ってるよ! 拉致問題への憤りをコリアンコリア文化に向けてる人たちと一緒だよ! 普通に人種差別だよ! そういう人たちはプーチンの行いを非難するのもいいけどまず自分差別意識と闘うべきじゃないかな?

ロシア文化ウクライナ文化も、どっちも尊重されるべき文化だよ。ウクライナ文化擁護ロシア文化否定じゃないよ。ウクライナ人やウクライナ文化存在否定しようとする侵略者否定されるべきだけど、それがロシア人やロシア文化への否定に繋がってはいけないよ。

増田はどちらの文化も好きだよ。だから本当にこんな事態になってしまって悲しいし、ロシア若者非道侵略戦争に送り込んだ連中には相応の報いがあることを祈っているよ。

追記

ブックマークコメントに応答するね!

yiみたいな発音ロシア語についてもЕは正確にはyeなんだけど、日本語的に普通なエとなるЭよりも頻度高いのをいちいち日本語で言いづらいイェと表記するのクッソしんどいみたいな話に帰するよね…

国際的な転写法でも、Еは普通にeで、Эに特別記号を当ててることが多いもんね! иは頻出するから扱いが難しく、一律で「イ」にしちゃうというのも可読性の面から合理的なんだよね!

BBC,CNNとか見てるとキエフキーウって言うようになったのはいいけどウクライナをユークラインって言ってて、これだから英語話者は…、ってなる。

英語話者ウクライナユークレインって呼ぶのは日本ジャパンと呼ぶようなもんだから、そこは気にならないかな! そんなこと言ったら、日本人も「スペイン」「ポーランド」「クロアチア」「ギリシャ」「オランダ」「アルメニア」「メキシコ」って言えなくなっちゃうしね!

日本人があーだこーだ言ってても始まらん。駐日大使かに、決めてもらったら良いんじゃないか? 国名とかは基本的に、相手からの申し出があって初めて変更って手続きだし。

これは「日本語母語話者ウクライナ語の音を表記する上で、どういう仮名遣いが適切か」って話だからウクライナ人じゃなくて日本人の問題だよ! もちろんウクライナ人には口を出す権利があるけど、基本的には日本人が主体になって決めるべきことだよ!

ちなみに駐日ウクライナ大使館ウクライナ表記の指針を出してるけど、これまで日本ウクライナ研究者たちが使ってきた慣用とは明らかに異質で、可読性も微妙からぶっちゃけ専門家あいだでは黙殺されてるよ! 慣用表記トップダウンで決まるものではなくて色々な議論を経て徐々に決まっていくもので、「明らかな間違い」は排除されるべきだけど「間違いではない表記」は何種類も存在するんだよね!

っていうか、国名の変更は、あくまでも「政府在外公館名称として定める国名」を法文上どう書くかという話であって、民間の慣用表記とは無関係だよ! たとえば、日本外務省は長らく「ヴィエトナム」って表記を使ってきたんだけど、日本の慣用表記は一貫して「ベトナム」だったよね! つまり外務省呼称とその社会における慣用表記はまったく別なんだね!

国名表記の移り変わりについてはいくつもの研究があるけど、たとえば、「ロシア」などの主要な国名表記がどんなふうに成立してきたかを論じた『外国地名受容史の国語学研究』っていう本が面白かったよ!)

キエフ大門」は「キーウの大門」になるんだろうか

ベニスの商人』が『ヴェネツィア商人』になったという話は聞かないから、芸術分野での慣用表記はまた別なんじゃないかな!

あっ詳しい人が居たから教えてエロい人!お菓子屋のMorozoffはどうしてMorozovじゃないの?あとgoncharoffも。

昔は綴り無視して発音に忠実なfって書いてたってことだと思うよ! 「転写」と「翻字」の違いだね! 詳しくはググってね!

言語に忠実に表記しようとする努力議論があるだけで偉いよ。英語はめちゃ乱暴やし。ウクライナユークレインハルキウカルキヴ、クリミアクライミア英語アルファベットで読むだけ。

クリミアクライミアでもいいんじゃないかな! ロシア語だとクルィム(Крым)、ウクライナ語だとクルィムかクリム(Крим)、クリミア・タタール語だとクルム(Qırım)だから、「クリミア」って時点でもう西欧呼び方なんだよね!

2021-07-14

チェコ民族意識社会主義ブルマー

序文

あれだけブルマーについて調べたのだから、しばらくはブルマーに対する知的関心も収まるだろう。そう思ってはいものの、何となくツイッターブルマー検索したときに、ヨーロッパ女の子ブルマー姿を目撃し、疑問が再発した(画像はこちらフェチの人のアカウントにつき注意)。結局、東欧ブルマーの普及っていつからだったんだ?

