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はてなキーワード: 蛮行とは

2021-08-09

anond:20210808174958

欲する情報に満たされたいと渇望する状況というのは それが大きく不足していたり

不足の連続狂気に至るほど長いなどの状況によるものだろう

それが満ち足りていればそうもなるまい

空腹時の買い物やより強烈で凶悪欲望を満たしたいという願望は

それを欲するほどに不足をしている状況なわけで

満足する食事を心ゆくまですると食欲などは湧いてこず 平和が続けばより凄惨事件はおきる

どうしてそこまでして食事がしたかったのかとか 本当に戦乱の中では蛮行でさえそれが普通であることもあるかもしれない

そこまで下ネタを欲するその理性的で秩序だった健全世界

きっと大事にすべきものだろう

2021-08-07

治安の悪さに嫌気が差して鉄オタをやめた話

最近の話ではなく、ちょっと昔の話だが。

自分は小さい頃から乗り物が好きで、高校生の頃までは鉄道研究部に入っていた。18きっぷで全国各地を周る「乗り鉄」だった。

Twitterでも鉄道好きの同年代FFになり、いわゆる鉄道クラスタの一員となっていた。(今はもう言わねえのかな、Twitterでの「クラスタ」って。)

しかしながら、治安の悪さにだんだん嫌気が差してきたのである

クソ撮り鉄を目にする機会が増える

乗り鉄」メインだった界隈に属していたので、撮り鉄蛮行罵声運行妨害、無断侵入による場所取りなど)を非難する側にいた。だが、連中は自分自身が正義だと思っているので注意や非難は聞き入れない。

なんなら警察・駅員すらも敵視し、バカにするのが撮り鉄界隈の雰囲気だったと思う。例えば、警察のことを「税金」(給料税金から来ている者という意味)と称してあげつらう文化などがあったようだ。

こういった状況から、撮り以外の分野の鉄オタ(乗り鉄模型鉄など)は、撮り鉄のことをアンタッチャブル存在として扱っていた。例えるなら、同じ地域に住んでいるヤンキー咎めたりせず、関わりを持たないために見て見ぬ振りをするのと同じようなものである

今考えると、こういった見て見ぬ振りが撮り鉄調子に乗らせてたのかもしれないと思うが、かといってどうしたらいいのかは分からない。本当に言葉が通じないようなやつもいたし。

別の趣味転向したら雰囲気が違った

そういった界隈の雰囲気の悪さに絶望し、鉄道列車自体が嫌いになったわけではないが、趣味として鉄道を追いかけるのを自然とやめてしまった。

その後、意図的に別の乗り物を選んだわけではないが、なんやかんやあって航空ファンになった。大学生社会人になってからは(コロナ前までは)飛行機に乗ってあちこちに飛んでいた。そして、旅先の展望デッキ飛行機を撮っている。

航空ファンにも飛行機を撮ることをメインにしている人たちはいるが、治安が全く違って驚いた。

(ちなみに、バスファン・船ファンの友人たち曰く、バス・船趣味治安に関しては航空と似たようなもので良好らしい。)

罵声を上げない

江ノ電の件で分かったと思うが、撮り鉄非オタ乱入されると罵声を上げる。乱入というか普通に通っているだけなのだが、それにキレるのは撮り鉄の悪習の最たる例であろう。

航空ファンでも一般人乱入はよくある話だ。たとえばエアフォースワン来日する際など、展望デッキは人で埋め尽くされるし。

言うなれば邪魔」なはずだが、そういった状況でも罵声を上げる人を見たことがない。非オタが来ることは織り込み済み、その環境でどうやって撮っていくかを考えている傾向にあった。

不法侵入違法場所取りをしない

飛行機撮影では不法場所取りなどを見たことがない。もちろん、空港不法侵入した時点で捕まるというのはあるかもしれないが。

ごく稀に見かけるならず者公道三脚を立てた者)に関しても、SNSで「あそこで撮ってるやつ居たけどダメだろ。そのうち撮影自体禁止になるし、こういう行為は許せない。」と複数名が批判しているのを見た。

これが撮り鉄だと、その不法場所で撮るのが当たり前になっており、それに疑問を抱くようなことをすると逆に叩かれるのである

職員無礼な人が少ない

前述したように、撮り鉄界隈は「撮影第一、それを邪魔する駅員・警備員はクソ野郎だ。」という雰囲気があった。どう考えてもおかしい。

他の趣味ではむしろ趣味のために邪魔しちゃってすみませんね」というスタンスでやっている人が多い。もちろん無礼な人もゼロではないと思うが、圧倒的に少ない。

写真の構図に多様性がある

撮り鉄界隈には「激V」という言葉がある。要は上手い写真が撮れたという意味なのだが、この「上手い写真」の定義が非常に狭い。

列車の編成が順光で全部収まっている、見切れていない、列車に周囲のビルや木などの影が落ちていない、パンタグラフに架線柱が重なっていない(串パン)など、様々な要件が挙げられる。

撮り鉄投稿する写真を見ると分かるが、どの写真も同じような構図(編成写真)ばかりである。要はこの型に収めないと評価してもらえないし、彼らも満足しないのである

もちろん、これを満たすための撮影条件は限られている。だからこそ熾烈な場所取りが行われ、マナー悪化に繋がっているのではないだろうか。

航空ファンの界隈でもある程度上手下手の話はあるが、この構図に収めないといけないという話を聞いたことはない。(展望デッキなどから撮影にはどうしても限度があるため、妥協が生じている結果かもしれないが。)

意味不明な潰し合いをするクソガキがいない

撮り鉄もクソだが、走行中の列車張り紙したり、窓から物を出して撮り鉄妨害する「妨害鉄」という連中もいる。

こいつらは撮り鉄が乗るようなマニアック列車しか出没せず、通りすがり一般人とは異なる。

こういったクソガキの潰し合いのような話は他の趣味では聞いたことがない。

https://stat.ameba.jp/user_images/20210523/09/amooi-310/23/14/j/o0640042414946060881.jpg

https://livedoor.blogimg.jp/menssokuho/imgs/a/4/a45ba397-s.jpg

何が違うんだろう

どうしてここまで治安が違うんだろう。

航空趣味は金が掛かるからバス・船の趣味人口が少ないから?色々と理由はあるかもしれないが、決定的なものがわからない。

少なくとも、撮り鉄界隈はすでにマナーがクソ最悪になっており、新規参入者も「このマナーでいいんだ」とマナー悪化していく負のスパイラルに陥っているように思う。

2021-08-02

これで統合失調症患者犯人候補から外れるね

BLMが盛り上がってた頃に、ホワイトセイヴィア白人救世主)が話題になった。映画においては白人最後救世主役割を果たすことが多い、という話で、派生して黒人の描かれ方も俎上にのぼった。犯人役として蛮行をおこなう黒人像はもちろんのこと、マジカル二グロ(ちょうどいいところで白人アシストをしに来る黒人)なんてのも、もうポリコレ的に描けない状況になった。

藤本タツキの『ルックバック』で統合失調症に誤解をあたえるような表現があったとして変更があったらしい。個人的に、こうした声に創作物が左右されていくのはとくに興味がない。社会がそう変わっていってみんなが幸せになるならそれでいいんじゃね、と思う。

でもさ、もう統合失調症を悪く描けないのだとしたら、それはそれでどうなの?って感じもする。

例えば極端な話、推理もの映画で、犯人候補統合失調症患者ゲイ黒人白人だとしたら、もう犯人白人で決定なんだよ。だってそのほかは「まるで〇〇全員が殺人鬼であるような誤解を与える」って言われたら終わりだから

ルックバックだってそうじゃん。別に統合失調症って単語も、統合失調症主人公が憎んだり悪しざまに罵ったりする描写がなくてもこのザマなんだから

商業的にリスクなく悪役として描けるのが「社会的な強者しか残らない、っていういびつ構造なんだけど、その辺はどう考えているんだろうね。

2021-07-26

anond:20210726012037

その論法で言うなら推理小説でも作者が「リアリティを上げるためにトリックは人くらいの重量で実際に試しました!」とか言い始めて実用度が上がったらやっぱりアウトになりそうだし

