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2024-11-19

筒井康隆朝のガスパール』を読んだ

先日の土日にて読了

やれやれ、この作品は実にメタ的な作品である

いや、メタ的というより、メタのもの作品主題といったほうが正確だろうか。

読者を小説の中に引き込み文字通り「参加させる」という構造を持つ『朝のガスパール』は、筒井康隆80年代に書き上げた、いわば小説のもの定義に挑んだ挑発的な一冊であった。

あらすじ、といってもこの作品に「あらすじ」を語るのは難しい。

冒頭から読者は「読者」として物語に巻き込まれる。

物語というよりも、筒井康隆が直接話しかけてくるような感覚だ。

そして、そこには作者と読者の境界曖昧になる仕掛けが満載されている。

章ごとに視点が切り替わり、どこからどこまでが現実でどこからどこまでが虚構なのかが次第に崩れていく。

その結果、「これは読者が読む小説ではなく、読者が小説構成する存在である」という、今で言うメタフィクションの極北にたどり着く。

感想としてまず思うのは、当時としては斬新だっただろうな、ということだ。

しか現代の目で見ると、どうだろう。

こういった作品現代で言えば、さほど珍しいものでもないだろう。

要は安価に応えるSSだ。

そう言った意味でいえば『朝のガスパール』はインタラクティブ物語の先駆けとも言えるが、逆に言えば現代ネット文化における安価スレのようなものと大差ないとも言える。

それでも、この作品をただ「古い」と切り捨てられないのは、やはりその「メタ性」の鋭さにある。

筒井康隆文章は、単に「読者参加型」を装うだけではなく、小説のもの存在意義を問う仕掛けになっている。

そして、これが面白いのは、その仕掛けが自分が今何を読んでいるのか」にまで疑問を投げかけてくる点だ。

たとえば、読んでいる途中で「あれ、これ本当に小説なのか?」と思わされる瞬間がある。

それは小説登場人物が読者に話しかけたり、読者が物語の一部であるかのように描かれたりする場面だ。

その瞬間、読者である私は「あ、この作品は私の読み方自体をも含めてデザインされているんだ」と気づく。さらに、この文章を書いている私もまた、『朝のガスパール』の読者としてこの文章を書いているのであり、ひいてはこれを読んでいるあなたも、私が書いた文章の読者としてこのメタ構造の一部を担っているわけだ。ややこしいけど、わかる?

まり筒井康隆が描いたメタ構造は単に『朝のガスパール』の中に閉じていない。

それはこのエッセイにも、そしてこれを読んでいるあなたにも拡張されているのだ。

このことを表現するのに、わざわざ「メタの中のメタ言及するメタ」などと直接書くのは野暮というものだろう。

ここではあくまでそのメタ的な構造を借りつつ、読者がその構造意識する形で展開していきたい。

最後に、ひとつだけ言わせてほしい。『朝のガスパール』を読み終えたとき、私は奇妙な満足感を覚えた。

それは「小説を読んだ」という感覚ではなく、「小説という空間で作者と会話をした」という感覚だった。

今こうして私が書いた増田を読んでいるあなたもまた、この瞬間、私と会話をしている。いや、あなたがこれを読んでいる時点で、もう私はここにはいないのかもしれないけれど、少なくともこの文章を通して私たちはどこかでつながっている。

そう書いた瞬間、私はふと、この「つながっている」という感覚について考え始めた。いや、正確に言えば、私がここで「つながっている」と書いたとき、その言葉を読むあなたの頭の中で何かが動き始めているのだと考えるべきかもしれない。例えば、今この瞬間、あなた脳内には「この文章を書いた人は何を言いたいんだろう?」という疑問が浮かび、あるいは「まあ、そういう小難しいことを言いたいだけだよね」と呆れた気持ちが湧いたかもしれない。

でも、それもまた一つの接触点だ。私が書いた言葉が、あなた意識に波紋を投げかける。それがポジティブものであれネガティブものであれ、私たちは今この瞬間、物理的には別々の場所にいるにもかかわらず、思考交差点に立っている。これを不思議と思わずして何を不思議と思うだろうか?

ここで気づいてほしいのは、この文章のものが橋のようなものだということだ。私が言葉を選び、それを並べ、送り出す。それを受け取るのは、何千キロ離れたどこかの机の上に座る、見知らぬ誰か。あなた。私がどんな顔でこの言葉を綴っているかあなたは知らない。あなたがどんな顔でこの言葉を読んでいるかを私も知らない。でも、それなのにこの文章あなたの目に届き、私はこうしてあなたに話しかけることができる。

そしてここで、私はある種の実験を試みたいと思う。この文章が、ただの文章のままで終わらずに、私という存在あなたという存在が、少しだけ近づくきっかけになったらどうだろう。例えば、あなたがこの文章を読んでいるときに、なんとなく「書いているこの人、なんだかしつこいな」とか「もう少し簡潔に言えないのか」と思ったならば、それはすでに私があなたの中に存在しているという証拠だ。言葉を通じて、私の思考あなたの中に入り込んでいるのだから

もちろん、私はあなたの顔を知らないし、声を聞いたこともない。あなたコーヒーを飲みながらこれを読んでいるのか、満員電車スマートフォンを覗き込んでいるのか、それとも仕事の合間にひっそりと目を通しているのかもわからない。でも、どんな状況であれ、あなたがこの文章を読んでいる今、私たち出会っている。あなたの目がこの文章を追い、あなたの脳がその意味解釈する。それは、私の言葉あなたに届くことで初めて成立する行為だ。

ただ、それを言葉で「つながっている」と表現すると、どうしても味気ない感じがしてしまう。だからこそ、この文章を書いている私が、あなたの中に何かしらのイメージを植えつけたい。例えば、私が今、画面越しに手を伸ばし、あなたの目の前に現れているとしたらどうだろう。いやいや、そんなのはただの妄想だと思うかもしれない。でも、その妄想の中で、私とあなたが初めて握手を交わしたとしたら、それはただの文章を超えた「出会い」だと言えるのではないだろうか。

──だからこそ、ここで握手をしよう。

これを読んでいる「増田」という名のあなたに。

読者として、いや、このメタの一部として。

ありがとう。そして、また。

どうか健やかに

2024-11-12

11/11ごはん読書日記

11/11

夕食前 84.1キロ 夕食+腐りそうなので残りサニーレタスプチトマト一パック+ベビーチーズ1本 実就寝時間:01:00

11/12

実起床時間:07:00 朝食前 84キロ 朝食は納豆油揚げごはん味噌汁胡麻和え、しゃけ

午前中は尿のみ。うんこはなし。

昼食 水漬けパスタに半額お惣菜エビ素揚げホタテと半額だったスイートバジルを追加してオイルで和える

(水漬け10時間+3分茹でだと柔らかすぎだったので今後はもう少し短めに茹でること)

15:30 寝不足で頭がぼんやりしていて重力方向が変。今日は21時までに寝ること。→仕事の残りがあるので変更。

夕食は芋とキノコ玉ねぎと鶏の焼いたやつ と もやしラディッシュ酢漬け

うんこはまだ出ていない

読書

測度・確率ルベーグ積分:40~59Pを行き来。具体的な証明とかは全然からないのでどっかで手書き必要そう。「そもそも積分する対象といったものを有限加法性を持つかどうかなどで正しく構成しないと色んな不整合が生じるので自分がどんな対象に対して積分したいのかをよく認識してね」といったメッセージは読み取れたが、有限加法性やσ加法族、完備化やルベーグ可測、ルベーグ可測でないといったことがまだ頭の中で宙ぶらりんな状態で正しく事例と結びつかないのでその辺が要確認

1972年ブリタニカ ア-カチ:4P

気になった言葉:相落手形、アイオロス(風の操縦者)、アイオワティーアイオワ州の州都ではない。州都デモイン)、愛語摂→四摂事

視聴動画

https://www.youtube.com/watch?v=DaDxCx2-hDc

https://www.youtube.com/watch?v=jfk42-0meJQ

24:12残業完了。就寝。

11/13

実起床:7:35、84.3キロ(朝食前)。うんこなし。朝食はにんじんソーセージブレッドプディング

11時8分 うんこが出る。少し柔らかそうだったが割合健康的な長うんこうんこ体重は84.4

昼食:12:15 オムライスキャベツニンジンサラダ

夕食:20:00 チーズ、魚介のアヒージョ

ルベーグ積分については5章までざざざっと読み飛ばし

基本的にはリーマン積分のこれまでの過程ルベーグ積分でやり直してみようの回

最後条件付き確率については加法族での確率空間再構成という新しい概念が出ていて新鮮だった

11/14

実起床:6:30、84.2(朝食前)。朝食はごはん納豆味噌汁

9:55分 うんこ。まあ普通うんこ

海底二万マイルを少し読み進める。海底の森→潜水艇日常風景座礁→パプアの島という感じで冒険ステージが切り替わった感じ

海底二万マイルという言葉自体はまだ全く出ていない。下巻になってから? 不明

12:30 ニンジン1/2本、蒸しじゃがいものちっちゃいの五個、半額総菜のサバのしょうゆ?煮みたいなやつ

14:30 2回目うんこ ちょっと尻に痛みあり。切れ痔?

