「難民支援」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 難民支援とは

2024-11-12

タイトル不適切でした、申し訳ないです

追記】「十二国記ってアンチ女性向けファンタジーなんだな」ってタイトルが良くないって言われて、その通りだって思ったから消す。

どう言えばいいんだろうな? 甘やかされる系ファンタジーに厳しいっていうか、自分が書いていることに自覚的って言うか。

男女問わず思春期空想しがちな「ここからどこか素敵なところに連れていってくれ」という願望やそれに基づいた創作に厳しいってことなんかなあ?

ブクマカの「登場人物すべてに潔癖で厳しい」って趣旨の指摘を見て、私が一番言いたかったのってこれだったんだって気づいた。

フェミニズム小説ではって指摘についてはその通りで、前のエントリではそれについて触れたんだけど、やっぱりリンク張るだけじゃ分かりづらいよね。

十代のころに背伸びしてラノベとか少年少女小説から遠ざかってたか偏見です、これについてもごめんなさい。

ファンタジー小説自分に都合がいいファンタジー空想って言葉もいい加減に使ってた。

ー以下追記前ー

ここでいうアンチってのは否定的とか叩いているとかそういう意味じゃなくて、対案とか批評的なとかそんなニュアンスね。

なんでそんなこと思ったのかっていうと、異世界に行って素敵な男性出会ってお姫様として幸せに暮らすっていう女性向けファンタジーシチュエーション(正確にはいかにもありそうだなーって偏見なんだけど)を話をひねった設定が多いって気づいたんだ。

「月の影 影の海」

例えばシリーズ最初の「月の影 影の海」ってのは、内気な女子高生である陽子が景麒ってイケメン男性異世界に連れて行かれる場面から話が始まるんだけど、よくある異世界ものと違って、向こうの世界については何の説明もされずにほぼ身一つで放り出されるんだよね。で、最終的には彼女が新しい王だってわかるんだけれども、彼女武器を持って立ちあがり、囚われのお姫様みたいに鎖につながれた景麒を救い出すところでお話が終わってる。

で、この世界の王様ってのは忙しくて、反乱が起きたら自ら戦場に立つし、妖魔と剣で切ったはったやるし、官僚トップと口でやりあわなきゃいけないし、美しいだけの世界じゃないんだ。

なんというか、「覚悟」を決める話なんだよ。

異世界他人に裏切られ続けて荒み切った果てに、「他人を信じるな」と嘲笑する謎の存在蒼猿(実は彼女自身の内なる声)と決別し、裏切られてもいいか他者を信じる道を選ぶシーンは超かっこいい。それに、陽子の元の世界父親は「女は女らしくしろ」という何かのカリカチュアみたいなキャラクターで、フェミニンものがこの話ではそこまで肯定的に扱われていないんだよね。女性として扱われたのは、売春宿に売られそうになったときくらいか。これ以降のストーリーでも彼女女王としての服装を窮屈だと感じ、街に出るとき男装を好むし、この世界女性妊娠出産をしない。

「風の万里 黎明の空」

他に批評的だなって感じたのは「風の万里 黎明の空」のふたりの副主人公、祥瓊と鈴だ。祥瓊は反乱軍に父王が処刑され、命こそ救われるのだが村では無能下働きとして虐待され、しかも正体が露見して危うくリンチされかける。安全のため隣国女王下働きになるも、そこの女王にも冷遇される。

一方、日本出身の鈴は言葉の通じない異世界仙人奴隷同然の暮らしをさせられ、ついに意を決して出奔する。二人とも、女王となった陽子に憧れたり憎悪を抱いたりして、陽子の治める国に向かって旅をする。

これだけ見ると、いじめられたかわいそうなヒロインが返り咲く話の序盤のように見える。読者はこう予想するだろう。いずれも二人とも陽子によって救われるだろうと。だが、中盤で二人はそれぞれ別の人物によって己の落ち度を諭される。祥瓊は長い華やかな王宮暮らしの中で、四十年も父の暴政を止めようともせず、自分の国のありようを知ろうともしなかったことを淡々と告げられる。外国人のほうが自分の国の歴史に詳しいのがどれだけ恥ずかしいことかわかるかと。

鈴は、自分けが不幸を我慢すればやり過ごせると思い込み、百年間何もしなかっただけであり、彼女の不遇の嘆きはただの不幸自慢であるのだと責められる(この世界では特定の条件を満たすと寿命がなくなる)。

このあたり、小野不由美が読者層の中高生説教かましている側面も感じる。

そして祥瓊と鈴が救われるのは陽子によってでもないし、イケメンによってでもない。自分の落ち度に気づき、目覚め、やはり剣を持って立ち上がる。

(ところで、祥瓊を冷遇した女王は気が強く悪役令嬢っぽさを持ちながら筋が一本通った倫理観の持ち主で「図南の翼」では主役を張っている。というか悪役令嬢もの起源の一つなんじゃないか?)

つまるところ、十二国記シリーズ前半は幻想に逃げる少女に対して戦うよう促しているのだ。そしてサポートキャラの最高の内面イケメン楽俊とは恋愛関係になっているわけではなく、対等な友人だ。「男性に過度に頼るな、対等たれ」と言っているように見える(あと、シリーズ後半になると時代小説政治小説っぽくなって、中高年の男性ウケる要素がどんどん増えていく感じだ。きらびやか幻想とたもとを分かったせいか少女向けレーベルからははみ出てしまっている。最新作「白銀の墟 玄の月」は講談社X文庫ホワイトハートから出てないよね?)。

はてしない物語

似ているなって思ったのがミヒャエル・エンデの「はてしない物語」だ。これは物語後半で主人公バスチアンが崩壊したファンタジー世界の救い主となって本の中に入り込み、高性能イケメンチート野郎になるんだけれど、チートを使うたびに元の世界ダメ自分のことをどんどん忘れていき、記憶喪失のまま永遠に物語世界に閉じ込められる危機に陥るんだよね。同じ末路を迎えた人間描写はぞっとする。児童文学の中でここまでいわゆる恐ろしい末路を描いたのも珍しい。

これってまさにやっていることが同じで、小野不由美少女小説フォーマットを使って女性向けフィクションに対して批評的な作品を書いたように、エンデファンタジー形式を使いながら現実逃避するポルノファンタジー批判しているのがすごい。アンチファンタジーだ。しかも、それがめっぽう面白いんだ。

私はポルノファンタジーダメだとは思わない。エッチものも含めてポルノってのは、なんでも願いが叶う世界の中で遊ぶことで、願いが叶わないことが多い現実と戦うためのパワーを充電する遊び場だ。ここが虚構だってわかって遊んでいる限り、心の健康を保つのにはプラスだ。

でも、ときどき自分に「これは嘘だぞ」って言い聞かせないと危ない。幸せイチャイチャラブラブアブノーマルプレイなしのポルノでも、これも本当のセックスと間違えたらいけない。相手気持ちいいところが全部わかって、自分気持ちいいところ全部責めてもらえるセックスなんてこの世にはなくて、「あれやってみたい」 「こうしてほしい」 「今のは良かった」 「ありがとう」ってちゃんと言わなきゃ伝わらない。