少なくとも私はそこに明確な差はないと思うので、だからどれもアウトというわけではなく「作者が実際に蛮行起こさなければどれもセーフ」だと思いますねぇ

2021-07-23

コロナにかなった感想自粛できるならしたほうがいいよ。

コロナにかかった感想

背景

30代男性独身一人暮らし。既往歴なし。喫煙歴なし。ワクチン接種予定あったが接種日前に発症し、未接種。

仕事

リモート中心。出勤は月に1日程度。出勤してもF2F社員と話すことはほぼない。出勤退勤もラッシュ時間はずらしてた。地下鉄10分も乗らない距離

日常生活

仕事以外の外出はコンビニスーパー定食屋くらい。

時系列であったこ

7/8

熱っぽい症状。体温計の電池がなく、測定できず。

仕事会議以外離脱し、休養。

普段から高熱が出やすい体質なので、まぁいつものことか くらいの気持ち

7/9

熱っぽい症状が続く。咳、鼻水等、その他の症状はなし。食事はUberEatsで対応

7/10,11

完全に高熱。身体が動かない。何もできない。トイレに行くのもやっと。

7/12

咳症状が出始める。

Amazonで注文した体温計がやっと届く。(最近プライム会員でも、届くの遅くなったよね。)38.5度くらいあった。やはりコレはまずい。

身体ダルすぎて何もできない。

オレンジジュースコーヒーの味がなくなる。

7/13

朝一で発熱相談センターに連絡。近くのクリニックを紹介される。 移動方法や陽性だった場合対応について質問しても、「こちらではお答えしかます」の一点張り。とても無愛想な対応現場も忙しいんだろう。

クリニックへ連絡後、4時間後に来るように指示。クリニック外で30分ほど待機。辛かった。

その後、隔離された部屋で1時間ほど待機。

血液検査結果、CRP高値基準値の3倍くらいで、思ったより低い印象)、WBCは若干の低値。

医師は鼻に突っ込む検査のみ対応対応時間30秒くらいか

看護師に翌日、結果が出るから待つように指示される。

7/14

連絡来ず。自宅待機。咳がひどくなる。

常に39度を超える発熱。何もできない。

7/15午前 

クリニックから連絡。陽性とのこと。 

続いてて保健所から連絡。ホテル療養もしくは入院とのこと。電話中咳が止まらずまともに話せない。呼吸困難等になったら遠慮せずすぐに救急車を呼ぶように指示される。とても丁寧な対応

7/15午後 

保健所判断で、入院すべきとのこと。地域の大きな病院全国的にも有名な病院)へ。専用の介護タクシーで移動。

到着後、主治医より説明。高熱と咳であまり覚えていないが、「うちにはECMOとかはないし、治療はできない。重症化しても、救急車では輸送しない。民間タクシーで移動してくださいね。」と言われた事が印象深い。「なんで?」って聞きたかったけど、そんな余裕なく、「はいはい。」と聞くのが精一杯だった。未だに何故なのか疑問。

「SpO2がもっと下がったらレムデシビル使うかも」とのことで、同意書みたいなもの複数書かされる。今思えば、「治療しない」って言ってたことと矛盾してるよね。

入院やらなんやら、ひたすら住所や緊急連絡先を書かされる。どうにか簡略化できないものか…。まともに読んで、書いてられるほど時間はもらえず。ナースコールで急かされてしまった。特にレムデシビル関連の内容は良く理解した上で同意たかった。

その後、血液検査CT撮影CRPは引き続き高値だが基準値の3倍くらいで、思ったより低い。肝臓ラメタは若干高値

CT典型的コロナ肺炎像。メロンの皮様初見素人が見てもすぐ分かる。

7/16-18

ひたすらスマホ睡眠で過ごす。隔離部屋。3食の持ち運びと、朝の清掃のみ看護師と顔を合わせる。その他の看護師とのコミュニケーションは、タブレットを通じて遠隔。素晴らしい。

医師とは毎日30秒程度の遠隔コミュニケーションのみ。どの医師にも同じ質問をされた。カルテかに記録してないのかな?って感じ。

本来の専門科じゃないだろうし、まぁモチベーションないのは理解できる。申し訳ない。

起床時間から消灯時間までWi-Fi繋がるのは助かった。17 Mbps。

7/19

熱も36度台に下がり、咳もなくなる。身体も楽になってくる。味覚障害もなくなる。

トイレシャワー等は息が上がる。

このまま症状が落ち着けば7/22に退院になる旨伝えられる。メンタルもやられてきていたので嬉しかった。

ただ同じ体制スマホをいじってるせいか頭痛眼精疲労が酷い。

退院のcriteriaに引っかからいか心配だったが、頭痛頓服使用なので問題ないとのこと。

普段からロキソニン飲んでいる事を伝えると、「いつでもロキソニン切り替えるので、まずはアセトアミノフェン飲んでみて」とのこと。

7/20

頭痛改善せず。普段からアセトアミノフェンは効かない事を伝えると、「ロキソニン投与で脳炎になる報告がある。あなた責任で飲むなら処方する」とのこと。承知して、飲む。頭痛軽快。

7/21

高熱と咳は完全に改善頭痛が続く。

ロキソニン投与で腎炎になる可能性があるから、処方しない」と言われる。脳炎なのか、腎炎なのかどっちなんじゃい。

「昨日は投与してもらったが?」と伺うと、「じゃー処方します」とのこと。

退院日は7/23か7/24予定と告げられる。「7/22と聞いたが何か変更があったか?」と伺うと、「アセトアミノフェンロキソニンの投与があったから」とのこと。「頭痛での頓服使用は、退院のcriteriaにはまらないと聞いていたが?」と聞くと「7/22でした。サーセン」とのこと。医師によってはやっつけ仕事

7/22

退院へ。血液検査CTPCR検査等はなし。看護師に聞くと「治療しなかった人は退院検査しない」とのこと。

「株はなんだったのか?」と聞いたが、「あなたは、調べていない」とのことだったが、ニュースで伝えられている情報って網羅性低いのかな?全例調べてるのかと思ってた。

7/23

部屋内の移動でも疲れる。コロナ完全前と比較して、完全に心肺機能が落ちている。呼吸が浅い。

食事は全てカップ麺とUberEatsで凌いでる。

平日日中テレビ番組見て過ごしてたけど、酷いね。同じニュースの繰り返しと、胡散臭いテレビショッピングしょうもないコメントしかしないコメンテーター。なんだかメンタルやられる。

4連休帰省する人とか、オリンピック選手移動観てる人とか、インタビューされてる人ってどういう気持ちで答えてるんだろう?

オリンピック実施中の緊急事態宣言ってことで、守ってらんねーよ!って気持ちも分かるけど、インタビューされたから受けよう!って気持ちは分からない。

一連の感想

貴重な医療資源を使ってしまった。申し訳ない。

丁寧に対応してくれた関係者の方々には感謝しきれない。

一方で明らかにやっつけ仕事な方も居たのは事実本来興味ない専門科だと雑にもなるよね。

マジで自粛できるなら自粛したほうがいい。平均的な人より明らかに人との接触は少ないはず。だけど感染した。どこで感染たか本当に検討つかない。

飲み会とか、旅行とか、オリンピックとかしてるけど、暴露する可能性、高いよね。気をつけて下さい。本当に。

39度近い高熱がかなり続いた。インフルエンザピークがずっと続くイメージコロナ、舐めないほうがいい。

退院しても、家の中の移動ですらキツい。

オリンピックとか、何が感動を届けたいだよ!って感じはある。スポーツで感動を届けてほしいなんて頼んだ覚えないし、「これまで練習してきたし、オリンピックでないと飯食えないから、オリンピックやらせてください」って言って欲しい。 特定人達利益のために、税金が使われてるってどういうことなんだろう。その分を医療に回して欲しい。

まぁ金メダルでも取っちゃえば、日本人はすぐに忘れちゃうんだろうけど。情けないね

政府とか組織委員会とかの蛮行を忘れずにいたいと思う。

開会式みてて思った以上に海外から人来てるんだなーとおもってボヤきです。

一番伝えたいこと

個々人は貴重な青春とか日常我慢して過ごしているなか、オリンピックしててるし、ヤケになる気持ちはわかるけど、自粛出来る人はしたほうがいいです。誰のためでもなく、あなたのためです。コロナ、むっちゃきついよ。

2021-07-22

SWCラビが出した声明の、最も重要な箇所

【原文】The Simon Wiesenthal Center condemns past anti-Semitic jokes as well as reported bullying of disabled individuals, made by Japanese comedian Kentaro Kobayashi, who is the show director of the opening ceremony of the Tokyo Olympics.

【訳】サイモン・ウィーゼンタール・センターは、すでに報じられている障害者に対するイジメ(※注:原文が"bullying"と云う単語を用いているため、ここでは「イジメ」と云う訳語を当てたが、増田個人は「虐待」と考えている)に対してと同様に、日本人コメディアン小林賢太郎(東京五輪開会式ディレクター)が過去に行った反ユダヤジョーク発言に対して非難します。

SWC声明に対する反応の一部に「小山田圭吾のしたことと混同している」と云うものがあったが、混同しているのではなく「障害者イジメと同じく、これについても我々は批判する」と言っているのである

これは、後段で

【原文】The Nazi regime also gassed Germans with disabilities.

