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はてなキーワード: 疑心暗鬼とは

2021-03-18

追記あり一次創作から見たウマ娘フェミニストの方にご理解頂きたい事

追記

ウマ娘フェミニストが叩いている」という誤解等について追記を別増田で書いたのですが、末尾に載せたため余り読まれずに誤解がそのまま広まってしまって居る様です。すみません

誤解やその他コメントへの返信は以下の増田で書いていますので、合わせてお読み下さい。

https://anond.hatelabo.jp/20210319115128

追記終わり

 

 

はじめに言っておきたいのですが、私にフェミニストの方やフェミニズムへの敵意はありません。

この件に関して他の方も説明はされていますが、なにぶんフェミニストへの敵意が露わになっている物も多く、理解が難しい場合が多いと想像しています

そこでこの件に関して一次創作者と言う立場からフェミニストの方への敵意無しに説明することで、理解頂けないかと思い、筆を執ります

 

この件と言うのはウマ娘に関する認識の祖語です。

ウマ娘では著作権を持っているCygamesから競走馬イメージを著しく損なう表現を行わないようご配慮いただけますと幸いです」という注意事項が出て、大多数のオタクはそれに従っています。(例外は居るようです)

しかオタク達は(という括りは中々大雑把ですが)過去に宇崎ちゃん献血ポスターなどの際に「どこからエロくてどこからエロくないか線引きなど出来ない」とし、フェミニスト基準明確化を迫っていた、

対応が違うのではないか、とフェミニストの方が違和感を持たれている、という話です。

 

一見して確かにそのようなオタク対応は異なっています(勿論こうした対応を行っていないオタクオタクの中には居ますが)

ただしここには「二次創作」を取り巻く環境特殊さが関わっているために、そう見えてしまっている面があります。それを説明したいと思います

 

二次創作は法的にグレーな行為です。その為二次創作者は一次創作者や権利者(アニメ制作会社出版社等)に「二次創作をやっていいか」と明確に問い合わせない慣習があります

また一次創作者側も二次創作を厳しく取り締まったり、明確な基準を出したりしない事が多いです。これは一次創作側も二次創作を歓迎している側面もあるからだと思います。(ここにも例外はあり、明確な基準を出すケースもあります

ウマ娘での具体的でも明確でもない注意事項が受け入れられている背景には、こうした二次創作独特の慣習と事情があります

(少し想像が入りますが)ウマ娘側は競技馬馬主ファンとの関係を重視する一方、二次創作の過度な委縮も望んでいません。そこで明確ではない表現二次創作者側に判断をゆだねつつ、馬主ファンとの関係性を悪化させるような二次創作については牽制を図っているのだと思います

 

こうした関係性は一般的ものではありません。いくつかの条件を満たした特別関係しか成立しないものであり、「一次創作者と二次創作者(やオタク)」の間ではそれは成立しますが、「フェミニストオタク」の間では成立しない。その為に対応が変わっているのです。

ではこうした暗黙の関係が成立する為の「いくつかの条件」とは何なのか。以下私に分かる範囲の2点を書きます

 

互いに信頼関係がある事

まず必要なのは信頼関係です。

一次創作者は「度を越えた表現はしないだろう」と二次創作者を信頼しているので、明確でない基準を出せます

二次創作者は「このくらいなら訴えてはこないだろう」と自分の中に目安があり、その点で一次創作者や権利者を信用しているので、基準が明確でなくてもそれを受け入れられます

ウマ娘ではまさにそうした信頼関係が成立している様で、(一部を除いて)ウマ娘達の性的二次創作をする者は少なく、また現時点ではCygames側に怒られたという例は聞きません(私の観測範囲問題かもしれませんが)

ではこうした信頼関係フェミニストオタクの間にあるかと言えば、残念ながらNOです。

ただこれは仕方が無い側面もありますそもそも個人間ならともかく、集団集団の間でこのような信頼関係が成り立つ方が異常だと思います

一次創作者と二次創作者の間にあるこの信頼関係は、これまでの歴史が積み重なって出来たものです。ファン活動同人誌コミケ、等々、長い時間を掛けて生まれ信頼関係を他の集団が持っていなくても、それはおかしものではありません。

また、不幸にもフェミニストオタクの間には信頼関係をむしろ壊すイベントも数多くありました。

オタクの一部はより過激表現を好み、その結果フェミニストは「度を越えた表現はしないだろう」とオタクを信頼することはできません。

宇崎ちゃんポスターキズナアイ騒動など、フェミニスト批判した表現不適切かどうか人によって判断が異なる微妙な物もありました、その結果オタク達は「このくらいなら批判されないだろう」とフェミニストを信頼できません。

互いに疑心暗鬼になっている状態では、ウマ娘のような明確でない基準では意識を合わせることができないのです。

 

Win-Win関係を築けること

二次創作についてとやかく言わない事は一次創作者と二次創作者双方にとって都合が良い事でした。

一次創作者側はファン活動からモチベーションを貰ったり、二次創作によりファンが増えたり、といった利益が見込めます

二次創作者は自由二次創作ができます

これは二次創作が法的にグレーである事も関わっています。細かいことを言うとそもそも違法である事に抵触してしまい、その作品二次創作全体が潰れてしま可能性も有る。

から一次創作者と二次創作者の現在関係は、双方に都合が良い側面があり、受け入れられる訳です。

対して、フェミニズム的な観点による批判基準が明確でない事はフェミニストオタク双方にとって利益が有る事でしょうか?

フェミニスト側は利益が有るかも知れません。基準曖昧なままにしておけば色んな批判ができ、その批判が適切かどうかを基準との適合性で検証される事もありません。

しかオタク側、というより表現批判される側(多くの場合一次創作者)としては、これは非常に困ります表現をする際に何がアウトなのか分からないままに表現をすることになってしまう。そして後でアウトだったと知って炎上し、表現修正撤回を迫られてしまう。

一次創作者の立場から申し上げますが、これが非常に怖いのです。次出すこの作品は、この話はアウトかも知れない。作品の出来不出来に対する批判はある程度覚悟がありますが、差別的表現だと批判される場合はその後の影響が全く異なります。今後作品を出せなくなったり、もしかしたら作家生命が終わるかもしれない。

私は幸いフェミニストの方に批判されるような表現は少ないジャンル創作者なのでそこまででは無いのですが、やはり恐怖を感じる事はあります

恐怖、そう、個人的な見解ですがオタクの一部がフェミニストに抱いている感情も実はこれだと思います

自分がセーフだと思う作品、好きな作品も、フェミニスト批判されて修正させられたり、降板させられたり、作品を停止されるかもしれない、そういう恐怖を抱えている訳です。

そうした恐怖は信頼とは正反対のものです。そのような恐怖が無い状態、「本当に不正場合批判されるだろうが、そうでない場合批判されないし、作品を潰される事もない」と双方が思える信頼関係が出来ればいいのですが、現状を見る限り難しそうです。

 

結論 

以上2つの条件をどちらも満たさないので、フェミニストオタクの間には基準曖昧なままにしておける暗黙の関係性はありません。だから対応が変わる訳です。

重要なのは二次創作者と一次創作者」の関係の方が特殊なのであって、暗黙の関係性はほとんどの関係で成立しない事です。

分かりやすい例えかどうか分かりませんが、一次創作者と二次創作者は恋人だと考えて見てください。2人はキスなど特別行為を行いますが、他人フェミニスト)とは行いません。

それはおかしなことではないし、恋人でない人が「私ともキスしろ」と要求することはできない筈です。

以上の事をフェミニストの方々にご理解頂く事は、実はそれほど難しい事では無いと思っています

何故かと言うと、フェミニストの中にはオタク兼任している人も居るからです。女性オタク腐女子かつフェミニストの方からすれば、これまで説明した二次創作を取り巻く特殊性は言われるまでも無く理解されている事でしょう。

特に女性消費者の多いBLでは二次創作は盛んですから釈迦に説法です。

オタク腐女子ではないフェミニストの方にはもしかしたら理解が難しいかもしれませんが、それでも理解頂けるよう、言葉を尽くしたつもりです。届いていれば幸いです。

 

余談

実はもう少し書きたいことが色々あるのですが、既に長くなってしまいました。論点を足早に述べます、後日詳しく書くかもしれません。

ウマ娘オタク配慮されるのは馬主社会的強者からだ、という意見がありますが、誤りだと思います

 というのも強者ではない私の様な一次創作者の意向二次創作者の方々の大部分は尊重してくれます。それは私がお金持ちだからではなく(お金持ちでは無いですし・・・)私が権利者だからです(作品への愛や誠意もあるとは思いますが)

・私は私の作品について「性的二次創作をしないで欲しい」と表明することは正当な権利だと思います。一方私のものではない作品(例えばドラゴンボールセーラームーン)について「性的二次創作をしないで欲しい」と言ったとしてもそこに効力は無いと思います

 ウマ娘も同様です。Cygames権利者だからその意向尊重されるわけで、それ以外の方の意見強制力を持たないのは私の「ガンダム二次創作をしないで」という発言に効力がないのと同じ、当然の事です

二次創作者が「一次創作者の意向には従うが、フェミニストにはそうじゃない」という異議は、他に少し奇妙な所があります。と言うのもフェミニストの方々が批判対象とするのは多くの場合二次創作ではなく、一次創作やその公式コラボからです。

 つまり二次創作者は一次創作者に対して法的にグレーな事をしている(だから曖昧基準でも従う)という負い目があるのに対し、フェミニストの方々は一次創作者の作品に対する権利者ではありません。

 勿論作品消費者である可能性はある訳で、フェミニストの方々の意見無視することはありませんが、それは二次創作者に対する一次創作者の様な特別地位ではない、という事が見逃されているケースが散見されます

・私がこの問題を知るきっかけの一つが以下の増田さんなのですが(この増田さんの語り口はフェミニストへの敵意が多い為、理解は得られないだろうと思い別の立場から書くことにしました)

https://anond.hatelabo.jp/20210317235416

この反応で気になるものがありました。

一生懸命正当化してるけど、勇壮表現自由戦士たちがコンテンツホルダー意向には簡単にゴロニャンする構図は変わらない。好意多寡じゃなく、自分たちからオモチャを取り上げる権利を持つ相手に屈服してるだけ

というものです(個人叩きになるのは本意ではないので、idは載せません)

二次創作者(やオタク)たちが明確では無い基準でも受け入れているのは双方に信頼関係Win-Win関係があるからで、「自分たちからオモチャを取り上げる権利を持つ相手に屈服してる」からではありません。

彼らと一定信頼関係を築けていると考えている一次創作者としてそのような言い方はフェアではないと感じます。(また、オタクには女性も含まれるし、腐女子も含まれる事を忘れていないか心配です)

ただ、この事についてこの方に理解頂くのは難しい事ではないと思います

何故ならこの方はガチャピンアイコンにされていました(今見たらアイコンが変わっていました・・・)。過去にこの方がそれが著作権的にグレーである事を自覚しているというコメントも見た事があります

ガチャピンアイコンがグレーである事を知りながらガチャピン権利者に「アイコンにしていいか明確にしてくれ」と明確化を求めなかったのは「自分たちからオモチャを取り上げる権利を持つ相手に屈服してる」からでしょうか?

私は違うと思います。「アイコンにすることで訴えてきたり止められる事は無い」と信頼しているからではないでしょうか?