18:00 本日残業なし

19:00 夕食 キャベツと肉のスープ 白身魚ハンバーグ

COMIC DAYSgoogle play課金機能が動かなくなる。原因不明

23:00 コンビニ出かける。

海底二万マイルをパプアで人食い人種が出てくるところまで読了

0:30就寝

11/15

7:00実起床 朝食:ピーナッツバタートーストソーセージレタス

12:00 そば

18:30 のりまき

腰痛で死んでいたので0時半に書き込み

読書キングキラークロニクル 風の名前 宿屋の主人との会話まで完了

腰の痛みで何度も起きてしまった。ポケモンスリープ1日目は1時間しか寝ていないことに。

11/16

7:00実起床 朝食は納豆ごはん味噌汁

10:30に耳鼻咽喉科へ聴力健診。風邪で混んでいたので11:40まで待つ。ルベーグ積分を読み終えてしまったが、内容として読み終えただけで関数などの証明には至っていないのでまだまだ読めそう。内容としては中心極限定理大数の法則についてを数学的に積分論の言葉を使って書き表す、というもの。一点気になったのは作者は大数の法則について「経験的な法則というだけでなく<しっかりと数学的な証明を持った考え方~」という話をしていたが、どちらかというと経験の方が大事なのではないかと思った。

また食と文化の本についてアジア編とインド編が読了し、アジアは米と魚、インドは(麦と米と)豆とミルク遊牧文化圏以西は麦とミルク、みたいなまとめまで読んだ。納得できる。

12:30に中華弁当。中身はごはん、味玉、メンチカツじゃがいもえびのあんかけ炒めみたいなもの最後料理は食べたことがある気がするが名前は思い出せない。炒土豆絲?

うんこは午前から夕方までなし。

17:40出発してジムへ向かう。

19:00までジム

20:00 中華料理

海底二万マイルの上巻を読了

ルワンダ銀行総裁日記読了。改めてこれを読んでからルワンダ内戦について確認すると、服部も当時の政権側なのでその色眼鏡が入っているが、RPF側が勝利したので残念な結果だったのかもしれない。特に服部は当時の政権で仲のいい人たちがたくさんいただろうからやはりそれには心を痛めていたのかなという感じ。一方で調べてみるとRPF側が開戦した(ハビャリマナが殺された事件犯人)というのも正しくはなさそう。

実際その後の難民挙動はどうだっただろうというのは気になる。

11/17

7:00 チョコパンケーキ

12:00 ラーメン

15:00 うんこ

17:00 うんこ

19:00 豚タン塩漬け

食文化について、麦の進化経路がかなり複雑であることを色々な角度から列挙。

2024-10-25

ジョーカー2をジョーカーじゃないものとして見てほしい

ジョーカー作品だと思ってみるとキレると思うんだけど

文学作品だと思って見るとちゃん現代ホラーに仕上がってると思うんだよね

こういうのってサブカル界隈ではよくあるかもしれないけど

ここまで金かけて演出や演技のクオリティ上げた状態で、知名度抜群のキャラまでつかってやったのってほぼないから貴重だと思うんだよね

 

ジョーカー1では何者にもなれなかった無敵の人が壊れた挙げ句革命者として祭り上げられる話で

ジョーカー2では祭り上げられて何者かになれるかと思って浮かれた人が結局何者でもなかった話

 

ひたすら何か起こりそうで何も起きず、出来たことは犯罪だけで、その犯罪衝動的なもの

こういうの中年には刺さると思うわ

もし「あなたはこれからヴィランになってください」と言われたら結末はこんな感じだろうな、みたいな話

 

あれだ、チェンソーマンの第二部のデンジ気持ち悪さあるじゃん、アレを煮詰めた感じ

やっぱ現代ってこういうの描きたくなっちゃうんだろうな、絶対批判出るけどね

 

チェンソーマン2部もジョーカー2も、一旦評価上げてからやってるのがたち悪くて面白いよね、俺等たぶん釣られたんだよ

エンタメでつられてホイホイ続きみたら「ほーら現実だよ」って鏡を持ってくる感じだよ

エンタメ見に来てるんだからブチ切れだよね、ああそういうことがしたかったんかいって

題名:おまえ」みたいな捻った作品見せつけてニヤニヤしてる作者を睨むよね

そういう作品

あの読了感のドス黒さは久々に覚えたよ

ルサンチマンを抱いて映画を見に来た人を最も怒らせる方法を取っている

2024-10-11

王様ランキング批判した人が逮捕される

 人気漫画王様ランキング」作者の十日草輔さんの評価を傷つける投稿ツイッター(現X)でしたとして、千葉県警習志野署は11日、名誉毀損の疑いで、香川県善通寺市自称無職女性(30)を書類送検した。署によると、女性は容疑を認め、「作品の内容が、自分の好きな別の漫画に似ていると思い、怒りを発散しようとした」と話している。

 書類送検容疑は2022年7月2日夜、「王様ランキング」について「読了後に不快な気分になるのはなんでだろう。作者が小児性愛者、ネトウヨから」などの内容を投稿した疑い。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6a872f6bc90e4ba27050cd743064d3ad5bb8f805

えっっっっっっっっっっっっっっっっ!?

こんなので逮捕されるの!?

刑事事件になるの??????

いやそりゃ良くない発言だし作者が見たら傷つくと思うけど

警察行くほどの話なのか!???警察動くほどの話なのか!?!?

悪いけど怖いからこの漫画読まねーわ

批判目的ではないが、「この作者ロリコンだなー」「この作者人妻好きだなー」とか思っちゃうし書いちゃうとあるもん

右翼的左翼的だと思っちゃうし書いちゃうもん

そのレベルを許容できない人の作品とかこわいよ

作者は乱世の王かなんかかよ

2024-10-01

三四郎は流れから目を放して、上を見た。こういう空の模様を見たのははじめてではない。けれども空が濁ったという言葉を聞いたのはこの時がはじめてである。気がついて見ると、濁ったと形容するよりほかに形容のしかたのない色であった。三四郎が何か答えようとするまえに、女はまた言った。 「重いこと。大理石のように見えます」  美禰子は二重瞼を細くして高い所をながめていた。それから、その細くなったままの目を静かに三四郎の方に向けた。そうして、 「大理石のように見えるでしょう」と聞いた。三四郎は、 「ええ、大理石のように見えます」と答えるよりほかはなかった。女はそれで黙った。しばらくしてから、今度は三四郎が言った。 「こういう空の下にいると、心が重くなるが気は軽くなる」 「どういうわけですか」と美禰子が問い返した。  三四郎には、どういうわけもなかった。返事はせずに、またこう言った。 「安心して夢を見ているような空模様だ」 「動くようで、なかなか動きませんね」と美禰子はまた遠くの雲をながめだした。  菊人形で客を呼ぶ声が、おりおり二人のすわっている所まで聞こえる。 「ずいぶん大きな声ね」 「朝から晩までああいう声を出しているんでしょうか。えらいもんだな」と言ったが、三四郎は急に置き去りにした三人のことを思い出した。何か言おうとしているうちに、美禰子は答えた。 「商売ですもの、ちょうど大観音乞食と同じ事なんですよ」 「場所が悪くはないですか」  三四郎は珍しく冗談を言って、そうして一人でおもしろそうに笑った。乞食について下した広田言葉をよほどおかしく受けたかである。 「広田先生は、よく、ああいう事をおっしゃるかたなんですよ」ときわめて軽くひとりごとのように言ったあとで、急に調子をかえて、 「こういう所に、こうしてすわっていたら、大丈夫及第よ」と比較的活発につけ加えた。そうして、今度は自分のほうでおもしろそうに笑った。 「なるほど野々宮さんの言ったとおり、いつまで待っていてもだれも通りそうもありませんね」 「ちょうどいいじゃありませんか」と早口に言ったが、あとで「おもらいをしない乞食なんだから」と結んだ。これは前句の解釈のためにつけたように聞こえた。  ところへ知らん人が突然あらわれた。唐辛子の干してある家の陰から出て、いつのまにか川を向こうへ渡ったものみえる。二人のすわっている方へだんだん近づいて来る。洋服を着て髯をはやして、年輩からいうと広田先生くらいな男である。この男が二人の前へ来た時、顔をぐるりと向け直して、正面から三四郎と美禰子をにらめつけた。その目のうちには明らかに憎悪の色がある。三四郎はじっとすわっていにくいほどな束縛を感じた。男はやがて行き過ぎた。その後影を見送りながら、三四郎は、 「広田先生や野々宮さんはさぞあとでぼくらを捜したでしょう」とはじめて気がついたように言った。美禰子はむしろ冷やかである。 「なに大丈夫よ。大きな迷子ですもの」 「迷子から捜したでしょう」と三四郎はやはり前説を主張した。すると美禰子は、なお冷やかな調子で、 「責任をのがれたがる人だから、ちょうどいいでしょう」 「だれが? 広田先生がですか」  美禰子は答えなかった。 「野々宮さんがですか」  美禰子はやっぱり答えなかった。 「もう気分はよくなりましたか。よくなったら、そろそろ帰りましょうか」  美禰子は三四郎を見た。三四郎は上げかけた腰をまた草の上におろした。その時三四郎はこの女にはとてもかなわないような気がどこかでした。同時に自分の腹を見抜かれたという自覚に伴なう一種屈辱をかすかに感じた。 「迷子」  女は三四郎を見たままでこの一言を繰り返した。三四郎は答えなかった。 「迷子英訳を知っていらしって」  三四郎は知るとも、知らぬとも言いえぬほどに、この問を予期していなかった。 「教えてあげましょうか」 「ええ」 「迷える子――わかって?」  三四郎はこういう場合になると挨拶に困る男である咄嗟の機が過ぎて、頭が冷やかに働きだした時、過去を顧みて、ああ言えばよかった、こうすればよかったと後悔する。といって、この後悔を予期して、むりに応急の返事を、さもしぜんらしく得意に吐き散らすほどに軽薄ではなかった。だからただ黙っている。そうして黙っていることがいかにも半間である自覚している。  迷える子という言葉はわかったようでもある。またわからないようでもある。わかるわからないはこの言葉意味よりも、むしろこの言葉を使った女の意味である三四郎はいたずらに女の顔をながめて黙っていた。すると女は急にまじめになった。 「私そんなに生意気に見えますか」  その調子には弁解の心持ちがある。三四郎は意外の感に打たれた。今までは霧の中にいた。霧が晴れればいいと思っていた。この言葉で霧が晴れた。明瞭な女が出て来た。晴れたのが恨めしい気がする。  三四郎は美禰子の態度をもとのような、――二人の頭の上に広がっている、澄むとも濁るとも片づかない空のような、――意味のあるものにしたかった。けれども、それは女のきげんを取るための挨拶ぐらいで戻せるものではないと思った。女は卒然として、 「じゃ、もう帰りましょう」と言った。厭味のある言い方ではなかった。ただ三四郎にとって自分は興味のないものあきらめるように静かな口調であった。  空はまた変ってきた。風が遠くから吹いてくる。広い畑の上には日が限って、見ていると、寒いほど寂しい。草からあがる地息でからだは冷えていた。気がつけば、こんな所に、よく今までべっとりすわっていられたものだと思う。自分一人なら、とうにどこかへ行ってしまったに違いない。美禰子も――美禰子はこんな所へすわる女かもしれない。 「少し寒くなったようですから、とにかく立ちましょう。冷えると毒だ。しかし気分はもうすっかり直りましたか」 「ええ、すっかり直りました」と明らかに答えたが、にわかに立ち上がった。立ち上がる時、小さな声で、ひとりごとのように、 「迷える子」と長く引っ張って言った。三四郎はむろん答えなかった。  美禰子は、さっき洋服を着た男の出て来た方角をさして、道があるなら、あの唐辛子そばを通って行きたいという。二人は、その見当へ歩いて行った。藁葺のうしろにはたして細い三尺ほどの道があった。その道を半分ほど来た所で三四郎は聞いた。 「よし子さんは、あなたの所へ来ることにきまったんですか」  女は片頬で笑った。そうして問い返した。 「なぜお聞きになるの」  三四郎が何か言おうとすると、足の前に泥濘があった。四尺ばかりの所、土がへこんで水がぴたぴたにたまっている。そのまん中に足掛かりのためにてごろな石を置いた者がある。三四郎は石の助けをからずに、すぐに向こうへ飛んだ。そうして美禰子を振り返って見た。美禰子は右の足を泥濘のまん中にある石の上へ乗せた。石のすわりがあまりよくない。足へ力を入れて、肩をゆすって調子を取っている。三四郎こちら側から手を出した。 「おつかまりなさい」 「いえ大丈夫」と女は笑っている。手を出しているあいだは、調子を取るだけで渡らない。三四郎は手を引っ込めた。すると美禰子は石の上にある右の足に、からだの重みを託して、左の足でひらりこちら側へ渡った。あまり下駄をよごすまいと念を入れすぎたため、力が余って、腰が浮いた。のめりそうに胸が前へ出る。その勢で美禰子の両手が三四郎の両腕の上へ落ちた。 「迷える子」と美禰子が口の内で言った。三四郎はその呼吸を感ずることができた。

https://anond.hatelabo.jp/20241001172740

 ベルが鳴って、講師教室から出ていった。三四郎インキの着いたペンを振って、ノートを伏せようとした。すると隣にいた与次郎が声をかけた。

「おいちょっと借せ。書き落としたところがある」

 与次郎三四郎ノートを引き寄せて上からのぞきこんだ。stray sheep という字がむやみに書いてある。

「なんだこれは」

講義を筆記するのがいやになったから、いたずらを書いていた」

「そう不勉強はいかん。カントの超絶唯心論バークレーの超絶実在論にどうだとか言ったな」

「どうだとか言った」

「聞いていなかったのか」

「いいや」

「まるで stray sheep だ。しかたがない」

 与次郎自分ノートをかかえて立ち上がった。机の前を離れながら、三四郎に、

「おいちょっと来い」と言う。三四郎与次郎について教室を出た。梯子段を降りて、玄関前の草原へ来た。大きな桜がある。二人はその下にすわった。

 ここは夏の初めになると苜蓿が一面にはえる。与次郎入学願書を持って事務へ来た時に、この桜の下に二人の学生が寝転んでいた。その一人が一人に向かって、口答試験都々逸で負けておいてくれると、いくらでも歌ってみせるがなと言うと、一人が小声で、粋なさばきの博士の前で、恋の試験がしてみたいと歌っていた。その時から与次郎はこの桜の木の下が好きになって、なにか事があると、三四郎をここへ引っ張り出す。三四郎はその歴史与次郎から聞いた時に、なるほど与次郎俗謡で pity's love を訳すはずだと思った。きょうはしか与次郎がことのほかまじめである。草の上にあぐらをかくやいなや、懐中から文芸時評という雑誌を出してあけたままの一ページを逆に三四郎の方へ向けた。

「どうだ」と言う。見ると標題に大きな活字で「偉大なる暗闇」とある。下には零余子と雅号を使っている。偉大なる暗闇とは与次郎がいつでも広田先生を評する語で、三四郎も二、三度聞かされたものであるしか零余子はまったく知らん名である。どうだと言われた時に、三四郎は、返事をする前提としてひとまず与次郎の顔を見た。すると与次郎はなんにも言わずにその扁平な顔を前へ出して、右の人さし指の先で、自分の鼻の頭を押えてじっとしている。向こうに立っていた一人の学生が、この様子を見てにやにや笑い出した。それに気がついた与次郎はようやく指を鼻から放した。