【訳】ナチス政権は、障害を持つドイツ人もガスによって殺害しました。

と記されていることからも見て取れる。

もう一度言う。SWCは、小山田圭吾小林賢太郎混同しているのではない。小山田圭吾の「障害者イジメ」を批判するのと同じく批判すると言っているのである。つまり小山田圭吾のしたことは、ナチスドイツ蛮行と同じである」と言っているのである

それを理解すれば、小山田圭吾の起用を継続しようとしたJOCが、どれほど国際社会から白眼視されているか理解できるだろう。

2021-07-20

雑誌映画秘宝』の記憶(51)

 最初に、町山智浩Twitterから引用します。

引用ここから

障碍者虐待していた小山田圭吾五輪音楽担当させて、政府がそれを承認し、NHKがそれを放送するわけですから、誰にも迷惑かけてない大麻使用芸能人すべてを復権してくれないとなー。

(投稿年月日:午後10時43分2021年07月18日)

引用ここまで=

 今回は小山田圭吾の件で一丁噛みしている町山智浩ですが、大麻使用芸能人擁護する程度に留まるだなんて、パトリック・マシアスパワハラしていた頃の町山智浩タイム電話で聞かせたら「オメエのtweetは退屈なンだよ! 一般人がオメエに訊きてえことはソコじゃねえだろ!」と怒鳴られるのではないでしょうか?

 では、一般人町山智浩に聞きたいこととは何でしょうか? それは、小山田圭吾イジメ自慢インタビュー擁護する人間たちが口にする「90年代にはワル自慢、悪趣味自慢を許す鬼畜ムーブメントとでも呼ぶべき風潮が存在した」という主旨の主張に関してです。

 この鬼畜ムーブメントの有無については、90年代当時に物心ついていた年齢の人たち同士でも、認識には差と言うかグラデーションがあるようです。ムーブメントのものの有無について、私の個人的見解を述べると「有った」という人の記憶も「無かった」という人の記憶も、半分づつ当たっていると思います。「有った」と記憶している人は、何らかの形でその狂った風潮とその産物に触れた人間で、「無かった」と記憶している人は、そのような狂った風潮に触れなかった人間というだけのことです。

 個人的見解としては、鬼畜ムーブメントは「限られた領域の、少数の人間による、小規模の狂ったムーブメント」と言っても構わないと思います。だからあんムーブメントに触れたからと言って別に偉くも何ともないですし、むしろ「無かった」と記憶している、鬼畜ムーブメントに触れなかった人の方が正常なのですから安心して下さい。

 こういう鬼畜ムーブメントに触れたことによって「自分は他の人間とは違う!」と、己が偉くなったと勘違いした人間が何をするか知っていますか?一例を挙げると、何か「切り株映画はセカイのシンジツを描いている!」とか馬鹿なことを言うわけです。耳(目?)にタコが出来るほど聞いた、この"切り株映画讃歌"の決り文句を此処で持ち出したのは、別に牽強付会ではありません。

 例えば、90年代鬼畜ムーブメント悪趣味アンダーグラウンド文化象徴するような出版物として『危ない1号』という鬼畜ムックがあります(このムックは、90年代の半ばから終わりにかけて発行)。その執筆陣の中には、町山智浩柳下毅一郎名前確認できます

 また別の例を挙げると、一部の精神疾患罹患者が示す"電波"妄想及びそれに翻弄される彼らを、特殊漫画家・根本敬が「電波系」と呼び始め、面白コンテンツとして消費するような悪趣味な風潮を生み出したことは有名ですが、この「電波系」を面白がる風潮に乗っかって雑誌宝島』『宝島30』でも記事掲載したり、別冊宝島を出したりしていました。その頃、彼らの言う「電波系」に該当する人が店主として経営する喫茶店に行って、店主が示す奇妙な言動などを陰で嗤ったり面白おかし記事にしていた人間の一人に、町山智浩がいます宝島における根本敬担当編集者は、町山智浩でした。また、根本敬のツテで「電波鬼畜ライター村崎百郎」という悪趣味ギミックによるデビューを果たした編集者ライター黒田一郎は、ペヨトル工房時代から柳下毅一郎の友人でした。蛇足ですが、根本敬は、嫌韓/嘲韓ムーブメントを生み出した張本人の一人でもあると私は思います

 ここで幾つか例に挙げたのは一部に過ぎませんが、90年代鬼畜系、悪趣味系の系譜を辿れば、その中に旧体制映画秘宝』の源流の一つが有ることは確かです。あるいは、悪趣味系のムーブメントを作り出したのと同じ人間たちが生んだものこそが、旧体制映画秘宝』と言っても過言ではありません。

 さて、今回ようやく小山田圭吾断罪火刑場に引かれていく羽目になった訳ですが、爆笑問題太田をはじめ有象無象のギョウカイジンは、小山田圭吾、Rockin' onQuick Japan擁護する為に「90年代には悪趣味系が流行ってたという、時代空気考慮しないと」などと言っています

 これらの擁護を見た時に私が感じたのは、関東大震災当時の朝鮮人虐殺事件や、戦争当時の性暴力虐殺のことについて「当時の時代空気考慮しないと」と言う人間を見た時に似た気持ちです。

 百歩譲って、90年代当時「一般人」だった人間が言うならば、たとえ許容は出来なくても、まだ理解可能です。90年代後半からインターネットが少しずつ一般人に浸透し始めていたとはいえTwitterのような高い情報拡散性と手軽さを兼ね備えたSNSの普及以前には、まだ名も無き一般人社会的流行や風潮を生み出すレベル情報発信を行うことは、事実上不可能に近かったからです。また、虐殺事件などにおいて、武装した多数の暴徒を目の前にして怖じ気づいた一般人が、独りで立ち向かうことができなかったと告白懺悔するのも、これもまだ理解可能です。

 しかし「90年代鬼畜ムーブメント流行」を根拠にして、小山田圭吾擁護しているギョウカイジンの多くは、既に90年代メディア活動芸能活動をし始めていて「ムーブメントを作り出す、或いは、影響を与えることが可能だった立場人間」ではないですか。「オレたちギョウカイジンは、お前ら一般人と違って、世間を動かせるんだよ!」という考えの持ち主だったはずです。例えば、爆笑問題太田は、当時から過激発言が売りだったのだから、得意の毒舌小山田圭吾を「アイツ、イジメ自慢して格好悪いな!」とか攻撃することも、やろうと思えばやれたはずです。反権力的な言動がウリのミュージシャン文化人も同様です。なのに、それをやらなかったのは、結局は彼ら自身の打算や保身が理由でしょう。ならば彼らは「90年代時代空気や風潮」のせいにするのではなく、せめて己自身問題として「打算や保身、我が身かわいさから自分という個人は、小山田圭吾蛮行批判せずに見過ごした」とハッキリ言うべきなのです。先に虐殺に立ち向かえなかった一般人を例に出しましたが、90年代当時のメディア関係者芸能人が「当時の空気」と言い訳するのは、関東大震災当時に「不逞朝鮮人」などと世間を煽っていた官憲人間が、いざ朝鮮人虐殺が起きたことの批判を受けたら「時代空気が」と言い出すのと同じぐらいには無責任且つ卑劣だと、私は思います

 更に、小山田圭吾擁護する人間たちを卑劣に感じるのは、彼らが小山田圭吾のしていることを勝手に「過去の話」にしようとしているからです。私は「していること」と書きました。そうです。あの暴力事件を犯して以来、そして雑誌インタビューによって一般人に広く認知されて以来、小山田圭吾被害者に対して謝罪も償いもせず、謝罪反省を促す一部のファンから真摯な声さえも無視し、逃亡し続けているのですから、これは「したこと」ではなく「していること」つまり「終わってしまった過去の話」ではなく「継続している現在の話」です。小山田圭吾の盟友である中原昌也も、小山田圭吾のしていることを「あの頃は」と「終わってしまった過去の話」にしようと画策した卑劣人間の一人です。渋谷系って本当にダサいですね。石原慎太郎罵倒することは出来ても、オトモダチのギョウカイジンの悪さは批判出来ない、そんな自称"反権力"作家は、毎朝鏡を見て恥ずかしくなったりしないんでしょうか。

 長くなったので、今回は一旦ここまでにします。

2021-07-12

anond:20210711184538 anond:20210711185558

夢見過ぎ。そもそも貼ったリンク高学歴じゃんっていう見ろや

なお、日本学者医者どもはニュースで取り上げられるレベル論文科学読み物で取り上げられるレベル論文に目を通していない、

海外学会見解/動向/共有を無視どころか、 日本国内学会見解/共有とすらも一致してない発言繰り返してる(anond:20210125115242)のであげきれない

本当、国際学会や著名な学術誌で是非ともそれやってみて欲しいと常々思ってるわ

直球でネトウヨ大学教授もいるし(例: 東大最年少准教授、藝大、音大)

