「女房」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 女房とは

2021-09-05

彼女浮気してたことがわかった感想

車で2時間くらいの距離で1年付き合った彼女

俺が30で彼女23

コンパで会った、軽そうな子なんだけどとにかく顔が好きで何度かデートしてからセックスもなんどかして、その後付き合うことになり

俺がいい年だから結婚意識してて ただとにかく軽そうだから付き合いながら色々見てた

性格はかなりさっぱりしてて 面倒くさがり

荷物持ったりとかお金払ったりとかの気遣いは上手で、すごいちょうどよく感じさせてくれた

家族仲はすごく良くて

仕事へのモチベーションはかなり低いけど要領は悪くなさそう

ただ友達が少なくて、女の子は2人だけ、男は多いっぽい

彼女から結婚したいとは半年くらいから言われていた 家族にあってみる?とも打診されて、実際母親とは軽く挨拶した ごく一般的なお家

ただそこは俺もする気はないとは言わないけどはぐらかしていて、というのも次の理由があった

現在住んでる地方都市出身とは違うところで、ここ半年地元への転職試験を受けてる

地元には帰れるなら帰りたいな、くらいの気持ちでいて(色々合理的だなと思って)きっかけがあったので受けた

この結果がわかってから結婚については打診しようと考えてた

ここはずっと自分ズルいなーと思いながら、でも正直受かる自身も無かったし、というか未だに試験途中なんだけど

ズルズル何も言わずに過ごしていた

3ヶ月くらい前から夜にセックスを断られるようになった

それでも翌日の昼とか夕方には付き合ってくれるんだけど、ほんと付き合ってくれるって感じ

俺は彼女の顔や、さっぱりした性格とか、気遣いバランス感とか、好きなところは色々あったが、特に好きな所の1つがセックスの相性で

行為特筆して上手とか、積極的だとかじゃないんだけど、声の出し方とか求めてくるタイミングとかが燃えさせてくれる子だった

仕事休みも合わないのもあって、会えるのは月に2,3回程度で、会うときは毎回楽しみにしていてたので、断られるのは結構ショックだった

それで1ヶ月前くらいにショックなんだけどって愚痴を吐いてしまって、これがきっかけの1つかもわからない

最初に書いたように浮気しそうな子だなと思ってはいたが、基本的にそぶりは見えなかった たまに会う程度での観測だけど

今回土曜日彼女の家に行くことは決まっていたので、「日曜海でも行く?」と話すと、「寒いでしょ」と返された 確かに

それが水曜日になると「一人でプール行ってきた」とプールで撮った写真が送られてきた

めちゃめちゃ可愛い

これが市営プールとかじゃない、レジャー施設プール

それを一人は流石に苦しかろうと思いつつ、特に突っ込まなかった

これはもうアピールかもしれないと思ってしまった

土曜に彼女のところに来て、ご飯を食べてピクミン3を二人でやって(めちゃめちゃおしろいのにボリューム無さすぎてびっくりした 二人して憤慨してた)

ベッドで横になると「寝るから邪魔しないでね」と一蹴された

毎回わかってるけど少し期待してるので悲しい

彼女ケータイロックをかけていない さっぱりしているにも程がある

ということでケータイ確認してみると、8月からしっかりTinderを始めていた

その上水曜はやはり地元の男友達プールに行き、この家に泊めていたようだった

ずーっと浮気しそうだなと思ってたので、ついに来たかと思った

彼女はしっかり寝息とたまにいびきかいていたので、

とりあえず証拠写真と、ライン履歴自分ケータイに送った

途中で寝息がなかったのでもしかしたら起きていたかもしれない

ついに来たかと思った俺は、色々考えてとりあえずまず眠れなくてこれを書いてる

ラインを見てるとこの地元の男にも結婚しよって送っていた

それを見たら結婚願望を突きつけられたのに具体的なゴールを示さず置いていた自分が悪い気がしてきた

「1年経っても30になる彼氏結婚のけの字も出してこないから何も考えてないか遊びで付き合ってるんだなと判断して別のルートを準備し始めている」と考えたらすごくまともなことをしてる気がする

ただ俺は俺で上記の通り俺の都合が良いように結婚について考えてたので、少なくとも結婚は無いんだろうなと思うと残念な気持ちが湧いてきて

というか俺は次の手考えてなかったからどうしようかなって気持ちだったり、少なくともも結婚は無いんだろうなと思って寂しい気持ちになっている

とにかく無理やり自分を切り替えさせないとキツいことになると思ってこれを書いてる

ただ相手をせめたい気持ちもない、逆にわかれたあとでもどういう気持だったか感想戦させてほしい

なんならプールの件含め既に相手からしても身辺整理タイミングなのかもしれない 明日カフェ行く予定だけど別れ切り出されるかもしれない

さっぱりしてる人を好きになると大変 周りの人から「姉さん女房が向いてるよ」って言われたけどほんとそのとおりだと思う

書きたいことはまだまだあるしまだ4時前なんどろうけど、一旦やめようと思う

はてな匿名ダイアリーは人気記事を読む程度だったけど、今回はありがたい場所だった ただめちゃめちゃ投稿しにくい

浮気しそうな子でも良いと思ってたし、浮気されても良いくらいに思ってて、実際浮気されてみてもそう思ってるけど

結婚してるわけじゃないからお互いのためにはならなさそう

結婚してたら20万くらい貰えるかつしっかり自分のところに戻ってくるなら許しちゃいそうだなと思ったけど、

浮気されたらまず戻ってこないよね

2021-08-28

anond:20210828081655

だいたい女房子持ちでもない俺がなぜ未来配慮してやる必要がある

そのゴールとやらに俺はいないんだから何したって勝手だろ

2021-08-27

anond:20210823213330

どうも碇シンジ女房ですこの度は夫と義父が世間の方々にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした

ホンマ勘弁してほしいわ…

2021-08-26

シンエヴァの鈴原サクラCCさくら木之本桜ナディアのイコリーナ元ネタ

シンエヴァヒロインシンジ女房アスカ公認)の鈴原サクラについての考察です。

一応ネタバレあり。


名無しからナツミサクラ

シンジ、トウジ、ケンスケが知り合うきっかけとなったキーパーソンでありながら、TV版では名前ビジュアルも設定されていなかった「トウジの妹」

2002年ゲームエヴァンゲリオン2」では鈴原ナツミとして名前が設定されましたが、

2012年の「エヴァンゲリオンQ]では鈴原サクラとして登場。名前の変更が行われました。

サクラ」という名前に変更した意図考察します。

新幹線名前統一した説

委員長こと洞木ヒカリにはコダマ、ノゾミという名の姉妹存在します。

TV版では設定だけの存在でしたが、2018年シンカリオンでは洞木三姉妹として出演しました。

シンエヴァ誕生したヒカリの娘の名前ツバメであり、新幹線名前統一されています

トウジ妹もヒカリの義妹となるため、同じく新幹線名のサクラ改名したのかもしれません。

また、今後洞木ミズホ、もしくは鈴原ミズホが登場する可能性もあります

カードキャプターさくらが由来説

鈴原サクラ木之本桜には共通点が多くあります

・兄がCV関智一鈴原トウジ木之本桃矢

・兄の親友がCV緒方恵美碇シンジ月城雪兎

・親戚にCV岩男潤子がいる(委員長大道寺知世

トウジ妹も桜と同じく兄の親友好意を抱いており、オマージュとしてサクラと名付けたのかもしれません。

元ネタ通りだと、サクラの一番好きな人シンジではなく、シンジの一番好きな人がトウジになってしまうのが難点です。

ただ、知世ちゃん桃矢のカプは個人的にアリ)