あいうイチャラブエロ漫画インスタグラムみたいにいいところだけ繋いで作った虚像なんだよ。小野不由美十二国記外伝魔性の子」で「異世界に逃げるな、お前の生きる世界はここだ」という話をしている(「帰山」の中の難民支援でも「自立する気概を失うレベルまで支援してはならない」って趣旨のことを言ってる)。

つまるところ、自分で欲しいもの能動的につかまなきゃダメなんだよな。

なんてことを日曜日ファミレスで友人にぶちまけてしまった。あー楽しかった。

おまけ

ハイスペックイケメンを素朴女子が救う話の起源について話題になったから書いたわけじゃないんだけど、「ジェイン・エア」は一つのオリジンよね。この話を裏面から見たジーン・リースサルガッソーの広い海」や批評ジェイン・エア幸せになれるか? 名作小説さらなる謎」も面白いよ。

おまけ2

陽子異世界に入るときに剣を授けられるので、これって男性原理象徴じゃないか冗談半分で書こうとしたんだけれども、実際に剣とは別に回復アイテムの玉(二つではないけれど)も授けられるし、鞘は失くしてしまう。鞘を女性原理と見るか包皮と見るかはともかく、フロイト的な解釈が全くのデタラメではない気がしてしまった。

鞘を女性原理と見るならば、作中でそれを無くす(機能を失う)ことは女性原理が弱まることを意味するし、包皮と見るならば、その喪失男子割礼・成人の儀礼意味していると読めなくもない。

ほら、作中でも過酷な旅でげっそり痩せて、身体から丸みが失われたともあるし。

こんなことを書いて申し訳ない気持ちもあるのだが、剣と同時に球も授けられるなんて話として出来過ぎているし、そうした作品を他に私は知らない。あったら教えてください。

以上だ! いつか男性向けハーレムもの女子向けの後宮もの差異について書きたいぜ!

→ 追記! 昔書いたやつ

https://anond.hatelabo.jp/20200609075504

生理妊娠出産がないとか逆に女性向けっぽいと感じた要素はここです

読み返して思ったけど、アンチ「一昔前の」とかアンチ世間的に女性受けしそうと思われがちな」ファンタジーアンチ童話から想像される」ファンタジーって気がしてきた。

2024-10-26

anond:20241025221412

増田がそれによって救われるかはわからないけど、実家太くて働く必要ない人ほど公益的なことやって欲しい。世界全部は無理でも、確実に誰かを救えるから

公益とか社会福祉とか、本当に稼げないから人が少ないんだよ。熱意があっても生きていけない。

高学歴英語めっちゃできるんだったら、役に立てる分野はたくさんあると思う。

例えば難民支援とかだと、難民申請をするために、いかにその人がいる国で迫害を受けているか/迫害を受ける蓋然性が高いか証明するために、国連海外NGO文書とかをめっちゃ読み込んで証拠集めて提出するんだけど、アカデミア出身英語もできて、アスペ集中力が高くて情報収集能力高いんだったらめちゃくちゃ重要人材

それ以外の分野でも、英語の文献読めてアカデミックな能力あるうえに金がそんなにもらえなくても平気っていうんだと、ものすごく活躍できると思う。

金があるならどこかの団体寄付だけでもするだけで、数百人くらいの支援につながるよ。

博士号取れた根気と学術的・論理的思考能力留学行けた英語力合わさってるって、めっちゃくっちゃ優秀な人材じゃん。

営利企業だと年齢面で気にされることがあるかもしれないけど、資本主義的な競争から降りて、儲かりにくい公益活動やれば本当に世界を変えられそうに思う。

2024-08-10

日本難民問題見てるとさ

お前らは難民コスプレなんだよってやつが多過ぎて、もっと本当に困ってるやつを受け入れてやれって思うよな

単に帰れば済むだけの問題をゴネ得狙いで活動してるやつが多過ぎて、それがお前らの難民支援かよってなる

2024-03-08

ドラゴンボール探しの旅に出て5年が経った

残るはイーシンチュウただ一つ。

鳥山明先生が亡くなったニュースは、あっという間に世界を駆け巡った。

世界はその偉大な業績を称え、そして悲しんだ。

しかし人々には希望があった。

誰しもが彼の代表作、ドラゴンボールを思い浮かべていた。

「7つのボールを集めることができれば、我々の願いは叶えることができる。」

ドラゴンボールは本当に存在するのか。誰もが当然に考える疑問だ。

ところが彼が亡くなった数日後、とある出来事をきかっけに事態は急転する。

誰一人立ち入ることが許されなかった鳥山明の自室から、星が描かれた3つのドラゴンボール漫画に登場したものと全く同じ形のレーダーを彼の長男が見つけたのだ。

そこには漫画で書かれた鳥山明から手紙が添えられていた。

父らしいと思いながら読んでみると、そこに書かれていたのは誰にとっても驚きの内容だった。

なぜなら、そこに書かれていたのは、彼が漫画家として成功できた本当の理由だったからだ。

鳥山明ドラゴンボール出会いは彼の小学生時代に遡る。

いつものように学校からの帰りを急いでいると、道端にぐったりと座り込んでいる一人の老人がいた。

彼は、今にも息絶えそうな様子で鳥山明に語りかけた。

少年老い先短い老人の最後の頼みを聞いてくれ。

ここに探知機が一つある。とある最新製品の試作品なので見慣れないのは仕方ない。

この探知機に従って山に入っていくと一つの水晶玉が転がっているはずだ。

それをワシのもとまで届けにきてほしい。お礼は弾む。」

鳥山少年は一切疑うことのないような澄んだ瞳で言う事を聞いた。

そして老人には険しくとも、少年にしてみれば何でもないような山道サクサクと登り、岩肌の隙間に挟まっている水晶玉を見つけた。

どこかから強く投げ込まれたようにめり込んでいたが、少年が手を伸ばすとまるでそれに返事をするようにゆっくりと光って地面に落ちた。

少年水晶玉を手にすると、大急ぎで山を下っていった。

少年の手に握られている水晶玉を見て、老人は表情を激変させた。

先程までの息絶えそうな呼吸は激しくなり、目玉が飛び出しそうなくらいに開かれていた。

お礼を期待する鳥山少年から何も言わず水晶玉を奪い取ると、彼は懐からさらに6つの水晶玉を出して眼の前に並べ始めた。

お礼を貰えなかったことに不貞腐れていたものの、少年好奇心はすぐに老人の異様な姿に奪われた。

老人は興奮した様子で水晶玉を並べなが、「ついにやったぞ」「いよいよだ」といった言葉を繰り返している。

「いでよシェンロン!」

老人が突然叫ぶと、辺りは一瞬で昼のように明るくなった。

少年は急いで目を塞ぐ。

相変わらず眩しい世界の中で、静寂だけが続いていた。

老人の声が聞こえないことが気になり、やっとの思いで薄く目を開いてみると、大きく口を開けて目をかっぴらいたままの老人が見えた。

あうあうと、声にならないような音が喉から漏れている。

老人の目線の先を追うと、そこに見えたのはこちらを見下ろすように中に浮かぶ大きな龍だった。

それに驚き老人を再び目を向けるが、老人は一点を見つめたまま動こうともしなかった。

気がつくと、周囲は夜よりも暗い闇と静寂に包まれていた。

老人が何も言えないでいると、目の前の龍は頭に直接語りかけてくるような声で「さあ願いを言え」と一言だけ言った。

その声が聞こえたと同時に老人の呼吸が荒くなり、何かを喋ろうにも喉が詰まって喋れないような、そんな様子で悶え始めた。

そうかと思っていると、老人は急に立ち上がり、大きく一つ息を吸ったかと思うと吐き出すことなくそのまま倒れ込んでしまった。

目は大きく見開かれたまま、ピクリとも動く様子はない。

突然のいろいろな出来事におどろいて動けないままでいる少年の頭に、さらに声が鳴り響いた。

「そちらの人間は願いが言えなくなってしまった。お前で良い。さあ願いを言え。」

少年事態が飲み込めないまま、まるで夢でも見ているような気持ちでそこに立っていた。

そうだ。どうせ夢なのだから。そう思って少年は答えた。

世界一の漫画家になりたい。」

亡くなった鳥山明の部屋からつのドラゴンボールレーダーが見つかった半年後には捜索チームが組まれていた。

添えられた手紙には、彼がドラゴンボール出会った経緯についての漫画と、そうしてレーダーを利用して秘密裏ドラゴンボールを再度集め始めていたことに関する内容だった。

漫画が終わると、その後には自分がいつ死んでもいいように、その時はこれらのドラゴンボール長男に託すと手書き文字が書かれていた。いわば遺言状である

彼が再び何を願いたいのかまでは書かれていなかったが、「これを見つけたということは俺はもうこの世にはいないということだ。それは残念なことだが大丈夫。俺はお前を信じている。」とだけ書かれていた。

捜索チームのリーダー鳥山明氏の長男が担った。

長男秘密を守りながらも信頼できる人間を集めた。

生前に返しきれないほどの恩を受けたであろう彼の信頼できる弟子や、同じ時代にしのぎを削りあった漫画家や編集者たち5人が集まった。もちろんトリシマもいる。

はじめのうちはレーダーが一つしかないために捜索の効率はとても悪く、誰にも悟られないように慎重に進めていることもあって全く見つけることができなかった。

レーダー範囲より外の反応はレーダーの端に表示されるだけなので、水平方向に移動した時に見られるわずかな収差をヒントに距離予測して地点を絞り込んでいった。

飛行場が近くにないような場所ヘリコプターを使ったりもしたが、そうした交通手段が揃っている場所であることのほうが稀で、迂闊に他人を巻き込めないという状況も手伝っていたずらに時間ばかりが過ぎていった。

それでも地道に場所を絞り込み、一つは5,000m級の山の上、一つは1,500mの海底、一つはアマゾン奥地の原住民族に神と崇められている祭壇から、3つのドラゴンボールを集めることができた。

残りの一つは、日本とは国交のない、しかも今現在戦時下真っ只中の高い壁に分断された自治区範囲に絞られた。

鳥山家長男は、難民支援目的とした多額の資金を手に、そのために作った慈善団体代表として同行することでやっとの思いで入国を許されることができた。

そのために使った金額は、実に鳥山氏が生涯稼いだ財産の半分以上に至り、彼の行動の一つ一つが世界中で報道されてしまうことで、余計な注目を集めることになった。

どこにいてもマスコミの目から逃れられない状況は足かせでしかなかったが、支援活動の間を縫ってはレーダー確認し、やっとのことで場所を絞り込むことができた。

今、目の前には爆弾で崩れ去った瓦礫の山がある。

マスコミの目を盗み、現地のコーディネーターの反対をのらりくらりとかわしながら瓦礫の山を登る。

ドラゴンボール位置を示すレーダーの点が中心に移動し、今まさに自分の足元に埋まっていることを指し示す。

しかし、どうやって掘り起こせば良いのか、途方に暮れながらひとまず座り込むことにした。

いたずらに瓦礫をめくってみると、それはまるで当たり前にそこにあるかのように淡く光を湛えて転がっていた。

それこそが紛れもないイーシンチュウだった。

とうとう最後の一つ、イーシンチュウを手に入れた彼は、支援活動も放り投げて早々に日本行きの便に飛び乗った。

残りのドラゴンボールを持ち歩くことで万が一のことがあってはいけないし、過酷環境下で願いを叶えること自体危険だと考えていた。

他のメンバーにしてみれば、彼が日本への帰国を急ぐこと自体がイーシンチュウ発見の合図である

彼が日本に着く頃には、全てのメンバー鳥山邸に集合していた。

すぐにでも願いを叶えたい気持ちを抑えて、皆で願いを叶えるための準備を進める。

ここまで一緒に戦い抜いてきた仲間である。誰の言葉で願いが叶っても良いのだ。

焦って願いが失敗してしまうことのないように、この日メンバー全員で何度も願いの言葉練習した。

翌朝、目が覚めると外が騒がしかった。

家の中庭に他のメンバーが何かを囲うかのように集まっている。

その中心に横たわっていたのは、一部が焼け焦げてはいるがトリシマだと分かった。傍に黒く焦げたアタッシュケースが転がっていた。

メンバーたちは動揺を隠せないでいるが、リーダーである長男だけは落ち着いていた。

彼は最後までメンバーを信じていたわけではなかった。

誰かが裏切り皆を出し抜こうとしたときだけに発動する罠が仕掛けられていたのだ。

それがシェンロンをよびだす呪文である

鳥山明氏の遺言状とも言える漫画の一部、シェンロンを呼び出すシーンに手が加えられていたのだ。

正しい呪文は「いでよシェンロン!」であるが、漫画には「ででこいシェンロン!」に書き換えてあった。

そしてその呪文に連動するように、ドラゴンボールを格納しているアタッシュケースには細工がしてあった。

それが音声認識による爆弾起爆だった。

メンバーには直前に正しい呪文を教えるつもりだった。つまり、誰かが出し抜こうとして間違った呪文を唱えれば途端にアタッシュケースが爆発し、たとえそれでシェンロンが現れてしまったとしても、爆発によって願いを叶えることはできなくなるという仕掛けだった。

もちろん、位置情報によってこの建物を離れようとしてもアタッシュケースは爆発するようになっていた。

そのことは他のメンバーには伝えていなかった。

ざわつくメンバーを尻目に、リーダーである長男レーダーを元にそこら辺に飛び散ったドラゴンボールを拾い集める。

流石のドラゴンボールだ。傷ひとつどころか、汚れさえも全くついていなかった。

動揺するメンバー事情説明して、この事故自業自得であることを理解してもらう。

メンバー達は安心したような、それでいて何かに怯えるような表情をしている。怒りの表情を浮かべるものもいるがもう知ったことではない。

そんな状況を仕切り直すように「さあはじめようか」と、長男一言だけ言った。皆は無言で頷く以外になかった。

いよいよだ。

「いでよシェンロン!」

途端に視界が光に奪われる。まだ朝だというのに、真夜中に突然目の前でナイター照明を焚かれたかのような明るさだった。

少しずつ目を開けて見上げてみると、まさに生前に父が漫画で描いたかのようなシェンロンがこちらを見下ろしていた。

父の圧倒的な画力に改めてため息が漏れた。

「さあ願いを言え」

これも父が漫画に描いたシーンのように、直接頭に響くような声だった。

漫画で見ていた分、少しは冷静でいられたために周りを見回す余裕もあった。

周囲はすでに夜よりも暗い闇に包まれている。

どうやらこの周辺以外の時間が止まっているらしく、ここにいるメンバーたち以外に何かが動いているような様子や音は感じられなかった。

それならば騒ぎになることはない。焦る必要はないのだ。

メンバー達と目配りをする。

失敗しないように何度も練習をしたセリフだ。

「どうした。さあ早く願いを言え。」

その声が皆の頭に響いたのを合図に、メンバー達は同時に願い叫んだ。

ここまできて裏切りがあったのであれば、それはもう仕方ない。

また探せばいいのだ。残ったメンバーの数だけ、探し続ければいいだけのことなのだ。

そんなことを考えながら願い事を言い切ると、「たやすいことだ」という一言が頭に響いた。

周囲が光に包まれると同時に目を閉じる。

そして眩しさが去ると、辺りに喧騒が蘇ってきた。

恐る恐る目を開けてみる。メンバー全員が不思議そうに顔をみあわせる。

それぞれの表情を見比べると同時に、自分たちの願いが叶ったことを理解した。

そう。皆の頭には、今まさに脱ぎたてのようなほかほかな暖かさに包まれた小さなリボン付きの純白なパンティーが、それぞれかぶらせられていた。

偉大なる巨匠であり我が父よ。あなたの願いはこれで間違いないだろうか。

皆で何度も相談した結果、どう考えてもこの結論しか至らなかった。

今まで人類に大きな夢と希望ありがとう。どうかこれで安らかに眠ってほしい。

そんな達成感と安堵に満たされながら、リーダードラゴンボールレーダーを踏み潰して壊した。

2023-12-22

先進欧米人権国では安楽死制度がめちゃくちゃ進んでいるらしい

https://b.hatena.ne.jp/entry/blog.livedoor.jp/yamasitayu/archives/52376327.html

安楽死制度もだし、夫婦別姓制度共同親権制度同性婚制度難民支援制度児童虐待防止制度女性支援制度、反ユダヤ思想ヘイトスピーチ規制制度若者向けの性的移行手術支援制度公共の場飲酒規制制度、性行為契約制度ポルノ規制制度緩和ケア用の薬物許可制度、精神医療地域移行制度インクルド教育制度など、日本は何もかもがあまりにも遅れていると思う。

まずは欧米先進国の進んだ取り組みを参考にして、日本人権面での遅れを少しでも取り戻したい。

2023-10-20

anond:20231020094525

アメリカはいま、バイデン政権の元で難民支援に力を入れているので、ニューヨークボストンミネアポリスなどの都市パレスチナの人が集団疎開できるようにするのはどうだろうか。

バイデン大統領公式パレスチナヘイトを許さないと宣言したし、米国内でもBLM団体や名門大学パレスチナへの連帯を支持しており、暮らしやすいと思う。

大口寄付金ストップされてでもパレスチナ支持を訴える大学もあるという。

2023-10-15

今日食事すら…」 困窮する日本大使館アフガン人元職員

2021年8月アフガニスタンイスラム主義組織タリバン復権して以降、迫害を恐れて日本に逃れてきたアフガン人たちが、困窮の中にある。その多くが、長年の紛争で荒廃した祖国復興を、日本政府と一緒に支えてきた大使館国際協力機構JICA)の職員とその家族だ。

タリバンから逃れ2年

 「日本のために、時には命を危険さらしながら働いてきた。それなのになぜ……」

 首都カブールにある日本大使館の元女性職員、ケレシマ・セデキさん(38)は東京都内の小さなアパートで嘆いた。

 5万8000円の家賃水道光熱費通信費健康保険大使館職員として支払われた前年の収入に対する税金も求められた。貯金を取り崩しているが「来月の家賃今日食事すら心配生活」と話す。

 女性教育就労に対して厳しい差別が残るアフガンで、セデキさんは「アフガン社会には女性活躍必要」と自身を高めてきた。高校教師だった母の後押しもあり、カブール大学卒業した。

 日本大使館で職を得たのは15年。邦人保護ビザ発給などを担当する領事部などで働いた。「尊敬できる同僚と、偉大な国である日本に尽くせることにプライドを持っていた」

 そんな生活が21年8月タリバン復権で暗転した。

 治安悪化し、大使館業務を停止した。タリバンは、日本を含む各国大使館の職員らを「外国スパイ」などとして敵視した。抑圧を恐れ、60代の母や兄弟とともに親戚の家を転々とし、自宅にいる時はタンスの中に身を潜めた。

 2カ月後、大使館職員配偶者、その子どもに対して、日本への退避が認められた。独身のセデキさんは母と兄弟を残して行くことはできないと悩んだが、母の強い希望国外脱出を決めた。10月日本に到着した。「自由への喜びはあった。同時に家族を置いてきた悲しみで胸が張り裂けそうだった」と振り返る。

 都内研修施設に入れられ、自室待機を命じられた。外務省との雇用契約が続いており、昼間は勤務時間として外出を認められなかった。セデキさんは「まるで監獄にいるようだ」と感じていたが、「それでも私は大使館職員だ」と静かに過ごした。

 帰れるなら帰りたい。しかし、日本から帰国したとタリバンに知られれば家族共々拷問されるか、最悪殺される恐れもある。病気を患い、ふせっていると聞いた母のことが気がかりで、駆けつけることもできぬ自身を責めた。

 翌22年8月末で外務省から雇用契約を打ち切られた。同時に研修施設から退去を言い渡された。外務省からは転居先のリストが渡されたが、車がないと生活が難しい地域ばかりだった。公営住宅場合仕事がないため14カ月の家賃の前払いが求められた。

 自身アパートを探したが、外国人だからと何度も断られた。雇用契約打ち切りまで、現地では高収入といえる金額給与外務省から払われたが、アフガンの平均収入日本の約80分の1。少ない中から半額を母に送金した。

 NPOイーグルアフガン復興協会」(東京都新宿区代表理事で、カブール出身江藤デカさん(65)が援助してくれたため、都内アパートに入居できた。外務省には何度も入居の支援を求めたが相手にされなかったという。

 セデキさんら元大使館職員ら98人は22年7月下旬外務省から難民申請するように言われ、1カ月以内という異例の早さで認定された。日本での継続的滞在可能になったが、仕事は見つかっていない。