 

ちなみに後世に名を残す偉大なエンジニアだけど、どうしようもない人の例
イアン・マードック(Ian Murdoc)

5:13pm: 俺は今夜自殺する…話すことがたくさんあるんだ、介入はしないでくれ、彼らに一緒に死んで欲しいとは思わないでくれ

5:14pm: 後でブログを見て欲しい http://ianmurdock.com

5:17pm: https://t.co/I1CSCJErWf

5:20pm: 後でブログもっと書く予定だ。でも隣の家をノックしただけで警察に殴られたんだ…彼らは俺を病院送りにした

5:20pm: その後も何回も殴られた

5:21pm: 「警察暴力をふるった」事への保釈金は$25,000だった

5:22pm: 後でもっと詳しく書く。警察はいまだにカメラが無かった。これを止めるために私はちょっとだけ地位を利用するつもりだ。

(※警察が好き勝手に殴るためにカメラを置かないのはよくあるらしい)

5:23pm: 「俺たちは警察だ。俺たちはいつでも勝つんだよ」

5:25pm: 私のキャリアは終わってしまった。もうすぐ逝こうと思う。

5:27pm: 私はある程度成功したビジネスマンでニガーではない、自殺は注目されるかもしれない

5:30pm: 今日はまだ自殺しない。まずはこれをすべて書き上げ、警察蛮行自由の国に知らしめる

5:34pm: 誰かが私のところへ警察に何をされたのか聞きに来てくれたらとても嬉しい

5:35pm: 彼らは私を二回殴ってバッテリー代として$25000を課した

5:36pm: 病院に行かなければいけない

5:36pm: 彼らは家までついてきた

5:36pm: そして彼らは私を家の外に引きずり出して更に殴った

5:37pm: 私は意見を変えなければならなかった

5:37pm: 彼らはそこから家まで追ってきたんだ

5:38pm: 私はカメラは無いのかと訪ねた

5:38pm: 答えはnoだった

5:45pm: 警察抵抗して出来たアザの写真を上げようか?

5:45pm: 小便で床に文字を書く事以外何も教えずに独房に押し込めるのはどこだ?

5:48pm: 私の経験を書き上げることで警察虐待を防ぐことになり再び同じことを聞かなくなるといいのだが

6:00pm: @jacksormwriterは私に死んで欲しがっている

6:06pm: ブログに私のケースを書こう…誰かがhacker newsかに投稿してくれたら感謝する

6:31pm: (1/2) 私の残りの人生警察職権乱用と戦うことに費やす俺は白人で去年は一億四千万稼いだんだ

6:33pm: (2/2) 彼らは無教養で、自分のための力にしか興味が無い。助けになってくれる人は連絡をくれ imurdock@imurdock.com -ian

6:41pm: 警察は無教養邪悪サディスティックだ。奴らを信じるな。

6:42pm: 残りの人生警察と闘う…奴らは友達ではない、決して信じるな。

6:49pm: 友に聞いている、なんだって賢い教育を受けた奴が警察になんかなるんだ

7:03pm: 「俺たちは警察だ, 俺達がやりたいことはなんでも出来る」

7:08pm: これは女性警察官が私のパンツを下ろした後の事だった…もしあなたレイプされた女性でなければこれはレイプとは思われないかもしれないが。

7:12pm: 俺は白人だ。たくさん稼いでたくさん税金を払った。でも彼らの虐待は同じくやってくる。一線を超えるな!!

 

 

警察トラブルになった理由:隣の家にレイプ目的で侵入通報された模様

 

ちなみに騒ぎを起こしたのは三度目で

一度目(2015年1月頃)は酔ってその隣家敷地内に侵入

二度目(2015年8月頃)も同じく酔って、その時は別の家の庭に半裸で侵入し、

その家の奥さんに「俺とfXXXしろ」と迫った模様

その時、裁判所から、年内に転居するよう命令が出ていたらしい

 

三度目で、しか裁判所命令に従ってもいないようだったので、警察マークしていたらしい

またそのフォロワー12月始めに自宅に行った際、弁護士とも口論していた、と

 

 

Debian開発者自殺直前のツイートヤバい話題 

https://fox.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1451721467/

2021-06-07

anond:20210607230624

ステーキいちごジャムを塗るような蛮行も、実験の名のもとに許されるというのか。

2021-05-29

テニスラケット破壊する彼女/彼/彼らを見てvol.3

 疑問に答えろという要望があったので書くことにする。

【Q-01】

 「『彼』や『選手』ではなく『彼女』と書くところに、意図が透けて見える」「他にも同じことをしている競技者はいるのに、なぜ彼女だけを攻撃するのか」「同じことをしている他の競技者をどう思うのか、批判しないのか」etc.

【A-01】

 元の文章を私が書く切っ掛けになったのが「彼女」の映像だったから「彼女」と書いたというだけの話である。私が見た映像が「彼」の映像だったならば、私は「彼」と書いたことだろう。その場合、私は「何故わざわざ『彼』と書くのか?意図が透けて見える」と言われただろうか?もちろん、これは反語である。「意図が透けている」のは一体どちらであろうか?

 「なぜ彼女ばかり攻撃するのか」「わざわざ『彼女』と書くところに意図が透けて見える」という類いのコメントを寄せた人は、極めて愚かである。どれぐらい愚かであるかと言えば、例えるならば、戦前戦時中日本が行った蛮行批判する意見に対して「他の国々も野蛮なことをしているのに、なぜ『日本』ばかりクローズアップして批判するのか?意図が透けて見える」と言う類いの人間と同じくらい愚かである

 ところで「同じことをしている他の競技者をどう思っているのか?」についてだが、もちろん平等に「彼女と同じく卑しい」と思っているので安心してもらいたい。テニス以外の競技についても同様である

 しかし、どうしても「彼女」と書かれることに腹が立つと言うのであれば「彼女/彼/彼ら」と書くことにしよう。彼女/彼/彼らは卑しい、と。ご満足いただけただろうか?

【Q-02】

 たかテニスラケットを壊したぐらいで、目くじらを立てて批判しなくても良いのではないか

【A-02】

 vol.2で書いたことと重複するが、常日頃から人種差別に抗議する声明を出すなど「社会を良くするために積極的に声を上げてコミットする」とアピールしている人間が、公共の場で癇癪を起こして、物に当たり散らして破壊すること、しかも、それに対して少なくない人間が「彼女行為は『正しいアンガーマネジメントである」と見なす意見を発信することは、社会に対して重大かつ誤ったメッセージを与えるものと私は危惧する。どれぐらい誤ったメッセージかと言えば、一時期のお笑い芸人たちが、飲食店コンビニ従業員に対するクレーマー行為を、面白エピソードとしてテレビラジオで盛んに語っていたことと同じぐらいに、誤ったメッセージである

 実際、今の世の中、パワハラ防止云々アンガーマネジメント云々と盛んに言われるようになったにも関わらず、これを書いている人間は、職場で「大声で怒鳴りつけられる、机をバーン!と叩かれる、椅子をガーン!と蹴られる」といった行為を受け続けて精神病み職場から聞き取り調査を受けているところである。そういう立場からすれば、著名人が癇癪を起こして物を破壊する行為が正しい行為として世間認知されるのは、到底容認できるものではない。

 もしもテニスラケットが、祖父なり父母なりが作ったものであったならば、叩きつけて壊したであろうか?勿論これは反語である広告塔としてのアスリートに対しては、メーカーも強い態度に出られないであろうという力関係を見透かした上で、破壊する対象を選んでいるのである。だからこそ、私は「ラケットを作った労働者を『自分と同じ人間』と思っていないのではないか?」と書いたのである

 癇癪を起こして物を破壊する人間は、パワハラDV加害者の予備軍であると私は考えている。シリアルキラーが、最初動物虐待から始めるのと同じように。

 パワハラDVを行う人間は「自分はそれをしても許される『特別人間である」という特権意識の持ち主であり、攻撃破壊対象も「反撃をしなさそうな相手」を選ぶ。物は反撃しないから、彼女/彼/彼らの「最初攻撃対象」となって破壊される。物で満足できなければ、次に彼女/彼/彼らは「反撃をしなさそうな人間」を攻撃対象にするだろう。実際にパワハラDV被害を受けた経験が有る人ならば、私が言うことも分かるはずである彼女/彼/彼らは、攻撃対象に選んだ私たちを「自分と同じ人間」とは思っていない。

 貴方の傍に、もしも「癇癪を起こして物を破壊する人間」がいるならば、できる限り迅速に遠くに離れることを、私は強く推奨する。(続く)

フィリップK.ディック『高い城の男』

 私は、歴史専門家ではない一般人です。まず前提として、戦前戦時中アジア諸国へ与えた被害南京虐殺従軍慰安婦問題米国人をはじめとする敵国捕虜に対する非人道的行為等々について、日本責任が有ると考えている者です。

 フィリップK.ディックというアメリカSF作家小説に『高い城の男』という作品があります貴方は、これを読まれたことはありますか?もし無ければ、今から粗筋を紹介します。もし、既に読まれたことが有るならば、私が以下に書くことは釈迦に説法ですから無視して貰って構いません。

= 粗筋ここから =

 第二次世界大戦は、枢軸国側の勝利に終わった。世界は、ドイツ第三帝国大日本帝国という2つの大国支配され、アメリカ日独による占領分割統治の下に置かれている(西海岸側が日本により占領されている)。

 作中では、大戦終了直前にアメリカが、不利な戦況を覆す為に、非人道的戦術を用いたり、残虐な行為に走ったことなども語られる。しかし、そこまでしても敗戦に終わったこからアメリカ国民の誇りは打ち砕かれている。西海岸日本相手商売をしているアメリカ人は、敗戦国の人間として戦勝国(日本)に対する強い劣等感を抱いている。

 戦勝国となったドイツ日本は、いまだ表面上は友好関係を保ってはいるが、アーリア人至上主義の国と黄色人種の国は呉越同舟であるドイツは密かに日本殲滅計画を目論み、日本もまたドイツに対して不信感を抱くようになりつつある。遠くない未来には、2つの大国は衝突を避けられないだろう。

 このように敗戦国の人間戦勝国人間も等しく、将来に対して不安を抱いて生活しているアメリカでは、奇妙な流行が2つある。

 1つは「当たるも八卦当たらぬも八卦」で有名な、古代中国の書『易経』に基づく占いである物語登場人物たちは、何か不安に駆られる度にコインを用いた占い(※本来筮竹を使うが、陰陽2つの組み合わせで占うので、コインでも代用できる)によって『易経』の宣託に頼ろうとする。

 もう1つの流行は、地下出版により流通する『イナゴ身重く横たわる』と題された1冊の本である占領国の官憲により発禁本指定を受けながらも、アメリカ国民は(そして、取り締まる側のドイツ人や日本人も)厳しい監視の目を逃れて、密かにその本を読み耽る。その本には「本当の歴史」が記されているのだという。「枢軸国側が敗戦国になり、連合国側が戦勝国になった歴史」が。

 この本を執筆した作家暗殺する為に、ドイツ当局の手の者が動き出す。また、この本に書かれたことは「本当の歴史」なのか?だとすれば、如何にして作家はそれを知って執筆したのか?それを確かめる為に、一人のアメリカ女性作家の下へ向かう。

 「高い城」に居ると噂される作家の下へ。

= 粗筋ここまで =

 私が知る限りでは、ディックが本物の日本人と実際に交友関係があったという形跡は有りません。しかディックは、優れた作家が持つイマジネーションの力だけで、敗戦国の日本人の心情を見事に描き出します。「敗戦国の国民となって、戦勝国日本人に対する劣等感を抱いているアメリカ人」の姿というパロディによって。

 『高い城の男』の描く、敗戦国となったアメリカの人々は『イナゴ身重く横たわる』を読みながら夢想します。「非人道的な残虐行為を行わなかったはずの、汚れていないアメリカの姿」や「輝かしい戦勝国となったはずのアメリカ」という「本当の歴史」を。

 これらのモチーフ描写現代の我々が読むと、執筆当時のディックによる意図を超えて、南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)否定論に嵌まる人間を傍から見た姿を描く形になっています

 最初に書いたとおり、私は戦前戦時中日本による蛮行については、日本責任が有ると考えていますしかし、日本による南京虐殺等を否定する説や、ドイツによるショア(ホロコースト)等を否定する説を信じる人たちの、それを信じたくなる心情も、『高い城の男』を読んだ私には何となく少しだけ理解できる気もするのです。人間は、弱くて愚かです。ちょうど犯罪加害者家族が「自分家族が、そんな酷いことをするはずがない。何かの間違いだ!デッチ上げだ!冤罪だ!」と言いたくなるのと似たような心理なのではないでしょうか。誰でも大なり小なり「祖国に対する愛着の心」が有り、その祖国過去歴史の中で蛮行を働いたという記憶は、犯罪加害者家族場合と同様「耐え難い現実」であり、可能ならば「違った未来」が実現して欲しかった、「デッチ上げによる冤罪」であって欲しかったという思いを抱かせるのでしょう。

 『高い城の男』の詳細と結末については、実際に読んでもらうしかありませんが、それについて少し書きますネタバレされるのがイヤな場合、以下の記述を読まないで、書店に向かってハヤカワSF文庫の『高い城の男』をお買い求め下さい。

【【【注意!ネタバレ有り!】】】

 実は『イナゴ身重く横たわる』に書かれた「本当の歴史」は「『高い城の男』を読む我々の存在する現実世界歴史」ではありません。連合国側が勝利する歴史ではあっても、現実歴史とは食い違う記述が有ります。つまり、本作の中で『イナゴ身重く横たわる』を読み耽るアメリカ人たちが夢想している「あり得たはずのアメリカ」は「無い」のです。

 SF論としては、作家フィリップK.ディックは「本物と偽物」「現実虚構」というモチーフを書くことに取り憑かれ続けた生涯で云々と話を展開するところでしょうが、ここでは南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)の否定論に絡めて『高い城の男』の話を持ち出したので、別のことを書きます

 心情的には、否定論にすがる人たちの気持ちも分かるような気がすると、私は書きました。

 しかし、南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)否定論にすがる人たちの「間違いを犯さなかった、こんな歴史であって欲しかった」と夢想する歴史も、結局は『イナゴ身重く横たわる』の記す歴史と同じく「無い」のです。『高い城の男』は第二次世界大戦を下敷きにしていますが、ベトナム戦争アメリカをはじめ、おそらく何処の国であっても大なり小なり「別の歴史があって欲しかった」という事は有ることでしょう。しかし、勿論それも日本ドイツと同様に「無い」のです。

 では、我々は、どうすれば良いのでしょうか?実は、それを示唆する内容が『高い城の男』には書かれています

 『高い城の男』には、占領軍の日本将校相手に「アメリカ骨董品」の贋作を作って売るビジネスに関わるアメリカ人が出てきますしか物語の終盤に至ると、彼は「偽の歴史付与した贋作骨董品」を作って売るのではなく、新たなオリジナル創作物を作って売ることを決意します。

 『高い城の男』は教訓を学ばせる目的で書かれたとは思いませんが、それでも私は、このくだりを読んで思ったのです。「在って欲しかった歴史」「我々の願望を満たしてくれる、都合の良い現実」など有りはしない。どれほど不条理に感じても、動かし難く消し去ることのできない過去を「我々の現実」として引き受けるところから始めるしか他にないのだ、と。

anond:20210527145539

 私は、歴史専門家ではない一般人です。まず前提として、戦前戦時中アジア諸国へ与えた被害南京虐殺従軍慰安婦問題米国人をはじめとする敵国捕虜に対する非人道的行為等々について、日本責任が有ると考えている者です。

 フィリップK.ディックというアメリカSF作家小説に『高い城の男』という作品があります貴方は、これを読まれたことはありますか?もし無ければ、今から粗筋を紹介します。もし、既に読まれたことが有るならば、私が以下に書くことは釈迦に説法ですから無視して貰って構いません。

= 粗筋ここから =

 第二次世界大戦は、枢軸国側の勝利に終わった。世界は、ドイツ第三帝国大日本帝国という2つの大国支配され、アメリカ日独による占領分割統治の下に置かれている(西海岸側が日本により占領されている)。

 作中では、大戦終了直前にアメリカが、不利な戦況を覆す為に、非人道的戦術を用いたり、残虐な行為に走ったことなども語られる。しかし、そこまでしても敗戦に終わったこからアメリカ国民の誇りは打ち砕かれている。西海岸日本相手商売をしているアメリカ人は、敗戦国の人間として戦勝国(日本)に対する強い劣等感を抱いている。

 戦勝国となったドイツ日本は、いまだ表面上は友好関係を保ってはいるが、アーリア人至上主義の国と黄色人種の国は呉越同舟であるドイツは密かに日本殲滅計画を目論み、日本もまたドイツに対して不信感を抱くようになりつつある。遠くない未来には、2つの大国は衝突を避けられないだろう。

 このように敗戦国の人間戦勝国人間も等しく、将来に対して不安を抱いて生活しているアメリカでは、奇妙な流行が2つある。

 1つは「当たるも八卦当たらぬも八卦」で有名な、古代中国の書『易経』に基づく占いである物語登場人物たちは、何か不安に駆られる度にコインを用いた占い(※本来筮竹を使うが、陰陽2つの組み合わせで占うので、コインでも代用できる)によって『易経』の宣託に頼ろうとする。

 もう1つの流行は、地下出版により流通する『イナゴ身重く横たわる』と題された1冊の本である占領国の官憲により発禁本指定を受けながらも、アメリカ国民は(そして、取り締まる側のドイツ人や日本人も)厳しい監視の目を逃れて、密かにその本を読み耽る。その本には「本当の歴史」が記されているのだという。「枢軸国側が敗戦国になり、連合国側が戦勝国になった歴史」が。

 この本を執筆した作家暗殺する為に、ドイツ当局の手の者が動き出す。また、この本に書かれたことは「本当の歴史」なのか?だとすれば、如何にして作家はそれを知って執筆したのか?それを確かめる為に、一人のアメリカ女性作家の下へ向かう。

 「高い城」に居ると噂される作家の下へ。

= 粗筋ここまで =

 私が知る限りでは、ディックが本物の日本人と実際に交友関係があったという形跡は有りません。しかディックは、優れた作家が持つイマジネーションの力だけで、敗戦国の日本人の心情を見事に描き出します。「敗戦国の国民となって、戦勝国日本人に対する劣等感を抱いているアメリカ人」の姿というパロディによって。

 『高い城の男』の描く、敗戦国となったアメリカの人々は『イナゴ身重く横たわる』を読みながら夢想します。「非人道的な残虐行為を行わなかったはずの、汚れていないアメリカの姿」や「輝かしい戦勝国となったはずのアメリカ」という「本当の歴史」を。

 これらのモチーフ描写現代の我々が読むと、執筆当時のディックによる意図を超えて、南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)否定論に嵌まる人間を傍から見た姿を描く形になっています

 最初に書いたとおり、私は戦前戦時中日本による蛮行については、日本責任が有ると考えていますしかし、日本による南京虐殺等を否定する説や、ドイツによるショア(ホロコースト)等を否定する説を信じる人たちの、それを信じたくなる心情も、『高い城の男』を読んだ私には何となく少しだけ理解できる気もするのです。人間は、弱くて愚かです。ちょうど犯罪加害者家族が「自分家族が、そんな酷いことをするはずがない。何かの間違いだ!デッチ上げだ!冤罪だ!」と言いたくなるのと似たような心理なのではないでしょうか。誰でも大なり小なり「祖国に対する愛着の心」が有り、その祖国過去歴史の中で蛮行を働いたという記憶は、犯罪加害者家族場合と同様「耐え難い現実」であり、可能ならば「違った未来」が実現して欲しかった、「デッチ上げによる冤罪」であって欲しかったという思いを抱かせるのでしょう。

 『高い城の男』の詳細と結末については、実際に読んでもらうしかありませんが、それについて少し書きますネタバレされるのがイヤな場合、以下の記述を読まないで、書店に向かってハヤカワSF文庫の『高い城の男』をお買い求め下さい。

【【【注意!ネタバレ有り!】】】

 実は『イナゴ身重く横たわる』に書かれた「本当の歴史」は「『高い城の男』を読む我々の存在する現実世界歴史」ではありません。連合国側が勝利する歴史ではあっても、現実歴史とは食い違う記述が有ります。つまり、本作の中で『イナゴ身重く横たわる』を読み耽るアメリカ人たちが夢想している「あり得たはずのアメリカ」は「無い」のです。

 SF論としては、作家フィリップK.ディックは「本物と偽物」「現実虚構」というモチーフを書くことに取り憑かれ続けた生涯で云々と話を展開するところでしょうが、ここでは南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)の否定論に絡めて『高い城の男』の話を持ち出したので、別のことを書きます

 心情的には、否定論にすがる人たちの気持ちも分かるような気がすると、私は書きました。

 しかし、南京虐殺否定論やショア(ホロコースト)否定論にすがる人たちの「間違いを犯さなかった、こんな歴史であって欲しかった」と夢想する歴史も、結局は『イナゴ身重く横たわる』の記す歴史と同じく「無い」のです。『高い城の男』は第二次世界大戦を下敷きにしていますが、ベトナム戦争アメリカをはじめ、おそらく何処の国であっても大なり小なり「別の歴史があって欲しかった」という事は有ることでしょう。しかし、勿論それも日本ドイツと同様に「無い」のです。

 では、我々は、どうすれば良いのでしょうか?実は、それを示唆する内容が『高い城の男』には書かれています

 『高い城の男』には、占領軍の日本将校相手に「アメリカ骨董品」の贋作を作って売るビジネスに関わるアメリカ人が出てきますしか物語の終盤に至ると、彼は「偽の歴史付与した贋作骨董品」を作って売るのではなく、新たなオリジナル創作物を作って売ることを決意します。

 『高い城の男』は教訓を学ばせる目的で書かれたとは思いませんが、それでも私は、このくだりを読んで思ったのです。「在って欲しかった歴史」「我々の願望を満たしてくれる、都合の良い現実」など有りはしない。どれほど不条理に感じても、動かし難く消し去ることのできない過去を「我々の現実」として引き受けるところから始めるしか他にないのだ、と。

2021-05-28

anond:20210528073421

海外ドラマに腐敗したヒーロー業界描いたやつあるし、そもそも昔にウォッチメンというアメコミもあった(ここに出てくるヒーローは「正義の為に蛮行を辞さない」「レイプ未遂者」「文字通りの超人だが人の心を失ってる」など何かとアレなのがメイン)

そういうもんだ

ヒーローが実はゲスいとか、実は独善的とか

なんかちょいちょい見る気がする

ヤンジャンの新連載もそうだし、マガジンの五等分の花嫁作者の新作もそうだった

なろうなんかじゃ人格クズ勇者蛮行を行う(※主人公の事ではない、むしろ主人公追い出したりするようなヤツ)のもよくある

なんだろう、逆張りなんだろうか、輝いてる奴に裏を疑ってるんだろうか

2021-05-20

もう15年も経つのに忘れられないオムツちゃん

当時、オムツちゃんは2歳だった。

交換したばかりのオムツの尻がパンパンになっておりママが「これはなに?」と尋ねた。

するとオムツちゃんステップ踏んで踊りだして「おしっこ!!」と元気よく返答。

トイレトレーニング最中であり出す前に教えろと言った直後の蛮行であった。

ママは難しい顔で黙り込んだがオムツちゃんはテレテレ踊ってごまかしていた。

あの光景が15年経っても忘れられず、今も時折「おしっこ!!」と脳内リフレインかます

もう二度とあの頃に戻れないのが寂しくも輝かしい。

オムツちゃん、元気だろうか。

2021-05-08

anond:20210508073208

これは失礼、集団行動というと統率が取れているように読めちゃうよね。

ほんとうは個別に暴れているだけだから暴走とか世紀末とかのほうが相応しいな。

言葉世紀末蛮行アノニマスダー

2021-04-12

極論や狂った理論を語る連中、数の暴力蛮行正当化する連中は

なぜ批判を受けると、その批判した人間を潰しに行くのか

創価学会フェミニスト右翼左翼ヴィーガンなんJ民、一部荒らし系のネットコミュ

みんな、自分たちへの文句暴力で潰してる

2021-04-10

北支事變と陸戦法規

外交時報 第八十四巻』昭和十二年、外交時報社、pp.47-56

北支事變と陸戦法規

篠田治策

 明治四十年(千九百七年)十月十八日海牙に於いて調印せられたる開戦に關する條約第一條によれば、一國が他國と戦争を開始するには理由を附したる開戦宣言形式又は條件付附開戦宣言を含む最後通牒形式を有する明瞭且つ事前の通告をなすことを要す。故に現在北支及び上海方面於いて進展しつゝある日支両國の戦闘は、理論上之を日支戦争又は日支戦役と称すべきものに非ずして、事變即ち北支事變、又は上海事變と称すべきものである。我が政府公文にも新聞紙報道にも総べて事變の文字を用ゆるは之れが為めであると思はる。換言すれば宣戦の布告を見るまでは、戦争又は戦役と呼ばずして軍に事變と称し、両國間の國交は断絶せざるのである。之れを先例に徴するも、明治二十七・八年の清國との戦、明治三十七・八年の露國との戦、世界大戦参加による青島攻撃戦等は、之れを日清戦争(戦役とも称す以下同じ)、日露戦争日独戦争と称し、明治三十三年の義和団事件、近年に於ける済南出兵上海出兵満州出兵等は、総べて之れを事變と称したのである

 此の招呼は従来何よりて定まりしか詳知せざれども、現今に於いては確然明白に区別せらるるは、政府公文或は法規等にも「戦時事變に際し」云々等の文字を用ゆるも明らかである。故に日支両國の何れかより

<四七>

宣戦の布告若くは條件附開戦宣告を含む最後通牒あるまでは、如何に大部隊の衝突あるも未だ事變の域を脱せずと謂ふべきである。猶ほ八月二十三ワシントン發の同盟通信によれば、アメリカ國務長官コーデル・ハル氏は、今回の北支事變に際しては終始冷静な態度を持し形成注視しつつあつたが、二十三日午後聲明を發し、日支両國政府に対し「戦争行為に訴へぬよう」要請した由である二十三日は我が陸軍部隊上海附近上陸を開始した日である。即ちハル長官現在の日支両軍の戦闘行為を以て、未だ戦争に非ずと見て居るのである。然れども、我が政府最初宣言したる事件不拡大の方針余儀なく抛棄したるのみならず在外艦隊司令長官支那船舶に対し沿岸封鎖を断行し、支那も亦縷々大部隊を動員して攻撃的態度を採りつゝあるにより、或は近き将来に於いて事變を変じて戦争となるべき可能性ありと信ずるのである

 我が國の國内法に於いては事變と戦争区別せざる場合多く、例へば出征軍人の給奥、恩給年限の加算、叙勲に關する法規など総べて事變と戦争を同一に取扱ふも、國際法上にては事變と戦争は大なる差別がある。

 即ち現在の事變が変じて戦争となれば、日支両國は所謂交戦國隣、共に戦争放棄を遵奉する義務を生じ、同時に中立國に対しても交戦國としての権利と義務を生じ、中立國は皆交戦國に対して中立義務負担するに至るのである。語を換へて言へば事の事變たる間は必ずしも國際法規に拘泥するの必要なきも、一旦戦争となれば戦場於いて総べて國際放棄を遵守すべき義務を生ずるのである。然れども事變中と雖も正義人道に立脚して行動し、敵兵に対し残虐なる取扱を為し、良民に対し無益の戦禍を蒙らしむるが如きは努めて之れを避くべきは言を待たずである。此の點に關しては、皇軍は我國教育の普及と伝統武士道精神により、毎に正々堂々たる行為を以て範を世界に示しつゝあるは欣快である。嘗て済南事變の際支那兵が邦人

<四八>

対する残虐視るに忍びざる殺戮行為、今回の通州に於ける邦人虐殺行為等天人共に許さゞる野蛮行為に対しても、敢て報復の挙に出づることなく、飽くまで正々堂々唯だ敵の戦闘力を挫折するに留めたのみである。故に皇軍には戦場於いて事變と戦争区別する必要はない。何れの場合にも武士道精神に則り行動するが故に、戦争違反問題を生ずることは殆んど無いのである

 従来我が陸軍戦場於いて戦時國際法適用の万全を期せんが為目に戦時國際法の顧問として日清戦争には故有賀長雄博士を、日露戦争には第一軍乃至第四軍に何れも二人づつの國際法学者従軍せしめたのである日清戦役後仏國の國際法学者にして同國大審院検事長たるアルチュール・デジャルダン氏は日本軍の行動を激賞し左の如くに曰つた。

東洋の僻隅に大事業を成就すべき一國あり、之れを日本とす。其の進歩は単に戦争の術に止まらず、戦時公法理想於いて欧州をして驚嘆せしむるものあり。國際法論は欧州於いても漸を以て進みたるものなるに、日本は一躍して此の論理を自得したり。是れ果して高尚なる正義を感得したるに因るか將た又利害を商算したるに因るかは別論に属すと雖も、其の之れを寛行するや極めて勇壮にして、恰も自國の能力覚知する心念の中より適宜に之れを節抑するの嗜好を自然に生じたるものの如し。是れ人類一般利益として祝す可き所なり。

又仏國の國際法学者ポールフォーシル氏も、當時日本軍の行動を評して左の如く曰つた。

此の戦役に於いて日本は敵の万國公法無視せるに拘はらず、自ら之れを尊敬したり。日本軍隊は至仁至愛の思想を體し、常に慈悲を以て捕虜支那人を待遇し、敵の病症者を見ては未だ全て救護を拒ま

<四九>

ざりき。日本は尚ほ未だ千八百六十八年十二月十一日の聖比得堡宣言に加盟せずと雖も、無用苦痛を醸すべき兵器使用することを避け、又敢て抵抗せざる住民の身體財産保護することに頗る注意を加へたり。日本は孰れの他の國民も未だ會て為さゞる所を為せり。其の仁愛主義を行ふに熱心なる、遂に不幸なる敵地住民租税を免じ、無代償にて之れを給養するに至れり。兵馬倥偬の間に於いても人命を重んずること極めて厚く、凡そ生霊を救助するの策は擧げて行はざる無し。見るべし日本軍の通過する所必ず衛生法を守らしむるの規則を布きたるを、云々。

日清戦役にては敵軍は全然國際法を守らざるが故に、我軍にても之れを守るの義務無かりしも、然も四十餘年前に完全に之れを守つて先進國を驚嘆せしめた。日露戦役當時は海牙の平和條約調印後なりしが故に、陸戦法規を守るべき義務ありしも、尚ほ宣戦の詔勅中にも「國際法の範囲内に於いて一切の手段を盡し違算なからしむることを期せよ」と宣せられ、参謀総長は訓令を發して戦規遵奉の趣旨を周知せしめ、更に前期の如く各軍司令部に國際法顧問を配属せしめた。戦役中特別任務を以て米國派遣せられた法学博士男爵金子太郎氏が歸朝の後國際法学会にて為したる演説中に左の要旨の一説がある。

米國人は事實の真相調査せず、動もすれば國際法違反を称するを以て之れに対する材料蒐集中、新聞紙上にて我が第一軍乃至第四軍に國際公法専攻の学者二名宛を配属し、陸戦の法規解釈其の適用参謀部に於いて國際法専攻の学士協議せしめ、公法違反を生ぜしめざることを發見せり。是に於いて各種の集会に於ける演説或は新聞記者との会見に於いて余は毎に「米國人は國際公法提唱日本政府の決心は露國は大國なり腕力於いては或は露國は日本に勝るならん、貴國人が露西亞の聲を聞き戦慄す

<五〇>

る程の大國なれば、日本も恐れざるに非ず、然し國家の危急存亡に代えられざれば全滅を賭して最後の一人まで戦ふにあり、而して此の戦争日本が國際法を破りしことあらば世界歴史汚名を遺すが故に假令戦に敗るるも國際法は遵奉する決心にて現に此の如く専門学者が各軍に配属せられあり、故に余は日本軍に國際法違反無きを保證す」と説明せるに、此の説は次第に傅播して後には日本同情者が各所にて演説等をなす時、日本軍が國際公法家を二名づつ従軍せしめたる事實を述ぶる毎に非常に喝采を博したり。又エールハーバード等の米國國際法大家と会見せる際彼等は各國共に今度日本が外國との戦争に國際法学者従軍性せしめたる如き前例なし、将来日本の新例に倣ふべきことにして、右は一進歩を陸戦の法規に與へたるものなりとして大いに称賛したり。之れ實に日本陸軍の今回の處置は文明國の真價を世界に示したるものと謂ふべし。云々。

 世界大戦の時は、青島攻撃軍に嘗て筆者と共に日露戦役当時第三軍に在勤したる兵藤氏従軍したるを聞きしも、其の職名を詳かにせず。又浦鹽派遣軍には主として外交官をもつ組織したる政務部を置いた。此の政務部は主として外交方面事務従事したるも、亦國際公法適用に關して其の権威たりしは勿論である(筆者も數ヶ月間此の政務部に派遣されて居つた。)

 過去に於ける皇軍の行動は實に右の如く最も鮮かであり、所謂花も實もある武士的行動であつた。斯かる傳統的名誉を有する行軍の行動は今回の事變に際しても決して差異あるべき筈は無い。理論上事變は國際戦争に非ざるの故を以て、節制無き行動に出づるが如きは想像だに及ばざるところである

 唯だ、陸戦法規適用に關し、茲に疑問の生ずるは領土性質である。假りに之れを中華民國

<五一>

領土なりとせば、國交断絶を来さず単に事變たる間は、未だ之れを敵國領土と称するを得ざるが故に、出征軍は如何なる程度に其の権力行使すべきか、又南京政府官吏は既に逃亡し、地方民衆自ら自治政権樹立したりとせば、國家として列國の承認無きも、戦闘地域を其の領土として取り扱ふべきか等の問題である

 宣戦の布告により事變が變じて日支戦争となりたる場合於いて北支一帯が依然として中華民國の領土なりとせば、問題は至つて簡単にして、我軍は之れを支配して軍政施行治安を維持するのみである。然れども事變として繼續中及び新政府領土となりし場合には、其の地域行使すべき軍の権力に多少の差異あるべきは明らかである

 日露戦役の際は戦闘地域性質を異にする三種類の領土があつた。即ち樺太の如き完全なる敵國領土遼東半島及び東清鐡道沿線附属地の如き敵國の租借地と、満州一帯の如き第三國の領土があつた。樺太に關しては完全に我が占領軍権力行使したるは勿論なるも、租借地に關しては租借権其物の性質すら学者間に議論一定せず、如何なる原則に基きて之れを占領すべきかは問題であつた。筆者は遼東半島上陸直ちに此の問題に直面し、又間も無く着手したるダルニー(大連)の整理に際して実際問題に逢着した(拙著日露戦役國際公法第二章三章)。又当時諸國は局外中立宣言したるも、遼東以東は之れを除外し日露両國の戦場たらしめるが故に、所謂喧實奪主の観ありて、交戦國は任意に此の地域活動したるも、其の権力講師には純然たる敵地占領とは自ら異なるものがあつた。

 今回の北支事變に於いても、其の交戦地域領土性質曖昧なるに於いては、日露戦役当時の先例を参

<五二>

考にして之れに善処し、然も恩威併行、皇風をして六合に洽からしむるの用意あるを要す。

 従来北支方面は日・満・支に微妙なる關係を有し、外交政治に極めて複雑なる舞臺であり、事變の原因も一部は其処に在つた。故に平和克復の後は雨降って地固まり、明朗なる新天地を現出して再び颱雨の發生地たること無からしめねばならぬ。従って陸戦法規適用に当たりても緩急宜しきを制し、傍ら戦後政治工作に關する其の地均しの役目を引受lくるを必要と考へられる。固より事變であり、戦争であるに拘らず、我が武士道の精神と殆んど一致する陸戦法規は完全に適用せらるゝは疑ひなきも、其の間事に輕重あり、絶大の権力を有する軍司令官禁止事項の外は自由裁量余地あるかは明かである

 陸戦法規の條項を北支事情と敵軍の素質に対照して一々之れを論究するは、紙面の許さゞるところなるにより、筆者が茲に希望するところを一言に表示すれば、過去の二大戦役にて、克く陸戦法規を遵守して皇軍名誉を輝かしたる如く、此の事變に於いてもこの點に注意を拂ひ、更に占領住民に対しては軍律を厳重にし軍政に寛仁にすべしと謂ふのである

 凡そ遣外軍隊は一地方を占據すると同時に、軍隊安全作戦動作の便益を図るが為めに、無限権力を有するが故に、軍司令官は其の占據地域内に軍律を發布して住民に遵由するところを知らしめ、軍隊安全作戦動作の便益を害する者には厳罰を以て之れに蒞み、同時に一般安寧秩序を保持し良民をして安んじて其の生業従事せしめねばならぬ。固より戦闘に關係なき事項は其の地従来の法規により、其の地方官吏をしてその政務に当たらしめ、以て安寧秩序回復維持瀬しむるを便宜とするも、事苟も軍隊の安危に關するものは最も厳重に之れを取締らざる可からず。假令ば一人の間諜は或は全軍の死命を制し得べく、一條の

<五三>

軍用電線の切断は為めに戦勝の機を逸せしめ得るのである。故に軍司令官は此等の危害を豫防する手段として、其の有する無限権力を以て此等の犯罪者厳罰に處し、以て一般を警めねばならぬ。故に豫め禁止事項と其の制裁とを規定したる軍律を一般公布し、占據地内の住民に之れを周知せしむる必要がある。日清戦役の際は大本営より「占領人民處分令」を發布して一般に之れを適用した。日露戦役の際は統一的の軍律を發布せず、唯だ満州総司令官は鐡道保護に關する告諭を發したるのみにて各軍の自由に任せた。故に各軍區々に亘り第一軍にては軍律の成案ありしも之れを發布せず、単に主義方針として参考にするに止め、第二軍には成案なく、第三軍にては確定案を作成したるもの司令部より統一的軍律の發布あるを待ち遂に之れを公布するの機を失し、遼東守備軍は第三軍の軍律を参照して軍律を制定發布したりしが、後遼東兵站監は之れを改正して公布した。旅順要塞司令部特に詳細なる規定を發布し、旅順海軍鎮守府別に軍律を發布し、第四軍にては一旦之れを發布したるも後に之れを中止し、その他韓國駐剳軍、及び樺太軍は各々軍律を發布した。

 軍律に規定すべき條項は其の地方の状況によりて必ずしも劃一なるを必要とせざるも、大凡を左の所為ありたるもの死刑に處すると原則とすべきである

一、間諜を為し及び之れを幇助したる者

二、通信交通機關を破壊したる者

三、兵器弾薬其他の軍需物件を掠奪破壊したる者

四、敵兵を誘導し、又は之れを蔵匿したる者

<五四>

五、我が軍軍人故意に迷導したる者

六、一定軍服又は徴章を着せず、又は公然武器を執らずして我軍に抗敵する者(假令ば便衣隊の如き者)

七、軍隊飲料水を汚毒し、又軍用井戸水道破壊したる者

八、我が軍軍馬殺傷したる者

九、俘虜を奪取し或は逃走せしめ若くは隠匿したる者

十、職場於いて死傷者病者の所持品を掠奪したる者

十一、彼我軍隊の遺棄したる兵器弾薬其他の軍需品を破壊し又横領したる者

 而して此等の犯罪者を處罰するには必ず軍事裁判に附して其の判決に依らざるべからず。何となれば、殺伐なる戦地於いては動もすれば人命を輕んじ、惹いて良民冤罪を蒙らしむることがあるが為めである。軍律の適用は峻厳なるを以て、一面にては特に誤判無きを期せねばならぬ。而して其の裁判機関は軍司令官臨時に任命する判士を以て組織する軍事法廷にて可なりである

 帝國政府が屢々聲明する如く、我國は決して北支侵略して我が領土なすが如き意圖を有せざるも、今回の事變によりて北平天津地方より支那軍隊駆逐し、現に事實上その地方を占據し、戦局の進展に伴日、占據地域を拡大しつゝある。而して此の地方住民自治政権樹立したるとするも、我軍の支援無くしては一日も安定し得ざるは明かである。故に如何なる外交辞令を用ゆと雖も、此の地方一時的にもせよ事實上我軍の占領である。勿論日支両軍衝突の一時的現象に止まり永久に之れを占領するの意思無きが故に此

<五五>

占領は九國條約に牴觸するものに非ずと信ずる。

 我軍が一時的なりとも北支地方占領したる以上は、我軍は其の地方の人心を鎮撫して Permalink | 記事への反応(1) | 11:41

2021-04-08

anond:20210408072704

弱者男性側って他者理解や譲歩を求めるけどそこからしおかしいんだわな。

彼らには散々女性フェミニストを加害してきた事実があって

己は弱者だと訴えるならまず過去蛮行謝罪した上で自己批判し、政治利用してる連中の切断処理をしないといけない。

それらを一切しないで直前まで加害者だった側が悲鳴を上げても相手にされるわけがないんだ。

2021-04-06

anond:20210406062435

こういう「俺(達)の蛮行に苦言を呈したら殺すからな」って仄めかしするやつって、なんなんだろうなって

ツイッターで○○団名乗ったり、俗に言う衛門や恒心教徒だったり

2021-04-01

戦い方を知っている

攻撃できるタイミングでどんどん燃料を投下し、バックラッシュ気味になった潮目で被害者ムーブをキメる。これによって過去蛮行一切合切を押し流し有耶無耶にするという超必殺技

被害者ムーブができるのは特定層に限られるので、その特権を十分に生かしている。

どんなに取り繕っても、できる限り自分への被害を最大化して見せようとするその性根が透けて見える。前回もそうだった。サッカー選手かってくらい。

2021-03-29

anond:20210328183418

元増田蛮行に反対してるにきまってるだろ

だれもお前個人人間性なんか否定してない

プロバイダ相談すりゃすむことなのに詭弁すぎ

2021-03-22

anond:20210322103140

そもそもこのはてなだけでも

社会フラットに見ている増田たち(笑)の言う通りの日本だったら

日本の今の現実はノリエガ政権末期のパナマなみもノーフューチャーの超格差崩壊無法地帯になるんだが

実際はそんなことはない、自分勝ち組側に入ったらそう言う社会蛮行してぇなぁって願望を現実を見せずに子供部屋でエコーチャンバー状態になってる

からネット現実乖離が激しくなってる

それはダメだよ

頭も悪いし性格も悪い奴が現実さえ認識できなくなったら低脳先生とか35歳で女子中学生誘拐して監禁して捕まった引きこもりみたいになる

彼らの脳内世界の「現実日本」では不労資本家たる俺様は何をしても許される社会なのだってなってるけど

現実はそうじゃない

2021-03-20

anond:20210320142922

そういう蛮行ネトウヨがうらやましがるからやめてほしいとつくづく思うわ

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