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2021-05-16

絶対に『レスライズ』するな」

 タイトル失念したし細部は間違えているかもしれないが、アメリカSF作家ロバート・シェクリイ短編小説で、こんな話があった。

= = = = =

 ある日、主人公は、街中の交差点歩行者信号青色になったので横断歩道を渡ろうとしたところ、背後の誰かから「危ない!」と声を掛けられたお陰で、信号無視の車に撥ねられずに済む。

 声を掛けて助けてくれた誰かにお礼を言おうと、主人公は背後を振り返ったが、それらしき人間は見当たらない。

 その代わり、目に見えない何者かの声がして、主人公との会話が始まる。

 その声の主は、謂わば異次元存在から、大多数の人間は、見ることも声を聞くこともできない。しかし、稀に主人公のように声を聞くことが出来る人間がいる。

 そして、声の主は災難に遭う可能性が有る運命の人間を見分けることができるので、今回のように忠告の声を掛けて時折り助けているのだと言う。

 声の主が「君さえ良ければ私がアドバイスをすることで、君が将来的に遭うかもしれない危険な目を避けられる。別に見返りを求めたりもしない」と言うので、主人公は謎の声の主をアドバイザーとして受け入れ、二人の関係が始まることになる。

 声の主が予め危険忠告してくれるので、主人公危険を避けることができるようになる。例えば「明日の出勤は違うルートしろ。いつものルートではガス爆発が起こるから」と言われて従ったところ、翌日の新聞にガス爆発事故記事が載り、普段通勤に使っているバスが巻き込まれたことを知るといった具合いである。

 最初主人公も「これは助かる」と重宝するが、二人の関係が続くうちに、危険を避けるために与えられる忠告の頻度がどんどん多くなる。

 不思議に感じた主人公が、声の主に質問すると、次のような答えが返ってくる。「人間の運は、全体的にバランスが取れるようになっている。自力未来危険を察知したり避けたりすることができない人間は、大きな危険に遭遇する可能性が小さくなるようになっている。しかし、君は私の忠告によって危険を避ける能力普通人間よりも上がっているので、その分のバランスを取るために大きな危険に遭遇する可能性も上がっている」と。ちょうど、ヤジロベエの片腕を押し下げているようなものである。ヤジロベエが落ちないようにするには、反対側の腕も押し下げねばならない。

 「冗談じゃない!」と思った主人公は、声の主との関係を解消しようと「私のところから立ち去ってくれ」と言う。しかし、声の主は言う。「君の傍から私が居なくなっても、運のバランスが直ぐに回復するわけではなくタイムラグがある。私の忠告は受けられなくなるが、君が危険に遭遇する可能性は暫くの間は高いままになる。私の忠告も無しに、それらの危険を君は避けることが出来るのか?」と。ヤジロベエの両腕を押し下げている力の片方が、急に消えるようなものである。声の主が消えれば、反対の腕を押し下げる力だけが残る。もし、そうなると……。

 声の主は、主人公に対して「心配はいらない。私の忠告さえ守れば、君は安全から」と言う。実際にその言葉どおり、主人公は様々な事故事件を未然に避け続ける日々を送る。

 やがて月日が経つと、声の主による忠告に変化が生じ始める。「主人公の住居であるアパート玄関に✕✕を掛けておけ」とか「✕✕を肌見離さず持ち歩け」という具合いに。

 まるで魔除けじゃないかと思った主人公が、声の主に尋ねると、やはり運のバランス問題であることが判明する。声の主は言う。「異次元存在にも、私のように人間を助けるのが好きな者もいれば、逆に人間危害を加えるのが好きな者もいる。私から忠告を受けられることで、君の運は相対的に良くなったから、その代わりに人間危害を加えるのが好きな存在にも目を付けられるようになった。これらの新しいタイプ忠告は、それらの危険存在を避けるためのものである」と。もちろん、声の主が居なくなったとしても、主人公異次元危険存在に狙われる可能性は暫く高いままである。したがって、主人公拒否権は無い。

 声の主は言う。「心配はいらない。私の忠告さえ守れば、君は安全から」と。ここに来て、ようやく主人公は悟る。声の主は、善意から主人公を助けていたのではない。単に、主人公を駒にしてゲームを楽しんでいるだけなのだと。しかし、関係を絶とうにも既に手遅れである。声の主が居なくなれば、主人公を待つの破滅だけなのだから

 そんな或る日、またも声の主が忠告をしてくる。

 この頃になると主人公も慣れてきていたので「今度は何だ?墓場の土を掘ってくるか?それともヒイラギニンニク玄関のドアにぶら下げておくか?」と、声の主にジョークを返す。しかし、声の主は言う。「いや、今回の戦術は『何かしろ』ではなく『ある禁止事項をしないようにしろ』という形になる。何しろ今度の敵は手強い。獲物にしようと狙いを定めた人間をずっと見張り続けて、そいつミスを犯したところを餌食にするんだ。だから長期戦になるのを覚悟しろ根比べで敵が音を上げて、君の傍を立ち去るのを待つしかない」と。

 「いいか絶対に『レスライズ』するなよ」と声の主は言うが、主人公理解できない。声の主が「あ、そうか。これは人間言葉で言えば……」と説明しようとしたその時、突如として、アパートの部屋の中に獣臭い匂いが立ち込め、凶暴な唸り声が聞こえ始める。

 「くそ!予想よりも早く現れた!」と声の主が言うのが聞こえると、目に見えない存在同士が格闘していると思しき物音が主人公にも聞こえ始めるが、その末に声の主の断末魔悲鳴が響き渡る。

 「おい!大丈夫か?」と安否を尋ねる主人公に対して、声の主は弱々しい声で「いいか……絶対に……するんじゃないぞ……」と言い残し、それっきり声も聞こえなくなる。

 主人公は恐怖に震えながら、部屋の片隅にうずくまり、まんじりともせずに一夜を過ごす。

 眠気に負けた主人公は少し居眠りして目を覚ますが、何事も無かった。だから睡眠をとることはレスライズではない。

 催した主人公トイレに行って用を足したが、何事も無かった。だから、これもレスライズではない。

 主人公は、喉が乾いたか水道の水を飲んだし、腹が減ったか冷蔵庫の中に有るものを食べたが、何事も無かった。だから、これらもレスライズではない。

 脅威の元である異次元存在は、人間の目には見えないから、それが立ち去ったかどうかを主人公が確かめる術は無い。しかし、用心深く過ごしていれば、いずれ敵も根負けして立ち去ることだろう。それまでは気をつけるしかない。

 物語は、主人公独白で幕を閉じる。

 「ああ、何だかクシャミが出そうだ」

= = = = =

 己の運命他人任せにし続けた人間はどうなるか。そういう話。

2021-04-29

anond:20210428235315

短編小説かよ

こんなに長いとは思わなかった

ネットでこの長さを文章を読まされるとは思いもしなかった

2021-02-12

必読書コピペマジレスのやつのパクリ海外文学

パクリ元→ https://anond.hatelabo.jp/20210212080317

だって楽しそうだったから...(自分文学的教育は受けてないし、誰かと読んだ本の感想を共有することなんてないので、元増田文学サークルとか友人とか出てくるのがうらやましい)

ネタバレありだけど、ちゃん確認せず書いてるので記憶違いがあるかも。あと、後半になると全然読んでなかったわ。

ホメロスオデュッセイア

オデュッセウストロイ戦争から帰る途中で船が難破して右往左往頑張るのを眺めるお話なのだけど、勇敢で直情的な普通おっさんなので苦労するところは苦労してて良い。あと、イリアスと比べても昔の神話らしく出てくる人物とか神様の類がガチ理不尽なので良い。話がズレるけど、イリアスにはディオメデスというやつが主人公然として出ずっぱりなのだけど、オデュッセイアの回想には全く出てこないし、アガメムノンとかアイアスとかと違って他の作者の物語にも出てこないのだけど、あいつなんなん?

旧約聖書創世記

途中で読むのをやめた記憶がある。

ソポクレスオイディプス王

エディプスコンプレックス父親に対向心を燃やし、母親に恋慕する、的なやつ)の語源だと聞いて読んだら、全然そういうノリの話じゃなくて「へぇ」ってなったやつ。オイディプス自身は預かり知らぬところで運命に弄ばれて、最後にはすべてを理解してしまって絶望する可哀想な話なのだけど、どうでもよいことで人を殺したことトリガーでもある(それも運命ではあるのだけど)ので、自業自得感もある。気楽に人を殺してはだめ、絶対シェイクスピア悲劇とかもだけど、「100%落ち度がない悲劇被害者」ってあんまり昔の物語には出てこないね

唐詩選』

タイトルすら知らないやつ、その1

ハイヤーム『ルバイヤート

いまいち印象に残ってないけど、なんかずっと酒を楽しんでて幸せそうだなって思ったような気がする。

ダンテ神曲

地獄編の半分くらいまで読んだ。作者(ダンテ)が古代詩人だか哲学者かに褒められて地獄めぐりを導いてもらうところから始まって、自分の嫌いなやつ(政敵とか批判者)が地獄で苦しんでるのを巡ってはひたすら口汚く罵って回るという、その性格の悪さというか根暗さに嫌気がさして読むのをやめた。原文だと詩的というか言語的な美しさとかあるらしいけど、こちとら娯楽としてしか本は読まないので日本語で読むからそんなん知らん、こいつは陰湿

ラブレーガルガンテュアとパンタグリュエルの物語

確か冒頭に「酒でも飲みつつゲラゲラ笑いながら聞くためのもんだから」みたいな説明が入るのだけど、そんな感じ。すごいでかい巨人の話だけど、家を椅子にしたと思ったら小便で洪水を起こして家を押し流したりするので、巨人としてのサイズも大概統一性がないんだったはず。なんか「人間の絆」だったかで、大真面目なキャララブレーを手放さなかった、みたいな描写があった気がするのだけど、ニュアンスがわかるようなわからんような...と思った記憶がある。