「おれが書いたんだ」と言う。三四郎はなるほどそうかと悟った。

「ぼくらが菊細工を見にゆく時書いていたのは、これか」

「いや、ありゃ、たった二、三日まえじゃないか。そうはやく活版になってたまるものか。あれは来月出る。これは、ずっと前に書いたものだ。何を書いたもの標題でわかるだろう」

広田先生の事か」

「うん。こうして輿論喚起しておいてね。そうして、先生大学はいれる下地を作る……」

「その雑誌はそんなに勢力のある雑誌か」

 三四郎雑誌名前さえ知らなかった。

「いや無勢力から、じつは困る」と与次郎は答えた。三四郎は微笑わざるをえなかった。

「何部ぐらい売れるのか」

 与次郎は何部売れるとも言わない。

「まあいいさ。書かんよりはましだ」と弁解している。

 だんだん聞いてみると、与次郎は従来からこの雑誌関係があって、ひまさえあればほとんど毎号筆を執っているが、その代り雅名も毎号変えるから、二、三の同人のほか、だれも知らないんだと言う。なるほどそうだろう。三四郎は今はじめて与次郎文壇との交渉を聞いたくらいのものであるしか与次郎がなんのために、遊戯に等しい匿名を用いて、彼のいわゆる大論文をひそかに公けにしつつあるか、そこが三四郎にはわからなかった。

 いくぶんか小遣い取りのつもりで、やっている仕事かと不遠慮に尋ねた時、与次郎は目を丸くした。

「君は九州のいなかから出たばかりだから中央文壇趨勢を知らないために、そんなのん気なことをいうのだろう。今の思想界の中心にいて、その動揺のはげしいありさまを目撃しながら、考えのある者が知らん顔をしていられるものか。じっさい今日の文権はまったく我々青年の手にあるんだから一言でも半句でも進んで言えるだけ言わなけりゃ損じゃないか文壇は急転直下の勢いでめざまし革命を受けている。すべてがことごとく動いて、新気運に向かってゆくんだから、取り残されちゃたいへんだ。進んで自分からこの気運をこしらえ上げなくちゃ、生きてる甲斐はない。文学文学って安っぽいようにいうが、そりゃ大学なんかで聞く文学のことだ。新しい我々のいわゆる文学は、人生のものの大反射だ。文学の新気運は日本社会活動に影響しなければならない。また現にしつつある。彼らが昼寝をして夢を見ているまに、いつか影響しつつある。恐ろしいものだ。……」

 三四郎は黙って聞いていた。少しほらのような気がする。しかしほらでも与次郎はなかなか熱心に吹いている。すくなくとも当人だけは至極まじめらしくみえる。三四郎はだいぶ動かされた。

「そういう精神でやっているのか。では君は原稿料なんか、どうでもかまわんのだったな」

「いや、原稿料は取るよ。取れるだけ取る。しか雑誌が売れないからなかなかよこさない。どうかして、もう少し売れる工夫をしないといけない。何かいい趣向はないだろうか」と今度は三四郎相談をかけた。話が急に実際問題に落ちてしまった。三四郎は妙な心持ちがする。与次郎は平気であるベルが激しく鳴りだした。

「ともかくこの雑誌を一部君にやるから読んでみてくれ。偉大なる暗闇という題がおもしろいだろう。この題なら人が驚くにきまっている。――驚かせないと読まないからだめだ」

 二人は玄関を上がって、教室はいって、机に着いた。やがて先生が来る。二人とも筆記を始めた。三四郎は「偉大なる暗闇」が気にかかるので、ノートそば文芸時評をあけたまま、筆記のあいあいまに先生に知れないように読みだした。先生はさいわい近眼である。のみならず自己講義のうちにぜんぜん埋没している。三四郎の不心得にはまるで関係しない。三四郎はいい気になって、こっちを筆記したり、あっちを読んだりしていったが、もともと二人でする事を一人で兼ねるむりな芸だからしまいには「偉大なる暗闇」も講義の筆記も双方ともに関係がわからなくなった。ただ与次郎文章一句だけはっきり頭にはいった。

自然宝石を作るに幾年の星霜を費やしたか。またこ宝石採掘の運にあうまでに、幾年の星霜を静かに輝やいていたか」という句である。その他は不得要領に終った。その代りこの時間には stray sheep という字を一つも書かずにすんだ。

 講義が終るやいなや、与次郎三四郎に向かって、

「どうだ」と聞いた。じつはまだよく読まないと答えると、時間経済を知らない男だといって非難した。ぜひ読めという。三四郎は家へ帰ってぜひ読むと約束した。やがて昼になった。二人は連れ立って門を出た。

「今晩出席するだろうな」と与次郎西片町へはい横町の角で立ち留まった。今夜は同級生の懇親会がある。三四郎は忘れていた。ようやく思い出して、行くつもりだと答えると、与次郎は、

「出るまえにちょっと誘ってくれ。君に話す事がある」と言う。耳のうしろペン軸をはさんでいる。なんとなく得意である三四郎承知した。

 下宿へ帰って、湯にはいって、いい心持ちになって上がってみると、机の上に絵はがきがある。小川かいて、草をもじゃもじゃはやして、その縁に羊を二匹寝かして、その向こう側に大きな男がステッキを持って立っているところを写したものである。男の顔がはなはだ獰猛にできている。まったく西洋の絵にある悪魔を模したもので、念のため、わきにちゃんデビル仮名が振ってある。表は三四郎宛名の下に、迷える子と小さく書いたばかりである三四郎は迷える子の何者かをすぐ悟った。のみならず、はがきの裏に、迷える子を二匹書いて、その一匹をあん自分見立ててくれたのをはなはだうれしく思った。迷える子のなかには、美禰子のみではない、自分ももとよりはいっていたのである。それが美禰子のおもわくであったとみえる。美禰子の使った stray sheep意味がこれでようやくはっきりした。

 与次郎約束した「偉大なる暗闇」を読もうと思うが、ちょっと読む気にならない。しきりに絵はがきをながめて考えた。イソップにもないような滑稽趣味がある。無邪気にもみえる。洒落でもある。そうしてすべての下に、三四郎の心を動かすあるものがある。

 手ぎわからいっても敬服の至りである。諸事明瞭にでき上がっている。よし子のかいた柿の木の比ではない。――と三四郎には思われた。

 しばらくしてから三四郎はようやく「偉大なる暗闇」を読みだした。じつはふわふわして読みだしたのであるが、二、三ページくると、次第に釣りまれるように気が乗ってきて、知らず知らずのまに、五ページ六ページと進んで、ついに二十七ページの長論文を苦もなく片づけた。最後の一句読了した時、はじめてこれでしまいだなと気がついた。目を雑誌から離して、ああ読んだなと思った。

 しかし次の瞬間に、何を読んだかと考えてみると、なんにもない。おかしいくらいなんにもない。ただ大いにかつ盛んに読んだ気がする。三四郎与次郎の技倆に感服した。

 論文は現今の文学者の攻撃に始まって、広田先生の賛辞に終っている。ことに文学文科の西洋人を手痛く罵倒している。はやく適当日本人を招聘して、大学相当の講義を開かなくっては、学問の最高府たる大学も昔の寺子屋同然のありさまになって、煉瓦石のミイラと選ぶところがないようになる。もっとも人がなければしかたがないが、ここに広田先生がある。先生十年一日のごとく高等学校に教鞭を執って薄給無名に甘んじている。しか真正学者である。学海の新気運に貢献して、日本の活社会交渉のある教授担任すべき人物である。――せんじ詰めるとこれだけであるが、そのこれだけが、非常にもっともらしい口吻と燦爛たる警句とによって前後二十七ページに延長している。

 その中には「禿を自慢するものは老人に限る」とか「ヴィーナスは波からまれたが、活眼の士は大学からまれない」とか「博士を学界の名産と心得るのは、海月田子の浦名産と考えるようなものだ」とかいろいろおもしろい句がたくさんある。しかしそれよりほかになんにもない。ことに妙なのは広田先生を偉大なる暗闇にたとえたついでに、ほかの学者を丸行燈比較して、たかだか方二尺ぐらいの所をぼんやり照らすにすぎないなどと、自分広田から言われたとおりを書いている。そうして、丸行燈だの雁首などはすべて旧時代遺物で我々青年にはまったく無用であると、このあいだのとおりわざわざ断わってある。