だとすればそれは二次創作者と一次創作者の間の信頼関係と同じです。理解は容易い筈です。

 

以上だいぶ長くなってしまいましたが、フェミニストの方にご理解頂ければ良いなと思います自分なりに誠意をもって書きました。

 

追記

ブックマークコメントで気になったものに返信を追記しようとしたのですが、長すぎて切れてしまったので、別増田しました。以下です。

https://anond.hatelabo.jp/20210319115128

2021-03-15

anond:20210315012756

逆に尊敬してくる男が出てきたら疑心暗鬼になったり生理的キモッ!って拒絶しちゃったりするんかな

2021-03-14

人間性センターに引っかかった

はてラボ人間性センター(はてな)【はてらぼにんげんせいせんたー】

スパム対策として人間ロボット区別するための、はてラボサービス向け認証機能2016年12月1日リリース大チェッカーHatena::Letはてな匿名ダイアリーに導入した。

入力時にクイズを出題し答えさせることで人間かどうかを判別する、いわゆるクイズ認証ひとつである

答えがひとつでも不正解とされると、認証されず、再度、別の出題にチャレンジして、不正解が続くと

現在混み合っています人間失格 グッド・バイ

の表示とともに、しばらくクイズができない仕組み。

俺の場合は、

令和になる前の2020年4月元号は?

という質問でひっかかってしまった。

問題が間違っていると考えるか、出題意図を重視するか、で悩みに悩み、令和としたが

結局、正解できなかった。

ムカついて、もっとまともな出題を求めてリロードしていたら、【人間失格 グッド・バイ】の表示。

人間失格 グッド・バイ】を30分おきに、なんどもリロードしては侮辱された気持ちますます深まってゆく。

はてな歴18年にもなるのに、この仕打ち

憎悪とか殺意とか、こういうちょっとした拒絶の積み重ねで膨らんでゆくものだ。

スパム対策として実施しているのだとしても、対象者不明確であり、なぜ対象とされたか疑心暗鬼を産む。

はてな匿名ダイアリーのやり取りを契機に数年前に発生した事件を想起すれば、かなり悪手だ。

よく考えて、運営見直してもらいたい。

2021-03-01

Survivalist: Invisible Strainがめちゃくそ面白い

Survivalist: Invisible Strain

という720円のゾンビサバイバルゲームがめちゃくそ面白かったので

その興奮を書きなぐろうと思う。

Survivalist: Invisible Strainとは

今作はSteam販売中のアーリーアクセス(β版みたいなやつ)のゲーム

https://store.steampowered.com/app/1054510/Survivalist_Invisible_Strain/

Steam内で日本語訳してくれた人が非常にまとまった日本語ガイドも書いてくれてる

主な特徴

ゾンビ世界サバイバルする

拠点を作り、防衛する

ゾンビしまくり無双系では(あんまり)ない

操作キャラクター切り替え複数操作必須

人間の敵も出てくる

・箱庭系

近いゾンビ物としては

ゾンボイド(サバイバル系)が一番近い。

あれも、ゾンビが強くて、水や食料の確保が大変で、四季があるゲームなので。

今作のウリ

今作の大きな特徴は、

ソロではなくコミュニティ(以下「村」と表現する)を形成し、発展させる、という所だと思う。

ゾンビ世界を生きるサバイバーたちは、1km×1km四方マップにおよそ80-100名ほどおり、

各地で村を形成暮らしている。

その全員に名前があり、能力値があり、性格があり、人間関係があるというのがすごい

例えば襲ってきた野盗を屈服させて仲間にしても、

話すとその後ずっと他の野盗仲間を殺したのは許せないとか言ってるし

△△に良いプレゼントをした、××は野盗の脅しに屈した、●●は盗みを働いていた、

等々の噂話を語るし、

何の罪もない旅の商人拠点から出ていかいからって撃ち殺したら、

その手を下させたおじさんはPTSDみたくなって無気力なっちゃったり、

それを目撃してしまった村内で繊細と言われていた人もショックを受けたりする

そう、あの憧れのゾンビ世界での人間関係のギスギスを楽しめるのだ

スギスによって起こる事件1

ゲーム画面がちょっと特殊なので、自分の村以外の事件や小競り合いなども

たびたび「一方そのころ…」ってな感じで実況が入ったりするのだけど、

近所の友好的で平和な村内で

ゾンビの襲撃により誰かがゾンビ化してしまった事件が起こったらしく、

その後どんどんお前のせいだっ!つって粛清が起こり、

村内の人数が半分に減ってしまった

スギスによって起こる事件2

他の要因で死んだ村Aの死体プレイヤー村の近くにあると、

お前んとこがやったんだろ!つっていきなり友好的から敵対関係になって襲ってくる

誤解だってば!!(今後は村Bの近くに死体を置いてなすりつけることにした)

スギスによって起こる事件3

そのギスギスは冬場に勃発する事が多い

作物が取れず食糧難になるから

普段は村の周辺でうろうろしている人たちが食料を求めて、

プレイヤーがあらかたのゾンビ駆除して割と平和になったフィールド

縦横無尽闊歩しまくるようになる

平和村Aがプレイヤー村は門を堅く閉じて落とし穴罠まで掘ってるので立ち寄れず、

食料豊かな平和村Bの周りをうろうろするも、なんか平和村Bの周りに、

どんどん平和村Aの住人の死体が増えていく…

想像するに、貯蔵してある作物を盗んで殺されて行ってるんじゃないかな、と

結局

コミュニティ平和的なところと山賊主義があるんだけど、

元々平和的な人達が狂うのが一番タチが悪いというのが楽しすぎるんだよな…

ゾンビ肉でシチュー作ってプレゼントし、ゾンビ感染蔓延させるとか、

見つからないように村に火炎瓶投げ込んで村人同士を疑心暗鬼にさせ、仲間割れさせる

等々いろんなプレイできて楽しい

2021-02-19

大学入試共通テスト古典問題が凄かったので解説させてほしい

タイトルの通り。筆者は高校教員で、いま業務が少しだけ落ち着いていて分析する暇が出来たので、次年度以降の入試対策のために解き直してみたのだが、新テスト方針をすごい形で問題として体現していたので、なるべくわかりやす解説していきたい。


わかりやすとはいえ大学入試古典問題について突っ込んで書くので、もし興味(と古典知識)があったら実際に解いてから読んでみてほしい。

問題解説予備校分析などは以下から参照。解けなくても解説や、現代語訳と設問を見るだけでもいい。


予備校

https://www.toshin.com/kyotsutest/

https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/kyotsutest/21/


ちなみに大学入試センター問題作成方針はこっち。

https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00038406.pdf&n=R3年度大学入学共通テスト問題作成方針(令和2年6月30日一部変更).pdf


以下は教員仲間とのディスカッションメモを元にしているから内容はかなり専門的かもしれない。それと、自分の専門は古典ではないので専門家から見れば細かい部分で雑だと思うが許してほしい。


まず、第三問の古文

センター試験から変わると事前に予想された、複数文章や会話形式選択問題はなかった。

本文(「栄華物語」)は妻を亡くした夫の哀しみについてのしみるストーリーだが、新傾向の問五が回答することによって本文の感動・深みをよりしみじみかみしめられるようになっている。これが非常に素晴らしく、「文学的文章入試問題かくあれ!」と感じた。いとあはれなり。


・具体的には、問五では本文中の和歌X(妻の死の悲しみを無常観を引き合いにして慰める歌)とそれに対する返歌Y(無常の教えなど今は悲しみが深くてとても考えられなかったよ、という返歌)に加え、本文とは異なるXへの返歌Z(無常の教えは肯定するが、それでもなお悲しい、という趣旨の返歌)を問題は示している。

・問いとしては、本文とは異なる返歌Zの存在を指摘し、Y/Zの内容を比較したうえで正しい説明を選ばせるというもの

これは表面的には和歌を中心とした複数の出典の内容を読解するという新傾向問題であるが、作問者の意図はむしろ文学的文章の鑑賞」つまり作品の情趣や感動の理解」に重点があるのではと感じられた。

・本文のストーリー的なキモは、妻を亡くした夫が、この返歌Yを書き終えながら「こんな悲しみにあってなお私はこんな冷静に返歌を書けているわけだが、それならこれから数ヶ月、数年と徐々に時間が経っていけば、私はこの悲しみをいつか忘れてしまうのではないだろうか」と考えるところにある。そして、亡き妻との思い出をまた振り返るところで、出題の本文は終わっている。

・問五の正解の選択肢⑥「和歌Yは、世の無常ことなど今は考えられないと詠んだ歌だが、そう詠んだことでかえってこの世の無常を強く意識してしまった長家が、いつかは妻への思いも薄れてゆくのではないかと恐れ、妻を深く追慕してゆく契機となっている」。この説明は、本文の感動を得るための入り口を示すものとして非常にすぐれた一文であると感じられる。さらには、本文の内容が古文学習における重要概念無常観」と繋がっていることに自然と気づくことができる。現代人にはなじみの薄い「無常観」という価値観が、悲しみと共に実感を持って感じられてくるだろう。これを正解として選べた受験生は、本文の「あはれ」を回答前よりも深く感じられたのではないか。(少なくとも自分は深まった)

・「こんな問題作れたらキモチイーだろうなぁ!!!!」と同業者的(?)的におもった。


・また、過去試行調査でも、本文と同一内容の文章だが異なる出典で差異のある文章を出題する、本文異同研究や異本系統研究といった国文学研究のよくある題材を意識させるものがあった。今回の出題も「栄華物語」とは異なる返歌が「千載和歌集」にあるということを指摘した問題である。新傾向で問う能力古文の中で定義した結果が、人文学研究的な意味での「思考力」ということかもしれない。(これは友人で一生敵わないんじゃないかってくらい優秀な国語教員が、試行テストを見て上記のようなことを半年前に言っていたのを思い出したから言ってる。持つべき者は優秀な友人である


これだけでも十分すごいが、続いて漢文

こちらは長い五言詩と短いエピソードを記した漢文で、いずれも馬車を操縦する「御術」に関するものという点で共通テーマ文章ふたつの出題である


・新傾向の問題は問三の押韻と内容理解を組み合わせた空所補充問題と、問六の2つ文章の内容正誤問題

とはいえ、問六は二つの文章の内容合致問題であり、多くの予備校などが予想していたものと大差ない印象。

・対して、問三は感心するくらい出来の良い問題で、複座的な視野を持ち、落ち着いて整理しながら考えるという多角的思考力が要求される。

漢詩押韻知識で、5択の選択肢をなるべく削るところまではセンターと同じセオリー通りの知識問題しかしそれで絞っても選択肢は残り三つ。

・そこから正答を選ぶためには文章Ⅱの読解と漢詩の読解ふたつを重ね合わせる必要がある。この二つの重ね合わせが難しく、よく考えられている。

文章Ⅰの空所補充については、該当部分を訳せば「四本の脚は馬についているとはいっても、その脚の速さが遅くなるのは御者である私の【X】のせいである」という感じになる。ここの【X】に入る候補「心」「進」「臣(臣下・わたくし、の意)」。

・該当部分の漢詩の訳ができていてテクニカルに解くなら、この時点で文脈判断して「心」が正解は出せる。(予備校でもそのように解説を打ち切っている)。

しかし、そもそも選択肢に上がっているのは文章Ⅱに入っている字なのであるしかも、いずれも馬の御し方の神髄について述べるところに選択肢の漢字は入っている。

受験生を惑わすのは、文章Ⅱの内容が「馬を早く走らせる条件」となっていて、その中に「心」「進」「臣」という字が傍線と記号付きで強調されていること。つまり受験生心理としては、文章Ⅱの内容が正確に理解できていないと「進」「臣」が誤りなのか判断しづらく、疑心暗鬼になるように作られている。あるいは、先ほどのテクニカルに導いた回答と矛盾するような内容がここに書いてあったら……という心理を誘発する。

・よって受験生文章Ⅱを慎重に読解せざるを得ず、その中で文章Ⅱを精読してゆく。同時に文章Ⅰとの共通点を探りながら、最終的に文章Ⅰの内容を考えて空所補充の内容を決定する。このような思考過程要求される(というよりも問題から誘導されてゆく)という問題構造が、出題者の作問力が並大抵の出来ではないことの証左である


このように、古文漢文ともに「受験生思考力を求める」という建前のもとで「受験生を深い読解へと誘導してゆく」「受験生思考多角的ものに仕立て上げる」問題に仕上がっているのは驚くべきことであり、事前の予想を超えた完成度の高さだった。

また、問題によって誘導した思考迷路の中で、その読解の深度や多角的視野に立って考えようとする態度の有無を測ろうとしている。能力の低い受験生ならこれだけの思考を繰り広げることはできず、中途半端な読解や類推に頼ってしまうので確率的に正答率が下がるが、問題誘導する深い思考対応できる受験生は自ずと正答へたどり着けるよう適切に迷路設計されている。学力を測る目的大学入試問題としても適切である

センター試験からの積み上げがあるとはいえ、「言語を手掛かりとしながら,文章から得られた情報多面的多角的視点から解釈」するという方針を、古典という題材を用いながら、新テスト実施初年度で見事に実現させたのは、高校教育の成果というよりも大学入試センターおよび作問者の作問能力の高さや学術知識の豊かさが結実した結果であると思う。高校教育現場から、惜しみない賛辞を送りたい。



2月22日追記

・思ってた以上に反応があったので、書いてよかったと思いました。ありがとう自分にとっても、いろいろ考える機会になった。

・別記事で「古典義務教育で扱う意義について」の返事を自分なりに書いてみました。

https://anond.hatelabo.jp/20210222160532

この記事みたいな筆の乗り方はないし、教育制度についても専門とは言えないが……

古典の魅力はもちろん語れるんだけど、他の科目と同様にそれは万人に共通でない、というのが義務教育のむずかしさであり、教員にとっては腕の見せ所でもあるとは思っています

古典が嫌いな生徒に古典を学んでみたいと思わせることが、自分の授業の到達目標でもあります

・あと、改行のやりかたを学んだのでついでに上に付して見やすしました。

文学的感じ方を入試に出さないでほしい

文系の連中だって微分積分の深みとか行列演算の感動とか最初から拒絶してるだろ

わかるやつはすんなり理解するけど、わからないものはわからないんだよ

こちらの書き方が悪かったなら申し訳ないけど、「感じ方」は出題されていません。あくま論理的に、勉強した成果を発揮できたら「あはれ」を感じられるような構成になっている、というつもりで書きました。

よくある誤解だけど、国語入試はとことんまで「論理的に」答えが出るように作られていて、必ず本文中に根拠があるし、その根拠と解答をつなげるものは「感情センス」ではなく「論理」になっています

しかしたら昔はそうじゃなかったのかもしれないけど……。

入試問題批評だと「大学受験のための小説講義」「教養としての大学受験国語」が面白かった

石原千秋の本は納得感高くていいですよね!どちらも自分現代指導根本にある本です。

解答して読んだ。長年古文から離れていたが丁寧な注釈と設問に助けられて理解できた。テクニック丸暗記ではとても太刀打ちできないが、当時の情緒を解する読解力があれば知識は最低限でも解ける良問だと思った。

解答までしてくれてありがとう!まったくその通りで、重箱の隅をつつくような部分もなく、古典学習におけるエッセンシャルな部分が試されていると思います

これは数学の同僚の先生に聞いたことですが、数学ⅡBでは指数問題でも非常に数学エッセンシャルな(そのぶんやや抽象的な)問題が出たのだとか。

共通テストについて、これまでの学力測定に加えて、より学問エッセンスを感じられるような方向を現時点では感じています実施されるまでの経緯がひどかったので、これについては非常にありがたい。

今回の共通テストセンター試験名前が変わったにすぎない。その程度の変革だったのだけど、もともとセンター試験がかなりよくできてるんだよ!国語でも随分前からちゃん多角的思考力を問う内容になってる!

そうなんです。ただ、今回の新傾向がそれをさら進化させたような代物で、ただただ凄いと思って、まずは同僚の先生に伝えようと思って書いたのがこの文章のもともとです。しかも、これまでと比べて劇的な変更と呼べるほどではなく、受験生にとっても取り組みやすものになっています

文系研究醍醐味を先取りできるテストってわけか。

それもあるし、これを見た高校先生は「知識だけでなく、学問的な思考方法を教えていく必要があるかも?」と授業を見直すきっかけになります

大学入試改革は、高校入試改革嚆矢としての役割を持っているので、この方向性国語の授業を探求性を高める方へドライブしてくれると思います

古文漢文って、歴史を学ぶだけで拾えない、当時生きていた人たちの生き様や心情を拾える学問なんだなあと思った。そう思うと大事やなー。未来人達に私達の心情とか踏まえて歴史理解して欲しいって思うもん。

こういう言葉を生徒から聞くために古典を教えているんだと思います

今回の内容はいずれ、授業にアレンジして生徒へ伝えるつもりです。その意味で、非常にいい「教材」になるのもセンター共通テストが良問であるとされる所以ですね。

2021-02-16

他人と比べないようにしたい

から自分の周りには自分より優れた人がたくさんいた。

それは、容姿であったり、学力であったり、芸術面であったり…

自分はと言うと、そこまで何もできない、と言うわけでもなく、どれをとっても普通芸術方面は他の人よりは少し得意レベルだった。

よく、器用貧乏と言われるし自分もそう思う。何かに特化してはいない。

そこそこ、レベルまで。でも周りはそこそこじゃなく、しっかり上を行く。

そのため、周りから比較されたり、状況的にどうしても、比較されざるを得ない時なども多々あり、自分の中であぁ、自分はやっぱりダメなんだ、と劣っているんだと認識を突きつけられて生きてきた。

そんな自分をたまに褒めてくれる人もいる。でも、その言葉も「自分よりすごい人は沢山いる」や「何か裏があるのかな」や「気を遣わせてしまたかな」などと思ってしまい、素直に受け止められない。表面では素直に受け止めてる風を装っているが、内面疑心暗鬼の渦になってしまう。

その中である頑張りたいことができて、それを頑張っている。昔より上達していることは目に見えて分かるが、どうしても周りと比べて自分能力のなさを実感しては、落ち込んでしまう。

他人比較しない方法を知りたい。

2021-02-15

anond:20180706031659

なんか疑心暗鬼が伝染してるな

ペットショップ大金はたいた奴が虐待ばっかする訳無いだろ

anond:20210215164539

なんだろう、疑心暗鬼問題だろうから

すぐに出ていけばよかった

不動産会社のすすめどおり、2019年にでていきゃよかった

2021-02-14

NHKスペシャル「異例の放送中止」にチラつく官邸の影…局内の疑心暗鬼が止まらない

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80106

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https://b.hatena.ne.jp/entry/panel/?is_bm=1&mode=confirm&url=https%3A%2F%2Fgendai.ismedia.jp%2Farticles%2F-%2F80106

ここでは今日も大量の資本が投下され、森元氏のアクロバティック擁護などをはじめとして1億総奴隷化活動が展開されているが、

いつまでも国民がお前らのなすがままにされ続けると思ったら大間違いだ!!!!!

2021-02-04

おっぱいが大きい人生

はいわゆる巨乳なのだ

今までの人生嫌な思いをすることの方が圧倒的に多かった。

すれ違いざまに知らない人に「でけえ」と呟かれたり

通学中にチャリ乗ってたら向かいから来たおっさんに触られたり(スピード的に反撃できない)

飲み会でどこ行っても中盤くらいかおっぱいの話になるし

女同士だったらいじってもOKみたいな謎のルールで会うたびにでかいとか言われ

あげく仕事とか恋愛とかで本気で悩んでめちゃくちゃ自己嫌悪に陥り「私のいいところってなんだろう」って真面目に聞いたときに「おっぱい」とか言われた時には本気で死にたいと思った。

飲み会とかではおっぱいいじられるのは嫌だ!と言うことが許されないような雰囲気だったか

心を殺して何度も受けた同じ質問(いつからでかくなったのか、重いのか、どうすればでかくなるのかとか)に対して返答をすることにも

はいはい、って感じでやがて慣れていった。

私のアイデンティティとは一体なんだ?おっぱいなのか?とかいくら悩んでも誰にも理解されず

ネットで「巨乳 悩み」とかで検索して「わかる〜〜」と嘆く日々を送ってた。

そんな中、少し前に転職をした。

今までセクハラパワハラなんでもござれの環境だったのだが

いわゆるコンプライアンスとかがしっかりしてる普通会社に入って知ったのは

巨乳をいじられないということでこんなに生活が楽になるということ。

衝撃だった。

もちろん自分が歳を取ったというのもあるとは思うのだが

今まで隠さなきゃ、見られてるかも、とか疑心暗鬼だったのがなくなって

今までの人生で一番穏やかな日々を送っている。

もちろん知らないおっさんとか昔から友達からは相変わらずネタにされるわけだけど

1日の大半を過ごす職場で言われないだけでも全然気持ちが違うのだ。

もし近くに巨乳の子がいたら

彼女おっぱいじゃなくて、内面を見て会話してほしい。

大学生サークルのノリでいじりたくなっても

本人の前ではやめてほしい。

コンプラめんどい、とかいう人は

こんな人間もいることを少しでいいから知ってほしい。

Hカップの女より。

2021-02-03

anond:20210203231807

その思い込みを抱えたまま死ねば良い

金持ちはとっくに自動運転恩恵に預かってるから

そのパイプやツテのないお前はローテクの中で疑心暗鬼のまま生涯を閉じろ

2021-01-27

kindle unlimitedに加入した

マンガを読もうと思って加入したら全巻読めるのは稀だった。

最初の1巻だけとか3巻まで無料とかが多い。

環聖の「泪~泣きむしの殺し屋~ 」が8巻まで読めるのは良かった。

どのキャラおっぱい大きくて筋肉質でレディボーイみたいだ。

ちゃん処女なんだろうか。

月980円分は高いと感じるので月末には解約する。

マンガ喫茶の方がジャンプ作品とか読める。

30日無料一年経ったらまたキャンペーン参加できるらしい。

そのときにまた加入するかもしれない。

単巻でさくっと読める本を探したらほとんど女性向けだった。

コミックエッセイを二冊読んだ。

■『消えたママ友 (コミックエッセイ)』野原 広子 (author)

おすすめ

丸書いてちょん。

みたいなキャラしか出てこないのにミステリーエッセイジャンルで一位だったから読んだ。

ライトノベルは読まんから分からんけどライト漫画っていうの?

悲壮感が薄くて軽い。読みやすいね

失踪したママ友とその友人らが知ってる断片的な情報をつなぎ合わせて行方不明の原因を探っていくミステリーになっている。

身近なご家庭ミステリー風味。

誰も真相にはたどりつかず、Good End後のTrue Endで種明かしがされるのもお約束

お気持ち表明は陳腐化してつまらんのだが起承転結がきっちりしていてよかった。

小説形式だったら読むのも億劫なつまら物語だが、絵で女社会の面倒くささの「空気」がよく出せている。

基本的人間不信言葉一つで関係が壊れる女たちが集まってコミュニティ形成している。

疑心暗鬼で探り合っててうんざりさせられる。

■「顔で選んだダンナモラハラの塊でした (コミックエッセイ)鳥頭ゆば (author), モグ (other)」

増田でお馴染みの底辺夫婦結婚から離婚までの物語

恥を公開して金儲けにつなげる強さがあって大変元気で頼もしい。

こういうの読んでると子連れの女同士で結婚してきっちり家計家事分担して生きていけばいいんじゃねーの?と思ってしまう。

どうせ力関係が偏って女夫婦破綻するかな?

水族館が好きすぎて! (コミックエッセイ) まつおるか

今読んでる

絵はポストカードみたいで可愛い自分動物はそんなに好きではない

3Pであきた

筆者の好きな動物を紹介するだけの簡易図鑑だった

2021-01-25

書いたな。俺の前で聞き上手の話を、、、!

私も一度言ってみたかった!って書こうと思ったら元記事消えてるじゃん。引用とかできなくなってしまったけど書きました。

10年前くらいまでニッチ業界サポセン10年務めてました。

年間大小合わせて1000件くらい。電話店頭対応は半々。

大体はトラブル対応なので、お客様からの限られた情報で原因までたどり着くため聞き出す能力自然と身についた感じです。

一応、傾聴のトレーニングは受けたことがあって、これから書くこと全てのベースになっています


・傾聴とは

簡単にいうと「聞く」ではなく「聴く」ということ。

受け身ではなく、能動的に相手の話を聞き出すという意味です。

傾聴にはいくつかの目的があります

それらを掘り下げるとまたややこしい話になってしまうので、ここでは簡単に「共感」とします。


・聞き上手ってなんだ

私の思う聞き上手というのは、つまり共感上手だと考えています

えー。なんか思ってたのと違うって人がいたら、ここから先は読んでも意味がないかも知れません。

かにそうかも!って思えた人は先にお進みください。


話し手は常に不安を抱えている

なぜ共感上手が聞き上手なのかと言うと、大半の人は、話をするときに伝わっているか不安を抱えているからです。

私の体感では9割の人が話をするとき不安を抱えていると感じられました。

あくまで、不安を抱えているだけであって、不安が表面にあらわれているとは限りません。

断定表現を多用しているからといって、その人が自信に満ち溢れているかと言うと別の話です。

しろ不安を隠すためにあえて断定表現を用いる人のほうが多いのではないでしょうか。

いわゆる話し上手の人も、特に訓練でそれを培った人のほとんどが、自分の話が伝わっているかどうか不安を抱えていると言えます

逆を返せば、伝わっているかどうか不安に感じるからこそ話し上手になる訓練を受けるとも言えます

まり、聞き上手の目的の一つは、この、伝わっているかどうかの不安共感して、払拭してあげることと言えるわけです。

ちなみに残り1割の内訳は、相手に伝える意思がなく一方的に話し続ける人と、本当にただ単純に話をすることが大好きな人でした。


不安払拭する3つの共感スキル

ここでは具体的なスキル説明します。といっても、スキル自体は本当にシンプルで、誰にでもすぐにできると思います

1.相槌

相槌です。それ以上でもそれ以下でもありません。

うん。とか、そうだね。とか、確かに。とか、なるほど。とかです。

バリエーションがあるに越したことはありませんが、うん。だけでも十分です。(サポセンときは「はい」でした。)

大事なことは、相手の話を遮ったり否定したりしないことです。

まずは相手が話したいことを全て話させることが、共感にとってとても大事なことだからです。

「この人は自分が話したいことを全て受け入れてくれた。」

この気持こそが、共感第一歩となります

ただし、相槌をしていればよいというわけではなく、できる限り相手を見て、姿勢を正し、的確なタイミングでの相槌が大事です。

特に興味もない話に仕方なく付き合って適当に相槌だけ打ってたら相手の話がいつまでも終わらなかったなんて経験はある人もいると思います

それはある意味では、正しい傾聴に近づいていたと言えるわけです。

ただ、これだけではただいたずらに話を長く引き出すだけになってしまます

残る2つのスキル効果的に用いることによって、話の核心に迫ることができます

2.伝え返し

聞き慣れない言葉かも知れませんが、伝え返しとは、相手の会話のキーワードを、こちらの言葉として相手に伝え返すことです。

例えば「聞いてよ!今日すごいことがあったんだよ!」と言われたとします。

ここで、相手に聞いてほしい内容とは何かを考え、その言葉を伝え返します。

ここでいうと、「すごいこと?」という感じです。

他にも「会社辞めたいんだよね」なら「会社辞めたいの?」

最近、疲れが取れないんだよね」なら、「疲れが取れないの?」

ちょっと辛いことがあってさ」なら「辛いこと?」などです。

難しく考える必要はなく、相手の聞いてほしそうな部分をただ繰り返すだけで十分です。

しかし、相手に聞いてほしいこと=話の核心へと近づくヒントだと考えれば、伝え返しを効果的に繰り返すことが核心に迫るための一番の近道であるとも言えます

ちなみに、普段わずやってしまいがちなことは、脊髄反射でのお説教です。

会社辞めたいんだよね」に対し、「会社辞めてどうすんだよ。」

最近、疲れが取れないんだよね」なら、「お酒のみすぎなんじゃないの」

ちょっと辛いことがあってさ」なら「誰でも辛いのは一緒だよ」

こんな返され方をしたらそれ以上何かを話したいとは思えませんよね。

話をする側は、その話が受け入れてもらえるかどうか不安です。説教が帰ってきたら、この人には話が通じないとそれ以上話すことを諦めてしまます

3.質問

傾聴と聞くと、自分は何かを話してはダメだと考えてしまう人が多くいます

しかしそんなことはなく、むしろ質問をすることで話がスムーズになることもあります

ただし、質問には一応のルールがあります

それは、好奇心による質問NGということです。

例えば「会社を辞めたい」という言葉に対し「何?辞めたいって?何かあったの?」や「トラブル?何か揉め事とか?」といった感じです。

これでは話を聞いてもらえると言うよりは、コンテンツとして消費されてしまいそうな気になってしまます

聞き方そのもの大事といえる部分ですが、例えば「会社を辞めたくなるような事件でもあったなら聞かせてもらえる?」など、あくま目的共感であり寄り添うことであると伝わる聞き方をしましょう。

それ以外でも、話を理解するために疑問の解決目的とした質問は一向に構いません。

話の途中で出てきた言葉出来事のもの理解できないままに傾聴を進めても意味はありませんので、「それって○○っていう理解でいい?」や「〇〇って言葉理解できなかったのだけどもう一度説明してもらって良い?」などといった感じで、その時その時にできる限り理解しつつ進めていきましょう。


相手不安を加速させる3つのNG行動

相手の話を聞く上で、やってはいけない3つのNG行動があります

癖づいてしまっている人も少なくない内容なので、改めて見直してみましょう。

1.武勇伝

相手の話が始まると、すぐに自分の話に置き換えようとしてしまうことです。

特に相手よりすごいとマウントを取ろうと、過去武勇伝を話し始める人が多くいます

男性に多いイメージかも知れませんが、女性でも割と多くいます。(体感は5分です。)

女性場合武勇伝というよりは「私だって」という切り出し方が多いという違いはあります

いずれにしても、相手の話をすぐに自分の話に置き換えようとすれば、相手はそれ以上聞いてもらうことは無理なのだと諦めてしまうことでしょう。

2.無視、ながら傾聴

よく見られるのは、忙しいという理由で何か作業をしながら話を聞こうとする人です。

たとえそれで話が理解できていたとしても、最初に述べた通り話し手不安なままです。

その都度リアクションが得られなければ、話を理解してもらえたという共感を得られることはありません。

3.「でも」

これについては本当にただの口癖になっている人がほとんどです。

しかに、「でも」という言葉は、相手言葉を遮り会話を自分のターンにするときに便利な言葉です。

しかしだからといっていつでも便利に使っていると、「でも」という言葉が出ただけで、相手は話を理解してもらえていないと感じてしまます

ちょっと辛いことがあって」に対し「まあ、でもね、」と返ってきたらどうでしょうか。

話も聞かずに説教が始まりそうな気がしてしまますね。


・聞き上手の入り口

ここまで書いてきた内容は、あくまスキルの話です。

これだけでも相手は十分話しやすくなると思いますが、それだけでは聞き上手とは言えません。

大事なことは目的マインドであり、なぜ聞き上手になりたいのかによって、ここから先に身につけるものが変わってきます

キャバクラで多くの顧客をつけたり、インタビュアーとして様々な情報を聞き出したり、カウンセラーとして聞くことによって相手内面問題を引き出したりとするためには、別途専門的な技術習得必要になります

しかし、ごく身近にいる人間との関係を大切にしたいために聞き上手になりたいという人にとってであれば、私からはこんな言葉を贈ることができます

「大切に思う相手の大切に思うものを大切に思う」

これは、傾聴のトレーニングを含む一連のセミナーの中で出てきた言葉ですが、その時から私の中で座右の銘になりました。

要約すると、「あなたが大切に思うそ相手は、その人が大切に思うもので成り立っているので、その大切に思うものまでしっかりと大切に思うようにしましょう」ということです。


・「大切に思う」とは

ここで言う「大切に思う」というのは、何も「好きになる」という意味ではありません。

例えばあなたの大切に思う人が自分の嫌いな食べ物が好きだったとします。

傾聴を続ける中で例えばその食べ物が好きですか?と聞かれたとき、どう答えるのがいいでしょうか。

嘘をついて好きですと答えるのがいいのでしょうか。

それとも、そんなもの人間の食べるものではないと、説得を始めるのがよいでしょうか。

もちろん両方とも違います

答えは、「自分は嫌いだが、それを好きだという相手を受け入れる」ということです。

言葉にするなら「私はたまたま好きではないけど、それを好きだということは素晴らしいことだと思います」といった感じです。(状況に応じてふさわしい言葉は変わります。)

食べ物くらいであればなんとなく理解できるかも知れませんが、例えばあなたの子供が良からぬ噂のある人間と付き合いがあったとしたらどうでしょう

頭ごなしに「そんな人間との付き合いは辞めなさい!」と怒るべきか、それとも「あなたが言うなら大丈夫」と付き合いを無条件に認めるべきでしょうか。

もちろん簡単に答えがでる問題ではありません。

しかし、ここで大切なことは、「好きと嫌い」や「いいと悪い」「その人との付き合いの大切さ」は、分けて考える必要があるということです。

私自身はその人のことが好きではない。また、聞こえてくるその人の噂自体もよいとは思わない。ただ、その人との付き合いが大切だと思っていることは認める。そのうえで、今後どうしたらいいかを一緒に考えてみることはできないだろうか。」

