はてなキーワード: 米連邦準備制度理事会とは
連邦公開市場委員会(FOMC)の22日の政策決定を前に、スワップ市場が織り込む0.25ポイント利上げの確率は80%。対照的に、過去1年間の会合では毎回、トレーダーが少なくとも1回の0.25ポイント利上げを完全に織り込んでいた。その上、これまでの議論は利上げ幅が0.25ポイントか0.5ポイント、0.75ポイントのいずれになるかが焦点だった。
相対的に見て確信に欠ける状況は、10年超ぶりの米銀行大型破綻を受け、政策当局者が直面する問題がいかに複雑化しているかを浮き彫りにした。多くの投資家やエコノミストはここにきて、利上げを停止すれば当局はダメージや、地銀の信用収縮がどの程度経済を圧迫するかを判断する時間を確保できるとして、停止の論拠を指摘している。
MUFGセキュリティーズアメリカの米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は、「FOMCは利上げして見通しについてはハト派的姿勢になる可能性もあるが、利上げを実施せず、先送りすると言って済ますかもしれない」と予想する。
同氏は米国債市場の低調な流動性が極端なボラティリティーや指標国債利回りの日々の大幅変動につながっている点に言及し、「市場機能はFOMCが一時停止を正当化する口実として何度も使われてきた。市場の不安定さを理由にした利上げ見送りを非難することはできない」と述べた。
ブルームバーグが調査したエコノミスト98人のうち11人は、FOMCが22日に利上げ見送りと発表すると予想。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルは0.25ポイントの利下げを予想した。
問題を複雑にしているのは、当局によるこれまでの計4.5ポイントの利上げに経済がほとんど反応していないことが最近の雇用とインフレのデータで示唆されている事実だ。銀行破綻の前には、多くの当局者が金融引き締めを継続し政策金利を少なくとも5.5%に引き上げる方向に傾いていた。
最近の市場混乱の前は、スワップ市場では米金融引き締めサイクルが9月まで続くと想定されていたが、現在では5月に金利のピークを迎えることが示唆されている。
パウエル議長は22日、銀行システムの緊張を抑え込む最近の措置に自信を示す公算が大きい一方、エコノミストや債券投資家は、地銀が新規融資を控え融資基準を引き締めると見ている。これはFOMCが政策金利を大幅に引き上げることなく景気の鈍化とインフレ圧力の緩和を実現することを示唆している。
バンガードのポートフォリオマネジャー、ジョン・マッツイレ氏は「中期的に、つまり6カ月から12カ月の間に、ターミナルレート(金利の最終到達点)は市場がこれまで考えていたような5.5%超ほど高くならないだろう。米金融当局は何かを壊す地点に近づいており、信用状況の引き締まりに伴い景気が減速するからだ」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-21/RRW08RDWLU6901
ウィリアムズ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催の「CFOネットワーク・サミット」で、インフレ率を下げて物価安定を回復させるために米連邦準備制度理事会(FRB)がやるべきことはまだ多いと語った。
12月に公表されたFOMC参加者の予測中央値によると、政策金利は2023年末までに5.1%に達する見通しで、今年あと数回の利上げが行われる可能性を示唆している。
ウィリアムズ総裁はニューヨークで開催された米紙ウォールストリート・ジャーナルのイベントで、「需給バランスを取り戻しインフレを低下させるために今年すべき行動という点で、依然非常に妥当な見解に思われる」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、この発言が伝わった後、より高い金利水準を織り込んだ。
FOMCは先週の会合で0.25ポイントの利上げを決め、FF金利の誘導目標レンジを4.5-4.75%とした。ウィリアムズ総裁は今後の利上げ幅として0.25ポイントが「適切に思える」と述べたが、同時に追加利上げペースは今後のデータ次第だとも言及した。
金利は「かろうじて景気抑制的な」領域に入っているに過ぎないと発言。インフレ率が高止まりする、あるいは金融環境が緩んだ場合は、政策金利を十分に景気抑制的な水準まで引き上げる必要が生じ得ると述べた。
「インフレ率を確実に2%に戻すため」、十分に景気抑制的なスタンスを「数年間、維持する必要があろう。その後、時間をかけていずれは、より通常に近い水準に金利を戻すことができると思われる」と語った。
これとは別に、米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は同日のワシントンでのイベントで、「利上げはまだ終わっておらず、金利を十分に景気抑制的な水準に維持する必要があると考える」と発言。
その上で「今は比較的小幅なステップで行動している」とし、「これにより、われわれには景気に対して速いペースで取った行動の効果を見極める時間が得られる」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-08/RPRNKDT0AFB401
バーンズ元議長は物価上昇圧力を徹底的に抑え込むことに失敗。金融政策を十分な期間にわたって十分に引き締めることをせず、1970年代にインフレを手に負えない状態にさせた。一方、ボルカー元議長は1980年代、2桁に上っていたインフレ率の抑制には成功したが、その代償も大きかった。失業率が10%を上回るなど、経済は深く落ち込んだ。
元FRB金融政策局長で現在はドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「パウエル議長は歴史に自分の功績を残したがっている。バーンズ氏のように見て見ぬふりをして時期尚早に政策を転換したわけでもなく、ボルカー氏のように意図的にリセッションを引き起こしたわけでもない人物としてだ」と述べた。
米金融当局は当初軽視していた物価急騰のペースに追い付こうと、積極的な利上げを昨年進めた。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げペースを0.25ポイントに落とすと予想されているが、パウエル議長は同時に、政策金利を当面、高水準に維持し、物価上昇圧力が抑制されたと確信するまで金融緩和に転じることはないと表明する公算が大きい。
しかし、こうしたハイブリッド戦略がうまくいかない可能性は高い。世界2位の経済大国である中国が経済活動を再開させる中で石油価格高騰とインフレが再燃し、米金融当局は政策金利を据え置いた後、年内に再び利上げに追い込まれるかもしれない。引き締めスタンスに固執することで、当局の予想以上に失業率が上昇する可能性もある。
民間エコノミストの大半は、金融当局が米景気を悪化させることなく、うまくやれるとは考えていない。ブルームバーグが今月行った調査によれば、エコノミストは向こう1年間に米経済がリセッションに陥る確率を65%とみている。
住宅市場は昨年の急ピッチな利上げを受け、既にひどい打撃を受けている。
ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は「消費支出が勢いを失い始めているかもしれない」と指摘。同氏は米経済が2023年後半に緩やかなリセッションに陥ると予想している。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「リセッションを回避するには、ちょっとした幸運と、ほどほどに巧みな金融政策が必要だろう」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-29/RP91JXDWLU6901
米国では政策金利の引き上げが実施されようとしているが、預金金利への期待は高めてはいけないようだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月に金利の引き上げに踏み切る構えを見せており、その後も年内の追加利上げが行われる見通しだ。通常、金利が上昇すれば、銀行預金の利息も増える。だが、今回はそうではない。
銀行は預金を必要としていないため、預金金利を上げる動機がない。政府による景気刺激策によって米国家計の預金残高は増え、企業には現金があふれている。米商業銀行の預金総額は、2020年初めの約13兆3000億ドル(約1537兆円)から約18兆1000億ドルに膨れ上がっている。
融資先に請求する利息と預金者に支払う利息の差額を収入とする銀行は、この機会を利用し、収入基盤である融資事業を活発化させることが見込まれる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった20年3月、FRBがほぼゼロ金利への引き下げを実施したことを受け、銀行業界全体で貸し出しによる利ざやが過去最低水準に落ち込んだ。
バンクレート・ドット・コムによると、米国の大手銀行の普通預金口座の平均金利は、昨年末時点で約0.06%だった。高金利をうたうハイイールドセービング口座の利率は、20年に入ってゼロ金利政策が実施される前まで1.5%以上だったが、現在は0.5%前後となっている。
各銀行の経営陣は、先月行われた第4四半期の決算会見で、今回はこれらの金利をFRBの利上げに連動させることはないとの意向を示した。
高利率の預金口座を提供するアリー・ファイナンシャルのジェン・ラクレア最高財務責任者(CFO)は「今回の利上げサイクルでは、預金金利は全般的に低めになるだろう」と述べている。
預金金利を上げるためには、銀行は融資を増やす必要がある。パンデミック下のほとんどの期間、低金利に加え借り手の需要不足もあり、預金と貸し出しのバランスが崩れていた。ただ、この状況は変わり始めている。銀行業界からは21年10-12月期に融資需要が増加したことが伝えられており、ほとんどの銀行はこの傾向が22年も続くと予想している。
金融サービス調査会社キュリノスのリテール預金およびコマーシャルバンキング部門の責任者、ピート・ギルクリスト氏は「銀行の貸し出しが現在よりも大きく増えるまでは、預金金利が大幅に上昇することはないだろう」との見方を示している。
金利が上昇すれば、資金の一部をより高利回りの投資先に移す預金者もいるかもしれない。そうなれば、預金金利を引き上げる銀行も出てくる可能性がある。
テキサス州オースティン在住のライアン・エングルさんは、アメリカン・エキスプレス(アメックス)に高利率の預金口座を開設した。開設当時の金利は1.5%を超えていたが、約1年後に金利が下がり始めたことに気が付いた。現在は0.5%だ。
エングルさんは「その時に、預金の意味がないのではないか、何か対策をする必要があるのではないかとは思った」と語る。だが、仕事がまた忙しくなり、「まあ、少なくとも安全ではある」というような認識になっていたという。
議長は10日、ストックホルムで開かれたフォーラムで中央銀行の独立性について発言。事前に配布された原稿によれば、「米金融当局は気候に関連した金融リスクを巡り、限定的ではあるが重要な責務を負っている」としつつ、「議会による明確な法制化がなければ、より環境に優しい経済の促進や他の気候関連目標を達成するためにわれわれが金融政策や監督手段を用いるのは不適切だ」と説明。
「われわれは現在、そして将来も『気候政策当局』ではない」とパウエル氏は言明した。
講演原稿には経済や金融政策の見通しについて直接の言及はなかった。パウエル氏はただ、「われわれは経済を減速させるため政策金利を引き上げている。高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上では、短期的に支持されない措置が必要となることもあり得る」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-10/RO9WAFDWLU6801
主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は、今年初めから12月28日までに8.9%上昇した。22年通年で14年以来の上げ幅を記録する見通しだ。同指数は9月下旬に01年以来の高水準でピークをつけた。
ドルはその後、米国のインフレ鈍化が見込まれる中でこの直近ピークから上げ幅を約半分に縮め、守勢で年末を迎えた。
ドル相場が21年も上昇していただけに、大半の投資家が今年のドル高に不意を突かれた。当時、市場はインフレが一過性だとみており、インフレ抑制へ米連邦準備制度理事会(FRB)が22年に利上げを開始するとの見方がドルの支援材料だった。ドルが買われ過ぎだとして下落を予測する投資家もいた。
日銀が20日に10年物国債利回りの許容変動幅を0.25%から0.5%に拡大すると、影響は世界に波及した。日銀によって抑えられていた利回りは急上昇し、他の先進国の国債や債券の利回りを押し上げた。円は3%余り上昇し、上げ幅は一時2009年以来の大きさとなったが、その後やや押し戻された。日本の株式は売られた。
https://jp.wsj.com/articles/bank-of-japan-blinked-in-standoff-with-markets-11671578542
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁はインフレ対処の任務達成まで引き締めを続けると、断固とした姿勢を示した。米連邦準備制度理事会(FRB)は、物価安定目標にかなり遠く、インフレリスクは依然上向きと主張。必要とあれば、11カ月かそれ以上、ピーク金利を据え置く用意があると加えた。また、インフレを巡り、市場が楽観的である理由がわからない、とした。このためドル指数は底堅く推移。
ただ、朝方発表された製造業・サービス業PMIが予想外に悪化し、景気減速を明確化。また、市場は過剰なFRBの利上げが景気後退を招くとの懸念を一段と強めた。
ドル・円はリスク回避の円買いが強まり137円台半ば付近から136円30銭まで下落。ユーロ・ドルは1.06ドル台前半で下げ止まった。
パウエル議長は45分間に及んだ会見で、物価上昇圧力緩和の兆候や、失業率悪化とリセッション(景気後退)入りを巡る懸念が高まる状況の中で米金融当局がインフレ抑制の闘いで手を緩めるのではないかとの見方を一掃することに努めた。
議長は「まだやるべきことが幾分残っている」とした上で、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」と話した。金融当局は0.5ポイント利上げを決めるとともに、最新の四半期経済予測で来年の追加利上げ見通しを示した。
米金融当局が物価抑制に引き続き強い態度で臨むメッセージを発したと受け止められ、債券相場はいったん下落した。その後、景気悪化を受けて当局が来年には姿勢を転換し、最終的には利下げに踏み切るのではないかとの市場の観測を背景に、相場は上昇に転じた。
スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は「従来予想よりも高い水準に金利を引き上げてそこに維持するというタカ派姿勢を金融当局が強めているのを市場は信じていない」と指摘。「インフレは当局の予想よりもはるかに望ましい道筋にあると市場が考えているのは明らかだ」と語った。
パウエル議長は金融当局としてインフレ率を2%の目標に押し下げる決意を確認するとともに、投資家がどのように考えるとしても、「インフレ率が持続的な形で鈍化していると確信する」まで利下げを検討することはないとし、「それにはしばらくかかる」と明言した。
議長はインフレ率がピークに達した可能性を示す最近の兆候を歓迎しつつも、「極度にタイト」と表現した労働市場や、賃金上昇が企業の労働コストとインフレを押し上げる圧力につながる点に焦点を定めた。「全く痛みを伴わずに物価安定を取り戻す方法があればよいが、それはない」とも述べた。
リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズの債券ディレクター、マイケル・コントプロス氏は14日の議長会見と市場の動きに関し、「市場は自分たちが聞きたいことだけをえり好みしている」と分析。「議長発言は基本的に『一般に予想されているよりも高い水準に金利を引き上げ、そこに長く据え置く。それを知ってリスクを買いたいというのなら、自己責任だ』という趣旨だ」と解説した。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミーア・サマナ氏も、リスク資産の上昇が続けば金融当局は予想よりも高く利上げしてそこに維持することを余儀なくされる可能性があると話す。実際、パウエル議長自身も当局のピーク金利予想がさらに高くならないと確信を持って言うことはできないと警告した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-15/RMWOYDDWLU6B01
FRBは14日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り政策金利を0.50ポイント引き上げた。経済が減速し、インフレが鈍化に向かう中で、市場の関心はFRBが次にどのような行動に出るのかに集まっている。これに対するFRBの答えは、利上げの継続に決まっている、ということだ。
あわせて公表された金利見通しでは、全体として来年0.75ポイントの追加利上げを見込んでいることが示され、1ポイント以上の利上げを予想する当局者も多かった。FOMC前の段階では、追加の利上げ幅見通しが0.50ポイントにとどまるとの期待も出ていた。
もっとも、インフレ退治への覚悟を投資家に確信させることがFRBの目標であるならば、景気減速の兆しが出ているようだと認めた方がむしろ望ましかったかもしれない。市場が信じないような金利見通しを示すことは、FRBの信認を保つ上で有益ではない。
https://jp.wsj.com/articles/feds-walk-may-be-more-dovish-than-its-talk-11671061749
住宅販売は急落した。ここ数十年で最も急速に上昇する住宅ローン金利に直面している買い手は、計画を破棄しています。そして、市場が次にどこに向かうかについて、予測者がそれほど意見を異にすることはめったにありません。
米連邦準備制度理事会(FRB)がパンデミックと記録的な低金利に支えられた不動産ブームを突然終わらせた後、住宅市場はこの夏、多くの指標で急激な落ち込みに陥った。
住宅ローン金利は 10 月と 11 月に 7% を超えて 20 年ぶりの高値を記録した後、ここ数週間で低下しました。中古住宅販売は 10 月まで 9 か月連続で減少しており、全米不動産業者協会が 1999 年にこのデータの追跡を開始して以来、最も長い連続下落となっています。
金利の上昇が住宅市場を冷やすのは典型的なことです。しかし、今年の住宅ローン金利の上昇の速さは、買い手と売り手の間でむち打ちの感覚を生み出しており、住宅の低迷がいつまで続き、どの程度悪化するかを予測することを困難にしています.
https://www.wsj.com/articles/whats-going-on-with-the-housing-market-11670430769
同氏は米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標達成について、「インフレ抑制の道のりは長い」と発言。「金融当局は市場が現在判断し、当局者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現在3.75-4%。金利先物市場は同目標が2023年5月までに5%前後に引き上げられるとトレーダーが予想していることを示す。
同氏はターミナルレートに関し「6%がわれわれが書くことができるシナリオだ」として、「5%は最善の予測ではない」と指摘した。同氏は11月の米雇用統計発表後に発言した。同統計では平均時給が予想外に急上昇した。
ハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者である同氏は、「コア基調インフレ測定の単独の最善策は賃金を見ることだ」とし、インフレは人々が予測しているよりも持続的だとの認識を示した。
同氏はまた、多くの米経済指標は金融当局の利上げの影響がこれまで限定的だと示唆しているが、変化は突然起きる傾向があると警告。「いったん否定的な状況に陥ると、雪崩の様相となる。ある時点でこうした事態が発生する現実のリスクがあると考える」と述べた。景気下降に関して「いつそれが起きるかは分からない」としながらも、「それが起きれば、かなり強力なものになると思う」と語った。
同氏はさらに、「今後は比較的高金利下でのリセッション(景気後退)になるだろう。過去のように低金利下のリセッションではない」と警鐘を鳴らした。
また、過去2年間にインフレ急加速を許してしまった後で信頼性の問題が生じる恐れがあるため、FRBのインフレ目標を現在の2%から3%に変更すべきだとは考えてないと繰り返した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-04/RMC9ILT1UM0W01
11月の米雇用統計では、平均時給が前月比0.6%増と今年1月以来の大きな伸びを示し、非農業部門雇用者数も市場予想を上回る増加となった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、インフレ抑制には雇用市場の需給の緩みや企業の収益率鈍化が必要になるとの認識を示しており、こうした統計は懸念材料となる。
ウィルミントン・トラストのシニアエコノミスト、レア・トーマス氏は「米金融当局は政策金利のピーク水準を引き上げ、より長期にわたってその状態を維持せざるを得ない可能性がある」と指摘した。
セントルイス連銀のブラード総裁は、インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべきだと述べている。KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏ら一部の識者は5.5%に達するとみている。
スウォンク氏は「インフレはがんのようなもので、治療しなければ他に転移し何度も再発するような厄介なものになる」と指摘。その上で、利上げという「治療」によって「2023年は荒れた年になる」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-04/RMDJAEDWX2PU01
米雇用者数は予想上回る伸び、平均時給は加速-金融当局に圧力 (3)
エラリアン氏はブルームバーグテレビジョンで、「またもや米金融当局のコミュニケーションが市場での過度なボラティリティーを助長した」と指摘。「パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今週の講演でことさらバランスを取るよう務めた」ものの、「市場で既に進行していた著しい上昇を押し返すことは全くしなかった。インフレへの警告など他のことには言及したが、市場の振る舞いという側面を理解していなかった。そのため、こうした過剰反応が見られた」と述べた。
同氏はグラマシー・ファンズの会長でブルームバーグ・オピニオンのコラムニストも務める。
また、ブラックロック・ファイナンシャル・マネジメントのグローバル債券担当最高投資責任者リック・リーダー氏も同じくブルームバーグテレビジョンで、市場の動きは「やや行き過ぎだ」と指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-02/RM9XUOT1UM0W01
ブレイナード氏はブルームバーグのワシントン支局で行われたイベントで、「恐らく利上げペース減速への移行が近く適切になるだろう」と発言。その上で「われわれは多くのことを行ってきたが、追加でしなければならないことがある。強調すべき真に重要なことはそれだ」と述べた。
ブレイナード氏は「累積的な引き締めが浸透するまでにはいくらか時間がかかるだろう」とし、「そのため、インフレを徐々に低下させるような抑制を確実に続けつつ、より慎重かつ一段とデータに依存したペースに移行することは理にかなっている」と続けた。
インフレ動向については「直近のCPI統計の数字は、われわれが重視するコアPCE指標も若干低下している可能性を示唆する」とし、「それは歓迎すべきことだ」と語った。
10月に前年同月比7.7%となったCPIの上昇率は、6月に9.1%でピークに達した後、4カ月連続で減速したが、依然として極めて高い水準にある。食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は6.3%となり、9月の6.6%を下回ったが、持続的な低下傾向を示すには至っていない。
投資家はこれが、インフレが制御されつつあることを意味すると、何としても信じたがっている。いくつかの注意事項はある。物価は依然として異常なペースで上昇しており、家計はインフレ率の低下が、物価水準の安定につながらないことに気づくだろう。このディスインフレの大半は、モノの価格を通じてもたらされている。10月のモノの価格は9月から0.4%低下した。とりわけ、家電などの耐久財の価格が下がった。これは住宅市場が冷え込んだ結果であり、FRBが実現したいと述べている類いの需要抑制だ。
対照的に、サービス価格は前月比で0.5%、食品は0.6%、エネルギーは1.8%上昇した。インフレは経済全体に幅広く存在し続けているため、抑えるのが困難な状況だ。
需要を抑える形でのFRB単独のインフレとの戦いに依存した結果の一つとして、家計には生活水準を上げる方法がほとんど残らないという事態が生じている。インフレ調整後の1週間当たりの所得は10月に減少し、前年同月比3.7%減となった。
このペースでは、たとえインフレが低下していったとしても、今回のインフレ高進局面で失った購買力を家計部門が取り戻すには長い時間がかかるとみられる。議会とバイデン政権は、新たな供給拡大と実質賃金の上昇を加速させる生産的な投資促進策によって、家計に寄与することができるかもしれない。しかし、ジョー・バイデン大統領は9日、「トリクルダウン(富裕層や大企業が豊かになると最終的には下位にも富が行き渡るとする)」政策を依然として非難していた。バイデン政権の経済政策の下では、実質賃金は下がるのみとなっている。
その結果、FRBが単独でインフレに対抗しなければならなくなった。住宅関連支出をはじめとする緩やかなディスインフレは、今年の金融引き締めがある程度の効果をもたらしている可能性を示す兆候だ。しかし、ジェローム・パウエルFRB議長が掲げる2%のインフレ目標からは依然としてかけ離れている。パウエル氏は、FRBが利上げペースを緩める可能性はあるものの、インフレを封じ込める決意を維持するとの姿勢を示唆した。市場はその決意が揺らぐことを期待しているかもしれないが、パウエル氏にその期待に応えるだけの余裕はない。