「十里」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 十里とは

2020-04-07

拙者親方と申すはお立ち会いの中に

御存知のお方も御座りましょうが

 

江戸を発って二十里上方

相州小田原一色町をお過ぎなされて

青物町を登りへおいでなさるれば 

欄干橋虎屋藤衛門

只今は剃髪致して円斎となのります

元朝より大晦日まで

お手に入れます

此の薬は

昔ちんの国の唐人

外郎という人

我が朝へ来たり

帝へ参内の折から

この薬を深く籠め置き

用ゆる時は一粒ずつ

冠のすき間より

取り出す

依ってその名を

帝より

とうちんこうと賜る

即ち文字には 

「頂き、透く、香い」

と書いて

「とうちんこう」

と申す

只今は

この薬

殊の外世上に弘まり

方々に似看板を出し

イヤ小田原の灰俵の

さん俵の炭俵のと

色々に申せども

平仮名をもって

ういろう

と記せしは

親方円斎ばかり

もしやお立ち会いの中に

熱海塔ノ沢湯治

お出でなさるるか

又は伊勢参宮の折から

必ず門違いなされまするな

お登りならば右の方

下りなれば左側

八方が八棟

表が三棟玉堂造り 

破風には

菊に桐のとうの

御紋を御赦免あって

系図正しき薬でござる

イヤ最前より

家名の自慢ばかりを

申しても

御存知ない方には

正身の胡椒の丸呑み

白河夜船

さらば一粒食べかけて

その気見合い

お目にかけましょう

先ずこの薬をかように

一粒舌の上にのせまして

腹内へ納めますると

イヤどうも云えぬは

胃、心、肺、肝が

すこやかになりて

薫風喉より

来たり口中微涼を生ずるが如し

魚鳥、茸、麺類の食合わせ、

其の他、万病速効ある事

神の如し 

 さて、この薬、

第一の奇妙には

 舌のまわることが、

ゴマがはだしで逃げる

 ひょっと舌がまわり出すと、

矢も盾もたまらぬじゃ 

 そりゃそら、そらそりゃ

まわってきたわ、

まわってくるわ 

 アワヤ咽

さたらな舌にカ牙サ歯音、

 ハマの二つは

唇の軽重 開合さわやかに

 あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを 

 一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ 

 盆まめ、盆米、盆ごぼう、摘立、摘豆、つみ山椒

書写山社僧正、

粉米のなまがみ、

粉米のなまがみ、

こん粉米の小生がみ 

繻子ひじゅす、

繻子、繻珍、 

親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、

親かへい子かへい、

子かへい親かへい 

古栗の木の古切口

合羽か、番合羽か、

貴様のきゃはんも皮脚絆、

我等がきゃはんも皮脚絆 

しっかわ袴のしっぽころびを、

三針はりなかにちょと縫うて、

ぬうてちょとぶんだせ 

かわら撫子

野石竹

のら如来

のら如来

三のら如来

六のら如来

一寸先のお小仏におけつまずきゃるな

細溝にどじょにょろり

京のなま鱈奈良なま学鰹

ちょと四五貫目

お茶立ちょ茶立ちょ

ちゃっと立ちょ

茶立ちょ

青竹茶せんで

お茶ちゃと立ちゃ

来るは来るは何が来る

高野の山のおこけら小僧

狸百匹

箸百膳

天目百杯

棒八百本

武具

馬具

ぶぐ

ばぐ

三ぶぐばぐ

合わせて武具

馬具

六ぶぐばぐ

きく

くり

三菊栗

合わせて菊栗

六菊栗

ごみ

むぎ

ごみ

三むぎごみ

合わせてむぎ

ごみ

六むぎごみ

あの長押の長薙刀

誰が長押の長薙刀

 

向こうのごまがらは

えのごまがらか

あれこそほんの真胡麻殻 

がらぴい

がらぴい風車 

おきゃがれこぼし

おきゃがれ小坊師

ゆんべもこぼして又こぼした

 

