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はてなキーワード: 素振りとは

2024-11-19

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エージェント戦闘情報:ライト | ゼンレスゾーンゼロ

もうパンチの音なのかバスドラムの音なのか分からなくて草

いや好きだよライトいいキャラだと思うけどさあ、明日にはチャスカと孫くるし…ここんとこ目玉キャララッシュで厳しいわ

まあ原神はver後半復刻だから流せるし良いんだよ、スタレがヤバいサンデー新停雲そして大ヘルタが控えてるって発表が今日あったところだな、どれも取り逃がしたくねー

限定調和は全員持ってるしサンデーは見送れなくもないが…マダムヘルタとシナジーある可能性あるよな…ぐぬぬ

ゼンゼロも次verに神枠に相当するであろう虚狩り枠?の雅が控えてるしスルーはあり得ない

3rd絶対逃せないコラボ花火が来る、しか本家より可愛い、開発側から愉悦ムーブかましてくる有り様

まぁーどのゲーム経験則的には月額+2倍石までの課金でも無凸無餅に徹してverコンテンツから掘れる石取り尽くしてればほぼ全キャラ確保までは賄えると分かってはいるけどさ

畳み掛けてこられると戦慄するもんがあるよね、手持ちが空っぽ状態からだと1キャラ2万円ってのは…

まあ確率ゆるい国産ソシャゲ天井8万よりは精神ダメージないけど2万でも普通に高い…

いや6週間おきにこんだけのクオリティのもんをワイワイしながら4作遊べてる時点で買い切り2本分以上の喜びはあるかと自分を納得させていく素振りはしておこう

ただこんだけ目玉ラッシュが来てて女性キャラが多くても強キャラはだいたいクールな麗人系か

素直に可愛い感じの見た目のキャラ花火だけってのは面白い

見た目に反して可愛いって意味では孫か、ダイスレイヴさえ絆される孫パワー強いな

でも使い方はだいぶ難しそう…現状雷キャラは激化を混ぜないとパワー不足感が否めないが感電と激化の両立はきついしね

シュヴルーズみたいに過負荷軸にすればバフ配れるってことならまだしもオロルンは感電を維持してれば自身が裏火力を出せるってだけみたいだ

ただ追撃が主力っぽい性質上、裟羅もベネも合わなそうで攻撃力バフが不足しそう、杯攻撃力か?

結局のところオロルンは、フィッシュルの派生形としての立ち位置で、フィッシュルと違い表キャラが通常振らなくてよく、範囲に優れる雷サブアタなんだろう

感電と相性いいのは拡散から、通常をあまり振らない風メインアタッカーとなると、魈…はもう完成形ぽいからチャスカとペアになるんだろうな

ざっと中国の先行みた感じチャスカに関してもベネットフリーナがほぼ固定であと1枠が八重オロルンディオナ申鶴あたりから選択になる感じのようだ

感電拡散と言えばいにしえの感電スクロースだけど、フィッシュ代用としては…絵巻のおかげでギリ超えるくらいかな?

感電で組むなら水はサブアタならフリーナが安定だろうしメインならヌヴィレットと組めそうで、フリーナを他PTに回す時にシロネン万葉オロルンヌって感じでは入りそう

綾人やタルは通常振るからフィッシュルでも良さそうだけどやっぱり絵巻バフと、爆発使ってオズ維持しないといけないフィッシュルと違い15秒ごとのスキルで追撃維持できるのは使いやすそう

ぬーん

まあ取らぬ狸の皮算用だな

2024-11-16

メンタルカウンセラー大谷翔平の話しかしない

最近メンタルカウンセリングを受け始めたけど、毎回毎回、カウンセラー大谷翔平の話しかしない。本当にイライラしてる。

最初セッションから、「あなたは今、精神的に辛い状況にいるけど、大谷翔平を見習うといいよ。彼みたいに冷静に、強いメンタルを持っていれば、どんな困難にも立ち向かえるから」って言われて、正直、そんな話、聞きたくなかった。

でも、それからも毎回、毎回、大谷翔平の話しかしてこない。例えば、先週は「大谷翔平打席に立ってる時の集中力ってすごいよね。あのプレッシャーを感じながらホームランを打つメンタルの強さを見習うべきだよ」って言われたけど、私、そんなプレッシャーも感じる余裕がない。学校にも行けないし、毎日不安でいっぱいなのに、ホームランを打てるようなメンタルなんて持てるわけない。

そして、昨日のセッションでは「大谷翔平二刀流ピッチャーバッターもこなしてるからあなたも多方面活躍できるように頑張ってみて」って言われて、二刀流って…それ、私の問題とどう関係あるの!? こっちは毎日学校に行けなくて、どんなふうに前に進んでいいのかすら分からない状態なのに、二刀流とか、野球の話をされても全然共感できない。

しかも、毎回、大谷翔平の話が進むと、まるで私が「大谷翔平のようにならないとダメだ」ってプレッシャーをかけられてる気がして、余計に辛くなる。昨日なんて、「大谷翔平ホームランを打つために毎日何百球も素振りしてるんだよ。あなたも何かに集中して努力しないとダメだ」って言われて、私、今、学校に行けなくて家にいるだけでも辛いのに、そんなこと言われても何もできないよ…。

もう、カウンセリングに行くのが嫌で仕方ない。大谷翔平の話ばっかりされるのは、本当にうんざり。私はただ、自分気持ち理解してくれる人を求めてるだけなのに、どうしてこんなに野球の話ばかりされなきゃいけないんだろう。

次回のセッション、もう行きたくないけど、でもどこかで変わらなきゃって思う自分もいて…でも、もしま大谷翔平の話ばかりされたら、もう本当に限界かもしれない。

うちのパソコンウィンドウズ2000

で、流石に限界が来たのか最近動かなくなることが多くなってきた。

そこでパソコンを買い替えることにした。

だが俺はそういったことに疎く、なので店員が勧めるパソコンをそのまま購入することにした。

で、購入の際には「セキュリティソフトつけますか?」と聞いてくるわけだ。

正直その辺りのこともよく分かってないので「そういったことは全然よく知らないんですが、入れないと駄目なんですか?」と尋ねた。

すると店員は少し考える素振りを見せてからこう言った。

セキュリティを入れずにインターネットをするのは、かわいい処女女の子全裸で夜のスラム街を歩くようなものです」

なるほど、と俺は言った。

結局セキュリティソフトは入れなかった。

その日の夜から毎夜毎夜、俺は全裸パソコンの前に待機し、かわいい処女女の子全裸で歩いて来るのを待っている。

朝六時になると妻は素振りを始める

妻は毎朝六時になると素振りを始める。

気付いたときにはリビングの端に、見たこともないバットが一本壁に立てかけてあった。

新品のバット

きっかけはバッティングセンターに行ったことらしい。

初めてのバッティングセンターはとても緊張したらしく、それでも非常に楽しかったのだと言っていた。

上手く打てなかったんだよね、でも一球だけ打てたの!と妻は嬉しそうに話した。

とっても気持ちよかった、と妻。

それ以来、妻は朝になると素振りをする。

ブン、ブン、ブン、とリビングで鋭い音を立てる。

その音を、寝室にいる俺は耳にする。

猫は怯え、俺の傍から離れない。

バットが握りにくいから、と妻は指輪を外している。

シンクには洗っていない食器が山積みだ。

ブン、ブン、ブン、と鋭いスイングの音が聞こえてくる。

あのバットは、いったい何を打とうとしているのだろうか

痛いオタク友達やめる



(注)えげつない長文です


オタクの中でもイタタタなオタクは、

なぜか自分のことを何倍も何倍もよくしたセルフイメージに取り憑かれてることが多い。

成人式スーツを着れば、

ホストみたいっていわれたww」とか絶対誰にも言われてないであろうただのチーの者とか…

緑のインナーカラーピアスを一つ開けただけで、

「やばwww反社かもww」と騒ぎ出す垢まみれ芋女とか……

自己愛が強すぎるというかなんというか、自分妄想に取り憑かれるがあまり自己認識を改変してるオタクの痛々しさよ……

「まあ、どこかしらで自分のイタさに気づいて社会生活に溶け込むようになるのが大半だろ」と普通思うよね?

でも、その自己愛強めの痛々しい言動が治らなかったのが30代の私の友達である

かれこれ長い付き合いの友達だが、最近はもう、イタイを超えて、【ヤバい言動が増えた。

最近はもうフェードアウトして関係を終わらせることを考えているほどである

キャラ=自分という認識が強く、言動矛盾する

彼女はとにかく、セルフイメージがすごい。

女子ということもあり、自分が作った推し恋愛する時用の女キャラの設定がそのまま自分であると誤認識している。

以下、彼女がよくいう「自分ってこうだからさ笑」という設定である

剣道をやっていたからキレると棒状のものを探してしまう。なければ素振りみたいな動きをして相手を威嚇する

・座る時はうんこ座りが基本。癖になっているので周りから元ヤン」といわれている

元ヤンだが生徒会に入るぐらいには先生から評価も高い。裏番長的な存在

・長女気質でしっかりもの(これが増田的にめちゃくちゃやっかい


なぜ最後のが厄介なのかというと、

旅行に行って、

「あそこにお団子屋さんがあるよ」と増田が右を指差せば、

「お団子屋さんはそっちだよ」とさっき増田がさした右を指差してくるからだ。

頭がおかしくなりそうだよな?

しかも、「増田しっかりしなよ!まあ長女だからいいけど笑」とかのたまうので、「頭大丈夫か?」といいたくなる。

ここで、「いや、私さっき右刺してたじゃん!」というと、

「えーそうかな?絶対増田が間違えたんだよww」とか、「左に見えたんだから仕方ないでしょ!」など更に頭がおかしくなるようなことを言ってくる。

とにかく、彼女の中では「増田よりしっかりものの長女気質」という設定が優先されるのだ


思えば、昔から私が案内してる道が正しいのに、肩を掴んで体の方向を無理やり変えられることもあった。

昔はまだ謝ったりしてきたが、今はもう現実を改変してまで自分の設定を優先している。

この増田を書いているきっかけになったやりとりが以下。

増田現在地から近い駅が歩いて15分、電車のって目的地までが5分で20分かかるね」

ヤツ「わかった」

目的地到着ー 


ヤツ「20分じゃなくて5分じゃんww全然違うwwいっつもそうだよねー!笑笑

増田電車なってここまでくるのが5分って言ったよ」

ヤツ「いや!絶対言ってない!」


言ったんだよボケ



会話泥棒するな。知らない話を当たり前に話すな

あと、会話の仕方もオタク特有のまま。

自分の話したいことだけ話したいから、話の前後関係なんか気にしない

誰かが喋っている内容も、自分の話にするために誰も知らない情報だけ話したりする。


どういうことかというと、

A子「最近この映画みたんだけど、めちゃくちゃおしろかった!」

増田「それ見たかったやつだ!この監督好きだもんね。ホラー得意な人だし」

ヤツ「スリラーナイトより怖い?開幕ムービースキップできなくて運営ガチさ分からされたww」

A子「...スリラーナイト運営ってことはソシャゲ?」

ヤツ「そう!FGOぐっさんパイセンの掘り下げが最高の夏イベだったんだけどナントカカントカがナントカカントカで…」


怖いところは、増田もA子もFGOを知らないのである。やったこともないのである

ぐっさんパイセンが誰かも知らないし、このあとヤツがベラベラ喋る内容の全てが知らない話だった。

相席食堂エチオピア回で、知らない食材名で知らない料理を完成させるシーン(オフチョベットしたテフをマブガッドしてリットを作ります)があるけど、同じ感じ。


とりあえず話し相手から「なんの話?」「それは誰?」というリアクションが返ってきたら自分の話をしてもいいんだと思ってる。会話泥棒してる自覚なし。

こういう時は発言自体スルーしないといけないんだけど、普通の人は会話の中で誰かがいった発言をそのまま無視できない。

付き合いの長い私が、

「A子も増田FGOやってないから!笑 今は映画の話ね!」といって軌道修正するしかない。


3人ならこういう軌道修正必要ものの、概ね普通の会話ができる。

最近複数人しか会ってなかったからヤバさにそこまで気づかなかったけど、2人だと本当にやばいことになっていた


会ってすぐの会話が

私「久しぶり〜!元気だった?」

友「まあね!てか☆☆(人名)の新規実装で○○(人名)大発狂でワロww⬜︎⬜︎(人名)もサイコパスすぎるwwwほんまおもろいwww

である

三つ出てきた人名は全く聞いたことがない


「(増田は知らないと思うけど今@@っていうTRPGシナリオに私や私のTwitterフォロワーがハマってて、そこに出てくるNPCキャラクター)☆☆の新規絵(がTRPG作者の⬜︎⬜︎さんのTwitterで)実装で(増田ちゃんが知らない私のTwitterフォロワーである)◯◯大発狂狂喜乱舞)でワロww(TRPGの作者である)⬜︎⬜︎も(こんなに人をよろばせられるなんてある意味サイコパスすぎるwww



わかるか!!!!!!!!!!!!!!!おい!!!!!!!!!!!!


trpg10年前にプレイしたことはあるぐらいで、全く知らないし、私は彼女Twitterフォローしていない。

ここに出てきている話の全てを知らないのである


こんなに相手側の理解力100%寄りかかったコミュニケーションとってるくせに、

サスペンス映画みれない理由

登場人物すべての思考リアルタイムで考え続けてしまって疲れるから」なんだって

嘘つけよ笑 できてねえよ現在進行形でよ笑

実際、帰り際つかれまくって一人カラオケ行った方が楽しかったんじゃないかとふと思った。

会った後「会わなきゃよかった」と少しでも思った時点で、私の中で友達ではなくなってしまった

半分以上嫌いになりかけてるし、喧嘩別れをいつかするぐらいなら、徐々にフェードアウトしていったほうがいい。

本当に痛いしムカつくしうざいんだけど、善人ではあるんだよな……本当はいいやつではあるんだよ……

からこそ悲しい。

はてななんて友達は見ることもないけど、これ読んで「自分のことかも」と思ってマジで治してくんねーかな…

若いオタク、こうはなるなよ

もう30代なのにこうなってる友達は、何言っても変わらない。

若いうちに自分内省するんだ。

おまえはアニメキャラでも夢小説キャラでもない。

お前はホストでもキャバ嬢でも極妻でもヤクザでもギャルでもない。

ちゃんと人とコミュニケーションをとって、今いる友達大事しろよ。

2024-11-15

anond:20241115000009

面白く読ませてもらいました。

一生懸命冷笑してるところ申し訳ないですが、AI対策検証をせず、ウォーターマークノイズかけている絵描きの大半が「声のでかいAI(レイシスト)から攻撃から守るため」だと感じております

AIから絵を守るというより頭のおかし人間からアカウントを守るためにやってます

ただ、それを言うと馬鹿みたいに炎上するからこの記事に書いてあるようなアホの素振りをしているだけです。

そういう生存戦略もあると知ってもらいたいです。

絵を汚したくないので、AI対策についてのこの記事認識が広く正しく広まりますように。

2024-11-14

エーミール少年の日の思い出を語る

 正しい人でありなさい。

 それが、僕に課せられた唯一にして最大の教条だった。

 幼い頃から、僕は常に「先生の家の子であることを意識させられてきた。両親は僕を品行方正な模範少年に仕立て上げることに腐心していたし、周りの人(大人子どももだ)は皆、僕の素行や成績の優秀さを褒めそやした。

 今思えば、僕は他人眼差しに見張られ、他人の期待に縛られて暮らしていた。だが、当時の僕は、それに不満や苦痛を感じることは(少なくとも意識の上では)全くなかった。むしろ、どんな時も「正しい人」として振る舞うことに、ある種の誇りすら感じていたように思う。

 友達をえり好みするのは「正しくない」ことだ、という両親の教えに従って、僕は誰にでも人当たり良く接していた。その甲斐もあってか、ほとんどの級友は僕に好意的だった。先生たちも僕を気に入っていたようで、贔屓と言われるような特別扱いを受けることも少なくなかったが、誰も文句を言わなかった。僕は何の迷いもなく、己に与えられた特権享受していた。それが自分の「正しさ」に支払われた報酬だと受け止めていたからだ。

 そんな僕が、一人だけ「友達」と呼べない少年がいた。隣の小さな家に住んでいた彼は、見た目も成績もパッとせず、不器用どんくさい、いわゆる劣等生だった。当時の僕にとって「優れていること」と「正しいこと」はほとんど同じ意味だったから、僕は「正しくない」彼のことをうっすらと見下していた(そしてそれを「正当な評価」だと信じていた!)。

 だが、もし彼がただの冴えない少年だったら、僕は彼とも親しくしようとしただろう。僕に「誰かを嫌う」という悪徳を犯させた(当時は本気でそう思っていたのだ)のは、彼の蝶に対する異常な情熱だった。

 あの頃の僕たちにとって、蝶の収集最大級の関心事だった。少年たちは蝶を捕まえては標本を作り、互いに自慢し合っていた。

 はじめのうち、僕はあまり熱心な収集家ではなかった。捕らえた蝶を完璧な標本に仕上げる作業は楽しかったけれど、蝶を捕まえること自体にはさして魅力を感じていなかったのだ。

 だが、彼は違った。彼は「蝶狂い」としか言いようがないほど、生活のすべてを蝶捕りに捧げていた。「蝶を探していた」という理由遅刻して先生に怒られるのは日常茶飯事で、彼の母親が夜に戸口の前で息子が戻ってくるのを待っているのを見たのも一度や二度ではなかった。

 それほど蝶に入れあげているにもかかわらず、彼は自分の標本を他人に見せようとしなかった。標本を級友たちとの「社交」の手段と捉えていた僕は、そんな彼に不気味さすら感じていた。こいつは一体何のために蝶を集めているんだ? 遅刻の罰として教室の前に立たされている彼の、何を考えているかからない顔を見るたび、僕は疑問に思わずはいられなかった。

 ある日、僕は虫取り網を片手に近所の森に出かけた。新しい標本を作るために蝶を仕入れに行ったのだ。あらかじめ目星をつけていた場所で狙い通りの蝶を捕まえ、さっそく家で標本にしようと帰りかけた時、近くでガサガサと物音がした。音の方を見ると、一人の少年が森の奥へ向かっていた。彼だ。彼は僕に気づくこともなく、上の方を見ながら歩みを進めていく。僕はほんの少し迷ったあと、彼の後を追いはじめた。誰かのあとをつけるなんて全く「正しくない」ことだと思いながらも、なぜかそうせずにはいられなかったのだ。

 十分以上歩いただろうか。少し開けた川べりで、彼はようやく足を止めた。僕は木の陰に隠れて、彼の様子をうかがった。彼は静かに網を構え、宙の一点を凝視している。彼の視線を追った先には、一匹のコムラサキがいた。生きたコムラサキを見るのは、これが初めてだった。

 彼はじっと、コムラサキの隙を狙っている。爛々とぎらついた瞳には、きっと蝶の姿しか映っていない。こんなにも獰猛空気を纏った人間を、僕は見たことがなかった。

 不意に、彼が動いた。突き出された虫取り網がひらりと宙を舞い、すぐに地面に伏せられる。彼はかがみこんで網の中を確認した。僕からは蝶の姿は見えなかったが、狩りの結果はすぐに分かった。彼が、長い安堵の息とともに、うっとりと微笑んだからだ。

 彼が立ち上がる前に、僕は踵を返した。早足はいつの間にか駆け足になり、何度も転びかけながら、それでも走り続けた。「逃げなければ」という言葉が、身体の中に繰り返し響いた。何が怖いのか、そもそも全身に満ちたこ感情が恐怖なのか、何もわからないまま、僕は家まで走り通した。捕まえた蝶がいなくなっていたことに気づいたのは、自分の部屋に戻ってからだった。

 それから二ヶ月ほど経った頃、紙箱を手にした彼が僕の家を訪ねてきた。彼が何か言う前から、僕には箱の中身が分かっていた。彼はあの日コムラサキを見せに来たのだ。僕は彼に気づかれないよう息を整えてから、紙箱の蓋を開けた。

 箱の中のコムラサキは、お世辞にも良い状態とは言えなかった。展翅には粗が多く、足も欠けている。褒められたものじゃないな、と思いながら顔を上げると、彼は得意げな笑みを浮かべていた。驚嘆と賞賛を欲しがっている顔だ。それに気づいた途端、胸の中にどす黒い感情が湧き上がった。

 せっかくのコムラサキがこんな不完全な標本になってしまたことへの落胆、その粗雑さに全く無頓着で恥じる素振りもないことへの呆れ、そして何よりこんなやつに一時でもおそれめいた感情を抱いてしまった自分への怒り。そういったものが渾然一体となった感情だったと、今にして思う。だが、子どもだった僕は、それらを「不快もの」として一括りにすることしかできなかった。そして、その不快感を、標本への批判という形で吐き出したのだ。

 僕は、彼のコムラサキ欠点を、ことさら辛辣な言い方で並べ立てた。彼の顔はみるみるうちに曇っていき、最後にはすっかり不機嫌な表情になった。

 紙箱をひったくって部屋を出ていった彼の後ろ姿を見て、僕はかすかな罪悪感を覚えた。人を傷つけるのは、明らかに「正しくない」ことだ。

 違う。僕は彼を傷つけたわけじゃない。僕はただ事実を述べただけなのに、彼が勝手に傷ついたのだ。直すべきことを指摘するのは「正しい」ことだから、僕は何も恥じる必要はない――

 僕は自分にそう言い聞かせた。都合の良い言い訳だと、心のどこかでは分かっていたけれど、気づかないふりをした。僕はただ、「正しい人」でいたかったのだ。

 彼のコムラサキの標本を見てから、僕は本格的に蝶の収集に取り組み始めた。少数の個体完璧に仕上げることで満足していたのが、より多くの種類の蝶を捕まえたいと思うようになったのだ。

 勉強友達付き合いに割く時間限界まで減らし、僕は蝶の採集に出かけた。珍しい蝶も、そうでもない蝶も、とにかく片っ端から捕まえた。両親は泥だらけの服で帰ってくる僕を見て顔をしかめ、級友たちは僕と遊べないことに不満げだった。採集自体も、楽しさより苦痛のほうが大きかったが、やめようとは思わなかった。

 僕の目的は、彼よりも優れた収集家になることだった。彼が捕まえるよりも多くの種類の蝶を、彼が作るよりも美しい標本にする。それは僕にとって、ほとんど初めての私的欲望だった。誰に求められたわけでもないのに、「正しい」ことでもないのに、せずにはいられない。自分でも理由のわからないまま、僕は取り憑かれたように標本作りを続けた。

 時折、蝶を探しに行った先で、彼の姿を見かけることがあった。彼はいつでも心底楽しそうに野山を駆け回っていて、その姿を見るたびに嫌な気持ちになった。僕が彼に声をかけることはなかったが、彼が僕に気づくこともなかった。彼はいつも蝶しか見ていなかった。その事実もまた僕を苛立たせていたのだが、あの頃はそんなことは思いもよらなかった。

 季節がいくつか過ぎる頃、僕は蛹の採集にも手を出していた。森に分け入って成虫を捕まえるよりも、自分の部屋でじっくりと蛹や繭を羽化させる方が性に合っていると気づいたのだ。時には予想外の成虫が出てくることもあったが、それもまた楽しみの一つだった。

 そんななか、とんでもないことが起こった。偶然手に入れた繭からクジャクママユが羽化したのだ。クジャクママユといえば、僕たちの間では秘宝のような扱いの、まさに幻の存在だった。ゆったり広げられた翅に浮かぶ特徴的な斑点を確認した時には、全身の震えが止まらなかった。

 何も考えられない興奮状態の後に、真っ先に頭に浮かんだのは彼の顔だった。彼が教室の片隅で、級友のクジャクママユの話に目を輝かせていたのを見たことがある。あの様子だと、きっと彼はまだクジャクママユを見たことがない、ましてや持っているはずがない。

 千載一遇の好機だと、僕は思った。このクジャクママユを完璧な標本にして、彼に見せるのだ。何が「正しい」標本なのか、誰が「正しい」収集家なのか、彼に見せつけてやるのだ。この思いつきは、僕をひどく高揚させた。

 僕はこれまでにないほど慎重かつ丁寧に、クジャクママユの展翅に取り組んだ。その出来栄えは、今までのどんな蝶よりも素晴らしいと自負できるものだった。もうしばらくすれば、非の打ち所がない美しい標本が仕上がるはずだ。僕はすっかり舞い上がっていた。

 常に地に足をつけていることこそ「正しい」。そう知っていながら、浮かれきった僕は級友にクジャクママユのことを話してしまった。噂はあっという間に広まり大勢少年たちがクジャクママユを見せてくれと押しかけてきた。

 僕は彼らの頼みを「完璧状態で見せたいから」と全て断った。それも嘘ではなかったが、一番の理由でもなかった。最初に見せる相手は彼だと、最初から決めていた。

 僕は実のところ、彼がどうしてもと乞うならば、未完成状態でも見せてやってもいいとさえ思っていた。にもかかわらず、彼は何も言ってこなかった。コムラサキの一件以来、彼が僕を避けているのは分かっていたが、彼の僕への嫌悪感クジャクママユへの興味を凌駕していると考えると、妙に胸がモヤモヤした。

 その日は、何ということのない平凡な一日になるはずだった。少なくとも、蝶の採集を終えて帰宅し、自室に入るまではそうだった。だが、そこで僕を待っていたのは、変わり果てた姿のクジャクママユだった。

 翅がもげていた。触角も片方取れていた。展翅板の上には、粉々になった翅の残骸が散らばっていた。

 どうして。何で。誰が。どうすれば。

 絶望的な言葉の断片が、次々と頭の中に浮かんではぼろぼろと崩れていく。早く直さなければ、と震える手で修復道具に手を伸ばす。今までの経験は「これは無理だ」と告げていたけれど、その声さえ聞こえなかった。

 日が落ちかけた頃、僕はとうとうクジャクママユの修復を諦めた。僕は絶望的な気持ちのまま寝台に倒れこみ、腕で目を覆った。このまま何も考えずに眠ってしまたかった。そして朝になって、すべてが夢だったと気づきたかった。

 そんな幼稚な空想を打ち砕くように、女中さんが僕の部屋の戸を叩いた。彼が来ていると言うのだ。僕はのろのろと起き上がり、玄関に向かった。

 僕の酷い顔を見て驚いたのだろうか、彼は何も言わずこちらを見ていた。僕は半ば操り人形のような心地で、クジャクママユが台無しになったことを告げた。すると彼は、それを見せてくれと言った。僕は頷き、彼と共に重い足取りで階段を上っていった。

 僕はクジャクママユの残骸を彼に示した。ろうそくの明かりでも、彼の顔に全く血の気がないのがわかった。彼はしばらくクジャクママユを凝視していたが、ゆっくりと僕の方を向いて、言った。「ぼくが、やったんだ」と。

 僕は耳を疑った。意味がわからなかった。彼が、これを?

 僕が凍りついていることに気づかず、彼は堰を切ったように喋り始めた。どうしてもクジャクママユが見たくて、僕がいない間に部屋に入ったこと。見ているうちに魔が差して、クジャクママユを盗んだこと。返そうとした時には、クジャクママユがつぶれてしまっていたこと。

 彼の話を聞くにつれ、僕は胸がどんどん冷たくなっていくのを感じた。同時に頭に浮かんだのは「彼は裏切ったのだ」という言葉だった。何を裏切ったのかはわからない、ただ彼が裏切り者だという考えだけが、強く強く繰り返された。

「そうか、そうか、つまり君はそんな奴なんだな」

 そう告げた声は、自分でも驚くほど平板だった。こんなに誰かを軽蔑するのも、こんなに誰かに失望するのも、初めてだった。

 彼は必死に許しを乞うてきたが、僕はありったけの皮肉を添えて彼の謝罪を切り捨てた。彼は一瞬、殺さんばかりの形相で僕を睨みつけた。そんな表情を誰かから向けられたのは初めてだったので、僕はほんの少したじろいだ。だが、彼はそれに気づくことなく、何も言わないまま、僕の部屋から出ていった。

 僕はろうそくを吹き消し、再び寝台に横たわった。毛布に繭のようにくるまると、両目から涙があふれだした。

 僕はどうして泣いているんだろう。当然、大事クジャクママユを失ったからだ。でも、本当にそれだけだろうか。僕は、何を失ったんだろう――嗚咽の合間にそんなことを考えながら、僕の意識ゆっくりと沈んでいった。

 次の日、僕は級友たちに、不手際クジャクママユが駄目になってしまったと話した。彼らは、ぜひとも見たかったのにと嘆き、僕らしからぬ失態に戸惑った様子だった。だがそれも一時のことで、しばらくすると彼らの興味は別のものへ移っていった。

 そして、その日以来、彼を野山で見かけることはなくなった。遅刻することもなくなり、真面目に授業を受けるようになった。ほどなくして、彼が蝶の収集を一切やめて、標本もすべて捨ててしまったらしいという噂が聞こえてきた。級友たちが、あいつとうとう正気に返ったのかとか逆におかしくなってしまったのだとか好き勝手を言っているのを聞き流しながら、僕は教室の隅でぼんやり座っている彼を盗み見た。

 彼は罪を犯した、言い逃れできないほど「正しくない」人間だ。彼の罪を糾弾し、正当な罰を与えることこそが「正しい」行いだ。そう考えながら、僕はそうしなかった。彼をかばうためでも、ましてや許すためでもない。僕はただ、逃げたかったのだ。

 あの夜、僕はまぎれもない被害者で、彼は明らかな加害者だった。誰もが、僕が彼を非難するのは「正しい」ことだと思うだろう。けれども僕はあの時、「正しい」ことをしようと思ったわけではなかった。正しいとか正しくないとかい基準から外れた場所あるむきだしの感情――「彼に裏切られた」という気持ちにまかせて、僕は彼を言葉で刺したのだ。

 思えば、彼に関わる時の僕は、いつも「正しい人」から遠ざかっていた。標本箱の中の蝶のように完璧優等生はいられなくなり、破れた翅で不格好に飛び回る、身も心も薄汚れた自分になってしまうのだ。そして、その先にはいつも彼がいた。僕よりはるかに劣っているはずの彼は、森の中では僕よりはるかに美しく羽ばたいていた。にもかかわらず、彼は自ら泥の中に墜ちていった。それらすべてが許せなくて、耐え難くて、そう感じる自分自身を認めたくなかった。だから、僕は彼との関わりを絶ち、自分が「正しい人」でいられる場所へと逃げ出したのだった。

 結局、僕は逃げ切れなかった。「正しい」ままで生きることな不可能だということを悟り自分の中の「正しくない」ものを受け入れて飼いならすことを覚えた。世間ではそれを「大人になる」と呼ぶのかもしれない。

 彼とは、学校卒業してから顔を合わせていない。今では蝶への興味もすっかりなくなって、作りためた標本はほとんど全て人に譲ってしまった。

 それでも、一つだけ手元に残したものがある。翅のもげたクジャクママユだ。痛々しくて不完全で、なのになぜかひきつけられる。そんなクジャクママユこそ、僕にとっての少年の日の思い出なのだ

2024-11-12

消費税を上げるもんだと思ってた

財務省103万円の壁を取り払うと7兆円の税収減になってしまう」

民民「しかし、現役世代負担を減らすためなんだ」

政府「もう、消費税増税するしかないよね」

立民「しょうがないにゃあ・・・

という流れで、現役世代負担減を名目に、嫌がる素振りで内心ウッキウキしながら皆で消費税をどかんと上げると思ってたよ

2024-11-10

anond:20241103230838

世間から結婚にキレるオタク」って思われたくない人が増える→オタクが受け入れる素振りをするようになる→Vtuber側がそれにあやかってお祝いスパチャ目的公表するっていう流れだよな

2024-11-09

anond:20241109120928

弱者男性だが、イデオロギー綺麗事をどれだけ言ったか道徳的優位を取れるから

党派というのは出来もしない思ってもしない守ろうとする素振りもないイデオロギーと、相手を殴り倒すためにモラルも恥も何もかもかなぐり捨てて攻撃する姿勢を持ち相手に対して優位に立つことが大事らしい

この世はどの党派に属していて、そこの闘争に勝つかが大事なんだとリベラルフェミニストは俺に教えてくれた

歳上の兄を置いて実家を出るのが不安

私には五歳年上の兄がいる。

私は彼氏との結婚を見据えて同棲することになり、近々実家を出る予定だ。

そうなると実家には兄と母の二人だけが残ることになるが、この兄と母のこれから生活心配で仕方ない。

兄は特に粗暴な性格ではないけれど、ナチュラルに優しくないところがある。自分本位で周囲への配慮が薄く、やりたくないことは絶対にやらない、そんな兄なのだ

ある日の夕食後、ふと兄に言ってみた。

「たまには兄さんも料理してみたら?」

「嫌だよ。今更めんどくさいし、興味もない」と、兄は無関心に答えた。

その瞬間、兄が常に母や私に「めんどくさいこと」を押し付けていることについてどう思っているのか、疑問に思った。

 

 

また別の日、母が怪我をして、私が車で病院に連れて行ったときのこと。

「お母さんを連れて行けて良かった。前に免許を取らないって言って教習所キャンセルしてたけど、まだ30代のうちに免許取ってみたら?」と提案してみた。

すると兄は、「え、いいよ。運転興味ないし。もし事故ったら嫌だし。妹が免許取ってくれてて助かった。ありがとう」とあっさり返した。

「でも私がいなかったらどうするの?」と問うと、兄は「タクシー救急車でいいでしょ」と言った。

その時、私は母が気を使うタイプからタクシー救急車を使うことを躊躇うだろうと思ったが、兄はそんなことを考えもしない様子だった。

 

 

兄が一人暮らしをしようとしたこともあった。それは2019年末頃のことだ。

社会人になって数年、金銭的に余裕も出てきて、一人暮らしを始める友人も増えてきたためだろう。現実的通勤時間を短くしたいという思いもあったようだ。

しかし、コロナ流行によりそのきっかけを逃し、それ以降兄が再び一人暮らし計画している素振りは全くない。

もし一人暮らしをしていたら、もう少し母や日常家事に対する想像力が育まれていただろうか?

我が家では基本的に母か私が食料品の買い出しをしている。私が実家を出た後は、母だけが買い物をすることになるだろう。それに対して兄が特に何も感じていない様子に、内心呆れることがある。

神奈川田舎で、車があった方が便利だけれども、電車も発達している地域に住んでいることもあり、兄にとっては免許を取る理由が全くないようだ。

 

 

兄の社会性が薄れていったこととコロナ無関係ではないと思う。

以前は嫌々ながらも上司会社の人と飲み会をして、そのとき話題食卓披露することがあった。コロナで在宅勤務が定着し、通勤や社交の機会がなくなったことで、兄の外出は本当に減った。

コロナが明けてから会社飲み会が再開されたようだが、今や皆が参加するわけではなく、兄は全く出席しなくなった。

もともと友達が多いタイプではなかったため、休日は部屋にこもってゲームをするか、Vtuber配信を見るかしている。平日も夕食のときだけ顔を出し、その後は自室に戻る。

私が出て行った後に兄と母が食卓を共にするだろうか?兄はゲームネット配信を見ることを優先し、食事タイミングをずらしてしまうのではないか?母は兄がそうしても何も言わず、一人で食事を取るだろう。

ゲームをして配信を見ているだけでも、人間は歳を取る。兄は今後どんな中年になっていくのだろうか。

 

 

来月中旬には私はもう実家はいない。実家には年に一度か二度顔を出す程度だろう。そのたびに、少しずつ老いていく母と、少しずつ社会性を失っていく兄を見ることになるのだろうかと思うと、少し憂鬱になる。

2024-11-08

一年ほど前のこと

今日みたいに急に冷え込んだ日だった。

仕事から帰ってくると、玄関の前に見慣れない猫がぽつんと座っていた。

夜の暗がりで、あの小さな猫の姿はまるでそこに置き忘れられた影みたいにじっとしていた。

猫は私が近づいても動かず、ただそのままじっとこちらを見ていたんだ。

目がちょっとばかり大きくて、鋭い視線が暗闇で光っていた。

やせ細っていて毛はゴワゴワで、タンブルウィードみたいな姿だった。

私は猫を見つめた。だが微動だにしない。

私は猫の横を通り過ぎた。玄関のドアに手をかけたとき、猫がか細く「にゃあ」と鳴いた。

驚くほど小さな声で、まるで人間に話しかけるのに慣れていないように。

わず振り返ると、猫はそのままこちらを見上げて、また動かない。

どうしたものか。一瞬迷ったものの、なんだか放っておけなくて、しゃがんでそっと抱き上げてみた。

意外にも抵抗はなく、むしろおとなしく抱かれて、じっとしている。

冷たい外とは違って、なんだかほんのりと温かくて、それだけで急に胸がギュッとなった。

そのまま猫を抱えて家に入ると、妻が驚いた顔をした後、くすっと笑った。

何も言わずに猫を見つめていると、彼女も何かを察したのか、それ以上聞かずに「よかったね、あったか場所見つかって」と猫の頭をなでた。

猫は小さく、静かに鳴いた。

それから猫はうちの家族になった。

最初は緊張した素振りをみせたもののの、次第に私たちの傍へと来るようになり、気がつけばいつも私か妻に引っ付くようになっていた。

甘えん坊なのだ

猫を迎えて二日目の朝のこと、裏庭の窓際に知らない猫の姿が見えた。

しかうちの猫と何処か似ていた。きっと親猫だろう。窓の向こう側からこちらを見ている姿は堂々としていて、まるで何かを見届けに来たかのようだった。

裏庭の枯れ草の間で、うちにいる猫を、私の膝の上に居る猫をじっと見つめていた。

その猫はゆっくり顔を上げた。

そのまま窓越しに目が合うと、猫は「にゃあ」と一度だけ鳴いて、ゆっくりと踵を返して去っていく。

親猫らしき猫は笑っていた。

そのように見えただけかもしれない。

しかし初めて見るその表情は、ネットでもテレビでも見たことのない猫の表情だった。

今では猫がいる生活がすっかり日常となった。

名前を呼べばすぐに駆け寄ってきたり、忙しい朝にはちょっと邪魔をしてきたりもする。

いつも何かと「にゃあ」と鳴いては気を引き、今でも甘えん坊である

これを書くことにしたきっかけは今日にある。

今日仕事から家に帰ると玄関の前には見慣れない、見知った猫が居た。

それは去年見た、あの親猫だった。

親猫は手を舐めており、帰って来た私に気付くと顔を上げ、そして私の顔を5秒ほどじっと見つめた。

それから私の脛に頭を擦り付けると満足したように去って行った。

私はその姿が闇夜に消えるまで見送り、家に入るとタンブルウィードが駆け寄ってきた。

私には猫の言葉は分からないが、それでも。

あのとき彼女が私にかけてくれた言葉理解できるのだと、今でもそう思うのだ。

2024-11-06

anond:20241106224645

順番じゃなくて突如移動になる人ってやっぱ仕事できない系なの?昔さ会議中に中身がありそうで全くないことを自信満々に質問して延々と会議を長引かせて「優秀でござい」みたいな素振りしてた人突如移動になったけど。そういうのなのかな

2024-11-05

彼氏が嫌知らず

嫌知らず、っていうのは

「ねー、やめてよ〜(笑)

と、穏やかな制止では止まらず、

「今嫌だって言ったよね?」

と、真顔で冷静に伝えても止まらず、

「嫌だって言ってんだろ!(ブチ切れ)」

と、ブチ切れてようやく「この人嫌がってる!」と伝わる(伝わらないこともある)現象のことらしい。

彼氏は、好きな人にいじわるするのが好きなタイプで、人がイライラしているのを見ると楽しいらしい。

私は彼氏に嫌なことをされる度に、

穏やかな制止→冷静な制止→ブチ切れ

の段階を踏んでいた。

私としては人にブチ切れるの疲れるし喧嘩みたいで嫌…って気持ちでいた。ただ、彼氏に、俺たちって喧嘩したことないよね、と言われてびっくりした。普段私がブチ切れてるのは、彼にとってなんて事ないコミュニケーションという感想だったらしい。

めったにないけど私が彼氏にいたずらしたりちょっかいをかける時は、

「うーん(微妙な反応)」とか「まって」とか、

ちょっとでも嫌がる素振りを見せたら止まるようにしている。

あなたが待って、って言った時私がやめたみたいに、私が待って、と言った時も止まって欲しい」と伝えてみたが、「えー、でも、本当に嫌だったら髪掴んだり怒鳴ったりして止めればいいじゃん?」と返事が返ってきた。

それからは私も彼氏に合わせて嫌なことされたら即キレるようにした。彼氏は「最近本音で話してくれて嬉しい」という反応。

ももう慣れてきたので、まぁふたりにとって快適な状態からいっか…と思ってはいる。

Twitterで見る嫌知らずの人達彼氏がなんか違う気がしたので書いてみた。

恋人イライラしたり怒鳴ったりするのが楽しい型の嫌知らずの人が他にもいたら、どんな風に過ごしてるのか、もしくは別れたのか、ここでもTwitterでもいいので書き込んで欲しい。

撮り鉄子供を泣かせるのをやめてください

事前に言うがこれは主語がでかい愚痴

先日地方特急電車に乗った。全席指定だ。


ゆるく観光車両になっていて、先頭車両の前のデッキにはちょっとした簡易ベンチがあって、子供大人わず運転席を覗いて歓声を上げたり盛り上がっている。

当日も社内販売などはないものの、駅弁を持ち込む老夫婦や社内で酒を飲んで寝ているお父さんなどもいて、もちろん子供もいっぱいいた。

観光からほど近い終点に向かって、車内の乗員は減っていき、ほどほどに窓の外の景色も廃れていく。

自分旅行ではなく祖母の家への帰省であったので終電の一つ前が終着予定駅だった。(そこも遊園地に行く最寄り駅ではあるので、天気が良い土日などは結構子供最近カップルが多い)

ある水族館真珠が有名な駅をおりてから一気に子供連れが減った。たぶん、この三連休台風が接近していて天気が悪かったからだ。水族館は行けても外の遊園地は行きづらい。

その少し前くらいに男性が一人乗り込んできた。見るから撮り鉄で大きめのカメラ首に下げて、ビデオカメラを手に持っていた。最初から先頭のそのパノラマデッキから風景を取るために乗ってきたのだろう。

その人は全席指定車両ゆえに申し訳程度に一瞬自席に乗り込み、荷物を置いてさっそくそパノラマデッキへと足を向けていた。

なんとなく譲り合う空気はあるものの、占領する空気ではなく、みんなで楽しく見ていて、たまに一駅か二駅分くらいだけ占領できる時間を見つけてはほくほくと嬉しそうな子供たちが可愛かったのだが、特急路線最後のほうは乗客も減ってその撮り鉄男と増田家族(1歳半の子供)だけがそこにいくようになった。そこから問題だ。

子ども喃語交じりの声がビデオに映りこむからと言って「出ていけ!」と睨みつけられた。はっきり指でしっしと払う素振りと、言語外国籍なのかうまく聞き取れないものの、何かしらの非難をされている。

正直、独り言の話しぶりや仕草から健常者じゃないかもと思ってしまって、席に戻るのだが、子供にそんな理屈通用しないのであっちへ行きたいと指さし、行けなければ少し声が大きくなるので、車内で騒がれるくらいならデッキに行くべきとも思ってそっちへ行く。そして撮り鉄に怒られるの繰り返しだ。

けれどこちらは乗車時点から2時間弱、いろいろな老夫婦子供連れご家族、友人連れ旅行者、などとこのデッキ居合わせ、怒られることもなく、話し声程度の声の大きさだと思っている。これが子連れ思考だったら申し訳ない。ちなみに三連休初日の昼ごろだ。

それを見て子どもが怖がって泣き出してしまった。それを見て余計に怖い顔をする撮り鉄たまたま通りかかった車掌さんに手を振ってもらって機嫌を持ち直す子ども。そして車窓さんににこやかに会釈する撮り鉄車掌さんがいなくなった途端睨みつけてくる撮り鉄。反対方向のトイレなどがあるデッキへ行くがそっちじゃないと怒りだす子ども疲れた

楽しい旅行のはずだったのに台無しだった。

子ども連れが一人じゃなかったら、もっと多ければあんなにしっかり抗議してこなかったのだろうか。自分が舐められたのだろうか。

観光車両だぞ。別に子供を優先しろとは言わないが、大の大人子供を押しのけて占有するな。

2024-11-04

anond:20241103230838

世間から結婚にキレるオタク」って思われたくない人が増える→オタクが受け入れる素振りをするようになる→Vtuber側がそれにあやかってお祝いスパチャ目的公表するっていう流れだよな

anond:20241103230838

世間から結婚にキレるオタク」って思われたくない人が増える→オタクが受け入れる素振りをするようになる→Vtuber側がそれにあやかってお祝いスパチャ目的公表するっていう流れだよな

anond:20241103230838

え?ってなるでしょ。急に結婚全然そういう素振り見せなかったじゃん、そもそも恋人いたのかよ、てきな。なんで今まで言ってくれなかったんだよ、てきな。

そもそも大人恋愛関係の話とか、よっぽど仲良くないと話さない。こっそりやっておいて、結婚すら場合によっては親しい友人にしか共有しない。子供ができて生活を変えざるを得なくなってようやく利害関係のあるところに共有する。

まりvtuberとはそのぐらいの関係が程よいのだと思う。

2024-11-03

Vtuber出産報告、聞きたくないんだが

いや別に結婚するなとか出産するなと言ってるわけではない。

表に出してほしくない。

かといって全くバレないように隠し通せといいたいわけでもない。

表に出す、にもいろいろ方法がある。

裏でこっそり発表するなら別にいい。

たとえばホロライブの人みたいに別名義の垢、前世垢で公表するとかね。

Vtuberはさ、やっぱりキャラクターなわけでしょ。ペルソナと言い換えてもいい。

そのキャラクター性、ペルソナ性を大事にしてくれよ。

急に出産報告するのは解釈違いなんだよ。

百歩譲って、段階を踏んでるならいいよ。

日頃の配信から恋愛のこと話してたり、結婚までの過程オープンにしてるVなら全然いい。そういうキャラクターなわけだから

けどさ、普段活動では異性の影を極力排除してきてるのに急に出産報告するのは違うだろ!

まあこういう意見もあるよ?「アイドル売りしてなかったらセーフでしょ」って。

いや違うね。断じて違う。

アイドル売りしてなかろうが、ガチ恋営業してなかろうが、関係ない。

この違和感は、たとえるなら、結構仲が良いと思ってた友達が、それまで全く異性の影も見せなかったのに急に結婚報告してきた感覚だ。

え?ってなるでしょ。急に結婚全然そういう素振り見せなかったじゃん、そもそも恋人いたのかよ、てきな。なんで今まで言ってくれなかったんだよ、てきな。

ちょっと裏切られた、って感じるでしょ。

しかVtuberにはそれに加えてキャラ変要素も加わってしまうわけで。

Vtuberとして」表沙汰にするってことは配信でもそのキャラクター性が今後出てくるわけだよね。

独身キャラから急にリアル子持ちキャラに変わられたら振れ幅大きすぎるわけよ。

その点、裏でこっそり公表パターンにしてくれると、Vとしてのキャラクター性に変更はないのでまだ助かる。

そういうわけでVtuberには出産報告とかしてほしくない。

2024-11-02

少年よ、「野球」だけはやるな

 大谷フィーバー野球熱が高まり大谷自身が全国の小学校グローブ寄付するなど、減少しつつある野球人口を回復しようとする動きも活発になっている。

 しかし、未来ある子どもたちに言っておきたい。

 野球はやめておけ。

理由① レベルが高すぎる

 神童と呼ばれるレベルの子が結局プロにすら届かないのは当たり前。

 大谷レベルの才能でも甲子園には出場できていないことからもわかるように、いくら自分が強くても上の大会には進めない。だからといって強豪校に進んでしまえば9割方は応援席、よくてもベンチである

 中学高校同級生を見ていて感じるのだが、優秀な運動センスを持つ人材野球部に流れすぎていて、レッドオーシャンのものだ。そのため、ベンチで3年間を終えるような子でも、他の部活ならエース級、インハイ出場レベルになれる逸材だらけである

 このような才能が野球という無駄レベルの高い運ゲーで擦り潰されるのは日本にとっても本人にとっても損失である

理由② 運ゲーから

 超一流選手でも打率3割強、調子のいいタイミングを切り出しても4割がいいところだ。つまり大事試合で打てるか打てないかなんて運にすぎない。

 スタメンなら1試合あたり3〜5打席立てるわけだが、死ぬほど努力して打率5割のバケモンになれたとしても全打席凡退可能性は十分あるし、自分が打てても後続が3割ガチャを引けなければ点数にならない。

 プロ野球ペナントレースならある程度確率収束するだろうが、高校野球はなんとトーナメントである。血と汗と涙を流した3年間の集大成ガチャで決まってしま運ゲーというのはあまりにも馬鹿馬鹿しく、家で寝転がってソシャゲガチャでも引いていた方がよほど有意義である

理由③ 礼儀リスペクトも身につかないか

 たとえ運ゲーだとしても努力をした日々は無駄にならない! スポーツを通じて身に付けた健全精神人間性にこそ価値がある! という人もいるだろう。

 しかしこれを見てほしい。

https://video.twimg.com/ext_tw_video/972787886717222913/pu/vid/640x360/Pc24MvGUASmFbpeu.mp4

 これは稲村亜美という女性タレント始球式を行った際の映像である

 恐ろしいことに、稲村氏が始球式を終えたあと、男子中学生たちが何の許可もなく稲村氏ににじり寄り、一斉に襲いかかっている様子がわかる。

 野球で心を鍛えているはずの男子中学生たちがこの有り様なのだ

 本当に野球で鍛えられるのは礼儀でも人間性でもなく、怖い監督や先輩の目の前では逆らわないという奴隷根性と、集団で気が大きくなって一人の女の子を襲うという卑怯な「チームプレー精神なのかもしれない。

理由④ 動体視力ゲーだから

 大谷が飛び抜けて優れている点は何だろうか。

 190センチ超の恵まれた体格、鍛え上げた体、野球に全てを捧げる精神力、マンダラチャート代表されるような努力の軌跡……。

 色んな回答が返ってきそうだが、答えは「動体視力である

 どんなに筋肉を付けても、どんなに素振りをしても、ボールに目が追いつかないと打てやしない。

 投手ならともかく、打者は完全に動体視力ゲーなのだ

 しかも悲しいことに、動体視力は筋力と違って、努力より才能に因る部分が大きい。鈴木誠也選手大谷以上にゴリゴリムキムキに鍛えてメジャー活躍しているが、大谷には勝てていない。筋力で上回れても、動体視力で上回らないと野球で勝てないのだ。

 極論、野球というのは努力でも筋力でもなく、生まれつきの動体視力を比べるにすぎない、悲しいスポーツなのだ

2024-10-30

いじめ」にならないように「いじる」のは難しい

「いじって笑いをとる」という行為は高度な技術必要とするので、やめた方がよい。

それでもいじりたいなら、「いじり」が「いじめ」に変わらないように細心の注意を払う必要がある。


・いじられている相手をよく見る

「いじり」はいじられている相手がいじられることを「おいしい」と感じて初めて成立する。

さら第三者からみていじられている人間がおいしいと感じていることがわかるというのが重要

なので、相手ちゃんとおいしいと感じているか表情やその他のリアクションを注意深く観察する必要がある。

少しでも相手不快そうな素振りを見せたり、曇った表情をしていたらすぐ撤退するべき。

いじるときは、いじる相手を含めて全員を笑わせなくてはならない。


・しつこくこすらない

同じ内容で何度もいじるべきではない。

こすり続けるととたんにいじめに見えてしまう。

プロ芸人さんですら、このさじ加減を間違えてちょくちょく炎上するぐらい難しい。

一番最悪なのは、いじられている相手不快な表情をしているのに周囲が笑い続けいじり続けているという状態で、これは完全にいじめである


相手より上の立場ならいじるな

上司が部下をいじるとか先輩が後輩をいじるとか、自分が上の立場にいるのであればいじるな。

どんなに仲が良かったとしても、そのいじりは「いじめ」や「パワハラ」を内包することになる。

相手からもいじられるぐらいの関係性なら成立するとはいえ第三者からみればいじめパワハラに見えるということはしっかり認識しておくべき。


なんにせよ、安易にいじるべきではないし、そもそも「いまここで笑いを取ることが本当に必要なのか?」を考えた方がいい。

失言系の炎上は、とる必要のない笑いをとろうとして炎上してるのがほとんどでみてられない。

公の場に立つような人間だけでなく、技術系のイベントなんかでも素人が取る必要もない笑いを取ろうとして炎上することがちょくちょくある。

ウケなんか狙うな、笑いなんかとらなくていいんだよ。

2024-10-19

日本底辺階級は終わりつつある

自身底辺所属しているので底辺階級と触れ合う機会が非常に多い。

一緒に働く仲間、取引先の労働者、みんな底辺ばかりだ。

その僕がしばしば感じることがある。

最近底辺たちは本当に仕事をしなくなったな、ということである

もちろん基本的作業はする。

やれと言われたことの最低限は実行する。

でもそこから仕事をする意欲がある人がすっかりと減ってしまった。

作業に対して創意工夫をしてよりよい成果を上げる。

そんな意識のある人がほとほと絶滅しつつある。

もちろん、もちろんだけれど、それが嘆かわしい、とかいってるわけでは「ない」。

安い給料で雇われているのだし、その雇用保証されているわけではない。

そんな会社に対して身を粉にして働く必要なんて無い。

ただ、ただなんだけど事実として以前はそうではなかった。

特に民主党政権を担っていた辺りの日本経済が底の時期、リーマンショック以後の数年間。

ブラック企業大手を振って跋扈していたあの時期の底辺たちは自分雇用を守るためにクソみたいな環境文字通り必死気持ちで働いていた。

もちろん、もちろんだけれど、それが理想状態である、言っているわけでは「ない」。

そんなこと、これっぽっちも思わない。

自身、あの頃のことを思い出すと、あの時あの状況あの時のアイツラの態度、この恨み晴らさずに置くものか……、、、と暗い気持ちに囚われかねないこともままある。

から、これは単なる事実としての記述なんだけれど、日本底辺社会労働レベルがとても下がっている、ということは現実に起こっている。

今は人手不足だ。

どれだけやる気がない素振り労働者でも戦力として使っていかないといけない。

そのことは底辺労働者自身が肌で実感している。

なかにはそういう状況だから、と開き直って堂々とまともな仕事をしようとしないものも多い。

妙な理屈をまくし立てて得意先で考えられないような問題を起こすものもいる。

最早、まともに働く気がある底辺労働者絶滅したのか?と思うときすらある。

これが現場の状況だ。

果たして、この事実日本社会にどういった影響を与えるのかはわからない。

ただ事実としてそこに存在するのは確かなことだ。

今、電車ホラーな会話を盗み聞きしてしまった

オリジナルファニーゲームはね、ほんっとにやばいよ」

心を漂わせながら電車に乗っていると、BGMだった環境音が突如として鋭利情報をもって脳を揺らしてくることがある。

吊り革を持った僕の向かいに立つ、マスクをした中年男性(以下おっさん)が、友人であろう斜め向かいに立つ同じく中年男性(以下友人)に放った”ファニーゲーム”とは、きっと映画史上最も不快作品と謳われているホラー映画のあれのことだろう。10年ほど前に鑑賞した記憶大脳から引っ張り出されてきた。

ところでファニーゲームオリジナルリメイクがあったことを知らなかった。僕が観たのはどちらだったんだろう。いずれにせよ、確かに記憶ではファニーゲームはなかなかに癖の強い映画だった。主人公に一切の救いがなく、作中大半は虐待行為構成された終始バイオレンス描写。あれはひどく人を選ぶような作品だろう。

おっさんリメイクもまあまあなんだけどさ、オリジナルはほんっとにやばいよ」

おっさんマスク越しに強く、しかし控えめに放つ言葉は、不特定多数空間を共有するー車両内にも関わらず、この三人の耳にしか届いていない。他の人からは、3分前の僕と同じようにBGMとして処理されている環境なのだろう。

この事実が、今いる空間限定性をより一層と深めていく。コトラーはこれを述べたかったんだなと近代マーケティングの父の顔が頭をよぎる。

しかし、僕が当時に観たものオリジナルなのかリメイクなのか気になって仕方なくなってきた。正直なところ、たしかに癖は強かった内容だが、僕の中ではそこまでの衝撃を残した作品というわけではなかった。

おっさん感受性がよほど豊かなのか。または、僕が観たものリメイクで、オリジナルは本当に脳裏に焼き付くほどの衝撃作なのか。

話を盗んで聞いているだなんて決して察せられないように、客観的には次の予定を確認するような素振りで、ポケットからiPhoneを取り出してファニーゲーム検索する。顧客本心をそう簡単には見せない。

そうやって二人にiPhoneの背を向けるようにしてリサーチをしてみると、二つの事実を入手することができた。

一つは、僕が当時観たファニーゲームリメイク版であったこと。

もう一つは、ファニーゲームは、オリジナルリメイクも、どうやら大して内容が変わらないようであること。

なんだそういうことか。つまりこの話は、おっさん感受性がよほど豊かだったというだけだったようだ。

こんな刹那的他人と偶然的に感性マッチすることなんて、そう簡単にあるわけがない。マーケティングがいつ何事にも通用する銀の弾丸だなんて勘違いしてはいけない。

iPhoneポケットしまい、活性化した脳を落ち着かせ、また心を漂わせる姿勢に戻ろうとする。

おっさんネットで調べると、リメイクオリジナルほとんど変わらないと出てくるんだけど、それは台本の話。オリジナルは、全然違う部分でほんっとにやばいよ」

驚くべきこのコトラーものの見事に僕の懸念払拭してきた。漂おうとしていた心は銀の弾丸によりぶちのめされた。

友人の相槌はとても控えめで、それは話の主導権を委ねることに決めたことを意味している。この山手線内回り3両目2扉前は、いつの間にか彼の手のひらで転がされていた。

なんならマスクをしているのも、口元が見えない為になんか謎めいているように見えて特別感を感じてきた。右手に付けたでかい数珠魔術師みたいでかっこいい。

全然違う部分って一体どこだ。それは自分の目で確かめろという示唆であろう、僕の考察力への期待さえ込めてくれている。

コトラーリメイクを観たことあるなら、なおさらオリジナルを観た方がいいよ、ほんっとにやばいよ」

その言葉最後に受け電車を降りた僕は今、ゲオの会員カードを握り締め、108分のファニーな冒険に出向こうとしている。

2024-10-11

貧乏人は独立系書店に行くな

私は本が好きだ。なるべく新刊を買うようにしている。

しか最近バイトが減ったこともあって本に使えるお金はあまり多くないので、買うときはなるべく吟味して本当に必要ものを買うようにしている。

先日も、以前から気になっていた小さな独立系書店に立ち寄る機会があり、いつものように陳列された本を吟味していた。

すると、

「長時間立ち読みはご遠慮いただけますか」

……え!私に言っているのか。

かに、私は15分くらい店内をうろうろしていた。ちょっと長かったかもしれない。

だけど一冊一冊はちょっとずつしか目を通していないし、決して「ここで読破してやろう!」ってわけじゃないんだが。

他の個人書店ではそんなことを言われたことがなかったので心底驚いた。

しか本屋も厳しい商売だし、と申し訳なく思ってしまい、そのとき手にしていた学食3回分の値段がする本を咄嗟レジに持って行ってしまった。

本に罪はない。でもモヤモヤした。

「売り物を汚い手で触るな」「買う気が無いなら帰れ」という言い分も分かる。あくま商売から

でも私は、本屋はいろんな人に開かれた場であってほしいと思っている。

しかも多くの独立系書店は、そのリベラル性によって客を集めている。

お前らは、在日朝鮮人トランスジェンダーに関する本を陳列してマイノリティ連帯する素振りを見せつつ、貧乏人は排除するのか。

インターセクショナリティ概念とは何だったのか

でもやっぱり、お金がない人は小さな新刊書店に行くんじゃなくて、蔦屋書店とかブックオフかに行った方がいいのかもしれない。

今度からそうしよう。

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