はてなキーワード: 相場とは
ねほりんぱほりん、転売ヤーと商社を一緒だと思っている人もいるのでその違いを説明する( https://togetter.com/li/2005585 ) と転売ヤーネタが連続したのに、実態は誰も書いてないので、せっかくなんで書く。
転売の温床になる商品というのは、転売ヤーから商品を買う人がいるからに尽きる。
じゃあ何故そういった事態が発生するのか。そこから考えてみる。
転売ヤーが日本国内で買った商品の行き先を整理すると、ほぼこの2つに集約される。
この2つのどちらのルートを通るかは商材によって変わる。もちろん両方通るモノもあるが、ジャンルとしてはあまり多くはない。
よく「流れてくる水を堰き止めて中間マージンを取ってくる」と呼ばれる流れである。
昔で言えば「たまごっち」がそうだし、「ガンダム」「妖怪ウォッチ」「ポケモン」関連、各種トレカなど、アニメ関係はこの流れを通ることが多い。
違法化した「ダフ屋系チケット」も一応このパターンに含まれるか。
こういうとき、「転売ヤーが全てを買い占めている」と呼ばれることが多いが、実態は「転売ヤーが多すぎるだけ」になってることが多い。
このとき、転売ヤー同士は連携していない。むしろ競合するような状態である。
何故そうなるかというと、そこそこの人気商品を「情報商材」としてバラ撒く事で稼ぐ「転売ヤーの師匠」みたいなのが増えまくったことが大きい。
結果として例えば、出荷数が1000個、ファン実需が2000個くらいだとしたとき、転売ヤー100人がそれぞれ10店舗分予約 = 1000個の転売購入が増える、みたいな事が起きる。
Botや複数予約してる分、転売ヤーの方が入手能力が高く3-4割ほど取っていくので、そこから出品される流れになる。
最終的に最初の出荷を買える人が買えなかった結果として、転売ヤーから買うことになる。
対策としては、受注生産を完売直後、もしくは発売開始前から発表することで緩和できるが、かなり難易度の高い実需予測で第一弾を出荷しないと不満を貯めることになる。
根本的にはとにかく、「情報商材」として狙われないことが肝心だと思っている。
また、このパターンは正直転売ヤーからしても美味しさはあまりない。追加生産やそもそも人気予想の失敗など、リスクがそこそこ高いのである。誰も幸せにならないこともある。
このパターンは、ゲーム機(PS5やスイッチ)、スマホなど家電量販店で売られてるものが多い。実はガンダムも一部はこのパターンな時もある。
わかりやすい例が「PS5」だが、定価が6万円ほどのところ、古物商業者が8万円ほどで買い取っていた。
なぜその値段で買い取るのかというと、主に中国では10万円前後で流通していたからである。
知ってる人は多いと思うが、中国版のゲーム機は有名ソフトはほぼ遊べない。これは中国政府の方針であり、習近平政権である限り変わる見込みはない。
一方、日本版を輸入すればそういった制限無しで遊べる。輸入自体は強く取締しておらず、普通に堂々と売られている。
しかしながら、公式に日本版が売れるほど緩いわけではないので、メーカーは公式に直接出荷はできない。
結果として、日本のゲーム機供給は、日本の需要+中国の需要とバランスする状況となっているのが今の市場である。
「PS5」の場合、コロナ禍で更に生産が足りなかったため、日本市場の需要すら満たせないのに、巨大な中国市場も纏めて相手するハメになった。
そういった事情なので、例えば、「PS5」が100台の出荷に対し、国内実需が500台、転売ヤー=中国需要が100人*10店舗=1000台、みたいな競争率になる。
転売ヤーの手広さ&中国人の資金力の方が強いので、大半の出荷は中国へ流れていってしまう事態になってしまった。
また、スイッチの場合、中国市場も日本市場もそこそこ需要は満たせているので定価前後くらいの相場だったが、
ここ最近の円安で中国版よりも日本版の方が輸出コストを足しても安くなり、アービトラージ的に利益が出るようにもなった。
実は転売ヤーとしての数はこのパターンBが一番多い。なぜならリスクが低い。
古物商が即座に買い取ってくれるので在庫を抱えることはそんなに無い上に、数量が事実上無制限で回せるからである。
一方メーカーが対策するとなると、ひたすら生産供給するしか無い。実需が単に足りないことが根本的な原因だからである。
その上で、供給が足りているのであれば、アービトラージされないような両国での値段設定が必要である。でないと輸出に持っていかれてしまう。
また、転売輸出先に直接出荷すべきである。それを政治的事情で避けれないならば、日本経由でも需要を満たさない限り、根本解消は難しい。
俺の考えだが、「最終購入者は転売仕入元にアクセスできたか?」が大事だと思っている。
パターンAの場合、転売ヤーから買った人の大半は転売仕入元であるメーカー等から直接買えたであろう。これは「不適切な中間マージン」であり、害悪転売ヤーだと思って良い。
一方パターンBの場合、これは商社とあまり変わらないようにも見える。卸売の仕組みの一部として機能しているのである。少し見方を変えれば、中国の爆買い代行軍団とも言える。
また、政治的事情、国同士の法律、税金、為替の都合で輸出することでアービトラージが出来てしまうのであれば、日本販売価格を値上げするしかない。
しかしながら、日本市場の購買力と中国の購買力には大きい差があるので、値上げはしにくい。両国の経済格差がある以上、解決法があまりない難しい問題である。
それぞれで書いたが、結局のところ、「不適切な中間マージンであれば妨害せよ」「為替差を考慮した上で値段設定する」「市場実需を満たせないなら生産せよ」でしかない。
パターンAの対策はなんとかなるようには思う。少なくとも野放しにする必要性はあまりないので、違法化される事もありうるかもしれない。
一方、パターンBは自由市場経済そのものの結果なので、格差がある限り解消されることはない。そもそも圧倒的に数が足りない以上、転売ヤーがいなくても解決しないことも多い。
どうせ古物商と税金の話を無限に書かれそうなので、先に書いておく。
古物商は、あくまで盗品の市場流通防止である。パターンA,B共に元店舗で買う以上盗品の余地はなく、古物ではないので引っかからない。
ヤフオクやブックオフ等で新品で出品されたものを買う場合は古物商の許可が必要。転売ヤーは盗品触る気無いんだろうから、全員持っとけ。欠格してる奴は知らん。
実態として、まともな転売ヤーが古物商周りで逮捕された事案はない。
所得税はちゃんと払おうね。事業所得でも雑所得でもなんでもいい。脱税してる奴が多い。
店舗が「転売の意思がある場合は販売しない」を明確にした場合に引っかかる。が、「買うときは転売する気がなかったが、後で不要となったので売った」は合法となる。
つまり購入時点で転売の意思を証拠として要求されるため、立件は結構大変。逆に言えば無在庫転売みたいなのは証拠になるから転売ヤーとしても不適切。(購入代行として言い逃れする人もいるだろうが)
ただ、明確に提示されることがほぼ無いこと、そもそもこの手段で詐欺立件できた事案はほぼ0なので、今は現実的ではない。ダフ屋法の延長でパターンAを違法化するのが限界だろう。
(電柱にビラ貼るような闇金業者が、客を携帯ショップに連れて行って、スマホを割賦購入させ購入額のn割で買取することで擬似的に高利借金させた事案を、上記の理屈で逮捕した例はある)
https://note.com/thibiki/n/n747d86799cd8
この人を擁護するわけではないが、編集者というか出版社に属する(あるいは属していた)人間が、個人として具体的な原稿料に言及するのは正直難しいだろうな。
というか外野は原稿料を知りたいかもしれないが、大体の相場は普通に編集者と仕事していれば教えてくれるので、漫画家はそんなに知りたいとは思わんのよね。
1回も投稿したことない新人漫画家くらいは知らないかもしれないが……。
1番良いのはレーベルとしての相場を記載しておくことだと思う。ジャンプ+を各編集部は見習おう。サイトくらい作れるだろうし。
https://rookie.shonenjump.com/info/entry/201907_blog
上記のサイトによると、ジャンプ+の「連載」の最低ラインは12000円。
これを見た時、個人的には流石ジャンプ系列のレーベルだな……と思った。
10年~数年くらい前までは、大手の最低ラインは7000円くらいと言われていた(エッセイ系はちょっと分からん)。
個人的な肌感として、一応その最低ラインは今もあると思うが、ほとんど8000円以上だと思うんだよなあ。
ただ増田は男性向けレーベルを主としているので、女性向けは最低ラインくらいが多い可能性、というかそれより低いかもしれない。
このマンガがすごい!とかでオンナ編があるのも仕方ない。ああいう形でスポットを当てないといけないジャンルだと思う。
話は少しそれたが、男性向け漫画の原稿料は低い時に比べたらいくらかは底上げはされているという印象だ。
ブコメにも少しあがっていたが、昨今溢れている「なろう系」はかなりあがっている。
少しぼかした表現になって申し訳ないが、大手のなろう系コミカライズの相場は10000円前後だろう。新人はもうちょい安いかな?
KADOKAWAやスクエニがなろうでヒットを連発していたところに、講談社(というかマガポケ)が参入し、作画作家は取り合いの様相だ。
自分の作品を読んでいないであろう編集者から連絡がくることもあり、条件は良いけどこいつテンプレメールで済ませているな……というのもすぐ分かる。
※そうじゃない編集ももちろん沢山いる。ベンチャー系の新興レーベルの編集者はこれをやりがち。これを読んだらすぐやめろよな?
引き合いは沢山あるから、条件の良いところと……という選択が、作画が得意な漫画家にあるのは個人的には良いことだと思う。増田も大体この辺の相場で仕事をしている(正確にはしていた)。
ちなみにこれは男性向けに限った話ではない。
女性向けのなろうコミカライズの相場もかなり高い。個人的には男性向け以上にレッドオーシャンな気もしているが……。
こっちはKADOKAWAと一迅社の市場というイメージだが、他の大手出版社が参入してくればまた原稿料もあがっていくのかもしれない。
が、低すぎるということはない。下がり続けている小説家の印税と同じくらいにはもらえている。
何より、なろうコミカライズは紙が売れなくても電子が売れる。そして電子印税は紙より高いので実入りが良い。
※紙の方が刷った分もらえるので、発売とのタイムラグなく収入が入ってくるのは助かるが
……という感じで、なろう界隈の原稿料はあがっているし、それに引っ張られる感じで周辺の男性向け作品の原稿料も以前よりは多少あがっている、というのが増田の実感だ。
実入りはよくなっているが、描いていて楽しいかはまた別問題である。向いてない作家になろうコミカライズをやらせてはいけない。
作品にはよるが、テンプレ展開なものも多く原作書籍を読むのが苦痛になってしまうこともある。でもそういうのが安定して人気な世界なんだよな。なろうは分からん。
最近ラノベはラブコメが人気らしく、そういったお誘いも増えてきている。なろう系よりはちょっと原稿料が低い印象。NTRの波が成年漫画を飛び出してきた。
エッセイとか4コマ、なろう以外の女性向け作品は分からず恐縮だが、増田にその辺の知見がある人は教えてほしい。
多分ぜんぜん違う世界の話に聞こえると思う。正直なろうバブルがすごい。弾けると言われててまだ弾けてない。
昔だったら多分成り立たず、コミックスの印税で何とか帳尻を合わせていたんだと思う。
でも今はデジタルの進化がすごい。少ないアシスタントさんでも豊富な背景素材や3D技術を使えば何とかなってしまう。
たまにアシスタント使わず描いてる人もいるくらい、今の作家はデジタルの恩恵を受けている(あるいは恩恵を受けているのは編集部かもしれない)。
ムービー制作代5万、プロカメラマン半日拘束&写真編集代4万って書けば普通に妥当だろうに
結婚式とつけると暴利だと思い込む(世の相場が分かってない)辺りがKKOって感じだ
花だって花束買った事あれば相場が分かる(花って普通に高いぞ)だろうけど買った事ないんだろうな
因みに冬だと高いとかあるぞ(季節的に)
2022年11月24日付で、半年間働いてきた欧州拠点の某スタートアップ企業からRedundancyを言い渡された。永住権を持たない国で働く女性として、この経験はシェアしておくべきだろうと判断したので、文章にまとめて公開する。将来的に、自分自身でもこの経験を振り返ることがあるとも思う。
なお、Redundancyととはこの文脈では「会社都合による余剰人員の整理」を意味する。基本的に、Redundancyは個人の能力やパフォーマンスと関係なく、財政的都合に拠って行われる(Fire、いわゆるクビは個人の能力が会社で求められる基準に満たないため起こるので、Redundancyとは異なる…とイギリス人上司に言われた。実際、退職金の扱いなどもFireかRedundancyかでは違う)。アメリカ英語ではLayoffと呼ぶらしい。最近TwitterやMetaで行われているのもこれではないかと思う。
当事者: 29歳日本人女性、イギリス在住(執筆時)。Youth Mobility Scheme(30歳以下の候補者のための2年間の就労ビザ)を所持、マネージャーからは、会社がスポンサーとなって今後5年間の就労ビザへ切り替えを行う可能性があると告げられていた。
会社全体の状況: 創業10年以下、本社はオランダだがロンドンにも支社あり。私の勤務地はイギリス。社員の人数は100程度のスタートアップ。一般の人には知られていないものの、業界内ではある程度名前を知られている会社だったのではないかと思う。
当事者の会社での役割: 主に日本語を話すクライアントとの関係構築。所属部署の中でも特にAPAC(アジア太平洋地域)担当チームに配属されていた。当該部署に日本人は私のみ。数字だけで見れば業務成績は悪くなかったし、日本語スピーカーかつ前職でも当該分野での経験を積んでいたため、会社内ではユニークなポジションにいたと思う。
11/25
パウエル議長は45分間に及んだ会見で、物価上昇圧力緩和の兆候や、失業率悪化とリセッション(景気後退)入りを巡る懸念が高まる状況の中で米金融当局がインフレ抑制の闘いで手を緩めるのではないかとの見方を一掃することに努めた。
議長は「まだやるべきことが幾分残っている」とした上で、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」と話した。金融当局は0.5ポイント利上げを決めるとともに、最新の四半期経済予測で来年の追加利上げ見通しを示した。
米金融当局が物価抑制に引き続き強い態度で臨むメッセージを発したと受け止められ、債券相場はいったん下落した。その後、景気悪化を受けて当局が来年には姿勢を転換し、最終的には利下げに踏み切るのではないかとの市場の観測を背景に、相場は上昇に転じた。
スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は「従来予想よりも高い水準に金利を引き上げてそこに維持するというタカ派姿勢を金融当局が強めているのを市場は信じていない」と指摘。「インフレは当局の予想よりもはるかに望ましい道筋にあると市場が考えているのは明らかだ」と語った。
パウエル議長は金融当局としてインフレ率を2%の目標に押し下げる決意を確認するとともに、投資家がどのように考えるとしても、「インフレ率が持続的な形で鈍化していると確信する」まで利下げを検討することはないとし、「それにはしばらくかかる」と明言した。
議長はインフレ率がピークに達した可能性を示す最近の兆候を歓迎しつつも、「極度にタイト」と表現した労働市場や、賃金上昇が企業の労働コストとインフレを押し上げる圧力につながる点に焦点を定めた。「全く痛みを伴わずに物価安定を取り戻す方法があればよいが、それはない」とも述べた。
リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズの債券ディレクター、マイケル・コントプロス氏は14日の議長会見と市場の動きに関し、「市場は自分たちが聞きたいことだけをえり好みしている」と分析。「議長発言は基本的に『一般に予想されているよりも高い水準に金利を引き上げ、そこに長く据え置く。それを知ってリスクを買いたいというのなら、自己責任だ』という趣旨だ」と解説した。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミーア・サマナ氏も、リスク資産の上昇が続けば金融当局は予想よりも高く利上げしてそこに維持することを余儀なくされる可能性があると話す。実際、パウエル議長自身も当局のピーク金利予想がさらに高くならないと確信を持って言うことはできないと警告した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMWOYDDWLU6B01
そうすっと生活保護みたいに「立ち直ろうとすればするほど損になるから、立ち直らないでお国の支援を黙って受けてた方がお得」ってなっちゃうからきっと難しいんよね……
それだと支援の必要な人とコストが積み上がり続ける一方になり、無料あるいは格安で入れる困窮者用の建物を永久に建て続けなきゃならなくなって困るから、現状の日本のハウジングファーストもどきとやらも期限を切ったりとかの条件つけてるんだろうし。
それこそ公営住宅なんていわば縮小版のハウジングファーストと言えるかもしれないけれど、一般相場の1/2〜1/3程度の低家賃で更新もなく一生住み続けられるもんだから、どうなってるかって貧乏人が貧乏人のまま死ぬまで居座って軒並み高齢化ですわ。
外に出てしまえば1.5〜2倍の家賃でせまくて防音スカスカな家にしか住めず、2年ごとに家賃1ヶ月分の更新料をぶん取られ、この際に賃料値上げや建て替えによる退去を迫られるリスクもある。年を取ったらそもそも入居させてもらえるかもわからない。そんな現実をわかっててよそへ引っ越す理由もないから残当と言える。逆にそれをわかってるから外の貧乏人も老後の安心を求めこぞって公営住宅に群がる(ちなみに今都営住宅の募集サイトで倍率見てきたら、立地によって応募倍率がかなりバラけてたけど平均して約45倍だそうな。絶望)。
おんなじことを政府がやったら現状の団地の状況に輪をかけた事態が起きるのが目に見えてるから政府もやるにやれないんじゃねっかなと思います自分は。
それこそ生活保護の受給者が保護から抜け出せないように、3号被保険者が伴侶の扶養内でしか働けないように、現状の本邦の福祉(そもそも福祉全体が性質としてそうならざるを得ないのかも…)ってどうしても「頑張れば、公助を受けてる現状よりもっといい思いができる」ってインセンティブを発揮しづらい。だからいつまでも困窮者は困窮者のまま、福祉を脱する意思を減じてしまう。
そうなるとお国としては一方的に福祉のコストを垂れ流し続ける以外になす術がなくなってしまうから、当然それ以上に手厚い福祉を与えることに二の足を踏む。結局やりますと手を上げてきた玉石混交のNPOや社団法人に個々の対応を端金の補助金でぶん投げて国としては静観するしかなくなる。
「ほんじゃいっそ国費で地価激安の僻地の自治体にでかい団地おっ立てて、生計の見込みのない困窮者はみんなそこで暮らしてもらうようにしたらどうや、仕事できない人を集めるわけだし雇用のない土地でも大丈夫やろ」とかちょっと素人考えをしてみただけで、素人にすら色々と面倒なこと(例えば、そこに暮らす人のインフラとか食料日用品の供給とか高齢化した彼らの介護とか困窮相談および対応とか誰がやるんよ問題など)が思い浮かばれて、「だから国は端金だけ配って知らんぷりしとんのやな」とさじをぶん投げたい気持ちになったりする……
もちろんそれもあるけど、質じゃなくて規範の問題なんだよね。マトモな研究や翻訳は原典に基づいて行うべきだ、という規範。
ありていに言えば、「なーんだ、重訳なんだ」「えっ、重訳なの……?」と、重訳である時点で評価が二段階三段階は落ちるわけ。
なんだろうな、理系分野や経済学でいう査読の重みに近いかな。「重訳だけど正確な訳だし……」っていうのは、「査読されてないけど面白い論文だし……」って言われてるみたいな感じ。「まずは直訳」「直訳が困難な事情がある場合には重訳でも許容」なのよ。
だから、「ピケティの本を英語から重訳する」というのは、人文系目線では、「『エコノメトリカ』に載るレベルの論文を査読なし雑誌に載せる」みたいなもんで、ショボい研究ならそれでいいのかもしんないけど、ピケティでやっちゃダメだろ! って話になるのね。
ただそのへんの価値観が分野によって違うのはまあそうなんで、「いや別に査読されてないけど面白い論文だからいいじゃん……」と人文系の学者が思う程度には、「いや別に重訳だけど中身が合ってりゃいいじゃん……」と経済学の学者が思うのも正当だと思うよ。増田が説明してるのはあくまで「人文系での価値観」であって、それに他者が従うべき理由はないし。
その相場感や人文系の感覚というのは粗悪な翻訳が行われることに対する懸念に由来するものだろうが
しかし人選を批判する北村も翻訳の内容に対する具体的な批判はできておらず、山形による翻訳の内容は実際には粗悪どころか経済学者の石塚や翻訳家の山内から高く評価されている
つまり前提となる「粗悪な翻訳が行われた」という事実は特に確認されておらず、前提が成立していないことから不適切な人選と批判する根拠に乏しい
なお、翻訳が早く出て日本語で読めるようになったことは出版社に経済的なメリットがあるだけではなく、経済学者として学問に携わっている石塚にとっても「ありがたかった」とのこと
本当に疑問なんだけど、日本にはフランス経済の専門家とかおらんの? 探せば日本のどっかにはフランス語を原典から訳せて経済学の知識がある人が絶対いるでしょ(フランス語はメジャー言語だ、って強調してるのはそういう意味もあるよ)。
ピケティの本が世界的な話題作であるなら尚更、フランス語と経済の双方に通じた翻訳者を探してくるか、それが無理ならフランス語からの翻訳を監修する経済学者を連れてくるべきで、重訳は最後の手段だろう、というのが人文系の感覚。「アイスランド語の推理小説」ならまあ重訳でも仕方ない(良いわけではない)けど、「フランス語の経済学書」だったら、日本にはフランス語の専門家は大勢いるんだから彼らに直接訳させろ、翻訳にあたって経済学の知見が必要ならフランス経済専門の翻訳者 or 翻訳を監修してくれる経済学者を連れてこい、というのが相場じゃないかなぁ。すげえどうでもいい本ならその手間を惜しむのもわからなくはないけど、世界的な話題作ならそこの手間はかけるべきでしょ、と思うよ。だからピケティを重訳で良しとする感覚がマジで理解できんのよな……(出版社にとっての経済的メリットはわかるけど、学問的にはメリット皆無でしょ)
結局、人文系にとっては「原典にあたる」ことがまず基本であって、翻訳は原典ではないわけよ。研究をするにあたって翻訳で済ませてよいのは、
場合に限られるんじゃないかしら。あとはよっぽど研究環境の貧弱な地方大学に所属してて碌な研究費ももらえず図書館も充実していないので原典を入手することができず、なおかつ信頼に値する翻訳があるなら、まあ翻訳で済ませるのも仕方ないかもしれないけれど、山形浩生はそんなに貧窮してるの? って話になるので。
(理論もすべて原典で読むべきか、はまあ微妙なところ。たとえばフーコーの思想を研究するのならフランス語原典を読むのは必須だけど、フーコーの「生-権力」概念をドイツ史研究に応用してみました! みたいな場合は、うーん、まあ研究の基礎となる資料をちゃんとドイツ語で読んでるなら理論は日本語訳でもいいかなぁ、という感じ。もちろん理想を言えばフランス語読むべきなんだけどね、それ言ってるとキリがないからね)
なお、元の話題に出てる北村紗衣は、「原典を読める文学作品については研究し、そうでない作品(ロシア文学とか?)については評論する」というスタンスであることをどっかで公言していたはず。研究はあくまで原典に依拠して行うもの、原典を読んでいないのは研究とはいえない、というのは、人文系研究者としては当然のスタンスだと思う。なんだろう、増田は経済学のこととかよくわからんけど、英語からの重訳を出されるのは、数学や統計学を踏まえずになされた経済学研究を出されるようなもんなのよ。基本のキができてないですね、問題外、って感じ。
最近話題になっているOpenAIの発表した、ChatAIサービスの「ChatGPT」ですが面白い記事を見かけたので紹介します。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2212/06/news110.html
上記の記事では、OpenAIの元会長のイーロン・マスク氏と、サム・アルトマンCEOがやり取りをしており、その中でイーロン氏の「チャット当たりの平均コストは?」と言う質問に、アルトマン氏は「おそらく1桁セントくらいだ。より正確にコストを割り出そうとしており、また、最適化にも取り組んでいる」と答えており、この1か月のドル円の相場が135-150円のレンジと考えると日本円に直すと大体数円から十数円のコストが、チャットごとに掛かっていると思われます。
その他にも別のタイミングで「ずっと無料で使えるか?」と質問を受けた際には、アルトマン氏は「どこかの段階で有料にしなければならないだろう。(インフラの)コストは涙が出るほどかかっている」と答えており、専門的な分野ながら公開5日で既に全世界で100万ものユーザーを抱える同サービスが、無料で利用し続けられるのはそう長くなさそうです。
現在気軽に利用出来ている同サービスですが、原価が10円前後となると最終的には余りお気軽に話しかけられる存在ではなくなるかもしれません。
アップルやマイクロソフトといったテクノロジー大手が売られ、相場を大きく圧迫。ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は2%安。S&P500種株価指数は4営業日続落となった。KBW銀行株指数の構成企業は2社を除く全てが値下がりした。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は「困難な時期が待ち受けている」とし、ボーナス減額や人員削減が実施されたとしても意外なことではないと警告。バンク・オブ・アメリカ(BofA )はリセッション(景気後退)の可能性に備えて退社する従業員が減っているため、採用を減速させているとブライアン・モイニハンCEOが明らかにした。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOはCNBCに対し、来年は「緩やかないし深刻なリセッション」に見舞われる可能性があると話した。
ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのポートフォリオストラテジスト、ローレン・グッドウィン氏は「株価はまだ底入れしていない」と指摘。「株式市場では今のボラティリティー局面が今後数カ月で終了する可能性が高いが、企業業績はまだリセッション的な環境に適応したものになっていない」と述べた。
モルガン・スタンレー・アセット・マネジメントのリサ・シャレット氏は経済成長の減速やインフレで消費者の購買力が低下するのに伴い、大手企業の一角では来年の業績が想定よりもかなり大幅に落ち込む可能性もあると指摘。「企業ガイダンスの多くは妄想的だ」とし、「多くの人は不都合な現実を突然知ることになる」とブルームバーグテレビジョンで話した。
安全性を求める動きから、米国債は上昇。取引終盤に上げ幅を拡大した。10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.51%を付けた
外国為替市場ではドルが主要10通貨の大半に対して値上がり。一時は下げていたが、株価下落を背景に安全な資産とされるドルに買いが戻った。
ドルは対円では137円付近。朝方にはドル売り・円買いの動きで136円を割り込む場面もあった。
スコシアバンクのショーン・オズボーン氏は「米金融当局にとっての見通しにもっと実体的な変化がない限り、ドルの上昇は持続可能だとの確信は持てない」と6日のリポートで指摘。「しかしドルは短期的に若干の堅調を維持できるかもしれない。投資家が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に目を向け始めるためで、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が同会合で金利に関する期待を上方向に誘導しようと努める可能性は十分ある」と述べた。
INGバンクのフランチェスコ・ペソレ氏は「ドルが一段と下落するには、ドルの弱気トレンド継続を投資家が確信を持って予想する必要がある。ロングスクイーズの余地は今や著しく縮小した」と指摘。「そのような予想は時期尚早であり、年末にかけてドルは回復すると想定している」と話した。
ニューヨーク原油先物相場は大幅に続落し、昨年12月以来の安値となった。金融市場全般で売りが広がる中、投資家は原油のポジションを縮小した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)はこの日の下落で年初来の上げを全て失った。原油市場では流動性の低下が続いている。北海ブレント原油先物の建玉は2015年以来の低水準。12月に入り、トレーダーらはポジションを縮小している。
シティグループの商品調査グローバル責任者エド・モース氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、原油市場で最近「理不尽」な価格の動きが見られることから、トレーダーらは「市場から逃げ出している」と指摘。「年末が近づいており、今年利益を得た人はそれを失いたくはない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、前日比2.68ドル(3.5%)安の1バレル=74.25ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は3.33ドル下げて79.35ドル。
ニューヨーク金相場は小幅に反発。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.10ドル(0.1%未満)高の1オンス=1782.40ドルで引けた。金スポット価格はニューヨーク時間午後2時半時点で0.1%上昇の1769.83ドル。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-06/RMHE12DWLU6801
株式市場は年末年始に向けて大荒れになりそう。ていうか今日はもう荒れてる。
地合いが上に行くか下に行くか。おそらくは下だろうけど私は確信が持てないでいる。
なので、もう年末年始はポジションをあらかた手仕舞ってのんびり過ごそうかと思う。
ただし、市場は常に、油断している人に対して容赦ないので経済ニュースや個別銘柄の情報には目を通し続ける。
わからん事を列挙する。俺の知識が足りないだけだと感じたらツッコミ入れてください
colaboは1億円相当の不動産を所有していることを公開している。公益法人から助成金をもらって土地含めて一億相当の新築アパートを2022年の2月に建築したとある。
詳しく調べていた人がいて、相場なら6000万円相当のはずのものを1億で買っているのは不自然ではないか?より多くの部屋数(7団体で200室なので一つ29室程度?)を確保する事を想定した募集に応募して8部屋で助成金が貰えるのは何故か?という疑問を提起している。
https://twitter.com/red____/status/1600110034901667840
しかし俺が気になるのは、そもそもなぜ不動産を所有するのか、だ。女の子を救うためのシェルターが必要という理屈はわかるが、女の子を守るために活動場所やシェルターの場所は非公開という事になっている。
非公開の電話番号に711件も電話が掛かってくるのは違和感があるがそれはさておきとして、カンのいい人が不動産の登記を調べれば上の人のようにどのアパートなのか目星がついてしまうようではそれが公開された時のダメージがコントロールできないのではないか?
ネットの海に出た情報を消すのは事実上不可能と言えるのに、登記からも所有者がバレる上に処分に手間も時間も掛かる不動産を所有するより、1部屋単位で賃貸を借りるべきではなかろうか。
もちろん、新築アパート1棟の所有の方が賃貸の又貸しよりも利回りが良いという話はあるが、Colaboは不動産賃貸で利回りを追求する事業では無いはずだし、女の子たちの安全を第一に考えるなら住所がバレたときに引っ越せば逃げれる賃貸が理想的である。
公益法人から助成金をもらって建てたアパートは何らかの条件がついた物件になってしまい、即座に売り抜けて現金化するなどは助成金の意義から考えて原則認められない点からも不便である。
部屋の数もアパート1棟所有だと空き部屋管理やメンテナンスの手間がかかるが、賃貸なら必要に応じて増減も柔軟にできるし1年以下の短期滞在がほとんどとなる女の子たちにとっても合理的な選択肢になる。
1億以上ある現金で借りた部屋を又貸しする形になるので、保護対象の女の子の数が増えるほど支出が増えるが、バスカフェだってそもそも利用者が増えたら支出が増える構造なので大した違いはない。
歌舞伎町で終電が無くなった深夜2時にバスから解放するのかよというツッコミも、歌舞伎町内の賃貸シェルターに寝泊まりさせる前提なら完璧に反論できる。歌舞伎町に新築の1棟アパートを持とうと思ったら1億では足りないが部屋単位で賃貸を借りるのは簡単だ。
なので利回り以外でアパート1棟所有の利点が思いつかない。賃貸最高じゃん?
Colaboは一般社団法人である。一般社団法人は株式会社と違って解散時に資産を原則として社員に分配できない。Colaboが解散するときには所有する不動産は残余財産として何らかの方法で処分しなくてはならない。
https://www.koueki-houjin.net/henkou/kaisan-zaisan.html によると残余財産は以下のようにする。
1. 定款で残余財産の処分方法を定めている場合は、その定めに従う
Colaboは定款を公開していない(これは別に違法ではない)のでなんとも言えないが、少なくとも面倒が増えることは間違いない不動産を一般社団法人でわざわざ持とうとするのは合理的とは思えない。
ふと気になって別の似たようなことをしている一般社団法人が公開している定款が無いかなと探してみたらあった。
京都わかくさねっと (https://kyotowakakusa.net) の https://kyotowakakusa.net/about/outline からpdfファイルが落とせる。
第26条 当法人が清算をする場合において有する残余財産は、社員総会の決議を経て、
当法人と類似の事業を目的とする他の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法
律第5条第17号に掲げる法人であって租税特別措置法第40条第1項に規定する公益法
人等に該当する法人に贈与する。
要するに別の類似の事業をしている法人に贈与すると言っていて理にかなった話に見える。Colaboがどういう定款にしているのか気になる。なおそれを書くことは一般社団法人は義務ではないので空欄になっている可能性もある。
ないと思うがもし誰か特定の受益者(法人法第11条2項では「社員」に寄贈できないと書いているので、社員以外の誰かなら可能ということ?)に贈与すると書いていたらそれこそ山本一郎のいう「貯金箱」の所有者と言えるのかも知れない。
あと俺の法律の解釈が正しければ、社員が総会で合意さえすれば社員の持ち物にできるので解散のタイミングで社員が結託可能な者だけあるいは一人になっていれば好きにできるはずである(むしろそれを疑われるから特定非営利活動法人は「解散したときは、残余財産を国や地方公共団体等に贈与すると定款に定めていること」という条件がある?)。
それと、別の観点だが公開している資料がグダグダな所からして、万が一の可能性として「仁籐さんが登記名義人になっているのでその心配はない」という話もありうるがもしそうだとしたら一発アウトである。
https://anond.hatelabo.jp/20221202200342 から引用すると
万が一、これらの名義が当該法人ではなく、法人代表者等の関係者の名義になっていた場合、法人の資産と偽って個人の資産を購入していることになります。
流石にそんなことはしていないと思うのですが、既に公開されている情報から当該法人がこれだけの資産を有する法人格として適切なレベルの経理処理ができておらず、都への実施報告では個人のサークル活動レベルの感覚の資料を提出してしまっている様子が見えているので、こういうバレるに決まっている初歩的なNG行為もやっちゃっているのではないか、と心配しています。
(名義主義のことを知らないで登記移して後で問題に……というのは個人の方でありがちです。)
ちゃんと資産が法人に帰属しているものなのかというのは大事なことなので、都の監査では確実に法人所有資産の登記確認を実施してもらいたいと思っています。
まぁ流石にこの線は無いと思うけど…。
クレセット・キャピタルのジャック・エイブリン最高投資責任者は来年に米景気が緩やかに後退し、FRBが金融緩和を迫られると予想。それまでは投資家が景気循環の落ち込みに強い投資先を志向していくとみる。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのストラテジストらによると、各中央銀行がインフレ抑制を目指すと引き締め過ぎになりやすく、今後のそうした打撃を株式市場はまだ織り込んでいない。来年は景気変動の影響を受けにくいと考えられるヘルスケア株が推奨という。今年のS&P500種のヘルスケア部門は年初来で約1.7%下落にとどまる。エネルギー株や金融株にも前向きだが、新興市場は全般にアンダーウエートにしているという。
JPモルガンも来年を軽度の景気後退と予測。第1・四半期にはS&P500種が今年の最安値を再び試すとみる。米株は過去平均より割高なことなどから他先進国株より魅力が落ちるとし、推奨するなら一番は英国株とした。
BofAグローバル・リサーチも米景気後退懸念と米企業の収益鈍化により来年の米国株は悪環境になるとみて、米株が値上がりしても弱気相場の中の上昇に過ぎないと受け止めるよう顧客に助言。一方で中国株をオーバーウエートにし、コロナ感染予防の厳格な規制の緩和や政府による不動産部門支援が中国株を押し上げると予想している。
ただ、誰もが今後の米景気後退やその影響を既定路線とみているわけではない。
UBSのストラテジストのルーカス・カワ氏は中国や欧州の経済成長減速といった今年の悪材料が来年は一部改善に向かうとし、資産価格は全般に支えられると予想する。「今年の向かい風が来年は追い風に変わっていく可能性はかなりある」という。
ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのストラテジスト、ガレット・メルソン氏は来年は米経済が軟着陸するとの見方。「軟着陸への道は恐らく現在の予想コンセンサスより広い」とし、消費は金利上昇で抑制されるが壊滅はしないとみている。米小型株が既に景気後退を織り込み済みとして、投資に強気と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/usa-stocks-weekahead-idJPKBN2SP0F5
2009年11月のいわいる事業仕分けから、もう13年も経った。「2位じゃダメなんですか?」の質問の発言で非常に曰く付きとなったアレだ。
ところが最近、13年も経ってまだなおナゼ「2位」という言葉が出てきたかが理解できてない人がかなりいる事を知った。それどころか、スーパーコンピュータの京は、事業仕分け時点で世界一になることが明白だったなどという認識まで飛び出す始末である。
ただ、資料もなしにどこが変だと言っても仕方あるまい。何がどうして「2位」なのか、少し語ろうじゃないか。
初期の次世代スーパーコンピュータ (この時点では名前が付いていなかったが、以下わかりやすく京と呼ぶ) 計画 は、補助金を投入してのHPC産業育成に目を向けられていた[1]。世界一の性能を出していた海洋研究開発機構の地球シミュレータが、NECのSXシリーズをベースにしたベクトル型であり、ベクトル型のスーパーコンピュータは日本のお家芸とみなされていた。これを育成することが一つの目標。そして、立ち遅れていた当時の世界のスーパーコンピュータの潮流、スカラ型の開発に追いつくこと。これがもう一つの目標となった。結果、世界でも類を見ないベクトル型とスカラ型のハイブリットなどという中途半端な方式になる。実に日本的な玉虫色の決定と言えるだろう。しかし、補助金の注ぎ込みが不足し、事業者持ち出しの負担が大きくなってしまった。結果、事業費負担が高額になることを嫌い、NECと日立の撤退する[2]。これにより、世界の潮流通りのスカラ型とならざるをえなくなった。
CPUはというと、世界のスーパーコンピュータの潮流では当時から既に汎用のx86アーキテクチャのCPUが既に多くなってきていた中、富士通はSPARC64VIIIfxを採用した。よく国産CPUと表現されているが、SPARCの名で分かる通り、当然命令セットは米国Sun Microsystems (現 Oracle) のセカンドソースであり、端から端まで国産というわけではない。更に、業務用UNIXをささえるマシンとして一世を風靡したSPARCではあるが、当時ですらもう下火となっていた。京の事業費の約半分、実に600億円が、この専用CPUに注ぎ込まれることになった。なぜその選択をしたのか。富士通のサイトには省電力と安定性が理由として書かれている[3]。しかし、その省電力という目標も、後述するように微妙な結果となってしまった。また、ソフトウェアの使いまわしも微妙となった。
計画は2005年に始まる。世界でも類を見ないベクトル型とスカラ型のハイブリットという構成もあり、概念設計にはしっかり時間を費やした。2007年9月には性能目標は10P FLOPSと示した[4]。稼働開始は2010年、2012年に完成という工程も同時に示されている。直前の2007年6月のTOP500を見ると[5]、1位のIBM BlueGene/Lが370TFLOPS。5年後に30倍という性能を目指したことになる。当時の発表としては、世界一が取れるような計画だったが、しかし日進月歩の分野で5年は結果的に長かった。
さて、前述のように、ベクトル陣営は2009年5月に撤退を決めた。10P FLOPSの性能と決定した時には、ベクトル側も居たのに、そこがぽっかり空いた状態。10P FLOPSのあてはいつついたのだろうか? 2009年7月の報告書[6]では、スカラ単体で10P FLOPSを達成できること、ベクトル部は存在していても接続まわりの性能が不足していて問題があったことが表明されている。結果的に、なくなってよかったというトホホな内容だ。さて、同報告書では、稼働開始前の2011年6月に、ベンチマークだけでも10P FLOPSを達成してTOP500の1位を目指すと書いてある。どうしてこうなったのだろうか。
遡ること半年の2009年2月3日、米国国家核安全保障局(NNSA)はIBMと新しいスーパーコンピュータ Sequoiaを展開すると発表した[7]。性能は20P FLOPS、京の予定性能の実に2倍を達成するという発表だ。しかも、提供開始は2011年~2012年。京の1年も前になる可能性があるという。
そう、双方が計画通りなら、京は2012年、提供を開始する時には既に2位になっているという話題が出ていたのだ。なるほど、あせって2011年にベンチマークだけでも「トップを取った」という実績を残したいわけである。
さて、その後のSequoiaはというと?
ある意味計画通りだろう、2012年に提供が開始され、2012年6月のTOP500[8]では予定通り20P FLOPSを叩き出し、1位になる。しかし、2012年11月のTOP500[9]では、Crayとオークリッジ国立研究所が作ったTitanが叩き出した27P FLOPSという数字ににあっさりと抜き去られ、2位になる。まるで幽遊白書のラストのような展開だ。しかも、SequoiaはIBMのPower系アーキテクチャで構築されたA2プロセッサだったのに対して、TitanはAMD OpteronとNVIDIA K20Xの組み合わせ。汎用性でも差を開けられている。これはお手上げというものだろう。
さて、話は京に戻す。京が有名になったのは2009年11月13日の行政刷新会議、いわいる事業仕分けである(ここは参考文献は要るまい)。このときまで、そんな計画があることを知らなかった人の方が多かったのではないだろうか。どういうニュアンスで言ったかわからない、まるで日本を貶めているかのように聞こえる「2位じゃダメなんですか?」という言葉が非常にインパクトを与えたことだろう。
さて、じゃぁ何が2位なのか。だ。前述の通り、この時点ではIBMのSequoiaに追い抜かされることが見えていた。TitanはGPUの調達など細かい話が決まってきたのは2010年なので、この時点ではほとんど影がなかったはず。ということで、3位じゃなくて2位としたのは、Sequoiaを意識してのことだろう。つまり、「2位じゃダメなんですか?」というのは、1位を諦めて2位の性能で我慢するべきということではなく、客観的に見れば「2位になるのが見えているのだけど、何で1位と言ってるの?」という話になってくるのが見て取れる。蓮舫氏がそこを意識してたか知らんけど。
共同事業者が撤退し、一応強気に「大丈夫」と言ってはいるが、本当に達成できるかは周りからは疑問符が付くグダグダなプロジェクト状況、ほぼ専用設計で量産時にどういう問題が出るかわからないCPU、ソフトウェアも新規制作。税金の投入は中途半端で、産業を育成したいのか企業負担を増やしたいのかよくわからない(だから撤退する事業者が出る)。そもそもここで出来たスーパーコンピュータ、CPU抜きにしても売れるのか分からない。そりゃ、金田康正教授でなくても、京にはため息が出るというものだ。
さて、京は何を達成したのだろうか? 京は完成前ではあるもののベンチマークを実施し、見事11P FLOPSを叩き出し、2011年6月[10]と2011年11月[11]のTOP500でトップに躍り出る。この分野に日本ありと示した…かどうかはわからないが、一つの実績として言えるのは間違いない。いや、経緯のグダグダ感からして、見事なプロジェクト進行だったと称賛できる。しかし、前述の通り供用を開始した2012年9月[12]にはTOP500ではSequoiaに追い越されており、直後のTOP500ではTitanにも追い越されて3位となっていた。1位は、ベンチマークだけの存在だったと言える。
では目標の産業育成としてはどうだっただろうか。京をベースにしたスーパーコンピュータ PRIMEHPC FX10[13]やFX100は、東大[14]、名大[15]、キヤノン[16]、九大[17]、信大[18]、JAXA[19]、核融合科学研究所[20]、気象庁気象研究所と、調べるだけでも国内実績は多くある。国外実績は、台湾中央気象局[21]、シンガポールナショナルスパコンセンター、豪州 NCI、英国 HPC Walesと、それなりにある。ただどうだろう。産業としてうまくいったのだろうか。有価証券報告書を見ても、その他のセグメントに入ってしまっているため状況がつかめない[22]。謎ではある。とはいえもし、産業としてそれなりに育ったのならば、有価証券報告書で報告する事業セグメントとして独立したものを与えられてしかるべきだったのではなかろうか。少なくとも1000億も出したのだ。そのくらいではあってほしかった。更に言うなれば、特に競争の激しい国外市場をうまく取り込めたかというと、産業育成という視点では頑張ったとは思うものの心もとない結果だったように、少なくとも私には見える。
消費電力の面はどうだろうか。上述の通り、SPARCを使う理由には省電力が上げられていた。これをライバルのSequoia、Titanと比較してみよう。2012年11月のTOP500[9]で見ると、京は12.6MW消費するとある。Sequoiaは7.8MW、Titanは8.2MWだ。実はこの時の報告のあるスーパーコンピュータの中で、最大の電力消費量を誇っている。高いほうがいいのではなく、消費電力は低いほうがいいので、これはかなり問題がある。
費用面はどうだろうか。これもライバルと比較してみよう。京は日本円にして1120億円かかっている。対してSequoiaは2億5000万ドル[23]、Titanは9700万米ドル[24]だ。2012年11月で見るとドル円相場は82円なので、Sequoiaは約205億円、Titanは80億円となるだろうか。京のプロセッサ開発費を除いたとしても、数字が違いすぎるのだ。
纏めてみよう。京は、一時期でベンチマーク上だとしても、TOP500で1位を取った。これは「夢を与え」(平尾公彦氏)た結果だったろう。しかし、それは砂上の楼閣でもあった。しかしそれを実現するための費用は米国の5~10倍で、性能は実は半分、消費電力は1.5倍という結果になり、産業育成も盛り上がったかどうかは判然としない。こんなところだろうか。
近年のスーパーコンピュータを含めたHPC分野はどうなっているだろうか。近年のクラウドコンピューティングの流れを当然HPC分野も受けており、主要プレイヤーとしてAWSの名前が挙がっている[25]。またレポートでは挙がっていないものの、Google Cloudも猛追しており、円周率の計算では1位を叩き出している[26]。必要な時に、必要な規模で構築できるクラウドコンピューティングの波は、さてHPC分野でどこまで浸透していくのだろうか。産業育成の方向が、2009年時点では確かにハードウェア開発だったろう。しかし、事業仕分けへの反発により、日本は方向性を間違ってしまったのではないか。私は、そんな気がしてならない。
[1] ttps://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/kentou/super/haihu01/siryo2-3.pdf
[2] ttp://www.nec.co.jp/press/ja/0905/1402.html
[3] ttps://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/k/whatis/processor/
[4] ttp://web.archive.org/web/20130207162431/https://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/070914/index.html
[5] ttps://www.top500.org/lists/top500/2007/06/
[6] ttp://www.jaist.ac.jp/cmsf/meeting/14-3.pdf
[7] ttps://www.llnl.gov/news/nnsa-awards-ibm-contract-build-next-generation-supercomputer
[8] ttps://www.top500.org/lists/top500/2012/06/
[9] ttps://www.top500.org/lists/top500/2012/11/
[10] ttps://www.top500.org/lists/top500/2011/06/
[11] ttps://www.top500.org/lists/top500/2011/11/
[12] ttps://www.riken.jp/pr/news/2012/20120927/
[13] ttps://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-24020620111107
[14] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2011/11/14.html
[15] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/05/15.html
[16] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/08/6.html
[17] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2013/08/22.html
[18] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/02/13.html
[19] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/04/7.html
[20] ttps://nsrp.nifs.ac.jp/news/PS-next.html
[21] ttps://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/06/25.html
[22] ttps://pr.fujitsu.com/jp/ir/secreports/2015/pdf/03.pdf
[23] ttps://arstechnica.com/information-technology/2012/06/with-16-petaflops-and-1-6m-cores-doe-supercomputer-is-worlds-fastest/
[24] ttps://web.archive.org/web/20120727053123/http://www.hpcwire.com/hpcwire/2011-10-11/gpus_will_morph_ornl_s_jaguar_into_20-petaflop_titan.html
[25] ttps://www.sdki.jp/reports/high-performance-computing-market/109365
[26] ttps://cloud.google.com/blog/ja/products/compute/calculating-100-trillion-digits-of-pi-on-google-cloud