もし自分子供立場として、こんな言葉を親に言われたらどう感じるでしょうか。

ただ単に、「ダメだ」「やめなさい」「認めない」と言われるより、自分なりにどうすればいいのかを考えられるのではないでしょうか。

私自身が過去相手を大切に思う気持ちが伝わらなかったもどかしさのほとんどが、この言葉一つで解決しました。

聞き上手とは論旨が少しずれてしまますが、今でも大切な話をするときには必ず心の片隅においている言葉です。

ただ、私が思う聞き上手な人は、この「相手の大切に思うもの」を見つけるのが上手で、そこから相手の話を広げて掘り下げてとできる人のようにも感じています

そうしたマインドがあってはじめて、スキルをどのように活用すればよいかの答えが見えてくるのではないでしょうか。

聞き上手について私から語れることは以上となります


トラブル対応で傾聴スキル必要だった理由

ここまでの例は、わかりやすさを優先するために日常会話に置き換えましたが、なぜトラブル対応に傾聴スキル必要なのかの説明をしておきたいと思います

トラブル発生時の人の行動パターンは、大抵次のようなパターンに収まります

トラブル発生→原因を予測→それに伴った解決手段要求責任に応じた補償請求

ただし、問い合わせに来たとき最初に切り出してくる内容はバラバラで、人によってはトラブルのものを問い合わせてきたり、原因から話し始めてみたり、解決手段補償要求してきたりします。

例えば相手が「新品交換してほしい」と要望を出してきたとします。

もし規定に新品交換がなかったとして、そのままここで「新品交換は規定にないのでできません」といくら説得しても無駄です。

なぜなら、相手は新品交換にふさわしいトラブルが発生していると思い込んでいるからです。

(もちろん、その一言解決すれば最短ルートなので、一度は口に出しては見ます。)

ここで大切なことは、「相手が考えている、新品交換にふさわしいとする根拠になりえる原因に共感すること」です。


相手の中では筋が通っている

相手トラブルに対する思考パターンを図式化すると次のようになります

トラブルの原因→トラブル発生→解決手段責任に応じた補償

これらは頭の中では一直線に並んでいて、その人にとっては筋が通っている内容なのです。

そのため、もしここで違う補償提案したとしても、それは相手には筋が通らない話になってしまます

ここでいう「トラブル発生」の部分は比較的に視覚化されていることが多く、相手自分とで共感やすい部分でもあります

しかし、やっかいなのはトラブルの原因」の部分です。

こちらは相手情報機器の状況を元に原因にたどり着けたとしても、それが相手のたどり着いた原因と一致しているとは限らないのです。

別に原因が一致してなくったってトラブル解決すればそれでいいじゃないか

そう思う人もいるかと思います

でも実はそうじゃないんです。


・傾聴を用いて相手との視点を合わせる

あるお客様は、トラブル解決しているにも関わらず執拗補償を求めてきました。

お客様からヒアリングした結果、すでにお客様側の操作ミスによるもの判断した上で、むしろ本来ならば有償対応で然るべきもの無償対応したような状況だったにも関わらずです。

その上で、補償できないことの説得を試みましたが、その結果、大事顧客を失ってしまうほどまでに拗れてしまいました。

その件については今となってはたらればですが、そのことを大きく後悔した私は何が悪かったのかを徹底的に考えました。

そうしてたどり着いたのが「傾聴による原因に対する共感の欠落」でした。

しばらく後に、またも同様の状況に陥りました。

お客様側の操作ミスによるトラブルにも関わらず、執拗こちら側に補償を求められる状況です。

いくら今回のケースに対して補償釣り合ってないと説明しても聞き入れてもらえません。

そこで、補償に対する説得を諦めて、お客様側が要求してくる根拠について傾聴を試みました。

頭の良い方のようで難しい法律言葉や理知的批判言葉が並べられる中を、かき分けるようにして原因について傾聴を続けます

するとわかったことは、トラブルの原因がこちら(会社)側の責任によるもので、自分補償を受けてふさわしいと考えていたことでした。

機器が動かなくなったというトラブル自体共感できています

しかし、なぜ動かなくなったのかの原因の部分、とくにその責任の部分において大きく食い違っていたのです。

こちら側としては、恩着せがましくならないように黙って無償対応したという譲歩をしていた状況だと思っていたので、そのギャップに驚きました。

しかし、お客様の言い分を丁寧に聞き出してそこに共感した上で「実のところ今回に関してはお客様側の操作によるトラブルのため補償対象外となります。」と説明したところ、「申し訳ない」という言葉とともに、すんなりと引き下がってくれたのでした。

この瞬間、もともとお客様の中で筋が通っていたはずの話が、傾聴により正しい原因に置き換わったことで、正しく筋が通る話に置き換わったのだと実感することができました。

お客様要求には、それと対になる原因がある上で筋が通っている。

ならば、そのお客様を説得するには、ただ要求に対して可否を答えるだけでなく、お客様の考える筋が通っているとする話を傾聴して共感した上で、本来の原因を説明し、正しい筋道軌道修正する必要があるのだということがわかりました。

身バレを防ぐために色々とぼかして書いているのでわかりづらくて申し訳ないです。本来、そんな操作ミストラブルが起こるような製品ではありません。)


理解してから理解される

それならば最初から原因が違っていることを説明すればよいと思うかも知れません。

しかし、こうした責任問題については、お客様側が疑心暗鬼になっていることも少なくなく、まずは傾聴した上で信用を獲得してからでないと、こちらの言い分を理解してもらえないことのほうが多くありました。

まり、「相手が原因に対してこう考えている」という部分までの傾聴なくしては、こちらの言い分は押し付けしかならないのです。

これこそが、私自信が傾聴を行う一番の目的だといっても過言ではありません。

相手理解してもらうには、まずは相手理解することが不可欠なのだと言えます


・思いがけない副産物

もちろん全てにおいてこれだけの時間コストをかけるわけにはいきません。

ある程度はマニュアル通りに対応をして最短ルートをたどりつつ、拗れそうな案件についは、無理やり近道をせず確実に手順を踏むという感じで使い分けていました。

これには思いがけない副産物もありました。

それは、顧客クレーマーの切り分けです。

相手の言い分を理解して、こちらの言い分も理解してもらった上で、相手要求が不当であると思えれば、それは間違いなくクレーマーだと分類ができます

その時点でお客様からクレーマーへと分類が変わるので、当然その後の対応解決から処理へと変わります

残念ながらそうした当り屋的な人は一定存在して、それ専用の対応なくしては身を守れないのも事実です。

ただ、誤解をもとにクレーマー分類してしま件数は、傾聴によって激減しました。

その証拠として、私が受け持ったトラブル対応について、解決不能(要するに喧嘩別れ)については実に1/3以下まで減少しました。


最後

後半部分も気がつくと大ボリュームになってしまいましたが、まずはいわゆる普段生活の中で、この人は聞き上手だなと私が感じる人の話を実経験をもとにまとめてみました。

もちろんもっとすごい聞き上手の人も沢山いるし、そのためのスキルも沢山あることでしょう。

「大切に思う人がいるのに気持ちを汲み取ることができない。」

普段なんでもない会話なのにどうしても長続きせずに会話がすぐに終わってしまう。」

そんな人の役に立てれば良いなと思って文字にしてみました。長文失礼しました。

2021-01-23

風俗に落ちた女友達

念のため、年齢はぼかす。創作なので俺も彼女もどこにもいないです。

俺には中学生の頃に女友達がいた。その子は低い声がコンプレックスらしくあまり人前で喋る方ではなくて、アスペルガー障害を持っていた(これは後に発覚)ので、よく周りが笑っている時に笑いどころが分からないと一人で真顔でポツンと座ってるような子だった。ストレスで上唇を噛む癖があり、パッチりとした目をした可愛い子だったが上唇がいつもボロボロだった。それでも2,3人の女の子グループにいつもいて、ぎこちなく笑いを浮かべて過ごしてはいた。

の子も俺もよく休みがちだった。俺は情報量が多い学校生活を送っていると脳と体が疲弊しきるので、周りと比較することを覚えた小4あたりから社会生活を諦めていた。布団に入って教育テレビを見ながら疲弊不安で泣いてることが多かった。

彼女と同じクラスになったのは中1の頃で、席替えの時に隣の席になった。とある授業で前日休んだ人間が前日のプリント職員室に二人で受け取りに来いといわれたので二人で一緒に行ったのが彼女と接点を持ったきっかけだった。今まであんまり接点がなかったが無言のまま行くの気まずいので「マンガ読む?」と彼女に聞いた。彼女は「うん、鈴木先生とか」と即答した。

当時でアクションで連載開始したばっかりぐらいの時期だったので、同級生アクションを読んでる人間がいるとは思わなくて驚いた。父が買ってる漫画雑誌や父の本棚の本を読んでいるらしい。俺と全く同じだった。

それをきっかけに仲良くなった。ジャンプを読まず、アニメも観ず、流行がわからない俺には漫画の話をする相手彼女しかいなかった。話を合わせる必要がある同性の同級生よりも、彼女漫画の話をしてる方が楽しかった。彼女から安野モヨコ」を教えてもらい、俺は彼女に「吉田秋生」を教えた。こっそり漫画を貸し借りした。「吉祥天女すごい面白かった」と彼女は言っていた。俺は「BANANAFISHは?」と彼女に聞いたら「IQ200もある人間が男娼なんかになるわけないし悪い意味で都合がいい展開多くてBANANAFISHは好きじゃなかった」とハッキリ言った。俺はそれを聞いてハッとして「それもそうだね」と笑った。彼女は笑うわけでも怒るわけでもなく、ただ無表情だった。最初は嫌わてるのかと思ったが、こういう子なんだと理解できた。

中3になって受験シーズンに入ると周りも受験モードになってくる。彼女とは別のクラスになったが、メールで時々やりとりをしていた。俺は特に行きたい高校がなかったので通信制高校へ行くつもりでいた。欠席日数も100日を超えていたし、何よりまともに高校生活を送れるとは思わなかった。通信制高校なら週1の通学で卒業できるので、俺でもなんとかやれると思えたのだ。「教師になりたい」と言っていた彼女大学進学も視野にいれて進学校に行きたいらしい。俺も彼女も成績は上位20番台に入れたので、「学校休んでまで勉強しているガリ勉」だとかよく陰口を叩かれていた。特に進学に成績が関係のない俺は受験シーズンになっても変わる事なく学校を休んだりしていた。周りが受験モードになると俺は成績が50番台まで落ち、塾に通いだした彼女は上位10位をキープするようになった。同級生志望校を聞かれたとき通信制高校名を口にすると驚かれた。なんでそんな所に行くんだ。と。三者面談の時に担任から第一志望を通信制高校にするやつなんて初めて見た。考え直せ。」親からも「せめて普通の子みたいに普通高校行ったら?」と言われた。周りから理解はされなかったが、学校休みがちな彼女だけは「頭の中がオーバーフローしそうな時は横になってるのが一番落ち着くんだよね、それ以外どうすればいいかからない」と言っていた。あの時俺の気質理解してくれてたのは彼女だけだったと思う。面倒くさかったので、家から一番近い学校受験した。前期受験の時に同じ中学から受験した子は成績が「160人中120位」ぐらいの子だった。「え!?なんでお前もここ!?」みたいな反応をされたのを覚えてる。周りにも騒がれた。

俺は第一志望の通信制高校に通うを事は叶わず、家から一番近い偏差値40ぐらいの高校に通うことになった。彼女は後期試験第一志望の高校に受かった。思春期の周りが恋愛モードになるが、俺たちは卒業まで学校で会話することもなく、淡々メールを交わすだけだった。ある日彼女に「好きな人いないの?」と聞かれた。俺は「枕と敷布団とかけ布団の3股してるよ」と答えると「私もだ笑」と帰ってきた。「塾の先生がすごい恰好良くてね、携帯ペアストラップつけてるんだけど、あれは彼女いるんだろうな。私も彼氏欲しいな」と言ってきた。今思うと、彼女学校で仲良かった異性は俺ぐらいだったし、あれは彼女なりのモーションだったのかもしれない。彼女にとって俺は恋愛対象じゃないと思っていたので「高校行ったらできるんじゃないかな、応援してる」と返した。そんな感じで卒業して俺たちは疎遠になった。俺はこのままうだつの上がらない生活をし続けて、高校進学で高みを目指せる彼女は、もっともっと高い所に行くんだろうな。と少し寂しくなった。

俺は高校では相変わらず休みガチだったが、中退はさすがにまずいと思って卒業できる程度に通った。授業も中学の復習からまったりして、授業も教科書をなぞるだけだったので、体が辛くても無心でノートを取って、休み時間はずっと寝ていた。幸いクラスメイトも良い子が多くて、人間関係で悩むこともなかった。一度学期末の成績優秀者で学期末に壇上に呼ばれたのがトラウマになり、勉強は授業を受けるだけで一切手を付けなくなった。

高3の頃に俺は進学か就職かの岐路に立たされた。進学する金も家になければ熱意もなくて、自動就職になった。よく教師や親からは「お前みたいなやつ社会じゃやっていけない」と言われていたので、そんな大人たちがいう「楽な仕事」の代表の「市役所」に就職することにして、公務員試験対策過去問を解いてたら高卒枠で滑り込めた。うちの高校から市職員を輩出するのは初だと、また騒ぎになって、来年インタビューに行くからなと担任から言われたのがすごい嫌だった。

就職が決まってから、俺は中学の頃の彼女を思い出した。中学卒業してから高校どう?」と一度連絡したら、「楽しくやってるけど、周りが勉強出来すぎてヤバイ」と不安をこぼしていた。少し心配だったが、勉強に忙しそうだったし、彼女に連絡を入れて勉強邪魔をするのも嫌だったし、もしもガス抜きしたくなったら俺に連絡くるだろう。と思っていた。それ以降連絡は来てない。まだ教師を目指してるんだろうか。大学はどこに行くんだろうか。あれだけ不登校気味だった俺は市職員になるよ。税金ご飯食べるよ。笑っちゃうよね。鈴木先生わっちゃったね。この間ね、安野モヨコエッセイ読んだよ。いろんな話をしたかった。「久しぶり、元気?」一通だけ送った。ひょっとしたらアドレスが変わっていてメールは届かないかもしれない。無事届いた。がその日は返事が来なかった。

翌日の夜中に一通メールが来た。彼女からだ。「久しぶりー、そっちも元気?私はまあまあかな。私入ってからすぐ高校辞めちゃった。〇〇駅(県内で一番大きな駅)の西口売春してたら補導されて、親にすごい怒られて家にも居られなくなっちゃってさ、今は回春エステ転々として寝泊りしてるよー。増田大学行くの?頭良かったもんねえ」

ビックリした。

から晋三が出るかと思った。

中学の俺たちは似た者同士だと思った。しかし俺は彼女けが高みへ飛んだと思っていたのだ。俺がだらだらと低空飛行の高校生活を送ってる間に、彼女高校を辞めるぐらいまで追い詰められていた。働きたくなかった俺は公務員になり、教師になりたかった彼女風俗嬢になっていた。一体どこでどう間違えたんだ?あれだけ高校受験を励めるお前が、頑張れるお前が、なんで落ちたんだ?落ちるんだったら俺の方だろ?

俺は彼女ご飯を食べに行く約束をとりつけた。会って話がしたかった。幸い昼間は時間の融通が利くそうで、予定調整してから合うまでに時間はかからなかった。

久々に会った彼女は顔の印象がだいぶ変わっていた。黒い髪は相変わらずだったが、パッチりとした目の下には人工的な涙袋が入ってた。垢ぬけた感じはあった。体は細いがなぜか指がパンパンに膨れ上がっていて、表情があまりかわらないのは昔のままだった。ボロボロだった上唇が細くきれいになっていた。

「久しぶりだね、大人っぽくなったな」と声をかけると「そっちも中学の時よりすごいかっこよくなっててビックリした」と言ってきた。彼女はこんな事言えたのか。なんか変わったなと思った。

ファミレス軽食をしながら俺たちはお互いの話をした。彼女からは3年間の空白を埋めるようにいろんな話を聞いた。

彼女高校に進学してから授業についていくためにずっと勉強をしていた事。授業についていくために塾にも通った事。それでもとうとうキャパティシが限界を迎えた事。家で数学勉強をしてる時に発狂してしまった事。不安違和感を感じた両親が精神科に連れていき診察した結果、適応障害うつ病だと判断された事。両親と医者と本人との3者でのカウンセリングを重ねたり、いろんな検査を受けた結果幼少期からアスペルガー障害があることもわかった事。その高校を辞めた翌年は別の学校に再受験した事。受かったが周りが自分より1つ年下の環境と、前の学校県内上位の進学校だった事もありすぐに噂が広がり居づらくなった事。ブロンでODをした事。次第に金パブにも手をだすようになった事。金パブブースト学校に通い続けることができたが、そこでも最終的には居づらくなり精神限界を迎えて学校を辞めてしまった事。応援してくれた両親も激怒し愛想つかした事。フリーターとしてコンビニバイトなどをするも空気が読めず、どこへ行ってもうまくいかなかった事。バイト転々としていた当時高2の彼女自分人の力でも食べていけるようになった手段が「売春」だった事。売春を続けていたら補導されたので、寝泊りができる回春エステで働くことにした事。過食嘔吐ストレス解消の手段になった事。整形して顔をいじったこと。今の収入じゃ満足できなくなってきた事。回春エステチップをもらいながら本番をしていたところ病気をもらって運営にも本番行為がバレた事。今度デリヘル転向する事。一切本が読めなくなったこと。文章が頭に入らなくなったこと。休みの日は過食しながらyoutubeジャルジャル漫才を見てゲロ吐いてる事。誰かにずっと監視されてること。いつも誰かに悪口を言われてる気がしてるということ。昔の彼女面影を探すように俺は彼女に色んな話をきいた。中学の3年分よりも彼女と話した。

しかし俺は彼女に「普通生活に戻る気はないのか」とはどうしても聞けなかったのだ。学生生活を満足に送る事が出来なかった俺だからこそわかる。その質問残酷すぎた。普通に働けたのであれば、とっくに働いているのだ。彼女の話をきいて、彼女彼女世界でなんとか足掻こうとしてるのが俺には痛い程わかった。 

中学の頃にさ、〇〇(女友達)はIQ200もあれば男娼になるはずない。ってBANANAFISH批判してたの覚えてる?」

「あー、懐かしい。言ってたね。吉祥天女今でも好きだよ。文庫版買っちゃったの実家にある。」

「買ったんだ、言ってくれればあげたのに。俺はさ、〇〇が風俗嬢になるはずない。ってこの間のメールみて思ったんだよね。」

「だから?」

「でもそれって、〇〇のしんどさとか辛さとか経験を、俺がわかってないだけだったんだな。ってお前の話聞いて思ったよ。アッシュが男娼になるまでのバックグラウンドもっと掘り下げられていれば、〇〇もBANANAFISH楽しめたのかなー」

増田は変わらないね。私の土俵で私の漫画の話をしてくれるよね。中学の頃私と一緒にいた女友達覚えてる?あの子たち時々連絡くれてたんだけど、高校中退した時に『何があっても友達から』って言ってくれたのに、私が売春初めてから連絡してこなくなったよ。私が売春してんのも回春してんのも同級生の間でもう噂になってんでしょ?この間中学の時の××からヤらせてくれってメールきたよ。ただ話したいから会おうって言ってきたのは増田だけ。増田からメール来た時、仕事中もずっと増田の事思い出してた。うれしかったよ」

「そんなに嬉しかった?だったら、薬指切り落して俺に送り付けてくれてもよかったんじゃない?(安野モヨコ漫画ネタ)」

馬鹿じゃないの」3年越しにあってから初め聞いた彼女の笑った声と、笑った顔だった。

俺には彼女を救い上げてやることはできないし、彼女生活を支えてやることもできない。彼女を守ることもできないし、俺たちにはお互いを支えあうような力は残ってなかった。日々の生活でいっぱいいっぱいなのは、お互いが一番よく理解していた。公務員内定が決まった俺に目の色を変える同級生がいたが、一番寄りかかりたいだろう彼女は俺に依存しようとは一切しなかった。性風俗咎めず、性風俗従事している彼女をただ受け入れて話を聞く。俺にできるのはそれだけだった。

俺たちはその日たくさん話して、仕事へ向かう彼女を見送った。何故かもう会えない気がしたので、「体に気を付けて」といったら「そっちもね」と、中学の頃と変わらない無表情で返ってきた。

俺の予感はあたり、彼女と会うのはそれが最後になった。

それから数年経ったある日、彼女から「私と会った事ある人だよね?ずっとスマホ監視されてて。確認たかったの。ヤバい人にずっと付きまとわれてて、ネット本名も晒されて、ずっと監視されてるから疑心暗鬼なっちゃって」とよくわからないメールが飛びこんできた。「久しぶり、増田だよ、中学の頃から同級生だったろ。大丈夫か?」とメールを返したが送信エラーになった。

心配した俺は、ひょっとしたら彼女実家で療養しているのかと思って、中学同級生から彼女実家の住所を聞き家まで行った。表札には彼女苗字はなく別の苗字が書いてあった。念のためインターホンを押したら現住民対応してくれた。どうやら今の住民中古物件としてこの家を買ったみたいで、前回の住民とは一切コンタクトは取っていないとの事。文章でのやりとりが得意で、口語でのやりとりが苦手だった俺たちは、携帯電話番号を交換していなかった。俺は彼女と連絡をとる手段を失った。

それから今に至るまで、彼女とは連絡をとれていない。

2021-01-19

anond:20210119223658

童貞絶滅列島高齢版にして反転させたようなやつ

世界を救うためには高齢童貞の力が必要なのだが誰も名乗り出ない

やがて一般人は「このおっさんキモいから童貞だろ」と手当たり次第に通報するようになり、おっさんの方は「徴集に応じたら生贄にされるんじゃないのか」という疑いもあって偽装に奔走する

社会疑心暗鬼があふれていく雰囲気のほうにフォーカスした終末サスペンス

2021-01-16

僕は一生童貞だと思う。

もうすぐ29歳になる童貞です。吐き出させてください。

僕はとにかく女性との親密なコミュニケーションが取れない。

お互いを深く知るためのコミュニケーションなのに、会話そのもの目標になってしまっていて、気を遣っているつもりでも、結局は自分が傷つかないように、当たり障りのない、面白みもない会話しかできない。年頃の男なら知っていて当然の知識も、できて当然の振る舞いもできない。料理の美味しいお店も休日の人気スポットも知らない。好きなものはあっても、他人と比べて低俗だと思われるのが怖くて、その良さを語るほどの知識も語彙力もない。

自分女性との付き合いが下手だから、こんな自分では相手を楽しませられない」と勝手に諦めて、結局失礼な態度を取っていることに気がつけない。

自分に興味があるなら向こうから色々聞いてくるはずだ」と自意識過剰になりながら、自分からは決してそのようなアクションは起こせない。

悪い印象を与えたくなくて、相手を喜ばせる言動よりも自分が安堵するための言動しかできない。一歩踏み込んだ質問をすべきなのに、「相手不快気持ちにならないかな」などと無駄心配をしているようで、そんな質問をする自分気持ち悪がられないかと考えているにすぎない。

こんな拗らせ方をしていても、それを矯正しようとすらできない。

そのくせプライドだけはやたらと高くて、相手些細なミス性格の不一致に憤りを覚えたり、冗長LINEのやりとりにウンザリしたとしても、それを指摘する勇気はない。

自分がまともな恋愛もできない欠陥人物だと評価されるのが怖くて、古くからの友人にも職場の同僚にも、自分童貞であることを打ち明けられない。

セックスエロには憧れを抱くくせに、嫌悪感と虚無感とプライド邪魔をして風俗店に行くこともできない。

身だしなみに気を遣っているようで、トレンドの服を買うほどの自信も意欲もない。

そしてなによりも、「自分はそこまで悪くはないよなあ」などと根拠のない自信に自惚れ、自分の異常な欠陥を直視できていない。

さぞ日常生活コミュニケーションが取れないのかと思うだろうが、消防士として勤めている都合上、職場内での会話も、一般市民の方々と会話をする機会も多い。

特に救急隊員として出動した際は傷病者の怪我病気状態を訪ねたり、病院に着くまでの間に世間話をしたりもする。

傷病者の不安を和らげようと、柔らかい言葉表現を使い、時には冗談も織り交ぜる。

職場内では、人それぞれの性格雰囲気を見て、冗談と真面目を使い分けて話すことができているつもりではある。

これらはあくまでも仕事をこなすために必要所作で、深く踏み込むつもりがないからできる、一種の演技・役割のようなものだと思っている。

本来自分はこんなに明るくないし、冗談も言わないし、理解力のある人間ではないと自覚している。

上辺だけでもいいからそのコミュニケーション能力を使えばいいだろう、と思うだろうが、それができないからこんな酷いことになってしまったのである

更に言えば、消防士であることを鼻にかけて、自慢気に誇っているのも非常に良くない。

僕は自分コミュニケーション能力のある人間のように振る舞うくせに、コミュニケーションが取れないと嘆く、ペラペラで芯のない大根役者なのだ

女性が怖いのではなく、自分が傷つくのが怖いだけだ。

コミュニケーションを取るうえで多少の齟齬はあって当然だし、相手不快感を与えないような言葉を選んだり、悪いところよりも良いところを探すのが当たり前であるのに、僕はその当たり前が、女性相手にはできない。

凝り固まった固定観念、一方では高くもう一方では低い極端な自己評価、周囲の人間を心の底から信頼できない疑心暗鬼

恥を捨てて素直に話すだけでいいのに、それができない。

こんな醜い自分恋愛などするべきではない。

関わった人を傷つけ、不快な思いをさせるだけ。

いつかは一歩踏み出せると信じ、誰かが手を引いてくれるのを足踏みしながら待っているだけのクズ

それでも、なんとか変わりたいとは思っている。

思っているだけ。

無理だろうけど。

吐き出せる場所がここしかなかったから書きました。

罵倒でもなんでもいいから誰か応えてください。

自分でもどうしたらいいかもうわからないのです。

2021-01-15

在宅勤務でサボってた(と思われる)特徴

直前になって「できてません」

打ち合わせ資料作成を1週間前からお願いしていて

普段からあんまり確認しなくて良い社員なので在宅勤務になっても大丈夫かと思っていたら

打ち合わせ直前になって「すいません、できてません」

他の仕事を割り振ってないのに何してたの?となる

寝てる

社内メール・社内用コミュニケーションツールLINE電話のすべての手段を用いても連絡がつかない

スケジューラには何も入っていないのに連絡がつかない

しつこく電話をかけ続けるとようやく出たが明らかに寝起き

あんまり問い詰めると精神病む系の社員なので強く言えないが連絡が取れるようにはしてほしい

運転

突発事象電話すると明らかに運転

ウインカーのチッカチッカが聞こえてますけど

助手席かな?と思って話してると

「すいません、後で折り返します」

別にどこかに出かけててもいいけど言っといてくれない?もしくはスケジューラに入れるとか。

在宅勤務のサボりとは

別にサボってる定義とかはどうでもいいが

見えないことによる管理者側の疑心暗鬼が増えた気がする

よく言われることだが結局はコミュニケーションが一番大切

https://anond.hatelabo.jp/20210114145526

2021-01-09

anond:20210109194347

大本営中央政府)が嘘ばかりつくから兵隊国民)が疑心暗鬼になるんだろ

物資不足などないデマに踊るなと連呼しても誰も信じないじゃないか

10年前とは完全に別の国

敵の策で主人公孤立する展開のその後

よくあるよね、主人公孤立させられてみんな敵になるやつ

記憶に新しいのだと今の仮面ライダーがそうかな、血気盛んな若手と普段コメディキャラの二号枠がキレた事もあり本気で主人公を殺しに来てた、明日はどうなるんだろうか

有名なやつだとBLEACHで「記憶自由改ざんできる敵」が自分が昔から仲間だったと全員信じ込ませて、父親以外が主人公を責めてくるという事を仕向けたし

からくりサーカスやうしおととらにも敵の策略で主人公が敵認定されたり、主人公存在忘却された事もあった

少しマイナーかもしれないが、ポケモン不思議のダンジョンってゲームでも主人公相棒枠以外がみんな敵として襲いかかってきて、しばらく逃げ回るハメになる展開があった

で、こういう展開は後々に絆が深まるきっかけとか、主人公がいいやつであることをピックアップする展開に繋がるわけだ

たとえばからくりサーカスなら主人公笑顔で「みんな間違えるよ、仕方ないさ!」と言い、本当の敵に向かうって感じだった

それ以外も「ごめんな」「ええんやで」で話が終わり、仲間たちは更に絆を強固なものにしていった…って感じ


うーん、勧善懲悪モノならそれでいいかもしれないけど…それで終わっていいのかなぁ?

たとえば、その孤立した主人公罵倒されたり正気に戻るように説得されたり洗脳されてると信じ込んだ状態の仲間たちから、本気で殺しにかかられてるのだ

怖いよ、普通な

トラウマになるって

まらないよ絆、更に亀裂が入る


から、後々……「俺はあのとき怖かったんだ!お前らが俺を敵認定して!」とか「…どうせ信じてないんだろ?」とか疑心暗鬼をこじらせたり、その時の事を引き合いに出すって展開があってもいいんじゃない

それで仲間が「し、仕方ないだろ!あのときは騙されてたんだし」「まだ言うのか、しつこいぞ…そういう振る舞いのせいで疑われたのもあるんだからな」とか三者三様の反応を返し、今度は主人公がみんなを敵と認識して……的な


そういうの、あんまないよね

流石にウケないからか

2021-01-07

マインドコントロールカフェ

人生アルバイト

私(A)が3日で辞めた人生初のアルバイト先では、従業員洗脳が行われていました。

だいぶ時間が経ったため、そのときたことを日記にしてみたいと思います

すべての始まり

1x 歳のある日、家から遠くなく初心者歓迎とあったカフェ求人を見かけて応募しました。

翌日早速連絡が来て面接を受けることになり、そのカフェで 30 分ほど話をしました。

1 日目

カフェの仲間たち

前回の面接時に「x 日 x 時にまた来てください」と言われたので、てっきり事務的手続きを行うと思ってカフェに来ると、いきなり勤務が開始しました。

出勤初日。まずは新人として先輩がたに挨拶しました。

学生バイトは、少し怖くて気だるげな女性の先輩たちと、優しそうだけど生気を失った男性の先輩が一人。

厨房にはニコリとも笑わない若い男性社員

先輩に店内を案内してもらっていると、背後から「おい、挨拶しろ!!」と声が。

振り返ると、そこには客席にどかっと座る私服おっさん

もちろん初めて見る人でした。

偉そうなその人がオーナーであると先輩に伝えられ、仕方なしに愛想よく挨拶しましたが、無視。隣にはクスクス意地悪く笑う妻らしき女性

旦那煽り運転したとき被害者ガラケー撮影するおばさんが脳裏をよぎりました。

思ったほど歓迎されていない雰囲気に緊張が絶えないでいると、明るい声が聞こえました。

「君は新人の A さん?僕は B って言います!新しいバイト大変だと思うけど、よろしくねっ!😁」

笑顔が素敵でかっこいい、親しみやすそうな男性社員 B でした。

この人がマインドコントロールの主です。

面談

その日は初日ということで、配膳のみ担当することになりました。

不器用ながらも一生懸命働きました。

退勤時間を知らされていなかったので、いつまで働くのかと不安になりながら働いていると、半日ほど経ったとき社員 B に声をかけられました。

「あがっていいよ。タイムカード書いたらちょっと話そう!」

私服に着替えて空いた客席につき、社員 B と面談することになりました。

第一印象と異なり少し厳しい雰囲気でした。

最初給料の振込先などを聞かれたため事務的手続き目的かと思いきや、話はどんどん精神論のような説教に逸れてゆきました。

「まだできることが少なくて悔しいだろ?"あの先輩を超えたい" って思うだろ?」

まりぴんと来ていませんでしたが勢いに押されてハ、ハイと答えました。

「その言葉が聞きたかった。A さんなら本当にできる。超えられるよ、先輩全員を」

激励してくれているのに、嬉しさより違和感がありました。

まり成果を出せた感覚がなかったので、出会って数時間である基本的厨房しかいない社員 B は、無根拠に私を信頼すると言っているように感じられました。

しかしながら、やる気を引き出すための軽いお世辞という感じでもなく、じっとこちらを見つめる妙に真剣眼差しがまるでマルチ勧誘のようでした。

この面談という名の一方的説教は 1 時間半に及びました。

2 日目

指導フォロー

次回以降の勤務日程について何も知らされていないためひょっとしてバイトの話はナシになったのだろうかと考えていると、数日後の 22 時頃、初日LINE を交換した社員 C からメッセージが届きました。

明日 11 時に来てください」

来てくださいって、たまたま大丈夫だけどさ、用事あったらどうするんだ。

その日も初日と同様退勤時間は知らされていませんでした。先輩や社員に尋ねてもたらい回しにされるだけで、結局何時まで働くことになるのかわからないまま勤務を始めました。

初めてのバイトだったので、当時はこんなものかなとなんとなく納得していました。

その日は、先輩にハンディスマホ)を使った注文のとり方を教わり、お客さんからの注文をとることになりました。

しかし、使い慣れない機器記憶していないメニューで注文をとる際操作に失敗してしまいました。

すると、社員 B が女性の先輩に怒鳴りました。

「A にオーダーやらせんなっつっただろうが!A はなーーんにもできねぇんだからさ!!A の失敗はお前の責任からな!!」

もちろん私に聞こえるように言っています

ふてくされた先輩は私に「もうオーダーはやらなくていいから」と冷たく言い放ちました。社員 Bは、「A さぁーん、オーダーはやらなくて大丈夫からねぇー😊」と、猫なで声で言いました。

その後も社員 B が「A がさぁ……」と女性の先輩に何かを話し、直後先輩が何かを注意しに来る、ということが何度かありました。

社員 B は、私に対する威嚇は間接的に行うのみで直接強い態度で出ることは一切なく、必ず部下を使って "指導" を行わせました。

また、こうして笑顔で "フォロー" を行いました。そして、先輩の苛立ちの視線自分に向けられ始めたことに気がつきました。

尋問と涙

その日も唐突に退勤を促され、今度は若い男性社員 C と面談を行うことになりました。

社員 C は人生出会った人間の中で最も無表情でした。

気弱で声が小さく、誰の前でもおどおどしているタイプでした。

経験上こういったおとなしいタイプの人は意外と豊かな世界を持っていることが多く、今までよく仲良くできてきたので、社員 C とは打ち解けられるかもしれないと期待しました。

しかし、社員 C は初めて出会った瞬間から警戒とも異なる、敵意のような態度を向けてきました。

とあるごとに近寄ってきてはぼそぼそと小さな声で小言を言うのですが、内容は抽象的な言葉ばかりで、小言の目的が後輩の教育ではなく上に立つための嫌味であることはすぐに分かりました。

面談では、その月の出勤可能日を尋ねらました。

C「…… x 月 x 日は出勤できますか」

私「その日は難しいです」

C「……それはさぁ……なんでですか……!」

私「大学実験があります

C「……それって何時から何時まで……なんですか……!」

私「わからないのでシフトはやめときたいです」

C「……実験の内容って……何なんですか……!」(本当に知りたいのか?)

以下続く。これを 31 日分行います一言一言に棘を演出しようとしている努力は伝わりましたが、すべて聞き取るのに苦労するほどの音量でした。

正直社員 C にあまり怖さを感じていなかったので、途中から理由はすべて「私用です」と答えるようにしました。

C「……私用って内容は何ですか……!」

私「だから、私用です!」

苛立って語気を強めてしまい顔をあげると、社員 C は目を腫らしてうつむいていました。

新人バイトが強めに言い返しただけで泣くとは思わなかったため動揺しましたが、この尋問社員 C が誰かにやらされているものである気づきました。

やらせている人間は間違いなく社員 B であると勘づきました。

社員 B は、勤務中常にネチネチと社員 C をいじめていました。

人間性を否定するような言葉はもちろん、社員 C が作った料理調理器具ごとガシャーン!と目の前でゴミ箱に捨てたり、執拗に小突いたりしていました。

社員 C はやらされているとはいえ私に強く当たることがあったため味方をする道理はありませんが、同情せざるをえない部分がありました。

3 日目

勤務 3 日目も、前日唐突に来た連絡で出勤が決定しました。

もはや退勤時間が知らされていないのは当然です。

一応尋ねましたがやはりたらい回しで結局わかりませんでした。

その日は先輩からレストランフロアの床を雑巾で水拭きするよう言い渡されました。

(出勤初日に知りましたが、併設の喫煙飲酒ができる薄暗いレストランもなぜか仕事範囲に含まれていました)

今ならレストランの土足スペースの掃除普通モップでやるものだとわかりますし、あの言いつけは嫌がらせだったと思います

お客さんから視線も痛かったですが、当時の私はたとえそんな仕事であっても一人で作業できる分ほっと嬉しく思うくらい、他の従業員と関わる仕事が嫌になっていました。

面談」2

そしてこの日も退勤後に社員 B との面談タイムがありました。

初日面談とは打って変わり、社員 B はにこやかでした。

「C 君に聞いたよ、全然出勤してくれないんだって?だめじゃないか!😊」

面接時に「土日も出勤できますか?」との問いにハイと答えていました。

社員 B はこれを「土日はすべて出勤できる」と曲解し、土日に出勤できない日が 1 日でも存在することを責めているのです。

B「都合とか仕事内容とか、バイトでどうしてもうまくいかないときがあるよね。そういうとき、どうすべきだと思う?」

私「辞めるしかないと思います……」

退職意思は既に固まっていました。

私の返答は社員 B にとって想定外だったようで、笑顔が一瞬引きつったように見えました。

しかし、笑顔を保ったまま「ううん、違うよ。がむしゃらにやるしかないんだよ」と言いました。

私の退職オーラを感じ取ってか、その日の社員 B は終始にっこり笑顔でした。

最後に何か困ったことはないかと聞かれたので、出勤日と退勤時間を出勤数日前には知りたいと伝えると、「わかった。これから気をつけるね!」とあっさり前向きな返事をもらいました。

この日の「面談」は 1 時間足らずで解放してもらえました。

そして退職

初のアルバイトなので最初こそ我慢が足りないかと思いましたが、他で働く友達が面倒くさがりながらもそこそこ楽しそうにバイトの話をするのを見て、勤務 1 回 1 回が嫌でしょうがないことに疑問を感じ始めました。

前回面談後もご想像通り次回のシフトの連絡は来ないわけですが、いっそシフトが決まらない(っていうか連絡が来ない)うちに退職の意を示しそのまま辞めてしまおうと思いました。

勤務分約 1 万 5000 円はもしかしたら振り込まれいかもしれない。

でも、たとえ 1 万 5000 円損しても構わないからとにかく辞めたいと感じていました。

そして勇気を振り絞ってアルバイト先に電話しました。

電話に出たのは社員 B でした。

B「おう、A さん!どした?^^」

私「バイトを辞めさせていただきたくて……」

B「……てめェふざけんなよ!!辞めたいじゃねえよボケ!!そういうのは直接来て言うもんだろうがよ!!いいか、次絶対来いよ、絶対だぞ、わかったな」

突如豹変し、映画で見るヤ●ザのような巻き舌でまくしたてる社員 B。

初めて社員 B が直接私を威嚇した瞬間でした。

私は衝動的にバイトから電話の着信拒否設定と社員 C の LINEブロックを行い、借りていた制服を郵送しました。

もちろんバイト先にはこの後 1 度も行きませんでした。

(だいたい、「次」がいつなのか教えてくれなかったのは向こうです!)

1 万 5000 円は振り込まれていました。👏

マインドコントロールの手口

社員 C から涙の尋問を受けたとき社員 B のやり口に気が付きました。

部下を吹聴して新人をいびらせ、自分はその新人をなだめる親切な上司ポジションに立つ。

しか自分が恐い人間であることは間接的にしっかりアピールする。

最終的に従業員新人時代孤立し、従業員同士は疑心暗鬼になり、全従業員にとって信頼できる人間社員 B のみになっていました。

また、社員 B は相手性別によって態度を少し変えているようでした。

女性に対してはアメとムチで巧みに操る。たまにキレるとき以外はお世辞や冗談で喜ばせていることが多かったです。

男性に対してはとにかく自己肯定感を下げる言動をとっていました。お前は一人では何もできないと常に言い聞かせていました。

女性従業員が皆社員 B を慕い、男性従業員が皆生気を失っていたのはこのためでした。

ちなみにこの日、一瞬だけ店長に会う機会がありましたが(なぜか最初最後)、店長実質的立場社員 B より低く口出しできないようで、他の男性従業員同様に生気を失っていました。

社員 B は、競争心、恐怖心、猜疑心を煽って人を操ることや、アメとムチの使い分けがとても上手でした。

本物のサイコパスは、明るくユーモアがあり、笑顔が素敵で魅力的であることを知りました。

その後

退職後は新たに飲食店でのバイトを始め、数年間お世話になりました。

苦労もありましたが洗脳もなく楽しく働けたので、本当に辞めてよかったと思います

1 年ほど経ったある日、風の噂でカフェが閉店したと聞きました。

最近近くを通る機会がありましたが、更地になっておりなんとも複雑な気持ちになりました。

同時に自分体験は完全に過去出来事になったと感じたので日記にしてみた次第でした。

おわり。

2021-01-06

anond:20210106130415

疑心暗鬼人間不信も、それ自体では抱く本人に問題があることを示している。

処女かどうかなどで異性を判断するのは不合理だ。

「アンタ童貞でしょ」って女性が言ってきたら留保余地なくセクハラだ。

男女で扱いを違える理由はない。そんな差別を看過する道理もない。

2021-01-04

2ちゃんねるの女叩きを読んだことにより男性不信になりました。

私は30歳の女です。

25歳頃に、2ちゃんねる及び2ちゃん系のまとめブログにハマりました。

するとすぐに、いわゆる「女叩き」に遭遇しました。

始めのうちは、

「わ~すごいなこの罵詈雑言(笑)

「ここまでひどい女現実いねーよ(笑)

「あ~…ここまでひどくはないけど、こういう女性たまに居るなぁ(笑)

「私も調子に乗ってバカ女に認定されないよう気を付けないとなぁ(笑)

など、さほど気にせず笑いながら読んでいました。

しかしながら、その後女叩きを目にする回数が増え、

次第にその内容を気にするようになってしまい…、

「こんな書き込み気にする必要ない」と自分に言い聞かせても、

なかなか気持ちの切り替えができないでいます

さらに、その後どんどん現実男性に対しても疑心暗鬼になり、

職場男性や知人男性と接しても、

「こいつ…良い人そうに見えるけど心の中では“女は肉便器”と思っているのでは…」

「この男ねらーっぽいな…“30過ぎ独身女は産業廃棄物”とか思ってるのでは…」

など、いらぬことを考えてしまい、すっかり男性不信です。

また、普段生活の中でも、

少しでも感情的物言いをしたら“これだから女バカ”と思われるのではないか

ちょっとでも会話が脱線したら“これだから女の会話は意味不明…”と思われるのではないか

など、逐一気になってしまい、男性と会話するときに妙に緊張し、

感情を押し殺した機械的論文調の会話をしてしまうことがあります

こうやって文章を書いていても、

少しでも誤字脱字や変な文章があれば“これだから女は…”と思われるのではないか

などと気になってしまます

さすがにこの精神状況はまずいと思い、

最近では2ちゃんまとめブログも見ないようにしています

他に何かこの状況を打破できる手立てはあるでしょうか?

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9209814.html

2021-01-01

anond:20210101022540

元増田です。眠れないのでこちらにもコメントさせてください。

勝手なことを言うようだけど、気分悪いかも。

そんな状態で、さも自分と一緒に楽しそうに偽って年越しされたと思うと。

裏切っておいて良妻を演じられてると思うと。

って、ブーメランすぎるねこれは。

なんかこういうこと考えると妻に対して疑心暗鬼になるからやめてほしい。

2020-12-31

anond:20201231100038

こういう投稿が出てくるってことは、自民党内で疑心暗鬼が強くなっていて、裏切り者あぶりだしたいんだろうなあ(にやにや)

とか思っちゃうくらい私は陰謀論者ですが

実際問題としてみなさん党に忠誠を誓うようなシステムになってると思うし、

自民党潜在的権力の大きさにしがみつくことに価値があると思ってらっしゃると思うんです。

そうでなければ新党結成して政策を掲げれば良いだけですからね。

2020-12-27

タイムスリップして一番緊張するのは

未来を見てきて全財産ギャンブルに賭けるが、本当に未来通りになるか疑心暗鬼の瞬間

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