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2021-09-23

最近読んだブロマンス?とすごいBL

 ブロマンス? の方はもうずいぶん前に出版されたものなのでネタバレするけど、すごいBLの方は22日に出版されたばかりなので、極力ネタバレしないようにがんばる。では、ブロマンス? の方から

復活祭』(馳星周

 同作者による小説生誕祭』の続編。本作も『生誕祭』と同じく彰洋と麻美ダブル主人公。この二人が憧れの人・美千隆に振り回されつつ、お金儲けのためにそれぞれ奔走する。

あらすじ

 『生誕祭』の終盤、美千隆に裏切られて復讐しようと思ったものの、けちょんけちょんに打ちのめされてしまった彰洋。だが、逃亡先の北海道まで、美千隆が探しに来てくれたことにより、懲りずに美千隆に着いていってしまった。

 それから十年。彰洋は自身と美千隆しか従業員のいない小さな会社に勤めて、退屈だがそれなり楽しい雌伏ときを過ごしていた。

 そんなある日、美千隆が復活を宣言する。時代ITバブル最盛期。バブル景気なんて長続きする訳がない。こんどは土地の代わりに株を転がし、大金をせしめて一抜けし、今度こそ二人で夢の王国を作るぞ! マンハッタンにでっかいビルを建ててやるのだ!

 一方、やはり十年前に美千隆に切り捨てられて落ちぶれ名古屋に逃亡した麻美は、東京に舞い戻り、バーの雇われママに身をやつしていた。ところがあるときバーオーナー麻美儲け話を持ち込んで来る。それはIT企業の若手起業家を騙して一攫千金を狙うというもので、しかターゲットとなったIT企業をあの美千隆が狙っているというではないか麻美は一生遊んで暮らせる金をせしめるため、美千隆に復讐するために、彰洋の元恋人である早紀を巻き込み、立ち上がるのだった。

増田感想

 『生誕祭』ではブロマンスというよりはポチとその飼い主みたいな関係性だった彰洋と美千隆だったけれど、今回は彰洋が成長し美千隆が少し老いたのもあって同じ夢を追う同志、ブロマンス感があった。

 美千隆が過去に彰洋に言った「マンハッタン自社ビルを建てるのが夢」「弟が欲しかった」という言葉が、彰洋をだまくらかす方便かと思いきや案外本心だったのかもしれない? と、胸が熱くなる一方で、王国キング美千隆についに焼きが回った感じもあり……もはや自身には生き目はなく、夢は弟分の彰洋に託すのだろうか?……と、ちょっと切なくなる感じ。

 最高に滾るシーンは美千隆が渾身の演技で麻美を騙す場面。麻美が金と美千隆に執着する理由は安定と愛情が欲しいからではなく、美千隆の隣で同じ夢を追いたいからだと看破してみせるところ。

 結局のところ美千隆の相棒になぜ彰洋はなれて麻美にはなれないのか、それは才能の問題ではなく性別問題しかない。麻美にはどんなに努力しても越えられない壁を彰洋なら軽く飛び越えられる。最初から分かり切っていたが見ないふりをしてきたことを、当の憧れの人、美千隆に見破られて涙を流す麻美。実にエモい。引き立つブロマンス!! そう、私ら女にはどんなに願っても届かない夢ですな!

 でも最終勝者は少年の心をいつまでも喪わないおっさんズではなく、現実的堅実的に復讐計画を練り実行に移した早紀だったというのが痛快だった。愛よりも友情よりも堅実。金に溺れた詐欺師どもより研ぎ澄まされたハンターが最強だなんて、かっこよすぎる……。

 国外逃亡する羽目になった彰洋と美千隆がこてんぱんに打ちのめされてだめだめなコンビに成り下がるというオチまで着いて、憧れのブロマンスに泥を塗りたくる黒い快感に目覚めてしまった。

コヨーテ Ⅳ』(座裏屋蘭丸

 数多のBLの中でもかなり人気のあるタイトルエロエロだけどストーリーに骨があって絵もすごく綺麗。少女漫画のようなキャラストーリーが人気な商業BLのなかでは、異色かなぁ。

あらすじ

 バーピアノを弾いて暮らしているマレーネと、マレーネピアノを聴きに通うリリーは両片想い。だがいくらマレーネアプローチしてもリリーは応じてはくれない。それは二人が男同士だからというより、リリーの正体が人狼からなのだった。

 リリーが突然発情期に入ったところにマレーネ居合わせたのが縁で、二人は結ばれることになった。ところがマレーネは、実は人狼迫害するマフィアガーランド一家の跡取り息子ヨシュ・ガーランドだった。

 マレーネリリーと急接近したころ、ガーランド一家当主人狼殲滅に狂い、唯一の血縁である孫のヨシュを呼び戻す。かくしてマレーネガーランド人狼の抗争に不本意ながら巻き込まれることになった。

 一方、人狼の側では、ガーランドとの抗争が70年前に起きた人狼虐殺事件のような惨事の引き金になることが危惧されていた。抗争の激化から、ついに群れのリーダーであるキーファーは、ガーランド解体作戦を決行すると宣言する。そして、ガーランド幹部暗殺部隊メンバーとして、リリーことコヨーテ指名された。コヨーテに割り当てられたターゲットは、ガーランド一家の跡取りヨシュ・ガーランドだった。

増田感想

 す、すごいものを読んでしまった……! というのが、4巻を読んで最初に思ったこと。正直、3巻までは普通に面白い映画みたいな話だなぁと思ったくらいだったけど、BLでここまで描くの!? 描かせてもらえるの!? と驚いた。まあ、これほどの画力漫画構成力をもった作家からこれが許されるんだろうなとは思う。

 BLなのでラブとエロは盛りだくさんだけれど、隙あらば骨太物語描写をしてしまうのがすごい。逆にいえば、BLってストーリー台無しにしてでもラブ描けエロをかけっていうジャンルなんだろうな……。

 人狼ガーランドの抗争の歴史と背景がちゃんと描かれている。そのことに驚きというか、一般ジャンル漫画ではむしろそれが普通なのかもだが、よく描いたよなぁ。

 今回はメインカプのマレーネリリーだけでなく、アレンキーファーなど脇役キャラ活躍人物描写豊富で良かった。ドミニクがいいキャラしていてかなり好き。

 BLにはあまり出てこないし、これまでの座裏屋先生漫画にはほぼ出て来なかった女性キャラがけっこうなインパクトを持って登場するのがいい。ミミちゃん! 私の推しのミミちゃん!!

 猛烈に続きが気になるところで終わってしまったが、たぶん、5巻が出るのは1年後くらいだ。それまで頑張って生きねば……。

 座裏屋先生の『シャングリラの鳥』もなかなか気になる展開なので、続きが待ち遠しい。すげえ連載を2本同時進行している座裏屋先生すごすぎる。

 

 

アンサイクロペディア現在2021年9月時点)

https://anond.hatelabo.jp/20200804010656 から1年後のお話

全体的には落ち着いている。投稿数はなかなか一昔前のようには戻らず、1日100件~200件程度にとどまっているが、少しずつ増えてきている印象だ。

2年前にアンサイクロペディアの臨終であまりの少なさが触れられていた活動中の利用者過去30日以内に投稿があったアカウント)は約160人(ブロックされたアカウントは除く)、うち10回以上の投稿があった人は41人とだいぶ増えている。ただ、その41人のうち8人が現役管理者なので、それを除いたアクティブユーザーは30人前後といったところか。それでも新規ユーザーが増え、古参ユーザーもたまに顔を出したりしているので、2年前と比べたら雲泥の差である

今年の初めには「バイキング」という記事がバズった。はてブ数900近くであり、これはアンサイクロペディア歴代4位の記録。執筆者は鉄槌で失脚した例の人から無期限ブロック処分をされていたというのが趣深かった。

今後の懸念材料としてはサイトオーナーの動向である。昨年「チャクウィキ」のオーナーだった谷口マサト氏が急逝してサイトが分裂したという事案が起きたが、日本語版アンサイクロペディアチャクウィキ同様に個人オーナーとしてカナダのCarlb氏が君臨しており、時々起こる不具合は彼でしか直せないものも多いので、彼に何かあったらサイトがどうなるか分からないというリスクがある。ただ、何かある頃にはもうサイト老衰しきっているだろうから、あまり考えなくても良いかもしれない。

2021-09-22

まんだらけ問題オタクは何がしたいん?

中野ブロードウェイまんだらけエロ支店問題で、まんだらけの肩を持つオタクは「これは表現規制だ!お気持ちファシズムだ!」と叫んで対面にある店を攻撃していた訳だが、まさかまんだらけの方も同じじゃねーだろと思っていたらそのまさかでそのまま警察がさ入れを食らってしまった。

マジか。商売人だろ君たち。

在庫押収されるし、商売が出来るかなんてことは一切警察は考えないからいつ再開出来るかも判らない。

 

あのさ、中野ブロードウェイ私有地の「商業施設」と思ってる人が多いのだが、そこがまず間違いで、ああい業態って百貨店などの公衆施設なのよ。

例えば公道上に百貨店の別館と繋ぐ空中回廊があったり、搬入通路公道の地下通ったりする事あるけど、あれって百貨店公衆施設なので例外的に許されてるのね。

から中野ブロードウェイ通路廊下って公道と同じなのよ。店内の陳列と訳が違う。

 

そもそも商品的に風俗営業店であって、対面店とのトラブルが大きくなったら役所が出てくるし、監督官庁警察が出て来ないわけないの。しか公道側に向けた陳列が問題になってるのだから

 

で、警察行政指導ってめちゃ恣意的なのよ。金を掛けて改修しなきゃいけないもんなのに、その指導がその警察官の思い付きなのかちゃんポリシーに則っているものなのか判断がつかない。

言われたとおりに改修したのに担当が代わったらダメだと言われたりする。

嘗ての日本役所はどこもそんな感じで裁量性が高かったんだが、1990年代行政手続法とかできたりして、裁量性は低い方に持って行こうっていう流れが出来て役所も従ったんよ。

でも警察管轄部門では裁量性が大きいままで残ってて、特に風営法関連では裁量性が極大。これには風営業者の社会的身分が低いって事もある。要するに水商売オーナーからね。

 

しか警察署によっても言う事が違う。

例えば最近ネカフェで個室のところってあるけど、あれって最初は認められてなかった。

椅子の高さやパーテーション高さも厳しく制限されていた。昔、連れ込み喫茶とかで性行為紛いのペッティングとかする業態があったからだね。そのずっと前はカフェーっていうのは売春もやってた。

それで大手ネカフェ業者ブースへの立ち入り人数を厳しく監視するって事を続けてきた。それで段々とパーテーションの高さ制限が緩和されてきて、管轄警察署によっては個室OKってなってきた訳よ。20年ぐらい掛かってる。

 

そんな面倒な手順を踏まずにエログッズ公然陳列おkwwとかやってたら手入れ入るに決まってるでしょ。

これからまんだらけはずっと恣意的警察行政指導や臨検に悩まされる事と思うよ。

普通はそういうの面倒だから警察が来るような事はしないようにするけどね。なのにそのあたりの覚悟もなく表現の自由一本鎗で進んで玉砕って流れは正直驚いた。あんたたち商売人だろう?って。

それで面倒になってエロの扱い止めたりソフトなの限定にするかも。そしたらキツメのエロで喰ってる漫画家とか困るんちゃう

 

からどこでも反表現規制一本でやってるとクソややこしい大人世界が出てきちゃうのよ。

お気持ち」を叩いてるつもりでもっとクソ面倒な「お気持ち相手にする羽目になっちゃうの。

クラブダンスする事を認めさせるために音楽業界人や経営者が粘り強く社会に訴えかけていたのを覚えてない?あれが風営法での規制緩和の戦いなんよ。

もっと周り見ないとダメだし、過去の他業種事例も見なきゃだめだし、場面によって攻撃しちゃいけない相手も見極めないとダメだよ。

ウェーイ系クラバーが出来ることが自分らに出来ないでどうする、と考えないとあかんよ。

バイト日記

 日曜日の、遠方から来たらしい客が店の前で堂々と大麻のようなものを吸って店内に激臭いにおいが充満した件は、結局オーナーに伝えずじまい。

 オーナーはいつもイライラしているが、昨日もかなりイライラしていて、こちから余分な口を利けるような状況ではなかった。大麻らしき悪臭事件が「余分なこと」なのかはしらないけど。そもそも、私とAさんどちらも本物の大麻のにおいをそれと知って嗅いだことはないので、大麻かも? というのは推測に過ぎない。激臭いという噂の煙草ガラム」や葉巻の臭いだったかもわからない。ただガラムだと火を点けたら線香花火のような火花が散るというので、客が何かを吸ってる所をわざわざ見に行ったAさんがそれについて何も言わなかったから、ガラム説は無しかもしれない。

 ともあれ、オーナーが私の話にまるで聞く耳持たない感じだったので、報告しても余計な口を利くなと怒り出すだけだろうと思って口を噤んだ。いいんだ、どうせこの店はコイツの持ちもんだ、と思って知らなかったことにする。

 オーナーイライラの原因はたぶん夕方から入っていたバイト面接だと思う。面接に来たのはすごくガタイのいい(柔道レスリングやってそうな類い)女子高生だった。オーナー若者相手にダラダラくっちゃべるのが好きなのだが、今回は何時もの面接通りくっそ長かった(毎度一時間はかかる)が、あまり盛り上がってる感(毎度オーナーが一人で盛り上がってる)がなく、イライラした様子で事務所を出、すごくガタイのいい女子高生もそそくさと帰っていったので、不採用だったのかもしれない。

 オーナー相手に老婦人客がキレにキレて帰っていった。老婦人客は煙草KOOLパッケージペンギン描いてあるやつの色が薄い方をオーナーに注文したのだが、その注文の仕方が独特だった。この煙草を所望のお客様煙草名称を言うことは普段ほとんどない。

たばこKOOL緑色のやつで、左側の」

 とか、

KOOL緑色の……○番のやつ」

 などと言うお客様ほとんどなのだ。だが、キレた老婦人お客様は、

ループキング。」

 と言った。しか煙草棚の特定の部分をじっと見ながらとかいうこともなく、ただ、

ループキング。」

 と繰り返すので、オーナーは棚をざっくり見渡して、

ループキングって銘柄はうちには取り扱いないっすね」

 と答えた。それで老婦人客はヒステリーを起こし、

「ないはずがないでしょう、あなたすぐそこにあるのに見えないの!?

 とかなんとか、店じゅうに響きわたるほど怒鳴り散らし、でも煙草の番号を言ったりある場所を指差したりしたくはないらしく、レジの前でオーナーを罵り倒していたが、オーナーが「ない」の一点張りで通そうとしたのでやがて痺れを切らし煙草棚のループキングのある場所の前まで行ってカウンターから身を乗り出すようにして、

「そこにあるでしょう!!!!!」

 と金切声を上げていた。

 だがオーナーは老婦人客がキレまくってることなんか意に介していない様子でのろのろ歩いていくと、エメラルド色の箱を取って、

「ふーん、これがループキングっていうのかぁー。初めてしったなー」

 なんて呑気に言った。

 老婦人客は帰る時に私が「ありがとうございました」と言うとなんかすごい早口で怒鳴り散らして店を出ていった。

 客足が減って暇になったときオーナーが私に、

ラテマシンから先に”洗ってください」

 と命令したので、私は「わかりました」と答えてすぐに「ラテマシンから先に”」洗い初め、次にラテは作れないマシン洗ったらオーナーがキレた。

「僕はラテマシンを洗えと言ったんです! それは洗えなんて言ってないです! 洗わなくていいです!」

 こんな理不尽は何時ものことなので、私は「わかりました」と答えた。謝ると余計に面倒臭くなるので謝らない。

 そんなこともあったので余計に先日の大麻疑惑の件を話す気がなくなった。

 トイレ掃除をしている時に、ふと、当店によく来るお客様大麻違法だが事実上取り締まられていない国から来たアジア系の人と、どこの国出身不明白人の二人組がいることを思い出した。二人組のうち白人の方が日本の悪しき文化である「いじり」を軽々しく使ってコミュニケーションを図ろうとしてくるクソめんどい人なんだけれども、そのぶんこっちからしかけても鬱陶しがりはしない人なのだ

 もしもあの大麻疑惑事件の時にあの二人組がたまたま来店していたら、「これって何の臭いか分かります?」って聞けば、ガチ大麻だった場合大麻だよ」って教えてくれただろうけど、

日本大麻違法なのになんで君たちはあいつら捕まえないんですか?」

 とか苦言を呈されそうだなと思った。

 ところで、数年前、当店に勤めるまえに勤めていたコンビニで、深夜店番をしていたらパトカーが数台やって来て、店の駐車場に止まっていた軽自動車警察官が取り囲んで運転手と同乗者を捕まえたということがあった。車に乗っていた人達麻薬を持っていたらしい。

 その時店番をしたのは私と底意地の悪いシルバー人材の人だけだったのだけど、何が起きたかからず二人揃って震え上がり、物理戦闘力では定評のあるイケメン正社員氏を電話で叩き起こして早めに出勤して来てもらったのだった。早めに来いと言ったのに遅刻してきたけど。

 そんなこともあった。

2021-09-20

anond:20210920184054

 確かにタバコ特有のオエッとする感じのきな臭さとは違いました。なんというか、ツヤツヤしてノスタルジックな感じな臭い日向に干したバスタオル臭いから洗剤の臭いを消して百倍濃縮したような。赤ん坊おしっこ臭いにも似てるかも。

 当店がお薬の取引所にされたらやばいですね。オーナー相談します。

2021-09-12

世の中カテにブクマで上がってくる朝日記事とか、朝日終わってる感すごい。

名門もビルオーナー業として生きるしかないのか。

なんか、小中学校先生みたいなビジネス感覚のないけど暮らしはなんとか立っている人たちが、

筋の悪い愚痴を言ってるような記事ばっかりだ。LGBTとかフェミとかの記事もそうだけど。

正論を堂々と語る力量がなくて、基本の立ち位置が801になってて議論背骨がない。

記者デスクも本当の教養とかペンと剣の覚悟みたいな矜持とかそういうものどこかに置き忘れていないか毎日思う。

無料範囲だけ見ました)

2021-09-08

バイト日記

 常連お客様酔っぱらいセクハラお爺さんなお客様がいる。素面かあまり酔ってない時からすでにセクハラなのだけど、かなり酔っているとき女性従業員の尻や胸を触る、迷惑な人だ。

 その酔っぱらいセクハラお爺さんなお客様に、この間Dさんがキレた。すれ違いざまに尻を触られたDさんはすかさず、

「今度やったら警察呼びますよ!」

 と怒鳴ったそうだ。という話をAさんから聞いた。

 Aさんによれば、酔っぱらいセクハラお爺さんなお客様が先日、フリーター女子バイト18歳さんの手をさわさわ~っと触ったらしく、それをフリーター女子バイトさんがDさんに相談した。そしたらDさんは「あのクソジジイ許せねぇ!」となったらしい。

 確かに未成年店員にまでセクハラされるのは由々しきもんだい。まあ、成年の店員にもセクハラはしないで欲しいけど。

 私はというと、もう老い先短いお爺さんにセクハラするなよと今更諭しても効果はないだろうと思っていて、警察沙汰どころかオーナー相談する気もなかった。セクハラお爺さんなお客様エロは(される側の女にとっても)ご褒美だと思ってるくちで、わりと冗談が通じる方なので、触られたら「めっ!」と言って手を叩き落として反撃していた。コンビニは夜のお店じゃないんだけど、夜のお店くらいのじゃれ合いというか猫パンチ応酬で済むんならまあいいか、と思ったのだ。

 だが、Dさんは妥協しなかった。未成年バイトを守るためにセクハラお爺さんなお客様に立ち向かったのだ。もしかすると、私みたいに日和った対応をしていた奴のせいでセクハラお爺さんなお客様を付け上がらせたかもしれないと思って、私は反省した。

 私が当店に勤め始める前は、一年前に辞めたベテランパートの人が、セクハラお爺さんなお客様の主なターゲットだったらしいが、ベテランパートの人はセクハラされるのに甘んじる代わりに、セクハラお爺さんなお客様にたまに「チョコ買ってよ」とかおねだりして買ってもらっていたらしい。さすがバブル時代ピチピチギャルとして生き抜いた女は強いぜ! と、そういうとこだけは尊敬され一目置かれていた、ベテランパートの人だった。

2021-09-05

バイト日記

 先週、オーナーシフトに入った日のこと。カフェマシンのパーツを洗い終えて、洗い物籠をしまう前に洗おうとした。水道から水を出した途端、シンクからちょうでっかい蛾が飛び出した。店内にお客様がいるにもかかわらず、私は思わず「ぎゃあ!」と叫んだ。帽子から鳩が出てきたレベル唐突さだったのでびっくりした。

 蛾は飛び出した瞬間、蛇口から出たシャワーに当たって水没。私はびっくりし過ぎて溺死寸前の蛾の頭上に更に強力なシャワーを誤射してしまった。瞬く間に溶けてボロボロになる蛾の羽。慌てれば慌てるほど強くなる水流。蛇口のコックを動かす方向間違えてる。最近蛇口に着いたシャワーノズルを誰かが掃除してくれたらしく、水流はフルマックスで、手に当たるだけでも痛いくらい。それが蛾の羽をビシビシ打ち破っていってる。たいへんたいへん!!

 やっとのことで水を止めたら、排水口のところからボロボロになった蛾がこっちを見上げていた。目が大きいせいだろうか、蛾って正面から見ると、鳥類よりも知性と心がありそうに見える……心が痛む……いきなり飛び出てきたのは、蛾の方だけど……。しかし、さっきまで普通に洗い物をしていたシンクの中に、いつの間にこんなでかい蛾が入り込んだのだろうか。

 甲虫なら素手で掴むけど、蛾の類いは私は苦手だし、もしも素手で掴んだせいでただでさえガッチャマン状態になってしまった羽を再起不能にしてしまったらあれなので、ペーパータオルに蛾を掴まらせて救出した。虫の前にペーパータオルを垂らしても、普通はなかなか掴まってこないものだけど、蛾はすぐにしがみついてきた。まさに溺れるものは藁をも掴む。

 ひぃ、こわい……と言いながら蛾を釣り上げていたら、お客様レジにお会計にきたので、私は慌ててシンクの脇のテーブルの上に蛾を投げ捨てて振り返った。蛾が「ひどい」って言いたげな顔をしているように見えた気がした。何事もなかったかのような顔をして商品スキャンしたけど、お客様のところから、蛾の様子がめちゃめちゃよく見えることに、スキャンしてる最中に気づいた。ホールの状況を見ず、びびりながらペーパータオルで蛾を釣り上げる店員て。

 レジ対応をしていた間、蛾はおとなしくペーパータオルの上にいた。雨がちで空気がじめじめしているせいで、羽は乾かなかったが、店内に置いておいて羽が乾いた途端に飛び立たれても困るので、生乾きのまま外に出した。店外の、出入口から少し離れた所に蛾を置いたら、蛾は店内の明かりに惹かれて窓にぶつかっていき、羽が割れた。それでもガラスにぶつかりつつジタバタ飛んで、しまいには暗闇に向けて飛び去っていったが、蛾の運命いかに。

 店内に戻って水道で手を洗おうとしたら、シンクゴミ受けに蛾がもう一匹沈んでいた。おおう。こっちは小さかったので水をまともに受けて溺死していた。

 という話を、次のバイト日にAさんに話したら、Aさんは、あのちょうでっかい蛾は月曜日にAさんが捕獲し損ねたやつだろうと言った。蛾はAさんに追跡されてお菓子の棚の奥に逃げ込んでしまったとか。

2021-09-04

anond:20210904215009

メルセデス、そこまで不具合でる?

私もオーナーだけど、いままでトラブルは1回だけ、しか保証対応費用からず。

しかオイルからワイパー代、工賃まで何から何まで高い。国産ディーラの1.5倍位。

でも、やはりヤナセ対応良いしクルマ満足度も高い。

ある程度お金に余裕のある人むけって感じが客層みても思うが、自分もようやくそこまで

登ってこれたなあと思ったら自己肯定感ある。

2021-09-03

anond:20210903075017

でも空きまくってるんやろ?金出せば貸してくれるんちゃう

spankは特別嫌われてるから他のオーナーには貸してもらえないのか?

2021-09-02

anond:20210902171609

これ、面白い騒動だったよなあ

スカスカおせちといいなぜ飲食ネタはこう面白いのだろうか

今の20代とかスカスカおせち騒動とか知らないかもな

なんか時代の流れは速いなw

納豆ご飯「生涯無料パス没収された3人が語る顛末と、運営会社社長の言い分 1万円CFめぐるトラブル記者が追った

クラウドファンディングCF)で納豆ご飯専門店「令和納豆」に1万円を支援して受け取ったリターンが「生涯無料パスポート」をうたっているにもかかわらず一方的没収された、という口コミインターネット上で拡散している騒動で、同店は2020年6月1日没収した事実を認めたうえで、利用規約に基づいた正当な処置だったとする声明を発表した。この口コミを書いた人物以外にも没収した例はあるとし、その原因となった行為を例示している。

だが、実際に同パス没収された複数の元所有者はJ-CASTニュース取材に、例示されたような行為は「していません」と即答する。没収理由として店側から言われたのは「無料パス対象セットしか注文していないから」「アンケートへの回答が不誠実だったから」といったもの。一体どのような経緯で生涯無料パス没収されたのか。店の対応は法的に正当だったのか。元所有者3人と、店舗運営する株式会社納豆社長に話を聞き、弁護士CFサイト運営会社見解を聞いた。

生涯無料パスポートの対象セット「納豆ご飯定食(梅コース)」(納豆社がCFを募った2019年リリースより)

令和納豆6月1日声明

生涯無料パスポートの対象セット「納豆ご飯定食(梅コース)」(納豆社がCFを募った2019年リリースより)

生涯無料パスポートの対象セット「納豆ご飯定食(梅コース)」(納豆社がCFを募った2019年リリースより) 令和納豆6月1日声明

1000人以上が生涯無料パス支援

納豆ご飯専門店「令和納豆」は納豆本社水戸市、以下「納豆社」)が2019年7月設立開店前の19年4~6月CAMPFIRE本社東京都渋谷区)が運営するCFサイト「FAAVO(ファーボ)」で支援寄付)を募り、目標300万円の4倍となる1200万円超が集まった。

CFのリターン(お返し)の目玉だったのが、1万円(税込)の支援で得られる「納豆ご飯セット一生涯無料パスポート」(以下、生涯無料パスもしくは無料パス)。600円(税別)の定食「梅コース」を文字通り一生涯無料で食べられる。CFのページによると、本人のみ有効、1日1回限り、譲渡禁止といった条件が書かれている。支援者総数1228人のうち、1099人が無料パス支援している。

Google投稿された1件の口コミネットで注目されたのは205月22日ごろ。1万円を支援して無料パスを受け取ったが、15回ほど利用したところで、店員一方的に同パス没収されたという。理由規約違反。「毎回、無料納豆定食しか頼んでいない」「メールでのアンケートの回答が不誠実」という2点から、「規約にある『当店と会員の信頼関係が損なわれたと認めた場合』に該当する」と判断された。「詐欺まがいの店に怒りを感じています」と心中を明かしている。

令和納豆5月23日ツイッターでこの口コミ言及。「結論といたしまして、今後の無料パスポートのご利用に関しましては、今までと変わらず通常通りご利用いただくことが可能ですので、ご安心ください」としたが、本当に無料パス没収たかどうかについては「事実確認は引き続き行っておりますので、順次ご報告させていただきます」としていた。

J-CASTニュース5月29日にこうした経緯を記事化すると、令和納豆6月1日納豆社の宮下裕任社長名義で書かれた「無料パスポートの権利失効に関する一部報道につきまして」と題する声明店舗ウェブサイトで発表した。「当店で当時対応した従業員事実確認を行いました」という。

初回利用時「当店が制定した利用規約をご説明

声明によると、令和納豆の生涯無料パスは「クラウドファンディング思想法律に基づいた信頼関係の構築を重視」している。支援者には初回利用時、「当店が制定した利用規約をご説明差し上げ、同意いただけなかった場合はその場で返金、同意いただけた場合クラウドファンディングのリターンである権利有効化を行っておりました」と、支援の後で「利用規約」の存在を明かし、説明しているという。

その利用規約では信義誠実の原則に則り、「当店の運営妨害或いは当店の信頼を毀損するような行為」「入会手続きを含めた当店が行う全てのアンケートに対し虚偽の回答を行う行為」「その他当店が当該会員の行為として不適切であると認めた行為」などを禁止話題になった口コミ人物について「利用規約同意をいただいておりました」というが、

「ご来店の度に従業員の配席案内に従っていただけなかったり、ご注文の順番をお守りいただけなかったり、アンケートへの不誠実な対応をされたり、信義誠実の原則上の注意事項に違反する行為が多くございました。その都度お声がけをさせていただいたものの、残念ながらご理解を得ることができませんでした」