たあぷぽぽ

たあぷぽぽ

ちりから

ちりから

つったっぽ 

たっぽたっぽの一丁だこ、 

落ちたら煮て食お

煮ても焼いても食われぬもの

五徳

鉄きゅう

かな熊童子

石熊

石持

虎熊

虎きす 

中にも

東寺羅生門には

茨城童子

うで栗五合

つかんでおむしゃる

 

かの頼光のひざもと去らず

きんかん

椎茸

定めて後段な

そば切り

そうめん

うどん

愚鈍な子新発地

小棚の

小下の

小桶に

味噌

こ有るぞ、

小杓子

こ持って

こすくって

こよこせ

おっと合点だ

心得たんぼの川崎

神奈川

程ヶ谷

戸塚

走って行けば 

やいとを摺りむく

三里ばかりか

藤沢

平塚

大磯がしや 

小磯の宿を七つ起きして 

早天早々

相州小田原とうちん香 

隠れござらぬ

貴賤群衆の花のお江戸の花ういろう

あれあの花を見てお心をおやわらぎやという

産子

這子に至るまで

この外郎のご評判

ご存じないとは申されまいまいつぶり

角出せ

棒出せ

ぼうぼうまゆに

すりばち

ばちばち

ぐわらぐわらぐわらと

羽目をはずして

今日お出でのいずれも様に

上げねばならぬ

売らねばならぬと息せい引っぱり

東方世界の薬の元締め

薬師如来も照覧あれと

ホホ敬って

ういろう

いらっしゃりませぬか

2018-08-16

anond:20180816121619

 メロス激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿はなむことして迎える事になっていた。結婚式も間近かなのであるメロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺ろうやに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

2018-07-11

増水時にダム洪水吐きを解放するのは当たり前

愛媛県内を流れる肘川の野村ダムの緊急放流が批判されている。

ダムが放水を続けたか下流沿いに死者が出たからだ。

もしダムの放流を止めてしまったら、最悪の場合ダム決壊することもありえる。

2015年9月の茨城県常総市鬼怒川決壊事件の時もそうだった。

鬼怒川の上流には治水目的川治ダム五十里ダムがある。

9月9日からの24時間雨量として10日の朝までに栃木県日光市十里での積算降水量は551,0ミリ

まりは、川治ダム五十里ダムも満水で決壊寸前だったわけである

下流常総市堤防決壊したという情報が入っても、川治ダム五十里ダムは放流を止めることは出来なかった。

もし止めたら、2ダム決壊する恐れもあったから。

ダム決壊リスクと、堤防決壊による被害リスク、どちらをとるかの天秤の問題である

2018-04-29

msdbkm氏が昨日の20時を境にブクマしてない理由を考えてみた

msdbkmは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のcluster.を除かなければならぬと決意した。msdbkmにはネットワークがわからぬ。msdbkmは、村のファーストブックマーカーであるブコメを書き、猫と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明msdbkmは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このcluster.の市にやって来た。

もしそうだったら大変なので、セリヌンティウス役を募集します。

2016-12-29

走れマリオ

 マリオ激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。

 マリオには政治がわからぬ。マリオは、京の土管である。茸を食べ、花を摘んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明マリオは京を出発し、野を越え山越え、二千百九十里はなれた此のサンフランシスコの市にやって来た。

 マリオには父はあるが、母は無い。女房も無い。歳の同じ、内気な弟と二人暮しだ。この弟は、サラサランドの或る律気な一姫君を、近々、花嫁として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのであるマリオは、それゆえ、花婿の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。

 先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。マリオには竹馬の友があった。キノピオである。今は此のサンフランシスコの市で、探検家をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである

 歩いているうちにマリオは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなマリオも、だんだん不安になって来た。

 路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。マリオは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

王様は、嫌がらせします。」

「なぜ嫌がらせをするのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの嫌がらせをしたのか。」

はい、はじめはスーパーマリオブラザーズで。それからスーパーマリオブラザーズ2で。それからスーパーマリオブラザーズ3で。それからスーパーマリオワールドで。それからヨッシーのロードハンティングで。それからスーパーマリオヨッシーアイランドで。挙げればきりがありません。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。キノコ王国ピーチ姫結婚したいだけだ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、嫌がらせされます。きょうは、六人嫌がらせされました。」

 聞いて、マリオ激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」

 マリオは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城はいって行った。たちまち彼は、巡邏のヘイホー捕縛された。調べられて、マリオの懐中からは花が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。マリオは、王の前に引き出された。

「この花で何をするつもりであったか。言え!」暴君クッパは静かに、けれども威厳を以って問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。

「市を暴君の手から救うのだ。」とマリオは悪びれずに答えた。

「おまえがか?」王は、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」

「言うな!」とマリオは、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって平和を望んでいるのだが。」

「なんの為の平和だ。自分地位を守る為か。」こんどはマリオ嘲笑した。「罪の無い人に嫌がらせをして、何が平和だ。」

「だまれ、下賤の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」

「ああ、王は悧巧だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬ覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、マリオは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の弟に、女房を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は京で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」

「ばかな。」と暴君は、嗄れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」

「そうです。帰って来るのです。」マリオ必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。弟が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にキノピオという探検家がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を煮るなり焼くなり好きにして下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に嫌がらせしてやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を大砲飛ばしの刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかい奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りに、きっと嫌がらせしてやるぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」

「なに、何をおっしゃる。」

「はは。いのち大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

 マリオは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。

 竹馬の友キノピオは、深夜、王城に召された。暴君クッパ面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。マリオは、友に一切の事情を語った。キノピオは無言で首肯き、マリオをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。キノピオは、縄打たれた。マリオは、すぐに出発した。初秋、満天の星である

2016-02-23

http://anond.hatelabo.jp/20160223152452

彼らは走るべき。

 メロス激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのであるメロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

王様は、人を殺します。」

「なぜ殺すのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの人を殺したのか。」

はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」

 聞いて、メロス激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」

 メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城はいって行った。たちまち彼は、巡邏の警吏捕縛された。調べられて、メロスの懐中から短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。

「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。

「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。

「おまえがか?」王は、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」

「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって平和を望んでいるのだが。」

「なんの為の平和だ。自分地位を守る為か。」こんどはメロス嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」

2014-07-08

果て無村の、きみょうな、じけん



村の自称青年運動家斎藤蔵太(32歳、仮名)が村の南西の端を流れる果て無川で、水死体となって発見された。

死体には目立った外傷はなく、入水自殺の可能性も考えられる、と警察は発表した。村の者たちに対する聞き込みなども行われたが、詳しい者はおらず、またどうも皆口を閉ざしている様子で、真相は闇の中であった。唯一、村の事情通自称する猫ババが、斎藤は村の若い女たちに、ハレエ彗星の欠片と称するものをばらまき、その見返りに何かを求めていた、という曖昧証言をしたが、この村はずれに住む猫ババは、普段から揉め事ばかり起こす人物であり、その信憑性についてはやや疑問が残るものとして扱われた。実際、村の女たちは誰一人として、斎藤蔵太との関係を認めなかった。こうして事件はうやむやなまま自殺ということで片付けられそうになったが、ある一人の若い警官斎藤の生誕地である隣村に聞き込みに行ったところ、次のような事実が判明した。

斎藤蔵太は、隣村(大東村)の小さな農家の倅だったが、かねてから大根育てて一生を終えるようなタマじゃない、と周りに吹聴していた。どうも、家の手伝いをせずに左翼活動に熱中していたらしい。30歳をこえ、そろそろ家を継ぎ、身を固めた方がいいと周りが説得しだしたのは最近だが、それがきっかけで隣村を飛び出し、今の果て無村に居着いたようだ。

果て無村では、山奥にポツンと建っている、ある変わり者の未亡人の家に居着いていたということも同時に判明したが、その未亡人も、いつの間にかいなくなっており、行方はわかっていない。

家には何も残っていなかったが、家の二階の奥に異様な雰囲気の部屋が見つかった。人のものと思われる糞尿が、辺り一面にこびりつき、天井までも汚れていた。また、解体された、林業用の電動の伐採機が見つかった。これも非常に汚れていたが、歯の部分だけは、綺麗に拭き取った跡があった。

その後、大きな発見はなく、事件は忘れられていったが、一年を過ぎた頃、果て無村から十里ほど離れた場所にある憑い堕町にて、件の未亡人が、餓死しているのが発見された。果て無村まで伝わってきた情報では、数人の若い女衆と共に断食を含む宗教的儀式を行っていたようだ。真偽は不明だが、流れ星信仰し、祈祷の一環として、自分の身から出たものだけで生きる、という奇っ怪な修行を行っていたとの噂もあるようだ。

以上が、この事件に関する世に知られた情報である

その年の暮れ、非常に大きな流れ星が見られ、村じゅうの話題となったが、事件との関連性を取り沙汰するものは少なかった。

(この物語フィクションであり、実在の人物、団体等とは一切関係はありません。)

2014-05-06

走れ増田

増田激怒した。必ず、かの邪智暴虐の増田を除かなければならぬと決意した。増田には政治がわからぬ。増田は、村の増田である。笛を吹き、増田と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、増田一倍に敏感であった。きょう未明増田は村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此の益田の市にやって来た。増田には父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な増田と二人暮しだ。この増田は、村の或る律気な一増田を、近々、増田として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである増田は、それゆえ、増田の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる益田にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから益田の大路をぶらぶら歩いた。増田には竹馬増田があった。増田である。今は此の益田の市で、増田をしている。その増田を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちに増田は、益田の様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、益田の暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、益田全体が、やけに寂しい。のんきな増田も、だんだん不安になって来た。路で逢った若い増田をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の益田に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、益田は賑やかであった筈だが、と質問した。若い増田は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて増田に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。増田は答えなかった。増田は両手で増田からだをゆすぶって質問を重ねた。増田は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

増田様は、増田を殺します。」

「なぜ殺すのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、増田もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの増田を殺したのか。」

はい、はじめは増田様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから皇后さまを。それから、賢臣の増田様を。」

「おどろいた。増田は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。増田を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、増田の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている増田には、増田ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六増田殺されました。」

聞いて、増田激怒した。「呆れた増田だ。生かして置けぬ。」

2012-06-05

足利忠綱

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%88%A9%E5%BF%A0%E7%B6%B1

吾妻鏡』によれば、忠綱を形容して「末代無双勇士なり。三事人に越えるなり。所謂一にその力百人に対すなり。二にその声十里に響くなり。三にその歯一寸なり」と記している。

何この三段オチ

2009-10-24

走れタダゲ厨

タダゲ厨は激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の運営を除かなければならぬと決意した。タダゲ厨にはネットがわからぬ。タダゲ厨は、モバゲー村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども課金に対しては、人一倍に敏感であった。

きょう未明タダゲ厨は村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のミクシィサンシャイン牧場にやって来た。タダゲ厨には金も、学も無い。彼女も無い。十六の、内気な妹と二人ギルドだ。

この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。タダゲ厨は、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。

先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。タダゲ厨には竹馬マイミクがあった。セリヌンティウスである。今は此のミクシィコミュニティで、管理者をしている。そのマイミクを、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

歩いているうちにタダゲ厨は、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなタダゲ厨も、だんだん不安になって来た。

路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此のミクシィに来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。

しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。タダゲ厨は両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「運営は、アプリ課金します。」

「なぜ課金するのだ。」

サービスの質を高める、というのですが、誰もそんな、質を求めては居りませぬ。」

「たくさんのアプリ課金したのか。」

「はい、はじめはセルフィちゃんねるを。それからサンシャイン牧場を。それから、RockYou! スピードレーシングを。」

「おどろいた。運営は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。サーバーを、維持する事が出来ぬ、というのです。このごろは、ユーザーの心をも、お疑いになり、少しく派手な書き込みをしている者には、書き込みを削除するよう命じて居ります。御命令を拒めば審査にかけられて、アカウントロックされます。きょうは、六人ロックされました。」

 聞いて、タダゲ厨は激怒した。「呆(あき)れた運営だ。生かして置けぬ。」

 タダゲ厨は、単純な男であった。IPを、さらしたままで、のそのそ田代砲をしかけていった。たちまち彼は、巡邏(じゅんら)の警吏に捕縛された。調べられて、タダゲ厨の懐中からはXSSが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。タダゲ厨は、運営の前に引き出された。

「このXSSで何をするつもりであったか。言え!」運営は静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。その運営の顔は蒼白(そうはく)で、眉間(みけん)の皺(しわ)は、刻み込まれたように深かった。

ミクシィを暴君の手から救うのだ。」とタダゲ厨は悪びれずに答えた。

「おまえがか?」運営は、憫笑(びんしょう)した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの苦労がわからぬ。」

「言うな!」とタダゲ厨は、いきり立って反駁(はんばく)した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。運営は、ユーザーの忠誠をさえ疑って居られる。」

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。ユーザーの心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」

「なんの為の平和だ。自分収入を守る為か。」こんどはタダゲ厨が嘲笑した。「罪の無いユーザーをバンして、何が平和だ。」

「だまれ、下賤(げせん)の者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、アカウントロックになってから、泣いて詫(わ)びたって聞かぬぞ。」

「ああ、運営は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。私は、ちゃんとバンされる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、タダゲ厨は足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、バンまでに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私はギルド結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」

「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」

「そうです。帰って来るのです。」タダゲ厨は必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスというユーザーがいます。私の無二のマイミクだ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あのマイミクをバンして下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙(だま)された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目にバンしてやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男をアカウントロックに処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩(やつばら)にうんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっとバンするぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」

「なに、何をおっしゃる。」

「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

 タダゲ厨は口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。ものも言いたくなくなった。

 竹馬マイミクセリヌンティウスは、深夜、運営に召された。運営の面前で、佳(よ)きマイミクと佳きマイミクは、二年ぶりで相逢うた。タダゲ厨は、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯(うなず)き、タダゲ厨をひしと抱きしめた。マイミクマイミクの間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。タダゲ厨は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。


あ き た

2009-08-17

 ばななは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の店長を除かなければならぬと決意した。ばななには経営がわからぬ。ばななは、村の物書きである。ほらを吹き、羊と遊んで暮して来た。けれどもサービスに対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明ばななは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)の居酒屋にやって来た。ばななには父も、母も無い。女房も無い。一時帰国していた友だちと二人暮しだ。この友だちは、もう当分の間外国に住むことが決定していた。送別会もかねていたのである。ばななは、それゆえ、ビールやらおつまみやらを買いに、はるばる居酒屋にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それからヨーロッパみやげのデザートワインを開けた。コルク用の栓抜きはないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。歩いているうちにばななは、居酒屋の様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、居酒屋の暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、居酒屋全体が、やけに寂しい。のんきなばななも、だんだん不安になって来た。ちなみにお客さんは私たちしかいなかったし、閉店まであと二時間という感じであった。路で逢った若い衆をつかまえて、グラスをわけてくれる?いいときの日本は、夜でも皆が歌をうたって、賑やかであった筈(はず)だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて、気のいいバイト女の子に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。気のいいバイト女の子ビールグラスを余分に出してくれた。ばななは両手で気のいいバイト女の子のからだをゆすぶって質問を重ねた。気のいいバイト女の子は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

店長は、客を説教します。」

「なぜ説教するのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの客を説教したのか。」

「はい、こういうことをしてもらったら困る、ここはお店である、などなど。」

「おどろいた。店長は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。客を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、バイトの心をも、お疑いになり、御命令を拒めば説教にかけられて、叱られます。きょうは、六人叱られました。」

 聞いて、ばななは激怒した。「呆(あき)れた店長だ。生かして置けぬ。」

 ばななは、単純な男であった。それであまりおおっぴらに飲んではいけないから、こそこそと開けて小さく乾杯をして、一本のワインを七人でちょっとずつ味見していたわけだ。たちまち彼は、どう考えても年下の若者に捕縛された。調べられて、ばななの懐中からはデザートワインが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。ばななは、店長の前に引き出された。

「このデザートワインで何をするつもりであったか。言え!」店長は静かに、けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。ばかみたいにまじめな顔でだ。

「どうしてもだめでしょうか?いくらかお金もお支払いしますから……」とばななは悪びれずに答えた。

「おまえがか?」店長は、憫笑(びんしょう)した。「仕方の無いやつじゃ。こういうことを一度許してしまいますと、きりがなくなるのです。」

「いったい何のきりなのかよくわからない!」とばななは、いきり立って反駁(はんばく)した。「客の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。店長は、バイトの忠誠をさえ疑って居られる。」

「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。客の心は、あてにならない。場所はいいのにお客さんがつかない。信じては、ならぬ。」店長は落着いて呟(つぶや)き、ほっと溜息(ためいき)をついた。「わしだって、もうけを望んでいるのだが。」

「なんの為のもうけだ。自分の地位を守る為か。」こんどはばななが嘲笑した。「罪の無い客を説教して、何がもうけだ。」

「だまれ、下賤(げせん)の者。」店長は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに不況になってから、もっと自然食をうちだしたおつまみにしてみたって聞かぬぞ。」

「ああ、店長は悧巧(りこう)だ。自惚(うぬぼ)れているがよい。無難無難に中間を行こうとしてみんな失敗するのだ。ただ、――」と言いかけて、ばななは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、もしも店長がもうちょっと頭がよかったら、みながそれぞれの仕事のうえでかなりの人脈を持っているということがわかるはずだ。三日のうちに、私はちょっと異様な年齢層やルックスや話し方をする大勢のお客さんを連れて、必ず、ここへ帰って来ます。」

「ばかな。」と店長は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。「とんでもない嘘(うそ)を言うわい。逃がした客が帰って来るというのか。」

「そうです。帰って来るのです。」ばななは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。それが成功する人のつかみというものだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、ここに三十四歳の男の子がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

 それを聞いて店長は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。居酒屋土曜日の夜中の一時に客がゼロ、という状況はけっこう深刻である。

「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの持ち込みは、永遠にゆるしてやろうぞ。」

「なに、何をおっしゃる。」

「はは。持ち込みが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

 ばななは口惜しく、地団駄(じだんだ)踏んだ。ものも言いたくなくなった。

 竹馬の友、三十四歳の男の子は、深夜、居酒屋に召された。店長の面前で、佳(よ)き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。ばななは、友にいちおう事情を言った。人にはいろいろな事情があるものだ。三十四歳の男の子が「まあ、当然といえば当然か」とつぶやいたのが気になった。そうか、この世代はもうそういうことに慣れているんだなあ、と思ったのだ。みな怒るでもなくお会計をして店を出た。そして道ばたで楽しく回し飲みをしてしゃべった。初夏、満天の星である。

 というわけで、いつのまに東京居酒屋は役所になってしまったのだろう? と思いつつ、二度とは行かないということで、ばななたちには痛くもかゆくもなく丸く収まった問題だった。

 これが、ようするに、都会のチェーン店で起こっていることの縮図である。

http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20090808

http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1567_14913.html

2008-03-11

「[a-z]!」とメロスは、いきり立って反駁した。

 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスにはITがわからぬ。メロスは、はてな村増田である。日記を書き、ブクマで遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のlivedoor Blogの市にやって来た。

(中略)

老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

王様は、人をdisります。」

「なぜdisるのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの人をdisったのか。」

「はい、はじめはid:sync_syncさまを。それから、id:reponを。それから、id:kagamiを。それから、それから…。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、読者の心をも、お疑いになり、少しく派手なトラバをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば名指しでブログに書かれ、disられます。きょうは、六人disられました。」

 聞いて、メロスは激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」



                                       …続きますん!

 
アーカイブ ヘルプ
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん