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2021-07-12

メロス激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿はなむことして迎える事になっていた。結婚式も間近かなのであるメロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺ろうやに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。「王様は、人を殺します。」「なぜ殺すのだ。」「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」「たくさんの人を殺したのか。」「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣よつぎを。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」「おどろいた。国王は乱心か。」「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」 聞いて、メロス激怒した。「呆あきれた王だ。生かして置けぬ。」 メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城はいって行った。たちまち彼は、巡邏じゅんらの警吏捕縛された。調べられて、メロスの懐中から短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以もって問いつめた。その王の顔は蒼白そうはくで、眉間みけんの皺しわは、刻み込まれたように深かった。「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。「おまえがか?」王は、憫笑びんしょうした。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁はんばくした。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟つぶやき、ほっと溜息ためいきをついた。「わしだって平和を望んでいるのだが。」「なんの為の平和だ。自分地位を守る為か。」こんどはメロス嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」「だまれ、下賤げせんの者。」王は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔はりつけになってから、泣いて詫わびたって聞かぬぞ。」「ああ、王は悧巧りこうだ。自惚うぬぼれているがよい。私は、ちゃん死ぬ覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落し瞬時ためらい、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」「ばかな。」と暴君は、嗄しわがれた声で低く笑った。「とんでもない嘘うそを言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」「そうです。帰って来るのです。」メロス必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」 それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑ほくそえんだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙だまされた振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかい奴輩やつばらにうんと見せつけてやりたいものさ。「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」「なに、何をおっしゃる。」「はは。いのち大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」 メロスは口惜しく、地団駄じだんだ踏んだ。ものも言いたくなくなった。 竹馬の友セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。暴君ディオニス面前で、佳よき友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。メロスは、友に一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で首肯うなずき、メロスをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。 メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌あくる日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊こんぱいの姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。「なんでも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 妹は頬をあからめた。「うれしいか。綺麗きれいな衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから結婚式明日にしてくれ、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄ぶどうの季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺こらえ、陽気に歌をうたい、手を拍うった。メロスも、満面に喜色を湛たたえ、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分からだで、自分のものでは無い。ままならぬ事であるメロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、「おめでとう。私は疲れてしまたから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」 花嫁は、夢見心地で首肯うなずいた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」 花婿は揉もみ手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈えしゃくして、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃であるメロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞かんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若いから名誉を守れ。さらば、ふるさと若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。メロスは額ひたいの汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気のんきさを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧わいた災難、メロスの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫はんらんし、濁流滔々とうとうと下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵こっぱみじんに橋桁はしげたを跳ね飛ばしていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟けいしゅうは残らず浪に浚さらわれて影なく、渡守りの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。メロス川岸うずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。「ああ、鎮しずめたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」 濁流は、メロス叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽あおり立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロス覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻かきわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍れんびんを垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼりのぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊山賊が躍り出た。「待て。」「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」「その、いのちが欲しいのだ。」「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒こんぼうを振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙すきに、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石さすがに疲労し、折から午後の灼熱しゃくねつの太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈めまいを感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天いだてん、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代きたいの不信の人間、まさしく王の思う壺つぼだぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎なえて、もはや芋虫いもむしほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐ふてくされた根性が、心の隅に巣喰った。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截たち割って、真紅心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺あざむいた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとうセリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだ。私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ。王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉人種だ。セリヌンティウスよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろう。正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉かな。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。 ふと耳に、潺々せんせん、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々こんこんと、何か小さく囁ささやきながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。水を両手で掬すくって、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復かいふくと共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。 私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス、おまえの恥ではない。やはり、おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 私は、正義の士として死ぬ事が出来るぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ゼウスよ。私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。 路行く人を押しのけ、跳はねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。「フィロストラトスでございます貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方かたをお助けになることは出来ません。」「いや、まだ陽は沈まぬ。」「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」 言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロス疾風の如く刑場に突入した。間に合った。「待て。その人を殺してはならぬ。メロスが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉のどがつぶれて嗄しわがれた声が幽かすかに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれたセリヌンティウスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。メロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧かじりついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若もし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」 セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯うなずき、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑ほほえみ、「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」 メロスは腕に唸うなりをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。「ありがとう友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。 群衆の中からも、歔欷きょきの声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」 どっと群衆の間に、歓声が起った。「

anond:20210712125327

2021-06-17

バイト日記

 先日、久しぶりに新人バイトが入った。その日は私とオーナーでのシフトだったんだけど、オーナー新人バイトトレーニング初日だということを事前に言ってくれてなくて、私は新人バイトが出勤するまでそれを知らなかった。

 新人バイト20きっかりに出勤してきた。当然私は新人の顔もなんもわかんないから、新人が店に入ってきたときお客様かなと思って「いらっしゃいませ」って言った。すると客かと思ったその人が私の顔も見ずに「……っよーござぁーっす」と言って目の前くを通過し、レジカウンターへ出入りするための小さいドアから入ってきたので、あれっ昼勤のパートさんかな? 最近新しい人増えたという話は聞いたことないけど、と思いつつ私は「おはようございます」と言い直した。すると相手は「はぁ?」って顔して私をチラ見しただけで事務所に入ろうとした。

 ちなみに、コンビニ事務所って店舗ごとに場所が違うものだけど、当店はレジカウンターの背後に事務所がある。しかし出勤・退勤の時にレジカウンターのドアを通って事務所に出入りするのは禁止されていて、店内にある裏口からの出入りとなる。だがオーナーがいなくて店内の客が疎らだったりすると、横着してレジカウンターの方から出入りするパートアルバイトは多い。とくにベテランの人はそれをやる。

 話を本筋に戻す。新人バイト事務所のドアに手をかけたちょうどその時、オーナーが、

「あーっ、ダメダメダメ! そんな所から入っちゃあ!」

 とフロアの端の方からクソデカヴォイスで言った。新人バイトは解せぬって顔をしていた。そこで私はやっと、その人が新人アルバイトしかも他店でバイト経験のある人だと察した。

 オーナー

「いきなりそんな所から入る人いないよねぇ。だってびっくりしちゃうでしょ、増田さんだってびっくりしたよねぇ、ねぇ 、増田さんびっくりしたでしょ!」

 と言った。そんなしつこく言わんでもと思ったけど、つまんないことでオーナーの機嫌を損ねると、余計に当たりがキツくなって厄介なんだよなぁと思い、

「えぇ、若干は。」

 と私は答えた。ぶっちゃけかなり驚いたけどな……。

 そんな訳で、初日から出勤時間ジャストベテラン出勤をしてきた新人バイトは、それから時間近く事務所こんこん説教されてからフロアに出された。オーナーが言うには、彼女は他店で長く働いていたので全ての業務を一通りこなせるそうだ。カフェマシン掃除マスターしているというからすごい、即戦力になれる! とオーナーは絶賛していたが、彼女が他店を辞めた理由が「シフトを減らされたから」と、希望する勤務曜日時間が土日の午前中のみと聞いて、嫌な予感がしてきた。よく考えてみろ、午前中にしか働いていない人がカフェマシンの洗い方を知っている訳がない。

 新人はまずレジ担当させられていたが、初日だというのにすごくダルそうに「っしゃーせー」と言い、だらだらとバーコードスキャンしていた。常連客のおじいさんがやって来て、「おっ、ニューフェイスが入ったんだねぇ!」と騒いでいたあと、そのおじいさんの会計新人バイトダルそうに対応していた。

 たぶん、シフトに入れてもらえなくて前の店舗を辞めたというのは、実質クビにされたのだと思う。コンビニバイトは愛想がない人が多くいるものだけど、ここまで無礼な人は久しぶりに見た。私はシフト被んないので、トレーニングが終わったら一緒に働くことはないと思うんだけど、たぶんこの人は続かないと思う。続けようとしてもそのうちオーナーの方がキレる。

2021-05-02

anond:20210502204200

都内。咳する人増えてる。先月中旬までは見たことない。黄砂花粉か分からないけど老若男女こんこんしてる。

2021-03-15

anond:20210315224743

今時白馬王子様なんて抜かしてたら5歳児でもなきゃ(なんならジェンダー教育的に5歳児の方がこんこんと説得されそうまである)アホみたいな夢見てんな自立しろとボロクソに言われると思うぞ

2021-03-11

郵便配達の人が鬼ピンポンしてくる

佐川とかヤマト配達前にLINEとかメールで通知が来るから時間指定しておいてその時間心構えしてればいいんだけど。

郵便局が持ってくる書留とか荷物は何の連絡もないから出られない。

というか申し訳ないけど出たくない。

ここ、NHKとか宗教勧誘とか変な売り込みが割と来るのよね…。

アポのないピンポンは出ない、これが都会の暮らし生存術だと思う。

しかもこの辺回って配達の人、めちゃくちゃピンポン連打するからNHK!?ってなる。

ピンポン!(3秒後)ピンポン!(3秒後)ピンポンノックこんこんこん!ってすごい警戒する。

そんなにノックするなら「郵便局で〜す」って声かけてくれた方がいいんだけど、そういうの規則かなんかでできないのかな。

2021-02-15

anond:20210215080258

ワイの周りは睡眠薬強制睡眠してる人間がわりとおるやで。

内科受診するときなんかお医者にお願いしたら処方もしてくれるやで。

一回試して一日こんこん眠り続けて怖くて飲んでないけど、分量調節したら6時間眠れるんちゃうかと希望もったわ。

医者は気軽にポンと出してくれた。もしも脳と体が限界で、疲れて泣きたくなったら睡眠薬に頼るのも手やで。

脳みそ大事にな。眠れんと記憶力が死んでいくんや。

2021-01-18

彼氏だいすき!早く会いたい!

彼氏と早く会いたい。会えないのは新型コロナウイルスのせい。コロナウイルスが猛威を奮っている冬の今はとりあえず会うのは控えましょうということになってしまった。2人で話し合って納得したことだけども、ふとした瞬間に彼氏に早くまた会いたいなーと考えてしまう。いや本当はふとした瞬間とかではなく、ほぼ毎時間のように会いたい会いたい会いたい!になっている。

会えない代わりに毎日寝る前にほぼ必ず電話していて、大好きな優しい声で好きということを毎日伝えてくれる。毎日寝る前に最高に幸せにしてくれる。 例えしばらく会えなかったとしても、この瞬間がずっと続くならこれも良いかなあと思ってしまうくらい毎日幸せになってしまう。

彼氏になってくれたこの人のことが本当に長い間好きで好きで仕方なかった。今の私は過去の私の憧れの中に居ます……ということを彼氏相手こんこんとまた説明してしまった。彼氏苦笑いしていた。好きで仕方なくて、今の状態が嬉しくて仕方ないということを伝える方法がそれしかない。私はお察しの通り文章も上手じゃないし、お話も上手じゃないから、ちょっと気持ち悪くてなってしまったとしても頑張って伝えていこうと思った。

ずっと仲良しでいれたらいいのになーと毎日思う。また明日も私のこと好きで居てくれたら良いなあ。彼氏だいすき。

2021-01-04

anond:20210104075523

死にたくはないけど、子供の育て方をまちがえたとしかいいようがない。46才でようやく、ベリログ C言語使いが こんこん べりろぐさーん。

という程度の遅さ

PHPだってハードにやこうと思えば焼ける。

2020-12-24

Twitterにはまった身内に愛想が尽きかけている

身内がひどいTwitter依存になってしまった。

常にフォロワーからのメンションを求めている。

会話もスマホを見ながらなのはまだいい。だけど、外食とき写真を何枚もとるのはみっともないからやめろ。食事中の会話をツイートするために突然スマホ開くのをやめろ。私が言ってもいないことを、さも私が言ったかのようにツイートするのをやめろ。「VTuberの絵描け」とか言った覚え無いぞ。

それと、私とのプライベートを赤裸々にツイートした挙げ句、それが原因でフォロワーに正確な住所を特定されてんじゃねえよ。

こういうことをこんこんと言って聞かせた次の日、あいつは私に怒られたことをTwitterブログネタにしやがった。信じられん。「妻との生活を大切にするためにTwitterを無期限休止します」つってたけど、私が何に呆れているか解ってて、本気で改めるつもりがあるならこんな真似できるわけないよな?この引退宣言で50ふぁぼぐらい稼げたから奴も心の内では火糞笑んでるんじゃないか女性フォロワーからも「帰ってくるのを信じてずっと待ってます」なんて言ってもらえてるしよ。ブログには「妻からあんはいつも口だけ。パフォーマンスだけは得意だ。と言われた」なんて書いてやがった。(そう言ったことはあるが結婚前の話でTwitterの件とは関係無い) そう言われた自覚があるならなおさらTwitterブログでの大々的な反省()こそパフォーマンスに他ならないって考えに至れなかったのが情けない。

口ではTwitter依存ネット依存を断ち切りますつってたけど、あいつは未だに会話のときスマホ見ながらなんだよな。てことはこのエントリー見つけるのも時間問題かもな。あいつはヘラヘラと「そろそろ許してくれるかな」なんて思ってるかもしれんが、そんなに甘かねえぞ。私はお前のふぁぼ稼ぎ用キャラクターじゃない。

2020-12-20

クンニ✋(👁👅👁)🤚をした相手妖怪だった時の対処

妖怪は情深いので

どれだけ素晴らしいクンニ✋(👁👅👁)🤚だったかこんこんと語り

もう一度クンニ✋(👁👅👁)🤚させてもらう

2020-11-07

職場虎ノ門ニュース信者がいる

昼食中に石破茂ジョー・バイデンいかに信用できない人物かをこんこんと語られ、適当に話を合わせながら聞いていたのだが、その後DHC宣伝をしだしたのでついに堪えきれず笑ってしまった。申し訳ない。

2020-09-24

anond:20200924113225

うちの夫も元増田の夫と似たようなもん。こんなになるまで何で妻を放置して自分はやりたい放題してるのか……私がうちの夫を十六年間観察し続けて思ったのは、夫の中の「夫婦像」がどえらく殺伐としていて、しかもその思い込みが強固なんだよね。他にも夫婦の在りかたってあるだろうといえば、夫にとっては夫婦というのはそれしかないんだな、本当に。

私の夫が思ってる夫婦像はこんな感じ。



これ一度に聞き出したんじゃなくて十六年間小出しに聞いてきた夫の価値観なんだけど、書き出してみるとすげーな!と感心してしまったわ。何でこんな糞みたいな価値観が形成されて来てしまったのかというと、夫周りにはろくな同性の先輩や友達がいないからなんだよね。親だってかなりのもんだし。夫の子時代父親母親を酒瓶でぶん殴って母親が流血とか、そういうんだもん。

から離婚だ!」なんて脅しにもならないわけ。離婚するのをおかしいと思ってないから。女は卑怯な生き物だからいつだって男を捨てて逃げて行くものだと固く信じて疑わなかったせいで、物凄い人数の女遍歴があるわけだが、長くて一年未満しか続かないという。

でもうちの夫は十六年でだいぶ変わった。さすがに毎週末はキャバクラ風俗梯子して朝帰りなんかしなくなったし、私の話を少しは聴くようになった。

でもそれは私の努力が実ったんじゃなくて、単に夫の置かれる環境が変わっただけ。転職したら、職場の先輩や同僚に愛妻家が多くて、夫は自分価値観で家のことや私の悪口を話したりしたら、同僚や後輩に本気で引かれたり、先輩や上司こんこん説教されたりして赤っ恥かいたのが利いたみたい。

あと、子供ができたことで幼稚園行事などを通して他所の家庭の旦那さんと知り合ったのも大きいと思う。これまでの女を泣かせた自慢でマウントが取れた人生が、全然自慢にならなくて、良い旦那・良いパパ選手権みたいな……まあ夫が勝手に張り合ってるだけなんだけど……それに負けたくなくて、最強の愛妻家になりたがってるみたいだよ。私はなんかガックリしちゃうけど、前よりはずっとマシだからあいいか、と思って諦めた。そんなことより私は私の楽しみを見つけようと思って……。

2020-09-09

セックスしながら走れドスケベメロス 第四話

前回までのセックスしながら走れドスケベメロスは……

 あのえちえち王に、スケベ人のスケベ信実のスケベ存するところをスケベ視姦(み)せてやろう。そうしてアクメ笑ってえろえろ磔のむらむら台に上ってやる。ドスケベメロスは、悠々とエロ身仕度をはじめた。

 さて、ドスケベメロスは、ぶるんセクシーな両腕と発情奴隷の尻毛か陰毛かの区別のつかない剛毛が激しく自己主張するクソスケベなデカ尻を大きくエロ振って、感度3000倍媚薬雨中、ドエロ矢(アロー)の如くセックスしながら走り出た。

♪アクメの声が聞こえてクるよ

「あたいの名前パイオーツ・D・カイデー

 視姦(み)よ、前方の感度3000倍の媚薬原液流れる川、その名前感度3000倍媚薬原液川を。

 突然、目の前に一隊ガンギマリアクメしている女山賊がガンギマリアクメしながら躍り出た。

 

 

「待て♡待って♡イグゥ♡」

「何をするのだ。私はセクシー陽の沈まぬうちにえちえちセックス王城へ行かなければならぬ。放せ。」

「どすけべっこい放さぬ♡持ちもの全部を置いてイけ♡イッちゃえ♡」

「私にはいのちんぽの他には何も無い。その、たった一つの命んぽも、これから王にくれてやるのだ。」

「その、いのちんぽが欲しいのだ♡はやくよこせなのだ♡おぽぉ♡」

「さては、えちえち王のスケベ命令で、ここで私を待ち伏セックスしていたのだな。」

 ガンギマリ女山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒(クソデカディルド)をまんこからブチ抜いて振り挙げてアクメした。ドスケベメロスは体毛マシマ発情奴隷セックスしながらひょいと、卑猥からだをセクシーに折り曲げ、スケベ飛鳥の如く身近かの一人にエロいかかり、その棍棒(クソデカディルド)を華麗に淫靡に且つ妖艶に奪い取って、

「気の毒だが性義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人の体外ポルチオを殴りアクメ倒して脳に快楽電気信号を送るだけのバイオ玩具になるまで棍棒(KDD)で子宮をぐっちゃぐちゃエロ掻き回し、残るドM助平者のひるむ隙に、さっさと走ってセックス峠を下った。一気にセックス峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から淫靡まり無い日のエロスとカオスリビドー渦巻く午後のスケベ灼熱のセックス太陽がまともに、かっと照って来て、ドスケベメロスは幾度となくアク眩暈を感じ、これでアクメしてはならぬ、とスケベ気をエロ取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりとセクシーな膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。発情奴隷騎乗位でセックスされながらスケベ天をエロ仰いで、くやし泣きに泣き出した。射精きっかり5㍑射精した。ああ、あ、媚薬濁流をセクシーに泳ぎ切り、ガンギマリ女山賊を三人もアクメ撃ち倒しセックス韋駄天、ここまでスケベ突破して来たドスケベメロスよ。真のスケベ勇者、ドスケベメロスよ。今、ここで、アクメ疲れ切って動けなくなるとは情無い。はしたない。だらしない。いやらしい。クソスケベい。愛する穴友は、おまえをエロ信じたばかりに、やがてアクメ殺されなければならぬ。おまえは、稀代の不信のスケベ人間、まさしくえちえち王の思う肉壺だぞ、と自分エロ叱ってみるのだが、全身4545194回シコったちんぽのように萎えて、もはや卑猥発情芋虫ほどにも前進かなわぬ。セックス路傍の感度3000倍の媚薬の原料となる草が生えた草原、その名も感度3000倍媚薬草原にごろりと寝ころがった。発情奴隷は突然の寝バックの体勢にうれしくってうれしくって身体がアクメを歓迎していた。身体疲労すれば、精神も共にえちえちやられる。もう、どうでもいいという、スケベ勇者に不似合いな不貞腐れたスケベ根性が、スケベ心の隅にエロ巣喰った。私は、これほどえっち努力したのだ。えちえち約束を破るスケベ心は、みじんも無かった。変態神も視姦(しょうらん)、私は精一ぱいにえっちに努めて来たのだ。アクメ動けなくなるまでセックスしながら走って来たのだ。私は不信のスケベ徒では無い。ああ、できる事なら私のえっちな胸を截ち割って、ドスケベ真紅のドスケベ心臓をおドスケベ目にドスケベ掛けたい。ドスケベ愛とドスケベ信実のドスケベ血液だけでドスケベ動いているこのドスケベ心臓を視姦(み)せてやりたい。けれども私は、この大事なドスケベ時(タイム)に、ドスケベ精もドスケベ根もドスケベ尽きたのだ。私は、よくよく不幸な助平男だ。私は、きっとエロ笑われる。私のスケベ一家エロ笑われる。私は穴友を欺いた。セックス中途で倒れるのは、はじめから何も射精しないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定ったセックス運命なのかもエロ知れない。セックスリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私をエロ信じた。私も君を、エロ欺かなかった。私たちは、本当に佳い穴友と棒友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑のスケベ雲を、お互いえっちな胸に宿したことエロ無かった。いまだって、君は私を無心にアクメ待っているだろう。ああ、アクメ待っているだろう。射精(ありがとう)、セックスリヌンティウス。よくも私をエロ信じてくれた。それを思えば、たまらない。白いおしっこ射精(で)ちゃう。穴友と棒友の間のドスケベ信実は、このスケベ世で一ばん誇るべきセクシーなのだからな。セックスリヌンティウス、私は毛むくじゃらの発情奴隷セックスしながら走ったのだ。君をエロ欺くつもりは、みじんも無かった。エロ信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。媚薬濁流をセックスしながら突破した。ガンギマリ女山賊の囲みからも、するりとセックスしながらエロ抜けて一気にセックス峠をセックスしながら駈け降りて来たのだ。私だからセックス出来たのだよ。ああ、この上、私にスケベ望み給うな。感度3000倍媚薬漬けにして放って置いてくれ。どうでも、イイのだ。私はアクメ負けたのだ。だらしが無い。アクメ笑ってくれ。えちえち王は私に、ちょっとおくれて来い、とえっちえちに耳打ちした。おくれたら、身代りをアクメ殺して、私をアクメ助けてくれると約束した。私はえちえち王のえろえろ卑劣をむらむら憎んだ。けれども、今になってみると、私はえちえち王の言うままになっている。私は、エロおくれてスケベ行くだろう。えちえち王は、ひとりオナ合点して私をエロ笑い、そうして事も無く私をアクメ放免するだろう。そうなったら、私は、アクメ死ぬよりつらい。私は、永遠にエロ裏切者だ。スケベ地上で最も、不名誉のスケベ人種だ。その名もスケベ地上最不名誉スケベ人種だ。しかジャングルセックスをしている。セックスリヌンティウスよ、私もアクメ死ぬぞ。君と一緒にアクメ死なせてくれ。君だけは私をエロ信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、自慰ックス(ひとりよがり)か? ああ、もういっそ、スケベ悪徳者としてアクメ生き伸びてやろうか。スケベ村には私のラブ家(ハウス)が在る。感度3000倍の媚薬乳を出す淫乱羊、その名も感度3000倍媚薬淫乱羊も居る。美っ痴妹夫婦は、まさか私をスケベ村からエロ追い出すような卑猥事はしないだろう。性義だの、スケベ信実だの、スケベ愛だの、考えてみれば、くだらない。スケベ人をアクメ殺して自分がアクメ生きる。それがスケベ人間世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切りスケベ者だ。どうとも、勝手にアクメするがよい。やんぬる哉。――いやらしいふしだらな四肢を投げ出して、うとうと、しこしこ、くちゅくちゅ、ぴゅぴゅっ、まどろんでしまった。ジャングル発情奴隷はドスケベメロスが寝転んでいるのを卑猥(い)い事に、ドスケベメロスの情けない乳首をだらしない舌とはしたない指でいやらしくいじっている。「お胸におちんぽが生えたみたいでちゅね。」などと勝手卑猥な事も言った。

 ふとセクシーな耳に、潺々(せんせん)、水の流れるいやらしい音が聞えた。そっとピンク色のSukebeImaginationだらけの頭を卑猥にもたげ、クソスケベな息を呑んで耳をすました。すぐえっちな足もとで、感度3000倍の媚薬が溶け込んだ水、正に感度3000倍媚薬水が流れているらしい。感度3000倍媚薬水は普通の水とは音のセクシーさが違う。よく美っ痴妹が「あ゛~~~っ♡♡媚薬水の音ほお゛お゛ぉお゛っ♡♡♡」とはしゃいでアクメしていたのでドスケベメロスエロ知っていた。よろよろとパコリたての淫乱小鹿のように起き上って、視姦(み)ると、えろえろ岩のえっちな裂目から滾々(こんこん)と、何かデスアクメ直前の発情雑魚雌犬のように小さくエロ囁きながら感度3000倍の媚薬が溶け込んだ清水、その名も感度3000倍媚薬清水が、初めてアクメしたピュアマンからいやらしく出てきた性的な体液のように湧き出ているのである。そのエロ泉に吸い込まれるようにドスケベメロスセクシーに身をかがめた。媚薬水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、身体じゅんじゅん熱くなって、夢から覚めたような気がした。セックスしながら歩ける。このモジャマンコとセックスしながら行こう。スケベ肉体の疲労恢復(かいふく)と共に、わずかながらエロ希望が生れた。えちえち義務遂行のスケベ希望である。わが身をアクメ殺して、スケベ名誉をスケベ守るスケベ希望であるセクシー斜陽はえっちな赤いスケベ光を、媚薬樹々の媚薬葉にエロ投じ、媚薬葉も媚薬枝も燃えるばかりにスケベ輝いている。セクシー日没までには、まだセックス間がある。私を、エロ待っている人があるのだ。少しもエロわず、静かにスケベ期待してくれている人があるのだ。私は、えちえちに信じられている。私の命んぽなぞは、エロ問題ではない。アクメ死んでお詫びアクメ、などと気の卑猥(い)い事はエロ言ってスケベ居られぬ。私は、えちえち信頼にむちむち報いなければならぬ。いまはただその一事セックスだ。ヴァギナアナルもモッジャモジャのモジャな陰毛ジャングル発情奴隷セックスしながら走れ! ドスケベメロス

To dosuke be continued……

2020-09-08

anond:20200908234603

うこんうこんうこんうこんうこんこんうこんうこんうこんうこんうこん!

2020-08-26

Aセクノンセクと失恋した客の話

最近話題になってる漫画(ノンセクの人を好きになり勢いで付き合ってもらったものの、性愛関係がないことに耐えきれずキスしてもらって別れた話)のことを考えてて思い出した事がある。

ピンサロで働いてたのだが、そのときフリーで当たった客がフラれたてホヤホヤだった。

どうやら男友達で集まって慰めの会をしているらしく、私はまさにその主役に当たった。

飲んでお姉ちゃんと遊んで忘れようという男の友情、ほんとにあるんだなーーと感心したが、ご本人はいざ席に案内され、見知らぬ女の子と2人きりになり、冷静になってしまったらしい。

普通に会話をし、いざサービス、と至りたかったが、どうしてもそんな気分になれない、それより話を聞いてほしい、というので、店に入って数ヶ月のまだウブだった私は素直にしたがった。

いかに好きだったか、まだ好きなんだ、でも無理なんだ、みたいな話だったと思う。

結果私は呼び出され、店のボーイにしこたま怒られた。ここはピンサロなんだからサービスしろと。

本人が無理って言ってるんです、と素直に話したところ、ボーイがお客さんと話して、結局途中で帰ることになった(んだと思う、記憶曖昧)。

見送りをするために席に戻ったけど、まぁ気まずいこと。

本人が納得して払ったおかねでノンサービスならそれでもいいじゃん、と正直思ったし、そのとき本人が求めていたのは、人肌じゃなくて気持ちの寄り添いだったんじゃないか、と思う。

今考えれば店の売り物は女の子セクシャルサービスであり、それ以外はあくまトッピング、そうじゃないものをメインにするなら別のお店に行ってくれという話なのはわかる。

このお客さんが帰った後もボーイにこんこん説教されて、正直納得いかんと思ったけどめんどくさいのでわかったことにしておいた。

ちなみに外見がだめだったとかではない、と信じたい。一応ランカーに入れたくらいなので……。

で、冒頭のノンセクAセクの話に戻るんですけど

自分ピンサロで数年働いたけど正直めちゃくちゃ相性のいい仕事だった。

私はスキンシップが大好きなメンヘラだったし、腐女子としてネタめにも事欠かなかったし、金ばらいはいいし……。

そう、スキンシップ大好き人間なので、「人と触れるのが嫌」「握手も無理」「同性でも抱きつかれたりするとゾッとする」というのが全くこれっぽっちも理解ができない。

幼い頃は同性の友人にすぐ抱きついてたし、旦那にはすきあらばチューしたい。

※だがセックスはそんなに好きではない。それよりオナニーのほうが安心して気持ち良くなれる。

スキンシップが苦手(または不要)なことと、ノンセクAセクはまた別の話かもしれないけれど、絶対要件くらいにはなるんじゃないかな……、と思いつつ、失恋ピンサロ相手性愛より親愛を求めた男の子も、その時の気持ちは近かったんじゃなかろうか。

これはノンセクAセクの人にとってはとんでもない暴論だと重々承知ではあるんだけど、スキンシップ大好き人間が、「スキンシップは苦手、無理」という感覚がどんなものなのか、共感できずともなんとなく理解的な何かをするために思い出したのが彼だったという、とりとめのない話です。

ところでノンセクAセク、きちんと理解しているわけではないので、スキンシップ等も含めて無理という感覚絶対必要条件だったら、もう「汝は森で、我はたたら場で暮らそう」以外ないんじゃないか、と一瞬思ったんだけど、そうじゃなくて、理解できずとも共存できる世界がこれから出来上がってくんじゃないですかね。

そうだといいなぁ。

指向においてはマジョリティである自分エントリが、誰の目にも触れず触れたとしても誰かを傷つけませんように。

※読み返していて思ったんだけど、大好きな旦那とのセックスよりもオナニーのほうが安心してイケるというのも、性愛の性指向一種なのかもしれない。

私は旦那とのセックスも(妊活中なので)やぶさかではないが、嫌だと思っている配偶者に無理やり強要して致すのは、結局片方のセクシャリティ毀損しているのかもしれない。

ネットでは「したくない側に寄り添うべき」という意見を多く見かけたように思うが、恋人間、夫婦間でお互いが納得しているのであれば、それは他人が口出すことではなく、当事者同士で慮ってやるべき範囲の話と思う。

2020-08-24

anond:20200824072135

おいしいとこだけ もってかれたー

あいつらはー

ぐーるめじゃなーい

なーん かいも こんこんこーん

2020-08-22

anond:20200822005454

地方公務員市町村職員おすすめ

「誰の金で食わしてもらってるんだ!」とか「あなたたち税金もらってるんでしょ!?」とか「取るものは手早く取るくせに出すものはなかなか出さない」とか「こんな涼しいところでボーっとしてたまに電話取って口だけ動かしてりゃ金がもらえるなんておめでたい仕事だな!」とか「外で汗をかく仕事をしてる人間気持ちがわからないやつに市民を助けることなんかできねえよ」とか言われるし、法律で決まっていてどうにもならないことを説明しに来いと市民宅に呼びつけられて休憩なしで半日こんこん説教をされたり窓口でバンバン机を叩かれたり指を指されてくるくるパーのジェスチャーされたり生活保護の人が毎日出勤してきて政治哲学と噂話を説いてくれたりするし、OBはほぼみんな物分かりが悪くなってモンスター化しているし、突然に議員さんがやってきて変なお願いを振りかざしてワーワー騒ぐし副市長に言うぞとか嘘松だろと思ってたら本当に副市長に言われて方向性真逆になったりしたり、まあいろいろおもしろいよ!

2020-08-06

何様薬剤師に当たった

水虫が1年ぶりに再発して薬を貰いに行ったら、研修中の札つけた薬剤師男に「ちゃん医者に行って完治したのを確認したのか」と責められた

忙しくて覚えてない、多分行ってないと言ったらさらこんこん説教を食らった (思い返すと、薬使い切りさえすれば来なくてOK医者に言われ、使い切ったので行かなかった…が忘れていた)

言うことは正論だけど言い方ってもんがあるし、患者不手際を責めるのは調剤薬局薬剤師仕事じゃねーだろ

こういう何様薬剤師はもう一度研修やり直してきてほしい

2020-07-02

anond:20200702231504

こんこん

ぱかっ

かしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃかしゃ

2020-06-30

この道は私に向いてない

 歯学部四年目。現在絶賛実習中。実習内容は模型を使って入れ歯を作ったり、模型の歯を削ったり。

 実習をするたび、この道は自分に向いてないな、と思い知らされる。

 群を抜いて不器用で、誰よりも下手くそ。何をやっても遅い。先生に手伝われながら、こんこん説教される始末。あまりの出来の悪さに、私の将来が心配になるらしい。完全に落ちこぼれだ。

 歯学部に入らなきゃよかった、と思うがもう遅い。なんせ四年経ってしまった。今更辞めますと言っても親も誰も納得してくれない。

 というか、四年経たないと向き不向きが分からない職業って何だよ。入学試験に実技とか入れとけよ。どんな実技かって言われたら答えに詰まるけど。でも、そうしたらお受験勉強だけできる奴が紛れこむことが、今よりもずっと少なくなるだろうに。

 歯学部卒業したら、普通歯医者にならずに、研究の道に進むか。それとも会社員とか歯医者と全く別の道に進むか。

 でも、研究したいこともないし、会社員になるにしたって、エクセルもろくに扱えない人間なんか雇ってくれるわけがない。それにエクセル勉強する気力も湧いてこない。新しい道を見つけて進む努力すら億劫だ。そんな力、どこにも残ってない。あったらとっくに辞める算段をつけてる。

 これを読んだ人は、歯医者になるな、辞めちまえと思うだろう。逆の立場なら私だってそう思う。こんな歯医者治療されるなんか嫌だもんな。

 でもそんなこと言わないで欲しい。これはただの愚痴から。深夜に書いたただの愚痴。また明日になったら教授に睨まれながらちゃんと実習するさ。

2020-04-16

ネトウヨだったけど今は政治民族日本もどうでもよくなってダラダラ平和に生きてる

そんな俺が当時なんでネトウヨになったのか自分なりに振り返ってみようと思う。

きっかけは高校2年生の時に出会ったゴーマニズム宣言

普段、夕食後にナイター中継見ながら「吉本隆明がどうたら」「西部邁がどうたら」そんなことばかり雑談してる父親と兄が、「ゴーマニズム宣言はあれヤベえよ……」と苦笑いしているのが耳に入ってその存在を知った。

なぜか興味を抱いた俺はそれがどんな本なのか訊いてみたら、二人ともしまったとでも言いたげな顔で言葉を濁し、「いや、お前が読んだら絶対に訳も分からずハマるから教えたくない」と逃げられた。

そんなふうに言われたらむしろ興味が強くなる。

早速、学校の帰りに大型書店に立ち寄った。残念ながらゴーマニズム宣言は置いてなくて(記憶が確かならとっくに絶版になってたからだったと思う)、仕方なく「戦争論」のほうを購入した。

家族予言通り俺はドハマりしてしまった。

一応、書いておくと俺はそこらへんのアホ高校に通う勉強なんてしたことないバカ学生だったから、歴史公民ともに全く知識がなかった。

戦争論に書かれている刺激的な言論にやられて、人が変わったように昭和史勉強を始めたとかい事実も一切ない。

それにもかかわらず俺が戦争論にハマったのは、悪役として据えられてるキャラアメリカ護憲論者?)を主人公日本小林よしのり?)がボッコボッコにやっつけて、徹底的にディスるのが気持ちよかったから。スカッジャパン見て留飲下げてる人と全く同じ心理

正直言って、本の内容は全然理解できてなかった。大人になった今ですら戦争論で何をどういう論点で掘り下げていたのか全く思い出せない。そして、今もう一回読んでも無学ゆえに理解できないだろう。

で、なんで当時の俺にそういうスカッポルノ物語が響いたのか?もうこれは俺が嫌われ者だったからとしか言えない。

見た目はオタクのくせに不良ぶりたがる、一周回った可愛げもなくとにかく協調性がなく、からかい半分に相手挑発することをニヤニヤ言う。

そんな俺はまあとにかくクラスから嫌われていた。男女問わず嫌われていた。

疎外されるのも自業自得なんだけど、そのくせ俺は周りに嫌われてる事実に傷つき、挙句、「人生彼女ができない。童貞捨てられない」的悩みも同時に抱えてとにかくイライラしていた。

自業自得なのに人生や世の中や周りを人間を恨んでいた。

そんな人間スカッジャパン出会ったらそりゃハマるよなあと今となっては思う。

逆恨み由来で膨れ上がったはち切れんばかりの攻撃性をあの本が代わりに解消してくれたような感じだ。

兄が俺をゴー宣に触れさせないよう慌てていたのは、俺の人間性に大問題があってなおかつクラス嫌われ者であることを察していたからな気がする。

「(あの本にハマるのはまさにこういう奴だろう)」、そんな危機意識があったのではないかと。

そこから先はお定まりルート

俺は韓国韓国人、在日朝鮮人戦後民主主義左翼を忌み嫌うようになった。

「お前そんなこと言っていいわけないだろう。理屈もなにもねえよ」というような蔑称ヘイトにキャッキャキャッキャと歓喜し、瀬戸弘幸桜井誠天才思想家として崇め奉った。

そして俺にとってスターといえばイチローでもダルビッシュでもなく、自民党タカ派議員だった。

2chに差別書き込みをした回数は1000じゃまったくきかないと思う。

夕食後、父親と兄との雑談に俺が混ざるようになったのもちょうどこのころだった。

学校で起こった楽しい話なんてないもんだから、なんの脈略もなく「韓国がさあ~w」「中国がさあ~w」という調子で読んだばかりのヘイト本の内容を面白おかしくニヤニヤと披露する。

そのたびに父親は決まってウンザリしたような顔で「お前、そんな差別的な話を俺は家で聞きたくないよ。もっと楽しい話してくれよ」と露骨に眉をひそめ、軽蔑したような冷めた顔でそのやり取りを見守っていた兄が痺れを切らして「おめえいい加減にしろよ、黙れよ」と一喝する。

そんな流れが毎日だった。

ただ、このときの俺がとにかく恐れていたことが一つだけある。

それは「愛国心を盾にした差別はよくない」という至極まっとうな意見世間常識となることだった。

厳密に言うと、当時も今もそういう社会常識は当然みんなに共有されているということになっている。

学校会社ネトウヨ言論をかまそうものなら普通に窘められ、あいつは頭がおかしいということになるだろう。

ただ、当時はネトウヨネトウヨ言論もまだまだ隠れた存在で(ネトウヨというスラング自体は耳にしたことある人はもう多かったと思うが)、「変な人のことだとは思うけど、実際になにがどうなってんのかは知らない」程度にしか一般的認知されていなかったと思う。だから、2chで俺を含む差別的な連中がどんだけ跋扈しようが見つからなかった。

世間には「差別は許されない」という当然の常識が共有されている一方で、ネットアングラ部分ではネトウヨ思想がすごい勢いで盛り上がるという対照的状態が続いていた。

「もしもネットネトウヨブーム世間の人に気付かれたら彼らの良心によって潰されるだろう。そしたら俺のフラストレーションの解消の場がなくなってしまう」

そんなふうに俺は恐れていた。

俺の嫌な予感は当たった。

やがて、ネトウヨ存在一般的認知され始め、密教から顕教に変わっていった。

ただ、予想外だったこともある。

ネトウヨはやっぱり「あいつらとんでもねえ」とバッシングされはしたんだけど、それと同時に「あんなのはごく一部。差別者なんて実際はほぼいない。広まってもいないネトウヨ思想危機感を抱くのは未熟者だからはい、この話終わり」とでも言いたげな耳を塞ぐ態度を頑なに守り続ける勢力も相当いたことだった。

はてなでよく見る「観測範囲問題」という指摘と同じ。


これに俺は凄く救われた。こういう逆張りというか、冷めたポーズを取ってくれる連中がいてくれれば俺の、俺たちネトウヨの居場所は守られる!と安堵した。

ネトウヨ思想が広まりかねない。危険だ」という意見ネトウヨでもないネットから「そんな奴みたことないんだけど?よっぽどレベルの低いコミュニティにいるんだね~」みたいなレトリックでよく小馬鹿にされていたのを覚えている。

ネトウヨ本が書店平積みされ飛ぶように売れ、ヘイトスピーチなんてのが社会問題になって、身元隠してないTwitterアカウント主婦社会人ネトウヨ思想を全開にしている、そんな現在を考えると、ネトウヨ思想流行という当時の懸念は正しく、そして、冷めた態度で小馬鹿にする勢力ネトウヨ追い風になったのは当たってたなあと思う。

ネトウヨ時代の俺も日本がここまでなるとは当時想像だにしなかったから。

政治とか右翼だとか左翼だとか韓国とかそういうの一切合切に俺が興味なくなったのは大学入学とほぼ同時だった。

大学合格後に兄に部屋まで呼び出され相当真剣に将来を案じることを言われ続けたからだ。

要約すると、「偏見を捨てろ。周りに親切にしろ。心を入れ替えろ。ていうか今の人間性のままだとお前人生終わるよ」、そんなことをマジのマジのマジのテンションこんこんと聞かされた。

「親父もお袋も相当心配してるぞ。お前結局友達いなかったろ」、特にこれが半べそかくほど効いた。

自分が好かれるわけがない、擁護しようのない人間だという自覚は深いところで抱いていたので、大学では心を入れ替えて普通に友達作って楽しく過ごそうと思って大学生活をスタートさせた。

まもなく、普通に友達が何人かできて、一緒に遊ぶようになって、まるで憑き物が落ちたかのように俺のなかから世の中や人に対する攻撃性が萎んでいった。

気付いたら政治とかどうでもよくなっていた。ていうか在学中に在日友達もできた。彼女はできなかった。

今は普通にのほほんと生きている。

選挙にはあんまり行ってない。

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