と、没収の原因となった行為を記した。

この口コミの件以外にも、次のような支援者に対しては「当店が目指す生涯のお付き合いをするための信頼関係の構築が難しいと判断し、従業員から利用規約に基づき理由を伝え、パスポートの権利の失効を行わせていただきました」という。

従業員に対して罵声を浴びせ、退店時に当店の看板を破損させ、当店に損害を与えた方。

従業員を罵ったことで、複数お客様が退店され、当店に損害を与えた方。

入店時の列や会計待ちの列に強引な割り込みをし、他のお客様不利益を与えた方。

など

令和納豆は「一連の手続きに関しまして、所有者と当店の間で交わした利用規約に基づいた処置であり、インターネットSNS上の記事掲載されたような『詐欺行為』や『一方的剥奪行為』に当たる内容ではないことを弁護士事務所にも確認しております」と、没収は正当に行ったことを強調。「今回の件にまつわるインターネットSNS上での当店並びに個人に対する、事実とは異なる投稿捏造誹謗中傷脅迫行為事実誤認の記事作成した個人企業に関しましては、法的手段検討して参ります」との方針を示した。

没収理由は、無料パス対象メニュー以外を注文していないか

一方、実際に生涯無料パス没収されたという当事者3人にJ-CASTニュースが話を聞いたところ、その認識は令和納豆声明と食い違う点がある。3人はいずれも関東圏に居住インターネットで令和納豆CFを知ると、店舗仕事生活圏内にあるため便利そうだと、1万円を支援した。

3人のうちAさんとBさんの2人は、無料パスが手元に届き、初めて店舗パスを利用しようとした時に、令和納豆声明にもあった「利用規約」が配布された。A4用紙4枚分程度の量で書かれている。

Aさんは「『こち利用規約です。読んでおいてください』といった形で渡されました」と話す。その後、無料パスを使って数か月間で十数回食事したところで、アンケートを送ると店員に案内され、追ってアンケートメールで送られてきた。

メールには「アンケートにご回答いただくまで無料パスポートはご利用できません」「アンケート内容に不備や不正があった場合無料パスポートのご利用ができなくなります」と2つ留意点が書かれている。質問は、

・令和納豆をご利用いただいている理由(50文字以上400文字以下)

地方創生地域活性化必要だと思うこと(同)

インターネット上で令和納豆事実無根の誹謗中傷をする人達対策に関するアドバイス(同)

・梅コース以外のご飲食はお楽しみいただけておりますでしょうか(はい/いいえ)

など。50文字以上400文字以下で回答する記述式が8問ある。

Aさんは、「アンケートに回答した次の店舗利用時に、無料パスを取り上げられたように思います」と話す。店員に伝えられた没収理由は、「無料パス対象メニュー以外を注文していないから」。地域支援目的CF支援してもらっているところ、無料メニューだけを食べ続けるのならば店の利益にならず、地域支援に貢献する意思がないとみなして権利を失効する、などと説明された。Aさんは「利用規約のどこにどう違反たかは聞いていません。アンケートにもちゃんと回答しました」という。

声明に例示されていた失効の原因となる行為は「していません」とAさん。「店員を罵ったこともありません。私が入店中にトラブルを起こして他の客が退店したこともありません。看板破損ももちろんしていません。割り込みについてはそもそも入店時や会計時に列があるのを見たことがありません。私は普通に無料パス提示して食事をしていただけです」とし、「正直自分けが1万円を取られたのであれば別に何とも思いませんが、他にも同様の人がたくさんいるであろう状況は許せないです」と納得していない。

アンケートの回答が不誠実だった

同じく生涯無料パス没収されたBさんは、利用規約について「CF募集ページに書いてあった『1日1回』といったことは言われましたが、細かい規約内容を説明されたかどうかは覚えていません。少なくともその利用規約をもとに、こういう形で没収されるとは思っていませんでした」と取材に話す。

「こういう形」というのは、やはり同パスで十数回食事した後、メールアンケートが送られてきた。大半の質問に「しっかり回答しました」というものの、「地方創生地域活性化必要だと思うこと」の質問にはアイデアが出ず、スペースキー字数を稼いだ。

無料パス没収されたのは、アンケート送信後の店舗利用時。店員から信頼関係がなくなった。今後お付き合いしていくのは難しいと判断した」と伝えられた。

その原因はAさん同様「生涯無料パス対象メニューしか利用してこなかった」ことに加え、「アンケートの回答が不誠実だった」こと。スペースキーで回答字数を稼いだことなどが「不誠実」とされ、「回答し直せばいいのか」と頼んでも聞き入れられなかった。他にも同パス没収した人はいるかと聞くと、「十数名」いると答えたという。

Bさんも、令和納豆声明にあるような失効の原因となる行為は「していません。強いて言えばアンケートになるのだと思います」と話す。「信頼関係がなくなった」という判断恣意的ではないかとし、「これがまかり通ってお咎めなしとなったら、やりたい放題にリターンを没収できてしまます本来CFは良い仕組みのはずなのに、新しく事業などを始めようとしている人にも『怪しいサービスなのではないか』と疑われかねません」と首を傾げる。

取材に応じた3人のうちのもう1人、Cさんのケースはやや異なる。生涯無料パスは初回利用時に没収されたという。

CFで1万円支援した後、無料パス7月中に発送とされていたため、Cさんは19年7月10日の開業日に合わせて届くものだと思っていた。しかし、なかなか届かず、不審に思ったCさんは同28日ごろ、メールで「届きませんが詐欺なのですか?」などと令和納豆側に問い合わせた。

Cさんによると同31日に無料パスは届いたが、その後初めて利用しようとしたところ、食事後に「規約違反」を理由に取り上げられた。「令和納豆に著しく害をなすおそれがある」「ネットクレームを書き込むおそれがある」などと判断されたという。実際にネット誹謗中傷などを書き込んではいなかった。

先の問い合わせの文面が原因かとCさんは推測しているが、「そもそも利用規約を受け取っていない段階で、規約も何もないのではないですか」と腑に落ちない。一方、AさんやBさんと異なり、Cさんは没収時、CFの1万円を返金された。食事代もかからなかった。

「リターンの性質について充分明らかにしていなかった点は問題があると考えられます

J-CASTニュースが入手した令和納豆利用規約アンケート、発表されている同店の声明、前出の3人の話などをもとに、インターネット関係トラブル詐欺事件にも詳しい弁護士法人 天音総合法律事務所の正木絢生・代表弁護士に、法的観点から見解を伺った。まず利用規約アンケートに関して、次のとおり述べている。

無料パスについて、これを利用するためには利用規約同意し、かつアンケートに回答すべきことを明らかにしていなかった点について、リターンの性質について充分明らかにしていなかった点は問題があると考えられます

利用規約については、『ご利用にあたっては会員規約同意いただく必要がございます』というような注記をすることが望ましいとは考えられますが、会員に無料パスポートの利用権を付与することが、永久に、無条件で利用を許諾することを意味するとまでは解せず、内容的にも少なくとも規定文言上大きく問題があるものとはいえないので、法的に見て問題があるとまではいえないと考えられます

他方、アンケートへの回答については、8項目で各50文字、累計では最低でも400文字と決して少なからぬ分量の記載を求められるうえ、その中には地方創生必要と思うこと、利用規約同意した理由誹謗中傷対策アドバイス等、飲食店ないし飲食サービスとは関係性の薄い項目も少なからず含まれています

このように、質的にも量的にもCFのリターンの利用にあたって求められるとは考えづらい負担が利用開始の条件となる場合、リターンの性質・程度といった重要事項に関係するため、事前にその旨を明示しておくことが必要であったと考えられます」(正木弁護士

無料対象メニューしか頼んでいなかった」ことは、規約違反

利用規約説明たかどうかをめぐっては、「利用規約をご説明差し上げ......同意いただけた場合CFのリターンである権利有効化」としている令和納豆と、「『読んでおいてください』といった形で渡された」というAさんや、「細かい規約内容を説明されたかどうかは覚えていない」というBさんとの間に、やや食い違いがある。どの程度をもって「説明した」「同意した」と言えるのか。

利用規約説明について、一般的用語法として、『読んでおいて』として利用規約を渡す行為を『説明した』とは言わないかと思います

ただし、利用規約有効というために必要なのは利用者同意すること(意思表示が合致すること)のみであり、業者利用者に対して内容を説明することが必須とまではいえず、『読んでおいて』として利用規約を渡すだけであったとしても、法的問題があるとまではいえません。

また、利用規約への同意について、契約の成立にあたって特段の要式は必要とされませんので、署名や押印が必須というわけではなく、口頭で『同意します』と述べることでも同意有効となります契約の内容等によっては、署名・押印なしでは真に合意があったとは言えない可能性もありますが、本件はそのようなものとはいえないでしょう」(正木弁護士

そこで、令和納豆利用規約にもとづいて一連の対応を見てみる。前出の3人が没収の原因として適示されたという Permalink | 記事への反応(0) | 17:23

表現の自由戦士は、まんだらけ禁書房の件で「サブカル 語る。」を批判する

id:arrow1953まんだらけの「禁書房」はオタクのキモさを周囲に知らしめる絶好の機会 - サブカル 語る。について批判する。

店の立地の判断

若い女の子の多く集まるお店の前。」というのを考えてみた時に「そもそも、自らの性癖を周囲(しか女性)に晒すことになる店なんぞに客はやってくるのだろうか?」という考えはなかったのだろうか?いやいや、おそらくあったのでしょう。ということはむしろ女性たちに自分性癖晒すことになる」のが大前提であり、それこそこのお店の最大の「ウリ」と判断したのだと考えるほうが自然

