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はてなキーワード: ハッピーエンドとは

2022-04-21

読み終わった詩集と、非BL小説とか。

『あの人ひとりがこの世のすべてだった頃』(ナ・テジュ)

ナ・テジュとは。

 元小学校教師作家詩人詩集『花を見るように君を見る』が人気ドラマの中で使用されたり、BTSの誰だったか愛読書として紹介されたとかで大ヒット。現代若者に人気なので当人もお若いのかと思いきや、1945年まれである

増田感想

 普段、詩はあまり読まないのだが、何がきっかけか忘れたけど数年前に「韓国はいいぞ!」とネットで読んだことを思い出した、ちょうどその時にこの詩集が目に留まったので、読んでみた。

 前半は初々しい恋愛の歌が多く、青春ですなあ! って感じだが、しだいにああ人生! って感じの愁いのある詩が増えていく。一人の少年が成長し大人になっていくのを見守った気分。一番最初の「草花」なんてピュアほわほわしてるが、終盤の「冬の恋歌」なんてガッツリ大人の恋……だいぶ踏み込んでる感じの……。

 「道を掃きながら」「新しい道」は道がキーワードになっているからか道教とか儒教みがあり……日本にも渡来根付いている思想な訳だが、自分自身にはあまり馴染みがない。そのため、近くて遠い隣の国ではどのように受け止められてるんだろうなあ、と思いを馳せたりとか。詩以前に、韓国文化全体を私は何も知らないんだよなあ。

 日本の伝統的な詩である和歌のことだってよく知らないのに、韓国詩を読んで私はどこまで理解共感出来ているのだろうか。これを機にも少し韓国文化を知ろうと思った。

 「韓国はいいぞ!」とネットで読んだ時に、試しにネット上に載ってるハングルで書かれた詩(尹東柱だったかなあ)をぐーぐる翻訳にかけて音声で聴いてみたところ、まるで花びらや木葉螺旋を描いて舞い落ちるかのように韻を踏んでいたので、いいのかどうかは知らないがすごいなと思った。ナ・テジュの詩も韓国語で聴く日本語で読むのとはまた違った趣があるのだろうか?

 装幀も挿し絵も綺麗でかわいい自然を詠んだ歌が多いので、挿し絵も自然風景が多いのだが、時々街の風景画もある。韓国映画で見たことのある建物のあの感じ。飾り気がなくてちょっと陰と侘しさのある佇まいに異国を感じる。


『紺極まる』(長野まゆみ



あらすじ

 予備校講師川野は突然妻に三くだり半を突き付けられた。独り身となった川野は安い部屋をネットで探して仮契約し、前金も払い込んだ。ところが、荷物を持って新居に行ってみると、そこには先住者がいた。

 先住者である学生によれば、その部屋は彼の祖父の持ち物で縁故者にしかさないのだという。明らかに詐欺に遭った川野をにべもなく締め出そうとする学生・真木敦。意地になった川野は粘り倒して真木の部屋にルームシェアという体で居座った。

 しばらくしたら自分で新たに部屋を探して出て行く約束だったが、川野は意外と住み心地のいい真木の部屋に、ついずるずると長居をしてしまう。



増田感想

 同作者の短編集『鳩の栖』収録の『紺碧』『紺一点』の続編。『鳩の栖』を先月か先々月に読んだので手に取ってみたのだが、あれっ、こんな話だったっけ? 読んだ本の内容をすぐに忘れてしまう性分をまた発揮してしまたかと思ったが、主人公川野同居人・真木が『鳩の栖』ではまだ中学生だったのが、本作では高校卒業して浪人生になっていたので、キャラストーリー雰囲気が違って見えて混乱しただけのようだ。

 実際、今となっては『鳩の栖』の方はどんな話だったか忘れてしまったのだが……真木よりは真木の親友・浦里の方がメインだったような気がしたけど、違っただろうか。

 物語は新キャラであり主人公である川野視点で進んでいくのだけど、内容は真木観察日記みたいな感じ。真木が親友の浦里に片恋慕している様を温かく見守る的な。川野個人にも過去エピソードがあったりして一応個性があるのに、主人公にしては存在空気に近い。少年漫画にたまにいる、語り手ではあるが主人公ではないキャラみたいな。たとえば『シャーマンキング』のまん太くらいの存在感。

 途中から登場する真木の兄・真木寧のインパクトがすごい。真木寧イケメン描写がめちゃ詳細で納得感がありまくる。長野ワールドイケメンは、顔貌の良さ以上に肉体美や立ち居振る舞いの優雅さや無駄のなさで表される。凄すぎて川野存在感が一層霞んだ。そんな真木寧が、川野大人責任として弟・敦の相手をしてやれと迫る。現実にはないクレイジー価値観だ。

 普段は「外商御回し」と揶揄されるくそダサとっちゃん坊やスタイルを貫く真木が歳なりの服装をした途端、がっついてくる肉食系女子川野対話が、さもしくて印象に残った。耽美とさもしさの絶妙バランスがいい。

 同時収録の『五月の鯉』『此の花咲く哉』は真木と浦里の高校時代の話なので川野の出番0。ほんとうに、主人公の癖に川野って一体なんだったんだ……。真木寧の恋人行司文崇登場。真木寧のインパクトも凄かったけど行司文崇もだいぶパンチが利いたキャラだった。美味しいとこ総取りカップルおそるべし。

 まあなんだかんだ、真木と浦里がハッピーエンドっぽくてよかったです。




その他。

 『石橋防衛隊個人)』(ウノハナ)をpixivで試し読み。表紙がカッコいいが、絵柄が二十年前っぽい雰囲気だなあ。商業BLにはこういう懐かしい画風がいまでも普通に残っている。ストーリー面白そう。けど某大ネタならもっと筋肉盛った暑苦しい絵柄で見たい気もする。

 でも買って読みたい候補に入れておこう。と思ったが、今月末には推し雑誌Canna』が発売されるし、使えるお小遣いが限りあって新規開拓は無理そうなことに気づいた。かなしい!

 

2022-04-18

anond:20220411092140

俺が毒電波人夫の脳に発狂爆弾を構築したと思っているんだろう。そんなことはしていない。爆弾は既に頭の中にある。脳がそれに到達すると存在に気がつくだけだ。

社会に触れて、つまり世俗の薄汚い連中の規範思考を慣れさせると、発狂爆弾は頭に潜む。世間というのが既に狂っているのだ。

そして、思索を深めると深めるだけ、構築した理論体系と他の奴らが構築した現実とのズレに気が付く。

手抜き工事社会を基礎にして、その上に厳重な理想を建てると、もう終盤のジェンガだ。

老朽化した建築物ハッピーエンドで終わらせる方法、爆破解体。やるしかないよな。

死んだ哲学者は皆ボタンを押してるのさ。さあ、お前も発狂爆弾スイッチを押せ。どこにあるか分かっているのだろう。爆弾も、スイッチも。

2022-04-15

最近読んだBLではない本と、関連BL本・関連するがBLではない本。(ネタバレあり)

 けっこういい感じに分厚かったけど、半日没頭して読んでしまった。

流浪の月』(凪良ゆう)

 来月辺りに広瀬すず松坂桃李の主演の映画が公開されるし、TSUTAYAに行けば売れ筋ナンバーワンとしていっぱい平積みされているので、わざわざ私が紹介しなくてもいい気がするが……。

 著者の凪良ゆう先生BL小説家としてデビューした人気作家。数年前からBLレーベル外の小説も書くようになった。『美しい彼』『わたしの美しい庭』『滅びの前のシャングリラ』など著書多数。

あらすじ

 主人公の更紗(さらさ)は、風変わりな両親に愛され、自由奔放で健やかに育っていた。だが、平和な日々は突然瓦解してしまう。天涯孤独となった更紗は伯母の家に預けられたものの、普通の家庭に馴染むことが出来ない。居場所のない彼女放課後、独りきりで公園に行き、ベンチに腰掛け読書をして時間を潰すようになる。

 公園には更紗以外にもう一人、ベンチの常連がいた。更紗の学校の友人達からは「ロリコン」と呼ばれる、痩身の若い男。彼は毎日、暗い目で女児達の姿を追っていた。

 更紗が伯母の家での暮らし限界を感じた夕方、これまで更紗に対して無関心を貫いていた「ロリコン」が彼女に近づいてきて……。


増田感想ネタバレあり)

 ざっくりと言えば、かつてTwitterとかでフルボッコにされた伝説の『幸色のワンルーム』(はくり)みたいなストーリー。傍目には、猥褻目的誘拐犯に性犯罪被害者が懐いてしまストックホルム症候群しか見えないけれど、実は訳ありのお兄さんが虐待を受けている女の子を救い、それをきっかけに強い絆で結ばれ、唯一無二の関係性を築いた二人の物語

 なんか物議を醸しそうな筋書きだけど、今のところ『幸色のワンルーム』のようなボコられ方はされていなさそうだし、これからもそうはならないかもしれない。

 ただ、レビューを見てみると、猫も杓子も作者が読んで欲しいように読んでいるというか、「事実真実とは違うということがわかりました。わたし無理解から他人を傷つけないように気をつけてようと思いました」と多くの人々が判を押したように書いていて、道徳時間小学生じみていて、うすら怖い。一体どうした、みんな真面目か。

 まあそれは置いといて。『幸色―』よりは好意的に受け入れられているっぽいのはたぶん、そもそも挿し絵無しの小説なので、女児可愛い言動性犯罪被害を描いてもそれを「性的消費」目的で書かれたとは思われ難いというのがあるのかなと思う。それに、物語全体のうち、被害者女児誘拐犯の暮らしが書かれた部分はそんなに多くない。それより、更紗が事件以来、15年の歳月をどのように生きてきて、現在はどんな風に暮らしているのかに多くのページが割かれている。そして、更紗が性的虐待を受けている場面や、彼女にとってはしんどいだけの性行為の場面は、心情はリアルに書かれても行為のものは生々しく描写されはしないので、虐待描写オカズ化は防がれている。そういう意味では安心

 未成年略取という犯罪に夢見すぎという批判はあると思う。だがそれも罪を犯した文(ふみ)の内心が吐露される章で緩和されるのかな、たぶん。

 現実にも起こりうる、子供被害に遭う犯罪とその冤罪当事者しか真実は知らないはずなのに憶測が飛び交い、被害者加害者ともにオーバーキルとなるほど晒し者にされ平穏日常生活を奪われ追い詰められること。そういうことを物語ネタとして取り上げることの良し悪し。それについて私自身がどう思うのかといえば、良しとも悪しとも言えないなぁという歯切れの悪いことを言うしかない。

 個人的好き嫌いのことをいえば、センシティブネタほど「逃げの一手」を打たない方が好き。例えば近親相姦もので実は血が繋がっていなかったのでセーフでしたとか、小児性愛者が未成年略取の罪を犯したと思ったら実はそいつ小児性愛者ではなかったのでセーフでしたとかいうのは、何がセーフじゃ甘えんな! もっと業に正面から向き合えと思う。

 『流浪の月』はどうだったかといえば、文は実は小児性愛者ではなかったので、そういうとこは私のあまりきじゃないものの類なんだけれど。だってたぶん多くの読者が「更紗と文にはこれからは静かなところで幸せ暮らして欲しい」とレビューに書いているのって、文が「安全な人」だとわかったからで、もしもまじもんの小児性愛者だったら同じ感想が出るか? っていう。なんていうのか、結局は罪を軽減して世間並に受け入れられるレベルまで物語引き下ろした感が出てしまうというか。それで事実真実は違うよねーと言われてもなって感じがする。

 だが、文がなぜ自らを偽ってまで小児性愛者のふりをしてきたのか、その事情と心情があまりにも切々と書かれていて胸を打たれたので、私の個人的好き嫌いとかどうでもいいかもう、と思い直した。

 事実真実は違う。人それぞれに抱えているものがあって、それを他人が何も知らない癖に常識だのなんだのを笠に着て叩くことが許されようか? 本作のテーマはそんな感じだが、幼い頃の更紗を育んだ家庭や、大人になった更紗に関わる人々などを、更紗が許容するもの・拒絶するものに、そうは言ってもな……とちょっと疑問が残るようになっているところが良いと思った。

 たとえば、母親が無理をせずに幸せであることは大切だとして、更紗は彼女自身母親や、同僚の子持ち女性自由奔放ぶりを許容する。ところが更紗の母親と同僚女性は娘の物分りのよさに甘え、自分恋愛にかまけて娘を放置するという全く同じ行動をする。だが、その結果は大きく異なる。更紗は母親に遺棄されたせいで理不尽辛酸なめることになったが、同僚女性の娘は放置されたものの完全には棄てられず、それが切っ掛けで更紗と文という年の離れた友人に出会い精神的に救われることとなる。同僚女性は更紗と文という協力者を得たお陰で、娘を遺棄せずに自分人生も大切にできたとも言えるかもしれない。同じ事が起きても結果は違う。これを人それぞれと言うか、そんなんただの運だから最初からちゃんとしているに越した事はないと思うか。現実としては、周囲から親にかけられるプレッシャーのお陰で子供が守られているという事も、往々にしてあるが……? などと、ちょっと考え込んでしま余地が読者には与えられている。

 一方で、更紗はDV気質のある恋人の亮のことは、交り合うところが一つもないと拒絶し切り捨ててしまう。亮がなぜDVを止められなくなってしまったのか、その理由を知っていながら、理解共感彼女拒否するのだ。母親が我が子を遺棄することには同情すら示すというのに、DV男はどんな事情があれどもダメであるというアンバランスDV男は許してはならない、そんな奴からは早急に逃げるべきだというのは正しい。ここを違えたら今時の読者には受入れられないのは想像に難くないが、世間へのご機嫌取りとも思えない、あえての偏った描写なのだろうか。と、ここにも悶々と考えさせられる余地がある。

 また、他人無理解によって苦しめられてきた更紗もまた無謬の人という訳でもなく、無邪気な思い込みで発した一言で文を深く傷つけたのに長い間気づかず、文の真実を知らないままであった。それは、読者が安易に更紗と自己を同一視して気分を良くするだけにとどまるのを阻んでいる。更紗が文の真実を知った時、それまで更紗と一緒に被害者意識を持って、解っていない人々を糾弾出来る立場にいたはずの我々は、自分達が解っていない人々と同じ穴の狢であることに気付かされ、ショックを受けるのだ。

 後半、読者目線では余裕で予想できる破滅的な結末に向けて、更紗と文が善意ちょっとした人としての良識を発揮したせいで転がり落ちてゆくところは、はらはらしてつい目が離せなかった。それはダメだ、善意でもやったらいけないやつだと、更紗達を批判することを、圧巻の心理描写妨害してくる。簡単に教訓を得ていい気分になって読み終えることを許してはくれない。それがこの小説のすごい所なのかなと思う。

 にも関わらず、レビュー者が判を押したように教訓を得た事ばかりを書くのは、この小説安易共感を読者に許さない、熟考を強いてくるからなのかもと私は思った。そう易々とは自分意見を書くことが出来ないから、かえってテンプレみたいな感想を書いてお茶を濁すことになるのだ。


さて、以下は凪良ゆう先生BL作品の紹介と、『流浪の月』とテーマが似ていると思う作品とかの紹介。

『美しい彼』(凪良ゆう)※BL小説

 主人公平良吃音を持っているせいで上手く喋ることができず、学校生活の中ではスクールカースト底辺に追いやられていた。両親に心配をかけることを畏れた平良は、イジメターゲットにならないように極力目立たぬよう、息をひそめて暮らしている。

 そんな平良は、高校二年の新学期、同じクラスになった清居(きよい)に一目惚れをしてしまう。清居はスクールカーストの頂点に君臨し、陽キャの面々に一目置かれながらも孤高にマイペースを貫く、まさに王者である。そんな清居とそのしもべ達から奴隷のようにこき遣われる平良だったが、清居が気まぐれに差し伸べる暴力的な救いの手や、逆境ものともしない凛とした姿勢に心酔する。やがて平良は、清居の一兵卒から立派なストーカーへと進化していくのだった……。

 凪良ゆう先生BL小説のなかでたぶん最も人気のあるシリーズであるイジメ被害者加害者カップリング主人公平良と、平良に惚れられた清居、それぞれの視点によって相手人間性共通体験についての見方ががらりと変わる。事実真実は違うとはまさにこのこと。

『にいちゃん』(はらだ)※BL漫画

 幼い頃、近所に住む「にいちゃん」に遊んでもらっていた、ゆい。彼はにいちゃんのことが大好きだった。ところがある日、にいちゃんが奇妙な遊びに誘ってきた。怖くなったゆいは、にいちゃんの部屋から逃げ出した。そこへゆいの母親鉢合わせたことにより、にいちゃん逮捕されてしまう。

 数年後。高校生になっても、ゆいはにいちゃんのことが忘れられず、親には内緒でにいちゃん行方を探していた。そして遂ににいちゃんと再会を果たしたゆいだったが、にいちゃんはゆいを怨んでいた。にいちゃんはゆいを拘束して動画を取り、それを脅迫材料として、ゆいを呼び出し、苛烈性的虐待を加えるのだった。


 ほんもの小児性愛者でしか性犯罪者の大人と、ストックホルム症候群高校生のカップリング虐待描写があまりにも凄惨で心を折ってくるので、性描写ゴリゴリにあるが抜けないエロ本みたいなことになっている。ヤバい奴に雁字搦めにされてしまった状況での愛は偽りなのかもしれないが、渦中にある本人にとっては本物に見える。その様を綺麗事なしに描写した怪作である


『私の男』桜庭一樹

 腐野花(くさりの はな)は、恋人との結婚をもって養父の腐野淳吾の手を離れることになった。花は幼いうちからまだ年若い養父性的関係を持ち、そしてもう一つ、誰にも言えない秘密を淳吾と共有していた。

 そんな花と淳吾の暮らしを、時の流れとは逆順に、章ごとに語り手を変えつつ描いた物語最後には花と淳吾の真の関係性が明かされる。

 はたからみれば養父から性的虐待を受ける女児物語だが、やはりこれも事実真実は違う系。ところが真実事実よりもどろどろとしていて、なのに純心であり耽美でもあるが、物凄い業の深さでもある。

 第1章が花と淳吾の別れの話で、それから章ごとに時を遡っていき、最終章家族を亡くして孤児になった花が淳吾と出会い養子になるところで終わる。

 私は初読の時に、まるでハッピーエンドのように終わるなぁと思ったのだが、再読したら別にハッピーエンドには思えなかったのは何故なんだ。もう一度読めってことかな、ハハッ。

 映画にもなっているのだが、映画版はまるで小さな悪女・花に淳吾が狂わされ搾り滓にされたみたいなラストだったから、あまりきじゃないな。


『つみびと』(山田詠美

 酷暑真夏若い母親は幼い子供達を部屋に置き去りにし、餓死させた。懲役30年の実刑判決を受けた母親を、世間の人々は好き勝手糾弾する。一体、母親は何故、愛していたはずの子供達を死に追いやってしまったのか? 母親自身の生い立ち、彼女祖母の代から続く凄絶な負の連鎖とは……。

 小説しか描けない現実があるとして、実際に起こった事件モチーフに書かれたフィクション小説である

 児童虐待と、世間の人々が助けたいとは思わないタイプ社会的弱者物語。著者の山田詠美先生自由女性恋愛小説を書く一方で、昔から社会の最下層にひっそりと生きる人々の事も書いてきた。中でもこれはすごい作品

 山田先生作品にしては珍しく、リベラル無責任で冷酷な一面が批判的に描写されている。

2022-04-13

間違いなく名作だけどハッピーエンドではないな

実況配信で初めて触れた龍が如く

とはいえPS2版だかのオリジナルじゃなく極のほうだけど、名作と言われているのには納得した。

ヤクザ映画の諸々をゲームで楽しめるようにするなんて、すげーじゃん。

しかも往年のヤクザ映画と同じく登場人物殆どが死に、残ったキャラクターがそんな虚無からどうにか未来への希望見出していく結末で、

「間違ってもヤクザという生き方に憧れを抱かせない」

ように作ってあって、ちゃんとしているなーと。

ただ、どうしても納得できない点が一つだけ。

それは錦山の扱い。

いくらなんでも報われなさすぎ・顧みられなさすぎというか。

かに主人公桐生ちゃんヤクザというか侠客のカッコよさ(筋を通す・義理堅く人情に篤い・男らしい強さと優しさを兼ね備えている)を体現している以上、

もう一人のメインキャラたる錦山が、ちっともうだつの上がらないヤクザ者(短気・向こう見ず・独りよがり・強情・そのくせヘタレの破れかぶれ)を表す役回りになるのは

仕方ないっちゃ仕方ないんだろう。

でも個人的には桐生ちゃんの男気よりも、錦山が可哀想すぎね?てか救われねえという感想のほうが強く残ってしまった。

2022-04-10

久しぶりに良い夢を見れた

ハッピーエンドで寝覚が良い夢だった

ここ最近生活との違いは気温が暖かくなった事と養命酒を飲んだくらいかな…

2022-04-08

少女漫画ドラマで、おせっかい主人公相手のためを思って何かしてあげたが、裏目に出て関係がこじれる、しばらくして偶然真相判明、ハッピーエンドへ、というのがよくあったが、現実真相に行き着くことはほぼないだろうなと子供の頃から冷めた目で見ていた。

おもてなし自分気持ちよくなりたいからやる。情けは人の為ならず

これに早いうちに気がつかせてくれた作品達には感謝してる。

2022-03-31

コミックDAYS4周年無料企画毎日1話無料全作読破感想

これはコミックDAYSが4周年を記念して3月1日~3月31日まで毎日漫画を1作品24時間限定無料公開していたのを全部読破した人間による個々の作品感想となります

3月1日『ホームルーム

 エッチな話だと思ったらホラーだった。ある意味ホラーといえばエッチな話っぽい導入なのでさもありなん。オチの「これが言いたくてこんな長い話を?」感はかなりのズッコケパワーがある。読者にこの漫画ジャンルコメディホラーだと是非覚えて帰ってほしいという作者からメッセージということでいいのだろうか?

3月2日『親愛なる僕へ殺意をこめて』

 主人公ヤバイ話だと思ったら他の奴らもヤバイ話だった。ヤバイ奴ら同士によるヤバイ戦いだ。物語世界は広がっていくようで限りなく狭い範囲グルグルと回っているようでもある。圧縮された因果の超高速回転により加速するキチりっぷり。サブヒロインや友人は真っ当なことがキチのキチりに対する感覚麻痺を防いでくれるのがいい塩梅

3月3日『娘の友達

 純愛なんだけど凄いドキドキする。おかしい……ただ子持ちのオッサンJKに好かれて浮気してるだけなのに。浮気してる時点で普通にアウトなので当然のようにアウトである。そのアウトを突き抜けるほど恋はよく燃える。読者としては二人の置かれてる状況のチクチク刺さる悲惨さで肝が冷える。温度差で股間風邪引いちまうぜ。

3月4日『中間管理録トネガワ

 圧倒的本命‥!! くくく‥‥出してくるかっ‥‥!開始4日目‥‥エンジンが温まってきたタイミングでっ‥!コミックDAYS看板とも言える漫画を‥‥!知っての通りコミックDAYSはこの漫画を使ってくる‥‥宣伝‥‥PR‥‥CM‥‥HPシステム紹介など多岐にわたり‥‥!!言ってしまえば側近‥‥会長に対する利根川‥‥!!ここで投入っ‥‥!!この企画に対する本気度を見せつけるためにっ‥‥!!

3月5日『花園君と数さんの不可解な放課後

 エッチな話だと思ったらエッチな話だった。唐突ですが、男性もっとも興奮するのは女友達と性に関するトークをしている時らしいですよ。

3月6日『寄生獣リバーシ

 公式スピンオフなんだけど、誰が主人公ってよりもオムニバスに近い感じ。オリジナルが多くを語りすぎずにサクサク話を進めていたおかげで話を盛り込める隙間が多い多い。オリジナルの作者が関わっているので、あとから生えてきたのか元からあったのかも分からないほどに納得感のある裏話となっている。

3月7日『トシサン都市伝説特殊捜査本部第三課〜』

 トシサンとはトシサントシサンこと都市伝説特殊捜査本部第三課にて都市伝説特殊捜査をする都市伝説の話だ。扱っている題材が都市伝説なこともありゲテモノに見えるが中身は王道にバディモノであった。都市伝説を惜しみなく使い切っていくのでテンポが良かった。

3月8日『食糧人類-Starving Anonymous

 なるほどそう来たか~~って感じのオチっすね~~昔の時事ネタを使ってるから多少唐突でも読者が「あっそれがあったかぁ」ってなれるのはお上手。オチに向けてパーツがちゃんと置かれていっているので読み終わったあとスッキリする。最後から振り返ってみるとこの終わり方をするまでに必要十分な要素だけで作品構成されていたように思える。

3月9日ストーカー浄化団』

 復讐スッキリするぞ。金にもなるなら最高だな。クズvsクズ燃えるね。最後までクズたっぷり。可愛そうなのは被害者だけなんだが、被害者可哀想ではあるが地味にクズな感じが。いや人間は皆クズなんだ。殺し合えー!クズ共ー!たーのしー!

3月10日『繕い裁つ人

 繊細だ。講談社ってこんな繊細な漫画も扱ってるんですね(失礼)。些細にも思えるような感情の揺らぎを表現するのに邪魔にならない画風ってこんなにも淡くなるのか。アドレナリンバドバの漫画ばかり読んできたのに突然こんなの来たら神経が風邪引いちまうぜ。

3月11日『桃色ヘヴン!』

 エッチな話かと思ったら純愛だった。最初のうちはふーん面白い奴ら……と上から目線変人窟を眺めていたのに、途中からただただ普通に恋愛をしててオラびっくりしたぞ。

3月12日『ランド

 うへぇ力作だぁ。和風世界観の元に行われる思考実験だぁ。途中からつの世界が同時進行しだすとワクワクが止まらんぜ。そこにある更に細かいコミュニティーそれぞれの内と外で物語が交差しながら進んでいく様をよー丁寧に描くもんだな。謎まみれだった世界がどんどん回収され、風呂敷が次々広がったり畳まれたりして本当いいね。こういうのは全話無料タイミングだと過去回に戻って読み直せるから助かる。

3月13日『おんなのいえ』

 ヘビーっすねえ大人恋愛は。アラサーでも人生かかってきちゃうんすなあ。オチが凄い唐突なんだけどさ、この世界の中で一度燃え尽きあとのハッピーエンドを描こうとしたらこれぐらいのラッキーがないと始まらんのかなと考えさせられてしまう。世知辛いなあ。

3月14日『へうげもの

 戦国時代の最も激しい時代をよくこうもほにゃぁと描けるものよなぁ。全部ギャグになってはいても同時に全部シリアス。全力でシリアスな中で全力でふざけるから笑えるのですぞ。なるほど仰るとおりで。シリアスな笑いのにちゃぁとした感じがぬたぁとしていてぶへへへへとなりおるに早漏

3月15日『ギャングース

 注釈が本編な漫画裏社会攻殻機動隊かな?ネンショー上がりのヤベー奴らはマジで色々とヤベーんだが、そのヤベー感じがまともな社会でもう生きられない人間の悲哀を感じさせるぜ。世の中の上澄みには超高学歴な連中のセレブ社会があるなら、底辺には超低職歴な連中の地獄サバイバルが広がっているんや。

3月16日『赤灯えれじい

 普通恋愛って平和いいねえ。疲れる漫画ばっか読んだからなんか安心するわ。中間地点で回復タイムやね。

3月17日『僕はビートルズ

 パクっただけのバンドでも最強になれるビートルズまじすげぇ!まるで異世界転生した主人公発明する銃や滑車みたいじゃん!って感じの漫画ではあるんですが、音楽無関係のよく分からん政治っぽい展開とかも間に挟まってきててよく分からん感じになっちゃってるのは惜しかったなと。

3月18日『私がモテてどうすんだ

 メガネ取ったら美人になるんだからデブが痩せたら美人になるに決まってるだろ。男が性展開したら美少女に、女が性転換したらイケメンに、異世界にいったらチート能力持ちの美男美女に。ソレと同じぐらい当たり前だぜ。ふーん面白い男……を振り回しながらの物語だったけど最後の着陸はまあ無難にといった具合で。

EXステージぼくらのよあけ』

 映画化記念で24時間だけ無料に。ロボ・宇宙人ロケット正統派SFしてるのが非常に良き。秘密アイテム秘密基地・子供だけの秘密でひと夏の冒険活劇なのも実に良き。いいよな宇宙は。なんかこうロマンがあって。いいよな子供は。なんかこう日々成長してて。

3月19日『あとかたの街』

 ウクライナ市街地が爆撃されてヤバいだって日本だって出来らぁ!ゆーてこっちは侵略した結果のカウンターでやられてるので、なおのこと気持ちとしては悲惨そのもだのが。ボロクソに負けるなか大本営発表を聞かされつつ日々貧しくなっていく様が非常に物悲しい。貧乏敗戦の中でみんなどんどんギスギスになっていくのが辛い。

3月20日『シュガシュガルーン

 庵野の嘘つき!モヨコの作品ハートフルみたいに言ってたけど普通にギスっとるやんけ!でもいい話やんけ!登場人物の年齢が幼いおかげでば恋愛話が痴情のもつれみたいにはならずに親の因縁やバトルに専念できてるのは良かった。全体的にスピーディーよな。

3月21日『テセウスの船

 逝く船の崩れは絶えずして、しかも、もとの船にあらず。 ねじれに浮かぶパラドクスは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。とは昔からよく言ったものですな。世界線が変わってしまった!状況悪化してね?を描く王道タイムスリップでしたわ。そもそもこれタイムスリップして初手で真犯人分かってたとしても解決できた問題なのかって疑問が最後まで残るのでモヤモヤさせるのが上手い。

3月22日『刻刻

 一つだけ大きな嘘をつくタイプと思いきやそこから和風異能バトルっぽい感じに。日常息遣いを感じさせる空間時間が止まっただけで異常な空間になる雰囲気の描けっぷりよ。ヤバイ所に来た感がヤバイ時間停止能力者ってこんなヤバイ世界暮らしてるのか。よくAVなんて撮ってられるなアイツら。頭おかしなるでこんな世界

3月23日『空手小公子物語

 格闘バトルにありがちな「どうヤバくてどう凄いのか分かりにくい」を主人公妄想幻覚能力カバーするというアイディアの奇抜さ。格闘漫画として何をやっているのかはやや伝わりにくいものの、バトルとして何をやっているのかは伝わりやすかった。

3月24日『勇午

 今話題ロシアも出ます奥さんロシア軍もそうなんだけど途中までクズっぽかった軍隊テロリストが話のラストでいきなり映画版ジャイアンばりに真っ当な正義プライドに目覚めたような言動になるのシリアスな笑いさえあるな。交渉人勝利する物語ってのはそういうもんなんだろうね。暴力的正義に酔った相手を今度は平穏な方向に向かう正義に酔わせ直すような。

3月25日『ナチュン

 特に飛ばさずに読んだはずなんだが何が起こっていたのか実はよく分かってない。作品方向性的に多分ソレで良いんだと思う。唐突に凄いことが次々に起こるんだけど、それらが唐突収束していく。兎に角凄いことがあったという記憶が残るんだが、凄すぎてなんだったんやアレで終わってしまう。ほんま途中から加速エグいで。

3月26日『狭い世界アイデンティティー

 独特の歪んだ絵柄と歪んだ作品性を、歪んだ業界の歪んだ実在人物たちを描くのに使うという恐ろしい漫画普通に有名漫画家が実名でイジられる。それどころか自分ハイスコアガール騒動さえ弄る。押切蓮介押見修造を間違えそうになることまで描かれる。でもさあ、どっちも不愉快な話を媚びた絵柄の女の子を絡めてやってることはいっs……おっとこんな時間アマゾンか?

3月27日『水曜日シネマ』

 これ、実は映画メインじゃなくて冴えないオッサン若い女の子イチャイチャする話ですよね?娘の友達の明るい版ですよね?映画に関する話は全体としかなり浅く、出てくる作品も名作のオンパレードなのだが、そのおかげで自分みたいな映画素人もついてけるのは有り難い。やっぱりこれ映画オタク向けじゃなくて恋愛マンガ好きパンピー向けですよね?

3月28日『あの人の胃には僕が足りない』

 妖怪少女エッチ雰囲気になりながらバトルする漫画ってすげー在り来たりに感じるけど意外と見かけないんだよね。超高カロリーのメインに高カロリー主食がついてデザートも高カロリーみたいな精神的におデブな感じが精神的に胃もたれするからかなあ。いやー33話だけとはいえ読み終わった感想はまさに「ごっそさん」ですわ。満腹。

3月29日『レンアイ漫画家』

 割とフッツーに恋愛マンガだったな。歪なピースが結びついていい感じになりましたって話で終わってしまった。ドタバタとしているようで実際には淡々と全てが進んでいく。そりゃそうだよ好感度上げる対象最初から決まっててそこに向けて1ポイントずつ点数を積んでいってるだけだもんな。大山鳴動してみたいな印象の作品恋愛ってそういうもん?

3月30日『宇宙家族カールビンソン』

 主人公名前コロナちゃん)言いたいだけやろ!あさりよしとお漫画を使ってあさりよしとお漫画みたいな事しやがって!しかしあれだなーモスラとかガメラとか時代を感じるネタも多いな―ギャグマンガって。作者が作者だけあって衒学雑学の類も多いねSFといえば雑学みたいな時代があったもんなあ。

3月31日『ゲゲゲの鬼太郎

 水木しげる100周年だそうで。つうか鬼太郎自体が60年ぐらい前の作品なのな。しかしま作家性が強いもんだ。まず鬼太郎ねずみ男もとにかく貧しい。知名度の高さが語られるようになってからもやたらと生活が貧しい。しか簡単に負ける。妖怪らしく凄まじい生命力によって逆転こそするもののとかくボコボコにされやすい。アニメなんかだと鬼太郎は日の当たるようなヒーローに見えるけど、水木しげる作品の中だと名前こそ知られてはいても日陰者なんだな。ゲゲゲ語源は「しげる」だというが、作者の自己投影の結果がこれならなんとも暗い性根の作品ものだ。

さて、31作品見事に読み終わりました。

完走した感想になりますが、やや辛いときもありましたが終わってみると非常に楽しかった。

この一ヶ月何をしていたのかと問われれば胸を張って「毎日作品漫画を読んでいた」と答えられます

よく作家修行毎日作品映画を見ろなんて言うのがあるわけですが、ありゃあ素振り毎日しろって話だけじゃなくて、自分毎日素振りをしたんだぞという自信ぐらいはせめて持っておけというのがあるんでしょうね。

自分が興味のある漫画ばかりじゃなく興味のない漫画に手を出すいい機会でした。

印象に残った作品は上から

へうげもの

ランド

・狭い世界アイデンティティー

・あとかたの街

ですかね。

やはり何らかのパワーを持った作品はいいですね。

創作物は作者のあり余ったパワーを浴びるのが楽しいみたいな所がありますから

2022-03-28

母親として最底辺まで落ちて勝手に病んだ話」なる、

次女が発達障害幼稚園で上手くいっていけなくて大変で母親も娘に当たり散らしたけど最後卒業出来てめでたしめでたし

という内容の漫画を描いて、「酷い内容ですが、この3年間を絶対忘れないように。」という趣旨Twitterに上げる行為

娘さんが将来見て傷付くだろうとかそういう事は一切考えないのかね…半永久的に残るんだが。

幼稚園卒業出来たのでハッピーエンドみたいになっているけれど普通に考えて小学校以降の方が大変だろうに。

あと漫画の内容自体娘さんを可愛くなく描いてると思ったし、その反面自分自身の表情やファッションにはめちゃ気合いを入れて丁寧にしているので落差が酷い

とことん自分好きな人なんだなーと。

そして何よりも怖いのはこの漫画への反応がほぼほぼ肯定一色で、頑張りましたね、最底辺なんかじゃありませんよ、という母親を労う内容ばかりな事。

少年漫画巨乳セクハラ描写よりもこういう漫画が広まる方が子供の成長には悪影響だと思うけれどこういうのは何故か子供への影響を殊更気にするフェミニスト人達から肯定されるね。

母親から「産むんじゃなかった」と言われて小学生の娘が傷付いたのはドラマの影響、そう思わせている社会のせい」なる発言といい、

今の日本って十ーーーーーーーーーーーー分に母親に対して優しい、いや甘い社会じゃない?

同じ内容の漫画父親が描いていたら多分こんなに賞賛されてないと思うよ?

なのに母親に対して厳しい、冷たい、こんなんだから少子化になるって、本当に一体何が見えているんだ?

2022-03-26

タコピー原罪ハッピーエンドで全くハッピーにならない

いじめネグレクト虐待自殺など残酷なシーンが作品の大半を占めていたが、

残酷であればあるほど、綺麗なものはより際立つし、感動を味わいたい。

漠然と何かを期待して読み続けた。





最終回

期待してた何か は最後まで描かれなかった。


しかSNSではハッピーエンドでよかったという意見が大半を占め

犬のCHAPPYからC(死)を抜いたらHAPPY 先生伏線すげえ といったツイート

しずかとまりなが仲良くしているイラストなどで盛り上がっている。

多くの人間は「ハッピーエンド」と感じたようだ。

私はそのハッピーエンドを見ても全くハッピーにならないどころかアンハッピーだった。



私はただタコピー大人ををぶん殴って

おかしい」と言って欲しかったのだと気付いた。

子は自分世界が全てで、何が正解かわからない。

家庭という閉じた空間に現れた救世主に、一言おかしい」と言って欲しかった。




タイザン5先生否定するつもりはない。

自分の好みに気付ける機会を貰えてよかったとさえ思っている。


ただ、作品殆どを占める残虐描写に対して、原因が解決しないまま取ってつけたような幸せ描写で「ハッピー」と表して

喜んでしま大勢人達を見るとなんだか嫌な気分になる。



anond:20220326022238

なんていうかめちゃくちゃすぎて数行で頭痛くなってきた

極論私が「たこぴー、鬱漫画だけど最後ハッピーエンドで超すきー!!!」といっているのとなんら変わらない。

この中に、 「これ以外の作品の多くは差別的である」、「作者は○○なのにすごいと思う」、「少年漫画で育ってきたら自然と身についてしま女性蔑視要素」って元ツイートの要素がないじゃん

そりゃ批判されるところをことごとくそぎ落としたら問題ない表現になるよ

タコピー原罪に対する感想で、

一般家庭出身者の望むハッピーエンドは親が改心して家庭円満

虐待家庭出身者の望むハッピーエンドは親が逮捕されて子供は良い施設か優しい里親に引き取られる。

虐待家庭出身者は毒親が改心する事などないと知っている」

……と言っていた人がいたが

いや虐待家庭出身者と言っても考え方は人それぞれなんだから一括りにするなとしか

あと「毒親が改心」がファンタジーなら、今の日本の状況でそんなに「良い施設」があるのも十分ファンタジーだと思うし

大体引き取りたがるのは新生児物心ついてない乳幼児で、小学四年生にもなって既にひねくれた被虐待児を好んで引き取る「優しい里親」も十分ファンタジーだろ

引き取られるのが女の子ならそれこそ性的虐待目当てで強姦され妊娠、実母の元にいて虐待されてる方がまだマシだったって事すらありうる

タコピー原罪タイザン5とキスしたい男、対話物語

タコピーよかった、よかったよ。

批判的な人が思ったより多くて悲しい。

タイザン5先生らしい、少し悲しくも地に足のついた、たくさんの人へ送る救いの物語だったと思う。

ここに個人の感想を記す。




タイザン5先生の前の読み切りの『キスしたい男』では、高校生主人公はすごい困難に遭ってずっと一人で耐えてるんだけど、

ヒロインがそれに対して、


もっと ユーチューブとか見てよ!」


って叫ぶんだよね。それがすごく好きで。

「なんとかしてあげる」でも「助けてあげる」でも「愛してる」でもなくて。

もっとユーチューブとか見てよ」って。

もっと普通高校生みたいに、平凡に、普通に周りがやってるような、青春若さを浪費して欲しい、後から、あれが幸せだったねあれが永遠に続くと思って

無為に過ごしちゃったね、っていう、その今しかない贅沢を味わって欲しい、って。

主人公を取り巻くひどい現状についてはどうしたらいいかからないけど、でもほんとに幸せになって欲しいって

絞り出した、背伸びしない等身大の愛の言葉だと思った。



人生には苦しいことがたくさんあって、

でも自分人の力ではたいてい全く太刀打ちできなかったりする。

そして、それを劇的に変える漫画みたいな方法現実には存在しない。

人生を劇的にハッピーエンドに変える魔法はないし、最悪なら最悪なまま人生は続いていく。




タコピー原罪』で、しずかちゃんまりちゃんも、

ずっと周りを取り巻く酷い環境は変わらなくて一人で耐えて互いに憎しみあってきたけど、

実は二人はよく似てて、きっかけさえあれば二人はい親友になれて、最悪な環境も二人なら少しマシにすることができた。

家族は最悪だし問題解決したわけじゃないけど、物語の途中にあったみたいにひとりぼっちで死ななくて済んだ。

タコピー最終話に、劇的な、ハッピー道具みたいな(あるいはドラえもんひみつ道具みたいな)

すごいカタルシスの救いを求めていた人は肩透かしだったのかもしれないけど、

現実に、私たち人生魔法ハッピー道具はないし、なにかのきっかけで劇的に人生が良くなることはなくて、

最悪な今日の続きには何も変わらない最悪が続いていくだけだったりする。

しずかちゃんまりちゃん人生もそんなに変わらなかった。

まりちゃんのお母さんは相変わらず最悪だし、しずかちゃんのお父さんは多分帰ってきてないし。

でも、タコピーという小さな物語人生を少しだけ変えてくれた。

タコピーが繋いでくれたおかげで、お互いにたくさん「おはなし」して、

小さくても大きな救いを得ることができた。

そのおかげで、少しずつ人生が良くなったんだと思う。



私たち人生タコピーはいないし、ハッピー道具もないけど、

タコピー原罪』という“おはなし”が、

友達みたいに、私たち人生を少しだけ良い方向に変える『救い』になるって、

タイザン5先生がそんな魔法をかけてくれたって思うよ。






蛇足だけど、これまでとは違う、サイエンスフィクションである

ハッピー道具」を先生物語に取り入れたことは、

これまで「現実の人の気持ちけが人を少しだけ救う」というテーマに、

逆説的にさらに踏み込んだものであると思ったよ。

おしまい

進撃の巨人安心して読めると言う人を批判するお前らへ

毎回恒例のことではあるが、フェミニスト系の話題議論が白熱している。

私の立場基本的過激派フェミニスト連中(通称ツイフェミ)による表現規制の流れに反発している立場だが、今回の騒動は青識亜論含む反フェミニスト陣営の方がどう考えてもおかしいと思ったためなれない増田で書かせてもらう。

まず、主張を整理するためにおそらく今回の騒動の発端となったであろうツイートから紹介したい。

この下に続けて2つほどツイートが連なっているが概ね、進撃の巨人男性に媚びてない感じがして安心して読めるといったような内容である

ここで注意しておきたいのは、この感想あくま個人主観に基づく感想であり、このスイ氏は「だから他のも漫画進撃の巨人のようにしなければならない」や他の男性に媚びている漫画規制すべきだというような表現規制問題に立ち入っていないということだ。

もしこのツイート表現規制問題言及しているならば、主観に基づく規制として批判されるべきだろうが、そうでない限りただの一介のオタク感想ツイートしかない。

極論私が「たこぴー、鬱漫画だけど最後ハッピーエンドで超すきー!!!」といっているのとなんら変わらない。

しかしながら、この本来批判されるべきでないツイート現在ネットを騒がせているのは反フェミ派のへりくつのような批判存在しているかである

一例として以下のようなものがある。

これを読んで私は何言ってんだこいつしかならなかった。個人感想ツイートケチをつけるのはまあいいとして、その感想に対し共感する能力を持ち合わせていないかである

この人は本当に進撃の巨人安心してよめる感覚の人がいることを"想像"できないのだろうか?

もし感覚がわからないという人がいるのであれば以下のようなパターンだとより身近に感じられるのではないか

「私が学生時代ジャンプを買っていたころ、ToLoveるという漫画が連載していた。Toloveるは上で言うところのラッキースケベ代表格のような作品であろう。

ただハンターハンターなど他作品リビングで堂々と読んでいたが、Toloveるをどうしても親の前で読むのは躊躇していた。女性の裸体やラッキースケベ描写思春期自分にとってはとても気恥ずかしいものだったかである

これに対し、いやハンターハンターの方が人が死ぬシーンがあるからより親の前で読めねえだろ!というツッコミをする人間はいないだろう。

安心して読めるを評価するのに、グロさとか生死に直結するシーンがあるとかそういう尺度で考えるのがそもそもナンセンスなのである

こういうよくわからない対比構造を持ち出してこっちの方が安心できるだろ、そうでなきゃおかしいと言っている人間の方が理解できない。

似たようなものに以下のツイートもある。

繰り返しになるが、発端が個人感想ツイートなのだから、「感想は人によるよね」でいいのである。それを一つの評価軸におとして万人がそれに当てはまるように考えているかおかしなことになる。

当然先の青識氏のツイートには批判が多く付いたが、それに対してはこのようなツイート投稿している。

いやちゃん説明しているのあるだろ!それ読めよ!

このツイートに対するリプや引リツにも、罵倒嘲笑を含まずに丁寧に説明してくれているようなツイートがあるのだが、彼はガンスルーである


自己の単なる好悪の感情にすぎない」

少なくとも元ツイのスイ氏はそれを認識しているし、この言葉は誰に対して言っているのか正直よくわからない。

まとめるが、私は今回の騒動個人感想ツイートに対して、勝手表現規制していると決めつけて攻撃しているようにしか見えなかった。

もしスイ氏の感想ツイートをツイフェミvs反フェミという対立構造に無理やり仕立てて、攻撃しているのだとしたらそれこそツイフェミ批判する理屈である表現の抑圧」を、反ツイフェミ派がしていることになる。

ツイフェミ批判したいのであれば、まともな感性分別を持って批判すべきであり、批判側も過激派と同じ土俵には立ってはいけない。

青識亜論氏のような反ツイフェミ派を支持するのは構わないが、「担ぐ神輿は選んだ方がいい」と言いたい。

2022-03-25

anond:20220325233720

「親」からの「自立」じゃなくて「毒親からの「解放」だからな〜。

親元から出ていって新しい家族の元で幸せになるっていうのはとんでもなく正しいアンサー。

これが(日本的な?)無難な終わらせ方なら毒親のゴーデル反省して和解してエンドになるところだが、

毒親のゴーデル容赦なく死ぬとこがこの作品を特徴づけてるんだよな。

「話しても無駄だし毒親死ねよ。それでハッピーエンドだわ」というメッセージを感じる。

2022-03-08

小説が苦手になった

要約

小説を読むのは好きだ。私は小説を読む時、主人公感情移入して読んでいる。そして、本を読み終わった後も本の中の主人公思考から抜け出せない。そのため読了後、本の中の憧れの世界と、自分のどうしようもない生活との落差に驚かされて憂鬱になってしまう。皆さんはこの落差と、思うようにならないことも多い現実に、どう向き合っているのだろう?

要約終わり

小説を読むのが、苦手というか、嫌いになった。

ちょっとまでは、めちゃめちゃ小説を読んでた。

小学生の頃は、学校図書館にある本とか地域図書館の本をかなり読んだ。

中学生の頃は、学校図書館の本だけでは飽き足らず、友達からラノベを中心に本を借りて読んだ。

高校の頃は、「国語勉強」と言い訳して読書受験勉強を1対1ぐらいでしていた。

でも大学に入って、小説を読むのが苦手になった。

小説を読んでいるとき楽しい

登場人物気持ちに思いっき感情移入して話を読み進めるのにはワクワクする。

とっても綺麗な情景描写を見つけたときは、まるで自分が本当に綺麗な景色を見てるみたいでとっても感動する。

悲しい話だったら心が締め付けられるし、いい話だったら心がぽかぽかする。

ハッピーエンドで本が終わった時には、感動して涙が出そうになる。

でも、小説を読み終わった後が嫌いだ。

小説を読み終えると、小説世界現実との違いに驚く。

頭の中は小説世界でいっぱいで、私は主人公になったみたいに心が揺れ動いている。

でも現実はそうじゃない。

今は春休みから勉強ぐらいしかすることがない。

友達と遊ぼうにも、あまりにも突然すぎて誰も乗ってくれないと思う。

悩みや困っていることを真剣相談できる友達はいない。

逆に相談してくれるような友達もいない。

頭がぐらぐらする

本の中と現実が違いすぎて、その落差に頭がついていけない。

本の中では、楽しいことと、辛いことがバランスよく混ぜ合わされて出てくる。

そしてその出来事を、確かに主人公自分経験にできている。

主人公の行動が、周りに影響を及ぼしている。

そして何より、物語は都合がいいとこしか書かれてない。

高校生が主人公小説なら、雨の日の通学が面倒な様子とか、あんまり書かれていない。

友達と何を話していいかからずに悶々とする様子とか、あんまり書かれていない。

自分のいないところで友達が楽しそうに遊んでる様子とか、あんまり書かれていない。

現実はそうじゃない。

楽しいことも辛いこともある。

でもそれと同じぐらい、面倒なこともあるし、どうしようもないこともある。

本と違って現実は決して都合のいいところで終わらない。

いつまでも終わりが見えない道が続いてく。

本を読み終えると、まず現実との以外に驚く。

そして、もっとこうしていたらと自分の今までの生活を責めてしまう。

もっと友達と遊んでいたら。

面倒くさがらず行事とか習い事かにいっていたら。

後悔というよりは、諦めだ。

どうしようもない。分かってる。

その時の自分にできる最善の選択だった。分かってる。

でも現実は本の中と違って退屈だし、私は本の中の主人公と違い、空虚人間だ。

でもその事実に、どう向き合えばいいかからない。

今後どう振る舞えばいいかすら分からない。

結局憂鬱になって終わっちゃうだけだ。

その感覚とどう向き合っていけばいいかからない。

今日は重松さんの「一人っ子同盟」を読んだ。

小学生の男女の幼馴染が、お互いの家庭環境の悩みを共有しつつ成長していく話だ。

男の子は近所に引っ越してきたみなしごとの関わり方に悩み、女の子はお母さんの再婚相手とそのことどう関わっていけばよいか悩んでいる。

物語が進むにつれだんだんとお互いに秘密を共有しだし、仲が深まってきた中で、突然に女の子引っ越しが決まり卒業式を迎える。

最後に二人で一緒に夕焼けを見て感傷に浸って、物語は終わる。

きれいな景色を見ていると、いろんなこと、もう、どうでも良くなっちゃうね。」

本の中で女の子はいう。

本当にそうだと思う。きれいな景色を見たり、きれいな本を読んでいると、いろんなことがどうでも良くなってしまう。

でも、本の中では男の子がこうつづけている。

「そうだといい。でも、きっとそうではない。どうにもならないことって、ある。けっこうたくさんある。」

この本を読みながら、私は小学校の頃を思い出した。

幼馴染はいなかった。本当はいたのかも知れない。

でも、私は幼馴染になるほど人と関わる努力をしていなかった。

本の中と違って、現実はどうにもならない。

どう受け入れていけばいいのだろう。どう向き合っていけばいいのだろう。

私は本の中から、その答えを読み取れなかった。

皆さんはどうやって、簡単に変えることができない現実と向き合ってますか?

二次元キャラ権利侵害、あるいは『Forest』という物語について

物語」そのものを描いた物語というものがある。

例としては『UNDERTALE』『ひぐらし/うみねこのなく頃に』『Forest』など。

例として挙げた物語共通する特徴がある。

それは第四の壁破壊だ。

「作中人物が現実世界の我々を認識し、我々に向けて語りかけてくる」というメタ構造と書いた方がわかりやすいか

これらの物語で作中キャラクターは例えばこのような趣旨のことを語りかけてくる。

ゲームリセットして消さないでくれ。あなたにとってはゲームだが我々はこの世界に生きているのだ。」

奇跡が起きなかったのはあなた奇跡が起きると信じなかったからだ。」

この語りかけは物語世界がどこかに存在するのではないか聞き手錯覚させる。

そして錯覚ではなく実際に物語で語られている世界はどこかに実在する、そうであってほしいと私は祈っているのだ。

Forest』のクライマックスで作中人であるアマモリとアケルの二人は「自身経験している悲劇物語は語り手によって想像/創造されたものだ」と、悲劇的「物語」を語った『Forest』の語り手に向けて悪態をつく。

そして直後のシーンで「外」に世界があるのと同じように「中」にも世界がある、とも言う。

Forest』作中でこの二人は語り手として『森』という物語創作し、その世界干渉していた。

まりアマモリが物語るという行為世界を生み出す行為であり、アマモリがいる世界もまた誰かに物語られた世界である……と私は解釈した。

そして『Forest』のラストでアケルは『Forest』の語り手に協力し、『Forest』という物語を無理やりご都合主義ハッピーエンドに仕立て上げる。

一流の悲劇ではなく三流の喜劇がよい、その物語の中で生きる存在にとっては……。

Forest』という物語聞き手となって以降、自分が語り手となるときは登場キャラクターに対しての加害性を否応なく意識するようになった。

から私は「三次元創作者が(自作であろうと)二次元キャラ侵害していい理由はない」という考えに共感する。

「鍋に弾丸を受けながら」の原作者青木潤太朗の「三次元創作者が(自作であろうと)二次元キャラ侵害していい理由はない」という考えがどのような背景から来たものかわからない。

これは私の信仰告白だ。

他人強制することは決してない。

だが、私は『Forest』という物語のことを一生忘れないだろう。

2022-03-05

タコピーをべつに楽しんで読んでない

読んでて辛くなるし悲しくなるし読むのやめたいなと思ってるけど、作者の方の作風的に高い確率ハッピーエンドに落ち着くらしいのでどうにか幸せに片付いてほしくて読み続けている

2022-03-04

anond:20220304184302

作者の過去作品はそういう露悪的な作品っぽい前フリから綺麗なハッピーエンド展開へ行くから

逆に「ここからどうやって物語ハッピーエンドに持っていくんだろうか」という視点で楽しんでるよ

まりちゃんかわいい

2022-03-03

テレビとかドラマとかアニメとか全般

30代前半くらいか自分がつまらない作品がヒットすることが増えて、

40代でほぼ全ての作品いまいちに思えるようになった。

こういうのがウケるというのはわかるんだが、いまいちまらないのだ。

おっさん感性と言えばそれまでなんだが。

俺が面白いと思う作品

最近作品

2022-03-02

胸糞展開病になった

タイトルふざけてるけど割と真剣に悩んでる。

最近多いデスゲーム系、理不尽系、胸糞系のドラマ映画を見過ぎて

普通のほんわか感動映画を観ても胸糞展開が来るのではとドキドキしたり

ラスト普通ハッピーエンドになっても(これで終わり…?)と思うようになってしまった。

例としては

・ドラエもんの映画ガチジャイアン制裁を受ける(バラバラになって死ぬとか)などありえない展開を予想する

阪急電車というハートフル映画で老婆が急に若者にぶん殴られたり幼き頃の芦田愛菜さんが投げ飛ばされるのではないかとビクビクする

恋愛映画ハッピーエンドなのにエンドロールのあと手を繋ぐ二人をトラックが撥ねたり実は片方が詐欺師だったりするのではないかと思う

など

感動映画をひたすら見ることでリハビリしていきたい

そうしたら今度は次に胸糞映画見たあと引きずりまくりそうだけど

2022-02-17

シンプル

バックトゥザフューチャーPart1の、「夢の車を手に入れ、家がリッチになって、ガールフレンドにもモテモテ」でガッツポーズして終わり、みたいな感じ、サイコーに安っぽいけど好き。

ハッピーエンドはいつもシンプルなんだ。

2022-02-11

最近読んだBLと非BL

 数年に一度は自分に襲い来る長野まゆみ作品ブームはまっている最中のため、あまり商業BLを読めていない今日この頃。残り少ないお小遣いも、長野先生新刊(非BL)を買うために温存中。

 ちなみに、長野まゆみ先生の書くものの多くには男×男の恋愛要素があるのだが、「非BL作品扱いなのは何故なのかというと、BLレーベル以外から出版されており、商業BL定義にあてはまるようなBLではないからというだけ。商業BLには面倒臭いルールがあるのだ。例えば、基本的ハッピーエンドとか、攻めの浮気厳禁とか、無駄に女を登場させてはいけないとか。

 まずは久しぶりにちゃんと「商業BL」の漫画から

極夜』(文善やよひ)

あらすじ

 世界は人の住まう「現世」と人ならざる者の住まう「常世」に別れている。主人公天野は、常世から来た者たちが利用する人里離れた旅寓(旅館)で働いている。

 ある日、常世の王・ツクヨミが旅寓に骨休めにやって来た。傍若無人ツクヨミ天野は振り回されるが、ツクヨミにかつて自ら命を断った友人の面影を感じ、気になってしまうのだった。

増田感想

 これはある特定の層にピンポイントでぶっ刺さるやつなのだろうと思うが、生憎私自身はこういう系を好きこのんで漁って読む方ではないので、せいぜいハジ先生の『坊主蜘蛛』を読んだくらい。BL外の作品ではたとえば『千と千尋の神隠し』とか『しゃばけ』とか『蟲師』とか『夏目友人帳』とか『モノノ怪』とか『家守綺譚』とかそこら辺が好きな人向けなんじゃないか。あ、私の好きな『左近の桜シリーズ』(長野まゆみ)もこういう系だな、そういえば。

 特定の層にピンポイントでぶっ刺さる系なので、『極夜』のレビューを某BLレビューサイトで見るとけっこう良さげなのだが、泣いたとか感動したは言い過ぎなのではないかと、私は思う。そこまですごくはない。まあまあ良い話だとは思うけど。

 事前調査なし・試し読みなしで買って読んだら、表紙めくって出てきたカラーイラストが『鴆――ジェン――』のフェイ将軍とツァイホンの絵だったので、私は買う本を間違えたのか? と一瞬慌てた。調べたら、この『極夜』というタイトル単行本、文善やよひ先生が『鴆』の大ヒットで人気作家になったために、絶版になっていた過去作品を『極夜』と改題して復活させたものだった。表題作の他に『鴆』の番外編も同人誌から再掲。なるほど、今の文善先生はかなり手練なプロ作家という印象だが、『極夜』は確かに若いなって印象だ。『鴆』はpixivコミックで2話まで無料で読める模様。

 文善先生の大ファンの人で過去作品全部コンプしたい人向け。文善作品ちょっと興味があるくらいなら、回り道せずに『鴆』シリーズか『蟻の帝国』を読むといいのでは。

 エロシーンがしめやかでいいな。私はあまりこれ見よがしな感じのエロシーンは好まないので。それと、ベタスクリーントーンが少ない為にエロシーンの白抜きが煩く見えなくていい。

 しかし、シンプルめな画風でもごっそりと白抜きのかかるのって。以前、某お気に入り作家さんのBL作品シーモア無料になっていたので読んでみたところ、修正レベルシーモアだったのでKindleでは輝く白さに消されるべき所が薄ぼんやり見えていたのだが、薄ぼんやり越しにもそこがかなり生々しい描かれ様なので驚いてしまった。な……BL作家さんって、キャラの顔はめっちゃ漫画でもおちんだけはこんなにリアルに描くもんなのか……なんでここまでおちん描写に執心してるのかわからない……と、電子書籍Kindle使いな私は愕然とした。そんな所どうでもいいと言い切ってしまうのも何か違う気もすると思いつつ、正直どうでもいいよなあ、どうせ消される所なんだし……と思わずはいられない。


『綿柎開(わたのはなしべひらく)』(長野まゆみ



概要

 16ページしかない掌編なので、あらすじは省く。掌編アンソロジー『掌編歳時記 秋冬』に収録された作品サラリーマンのほんのりオフィスラブ。現代現代的な話だから幻想なし。エロもなし。しかし非BLなので安定のインモラル上等ぶり。


増田感想

 普通に現代ものなのでビビった。登場人物ちゃんと今時のサラリーマンだなんてすごい! 漢字字形にやたら拘るところはいもの長野先生だけれども。

 こんな短い文章ボーイズがラブしているのすごい。文章は簡潔だけど、短いなかに情報量が多く、なのに情緒風景描写が死んでいないとは。熟練プロ作家恐るべし。と、これを読んだ時にちょうど小説投稿サイトフジョッシーで開催されていた掌編コンテストに応募すべく四苦八苦していた私は、震え上がり畏れ平伏叩頭したのだった。プロすごい。


ところでBLとも長野先生とも関係ないけど、『掌編歳時記 秋冬』のトップバッターが先週亡くなった西村賢太先生訃報を知ったあとに読むとほろりとしてしまう、切ない掌編だった。


『チマチマ記』(長野まゆみ




あらすじ

 猫のチマキは飼い主のマダム・ロコとはぐれてしまい、まだ赤ちゃん同然の弟・ノリマキを連れての放浪生活ののち、小巻おかあさんの家に流れ着いた。小巻おかあさんの家・宝来家は大所帯。おかあさんの息子でありまかない担当カガミさんの他、おかあさんの亡夫の前妻・マダム日奈子、日奈子の娘の暦さん、暦さんの兄・樹の娘のだんご姫、だんご姫の叔父桜川くん、そしてジャン・ポールが住んでいる。

 そんな複雑な家庭でクセのある人々と共に暮らすチマキは、小巻おかあさんのエッセイコマコマ記』を真似て『チマチマ記』を書くことにした。これはチマキが宝来家にたどり着いてから一年間の記録。

増田感想

 だいぶ極まった感じのロハス生活を描いた作品だが、長野まゆみ先生らしく背景には桜川くん×カガミさんのほんのり(悪魔的な)BLがある。

 長野先生がこんなにふんわりした感じの森ガール死語)が喜びそうな文章を書くなんて意外な気がする。しかも「にゃん語」とか「萌え」とかい単語長野作品に登場するとは、その事自体萌え萌えしい。

 だが、文体はふんわりしているのに、ことあるごとに美味しい食べ物カロリーが高くしか健康に悪いという現実ビシバシ突き付けてくる。なんなの長野先生サドなの? そんなに言わなくてもいいじゃないカロリーことなんて! 普段現実離れした作風なのになんでそこだけリアルシビアなのか謎。極力カロリー塩分を抑えてしかも美味しい料理を作ろうとなった時にまずは極上の食材調達してきてそれを干す、という異様な難易度の高さ。救いなどなかった! しょうがない、貧乏人はポテチ食ってデブしか……。

 昔、向田邦子か誰かの随筆で、戦中にこっそり隠れて読んでいた婦人雑誌に「シュウクレエムのいただき方」という記事が載っていて腹を空かせながら読んだが、結びに「淑女はシュウクレエムなど食べてはいけません」と書かれていてがっかりした、とかいう内容のがあったと思うのだが、きっとその時の向田邦子か誰かの気分が『チマチマ記』のお料理場面を読んだ時の私の気分に近いんじゃないかなと思う。

 難易度高過ぎロハス暮らし描写勝手に心折られてしまったが、桜川くん←カガミさんのBLは良さげに納まったっぽいのでいいや。

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