 これまで量販店などで採用試験を受けたが、日本語の能力が不十分なことを理由採用されなかった。難民認定後、6カ月のオンライン日本教育実施されたが、短期間で習得するのは難しかった。

 現在ハローワークオンライン講座で日本語学習を続けているが、今後の生活は見通せない。雇用関係のなくなった外務省は、相談に乗ってくれないという。

 セデキさんは「私には誇りがある。仕事をする能力もある。日本人の払った税金の世話にはなりたくない」と話し、就労支援を求める。また「日本政府はこれだけ多くの難民を受け入れた経験がないことは知っている。退避させてくれたことにはとても感謝しているが、状況を知ってほしい」と訴えた。

 外務省中東2課は毎日新聞取材に対し、アフガン難民について「支援計画があるわけではないが、可能範囲相談に乗るなど支援を行っている」と回答した。

 01年9月の米同時多発テロ後、首謀した国際テロ組織アルカイダ拠点になっているとして、米国などによるアフガンへの攻撃が始まった。タリバン政権を追われ、国際社会復興支援に乗り出した。

 日本も同年以降、農業支援インフラ整備、治安向上など、さまざまな分野で支援をしてきた。大使館JICAアフガン職員は、こういった活動を支える存在だった。外務省によると、タリバン復権後にこれらの職員家族約800人が日本政府の支援を受けて逃れてきた。

 アフガン難民問題に詳しい千葉大小川玲子教授移民研究)は「難民認定するだけでなく適切な定着支援必要だ」と指摘する。

 小川教授238月日本で暮らす元大使館職員18家族100人超の世帯主アンケート実施した。世帯主は半数以上が大卒で、医師大学教員大使館政治経済情報収集担当などの職歴があったが、調査時点で正規雇用は2人しかおらず、11人が製造業などの非正規雇用、4人が失業中で専業主婦が1人だった。ほぼ全世帯支出収入を上回っていた。

 小川教授によると、他国に退避した同僚や親戚がどのように受け入れられているかネット交流サービスSNS)で情報を得ている人が多い。「日本では将来の展望が見えないとして、ドイツイギリスなどに移住する人も出てきている」と話す。

 また、小川教授は「日本政府が提供した半年間の日本教育では、十分な収入のある安定した雇用にはつながらない」と指摘する。

 ウクライナ避難民に対しては、身元保証人なしでの受け入れや、公立高校での生徒受け入れ、自治体による公営住宅無償化生活支援金の支給などがされたが、いずれもアフガン人に対しては実施されていない。

 小川教授は「ウクライナ避難民に対する支援は今後の難民支援スタンダードになるべきもの。分け隔てなく実施されるべきだ」と強調した。

https://mainichi.jp/articles/20231008/k00/00m/040/166000cより

著作権上まるまるコピペ上げたままだと問題だと思うので、あとで少し内容に手を加えるが、まずはここまで

2023-10-04

核家族破壊する

私は高校卒業後とっととフィンランド留学し、そこで知り合ったスウェーデン人男性結婚

口論の際に夫から暴行を受け、彼から助けてくれた女性存在きっかけでレズビアンとなり、スウェーデン人女性結婚した。シリア内戦で両親を失った幼児国教会洗礼を経て養子に迎えた。

その後離婚日本でその子と2人で暮らしている。

現在法律事務所で勤務しながら難民支援男女平等推進活動を行なっている。

私の究極の目標日本人全員の人権意識向上と個々の尊重であり、そのために重要なのが「核家族破壊」だ。

スウェーデンで知り合った女性活動家たち(スウェーデンにもまだまだ男女不平等歴然存在する)から核家族破壊」が「個人尊重」に繋がると教わり、目から鱗だった。

ある人が異性を生涯にわたって愛し続けられるわけがなく愛は流動的である。それを無視婚姻という制度によって無理矢理縛り付けるのならばそれは人権侵害である。そして男女不平等社会においてこの人権侵害被害を被るのは概して女性である

よって男性による女性子供への家父長権的抑圧体制である核家族を完全に破壊し、常にその瞬間に愛するパートナーと愛を育み、子供はその都度自分選択自由にどちらかの親と生活を共にする。そういう流動的な家族が最も望ましい。

なおちびまる子ちゃんサザエさんなどで見られる三世帯やそれ以上の家族形態問題外アフリカアジア日本などの人権後進国では親族一同が同居する家族もあり、林修が「一族バスケットの中でスクスク子供が育てられる」などと宣っていたが核家族を遥かに凌駕する人権侵害であり到底許すことはできない。親族一同の同居や交流犯罪であり、最も影響力を持つ者は刑法によって裁かれるべきだと思っている。令和のうちに子供たちが「親戚」や「親族」という存在を知らない、影響を受けない社会になってほしい。

もちろんレスビアンゲイカップルも、彼らが養子を持つことも擁護されるべきと思っている。ただ、恋愛をしない、恋愛できない、恋愛したいという欲求がない、他人を愛することも愛されることも拒むという者は「人間的にアナーキー」な危険存在であり、擁護されるべきではないと思っている。

2023-06-09

anond:20230608172933

ゴネて粘れば何とかなると入れ知恵してる連中が困る。難民支援団体ほとんどがこれ。

改正後は、不法滞在者も行状がよい場合は監理人をつければ収容されなくてよくなる。そのかわり、監理人は不法滞在者が法の枠内で活動しているかチェックし、違反していたら入管に報告しないといけない(不履行は最悪刑事罰)。外に出る支援をする代わりに、遵法を義務付けられる。入管批判すれば良い人ヅラできる現状の構造が変わってくるわけ。

2023-06-01

原発の是非の議論で、

東京の真ん中に原発建てられるのか」とか「あなたの家の隣に原発建ってもいいのか」

かいう問いかけがよくあるけど、

移民問題もそうだと思うんだよね。

上流階級の方々は移民が増えるイコール「勤め先に日本語もできる有能な外国人が増える」「家の近くに住む外国人が増えたとしてもある程度以上の収入があり、話の分かる人だ」とかに過ぎないんだろうけど、

あなたの家の隣に土葬場ができてもいいか

っていう問いかけなんだよね、本来は。

 

個人的には移民増加には反対。

理由としては

日本人国民性国境が地面にある欧州とは違う)

そもそも人が生まれ場所から移動するのは良くない(難民支援は「元いた場所かその近くに戻れるような支援」にすべき)

企業経営努力に疑問(本当に人件費を出せないのか)

2023-05-10

寄付旦那と揉めた

まとめてたった月5000円、子供教育とか貧困家庭への支援とか難民支援とかの団体寄付してることが旦那にバレてガチギレされた。そんなんするなら子供のために貯めとけって。