・イコリーナエッチーノ

コリーナふしぎの海のナディアに登場する看護婦です。

エヴァにはナディアオマージュが盛り込まれていますが、

サクラとイコリーナ髪型帽子エプロンなどビジュアル共通点があり、キャラクターデザイン元ネタと考えられます

また、副艦長エレクトラも恩人で家族の仇に銃を向けるエピソードがあることから元ネタの1人と言えます

この2人ですが、ナディア最終回エピローグでイコリーナ結婚エレクトラは恩人で仇の子供を産んでいます

まり本編後のサクラもそういうことだと考えられます

私の記憶ではそう映ります

2021-08-19

宮迫自分悪者になることで古い嫁を綺麗に捨てて、新たな伴侶を手に入れた。

かに宮迫の印象は悪くなり、蛍原は男をあげたのかもしれない。

だが、これだけのコンテンツ地上波で流せないことが、テレビ限界であり、泥舟であることを示している。

かにYouTubeを始めた時期は最悪だっただろう。古い仲間にとっては。

だが、それによって、ヒカルDJ社長というどう考えても今後のエンタメ界を牽引する時代の寵児を伴侶にすることに成功した。

舞台からから復帰。

しかにそれは美しい形だろう。しかし、そんなことが本当に可能なら、宮迫YouTuberになったわけがない。

亮とは違い、主犯とみなされた宮迫吉本は、否、大崎絶対に許さない。

山本10年かかった復帰。宮迫が今さら帰れるはずがない。

座して死ぬより、死地飛び込み生き延びる。

それに見事に成功した。

泥舟テレビ業界にしがみついて、何が得られるのか。

一方、YouTube時代の寵児と新たな絆を得ることで無限可能性が広がった。

宮迫にとってのみ利益があるわけではない。

新進気鋭の革命児たちにとってもオールドメディアレジェンドから歴史体感出来ることで、確実に伝統は次の世代に受け継がれた。

その伝道師であり、恩人である。その位置宮迫は独り占めすることに成功した。

将来、彼らが天下を手中にした時、

伝説芸人、唯一の恩人と称えられる地位を手にした。

あの解散報告は、古女房への最後の手向けだ。自分悪者になることで、泥舟のしがらみに向こうから離れてもらえた。

それによって、新たな世代に迎えられ、

大手を振って乗り込むことが出来る。

そのバイタリティ生き様

それが芸人だ。

その気概

それが沈みゆく国、この日本に足りないものではなかろうか。

2021-08-13

anond:20210813110156

畳屋さんに相談して新調すれば?女房と畳って昔からいうし。

今芯がプラスチックじゃない昔ながらの畳ってあるのかな。

2021-07-12

メロス激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿はなむことして迎える事になっていた。結婚式も間近かなのであるメロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺ろうやに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。「王様は、人を殺します。」「なぜ殺すのだ。」「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」「たくさんの人を殺したのか。」「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣よつぎを。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」「おどろいた。国王は乱心か。」「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」 聞いて、メロス激怒した。「呆あきれた王だ。生かして置けぬ。」 メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城はいって行った。たちまち彼は、巡邏じゅんらの警吏捕縛された。調べられて、メロスの懐中から短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。その王の顔は蒼白そうはくで、眉間みけんの皺しわは、刻み込まれたように深かった。「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。「おまえがか?」王は、憫笑びんしょうした。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁はんばくした。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息ためいきをついた。「わしだって平和を望んでいるのだが。」「なんの為の平和だ。自分地位を守る為か。」こんどはメロス嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」「だまれ、下賤げせんの者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔はりつけになってから、泣いて詫わびたって聞かぬぞ。」「ああ、王は悧巧りこうだ。自惚うぬぼれているがよい。私は、ちゃん死ぬ覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」「ばかな。」と暴君は、嗄しわがれた声で低く笑った。「とんでもない嘘うそを言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」「そうです。帰って来るのです。」メロス必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑ほくそえんだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙だまされた振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかい奴輩やつばらにうんと見せつけてやりたいものさ。「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」「なに、何をおっしゃる。」「はは。いのち大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」 メロスは口惜しく、地団駄じだんだ踏んだ。ものも言いたくなくなった。 竹馬の友セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。暴君ディオニス面前で、佳よき友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯うなずき、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌あくる日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊こんぱいの姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 妹は頬をあからめた。「うれしいか。綺麗きれいな衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから結婚式明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄ぶどうの季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺こらえ、陽気に歌をうたい、手を拍うった。メロスも、満面に喜色を湛たたえ、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分からだで、自分のものでは無い。ままならぬ事であるメロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、「おめでとう。私は疲れてしまたから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」 花嫁は、夢見心地で首肯うなずいた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」 花婿は揉もみ手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈えしゃくして、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃であるメロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞かんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若いから名誉を守れ。さらば、ふるさと若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額ひたいの汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気のんきさを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧わいた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫はんらんし、濁流滔々とうとうと下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵こっぱみじんに橋桁はしげたを跳ね飛ばしていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟けいしゅうは残らず浪に浚さらわれて影なく、渡守りの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。メロス川岸うずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮しずめたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」 濁流は、メロス叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽あおり立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロス覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻かきわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍れんびんを垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼりのぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊山賊が躍り出た。「待て。」「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」「その、いのちが欲しいのだ。」「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒こんぼうを振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙すきに、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石さすがに疲労し、折から午後の灼熱しゃくねつの太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈めまいを感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天いだてん、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代きたいの不信の人間、まさしく王の思う壺つぼだぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎なえて、もはや芋虫いもむしほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐ふてくされた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截たち割って、真紅心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺あざむいた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとうセリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだ。私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ。王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉人種だ。セリヌンティウスよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろう。正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉かな。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。 ふと耳に、潺々せんせん、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々こんこんと、何か小さく囁ささやきながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬すくって、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復かいふくと共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。 私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス、おまえの恥ではない。やはり、おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 私は、正義の士として死ぬ事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ゼウスよ。私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。 路行く人を押しのけ、跳はねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。「フィロストラトスでございます貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方かたをお助けになることは出来ません。」「いや、まだ陽は沈まぬ。」「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」 言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロス疾風の如く刑場に突入した。間に合った。「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉のどがつぶれて嗄しわがれた声が幽かすかに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれたセリヌンティウスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。メロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧かじりついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若もし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」 セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯うなずき、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑ほほえみ、「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」 メロスは腕に唸うなりをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。「ありがとう友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。 群衆の中からも、歔欷きょきの声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」 どっと群衆の間に、歓声が起った。「

anond:20210712125327

2021-07-10

野球報道ってマジで異常だよな。特に近年

大谷チームメイト知ってるやつ何人いるよ?

去年のサイヤング賞、シルバースラッガー賞知ってるやつ何人いるよ

Jのゴール裏にいるやつにメッシ知ってる?って聞いてもほぼ100%わかるしデブイネとかでも8割はわかるだろ

でも甲子園ライトスタンドにいるやつにトラウトわかる?って聞いても3割くらいしか知らないんじゃねえの

大谷ニュースはただただ大谷だけを写してて報道ですらない

昔は野茂女房役とかいってピアザとかもバンバン報道されてCMにまで出てたのに

2021-07-03

明らかな嘘

しか女房とはおしっこをかける女房という意味です。

2021-06-30

anond:20210630160604

かに、悪いイメージを持たれることが多いように思います

流れ者みたいな人も結構いました。

何故か箔をつけたかったのか、〇ンピラみたいな人で組がどうのこうのとか吹聴していた人、

女房子供がいるのに他県から女と駆け落ちしてきたおっさん

高校生時代傷害少年院にぶち込まれていた元〇衛隊員等々、

枚挙に遑が有りません。

しかし、結構真面目な方や、

進学校に進みながら家庭の事情中退せざるを得なかった人で、

努力を重ねて甲種危険物取扱者試験を一発で突破した方等、凄い人が沢山いました。

(この試験の難しさはググってみてください。私は乙種4類しか持っていません。)

2021-06-13

女房を質に入れてでも」は古くさいうえに差別感と希薄人権感覚もマシマシというわりとダメ表現なので、現代風にアップデートすべき。

旦那ガンプラメルカリで売ってでも」というのを考案したので、ぜひせっきょくてきにご活用下さい。

2021-05-05

日本中国支配された方がいい10の理由

1. 宗教の廃絶、宗教家の粛清

宗教現代社会アヘンという主張もある。

古典宗教から新興宗教まで、例外なく、廃絶される。

日本は「政治宗教の分離」という原則さえ守れていない。

まり憲法法律自分達で作っても守れない。

これはいわば野蛮人であり、見せかけの法治国家である

政治宗教混同した法治国家否定するいくつかの政党政治家は粛清される。

今の与党である自民党を巣食っているカルト

(少なくともフランスにおいてはカルト団体として認識されている)