いや、それは不自然だw

まず、中野ブロードウェイテナント部分も区分所有であり、以下のような理由が考えられる。


で、客が来るか来ないかでいえば、もともと周辺はまんだらけや、他のアダルトショップもあり、回遊性という意味では特に支障が無い。

まり、目の前のファンシーショップのことを気にしていなかっただけ、と考える方が明らかに自然だろう。気に入らないものに対して、無理に悪意を見出そうとするのは人の心理ですが、書いていて気づかないのは、はっきり言ってかなり重症である

社会」について

一般的な形で社会コミットしているエロ好きオタク非オタクな社会人の皆さんはそんな環境を「キモい」と思うでしょう。社会コミットできているエロ好きオタクにとって迷惑このうえありません。

社会というものについて深く考えることもできず、ただ性欲をダラダラと人目を憚らず周囲に垂れ流すだけの節度のない「オタク」ははっきりいって「ジャマ」。

社会対応できない非常識オタク」を社会晒し駆除

社会性のないオタクどもへの罵詈雑言だけ

と、「社会」に適応することについて、延々と述べている。

しかし、そもそも社会」とは何だろうか。単に、"いかがわしいもの排除する"程度の話であれば、それは、「社会」の話ではなく「世間」の話に過ぎないと増田は考える。これが、もし「社会」の問題であれば、ファンシーショップやその客側の利害や権利まんだらけやその客側の利害や権利を洗い出して具体的に特定し、それを比較衡量し、なおかつ人権といった普遍的とされる概念に照らして判断する必要があるし、もし規制するとしても、最小限度の範囲利益考慮たかたちで行われる必要があるだろう。

駆除」の条件

id:arrow1953 の言い分を要約すると「"キモイ""節度のない""社会対応できない非常識オタク"は"ジャマ""迷惑"だから"駆除"すべき」といったことを言っていると思われる。ここで、注目すべきは「駆除」の条件である

これらが条件となっている。これは明らかにヤバい

これらの、主観的悪徳評価は、おうおうとして少数民族異端迫害村八分を行う理由として使われてきたものである。ちょうど先日9月1日関東大震災の日だったが、その際に行われた朝鮮人やその他外国人、「アカ」、その他の余所者などの人々に対する虐殺は、このような理由のはっきりしない主観的悪徳評価が大きな背景としてあった。id:arrow1953 の主張は、関東大震災虐殺に及んだ「普通の人々」とほぼ同じである

なお、ちゃん人権を学んだ人は「公共の福祉」つまり権利の衝突から必要最小限の自由の制約ということを考えるし、仮に自分不快に思ったとしてもそんな感情はクソどうでもいいものとして棄却ちゃん合理的思考をするように訓練されているし、市民(≠大衆)はそう訓練されなければならないと増田は考えている。

ゾーニング

ゾーニングを守ってさえいれば

この、「ゾーニングを守る」の一言で済ましてしまうことが、大きな問題である

まず、完璧ゾーニングというのは不可能である。どんなに隠したところで、そこにそういうものがあることは隠すことができない。なぜならば、ゾーニングは中に何があるかを明示しなければゾーニングにならないからだ。また、厳しいゾーニング広告宣伝が制約されたり、不便な立地に追いやられれば、当然に、売上や客足に影響するだろう。また、ゾーニング対象をどのように選ぶかという問題もある。たとえば、ユダヤ人経営する商店特定街区にゾーニングするとすれば、それは単なるゲットーだ。

このように、一言で「ゾーニング」といっても、営業自由やそれによる利益に対して配慮し、合理的規制しうる最小限度の範囲で行うための子細な検討を要するはずである。それらを抜きに「いかがわしいアダルトショップが悪い!」みたいな雑なお気持ちで「ゾーニングしろ!」と吹き上がるのは、はっきり言って、コリアンタウンデモをやる在特会の連中とさして変わらない。

2021-09-01

賃貸IHコンロ置いてる人いる?

引っ越し先がガスコンロを持ち込む方式なんだけど、奥さんガスコンロではなくてIHコンロを設置したいという

価格では、IH本体9万に工事費を合わせて10前後ガスコンロならば2万程度なのでどうかなっておもう

かにプロパンからガス代は高いのだが、奥さん火災予防とガスコンロ掃除の大変さや料理へのモチベーションをあげている

ガス代がもっともかかるのは風呂から節約効果なんてそもそも期待しないらしい

それより子供がいる中でガスの事故を最も警戒しているんだとか

うーん、わかるけどこれに10万かと尻込みしている

まあガスコンロよりリセールバリューありそうだけど

追記

IHは火力に難あるという意見だけど、どうも自称料理できるというバイアスかかってそうだからなあ。まあ火力の面で少し話すか。

でも、そもそも奥さん料理の美味しい不味いでIH選んでないのだよな。子供いるから、ってのが大きい理由だし。

追記2】

管理会社に聞いたけど、単相3線なので200Vを利用することができ、専用コンセント工事すれば可能。ただ原状復帰が必須からコンセントを取り除かないといけない。そこまでするほどではないから、結局ガスに落ち着きそうだ。

ただIHのもの料理以外でも大きな意味があるので、将来の家ではIHがいいと思ってる。

追記3】

管理会社オーナー交渉できるか聞いてみるか。ガスでだめな理由もあまりないが、調べるとやはりIHには大きなウェイトがあると思う。

40Aとやや心配だけど、ちょうど分電盤は1つブレーカーが空いているので増設可能からね。駄目なら普通にガスかな。

ちなみに100Vのアイリスのやつを勧めている人いるけど、あのクラスを使った経験から本当にお湯を温める程度だから役に立たなかった。ゴメンな

追記4】

管理会社経由でオーナーにきいたけど、なんだかチグハグな回答ではぐらかされてしまった。

というわけで我が家はガスに落ち着きそう。

いい感じのガステーブルを買えばかなり快適そうだしね。

ここで学んだけどIHにもガスにも種類がいっぱいあって一概に比べることはできないんだね。特にIH電圧アンペア関係していて個体差が大きい。だからこそIHを批難する人が多いんだなって思った。

2021-08-30

コンビニ店長? オーナー? さんにお伺いしま

公金支払いやらなんやらの "収納代行サービス" をしてるかと思います

ここで例えば… 10万円/件 を 4枚同時にお願いする…すなわち 「総額40万円の支払い手続きを1回でお願いする」 のは、迷惑でしょうか?歓迎でしょうか?

コンビニ普段取り扱わなそうな金額を一括で支払うのは有りか?無しか? という話)

コンビニ店舗が巨額を収納代行する事になんもメリットも無い / 薄すぎるのであれば、金融機関手続きした方がいいかなぁと思った次第です

その他所

中野ブロードウェイの話

東京駅前再開発なんかで商業施設が乱立していて(職場渋谷なので特に渋谷のここ数年の開発ぶりには目が回った)、よく言えば当たり障りのない、悪く言えばありふれた店舗がひしめき合ってる。A店の隣にB店があることが風景としてすんなり受け入れられるような、驚きもないが不快感もないラインナップ。

余談だが、そういった意味では渋谷PARCOの地下の飲食フロアは新鮮で面白かった。都心商業施設のワンフロアでありながら、〇〇横丁とかガード下のようなカオス感が味わえる。

中野ブロードウェイのごちゃごちゃ感が好きだ。

漫画玩具、服、アート占いフロアごとにカテゴライズすることができない。全く趣向の異なる店舗同士が隣り合い、狭い通路を挟んで向かい合い、不思議共存してカオス空間を作り出している。 

エログロアングラ何にでも抵抗がないいち消費者から勝手なことが言えるといえばそれまでだが、ブロードウェイフロアごとのカテゴライズゾーニングがあってはほしくないなと思う。

アダルトショップはあまりに自店舗雰囲気と合わないというSpank!の言い分も多いに分かる。でも一般的商業施設では味わえない「なんでもアリ」のごちゃごちゃ感こそブロードウェイの魅力でもあると思う。

Spank!のオーナーさんの5年前のブログから引用

"『誰もが可愛いと思うようなお店はやりたくない』 というポリシーオープン当初からずっと変わっていません。

"平均的な可愛さ" が世の主流になっている昨今、時代に逆行しているようですが、いつまでも"マイノリティのパワー" に魅力を感じるし、それに触れていたいのです。

(同じく時代に逆行している中野ブロードウェイに、シンパシーを感じずにはいられません✨) "

中野ブロードウェイ移転したのはただそこに空きがあったからではなく、彼女理念合致する部分も多くあったようだった。

今でこそきゃりーぱみゅぱみゅのようなkawaiiファッションゆめかわ系、といったもの世間一般に知られているが、Spank!はその先駆け的な存在であったと思う。私は高円寺の頃の店舗しか行ったことはないのだが、まさにマイノリティな「カワイイ」を見つけ、発信していく存在感のあるお店だった。

からこそ今回の一件は残念に思う。どちらかに圧倒的に非があると言い切れない。

どうにか上手く落としどころが見つけられれば良いなと思うのですが。

Googleに買収されたpringは利用者性別性的指向差別している

pring利用規約23条の11には、以下の記述がある。

23.禁止事項

ユーザーは、pring及びアカウントに関して、以下に記載することを行ってはなりません。

<中略>

11. <前略>面識のない異性との出会い交際目的とする行為<後略>

どう考えても異性に限定する必要はない。不当な性差別だ。

それに、同条9項にはこんな記述がある。

9. <前略>性別<中略>による差別につながる表現<中略>を投稿又は送信する行為

ここまで見事な矛盾を見ると一周回って清々しい。客が行う差別表現を禁じる前に自らが客を差別するのをやめるべきだ。

一方、同社が制定した別の規約(適用される対象者が違う)である公式アカウント利用規約」には、下記の記述がある。

11.禁止事項

1.(1) オーナー共同管理者およびフォロワーは、本サービスに関して、以下に記載することを行ってはなりません。

<中略>

8.⑧ <前略>面識のない第三者との出会い交際目的とする行為<後略>

こちらは性差別をしていない。文章を精査せずに適当に作っているのだろうか。顧問弁護士無能なのかな。知らんけど。

結論

性差別企業Googleとpringを絶対に許すな 性差別をやめろ

2021-08-28

アイアンリーガーに騙された -2-

1(https://anond.hatelabo.jp/20210828215226)のつづき

プログラムされた意思

 第九話では、トップジョイの正体と過去が明らかにされる。もともとダークスポーツ財団で「作られた」トップジョイは、ショックサーキットという枷を掛けられ、スパイ行為を「ほとんど」強制されていた。これまで意思を持ち、それを自由行使できると思われていたロボットが、実はそうではなかったということが、ここで明らかになる。

 もちろん、ショックサーキット自体第一話の時点でマッハウインディに埋め込まれた形で登場している。ダークスポーツ財団ロボットたちに背反を許さないようにし、彼らの自由を奪っている事実は、物語の冒頭から提示されていた。

 だが第九話から続くトップジョイ物語は、マッハウインディがショックサーキットに苦しみ、そして克服した第一話・第二話とは少し様子が異なる。マッハウインディが自らダークの元を去り、早々にショックサーキットを切除して完全にダークとの絆を絶ったのに対し、トップジョイはそこから十三話まで、「自らの意思で」ダークとの関係を持ち続けているのである

 トップジョイが――シルバーキャッスル好意を抱き、マグナムエースから手を差し伸べられていたにも関わらず――なぜ十三話までダークとの縁を切らなかったのかについては、明確な描写がなく、少々解釈が難しい。ここから先は憶測比重が非常に大きくなるので、ご容赦いただきたい。

 第九話で、トップジョイはフェアプレーを重んじるシルバーキャッスル、及びそれに共感する子どもたちを「理解できない」と言った。「ラフプレーをすれば客は喜ぶ」「客を喜ばせるのがアイアンリーガー」だと。

 これは、シルバーキャッスルを内部から撹乱するというスパイ行為による言葉ではない。トップジョイ本心だ。彼は本心ラフプレーを正しい行為と捉えているのである。同じ本心で、第八話でキアイリュウケンオーナーの絆に涙し、子どもたちと純粋交流を楽しんでいる一方で。

 同時に、九話ではトップジョイ過去と思いが垣間見える。「楽しむ」ことを大切にした結果、バスケットチームから放逐された過去。それでも忘れられない、バスケットリーガである自分に向けられた観客の歓声。あの場所に戻りたいという思いが、トップジョイ根底にある。

 彼がぎりぎりまでダークとの絆を絶てないでいたのには、この思いが大きいのではないだろうか。トップジョイがダークに従っているのは、ショックサーキットけが理由ではない。もっと根底の、自分存在のものに関わる意思ーーあるいは、心ーーである

 これは完全に僕の推測であるが、第八話で示唆された「ロボットは、人間役割を与えられ、それに相応しいように設計プログラムされて生み出される」という事実を踏まえると、トップジョイのこの「意思(心)」もまた、ある程度製造者によってプログラムされたものではないだろうか。

 作中で、ロボット意思思考、心が人間プログラムされたものだという直接的な言及は(現状)ない。だが彼らが「注文に応じて製造される商品」としての一面を持つ以上、ロボット人間赤ん坊と同じようにまっさら状態で納品されるとは思えない。彼らは製造された時点である程度の機体性能、そして知能と知識を有し、そこには人間意向が相当程度反映されていると考えるのが自然である

トップジョイ」という名前であるがーー彼らがある程度完成された状態で世に出るとしたら、彼らの名前は、その機能・性能にちなんだものであるのだろう(もちろんまったく関係のない場合もあるかもしれないが)。ロボット機能・性能は、つまり製造者が彼らに込めた役割と期待である。「ジョイ」つまり「喜び」。彼は、人に「喜び」をもたらす存在としての役割を期待されたのではないか。故に、ああいった明るい性格に設定され、他者の喜びを自分の喜びとするような性格プログラムされたのではないか。そして、そのプログラムされた心でラフプレーに喜ぶ観客たちを見て、それを自分の喜びとして、そして正しいこととして学習したのではないだろうか。

製造された時点でラフプレーを正しい行為としてインプットされていた可能性もあるが、第九話のトップジョイの「教わった」という言い振り的に、その可能性は薄そうである。)

 だが、その期待は裏目に出た。明るく楽しくを第一義とする性格チームメイトの反感を買い、彼は本来活躍するはずだったバスケットコートに立つことができなくなった。その後、シルバーキャッスルにおいてはーー彼自身純粋から本来スパイという立場を越えて、彼らに好意を抱いているにも関わらずーー逆にラフプレーを許すことができないシルバーキャッスルの皆の心を理解できず、孤立してしまう。

 そして、ダークから虐待を受けても、マグナムエースたちから手を差し伸べられても、本当に自分が望むことに気づきかけても、プログラムされた心で過去に学び、感じた喜びを忘れることができず、ダークとの繋がりを断つことができなかったのではないか

 人間の都合によってプログラムされた「心」によって、トップジョイは傷つき続けていたのではないか

 人間と全く同じように喜び、悲しみ、悩み、傷つく「心」を、人間の都合によって作り出すというこの世界の不気味さが、トップジョイによって突きつけられる。

 そして、第十一話でのS-XXXの結末が、それを決定的にする。

 S-XXXはこれまでのロボットたちとは違い、意思感情の乏しい存在として描かれる。それは本来、僕たちが「ロボット」と聞いて思い浮かべるイメージに近い。

 S-XXXはテンプレート的な「ロボット」として、命令だけを忠実に実行し、サッカーフィールドで「戦争」を繰り広げた。そして最後は、マグナムエースによって破壊される。

 第十一話では、これまでよりも明確にロボットが「商品であることが語られる。S-XXXはアイアンソルジャーという「商品」として、敵を殲滅する者としての役割として与えられ、その破壊力を期待され、品定めされる。彼のロボット然とした意思感情の薄さは、兵士として忠実に命令を実行することを求められ、そうプログラムされた結果なのではないだろうか。

 しかし一方で、S-XXXは「敵を倒す」という目的に対し非合理的シルバーキャッスルの行動に困惑し、動揺する。そして、マグナムエースの「新しい道」という言葉に、ほんの一瞬であるが、本来あるはずのなかった「迷い」を見せた。

 S-XXXにも、心は存在した。

 なぜS-XXXの製造者が「兵器であるロボット「心」が生まれるような知能を搭載したのか、その理由はよく分からない。スポーツ選手であるアイアンリーガーであれば、人間がある種のカタルシスを得るための機能として、人間と同じような心や感情を搭載する理由もある程度理解できるが、迷いが命取りとなる戦場に送り込む兵器に、それは不要のはずである

 もしかしたら「心」というものは、それは製造者意図的ものではなく、自分学習し、アップデートしていくことができるほど高度な知能には、逃れられない副産物なのかもしれない。

 いずれにしても、例え人間ほとんどをプログラムされたものであったとしても、兵器であったS-XXXにさえ、心は存在した。そして僅かに、けれど確かに「新しい道」へと進む可能性があった。

 にも関わらず、第十一話の商人たちは、彼を徹底的に「商品」として扱った。そしてS-XXX自身も、「戦場でない場所には存在不可能」と語っている。

 ロボットは、人間によって役割定義されている。そしてその役割を果たせなければ、彼らは自らの存在意義すら失いかねないのである

 この『アイアンリーガー』の世界に横たわる現実を受け止めるのに、相当な時間を要した。いや、実際まだ受け止められてはいないのかもしれない。人間は自らの都合によって、自分たちとほとんど変わらない心や感情を持つロボット役割という枠に押し込めて生み出し、その存在をも人間の都合によって左右する。この神の模倣とも思える傲慢さに、幾たび怨嗟を吐いたかしれない。

 一方で、自らの意志で生き、誇りを持って戦っているロボットたちを哀れみ、同情を寄せるようなことは、彼らに対する侮辱ではないかという思いもずっとあった。

 僕の心は千々に乱れ、分裂し、二転三転し、自己矛盾に苦しむ日々が続いた。「ロボットスポーツをする子ども向けのアニメ」を観てそんな感情に取り憑かれるなど、一体誰が予想できよう。

 しかし、である。一通り憎悪煩悶に身を投じた後に、ふと気づいたことがある。

 ロボットたちが置かれた現実は、結局、僕たちの生きる現実と同じなのではないか、と。

人間ロボットロボット人間

 僕が七転八倒している時、僕に『アイアンリーガー』を教えてくれた先達は、一つの問いを僕に投げかけた。「ならば、アイアンリーガーはどうなったら幸せなのか」と。

 頭を殴られたような衝撃を受けたせいで、僕がその時どのように答えたのか、正確には記憶していない。「彼らが、やりたいことをやりたいようにやれる」のようなことを言ったような気がする。

 月並み言葉を振り絞りながら、僕はぼんやりと「どこかで聞いたような話だな」と思った。よくある話。人間幸せを語るときに、よく言われるような言葉だと。

 そして、僕の思考は再び振り出しへと戻った。『アイアンリーガー』に最初に感じた、違和感にも似て、それでいて温かかった感覚人間ロボットが、同じ意志や心や感情を持つ存在として、同じように生きている世界

 第一話でマッハウインディはこう言った。俺たちロボットも「人間と同じなんだよ」と。

 それはつまり人間もまたロボットと同じであることを意味する。

 この国で生まれれば(その実態はどうあれ)、僕たちは一応、自由意志(ここでは各種の哲学定義無視して、単に「他から強制・拘束・妨害などを受けないで、行動や選択自発的に決定しうる意志」という意味で用いる。)を認められた存在である

 しかし、完全に自由人間など存在しない。人間もまた、さまざまな制約の中で生きている。親、夫、妻、上司、部下、教師学生、老人、若者、友人……そういった役割立場を与えられ、家庭環境ジェンダー経済力文化時代価値観……そんなあらゆる枠に押し込められながら、社会の中での「あるべき姿」「あるべき意志」を定義され、それに応える「社会人」に育てられてゆく。それは、人間、あるいは「社会」の要請意思や心をプログラムされるロボットと、実はそう大差ないのではないか(語弊を恐れずに言えば、教育とは一種プログラミングである)。

 真に自分の望むように生きている人間などほとんどいない。皆、社会の中で折り合いをつけながら成長し、社会の中で生きている。そして、労働市場の中で自らの価値を計られ、自己存在意義を証明し続けることを要求される。

(そうあるべき、と思っているのではない。ただ事実として、それが資本主義社会の一側面であることは否定できないとも僕は考えている。)

 その姿は、役割を与えられ、商品として売買されるロボットに重なる。

 もちろん、『アイアンリーガー』においてロボットたちが置かれている状況は、僕たち人間より深刻だ。彼らは自らの存在の前提として役割がある。役割がなければ彼らは存在し得ないし、その役割への期待に基づいてプログラムされた意志や心の拘束度は、人間のそれよりも遥かに強い。

 しかし、あらゆる寓話がそうであるように、度合いが強いからといって、それが全く違うということにはならない。制約の中で、それでもなお自らの意志を貫き通そうとするロボットたちの姿に、僕たちは僕たちの姿を見るのである

アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の訳者あとがきに書いてあったことだが、アンガス・テイラーという人は、フィリップ・K・ディックの書くアンドロイドについて(「機械的な行動パターンに侵された」、あるいは「内面的に阻害された」)人間隠喩象徴であると述べたそうだ。そして訳者浅倉久志氏は、この作品の中に「人間とは何か?」というテーマに取り組んだとしている。『アイアンリーガー』も、それと似たような物語ではないかと、僕は思う。つまり、『アイアンリーガー』に登場するロボットたちもまた、僕たち「意志を持つモノ」、つまり人間隠喩であり、『アイアンリーガー』は、「意志あるモノが自由を手に入れる」物語ではないかと。

 こんなことを考えているうちに、僕は『BEASTARS』のことを思い出した。『BEASTARS』の登場「動物」も、姿形は動物のそれであるが、やはり人間と同じような意思感情を持つ。彼らを通して描かれているのは、そういった心を持つモノたちのドラマだ。人間と同じ意思感情を持つモノたちが、しかし肉食・草食動物それぞれの身体特性、言い換えれば宿命という強制と制約を背負いながら、学校という一つの閉鎖社会の中で苦悩し、ぶつかり合い、時には折り合いをつけながら生きていく。負った宿命の中身や程度は違えど、そこに描かれているのは紛れもなく心を持つモノーーつまり僕たちの物語である

 と、このような書き方をしたが、あくまでこれは『アイアンリーガー』(や『BEASTARS』)という作品に僕たちが心を動かされる「絡繰」、結果論をそれっぽく言い募っているだけである。『アイアンリーガー』は(恐らく)寓話ではないし、アニメスタッフが彼らロボット人間象徴、あるいはその苦悩の投影先として選んだ、というのも(なんとなくだが)違うような気がする。正直、単にロボットが好きなだけな気がしてならない。

 これについては、象徴隠喩というよりも、同じく『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の訳者あとがき引用されていた、次のような表現が相応しいように思う。(原典に当たっておらず申し訳ない。)

ディックにおいて、人間アンドロイド生物学上の、あるいは自然科学上の区別は、まったく無意味である。(中略)ディックは、『アンドロイド』と『人間』の形式上区別には関心がない。(中略)ディック世界では、そもそも人間機械自然と人工といった単純な二分律は棄却されている」(『銀星倶楽部12 後藤将之氏「フィリップ・K・ディック社会思想」)

アイアンリーガー』に描かれているロボットたちの生き様を語るのに、彼らが生み出された経緯や理由に潜む人間の驕慢さなどは、意味をなさない。彼らの前で、人間自分たちと同じ心を持つモノを恣意的に生み出すという行為の是非を問うことは無意味であるいかに彼らのルーツに薄ら寒い人間欲望が渦巻き、彼らの意志人間によって指向性を持たされているとしても、それは彼らが「その」自らの意志決断し、戦い、生きてゆく征途の輝きを何ら曇らせるものではない。

 彼らは、ロボットとしての宿命を背負う自らの存在を呪うことはない。背負った宿命の中で、心を持つ故に葛藤に苛まれながらも、心を持つ故に抱いた意志で、自らの宿命を乗り越え、未来を切り開いていく。フェアプレーをしたい。スポーツをしたい。道を極めたい。この場所にいたい。君と一緒にいたい。たとえ世界がそれを許さなくとも、世界がそれを笑おうとも、自らの意志で在りたいように在る。その姿は僕たちと地続きのものだ。彼らはロボットであるから尊いのではない。僕らと同じであるから、眩しいのである

3(https://anond.hatelabo.jp/20210828220439)につづく

アイアンリーガーに騙された -1-

注 この文章は『疾風!アイアンリーガー』を第十三話まで鑑賞した人間が書いています

撒き餌に釣られた者の末路

 とんだ詐欺もあったものである

アイアンリーガー』というアニメを知る人ならば、この「初見人」の慟哭意図を察してくれるに違いない。

 これを呟いたのが、学生生活記憶もとうに色褪せ、メディアを賑わせる人々が自分よりはるか若いことに日々愕然とするようになった齢の人間であり、かつ令和の時代に『アイアンリーガー』というアニメを初めて目の当たりにし、そして今こんな文章を書くに至っているという事実を踏まえれば、なおさら

 何が詐欺か。何もかもである

 多少の表現の違いこそあれ、アイアンリーガーというアニメは「ロボットスポーツをする子ども向け熱血(スポ魂)アニメ」というような説明をされる。

 おそらく、それは間違いではない。間違いではないが――世に溢れる詭弁の数々が皆そうであるようにーー嘘を言っていないことと、それが真実であることは必ずしも一致しない。

 はじめに断っておくが、僕は別にアイアンリーガーというアニメについて「実はこういう真のテーマが隠されている」などと声高に主張する気は全くない。

現実世界に『テーマ』などないように、映画はそこに、ある物語にそった映像を映し出しているだけです。」と、かの伊藤計劃氏も述べているし(伊藤計劃:第弐位相「自腹は神様ではない」https://projectitoh.hatenadiary.org/entry/20060211/p1)、それはアニメも同じであろう※。僕がここに書き散らしているのは、アイアンリーガーというアニメ勝手情緒を乱された人間のお門違いの怨念に過ぎない。諸賢におかれては、どうか哀れみの心で受け止めて(あるいはスルーして)いただければ幸いである。

 話が逸れた。『アイアンリーガー』についてである

ロボットスポーツをする」。何ら間違ってはいない。この物語主人公ロボットであり、「アイアンリーガー」とはロボットスポーツ選手のことである。彼らはスタジアム(他の場所のこともあるが)でスポーツ試合をし、勝利を目指しながら、物語は進んでいく。

 だが、少なくとも十三話までを観て、それはこの作品本質ではないと僕は思っている。(ちなみに、なぜ十三話という中途半端な時点でこんなものを書いているのかと言うと、YouTubeでの無料配信十三話で終わったかである。)

心を持つ工業製品

 作中のロボットたちは、確かにロボットである。彼らはバッテリーで動き、金属身体にはギアが埋め込まれコードが張り巡らされている。外側は一応人間の姿形をベースデザインされているが、人間そっくりアンドロイドではなく、ひと目見て「ロボット」と分かる。大きさも、人間比較すると(その可愛らしい見た目とのギャップ唖然とするほど)かなり、でかい

 それでありながら、彼らには意思感情がある。人間と同じように傷ついたり喜んだりし、迷い、成長し、心を通わせる。彼らの持つ「心」は、ほとんど人間と変わりがない。フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で、限りなく人間に近い意思を持つアンドロイド人間の、それでも厳然と残っている(とされている)「共感力の有無」という差異も、『アイアンリーガー』では存在しない。

 そんなロボットたちが存在する世界の側も、彼らをほとんど人間と変わりのないモノとして扱っている。アイアンリーガーロボットでありながら、チームと「契約関係にあり、チームの所有物ではない。チームから脱退することも(少なくとも建前上は)、第一話でマッハウインディたちがそうしたように、契約が許す限りにおいては可能なのだアイアンリーガー金も稼ぐし、転職もするし、山にも帰る。

 そうしたロボットロボットを取り巻く世界の在り方は、作品内で自明の理とされている。それについて何ら特別説明をされることもないまま、当然のごとく物語は進む。ロボットたちはガショガショと金属音を立てて歩き、「オイルを飲んだり燃料を食ったり」しながら、人間と全く同一のレイヤーで生き、スポーツをする。

 そして、人間人間関係性の中で生まれる、いわゆる「人間ドラマ」を繰り広げている。

 そのあまりギャップ作品に可笑しみをもたらし、人間とそれ以外のモノがボーダーレス意思疎通しながら共存する世界観は、絵本おとぎ話のような「子ども向け」の空気を感じさせる。

 僕はいわゆる「ロボットアニメ」をこれまでほとんど観たことがないので、そうした世界観が『アイアンリーガー特有のものなのか、この手のロボットアニメではよくあることなのかは分からない。

 だがいずれにしても、この奇妙なまでの人間ロボットボーダーレス世界観こそが、『アイアンリーガー』という作品の(はまる場所、という意味での)「深み」である

アイアンリーガー』における人間ロボット関係性は、もはや「共生」というレベルを超えている。人間ロボットの違いはもはや生命の有る無し「程度」にしかなく、作中でも殊更に「人間ロボットの」違い(と共通点)や、その関係性に焦点を当てることは(少なくとも十三話の時点では)ない。