シェイクスピアハムレット

シェイクスピア作品は、意図はどうあれよく「様々な作品元祖とも言えるものなので、読むと後続の作品がより楽しめる」的に紹介されるのだけど、普通に単体で楽しめると思う。そもそも、別作品を読んでて「あ、これシェイクスピアで見たやつだ!」ってなったからって楽しいか?という感覚個人的にはある。ひとつ上にラブレー云々も別に良い要素だと思わなかったし。で、ハムレットシェイクスピア戯曲の中でも登場人物精神性の完成度が一番高いと思っていて、劇的さでは「オセロー」とか、キャラクターの鮮烈さでは「リチャード三世」とかには劣るかもしれないけど、舞台装置としてのキャラクターではなく、"異なる価値観教育etc...の元に自分で考えて行動する登場人物たちがつくる物語"としての面白さが本当に高いと思う。歴史的価値とかは忘れろ、楽しめ。

セルバンテスドン・キホーテ

パルケエスパーニャにいた。

スウィフトガリヴァー旅行記

巻末の解説すら読まないことが多いので、アイルランド云々の話をパクリ元で見て「そうだったんだー」ってなった。それぞれの国には短編小説くらいの分量しか滞在しないので、それぞれ短編SFとか的なノリで読んで面白かった記憶がある。自分自然科学系の研究者なので、科学なき探求(無為)をひたすらやってる国の印象が強い。なんかおまじない的なやつで作物の収穫量が増えるのでは?ってそれを試してるんだけど、当たり前に効果はまったくないし、それを評価するというプロセス存在しないので無限無為を繰り返してた。

スターントリストラム・シャンディ』

タイトルすら知らないやつ、その2。

サド悪徳の栄え

「目玉の話」は読んだけど、その結果として「悪徳の栄え」は読まなくて良いかな。ってなったやつ。

ゲーテファウスト

最強天才ファウスト博士悪魔契約して、「悪魔の力で楽しませてやる代わりに、人生楽しみきって満足したら魂もらうからな」って契約をする話なのだけど、すべての学問を修めた最強天才のはずのファウスト博士普通精神的に未熟なおっさんなので、酒飲んで暴れたり恋愛ごとやったり神話的な体験したりと色々していくなかでの言動がいちいち子供じみてるのが面白い。最後理想国家のために働く的なパートでいきなり聖人的になってたり、全体の流れが説教臭いのが多少鼻につくのだけど、ラストシーンの迫力は自分読書歴の中でトップクラスだと思う。ちなみにこの作品は「時よ止まれ、お前は美しい」って言葉元祖なのだけど、これってファウスト博士からの「この世界を楽しみ尽くして満足した。これ以上の瞬間などこれ以降はありえない(だからもう魂を持っていって良いよ)」という悪魔への宣言で、なんかラブロマンス的なシーンで使われてるの見ると、「ん?」てなるんよね。

スタンダールパルムの僧院

面白かったな」という感想を持った記憶はあるのに内容はまったく思い出せない。なんか年上美人若者恋愛する話だったと思う。多分登場人物が本気で生きてる感があって各シーンは面白いって読めたけど、全体の流れにはさほどの興味が持てなかったタイプの話だと思う。

ゴーゴリ外套

うだつの上がらない貧乏役人のおじさんが一念発起して外套を新しく買うのだけど、可哀想な目にあう。っていう胸糞の悪い類の話。どこかユーモラスなので面白がりつつも、「可哀想じゃんヒドイよ!」って思いながら読んだ。みじめな人間をみじめな人間視点で描ききるって案外すごいことだと思う。でもゴーゴリナンセンス小説ならもっとポップな「鼻」のほうが好きだし、大真面目な雰囲気ナンセンスをやっている感のある「死せる魂」も良い。死せる魂は未完だけど、なんだかんだ一つのエピソードちゃんと完結してるので、未完だからって敬遠しないで良いと思うよ。

ポー盗まれた手紙

タイトルとあらすじを知ってて、なので読んでいない。

エミリー・ブロンテ嵐が丘

主人公女性の半生記的なところがある物語なのだけど、主要登場人物であるキャサリン主人公)やヒースクリフ主観的感情があまり描写されない(まったくされない?)ので、なんかヒステリック意味不明言動キャサリンと内心が読み取れないヒースクリフが読者を置いてけぼりにしながらすごく力強くて迫力があって得体のしれない物語を作っていく話だったと思う。主観的情報がないからこそ感じられるキャラクターたちの感情の力強さってなんかあるよね。

メルヴィル白鯨

クジラに関する雑学(どう考えてもガセのものがある)がしょっちゅうはいってくるクジラ漁船物語体感で全体の3割)。エイハブ船長とクイークエグのキャラクターの良さを傍観者主人公視点で楽しむ感じだった気がする。ラストシーン映像的な迫力は「ファウスト」のラストシーンの迫力にも匹敵するものがあると思う。文章映像的迫力ってなんよ?って自分も思うけど、なんかそういうのはあるんだ。多分。

フローベールボヴァリー夫人

間違えなく読んでるし、面白かったと思った記憶もあるけど内容が思い出せないやつその2。多分、貴族恋愛ものってジャンルはいろんな作品があるので、自分の中でごっちゃになってるところがあるんだと思う。あらすじを読むとなんとなく思い出すのだけど...

キャロル不思議の国のアリス

ディズニー映画って、ノートルダムの鐘とかを筆頭にとんでもなく改変されてるもんだけど、不思議の国のアリスについては、その「不思議の国」感は素敵に映像化されてると思う。一方で、原作の「ひねくれイギリス人が伝わるかどうかは無視してそのアイロニー子供にぶつけてる感」はなくなってるので、そういうひねくれたおっさんのノリのために読んでみても良いと思う。

ドストエフスキー悪霊

ドストエフスキーノイローゼ死語患者独白を描かせると人類史最強だと思っているのだけど、この作品でも割とそういうところがある。ノイローゼ感のヤバさだけなら地下室の手記とか白夜でも良い。でも個人的には「罪と罰」の主人公の単純なノイローゼ患者ではないせめぎあい感が一番好き。

チェーホフ桜の園

由緒ある一家が没落していくんだけど、正常化バイアスなのかなんなのかどこか他人事で、お母さんなんて特に事が進む毎に悲しんではいるんだけど、一切その精神性が変わらなくて(成長しなくて)、「多分この人死ぬまでこうなんだろうな...」感があってすごい。ラストにお年寄り使用人に対する家族全員に関するシーンがあるのだけど、それがすごい印象的で、チェーホフの他の作品戯曲を抑えてこれが良く代表作として出てくるのはこのシーンのせいだな、って個人的には思ってる。自分チェーホフ戯曲より小説のほうが好き。

チェスタトンブラウン神父童心

タイトルすら知らないやつ、その3。作者名も知らない。

プルースト失われた時を求めて

5冊だか6冊だかにのうちの一冊目だけ読んで続きを読んでなかった。忘れてたわ。

カフカ審判

読んだけどあんまり好きになれなかった記憶がある。カフカ基本的キャラクターに人間味がないのが面白いところなのだと思っているんだけど、「変身」とかの短編ならともかく、「城」とかこれくらいの分量になると、人間味のないお話自分には楽しめないのだな、と思った。

魯迅『阿Q正伝』

読んでないけど、なぜかあらすじは知ってる。

ジョイスユリシーズ

読んでない。「ダブリン市民」があまり楽しめなかったという記憶があって手を出していない。ダブリン市民はどんな話だったか覚えてない。

トーマス・マン魔の山

結核患者の療養施設であるところのサナトリウム生活するおっさんの話。ワナビー小説家だか学者だか(主人公ではない)のエピソードや、立派な紳士とその子供の印象的な挿話があったかと思うと主人公と別の患者哲学かなにかの論争がてんやわんやあったり、女性患者との恋愛未満関係の話があったりと色々な要素がある。ただ、どの部分でも人物精神性についてバリエーション豊かで不思議リアリティのあるキャラクターが独特な言動をするので楽しめた。でも、突然こっくりさんをはじめたときは「作者どうした?」って思ったよ。なんなら今でも思ってるよ。

ザミャーミン『われら』

タイトルすら知らないやつその4にして作者名も知らないやつその2。

ムージル特性のない男』

タイトルすら知らないやつその5にして作者名も知らないやつその3。自分1900年あたりを境に新しい作品に苦手意識があってあんまり読んでないんだなって実感する。

セリーヌ『夜の果ての旅』

このへんはすごい現代的なんだけど結構好き。現代的というのは勝手自分定義なのだけど、この辺の世代になるとやっぱり文章が少なからず技巧的になって、観念的な表現とか比喩とかが増えてくるので、「うるせぇ、自分感情もっとわかりやす説明しろ!」って要求をしたくなるのだった。でもこの話は割とそれでもなんだかんだ心理がわかるので楽しめた。

フォークナーアブサロム、アブサロム!

