はてなキーワード: 杞憂とは
三ツ葉市のゆるキャラに葉渡賢治が選ばれた。
葉渡賢治が12,375票で1位、みつはきゅんが265票で2位、みっちゃんが76票で3位だった。みつはきゅんが三ツ葉市のゆるキャラに最もふさわしいと思ったので、葉渡賢治はみつはきゅんに投票したが、選ばれたのは圧倒的に葉渡賢治であった。そんな馬鹿なと思った。だいたい葉渡賢治は三ツ葉市のゆるキャラに立候補していない。しかし、それを言うならみつはきゅんもみっちゃんも、第4位の葉っぴぃも自らの意思で立候補したわけではないから、異議を申し立てる根拠としては不足しているだろう。第2位のみつはきゅんは緑色がイメージカラーのアニメのヒロインのようなキュートなキャラクターであった。第3位のみっちゃんは二頭身にデフォルメされた中性的なキャラクターで頭部に三箇所結った髪が三枚の葉っぱのように見える。第4位の葉っぴぃはギザギザの葉っぱが特徴の植物が地雷系ファッションに身を包むキャラクターであった。葉渡賢治は葉渡賢治だった。葉渡賢治38歳。三ツ葉市立三ツ葉第一小学校、三ツ葉市立第一中学校を卒業、三ツ葉市立三ツ葉高校入学・卒業、三ツ葉市立三ツ葉経済大学入学、大学卒業後は三ツ葉市の老舗和菓子屋・三ツ葉堂に就職、3年前に看板商品である三ツ葉大福製造ラインの責任者に就任、で今に至り、三ツ葉市のゆるキャラに就任。
市の命令で、葉渡賢治は市役所から徒歩10分の場所にある8畳1Kのアパートに引っ越しをすることとなった。他の自治体では大抵のゆるキャラは市役所の倉庫に押し込められているので、専用のアパートを与えられることはゆるキャラにとって異例の待遇である、と市の観光課の人間は言った。これまでは6畳1Kの部屋で生活をしていたので、わずかにグレードアップしたことになる。普通ゆるキャラはクルマを運転しないだろうし、ゆるキャラが交通事故で人を轢き殺すなどすればそれは前代未聞の事案で、どのように対処すればいいのか誰にもわからないので、リスク管理のためにクルマは売却が推奨され、それに従った。引っ越しとクルマの売却に伴って勤務先である三ツ葉堂への出勤が困難になったため、退職した。
就任式には何を着て行けばいいのかわからず、葉渡賢治はスーツで行った。市役所の3階。「それでは三ツ葉市の新キャラクター、葉渡賢治38歳さんです、拍手でお出迎えください」と女性の司会役が言い、俺が入室する手筈になっていた。葉渡賢治のゆるキャラとしての名前は、本名の他「38歳」まで含まれているのだと葉渡賢治はこの時に知った。つまり「葉渡賢治38歳」がキャラ名である。来年とかどうするんだろう、と思った。葉渡賢治は拍手で出迎えられ、ゆるキャラとしての葉渡賢治の姿がみなさんにお披露目された。ゆるキャラとしての葉渡賢治の姿というのは、この場合、スーツ姿の葉渡賢治のことである。昨日は髪を切り、家を出る前に入念に髭を剃り、ヘアオイルを付けて髪を乾かし、化粧水を顔に塗りたくるくらいのことはしたが、葉渡賢治が葉渡賢治であることには変わりなかった。
思ったよりも厚みのある会場の拍手の音で薄々気付いてはいたが、おびただしいカメラのフラッシュに意表を突かれた。葉渡賢治を見に来ている人がたくさんいた。マスコミとかだろうか。フラッシュの眩しさにしかめっ面になりそうになったが、そうだ、俺は三ツ葉市のゆるキャラなんだと思い出し、できるだけゆるキャラとしてふさわしい振る舞いをしようと心掛けた。少なくともゆるキャラはしかめっ面はしないだろう。そんなゆるキャラを葉渡賢治は見たことがなかった。三ツ葉市のゆるキャラに葉渡賢治が選ばれてからというもの、葉渡賢治はゆるキャラの勉強に余念がなく、大抵のゆるキャラの顔面にはうまく言語化できない愛嬌があることを発見していた。だから、葉渡賢治は笑顔とも微笑みとも無表情とも言えない、強いて言えば、いつも行っているラーメン屋でいつも通りの醤油ラーメンAセットをオーダーする時の表情(よく観察するとわかるが、殆どのゆるキャラはこの表情をしている)をして、大量のフラッシュをやり過ごした。
会場は大きな多目的室のような場所で、皆の衆目が集まる正面に、緑色背景に白抜きで三ツ葉市と書かれた市松模様の大きなボードが聳え立ち、その上に「三ツ葉市 ゆるキャラ就任式」と書かれた横断幕が設えられている。簡素な作りではあったが、今日の葉渡賢治のために用意してくれたかと思うと率直に感謝の念が溢れた。市長は既に市松模様の大きなボードの前面にいて、登場した葉渡賢治に手を差し伸べ、我々は握手をした。市長の手は大きくて温かく、焼き立てのパンのようだった。フラッシュが一層大きく焚かれる。醤油ラーメンAセット、醤油ラーメンAセットと葉渡賢治は念じて、パンのことはひとまず忘れた。マイクを持った市長が司会に促されて喋り始めた。
「えー、葉渡賢治38歳さん、今日からあなたは我が三ツ葉市をより一層盛り上げる存在として、大いに期待していますし、市一丸となってその活躍を後押しをしていきたいと考えています。よろしくお願いしますね。さて、三ツ葉市を躍進していく政策としては三枚の葉っぱがあります。昨日考えました。一枚目は教育。日本に誇る三ツ葉市立三ツ葉経済大学。ね。これがその大きな役割を担い、地域経済をますます活性化して行くでしょう。すごいですね。二枚目は産業。三ツ葉堂の三ツ葉大福がブランチで何回取り上げられたか知ってます? それはもうね、何回も取り上げられてるんですか? 三ツ葉市ってのは交通の要所ですから、お土産もたくさん売れるってもんですよ。ね。そして三枚目。それがこのゆるキャラですよ。これから、はま……、は……、はわ……、はわたり、けんたろう、だっけ? そうそう、あはは、ねぇ? ってーかビシッとスーツで決めちゃって、ゆるキャラなんだからゆるい格好でよかったのに。パーカーとか。あ、でもゆるキャラはパーカー着ないか。ね。誕生日いつ? いま何歳? あーね。そうそう、歳とったら名前の歳も一歳増やして、葉渡賢治39歳になるから。直木三十五みたいで格好いいだろ? あ、どうせなら漢数字にする?」
市長の演説が終わると、委嘱状が授与された。市長から確かに委嘱状を受け取った。酔っ払っているのかなと思ったが、その挙動は素面のそれで、特に酔っ払っているわけではなさそうだった。額縁に入っていて重みがあった。正面にそれを掲げるとたくさんのフラッシュが焚かれた。やがてマイクが手渡され、司会者が「葉渡賢治38歳さん、意気込みをお願いします」と言い、葉渡賢治が喋る番になった。何を言うべきか迷ったが、「大好きな三ツ葉市を盛り上げて行きたいと思いますので、よろしくお願いします」と言って礼をしたところ、隣の市長が「君、ゆるキャラってのは喋らないんだ。喋ってるゆるキャラを見たことがあるかい?」と耳打ちし、うっかりしていたと思った。「何かそれっぽいポーズでもしておきなさい」と市長は続け、俺はとっさに左手を自らの腰に当て、右腕を天に掲げたそれっぽいポーズをした。会場からは笑い声が漏れた。俺のゆるキャラとしてのコミカルさが会場の笑いを唆したのであれば、ゆるキャラとしての初めての仕事としては上出来だろうと思われた。やがて葉渡賢治は音楽に合わせて「みんみんみんなの三ツ葉ダンス」を踊った。ワルツだった。式典の最後で披露するから覚えてきてくれと言われていたやつで、おそらくこれも上出来だった。キャラソンで三拍子の音楽はあまりないように思われ、攻めてるな、と思った。左手を自らの腰に当て、右腕を天に掲げたポーズでダンスを終えた時、会場に迎えられた時と同じくらいの拍手の音が鳴った。