私としては、ちょっとでも社会が良くなることで子供たちも生きやすくなるだろうし

超少額でも身銭切って自分支援をする大人がいることは子供たちにいい影響を与えると思うんだけど。

そもそも自分お小遣いから出してるからそこに口出されること自体嫌だし

旦那ペットボトル飲み物買ったりコンビニハーゲンダッツ買ったり(買うならポイントたまるかつ割引きくスーパーで買えって言ってるのに、しか生活費から出しててキモすぎる)ガチガチャやったり無駄遣いが多いのに文句言ってくるのがうざすぎる。絶対月10000円は超えてる。

一番腹立つの産休挟んだ私の方が年収高いということ。別にお金稼いでる方が偉いというわけじゃないし、男女逆にしたらモラハラになるんだろうけど、その状態しょうもないこと言うなと思う。

2023-03-11

anond:20230311085306

以下のくだりが、とても印象的だった。

その時にわたし出身地名産が好きで、通販でたまに買って食べてるんだけど美味しいよね、とさりげなく話題をそらしてくれた年配の男性がいた。

その人が後から「あの人、悪い人じゃないんだけどごめんね、自分神戸出身でさ」と言われた。

恥ずかしい話、「神戸出身から」と言われて私は何も分からなかった。

私は自分地震津波被災者で、東北で育った私たちが一番の被災者で、今後数十年はわたしたちが一番のかわいそうな立場だという感覚を持っていた。

「なぜ急に神戸?」とポカンとして「はぁそうなんですか…」と雑に返した気がする。

その後、関東に戻ってしばらくしてから、何がきっかけか覚えていないがオウム真理教の話になったとき

上司が「あの年は神戸で大震災もあって、オウム事件もあって日本は終わりだと思った」と言ってて

やっと気づいた。


ひとの災害経験というのは、ほんと様々で、一概にかわいそうな被害者としてのっぺらぼうな面をみるわけにはいかないよね。

自分けが被害者面していたかも、という気づき。こういうちょっとワンクッションおいて、時間が経って考えること、こういうのが大切なんだと思う。

ただ、被害者という言葉共通項を見出したとしても、阪神淡路大震災経験したひとと、東日本大震災経験した増田がこうして、何かのきっかけでお互いの体験共通部分に触れようとしたときでさえ、お互いが経験したものの奥行や背景は全く違う。でもそれは、もっと言葉を交わさなければみえてこないもの

多分、増田上記言葉を交わしたとき、その手前でふと立ち止まって考えたんだと思う。

ひるがえって自分の親戚の話。自分語りをトラバに混ぜるのはなんだかな、と思うところもあるが、テーマ性質上書かせてもらう。津波から数日後、東北もっとも大きな漁港ひとつで、親戚が経営していた漁業関連会社生産工場が全滅したとの一報を受けた。一方、杜の都に住む息子娘世代は全員無事だったという朗報にほっとしたことを思い出す。

しかし、それよりも震災から半年くらい経って、父が一言つぶやいた言葉のほうが忘れられなかった。

父は東北我が家家系からすると、よそから婿養子だった。

その父が他界した親戚をふりかえってぽつりとこうつぶやいた。

「あれは天罰のようなものだったんだろうね 」と。

期待していない予想外の冷徹つぶやきに私は動揺した。

他界した親戚一家は、さかのぼると、昭和8年津波の前から漁港生計を営んでいた。1933年津波で多くの財産を失った親戚は一から再建する際に、同じ場所でやり直すのはやめるべきだと再三にわたって、周囲から助言されていたという。しかし、結局、同じ場所人生をやり直し、次世代が引き継ぎ、そして次第に事業規模が大きくなり、津波記憶が遠ざかっていくなかで、そのまた次世代の方々が財を成し、地元の名士として羽振りよく、親族のなかで存在感を持つに至る。そんななかで、半世紀以上前東京に出て行った東北の令嬢が結婚前の父と出会う。

大切な令嬢(大地主の長女)をどこの馬の骨ともわからないよその県の小作人末っ子風情に嫁がせるわけにはいかない、という大反対の嵐。本家からなにから親戚中の冷たい目線。結局、結婚は許されて、父は母の家系に婿として入ることになるのだが、その時に受けた屈辱を忘れられないらしく、東日本大震災で全滅した親戚に対して、天罰、という言葉自身のつらみを含ませて表現したのだった。

父にとっては、かわいそうだね、では決して片づけられない感情

個人的には、なにより、貧しい者も栄華を誇った者も等しくなぎ倒した大津波の、客観的な、物理的な力に圧倒せざるを得なかった。

たとえ、誰と震災経験の話をするとしても、このようなパーソナルヒストリーの違いによる温度差は避けることができない。そう思っている。

震災経験していようがいまいが、あるいは同じく焼け出された隣人でも同じではない。大地震大津波破壊力を前には、あの家は無事だった、無事でなかった、そういうさまざまな経験がそれぞれにあるにすぎない。

こうしたファミリーヒストリー視点でそれぞれの思いがある一方で、

上司が「あの年は神戸で大震災もあって、オウム事件もあって日本は終わりだと思った」と言ってて

やっと気づいた。

という上司言葉。そして、「やっと気づいた」という言葉。このつながり方は、大変興味深い。「あの年は~」というのは個々の経験の違いを超えた、歴史を振り返った俯瞰的な総括を含んでいるからだ。1995年という時代、そういったマクロ視点での気づきをもたらすのも災害だ。

そして、それが何かの理由で、自分自身ファミリーヒストリー神戸出身者とのちょっとした会話と結びついたのだとすれば、それは自分ある意味「かわいそうな」私的な思いを、歴史の一コマなかに着地させようとする、そういう覚醒だったのかもしれない。

実をいうと、よりマクロ視点で、それぞれの災害にはそれぞれの社会的な背景があり、その脆弱性被害を増幅させている、という視点最初に提起したのは、阪神淡路大震災だった。

1990年代以前は、災害被害者というのは、災害管理文脈で救援対象として、比較ステレオタイプに捉えられていた。しかし、その認識を大きく変え、都市社会構造脆弱性に関心が高まったきっかけが1995年震災だった。こう書くとなにやら上から目線風だけど、阪神淡路大震災自分仕事として防災世界に入るきっかけを作った。

ざくっとまとめると以下のような歴史神戸にはある。

神戸都市としての成り立ちは、明治の初め、神戸港が開港された時から始まる。以降、港湾労働者が多く流入低所得層脆弱埋め立て地や条件の悪い内陸部へ集住するようになる。他方で、20世紀鉄道時代に入ると、阪神間交通網が充実し、六甲山ろくに高級住宅地が開発されるようになる。高度経済成長期には六甲の開発で切り崩した丘陵地住宅地建設、その残土で海岸が埋め立てられ、工場用地や港湾建設が進められていく。おりしも公害問題が深刻化した時代都市生活環境はますます深刻化していった。そんななか、オイルショックを契機に産業構造の転換という時代の変わり目を迎え、神戸産業シンボルであった造船、鉄鋼は停滞してゆく。それは関連する神戸の零細地場産業を苦境に陥らせ、今度は人口流出が起こり都市部の空洞化が始まった。都市部に残っているのは、流動性の低い層つまり高齢者低所得者ばかりとなった(インナーティ形成)。

これに対して1980年代神戸市の政策的な対応としては、財政問題の打開が先行した。バブル前の当時の考え方では、大規模開発こそが地域経済再生をもたらすと信じられていた。埋立地の利用による、ポートラインラド、六甲アイランド建設物流機能強化のための明石大橋建設最先端技術産業の誘致、ニュータウン建設など、新たな付加価値の創出が事態打開の切り札だった。

その一方、社会脆弱層への支援行政による市街地再生は後手に回っていた。

オイルショック後の産業構造の転換で取り残された低賃金労働者の町、老朽化の進んだ木造住宅密集地域長屋建ての住宅の占める割合の多い市街地長田区スラムのようなオールドタウン)は新陳代謝が進められなかった。地震対策の上でも洪水対策の面でも取り残された街となった。どのような地域であったか番町地区検索をしてほしい。

このような経済格差脆弱性が生み出された、マクロ構造変動のなかで襲ったのが1995年大地震であり、被害社会経済的脆弱な人々に集中した。暴力団員が懸命に救助活動していたエピソードを覚えている人もいるだろう。そういう街だった。

社会学的な視点でみれば、この地震の教訓として、被害高齢者低所得者に集中したのは、ある意味歴史的必然だ。格差が生み出された背景などのマクロ政治的経済的な動向と切り離せないということだ。

そして、このような格差脆弱性という切り口でみる構造分析は先月発生したトルコシリア大地震でも、当てはめることができる。

このように、可哀そうな存在というのを社会学的に脆弱性として構造的にとらえる、ひとつきっかけは、やはり他の災害を知るということであるし、昔の災害を知るということだと思う。

パーソナルヒストリーとしてお互いに触れあうことで、お互いに違うバックグラウンドにあることがうすうすわかってくる、それもまた、大切な気づきなのだと思う。

また、パーソナルなコミュニケーションが、例えばまさに「通販でたまに買って食べてるんだけど美味しいよね」みたいな会話、これが実はマクロ特性を知るうえでも、その人のパーソナルヒストリーをしるうえでに、もっと重要エントリーポイントだったりする。仕事上、ひとから話を聞くときにいつも気に留めていることでもある。

からトルコシリア現在進行形震災について全体状況を大きな視点理解している国際機関よりも、よりミクロ視点で、特定家族地域の人たちにコンタクトがとれる小規模のNGO支援団体に私自身は微力ながら支援金を送付している。たまたまシリア難民支援をしている人と知り合いの知り合いくらいの関係SNSでつながっていたのがきっかけだ。アサド政権物資を止めてしまう現状も現地の声としてより関心を持つようになった。そのほうが確実に、受け取った人の顔がみえ、困っている状況がミクロにもマクロにもわかってくる。自分支援したお金支援先の一家族あたりの支援額(しか第一バッチ)の1/4にも満たないことを知る。こういうことも大切だと思う。

そのように、何かをきっかけに、他の災害に対して接点を持つ機会を大切にしたい。

その人が後から「あの人、悪い人じゃないんだけどごめんね、自分神戸出身でさ」と言われた。

というのは、居酒屋トイレ洗面所とかで何気なくかわす会話、とか想像していたのだけど、そういうのが大切だよね。そういうのが心の残って覚えている、ということがさ。もちろん完全にひとのことを理解するなんてことはどんなに会話を交わしてもない。でも覚えてさえいれば、そのなぜか覚えていた思いを何かにつなげることができる。その「きっかけ」というのはとても大切に思う。

災害を忘れない、というのはそういうことだと思うので。

2022-12-17

anond:20221217094312

単に病院を建てるだけでは生活再建に必要トータルパッケージ提供できない

そもそもポーランド一国に流入した難民だけでも400万人近いのだから民間非営利団体だけでは医療需要すら賄えない

から受け入れ国自身が多大な人的・物的なリソースを割いて難民支援をしている

「とりあえず田舎の人のいない土地に送り込んで身の安全だけ確保してもらえば?」だの「国境なき医師団招いて病院つくれば?」だのは実現可能性が皆無の空論にすぎない

2022-12-16

anond:20221216193921

暗殺は物騒だからしなくていいけどもういい加減に折れて欲しい

 

欧米(+ポチ日本)は無責任ウクライナ支援してるけど、ポーランドに落ちたミサイルマジでロシアのものだったら、

どうする決着つけるつもりだったんだ?って話ですよ

するのは難民支援だけでいいぞ

どこの国も難民支援やりたかないんだろけど、田舎には人が少ないではなく、文字通りいない土地ありますやろ

とりあえずそこで身の安全だけ確保してもらうじゃダメなの?

 

まぁアメリカあたりは副大統領邸宅前にテキサス政治家移民バス送りつけたりクレージーなことしてるけどな

南部の州、北部移民送り込む 副大統領公邸前にも

ハリスはこの国の国境は『しっかり管理している』とし、危機否定している」、「バイデン政権仕事をし、国境をしっかり管理することを求めて、私たち彼女の裏庭に移民を送り込む」とし、移民政策の厳格化を訴えた。

https://www.bbc.com/japanese/62924758

2022-11-16

anond:20221116085229

ロシアの国力がそのレベルに見えているなら恐ろしい

Twitterでも本気で言ってそうなの見た

ウクライナが戦える体力があるわけないではなくロシアが無いんだと

 

それはともかく、ウクライナかもと言われていて出所は確定では無いらしいが

ロシアだったら最悪の事態だよな。無責任ウクライナ支援なんかするからこうなる

ウクライナ支援難民支援だけで良かったのにな

マジで落とし所なんかないでしょ、これ許しちゃったらポーランド政治家は次の選挙で勝てないし、

こんなの許すのか!ってポーランド国民暴動起きるでしょ

 

そう考えると北朝鮮ミサイル他人事じゃないな

つかこういう事故が起きるかもしれん

2022-06-24

4割の非正規雇用を代弁する政党がない件

日本って非正規雇用が4割もいるんだよ

正規雇用って時点で自分は恵まれてるって思わないと駄目なんだぞ?

そこの非正規に即した庶民感覚ある?

ないでしょ?だから日本は駄目なんだよ

4割の非正規雇用を1つの組織票とする政党が現れたら日本の政治は変わる

リベラル政党共産党?駄目に決まってるだろ

同性婚夫婦別姓子育て外国人移民難民支援9条守れ、挙げ句の果てに革命だ?生活保護とかエタヒニン階級固定化全然弱者の味方じゃない。これのどこが非正規雇用代表なんだよ?w

非正規雇用をすくい上げてまともに生きていけるようにするのが非正規雇用代表から

いい加減にしろ

2022-04-15

増田ってそんなに弱者問題とか男女問題に興味あるの?

難民支援とか寄付とかしてるの?

それとも金も労力も出さずに口で偉そうなこと言ってるだけ?

2022-04-08

ウクライナ武器購入専用基金を探してる。

そこらの基金難民支援という名目が多いか寄付する気にならない。

武器購入以外に使われるのが嫌だ。

ロシア人を一人でも多く殺すことに協力したい。

2022-03-04

2021-12-12

anond:20211212170622

女性って難民じゃないし。女性別に苦しんだ人に撤廃活動する権利があるし自由ですが。何に興味もって何を活動しようが人の勝手ですよね。あと女性権利団体って難民女性ケアしてるところがあるし。

まりに返答が意味不明頭痛してきた

IQ低そう。読解力がないし頭が非常に悪いんだな

そもそもあなた難民支援活動してるわけでもないんでしょ?難民支援を別にしてない一般人難民の現状知らないの?っていきなり言って喧嘩売ってくる知らない奴って普通にヤバすぎると思いません?

自分はやらないくせに?自分でやれよとしか

トーンポリシング以前にあなたの頭がお粗末なんじゃ

anond:20211212170622

フェミニスト難民支援家も欧米リベラリズムとも提携しているから、イスラモフォビアアジア人ヘイトと見なされる言動はやりたくないんだよね。

中国叩きについては、トランプ派と一緒くたにされる危険もある。

いくらイスラム教徒中国人自身他者を虐げていたとしても、それを非難すること自体が他の弱い立場イスラム教徒中国人への差別に利用されてしまう。

anond:20211212165444

フェミってのは女性の権利運動家なんだから当たり前じゃね?キミ馬鹿なんだね

てかバカしかおらんよなこの界隈

難民支援活動家環境破壊放置してるから白痴とか言うの?

2021-03-17

シンエヴァーですごく気になったところ

ヴィレってどこから資金出てんだよ?

Qのときは、ヴンダー超自然的な力を使ってるからゼロコスト運用できていて、

クルーは有志のボランティアだと解釈すれば、ギリギリボランティア反乱軍と納得できたんだけど

(それでも豪華な機内設備はどう調達したのか疑問は残るが)、

シンではヴィレ下部組織が大規模な難民支援まで行ってることが判明した。

食糧支援だけでなく、自動手術機械みたいな精密機器まで支援していることから

これはさすがに無償ボランティアの域を超えていると思う。

テレビシリーズや序、破では予算に関するセリフ(零号機修復の補正予算承認するようゲンドウがゼーレに依頼する等)もあったので、

こういうところが余計気になるんだよな。

2021-02-12

ウイグルはどうした!北京オリンピックにも抗議しろ!」と叫ぶ人達

単刀直入に言って、北京オリンピックパラリンピック世界中から抗議されている

ウイグル問題森喜朗会長(予定)の女性蔑視発言に比べて軽視されている」というのは的外れだ。2022年北京五輪開催は数年単位で抗議されてるし、最近非難が強まっている

人権団体

森元会長発言を「金メダル級の女性蔑視」と評したヒューマンライツウォッチは、ウイグル弾圧非難しつつ北京五輪批判している。他の有名所だとアムネスティインターナショナルウイグルには言及していないが昨今の人権問題を列挙して中国五輪開催を非難したし、ヒューマンライツ・ナウは新疆ウイグル自治区強制労働疑惑について日本企業公開質問状を出した

リンク貼り付けてたらスパム認定されてしまった。ソースを見たかったら"HRW China: Repression Threatens Winter Olympics" "Amnesty Beijing 2022: Six reasons why China has to up its game" "ヒューマンライツ・ナウ ウイグル"で検索してくれ

海外政治家

カナダでは与党自由党を含む主要5政党の13人の国会議員IOCに22年五輪開催地変更を要求する抗議文署名したらしい(ソースCBC"MPs call to relocate 2022 Beijing Games over China's reported abuses of Uighur minority")。アメリカでも共和党の一部上院議員開催地変更を求めたらしい。アメリカ政府はついこの前ウイグル弾圧ジェノサイド認定したが、北京五輪ボイコットする予定はないとか

日本はどうなのよ?

オリンピック縛りを外せば、ウイグル問題に対して発言する政治家日本にもいる。数日前、自民党が立ち上げた「日本ウイグル国会議員連盟」が超党派に拡大された。自民党から古屋圭司議員山谷えり子議員等が参加しているらしい

日本だと右翼ウイグル人と関係が深いらしいが、リベラル左翼にも動いている国会議員はい

「森さんに抗議するならウイグル弾圧にも抗議しろ!」とよくリプライされている立憲民主党だと、重徳和彦議員国会で「ウイグル弾圧といった、やはり我々、民主主義あるいは人権重視の国家体制をとる我が国としては看過できない状況」について質問したり、古賀之士議員会派代表してウイグルチベット人権侵害や香港弾圧に対する菅首相見解質問したりしている

共産党国会質問以外にもウイグル問題に関して活動しているらしく、Twitterでもキレ気味に報告している

https://twitter.com/jcp_cc/status/1295320484515442688

日本共産党中国共産党を「共産党の名に値しない」と痛烈に非難しているし、中国共産党人権侵害も非難している

一般人にもできる署名拡散寄付

ウイグル人の窮状をリベサヨ叩き棒にするのではなく本当にウイグル問題解決に貢献したい人には日本語のネット右翼アカウントリツイートするよりも、ネトウヨの混ぜっ返しにうんざりしつつも深刻な人権侵害には抗議したい人にはただウイグル話法を非難するだけよりも、断然良い方法がある

なんといっても手軽なのは署名だろう。北京五輪前にウイグル強制収容所の閉鎖を求める署名はこれだ

https://www.change.org/p/international-olympic-committee-china-close-internment-camps-before-hosting-2022-olympics-uyghurche-%E4%B8%AD%E6%96%87-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E-t%C3%BCrk%C3%A7e-%D8%B9%D8%B1%D8%A8%D9%89

この署名主催する団体Twitterアカウントもあるが、フォロワーは1200人弱しかいない。もし北京五輪開催に抗議したいなら、Twitterフォロー拡散するのも良さげ

https://twitter.com/norightsnogames

在日ウイグル人団体には日本ウイグル協会日本ウイグル連盟があるが、日本極右幸福の科学とも親交が深いらしく、ややこしい気配がする。在日ウイグル人団体在日外国人差別少数民族差別急先鋒と結びつくのかよと困惑するが、在日ウイグル人はそれほどまでに追い詰められていて使える人脈は何でも使う状況なのかもしれない。だが同じ拡散なら、ウイグル人のツイの拡散の方がDappiや黒瀬のツイを拡散するよりは断然マシだろう

署名の他に、在日ウイグル人団体や国際人権団体への寄付という手もある。日本に逃れてくるウイグル人の支援なら、難民支援NGOへの寄付も良さげ

余談

東京オリンピックコロナで中止なら半年後に冬季オリンピックができるわけないから中止すべき」という論の妥当性は疑わしい貴ガスAPECの時排気ガス規制貴ガスだけに)で青空を造り上げた実績に鑑みれば、開催前後に強権的なロックダウンで抑え込んで「成功」させる位のパワーはありそうだ

せっかく抑え込んでるのに全世界からウイルス持ち込まれかねない行事をやる気があるか知らんけど

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん