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2024-06-08

国会図書館デジタルコレクションで見る明治時代新撰組の扱い

明治時代新撰組庶民からどのように思われていたのかを調べるために、庶民の目に触れていそうな(?)雑誌記事だとか読み物だとかを抜粋していく。

明治10年『昔今豪雄見競鑑』

こちらは明治10年頃の「番付表」を集めた書籍のようだ。

『昔今豪雄見競鑑』は歴史上の英雄明治期の英雄を対比したものだが「都ノ猛勇 悪源太義平」と並んで「脱走ノ勇士 近藤勇とある

近藤勇ってどっかから脱走したっけ?と思ったが、幕府瓦解後の旧幕府軍のことを「脱走方」と言ったらしいのでそのことだろう。

同じく「古今英雄競」「本朝今昔英雄鑑」「古今英雄三幅対」などにも近藤勇の名が挙がっている。

このような番付でよく名前が挙がる程度には知られていたらしい。

明治16年『徳川義臣伝』岡田霞船

まずは近藤勇について。

近藤勇武勇衆に秀で当時其英名尤も人に知られり新徴組の隊長となりて始め京師に在り又大坂に退き伏見の戦ひ幕兵乱るる中より取て返し迫る官兵を追捲り銃丸足に当ると雖も屈せず大ひに勇名を現し江戸に返りてより諸士を煽動して甲府に至り勝沼駅にて寄手を破りしが遂に衆寡せずして敗軍なし残兵を率いて走りたるが官軍厳重に探索を遂流山に於て勇(いさみ)を捕へんとす勇(いさみ)力戦して縛に就き板橋駅にて斬せらる

新徴組と間違えられとるやんけ!

新撰組時代よりもその後の甲陽鎮撫隊時代のほうに力点が置かれた説明のような気もする。

土方歳三も紹介されている。

土方歳三幕府の旗下にして始め京師にあり伏見鳥羽戦争破れしより江戸に返り諸士を募り主家を再興せんと謀り軍議を決して榎本永井の人々と共に品海を脱し函館に趣き尚ほ奥羽の士を募り官軍の来るを待受屡々寄手を脳す然れ共官兵は新手を入替無二無三に攻立たるに脱兵防戦に尤も苦む歳三毎も真先に進み敵を切る数十人に及ぶ後乱弾にあたりて死すといふ。

新撰組について何も触れられてねえ!

とはいえ「義臣」と銘打っているだけあって悪いようには書かれていない。

明治18年『汗血千里駒』坂崎紫瀾

『汗血千里駒』は坂本龍馬主人公として、その名を一躍有名にしたという小説。その龍馬暗殺犯として近藤勇が登場する。

縦令ひ其不意を打ちたるにもせよ鬼神と呼ばれし海援陸援の両隊長をば斯く容易く一挙に斃し負せる其の手練と謂ひ肝気と謂ひ天晴れ日本一の剛の者と思はるるも実に理りなり彼の刺客は当時徳川将軍の御内に其人ありと聞えたる新選組の旗頭近藤勇等にてありしと

近藤勇とその腹心の土方歳三が、二人で近江屋に討ち入り、坂本龍馬中岡慎太郎を斬って、「そのとき義経少しも騒がず…」と高らかに謡いながら出ていき、今際の際にそれを聴いた龍馬が「あの刺客は只者ではない、彼らのような豪胆さがあってこそ大事を成せるのだろう」と慎太郎に語る、という描写があり、これがのちの様々な作品踏襲されていったようだ。

当時幕府の亡びなんとするは天の命なり民の望なり社会自然の気運なれば今は百の勇(いさみ)ありとも亦之を如何ともすることなきをば思はずして健気にも唯忠を己が仕ふる所にのみ尽さんとしたるは愚かにも又哀れとや謂わん

時代の流れに逆らって忠を尽くした健気だが哀れな武人…といった感じで「敵役でありつつ悪役ではない」という扱いに思える。

明治22年『女侠松竹梅』奥村玄次郎

偖は其方が近藤なるか。其方幕府を笠に着て国を憂ふる正義の士を多く害せし大罪人。此処で遇しぞ僥倖なれこれまで其方の手にかかり不幸にも寃に死したる正義の志士の忠魂を弔ふための復讐せん

お松・お竹・お梅という三人の娘が勤王の志士を助けて新撰組と戦う、といった話らしい。

こうしたいかにも勧善懲悪な読み物では「典型的な悪役」として描かれていたようだ。

明治26年『活文字』鈴木力・佃信夫

近藤勇の話

江川太郎左衛門が琴の譚に比らべて、劣る事なきは、近藤勇の謡なりけり、以て幕臣中の双美とこそは為す可けれ、左に説かむ。

武勇と剛胆とは、麾下九万の士人中、勇(いさみ)ぞ其第一位を占めたりける、さればまだうら若き身を以て、新撰組の頭領として、海内動揺の中心たりし京城鎮護の命を稟げ、一時其独力をもて、鷙悍狂躁の浮浪はらを打鎮め、幕廷擁護干将莫耶とは成りたりけり。

めっちゃ褒めるやん。

土方歳三は、豪邁不屈、肝気非常の男なれども常に勇(いさみ)を相輔けて、死生を共にせむ事を約し、巴港戦死の時に至る迄、其生前の交義を追想し、風吹く日雨降る夜ども、寒窓の下に俛泣し、時世は既に望なし、片時も早く、泉下に亡友を尋ねましとぞ歎ちけるとぞ、其人をしらまく欲せば、先づ其の友を見るべかる、この一斑の譚を見ても、勇(いさみ)が全豹をぞ推すに足る。

国粋主義系の雑誌らしいんだけど朝敵をこんなに褒めていいのか。忠義を尽くして死ぬ話がやはり好きなのか。

コラムの後半では坂本龍馬暗殺の話が書かれていて、この頃はやはり「龍馬を殺した男」という印象が強かったようだ。

明治29年『近藤勇の少年時代』中野三鷹子

『家庭雑誌』という婦人向け雑誌掲載されたコラムらしい。

著者本人が古老に取材したもので、幼少期の勇が近藤周助の養子に迎えられて「近藤勇」と名乗るまでを紹介している。

是より後のことは明治維新の史にくはしく、今更いふべき要もなし、唯其妻の事継嗣のことおよび処刑後の事并びに近藤勇と尤も関係ふかき土方歳三ことなどは、世に知られざるふし多しそは又時をかへて語らん。

として次号に「近藤勇の妻及子」、また別の号に「土方歳三少年時代」が掲載されている。

婦人雑誌でも「今更いふべき要もなし」と言うほど近藤勇知名度は高かったのだろうか。

花を浮べし徳川の流れの末荒浪立ち騒ぎて、二百六十余年は名残の夢となりける時、武士道の意気地を立て貫きて、板橋の草に赤きこころの血を染めたる近藤勇の名を知る人は、函館の浦吹く風に露と消えたる土方歳三の名を忘れざるべし。

かっこいい。

明治30年『幕府名士近藤勇』松林伯知

松林伯知は、永倉新八から『浪士文久報国記事』を借りパクした疑惑があることで知られる講談師で、新撰組講談主人公とした最初期の人物だったという。

巻末に「夢物語」と題した短編が収録されていて、それは函館に入った土方歳三が「公武合体成功した新政府のもとで陸軍を率いる近藤勇海軍を率いる坂本龍馬が仲良く会話する」という夢を見る、というifルート的な内容のようだ。胸熱

本編では、坂本龍馬暗殺したのは近藤勇ということになっているし、新撰組結成前に江戸近藤勇坂本龍馬が手合わせをしていた、というような場面も描かれている。

明治30年『坂本龍馬(名士伝)』竹林巌

少年世界』という、その名のとおりの少年向け雑誌掲載された坂本龍馬の伝記で、そこに近藤勇が登場する。

人と為り魁夷、斗酒を嗜なみ、勇悍独歩肝臼の如し。幕の末路に当り新選組の長となりて徳川氏の為め新日本の活舞台上に仇すること実に巨多なりとす。彼は常に歩百歩の外に潜行して西郷大久保坂本等を暗殺せんと睨むこと茲に年ありき。就中龍馬が大勇は向に新選組百有余人をして全く色なからしめ、以て其長たる勇(いさむ)の面目を天下に唾し去り。(中略)勇(いさむ)は今や血燃え、涙滾りて自から禁ずる能わず。すなわち刎頸の友、土方歳三を招きて何をか耳語すること久し。忽ち相頷きつつ頗る決色ありき。

として近藤勇土方歳三は、二人して坂本龍馬暗殺に向かうのだった、という筋立てになっている。暗殺の場面は『汗血千里駒』を踏襲している。

明治31年『新撰組十勇士伝』松林伯知

こちらも松林伯知の講談を筆記したもの

前述の『幕府名士近藤勇』には沖田総司永倉新八は出てこないが、こちらの『新撰組勇士伝』には登場する。

ただし、沖田が天才剣士だとか、そういうキャラクター付けはまだ無く、せいぜい「名前のある脇役」くらいの立ち位置のようだ。

芹沢鴨暗殺山南敬助切腹伊東甲子太郎との敵対池田屋事件などのエピソードはある。

また、こちらでは龍馬暗殺近藤本人ではなく「近藤勇の命を受けた佐々木只三郎」によるものということになっている。

京都見廻組佐々木只三郎らが龍馬暗殺したという説は明治2年には出ていたようなのでそれを取り入れたものか。

明治41年『二十世紀之京都』

京都観光ガイドブックらしいが、壬生寺についての紹介で新撰組言及がある。

節分には疫除祈祷の為め参詣者群れを為せり、去れば維新前後天誅組と称し近藤勇土方歳三など当寺に立籠り壬生浪士といへば婦人子供の戦慄せし当時を思へば御代太平を喜こばぬ者はない

当時の京都人の認識がうかがえるものの、「天誅組」といえば倒幕派武装集団なので新撰組とは正反対存在である

単なる勘違いなのか、それとも庶民あいだでは混同されていたのか。

明治44年『幕府名士近藤勇』『怪勇後の近藤』玉田玉秀斎

松林伯知のものと同じタイトルだが別の講談師によるものらしい。

こちらには沖田総司永倉新八斎藤一らも登場するが、池田屋事件の場面において、

中にも沖田惣司の働きに至っては実に目ざましい、此処彼処と戦ふて居りまする中に、最う最後と思ふ、折りしも何処からか一人の敵が、惣司の袖の下を潜って逃げんとする 沖田「己れッ………」と云ひながら躍りかかつて、エイッ……只だ一刀に斬って落とした、其の時に急に持病の肺患が起つて其の場に気絶をした