以前の調査でも、チェコポーランドにもブルマー存在していることまでは調べたが、言語の壁もあり画像検索にとどまっていた。ならば、まとまった時間が取れたことだし、しっかり調べてみるべきではないだろうか。元々チェコ文化には文学音楽を通してなじみがあることだし。ドヴォルザークいいよね。

調査方法

チェコ体操着事情

社会主義政権下では、制服を着て体育の授業に出るのが義務であった。

体操服としての制服は、第一共和国時代(1918-1938)にはすでに一部の学校やソコル(後述)で必要とされていたが、社会主義時代になって初めて一斉に普及し、広く統一されたものとなった。

男子は白いタンクトップに赤い短パン女子は短い袖に青いスエットパンツだった。この強制され対象階級のない社会主義未来象徴だった。これは1965年チェコの3回目のSpartakiada(東側体育祭、後述)のためにデザインされ、70年代から80年代にかけてが最盛期であった。1985年のSpartakiadaではチェコ国旗三色再現するため、赤いブルマも導入されたようだ(ここは誤訳かもしれない)。

女子の短パンはお尻の周りゴワゴワとまとわりつき、ウエストは高く、太ももにはゴムが入っていた。ブルマーによく似ているが、体育の授業のたびに太ももに跡がつくくらいきつかったという。

ちなみに、この時代運動靴は後に普段使われたり、バレーダンサーがはくようになったりしたそうだ。のちに、ポーランドなどに輸出もされたらしい。

Jednotný cvičební úbor: noční můra děvčat za socialismu - ExtraStory

https://www.abczech.cz/Jednotny-cvicebni-ubor-P7035300.html

ソコル

プラハで創設された民族的体育運動協会。現チェコ国民性形成重要役割を果たしたと言われる。元々はハプスブルク家から独立を目指す意図を持っていた。

ソコル設立の動きは他のスラヴ系民族にも波及し、1908年スラヴ・ソコル連盟設立された。チェコ以外にもスラヴ諸国連盟が加入し、1912年にはプラハで全スラヴ・ソコル祭典が開催される。1926年には180,000の観客を収容可能マスゲームの上演のためのGreat Strahov Stadiumが完成。

大戦間にソコルはより発展するが、ソビエト連邦では活動禁止された。ナチス下では解散させられるが、戦後協会は再建される。しかし、共産党政権下では東欧諸国のソコルは事実上活動禁止され、協会国外活動継続した。1948年プラハで開催されたソコル祭典の集団演技には98,000人の学童と273,000の会員が参加し、2週間にわたって行われた大会の中で共産主義政権への反発が露にされた。

チェコスロバキアではソコルの活動が停止した後、社会主義的な演出を施した「Spartakiada」というマスゲームを中心とした体育大会1955年から5年ごとに行われるようになった(後述)。

なお、もともとは同じユニフォームの着用、マスゲームの参加は過去には民族主義による開放感をもたらしていたが、関心が多様化した社会ではそれらの行為は拘束として受け止められているそうである。現に、上から国民教育しようとしたこ運動はあまり成果が出ず、徐々に管理主義的になっていったという。民族自由を求める戦いも、完全にクリーンというわけでもないらしい。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%AB_(%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%8D%94%E4%BC%9A)

Spartakiadaとは

ソビエト連邦スポンサーになったスポーツ大会であるソビエト連邦はもともとオリンピックに対抗し、これを補完しようとしていた。国際Spartakiadaは1928年から1937年に5度開催されたが、のちにこれは東側ブロックの国ごとのイベントになった。名前スパルタクスから来ており、プロレタリア国際主義象徴する。貴族的・資本主義的な(古代オリンピックとの対比になっている。

その後、チェコでは大規模場マスゲームを指す言葉にも転用された。これは先述のGreat Strahov Stadiumで5年に一度開かれた。規模は非常に大きく、1960年は75万人が国中から参加し、200万人がイベントを目にしている。

1955年から5年ごとに開かれたが、1970年プラハの春で中止、1990年ビロード革命で中断され、小規模な形で再開した。

1994年以降ソコル祭典は6年ごとに開かれているが、祭典のマスゲームパレードに参加する会員の多くは過去のソコルに馴染みが深い高齢者で占められているらしい。

Spartakiad - Wikipedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Spartakiad_(Czechoslovakia):title]

結論

今後の研究


今後も調査継続したい。

2020-10-10

異端の鳥』をネタバレありまくりレビューする

ネタバレありまくりだよ。ネタバレ嫌ならそっ閉じを願うよ。

 

異端の鳥』とは?

僕はパンフレットも買わず事前情報も得ずに見たので、Wikipediaが一番簡潔で良かったのでコピペするよ。

異端の鳥』(いたんのとり、原題:Nabarvené ptáče / The Painted Bird)は、2019年制作チェコウクライナ映画

第二次世界大戦中、ホロコーストを逃れて疎開した1人の少年が、様々な差別迫害に抗いながら強く生き抜いていく姿を描く。ポーランド作家イェジー・コシンスキ原作の同名小説映画化。第76回ヴェネツィア国際映画祭ユニセフ賞受賞。R15+指定

なお、本作の言語には舞台となる国や場所特定されないよう、インタースラーヴィクという人工言語が使われている。この言語映画使用されるのは史上初めてのことである

第32回東京国際映画祭ワールドフォーカス部門では「ペインテッドバード」のタイトルで上映された。

この原作本は日本でも買えるよ。映画公開で急速ランクアップで現在売れ筋・その他外国文学作品部門Amazon第8位。『ペインティッド・バード (東欧想像力)』だよ 。高いな、しかし。5千円以上ってどういう事?よく知らね。

で、原作では6歳の少年らしいが、それはあり得ないね。せめて8歳にしておかないとあれは無理だろう。6歳であれだけのことが出来るって芦田愛菜並だ。ともあれ、6歳では演技不能なので、多分主役を演じたペトルコトラール君は10歳くらいではなかろうか。もちろん彼は無名新人だ。

 

超豪華俳優ペトル君の脇を支える。

しかし、ペトル君の周りを固める役者さんは豪華だよ。最も豪華なのはなんと言ってもハーヴェイ・カイテルだろうね。でもハーヴェイは大した役所ではない、アル中司教だ(いい人だがな)。

とんでもねーのはウド・キアだ。悪役はいっぱい揃ってるが、この人の演じた村人役は凶悪すぎる。この映画の最優秀演技賞はウド・キアで決まりだろうな。

そして、変態少年性愛者を演ずるこれまた名優、ジュリアン・サンズ。流石にこいつは許せなかった、と思ったら少年ジュリアンを爽快な殺し方でやっつける。最高だったね、拍手喝采したくなった。

めっちゃ色んなハリウッド映画に出てる名脇役ステラン・スカルスガルドも、この人はドイツ軍兵士のいい人役で出てきます。印象には残りますが、少年を逃してくれるだけで特にたいした役どころではなかったかな。

で、極め付けは、なんと言ってもジャクソン二等兵だよ!いーかいジャクソン二等兵が出てるんだ!そうだよ、『プライベートライアン』であの教会天辺で死んでたかと思ったら、なんと生きていつの間にか赤軍兵士になってたんだ! え? バリー・ペッパーのことだろ?って? ちげーよ!ジャクソン二等兵だよ。ホントなんだってば! いきなり歳食ってて渋くなってびっくりしたけどあれは間違いなくジャクソン二等兵だ! 見ればなんの話かわかる。

 

歴史的知識があれば二倍美味しいだろうね

でも、多分日本人鑑賞者の大半は歴史知識があまりない状態で見るだろうから、感動は少ないだろうね、きっと。でもホロコースト歴史を知っておくと、これは感動するよ。このペトル君演ずる少年ユダヤ人だ。家族ユダヤ人だ。家族父親しか出ては来ないが、ともかくユダヤ人家族少年物語だ。ホロコーストでは、ナチスユダヤ人絶滅政策をとっていたことくらいは知っているだろうが、実は、絶滅はさせるつもりだったが、労働適格者は強制労働をさせるために生かして残していたんだ。ではもう一方の労働不適格者とは? それは老人であり障害者であり重病人だったり、そして14歳未満の子供なのであるアウシュヴィッツユダヤ人強制移送されると、労働不適格者は駅について選別されると、3時間程度以内にシャワーに入ってーと親衛隊に騙されてガス室送りにされ殺されたのだ。当然このことは親衛隊は言わなかったが(別の地域に住んでもらうとしか言わなかった)、噂レベルユダヤ人だって知っている人は知っていた。それで、ペトル君の家族ペトル君だけを疎開させたのである。殺されるかも知れないから。これを知っているのと知らないのとでは理解大分違うはず。あともう一点、ユダヤ人強制収用施設はたくさんあったが、アウシュヴィッツけが登録囚人の腕にナンバーを入れたのである。これも豆知識として知っておくといい。

あと、この映画舞台映画の中では一切明かされないが、ソ連領域を含む東欧地域であることは間違いない。使用される言語インタースラブ言語インタースラヴィク)と言って、スラブ民族の言語の特徴を全部混ぜ合わせて作った人工言語使用している。故に言語はそれっぽいのに地域特定できないようにしてある。この映画史実を背景にしたフィクションであり、見方によっては仮想世界の話とも取れるだろうから、これはうまいと思ったね。安易英語にしなかったのはナイスアイデアだ。

 

で、具体的にはどんな話なの?(ネタバレ有りだよ!)

冒頭、ペトル君(この少年名前最後最後になるまでわからない)が、林の中を誰かから逃げているところから始まる。少年は胸に白い何かフェレット?のような生き物を抱えている。しかし追手にすぐに捕まり、その生き物を奪われて、その生き物に可燃性の灯油か何かをぶっかけられ、その生き物をその場で焼き殺される場面からスタートだ。いきなりこの残酷描写には目を背けたくなる人も多いだろう。そのフェレットのような生き物がまさに焼き殺され、その場を燃えながらのたうちまわるその生き物の映像。これはキッツイぞ。それを茫然と見つめる以外にない少年の虚な視線

しかしこの冒頭のシーンを理解できる日本人は少ないだろう。これは、今からこの少年ホロコースト物語が始まるという合図に相違ないのである。何故ならば、ホロコーストの原義は古代ユダヤ儀式、生き物の丸焼きを生贄として捧げる、だからである。これをわかった人は多分、ほとんどいないはず。親がこの少年疎開させホロコーストから逃したと思っていたら、それは違うぞ、と。

 

その通り、疎開先で預かってくれた老婦人が夜中突然死し、びっくりした少年がランプを落としてしまって、それが原因でその孤立した一軒家は全焼。そこから彼のホロコーストの旅が始まるのである少年は設定上は6歳? でも10歳くらいにしか見えないんだけど、それはともかく、大人に世話にならないと生きていけない。彼は家に帰りたかっただけなのだが、ともかく大人に構ってもらわないと、ということで色んな大人に預かってもらい続けることになるのだ。その預かられた先ごとに一つの章になっている。その章ごとに預かってもらった大人名前を章タイトルにしている。何章くらいあったか覚えてないけど、十件はなかったかなぁ……順番もあんまりよくは覚えていないが、とにかく残酷物語だらけ、と言っても結構リアルっぽさを出してあり、普通ホラー映画のようにはっきりと悪という人はいない。でもそれだけに、本物のリアルな悪なので、ホラーよりずっと恐ろしいぞ。

 

悪魔払い?の婆に飼われる

多分これが一番最初だったんじゃないかなぁ? よくは覚えていないが多分そう。この少年は見栄えが少し人と違うのである。もちろん放浪してきた少年がやってきたその村からすればそもそも余所者なのだけど、とにかくその村の村人たちは、到底近代世界の住人ではなくって、風習迷信だけで生きている世界の人たち。少年はその悪魔払いのババアに「この子悪魔の子だ」と勝手に決めつけられて、ババアに買い取られるのである。要はこのババア助手が欲しかったのである。そして少年助手として実際には結構丁重に扱われ、見ている側としては若干肩透かしを喰らう。で、映画宣伝に使われている地中に埋められて首だけ出して、カラスに見つめられる写真があるが実はそれ、虐待ではなくってババア少年に対する治療施術なのである少年はどうやら当時流行しまくっていた発疹チフス罹患したらしかった。

でもま、カラスに突かれまくって血塗れになるのだけど、ババア少年を助けてくれるのだ。お前が悪いんだろうが・・・と言いたくなったが、それはまぁ演出と言うことで。

 

狂気の家父長性代表的理不尽親父、ウド・キア

確かねぇ、その前にもう一つエピソードがあったと思うんだ。多分だけど、林の中で足に怪我をしたがために見捨てられた馬を、少年放浪中に助けてあげようとして次の村まで連れて行くんだよね。でも馬が足を怪我したらサラブレッドがそうである様に殺されちゃうんだよね。このシーンが結構えげつないんだけど、それはさておき、その村人のある男が川で釣りをする(つっても奴隷作業だよ)少年を脅かして少年が川に落ちて流されてしまう。そのたどり着いた先がウド・キア世帯主の家だった。救ったのは親父の妻とその家で働く雇用人。

とにかくこの親父、理不尽親父の象徴みたいな奴で嫁に体罰するのが日常茶飯事。で、ある雨の日、親父が家に帰ってくると何故か頭陀袋を持って家に入ってきた。そしてディナーの時間になる。ところがこの頭陀袋、まるで生き物の様に蠢くので、まさか子供でも入ってるの?とドキドキするのだが違った、白黒斑のネコだったのである意味不明)。そしてこの猫が以前から飼われていた猫といきなり交尾をし始める。それを見ながら食卓食事をする親父と妻と雇用人。ところが親父、いきなりブチギレてテーブルをひっくり返す。いわく雇用人に詰め寄って「てめー!俺の嫁セックスしようと思ったろ!許せねぇ!テメェみたいな奴にそんなふしだらな目玉はいらねぇ!」とその場で雇用人の両目玉をスプーンでくり抜くのである。怖すぎっだろw 一応伏線は貼ってあったけどね。

で、少年、目玉をくり抜かれて家を追い出された雇用人を、その目玉を拾って、自分荷物もまとめて出て行くのであった。途中目玉をくり抜かれた雇用人が木の根元で苦しんでいるのを発見、目玉を返してあげるのであった(返しても意味ねーだろうが、少年にはそれはわからなかったのであろう)。

 

変態少年性愛ジュリアン・サンズが酷いことに。

エピソードがとにかくてんこ盛りなので順番がよくわからないんだけど、少年がね、これも確か野原を放浪してたのかなぁ? んでね、その近くでユダヤ人移送列車からユダヤ人たちが逃げ出そうとするシーンがあるんだ。全員親衛隊に結局銃殺されるんだけど、その中で一人だけ生き残ったユダヤ人のおじさんと遭遇するんだけど、親衛隊に見つかり二人して町まで連行されるわけ。で、おじさんは銃殺されるけどハーヴェイ・カイテル演ずる司教に助けてもらうわけさ。で、最初教会で一緒に暮らすことになるんだけど、司教病気少年をあまり構ってあげられないからと、その少年に気があったジュリアン・サンズ司教から預けられることになるわけ。で、観客の期待どおり、犯されてしま少年。この映画、本当に少年をこれでもかと虐待しまくりますが、個人的にこのシーンが一番キツかった。だって、シーン自体は見せないで悲鳴けが聞こえるのです。これは流石に堪えました。かわいそ過ぎます。でもですね、この後少年が森の中へ出かけるのですが、偶然、小さな軍事トーチカ発見します。そこで二つの重要発見します。一つは折り畳みアーミーナイフ、これは拾って持って帰ります。もう一つはそのトーチカ天井部分の天辺に開いた口径メートルくらいの穴です。覗き込むと・・・ひぇぇ大量のネズミがいたわけです。気持ち悪過ぎですが、とりあえず少年サンズの家に戻ります。で、色々あって少年拷問されて後ろ手に縛られるのですが、持っていたアーミーナイフでそのロープを切ろうとしたらこれがバレてしまます。で、サンズは「一体そのナイフどこで拾ったんだ?」と言うことで、現場へ二人で行くわけですよ。ところは少年は機転をきかせますサンズうまいことそのネズミの穴に落としてしまうのです。えええええ? となりますよ。恐ろしすぎるぞ、あんなの。もちろんサンズネズミに食われて死亡。

 

そしてその後、もっかいカイテル教会に戻るのですが、ちょっと教会作業をしくじって肥溜めに投げ捨てられます。これは予告編にもありますね。で、きていた服を川で洗って、放浪再開。

 

多分、順番間違えたが、小鳥屋のおっさんの話

思い出しました。確かー、悪魔払いのババアの次がこのエピです。あんまり印象ないんですよね。いい人なのか悪い人なのかよくわかんないんですよ、この小鳥屋のおっさん。んで、とにかく小鳥屋のおっさんの家で一緒に暮らし始めることになる少年なのですけど、ここによくわかんない全裸の女が小鳥を持ってやってきます。この女、生きてる目的が性欲しかないのです。でも何故かこの小鳥屋のおっさん、この女に惚れちゃったんでしょうね。ともかくおっさんはその小鳥をもらって、その場で野外セックス

で、順番的に言うと、重要なシーンが入るので説明すると、この小鳥屋のおっさんの家の外に、少年おっさんがいます。そして、少年は手に持たされた小鳥の一羽の羽を広げる様に言われます、するとそのおっさん、その小鳥に何やら白い絵具の様なものを塗りたくります。そして、その小鳥を空へ放つと、その小鳥はちょうど空を待っていた同じ小鳥の種の大群の中へ入って行くのですが、その小鳥は大群の突き回されて、死に絶えて地上にいた少年の足元に落下するのです。どうやら、その塗りたくった絵具に小鳥の餌が混ぜてあった様です。おっさんが何故そんなことをしたのか理由不明ですが、これが映画原題である「The Painted Bird」です。そんなに考えなくとも、これがテーマだって分かりますよね?

そして、その変態性欲女、村の餓鬼どもを誘惑してセックスするのですが、これが村のその子供たちの母親たちの逆鱗に触れて、集団リンチを喰らいます。瓶をマンコに突っ込まれ、それがおそらく原因で死んでしまうわけです。僕は平気だったけど、これもまたキッツイシーンですよ。それで、その女に惚れていた小鳥屋のおっさんはショックで首をつって自殺しようとするのですが、それを発見した少年、あまりに苦しそうなので、可哀想だと思ったのか、おっさんの足元にぶら下がって自分を重りにして死なせてあげるのでした・・・これもまたキツいシーンです。

 

出ました、ジャクソン二等兵!痺れるかっこよさ!

もうね、三時間もある映画からエピソードてんこ盛りすぎて、端折らないとね。変態性欲女がもう一人出てくるんですが省略です。ソ連コサックとかの話もあるけど、それも省略。とにかく、ジャクソン二等兵ですよ、二等兵。色々あって放浪しているうちに、今度は赤軍駐屯地少年保護されます。ここはいい人ばかりです。そして、テントの中にいると、ジャクソン二等兵が登場! ええ、赤軍将校を演じたバリー・ペッパーなんすけどね。確かプライベートライアンの後、父親たちの星条旗くらいでしか見た記憶がなかったんですけど、最初誰だろう?と思ってたんです、事前情報なしで見たから。で気がついたジャクソン二等兵だ!と。そいでね、少年はおそらく、ジャク……じゃねぇや、そのバリー・ペッパーに多少憧れたのでしょうね、ある夜、バリーライフルを持ってテントから出て行くのです。あれ?逃亡でもすんの?と思っていたのですが、実は仕返しをしに行くつもりだったのです。その出て行く夜に事件があったのです。駐屯地の外へ出た赤軍兵士数名が、近くの村人に殺されたのです。理由はよく知りませんが、赤軍を嫌っていた村人とかがいたのでしょうか。そのバリーの後を少年がついていったわけですよ。そして、村から少し離れたところにある、木の上で朝食を取る二人。それが済むとバリーライフルを構えるわけです。そうです、ジャクソン二等兵なのです! どう考えたってこれはウケ狙いです(笑)。木の上から確か五人、村人を正確な照準で殺すのです。そしてジャクソン……じゃなくてそのバリー演ずる赤軍将校少年にこう言います。「やられたらやり返せ」と。

 

そして、父親との再会……落涙必死

と書いてアップしたら文字数制限に引っ掛かったんで、続きはこちらへ。

https://anond.hatelabo.jp/20201010201653

2020-07-07

まり白人どもってマスクしていない奴が多くて迷惑

街にいるアングロサクソン風やスラヴ風やラテン風の人種の人たち──つまり白人どもってマスクしていない奴が多くて迷惑

2019-04-09

ドラゴンが火を吐きはじめたのっていつごろなの?

ギリシャ神話のテューポー

今日ギリシア神話として知られる神々と英雄たちの物語の始まりは、およそ紀元前15世紀頃に遡ると考えられている。物語は、その草創期においては、口承形式でうたわれ伝えられてきた。紀元前9世紀または8世紀頃に属すると考えられるホメーロスの二大叙事詩イーリアス』と『オデュッセイア』は、この口承形式神話の頂点に位置する傑作とされる。

巨体は星々と頭が摩するほどで、その腕は伸ばせば世界東西の涯にも達した。腿から上は人間と同じだが、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしているという。底知れぬ力を持ち、その脚は決して疲れることがない。肩からは百の蛇の頭が生え、火のように輝く目を持ち、炎を吐いた。

半人半蛇だけど「炎を吐く邪悪な蛇」のイメージにはなっているかも。

ギリシャ神話怪物はだいたいテューポーの子孫だし。

ギリシャ神話ラードーン

ラードーン(古希: Λάδων, Lādōn)は、ギリシア神話に登場する、林檎園の黄金林檎を守っていた、100の頭を持つ茶色ドラゴン

(中略)

から炎を吐き、一説では顎の関節が尾にある為、体全体が口のようになっており、百の首を持つといわれている。

と、Wikipediaには書かれているが、ラードーンが火を吐くかどうかは定かでない。

何が出典なんだろ?

旧約聖書レヴィアタン

ヨブ記』(ヨブき、ヘブライ語:סֵפֶר אִיּוֹב)は、『旧約聖書』に収められている書物で、ユダヤ教では「諸書」の範疇の三番目に数えられている。ユダヤ教伝統では同書を執筆したのはモーセであったとされているが、実際の作者は不詳。高等批評に立つ者は、紀元前5世紀から紀元前3世紀ごろにパレスチナで成立した文献と見る。

ヨブ記』によれば、レヴィアタンはその巨大さゆえ海を泳ぐときには波が逆巻くほどで、口から炎を、鼻から煙を吹く。

(中略)

その姿は、伝統的には巨大な魚やクジラやワニなどの水陸両生の爬虫類で描かれるが、後世には海蛇や(それに近い形での)竜などといった形でも描かれている。

ドラゴンになったのは後世。

サラマンダー

プリニウス著作で唯一現存しているのが、自然芸術についての百科全書的な37巻の大著博物誌である自然界の歴史網羅する史上初の刊行物であった。

(中略)

最初10巻は77年に発表され、残りは彼の死後おそらく小プリニウスによって公刊された。

プリニウスの『博物誌10巻には、サラマンドラは斑点を持つ小さなトカゲで、雨が降ると現れるが晴れると姿を消し、体が冷たく火に遭うと溶けると記録されているが、これはサンショウウオに関する記述と考えられている。

また、『博物誌11巻にはピュラリスというキプロスの炉の炎の中でしか生きられない動物が登場しており、精霊サラマンダーこちらに近い。上記の通り、炎を操る特徴からファイアードレイクと同一視され、ドラゴンとして扱われることもある。

「ベーオウルフ」のドラゴン

『ベーオウルフ』が成立した時期は、作品内部にも外部の言及としても成立の時期を特定する記述存在しないため、必ずしも明らかではないが、8世紀から9世紀にかけての間に成ったと考えられている[3]。

第一部でベーオウルフは巨人ドラゴンとも言われている)グレンデルとその母親と戦い、第二部では炎を吐く竜と死闘をかわす。 なお、インパクトが強くかつ謎の多いグレンデルとその親に関しては言及されることが多いが、炎を吐く竜に関してのものは少ない傾向にある。だが、同時にいわゆる「ドラゴン約束事」(財宝を蓄え守っている、翼を持って空を飛ぶ、火を吐くなど)をほぼそろえている珍しいドラゴンでもある。

スラヴ神話のズメイ

スラヴ民族文字を持たなかったため、伝えられた神話民族独自に記録した資料存在しない。スラヴ神話存在した事を記す資料として、9世紀から12世紀の間に行われたキリスト教改宗弾圧の際の「キリスト教」の立場から記された断片的な異教信仰を示す内容の記述が残るのみであるスラヴ神話地方により様々なバリエーションがあったことが近年の研究により明らかになっている。

ズメイ・ゴルイニチ(「山の息子の竜」の意)の場合、3つ首以上、多ければ12体幹を持つと表現され、火や毒を噴くなど、歴然とした一般の「竜」のイメージで描かれる。

アングロサクソン年代記ファイアードレイク

アングロサクソン年代記』はアングロサクソン史を古英語で綴った年代記集大成である編纂9世紀後半のアルフレッド大王の治世に、恐らくはウェセックスにおいて行われた。

火の竜」を意味する名前の通り、炎をまとい、口からも炎を吐く。空を飛び、それが現れる時は辺り一面、昼のように照らされる。曇天の空に不思議な光が走る時はファイアードレイクが飛んでいるのだとされた。

隕石という説があるらしい。

獅子騎士イヴァン」のドラゴン

イヴァンまたは獅子騎士』(イヴァンまたはししのきし、Yvain, le Chevalier au Lion)は、1170年から1181年頃にかけてクレティアン・ド・トロワにより著作された散文騎士物語であり、アーサー王伝説主題にした5作品ひとつである

イヴァンは旅の途中で火を吐く大蛇獅子が戦っているところに出くわす。イヴァンは問答のすえ獅子に加勢し、大蛇を倒した。これに恩義を感じた獅子は、イヴァンと行動を共にするようになり、イヴァン獅子を連れた騎士とだけしか名乗らなくなる。

黄金伝説」のドラゴン

黄金伝説』(おうごんでんせつ、羅: Legenda aurea または Legenda sanctorum、レゲンダ・アウレア)は、ヤコブス・デ・ウォラギネ1230頃 – 98)によるキリスト教聖人伝集。1267年頃に完成した。

その時代エチオピアの町では一人の魔術師権力を持っていた。彼は常に恐ろしい二匹のドラゴンを連れていて、自分にはむかう者にけしかけていた。あまり大きなドラゴンではなかったが、口や鼻から火や燃える硫黄を噴出し、人や家を焼きつくしたので誰も魔術師に反抗できなかった。その噂を聞いたマタイ魔術師の元を訪れた。魔術師マタイドラゴンをけしかけたが、マタイが十字を切るとドラゴンは地面に倒れて眠り込んでしまう。

同じく「黄金伝説」に書かれている、有名な聖ゲオルギウスが退治したドラゴンは、毒を吐くが火は吐かない。

マルタが退治したタラスクは、「燃える糞を撒き散らす」と言われているけど、これ英語版では確認できなくない?

タラスクは、レヴィアタンボナコンの子なのだが、ボナコンの特徴である燃える糞」が、日本語訳されるとき混同されたのでは。

といったところから考えると、5世紀くらいまでは「火を吐くドラゴン概念は薄かったが、

8〜9世紀から伝承として語られはじめて、1012世紀頃にはすっかり定着していたという感じだろうか。

なぜ火を吐くようになったのか?

候補1:サラマンダーとの混同

サラマンダーは、火をより大きく燃え上がらせる能力があり、火山溶岩の中に住んでいるという伝承もある。

ズメイや、ヤコブドラゴンは、吐く息から硫黄臭いがするといい、火山連想させる。

候補2:雷や隕石などの自然現象に由来

ドラゴンには「地を這うドラゴン」と「空を飛ぶドラゴン」の二種類のイメージがあるが、

蛇や蜥蜴からは空を飛ぶイメージしづらいことを考えると、隕石から連想には説得力がある。

候補3:「身体が灼けるような猛毒から「火」に転じた

古典的ドラゴンはやはり「蛇」「毒」のイメージであり、

そこから火を吐くように変わっていったことを考えると、これも自然解釈に思われる。

うーん、わかんね。

anond:20190408143752

追記

というか最初、つまりギルガメシュ叙事詩(フンババ)の時点で『その口は火で、その息は死』と形容されてる。強力な怪物が火や死を吐くのは有史以前からの常識で、「最初から吐いてたが記録に残ってなかっただけ」では - cider_kondo のブックマーク / はてなブックマーク

フンババの咆哮は洪水であり、彼の口は火を意味し、吐息はまさに死である」というのは単なる比喩なのでは。

まあ比喩として記述されたものが、後に「そのもの」として受け取られるのは、この手の伝説ではよくあることだけれども。

仮にフンババが火を吐くとしてもそれだけで「もともと怪物は火を吐くのが常識」というのは飛躍ではないかと思う。

2019-01-22

アスタリスクゲートの奈落タルタロス》に不幸的な偶然で三種の神器雷光)の使役<エンスラヴ>を付与されし魔樹の枝接触しちゃった

永遠なる時間の輪から出てこねェんだがいかがしたらいいんだ?

アスクレピオスに導かれるにしても預言書に示された通りのシンクロニシティフェノメノンどうやって我々の言語翻訳したらいいのかわからん

こう云うことが偽りの平和謳歌する者どもの身にも起こりうるんだ…そして、この地上は滅びつつあるのだから

如何我々の言語翻訳するか未来に思い巡らせてみないか

2018-09-05

ペガススで思い出した

死語母語者がいない言語)の発音IPA国際音声記号)に変換するソフトいか

英語仏語日本語中国語とかはwikipedia付属ツールとかでIPAに変換できるんだけど

古典ラテン語とか古代教会スラヴ語とかサンスクリット語とか漢文上古音とか

中2創作系で使えそうなのがない

死語テキスト自体聖書聖典ならテキトーに探してもあるだろと思ったけど

古代教会スラヴ語の聖書みつからね。ネットおんぃでは限界あるかも

2017-04-18

20170406_ミュシャ

ちょうど仕事の谷間も時期だったので、衝動的に有休を取って平日の昼間に六本木国立新美術館まで行ってミュシャ展を観に行った。

連休にぶつかると混雑は必至なのはわかっていたので、そうなる前に観に行きたいと思って行ったのだが行って正解だった。

はいえ、平日にも関わらずそれなりに人が多かった(ちょうど草間彌生展も同時開催してたので、そちらの客入りの影響もあったのかもしれないけど)。

少し前のNHK特番を見て予習したのだが、やはり生で観るのとでは迫力が全然違った。

まず、ミュシャの画風がスラヴ叙事詩とそれ以前(パリポスターとか広告絵を書いてた頃)で全くの別人のようで大変驚いた。

スラヴ叙事詩はそこに描かれた苦難の時代を生きるスラヴ人眼力の凄まじさに、まさに射竦められる心地がした。

「残りの人生スラヴ民族のために捧げる」というミュシャのの真摯姿勢が感じられた。

一般的ミュシャイメージといえば、パリ時代サラ・ベルナール舞台ポスター代表される作品群だが、これはこれでもちろんよかった。

花と女性四部作に描かれる女性官能的だけど、決して下品ではないエロティズムが魅力的だった。

「花と女性」だけでなく、宇宙的なモチーフ(太陽・月・六芒星星座)も取り入れられてるのも特徴的だった。

故郷チェコ(当時はチェコスロヴァキアか…)に戻ってからパリ時代ポスター画みたいな作品をいくつか描いているが、

そこに描かれる女性は少し趣が異なる、スラヴ系特有の丸顔が特徴的だった。

朝の10時半頃から昼過ぎの14時までゆっくり鑑賞することができて満足した。

帰りは遅めの昼食を東京ミッドタウンの中の店で採った、新宿にもあるだし茶漬けえんで冷汁を食べた。これは美味しかった。

後はついでに近くにあった日本酒ショップで取り扱ってる日本酒三種の試し飲みセットを注文したがこれは正直微妙だった。

保存のせいなのか…どれも苦味が気になってしまい味に違いがあまり感じられなかった。

2010-09-20

http://anond.hatelabo.jp/20100920140612

なんで、汎ゲルマン主義から、

人種民族国籍によって人権に差をつける思想は危険

が導き出されるんだよ。

人種民族によって人権に差をつける思想は危険。」

であって、国籍は関係ないだろうが。

ゲルマンスラヴ民族名であって、国家じゃない。

2007-12-24

anond:20071224014348

アニメ調の絵にヒントがあると思うんだ。……いや、私が二次好きだから言うんじゃなくね。

例えば、大きな目とネコミミ。大きな目は増田の書いているとおりだし、エジプトの壁画や仮面などでも、心持ち目は大きく描かれているように思える。ネコミミは「頭の飾り」と解釈すると、帽子や王冠などに似た効果があるのかもしれない。洋の東西を問わず多くの文明では冠を戴いてきているし、いわゆる未開文化でも、頭に羽根飾りをしていたりする。

これらから考えて、また、いわゆるアニメ調の画像性風俗において、特に童貞的文化において用いられていることを考えるならば、アニメ調の絵に見られる特徴の幾らかは、性的魅力に直結する何らかのポイントを突いているのではないかな、と思う。ただし、不気味なほどに極端なので、普段意識されないだけで。80〜90年代アニメヒロイン、例えばディードリットなんかは既に、細い吊り目だけれども、それでも大きな目をしてる。

で、西洋女性(よりも、スラヴのような東欧系の方が人気あった気がするけど)の問題。彼女らは一重で細目の日本人と比べると、二重で目がぱっちりとした人が多い(ように思う)。そしてまた、ブロンド等の美しい髪。一見すると全然違うように見えて、アニメ調的方向性に近いのは、実は西洋人なんじゃないかな、と。

 
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