 よく考えてみると、与次郎論文には活気がある。いかにも自分一人で新日本代表しているようであるから、読んでいるうちは、ついその気になる。けれどもまったく実がない。根拠地のない戦争のようなものである。のみならず悪く解釈すると、政略的の意味もあるかもしれない書き方である。いなか者の三四郎にはてっきりそこと気取ることはできなかったが、ただ読んだあとで、自分の心を探ってみてどこかに不満足があるように覚えた。また美禰子の絵はがきを取って、二匹の羊と例の悪魔をながめだした。するとこっちのほうは万事が快感である。この快感につれてまえの不満足はますます著しくなった。それで論文の事はそれぎり考えなくなった。美禰子に返事をやろうと思う。不幸にして絵がかけない。文章にしようと思う。文章ならこの絵はがき匹敵する文句でなくってはいけない。それは容易に思いつけない。ぐずぐずしているうちに四時過ぎになった。

 袴を着けて、与次郎を誘いに、西片町へ行く。勝手からはいると、茶の間に、広田先生が小さな食卓を控えて、晩食を食っていた。そば与次郎かしこまってお給仕をしている。

先生どうですか」と聞いている。

 先生は何か堅いものをほおばったらしい。食卓の上を見ると、袂時計ほどな大きさの、赤くって黒くって、焦げたものが十ばかり皿の中に並んでいる。

 三四郎は座に着いた。礼をする。先生は口をもがもがさせる。

「おい君も一つ食ってみろ」と与次郎が箸で皿のものをつまんで出した。掌へ載せてみると、馬鹿貝の剥身の干したのをつけ焼にしたのである

「妙なものを食うな」と聞くと、

「妙なものって、うまいぜ食ってみろ。これはね、ぼくがわざわざ先生にみやげに買ってきたんだ。先生はまだ、これを食ったことがないとおっしゃる

「どこから

日本から

 三四郎おかしくなった。こういうところになると、さっきの論文調子とは少し違う。

先生、どうです」

「堅いね

「堅いけれどもうまいでしょう。よくかまなくっちゃいけません。かむと味が出る」

「味が出るまでかんでいちゃ、歯が疲れてしまう。なんでこんな古風なものを買ってきたものかな」

「いけませんか。こりゃ、ことによると先生にはだめかもしれない。里見の美禰子さんならいいだろう」

「なぜ」と三四郎が聞いた。

「ああおちついていりゃ味の出るまできっとかんでるに違いない」

「あの女はおちついていて、乱暴だ」と広田が言った。

「ええ乱暴です。イブセンの女のようなところがある」

イブセンの女は露骨だが、あの女は心が乱暴だ。もっと乱暴といっても、普通乱暴とは意味が違うが。野々宮の妹のほうが、ちょっと見ると乱暴のようで、やっぱり女らしい。妙なものだね」

里見のは乱暴の内訌ですか」

 三四郎は黙って二人の批評を聞いていた。どっちの批評もふにおちない。乱暴という言葉が、どうして美禰子の上に使えるか、それから第一不思議であった。

 与次郎はやがて、袴をはいて、改まって出て来て、

ちょっと行ってまいります」と言う。先生は黙って茶を飲んでいる。二人は表へ出た。表はもう暗い。門を離れて二、三間来ると、三四郎はすぐ話しかけた。

先生里見お嬢さん乱暴だと言ったね」

「うん。先生はかってな事をいう人だから、時と場合によるとなんでも言う。第一先生が女を評するのが滑稽だ。先生の女における知識はおそらく零だろう。ラッブをしたことがないものに女がわかるものか」

先生はそれでいいとして、君は先生の説に賛成したじゃないか

「うん乱暴だと言った。なぜ」

「どういうところを乱暴というのか」

「どういうところも、こういうところもありゃしない。現代女性はみんな乱暴にきまっている。あの女ばかりじゃない」

「君はあの人をイブセンの人物に似ていると言ったじゃないか

「言った」

イブセンのだれに似ているつもりなのか」

「だれって……似ているよ」

 三四郎はむろん納得しない。しかし追窮もしない。黙って一間ばかり歩いた。すると突然与次郎がこう言った。

イブセンの人物に似ているのは里見お嬢さんばかりじゃない。今の一般女性はみんな似ている。女性ばかりじゃない。いやしくも新しい空気に触れた男はみんなイブセンの人物に似たところがある。ただ男も女もイブセンのように自由行動を取らないだけだ。腹のなかではたいていかぶれている」

「ぼくはあんまりかぶれていない」

「いないとみずから欺いているのだ。――どんな社会だって陥欠のない社会はあるまい」

「それはないだろう」

「ないとすれば、そのなかに生息している動物はどこかに不足を感じるわけだ。イブセンの人物は、現代社会制度の陥欠をもっとも明らかに感じたものだ。我々もおいおいああなってくる」

「君はそう思うか」

「ぼくばかりじゃない。具眼の士はみんなそう思っている」

「君の家の先生もそんな考えか」

「うちの先生? 先生はわからない」

だって、さっき里見さんを評して、おちついていて乱暴だと言ったじゃないか。それを解釈してみると、周囲に調和していけるから、おちついていられるので、どこかに不足があるから、底のほうが乱暴だという意味じゃないのか」

「なるほど。――先生は偉いところがあるよ。ああいうところへゆくとやっぱり偉い」

 と与次郎は急に広田先生をほめだした。三四郎は美禰子の性格についてもう少し議論の歩を進めたかったのだが、与次郎のこの一言でまったくはぐらかされてしまった。すると与次郎が言った。

「じつはきょう君に用があると言ったのはね。――うん、それよりまえに、君あの偉大なる暗闇を読んだか。あれを読んでおかないとぼくの用事が頭へはいりにくい」

「きょうあれから家へ帰って読んだ」

「どうだ」

先生はなんと言った」

先生は読むものかね。まるで知りゃしない」

「そうさなおもしろいことはおもしろいが、――なんだか腹のたしにならないビールを飲んだようだね」

「それでたくさんだ。読んで景気がつきさえすればいい。だから匿名にしてある。どうせ今は準備時代だ。こうしておいて、ちょうどいい時分に、本名を名乗って出る。――それはそれとして、さっきの用事を話しておこう」

2024-09-23

anond:20240921223015

前提:アニメは見ない

チェンソーマン

「3巻から面白くなるから!」と複数人から薦められて、1巻からつまんねーのを我慢して3巻まで読了したが、1ミリ面白くならないのでやめる

スパイファミリー

お手本通りに描きました感バリバリの設定とストーリー

売れてるからにはそのうち既視感を裏切ってくるだろうと期待したが、何ひとつ面白くないままお手本通りな話が進む

作者が作品愛情感じてない、との話に同情を禁じ得ない

売れっ子から趣味で描きたいもん描く時間も取れないだろうし

ダンジョン飯

異国パーティが入ってきたあたりで読むのダルくなってきて、妹に飯食わすだの何だのやってる辺りで完全に飽きた

キングダム

王騎が死んだ当たりから読む気失せてフェードアウト

主役食うくらい魅力的なキャラスポット的に使うのが定石なのは分かってるが

3月のライオン

三姉妹の次女のクラスいじめのやつ

それこの漫画でやる意味ある?どこに行きたいんだこの話は?となった

(多分この漫画の売りの一つの)長女の作る飯が全然美味そうに見えないのも理由

炭水化物と脂質過多の昭和臭い貧乏

2024-08-02

anond:20240802125656

素人創作感想カツアゲは煙に巻いて逃げるの一択やろなあ

素人の出来の悪いオリジナル小説なんて読まれるのが奇跡みたいなもんだし、読了する気力と感想言語化の労力に金払って欲しいくら

これは聞いてきた方に器量がない(商業作家覚悟がない、褒めて欲しけりゃそう言え)パターンだけどあるあるやね

2024-07-27

ハーレム系以外をもとめてたはずだったのに

主人公は誠実風。戦いの中でいろんなヒロイン候補と絆を深めつつ、最後は正ヒロインと結ばれたた…。しかし結局正ヒロインがほかのヒロインを許容してハーレム形成→𝓗𝓪𝓹𝓹𝔂 𝓔𝓷𝓭…

というのを読了した。

そのあと、ハーレムにならないぽいやつを読み始めたんだ。

主人公が憧れている関係値の低い正ヒロインらしき子との描写が濃くなる前に、冒険先で出会った新しい子との数々の事件を通じて関係値が高まり、その新しい子と主人公が付き合う…という展開が長々と続く。二人は清く正しく、共に成長していくが、新しいヒロインは若干依存気質で束縛がひどいため、読み手としての好感度は低い。

それでも主人公はそんな彼女の一面も「可愛い」と思っているので、「恋愛は二人のものだもんな」という温度感で読んでいた。ところが、唐突に(いや伏線はあったけど)主人公病気により物語の始まりまで飛んでしまい、これまで読んできた関係値が主人公の中でリセットされてしまった。

依存気質の新ヒロインは真っ青。主人公は好きな子が正ヒロインらしい子になり、性格も今までの努力を忘れてしまい、急に力を手に入れた感覚なので「え?俺ってすごいんです(ドヤ)」とまでは行かないが…少々ちゃらんぽらんになってしまっている。

依存気質で束縛系のヒロインをあまり好きではなかったものの、支援してトラウマを克服してきた経緯があったので、「うそだろ」と感じている。

さらにこの後どのヒロインちゃんとでも、関係値を高めていけるようになってるので「あれ?結局ハーレム系??」という気持ち

ハーレム系を見抜く力が欲しい…。

完結から読むしかいか〜。

2024-07-21

地味なライフハック

漫画新刊が発売されて1ヶ月我慢してから買うと、次の新刊が出るまでの待ち時間が1ヶ月短くなる。

先に買ってから1ヶ月読まずに放置する作戦はつい読了してしまって失敗するのでおすすめではない。

ただしネタバレリスクと、次の新刊が出たときも1ヶ月待ちを行うとただ1ヶ月遅れ単行本を追ってるだけになるリスクがある。

2024-07-17

ファンタジーマニア発言力、低くない?

何々読了。とかブログやXに書いて最新の作品を追いかけつつ、古いマイナー作品知識をさも読んでて当然のように引き合いに出し、なんか小難しい言葉を大量に使うタイプの人。

そういったSFマニアミステリーマニアには大量にいるのに、ファンタジーマニアには少なくない?

トールキン指輪物語関係ちょっと五月蠅いマニアも多いんだけど、そういう人って案外他の古典ファンタジーに詳しくない人も多いし。

トールキン関係だけとか、クトゥルー関係だけしか読んでないような偏り)

2024-06-22

渡辺ぺこの1122無料期間だったので読了

面白かったけど、独身にはやや辛いラスト

コメント欄美月批判すごかったけどあの環境ならそうなるやろ

2024-06-20

君がいないと毎日は生きれない 感想

これすごいね

https://bigcomics.jp/episodes/f08d91172856a

 

何か起きそうで、何も起きない感じ

たつきけもフレを思い出したよ

 

不穏ポイントツッコミポイント

・鬱なのに外出てる

人生限界なので婚活してる

お金があったら全部解決するのに

ニートの時が一番世界が輝いて見えんだよなア

イルカ交尾

・ユキ鬱ってるのに、彼氏ができて輝いてるテル

・字ぃ汚いね

・あたしリョナラーだもん

・しばらくして大きい会社からいくつか内定を貰う

 

こんなとこ?

あと絵柄も不穏な感じになってる

 

普通なツッコミとか否定とか不穏が入るところなんだけど、入らないことですかしになってるんだよね

「ふーん」で終わらせたり、えへへで終わらせてる

 

あらすじだけ見ると大したことは起きてないのに、なんか勝手に不穏を感じて杞憂して何も起きなくむしろハピエンなことで、清涼感や読了感だけ残るっていうやつ

けもフレで見た

これ計算してやってるならすごいと思う

そんでそれを読み取って大賞にしてるのもすごい

 

このテク

平坦な物語でも読者の心を揺らすことでエンタメとして成立させられるから面白いんだよね

物語って例えば「人が死ぬ」みたいな劇薬がないと成立しづらいけど

このテクを使うことで、「いい友達ができてハッピー^^」みたいな話でもちゃんと成立するんだよね

 

ほんとに新人

2024-06-13

[][]阿修羅ガール

 舞城王太郎小説を読むのは初めてだった。ブックオフで著書がたくさん並んでいるのだから面白いのだろうと長年思っていた。それで、代表作であろう阿修羅ガールを読むことにしたのだ。

 面白かった。ただしそれは小説全体の中盤、具体的には第一部が終わるまでだったが。主人公アイコ)のキャラクターがしっかりと立っていて、貞操倫理観も欠如した主人公感情のままに刹那的かつ本能的に振る舞うのが一人称でまくしたてられていて、読んでいて心地よかった。

 ストーリーも着々と盛り上がっていき、今後の展開に目が離せなくなる。主人公と肉体関係を持った佐野失踪した理由は何か、アルマゲドン匿名掲示板で呼ばれる青少年暴動主人公が巻き込まれていきどうなっていくのだろうか、といった具合にである

 しかし、第二部が始まり芸能人政治家が何の脈絡もなく突然に登場してストーリーをひっかきまわしていくので、作者はヤケクソになったのではないかストーリー収束させるつもりは無いのだろうかと困惑する。私は、00年代初頭に2ちゃんねる上で流行したガクトスレ(『はっきり言って、ガクト気持ち悪いです。』URLhttp://news4u.blog51.fc2.com/blog-entry-1371.html )を連想した。作中の匿名掲示板2ちゃんねる元ネタなのは明らか)でのスラング再現ぶりからして、舞城王太郎ガクトスレに影響された可能性は高いと思われる。その後の展開でも第一部で描かれた丁寧な描写と打って変わって、リアリティの無い夢や妄想のような世界を大型文字を交えて描かれたり、突如主人公が変わって架空世界でのホラー調ストーリーファンタジー風に展開されたりと、メチャクチャな展開になっていく。例えるなら、リレー小説でそれぞれの作者が我を強く押し通して話を作り、落丁などをほったらかしにしたままに話をそのまま繋げたという感じだ。連載小説なら、設定やストーリーの根幹を軽視してその場の盛り上がりを重視するというのも分かるが、どうやらこの阿修羅ガールはそういう訳ではないらしい。

 そして、第三部では第二部でのハチャメチャな展開を無理やりにまとめるが、それまでの展開を夢オチとするも同然の扱いだった。そうでもしなければ、話を収束させられないから仕方がないけれども。とはいえ失踪した佐野に関するオチが全く無いのもどうかと思ったが。そして最後まで読んで、こんな小説が賞を受賞したのかと愕然としたが、三島由紀夫賞というのを目にして納得した。三島由紀夫の著書はまだ一作も読んだことがないけれども、WikipediaYouTube動画から読み取れる三島由紀夫人格を推測するに、思想の根幹が弱いわりに伊達人生を貫いた人という印象だ。伊達人生に命を懸けたという点で、ある意味では思想が強いとも評せられるけれども。それだけに、この阿修羅ガール三島由紀夫賞に相応しいのだろうと、読了後に感じたものだ。

 まあ、文学というのはこういう物なのだろう。「文学」というよりは「文楽」だろうと思ったけれども。つまり文を「学ぶ」のではなく、文を「楽しむ」だ。音楽論理的に作ったり分析したりしている人を見ると、「音楽」というより「音学」という言葉がふさわしいのではと思うことがある。しかし、出版社主導によって商業評価をもってして誉めそやされている「文学」という代物は「文楽」という言葉の方がふさわしいだろう。当作『阿修羅ガール』でも同様だ。

 阿修羅ガールは、作品の根幹を成すストーリー思想価値観よりもその場限りでの文章の修辞的な技巧に重きを置いて、その技巧を楽しむエンタメ作品だ。こうした小説こそが、出版社主導の賞にふさわしいのだろう。そして、こうした小説を生み出せる人が、商業作家として大成していくのだろう。

 なんだかんだと文句を書き連ねたような感想になってしまったが、それも最後まで読み切ってしまう楽しさを持つ小説からこそだ。楽しさの無い小説など、途中で読むのもやめてしま感想を書く気にもなれないのだから

2024-05-17

anond:20240517170008

言われないやで

ワイ文章読むの遅い方じゃないもの

速読能力

https://www.sokunousokudoku.net/hakarukun/

読解問題よみとくん

https://www.sokunousokudoku.net/yomitokun/

 

まぁゲームみたいなヤツやけど。なおワイ 6515文字/分

 

こういうゲームみたいなのじゃなくて日常ベースでいうとワイの読む速度は

ジャンルや前提知識によってめっちゃ速度かわる。なので速読では無いんだろうね

 

2024-05-12

anond:20240512200453

ニンテンドースイッチゲームまた50本遊んで感想書いたのでまとめ(部門別ランキング)

●好きなボーカルベスト3

Golden Mission

金色ラブリッチェのOP

明日宇宙飛行士になって大気圏外で愛を語ろうか」の歌詞主人公が夢を持って職業を選ぶことがルート分岐重要な点になるストーリーと密接に関係しているのが大好き。

ファンディスクオーラス流れるのも感動的で大好きな曲。

旅路の果て

アカイイトED

「長い道のり超えてたどり着いた私たちの“先達”」

伝奇ものストーリーを踏まえたいい歌詞がすぎる。

どのルートでもしっくり来るが個人的にはサクヤルートを踏まえて聞くのが好き。

アカイイトは泡沫のボーカル版もいいんだけど、これはゲーム内には未収録なので選外。

・星の瞬くこんな夜に

魔法使いの夜ED

星が瞬くこんな夜にひとりぼっちが二人」

魔法使いの夜を端的に表したいい歌詞

この続きを読みたいなあ。


●好きな男性キャラベスト3

根津御影

AMBITIOUS MISSION主人公

ハートとため息を盗む怪盗ミスアルテに一目惚れ、もといハートを盗まれから自分も同じ信条を掲げて怪盗を始める導入から、かなり色々なエピソードがありこの信条の重さがどれほどの物かを理解するシーンは胸が激って熱くなった。

女性キャラだけでなく男性キャラからも惚れられる展開もあり、その際に割と躊躇せず行くのも貪欲で大好き。

タイ

LOOPERS -ルーパーズ-の主人公

宝探しゲームが大好きで、彼が考えるアクティティ楽しいことが、周りの人間をどんどん引っ張って行くのが前向きで凄くいい奴。

このシナリオライターさんの主人公はみんな同じキャラ批判されるのを見たことがあるが、その点をうまく脱臭してシナリオに落とし込めていると僕は思う

・静希草十郎

魔法使いの夜主人公

電話すらない田舎から引っ越してきた純朴な青年で、慣れない街に四苦八苦しながら一生懸命生活をする様が格好いい。

疑わないぐらい当たり前のことが当たり前じゃないことを気づかせてくれる彼の独白は非常に興味深く、それが魔法と同じぐらい特別で異質に見えるその境遇が重たいし考えさせられる深さがあった。


●好きな女性キャラベスト3

・怪盗ミスアルテ

AMBITIOUS MISSIONヒロインで、ハートとため息を盗む怪盗。

作品の大きなテーマであるハートとため息を盗むを実現し続ける様は、カッコよすぎて開幕から一気に引き込まれた。

そんな格好いいキャラが中心だからこそ、最終盤で彼女ハートとため息を盗むように盤面をひっくり返すあのシーンは堪らなく燃える最高のシーンだった。

スバル

Dear My Abyss主人公

マイナス思考で陰気で自分勝手な、世間一般価値観ではよくないとされるキャラで、作中の言動も度が超えてる程に度し難いシーンが多い。

しかしその自分勝手さもここまで一貫すれば見事と言うしかなく、彼女の働かず誰とも交流せず美味しいフルーツ牛乳だけを飲み食いし自然を愛で続けたいという欲望を、ガチドン引きするぐらい繰り返すくだりは圧巻だった。

・小熊真央

FatalTwelveに登場する主人公ヒロインの友人キャラ

デスゲーム参加者じゃないのに参加者よりも忙しそうに活動し続け、ヒロインメンタルケアし、主人公に察することを教えと、縦横無尽活躍する名脇役

恋のキューピットと言えば聞こえはいいが、主人公ヒロインの二人のために献身的が過ぎるので、彼女彼女自身幸せを見つける追加ファンディスクなども遊んでみたい。


⚫︎エッチキャラベスト3

・葛

アカイイトの年下ヒロイン

小学生ながら廃屋一人暮らしをしているため、夏の蒸し暑い時期なのにお風呂に入っていない。

しかも、彼女攻略ルートに入ると主人公もお風呂に入れないため、蒸れが蒸れ蒸れになるのはエッチがすぎる。

笹川こずえ

ナイトハイクメインヒロイン主人公

アウトドアが大好きなため、汗臭いのは当たり前と割り切っており、キャンプ場でシャワー浴びたいとゴネる友人を冷たい目で見るシーンがたまらない。

その証拠に、シャワーを浴びるルートに入るとスリラーサスペンスな展開が始まるが、シャワー浴びずにいると男性と急接近し恋愛ルートに入るため、恋愛においてもお風呂は入らない方が良いことが示唆されている。

・保村

Night of the Crabz ~カニの頭に気をつけろ~のヒロイン

常にふざけており下品なことも平然というキャラクタだが、温泉旅館に泊まりに行くのに変えの下着を持ってこず同じものを履き回すというエッチな技を披露する。

風呂に入ってがっかりさせた後、下着の履き回しで興奮させる高等テクニック感謝


⚫︎結婚したいキャラベスト3

小林つばめ

AMBITIOUS MISSIONの友人キャラ

男子学生なのだけどとある事情からプライベートでは無理矢理メイド服を着せられている不憫キャラ

かなり流されるタイプで押せば普通にエッチなことできちゃいそうな様が可愛かった。

レイ

災難探偵サイガ~名状できない怪事件~のワトソン役を務める助手キャラ

性別不明なため男女どちらかは作品内で明記されておらず、ビジュアルもその通りどちらとも解釈できるデザインになっている。

路上生活を長く続けていたため、お風呂に入る頻度も少なかったに違いなく、その点を深掘りしていきたいと考える。

・翔太

アーキタイプ・アーカディア攻略キャラ

成人済みの男性ながらオンラインゲーム内のアバターでは女性キャラを使い、他のプレイヤーに媚びを売って所謂姫プレイ」を楽しんでいる。

サークルクラッシュしてからも、色々なキャラ依存心高めに媚を売る様は普通にエッチで、可愛いキャラだ。


●好きなトリックベスト3

ダンガンロンパV3の第4章の王馬小吉のすべて

ロシアイ学園生活というダンガンロンパの根幹をなす設定をおちょくりまくる、シリーズ屈指の名エピソード立役者の一挙手一投足。

V3だけでなく、1と2も含めた今までの学級裁判が如何に黒幕恣意的誘導であったか理解できる設定の妙が面白かった。

マヨナカ・ガランの死者にまつわる設定の開示と岡田黒洲

死生観に関する非常に独特な設定が開示されると共に、その異端キリスト教解釈否定する岡田黒洲の有り様は驚いた。

特にオーラスオーラスで、作品タイトルの意味独白しながら彼が叫ぶ慟哭は、物語のために作られたミステリらしいトリックで、謎解きやパズルではなくミステリとして優れた作品だったと感じた。

ワールドエンドシンドローム主人公名前入力にまつわる仕掛け

プレイヤー自分名前を付けるのは、テレビゲーム黎明期からあるありふれた仕様だが、この点を見事にトリック昇華しており驚いた。

さらにこれが叙述トリックサプライズの類ではなく、フーダニット過程に用いられるのがたまらなく決まっていた。


⚫︎好きなカップルベスト3

・ルストと翔太

アーキタイプ・アーカディア主人公独自ルートがある男性キャラ

彼のルート選択すると密接な関係値のエンディングを迎えられる。

カップルか否かは議論余地があるかもしれないが、依存心が強く自立できない翔太と、他人固執せず内に篭りがちなルストはまさに割れ蓋に閉じ蓋、幾つもルート選択があるゲームだがこの組み合わせがベストカップルだと感じた。

・空木恭平織原真琴

探しものは夏ですかの主人公ヒロイン

一夏のボーイミーツガールものだが、とあるSFガジェットの登場により、随分と歳の差カップルになる。

この歳の差に苦悩するところがいじらしく面白いので、アフターストーリーとして少ししか読めないのは物足りなかった。

・佐知子と貴呼

SeaBed主人公たち。

二人の関係値は話の大きな主題にあるため、このゲームが好きということは自然とこのカップルが好きになる。

女性同士だからこそのアクティティもあったりして、とても幸せそうなカップルで素敵だった。


⚫︎好きなスチル絵ベスト3

・怪盗ミスネルバが登場するスチル絵

2枚あるがどちらも最高で甲乙は付け難いが、2枚目に出てくる方が好き。

ミスアルテ、ミッドナイトに続く3人目の怪盗だが、まさかここで来るかと驚かされ、さらに背景にちらっと映るある事情を抱えた前作のヒロインたち。

今作の仕掛けが一点にあつまる万感の想いがこもったいいシーンな上に、前作への気配りもされた完璧な一枚絵だった。

・島の電気が復旧するスチル絵

ATRI -My Dear Moments-の最後の方に出る、主人公ヒロインは後ろ向きで、電気で明るくなる島の家々がメインのスチル絵。

今までの苦労が報われる上に、電気が付く背景の美しさが合間って非常に感動した。

その上で、これは日本の小さな離島電気が復旧しただけで、世界はまだまだ苦難が多く、これを第一歩にするという決意に繋がるのも良きシーンだった。

・死の線が見えない月明かりに照らされたアルク

月姫-A piece of blue glass moon-の志貴がアルクに惹かれる印象的なシーン。

直死の魔眼という得意な能力のせいで人とは違う生死感を持ってしまった主人公が、美しく見えるヒロインが登場するのは非常に納得感があり、一気に話に引き込まれた。

個人的には原作の際は琥珀さん派で、他のキャラにはあまり思い入れがなかったのだけど、リメイク版はここだけでアルク派に鞍替えした。


⚫︎美味しそうな食い物ベスト3

・月の涙

ファミレス享受せよのドリンクバーで飲める飲み物

味についても言及されているが、現実世界には無いので飲みたくてしかたなかった。

サンドイッチ

SeaBed病院屋上で食べるサンドイッチ

食事に舌鼓を打つシーンは多いゲームだが、前後文脈も相まって印象的でお腹が空くシーンだった。

チョコボール

金色ラブリッチェのテーマ金色象徴するお菓子

実のところ繰り返し登場するわけではなく、要所で数回出るだけなのだが、印象的なシーンが多いため読了後にコンビニに買いに走った。


⚫︎続編やスピンオフが遊びたいタイトルベスト3

魔法使いの夜

ストーリーとして綺麗に終わってはいものの、設定や未来が知りたいことが多すぎる。

特に周瀬律架については蒼崎姉妹と何か関係値がありそうなので深掘りを期待したい。

名探偵ピカチュウシリーズ

ポケモン買い切りゲームはいくらあっても困らないので半年に一回ぐらいは何かリリースして。

素材使い回しでいいから1時間ぐらいの短編を定期的にリリースするのが向いてると思うんだけど、難しいか

心霊ホラーシリーズ

第三弾死噛で遂に覚悟を決めた主人公や、NGの面々と交流など気になることが多……

!? 追加DLCが夏に出るの!? やったー!

ゲーム大好き!!!

2024-05-03

弱者男性だけど、GW、寂しくて泣いてる…一生孤独なんだなあって気ずいた

35歳年収700万円財閥上場企業勤務(経理部特殊原価計算担当)だけど寂しくて辛い

このまま一生一人ぼっちなんだなあ…

終わりだよ俺の人生


昨日のの俺の1日

5:30起床。コーヒーを入れる

6:00録画してた先週のケンミンショーをみる

7:00近所のデイリーに朝食を買いに行く。大きいおにぎり焼き鳥と缶コーシーを買った

8:00この前出たEYの原価計算の本を読む

12:00お腹が空いたので蒙古タンメンカップヌードルを食う

14:00読了。すでに知ってる知識再確認だったか

15:00寂しいので外に出ていく。

16:00映画館に来た。コナンを見てビールポテトを食う

18:00映画終了。移動

19:00天満橋の激安居酒屋立ち飲み。1人孤独SNSをやる

20:002軒目激安居酒屋で座りのみ。横に女子グループがきてるけど怖くて話せない

21:30行きつけのビアバーブラボーの話をしてくる…

23:00帰宅シャワーを浴びて寝る


こんな感じのほぼ誰ともコミュニケーションをしない日が続いてる…

寂しいよ…

助けて…

2024-04-10

anond:20240323205857

ブコメ時代の補足いただいたので少し直しました!

ありがとうございます

身の回りに三体の小説読了した人がいなくて、語れなくて寂しい、、

三体のネトフリドラマ、まだ6話までしか観てないけど、不穏な感じ出すのがうまくて見入ってしま

さすがゲームオブスローンズの製作

2024-04-05

[]2024年3月滅多にホットエントリを出さなドメインからホットエントリ

ここ1年で初めてはてなブックマーク日毎の総合人気エントリ入りしたドメインからホットエントリブクマ数順トップ30

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2024-02-20

話題書籍ネトゲ戦記」を読んだ感想

フラゲした。

内容について書くとキモいのが寄って来そうなので、以下は文章力についてのみの感想個人的な雑感。


全体的に良くも悪くも平易な口語体で書かれており、自伝エッセイ文章としては平凡というか平均レベル

少なくとも「他人に読ませる」事を意識した文章ではあったので、読んでいて文字目が滑るとかげんなりする、等といった事は無かった。

素人エッセイだと、数ページ読んだだけで頭痛くなる悪文な本も珍しくは無いので、この点は素直に感心した。


さて、著者の文章力について何かと批判するアンチ側の人間は少なく無いが、所謂文章力」「読ませる文章」というもの

決して難しい単語専門用語、小難しい言い回し難解なレトリックを使えば良いというものでは無い。

簡素事柄専門用語レトリックを駆使して400字~800字長の文章にする事は可能ではあるが、それは「読ませる文章」では無い。

記述者の言いたい事を相手に伝える事が出来れば良いだけで、洒落私小説ラノベじゃあるまいし、細部に拘っても意味が無い。


やたら難しい言い回しをした長い「だけ」の文章は、増田仕事でもたまーに見かける。

ネット小説だと割と見かけるのでげんなりする。

下手に単語言い回しだけを覚えた、自称文章力が高い人間が陥りがちな罠。

新人や若手がそういった文章をお客さんの前に出したり、プレゼンで使おうとしては、注意して改善して貰っている。

優秀な人間だと大学等で文章添削されて鍛えられているのか、こちらが一々教え無くても「読ませる文章」を書いてくれる。


いわゆる文章力が低い文章というのは、なにも「てにをは」が破綻している・時系列起承転結が滅茶苦茶などの乱文だけでは無い。

基本的に「他者に読ませる」という事をまるで意識していない文章は、いわゆる文章力が低い文章にあたる。


自分の言いたい事をバーッと垂れ流しているだけの文章は、読んでいる方としては興味がある題材でも無い限り、文字通り「目が滑る」。

専門用語や小難し言い回しを多用した、難解な「だけ」の文章、只管悪意を羅列したネット荒らし書き込み等が

目が滑って読む気がしないのは、「文章力」の低さを理論的で無くとも感覚的に理解するからである


恐らく仕事先でも「こいつの文章読みづらいな…言いたい事は何なの?」などと思われており、

そういった人間に限って「文章を読む」力も無いので、他者文章的外れケチをつける「ウザくてキモい人」になっている事だろう。


そういった意味でも「ネトゲ戦記」は、少なくとも人に「読ませる文章」というのを意識していた、と読んで感じた。

家族が読みたがっているので、一通り回し読みした後はメル◯リに回すとするかな。

基本的に買った紙の本はよっぽどの名著で無い限り、読了した後はメル◯リかブ◯クオフに売っています



追記

半分冗談で書いたら本当にキモいブコメトラバがついてて草も生えない。

内容以外の感想にもケチつけるのか……

なんというか、他者に向けて自分がどんな気色悪い糞レスをぶつけてるのか、少しは考えた方が良いと思いますよ。

読了せずに毎日違う専門書読んでる人なに?

なにがしたいのかわからん

2024-01-30

anond:20240129222857

文語調にしたいということは明治以前に戻りたいという訳だな。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%80%E6%96%87%E4%B8%80%E8%87%B4

というネタは置いておいて、もう少し固い文章を目指すなら青空文庫なんかでなりたい文体作品を打ち込んでみれば良いと思う。

絵画分野でいうところの模写に相当する訓練です。

特に誰というのがないのならば、ブンゴウサーチの読了時間文字数から短編人気順に打ち込むとか。

https://bungo-search.com

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