とあり、喀血ではないが、沖田総司の発病の描写があるのが興味深い。

同じ明治44年に刊行された鹿島淑男『新選組実戦史』(デジタルコレクションには1975年の復刊版しかない)にも同様の記述があり、そちらは新聞連載をまとめたものだというので、講談師が紙面で読んで取り入れたものか。

ちなみに『新選組実戦史』は吉島力『新選組顛末記』の元ネタで、『新選組顛末記』は子母澤寛新選組始末記』の元ネタらしい。

まとめ

明治の始めにはまず「近藤勇個人が知られ、「新撰組」はそれに従属する情報にすぎなかった。

・『汗血千里駒』によって坂本龍馬の人気が高まるにつれて、「坂本龍馬暗殺した男」として近藤知名度を上げた。

近藤の腹心として土方歳三が登場することは多かったが、それ以外の隊士たちはほとんど取り上げられなかった。

近藤は概ね「維新志士の敵ではあったが立派な剣士だった」と捉えられていた。

しかエンタメ寄りの勧善懲悪ものでは典型的な悪役を演じることもあった。

・やがて永倉新八の『浪士文久報国記事』などをもとに、近藤勇主人公とした講談が演じられるようになった。

明治末にはさまざまな証言資料が揃ってきてディテールが深まり近藤土方以外の隊士が取り上げられることも増えていった。

・やっぱり京都からの評判は悪かったらしい。

2024-06-06

ススキノ首切断犯人の異常性が続々と明らかになっている。が、キチガイに興味はない。

しかし周辺事情には何かと興味を惹かれる。

事件発覚当初、被害者性的マイノリティ偽装した札付きのレイパーであり殺害動機は父と娘の哀しき復讐であるというアングルまことしやかに語られていた。

そのように喧伝したものが自ら非を認めるとか被害者名誉回復に動くことは無いだろう。何しろ「死者に人権はない」のだから

しかしそんなことでいいはずはない。

現在に至るも「無理やり中出したから〜」とか知ったらしく語ってる奴がいるがこの犯人の言うことは信頼に足らないし垂れ流しに流布すべきでない

何よりどうかしてるのは精神科医である親父の隷属ぶりである。なんでまた?

精神科医であることが娘の仕上がりにどのように悪く働いたのか。就中ゴリゴリ左翼精神科医であったことが。

左翼はクソだから娘がそんなことになるんだ」という話ではない。でも関係ないはずはないだろう?

彼はたまたま左翼でもありそれとは別に医者だったのではない。

本来精神医学に右も左もない。しかし彼が講演していたのは左翼思想精神医学無造作キメラだ。

構造としてはナチス優生学と同じである(というかマルキシズム自体が「歴史には法則がある」とか吐かす疑似科学なのだが)

ただの無学な親父だってここまでひどい悪手ばかりを重ねることはない。彼の「左翼精神医学」がどのように裏目に出たのか是非解明してほしい。

いわば左翼教師の子供がグレるパターンの甚だしい例なのかもしれないが、「混ぜものをされた精神医学はただ無力であるにとどまら効率よくモンスターを育てる」のではないかという疑念がある。

ついでにどうでもいいことだが犯人のことを「シリアルキラー」と言ってるコメントがあった。シリアルってどういう意味だと思ってるんだ。「猟奇的」の俗用についてはもはや言うだけ無駄である

2024-03-08

anond:20240307071701

その通り。というか東京新聞記事就中こんな難しい問題で「解明した」と軽々しく書いてある記事をまともにとりあっても意味がないぞ。単なる内輪向けのものだ。

2024-03-05

anond:20240220121745

東京圏というか神奈川就中横浜(駅周辺)がひど過ぎるだけでは、というのが新宿から横浜引っ越してきた俺の感想。ここと比べたら日本中どこでも住みいいよ。

横浜はとにかく人が多い。平日もかなりだが土日祝日はもうそれはそれは酷いレベル神奈川県民は週末に横浜駅へ出ないとならない定めでもあるのかって思う。新宿から引っ越してきてそう感じるくらいだから相当なものだよ。そしてその人の多さが街をゴミゴミさせている。比喩でなくゴミで汚い。おまけに輩が多いのか、次の日の朝に街を歩くとどこかしら血痕が見つかる。夜にケンカでもやってるんだろう。また、歩きタバコも多い。電子タバコなんて、吸っちゃだめという認識さえなさそう。これも普段歌舞伎町で飯食ったりしていた俺がげんなりするレベル。当然、吸い殻のポイ捨てゴミでも溢れている。加えて、元が沼地で造成されてからの期間が短いからか、下水機能が追いついてないのか、街全体がカビ臭いんだよな。

から名古屋はいいところだと思っているようだけど、というか実際コンパクトに作り込まれクリーンな街でいいところだけど、神奈川からやってきたんだったら名古屋に限らずたいていどこに行っても住みやすいいい街だと思うはずだよ。

2022-07-03

続・表現の自由についてのメモanond:20220702054142追記

anond:20220702054142追記。基本引用元は元記事ブコメhttps://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20220702054142)。

1. 表現の自由私人間で問題となる場合はどんなものがあるか

frothmouth 公権力でないか規制でない、ってのも今の時代実態にそぐわない気がするなあ。キャンセルカルチャー批判とか考えるとね/真面目に書いた増田に「精液で全身ドロドロ〜」みたいなブコメ付けられて気の毒

 ここで問題にしているのは一般人の抗議運動ボイコットのことで、その手のものは「規制」と考えることは不適切だということである公権力でないか規制ではないとは言っていない(私人間効力の論点はもう半世紀以上前からある)。せっかくだから書いておこう。

 2022年現在公権力以外の「規制」を論じる意味があるとすれば、デジタルプラットフォーマー問題だろう。我々の言論はあまりにも出版放送通信インフラ依存している。たとえばツイッターフェイスブック、「マンガアニメ」の類を配信しているプラットフォームpixivなんかの同人投稿サイト。こうしたプラットフォーム言論依存しているので、もはや作者の書く自由擁護するだけでは何の意味もない。その手のプラットフォーマー恣意的管理をすれば言論は生き残れない。一方で、こうしたプラットフォーマーもまた出版自由を有するから、「持ち込まれ言論絶対出版しなければならない」義務政府が課すことは許されない。そして実例として、SNS各社はプラットフォーム内でのヘイトスピーチ禁止しているし、pixivも同様である。みんなプラットフォーマーというとGAFAしかイメージしないが、もっと小規模なレベルプラットフォーマーに目を向けるのが大事だ。

ピクシブ株式会社サービス利用規約14条

23 極端な思想反社会的行為を賛美・助長する表現投稿または編集する行為

24 人種信条職業性別宗教などの差別を賛美・助長する表現投稿または編集する行為

言論流通過程全体を保護するためには―わかりやすく言えば2chの削ジェンヌみたいな滅茶苦茶な「管理」をされないようにしないとけない―プラットフォーマー私人はいっても、その行動を公権力によって規制する必要が出てくる。そしてプラットフォーマーもつ出版自由との慎重な調整が必要となる。その繊細な調整が表現の自由論の課題ますますなっていくだろう。

 なぜ繊細慎重な調整と必要となるか。DPへの介入は、プライバシー名誉毀損にあたる言論裁判所差止めるのと同じ構図だし、言論の分野ではないが、旅館業法が、ホテル旅館(これも私人だ)に宿泊者を原則として拒否できないとする義務を課すのと同じ構図がある。似たような調整はこれまでも行われてきたわけである。ただ、後者営業自由は、もともと社会権保障したり公平な自由を確保するために制限することが幅広く認められると観念されているのと違って、前者は、差止めの要件がかなり厳しく設定されている(『宴のあと事件などを見れば明らか)。それは表現の自由がそれだけ「重い」権利だという観念があることによる。プライバシー名誉毀損営業に対する介入を比較すれば分かるように、表現の自由就中送り手の自由)を重視すればするほど、プラットフォーマーもつ表現の自由」へ介入するのは困難となる。ブコメした多くの人が「表現の自由」はとにかく大事なんだという観念を持っているようだが、果たして一般論として表現の自由称揚すればするほど、プラットフォーマー地位が向上していき、利用者立場は低下していく関係にある。DPに限らず、出版社も独自ポリシーを持っていて、刑法175条の要求とは別に原稿に対していろいろな要求をして、修正しないなら出版拒否する。表現の自由称揚し、表現の自由地位を向上させればさせるほど、出版拒否に対して裁判所が介入するのは困難となっていく。皮肉な話である。「表現の自由」を称揚すればするほど、公権力以外の「規制」はつよくなりうる。私人間同士の対立場面で「表現の自由」を登場させないことには、それなりの理由がある。

 なお、私は一般人の抗議運動を「規制」と言っているような人に調整作業やらせたいと直感的に思えないところがある。その人こそが削ジェンヌになるのではないか

2. 規制とはなにか

minominofx66 まずは宇崎ちゃんしろたわわにしろ萌え絵アニメ規制されるべき「エロ」なのか、健全表現範囲内なのか、この際だから徹底的に議論して白黒はっきりさせるべきだと思う。

 第一に、さしあたって規制されるのは「わいせつ」(刑法175条)である。「エロ」ではない。そして「エロ」とか「健全」かそうでないかという問題は、表現の自由擁護する上でどうでもいいことである重要なのは「不健全」でも公権力によって規制されないということではないか。「不健全」なら規制しても良いという観念が前提にあるように見えるのは驚くほかない。アニメマンガの類の少なくない作品が不健全とか不道徳とか退廃的とか言わざるを得ないのは確かだろう(少なくともハード・コア・ポルノ的なものなら、だいたいどれかには当てはまるだろう)が、だからといって公権力刑罰をもって発売頒布禁止することは許されない。それが表現の自由論ではないの。

 第二に、「規制」がどんな規制かも考えなければならない。仮に刑法175条が廃止されたとする。そうすると性器修正処理などは全廃されるだろうが、成人向けの書籍ビデオ等は依然として年齢制限が課せられる(公権力法律条例をもって年齢制限を課すこともあれば、出版業界の内部協定として行うこともある)。販売頒布禁止されなくても、流通過程制限されることがある。それは言論の内容に着目したものではなく、付随的害悪(たとえば見たくない人の目に偶然触れるのを防ぐため)の阻止するための規制(内容中立規制というやつだ)である一般論としてそのような規制は認められなければならないだろう※。付随的害悪を阻止するための規制もいっさい認められず、街路に成人向け書籍広告を出したり、街頭モニタービデオを上演したりすることも制限なく認められなければならないというのなら、もはや見解の相違としか言えないが。

 第三に、宇崎ちゃん欠缺ポスターやたわわのポスターに対する抗議や批判は、いかなる意味でも規制ではない(国連からという声もあるが、それは「日本の」公権力ではないし、日本国に対して強制力を持ったなにものでもない)。批判や抗議は、表現の自由がもともと予定するものであろう。「不健全表現規制せよ」と主張することすら(私はそうは思わないが)、表現の自由である。それに反論するのも自由だが、そういう主張自体が「規制」と言うのは馬鹿げている。

 とはいってもこれがかなり厄介で、そのような規制によって出版社に過剰な経済的負担を課し、実質的に内容規制をしていこうという方法がないではない。しかし、付随的害悪の阻止のために合理的規制を行うことは、一般論としては認めなければならないだろう。あとは個別事例による。

3. 雑多に。

(1)

daydollarbotch 用語はそれっぽいが内容が所々おかしい。嫌がらせがあるなら不法行為たり得るし、間接適用説の下で表現の自由考慮され得る。判決引用部分では特にわいせつ表現表現の自由保護範囲外とは読み取れない(2階へ

①「わいせつ」に該当してもただちに保護範囲外にならないと最高裁認定しているという趣旨か。だったら以下は何なのだろうか。なお、これはわたしあなたが考えているところのあるべき「わいせつ概念ではなく、最高裁判例法理では「わいせつ」がどういう扱いを受けているかという問題である

ところが猥褻文書は性欲を興奮、刺戟し、人間をしてその動物存在の面を明瞭に意識させるから羞恥感情をいだかしめる。そしてそれは人間の性に関する良心麻痺させ、理性による制限度外視し、奔放、無制限に振舞い、性道徳、性秩序を無視することを誘発する危険を包蔵している。もちろん法はすべての道徳や善良の風俗を維持する任務を負わされているものではない。かような任務教育宗教の分野に属し、法は単に社会秩序の維持に関し重要な意義をもつ道徳すなわち「最少限度の道徳」だけを自己の中に取り入れ、それが実現を企図するのである刑法各本条が犯罪として掲げているところのものは要するにかような最少限度の道徳違反した行為だと認められる種類のものである。性道徳に関しても法はその最少限度を維持することを任務とする。そして刑法一七五条猥褻文書頒布販売犯罪として禁止しているのも、かような趣旨に出ているのである

チャタレイ夫人の恋人事件最大判

②間接適用説のもとで「誰の」表現の自由考慮するかが問題である。抗議者の言動裁判所差止めれば、それこそが表現の自由制限となるから裁判所差止権限行使するにあたっては、表現の自由趣旨を取り込んで適用しなければならない、というのが間接適用説だろう(ドイツリュート判決はこれとそっくりな構図だった)。表現の自由私人間効力は、抗議者に対して、一般論として相手表現を一切抑制しないように注意する義務を課すものではない。もしそうだとすれば、あらゆる抗議の類が不法行為になるはずである

嫌がらせがあるなら不法行為なのは違いない。それは個別事例による。

関連して。

type-100 175条にしても猥褻物の作成・所持を禁じているわけではない。猥褻性を持つもの表現言論自由保護を受け、他の権利との綱引き規制されている。

 確かに刑法175条はわいせつ文書・図画等の作成・所持を禁じていない。その限りであなたのいうとおり、「保護を受け」ると考えてみよう。しかし、販売頒布禁止される。警察刑法175条の取締り方針を変更して、性器露出したり、性行為描写するあらゆる作品を取り締まったとする。そこで作成・所持だけが保護されたとして、何の意味があるのか。「保護されない」という言い回しが気に入らないなら、「保護レベルが著しく低い」という風に言い換えた上で読んでいただきたい。加えて、最高裁作成・所持の禁止まですれば違憲となる、とも言っていない(アメリカなら、Stanley v. Georgia, 394 U.S. 557 (1969) 判決がそう言っているが)。

(2)

CocoA "一般に「エロ」の表現の自由を目指していきたいのであれば、少なくとも刑法175条を廃止しなければならないはずである"<-えっ、廃止に賛成している表現の自由戦士たちを知らない・・・

 「戦士」なら刑法175条を廃止する署名運動なり政治運動なりをやるべきであろう。あるいは「戦士」とはただのネット弁慶か。廃止提案されたら賛成するが、そうでなければ特に何かしないのか。

(3)

hom_functor これだけ長文書いても表現規制する合理的理由絶対説明しないんだよな。「抗議をやめる~ように請求する法的資格を有する」なんて見かけない主張を創作したり反論やすブコメチェリーピッキングするだけ

 「規制」なのかという問題か否かを読み取っていただけてないらしい。上記で書いたように、抗議運動なりボイコットなりは「規制」ではない。政治道徳的な観点からそれに理由があれば正当だし、理由がなければ不当だというだけのことである。むろん嫌がらせの類は、不法行為である。抗議運動なりボイコット理由があるかという部分はともかく、「規制」というおかし問題設定をしていることが馬鹿げているということだけはくみ取っていただきたいのだが。

(4)

sirobu 表現不自由展に対する街宣カーも自由制限する不当な圧力だと思ってるんだけど、増田はそう思わないってことかな?

 あなたが街宣カーで街宣される時点で表現の抑圧だと考えていることはよく分かった。そういうレベルから見解が異なるのなら、議論がかみ合うことはないだろう。以下は参考まで。街宣カーで道路を走りながら何か言うだけなら、それは自由である馬鹿なことを言っているなとは思うが)。問題は街宣カーそれ自体ではなく、殺害予告だったり大量電話のような嫌がらせだろう。また、名古屋市長支出拒否しかり、大阪府知事の会場施設利用許可しかり、公権力規制に乗り出していることを考えれば、表現不自由展では「不当な圧力」どころか、ズバリ規制」が問題だった。公権力嫌がらせを煽っていることも見逃せない(特に名古屋市長愛知県知事リコール運動)。

(5)

thesecret3 憲法法律ではないので専門家判決がどうでも各自独自解釈で主張してもいいと思う。自由保障すると言ったら基本は保障されなければならないのであって政府邪魔しなければいいってもんではないと私は思う。

 それは畢竟独自見解ですね。

 なんか進次郎構文っぽいトートロジーが・・・。

2021-11-01

#枝野、降りろ

これは斬奸状である。いや何もお命頂戴という話ではない。枝野君は総選挙敗北の責を取り、直ちに立憲民主党代表を辞せ。

一、総選挙敗北の罪

立憲民主党は、今次総選挙於いて十余の議席を失った。

これは明らかに立憲民主党の敗北である。確かに事前の情勢報道投開票日終了まで続いていた)では党勢は伸長されるはずであった。前回議席の維持ならば少なくとも敗北に非ずと強弁できるだろう。しかし、現有議席すら守れていないのは明確な敗北だ。就中、今次総選挙は前回大敗し、挽回は容易であるはずであった。議席を失陥し、一敗地に塗れた同志に恥じるところはないか

これに対し、たもとを分かった国民新党は増、非左派野党である維新は大躍進を遂げた。単に得べかりし議席を、彼らに献上しただけではないか。これは間接的な反党行為とすら評価可能事態だ。

それとも自民党が減ったか勝利だとでもいうのか。ならば55年体制社会党と何ら変わらぬ、政権を目指さない安定野党に堕することになるが、それでいいのか。

一、大言の罪

あまつさえ貴君は、選挙前にこう言った。これは政権選択選挙なのだと、自民政権か非自民政権かを決める選挙であると。

これは現状からすれば、そして選挙前の情勢からしても明らかに大言壮語の類であった。政治家が信頼を得るには、偏に誠実な言動を行うことである。身の程を超えた大風呂敷を広げ続ければ、やがて国民は貴君らの言動をそれなりに値引きしてみるようになるだろう。

他方、狡猾にも貴君は勝敗ラインの設定は行ってこなかった。ならば、政権として選択されず、政権首班として認められなかった貴君は直ちに他に席を譲り捲土重来を期すことこそ憲政の常道といえる。

君が代表の座に固執すれば、己の言動にすら責任を取らぬ政治家となる、それでいいのか。

一、管理不行き届きの罪

選挙前後立憲民主党所属議員から、多数の失言があった。これらは全てシンパタイザーによって糊塗されたが、明白な誤りである。ただ詫びて済むものではない。特に政策発言において、党方針と全く異なる方言と言ってもいいような発言があったことは、党員管理が不十分である明確な証拠である

また、政策議論における発言を弾劾し、デュープロセスを全く外れたまま処分追放したことは、立憲主義看板を著しく損ない泥を塗ったものであると断じざるを得ない。

更には、候補者調整においても明らかに指導力に欠く、もしくは一部の独走を許すような事態も招いている。

明らかに貴君には、党全体を管理し統率する能力意志に欠けるところ大である。そのような人物代表に据え続け、今後戦えるのか。答えは否、再びの敗北を招くだけである。貴君は貴君がお山の大将ありさえすれば、それでいいのか。

一、戦略を見誤った罪

総選挙の結果を見れば、自民党に嫌気を指した層が進んだのは左傾化した立憲民主党ではなく、非左派と目された維新であった。

票田は明らかに中央にあり、左傾化したところでとれるのは現有程度であること明白であるさら政権側は、敵失に敵失を重ねていた。正に棚から牡丹餅が落ちんとしていたのに、それを拾ったものは誰か。現状の選挙で数多くの批判の声をみすみす逃したのは、共産党との共闘によって中道ウイングを伸ばせなかった一点によるものである

共闘路線は明白な失敗であった。たしかにいくつかの議席共闘で得られたであろう。首がつながった議員もいるはずだ。自民の大物も仕留めた。しかしそれは単に局地戦における健闘であって、戦略の誤りは明らかである

このまま進めば、選挙における依存度を増し、文字通り立憲共産党となり果てるが、それでいいのか。

 

以上、いずれも許されざる大罪である。故に枝野君、君は速やかに立憲民主党代表を辞せ。

政党は貴君の個人商店ではない。民主的存在なのだ。最早貴君の歴史的使命は終了した。党は貴君が立派に育てた。後進に道を譲り、立憲民主党代表選を行い今後の方針を定めるべきという審判が下されたのだ。それにより人材ここにありと、民主主義ここにありと堂々と示す秋が到来したのだ。

立憲民主党代表を変えることが出来る、共産党の如き独裁ではないことを、己の犠牲を以て示せ。そこから再生の一歩が始まると確信する。

nwpi

2021-08-17

忖度」って森友問題の前までは人前で使うのはばかられる単語だったよ

忖度」って言葉意味知ってる人なんてほぼいなかったし、そんな単語をつい使おうものなら逆に「新しく覚えた言葉使いたがるバカ」扱いされかねなかった。

さながら、ひろゆきvs勝間和代ときの「写像」みたいな感じの単語だった。

「あたら」とか「就中」とか「仄聞」より意味知られてなかった。

今じゃ忖度なんて単語ヤンキーだって使うもんな。

2021-02-20

anond:20210219230128

俺はその先生じゃないし言ってることが読んでもわからんかったけど、こう考えたらどうだろう

実利的には「古典教養がないと、大人になってから高度な心理戦に参加できないから」

文化的には「すごくおもしろいから」。

  

古典で残ってるのは恋愛しろ戦争しろ高度な心理戦の名作棋譜みたいな話ばっかり。

「人の心はこうやったら動く(感動する)ぞ」って法則性は変わらないから今まで残ってる

そんでFGOとかもそうなんだけど、有名な古典ってストーリーギュッ圧縮されてて今でも再生できる

から人名で「ヘクトールアキレウスみたいなもんで」っていったら知ってる人同士ならバチっと通じたりする

 

もともと日本人はこういう昔むかしのお話が大好きなの

他の国の逸話とかも好きで勉強ちゃう 

中国人なんか三国志演義そんなに好きじゃないし関帝廟にはお参りしても三国志なんて読んでない人いっぱいいる

から外交自国文化に詳しい人に遭うと「この人はすごい人、自国に興味をもってくれてつきあいやすい」っておもってくれるの

日本逸話紫式部ロリ誘拐育成とか日本人の不滅の性癖なの

性癖わかる人同士でしゃべるの楽しいからやってるんだとおもうよ

 

それを原語でやる必要はあるかっつったらう~ん。俺は個人的にはあるとおもうけど趣味範囲かなぁ。

ゑとかゐとか就中とかない文章しか読んだことない人が猿真似古代キャラうごかして書いた文章イマイチおもんない。

けどグーグル翻訳にはぜったい乗らないんだよなぁ。外国の人にも読んでほしい話いっぱいあるしなぁ。

グーグル古典勉強してくれたら一番ラクなんだろうけどまだ続け字も読めないらしいからな。

2020-11-20

ポストノクチルのシャニマス

トレイライト実装の頃からその兆候はあったけれども、ノクチル以降一層顕著になった。

自分サービス開始当初からそれなりにシャニマスは楽しんでいたが、最近では話題にするのもはばかられる。

解釈とか感情解像度とか尊さどこかで聞きかじったようなフレーズ

面倒くさいアイドルを愛でる自分いかに面倒くさい人間であるかをアピール

競うかのような文化(少なくとも自分にはそう見える)に辟易してしまった。

二次でも三次でもドルオタが厄介なのは当然の話だが

ライトかつフラットに楽しみたい立場からすると、今かなり居心地が悪くなっている。

エロゲ全盛時代葉鍵厨・月厨を見てるような気分になってきて大変しんどい

当然765にもミリにもデレにもこういう傾向はあるはずなのだ

就中シャニマスにそうした厄介さを感じるのは何故なんでしょうね。

2020-10-03

anond:20201002193547

舐めすぎている。野戦築城術といういうものは、単一機材によってのみ効果を発揮する物ではなく、地形を含めた総体を以て防御を行うにある。もちろん欧州大戦塹壕戦を有刺鉄線が支えた側面は否定できない。しか塹壕戦が戦車によって蹂躙されるまで誰にも突破できなかったのは、そのシステム全体が強固なものであったからだ。

有刺鉄線、というか鉄条網に期待されているのは敵歩兵突撃妨害に過ぎぬ。あれで殺すのではない、あれで足が止まった連中を火力で薙ぎ払って殺すのだ。実際くぐってみるがいい。なるほど致命傷にはならないだろう。だが現実に痛みを前にすればそれが人間は死との二択であったとしてもなお怯む。肉体を痛めるという原始的な恐怖からは逃れられない。そして人間覚悟があっても、人間に付随する衣服ベルトだ銃だ雑嚢だには覚悟がない、トゲに引っ掛かって主人の行動を制限する。ソンムで、パッシェンデールで、フランダースでヴェルダンでイーペルで、もたもたしていればタダの的。いや的ならばまだ狙ってくれるだけ人間的というもので、大体は広がった暴露面積に応じてなんだかよくわからぬ飛んできたもの確率で当たって、死ぬ

しかるに鉄条網を単に突破するだけならば容易いことだ。毛布の一枚、戸板の一枚、それもなければ代わりに踏まれ犠牲兵士の一人がおれば、か細いながらも突撃路の啓開は十分に可能である。で、そのか細い突撃から侵入した兵士がどこまでたどり着けるのか。砲弾降り注ぐ無人地帯を踏破して、鉄条網を潜り抜けてようやくたどり着いて塹壕を一本確保したところで、その奥には予備陣地が控えている。そこをなお突撃する体力は、連合同盟も有してはいなかった。いや無論、一部の突撃兵には出来た。しかし全体としては少数で、後続の連中には無理だった。人が人である以上、その貧弱な限度を超えることはできないのだ。

そして最大の特徴は、あれは針金で体積から見ればスッカスである点だ。即ち、事前砲撃射撃によってほとんど破壊されぬ。通常、陣地攻撃を行うならば事前に「耕す」と形容される程度には突撃路を砲撃によって確保する必要がある。塹壕は強固に作られても線だ。特火点は点に等しいが面積と破壊できる実態がある。砲弾爆弾確率女神の気まぐれでいつかは当たって、それらは破壊される日が来る。しかし有刺鉄線は敷設された空間の中で実態が占めている体積はほとんどない。砲弾が降り注いでも柳に風、都合よく弾片がワイヤーを切ってくれることを祈るしかないがその確率は限りなく低い。つまり単なる鉄線であるがゆえに、これを確実に断ち切ることは火砲ではほとんど不可能だ。となれば突撃を開始してから銃弾ふきっ晒しの敵前において悠長に切るか、肉迫して特殊機材で吹っ飛ばすか、攻撃路を変更するか穴でも掘るか、犠牲を許容して尚踏破するかを迫られる。おまけに普通の阻塞とは異なり、攻撃側の身を隠してはくれず、銃弾砲弾は素通しで危険が増す。なお、変更した先は大体火力が集中しやす死地になるので選ばれがちなのが犠牲精神という訳だ。

ちなみに本邦で一番有名な戦訓は「爆弾勇士」だ。かれらが爆弾で吹き飛ばしたかったものこそが有刺鉄線なのだ。ああい特殊資材が要求される程度には、あれは厄介な代物なのだ。あの「爆弾」、バンガロール爆薬筒という。ほぼ専用の爆破機材だ。覚えて帰れ。

追記

望外の高評謝するに余りあり。

ただし投稿子は無論本職でもなく、オタクとしての領分はむしろ航空、就中1000~2000馬力までのwarbirdsである。加えて早朝寝る前の勢いで綴った代物で、意図するとせざるとを問わず多数の陥穽があるはずだ。現にこの追記時に助詞程度ではあるが、第一段落から若干の修正を加えている始末である。ゆえに読者、殊にこの領域をご専門であろう諸賢の御鞭撻と補足、並びに御寛恕を賜れば幸いである。

またに未見の作品のご紹介は大変にありがたかった。投稿子はそれを覚えて巣に帰ろう。また何らかの巡り合わせがあれば、何処かで。

2020-05-18

anond:20200518004632

以下は重複かな。諸外国にいる友人とLineで話すが、欧米人は、ロックダウン守ってる振りしててもこっそり会う人が多くて全然ダメだとかいってたな・・・知らんけど。

【習慣】

マスクをする習慣があった

国民性

・皆がマスクをした

以下、追記

人種

アジア人肥満遺伝子を持つ人が少なく(太る前に糖尿病になる)、肥満要因の基礎疾患が少なかったため。

アジア諸国個人主義よりも全体主義の傾向が強く、中央政府命令が末端まできちんと行き届きやかったため。

アジア人白血球HLA型多様化しており、コロナウイルスへの耐久性他人種よりも高かったため。

コロナウイルス中国によるBC兵器との疑いがあり、もしも事実ならば当然、中国人・就中アジア人に対する致命率が低くなるよう遺伝子設計されているであろうため。

あと、イタリア人の多くは3世代家族で、それは普通は羨ましいものだったが今回はネガティブに働いた気がする。すなわち、

日本人核家族化が進んでおり、高齢者若い世代との交流が少なかったため

どんなもんだろう。

2019-08-01

拝啓 旧民主党系の議員御一同様

暑気厳しき折柄、参議院選挙まことにお疲れさまでした。これで亥年選挙も、年末解散かいう法螺が実現しなければ概ね終了、何人の同志が再び議席を得、何人の同志が涙を呑んだことでしょうか。一部には議席の食い合いに終わっただけという評もありますが、ともかくそ努力には敬意を払いたいと思います

戦勝気分に水を差すようですが、共同通信試算によれば、この参院選、同日選だったらもう一回2/3の議席自公側に与えるような大敗北です。いえ、もちろん同日選だったらもうちょっとうまくやっていたでしょうが、それはいもの死児の年を数える行為です、生産性がない。

独裁安倍政権樹立されてから、彼らの主張するには国政選6連勝と驕っているそうです。とりもなおさずそれは野党系にとっては6連敗。いや敗北はないとおっしゃるかもしれませんが、打撃を与えるほどではありませんでした。思い出してください、あなた方は嘗て政権を取っていた。にもかかわらず、今や議会の1/3を抑えたことに狂喜乱舞して勝利喧伝する、この精神的退廃は一体なんでありましょう。

加えてこの選挙で明らかになったのは、国民政治不信が飽和点に達しつつある、という点です。左右のポピュリスト政党が急激に伸長したのはひとえに「もはや既存政党就中旧民主党系が占める野党勢力過去の経緯から全く信が置けない」という国民的な意志の発露です。これは少なくとも近代民主政治の信奉者としては看過できません。これが飽和点に達した時どうなるか、まさか過去欧米に学べないとは言いますまい。

思えば、私たちあなた方の政権に3年間耐えました。さらあなた方が何も考えずにアベガーアベガーと玉砕選挙を繰り返し、空費したこの年月も耐えてきました。もう沢山です。

今度は私たち要求する番です。せめて3年ぐらい「アベガー」を言わないで、粛々と政策論争をする、そのぐらいのことはしていただけないでしょうか。

無論悪の権化極右安倍政権からは今にもまして罵詈雑言が飛んできましょう。内調ハッカー部隊ネトウヨを煽って卑劣攻撃を仕掛けてくることでしょう。それによって次なる選挙もまた劣勢に陥るかもしれません。しかしそれに対して歯を食いしばって只々無言の抵抗をする、憲法9条を正に生かすが如くの気高い精神性は必ずや国民に受け入れられましょう。同時にきちんとした政策を練り上げることで、次期政権の受け皿たる力があるということを示してください。

競うべきは政策であって、トップ屋が持ち込む怪しい不祥事のケツを嗅ぎ回ることではありません。そんなことは共産党にでもさせておけばいい。アベの首さえ取れればいいのですか?で、取った後どうするんですか?取った後考える? またこの前の3年を、劣化させて繰り返すんですか? 地に足の着いた議論はできないのですか?

次の参院選は3年後、総選挙は間に挟みますが、そこで勝っても参院構成が変わらななければ何一つできません。ならば石の上にも三年、真っ当な言動というモノを見せてください。

繰り返しますが、もう沢山です。無論今までの運動から逃れるのは困難でしょう。無責任社会党地位は確かに楽しいでしょう。分派行動をしたあいつらは憎いでしょう。結局は取れもしない一人区擁立国盗り合戦面白いでしょう。ぬるま湯に浸り続けるのは楽です。現に国民も今の体制というぬるま湯から暑いとも冷たいとも知れぬ次の湯に入ろうという気概は湧きません。ましてその湯の色すら、湯船が現にあるのかすら判然としないのです。そんな霧の中にそこに清水の舞台から飛んで入れ、とは誰にも命じられる謂れはありません。せめて湯がちゃんと入ってるのだ、ということは見せてください。そのために土台を作り、まきを割り、水をくむ、そういう作業ちゃんと見せることが必要です。

あなた方はこの間政権を嘘と妄想簒奪した時言いました。「一回試させてください」と。我々は試し、そして失敗しました。

ならばこんどはこちらが言います。「一回、政策議論ちゃんとする道を試してください」と。あなた方はそれを容れる度量すらもう失いましたか?人に要求するだけですか?妄執の繰り言をいつまで続けるつもりですか?

今こそが、国政はちゃん議論ができるのだということを示す最後のチャンスです。極右安倍政権は変わりません。ならば変わる一歩は社会前衛である勢力こそが踏み出すべきです。

 出来ないなら?ならば、滅びるだけです。しかし、それが単にあなた方だけの自死だけで済むでしょうか。あなた方が無残に死んだあと、その生態ニッチを埋める者が果たして何者か、良くお考えください。それが果たして我が国のためになるのでしょうか。

御英慮を期待しております

いよいよ臨時国会召集されんとしています。お体にはお気をつけて、ぜひ堂々たる論戦を期待します。

敬具

未だあなた方のではない一票の増田より

2019-04-02

平成東大文一が築いた塔を令和の官僚が崩した

 昭和反省点、就中戦後復興反省を忘れ惚けたバブル期負の遺産

償うことになり、平成時代東京大学辛酸を嘗め尽くした結果、東大

象徴である文一は陥落し、トップエリートの座を文二に譲ったので、東大

法卒官僚権威を全身に纏う時代は終わりを告げ、経卒の外資系企業社員

我が世を謳歌する時代が到来した。

 しかしさすが天下の帝大は敗戦反省に次ぎ、再反省姿勢平成

最後に明確に表した。

 時代の変化を素直に受け入れ恭順の意を示し、学長自らが卒業生への

であると同時に民草への反省の辞を述べたのだ。

 翻って令和の官僚はどうだ、砂上の楼閣たる五輪に浮かれ、風前の灯たる

我が国が喰い繋ぐ一縷の望みをも潰滅させたではないか

 再再反省でも生温いがお前はどう落とし前をつけるつもりか!?

2019-01-09

よく見たらあい捨て垢じゃねぇか莫迦莫迦しい(挨拶

さて、元発言

あの田舎じみた(そして些か捏造臭い)家柄自慢をよくここまで決死擁護できるものである 

それ日本田舎の話だよな?なんで他の国の人間の話をするときにその言葉を使うんだ?捏造臭いというのは何を根拠に?

意味が解るか? 狂人の言、俺にはパッと見全く分からん

分解すると多分こうなる

  1. 日本人が)日本語で田舎論述した時、それは「日本田舎の話」になる
    1. (偉大なる韓国様を含む)他国の話をするとき上記条件は不適当である
      1. そのような言葉をお前は使うな

となる。

そんなバカな話はない。田舎という概念はおよそ汎世界的なものだ(都会がないような地域の語を除く)。何語に置換しようとも、田舎田舎。故に上記理論意味をなさない。対置として別言語を使えば問題はないのか(反語)。日本人(推測は正しいがあくまで推測でしかない)が外国語を使えば責任雲散霧消するのか(反語)。ならばその隙をハックして提示する必要がある。就中対置するなら能うる限り邪悪な語を用いなければならぬ。

さて、続く発言

~とでもいえばいいのか莫迦莫迦しい 

 だ

この文章で、問題の語は筆者が「使うべき語」として提示されているか

諸君福祉ナチスは、禁止語を見れば脊髄反射するが文脈をよく読んで考えてモノを言ったほうがいい。

qq

2018-07-30

100字超えたのでこっちで。

id:houjiT

お前(受け取り拒否見たの)初めてか?力抜けよ。

当方の主張は「左のいつもの手口」。であるから左の類似事例を挙げてるわけよ。受け取れないように受け取れないようにやって、相手のせいにするプロパガンダ、もういつもの手口ですわ。

過去アポなしで持ち込むと未来永劫その人はアポなしでやって戦略的に利用するとでも?違うでしょう。

「その人」じゃなくて、左系はそういう行動をしばしば(100%ではないぞ)とるよね、様式だよね、という話なわけ。で、様式であることを示すために、ちゃらっと調べて出てきたのを張ってるわけ。チョコの奴は記憶から曖昧だがね。どっかにいい無料ニュースアーカイバねぇかね。

今回通告してるし

んじゃ、今回の「抗議文」どうやって渡したんでしょうね。まず抗議集会の開始は、はい、「午後7時」。普通企業団体ならもうとっくに店じまいだわ。そんな時間判断がいるモノ受け取れるわけないでしょう。夜間警備の警備員しかいねぇんだから婚姻届ぐらいだわそんな時受け取るのは。ちなみにご本尊ツイッターだと渡し損ねて記念写真が午後8時ごろですわ。そりゃ絵図が当たってニッコニコエビス顔で記念写真も撮ろうってなるわな。

え、特級市民にして偉大なるLGBT様のためならカス自民党職員共は居残りでも残業でもしろと?そのために事前連絡しましたと? さすが特級市民の皆様、ブラックだねぇ、下々にはそんな発想できねぇね。その事前連絡いつよ?それ、リスケできるタイミングじゃないでしょ?

で、この行動のどこに、真摯相手方に文書を手交しようという意図があるの?

一方的電話で通告するのが真摯なの? 時間外に呼びつけるのが真摯なの? 衆の力を借りて暴力的に囲むことが真摯なの? 判断もできない現場警備員いじめ散らかすのが真摯なの? すげぇな、偉大なる領導であらせられるるLGBT様って奴は。

大体「連絡した」っつってるの、片側の主張じゃね?それ丸呑みして相手のせいだっての、すでにプロパガンダの丸のみなわけよ。

で、絵図かいてはめた連中がいろんなところで「我々の聖なる抗議文を極悪なジミンは拒否した!特級市民様の声を聴かないジミンを成敗せよ!」とかやる。低能支援者とか間抜けブクマカとかが「まあ自民党やっぱり感じ悪い!1!!」ってなる。そりゃお左さまにしてみりゃウハウハ、低能釣りのために飽きもせず繰り返しますわ。左Aがやれば左Bがぱくって、それと連帯する左Cがコピッて、その団体から崩れたやつが流れ着いた左Dでもチャレンジして・・・・ってやってるうちに行動様式として定着するわけよ。

ちなみに、例えば、じゃあ45分後におまえんちか、お前の関係先に抗議文渡すからちゃんと受け取れよ、罪状は無断IDコールによる心的外傷で謝罪と賠償要求するからな? と言ったらどうするんだよ?受け取るのか?得体も知れねぇ野郎(or尼orその他な有象無象)を近寄せようとするか?

以下追伸

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180730024721

よくあることについてはご理解頂けたようで何より。

「片側」と言えど発信源は区議信頼性一定程度認められるべきでは

遺憾ながら左派はいいかなる時でも虚偽を言う事当然(ex.放射脳共が意図的にふりまくデマ国会におけるイラク外交官殺害米軍陰謀説を唱えた民主党)況やほかの状況においておや。

大体「通告」なるモノの内容時間はだれか公開してましたっけ?

それに党員が出ろとは言ってないよね?時間が遅いか最初から警備員に渡しててそこは問題にしてない。しかも最終的に受け取られたし

関係ない業者が受け取っていいものかどうかわからんのに押し付けようとする行為が是なんだ、ふーん。業者いじめやね。政治家なら、政治的文章の取り扱い位どうすべきか知ってるのにわざわざ末端が困るように行動して恥じないわけだ。さすが特級市民にして偉大なるLGBT様はちげぇね

さらに言えば

https://twitter.com/KamikawaAya/status/1022910260418207749

いないこと知っててやってるわけですよ? これでイノセントだって言い張るんだ。さすL

以下再追伸

http://b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180730024721

公開され無くても自民が通告に抗議しない以上、常識的だったと理解すべきだ。警備員関係ないというが、受け取り自体業務内で行えて後に渡してるから自民から事前に話を回せばいいだけでは。

なんの証拠もなく、受け渡し側の言い分を丸呑みするという信仰告白であると受け止めますしかし、こちらはそのような宗教を信じているわけではないので、説得には全く寄与しない言説でした。なお、相手側に強弱はあれ負担を強いるのはすでにして失礼な行為では。

その他にご異存はないようなのでまとめると

という点で一致を見ることが出来、大変有意義ものでした。

以下再々追伸

http://b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180730024721

最後にという事なのでこちからはお呼び立て致しませんが為念

1、一方の言い分でも身元の明らかな議員根拠抜きに否定宗教未満の偏見

信じる根拠身分だけ、というのは些か前近代的は御発想で素晴らしい奴隷根性であると申し上げたいと思います。懐疑の心ってやつは"身内"に向かんもんですな。議員がどのようなウソをつくのか、まさかご存知ではありますまいに。

2、最初から警備員に渡す事で両者合意してるので、不誠実の根拠不明

合意していたら、そもそも騒ぎなぞにはならんでしょう。それほど

常識的だったと理解すべき

常識を振りかざすのであれば、人の留守中-就中夜分に-強訴をするような奴のどこが誠実なのでしょうねぇ

2018-06-17

就中(分けても) と 就中(なかんずく) って、読み分け判別する方法ってあるの?

絶対無理やろ。ファッキン日本語マジ卍滅ぶべし。

2018-06-07

日本の伝統精神、この国はいかに滅ぶべきか!

人間社会ルール制度をつくるうえで、人間性質理解することは欠かせない。就中、個々の民族性質理解しなければその国固有の特色を活かすことは難しいだろう。では、我々日本人現代的な固有のジャップランドシャラップ精神を持とうではないか

いろいろあるけど、いろいろあるから人生楽しい

そういうことです。

2015-04-16

昭和22(れ)177強盗昭和22年12月9日最高裁判所第一小法廷判決破棄差戻東京高等裁判所

昭和22(れ)177強盗昭和22年12月9日最高裁判所第一小法廷判決破棄差戻東京高等裁判所

         主    文

     原判決を破棄する。

     本件を東京高等裁判所差し戻す。

         理    由

 弁護人大井静雄上告趣意第四点及び弁護人松本重夫上告趣意第一点について。

 記録を調査すると、原審公判において被告人弁護人は所論のように心神耗弱

主張をなし、その立証として証人訊問及び被告人精神鑑定の申請をしたに拘わ

らず、原審裁判所は不心要としてその申請を全部却下した。そして、その判決理由

においては、「被告人は、昭和二二年三月私立学院中学部卒業して、上級学校

への入学試験を受ける準備中の者であつたが、他人脅迫して金品を強奪しようと

考え、犯意を継続して云々」と本件犯罪の原因、動機に関する事実を判示し、原審

公判廷における被告人供述によりこれを認定し、更に右弁護人の主張に対しては

「本件犯罪動機態様及び被告人の当公廷における供述態度等を綜合すると、被

告人は本件犯行当時正常の精神状況にあつて心神耗弱であることは認めることが

出来ない」と説示しているのである

しかしながら、原判決は本件犯罪動機とし

ては、右のように単に「他人脅迫して金品を強奪しようと考え」と抽象的に判示

しただけで、少しも具体的な判示がなく、またその証拠に供した原審における被告

人の供述によるも、その点に関する弁護人松本重夫の上告趣旨に述べられているよ

うな供述記載があるのみで、右判示に該当する具体的な供述存在しない。その他

全記録によるも、被告人が如何なる原因、動機により本件犯行をするに至つたのか、

殊に金銭に窮した事情があつたのか、新聞又は大衆小説その他により示唆を受けた

のか等についても何等明確な証拠がない。また被告人の本件犯行後の行動、就中

本件奪取の金品を如何なる場所に、如何なる目的を以て隠匿したのか、その金銭を

費消したのかしないのか、犯行直後父兄その他の者に会つたのか、直ちに臥床した

1 -

のか、翌朝何時に起き何をしたのか、等々の事実については原審審理において何等

触れるところがない。その点について一件記録によれば寧ろ犯行直後における本件

金品の処置に関しては常識に反し特殊異常の点あることを窺い知ることができる。

しかのみならず、本件弁護人の主張によれば被告人の祖父が精神病となり壮年にし

投身自殺した事実ありとして原審に証拠申請をしたもののごとくである。このよ

うに本件で重要関係にある犯罪動機判決において具体的に判示確定されてお

らず、却つて異常な特殊事情が伏在する疑が濃厚である本件の場合に、この点に関

する証拠申請を全部却下してその審理をなさず、しか犯行当時の精神状態を判断

説示するのに、前記のように只抽象的な犯罪動機犯行後数ケ月を経た原審公判

廷における被告人供述態度等をもつて犯行当時正常の精神状態にあつたと認める

旨を説示した原判決は、審理不尽に基く理由不備の違法あるものと言わざるを得な

い。

従つて、本論旨は結局理由があることになるから、その余の上告趣意に対する

判断を省略し、なお右の違法事実の確定に影響を及ぼすものと認めるから刑訴

四四八条の二に従い主文のとおり判決する。

 この判決裁判官全員の一致した意見である

 検察官 安平政吉関与

  昭和二三年一二月九

     最高裁判所第一小法廷

         裁判長裁判官    真   野       毅

            裁判官    沢   田   竹 治 郎

            裁判官    齋   藤   悠   輔

            裁判官    岩   松   三   郎

昭和22(れ)177強盗昭和22年12月9日最高裁判所第一小法廷判決破棄差戻東京高等裁判所

昭和22(れ)177強盗昭和22年12月9日最高裁判所第一小法廷判決破棄差戻東京高等裁判所

         主    文

     原判決を破棄する。

     本件を東京高等裁判所差し戻す。

         理    由

 弁護人大井静雄上告趣意第四点及び弁護人松本重夫上告趣意第一点について。

 記録を調査すると、原審公判において被告人弁護人は所論のように心神耗弱

主張をなし、その立証として証人訊問及び被告人精神鑑定の申請をしたに拘わ

らず、原審裁判所は不心要としてその申請を全部却下した。そして、その判決理由

においては、「被告人は、昭和二二年三月私立学院中学部卒業して、上級学校

への入学試験を受ける準備中の者であつたが、他人脅迫して金品を強奪しようと

考え、犯意を継続して云々」と本件犯罪の原因、動機に関する事実を判示し、原審

公判廷における被告人供述によりこれを認定し、更に右弁護人の主張に対しては

「本件犯罪動機態様及び被告人の当公廷における供述態度等を綜合すると、被

告人は本件犯行当時正常の精神状況にあつて心神耗弱であることは認めることが

出来ない」と説示しているのである

しかしながら、原判決は本件犯罪動機とし

ては、右のように単に「他人脅迫して金品を強奪しようと考え」と抽象的に判示

しただけで、少しも具体的な判示がなく、またその証拠に供した原審における被告

人の供述によるも、その点に関する弁護人松本重夫の上告趣旨に述べられているよ

うな供述記載があるのみで、右判示に該当する具体的な供述存在しない。その他

全記録によるも、被告人が如何なる原因、動機により本件犯行をするに至つたのか、

殊に金銭に窮した事情があつたのか、新聞又は大衆小説その他により示唆を受けた

のか等についても何等明確な証拠がない。また被告人の本件犯行後の行動、就中

本件奪取の金品を如何なる場所に、如何なる目的を以て隠匿したのか、その金銭を

費消したのかしないのか、犯行直後父兄その他の者に会つたのか、直ちに臥床した

1 -

のか、翌朝何時に起き何をしたのか、等々の事実については原審審理において何等

触れるところがない。その点について一件記録によれば寧ろ犯行直後における本件

金品の処置に関しては常識に反し特殊異常の点あることを窺い知ることができる。

しかのみならず、本件弁護人の主張によれば被告人の祖父が精神病となり壮年にし

投身自殺した事実ありとして原審に証拠申請をしたもののごとくである。このよ

うに本件で重要関係にある犯罪動機判決において具体的に判示確定されてお

らず、却つて異常な特殊事情が伏在する疑が濃厚である本件の場合に、この点に関

する証拠申請を全部却下してその審理をなさず、しか犯行当時の精神状態を判断

説示するのに、前記のように只抽象的な犯罪動機犯行後数ケ月を経た原審公判

廷における被告人供述態度等をもつて犯行当時正常の精神状態にあつたと認める

旨を説示した原判決は、審理不尽に基く理由不備の違法あるものと言わざるを得な

い。

従つて、本論旨は結局理由があることになるから、その余の上告趣意に対する

判断を省略し、なお右の違法事実の確定に影響を及ぼすものと認めるから刑訴

四四八条の二に従い主文のとおり判決する。

 この判決裁判官全員の一致した意見である

 検察官 安平政吉関与

  昭和二三年一二月九

     最高裁判所第一小法廷

         裁判長裁判官    真   野       毅

            裁判官    沢   田   竹 治 郎

            裁判官    齋   藤   悠   輔

            裁判官    岩   松   三   郎

2015-02-22

大判1010 ・ 5 民集一四巻一九六五頁宇奈月温泉亊件大判1010・5 民集14 巻1965頁 

宇奈月温泉亊件スルコトハ明カニ所有權侵害ノ不法行爲ニシテ反社會性ノ行爲ナルコト論ヲ俟タス法律的秩序ヲ紊亂シ須臾モ存在セシムヘキモノニ非ス宜シク之レヲ排撃シ不法行爲ナカラシメ所有權ヲ圓滿ナル状態ニ囘復セシムヘキコトハ正義ノ命スル処ナリ之レカ不法行爲ニ忍從シ其ノ不法ヲ恣ニセシムヘキ義務アルコトナシ而シテ原判決ハ引湯管ノ敷設ニヨリ多大ノ便益ヲ得ツツアル各種ノ亊情ヲ斟酌シ換言セハ引湯管敷設ハ不法行爲ナルモ既ニ多大ノ便益ヲ得ツツ在ルヲ以テ之レカ排除ヲ求ムル上告人ノ請求ハ權利ノ濫用ニシテ不法行爲ナリト爲セリ以テ被上告人ノ不法行爲ヲ保護シ之ヲ維持セシメトス斯ノ如キハ國家社會ノ秩序ヲ紊スモノニシテ許スヘカラサル不法アリト云ヒ』同第四點ハ一、凡ソ私人ノ所有ノ土地ニ國家若クハ公共団體カ正當ノ權限ナクシテ公ノ行政行爲ヲ爲シ地上ニ公ノ營造物(例小學校舎)ヲ所有スルニ至ルモ土地所有者ハ民法其ノ他ノ法規ノ範圍内ニ於テ依然トシテ物上請求權ヲ行使シ得ヘク所有權本來ノ效用ヲ受クルコトヲ得ヘシ權利侵害ノ救濟ハ侵害行爲自體ヨリ可否ヲ定ムヘク被告ノ輕重大小ニヨリ之ヲ決スヘキニ非サルコトハ判例ノ示ス所ナリ(昭和六年 ( オ ) 第千二百四十八號亊件同年十二月日大審院第三民亊部判決法律新聞第三三七七號所載)被上告人カ無權利ニシテ係爭土地ニ引湯管ヲ敷設スル以上ハ上告人ニ於テ其ノ侵害亊實ノ排除ヲ求ムルハ所有權本來ノ效用ヲ全フスル所以ニ外ナラス係爭土地カ利用價値ノ少ナキコト引湯管撤去ノ及ホス影響ノ大ナルコトハ權利侵害行爲ノ救濟ヲ求ムルニハ何等ノ關係アルコトナシ之レカ爲メニ救濟ヲ求ムル物上請求權ノ行使カ權利濫用トナルヘキ理ナシ原判決ハ破毀スヘキモノナリト云ヒ』同第五點ハ一、上告人ハ原審ニ於テ「所有權ハ他ヨリ侵害セラルルコトナシ凡ソ公益ノ爲メ必要ナル処分法律ノ定ムル所ニ從フヘキノ現在個人主義的體系ニ基ク財産制度ニ於テハ所有權ハ絶對的ニ且排他的ニ總括支配力ヲ有シ使用收益処分作用ヲ有スルコト論ヲ俟タス唯タ一般公益警察必要特種産業上ノ利益交通安全國防ノ必要國土ノ美觀相隣者ノ共存等各種ノ理由ニヨリ法令ヲ以テ所有權ノ制限セラルル場合アルニ過キス而シテ社會機能體系ノ觀念ヲ信スル者ト雖モ所有權ヲ社會機能セント努力シナカラ尚ホ個人財産ハ一切ノ浸害殊ニ公權力ヨリ生スル侵害ニ對シテモ保護セラルルコトヲ承認セリ係爭土地ハ畑地ニシテ控訴人ハ本來ノ畑トシ生産機能ヲ全フスヘク利用シ居ルモノニシテ被控訴人ノ便益ノ爲メ侵害ヲ受クヘキ亊由アルコトナク其ノ排除ヲ求ムルコトハ正當ナル權利ノ行使ニ外ナラス又土地所有者カ起業者ニ對シテ土地ノ返還ヲ請求シ原状囘復ノ目的ヲ達スルニハ亊實上法律上共ニ返還ノ可能ナルコトヲ必要トスルハ勿論ナリ而シテ本件ノ場合ニ於テ亊實上返還可能ナルコトハ雙方爭ナキ所ニシテ法律上返還不能ナリト看做スヘキヤ如何ニ之ヲ判例ニ徴スルニ大審院大正四年 ( オ ) 第七七六號土地引渡等請求亊件ニ於テ大正五年二月十六日判決シテ(第二十二輯一三四頁以下)起業者カ土地用法ニ從ヒ土地ヲ收用シ引渡シタル場合ト雖モ後ニ協議又ハ裁決ノ無效ナルコトヲ發見シタルトキハ起業者ヲシテ土地ヲ返還セシメ得ヘシ而シテ叙上ノ場合起業者ノ占有ニ歸シタル土地鐵道道路公園其ノ他公ノ營造物ニ變シタル場合法律上返還不能ト爲リタルモノト説示シ又昭和七年 ( オ ) 第二二五六號所有權妨害排除請求亊件ニ於テ同年十二月二十日判決シ(法律評論二十二巻民法二六六六頁以下)被上告會社ノ發電亊業ハ土地用法第二條ニ所謂電氣装置ニ關スル亊業ニシテ同法所定ノ手續ヲ践マハ該土地ノ使用權ヲ收用シ得ヘキ關係ニアリテ右亊實ハ公亊業ノ性質ヲ帶ヒ巨額ノ費用ヲ投シ施設シタル係爭墜道ヲ撤去シタル上電氣亊業ヲ繼續スル爲メ新ニ水路ヲ設クルニハ發電作業ヲ中止スルヲ要シ公益亊業ニハ多大ノ損害ナルヲ以テ法律上返還不能ト看做スヘキモノナリト云フニ在リ(被控訴人援用新潟地方裁判所判決上告審判決ナリ竝被控訴人援用ノ大阪地方裁判所判決モ發電亊業ニ關スルモノナリ)之ヲ本件ノ場合ニ對比スルニ被控訴人主張ニ從ヘハ訴外草野武平カ自己經營ノ二見温泉營業ヲ會社組織トシ下新川郡内山村ニ引湯ノ上温泉營業ヲ爲サントシ二見温泉株式會社設立シ其ノ後愛本温泉株式會社ニ右亊業ヲ移轉シ本件ノ引湯管ヲ設ケシ処更ニ被控訴會社ヘ承繼シタルモノナリト云フ然レハ該亊業ノ公共性ヲ有スルモノニサルコト明カニシテ土地用法適用土地使用ヲ爲シ得ヘキモノニラサレハ前掲判決ニ表示スルカ如キ公共性アル亊業ト全然趣ヲ異ニスル斯ル非公共亊業ニ對シ單ニ經費ノ多寡設備ノ難易ノ觀點ヨリシテ法律上返還不能ナリト云ヒ得ヘクンハ僅少ノ土地ヲ所有スル貧弱者ハ遂ニ大企業犠牲トナリ其ノ蹂躪ニ任カスノ外ナキニ至ルヘシ何等公共性ナキ私企業ニ於テ廣大ナル工作物例ヘハ大製造工場ヲ造リ高價ナル機械ヲ据付ケ盛ンニ生 ? シツツアリト假定シ其ノ周圍ノ住民カ間接ニ多大ノ利益ヲ享有シ爲メニ町村ノ繁盛ヲ來タシタル場合ニ於テ機械据付ケ箇所ニ該當スル土地ヲ所有スル者アリ其ノ使用ヲ許容セシ亊實ナク所有權ヲ主張シ妨害排除ヲ求ムルニ拘ハラ法律上返還不能ニ歸シタリトノ理由ニヨリ棄却スヘキモノトセハ是レ正ニ憲法ノ條章ヲ否定スルモノニシテ不經ノ論タルヲ免レス而シテ鐵道ヲ經營スル會社カ承繼取得シタルノ一亊ニ因リ公共性ナキ温泉經營カ鐵道ト同一ニ看做スヘキニ非サルコト言ヲ俟タス又控訴人カ所有權ヲ侵害スル者ニ對シ救濟ヲ求ムルモ公序良俗ニ反スルコトナク假令相手方ニ於テ之ヲ除去スル爲メ多少ノ損害ヲ生スルコトアリトスルモ使用權ヲ有セスシ侵害シタル者ノ當然ノ責任ナリ所有者ノ目的ハ單ニ救濟ヲ求ムルニ在ルノミ特段ノ設備ヲ施シ他人迷惑ヲ釀サントスルニ非ス又權利保護ヲ求ムルニ當リ他人ノ損害ノ少カランコトヲ欲スルハ固ヨリナレト妨害排除ヲ求ムルカ然ラサレハ所有權本來ノ作用ヲ廃止スルヨリ外ナキ場合ハ所有者トシテ所有權ニ基キ救濟ヲ求ムルハ決シテ正義ノ觀念ニ違背スルコトナシ否寧ロ權利ナクシテ他人ノ所有地ヲ使用スルコトハ法的秩序ヲ紊シ正義ニ背キタルコト極メト大ナルモノト謂フヘシ」ト主張シタルニ對シ原判決ハ第一點ニ摘示シタルカ如ク亊實關係ヲ認メ上告人ニ於テ被上告人ノ不法行爲ノ排除ヲ求ムル本件請求ヲ以テ權利濫用ノ不法行爲ト爲シタリ上告人ハ原審ニ於ケル右主張ヲ援用シ貴院ノ明鑑ニ愬フモノナリ凡ソ所有權カ社會的利益ト衝突スル場合ニハ所有者ハ社會的利益ニ讓歩セサルカラス所有者ニシテ任意ニ其ノ讓歩ヲ肯セサルトキハ強制ニ依ラサルヘカラス之レ收用法規定アル所以ナリ然ルニ收用法適用ナキ亊案ニ對シ ? 被上告人ニ於テ引湯管ノ撤去ノ困難ナルコト尠ナカラサ費用ト日時ヲ要スルコト宇奈月地方ノ盛衰消長ニ關スルコトト ? 上告人カ殊更自己不要土地ヲ取得シ不當ノ利益ヲ得ント欲シタリト獨斷シ所有權ノ行使ハ被上告人ヲ困惑ニ陷ルルニ過キサルモノトシ上告人ハ權利ノ濫用ナリ不法行爲ナリトナセリ然レトモ被上告人ニ於ケル亊情ハ他人土地ヲ不法ニ侵害シタル者ニ於テ相手方カ所有權ヲ圓滿ナル状態ニ囘復セントシ救濟ヲ求ムル爲メ生スル當然ノ結果ニシテ正ニ其ノ不便不 - 2 -大判1010・5 民集14 巻1965頁 宇奈月温泉亊件利ハ甘受スヘキ所ニ過キス上告人カ土地所有權ヲ取得スルニ當リ其ノ要不要他人ノ關與セラルヘキ亊柄ニ非スサレハ不法侵害者ニ對シ救濟ヲ求ムルモ斷シテ權利濫用ニ非ス原判決ハ不法ナリト云ヒ』同第六點ハ一、上告人カ係爭地ヲ所有スルコトハ原判決ノ認ムル所ナリサレハ所有權ノ作用ヲ發揮シ得ルコトハ論ヲ俟タス而シテ所有者ニ於テ不法侵害者ニ對シ救濟ヲ求メ得サル理アル亊ナシ其ノ救濟ヲ求ムルカ爲メ不法行爲者カ不利不便ヲ生シ困惑スルコトアルヘキ亊情ヲ知ルカ爲メ所有權ノ行使制限セラルヘキ道理キハ當然ニシテ是ノ行使カ權利濫用ノ不法行爲トナルト謂フカ如キ原判決ハ到低破毀ヲ免レスト云ヒ』同第七點ハ一、物上權利者モ登記ヲ爲スニ非サレハ第三者善意悪意ヲ問ハス對抗シ得サルコトハ民法上ノ鐵則ナリ土地ヲ買受ケタル者カ該土地ニ物上權利者アリテ其ノ登記ヲ爲シ居ラサルコトヲ知リテ所有權ヲ取得セシ場合ニ於テ物上ノ權利ヲ否認シ所有權ヲ行使スルヲ妨ケサルヘク之レヲ以テ權利濫用ナリト云フヲ得サルコト明白ナリ況ンヤ本件ノ如キ被上告人ニ於テ何等ノ權利ナクシテ不法ニ他人土地ニ引湯管ヲ敷設スル場合ニ假令右敷設アルコトヲ知リテ土地ヲ買受ケ所有權ヲ行使シタリトスルモ我カ民法ニ於ケル前記通則ニ照ラシ權利濫用ナルコトナシ原判決ハ不法ナリト云フニ在リ按スルニ所有權ニ對スル侵害又ハ其ノ危險ノ存スル以上所有者ハ斯ル状態ヲ除去又ハ禁止セシムル爲メ裁判上ノ保護ヲ請求シ得ヘキヤ勿論ナレトモ該侵害ニ因ル損失云フニ足ラス而モ侵害ノ除去著シク困難ニシテ縱令之ヲ爲シ得トスルモ莫大ナル費用ヲ要スヘキ場合ニ於テ第三者ニシテ斯ル亊實アルヲ奇貨トシ不當ナル利益ヲ圖リ殊更侵害ニ關係アル物件ヲ買收セル上一面ニ於テ侵害者ニ對シ侵害状態ノ除去ヲ迫リ他面ニ於テハ該物件其ノ他ノ自己所有物件ヲ不相當ニ巨額ナル代金ヲ以テ買取ラレタキ旨ノ要求提示シ他ノ一切ノ協調ニ應セスト主張スルカ如キニ於テハ該除去ノ請求ハ單ニ所有權ノ行使タル外形ヲ構フルニ止マリ眞ニ權利ヲ救濟セムトスルニアラス即チ如上ノ行爲ハ全體ニ於テ專ラ不當ナル利益ノ ? 得ヲ目的トシ所有權ヲ以テ其ノ具ニ供スルニ歸スルモノナレハ社會觀念上所有權ノ目的ニ違背シ其ノ機能トシテ許サルヘキ範圍ヲ超脱スルモノニシテ權利ノ濫用ニ外ナラス從テ斯ル不當ナル目的ヲ追行スルノ手段トシ裁判侵害者ニ對シ當該侵害状態ノ除去竝將來ニ於ケル侵害ノ禁止ヲ訴求スルニ於テハ該訴訟上ノ請求ハ外觀ノ如何ニ拘ラス其ノ實體ニ於テハ保護ヲ與フヘキ正當ナル利益ヲ闕如スルヲ以テ此ノ理由ニ依リ直ニ之ヲ棄却スヘキモノト解スルヲ至當トス本件ニ付之ヲ見ルニ原審ハ ? 原判示ノ宇奈月温泉場ハ全長約四千百七十間ノ樋管ニ依リ他ヨリ温泉ヲ引キテ使用シ居リ該樋管ハ訴外愛本温泉株式會社ニ於テ多大ノ費用努力トヲ以テ大正六年頃之ヲ敷設セルモノナルカ今若該樋管中本件地上ヲ通過スル係爭部分ヲ撤去ストセムカ右引湯設備ハ茲ニ中斷セラレテ無效ニ歸シ從テ宇奈月温泉場ノ經營ハ全ク破壞セラルルニ至ルヘク又右設備ニ變更ヲ加ヘ係爭樋管ヲ本件土地外ニ迂囘セシムルコトハ技術上之ヲ可能トスルモ該工費ニ約一萬二千圓工亊ノ完成ニ約二百七十日間ヲ要スヘク而モ被上告人(被控訴人)ニ於テ新ニ本件土地ニ代ルヘキ引湯管ノ敷地ヲ求メムトセハ實際上諸種ノ問題簇出シ解決容易ナラス即チ係爭樋管ノ撤去問題ハ原判示ノ如キ被上告人ノ亊業經營ニ對シ甚大ナル打撃タルノミナラス或ハ宇奈月地方ノ盛衰ニ關スヘキ亊項ナルコト ? 本件土地ハ原判示ノ如キ荒蕪地ニシテ就中係爭樋管ノ敷地約二坪ヲ含ム急傾斜部分ハ殖林農作ハ勿論其ノ他何等ノ利用ニ適セス從テ本件土地全部ノ價格ハ僅ニ三十餘圓ニ過キサルコト ? 上告人(控訴人)ハ本件地上ニ係爭樋管ノ通過セルヲ知リ而モ該土地ヲ利用スヘキ目的ヲ有セスシ昭和三年一月中之ヲ買受ケタル上被告人ニ對シ樋管ノ撤去ヲ迫リ被上告人ニ於テ本件土地ヲ原判示ノ他ノ土地ト共ニ總額二萬餘圓ニテ買取ニアスム協調ニ應セサル旨主張セルコトノ各亊實ヲ認定シ之ヲ綜合シテ上告人ノ行爲ハ敢テ不當ナル利益ヲ企圖シ不要ノ本地ヲ買收シ所有權ノ行使ニ藉口シテ被上告人ヲ困惑セシムルモノニシテ本訴請求モ亦斯ル目的ニ基キ提起セラレタルニ外ナラサル旨推斷セルモナルコト判文上自ラ明ニシテ原審ノ採用セル證據ニ照セハ斯ル判斷ヲ爲シ得ラレサルニ非ス果シテ然ラハ原審カ本訴請求ニ付爾餘ノ爭點ノ判斷ヲ俟タス全部之ヲ棄却スヘキモノト做セルハ冒頭ニ説明セル理由ニヨリ相當ナリト云フヘク所論ハ畢竟本訴ヲ以テ誠實ナル權利保護ノ請求ナリトシ以テ原判決非難スルニ歸シ如上ノ認定亊實ニ副ハス該亊實ニ依レハ原判決ニハ何等所論ノ如キ違法アリト云フヲ得サルヲ以テ論旨ハ總テ採容シ難シ仍テ民亊訴訟法第三百九十六條第三百八十四條第八十九條ニ則リ主文ノ如ク判決

昭和十年十月五日大審院第三民亊部

2009-08-21

中国情勢 - 薄熙来(重慶市書記、前商務大臣)が政治力を背景に後継レースに参入 

やくざ団体を手入れし地元黒幕1400余名を逮捕、全国から拍手喝采

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薄熙来・重慶特別市党書記は、『重慶平和と安定』のためと獅子吼して同特別市域内にはびこるマフィアやくざ十四団体を一斉に手入れさせ、1544人を逮捕した。陳明亮、岳村、黎強らマフィアボスを含む67名の手配中の大物も捕縛、これで悪は一網打尽と旨を張った。党の高官とやくざはぐるの地域が多いだけに、この措置が本当なら政治家のお手本として庶民の絶大な人気を得るだろう。

薄熙来の遼寧省省長時代に同地域内の黒社会撲滅に辣腕を振るった王立軍を重慶公安局長に指名して、遼寧省から呼び押せた。王は着任早々からやくざへの手入れの機会をうかがっていた(香港紙『大公報』)。

重慶の十四の黒社会組織への捜索で、かれらのアジトからピストル48丁、弾丸900発、現金合計三億元を押収した(多維新聞網、8月17日付け)。このほか組織犯罪銀行口座を凍結し、総額十五億三千万人民元を封鎖した。

かれらはみかじめ料を支払わない商店レストラン放火したり、高利貸しで期日に遅れると見せしめの殺害など凶悪なことで知られ、麻薬、博打、凶器準備、売春など従来のマフィアの「ビジネス」を超えた商業活動は共産党の脅威でもあった。

とくに重慶中央政府の特別配慮による開発予算が300億ドル。あちこちにモノレール、立体交差、政府建物、駅舎などを突貫工事宇宙都市のような激甚な発展ぶりをみせ、同時に全土から儲かるとばかりマフィアが蝟集して利権をむさぼり、表向きは貿易商社銀行などを経営していた。

地域マフィア顔役は同時に地域全人代代表でもあった

就中建設土木が盛んで砂利、セメント、建材を扱う表向きの顔があった。巴南区などは黎強の組織が一手に支配しており、マフィアボスでありながら財閥大富豪としても知られる。なにしろ表の顔として黎強は重慶全人代代表。陳明亮は重慶古物商工会理事長兼地区人民代表だった。かれらの元には千もの企業がぶら下がり、不動産ビジネスの殆どを抑えていた。

また地下銀行高利貸しビジネスでこれまでに貸し付けた額面は三百億元とも。こうなると地元警察公安は買収されている可能性があり、アンタッチャブル土地にしがらみのない政治家にしか大鉈(なた)は振るえまいと言われた。

組織が縄張りを決め、組織構成員は軍隊のような訓練を受け、上下の序列にうるさく、なかには昼は公務員という『白道』、夜はやくざに早変わりの『黒道』を兼務する手合いもいて「重道(白黒兼務)社会」だから重慶と自嘲気味なところもあった。

さて薄熙来である。かれは共産党大幹部だった薄一波の息子、「太子党」の代表的人物として、大連市長遼寧省書記から胡錦涛の人事で重慶特別市書記に任ぜられた。直前までの商務大臣。来日回数も多く、かなりの日本通である。同時に世界貿易ネゴシエーターとしても活躍した。

辺地へ飛ばされて左遷かとおもいきや着々と政治的野心を秘めながらも中央への成績をあげた。

薄熙来の認識では次期総書記に有力とされる習近平よりも、自分がなる、ということだろう。野心を沸々と燃やしてきたことは華字紙でたびたび報道されてきた。

しかし薄熙来は「太子党」に勢力を扶植してはいても、上海派とはそりが悪い。だからポピュリズムに一気に打って出て、せめて次期首相くらいは射止めたい。おりしも次期首相後継最有力だった李克強に七月以降というもの、部下の汚職スキャンダルが多発し、任期急降下中でもある。

もし、薄熙来がそれらを計算に入れタイミングをはかったとすれば、それはそれなりに絶妙な政治的演出でもある。

2009-01-21

漢字クイズ

麻生首相を「漢字」で挑発 民主の石井副代表

 麻生太郎首相漢字使用、読み方をめぐり、20日の参院予算委員会で、民主党石井一副代表首相にかみつく一幕があった。

  ・石井氏の出した漢字12問はこちら

 石井氏は、月刊誌文芸春秋」の昨年11月号に掲載された首相の手記で使われた「就中(なかんずく)」など12個の漢字を並べたボードを用意し、「相当高度な漢字だ。これを隠して、どれだけ読めるかやってみたかったが、先に渡してあるから今なら読めるだろう」と首相挑発した。

 これに対し、首相は「多分、みなさんが読みにくいのは『窶し(やつし)』ぐらいではないか。後の漢字普通、みなさん読める」と答えたが、さらに石井氏は「もしそうなら、なぜ未曾有を「みぞうゆう」、踏襲を『ふしゅう』と言うんだ。おかしい。強弁だ」と反論した。

民主党副代表なのよね、この人。予算委員会クイズ大会とは、わざわざボードまで用意して。

んな事する余裕あるなら他の野党に発言時間融通してやれよと。

というか、首相の手記を読んでやる事がそれなのかと。内容とかいろいろ突っ込まないのかと。

2008-11-22

芸術

http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20081121/grandchildren_japanese

要求される仕事がますます高度化されるため、人々は多くの時間技術学習に費やさざるを得くなる。そのため、そうした仕事に役に立たない芸術????就中近代日本文学????は等閑視されるのが当たり前になる。

このエントリを読んでてふとある同僚の事を思い出した。

文学とか音楽とかスポーツとか、芸術というか娯楽というのか分からないけど、そういう物を一切解さない人ってごくまれにいるよね。同僚がそうなんだけど。

あれ脳の一部が欠損してるのかなぁ。それとも後天的なものなのかしらん。

 
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