 もちろん、『アイアンリーガー』の世界には人間もいるので、人間ロボット交流も描かれる。第八話のキアイリュウケンオーナーの話などは、それがメインテーマだ。

 だが、そこで描かれているのは「人間ロボットの」交流ではない。あくまで「同じように意思(心)を持つもの同士」としての、オーナーとキアイリュウケン交流、つまり個人個人交流だ。

 人間ならではの心、ロボットならではの心、という概念は『アイアンリーガー』にはない。『アイアンリーガー』は、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のように、アンドロイドロボットと似た存在と考えてよかろう)と人間の間で登場人物が苦悩する物語ではない。あるいは『ターミネーター2』のように、本来自分意思感情のない「はずの」ロボットが、人間との交流の中でそれらを獲得していく、という物語でもない。『アイアンリーガー』では、人間ロボット交流も、ロボット同士の交流も、人間同士の交流も、全く同じものであり、それが世界の前提なのである

 しかし一方で、人間と全く同じ「心」を持つロボットは、人間に「発注」され「納品」され――そして恐らく「売買」される存在であるということが、ブルアーマーの過去が明らかになる第三話、そして(よりにもよって)キアイリュウケンオーナーの絆を描いた第八話で明言されている。

 第三話では、なぜブルアーマーのバグを直さなかったのかという問いに対し「バグを直すよりも新しいリーガーを入れた方が早い」とエドモンドが答える。第八話では、キアイリュウケンが「空手リーガー」であり、本来サッカー野球「用」には作られていない、ということが明らかにされる。作中では明言されていないが、恐らく間違って納品された先がシルバーキャッスルでなければ、彼は工場に「返品」されていたはずである

 ロボットたちは、人間と同じ意思感情を持ちながら、同時に「工業製品」「商品であるという事実が、スポーツ試合の影で徐々に明らかになっていくのである

 彼らが工業製品であり、商品である以上、逃れられない宿命がある。ロボットは、人間役割を与えられ、それに相応しいように設計プログラムされて生み出される。

 その現実が、第九話から急激に深刻になっていく。トップジョイ、そしてS-XXXの登場である。彼らの存在が、今まで「人間ロボットボーダーレスに生き、スポーツをしている」という、どこか楽しげで夢のあるアイアンリーガー世界観を大きく覆す。

なぜか途中で切れてしまうので 2(https://anond.hatelabo.jp/20210828220400)につづく

2021-08-27

バイト日記

 ふと思ったが、最近従業員オーナーがもめている所を全く見かけない。それもそうか、最近は人の入れ替りがあまりない。私が働き始めたときバイト歴2年未満の人が多かった。今はここ一年以内に働き始めた人は二人しかおらず、二人とも真正からオーナー意見するタイプの人ではない。

 基本的に昼勤のパートさん達は血気盛んというか目茶苦茶気の強い人揃いらしいのだが、シフトリーダー以外とは私は接点がほぼ無いので、最近どうしているのかは知らない。シフトリーダーシフトリーダーになって以来益々アグレッシブオーナーに立ち向かっていて、オーナーの方が諦めているようだ。シフトリーダーが頑張って夕方に揚げ物を沢山揚げていくので、私ども夕勤・夜勤勢は「これマジで全部売れると思ってんのかよ?」と眉間のシワを深くする日々だ。

 しかし、シフトリーダー最近仕事よりも家族顰蹙を買いまくっているらしい道ならぬ(?)恋に夢中な様子。揚げ物の大量廃棄が生じる問題以外は平和な日々。

 従業員オーナーが揉めない理由がそういえばもう一つあった。今は派遣従業員がいないのだ。派遣の人とオーナーはよく揉める。派遣の人は、手取りは直接雇用バイトとさして変わらないのだけど、店から派遣に支払われる給料はすごく高いので、オーナー派遣の人に過剰に期待して(給料ぶんひとよりも動けと。)、大概期待外れなので、きつく当たる流れになりがち。派遣の人のほうも、きつく当たられても引くことがない。

 

 昨日は常連客の虫の居どころが悪かったらしく、特にやらかした訳でもない私が盛大に八つ当たりをされた。腹が立ったので、私はいつもは「ありがとうございました、またお越しくださいませ」というところ、「ありがとうございました。」しか言わなかった。たとえ毎日来る客とはいえ八つ当たりという甘えを受け入れるほどの義理などないので、もう来なくてどうぞ! という気持ちで他のお客様に気づかれないレベルで仕返しをするのだ。

 八つ当たり客が帰ったあとになって思ったが、八つ当たり客が貧乏ゆすりしながら「キャスター」と言った時に、私はいつもこの人がキャスター1ミリのロングを注目するからと、つい忖度して、いつも通りに取って来てしまったが、それは失敗だった。そういう時は、

「何ミリですか? ショートですか? ロングですか?」

 とあえて聞いて客をキレさせるのが最善手だ。下らないことでキレ散らかすのは客の方の恥だし、こちらにとっては「お前は特別存在でも何でもない」という意思表示になる。理不尽に怒鳴り散らされたって痛くも痒くもないし、暴力を振るわれたらその場で警備員呼びつつ110番である

 なんか、煙草を番号で注文しない奴って、こう唐突に横柄になるとかろくな客ではないことが多いので、本当に二度と来なくてどうぞ! の精神対応してこ。

2021-08-24

anond:20210823135815

ここまでやっといて「日本民主主義が未熟」なのを100%野党のせいにされても。

と書いたら

野党責任なんかないって開き直られても

って読み替えちゃうの、国語力そうとうヤバくない?

野党には政治関与の度合いに応じて応分責任はあるだろうよ。

でも元・元増田野党烏合の衆責任100%って言ってんねんで。

一方いつまでたってもリビルドできない野党烏合の衆日本民主主義が未熟なのはここの責任100%



でもまあ、日本民主主義が未熟なことの責任が究極的には誰にあるかっつったら、

そりゃ与党でも野党でもねえよ。国民だよ。おまえとおれだよ。

そろそろ「自分じゃない何かに現状の責任を負わせて楽になりたい」って心性は捨てようぜ。

与党議員野党議員所詮代議士代理人なんだ。国を所有してるおれたち国民が、

選挙制度にいろいろ難はあっても、一応自分たちで選んで、そいつらに舵取りを任せてんだ。

良い奴を選んでやらせる。だから政治家のことを選良って呼ぶんだ。

その船がおかしな方向に進んでるときは、舵を握ってるやつを下ろさなきゃだめだ。

良い奴だと思ってたら違ってた。上手な奴だと思ってたら下手っぴだった。

だったら別の奴に舵取りを任せるしかない。その権限を持ってるのはオーナー乗客の俺たちだ。

今の船員たちじゃない。

2021-08-21

anond:20210821134222

高級店に勤務してるが「こいつは高い腕時計をしているか丁重相手しよう」とか思ったことないやで

オーナーもそう言ってる

2021-08-20

バイト日記

 オーナーに15分早く来いと言われたので、早く出勤したら、昼勤のシフトリーダーがいて、「夏休み中は何時まででも残業出来るから、気にしないで定時に出勤してきていいよ」と言った。いやシフトリーダー鬼のようオーナーに反撃してもクビにならないけど、私は逆らったらシフト減らされちゃうだろ。夕勤なんかただ「晩飯時なのに出勤してくる」ということにしか価値がないので、これまで少しでもワガママとかやる気ない奴はサクッとクビに追い込まれていたぞ!

 シフトリーダーいつまでも残業出来る理由がしょっぱかった。最近、よく店に来るヤカラみたいな客と付き合い始めたら、家族に邪険にされるようになってしまい、家に居場所がない、という。そりゃあ、何があったか知らないけど旦那さんとど派手に離婚して実家へ戻ったというのに、より一層おかしな男と付き合い始めて、いい顔する親も娘もなかなかいないと思うよ……。

「娘なんかね、『付き合うっちゃ何よ。気持ち悪い』なんて言ったきり全然話ししてくれないの。まだ10歳の癖に生意気いうでしょー?」

 ならせめてコンビニ店員の女をチャラチャラナンパするド金髪チンピラみたいな奴なんかじゃなく、もっと真面目そうな男と付き合ったらどうか。元旦那さん、娘さんを時々預かったり面倒見てくれてるらしいし、娘さんも離れて暮らしててもちゃんとお父さんしてくれてるお父さんがいれば他にチンピラのパパなんかいらないと思うよ、知らんけど。

 壁の、天井に近いところにハチのような虫がいた。モンシロチョウの青虫を網目のスカスカな虫籠に飼っているといつの間にか籠の中に侵入してきて、青虫に卵を産み付けるヤツに似ている気がした。たぶん、人間にとってはただそこにいるだけの無害な虫だ。青虫を飼育する趣味がない限りは。

 その、ハチっぽい虫がただ壁に貼り付いているのを、フリーター女子アルバイトさんが「気になってしょうがないんです」と言い、踏み台を出して来てその上に乗り、ハエたたきで叩き落とそうとするので、「いや、ただ生きてるだけの虫なんだし、わざわざ殺すことないじゃないか」と言ったら、

「虫にまで情けをかけるなんて、すごいですね!!」

 と、フリーター女子アルバイトさんは言った。この人の倫理観鬼滅の刃過ぎる。悪鬼滅殺! 悪鬼滅殺! でも炭治郎だったらただそこにいるだけの無害な虫を殺したりはしないとおもうの! 知らんけど……。

 ドリンクの補充とウォークイン冷蔵庫の中の片付けをやった。清々し気分になるので好きな作業だけど、一時間もかけたのはちょっとやり過ぎだったかもしれない。

 緊急事態宣言が出ても、客足はむしろ増えるばかり。だけどオーナーは「どうせ売れない」といって夕方の納品を少なくしたので、スカスカの棚を見てさっさと帰るお客様が多かった。

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