要約
小説を読むのは好きだ。私は小説を読む時、主人公に感情移入して読んでいる。そして、本を読み終わった後も本の中の主人公の思考から抜け出せない。そのため読了後、本の中の憧れの世界と、自分のどうしようもない生活との落差に驚かされて憂鬱になってしまう。皆さんはこの落差と、思うようにならないことも多い現実に、どう向き合っているのだろう?
要約終わり
小説を読むのが、苦手というか、嫌いになった。
小学生の頃は、学校図書館にある本とか地域の図書館の本をかなり読んだ。
中学生の頃は、学校図書館の本だけでは飽き足らず、友達からラノベを中心に本を借りて読んだ。
高校の頃は、「国語の勉強」と言い訳して読書と受験勉強を1対1ぐらいでしていた。
登場人物の気持ちに思いっきり感情移入して話を読み進めるのにはワクワクする。
とっても綺麗な情景描写を見つけたときは、まるで自分が本当に綺麗な景色を見てるみたいでとっても感動する。
悲しい話だったら心が締め付けられるし、いい話だったら心がぽかぽかする。
ハッピーエンドで本が終わった時には、感動して涙が出そうになる。
でも、小説を読み終わった後が嫌いだ。
頭の中は小説の世界でいっぱいで、私は主人公になったみたいに心が揺れ動いている。
でも現実はそうじゃない。
友達と遊ぼうにも、あまりにも突然すぎて誰も乗ってくれないと思う。
頭がぐらぐらする。
本の中と現実が違いすぎて、その落差に頭がついていけない。
本の中では、楽しいことと、辛いことがバランスよく混ぜ合わされて出てくる。
主人公の行動が、周りに影響を及ぼしている。
高校生が主人公の小説なら、雨の日の通学が面倒な様子とか、あんまり書かれていない。
友達と何を話していいか分からずに悶々とする様子とか、あんまり書かれていない。
自分のいないところで友達が楽しそうに遊んでる様子とか、あんまり書かれていない。
現実はそうじゃない。
楽しいことも辛いこともある。
でもそれと同じぐらい、面倒なこともあるし、どうしようもないこともある。
本と違って現実は決して都合のいいところで終わらない。
いつまでも終わりが見えない道が続いてく。
本を読み終えると、まず現実との以外に驚く。
そして、もっとこうしていたらと自分の今までの生活を責めてしまう。
後悔というよりは、諦めだ。
どうしようもない。分かってる。
でも現実は本の中と違って退屈だし、私は本の中の主人公と違い、空虚な人間だ。
小学生の男女の幼馴染が、お互いの家庭環境の悩みを共有しつつ成長していく話だ。
男の子は近所に引っ越してきたみなしごとの関わり方に悩み、女の子はお母さんの再婚相手とそのことどう関わっていけばよいか悩んでいる。
物語が進むにつれだんだんとお互いに秘密を共有しだし、仲が深まってきた中で、突然に女の子の引っ越しが決まり、卒業式を迎える。
「きれいな景色を見ていると、いろんなこと、もう、どうでも良くなっちゃうね。」
本当にそうだと思う。きれいな景色を見たり、きれいな本を読んでいると、いろんなことがどうでも良くなってしまう。
「そうだといい。でも、きっとそうではない。どうにもならないことって、ある。けっこうたくさんある。」
この本を読みながら、私は小学校の頃を思い出した。
でも、私は幼馴染になるほど人と関わる努力をしていなかった。
本の中と違って、現実はどうにもならない。
どう受け入れていけばいいのだろう。どう向き合っていけばいいのだろう。
私は本の中から、その答えを読み取れなかった。
「主人公に思いっきり感情移入する」読み方は弊害が多い。 普通はもっと客観的に物語を楽しんでいるものだ。 そのほうが気楽だし読める作品の幅も広がる。