俺はこれからゆるキャラとしての自覚を持った暮らしをしていくことになる、と葉渡賢治は思った。給与は前職のものが引き継がれ、家賃は半額の補助が出る点も同様だったから、ひとまずは生活には困らないことになっていたのは幸運であった。おそらくゆるキャラはコンビニ弁当を買って食べないから、しっかりと自炊をすべきだろう。三ツ葉市を後押しするキャラなわけだから、肉よりも野菜多めの生活がいい。ゆるキャラにサプリメントを摂取するイメージはないが、活動を下支えする健康のためには取り入れるべきかもしれない。アルコールはこの際やめるべきだ。タバコはそもそも吸っていないが、タバコの原材料は葉っぱなわけで、敢えて喫煙を始めたほうがいいだろうか。いや、さすがにそれは考えすぎだ。タバコをスパスパ吸っているゆるキャラがどこにいる。夜は早めに寝て、朝は早めに起きたほうがいい。過度な筋トレはゆるキャラとしての外見を毀損するから、きっと避けた方がいいだろう。どちらかと言うと、ご飯をもりもり食べて丸々と太った方が愛嬌が出るだろうな。
初めての仕事は就任式から4日後の葉渡マラソン大会であった。パーカーを着て行った。一ノ葉町、二ノ葉市、三ツ葉市、四ツ葉町を合わせて葉渡地区と言い、一ノ葉町のいちかてゃ、二ノ葉市のにのの、三ツ葉市の葉渡賢治38歳、四ツ葉町のよもぎんが会場に来ていた。よもぎんを見るのは久しぶりだった。実は俺は小学生の頃、隣町である四ツ葉町のお祭りに行った際にたまたま会場に来ていたよもぎんを友人と共にふざけてボコボコにしたことがある。よもぎんはよもぎ団子を模した緑の丸いキャラクターで、そのふくよかな見た目は子供たちをして、体当たりをしてくれ、サンドバックにしてくれと言わんばかりのように思えた。よもぎんは複数の子供たちにもみくちゃにされながれも笑顔を保っていて、それが更に子供たちの加虐心を駆り立てた。子供のやることだったし、よもぎんは丸くて厚い「側」に覆われていたように思われたので、死活問題になるようなダメージはなかっただろうが、いま思えばむごたらしい仕打ちをしたものだと思える。
葉渡マラソン大会の会場にはキッチンカーなどが集まり、老若男女大勢の人で賑わいを見せた。マラソン大会という名のお祭りであり、我々ゆるキャラは集客のための賑やかしだろう。俺はランナーに手を振ったり、子供たちと触れ合ったりしながら、かつてのよもぎんのように四方八方からボコボコにされやしないか懸念していたが、杞憂であった。かねてより思っていたことであるが、最近の若い人は礼儀正しくて、思いやりがあり、優しい。「本当にリアル葉渡賢治だー」などと子供たちは言い、俺は求められるままに子供たちと握手をしたりした。
ひとしきりの子供たちが離散すると、大きな丸い物体が視界に入った。俺の記憶にある若々しい新緑のよもぎ色ではなく、数年に渡って浴び続けた太陽光線で色褪せ、汚れや黒ずみが目立つ、言われれば確かによもぎ餅かもしれない、という物体であった。側面にはわずかにへこみがあり、これはあの時に俺が蹴りを入れたへこみだろうか。よもぎんは俺の眼前に佇み、俺を見つめていた、気がした。実際のところは俺を見つめていたかどうかわからない。たいていのゆるキャラにはどこを見ているのかよくわからないようなところがある。何か言いたげなようにも思えたが、やはり実際に何か言いたいかどうかはわからなかったし、そもそもゆるキャラは喋るべきではなかった。やがてよもぎんは去っていった。俺の目は確かによもぎんの背を見つめていたが、何を思えばいいのかまではわからなかった。
葉渡賢治39歳は全日本ゆるキャラグランプリで審査員特別賞を受賞し、その名を全国に知られることとなった。同年、地上波テレビに初出演。つぶあん同盟という深夜番組で、芸人さんが1〜2分程度のネタをする番組だった。葉渡賢治には人を笑わせるようなネタがあったわけではないが、「おまかせで」というオファーを頂いていたので、三ツ葉市のPRをし、フル尺でオンエアされた。SNSや動画サイトでも切り抜かれて大いに拡散し、コアなお笑いファンを中心に話題になった。三ツ葉市は葉渡賢治のテレビへの出演オファーは全て受け入れ、それとは別にインターネット動画配信も精力的に行い、着実に人気を獲得していった。葉渡賢治39歳のグッズが制作され、三ツ葉駅で販売された。特にアクリルスタンドは好調な売れ行きのようで、葉渡賢治39歳を前面に押し出したパッケージデザインに刷新した三ツ葉堂の三ツ葉大福は前年に比べて売上が約25%向上したとのことである。
葉渡賢治40歳は全国を飛び回る多忙な日々を過ごした。市のPRのみならず、県や地方の宣伝にも駆り出された。グッズは39歳のものから40歳のものへ刷新され、商品数を増やしたこともあり、売上金額を更に伸ばした。アクリルスタンドの他、クリアファイル、Tシャツ、トートバッグは特に人気だった。終売となった葉渡賢治39歳のグッズはフリマアプリでプレミア価格で取引された。
葉渡賢治41歳は全13話で深夜アニメ化され、毎週のようにSNSでトレンドに浮上した。これは葉渡賢治の声優デビュー作でもある。実は葉渡賢治40歳10ヶ月あたりで極東経済という雑誌が「なぜ葉渡賢治は40歳でブームが終わるのか?」という挑戦的なタイトルで記事を出し、かなりページビューが回っていたようで、このまま葉渡賢治は終焉に向かうかと思われたが、アニメが起死回生の立役者となったというわけだ。
翌年には葉渡賢治42歳のマンホールが市内に5か所設置された。これは葉渡賢治の聖地巡礼をする観光者への秘策であった。さすがにマンホールは毎年デザインを刷新するわけにはいかないから、葉渡賢治アプリのカメラで撮影するとARで葉渡賢治の現状の歳が浮き出てくる仕様になった。就任時に動画サイトに投稿していた「みんみんみんなの三ツ葉ダンス」は葉渡賢治43歳4ヶ月の時点で1000万回再生を記録した。
葉渡賢治は45歳になり、葉渡賢治45歳になった。葉渡賢治45歳はアニメの時ほど多忙でもなく、しかしイベントに呼ばれればそれなりに盛況という、ライフワークバランスの取れた時期であった。できるだけ丸々とした愛嬌のある体型を維持しようとしていた葉渡賢治であったが、ここ最近は太りやすさを感じており、愛嬌のある体型をオーバーしているようであることが気になっていた。愛嬌とは丸々としていることであり、腹がだらしなく出ていることではないだろう。以前よりも頭髪が劇的に薄くなっているような気もしていた。
平日昼の帯番組「ひるとん」で、リリースされたばかりの新曲「三ツ葉にあつまれ!」のプロモーションのために生放送でダンスを披露することとなっていた。良く言えば安定、悪く言えば停滞していた葉渡賢治の人気を今一度ブーストするための満を持してのリリースであった。楽曲制作、MV作成、振り付けなど、「三ツ葉にあつまれ!」には潤沢な予算を投入したと聞いている。気合いを入れなければならない。
「さーて、今日は、三ツ葉市から特別ゲスト、葉渡賢治45歳さんが新曲を披露してくださいます。それでは聴いてください、「三ツ葉にあつまれ」です、どうぞ!」とアナウンサーが言い、スタンバイしている葉渡賢治の姿がモニターに映し出されたのが見えた。モニターに葉渡賢治の姿が映し出されたということは、生放送で全国のお茶の間のテレビにも葉渡賢治が映し出されているということだ。音楽が鳴り、葉渡賢治45歳は周りに従えたちびっこダンサーと共に踊り始めた。やはり子供の人気は不可欠とのことで、ダンサーは10〜14歳の男子2人、女子2人の4人であった。葉渡賢治の両隣に男女2人、後方に並んで男女2人という体制であり、葉渡賢治を合わせた計5人がステージで新曲を披露した。新曲の振り付けはデビュー作よりもテクニカルで、葉渡賢治の加齢と体重では踊り切るのが難しく、MV撮影時にはNGを出しまくり、現場はピリピリしていたように思った。葉渡賢治は醤油ラーメンAセットのことを考えながら生放送を踊り切ろうと思ったが、最近ではにんにくたっぷり餃子付きの醤油ラーメンBセットも気に入っており、迷いが生じた。曲の終盤、メンバー全員が2回転スピンを披露する箇所がある。2回転スピンとは、2回くるくるとその場で高速で回ることである。葉渡賢治はこれを苦手としていて、これがこの日最大の山場だろうと考えていた。
事件は起きた。いざ2回転スピンの場面になると、加齢、肥満、緊張など様々な言い訳はできると思うが、葉渡賢治は2回転目によろよろと右にバランスを崩した。葉渡賢治の右にはダンサー最年少である10歳の女性(本名非公開)が配置されており、不覚にも葉渡賢治は彼女に激突、葉渡賢治は彼女に覆い被さるように倒れ込んだ。この場面はSNSや動画サイトで切り抜かれて大いに拡散し、ネット民による数々の自発的な検証が行われ、「葉渡賢治の右手が女児の胸を掴んでいる」「葉渡賢治の唇が女児の首すじに触れている」「葉渡賢治の右膝が女児の脚と脚の間に入り込み、女児は開脚を余儀なくされている」「葉渡賢治の汗とよだれが女児の衣装に付着している」「葉渡賢治の息はにんにく臭そうである」「それ以降の女児の泣きそうな顔は見ていられない」「それでも最後まで踊り切った女児はプロ」「人生で一番気分の悪いものを見させられた」「葉渡賢治とかいうセクハラ野郎」「犯罪者」「消えろ」などという書き込みがあった。
どのゆるキャラにも否定的な意見は最低一つはある。養老塚市のよろよろには「どんくさい」、木宮町のきのやんには「アドリブが効かない」、千脈市のちーおには「正面を向け」など。しかし、彼ら/彼女らゆるキャラがいちいちSNSをチェックしてそれらネガティブな意見を閲覧して真に受けているようには思えないし、何しろ彼ら/彼女らにはゆるキャラという「側」が鎧のように装着されているように思われ、その無機質な「側」がダメージを吸収あるいは反発して無効化しているように葉渡賢治には思われた。その点、葉渡賢治はそれら誹謗を生身で受けざるを得なかった。葉渡賢治は葉渡賢治それ自体がゆるキャラだったからである。葉渡賢治はSNSはもちろん、ニュースサイトのコメント欄、匿名掲示板への書き込みなど、自らへの誹謗中傷を全てチェックした。なくなった仕事の退屈を埋めるように、まるでそれが葉渡賢治の仕事 Permalink | 記事への反応(1) | 17:38
急に暑くなったせいで風邪引いてるうちに4月も3週目になってしまった。相変わらず本数が多すぎる。
OPからポプテピっぽいギャグ枠かと思いきや流石にポプテピほど無茶苦茶ではなかった。
ギャグ枠としてそれなりに面白かったとは思うので叩きまくられてるのは原作勢の期待が高すぎたのかね、「メディアの違いを理解せよ」案件なのだろうけど難しいね。
みたいな感じで眺めていたが、某動画を見てようやく理解。確かにこれは別物だし、これを期待されると厳しい。
BWセールの時に原作全巻纏め買いするかちょっと悩んでしまってスルーしたが買っておくべきだったか。
異世界メシ枠。
最初めっちゃ重い始まり方をしたのにメシ食う話になっていくのってちょっとどうなの?妹を助けるんじゃなかったの?と思っていたのにクール終盤では「愉快なダンジョングルメアニメなのに急にシリアスになった!」と思ってしまうのだから人間は適当。
マルシルかわいい。癒される。
妹を助けて綺麗に終わってめでたしめでたしと思いきや2クール構成だった。
メシものっぽい装いに半ば騙されてしまったけど実はこれやっぱり割と重めとかシリアスなのでは。
原作全巻買ってみた。
1話で麻雀ネタを出しまくった時点で「あ、もうこれ麻雀やらないやつだ!」と理解。予想通りほぼ麻雀はしない雀荘ゆるふわ女子高生ライフもの。
謎のなかよしコミカライズでは再現不可だったキャラクター原案:春場ねぎの絵をアニメではきちんと再現したのは偉い。
自分は麻雀ルールよく知らないので麻雀ネタはあまりよく分からなかった。
バディ物、人造人間であるネアン、ネアンに組み込まれたアシモフコード、同族殺し、特撮ものみたいな変身、と色々面白そうではあったけど、美味しい原材料を詰め込んでも美味しい料理ができるとは限らないよねという作品。
横文字独自用語は覚えにくいし、殆ど説明もしないし、アニメだけ見て設定周りの話を理解するのはちょっと厳しくないですかこれ。
キャラクタもテーマも設定も欲張り過ぎた感がある。2クールで上手くやれば令和のキディグレイドになれたのかもしれないけど、どうも無理矢理1クールにしてこうなってしまったぽさがある。
小物界の大物みたいなラスボスはあまりに安っぽすぎるし、最後のオチが昔のハリウッド映画みたいなのはどう評したらいいのか。お巫山戯要素のつもりなのか本気なのかもうちょっとわかりやすくして欲しい。
興味半分で視聴し始めて最後まで見たものの距離感バグってる系イケメンこと逸臣さんのホストみたいな言動(偏見)が無理でした。どうしても心の中のアーニャが「こいつ嫌い」って騒ぐ。
頭ポンポンはイケメン無罪でギリ許すとしても、女の子を夜中に外に呼び出すとかどうなんだという。桜志くんでなくても怒るわ。
これは割と賛否両論ではと感想サイトを見て回ったものの「胸キュンです!」「ドキドキします」みたいな感想が目に付いたので、なるほどこれが男女差…!と納得。
なおabemaのコメ蘭では桜志くんが大人気、しかし幼馴染みは必ず負けるのが宿命。まあ桜志くんは戦う以前に三角関係すら許されず、完全に蚊帳の外で何も知らないうちに敗北していたのだが。バナージ…悲しいね…。
ただ桜志くんも一応大学生なはずなのに、悪意すら感じるほどに精神的に幼い造形なのはもうちょっと何とかならんかと。
「素直になれない幼馴染み」が許されるのは高校生まででしょう。
案外面白くなってた枠。
前シーズンまでをちゃんと見たような見てないようなという感じで見ていたけど十分面白かった。
実力を隠すやれやれ系主人公に見えてただのサイコ野郎。誑かしたヒロイン達に刺されるとまではいかなくとも罵倒される展開になって欲しい。
衣笠トモセコンビって、エロゲだと面白そうに見えていまいちという印象だったのでちょっと見直しました。
なのでコミカライズ全巻買ってみた。
悪役令嬢ではなかった枠。
悪役令嬢要素はほぼなくどちらかといえば最強枠の亜種で、本来のヒロインを助けて乙女ゲー本来のシナリオを遂行させる感じ。
もうちょっと盛り上げるとかできそうだったと思うのでちょっと惜しい。
EDで主人公と一緒に歌うキャラはてっきり親友とか相棒とかみたいな扱いかと思ったら全くそんなことは無く出番も本当にチョイ役で、しかも歌の内容は王子の1人を思う歌という聞けば聞くほど「一体なぜ??」と思わせてくれる曲。主人公の合いの手がやる気無しなのも含めて妙にクセになる。
1話からハードモードでドシリアス、個性豊かな異能力バトルもの。
やたらキャラ紹介に時間を割いていたので2クールかと思ったら1クールだった。
こういうのは連続2クールでやって欲しいけど2期あるんだろうか。
タイトル通りもふもふなでなでする癒やし枠なんてなかったシリーズ構成:赤尾でこ枠。
幼女に異世界転生してもふもふなでなでするはずが終盤、もふもふの里に攻めてくる人間達と戦うことになり戦いが終わった後に敵である人間側の打ち上げに参加する主人公のメンタル一体どうなってるの…。
「もふもふなでなでするために」なので現状がもふもふなでなでしてないのは正しいのだが、もうちょっとこう。
悪役令嬢だったけど処刑されたら異世界転生して外科医になったら今度は事故死して元の世界に異世界転生して色々邪魔されつつもお医者さんを目指すという話。
処刑されるほどの悪役令嬢だったという割には、具体的にどんな悪行を積んだのかははっきりせず。
医学監修は入ってるっぽいけどガチ医療ものではなく、手術とかはかなりマイルドな描写。これでK2みたいなのやっても面白いと思うのだけど。
しかし医学ネタだからか、この世界観でこの医学レベルは有り得るものなのか?みたいな感じがしてしまう。医学の歴史をよく知るわけでも無いのに。
以前に「彼女が公爵邸に行った理由」を見たとき、「(韓国では)女性主人公が自分の人生を切り開いていく話が人気で流行っている。ただしその世界観や社会については詳しく設定されない傾向がある」という話を見たのだけど、これもそう感じなのかなと。
などと思いつつ漫画の試し読みを見たら「地球ではない違う世界」と堂々と書かれてて驚いた。アニメじゃそんなこと一言も言ってなかったじゃん…。
突然異世界ダンジョンへ行けるゲートが現れた世界で最弱ハンターしてた主人公が覚醒して最強オレTUEEEEを目指す話、だと思う。なお女性キャラは空気。
グローバル展開を意識してるのか作中の標準語はどうやら英語っぽい(でも街並みは日本っぽく見える)。
そのせいか表示されるウィンドウが悉く英語表記でしかも一瞬なので読めないものが多い。サブタイトルすら全て英文。
一部字幕が付いたりもしたが、「視聴者に読ませたい文字列」と「視聴者が読む必要がない文字列」の区別をあまり付けられてないのだなあ感がある。
タイトルだけ見ると汎用なろう亜流みたいな雑さを感じるけど見る限り割とよく死にそうになってるので実は俺TUEEEEEE感はそんなに無い。
なので素直に英語タイトルの「Solo Leveling」の方がいいと思うが、最近の流行りからすると目立たず埋もれてしまうのかもしれないのでこの辺は難しそう。
公式サイト https://sololeveling-anime.net/ 背景のキービジュアルを見ると「主人公が2人いる」とか「未来の自分が現れる」とか、そういう系統を想像していたのだけどなんと僅か数ヶ月(?)入院していただけで右から左に変わったという。
完全に別人じゃん!!というツッコミも織り込み済みなのだろうが、変身とか魔法的なやつで変えたとかでええやんと思ってしまう(流石にこの豹変を「入院中に身体を鍛えた」だけで乗り切るのはパワープレイにも程がある)
あまりこういう細かい(?)ところはあまり気にされないのだろうか。
ところでハンターの報酬はパーティでの貢献度に応じて分配されるみたいな話があった気がするけど、最弱ランクであった当時の主人公が毎度ケガを負いながら命がけでハンター稼業やっていたのか割と謎。金が必要なら普通に就職した方が稼ぎはいいのでは…?
一体何を見させられてるんだ枠。
お隣の天使様みたいなのかと思ったら天使様は告らせたい、これが天使と悪魔の恋愛頭脳戦!みたいな話(だいたい合ってると思う)。
原作全巻買ってみた。
これが噂に名高い指輪物語、ではないシリーズ構成:赤尾でこ枠。ちょっと平成っぽいOP好き。
一応ラブコメ感もあって良いのだけど可もなく不可もなし…ぐらいの印象。どうしてだろ。
いかにも続きは2期でみたいな終わり方だったのが尾を引いてる?
取りあえず原作全巻買ってみた。
あまりの予想外な展開は面白かったけど申し訳ないが1話で離脱してしまった。
1期はシンプルに面白かったと思うんだけど、2期キャラが増えるとややこしい話になりうーんってなってしまうのは何故なのか。
異世界転生賢者とあっちこっちしたり異能力バトルしたり商人やったりする話。ていうか異世界もので主人公が商人やるパターン多い気がする。
色々要素を詰め込んで面白そうには見えるのだけどちょっと嵌まらなかった気がする。
かわいそうなのは抜けない枠。
1話は絵が綺麗なだけで初見勢置いてけぼり、その後段々話が分かってきたらちょっとハードモードが過ぎていてかわいそうなのは抜けないになってしまった。
一応異世界転生(?)の亜流っぽいが転生してきた奴の声は一切聞こえず、主人公がセリフを代弁する形。
「え?『○○○○が×××』って?」みたいなセリフってDLsiteの音声作品じゃん…とかどうでもいいことを気にしてしまった。
終盤辺り、周囲がただ主人公を賞賛するだけのようなよくない空気になってたのが残念。
いわゆる追放ざまあ系ぽいが追放要素はフレーバー程度、メインは最強タンク主人公が迷宮攻略なのでタイトル自体は一応正しい。
戦闘シーンは非常に単調で、スキルで挑発して攻撃を受けて跳ね返すが基本パターンで応用パターン無し。
ラスボスにだって通用してしまう挑発スキル、実は最強タンクではなく挑発こそが最強なのでは?
戦闘シーンでは静止画の作画レベルを保てないと判断したのかまるで止まってるかのように見える。
EDの最後に主人公の隣に居るキャラは毎回変わってるという指摘がabemaのコメ蘭であった時にコメ民全員驚いていたのが印象的。
毎回見ていたはずなのに全く誰も気付かない怪現象…!
異世界転生(召喚)してきて主人公だけ治癒魔法使いでした、だけど治癒魔法使いは…みたいな話。
ギャグ枠だと思ってたのに重いシリアスぶっこまれると温度差で風邪を引いてしまう。
ちっともスローライフしてない枠。途中まで2期ものだったと気付いてなかった。
1期の評判はどうなんだろうと感想サイトを見てまわるとやや低評価気味だったものの放送当時の実況系サイトだと大好評、というかツッコミどころが多くて面白かったっぽい。
やべー勇者を打ち倒して意外と順当に良い感じにまとまって終わってめでたしめでたし。
「最強」「異世界」「チート」のいずれかの単語がタイトルに含まれていると途端に期待値が下がるのだけど、3つも揃うと逆に面白くなる枠。
これは最強なろうチート系作品に対する皮肉というか当て付けというか、最強チートを極めたらこうなるよねという作品。
殆どのキャラにちゃんと名前が設定されていてご丁寧に表示されるものの、関係なく即死させられるのでもはや死亡フラグですらある。
ボケをかます主人公にきちんとツッコミを入れるヒロイン、そして普通のアニメなら2、3話使いそうな内容でも1話どころかAパートで消化してしまうようなテンポの速さで頭空っぽにして見るには最高。
ギャグはこういうのでいいんだよこういうので。
北海道ネタとギャルで1クール乗り切ってしまった。先輩の出番が少なすぎる。
これはこの後、面白くなるやつではと思って原作全巻買ってみた。
1話見た時点で「面白いとは思うが食い物拷問ネタみたいなのばかりで1クール持たせられるのか?」と疑問を抱いたがただの杞憂でしかなかった。
ギャグ時空だから好き放題できる利点を最大限に活用していて、城外のシーンで出てくる世界観が何故か現代日本にしか見えないのはツッコミどころであるはずなのに何度も見てると違和感無く受け入れてしまってるしむしろ平和に暮らしている魔王軍が何故国王軍と戦ってるのか謎で仕方ない。
BWセール時に全巻セットを買い忘れたのは失態だった。
何がどうという訳では無いが、盛り上がりも盛り下がりも特にしなかった薄い印象。
リアルタイムに見れなかったのでまとめて視聴。OPの曲と映像の合い具合が素晴らしい。
前シーズンの続きなので最初から面白い、周りは基本善人、丁度いいところを上手い具合に突いてくれるラブコメ枠として大変優秀。
ギャグ無しシリアス展開、魔術言いつつ割と拳で解決気味。前後編の短編構成でエピソードを重ねていくやつって何か好き。2クールでやって欲しかった。
今バズってるラニーノーズのヤバファンのnote、全然他人事に思えない。
あえて見つからないところでやってたのにわざわざほじくり出されて非難されるのを理不尽だと思う不服さも経験があるし、
でもそれがバレた以上接触NG出されるのはしゃあないよなという理性も分かる。
杞憂と厄介が高じた末にマネージャー面するお節介さもよくある話だよなって思っちゃう。
いやまぁ、自分の場合は対象が全部別人だし時期もバラバラなので、これが一人の個人に一気に来たら絶対しんどいだろうな〜〜〜〜。
最新かその一個前のnoteで「こんな俺でも気にしてあげないと犯罪者になるかもよ」的な脅しをかけてたのは良くないけど、それ以外の諸々は同情する。
シャーマンキングが好きだ。
原作はジャンプの連載時から読んでいるオタクで、平成のアニメを観て、令和の完全版アニメも観た。現在続編のSHAMAN KING THE SUPER STARを、マガポケで再開待ちです。
その上で、FLOWERSのアニメを観ていたら、テレビから道黽の声が聞こえた。
アニメをそう見る方ではないので、声優さんにはあまり詳しくない。
それでも、好きな作品がアニメ化して、ついた声で一喜一憂して、という経験は多少ある。一喜に対して憂はだいたい八くらいあるような気がする。
八の憂に対して、じゃあ誰が良かったのと聞かれてもわからない。対案なき否定。めんどくさい側のクソオタクの自覚。
紙をめくりながら、日々世界のどこにも存在しない声を聞いている。
主題は道黽の声についてだが、まずは道蓮の声の話をする。
平成アニメの道蓮は、原作からけっこう乖離していたので比較にあまり意味を感じない。
原作に沿った展開で原作と同じセリフが出てきた際に、思っていたよりエモーショナルな演技が当てられていることが多かったなーくらいの印象。
むしろほぼ原作に沿って作られた令和アニメの道蓮のほうが、自分にとってかなり不思議な存在になった。
声優さんは同じながら、平成アニメからもっとも大きく演技の方向性が変わったキャラクターと言っても間違いじゃないと思う。
少年ながらにどっしりドスの効いた声になっていて、喋り方もキッパリ神経質な感じではなく、ゆったり大仰で傲慢なイメージに寄ったようだった。
そしてそのような変化の中でもやっぱり、自分が想像していたよりずっとエモーショナルな道蓮を聞くことができた。
元の道蓮からして神経質さも傲慢さもあるキャラクターなので、平成と令和の印象の違い自体に疑問があるわけではない。別にどっちも道蓮。
好きとか嫌いとかいう話ではなく、単にあれらは自分の中で「アニメの道蓮の声」だというだけの話。
原作漫画を読みかえすときにアニメの声で脳内再生されることは一度もなかったし、多分今後もない。
だから大人になった道蓮や、生まれた道黽の声に同じ声優さんがキャスティングされたときも、正直これといった感慨はなかった。本当に申し訳ないけど、そこに対するエモは、マジのガチで持ち合わせがなかった。
「万一外伝あたりから親子の会話のシーンが追加されたらモヤっとしそう」という杞憂という意味では、ややマイナス寄りの感情だったくらい。
でも、その日画面からは道黽の声がした。
メタ的にも道蓮と同じ声帯で、遺伝子的にはアイアンメイデン・ジャンヌの血を引いた、道黽の声がした。
そのどれもが拡散することなく、目をつぶれば漫画の絵が見えるくらい、明確にひとりの像を結んでいた。
自分はこの声を聞いていた、彼がまだ誌面上のインクだった頃から。
「すべてが繋がっている」「すべてに意味がある」とは思っていない。
シャーマンキング読んで育ったくせに、その手の情緒はあまり身に付かなかった。
でも2001年、ドラマCDやアニメの道蓮に声優さんがキャスティングされたこと、その意味が今年、道黽で結実したことはわかる。
前作からの続投組ではない葉羽も路菓も鴨川も、そしてガッコも、口を開くたび抜群に良いキャスティングだと感じた。
そして、チームハオの中で最後に登場した道黽。圧倒的すぎる。
自分はもう20年以上「道蓮」を聞いていて、この声帯を知っているはずなのに、「道黽」に中の人がいるとは到底思えない。あれは自律思考する道黽が喋っているとしか。
両親の特性を声質や話し方の調子に受け継ぎながらも、新たに生を受けた少年。
愛情深く育てられ、抜群の才を持った、大陸のとある一族のひとり息子。
母を奪われ、父とかたい約束を交わし、悲しみと怒りと希望と決意を小さな身体いっぱいに抱えて海を渡ってきた、本作最年少の男の子。
彼は遺伝子や気質、持霊などの外的要素を継ぎこそすれ、道蓮でもジャンヌでもない。
でも道蓮とジャンヌの子だからこそ至ってしまった運命に立ち向かっていく人間だ。
抱く決意の背景には如実に両親の影響があり、無視しては語れない。
画面から聞こえる声には、その矛盾が完璧に顕現していた。どこが似ているとかではない、ふたりの血を継ぎ、その上でひとりの人間が思考し発した声がし続ける。
一体どうなっているんだろう。声優という「他者」がどう「演技」をしたらああなる?
その謎を探るべく、ではないけれど声優さんのインタビューを読むと、普通に何を言っているかよくわからない。ぶっちゃけ道蓮の頃から常にちょっとの解釈違いがある。でもあの声は紛れもなく道黽なので、個々の解釈なんて正直どうでもいい。
そのくらい、そこには道黽がいて嬉しかった。
道黽、アニメの本格登場は第8廻です。
エロ本にはBSS(僕が先に好きだったのに)というジャンルがある。
NTR(寝取られ)は現在付き合っている彼女をほかの男に奪われることに対してBSSは一方的に片思いしていた相手が後から出てきた男と付き合って「僕が先に好きだったのに!早く告白していれば僕が付き合えたかもしれないのに!」といった要素を含むものである。これが実際に自分の身に降りかかってかなり精神的にキているのでここに書く。
共通の友達もいないし相談できる相手もいないのでここで吐露させてくれ
大学の友人で卒業以来3年以上片思いをしていた相手に久しぶりに会ったら相手には彼氏がいた上に同棲も始めていた。
お互いオタクだったのとコミュニケーション能力もそれなりにあったのですぐに仲良くなってサークルの間はだらだら話してコミケがあれば一緒に行くような仲だった。
自分のパーソナルスペースが狭い自覚はあって彼女も同じように狭いのかたいして気にしていないのか異性なのに肩を寄せ合う、膝枕をする、肩を組んで同じスマホを見るみたいな、まぁ傍からみたらおかしい距離感だったと思う。
それが大学4年生になると二人でデートにも出かけることもあったし、出かけるときは手を繋ぐレベルまでになっていたので、当時彼女にその気があったのかもしれないと当時の自分も感じてはいたが卒業や就職のことで手一杯だったので「まぁこのままの関係でいいか」となんらアクションは起こさなかった。
結果特になにもなく卒業を迎えて俺は都内で就職、彼女は就職に失敗したのか地元に戻って実家で暮らしていたらしい。
卒業して最初の1年くらいはぽつぽつとメッセージのやりとりがあって、彼女はイラストを描けたので個人で依頼を受けたりアルバイトをして暮らしているということを聞いていた。
そのころから彼女はVtuberになる目標ができたようでセルフ受肉するためにキャラのデザインやらLive2dやらの進捗をたまに用事があって連絡したときに知らせてくれた。俺もLive2dのモデルを何回か作ったことがあるのでツールの使い方でわからないところがあれば相談に乗っていた。
卒業から1年半くらいが経った頃にモデルが完成してVtuber活動が始まった。
1年半の月日と俺自身がソロプレイのゲームしかやらない人間なので共通の話題もなくなりこのころには特に用事もないので連絡を取ることはなくなっていた。
自分はVtuberの配信を見ることも趣味の一つだったのでもちろん彼女の配信もちょくちょく見ていた。
実際彼女以外にもリアルの知り合いが何人かVtuberを始めていて知り合いの近況を知ることもまた楽しいので彼女以外の配信も見ていたしあくまで彼女もそのうちの一人という認識だった。
ただこの頃からかそのちょっと前からか、正確にはいつからかはわからない。
基本的に自分はあまり人と遊ぶ趣味を持っていない。アニメを見るのが好きで映画を見るのが好きでゲームもFPSよりはシミュレーションゲームやパズル系のゲームの方が好きだった。アニメも映画もとにかくいっぱい摂取したいので人と予定を合わせて見るなんて選択肢は眼中になかった。ゲームも大人数のなかでチャットコミュニケーションをとるのが億劫でMMOはやらなかったし命が軽いAPEXやvalorantもやらずもっぱらソロプレイ専用のゲームをするぐらいだ。
友達、というか知り合いを作るのは得意だったので大学にいたころはたくさん知り合いがいた。
大学のどこかに行けば誰かしら友達か知り合いがいる程度には大学で孤独を感じることなんて一度もなかった。とはいえ大半が知り合い程度なのでLINEを交換しても一度もメッセージを送らないなんてのはざらにあった。頻繁に連絡を取っていたのはサークルの友達か同じゼミのメンバーくらい。その友達とも別に趣味が合って一緒に遊んでいたわけでもなくだらだら飯を食ったりたまに大学終わりにアキバに出かけたりとかその程度。結局は同じ場所にいたから一緒にいただけの関係しか築けていなかった。
だから卒業した途端に友達がごっそりいなくなった。かつては覚えるのも大変なくらいいた話し相手も、頑張れば両手の指を使って数える必要があるよね、ぐらいに減った。
彼女はそんな中で残った数少ない一人だった。唯一残った女友達だった。
今までの人生で数少ないデートにも行ったことのある彼女。Twtterで楽しそうなところや美味しそうなところ、一人で行くにはキツいところを見かけるたびに気が付けば彼女と行く想像をしていた。
わかってる。これは女っ気のない自分がそういったところに行く妄想をしたときに唯一残った彼女を当てはめているだけだってことは。だからこれは恋じゃない。実際同じオタクではあるものの彼女とは趣味が合わないので付き合っても大して楽しい関係にはならないだろうという予想は(付き合ってもいないのに)した。
だから彼女の配信を見てはいたが連絡を取るようなことはしなかった。したとしても遠方にいる彼女に話すようなことはなかったし付き合ってもいないのに会いに行くのも気持ち悪いだろうと会うこともなかった。
配信をしている彼女は楽しそうだった。もともと同人女だった彼女はそこ経由でインターネット上に友達がたくさんいたようでVtuberを始めてからも同郷のVtuber友達ができたりと活発に活動していた。
最初はお絵描き配信やフリーゲーム実況をしていたが、デビューから3ヶ月程度経った頃その新しくできたVtuber友達の影響か某MMOと某FPSを始めるようになった。
特にMMOにはドはまりしたようで配信はMMOの実況と攻略が大半になりVtuberを含めた固定メンツでの攻略配信は実に楽しそうにしていた。
自分はMMO系に興味がないのでゲームの内容自体には全く興味がなかったが楽しそうにプレイをする人間を見て楽しんでいた。
彼女はMMOのリアイベにも行ったりして、自分も好きなゲームのリアイベに行っていたので「楽しいよね~~」と首肯するなど連絡は取らないながらも一方的に彼女の活動を眺める生活が続いた。
今までおしゃれなんぞには全く興味はなく、興味がないので人生の優先順位におしゃれが上がることはなかったが、社会生活を送るうえで普通の恰好、いわば「まともな人間」「電車で隣に若い女性が座って許された気がした」ような恰好をすることの重要性はひしひしと感じていたので余剰のお金を使って身だしなみを整えるようにした。 眼鏡をはずしてレーシックの手術を受けた(人生で一番QOLが上がる買い物だった)。 髪を伸ばしてパーマをかけた(一番芋臭さから脱却するのに有効だった)。 ソシャゲやデザインの知識から服を選んで周囲から「最近おしゃれになったね」と複数人に言われる程度にはなった。
時を同じくして大学時代の友人・先輩たちから久しぶりに遊ぼうとの誘いを受けることとが多くなった。 自分は就職したときがコロナ第一世代だったので卒業してしばらくは人と会って遊べるような雰囲気ではなかったため久しぶりに友達に会うのがすごい楽しみになった。
そして俺がおしゃれを始める少し前あたりから彼女が東京に戻ってきていることを配信で知った。
とはいえ3年近くも会っていない相手にいきなり「配信で見たけど東京に戻ってきたんだって?会おうぜ!」なんて言えるはずもなくただただ一方的に配信を眺める、それだけだった。
そんな折にかかってきた旧友からの遊びの誘いである。しかも複数の人から立て続けに。
「俺は見捨てられていなかったんだなぁ……」などとすこし感動もしたがそれと同時に「今なら彼女と会ういい口実になるのでは?」という気が湧き上がった。
言うは易し行うは難し、3年も会っていなかった相手にそんな気軽に連絡できるだろうか。否である。
結局彼女に連絡はできずにほかの旧友に会うことにした。
おしゃれをする前の自分を知っている友達に会うのは少しだけ勇気が必要だった。
初めておしゃれに目覚めた中学生がオカンに「あ~ら、おしゃれなんてして。ませちゃってぇ~~」と言われるみたいな反応をされたら心が耐えられない。
実際その心配は杞憂に終わった。みんなオーバーリアクションを取るわけでもなく「ええやん」みたいな反応をしてくれたので俺は傷つくことなく少しの自信を持ち帰ることができた。
それから自分でほかの旧友を誘って会いに行き、皆一様に茶化すことなく接してくれたので自分の今の恰好は何ら一般人としておかしくない普通の恰好をできていると改めて確認できた。
少しの自尊心を持ちえたこの機を逃すまじと彼女に連絡を取った。
「今度これ食べに行かない?」
彼女は二つ返事で承諾をくれた。
よーしよし! 二人の関係は昔となんら変わってない! 久しぶりになんなんだと悪印象を持たれているようなことはなかった!
OKをもらえた喜びと久しぶりに会える喜びで自分の恋心を自覚した。
まさか、いやそうだよな。自分の気持ちはつまりそういうことなんだよな。
まぁまずは会ってみよう。 実際に会ってこの気持ちを確認しよう。 また昔みたいに出かけてこの気持ちを確信に変えよう。
当日はだいぶ浮かれていた。
会う前に店で眉毛を整えてもらい、柄にもなくリンツのチョコを買い、1時間以上早く現地について店の場所とあわよくばの二件目の場所を下見した。
余った時間はスタバで茶をしばきながら何を話そうかと考えていた。
3年4年ぶりだしな、彼女の近況は配信で知ってるけど俺の近況は知らないしレーシックの話でもしようかな。そういえば最近引っ越して猫を飼ったって話をしていたな。猫飼いは自分の猫の話をしているときが一番楽しそうだしな。今何の仕事をしているのかな。いろいろ聞きたいこと話したいことがたくさんだ。
時間になって待ち合わせ場所に行くときはさながら初めて銀座のシャネルに行った時のように鼓動が早くなった。
……彼女だよな? マスクをしてるからわからん。 人間1年も会わなければ顔を忘れてしまうので自信はなかったが背格好は彼女そのものだったので声をかけた。
彼女だった。なにも変わっていなかった。
変わらんなぁ…… と思っていると。
「な~に、こじゃれてんじゃん 笑」
こじゃれてるは誉め言葉なのか……?
プラスの意味で受け取ってもいいのだろうか。 オカンなのだろうか。
まぁ細かいことを気にしても仕方ない。こじゃれた格好を会話の切っ掛けにして店に移動する。
昔と同じように話すが昔とは違ってパーソナルスペースは人並みに取るようになったようだ。まぁ数年ぶりだしな。
ことさら猫について話す彼女は楽しそうだった。いわく人生で最高にQOLを上げる存在だと。
「へぇ、じゃあ実家に帰省するときはペットホテルとかに預けてるんだ?」
「彼氏いるんだ…… どれくらい付き合ってるの」
震え声にならず平静を装えていた自分に助演男優賞をあげたい。さながら名バイプレイヤーとして各TVドラマの表番組裏番組に出演するような名俳優だったろう。
曰く2年ほど付き合っているらしい。MMOの固定メンツが切っ掛けだったと。
MMOを始めたのがその半年くらい前だから東京に来てすぐ付き合ったことになる。
なるほどなぁ……
俺がうだうだ連絡を取らずにいた間、彼女は共通の趣味で出会った相手とよろしくやっていたのである。
会う理由がなかったとはいえ知り合ってから数年あってそういう関係にならなかった自分と知り合って半年でそういう関係になった彼。その事実に心が揺らいだ。
理由なんかともかく東京に戻って来たと知ってからすぐ連絡を取っていたとしても俺が付け入るスキはなかったのだ。
頑張って平静を装いながら話を聞くと彼女が今住んでいる場所の家賃相場と彼女の収入が釣り合わないことに気が付いた。つい最近まで自分もその近くに住んでいたので「案外近くに住んでたんだね」とかなんとかいいつつ家賃のことを聞いてみると、
どーせーぇええええ????
ここ最近よく目にした言葉。 アラサーになった周囲からよく耳にする言葉。 それをまさか今ここで聞くとは思わなかった。
しかし考えてみれば自分もアラサー彼女もアラサー、将来のことを思えばなんらおかしくはない。
今さっき彼氏がいることを知ったのにそれに加えて同棲していることを知った自分は完全にキャパオーバー、見るからに動揺していたことだろう。助演男優賞剝奪である。
そこからは彼女の仕事の愚痴を聞いていたが正直気が気ではなかった。
猫の画像をTwitterに上げたときも、普段の配信のそばにも彼氏がいたのである。
きっと恋バナ配信の時も占いをしてきたと話した時も彼氏のことを思いながらしていたのだろう。
下手な下ネタを言うと不機嫌になった彼女は彼氏とは笑顔で話すのだろうな。
それらを思うと卒業してからの3年間が、大学時代からの7年間が崩れていく音がした。
彼氏の話は多くは聞けなかったがそれでもその端々からいい男なのだろうと思わせてくれる。
中学生の時告白して振られたことはあったがここまでの衝撃はなかった。
今までの人生、受験も就職もなんだかんだ最後には丸く収まったのでこのような衝撃は、可能性の途絶が目に見えるような経験をしてこなかった。
ああも喉が渇いてたまらず酒で潤したのは初めてのことだった。
昔のように手を繋がなかったのはパーソナルスペースうんぬんではない。彼氏がいるからほかの男と手を繋がないだけ。当然のことだ。
分かれて、電車に乗って家に帰って、寝ようとして眠れなくて、気絶するように寝て起きてしばらく経った今でも咀嚼しきれていない。
会う前に買ったリンツのチョコを店に忘れたことに気が付いた。今度取りに行ってくる。
わかってる。
昔から距離が近かったのは男としてではなく弟として思われてたことを。
わかってる。
もし付き合っていたとしても趣味は合わないし甲斐性もない自分では彼女を楽しませることはできなかっただろうと。
わかってる。
ここで「もし」なんて仮定と想像の話をしても負け惜しみにしかならないことを。
それでもこの思いを酸っぱい葡萄にしたくない。
あくまで行動に移さなかった愚かな自分のせいであることを噛みしめたい。
異性として好きだった。すらっとした見た目もタイプだった。大声で笑い決してヒステリックにならない自分をしっかり持った人だった。自己実現のために努力できるところも好きだった。数少ない友人の中でさらに少ない尊敬できると明言できる人間だった。
このことは彼女には話すのかな。いつか心に整理がついて、俺にもほかに大事な相手ができたら話せるのかもしれない。
それまでは1年に1回くらいあって近況を報告しあう友達でいたい。
いつかこの失恋も「そんなこともあったね」と笑い飛ばして酒の肴にできるようになったらうれしい。
俺もVtuberを始めたりして
前評判で「よく分からなかった」というのを聞いていたので、つまらない映画であることを一番心配していた。
が、それは杞憂だった。たしかに内容は複雑で一回観ただけでは把握しづらい内容だったが、ちゃんと面白かった。
冒頭のオペラハウスの時点ですでにストーリーが複雑で分かりにくかったので、私はこの時点で「あ、これ一回観ただけでは理解できないやつだ」と早々に諦め、あとはただ映画の流れに身を委ねようと決めた。
とりあえず画作りと音楽のカッコよさに痺れた。
順行と逆行の世界が入り乱れるという発想が面白い。ノーランっぽいといえばノーランっぽい。
「エントロピーの減少」や「陽電子は時間を遡る」という言葉が出てきたので、インターステラーのように物理学、とりわけミクロの量子の世界のふるまいから着想を得たんだろうと思ったが、いかんせん理系の知識がないので詳しくは分からない。
順行と逆行が入り乱れる世界は何が起こってるのか非常に分かりにくいが、単純に絵面が面白かったし、何回か観ることでより楽しめる作りになっているところが良いと思った。
なにより著名な大監督が、守りに入らずこれだけ意欲的な尖った作品を撮っているのが素晴らしい。
ラストまで観て、何が何だか分からないのにジェットコースターに乗ってるみたいな楽しさがあったという感想。
観終わったあとに他の人の感想や考察を知りたくなったり、語りたくなったり、物理学を調べたくなったりというところまで含めて面白い作品だった。
ちなみにウクライナのキエフ(現・キーウ)が映画内に出てきたが、映画公開当時はまさか今のような事態になっているとは殆どの人は想像していなかっただろう。
イトーヨーカドーが大量閉店するがヨーカドーが出来たせいで周辺で沢山の小規模店が閉店したのに責任を取らず「撤退します」というのは許されるのか
https://togetter.com/li/2311217
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/2311217
上記まとめにて買い物難民が大量発生するなどと発言してる人、閉店するイトーヨーカドーの周辺にどれくらいスーパーマーケットがあるか調べてないでしょ。
という訳で、撤退する青森県内の4店舗全ての周辺を地図で調べてみたよ。
100メートル東に弘前駅があり、そこにAPPLIESEという駅ビル型ショッピングセンターあり
駅の東には、カブセンター(紅屋商事)、ユニバース(アークスグループ)あり
400メートル東に、ドンキホーテ、ユニバース(アークスグループ)、カブセンター(紅屋商事)あり
という訳でイトーヨーカドーが青森県から撤退しても、買い物難民が発生することはまず考えられません。心配してくれた人、杞憂でした。
ちなみにアークスグループや紅屋商事は北海道や東北地方を中心に展開するスーパーマーケットの運営母体です。イトーヨーカドーが地元小売店を閉店に追いやって、いざ採算が取れなくなると撤退して買い物難民を大量に生み出していると主張する人がいるようですが、地元小売店は健在のようですね。
Togetterのまとめによると、青森県の地理を全く知らない人が煽りを入れて、それにつられて的外れな意見を言う人が多数連なってしまったと見受けられます。
「買い物難民が発生する~」だの「地方がますます衰退する~」だの書き込んでいる人たちは、せっかくインターネットに繋がってるのだから、知らずに情報発信する前にGoogleマップとかマピオンとかで地図を調べた方がよかったと思います。
あまりに憂鬱な話題ばかりなので成功事例をいくつか。最近の作品はあまり観てないので、全体に古いのは許して。最近の作品・小説原作・海外版とかは誰かにお任せ!
初回試写を観た藤子Fに、声に自信のなかった大山のぶ代が恐る恐る感想を訊いたら「ドラえもんってああいう声だったんですねぇ」と褒められたエピソードは有名。
もとひら了と芝山努監督の力量もあり、後期に絶妙なキャラ弄りや捻りを加えたオリジナルエピソードを連発した丸尾みほの脚本も最高。のび太の担任教師にフォーカスを当てた回まであった。
現在放送中の第2作第2期(わさドラ)はキャラを原作に過剰に寄せた作画、特にキャラの表情が個人的にはあざとく見えるが、声も含め原作や大山ドラへのリスペクトを感じるので、これは好みの問題。
なお、1973年に日本テレビ(日テレ)で放送された第1作については、藤子F(当時は藤本弘名義)が厳しく苦言を呈している。
アニメ化に使われた原作は〝てんコミ〟版全3巻が底本。実際には全40話ほど描かれていたが、アニメ放映時代にそれらは発掘されておらず、版元の小学館も把握してなかった。学年誌掲載の漫画原稿は雑に扱われる傾向にある。
長寿番組になったが、殆どがアニメオリジナルエピソード。多くの脚本家が手掛けたが、メインで書いてたのは、TVアニメ版サザエさんでの暴走が有名な雪室俊一。2ちゃん等では〝スノールーム〟と渾名が付けられるほど。
しかしファンの不安は杞憂に終わる。藤子Fもお気に入りで毎週楽しみに観ていた、というファンの間では有名な逸話もある。
〈TVアニメ(劇場版は割愛)/1986-1988/フジテレビ〉
初期は、高橋留美子の原作を丁寧に補完することに徹した。中期以降は原作にあった際どいネタを、アニメの方が自粛したこともあったが高橋は納得の上で快諾。
地上波ゴールデンタイムのアニメで「オナペット」という単語が使われたのは本作が最初で最後だろう(空飛ぶ飛行機の音を被せて聴こえにくくしてたが)。
脚本は3人がシーズンごとに交代。特に中期以降を脚色した回を量産した伊藤和典と高屋敷英夫の手腕が見事。伊藤は有名なので割愛するが、高屋敷も実力派。作品を検索すれば納得する筈。
ドラマ化に際し、原作・久住昌之が出した唯一の条件「音楽を担当させてくれ、そしてJASRACには登録しない」をテレ東が守った。
五郎役が発表され、原作ファンは不安しかなかったが蓋を開けたら……後は皆さんご存じの通り。
〈実写TVドラマ/2019、実写TVドラマS2/2023/テレビ東京〉
〈実写劇場版/2023/東宝(制作スタッフはTVシリーズと同じ)〉
個人的には、ここ数年で最も実写化に成功したレアケースだと思う。最近の作品なので詳細は割愛。
──────────
【追記。長文失礼!】
仕事で生活リズム崩れ中、寝る前にフワッと書いたのが起きたら伸びててビビった。炎上というのは、これに付いたブコメのような「他者から集まる意見」ほぼ全てが憎悪ってことだよね。そりゃ怖いわ。
だけど便乗というより、原作レ◯プ・クラッシャーの類例がここぞとばかり過去の怨恨と共に山ほど噴出してるので、せめて評判が良かった作品を思い出し、澱んだ気分に支配されぬようにと思ったのよ。
何だお前のオナニーかよ。そうかもね。それならほとんどの増田もブコメもSNSもオナ。
オリジナルも二次創作もオマージュも、それこそ映像化の監督脚本や役者による改変や解釈さえオナ要素はある。某漫画家が『シン・仮面ライダー』を「予算が潤沢な同人誌」と評してたけど、的を射てると思う。
定義ガバガバ、数が少なすぎ!ってのは自覚してる。個々の説明書いてたら眠くなっちゃったのよw
俺が藤子Fの原作・アニメ共に一番好きな『エスパー魔美』も入ってないし。実写ドラマは微妙だったけど。
成功の定義は、送り手も受け手も人それぞれ。視聴率や興行収入・作画や役者の評価・原作ファンからしても良改変という判断……。だからタイトルを
【〜成功した(とされる)〜】
という曖昧な書き方にした。それでもなお主観からは逃れられない。ドキュメンタリーと同じ。しかも今回はパッと思い付いただけの範囲。年代表記だけは調べたけど、あとは記憶で書いた。
「ドラマ面白かった!→原作読んでみよう→あれ何か違う?でも面白いな」
というケースもあるかもしれない。
コメに色んな意見や作品が溢れてて勉強になる。前述「魔美」みたいに、それ入れるの忘れてた!何で思い出せなかったんだよ俺!ってのも多く出てる。
何にせよ、一からオリジナルを作った原作者ってのは本当に凄いと改めて思ったよ。
書きたいことはまだあるけど、長くなるので一旦〆る。コメくれた皆、ありがとうね。
【追記ここまで】
あまりに憂鬱な話題ばかりなので成功事例をいくつか。最近の作品はあまり観てないので、全体に古いのは許して。最近の作品・小説原作・海外版とかは誰かにお任せ!
初回試写を観た藤子Fに、声に自信のなかった大山のぶ代が恐る恐る感想を訊いたら「ドラえもんってああいう声だったんですねぇ」と褒められたエピソードは有名。
もとひら了と芝山努監督の力量もあり、後期に絶妙なキャラ弄りや捻りを加えたオリジナルエピソードを連発した丸尾みほの脚本も最高。のび太の担任教師にフォーカスを当てた回まであった。
現在放送中の第2作第2期(わさドラ)はキャラを原作に過剰に寄せた作画、特にキャラの表情が個人的にはあざとく見えるが、声も含め原作や大山ドラへのリスペクトを感じるので、これは好みの問題。
なお、1973年に日本テレビ(日テレ)で放送された第1作については、藤子F(当時は藤本弘名義)が厳しく苦言を呈している。
アニメ化に使われた原作は〝てんコミ〟版全3巻が底本。実際には全40話ほど描かれていたが、アニメ放映時代にそれらは発掘されておらず、版元の小学館も把握してなかった。学年誌掲載の漫画原稿は雑に扱われる傾向にある。
長寿番組になったが、殆どがアニメオリジナルエピソード。多くの脚本家が手掛けたが、メインで書いてたのは、TVアニメ版サザエさんでの暴走が有名な雪室俊一。2ちゃん等では〝スノールーム〟と渾名が付けられるほど。
しかしファンの不安は杞憂に終わる。藤子Fもお気に入りで毎週楽しみに観ていた、というファンの間では有名な逸話もある。
〈TVアニメ(劇場版は割愛)/1986-1988/フジテレビ〉
初期は、高橋留美子の原作を丁寧に補完することに徹した。中期以降は原作にあった際どいネタを、アニメの方が自粛したこともあったが高橋は納得の上で快諾。
地上波ゴールデンタイムのアニメで「オナペット」という単語が使われたのは本作が最初で最後だろう(空飛ぶ飛行機の音を被せて聴こえにくくしてたが)。
脚本は3人がシーズンごとに交代。特に中期以降を脚色した回を量産した伊藤和典と高屋敷英夫の手腕が見事。伊藤は有名なので割愛するが、高屋敷も実力派。作品を検索すれば納得する筈。
ドラマ化に際し、原作・久住昌之が出した唯一の条件「音楽を担当させてくれ、そしてJASRACには登録しない」をテレ東が守った。
五郎役が発表され、原作ファンは不安しかなかったが蓋を開けたら……後は皆さんご存じの通り。
〈実写TVドラマ/2019、実写TVドラマS2/2023/テレビ東京〉
撮影の現場にどれだけ多くの人が携わっているか想像できるだろうか。
現場はもちろん上には企画がいて、スポンサーの広報や決済者、広告代理店、膨大な人数が「あなた」の作品のメディアミックス化事業に携わっている。
「あなた」には作品を守るために著作人格権を行使し制作を止める権利がある。
権利を行使した結果、数百人の稼働に穴が空き、会計的にはすでに切った手形を組み戻す事務手続きも生じるだろう。
上場企業だと会計で特別損失を計上し、株主総会で株主が経営陣に問いただす場面も生まれるかもしれない。
ケータリングの業者は仕入れが無駄になったり、貸衣装も行き場を失い、ロケ地の観光協会は肩を落とせば御の字で、印刷代も無駄になったかもしれない。
「あなた」の担当編集はしばらく昇進の目はなく、かつて「あなた」の担当だった編集長も肩身が狭い思いをするかもしれない。
「あなた」が同人誌即売会で合体サークルを作ってる作家とは付き合いが疎遠になるかもしれない。
もちろんこれらは全て杞憂かもしれないし、仮にこの内の誰かが首を括ったとて「あなた」にはなんの責任もない。
だとして「あなた」はその権利を行使するかどうかの判断を気分良く下せるだろうか?
過ぎたる力を手にしたと後悔はしないだろうか? 作品を守るためならあらゆる犠牲を許容すると主張できるだろうか?
とはいえそんな犠牲は嫌だからと製作に介入する手段も「あなた」にはある。
最善を尽くそうとした「あなた」は演劇についてどれほどの知識があるだろうか。
「あなた」は筋書きに手を加えて内容を修正しようと試みたが、その悉くが上手く行かなかった。
脚本は演技と演出で修正され、修正した演出は撮影で加工され、理想の絵を撮ったと思ったら編集され、しまいには主役の露出時間が少すぎると口を挟まれ。
「あなた」は本業ではないとはいえクリエイティブで次々に妥協を強いられる。
「あなた」は己が作品を守ろうとせんがために己が作品を自ら崩していく。
「あなた」はどうする?
どんな物事にも賛否両論があることを「あなた」は重々承知している。
それでも目についてしまう、「原作ファンの失望」と「妥協の産物を褒め称える声」が。
面白かったですという100の投稿に埋もれる僅かな1つのポストが、どうしても頭から離れない。
そして何故か作品の裏の事情が、勝手な憶測とともに広がっていく。
面白かったという100の投稿は「あなた」の作品を見てもいない万の声にかき消される。
もはや作品どころか「あなた」自身のパーソナリティですら大衆に消費されていく。
-