も同様に粛清される。

2. 民主主義否定し、中央集権による強制的スピード対応

緊急事態条項なんてものがなくても、中国問題がない。

自民党がやろうとしている改憲中途半端日本中国のようにしようという目論見であるが、

初戦は付け焼き刃であり、中国四千年の歴史ある中央集権独裁によるスピードには敵わないのである

(…ごめん、四千年はウソである

スピード「感」というのは、それはやってる感を演出している、というニュアンスを含んでいる。

中国香港民主主義否定し、ちゃん弾圧を実行した。

やってる感の日本とは大違いである。

3. アソウイシハラのような他国への侮蔑暴言挑発の本場

アソウイシハラ応援する輩は中国政府を支持するべきである

他国侮辱挑発するなら中国政府を支持するべきである

しかもそれは言葉に留まらず、武力的な挑発核戦争さえも辞さな覚悟である

なぜ核戦争も辞さないと断言できるのか、といえばベトナム戦争である

ベトナム戦争北側ゲリラ戦法が勝利のカギとなった、というのはウソである

本当は中国ソ連が、アメリカが敗北を認め、ベトナムから撤退しなければ、

北アメリカ大陸への核攻撃を辞さない、という姿勢を明確に示したかである

いわばアメリカは中ソにビビってしまい、戦争終結させる妥協点を見出そうとしたが、

それさえも迷走してしまい、いわば外交の失敗でアメリカ中国に敗北した。

政治家や外交官が迷走する時間が長かったため、

その間にベトナム現地における戦争方向性がまったく放置されたため、

いわゆる戦争映画の多くに見られるような混乱した状態が続いたわけである

アソウイシハラは口が達者なだけだが、

中国ロシア政府自国利益のためなら核戦争に臆することはない。

私はこういった自国国益を最優先する姿勢評価している。

4. 神の見えざる手国家が担ってくれるためバブル崩壊はありえない

例えば中国自転車レンタルサービス起業されても大失敗してしまい、

廃棄されたレンタル自転車が山になっている写真日本で笑いものにされるが、

大量生産大量消費は未だに中国的には美徳なように思われる。

こういった大量生産大量消費のスタイル高度経済成長時代日本に見られたものと同様であり、

中国経済の安定性を表しているとも言えるし、

そもそも中国経済実質的には国がコントロール経済であって、破綻はありえないのである

日本ではもう20年近く中国経済破綻する、不動産市場崩壊するという論が唱えられてきたが、

一向にその兆しはないように思われる。

5. 面倒で3K労働少数民族アフリカ黒人がやってくれる

例えば洗濯機が1年で故障したとしても、保証間内クレームを入れれば新品と交換である

畳と女房だけでなく、あらゆる製品は修理ではなく交換が基本である

もしくはそもそも製品自体安価なのだから買い替えた方がコスパも良いのである

こういったスタイルそもそもApple製品なんかでは常識ではないだろうか。

iFixItを挙げるまでもなく、

分解や修理する権利というもの破壊するというイノベーションApple発明した。

私はかなり昔、Intel iMac使用していたが、修理しようと分解してみれば、

中には大量の両面テープが使われており、ネジやはめ込みを使うべき箇所でさえ接着剤を厭わない。

こういったAppleのようなナウでイマいヤングバカウケの設計スタイル中国では当たり前である

分解、修理できない洗濯機だろうが、安価であれば買い換えればいいのである

そして、大量に廃棄された製品は廃棄処理場で、

貧困層少数民族黒人有毒物質まみれで分解してくれるのである

ちゃんリサイクルも実現できているのである

リサイクルにかかるコストは彼らが負担してくれるのである

これにより都市鉱脈とも表現される金などは再利用されるのである

エコである

そもそもエコというのはコストがかかるものであり、それは奴隷によってしか実現できないのである

しかしながら、白人日本人はその現実から目をそらしている。

誰かがババを引かなければ実現できないのが世の常である

6. 宗教のみならず思想も統制されるがポルノには甘い

だってほとんどのポルノ思想はないからね。

ただ、AVストーリー警察不正を暴くとか、国の政治批判的な内容を含んでるとか、そういうのはアウト。

ところで、自民党政治批判ネットに書いたら削除する権限を欲しているんだけど、

これって中国政府とまったく同じだよね。

自民党応援する人は、もっと強力な中国政府を応援するべきだよね。

7. 教育に悪い漫画小説映画禁止され、教育勅語のような道徳教育強制される

親学とか、お父さんお母さんを大切にしよう、みたいな教育賞賛さえされるよ!

天皇はアウトだけど。

だって天皇宗教だし、宗教現代社会アヘンからね。

キリスト教仏教同様に神道禁止

平等だね。

8. 深センのような莫大なお金が集まりハイスピード製造業エコシステム

中国にはシリコンバレーが失った一攫千金の夢がまだあるんだよね。

そして、思い付きから品質プロトタイプ投資家から資金獲得、

書くのが面倒なので色々あって、量産、出荷までの過程がすべて一つの都市に集約されてる。

こんな技術者製造業にとって夢のようなディズニーランド世界のどこにもない。

なんか書くのが面倒になってきたぞ!

9. 科学技術をやるなら中国だよね!

貧困層犠牲にしてでも、少数民族犠牲にしてでもロケットを飛ばすぞ!

月の裏側へ!火星へ!木星へ!

フォン・ブラウンロックスミスが大好きなら中国政府を支持するよね。

ぼくは少なくとも科学技術を最重要視する姿勢中国を支持する。

これは真面目な本音の話である

自民党政治家や党員でさえ疑似科学にどっぷりハマってる人が多い昨今だからね。

10. 核兵器がある

なんか核の疲れてきた。

11. さいごに

この後に中国政府を指示しない方がいい10の理由を書くというネタだったはずなのだけど、

なんか最近疲れやすいし、ほんとに自分も遂にコロナ感染したのかもしれない。

コロナ太りしすぎたし、歯槽膿漏出血は酷いし、身体中に蕁麻疹ができることがあったり、

皮膚症状もコロナではあるらしいし、しもやけに似た症状とか全部血管に関する異常なんだよね。

失職したのでお金が尽きたら役所に行くなどして無償でフードを提供してもらえると助かるのだけど、

最短で行けそうな場所電車で数駅かかるみたいで、

まあ、日本福祉があるようでなかったりする国だから仕方がないよね。

障害者雇用とか待遇とか、酷いからもうイヤになってたところではある。

最長6年以内に台湾フィリピン中国戦争するというのがアメリカ側の主張だし、

自分もそんな感じで見積もっていたので、意見合致して寧ろちょっと自分で戸惑っていたのだけど、

まあ、俺より遥かに頭が良くて高給なアメリカ人でも、俺と同じぐらいの時間感覚だったんだ、

と思ったりもして、昨今の日本政治のアホさ加減にウンザリしてたので、

コロナで早死には上等な気もするんだよな。

死ね社会的責任とか長男長女の責任とか、この国の抑圧的な価値観から解放されるわけで、

それはそれで願ったり叶ったりなんだよな。

2021-04-24

なんか「男が優遇されてた」が既成事実みたいになってるけど

それだったら家庭内では女性優遇されてたのも事実ですよね?

俺が醤油ストックがどこに保管してあるのかわからなくて女房に聞いたら

醤油の保管場所も知らないなんて今まで何をやってきたのか。これだから男無能だ。

みたいな扱いを受けて大変傷ついたんだけど、俺は女性優遇家庭の被害者だよね。

metoo!metoo!! 俺たちは弁えない男だぞ!!

2021-04-20

anond:20210419235755

から女房と畳は新しい方がいいって言うだろ。

2021-03-28

シンジの精液をマンコに塗りたくる女(シンエヴァネタバレ感想

鈴原サクラ少尉について。

ヴンダーに戻ってきたシンジビンタしてうれし泣きをする場面と、エヴァに乗ろうとするシンジを銃撃する場面がシンエヴァでの主な見せ場ですね。


前者ではQでの悪印象が反転します。彼女の「エヴァにだけは乗らんといてくださいよ!」は序盤のおさらパートでも採用されており、Qのトラウマ発言フラッシュバックでも関西弁なのでやたら目立っていた印象。しか彼女を振り切って脱走し、フォースインパクト未遂まで起こしたシンジをうれし泣きしながら「あほあほ!」と抱きしめるサクラ

アスカの「女房か、あんたは」のツッコミで、観客も「黒波は退場して、アスカケンケンとくっついて、シンジサクラ結婚するんだな」とわかる親切仕様

アスカシンジ君身元引受書にサインさせるのってそういうことですよね。

でもシンジくんは「あれ?チョーカー付けなくていいの?」くらいの反応。カヲルと黒波を看取った男だ、面構えが違う。


あと、サクラ視点だとDSSチョーカー付けたまま出てったシンジエヴァに乗って覚醒したわけで、あの時シンジは死んだと誤解してたのかもしれません。

マリは帰艦してたけど、顛末までは知らないだろうし。

サクラチョーカーの記録から首パァンしたのは別のパイロットだと知りますが、シンジの目の前で人が死んだのに、なぜ戻ってきたのか理解できないサクラ

生きてたのはうれしいけど、エヴァに乗ってほしくないから戻ってきたのは複雑なんでしょう。シンジさんはケジメつけるために覚悟完了してるわけですけど、誰もそのことには気づいていない感じ。

チョーカーなしで対爆隔離室に保護軟禁)されるシンジ。青葉だかが放置してネルフに利用されるよりはいい、みたいなこと言ってたが、船に乗せたことでシンジエヴァに乗せるという選択肢が生まれたことは事実


この後、アスカに渡されたトウジ一家写真手紙を見てサクラがすすり泣く場面があります

ツバメが無事生まれたことを喜んでいるのかと思ったのですが、ゲンドウの最終計画を阻止できなければ死んでしま家族を想って泣いているんじゃないかともいわれており。

いずれにしろ彼女家族を想う気持ちは強く、家族ニアサーで喪った悲しみも深いものだったと推測できます


第二の見せ場、シンジへの射撃について。

食事シーンでミドリ(ピンク)が「射殺許可出てるんだからいざとなったら撃つ」

疫病神シンジ)のせいで家族殺されたのに、みんな身内に甘すぎ。艦長も信用できない。再生だって元は誰のオシッコかわからないのに、清めればすむなんてそんなわけないじゃん」的な発言をして、ヴィレクルーに窘められます。この後シンジエヴァに乗ろうとして撃たれますよ、という前フリと、シンジを許せない遺族代表としての発言ですな。

唐突なオシッコ発言のせいで某所で飲尿キャラ扱いされる風評被害を受けるわけですけど、もとは汚水なのに、なかったことにして平気で飲み干すなんておかしい!ってのは結構鋭い。そうするしかないってのは頭でわかっているとしても。

その後、サクラシンジに「何かあったら赤いボタン押して呼んでください」と電話するのを、ミドリにらむシーン。おそらくサクラミドリの相部屋ですね。

「こいつも、清めればすむと思って…!」みたいな表情してますサクラシンジの傍にいない理由や、シンジへの思いやりを示す説明パートだと思うんだけど、ミスリードと前フリも兼ねてるんですね。

ネルフ妨害のためセカンドインパクト爆心地に向かうが、冬月の計画にハマって打つ手なしのヴィレ

普通に会いに来て元部下とは普通に話すけど、息子が来たら逃げるゲンドウは見どころの一つ。

インパクト阻止のためにエヴァに乗る決意をするシンジ

当然銃を向けるミドリ

でもやっぱり撃てない。

パァン!

「碇さんはエヴァには乗りません!」

ここでミドリと観客の度肝を抜く展開。サクラシンジの足元を撃つ。そんな素振りなかったっしょ!?

シンジさんはエヴァに乗ったせいで自分も周りも不幸にしたってのは、トウジやヴィレクルーとも共通認識ですね。

でも乗らなくていいじゃなくて、力づくでもエヴァに乗せないのってのは女房特権

でもケジメのためにひるまないシンジさん。

「いいえ、サクラさん僕をエヴァに乗せてください」


「無茶言わんといてください!怪我すればエヴァに乗らんで済みますから」パァン!

2発目はミサトさんが庇って腹で受けるが、動揺しながらもまだ銃はかまえるサクラ

シンジエヴァに乗らなければ人類は滅びていた、責任はすべて自分が取る、とミサトさんが説得するが、

シンジさんは恩人で家族の仇なんや!」と激重感情吐露し、なおも撃つつもりの女房

ミドリ自分の足元を撃って「もういい!明日生きることだけを考えよう!」

銃を落とし座り込むサクラマリ騒動がひと段落したタイミングでスッと出てくるんだけど、女房発言の時にもいなかったし意図的に接点なくしてる?

「なんで艦長撃たれてんだニャ!?」くらいは聞くかもしれないけど、アスカも取り込まれてるしそんな余裕はないのかも。

この後艦長に応急処置をして、処置中の「弾は溶けますから…」発言で(溶けるから何なんだよ)という疑問を観客の心に残すが、ほぼセリフなしでフェードアウト

普通に仕事して、無事脱出します。

ケガをさせてでも止めるという鉄の意志、恩人で親の仇という愛憎の深さをさらけ出して、その後出てこないのが人気の秘密かもしれない。

あと、「明日生きることだけを考えよう」ってのはちょっと気になる。言葉通りだとシンジのことは忘れろってことじゃん…。まぁ、切り替えて今やることをやろう、ってことともとれるが。

仇なのにシンジに向けるのはほぼ恩義で、それでいて恩だけじゃないじっとりした重みがあるのもいいですね。

ここで、シンジエヴァに乗らなきゃインパクト止めれないじゃん!ってのはよく突っ込まれポイント。すでにフォースは発生してほぼ打つ手なしの状況だし。

エヴァに乗らずこのまま二人で…(BGM:甘き死よ、来たれ)ってのも考えられなくはないけど、溶ける弾と応急措置セットで助ける気はマンマンなんですよね。

その場合マリマイナス宇宙ゲンドウと追いかけっこしてもらえばなんとか阻止できるかもしれないけど。

世界より自分大事な人を優先するってのは、ニアサーシンジとか、補完計画ゲンドウと同じなんですよね。その結果結局世界愛する人も両方失うわけです。

で、今回はシンジ自身犠牲になることを選ぶ。

冬月やマリユイのおかげで結局は助かるわけですが。


サクラエンドについて。

サクラシンジへの重い感情を知った後だと、8歳の少女碇シンジ管理担当医官になるまでの14年間はいろんな意味ヘヴィーだったと想像できるわけですよ。

そう考えると一途さヤバいし、シンジ14歳のままずっと寝てたせいで、目覚めたら8歳の親友の妹が14年間自分を想い続けてた22歳に変わってるってのは恐…感動的だと思うんすよね。

あと、シンジがケガをさせた少女医官になって治療する側に回るのとか、シンジが初戦で助けた子が最終戦で引き留めるところとか、

父親和解して自分父親になるとか、サクシンエンドって色々きれいにまとまるし。





こっからサクラちゃんあん関係ないっす。

贖罪とかケジメってのはQとシンでのテーマになってるんすよね。

Qでは「槍でヤリ直す」ことですべてなかったことにしようとしたけど失敗して、カヲル君は爆死。

シンではトウジの「遺族の言葉を受け止めるのも医者のケジメや」の言葉に影響を受けて、命がけでケジメつけようとする。

ミサトさん贖罪自分からしなきゃダメみたいなこと言ってたし。

アディショナルで「過去はなかったことにしない」ことにするのは、ニアサーで生まれた縁を知ったのもあるけど、やっぱ自分の行動に責任を持つってシンジ君なりのケジメなんでしょうね。



三村一見のどか田舎だけど、実態ニアサーの遺族が集まった難民キャンプみたいなもんなんすよね。

知らん人同士の寄せ集めというところも、田舎というより都会っぽい。

やってることはバガボンド農業編なんだけど、村の住民全員吉岡一門の遺族みたいな。



あと、委員長や第三村マダム子供たちが黒波を通じてシンジを立ち直らせるとことか、他人の力で鬱から立ち直るみたいなとこもあったり。

ユーロネルフ殉死職員や加持さん特攻も、自己犠牲文脈ではあるけど利他主義でいい方向に回ってるというのもあり。

死んで花実を残すのは黒波もですね。シンジも周りに助けてもらったけどその覚悟ではあっただろうし。


駅のシーンはやっぱりまだマイナス宇宙じゃないかなぁ。じゃないとチョーカー付けてるのがおかしいし。向いのホームにチルドレンいるし。

無事第三村に帰った描写はするけどその後は映さない(自由想像してね)ってのは徹底してるし。

マリイスカリオテマリアってのはイスカリオテユダマグダラのマリアかなぁ。普通に聖母マリアかもしれないけど。

マグダラのマリアイエスの妻とも娼婦ともいわれてて、裏切り者ユダもだけど聖人だけど罪人でもあるわけで。

大学時代にそんなあだ名付けられるってどうなんだとも思うが。

2021-03-26

雑誌映画秘宝』の記憶(27)

町山智浩柳下毅一郎問題発言集】(No.06)

元『映画秘宝編集部員の秋山直斗(ナオト)さんにも不正義や不公正と一緒に闘ってもらうために、引き続き頑張ります。出典は『ファビュラス・バーカー・ボーイズ映画欠席裁判』(2002年洋泉社)、発言者を「町山」及び「柳下」と表記記述形式

   [ページ数]

   発言者発言内容

   【※】付随情報や私個人の感想など(適宜)

   (初出)

です。

 なお、問題発言だけでなく「今から見返したら『味わい深い』」と云う発言も有ります

〈警告!〉「同性愛者に対する差別発言」などの引用が含まれるため、読むと気分が悪くなる可能性が有ります

引用ここから

[p250]

 町山:そうそう、今、アメリカ放送してる『料理の鉄人』は録画だから景山民夫出てるんだよ。で、パトリック(・マシアス)に「あの目の間が離れた人は、ヘンな宗教信じたバチがあたって全裸プラモデル作ってる時に突然焼死したんだよ」って教えたら驚いてた。

【※】相変わらず、反撃してこない故人に対しては強気ですね。

(初出『映画秘宝』01年vol.22)

[p269]

 柳下:いいかげんにしないと、『未知との遭遇』のリチャード・ドレイファスみたいに女房子供に捨てられるぞ(笑)

【※】今となっては味わい深い発言

(初出『映画秘宝』01年vol.24)

[p]

【※】三池崇史監督殺し屋1』の話題

 柳下:それにしても三池崇史っていつも女性憎悪がヒドくない?

