はてなキーワード: 東武とは
読者諸兄はデパートに行ったらどこが気になるだろうか?デパ地下?ファッション売り場?
増田は搬入口の場所だ。売り場で何売ってるかなんてどこから搬入するかに比べたらどうでもいいことだ。この文書を読んだら君もきっとそうなる。
売り場で物が売れたらそれを補充しなきゃならない。その搬入口は大抵ビルの裏にある。
しかしデパートがある場所というのは一等地だ。バックスペースである搬入口なんかの為に一等地を使うのは余りに勿体ない…。
という事で離れた場所に搬入口が設けられて秘密の通路で結ばれていることがあるのだ。
それを幾つか紹介するよ。
因みにこういう所は仕事でしか入れないもので、増田が仕事で行ったり同僚に聞いた入りした事がある個所に限られるから偏りはあるよ。
ヤマダ電機が運営する池袋LABIは元は池袋三越だった。開業は昭和29年の地下鉄丸の内線の前年か同年と古い。
LABIの裏に都道があって、道路反対側に3階建てのマクドナルドがある。その裏に付近に似つかわしくない古くて灰色な運送会社的なところがある。
https://goo.gl/maps/9fDTtZiNEB3pQTbJ8
ここが搬入口で地下トンネルで結ばれている。さっきのマクドナルドはそのトンネルに乗ってるのだね。だから周囲が高層化しても3階建てのままなのだ。
かなり離れたところにあるびっくりガードの中に分岐がある。
https://goo.gl/maps/bsTBq4EtxBrgqc23A
元々ここは東上線の線路だった。山手線から東上線への渡り線と電車の留置線が伸びていた。
国鉄が貨物輸送を全廃に近い合理化すると東上線行きの貨物輸送も無くなり、ここは遊休施設になった。
90年代に東武デパートが増床して新館のプラザ館を作る事になるとこの線路跡も一部利用され、新館より先は地上は駐輪場、地下には搬入路として旧館の搬入も集約化。東上線池袋駅が行き止まりホームになったのはこの時だ。
それまで旧館は東上線の北口改札横にある汚らしい搬入口で搬入していたのだが、ここのせいで一帯が大変に荒んでおり、まるで古いアメリカ犯罪映画のダウンタウンのようだった。
https://goo.gl/maps/WQB7qSNwj4AjQPQc8
ミロードの甲州街道のルミネとの間にあって、急勾配でミロードの中を登り、モザイク坂上のミロード広場の上階に出る。
https://goo.gl/maps/oEbSXc96jzT8adFW8
ここは急勾配&高さ制限がキツイ&急勾配登ってすぐに急カーブのクランクというデンジャラスなコースだ。クランクの路面は坂登ってる間は見えない。しかも途中で止まると再発進不可な程の急坂なのでアクセルを緩められない。そして暴走してクランクを突っ切ってしまうとミロード通りに落下だ。
危なすぎる。ハードドライビンのスタントコースみたいなところなのだ。
ここを攻める人は注意して欲しい。落下したらインスタントリープレイされるだろう。
https://goo.gl/maps/ZCo693QRHujchVqZ7
ここからJR本社ビルの周りをぐるっと回って甲州街道陸橋の下を潜り、ルミネに到達する。甲州街道陸橋の下が公共地占有だ。
因みにJR本社前にBLAST!っていうお店があって、周囲は高層化されているのにここだけ2階建てだ。
実はここは土地取引を巡って管財人の司法書士とヤクザが殺されたという曰くつきの土地でずっと更地&駐車場のままだったところだ。
また、バスタの下には昔JRバスの駐車場になっていた大きな地下空間があって高島屋タイムズスクエアとJR本社とトンネルで結ばれているらしい。駅の工事の際には工事基地や職工の詰所になるようだ。ちょっと入ってみたいもんである。
https://goo.gl/maps/UxNpSesPQp88VQY68
西武デパート群は駅に近いA館と井の頭通り向かいのB館、ロフト、パーキング館とあるが、全て地下トンネルで繋がっている。
特に特筆すべきは井の頭通りで、ここは宇田川という川が暗渠化された道で今でも暗渠に宇田川が流れている。
搬入トンネルはこの地下の宇田川の更に下を通ってるってわけだ。
珍奇な搬入路の王者と言ったらここである。もう無くなってしまったが。
駅の東西に建っていたややボロッちかった東急東横店。ここの搬入口がどこにあったかというと、現在ストリームになっている東横線高架下にあった。(古い画像)
https://goo.gl/maps/tA5i7NkHkTGbhhce9
ここからR246の下を通り、東横店東口店までずっと地下トンネルが通っていた。
更にここには空港の手荷物コンベアのようなコンベアがあり、行先(受取り先)が書かれた専用のコンテナに入れて流すと東横店の方に着くというシステムであった。こんな風にシステムになったのは246の掘り下げ工事があり、途中にエレベータを挟んでいたためだと思われる。
このルートというのは全部東横線の高架線と駅の下だ。高架の下に後からトンネルを作るのは危険だし難しい。
つまり、昭和2年の東横線開業時にはすでにこういう通リになっていたという事である。
因みにこの近くには稲荷橋という橋があったので「稲荷橋搬入口」と呼ばれていた。というか、最近行ってみたら川が無くなっているのに橋だけ残ってたわ。
東横店は無くなって今は新しいビルになってるし、稲荷橋搬入口はストリームになってるが、あの地下搬入路はそのままのはずだ。
あれは今どうなっているんだろうか?東横店跡の新しいビルとストリームの地下で荷物の輸送に使われているんだろうか?実に気になる。
肝心の「東横店東口店と西口店の間はどうなっていたか」については西口店の方に用が無かったせいで不明である。無念だ。JR線地下を通っていた、京王マークシティの方にあった、二つの可能性がある。
開業当初は国鉄より頭の固い鉄道省と別会社の帝都電鉄だった訳で気になるのだが…ちゃんと見ておきたかった。
これらには公共地である道路を潜って離れた場所に繋いでいるケースが多い。
普通はこういう占有方法は認められないが、施設の公衆性が強い場合は許されるのである。私鉄が道路地下を走っていたり病院の渡り廊下が道路跨いでたりと同じだ。
デパートの場合の公衆性は、公衆が自由に立ち入り出来て買い物ができる、市場の性格がある事だ。だからデパートは会員制の立ち入り規制的な事が出来ない。
余談だが、中野ブロードウェイのまんだらけが性的な商品を通路側に陳列して対面の商店とトラブル、その商店をネット民が攻撃して炎上するというトラブルがあった。
この時にネット民は中野ブロードウェイは私有施設だから陳列は自由、まんだらけの占有面積は大きいので施設運用でのヘゲモニーがある、というような考えを開陳する人が多く居た。
でもこの法的スキームを知っていたらこの考えは間違いという事が判る。中野ブロードウェイは公衆施設の一種でありそれは立ち入りが自由である事だから、そこの通路は公道が準用される。
そこに性的な陳列をしたら独立店舗の中での陳列よりも厳しい基準で取締りが行われるのは当然なのだ。実際まんだらけはガサ入れされて商品を押収されて件の店舗は後に閉鎖する事になった。
また、デパートは売店床面積を最大化したいのでこういう離れた箇所に搬入口を作るのである。だからビル裏に搬入口を作る場合はその面積を最小化したい。
売り場を持つ業者は相当な数になるので、それらが少量ずつ荷物を持ち込んだら忽ち渋滞だ。
そこでデパートの流通センターか搬入代行業者の倉庫に搬入して、そこからまとめてトラックに混載してデパートに搬入するという形になっている。
当然その業者には委託料を支払わねばならない。だから利幅が小さくなるのでその分価格を上乗せする他無い。故にデパートで買うとどうしても高いのだな。
これはデパ地下の小さな食品売り場、レストラン街の業者もそうなので、地方の業者が東京などのデパートに出店する場合、支社をその代行業者の倉庫内に置いてしまう事もよくある。
「東京支社長就任おめでとう」とか言われて辞令を受け取ったら倉庫勤務とかになっちゃうわけだ。つらい。
屋根裏を整理してたら古いパソコン(といっても2006年頃)が出てきたのでブラウザの検索履歴をサルベージしてみた。
当時自分が何にハマっていたのか思い出されていろいろ懐かしい…
パラ様 生え際
ホケマクイ
ブッチーン 灯花
ぶっこぉすぞー
るくしおん しびれるぜ、鋼の
ティプトリー・ショック
「デストロイがいいね」と君が言ったから六月二十四日はUFOの日
わたるが死んじゃう
琵琶湖タワー
猫いらず 口の周り 光る
尸条書
立方晶窒化炭素
ドーマン法
ひだまりスケッホ
空飛ぶ冷し中華
セーラー戦士が全員ブルマーだったら、アニメ史を変えていたと思うね
34歳児
実はまだ2階に
アリオク
緑はいらない子
そうです。あのコが僕の畏敬する天使様なのです
おかしとか食べる
T-34が倒せない
さあ牛だ
セノバイト
omegaの視界
ぽこにゃん
だぞなもし
倒福マーク
ボッキアウト
フムン
ユープケッチャ
目なき顔のジールバ
やったー+1 シヴィライゼーション
ルロス ロルス
玉音盤奪取
ハレとケ
もえたん 06話
路肩のピクニック
白楽電の詩
ガッシボカ
聖なんとか女学園
クートニアン
お脱ぎなさい
グンニョキ
強さ激しく変動
南斗聖拳108派一覧
みなぎる力がみなぎるぜ
力こそパワー
重い生理が来たみたい
4ひえた
ムーミンパパ海へいく
チャンパーノウン定数
見知らぬ国のデイトリッパー
紫暗号
いざり
比留間 京之介
この娘、最後死んじゃうんだよね
旧神なんていないよ
棒シムーン
S級だけどめどいんでB
オレモダビール
"オナホさん"
アントノフ 積載量
黄金の真昼
Let's Beginning to Look Alot Like Fishmen
けいせい出版
共生るんです
ガネッコ
莫迦め 死んだわ
スコープドッグ 装甲厚
かみそり半蔵地獄攻め
クンデラ 不滅
如意棒 重さ
ちびくろサンボ 枚数
俺のケツをなめろ
大胖女人
大司令症候群
gunyoki
グンニョキ
おしつおされつ
どうしてエレクチオンしないのよぉぉぉぉ
こぐにっしょん
虹作戦
燕山夜話
ドラ28
中国人の部屋
エロ イッカイヅツ
菊屋橋101号
システムショック
ゲバルト・ローザ
完全黙秘
唸るコカトリス亭
みずずちん
なんてこった 死の宣告
アンダーダーク
ロンゴ・ロンゴ
ゲオルギウス
毒薬仁
まじかるぴゅあソング
だいす☆くえすと
つめたく冷えた月
フンカーリート
Shang-Du
水エタノール噴射
願望機
舟に棲む
rom ヘッダ 削る
長靴いっぱい食べたいよ
陣形技 閃き
ハリマオ
ぺちんぺちん
カタリナ おそるべし
野月まひる
マライア 多摩
素敵医師
相沢 祐一 最強
みなみおねいさん
あまぞn
夢のクレヨン王国 SONGBOX
振武刀
クリントワン
ロイさーん
レムコレクション
カードゲーム テケリ・リ
グレゴール・ザザ虫
きみはホエホエむすめ
東方夢終劇
ファミソン8BIT
生きなさいキキ
dwarvish mattock
蟹工船 光線
パラシュート部隊 突然に
ゴクイリイミオオイ
アウト・オブ・眼中
モルディギアン
納骨堂の神
ヴェクナ
パラシュート部隊 突然に
情無用ファイア
末期 少女病
唸るコカトリス亭
アカディネの泉
ショスタコーヴィ
ジャック ケッチャム
シャノン 情報理論
ガロアの郡論
ルルスの術
ラヴォアジエ
宇津田さんの死
レムコレクション
佐保姫 信太の森
ころがる石のような俺の生き様
はしれぐずども
紫暗号
白い神兵
火のバプテスマ
清家理論
サールクラフト
lycanthropy
某研究者
アナ姫さま おげんきですか
オナホ 2番目
宇宙麻雀
電戦トリオ
乳ロマンサー
私は痛みだ
くやしい、でも ビルケナウ
グレゴール・ザザ虫
新藤幸司 CV
Chante キミの歌がとどいたら 先生
開路に時限のある リレー
Drizzt
ちんぽ生やして出直して来い
男根 恐ろしいまでに
コロラド撃ち
HEARTWORK
誠ぉっ そこにいるんでしょ
ずっとオレのターン
ぼくはぼくであること
おれがあいつで
アラバハキ
幻影都市
わたしこそ しんの ゆうしゃだ
クトゥル スペースジョッキー
フラッシャー付自転車
神よりも弱いただのオセロ
おがわみめい
水無神知宏
CARNIVAL 小説
じゃこつばばあ
生と死の境界 安置
うぉ、まぶしっ
ゼロで割る
ココロン
有尾人 フィリピン
子供達を責めないで
圧力計 連成計 BV
エドガー ダケェ
おびんずる
にこにこ商事
ひろ
もうちょっと詳しく書くとですね。
電車は自動車のようにトランスミッションは搭載してないのですね。
基本的には直流モーターに流す電流を抵抗(電気抵抗を回路に入れている)と回路の直列並列の繋ぎ変えで制御して出力=スピードを制御している。
で、電車って実はモーターがある車両とない車両があって、だいたいある車両2:ない車両1とか、最近では1:1とかもっと少ない時もある。
んで、東武の旧型の電車(8000形という)は、1:1を狙った。そうすると、モーターがある車両の比率が少ない分、モーターがある車両の出力を高めないといけないが、少ない駆動軸で出力を上げると空転しやすくなる。
そこで空転を防ぎ、出力を滑らかに制御するために、他ではあまり使っていない制御回路(バーニア制御回路)を追加しているのね。
トランスミッションじゃないけど、車の副変速機のように、出力をもっと細かく制御できる回路を用意したと。
んで、電気ブレーキって、要は加速時の回路を逆にしているのだけど、加速時の回路を細かくしているので、それに対応する電気ブレーキを装備しようとなると、それもコストが上がる。
止めるだけなら従来のブレーキでも止まるから、当時の東武は8000系に電気ブレーキを付けなかったのです。
当時、東武鉄道は高度成長期で乗客が増え続けており、輸送力の増強が至上命題でした、安いコストで車両を増備したかったので、いろいろ優先順位を考えて、電気ブレーキを付けなかったのです。
東武の旧型車両だけなぜ独特なブレーキ臭がするかというと、一般的な電車は、基本的な減速は電気ブレーキ(ちょうどエンジンブレーキの電車版)で減速し、踏面ブレーキは最後止まるときに使うくらいだが、東武の旧型車両は理由があって電気ブレーキを搭載せず、踏面ブレーキだけで減速しているので、ブレーキシューを他の電車より酷使しているためです。
バスが急坂でブレーキが効かなくなって横転事故を起こした件で、個人でバスを所有する変態さんが検証動画を出しているが、
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1959853
前提の知識が全然共有されてないのが気になった。なので説明を書く事にするよ。
まず元記事のバス個人所有氏は2速で下ってるんだが、バスやトラックというのは2速で発進する。1速は急勾配での坂道発進とかの緊急用で普通は使わないのだ。
乗用車のオートマだと「PRND21」とレンジが分かれていて、2、1レンジではギアが固定される。峠の下りでは2速で下ると思う。1速に入れるって事は余り無いと思われる。その1速に入れてると思ってくれていい。普段じゃそんな運転する機会はないと思う。
動画では2速で下って回転数がレッドーゾーンに入って警報が鳴っているが、これはデモンストレーションでやっている事で、普通のバストラックではこういう運転はしない。
バストラックは大体100万キロ走って廃車になるのだが、そのディーゼルエンジンも精々オーバーホール一回程度でその距離を走り切る。乗用車と比べると非常に頑丈なエンジンなのだ。
だが頑丈に作ってあるために作動部が重い。その為にオーバーレブ(回転数数オーバー)に大変弱いのだ。ガソリン乗用車のつもりでシフトアップを引っ張る走り方をしていると壊れてしまうのだな。
だから彼の道路での実際の走り方は3速でリターダー動作(後述)か2速でオーバーレブしない速度って事になる。
アクセルもブレーキも踏まず、エンジンブレーキだけで抑速する。また、バストラには排気ブレーキとリターダーというエンブレの強力版が付いており、そのスイッチがハンドル左手にある。車種によるがウインカーレバーを向こうに押すタイプと、ウインカーと別に短いレバーが生えているのがある。動画でカチカチ言ってるやつだ。
これのスイッチを入れたり切ったりして速度を調節する。
ヘアピンではぐっと速度を落とす必要があるのでそこだけで足ブレーキを踏む。ブレーキ「ずっと踏みっぱなし」は絶対にNGだ。というかそんな運転するのはちょっと考えられない。
ブレーキを踏みっぱなしにして加熱させるとブレーキが効かなくなるが、その原因は2つある。
ブレーキライニング(押し付けられる摩擦材)が熱で滑りやすくなる事。「段々効かなくなる」のが特徴。
フェードが起きると独特の匂いがする。東武東上線とか伊勢崎線の古い電車で駅に着いた時に床下とホームの隙間から香ばしい匂いががした事ないだろうか?実はこれがフェードの匂いなんですな。MT車でクラッチを滑らした時とかも同じ匂いがするよ。
電車のブレーキはどれも同じ構造なのに東武の旧型車だけがあの匂いするんですな、不思議である。
あの匂いがしても東武電車は普通に走れるが、車だともうダメ。冷えると効きは幾分戻るがシューが変質してしまっているので交換か灼けた表面を削らないと効きは元に戻らない。
ブレーキ油が沸騰して水泡が出来る事。「突然、全く効かなくなる」という恐ろしい特徴がある。
ブレーキペダルの踏力の伝達には分子量の高いアルコールなどの液体を使っている。液体は圧縮できないからそのまま力が伝わるが、これが沸騰して水泡が出来てしまうと体積が千倍にもなり、また気体は圧縮できるから踏力が気体の圧縮に使われてブレーキを押す力にならない。
この両者は相反するものじゃなくて連続して起こる事もある。フェードが起きるとブレーキが効きにくくなるのでより強く踏まないとならない。そうすると発生する熱量が増えてそれでヴェーパーロックが起きてしまう。
で、増田の見立てだとこの事故の原因はヴェーパーロックだ。その理由には更にバスの構造を知ってもらう必要がある。
バスのサイドブレーキは、乗用車のように手でギギギと絞り上げるようなものではなくて、運転席の小さいレバーを倒すと全力で掛かるようになっている。
元々、バストラもハンドル式だったが、掛かる場所が違った。サイドブレーキはミッションについていたのだ。
昔のバスが終点に着くと、「ユッサユッサ」と揺れていたのを覚えているだろうか?これは車輪ではなくてミッション軸にサイドブレーキが掛かっていたからで、そこと車輪の間にあるシャフトやデファレンシャルギアの隙間、自在ジョイントのたわみのせいでユッサユッサしてたのだ。
だがこれはジャッキアップすた時などにデファレンシャルギアのせいでサイドブレーキが掛かっていない状態になり危ない。また急勾配で確実に止まっていられる事が車両法で定めらると、手で絞り上げる式では確実性と力が足りない。
なので、ブレーキのバネを普段は高圧空気で抑えておき、空気を抜くと強力なバネが全力でブレーキシューを押し付けるという方式に変更された。
画像を見たら一目瞭然だが、https://www.tbk-jp.com/products/brake_01.php
さて、変態バス氏の動画を見返して欲しいが、4:40頃から事故車両のブレーキ痕が続いている。
これはサイドブレーキが作用して後タイヤがロックしたって事である。
サイドと足ブレーキはシューが共用だ。もしフェードが原因だったらロックできないのではないか?
だとすると消去法でヴェーパーロックという事になる。
バスのブレーキ構造は、前がディスク、後ろがドラムというのが一般的だ。
見てもらうと一目瞭然だが、google:image:バスドラムブレーキ バスディスクブレーキ
ドラムというのは熱がこもりやすいがシューの摺動部とピストンの距離がある上に接触部が狭いところがあるので熱が伝わりにくく、ヴェーパーロックは起こりにい。
一方、ディスク式は摺動部とピストンが近い上に接触面積も大きいので熱が伝わりやすい。故にこっちの方がヴェーパーロックはし易いのだ。
だから後輪ドラムのフェードは大したことが無く、故にサイドブレーキは効いたが前輪のヴェーパーロックが来て全く減速できなくなったと考えるものである。
サイドブレーキが効いても減速できなかった理由は、一つは荷重の問題。下りでは車体がつんのめっているから荷重は前に移動する。だから後輪はロックしてスリップするがグリップ力が足りず減速できない。
この荷重移動を利用したのがドリフト走行なのね。ブレーキで前に荷重が移動している時にハンドルを切ると普段より舵が効く。前輪を中心に車がスピンしようとするからそこでサイドブレーキを引くと後輪が滑りだすってわけだね。
もう一つはホイールパークブレーキのせい。レバー倒すと後輪に全力でブレーキが掛かるので走行中ならいきなりロックする。スリップ状態はタイヤの摩擦力が低くなるから減速力が足りないって事になる。
よく出てくる排気ブレーキとは何かだが、エンジンブレーキを強力にする仕組みだ。
エンジンは2回転する間にピストンが2往復して1サイクルとなるが、爆発(燃焼)工程の前に空気を圧縮せねばならない。ディーゼルでは断熱圧縮で熱くなった所に経由を噴霧して燃焼させる。この圧縮には力が居るのでエネルギーロスだ。
圧縮の後に燃焼がなければロスだけが存在する事になる。エンブレはこの圧縮のロスを抑速に使っている。
排気ブレーキはここで更に排気管を塞いでしまうのだ。エンジンは圧縮ロスで虐められているのに更にペッと吐き出した息まで塞がれてしまう。とんだ意地悪だ。苦しいようやってられないよう、って事で更に速度が落ちてしまう。
排気ブレーキの作動中は「ドドドド」とエンジン音が野太くなって、解除時には「プシュ!」というのが特徴だ。
リターダーにはオイル式などもあって、これはオイルの抵抗でエネルギーロスをさせようというもの。木の板でかき混ぜる草津温泉の湯もみは水の抵抗があって結構大変、汗が出ちゃう。これと同じ仕組みだから湯もみブレーキと覚えてもらって差支えない。
でも日本のバスで一般的なのは、圧縮解放式ってやつで、これはエンブレの超々強力版である。
エンブレは圧縮ロスを利用するものだが、ピストンで圧縮された空気はその後どうなる?燃料が無くて燃焼されなくても、圧縮された空気はバネみたいにピストンを押し戻すのだ。
そこで圧縮解放式では意地悪して圧縮しきったところで排気バルブをちょっと開いてしまうのだ。すると圧縮空気は逃げてしまう。
更にまたすぐに閉じてしまう。すると今度は1気圧の所からピストンを引いていく事になるので真空ポンプの負荷が出来る。これで超強力なエンブレが出来るという訳だ。
新宿区の牛込柳町の交差点は急坂の底にあり、自転車で通る時に坂の上から一気に下りその勢いで向こう側の坂を上りたくなる。が、この交差点には信号があるのでそれをさせず停止状態からエッチラオッチラ上る羽目になる。
故に圧縮解放リターダーは柳町信号ブレーキと覚えてもらって差支えない。
圧縮開放式は空気が圧縮されたところでバルブを開くので動作中は「ンババババ」と結構派手な音がする。
因みにVTECみたいな可変複数カムによって実現されている。バストラもハイテクなのだ。
ある。
ブレーキ液には高分子アルコールを使うが、これは水を吸う。すると沸点が下がる。ブレーキは水が掛かる足回りにあって、そのピストンにはゴムのパッキンで水を防ぎ、ブレーキ液が漏出するのを防いでいる。
しかし窓をカッパギで拭いた時、水は残らないがなんかしっとりしているよね?あれが蓄積して水を吸い、200度以上ある沸点が150度くらいまで下がってしまう。この為に車検の度にブレーキ液は交換するのである。
因みにレースではもっと沸点が高いシリコン系が使われるが、これは親水性が無いので混入した水が水のままで存在してしまう。するとピストンが100度になると容易に沸騰してヴェーパーロックを起こし危険である。だから公道での使用は禁止されている。レースカーはレースごと、雨が降ったら走行ごとにブレーキ液を入れ換える。ブレーキ液にアルコール系を使うのはこのせいだ。
だからもしも車検(1年)ごとにブレーキ液を交換していなかったら沸点が下がりヴェーパーロックはし易くなる。この辺は国交省の調査を待つしか無いと思う。
また、少しではあるが、高山に上がって気圧が下がると沸点も下がる。
最後になるが、大型2種免許は他の免許取得後3年経たないと受験資格が無い。プロ中のプロのドライバーで、フェードしたりヴェーパーロックさせたりする運転というのはちょっと考えにくいんだよね。急坂であれば排気やリターダーのオンオフだけで慎重に下り足ブレーキには頼らないものなのだ。だから増田もちょっと腑に落ちない事故なのだ。
増田が地方都市(県庁所在地や人口2~3位の市)に住んでいたのなら、残念ながら東京生活のQoLは地元実家暮らしより圧倒的に落ちる。
中国地方から就職で上京して10年ほど東京に居る身として、TIPSをいくつか書く。
社会人なら交通費は全額支給だが学生にはそんなものは無いので、住む場所を選ぶ際は家賃に加えて定期代も考えた方が良い
郊外は家賃が安いが、とくに東京北部・東部は私鉄(東武・西武・京成)となっており、都心のJRや東京メトロ、東京都営地下鉄との接続で無駄に切符代が高くなる傾向にある。
# 広いスーパーの近くに住む
東京のスーパー・コンビニは増田が書くようにとても狭い。だが足立区や江戸川区、練馬区辺りの埼玉・千葉に面した都境の辺りは23区でも地価が安く、地方のような駐車場のあるクソデカスーパーやクソ広コンビニが建っている。
東京都心の狭いコンビニやスーパーは客用のトイレが無い店の方が多いが、郊外のこういったクソ広スーパー・コンビニはトイレも備え付けで声かけ不要で自由に使う事が出来たりする。外出時の気軽な排泄は人権で、これはかなり重要だ。
また、実は山手線の近くにも2~3階建ての広いスーパーが建っていたりする。
もし大学が山手線外側の場合、学生用の物件が多く用意されている上にこうした広いスーパーも存在する可能性が高いので、かなり楽になる。
# 治安
上記の広いスーパーやコンビニがある地域は子育て世代も少なくないので、治安はあまり悪くない。
変にイキって駅徒歩10分未満の地域に住むと、駅前の飲み屋にたむろするおっさんやヤンキーが24時間近くに居る状態になるので一人暮らしの学生には全くお勧めできない。
# 品揃え
これに関しては東京都内の各所に東京都営の卸市場が配置されているので、生鮮食品に関する品揃えは地方と比べても劣らない(ポテトチップス九州しょうゆのような各地方限定の商品は別だ)。
当然、品揃えの良さは店の広さに比例するため、これについてもスーパー・コンビニが広い場所を選ぶ事が重要になる。
# 住む場所
新しい店に疎いので老舗中心になるけど…
→チョコレート部分にアート(定番は浮世絵)が施されていて、見た目も美しく、味も当然ながら美味しい。薄くしっとりしたエクレア生地に包まれたカスタードクリームが口の中に広がる幸福。コーヒーも美味。
→季節のトッピングが特に見逃せない。みはしマニアの人から情報を得て、初めて食べた若桃トッピングのクリームあんみつは、今までの俺の中でのあんみつの概念が、ヒョイと覆された。
→ここのフィナンシェは多分バターの使用量が尋常じゃない。噛むとじゅわりと口内に広がるバター。こんなにバターの存在感を感じたフィナンシェは初めて。
→千疋屋なので当然果物は選び抜かれたものなんだが、なんというか、雑味がまったくない、素直でそだちのよい味わいのバナナがクリームと共にお口の中にイラッシャイなんである。朝方、たまたまこちらでおめざ的に頂いたのだが、こんな上級品を朝からお迎えできたあの日は、俺的幸福な朝TOP10に入るぐらいの、記憶の至福の味であった。なお、コーヒーも美味。
全然映えないけど、以上です。
地元の高校を卒業した男性従業員が20人ほどと、事務の中年女性が1人居た。
実家に隣接した工場の車庫には祖父が乗る国産の高級車が4台と、父のランクルが並んでいた。
祖父から工場を継いだ父は高校を卒業した一人っ子の俺に会社を継がせようとした。
就活や受験に焦る中、工場の跡継ぎを任された俺は余裕をかまして残りの高校生活を消化していた。
中学校は友人に誘われ野球部に入ったが、運動神経の悪い俺は試合で活躍した経験はほぼなく、
祖父と父に似ず文科系に育った私は工場の体育会系の風土に馴染めず、
工業高校の機械科を卒業し、ExcelなんてSUMくらいしか知らなかった俺でさえ
20人程度の会社の事務職は慣れてしまえばあまりにも簡単な作業で、
パソコンに疎いおじさんばかりで俺が何をしているのか分かっていなかった様子だった。
工場の隅に置かれた、機械油の臭いが漂う事務室でネットサーフィンをするうち
Yahoo!ジオシティーズを使い、漫画の登場人物のプロフィールをまとめ、
興味本位でHTMLとCSSに再度手を出し、WordPressの使い方を覚えた。
サーバーに上げたページを事務所のパソコンでも自分のスマホでも自宅のパソコンでも開いて
何度も上下にスクロールした。架空の地図も拡大して見たりした。
夕食の場で父に話があると切り出し、
「やりたいことを見つけた、俺に工場を継がせることを諦めてほしい」と伝えた。
最初は驚き、複雑な表情をしていたが、
「工場のことはもう気にするな、ただしやりたいことを全力でやれ」と言われた。
しかし田園風景の広がる田舎町、WEB制作の仕事なんて転がっていなかった。
転職サイトで見つけた求人に応募し、何度か片道5時間ほどのバスに揺られ、
たった5人の小さな制作会社だった。給料は19万円スタート。嬉しかった。
「まだ若いし、気合があれば入ってからいくらでも覚えられるから頑張ろう。」と励まされた。
俺は貯金をほぼ全て使い果たし東武沿線で6万5千円の狭い1Kを借りた。
5歳年上のS先輩と、一回りほど上のT先輩と社長が3人でWEB制作をしていたが
T先輩は俺に付き合って毎日遅くまで、日によっては朝まで指導してくれた。
それなのに毎朝俺よりも早く出勤していた。
どれだけ頑張って早起きしてもT先輩の方が早かった。
眠そうな表情は全く見せなかった。東京には化け物が住んでいると思った。
残り二人の先輩は社長の昔の同僚らしいが何をしているか分からなかった。
眠気と分からないコードと戦い、もがきながらしがみつくうちどうにかS先輩と同じくらいのクオリティの作業はこなせるようになった。
jQueryもPHPもフォトショの使い方も覚えた。イラレを使って簡単なチラシも作ったりもした。
お客さんとの打ち合わせもメールもそれなりにできる。
27歳になっていた。給料は25万円に増えた。後輩は2人できて、S先輩は会社を辞めた。
あるアニメイベントがきっかけで2歳年上の同じ趣味の彼女が出来た。偶然にも同郷だった。
ある日退勤中になんとなくメールを開いた。
目ぼしい求人は無かった。
なんとなく、ドロップダウンリストから勤務地の地元の県を選択し、年収欄に400万円と打ち込み、求人を検索する。
「株式会社〇〇 〇〇営業所 システムエンジニア 年収400万円~」
今年31歳になる。
彼女は嫁になった。
地元の駅徒歩18分の場所に駐車場込み9万円で3DKを借りて、駐車場にアクアとN-ONEを並べて一緒に暮らしている。
月に1、2回は父の顔を見に実家に帰っている。
この町の郊外に工場があり、そこから5キロほど離れた営業所でSEをしている。
SEは俺1人で、本社と連携を取りながら工場のシステム周りを担当している。
今扱っている言語は転職前はほぼ扱ったことのないものだったが、
研修制度のおかげもあり、JSやPHPを覚えたあとなら、さほど抵抗なく覚えることができた。
工場のシステム管理とは言え、大枠の部分は東京本社のSEがやってくれている。
俺のやっていることを分かる人間は誰も居ない。
俺のことはみんな「東京から帰ってきて、真っ黒な画面に何かを打ち込んでいるすごいやつ」だと思っている。
こうして業務中にはてなに文章を打ち込みながら転職サイトを眺めている。
それなりに幸せではあるが、今でもTwitterで繋がっているS先輩の仕事を楽しんでいるツイートを見ると複雑な気持ちになる。
俺はこういう働き方しかできないのかと思う。
https://www.smfg.co.jp/sustainability/report/topics/detail096.html
マグマから得られる地熱や、地表付近の地中熱は国内で安定的に得られる国産エネルギー源で あるにもかかわらず、これまであまり利用が進められてこなかった。しかし、エネルギーの在り 方が抜本的に見直される中、あらためて地熱資源に注目が集まり始めている。
東日本大震災や地球温暖化問題を機に、エネルギー政策の抜本的な見直しが議論されている。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが注目を集める中、新たな脚光を浴びているのが地熱資源だ。地熱資源は、マグマの熱に由来する高温流体を利用する地熱と、太陽熱に由来する地表周辺の地中熱の2種類に分類される。地熱も地中熱も実用化の歴史は長いが、国内ではあまり普及が進んでいない。本特集では、地熱発電と地中熱利用、それぞれの現状と普及に向けた課題、今後の展望を考察する。
地熱発電に利用されるのは、マグマから得られる熱エネルギーだ。火山帯の地下数キロメートルから数十キロメートルには、1,000℃を超える高温のマグマ溜まりがある。このマグマ溜まりで熱せられた岩石中に地下水が浸透すると、熱水あるいは蒸気を蓄えた地熱貯留層ができる。この地熱貯留層まで井戸を掘り、200~350℃という高温の熱水/蒸気を取り出してタービンを回すのが地熱発電の基本的な仕組みだ。その魅力は、24時間365日安定的に発電可能で半永久的に枯渇の恐れがないことと、発電時のCO2排出量がほぼゼロであることだ。
日本の地熱資源量は2,300万キロワット超で、アメリカ、インドネシアに次いで世界3位を誇るが、発電設備容量で比較すると、1位の米国が309.3万キロワットなのに対し、日本は53.6万キロワットで8位にすぎず、豊富な資源を生かしきれていない状況にある。
日本の地熱発電が普及しなかった主たる要因は、「立地規制」「地元の理解」「エネルギー政策」の3つといわれている。
「立地規制」とは、政府が1970年代から景観保護などを理由に国立公園、国定公園、都道府県立自然公園における地熱開発を制限したことを指している。国内の地熱資源の7~8割は国立公園内にあるため、これが事実上の開発制限となってしまっているのである。
「地元の理解」とは、地熱資源立地区域に隣接する温泉地区の事業者の理解が得られないことである。科学的な根拠や具体的な因果関係を示すデータはないが、温泉地に関わる観光事業者が温泉源枯渇を理由に開発を拒否するケースは全国で起きている。
「エネルギー政策」とは、政府による開発支援の問題と言い換えてもいい。1974年に始まった「サンシャイン計画」では、地熱発電は主要な発電方法の1つと位置づけられ支援策も充実していたが、1993年の「ニューサンシャイン計画」以降、研究費が削減され、1997年の「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネルギー法)」では、「新エネルギー」分野の研究開発対象に選ばれなかった。さらに、2002年の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」では、対象となる地熱事業は「熱水を著しく減少させないもの」という条件が付いたため、従来の発電方式では支援を得ることが難しくなってしまった。
そもそも地下資源は開発リスクの高い事業である。開発の際は、地表評価を行った後、地下深部に多数の坑井を試掘し、発電可能な地熱資源を掘り当てなくてはならない。試掘とはいえ、掘削には1キロメートル当たり約1億円のコストがかかる。地中にはマグマがあるのだから、掘削すれば必ず地熱資源を得られるだろうとの推測は素人考えで、事実はまったく異なる。重要なのは、マグマ溜まりの探索というよりも地下水が貯まる地熱貯留層を掘り当てられるかどうかだ。現代の高度な探索技術をもってしても、地下1~3キロメートルに分布する地熱貯留層を正確に検知することは極めて困難で、今も開発事業者の知見や勘に頼らざるを得ないというのが実情だそうだ。首尾よく掘り当てたとしても、高温蒸気を安定的に得られるのか、どの程度の発電ポテンシャルがあるのか、熱水の長期利用が周辺環境に影響を与えないのかなどを見極めるため、数年間にわたるモニタリングが欠かせない。そのうえ、資源を掘り当てても認可を得られなければ発電事業はできない。地熱発電の調査から開発までに10年以上の期間が必要とされるのは、このような理由による。ある意味、油田開発と同等のリスクとコストが必要とされながら、出口としては規制に縛られた売電しかないため大きなリターンも期待できない。こうした状況では、地熱発電事業への参入者が現れなかったのも、致し方ないといえる。
しかし、地球温暖化や東日本大震災の影響により地熱発電に対する風向きが変わってきた。地熱開発を阻んできた3つの要因すべてに解決の糸口が示されたのである。
まず、環境省が、地熱開発に関わる自然公園法の規制緩和に動き始めた。2012年3月21日には、第2種、第3種特別地域について、域外から斜めに掘り込む傾斜掘削を容認し、さらに関係者や地域との合意形成、景観に配慮した構造物の設置、地域貢献などを満たす「優良事例」であれば、技術的、コスト的にも負担の少ない垂直掘削も認められることとなった。これに加え、3月27日には「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を都道府県に通知し、地元調整の在り方を具体的に示した。これらの施策により、立ちはだかっていた「立地規制」と「地元の理解」に関するハードルが一気に下がったのである。
さらに、経済産業省が、2012年度予算に地熱資源開発促進調査事業として91億円を盛り込み、地表調査費用の4分の3、掘削調査費用の2分の1を補助。資源開発のノウハウを有するJOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による開発準備段階の民間企業への出資や、開発資金を借りる際の債務保証ができるよう、石油天然ガス・金属鉱物資源機構法を改正する方針を示した。そのうえ、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により、売電開始後15年間の地熱発電の買取価格(1キロワット当たり)は、1.5万キロワット以上で27.3円、1.5万キロワット未満で42円という価格が提示された。こうした「エネルギー政策」の転換により、地熱発電事業を覆っていた分厚い雲の合間から、明るい光が射し始めた。
こうした流れを受け、10年ぶりに新たな開発プロジェクトが動き始めた。電源開発(J-POWER)と三菱マテリアル、三菱ガス化学は、秋田県湯沢市葵沢・秋ノ宮地域で地熱発電所の建設を進め、出光興産は他社と連携し、北海道阿女鱒岳(アメマスダケ)地域および秋田県湯沢市小安地域に地熱発電の共同調査を行うほか、福島県の磐梯朝日国立公園内に国内最大の地熱発電所をつくる方針を示している。
岩手県八幡平では、八幡平市と日本重化学工業、地熱エンジニアリング、JFEエンジニアリングが出力7,000キロワット級の発電所を2015年に開設すると発表している。JFEエンジニアリング エネルギー本部発電プラント事業部の地熱発電部長、福田聖二氏は、「弊社は、全国18カ所の発電所のうち9カ所で蒸気設備を建設してきました。その実績とノウハウを生かし、今後は発電事業への参入も視野に入れて開発に乗り出します。また、世界最大のバイナリー発電メーカーとも協業し、従来型より環境や景観に配慮した次世代型の地熱発電所の開発にも取り組んでいきます。地熱発電は、一度開発すれば半永久的に安定稼働が可能というメリットがあり、太陽光や風力などの再生可能エネルギーとともに今後重要な役割を果たすものと考えています」と話している。
福田氏の言うバイナリー発電とは、熱交換器を通して地熱流体(熱水、高温蒸気など)の熱エネルギーを低沸点媒体で回収し、それを沸騰させてタービンを回す発電法だ。使用した地熱流体を地上に放出することなく全量還元できるため、地下水減少のリスクが極めて少ない。また、発電設備から蒸気を排出せず、国立公園などの自然景観に配慮した発電所を建設できるため、環境省の定める「優良事例」に認められる可能性が高いとして期待されている。さらに、熱交換用の低沸点媒体の種類によっては、温泉水(70~120℃)の熱エネルギーを利用した温泉発電も可能だ。温泉発電は、既存の源泉と温泉井に手を加えずに発電ユニットを後付けするだけで実現でき、温泉地への影響も源泉枯渇の心配もない。JFEエンジニアリングでは、福島県の土湯温泉町で2014年に500キロワット級の発電事業を始めるべく、計画を進めている。これは、震災の影響により温泉収入が減った同地で、地熱発電を地域活性化に生かそうとする試みである。このようにバイナリー発電方式は、大型の地熱発電所だけではなく、小型の温泉発電所にも適しており、地産地消型の分散電源として各地に広まる可能性も秘めている。
新エネルギーとして世界的に研究が進む地熱発電分野では、高温岩体発電など新しい技術も生まれている。これは、水を圧入して人工的に地熱貯留層を造り、熱エネルギーを抽出する方式で、天然の地熱貯留層を掘り当てる必要がなく、開発リスクを減らすとともにさまざまな場所で地熱発電が可能になるため、大きな注目を集めている。しかし、人工的な地熱貯留層の構築が環境にどのような影響を与えるのかなど、検証データが揃っていないため、実用化にはしばらく時間がかかると見られている。
国際エネルギー機関(IEA)の試算によれば、世界の地熱発電量は2050年までに年間1兆4,000億キロワット時まで拡大すると予測されている(2009年の地熱発電量は年間672億キロワット時)。現在、日本企業は、地熱発電用タービンで世界シェアの7割を占めるなど、同分野で世界トップレベルの技術を有している。今後、世界規模で拡大が予想される地熱発電分野において、日本企業が存在感を発揮することが期待される。
第2部では、もう1つの地熱資源「地中熱」について考察する。「地熱」と「地中熱」の最大の違いは熱源である。マグマに由来する熱水や高温蒸気がエネルギー源の地熱に対し、地中熱は、太陽で暖められた地表付近の熱がエネルギー源だ。火山地域など対象地が限定される地熱と違い、地中熱は全国どこでも得られ、安定的に利用できることが特徴だ。
地中温度は太陽熱の影響により浅部では昼夜・季節間で変化するが、10メートル程度の深度では年間を通してほぼ一定の温度を保っている。その温度は、地域の年間平均気温とほぼ同等となっている。ちなみに東京の地中熱は年間約17℃で安定している。四季のある日本では、大気は夏暖かく冬冷たいが、地中の温度は一定であるため、この温度差を利用して冷暖房や給湯、融雪などを行うのが地中熱利用の基本原理である。
地中熱利用にはいくつかの技術があるが、現在主流となっているのは地中熱ヒートポンプシステムである。これには、地下の帯水層から水を汲み上げて熱交換を行うオープンループ型と、水や不凍液などの流体を地中のパイプに通して放熱・採熱を閉じた系で行うクローズドループ型がある。オープンループ型は地下水を利用するため設置場所がある程度限定され、主に大型施設で用いられているが、クローズドループ型は場所を選ばず設置でき、環境への影響が少ないことから、現在の主流となっている。
地中熱利用促進協会の笹田政克理事長は「地中熱ヒートポンプシステムは、省エネ・節電対策および地球温暖化対策に極めて効果的です。このシステムは、気温と地中の温度差が大きいほど、通常のエアコンに対する優位性が高く、真夏や真冬ほど高い省エネ効果を発揮します。地中熱を利用すれば、冷房使用率が最も高い真夏のピークタイムなどでもエネルギー消費を抑えられることから、現在問題となっている電力供給量不足の解決策として期待されています。また、地中熱利用はヒートアイランド現象の抑制にも効果があります。ヒートアイランド現象は、建造物からの冷房排熱が大きな要因とされていますが、地中熱の場合、冷房排熱を地中に放熱してしまうため、都市部の気温上昇を抑える効果があるのです」と語る。
地中熱ヒートポンプによる冷暖房システムは、オイルショックを機に1980年代から欧米を中心に普及が進んだ。アメリカでは、現在100万台以上が稼働している。また、中国も助成制度を整備したことが功を奏し、世界2位の普及率を誇っている。これに対し日本は、2009年時点の導入施設数は累計580件にとどまっており、海外と比べて普及が進んでいない。これは、地中熱が認知されていなかったことや、掘削などにかかる初期コストの高さが主な要因と考えられている。
しかし、2010年に政府がエネルギー基本計画で地中熱を再生可能エネルギーと位置づけたことや、2011年度以降に「再生可能エネルギー熱事業者支援対策事業」「地域再生可能エネルギー熱導入促進事業」などの支援策が相次いで打ち出されたことから、国内でも急速に認知が進み、さまざまな分野で導入が検討され始めている。
コンビニエンスストア、学校、東京スカイツリータウン(R)も地中熱を導入
支援制度の拡充や節電意識の高まりを受け、近年、さまざまな分野で地中熱の導入が進められている。たとえば、羽田空港の国際線旅客ターミナルビル、東京中央郵便局の跡地に建設されたJPタワー、セブン-イレブンやIKEAの店舗、富士通の長野工場、東京大学駒場キャンパスの「理想の教育棟」など、ここ1、2年の間に導入が続いている。また、旭化成ホームズやLIXIL住宅研究所が地中熱冷暖房システムを備えた住宅を販売するなど、一般住宅でも地中熱利用が始まっている。
今、話題の東京スカイツリータウンでも地中熱が利用されている。同地域のエネルギー管理を担当する東武エネルギーマネジメントの Permalink | 記事への反応(0) | 19:37