このお話はすごい好き。南北戦争前の南部黒人バリバリ奴隷として使われてる時代地域)のある町にトマス・サトペンというヤバげなおっさんがやってきて領地開拓し、南北戦争を挟みつつ色々する話なのだけど、時系列出来事を追っかけずに何人かの周囲の人達の回想などでだんだんとそのおっさん人生全体像を見せてくる構造になっていて、ただのヤバげなチンピラおっさんだったサトペンが、相応の過去と野望をもったクソチンピラになっていく(自分の中で)のがすごい迫力満点で面白かった。この作者の有名どころの読みにくさは、「響きと怒り」>「アブロサム、アブロサム!」>「八月の光」なので、この逆順に読むのがおすすめ短編から読むのも良いけど、「ウォッシュ」だけは「アブロサム、アブロサム!」のネタバレから後に回すのがおすすめ

ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』

タイトルすら知らないやつその6にして作者名も知らないやつその4

サルトル嘔吐

そこまで好きにはなれなかった。説教臭さとも違うなんか面倒臭い思想みたいなものが全体に漂ってる感じで、個人的にはそれが鼻に付いたんだろうなぁって思う。

ジュネ『泥棒日記

読もうと思ってたけど読んでなかったのを思い出した。読もう。

ベケットゴドーを待ちながら

なんか意味がありそうで(少なくとも自分が考える限りは)何も意味がないという、意味ありげさで成り立っている戯曲。ただ、それぞれのシーンが映像としてかなり印象的なので、その力でのめり込みながら読んた。で、読んだあと思い返すんだけど、結局何がなんだったのかイマイチからないのだった。偉そうなご主人様とその奴隷のシーンとかあったけど、結局なんだったんだあいつら。

ロブ=グリエ嫉妬

タイトルすら知らないやつその7にして作者名も知らないやつその5

デュラス『モデラートカンタービレ

読んだはずだけどちょっと印象が薄い。同じ作者の「愛人」がそうだったと思うのだけど、登場人物の心情描写が変に淡々としていて、でも行動はどこか直情的で不思議だなぁと思いながら読んだ気がする。その不思議さを楽しむのかな。なんか村上春樹小説登場人物の行動を感情的にしたような感じ。

レム『ソラリスの陽のもとに』

タイトルすら知らないやつその8にして作者名も知らないやつその6。自然科学研究者なのにSF全然読まないのだった。でも、SFに興味のない研究者って外部の人が思うよりは多いと思うよ。そもそも本を読まない人をおいておいたとしても。

ガルシア=マルケス百年の孤独

ラテンアメリカ文学って魔術的リアリズムとかなんとかって、「なんかありそうにない魔術的なシーンだけど、不思議リアリティがある」みたいな評価がされてるらしいのだけど、それってヨーロッパ人感性日本人ヨーロッパ文学も大概魔術的なものとして受容してるところあるよなって思う。ただ、それはともかくとして、この作者の作品ではその言葉がしっくりくるとは思う。同じ作者の「族長の秋」とか短編の「エレンディラ」とかは割とお話全体のストーリー意味と(場合によっては)ある種の寓意を持っているのだけど、この作品だけは全体の流れとかはあまり意味ないんじゃないか個人的に思う(何度も読めばなにか見えるのかもだけど...)。それぞれのシーンをただただ楽しんでいたら、読む前に覚悟した長さの4分の1くらいの体感長さで読みきっていた。

ラシュディ『真夜中の子どもたち』

タイトルすら知らないやつその9にして作者名も知らないやつその7。なんかすごそうなあらすじだね。

残り全部

詩はたしなまいから知らない。ツエランはなんか親が読んでて好きだと言ってた気がする。ブレイクって多分宗教画を描く人でもあると思うんだけど、この人の絵はどっかで見てすごいなぁって思った気がする。

終わり

ちなみに、「哲学思想」のパートと「日本文学」のパートは両方合わせても5~6作品しか読んでなかった。多分後30年経ってもさほど増えないだろうなと思う。

2021-02-07

おけパにもごんぎつねにもなりたくない。

この前話題になってた本垢では4桁フォロワーがいる絵師だけど、ROM垢で新人だかを育てるのが楽しいってやつ。いやマシュマロ自己肯定感を高めて〜とかやってないで本垢rtとか繋がるとかでよかったんじゃね?と思って後日Twitterしてたらまぁまぁ燃えてた。まぁそうだよね、高圧的だったし“俺が育てました”みたいなノリだし。

話は変わるけど、俺は二次創作垢はあるがいかんせん文章力が壊滅、イラストもそこそこ見れるレベルでどうにも妄想が出力できないオタクである。いいなと思う場面が言語化できない。擬音で乗り切ろうとする。一回書いて見直すと羞恥心で爆発する。だから書けない。難しいなこれ。

だけど、神絵師とか神字書きとか仲良しのフォロワーとかの匿名質問箱とかましゅまろにはそこそこな短編小説やら妄想やらが送れる。その時だけはなんか知らんが書ける。その時だけは。

この前、一回マシュマロで送った妄想を神字書きが大層喜んで一本小説を書いてpixivにアップしてくれた。俺が育てましたとか俺のおかげとかは思わなかった、読みたい文章を神が実体化してくれたと思った。そこに俺がどうとかそういうのはない。ネタを一滴差し出しただけで、そこから完全体へと昇華したのは神自身能力である優越感などはない。ありがとう神、自ジャンルにいてくれて。もちろん原作絶対主義だけども、それとこれとは別問題であるだって推し日常とか見たいじゃんね。

とりあえず、自分文章が書けるようになりたいがいかんせん苦手である。800文字小説練習中だけども、言い回しがド下手くそであるので長いし分かりにくい。創作ネタ提供botにでも転生した方が自分のためにもいいような気がしてきた。

2020-12-30

おっぱいサイズ戦闘力だ:ノクターンノベルズにみるバストサイズインフレ検証

諸君巨乳と聞いたとき大体どのくらいの大きさを想像するだろうか。EカップFカップ?それともGカップだろうか。世の中には巨乳の最頻値がHカップであり中にはQカップなどという存在が出てくる分野が存在する。それはユーザ投稿サイト男性向けエロ小説である

本稿ではノクターンノベルズ*1に投稿された短編を解析することで男性向けジャンルで好まれバストサイズの変遷を調べる。特に読者・作者に巨大と認識されるカップサイズが年を重ねる毎に増大していることを明らかにする。(なぜそんなこと調べたのかというと、小説漁りしてる時になんか最近極端に大きなバストサイズが多いなーって感じたから。以上!)本文章は男のアホさをご了承の上、特に女性の方々におかれましてはリアリティの欠如や空想すぎる産物への指摘を留めて頂き、男ってバカだなぁと笑って読んで下さい。

*1 株式会社ナイトランタン提供する男性向け18禁小説家になろう

検証データについて

2006年から2020年までの各年(2020年のみ12月29日まで)に投稿された短編総合ポイントの高い順に百本抽出した。そして各小説調査フィールド(タイトル概要タグ、本文)に対して、MeCab+mecab-ipadic-NEologd(およびAからZまでのカップ数を羅列したユーザ辞書)による形態素解析を実行し、キーワードの出現回数を数えた。検証対象短編制限した理由は、キャラクター内面の作り込める長編小説と異なり、R18短編小説は表面上の属性(巨乳とか巨乳とか)が市場潜在的需要を反映する傾向にあると考えたかである。すべてのコードPython 3 で実装した(実装としては年齢認証突破するため適当Selenium 叩いているだけ。コードデータが欲しいという物好きがいたら github にでも上げるので言って下さい)。注意点として、小説ポイントは積み上げ式であるため、当時は人気がなかったが後年に人気が出てポイントが上がった可能性は排除できない。よって当時の人気を厳密に反映しているわけではなく、現時点での総合人気ということでご容赦を。

検証結果と考察

はじめに検証対象となる短編の総投稿本数を示す。各年の短編投稿本数は以下の表1の通り年々上昇している。

20062007 2008 2009 2010201120122013 2014 2015 2016 20172018 2019 2020
26 117 238 218 163 387 342 488 651 834 9111103 1668 1165 2470

表2は本研究のメインデータとなる、調査フィールド(小説タイトル概要タグそして本文)にバストサイズに関連するキーワードを含む短編の数である。ヘッダーのAからRはカップ数を表している。なおOカップ、Pカップ、およびSカップ以降は出現しなかったため省いている。表3は表2の均していないデータ、つまり調査フィールドでのキーワードの出現合算(連呼頻度)である

表2 A B C D E F G H I J K L M Q R # 貧乳巨乳爆乳 表3 A B C D E F G H I J K L M Q R # 貧乳巨乳爆乳
2006 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 # 1 3 0 2006 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 # 2 11 0
2007 1 0 1 3 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 6 1 2007 2 0 3 4 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 16 3
2008 1 4 3 3 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 7 0 2008 2 7 7 5 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 10 0
2009 1 1 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 2 7 2 2009 2 3 0 0 0 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 4 29 4
2010 0 3 0 0 0 2 2 1 0 0 0 0 0 0 0 # 2 5 0 2010 0 3 0 0 0 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 # 2 11 0
2011 0 0 2 1 1 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 # 3 16 8 2011 0 0 2 1 1 0 8 5 0 0 0 0 0 0 0 # 7 48 21
2012 0 2 2 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 1 15 3 2012 0 7 2 4 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 1 29 3
2013 1 2 0 3 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 1 9 3 2013 2 2 0 3 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 # 1 12 4
2014 2 2 5 0 2 2 3 3 5 2 1 2 2 0 0 # 4 24102014 4 2 5 0 7 2 4 5 18 3 1 4 2 0 0 # 9 54 27
2015 0 0 1 1 1 2 1 1 1 0 0 0 0 0 0 # 4 23 5 2015 0 0 1 7 1 6 2 1 2 0 0 0 0 0 0 # 4 54 36
2016 1 1 0 1 1 0 2 2 2 1 1 0 0 0 1 # 4 22 9 2016 1 1 0 1 1 0 2 4 3 1 1 0 0 0 1 # 12 48 30
2017 0 2 1 0 2 1 0 4 1 1 0 0 1 0 0 # 9 32 102017 0 2 2 0 4 1 0 16 1 6 0 0 5 0 0 # 15 101 33
2018 1 1 2 0 2 2 2 4 3 0 2 0 0 0 0 # 7 34 8 2018 1 3 2 0 4 2 9 6 6 0 3 0 0 0 0 # 8 134 53
2019 0 0 0 0 1 2 4 4 4 4 5 1 1 0 0 # 3 37 22 2019 0 0 0 0 1 4 9 8 17 19 9 2 3 0 0 # 11 95 120
2020 1 0 0 0 2 4 8 10 1 3 2 1 0 1 0 # 5 43 18 2020 1 0 0 0 6 6 13 13 2 5 10 1 0 10 0 # 8 116 216
合計 9 18 17 14 18 24 25 30 171111 4 4 1 1 # 46 283 99 合計 15 30 24 25 31 34 50 60 49 34 24 7 1010 1 # 84 768 550

これらの表よりノクターンノベルズにおいて次のような傾向が存在することが分かる。

以上よりノクターン短編部門においてカップ数のインフレ傾向が存在することは立証できた。しかしここまで読んできて次のような疑問を抱かなかっただろうか。カップ数の増大は確かだがそれと物理的な乳房サイズ増大(概ねトップサイズ対応)との相関は直ちに結びつかないのではないか。そう「ロリ巨乳」の存在である。すなわち巨乳と判定されるトップサイズ(90cmとか)は高止まりしており、アンダーサイズの方が減少しているのではないか

この推測に対し同データを利用して、身長を表す120cmから199cmまでの語を含む短編数を調べた(表4)。下限を120cmに限定した理由100cm付近だとバストサイズが引っかかる可能性(実際あるのよ…)があるからである。また低身長ロリロリ巨乳巨乳についてのデータも右列に併記する(160cmやロリロリ巨乳巨乳を正しく分類できる NEologd は凄いぞ)。身長分布に顕著な差が見られないことおよび巨乳の増大率に対してロリ巨乳の増大率が低いことから、低身長の増加を加味しても2014年以降のカップ数のインフレを吸収しているとは考えにくい。したがって近年のカップサイズインフレ傾向はトップサイズの増大によるものだと推測できる。

表4 120cm-129cm 130cm- 140cm- 150cm- 160cm- 170cm- 180cm- 190cm-199cm # 身長ロリロリ巨乳巨乳
2006 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 5 0 3
2007 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 17 0 6
2008 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 19 0 7
2009 0 0 1 0 0 0 0 0 # 0 20 0 7
2010 0 0 1 1 0 1 1 0 # 0 9 0 5
2011 0 0 0 0 0 0 0 0 # 0 12 1 16
2012 0 0 1 0 0 2 0 0 # 0 8 1 15
2013 0 0 1 0 0 0 0 0 # 0 8 0 9
2014 0 0 0 0 4 3 0 0 # 0 9 1 23
2015 0 0 1 1 0 0 0 1 # 0 19 2 23
2016 0 0 1 2 0 0 0 0 # 0 23 2 22
2017 0 1 4 7 4 4 1 0 # 0 20 1 32
2018 0 0 6 3 3 4 4 3 # 0 25 9 34
2019 0 1 5 1 1 1 0 1 # 1 15 8 37
2020 0 2 4 4 2 2 3 0 # 6 15 8 43
合計 0 4 25 19 14 17 9 5 # 10 22433 282

作品名は挙げないが、一つの作品タイトル概要タグ、本文全て含め、最も連呼されたいたのは、IカップとJカップである。それぞれ2万とちょっと文字数の中に8回出現していた。なお、爆乳は2万文字で21回、巨乳については8千文字で29回であった。後者については理由があり、作中で「巨乳ちゃん」が連呼されるからである(25回)。前者は全てそのままの意味で出現する。

まとめ

分析より、ノクターンノベルズ短編小説において巨乳定義インフレ傾向があることが分かった。これは小説描写においてはビジュアル描写するコストが低いこと、すなわちデザイン面で人体のバランスを取る必要がないため、(本人の常識範囲内で)自由バストサイズを設定できるからであるためと思われる。小説描写においてバストサイズ大中小のどこかのカテゴリに入れば十分であり、また前述のように小と中は既に共通認識固定化されているため、その範囲はどこまでが大か(かつ著者が興奮できるか)により決定されるからである

真面目なのはここまで。インフレしている理由は単純に男は大きい数字が好きだからだと思う。DよりEのが強い、いやEよりF、FよりHだ!という少年漫画方式で盛っているのではないかな。ぶっちゃけエロ小説において大きいおっぱい役割は、たっぷり揉める、なんか挟める、アレした時よく揺れるくらいしかないのでそれらを満たせるサイズであればなんでもいいのじゃないかな。(特殊性癖として妊娠していないのに母乳が出るとかあるけどそれは取り上げない)。

また、あくまでもこの分析カップ数や「巨乳」という直接的に豊満さを表す言葉に注目したものであり、それらを使わない作者も大勢いることを主張しておく。間接的に豊満さを表す手法としては隠喩的な外見描写キャラの立ち振る舞いでの表現存在する。これらは古き良き読者の想像に任せる書き方になるので、描写が上手い人には割と手練れの作者が多い気がする。

個人的には大きすぎるのは現実味ないのでノットフォーミー。大きさより体のラインの綺麗さや形の良さの方がリアリティあると思うのだけど…調査しかったです。

今後の研究課題という名のTODO

2020-12-11

武蔵大学北村紗衣先生の教えに反するディストピア作品解釈の数々

武蔵大学北村紗衣先生のディストピア文学の読み方話題になっている。「ディストピア文学自分の住んでいる日本に結び付けないのは問題」が話題になるのも当然で、数多くの専門家北村紗衣先生の教えに反しているためである

作家 宮部みゆき

フィクションに限っては、人はユートピアよりもディストピアが好きだ。その心理は、ホラー小説絶叫マシンを楽しむ心理に似ているのかもしれない。エンタテイメントとして「死」を疑似体験することで、私たちは命の価値を噛みしめ、平凡な日常の輝きを見つめ直すことができる。それと同じメカニズムで、「お話」としてのディストピアに浸ることによって、自分が身を置いている現実の良いところを再確認し、フィクションディストピア未来現実にならないようにするには何を心がけるべきなのかと考える機会を得る。(書評 ディストピア・フィクション論…円堂都司昭著

自分が今いる良いところの再確認(「日本ディストピア作品みたいになってない(これからもならないようにしよう)」)は、ディストピア作品自分のいる場所を描いているとして読むことの真逆である

膨大な読書量で知られる「現代知の巨人立命館アジア太平洋大学APU学長 出口治明

「こうなったら嫌だな」とは思いつつも、現実感はありませんでした。ただヒトラースターリン下の世界では、こういうことが起こり得るのかなとは思いましたが。(社会人になって1984年を読んだ感想

過去外国のことしか想像できていない。

翻訳家 鴻巣友季子

フランス作家による新たなディストピア小説の出現だ。(略)終盤で一度ならぬ“どんでん返し”がある。本作はある種、現在アメリカ、あるいはアメリカ象徴される利潤追求第一物質競争社会に対する、シビアな警告と挑戦状ともいえるだろう。(『透明性』/マルク・デュガン 書評

ディストピア作品日本ではなくアメリカに結び付けている。

イギリス ブッカー国際賞 選考委員

小川洋子著)『密やかな結晶』(英題The Memory Police、スティーブン・スナイダーさん訳)も「神話のような響きがあり、寓話(ぐうわ)でも、ディストピアでもある」と評された。帽子リボン小鳥、様々なもの消滅していく島で、秘密警察消滅が滞りなく進むよう監視の目を光らせる物語だ。

 日本では1994年に刊行された作品だが、選考委員は「何年も前に書かれていながら、あまりにも現代的で目を見張らされた」と驚きを口にした。米トランプ政権下などでフェイクニュースが横行して真実が失われ、コロナ禍で人々が集まる様々な活動が控えられる現実作品世界に重なった。(興野優平)=朝日新聞2020年9月2日掲載ブッカー国際賞、「ディストピア」がキーワード 小川洋子「密やかな結晶」も最終候補

イギリス文学選考委員であるが、ディストピア作品アメリカと関連付けている。

評論家 栗原裕一郎氏(村上春樹音楽で読み解く 共著者)

身も蓋(ふた)もない本音で支持を集めるトランプを見て個人的に想起したのは<3>庄司薫赤頭巾ちゃん気をつけて』(新潮文庫・497円)だった。(略)「感性」がつぶしにかかる戦後民主主義ひいては人間文明という「知的フィクション」を守るために薫くんは戦っているのである。だが勝ち目は見えず、敗北すなわちディストピアの到来が覚悟されて終わる。「知的フィクション」に、たとえば「ポリティカル・コレクトネス」(差別偏見を含まない言葉遣い)などを代入すれば、トランプ危機との近しさが見えるだろう。 (ディストピアの予感

日本舞台としたディストピア作品アメリカと結び付けている。

P+D MAGAZINE小学館による本情報キュレーションサイト

果たして今後、世界はどうなっていくのか。世界情勢とともにディストピア小説の動向を追ってみると、新たな発見があるのではないでしょうか。(【ディストピアとは?】「監視社会」や「行動の制限」などの“あるある”から徹底解説。

ディストピア作品世界情勢に結び付ければ発見があると書いている。

早川書房新訳版一九八四年担当編集者 山口晶

トランプ氏は、メキシコ国境の壁、難民イスラムから入国制限など過激政策を進めているが、「独裁者彷彿(ほうふつ)とさせる姿がこうした小説連想させるのかもしれません」と山口さんは推測する。(好調ディストピア小説 トランプ政権誕生で脚光!? 小松左京さん「アメリカの壁」も電子書籍で

ディストピア作品アメリカと結び付けている。

文芸春秋(40年前に発表された小松左京短編小説アメリカの壁』を電子書籍で発売)

文芸春秋では「小松さんはSF作家であると同時に優れた文明史家でもある。小松さんの鋭い洞察に触れることで、米国でいま何が起きているのか考える契機になるのでは」と話す。(同上)

ディストピア作品アメリカと結び付けている。

批評家 佐々木敦氏(元早稲田大学客員教授

批評家佐々木敦さんは「トランプ氏の存在自体戯画的。以前は考えられなかったようなことが起こっている」と指摘。「現実フィクションを超えてしまった。今を知るための手がかりとしてディストピア小説が読まれているのでないか」とみている。(同上)

ディストピア作品アメリカと結び付けている。

まとめ

北村紗衣先生の教えでは、間違った解釈浅薄解釈となる)日本以外に結び付けるというディストピア作品解釈は、学生だけではなく、書評専門家にも多く蔓延していることが実例で明らかになった。「アメリカディストピアだ」と言っておけばよいといった間違いで浅薄解釈が、日本のみならず、イギリス文学選考委員にまで広がっていることは、驚愕すべき事実である。数々の専門家も間違えている、「ディストピア作品を新しく、深く解釈するために、自国に結び付けることを常にしなければならない」というディストピア作品解釈の素晴らしい方法を公にされた武蔵大学北村紗衣先生感謝し、世界中の人にぜひとも広めてほしい。

2020-11-01

[]2020年10月31日土曜日増田

時間記事文字数文字数平均文字数中央値
0079765296.936
01857340024396.8128
021454565228388.7200
0336774824203.9132
0454882091149.8132
0524580363328.0132
0626865915246.0132
0721430919144.5132
0814522413154.6132
0920924318116.4132
1017320534118.7132
1116323554144.5132
1215319445127.1132
1324329896123.0132
1416120644128.287
1511417202150.938
16117870374.444
17107659261.638
181581409789.241
191611009362.732
201861376574.036
21176995856.631.5
22919236101.546
23729000125.033.5
1日64611506466233.2132

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2020-10-31

すべてサバカレーのせいにすると解決する

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サバカレー

[サバカレー]はてな受けしそうな短編小説のお題

2020-07-17

誰でも簡単お気持ち長文の書き方

はじめに

まず初めに、お気持ちでもなんでも、意味の通る長文を書けるだけでそれは「能力である。内容がいくら恥ずかしいものでも、長文を書くことは決して恥ずかしいことではない。そして長文を「書ける」能力があることは、「書けない」自分上位互換である大富豪で超有名なローカルルールに8切りがある。殆ど場合場を流したほうがお得だが、「流さな選択もできる8切り」があったら、「絶対に流す8切り」の上位互換であることは間違いない。使い所はわからないが。書けるという選択肢は、あって損はない。得はわからないが。

お気持ちの種を見つけよう

第一に、お気持ちの種がないとお気持ち長文は生えてこない。種があれば2000字くらいはサクッと書ける私でも、種無しでなんか書けって言われてもパンティーって5文字書いて終わりだ。なんでも良い。好きな作品の心にひっかかった展開でも、嫌いな作品の嫌いな一コマでも、どうにかしてぶちのめしてやりたいノロケ増田でも、なんでもいい。何かしらの種を拾ってこよう。やる気があるなら、日々それを貯めておこう。いつかそれが、面白い短編小説になることがあるかもしれない。

自分語りをしよう

お気持ち長文に必須なのが自分語りだ。自分に全く興味のない生きてるのか死んでるのかよーわからん人間でも、「自分がなぜこんな考えを持ってるのか」くらいのことは語れるのだ。ちゃんとした秀才天才でもない限り、人は何かを「自分体験したこと」に全てをなぞらえがちな傾向がある。恥ずかしいことではない。そういった類推ができることも、立派な能力だ。わりと誰でも持っている能力であることも事実だが。その誰でも持っている能力が、実は結構他人にとって価値があったりもする。なぜなら、当人が「しょーもない自分のしょーもない体験」と思っていることでも、他人にとっては「その人として生きていないのに、その人の追体験ができる種」になるからだ。自分語りはどんどんしていけ。ここはアノニマスダイアリ、匿名の掃き溜めだ。お気持ち自分語り長文がかければ、お気持ち長文初級編の免許皆伝だ。

1つに絞ってこだわろう

ここから中級編。好きなもの、嫌いなものに関して言いたいことは皆様多々あるだろう。全部書くと、ほんとに散漫なお気持ち長"駄"文になる。1つにトピックスを絞ろう。一番好きなところ、一番気に食わないところが良い。それを言いたいがために自分語りも引用もする、ということができると、ビシッと焦点の合ったいいお気持ちが書ける。そして重大なポイントだが、これをタイトルにするんだ。タイトルっていうのは、読み手が「これどういう意味だ?」ってなったときの手助けになる。この暗喩伝わるかな、って思ってもタイトルにヒントがあると意外と読めるし、それを読めた人は文章ちょっとだけ好意的に読んでくれる。読み解けた俺スゲー、が続きを読む原動力になる。これが出来ると、「長文なのにスッと読めた」とか、「この比喩までこだわってるのイイね」みたいなコメントが付き始める。意図して出来たら中級免許皆伝だ。

終わりに

上級は?と聞かれるかもしれんが、私もまだまだ修行中の身。中級も頑張っているところだ。世界に広がるお気持ち長文の文化、みんなも試していいんじゃないか。

ところで、この文章の書き方は、読書感想文コンクール無双できる書き方でもあるのだ。本の中でひかかったワンフレーズに対して、あーでもないこーでもないと持論と自分語りをペタペタくっつけていけば、国語教師が花丸をくれるようなものが書ける。そこに社会問題とかでも絡めておけば、ナントカ賞みたいなゴミも貰えたりする。少なくとも、2ページと1行のイヤイヤ書かされた悲惨ものにはならない。何でも良いから書いていこう。

2020-07-01

原作より良かった映画

映画化されると原作より評価が低いことが多い。趣味として映画読書を嗜んでいる程度だが、原作より良かった映画を挙げていく。

 

ショーシャンクの空に

原作スティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」という中編小説。かなりエピソードが盛られて映画化されている。

例えば、主人公刑務所内に音楽をかける印象的なシーンは原作にはない。

原作を読んだ人も読んでない人も楽しめる素晴らしい映画

 

ポテチ

原作伊坂幸太郎の同名中編小説原作者の他の作品からエピソード引用したりと、なかなか凝っている。上映時間が68分と短いのも見やすくてよい。

この作品理由はうまく説明できないけれど好きなんだよな。『ゴールデンスランバー』も『アヒルと鴨のコインロッカー』もよかったけれど『ポテチ』はすごく好き。

ギャルっぽい感じの木村文乃さんが作品内で「ぶっとばすよ!」とずっと言ってるのも好き。

 

『シャンドライの恋』

ベルトルッチ監督の佳作。原作ジェイムス・ラスダン短編小説。たった10ページの小説が90分の映画になっている。

セリフが非常に少ない代わりに音楽登場人物の心情を代弁している。

シャンドライアフリカ系の女性アフリカ音楽でノリノリに踊る。シャンドライに恋するキンスキーピアノ西洋音楽優雅に弾く。

クライマックスキンスキー個人的ピアノの発表会にシャンドライを招待し、自身作曲したアフリカ音楽西洋音楽を融合したようなピアノ曲を披露する。

このピアノけが鳴っててセリフ殆どないシーンが最高に良い。小説では表現できない、まさに映画だと思った。

 

八日目の蝉

原作角田光代言わずと知れた同名長編小説

これもうまく説明できないけれど好きな作品なんだよ。映画を先に見て小説を読んだがどちらも良かった。

映画永作博美さんが本当に素晴らしく、映画しか表現できない愛みたいなものを感じた。

 

皆さんおすすめありますか?

2020-06-10

短編小説って何?矛盾してるのでは?

>>「京アニ小説を盗まれた」と逮捕から一貫して供述

>>複数京アニ作品自分作品盗作だと主張している。

>>長短編小説などを応募しているが、盗作事実はなく、

>>府警と地検京アニへの恨みを一方的に募らせたとみている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/63f355356d328c848a4853484aeecb17f40a0565

anond:20200606142801

残念ながらSFは読むがSF者と言えるほどではないので、『虎よ、虎よ!』も積読だ。

短編もいいなら、短編から読むかな…。

最近短編小説が不遇でなかなか手に入りづらいけども。

ああ、やっぱり『消失トリック』の方は入ってる本が絶版ぽくね…?

2020-01-19

綺麗なものが欲しいけど

物書きになりたいと思っていた。

と言っても将来の夢だとかそんな大げさなものじゃない。俺は今まで短編小説エッセイの一つも書き上げたことがないし、それについて勉強したこともない。ただたまにこうしてネットの片隅に下らない文章アップロードしているだけだ。何故物書きになりたかったのか、それは思春期の頃文学少年気取りだったからかもしれないし、テキストサイト世代だったからかもしれない。あるいは文章を書くことで何かに辿り着こうとしているのかもしれない。一つだけ確かなことは、こうして文章を書く時は大抵ひどく精神的に不安定な時だということだ。

こういう時に文章を書くと何だか落ち着ける気がする。経験上それは気がするだけであって何の効果も生まないのだけれど、それでも書いている間だけはそのことに集中できる。きっと生まれ時代20年遅かったら、俺はとてつもなく恥ずかしいラブレターを量産していたことだろう。そういう意味では手紙という文化のすたれたこネット社会に感謝しなくてはならない。

ここまで読んでくれた奇特な人がいれば、俺に物書きの才能がないことはわかると思う。それは俺もとっくに理解している。でも今でもたまにそういう人生あったらいいなと思うのだ。一人で都内の1LDKくらいの部屋に住み、適当時間に起き、音楽を聞き、小説でも書いて、飽きたら酒を飲んで、気が向いたら女を抱く、そんな世間とはある種切り離された生活を送ることも、もし俺に才能があればできたかもしれない。

多分一種の逃避なのだろう。俺はひどく矮小で、つまらない人間で、つまらない生活を送っている。そう、つまらないのだ。つらくすらない。だから誰にでもできる書くという行為によって、自分特別存在になれる可能性を夢見ている。何も望まず、何者にもなれず、何も残せない俺の、最後の逃避なのだ

2020-01-17

anond:20200116235046

③について、おそらく関係ないだろうけど東野圭吾短編で町内同士で似たような争いをする話があったな。

死体が道に転がってて、それがニュースになったら町のイメージダウンに繋がるから隣町同士で死体なすり付け合いをする話。

こういう短編小説っぽい原作があると思うのでそっちから探してみるのも手かも。

2019-12-11

お空の上から選びました・前(短編小説)

「またやっちゃった…」

ヒロコは苛立ちと罪悪感でいっぱいになった胸を抑えて深く溜め息を付いた。

間も無く3歳になる娘のユウが赤くなったあどけない頬をめいっぱい歪ませて泣きじゃくっている。

嫌な周波数の泣き声がヒロコの脳に刺さり容赦なくさぶる。

片付けても片付けてもおもちゃを散らかし、いたずらばかりするユウをきつく叱りつけたのだ。

手をあげる必要などなかったことはわかっている。

同じことを何度繰り返せばいいのか、また抑えきれない怒りを発してしまった。

掌がヒリヒリと痺れている。

我に返った時には遅く、ユウは火が付いたように泣き出した。

それでもヒロコはすぐには動けなかった。

その様子を他人事のように見詰め、抱き寄せる事も出来ず、これを宥めるのも自分仕事かとうんざりし、またそう考えてしま自分が嫌だった。

夫の帰りは今日も遅いのだろう。

激務の為、終電になることがほとんどだ。最後に娘が起きている時間に帰ってきたのはいつの事だったろうか。

日が傾き始めた窓の外に目をやり、逃れられない娘の泣き声と孤独感にヒロコはまた溜め息をついた。

──

「こんなはずじゃなかったのに」

ヒロコはサキの家のリビングクッキーを齧りながら言った。

「イヤイヤ期は大変よね」

サキは応じる。

ヒロコの学生時代の友人だ。

サキの子供はユウの2つ上の男の子で、サキ企業勤めのいわゆるワーママである

ヒロコにとっては気の置けない親友であり、育児の先輩だ。

最近は忙しくて会う機会も減っていたがサキが2人目の出産を間近にして産休に入った為、久しぶりにお茶でもどうかと招待を受けたのだ。

「可愛くない訳じゃないんだけどね、時々イライラが止まらないの。本当にひどいんだよ。なんで何回言ってもわからないんだろう」

自分の家にはない、物珍しいおもちゃの数々に目を輝かせているユウを横目に、ヒロコはまた溜め息をつく。

「片付けは出来ないし、気付いたらすぐ散らかすし、昨日もリビングに水をぶちまけるし、トイレットペーパーは全部出しちゃうし…。毎日毎日片付けに追われてる…!すぐにビービー泣いてうるさくて頭おかしくなりそう。この子、私のこと嫌いなのかなって本気で思う事がある」

愚痴は次から次と溢れ出す。

サキは時折自身体験を交えながらヒロコの言葉にうんうんと耳を傾ける。

ヒロコがアドバイスなどを求めていないことはよくわかっている。

ただただ言葉を吐き出したいだけなのだ

まだ意思の疎通もままならない子供と一日過ごしているだけでどれだけ気力と体力が削られるかサキもよく覚えている。

久しぶりに人と話をしている高揚感と充実感に夢中になるヒロコの気持ちはよくわかった。

「…そろそろ保育園のお迎えに行かないと」

サキカップを置いた。

時間が過ぎるのはあっという間だ。

長居してごめんね」

ヒロコも席を立ち、ユウの散らかしたおもちゃを片付ける。

「帰るよ」

その一言でユウの顔がぷうと膨れた。

「やだ」

ヒロコの目が吊り上がった。

「また始まった…!ワガママ言わないで!!」

「やあぁー!あそぶ!あそぶの!!」

ユウはおもちゃギュッと握りいやいやと首を振る。

「もう時間なの!これ以上いたら迷惑でしょ!」

さなから乱暴おもちゃを取り上げると、ユウはわぁっと泣き声を上げた。

「はぁ…。もううるさい!泣かないでよ!行くよ!」

ヒロコはユウを抱き上げようとしたが、ユウは泣いて暴れ、その手から逃がれようとする。

カァッと目の前が赤くなるような感覚に襲われ、反射的にヒロコの右手にグッと力が入ったが視界にサキの姿が入り、ヒロコは震わせた拳を抑えた。

その分声はヒートアップする。

「泣いたって時間から仕方ないの!暴れないで!」

強引にユウを引き寄せ、そのまま引きずるようにして玄関へ向かう。

「みっともない所見せてごめんね。いつもこんなで…ホントごめん」

辛そうに頭を下げるヒロコにサキは困ったような笑顔を返すと、本棚から一冊の本を取り出してヒロコに渡した。

「ね、良かったらこれ、読んでみて」

──

ヒロコは疲れていた。

「こんなはずじゃなかったのに」

もっと育児って楽しいものだと思ってたのに。

お母さんだからメイクもお洒落ちゃんと出来なくて、髪を振り乱して鬼の形相で子供に怒鳴り、お母さんだから子供の為に我慢ばかりで辛い事ばかり。

ユウの寝顔を見て愛しいと思っても、朝になればまたあの1日が始まると思うと恐怖すら感じた。

の子を産んでいなければ…考えても仕方のないifが頭の中を駆け巡る。

夫は今夜も終電での帰宅になると連絡があった。

めしい。子供の事など考えず、仕事だけしていればいい夫が恨めしかった。

独りの時間はとても長く、虚無で満たされていた。

ふとヒロコはサキに渡された絵本の事を思い出す。

(絵本か…)

本屋へは何度か行ったが子供に何を選べばいいのかわからず、無難そうな物を数冊買ったきりだ。

読み聞かせをしてもユウはすぐに飽きてしま最後まで読み切れた事もなく、読んでいる最中絵本を破かれて怒って以来、開くのをやめた。

サキは何故、絵本なんかを渡して来たのだろう。

から取り出し、表紙を撫ぜた。

『この子は、ママをおこらせるためにいきています

絵本はそんな一文から始まった。

「えぇ…どういうこと?」

口の端に自然と笑みが浮かんだ。

静かなリビングにページをめくる乾いた音が響く。

いたずらで母親を困らせる可愛くない子供が、デフォルメされた絵柄で描かれていた。

(そう、毎日こうよ。嫌になる。この子ユウみたい)

嫌な感情が胸を巡る。

気分が悪くなり、一度は絵本を閉じようかと思った。

しかし、めくるごとにヒロコの手が震えだした。

(あ、このママ…)

絵本の中の母親自分が重なっていく。

(私だ…私がいる…)

『はっきり言って、おこらないママなんかダメだと思う!

あたしがあんたをうんだんだもん!

大好きすぎるからおこるのよ!あんたにはママよりしあわせになってほしいの!!

それがおこるってことなのよ!』

絵本の中のママは涙と鼻水で顔を汚しなから子供に叫んでいた。

ヒロコの目から知らずに涙がこぼれた。

(うん、私、怒りたいんじゃない。ユウが大好き。大好きだから怒ってしまうんだ…!私、間違ってなかったんだ…!)

胸が、身体中がカァッと熱くなった。

堰を切ったようにとめどなく涙が溢れてくる。

ヒロコは絵本を抱き締めて嗚咽を上げた。

ヒロコは昨夜泣き腫らしてむくんだ瞼をこすりながらも、穏やかな気持ちでいた。

今朝も早くからユウは冷蔵庫野菜室に積み木を放り込むいたずらをしていた。

いつものように怒鳴り付けたヒロコだったが、泣いているユウを自然に抱き締める事が出来た。

「あのね、ママはユウが好きだから怒ったんだよ。わかる?ユウの事がどうでもよかったら、怒ったりもしないの。だからユウが悪い事をしたら怒るのよ」

そう。こうやって子供に素直な気持ちを伝えれば良かったのだ。

今はまだ全ては伝わらないかも知れない、けれどきっとわかってくれるはず。

心持ちが違うだけでこんなにも余裕を持っていられるなんて。ヒロコは晴れやかさすら感じていた。

──

もしもしサキ?昨日はありがとう絵本、読んだよ」

追い詰められていた自分気持ち理解し、黙って絵本を渡してくれたサキ感謝を伝えようとヒロコは電話を掛けた。

「何て言うか、助けられた気持ち。私、いっぱいいっぱいだったんだと思う…」

「私もそうだよ」

サキの声は安堵したような響きがあった。

「いい絵本だったでしょう?私も辛いときに読んでるんだ。怒るのは悪いことじゃない、子供の為だって思えると気が楽になるよね」

「うん。ユウにちゃんと向き合えた気がする」

しばらく話を続けたあと、あぁそうだとサキは言った。

「あの絵本を書いた作家さんの講演会が再来週あるんだけど行ってみない?」

講演会?」

そんな堅苦しいのはちょっと…とヒロコは尻込みした。

「ユウも騒ぐしそんな所に連れていけない…」

大丈夫子供連れでも安心して行ける講演会なの。作家さんが子供と遊んでくれたり、絵本読み聞かせをしてくれたりするんだ。親も子供も楽しめていい息抜きになるよ」

本を一冊読んだだけ、どんな人かもわからない絵本作家講演会に3000円も出すのは専業主婦のヒロコにとっては少し高いなと思う金額だった。

だが、子供も沢山来ると言う話だし、ユウにもいい刺激になるかも知れない。

熱心に勧めてくれるサキに押され、せっかくだからと参加を決めた。

講演会と聞いて構えていたが、会場に入って拍子抜けした。

椅子も置かれていないホールブルーシートが敷かれているだけ。

子供大人もその上で体育座りをして待っている。

「なんなの、これ?」

わず口をついて出た言葉サキが拾った。

「知らないとちょっと驚くよね。まぁ座って座って」

サキに促されるまま、ブルーシートの端にそっと腰を降ろした。

キョトキョトと辺りを見回しているユウにサキが声を掛ける。

「ユウちゃん、これから楽しいお兄さんが来て遊んでくれるよ。ご本も読んで貰おうね」

サキの息子ケンタは場馴れしているのか、サキに寄り掛かるようにして静かに座っていた。

ケンタくん、お利口さんだね。ユウとは大違い」

「そんなことないよ。全っ然ダメな子なんだから今日はユウちゃんいるから良い子のフリしてるだけ。もうすぐ赤ちゃんも産まれるんだからもっとお兄ちゃんらしくして貰わないと困っちゃう。ね?ケンタ?…あ、ほら始まるよ!」

それはヒロコが想像していた作家講演会とは全くかけ離れたものだった。

絵本作家と聞いてかなり年配なのだろうと勝手に思っていたヒロコは、40半ばに見える気取らない格好をしたこ男性絵本作家その人であることも驚いた。

作家本人が壇上を降りて子供と触れ合い、子供達が楽しめるように趣向を凝らした様々な遊びが繰り広げられた。

時には大人も一緒に歓声をあげるような賑やかなもので、気付けばユウもキャッキャと声を上げて遊びの輪の中で満面の笑みを浮かべていた。

(凄い…)

今まで自分が知らなかった世界が広がっている。

絵本作家って本当に子供好きなんだね」

そっと囁くとサキ悪戯っぽく笑う。

「この人は特別だよ。こんなに子供の為に自分からやってくれる作家さんなんて聞いたことないもの。生の意見を聞きたいって日本中回って年に何本も講演会開くんだよ。絵本も発売前に講演会読み聞かせして、感想を聞いて手直しするの。凄いでしょ?」

サキ、詳しいね

「前にね、仕事でこの人のイベントに関わった事があって。妥協しないでこだわりを貫く姿勢とか、誰に対してもフランクで、作家なのに偉ぶらない所とか、凄く温かみがあって純粋な人だからファンなっちゃったんだ。しかも、ちょっとかっこいいじゃない?」

作家の事を語るサキの瞳はキラキラと輝いていた。

絵本読み聞かせもなんて上手なんだろう、とヒロコは思った。

子供達は食い入るように作家の手元を見詰め、声を上げて笑っている。

(これがプロ読み聞かせ…!ユウなんて私が読んでも最後まで聞かないのに、こんなに子供の心を掴むなんて。やっぱりプロは違うのね。私もあんな風に感情を込めて読んでみたらいいのかな)

作家は、二冊の本を読み終わり、次が最後読み聞かせだと告げた。

講演会も佳境である

もう終わってしまうのか…と残念な気持ちになるヒロコは気付かないうちにもうこの作家ファンになっているのだ。

新作だと言うそ黄色い表紙の絵本は、作家が渾身の思いを注いで全国のママ達の為に描き上げたのだそうだ。

この明るくて楽しい、優しさに溢れた人が私達ママの為に描いてくれた絵本とは一体どんなものなのだろう。

ヒロコの胸は期待に掻き立てられた。

世界中でママにしたい人はたったひとりでした』

読み上げられた一文にヒロコは頭を殴られたような気がした。

何故子供を産んでしまったのかと後悔が過る事もあった。

周りを見れば大人しい子供もいるのに何故ユウのようないたずらばかりする子だったのかと妬ましい気持ちになることもあった。

子供が親を選んで産まれてきただなんて考えたこともなかったのだ。

作家感情を溢れさせた独特の声音絵本を読み進め、ページを捲っていく。

空の上から下界を覗き、ママになる人を探す沢山の赤ちゃん達。

ひとりぼっちで寂しそうなママを喜ばせたいんだと飛び込んでいく魂。

ヒロコの心は激しく揺さぶられた。

気付けば茫沱たる涙が頬を濡らしていく。

子供は空の上で己の人生を決めてから母の胎内に降りてくる。

母に喜びを与える為に産まれるのだ。

ヒロコは肩を震わせしゃくり上げて泣いた。

その背中を優しくさするサキの頬にも涙が伝う。

そこかしこから鼻をすする音が聞こえる。

作家の声もいつの間にか涙声に変わっていた。

作家を中心に会場の空気が一つになったような感覚をヒロコとサキは味わった。

同じように感じる来場者は他にもいたのではないだろうか。

(自分絵本を読みながら泣くなんて、とても繊細な人なんだ…)

作家自分に寄り添ってくれるような気持ちになり、ヒロコはその涙が温かく感じた。

ママ…?」

ヒロコが泣いている事に気付いたユウが、どうしたの?と母の頬に手を伸ばす。

ヒロコは反射的にその小さな体をギュウと抱き締めた。

「ユウ、ありがとう

何故かはわからない。無性にそう言いたくなった。

「私の為に産まれてきてくれたんだね。ありがとう

講演後に開かれた即売会でヒロコは迷わず黄色い表紙の絵本を買った。

そのまま作家サインが貰えると言う。

感動と感謝を伝えているとまた涙が溢れてきた。

作家はにこにこしながら『ユウひめ、ヒロコひめへ』と言う宛名の下に2人の似顔絵を描いて手渡してくれた。

──

翌日からヒロコはユウに、そのサインの入った絵本積極的読み聞かせた。

講演会で見た絵本作家の姿を脳裏に思い浮かべ、それと同じように読み聞かせをしたのだ。

冗談を言うシーンでユウは笑う。

もう一度ここを読んでとヒロコにせがむ。

こんなこと今まで一度だってなかったのに。

この絵本はまるで魔法のようだと思った。

「ユウもこんな風にお空の上からママを選んだんだって。覚えてる?」

「うん。おじいちゃん

ユウは絵本の中の神様を指差す。

「このおじいちゃんにユウも会ったの?」

「うん」

幾人もの子供たちから聞いた話を元に絵本を描いたとあの作家は言っていた。

本当だ、ユウも産まれる前の記憶を持っているんだ、とヒロコは確信した。

「どこが良くてママを選んだの?」

「うーん…ママかわいい

照れたように小首を傾げながら舌足らずに答えるユウをヒロコはきゅっと抱き締める。

ママ嬉しい~!ユウも可愛いよ!可愛いママを選んだんだからユウが可愛いのも当たり前だよね~!」

ヒロコは幸せ気持ちで満たされていた。

子供からこんなにも愛を貰えると気付かせてくれたこ絵本は、ヒロコにとって正にバイブルとなったのだ。

後半はこちら↓

https://anond.hatelabo.jp/20191211112403

お空の上から選びました・後(短編小説)

講演会からほどなく、サキも無事出産を終えた。

幼児の面会が禁止されている産院だった為、お見舞いに行けなかったヒロコは、サキ退院を心待ちにしていた。

サキ、おめでとう。赤ちゃん見に来たよ」

お祝いを手に、ヒロコはサキの家を訪ねた。

ありがとう。片付いてなくて悪いけど上がって」

サキはほんの少し疲れの見える、けれど元気な笑顔で迎えてくれた。

赤ん坊ベビーベッドの中ですやすやと寝ている。

「わぁ可愛い。ほら、赤ちゃんだよ、ユウ。寝てるからかにね」

「あとで起きたら抱っこしてあげて。ユウちゃんお菓子どうぞ」

サキは客人をテーブル誘導する。

ケンタお菓子食べるでしょ?おいで」

部屋の隅でミニカーを走らせていたケンタにも声を掛けるが、ケンタは小さく首を振るだけだった。

ケンタくん。一緒に食べない?」

ヒロコも声を掛けたがケンタは反応しない。

サキ苦笑いしながらコーヒーの入ったカップをヒロコの前に置いた。

ユウにはリンゴジュースだ。

ヒロコが制する間もなく、ユウはお菓子を口に運んでニコニコしている。

「こら!ちゃんいただきますしてよ!座って!!」

「ユウちゃん、慌てて食べると喉に詰まるよ。沢山あるからゆっくり食べてね。…ケンタの事は気にしないで。赤ちゃん返りしちゃったみたいでね、構って欲しいくせにずっとああやって拗ねてるの。ねー?赤ちゃんケンタちゃーん?」

サキからかうように声を投げるとケンタは口をへの字に曲げてテーブルにお尻を向けた。

「ね?退院してからずっとこう。もうお兄ちゃんになったんだからそんなに甘えられても困るんだよねぇ。私だって赤ちゃんで手一杯なのに。放っておいていいよ。お腹が空いたら勝手に食べるから

そう言ってサキビスケットを口に放り込んだ。

他愛ない話をしていると、赤ん坊が目を覚ました。

ふぇぇ…と新生児独特の小さな、けれども弱々しくはない泣き声が耳に届く。

ユウが反応して振り向いた。

「あかちゃ!ないてう!」

赤ちゃんて泣き声も可愛いね。もうユウなんて泣いてもうるさいだけだもん」

抱っこしていい?とサキ確認して、ヒロコは赤ん坊を抱き上げた。

軽い。

儚いが確かな感触

よしよしとあやすと、直ぐに赤ん坊は泣き止んだ。

「君もママを選んで産まれて来たのかな?」

ヒロコが頬をつつくと赤ん坊はきゅっと目を瞑り、口が緩やかに開いた。

生理的微笑だ。

ヒロコの頬も緩む。

可愛い…。ユウが赤ちゃんの頃なんてもう忘れちゃった」

「じゃあもう1人産めばいいじゃない」

サキがヒロコの脇を小突く。

「欲しいけどこればっかりはね」

ヒロコは苦笑いして上を見上げた。

視線天井よりももっと遠くだ。

「私の事を選んでくれる赤ちゃんいないかな~。降りてきて~!なんちゃって

「今、空から見てるかもよ~」

ヒロコとサキは目を合わせてクスクスと笑う。

その時ケンタがポツリと言った。

赤ちゃんなんて嫌い」

サキが溜め息を吐いた。

「またそんな事言って…。ケンタママが大変なのは見てわかるでしょう?お兄ちゃんらしくして欲しいな。ね?ママを困らせないで」

「まぁまぁ、ケンタくんも寂しいんだよ」

リビングの気まずくなった空気を和ませようとヒロコは明るい声を上げた。

ケンタくん、知ってる?赤ちゃんて、ママを選んで産まれて来るんだよ。きっとこの赤ちゃんケンタくんとケンタくんのママに会いたくて産まれて来たんだよ。ケンタくんだってそうだったでしょう?」

「そんなのしらない」

ケンタはふてくされた顔で横を向いた。

ヒロコはなんとかフォローをしようと言葉を続ける。

「忘れちゃってるだけなんだよ。ケンタくんだって赤ちゃんが産まれることまで空の上でわかってて今のママの所に来たんだよ。ユウはちゃんママを選んで来たって覚えてるもんね?」

ヒロコがユウを振り向くとユウは急に自分に話を向けられた事にきょとんとしていた。

「ユウ、ママを選んで来たの、覚えてるよね?」

ヒロコに重ねて問われ、ユウはやっと頷いた。

「おそらのおじいちゃん

「ええ?ユウちゃん覚えてるの?」

サキが驚きの声を上げた。

「そうなのよ」

ヒロコは秘密告白するかのように声を潜めた。

「あの絵本を読んでたらね、ユウもここにいたって言い出したの。空の上から見てたって…」

サキが感嘆の息を吐いた。

「凄い…。本当に覚えてる子っているのね」

「私も驚いちゃって」

ヒロコも深く頷く。

「いいなぁ。ケンタなんか全然知らないって言うし、さっきもあんな事言うでしょ?この子には産まれる前の事を覚えておいて欲しいなぁ」

サキは腕の中の赤ん坊に目を遣った。

ケンタはそんな会話など聞こえないかのように部屋の隅でまた1人遊びに戻っている。

──

ひとしきり話した後、新生児のいる家に長居しては悪いと、ヒロコは腰を上げた。

「さ、ユウ、行こうか」

辺りに散らかったおもちゃを片付けながら声をかけると、ユウは口をへの字に曲げて手にしたおもちゃに力を込めた。

帰りたくないと言う意思表示だ。

ヒロコはつかつかとユウの側へ寄り、おもちゃを取り上げると箱へ戻す。

「やぁだぁ~!!」

ユウがわぁんと声を上げた瞬間、ヒロコはその頬を迷いなく叩いた。

パチンッと言う乾いた音が響き、ケンタがハッと顔を上げた。

サキも「え…」と声を漏らす。

叩かれた痛みに更に泣き声を大きくするユウをヒロコはぎゅっと抱き上げる。

「ユウ。痛かったよね。ごめんね。でもママの手も痛かったんだよ。ママだって嫌だけどユウがワガママうから仕方なく叩いてるの。わかるよね?ユウも叩かれたくないでしょう?」

ゆっくりと低く、含むように諭すヒロコ。ユウは涙目を開いて、うん、と頷いた。

「わかったね。じゃあ帰ろうか。」

「うん」

ユウが静かになったのを確認してヒロコはサキを振り向いた。

掛ける言葉が見付からず目を泳がせているサキににこりと笑うヒロコ。

「驚かせてごめん。最近は私も我慢しないで正直に怒ることにしてるの。叩くのはよくないけどちゃん理由もあるし、説明すればユウも今みたいわかってくれるから

「そ、そっか。うん、いきなりだからびっくりしたよ…」

ちゃんと愛を持ってやることは子供にも伝わってるんだよってあの作家さんも言ってたか大丈夫

ヒロコの自信に溢れた顔を見て、サキはふっと息を抜いた。

「ヒロコ、変わったね。この前来たときは凄く疲れてたか心配だったけど、ちょっと安心した。しっかり考えて育児出来てるの偉いよ!私も頑張らないとって思った」

「色々ありがとうね。サキが話聞いてくれたおかげだよ。また辛いときは頼っていい?」

サキは「もちろん」と応じた。

ヒロコはユウの手をギュッと握り、その暖かさを噛み締めながら帰路に着いた。

──

それから数ヶ月、目に見えてユウのイタズラは減っていた。

いや、ヒロコの意識が変わった事でイタズラが以前ほど気にならなくなったのかも知れない。

自分は背負い過ぎていたのだと気付いて、ユウへの接し方を変えてから育児がうまくいっていると感じていた。

ヒロコがそんな物思いに耽っていると洗面所の方から不穏な物音が聞こえた。

ふと見るとさっきまで目の前にいたはずのユウの姿が消えている。

ヒロコは溜め息を吐きながら洗面所へと向かった。

そこで目にした光景を見てヒロコはもう一度深く溜め息を吐く

一体何をどうしたのか、ユウは洗面台の前に出来た水溜まりにびしょ濡れで座り込んでいたのだ。

「ユウは本当に悪い子だね…」

ヒロコが声を掛けるとユウはびくりと体を震わせた。

ヒロコは躊躇いなくその頬に手をあげる。

ヒィン…と小さな声を漏らしたユウの瞳から涙がポロポロと零れた。

「ユウはママに叩かれたくて生まれてきたのかな。ユウのせいでママの手が痛くなっちゃった

ママ…ごめんしゃい…」

か細い声でしゃくりあげながらユウはヒロコを見上げる。

ヒロコはため息を吐いてユウの前にしゃがみこんだ。

ママは、ユウがママを選んでくれた事、本当に嬉しいんだよ。だからがっかりさせないで。ちゃんママの事喜ばせてっていつも言ってるでしょう?」

ヒロコが諭すように言うとユウはこくりと頷いた。

ほら、怒鳴る必要なんかない。心で話せば子供に伝わるんだ、とヒロコは実感していた。

「ユウはママの事嫌いなの?」

「すき…ママのこと、すき…」

ユウは絞り上げるように言葉を紡ぐ。

ヒロコはにっこりと微笑んだ。

「よかった。ママもユウが大好きよ。じゃあ一緒にお片付けしようか」

ヒロコはユウの肩を抱き寄せた。

手が触れる瞬間、ユウの体が硬直したように感じたのは水に濡れた寒さからだろう。

ヒロコはいそいそとユウの着替えを用意した。

このくらいの悪戯なんて何でもない。子供のしたことをいちいち怒鳴っても仕方無いんだから

ヒロコは余裕を持ってそう思える自分に満足していた。

子供に愛され、子供を愛する事はなんて素晴らしいんだろうと満ち足りていた。

ヒロコは幸せだった。

「ユウ、ママの為に産まれて来てくれて、ありがとう

~完~

前半はこちら↓

https://anond.hatelabo.jp/20191211112447

2019-11-12

油断していただけなのに炎上しました

anond:20191110185048

油断していただけなのに。


かに、大きい釣り針だと自覚しながら投げましたよ?

突然文章は4行目から丁寧お気持ち文体になるし。

文章からおっさん臭さが消えていない文章ですし。

そもそも文章なんて世間一般以下の増田なんですもの


それでですね、書いた直後は少しは粘ってみましたよ。

コメントを書いてくださる有難い増田に返信したりしましたけど。

0ブクマ、3コメント

半日以上たっても動かなかったから、まあ釣れないでしょうね、と思っていたわけですよ。

話題性で攻めたけど文章が凡百なら伸びないのが分かっただけでも大きい、精進しようって。


炎上してるって気づきましたよ。ええ。

ちょうどエントリからも消えていたタイミングアクセスしていたらしく全く認知してませんでした。

何をどうしたら750ブクマまで行くんだ。こんなにコメントが付くんだ。どちらもあえなく自己ベスト達成ですよ。

こんなハリボテの文章炎上するなんて、未だに信じられない。

何故ここまで炎上したのか、誰か教えてくださるのであれば幸いです。

いや本当に理解できないので。


追伸.同様の題材を扱った作品など皆さん挙げて下さっているので興味がわきました。


マクロス

ガルフォース

ヴァンドレッド

ティプトリー短編小説

セイバーマリオネットJ

・『鉤十字帝王』(ヒトラー

・『アダムの裔』(小松左京

・『アレフ』(佐藤史生原案徳永メイ)

村田沙耶香作品

・『三文未来の家庭訪問』(作者未調査

・『ラブ・シンクロイド

・『水晶制度』(笙野頼子

・『アマノン国往還記』(倉橋由美子) などなど


これに関しては感謝しかありません。今度読んでみます。本当にありがとうございます

あと「男根」「男根運動」と略称名をつけてくださった方。爆笑してますありがとうございます

2019-10-25

追記しました】設定を考えるのが好きだ

創作活動はしていないが、あれやこれやと設定や企画を考えるのが好きだ。

それはゲームとか漫画とかのコンセプトだったり、世界観想像したり、古代文明の失われた機械だの霊能力だのと、介護保険を払う年齢になっても空想が好きなのだ

漫画家のゆうきまさみ氏は、架空アニメ企画するという遊びを仲間内でやってたらしい。そしてそこからパトレイバーが生まれたのは有名な話。

まさにそれ。気の合う仲間と、ありもしない世界をつくりたい。語りたい。

短編小説を書き上げる程の根性もなければ、味のある絵も描けるわけでもない。努力を惜しまない姿勢も含めて、自分にはそういう一種の才能が欠けているのは、専門学校生の時に気づかされた。夢から醒める瞬間だった。

それはもういい。ふるいにかけられ、クリエイターになれなくとも、年甲斐もなく創造するのが愉しみなのだ

どこかにないのだろうか。そういう設定とかをシェアするようなサイトとかサークルは。

次第に著作権とかの問題も出てくるだろうが、ピュアに、もう一度、あの頃のように夢をみたいんだ.....!

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って、書き殴りしたが、ほんと、どこかにないですかねー。

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トラバ付けて頂いたりコメきありがとうございます。はばかりながらも、追記します。

あれから、もし自分サイトを立ち上げるなら、何が必要か、何が起こりそうか考えてます。もう既に想像中w

例えば男性キャラAの設定を投稿、それについてディスカッションが始まる。

みんなが色々考えるなか、誰かが「実は女にだらしないってのはどう?」と提案する。

それ、誰がジャッジするんだろう。投票制度はどうだろうか。

でもその提案ストーリーの作り次第では意外とイケるのでは?破棄はもったいない

それならば、「標準」という設定から枝分かれさせたらどうだろう。プログラム開発でいうブランチを作る感じで。

また誰かが「それは生温い。ペドフィリア行為最中に『孕め、孕め』と叫ぶゲス野郎だ」と提案したら、どうしよう。

いくら投票で決める「標準」から枝分かれできるシステムでも、自分ポリシーに背く内容だ。

ある程度は公序良俗に沿うよう利用規約をつけても、逆に表現の自由を奪ってないだろうか?

そこでゾーニングだろうか。

などなど、仕様書も書かず妄想しています

2019-09-18

小説が書けない人の意味がわからない

小説といっても投稿サイト投稿したり同人誌作ったりの趣味レベル

短編小説を数本書いて、身内に見せたらそこそこの評価だったので調子に乗って長編書いて公募に出しました。

1作目は1次落ち。2作目がそこそこ突破した。3次くらいか

当時はまだガラケーパソコンネットの普及率も低かったとは思うけど、誰でも原稿用紙3枚とかの課題を嫌々でもこなしたり、大学行ったらレポートとか卒論とかで文章書く機会はあると思う。(私は大学行ってないのでそうでもないのかもしれないが)

星新一さんとかみたいなオチのしっかりしたSSを書けと強いられているわけではない。

自分の思うままに空想世界をそのまま文字に起こすだけでそれっぽい小説は書けると思う、誰でも。

なのに、ちょっと書いてみたんだか書きもせずに自分小説が書けないと信じ込んでいる人が多い。

別に書こうと思ってない、創作活動やる気もない人はまだわかるんだけれども、漫画は描けるけど小説が書けないっていう人の存在特に不思議でならない。

「会話」描写「会話」描写を繰り返していけばそれはクオリティはともかく小説であるはずで、漫画描ける人は会話の部分は完全に書けているし、地の文だって高望みしなければなんとでもなるはずだ。

現に自分自身は公募評価シートの文章力は良くてBだったり下手すりゃD判定とか食らうけれど、書けないとは思ったことがない。

絵を描くのが好きで漫画描いている人は理解できるが、会話もストーリーも思いつくのに小説は無理っていう人は何をもって小説だと思ってるんだろうか。

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