(中略)

 柳下:早めに女は始末して最後は男同士の対決。ゲイっぽい。

【※】完全に自分たちのことを棚に上げてますね。女性憎悪蔑視の点で似た者同士だからこそ、町山・柳下の『映画秘宝』界隈も三池崇史を熱烈にプッシュしていたのではないでしょうか。

(初出『映画秘宝』01年vol.25)

感想】やっと第1巻が終わりました。第2巻も手元に有るので、引き続き問題発言の紹介を続けます

今回はここまでにします。ヘイル・サタン

2021-03-22

おまたせ

多分それは一種精神病ででもあったのでしょう。郷田三郎ごうださぶろうは、どんな遊びも、どんな職業も、何をやって見ても、一向この世が面白くないのでした。

 学校を出てから――その学校とても一年に何日と勘定の出来る程しか出席しなかったのですが――彼に出来相そうな職業は、片端かたっぱしからやって見たのです、けれど、これこそ一生を捧げるに足ると思う様なものには、まだ一つも出でっくわさないのです。恐らく、彼を満足させる職業などは、この世に存在しないのかも知れません。長くて一年、短いのは一月位で、彼は職業から職業へと転々しました。そして、とうとう見切りをつけたのか、今では、もう次の職業を探すでもなく、文字通り何もしないで、面白くもない其日そのひ其日を送っているのでした。

 遊びの方もその通りでした。かるた、球突き、テニス水泳山登り、碁、将棊しょうぎ、さては各種の賭博とばくに至るまで、迚とてもここには書き切れない程の、遊戯という遊戯は一つ残らず、娯楽百科全書という様な本まで買込んで、探し廻っては試みたのですが、職業同様、これはというものもなく、彼はいつも失望させられていました。だが、この世には「女」と「酒」という、どんな人間だって一生涯飽きることのない、すばらしい快楽があるではないか諸君はきっとそう仰有おっしゃるでしょうね。ところが、我が郷田三郎は、不思議とその二つのものに対しても興味を感じないのでした。酒は体質に適しないのか、一滴も飲めませんし、女の方は、無論むろんその慾望がない訳ではなく、相当遊びなどもやっているのですが、そうかと云いって、これあるが為ために生いき甲斐がいを感じるという程には、どうしても思えないのです。

「こんな面白くない世の中に生き長ながらえているよりは、いっそ死んで了しまった方がましだ」

 ともすれば、彼はそんなことを考えました。併しかし、そんな彼にも、生命いのちを惜おしむ本能丈だけは具そなわっていたと見えて、二十五歳の今日が日まで「死ぬ死ぬ」といいながら、つい死切れずに生き長えているのでした。

 親許おやもとから月々いくらかの仕送りを受けることの出来る彼は、職業を離れても別に生活には困らないのです。一つはそういう安心が、彼をこんな気まま者にして了ったのかも知れません。そこで彼は、その仕送り金によって、せめていくらかでも面白く暮すことに腐心しました。例えば、職業遊戯と同じ様に、頻繁ひんぱんに宿所を換えて歩くことなどもその一つでした。彼は、少し大げさに云えば、東京中の下宿屋を、一軒残らず知っていました。一月か半月もいると、すぐに次の別の下宿屋へと住みかえるのです。無論その間には、放浪者の様に旅をして歩いたこともあります。或あるいは又、仙人の様に山奥へ引込んで見たこともあります。でも、都会にすみなれた彼には、迚も淋しい田舎に長くいることは出来ません。一寸ちょっと旅に出たかと思うと、いつのまにか、都会の燈火に、雑沓ざっとうに、引寄せられる様に、彼は東京へ帰ってくるのでした。そして、その度毎たびごとに下宿を換えたことは云うまでもありません。

 さて、彼が今度移ったうちは、東栄館とうえいかんという、新築したばかりの、まだ壁に湿り気のある様な、まっさら下宿屋でしたが、ここで、彼は一つのすばらしい楽たのしみを発見しました。そして、この一篇の物語は、その彼の新発見に関聯かんれんしたある殺人事件主題とするのです。が、お話をその方に進める前に、主人公郷田三郎が、素人探偵明智小五郎あけちこごろう――この名前は多分御承知の事と思います。――と知り合いになり、今まで一向気附かないでいた「犯罪」という事柄に、新しい興味を覚える様になったいきさつについて、少しばかりお話して置かねばなりません。

 二人が知り合いになったきっかけは、あるカフェで彼等が偶然一緒になり、その時同伴していた三郎の友達が、明智を知っていて紹介したことからでしたが、三郎はその時、明智の聰明そうめいらしい容貌や、話しっぷりや、身のこなしなどに、すっかり引きつけられて了って、それから屡々しばしば彼を訪ねる様になり、又時には彼の方からも三郎の下宿へ遊びにやって来る様な仲になったのです。明智の方では、ひょっとしたら、三郎の病的な性格に――一種研究材料として――興味を見出していたのかも知れませんが、三郎は明智から様々の魅力に富んだ犯罪談を聞くことを、他意なく喜んでいるのでした。

 同僚を殺害して、その死体実験室の竈かまどで灰にして了おうとした、ウェブスター博士の話、数ヶ国の言葉通暁つうぎょうし、言語学上の大発見までしたユージン・エアラム殺人罪所謂いわゆる保険魔で、同時に優れた文芸批評家であったウエーンライトの話、小児しょうにの臀肉でんにくを煎せんじて義父の癩病を治そうとした野口男三郎の話、さては、数多あまたの女を女房にしては殺して行った所謂ブルーベヤドのランドルーだとか、アームストロングなどの残虐な犯罪談、それらが退屈し切っていた郷田三郎をどんなに喜ばせたことでしょう。明智の雄弁な話しぶりを聞いていますと、それらの犯罪物語は、まるで、けばけばしい極彩色ごくさいしきの絵巻物の様に、底知れぬ魅力を以もって、三郎の眼前にまざまざと浮んで来るのでした。

 明智を知ってから二三ヶ月というものは、三郎は殆どこの世の味気なさを忘れたかと見えました。彼は様々の犯罪に関する書物を買込んで、毎日毎日それに読み耽ふけるのでした。それらの書物の中には、ポオだとかホフマンだとか、或はガボリオだとかボアゴベだとか、その外ほか色々な探偵小説なども混っていました。「アア世の中には、まだこんな面白いことがあったのか」彼は書物の最終の頁ページをとじる度毎に、ホッとため息をつきながら、そう思うのでした。そして、出来ることなら、自分も、それらの犯罪物語主人公の様な、目ざましい、けばけばしい遊戯(?)をやって見たいものだと、大それたことまで考える様になりました。

 併し、いかな三郎も、流石さすがに法律上の罪人になること丈けは、どう考えてもいやでした。彼はまだ、両親や、兄弟や、親戚知己ちきなどの悲歎や侮辱ぶじょくを無視してまで、楽しみに耽る勇気はないのです。それらの書物によりますと、どの様な巧妙な犯罪でも、必ずどっかに破綻はたんがあって、それが犯罪発覚のいと口になり、一生涯警察の眼を逃れているということは、極ごく僅わずかの例外を除いては、全く不可能の様に見えます。彼にはただそれが恐しいのでした。彼の不幸は、世の中の凡すべての事柄に興味を感じないで、事もあろうに「犯罪」に丈け、いい知れぬ魅力を覚えることでした。そして、一層の不幸は、発覚を恐れる為にその「犯罪」を行い得ないということでした。

