はてなキーワード: サンスクリット語とは
いよいよ明後日が大統領選挙本番ですよ! むっちゃドキドキしてきた……有権者の皆さん、今日くらいは選挙に備えますよね?
そういうことで、4年前(anond:20201105075811)に引き続いて、次の大統領はどうなるかを書いてみる。
これまでの史上最高齢での就任記録は、現職ジョー・バイデン大統領の78歳2ヶ月だが、ドナルド・トランプが就任したら、78歳7ヶ月での就任となり、史上最高齢。この場合、「史上最高齢で1期目を開始した大統領」と「史上最高齢で就任した大統領」は別人になる(前者がバイデンで後者がトランプ。バイデンの就任前は、前者がトランプで後者がロナルド・レーガンだった)。
アメリカ大統領の任期は最大で2期8年だが、2期務める場合はたいてい連続した2期を務める。しかし、トランプは2017~2021年、2025~2029年という非連続の2期を務めることになる。これは、19世紀のグローヴァー・クリーヴランド(1885~1889年、1893~1897年)以来、132年ぶり2人目。
歴史上、弾劾訴追され弾劾裁判にかけられた大統領は3人いる。このうち、アンドリュー・ジョンソンは再選を断念し、ビル・クリントンは2期目の途中だったのでその後の大統領選挙に出る資格を持っていなかった。トランプは、弾劾裁判にかけられたにもかかわらず再選された初めての大統領ということになる。
大統領と副大統領はペアで選ばれる。したがって大統領1人につき、彼に仕えた副大統領も1人というのがふつうだが、トランプは今回の選挙にあたって副大統領をマイク・ペンスからJ・D・ヴァンスに入れ替えた。1人の大統領に2人以上の副大統領が仕えることになったのは、リチャード・ニクソン大統領時代の1973年にスピロ・アグニュー副大統領が汚職疑惑で辞任して、ジェラルド・フォード下院議員が副大統領に任命されて以来、およそ半世紀ぶりである。選挙のタイミングで副大統領を交代させた結果としてそうなったのは、1944年にフランクリン・ルーズヴェルトがヘンリー・ウォレス副大統領を降板させてハリー・トルーマン上院議員を副大統領候補にすげ替えて以来、80年ぶり(なお、1976年の大統領選挙ではフォード大統領がネルソン・ロックフェラー副大統領を勇退させてボブ・ドール上院議員を副大統領にすげ替えたが、負けたのでここではカウントしない)。
カマラ・ハリスは、ヒラリー・クリントンが成し遂げられなかった悲願を達成することになる。
個人的には南アジア系と東アジア系を「アジア系」でごっちゃにするのはどうかと思うが、それはそれとして、彼女はインド系なので、初のアジア系大統領となる。
ハリスは黒人でもあるので、バラク・オバマ以来2人目の黒人大統領となる(アメリカの闇は、オバマとハリスがいずれも「奴隷の子孫」ではない点だろう。オバマはケニヤ移民の子供、ハリスはジャマイカ移民の子供であって、アメリカ南部で綿を摘まされていた人たちの子孫はまだ副大統領にもなれていない。どんだけ彼らへの差別が激しかったのかという話である)。
ハリスの下の名前「カマラ」はサンスクリット語に由来する。ヨーロッパに由来しない名前を持つ大統領は、オバマ以来2人目(上で書いたように、彼ら2人が移民の子供だという事情もあるだろう。奴隷の子孫である黒人はたいてい英語の名前を持っているので)。
民主党は、ジョン・F・ケネディの跡を襲ったリンドン・ジョンソン以来、2人連続でホワイトハウスを手にしたことはない。ハリスが勝利した場合、ケネディ暗殺以来半世紀ぶりに、民主党から2人連続で大統領が出ることになる。
副大統領は要職だが、選挙に強いかというとそういうわけではない。大統領の死亡や辞任によって昇格した副大統領はこれまでに9人いるが、大統領選挙に勝ってその座を手にした副大統領経験者は6人しかいない。しかも、そのうち2人(ニクソン、バイデン)は副大統領退任後に間を置いて大統領になっているので、現職副大統領として大統領選挙に勝ったのは、これまでに4人だけである(ジョン・アダムズ、トマス・ジェファソン、マーティン・ヴァン・ビューレン、ジョージ・H・W・ブッシュ)。ハリスが大統領選挙に勝利したら、歴史上5人目となる。
ハリス父はジャマイカ移民なので奴隷の子孫じゃないって言う人、南米やカリブ海諸国に多くの黒人が住んでいる理由について考えたことないのかな?この増田なんか歴史に関して論じてるのにあまりに片手落ちじゃない?
不正確な記述でスマソ。もちろんジャマイカ系ということはカリブ海に連れてこられた奴隷の子孫。そこは間違いない。ただ、
という2点があるので、やっぱり本来のアメリカの奴隷の子孫とその他の黒人とを区別することは必要だよなと。不正確なものいいになっちゃったのは申し訳ないけれども。
意味がよくわからず、そこで初めて容姿を見ると、インド系の若い女性だった
彼女は少しだけ顔を濁したように見え、視線から私がカリスマという名前に戸惑っていることが伝わってしまったように思う
申し訳ないなと思った
先ほどネットで調べたところ、Karishmaはインドでよくある女性の名前らしい
意味はサンスクリット語で "miracle", "divine favor", or "grace"とGenminiが言っている
「神からの」という意味が強いにせよ、graceということは日本語名でいうと「恵」みたいなもんなのだろうか
みんな知ってるかもしれんが、一応ここにも書いといて、「恵ちゃん」くらいなもんらしいよと伝えておく
n=1だし、革命前に国をでたイラン人から聞いた話だから偏ってるかもしれないが、イランの国民性がちょっと特殊。
西洋の文化はギリシャ由来で、それもペルシャの真似だと思ってる。
イランというのは、アーリア人の国って意味で、ペルシャはイランの一地方の名前。
イラン人の歴史観は、いつの時代もまずイラン人が文化的な国を作り、栄華を極めたあとに必ず内紛でグダグダになり、その度に馬やラクダにのった蛮族(トルコ人やアラブ人)に滅ぼされるけど、イラン人は優秀だから官僚として取り立てられ、力を蓄え新しいイラン人の帝国を再興させる。それの繰り返しという歴史感。
彼らの中では、アラビア人の国もトルコ人の国もモンゴル人の国も、結局はイラン人官僚が支えてたし、それらの国が栄えたのもその前にイラン人が作った国とその文化があったからという理屈。(追記。なお、ヨーロッパ諸国は産業革命までは辺境。十字軍はエジプトらへんのアラブの蛮族とヨーロッパの未開人の小競り合い)
「NASAにはイラン人が沢山居る。Yahooのナンバー○イラン人、Googleの〜」という感じの自慢話が長い。そういう連中は革命前にイランを出た人やその2世とかだけど、国民性として、知性へのこだわりが強いみたいで、教育には力を入れてる。実際、科学論文数ランキングがかなり高い。注目される論文数で日本がイランに抜かれたとか何年か前にニュースになった。
それはさておき、そういうわけでイラン人は自分たちが特別だと思ってる。イスラムで括られるのも、中東で括られるのもすごく嫌がる。特にアラブといおうものなら、必ず訂正が入る。
「イスラム教は受け入れたけど、アラブ人になったつもりはないから。アラビア語なんかわからんから」
「あれはすごく昔のアラビア語。お経みたいなもん。なにいってるのかわからん。日本人だって卒塔婆のサンスクリット語読めないだろ?ちなみにサンスクリット語もアーリア系だからな」
とのこと。
で、シーア派ってのは、教科書だとアリーの子孫がなんちゃらって習うけど、結局そのアリーの子孫はペルシャの王族の血が入ったから実質イラン人の宗教、みたいな話だとか。イスラムは受け入れたけどアラブ人に上に立たれるのはとにかく嫌らしい。
そんなメンタリティな上に、革命前まで親アメリカだったもんだから、そりゃ中東からは偉そうな調子乗ってる国として総スカン。実際、石油と天然ガスが湧いて調子乗ってたし。シーア派とスンナ派というより、オレ様なイランの自慢がムカつくから、宗教のせいにしてるんだよ。経済制裁でこんだけ絞り上げられててもまだ偉そうだし。
そうすると、ますますイランがアラブ人組織のハマスに肩入れするのがわからない。
パレスチナを国家として承認してないのは、欧米だけ。他の国からしたらイスラエルが他国に侵攻してる。しかも民族浄化しようとしてるという認識。イスラエルに肩入れしてる欧米がおかしい。
そこは「シューニャター」だろ、OpenAIには仏教徒か、せめてまともな教養を身につけた人間はいないのか?
いないんだろうなー。
でも、そういえばOpenAIにはAIがいたな、と思い出したのでChatGPTに聞いてみた。
質問: 西洋人が開発したあるサービスの名前に、色即是空の「空」を名付けました。アルファベットでどう表記しますか?
回答: 西洋人がサービスの名前に「空」を付けた場合、サンスクリット語の「空」は「Śūnyatā」と表記されます。したがって、そのサービスの名前にこの単語を使用する場合は、アルファベットで「Sunyata」と書かれることが一般的です。ただし、サンスクリットの発音や翻字にはいくつかの方法があり、「Shunyata」のように表記する場合もあります。この単語の選択は、サービスのコンセプトや背後にある哲学に深く関連していることでしょう。
元というなら
Gate gate pāragate pārasaṃgate bodhi svāhā
"bodhi svāhā"(菩提・僧莎訶)は、菩提が叡智・悟り、僧莎訶が成就を願う感嘆で、お釈迦様の名前ではないのでは?
菩薩(bodhisattva)のことである菩提薩埵(ぼだいさった)と混同されているかも?
(参考)般若心経について: 極東ブログ
(参考)『般若心経』をサンスクリット原典で読む! - 甚之助の小屋 ※音読例がいくつか動画で載ってるし、語釈も詳しい
(参考)サンスクリット語、中国語、韓国語の「般若心経」: エムズの片割れ ※これも各国の音読例が載ってる
※中村元氏の『般若心経・金剛般若経』(岩波文庫)が著名と思うけど、良さそうな解説ないしは随想のページが見つからなかった
すきなのを選べ
アラビア語: كلب (kalb) - カルブ
アルバニア語: qen - クェン
イタリア語: cane - カーネ
エストニア語: koer - コエル
ギリシャ語: σκύλος (skýlos) - スキュロス
コルシカ語: cane - カーネ
シンド語: کتو (kuto) - クト
スウェーデン語: hund - フンド
スペイン語: perro - ペロ
スワヒリ語: mbwa - ムブワ
タイ語: หมา (măa) - マー
デンマーク語: hund - フンド
トルコ語: köpek - ケペク
トンガ語: ʻulungū - ウルングー
ドイツ語: Hund - フント
ノルウェー語: hund - フンド
ハワイ語: ʻīlio - イーリオ
フランス語: chien - シャン
ブルガリア語: куче (kuche) - クチェ
ポーランド語: pies - ピェス
マケドニア語: куче (kuche) - クチェ
ルーマニア語: câine - カイ
中国語: 狗 (gǒu) - ゴウ
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白人声優を使うのはホワイトウォッシュだという批判と同レベルで
黒人声優を使えという主張がブラックウォッシュ的なものでしかなく、めちゃくちゃ酷い差別的言動であることを解説する。
そもそも、水星人であるスレッタに人種を当てはめるのがナンセンスとかいう話もあるが、
一旦はキャラクターの人種と一致した人種の声優が海外ポリコレ上では最適という前提の話にする。
スレッタ・マーキュリーには作中で外見が非常に似通った人物として、エリクト・サマヤが存在してるのが現時点で判明している。
2人は同一人物か別人かで意見が分かれているところだが、外見上は同一人種と言い切れる位に似てるのは間違いない。
そして、エリクト・サマヤだが、ナディム・サマヤとエルノラ・サマヤの娘だ。
何よりも名字が重要でサマヤはサンスクリット語で意味がある言葉でこれが語源ではないかと言われている
つまり、エリクト・サマヤは人種を推定するならばインド系と白人系のハーフと見なすのが最適だ。
それならば、エリクト・サマヤと外見が似通っているスレッタ・マーキュリーも黒人と推定するのは確実に誤りであり
少なくても肌の色からインド系アジア人として推定しなければいけない。
アジア人を白人が演技するのは誤りで黒人を使えだと?ふざけるなよ。
黒人がアジア人を乗っ取ろうとしてるだけじゃないか。いい加減にしてくれよ。
ついでに言えば、水星の魔女ではグラスレー社の人物など、明らかにスレッタよりも肌が濃い人物が存在している。
ググって一番上にきたのを貼るが、この2人が両方黒人だって?バカにしてるのか?
https://twitter.com/pit_7x/status/1548893488955412480
シャディク・ゼネリは髪や目からしても最低でもハーフな設定である気はするが傍論なので置いておく。
おれが貯めてたシリーズ
数学程ではないが高度な識者同士の議論になると言語学でも何言ってるのか分からんもんなんだな
テレビでありがちなことわざや語源系の蘊蓄のイメージで言語学全体があんなんだったら程度が低い学問だろって馬鹿にしてたんだわな
71鳩摩羅童子(くまら どうじ)2022/10/15(土) 14:33:31.920
68へ
> キミの言う「山ほどある」という対応例を、2、3、ここで提示してほしい
まず、確認しておくが (b-a) という表記は、発音「b」が発音「a」に化けた、ということを表す。before-after の順番の並び。
例えば (b-p) の音通例。--- web 内 page 検索 (Ctrl+F) で 「b-p」と入れれば、在れば、引っ掛かる。
ex0. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/AA_Indo.html
ex1. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_20.html
結果
[ハチ137] ◆へっぞ◆へっそめ◆へっちょめ◆へっつをめ (トンボ。)
【チベ】bu bla ma ni (= dragonfly [IW]) へっそめ (b-p, l-s)
ex2. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_17.html
結果
18
↑ jepi₁ 窓枠 不明 oNpi₁ c. window, frame, sash 全てイマイチ。しかし、これ以外の候補は考えられない。 → やはり、有った。
【趣】ab (= : window; opening; niche 隙間, nook 〔部屋の〕片隅、引っ込んだ場所 (cf., aba) [AB archaic frequency; 384; concatenates 2 sign variants (sign also used for èš and aba - for this reading and meaning in Fara period, see Krebernik, Beschworungen]. ) あぶ/あば、おんぴ (+ん, b-pi), いぇぴ (a-ye)
32
↑ pu 火 武藏 pi, po₂ cf. スワデシュ・リスト 207 個の単語の検証(鑑定)167 番の fire
【趣】bul(4); bu(5) (=: to blow; to ignite 点火する, kindle; to sprout (onomatopoeic). ) ぶ、ひ (b-p)
2
↑ isajo₁p(i₁|u) 躊躇う 不明 isajup
【賛】dvaMdvIbhU (= to become joined in couples BhP. ; to engage in single combat MBh. ; to hesitate or be doubtful (cf. %{-dva-bhUta}).) いさよふ (d 無音, d-s)、いざよひ (d 無音, d-s, b-p)
ex3. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_20_19.html
結果 --- b-p は、ナシ。
----
同一語族であることが証明されているインド・ヨーロッパ語族においてすら、s:s, r:rが常に対応しているとは限らない
74名無し象は鼻がウナギだ!2022/10/15(土) 17:46:55.180
71へ
2)規則にブレ(例外)があるなら、例外が起きる条件や機序を述べるべし
上の例で言うと、「s : s」が本来の対応規則なら、それから逸脱する、「bla : そ」、「d: s」、さらにキミが先だって書いた「ch : t/s」の例外がなぜ発生するのか、その条件と機序を述べよ
3)キミが先に書いた規則(s-s), (b-p), (b-p-m)と、新たに書いた(ch-t/s) (m 無音) (r-r) (p-p)のどちらが正しいのか?
もしも、どちらも成立するというなら、それは音韻対応規則とは呼べない
4)語義が、日本語、シュメール語、サンスクリット語、アッカド語の各言語でバラバラである点の説明もなされていない
5)最も重要な点だが、日本祖語、シュメール語、サンスクリット語、アッカド語の共通祖語について言及がないのだが、どうなっているのだろうか?
去年、「日本語の原郷」についての論文(Robbeets et al. 2021)が話題になった。増田は専門外の素人ながら疑問を持ったのでツッコミを入れたんだけど(anond:20211121124146)、今年の6月に入って専門家集団から「あの論文は取り下げろ」という反論論文が出ていた(Tian et al. 2022)。といっても、プレプリントサーバのbioRxivに置いてあるだけで、学術誌に掲載されたわけではないんだけど、まあいずれどこかには載るよね多分。
そういうわけで、反論論文の内容を(素人なりに)紹介していくよ!
ふええ……知らない人ばっかりだよぉ……
22人の共同著者による論文だけど、その多くは中国人研究者。ほかは数人のヨーロッパ人。中国人研究者については全然わからない。漢字で書かれれば一人か二人は名前を聞いたことがある人がいるかもしれないけど、ラテン文字で書かれているので誰が誰やらさっぱりなんだよな……
ヨーロッパ人研究者のうち、ラッセル・グレイ氏は聞いたことがある。20年くらい前に『ネイチャー』に印欧語族の起源に関するレター載せてた人だ(Gray and Atkinson 2003)。ホセ・アロンソ・デ・ラ・フエンテ氏は以前ロベーツ氏の著書に辛辣な書評書いてた人で、去年の増田でも引用した。
そしてトマ・ペラール氏は、日本では有名な研究者だ。彼は宮古島の北4キロに浮かぶ人口数十人の離島大神島の方言について博士論文を書き、それが「母音あるいは声帯を震わせて出される音を含まない単語がある」という世界でも珍しい特徴を持った言語であることを明らかにした(Pellard 2009: 80–85;ペラール 2011: 28–29)。ペラール氏は母語のフランス語だけでなく英語や日本語でも論文や共著を発表していて(最近だとペラール 2021とか)、琉球諸語の言語復興についても発言しているので(ペラール 2013; 2015)、琉球諸語に関心を持って調べたことがあれば一度は名前を聞いたことがあるはずの人物だろう。
要するにこの反論論文には、そのへんの日本人よりはるかに日本語に詳しい研究者が参加しているってこと。
反論論文は、ロベーツ論文で挙げられている同根語(cognate words)が少なすぎると指摘する。
同根語というのは、「起源を同じくする単語」のことだ。ある言語から分かれた娘言語たちは、いずれも共通した同根語を(二次的に失ったのでなければ)持っているはずだ、というのが比較言語学の基本的な考え方だ(生物学でいう原始形質/祖先形質にあたる……と思う。多分)。もちろん、偶然の一致とか、言語の場合は借用語とかがあるので、言語学的な検討を行って「これは祖語から受け継がれた同根語である」というのを確定させて、それをもとに言語の系統関係を判断していく。
たとえば印欧語族だと、次のような対応関係が見いだせる(例はウィキペディアの「印欧語彙」のページから持ってきた)(*がはてな記法の一部と認識されちゃうっぽいので*で代用)。
- | 印欧祖語 | 英語 | ラテン語 | サンスクリット語 | トハラ語 |
父 | *pH₂tér- | father | pater | pitṛ́ | pācar |
2 | *dwóH₁ | two | duo | dvā́ | wu |
足 | *ped- | foot | pēs | pā́d- | pe |
馬 | *ék̂wos | 古英語eoh | equus | áśva- | yuk |
複数の語派(語族の下位区分)にわたって対応する語彙が存在することがわかると思う。これらの同根語が存在することで、「英語とサンスクリット語は親戚なんだなぁ」というのがわかるわけだ(お墓に卒塔婆って置いてあるじゃん。あれに書いてあるのがサンスクリット語)(足で操作する機構を「ペダル」といったり歩行者デッキを「ペデストリアンデッキ」といったりするのは、英語のfootに対応するラテン語pēsからの派生語なんだよね)(「父権主義」が「パターナリズム」になるのも、英語fatherに対応するラテン語がpaterだから。これがポルトガル語でpadreになり、そこから日本語に入って「ばてれん」になるわけですよ)。
ついでに日琉語族の表も示しておく(Vovin 2017)。基礎語彙において規則的に音韻が対応しているのは、これらの一致が偶然ではなく日本語と沖縄語が親戚であることの動かぬ証拠だ。
- | 標準語 | 沖縄語(首里) |
これ | kore | kuri |
鳥 | tori | tui |
米 | kome | kumi |
場所 | tokoro | tukuru |
しかしロベーツ論文は、ひとつ以上の語族でみられる同根語が317、2つ以上の語族でみられる同根語がわずか50、そして5つの語族で共有されている同根語はたったの2つに過ぎないという(Tian et al. 2022: 2)。思い出してほしいんだけど、ロベーツ論文はテュルク・モンゴル・ツングース・朝鮮・日琉の計5語族が同一の起源を持つと主張しているのね。なのに5語族で共有されてる同根語はたったの2ってどういうこと? って話になるでしょ。全然「トランスユーラシア語族」の証拠になってないじゃん。
っていうか、その50個の同根語リストの中には、ロベーツ氏自身が「これは借用語だよ☆」って書いてる単語が入ってるんだってさ。借用語は除くというのが比較言語学の基本なのに(借用語だと気づかずにリストアップしたならまだしも)借用語だとわかった上でリストアップするのヤバくない? そんなこと言ったら日本語が英語の親戚になっちゃうよ? 大丈夫?
反論論文の著者たちはこれに激おこぷんぷん丸になっていて、ロベーツ論文の「著者たちは彼ら自身の歴史的言語比較の原則を無視し、証拠を彼らの必要にあわせて歪曲している」(Tian et al. 2022: 3)とまで断言している。そりゃ、借用語混じりのたった数十の同根語で「トランスユーラシア語族は、ありまぁす!」って言われたらそう言いたくもなるわな。
遺伝学的にも、ロベーツらの論文は「不当な仮定(unjustified assumption)と、移民についてのありえそうな他の仮説を排除した選択的モデリング」に基づいているとバッサリ。考古学的証拠も「弱い」と切り捨てている。このへんは遺伝学や考古学に詳しいはてなーに解説をお願いしたいところ。
ロベーツ論文の結果を再現しようという我々の試みは[言語・遺伝・考古の]3つすべての面で重要な不一致をみた。さらにいえば、ロベーツ論文はこれら3分野の研究成果を統合するために「三角測量」を用いたと主張するが、その「三角測量」とやらの手法を定義も記述もしていない。したがって、彼らの手法に従って3つの分野に関する訂正を組み合わせることも不可能だ。つまるところ、我々が行った3つのデータセットすべての再検討は、ロベーツ論文の主張を完全に崩壊させた。トランスユーラシア仮説は未実証である。私たちはこの論文を取り下げるよう謹んで勧告する(Tian et al. 2022: 7)。
要するにアルタイ語族2.0は失敗したってことっすね。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々にとっては、自分の言語と文化の起源が国境の向こうにあるということは不快な真実だが、すべての言語と文化、人間は混じりあっている」って言ってたらしいけど、まずはご自分の仮説がボロボロだという不快な真実に向き合ってほしい。
こんなガバガバ論文を載っけちゃった『Nature』については、まあ……仕方ないところもあるのかな? ちょっとでも言語の系統とかに関心を持っている人なら「これアルタイ語族2.0じゃん」と気づける内容だけど、理系の雑誌の編集者にその目利きを求めるのも酷かな……査読者選ぼうにも誰がこの分野の権威かすらわからんだろうからな……ただし『トランスユーラシア語族ガイドブック』なんてものをホイホイ出版したオックスフォード大学出版会テメーはダメだ。お前んとこは人文系の研究書いっぱい出してるんだからアルタイ語族2.0くらい見抜けるだろうが!
なお、ペラール氏のツイッター(@ThomasPellard)を見たら「そもそも論証の基盤になってる語彙の出典が書いてないやんけ。これスタロスチンが作ったデータベースからのコピペじゃね? っていうかいくつかの言語が対応表に載ってないから同根語を検討できないんだけど?」という趣旨のツッコミをしていた(https://twitter.com/ThomasPellard/status/1536288665936306176)。あっ……(察し)
そろそろ凱旋門賞ですが、タイトルホルダーくん楽しみですね。天皇賞(春)と宝塚記念の圧勝劇(+お姉ちゃん)ですっかりファンになりました。ロンシャンでも逃げ切ってほしいですね。ただ背負ってる期待が大きすぎるドウデュースくんにも勝ってほしい……武豊を凱旋門賞に勝たせるために生まれてきた馬になったら胸熱すぎるでしょ……
あと先日のセントウルステークスは感動で泣きそうになりました。桜花賞のころから推してたので……(ソングラインちゃんも安田記念戴冠おめでとう。BCマイル頑張れ!)。スプリンターズステークスで今度こそ待望のG1制覇を成し遂げてほしいですね……
ユキノビジンは! 引けませんでした!(すり抜けで夏服メジロドーベルとサクラチヨノオーが来たのでまあ良し)
これ見落としてましたわ。教えてくれて感謝。こちらの方がわかりやすいのでみんなペラール氏の解説動画を見てクレメンス。
博士号って持ってないからわからないんですけど食べられるんですか? ご飯粒よりおいしいんですか?
ここでもいくつか紹介されているようにトマ・ペラール氏は日本語でもいろいろ書いているしTwitterやAcademia.eduなどでも積極的に情報や研究を公開していて我々素人にとってはとてもありがたいです
ペラール、ヴォヴィン、ローレンスの3氏は色々academia.eduに上げてくれてて助かりますよね。ところで素人とはいったい……うごごご。
有り難い要約だけど、最後の「アルタイ語族2.0」だから胡散臭い、という部分はやや迂闊かと。当該論文はそうでなさそう、というだけで真に画期的な論文によりアルタイ語族が復権することは可能性としてはあるよね
もちろんそれはそうです。ちゃんとした比較言語学的な手法で「アルタイ語族」の存在が実証できるのならそれは歓迎すべきことで、その可能性は残されています。ただ、これまで数百年にわたって研究が続けられてきて熱心な擁護者も大勢いるのにまだ確固たる同系の証拠が出てきてない、というのは相当に重い事実ですよね……。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々」のことを揶揄してますけど、日琉語族の分類というのはまさにその「自分たちの言語はどこから来たのか」というルーツ探しの情熱に取り憑かれた人たちがいっぱい研究して、それでもなお結論が出ていないテーマなわけで(cf. 日本語の起源 - Wikipedia)。
増田はドシロートなんでなーんも独自の見解は持ってないですが、古代ロマン的な観点からはanond:20211121124146でも言及した大陸倭語仮説が面白そう(「大陸倭語」の存在はまだ定説にはなってないことに注意)。島嶼倭語(仮に「大陸倭語」の存在が実証されない場合は日琉語)のUrheimatは五十嵐氏の指摘に沿えば近畿地方のあたり(多分四国ではない)。日琉語族が列島と半島にまたがって分布していて、そのうち大陸倭語が南進してきた朝鮮語族に同化されたと考えると古代の日本と朝鮮半島との関わりに色々納得がいく(繰り返すように素人が古代ロマンといくつかの論文に基づいて妄想したものです)。では仮に対馬海峡をまたいだ日琉語族の存在が実証されたとして、そのUrheimatは……どこでしょうね? なんもわからん。
あ、トラバでやたらゲノム研究のURL貼ってる人は、(もし同一人物なら)去年の議論で血統と言語系統を混同したり(anond:20211121201022)、論文や増田の内容を理解できてなかったりする(anond:20211121224311)ような人なので、マトモに相手する価値はないっすよ。一応ご忠告。