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UBSアセット・マネジメントとシュローダーは、据え置きの決定にもかかわらず、超緩和的な金融政策スタンスを日銀が最終的に放棄せざるを得ないと見越し、日本国債をショートにしている。トリカ・キャピタルも、中央銀行の政策正常化に向かうグローバルなトレンドに日銀も歩調を合わせることになると予想する。
UBSアセットのポートフォリオマネジャー、トム・ナッシュ氏は「ショートを解消する理由はないと思う。YCCは現在の経済・政治情勢と整合的でなく、解除する必要が出てくる」と指摘した。
パインブリッジ・インベストメンツ・シンガポールの日本を除くアジア債券共同責任者オマール・スリム氏は、市場の圧力に屈すれば、「それを最も必要とする時期に信認を損なうことになる」とした上で、「あらゆる方向転換を引き起こす力が進行中だが、段階的に起きるだろう」と分析した。
一部のファンドによれば、市場機能の悪化に伴い、日銀に対する圧力は増大する見通しだ。トリカの創業者であるレイモンド・リー最高投資責任者(CIO、シドニー在勤)は、政策正常化の動きの一環として、日銀は利回りの漸進的な上昇を容認すると見込まれ、日本国債をショートにすることで、投資家が失うものはほとんどないと考える。
シュローダーのマネーマネジャー、ケリー・ウッド氏は、利回り上昇が市場の安定や緩和政策を維持する意図と食い違うことを考えれば、日本の政策担当者はある時点で降伏を迫られるとみる。
ウッド氏は「不安定な市場の動きが続くと同時に利回りを押し上げる市場の圧力が持続することで、日銀がオーストラリア準備銀行(中央銀行)と同じ道をたどり、最終的にYCCの解除を余儀なくされるとわれわれが確信する理由がここにある」と説明した。
一方、SAVマーケッツによると、日銀が屈するまでに円の対ドル相場は1ドル=135円まで下落する可能性があり、ナショナルオーストラリア銀行は132円まで下げると予測する。
ウエストパック銀行の為替戦略責任者リチャード・フラヌロビッチ氏(シドニー在勤)は「ドル・円が短期的に132円50銭に向かっても驚かないだろう。次回の日銀政策決定会合は3月9日まで開催されず、7週間後の日銀の政策調整への期待に多くの市場が再び誘われる」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-18/ROPD54T0G1KY01
マイケル氏は米金融当局がインフレとの闘いを今年後半になっても継続し、ターミナルレート(金利の最終到達点)を最高で6%に押し上げる可能性があると警告する。こうした見解は、金利は6月にピークに達するとの見方が強まりつつあるコンセンサスに相反する。
「確率はまだ3分の1だが、正当なリスクだ」と同氏はインタビューで発言。「米金融当局が当初は十分に行動しない可能性がある。これは市場を崩壊させ得ることで、私の最大の懸念だ」と述べた。
インフレ率は米当局目標の2%をまだ大きく上回っているが和らぎつつある。昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.5%上昇と、約1年ぶりの小幅な伸びとなり、積極的な米金融引き締めが効果を表していることを示唆した。同指数は市場予想と一致し、市場は今や金利が6月に4.9%でピークを付け、その後は利下げもあり得ると見込んでいることが、ブルームバーグのデータで示されている。
マイケル氏の基本シナリオは、米当局が2月と3月に利上げを実施し、その後に利上げを停止、年内にリセッション(景気後退)入りするという展開だ。しかし同氏はまた、低失業率や持続的な賃金上昇、中国の経済再開などを要因とした根強い高インフレを抑制するため、当局が2023年終盤に再び利上げを実施する可能性も想定している。
「賃金が下がらない限り、インフレは下がらない。失業率が上昇しない限り、賃金は下がらない」とマイケル氏は指摘。「リセッションにならない限り、失業率は上昇しない」と続けた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-17/ROMUTADWRGG001
今年の大半を通じ、ドルに対してショートする通貨として好まれてきた円だが、来年は現水準から7%余り上昇する可能性があると、バークレイズと野村ホールディングスが予想。フォントベル・アセット・マネジメントは適正価格を1ドル=100円未満だと見積もる。これは現在より30%以上の円高になる。ステート・ストリート・グローバル・マーケッツは米国の積極的利上げへの懸念が後退し円が急反発すると予想し、ティー・ロウ・プライスは日銀が今よりもタカ派的になることで円が上昇する余地があるとの見方を示した。
ティー・ロウの世界マルチアセット責任者、セバスチャン・ページ氏は「恐らく、ドルに対する円の弱さはピークに近づいている」とした上で、米金融当局が遂に利上げを停止した時に「日銀が若干積極的になることで市場を驚かせ」、円を押し上げる可能性があると分析した。
円に対する強気は、ヘッジファンドが円のショートをこれ以上ないほど積み上げていた9月とは様変わりだ。急ピッチの利上げを続けた米国と超低金利を維持した日本との利回り格差が広がる中で、円はドルに対する年初来の下げが一時25%に達した。
だが、政府・日銀の市場介入と米連邦準備制度の利上げペース鈍化への期待を追い風に、円は10月の安値から12%余り上昇。日銀が4月以降に新総裁の下で政策を調整するとの観測も円反発に拍車をかけそうだ。
円が上昇すれば、数千億ドルの資本が日本に回帰したり日本の輸出業者が打撃を受けたりする可能性があり、影響は日本国内にとどまらない。円を調達通貨としたキャリートレードの需要も後退するだろう。
5日の円相場は1ドル=135円前後。10月には30年ぶり円安の151円95銭を付けた。
円高予想の多くは米金利が急速にピークに近づいており、当局は景気下降局面に利下げを迫られるという見方に基づいている。ジュピター・アセット・マネジメントやアバディーンなどのファンドは、来年はその可能性が高いとみている。
アバディーン・スタンダード・インベストメンツの植田八大プロダクト・スペシャリスト部長は、米当局が2023年に速やかに比較的ハト派寄りの姿勢へと転換するだろうとみており、円が1ドル=130円まで上昇すると予想。ドルには今年のような上昇の原動力がないと指摘した。
先物市場は米金利が来年半ばごろにピークを付けるとの見通しを示唆している。
複数のファンドはまた、先進国・地域の主要中銀の中で最後までハト派的な政策を固持している日銀が降参するのは時間の問題だとみている。それは黒田東彦総裁が来年4月に退任した後になる公算が大きいが、円上昇をさらに勢い付かせるだろうと、ジュピターのマネーマネジャー、マーク・ナッシュ氏(ロンドン在勤)は述べた。「来年のある時点で日本も当然、利上げをするだろう」と話す同氏は、1ドル=120円近辺まで上昇する可能性を見込む。
海外のファンドが好む10年物の円スワップレートは、日銀が設定する10年物国債利回り上限の0.25%を大きく超えて上昇している。これは日銀がイールドカーブコントロール(YCC)政策を調整するとトレーダーらが見込んでいることを示す。
フランクリン・テンプルトンのソナル・デサイ債券担当最高投資責任者(CIO)は、日銀が向こう3-6カ月の間に10年債のイールドコントロールをやめる可能性があると予想し、「その時にはドルが完全に」下落に向かい、円が上昇するだろうと話した。
金融政策正常化と依然として安い円相場という組み合わせは、円の安全資産としての地位も急速に回復させる公算がある。11月の最後の数日には中国の新型コロナウイルス対策を巡る懸念から安全資産の需要が高まり、円がアウトパフォームした。
フォントベルのシニア投資ストラテジスト、スベン・シューベルト氏は、景気下降への懸念が市場に広がればこうした傾向が強まると予想。「米国のリセッション(景気後退)が質への逃避につながる可能性が高く、円の追い風になり得る」と述べた。安全資産としてスイス・フランも有望視しているものの、今年の下落のため「円の出発点はより極端だ」と指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-05/RMEQXNDWRGG601
クレセット・キャピタルのジャック・エイブリン最高投資責任者は来年に米景気が緩やかに後退し、FRBが金融緩和を迫られると予想。それまでは投資家が景気循環の落ち込みに強い投資先を志向していくとみる。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのストラテジストらによると、各中央銀行がインフレ抑制を目指すと引き締め過ぎになりやすく、今後のそうした打撃を株式市場はまだ織り込んでいない。来年は景気変動の影響を受けにくいと考えられるヘルスケア株が推奨という。今年のS&P500種のヘルスケア部門は年初来で約1.7%下落にとどまる。エネルギー株や金融株にも前向きだが、新興市場は全般にアンダーウエートにしているという。
JPモルガンも来年を軽度の景気後退と予測。第1・四半期にはS&P500種が今年の最安値を再び試すとみる。米株は過去平均より割高なことなどから他先進国株より魅力が落ちるとし、推奨するなら一番は英国株とした。
BofAグローバル・リサーチも米景気後退懸念と米企業の収益鈍化により来年の米国株は悪環境になるとみて、米株が値上がりしても弱気相場の中の上昇に過ぎないと受け止めるよう顧客に助言。一方で中国株をオーバーウエートにし、コロナ感染予防の厳格な規制の緩和や政府による不動産部門支援が中国株を押し上げると予想している。
ただ、誰もが今後の米景気後退やその影響を既定路線とみているわけではない。
UBSのストラテジストのルーカス・カワ氏は中国や欧州の経済成長減速といった今年の悪材料が来年は一部改善に向かうとし、資産価格は全般に支えられると予想する。「今年の向かい風が来年は追い風に変わっていく可能性はかなりある」という。
ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのストラテジスト、ガレット・メルソン氏は来年は米経済が軟着陸するとの見方。「軟着陸への道は恐らく現在の予想コンセンサスより広い」とし、消費は金利上昇で抑制されるが壊滅はしないとみている。米小型株が既に景気後退を織り込み済みとして、投資に強気と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/usa-stocks-weekahead-idJPKBN2SP0F5
米雇用者数は予想上回る伸び、平均時給は加速-金融当局に圧力 (3)
エラリアン氏はブルームバーグテレビジョンで、「またもや米金融当局のコミュニケーションが市場での過度なボラティリティーを助長した」と指摘。「パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今週の講演でことさらバランスを取るよう務めた」ものの、「市場で既に進行していた著しい上昇を押し返すことは全くしなかった。インフレへの警告など他のことには言及したが、市場の振る舞いという側面を理解していなかった。そのため、こうした過剰反応が見られた」と述べた。
同氏はグラマシー・ファンズの会長でブルームバーグ・オピニオンのコラムニストも務める。
また、ブラックロック・ファイナンシャル・マネジメントのグローバル債券担当最高投資責任者リック・リーダー氏も同じくブルームバーグテレビジョンで、市場の動きは「やや行き過ぎだ」と指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-02/RM9XUOT1UM0W01