 そこで彼は、一通り手に入る丈けの書物を読んで了うと、今度は、「犯罪」の真似事を始めました。真似事ですから無論処罰を恐れる必要はないのです。それは例えばこんなことを。

 彼はもうとっくに飽き果てていた、あの浅草あさくさに再び興味を覚える様になりました。おもちゃ箱をぶちまけて、その上から色々のあくどい絵具をたらしかけた様な浅草遊園地は、犯罪嗜好者しこうしゃに取っては、こよなき舞台でした。彼はそこへ出かけては、活動小屋活動小屋の間の、人一人漸ようやく通れる位の細い暗い路地や、共同便所の背後うしろなどにある、浅草にもこんな余裕があるのかと思われる様な、妙にガランとした空地を好んでさ迷いました。そして、犯罪者が同類通信する為ででもあるかの様に、白墨はくぼくでその辺の壁に矢の印を書いて廻まわったり、金持らしい通行人を見かけると、自分が掏摸すりにでもなった気で、どこまでもどこまでもそのあとを尾行して見たり、妙な暗号文を書いた紙切れを――それにはいつも恐ろしい殺人に関する事柄などを認したためてあるのです――公園のベンチの板の間へ挟んで置いて、樹蔭こかげに隠れて、誰かがそれを発見するのを待構えていたり、其外そのほかこれに類した様々の遊戯を行っては、独り楽むのでした。

 彼は又、屡々変装をして、町から町をさ迷い歩きました。労働者になって見たり、乞食になって見たり、学生になって見たり、色々の変装をした中でも、女装をすることが、最も彼の病癖を喜ばせました。その為には、彼は着物時計などを売り飛ばして金を作り、高価な鬘かつらだとか、女の古着だとかを買い集め、長い時間かかって好みの女姿になりますと、頭の上からすっぽりと外套がいとうを被って、夜更よふけに下宿屋の入口を出るのです。そして、適当場所外套を脱ぐと、或時あるときは淋しい公園をぶらついて見たり、或時はもうはねる時分の活動小屋へ這入はいって、態わざと男子席の方へまぎれ込んで見たり、はては、きわどい悪戯いたずらまでやって見るのです。そして、服装による一種錯覚から、さも自分が妲妃のお百だとか蟒蛇お由よしだとかいう毒婦にでもなった気持で、色々な男達を自由自在に飜弄ほんろうする有様を想像しては、喜んでいるのです。

 併し、これらの「犯罪」の真似事は、ある程度まで彼の慾望を満足させては呉れましたけれど、そして、時には一寸面白事件惹起ひきおこしなぞして、その当座は十分慰めにもなったのですけれど、真似事はどこまでも真似事で、危険がないだけに――「犯罪」の魅力は見方によってはその危険にこそあるのですから――興味も乏しく、そういつまでも彼を有頂天にさせる力はありませんでした。ものの三ヶ月もたちますと、いつとなく彼はこの楽みから遠ざかる様になりました。そして、あんなにもひきつけられていた明智との交際も、段々とうとうとしくなって行きました。

D坂

それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの中程にある、白梅軒はくばいけんという、行きつけのカフェで、冷しコーヒーを啜すすっていた。当時私は、学校を出たばかりで、まだこれという職業もなく、下宿屋にゴロゴロして本でも読んでいるか、それに飽ると、当てどもなく散歩に出て、あまり費用のかからカフェ廻りをやる位が、毎日日課だった。この白梅軒というのは、下宿から近くもあり、どこへ散歩するにも、必ずその前を通る様な位置にあったので、随したがって一番よく出入した訳であったが、私という男は悪い癖で、カフェに入るとどうも長尻ながっちりになる。それも、元来食慾の少い方なので、一つは嚢中のうちゅうの乏しいせいもあってだが、洋食一皿注文するでなく、安いコーヒーを二杯も三杯もお代りして、一時間も二時間もじっとしているのだ。そうかといって、別段、ウエトレスに思召おぼしめしがあったり、からかったりする訳ではない。まあ、下宿より何となく派手で、居心地がいいのだろう。私はその晩も、例によって、一杯の冷しコーヒーを十分もかかって飲みながら、いつもの往来に面したテーブルに陣取って、ボンヤリ窓の外を眺めていた。

 さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形きくにんぎょうの名所だった所で、狭かった通りが、市区改正で取拡げられ、何間なんげん道路かい大通になって間もなくだから、まだ大通の両側に所々空地などもあって、今よりずっと淋しかった時分の話だ。大通を越して白梅軒の丁度真向うに、一軒の古本屋がある。実は私は、先程から、そこの店先を眺めていたのだ。みすぼらしい場末ばすえの古本屋で、別段眺める程の景色でもないのだが、私には一寸ちょっと特別の興味があった。というのは、私が近頃この白梅軒で知合になった一人の妙な男があって、名前明智小五郎あけちこごろうというのだが、話をして見ると如何いかにも変り者で、それで頭がよさ相で、私の惚れ込んだことには、探偵小説なのだが、その男の幼馴染の女が今ではこの古本屋女房になっているという事を、この前、彼から聞いていたからだった。二三度本を買って覚えている所によれば、この古本屋の細君というのが、却々なかなかの美人で、どこがどういうではないが、何となく官能的に男を引きつける様な所があるのだ。彼女は夜はいつでも店番をしているのだから、今晩もいるに違いないと、店中を、といっても二間半間口の手狭てぜまな店だけれど、探して見たが、誰れもいない。いずれそのうちに出て来るのだろうと、私はじっと目で待っていたものだ。

 だが、女房は却々出て来ない。で、いい加減面倒臭くなって、隣の時計屋へ目を移そうとしている時であった。私はふと店と奥の間との境に閉めてある障子の格子戸がピッシャリ閉るのを見つけた。――その障子は、専門家の方では無窓むそうと称するもので、普通、紙をはるべき中央の部分が、こまかい縦の二重の格子になっていて、それが開閉出来るのだ――ハテ変なこともあるものだ。古本屋などというものは、万引され易い商売から、仮令たとい店に番をしていなくても、奥に人がいて、障子のすきまなどから、じっと見張っているものなのに、そのすき見の箇所を塞ふさいで了しまうとはおかしい、寒い時分なら兎とも角かく、九月になったばかりのこんな蒸し暑い晩だのに、第一あの障子が閉切ってあるのから変だ。そんな風に色々考えて見ると、古本屋奥の間に何事かあり相で、私は目を移す気にはなれなかった。

 古本屋の細君といえば、ある時、このカフェのウエトレス達が、妙な噂をしているのを聞いたことがある。何でも、銭湯で出逢うお神かみさんや娘達の棚卸たなおろしの続きらしかったが、「古本屋のお神さんは、あんな綺麗きれいな人だけれど、裸体はだかになると、身体中傷だらけだ、叩かれたり抓つねられたりした痕あとに違いないわ。別に夫婦仲が悪くもない様だのに、おかしいわねえ」すると別の女がそれを受けて喋るのだ。「あの並びの蕎麦屋そばやの旭屋あさひやのお神さんだって、よく傷をしているわ。あれもどうも叩かれた傷に違いないわ」……で、この、噂話が何を意味するか、私は深くも気に止めないで、ただ亭主が邪険なのだろう位に考えたことだが、読者諸君、それが却々そうではなかったのだ。一寸した事柄だが、この物語全体に大きな関係を持っていることが、後になって分った。

 それは兎も角、そうして、私は三十分程も同じ所を見詰めていた。虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見わきみをしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。其時、先程一寸名前の出た明智小五郎が、いつもの荒い棒縞ぼうじまの浴衣ゆかたを着て、変に肩を振る歩き方で、窓の外を通りかかった。彼は私に気づくと会釈えしゃくして中へ入って来たが、冷しコーヒーを命じて置いて、私と同じ様に窓の方を向いて、私の隣に腰をかけた。そして、私が一つの所を見詰めているのに気づくと、彼はその私の視線をたどって、同じく向うの古本屋を眺めた。しかも、不思議なことには、彼も亦また如何にも興味ありげに、少しも目をそらさないで、その方を凝視し出したのである

 私達は、そうして、申合せた様に同じ場所を眺めながら、色々の無駄話を取交した。その時私達の間にどんな話題が話されたか、今ではもう忘れてもいるし、それに、この物語には余り関係のないことだから、略するけれど、それが、犯罪探偵に関したものであったことは確かだ。試みに見本を一つ取出して見ると、

絶対発見されない犯罪というのは不可能でしょうか。僕は随分可能性があると思うのですがね。例えば、谷崎潤一郎の『途上』ですね。ああした犯罪は先ず発見されることはありませんよ。尤もっとも、あの小説では、探偵発見したことになってますけれど、あれは作者のすばらしい想像力が作り出したことですからね」と明智

「イヤ、僕はそうは思いませんよ。実際問題としてなら兎も角、理論的に云いって、探偵の出来ない犯罪なんてありませんよ。唯、現在警察に『途上』に出て来る様な偉い探偵がいない丈ですよ」と私。

 ざっとこう云った風なのだ。だが、ある瞬間、二人は云い合せた様に、黙り込んで了った。さっきから話しながらも目をそらさないでいた向うの古本屋に、ある面白い事件が発生していたのだ。

「君も気づいている様ですね」

 と私が囁くと、彼は即座に答えた。

「本泥坊でしょう。どうも変ですね。僕も此処ここへ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」

「君が来てからまだ三十分にもなりませんが、三十分に四人も、少しおかしいですね。僕は君の来る前からあすこを見ていたんですよ。一時間程前にね、あの障子があるでしょう。あれの格子の様になった所が、閉るのを見たんですが、それからずっと注意していたのです」

「家の人が出て行ったのじゃないのですか」

「それが、あの障子は一度も開かなかったのですよ。出て行ったとすれば裏口からしょうが、……三十分も人がいないなんて確かに変ですよ。どうです。行って見ようじゃありませんか」

「そうですね。家の中に別状ないとしても、外で何かあったのかも知れませんからね」

 私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。明智とても同じ思いに違いなかった。彼も少からず興奮しているのだ。

 古本屋はよくある型で、店全体土間になっていて、正面と左右に天井まで届く様な本棚を取付け、その腰の所が本を並べる為の台になっている。土間の中央には、島の様に、これも本を並べたり積上げたりする為の、長方形の台が置いてある。そして、正面の本棚の右の方が三尺許ばかりあいていて奥の部屋との通路になり、先に云った一枚の障子が立ててある。いつもは、この障子の前の半畳程の畳敷の所に、主人か、細君がチョコンと坐って番をしているのだ。

 明智と私とは、その畳敷の所まで行って、大声に呼んで見たけれど、何の返事もない。果して誰もいないらしい。私は障子を少し開けて、奥の間を覗いて見ると、中は電燈が消えて真暗だが、どうやら、人間らしいものが、部屋の隅に倒れている様子だ。不審に思ってもう一度声をかけたが、返事をしない。

「構わない、上って見ようじゃありませんか」

 そこで、二人はドカド奥の間上り込んで行った。明智の手で電燈のスイッチがひねられた。そのとたん、私達は同時に「アッ」と声を立てた。明るくなった部屋の片隅には、女の死骸が横わっているのだ。

「ここの細君ですね」やっと私が云った。「首を絞められている様ではありませんか」

 明智は側へ寄って死体を検しらべていたが、「とても蘇生そせいの見込はありませんよ。早く警察へ知らせなきゃ。僕、自動電話まで行って来ましょう。君、番をしてて下さい。近所へはまだ知らせない方がいいでしょう。手掛りを消して了ってはいけないから」

 彼はこう命令的に云い残して、半町許りの所にある自動電話へ飛んで行った。

 平常ふだんから犯罪探偵だと、議論丈は却々なかなか一人前にやってのける私だが、さて実際に打ぶっつかったのは初めてだ。手のつけ様がない。私は、ただ、まじまじと部屋の様子を眺めている外はなかった。

 部屋は一間切りの六畳で、奥の方は、右一間は幅の狭い縁側をへだてて、二坪許りの庭と便所があり、庭の向うは板塀になっている。――夏のことで、開けぱなしだから、すっかり、見通しなのだ、――左半間は開き戸で、その奥に二畳敷程の板の間があり裏口に接して狭い流し場が見え、そこの腰高障子は閉っている。向って右側は、四枚の襖が閉っていて、中は二階への階段と物入場になっているらしい。ごくありふれた安長屋の間取だ。

 死骸は、左側の壁寄りに、店の間の方を頭にして倒れている。私は、なるべく兇行当時の模様を乱すまいとして、一つは気味も悪かったので、死骸の側へ近寄らない様にしていた。でも、狭い部屋のことであり、見まいとしても、自然その方に目が行くのだ。女は荒い中形模様の湯衣ゆかたを着て、殆ど仰向きに倒れている。併し、着物が膝の上の方までまくれて、股ももがむき出しになっている位で、別に抵抗した様子はない。首の所は、よくは分らぬが、どうやら、絞しめられた痕きずが紫色になっているらしい。

 表の大通りには往来が絶えない。声高に話し合って、カラカラ日和下駄ひよりげたを引きずって行くのや、酒に酔って流行唄はやりうたをどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。何という皮肉だ。私は妙にセンティメンタルになって、呆然と佇たたずんでいた。

「すぐ来る相ですよ」

 明智が息を切って帰って来た。

「あ、そう」

 私は何だか口を利くのも大儀たいぎになっていた。二人は長い間、一言も云わないで顔を見合せていた。

 間もなく、一人の正服せいふくの警官背広の男と連立ってやって来た。正服の方は、後で知ったのだが、K警察署の司法主任で、もう一人は、その顔つきや持物でも分る様に、同じ署に属する警察医だった。私達は司法主任に、最初から事情を大略説明した。そして、私はこう附加えた。

「この明智君がカフェへ入って来た時、偶然時計を見たのですが、丁度八時半頃でしたから、この障子の格子が閉ったのは、恐らく八時頃だったと思います。その時は確か中には電燈がついてました。ですから、少くとも八時頃には、誰れか生きた人間がこの部屋にいたことは明かです」

 司法主任が私達の陳述を聞取って、手帳に書留めている間に、警察医は一応死体の検診を済ませていた。彼は私達の言葉のとぎれるのを待って云った。

絞殺ですね。手でやられたのです。これ御覧なさい。この紫色になっているのが指の痕あとです。それから、この出血しているのは爪が当った箇所ですよ。拇指おやゆびの痕が頸くびの右側についているのを見ると、右手でやったものですね。そうですね。恐らく死後一時間以上はたっていないでしょう。併し、無論もう蘇生そせいの見込はありません」

「上から押えつけたのですね」司法主任が考え考え云った。「併し、それにしては、抵抗した様子がないが……恐らく非常に急激にやったのでしょうね。ひどい力で」

 それから、彼は私達の方を向いて、この家の主人はどうしたのだと尋ねた。だが、無論私達が知っている筈はない。そこで、明智は気を利かして、隣家時計屋の主人を呼んで来た。

 司法主任時計屋の問答は大体次の様なものであった。

「主人はどこへ行ったのかね」

「ここの主人は、毎晩古本の夜店を出しに参りますんで、いつも十二時頃でなきゃ帰って参りません。ヘイ」

「どこへ夜店を出すんだね」

「よく上野うえのの広小路ひろこうじへ参ります様ですが。今晩はどこへ出ましたか、どうも手前には分り兼ねますんで。ヘイ」

「一時間ばかり前に、何か物音を聞かなかったかね」

「物音と申しますと」

「極っているじゃないか。この女が殺される時の叫び声とか、格闘の音とか……」

「別段これという物音を聞きません様でございましたが」

 そうこうする内に、近所の人達が聞伝えて集って来たのと、通りがかりの弥次馬で、古本屋の表は一杯の人だかりになった。その中に、もう一方の、隣家足袋屋たびやのお神さんがいて、時計屋に応援した。そして、彼女も何も物音を聞かなかった旨むね陳述した。

 この間、近所の人達は、協議の上、古本屋の主人の所へ使つかいを走らせた様子だった。

 そこへ、表に自動車の止る音がして、数人の人がドヤドヤと入って来た。それは警察からの急報で駈けつけた裁判所の連中と、偶然同時に到着したK警察署長、及び当時の名探偵という噂の高かった小林こばやし刑事などの一行だった。――無論これは後になって分ったことだ、というのは、私の友達に一人の司法記者があって、それがこの事件の係りの小林刑事とごく懇意こんいだったので、私は後日彼から色々と聞くことが出来たのだ。――先着の司法主任は、この人達の前で今までの模様を説明した。私達も先の陳述をもう一度繰返さねばならなかった。

「表の戸を閉めましょう」

 突然、黒いアルパカ上衣に、白ズボンという、下廻りの会社員見たいな男が、大声でどなって、さっさと戸を閉め出した。これが小林刑事だった。彼はこうして弥次馬を撃退して置いて、さて探偵にとりかかった。彼のやり方は如何にも傍若無人で、検事や署長などはまるで眼中にない様子だった。彼は始めから終りまで一人で活動した。他の人達は唯、彼の敏捷びんしょうな行動を傍観する為にやって来た見物人に過ぎない様に見えた。彼は第一死体を検べた。頸の廻りは殊に念入りにいじり廻していたが、

「この指の痕には別に特徴がありません。つまり普通人間が、右手で押えつけたという以外に何の手掛りもありません」

 と検事の方を見て云った。次に彼は一度死体を裸体にして見るといい出した。そこで、議会秘密会見たいに、傍聴者の私達は、店の間へ追出されねばならなかった。だから、その間にどういう発見があったか、よく分らないが、察する所、彼等は死人の身体に沢山の生傷のあることに注意したに相違ない。カフェのウエトレスの噂していたあれだ。

 やがて、この秘密会が解かれたけれど、私達は奥の間へ入って行くのを遠慮して、例の店の間と奥との境の畳敷の所から奥の方を覗き込んでいた。幸なことには、私達は事件発見者だったし、それに、後から明智指紋をとらねばならなかった為に、最後まで追出されずに済んだ。というよりは抑留よくりゅうされていたという方が正しいかも知れぬ。併し小林刑事活動奥の間丈に限られていた訳でなく、屋内屋外の広い範囲に亙わたっていたのだから、一つ所にじっとしていた私達に、その捜査の模様が分ろう筈がないのだが、うまい工合に、検事奥の間に陣取っていて、始終殆ど動かなかったので、刑事が出たり入ったりする毎に、一々捜査の結果を報告するのを、洩れなく聞きとることが出来た。検事はその報告に基いて、調書の材料書記に書きとめさしていた。

 先ず、死体のあった奥の間の捜索が行われたが、遺留品も、足跡も、その他探偵の目に触れる何物もなかった様子だ。ただ一つのものを除いては。

「電燈のスイッチ指紋があります」黒いエボナイトスイッチに何か白い粉をふりかけていた刑事が云った。「前後事情から考えて、電燈を消したのは犯人に相違ありません。併しこれをつけたのはあなた方のうちどちらですか」

 明智自分だと答えた。

「そうですか。あとであなた指紋をとらせて下さい。この電燈は触らない様にして、このまま取はずして持って行きましょう」

 それから刑事は二階へ上って行って暫く下りて来なかったが、下りて来るとすぐに路地を検べるのだといって出て行った。それが十分もかかったろうか、やがて、彼はまだついたままの懐中電燈を片手に、一人の男を連れて帰って来た。それは汚れたクレップシャツにカーキ色のズボンという扮装いでたちで、四十許ばかりの汚い男だ。

足跡はまるで駄目です」刑事が報告した。「この裏口の辺は、日当りが悪いせいかひどいぬかるみで、下駄の跡が滅多無性についているんだから、迚とても分りっこありません。ところで、この男ですが」と今連れて来た男を指し「これは、この裏の路地を出た所の角に店を出していたアイスクリーム屋ですが、若し犯人が裏口から逃げたとすれば、路地は一方口なんですから、必ずこの男の目についた筈です。君、もう一度私の尋ねることに答えて御覧」

 そこで、アイスクリーム屋と刑事の問答。

「今晩八時前後に、この路地を出入でいりしたものはないかね」

「一人もありませんので、日が暮れてからこっち、猫の子一匹通りませんので」アイスクリーム屋は却々要領よく答える。

「私は長らくここへ店を出させて貰ってますが、あすこは、この長屋お上さん達も、夜分は滅多に通りませんので、何分あの足場の悪い所へ持って来て、真暗なんですから

「君の店のお客で路地の中へ入ったものはないかね」

「それも御座いません。皆さん私の目の前でアイスクリームを食べて、すぐ元の方へ御帰りになりました。それはもう間違いはありません」

 さて、若しこのアイスクリーム屋の証言が信用すべきものだとすると、犯人は仮令この家の裏口から逃げたとしても、その裏口からの唯一の通路である路地は出なかったことになる。さればといって、表の方から出なかったことも、私達が白梅から見ていたのだから間違いはない。では彼は一体どうしたのであろう。小林刑事の考えによれば、これは、犯人がこの路地を取りまいている裏表二側の長屋の、どこかの家に潜伏しているか、それとも借家人の内に犯人があるのかどちらかであろう。尤も二階から屋根伝いに逃げる路はあるけれど、二階を検べた所によると、表の方の窓は取りつけの格子が嵌はまっていて少しも動かした様子はないのだし、裏の方の窓だって、この暑さでは、どこの家も二階は明けっぱなしで、中には物干で涼んでいる人もある位だから、ここから逃げるのは一寸難しい様に思われる。とこういうのだ。

 そこで臨検者達の間に、一寸捜査方針についての協議が開かれたが、結局、手分けをして近所を軒並に検べて見ることになった。といっても、裏表の長屋を合せて十一軒しかないのだから、大して面倒ではない。それと同時に家の中も再度、縁の下から天井裏まで残る隈くまなく検べられた。ところがその結果は、何の得うる処もなかったばかりでなく、却って事情を困難にして了った様に見えた。というのは、古本屋の一軒置いて隣の菓子屋の主人が、日暮れ時分からつい今し方まで屋上の物干へ出て尺八を吹いていたことが分ったが、彼は始めから終いまで、丁度古本屋の二階の窓の出来事を見逃す筈のない様な位置に坐っていたのだ。

 読者諸君事件は却々面白くなって来た。犯人はどこから入って、どこから逃げたのか、裏口からでもない、二階の窓からでもない、そして表からでは勿論ない。彼は最初から存在しなかったのか、それとも煙の様に消えて了ったのか。不思議はそればかりでない。小林刑事が、検事の前に連れて来た二人の学生が、実に妙なことを申立てたのだ。それは裏側の長屋に間借りしている、ある工業学校の生徒達で、二人共出鱈目でたらめを云う様な男とも見えぬが、それにも拘かかわらず、彼等の陳述は、この事件を益々不可解にする様な性質のものだったのである

 検事質問に対して、彼等は大体左さの様に答えた。

「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合ぐあいで男だったことは確かです」

「で、男だったという外に何か気附いた点はありませんか、背恰好とか、着物の柄とか」

「見えたのは腰から下ですから、背恰好は一寸分りませんが、着物は黒いものでした。ひょっとしたら、細い縞か絣かすりであったかも知れませんけれど。私の目には黒無地に見えました」

「僕もこの友達と一緒に本を見ていたんです」ともう一方の学生、「そして、同じ様に物音に気づいて同じ様に格子の閉るのを見ました。ですが、その男は確かに白い着物を着ていました。縞も模様もない、真白な着物です」

「それは変ではありませんか。君達の内どちらかが間違いでなけりゃ」

「決して間違いではありません」

「僕も嘘は云いません」

 この二人の学生不思議な陳述は何を意味するか、鋭敏な読者は恐らくあることに気づかれたであろう。実は、私もそれに気附いたのだ。併し、裁判所警察人達は、この点について、余りに深く考えない様子だった。

 間もなく、死人の夫の古本屋が、知らせを聞いて帰って来た。彼は古本屋らしくない、きゃしゃな、若い男だったが、細君の死骸を見ると、気の弱い性質たちと見えて、声こそ出さないけれど、涙をぼろぼろ零こぼしていた。小林刑事は、彼が落着くのを待って、質問を始めた。検事も口を添えた。だが、彼等の失望したことは、主人は全然犯人の心当りがないというのだ。彼は「これに限って、人様に怨みを受ける様なものではございません」といって泣くのだ。それに、彼が色々調べた結果、物とりの仕業でないことも確められた。そこで、主人の経歴、細君の身許みもと其他様々の取調べがあったけれど、それらは別段疑うべき点もなく、この話の筋に大した関係もないので略することにする。最後に死人の身体にある多くの生傷についてPermalink | 記事への反応(0) | 22:40

2021-03-21

anond:20210321130334

「うちの女房とおんなじ名前だ…」を思い出したり

2021-03-08

じゃあ何て呼べばいいんだよ

嫁 家の女と書く漢字から差別的

  

女房 昔の召使い呼び名差別的

  

奥さん 家の奥にいる人とという意味から差別的

  

家内 家の内にいるということで差別的

  

お母さん 私はあなたのお母さんではありません

  

妻 ツマは添え物という意味から差別的

2021-01-10

anond:20210110024256

金持ってる男にはグイグイくる押しか女房タイプも多い気がする。

寂しさも紛れるし家事もやってくれるしまぁいいかって。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん