批判的な人が思ったより多くて悲しい。
タイザン5先生らしい、少し悲しくも地に足のついた、たくさんの人へ送る救いの物語だったと思う。
ここに個人の感想を記す。
タイザン5先生の前の読み切りの『キスしたい男』では、高校生の主人公はすごい困難に遭ってずっと一人で耐えてるんだけど、
ヒロインがそれに対して、
って叫ぶんだよね。それがすごく好きで。
「なんとかしてあげる」でも「助けてあげる」でも「愛してる」でもなくて。
もっと普通の高校生みたいに、平凡に、普通に周りがやってるような、青春や若さを浪費して欲しい、後から、あれが幸せだったねあれが永遠に続くと思って
無為に過ごしちゃったね、っていう、その今しかない贅沢を味わって欲しい、って。
主人公を取り巻くひどい現状についてはどうしたらいいか分からないけど、でもほんとに幸せになって欲しいって
人生には苦しいことがたくさんあって、
でも自分一人の力ではたいてい全く太刀打ちできなかったりする。
そして、それを劇的に変える漫画みたいな方法は現実には存在しない。
人生を劇的にハッピーエンドに変える魔法はないし、最悪なら最悪なまま人生は続いていく。
ずっと周りを取り巻く酷い環境は変わらなくて一人で耐えて互いに憎しみあってきたけど、
実は二人はよく似てて、きっかけさえあれば二人はいい親友になれて、最悪な環境も二人なら少しマシにすることができた。
家族は最悪だし問題は解決したわけじゃないけど、物語の途中にあったみたいにひとりぼっちで死ななくて済んだ。
タコピーの最終話に、劇的な、ハッピー道具みたいな(あるいはドラえもんのひみつ道具みたいな)
すごいカタルシスの救いを求めていた人は肩透かしだったのかもしれないけど、
現実に、私たちの人生に魔法のハッピー道具はないし、なにかのきっかけで劇的に人生が良くなることはなくて、
最悪な今日の続きには何も変わらない最悪が続いていくだけだったりする。
まりなちゃんのお母さんは相変わらず最悪だし、しずかちゃんのお父さんは多分帰ってきてないし。
でも、タコピーという小さな物語が人生を少しだけ変えてくれた。
タコピーが繋いでくれたおかげで、お互いにたくさん「おはなし」して、
小さくても大きな救いを得ることができた。
そのおかげで、少しずつ人生が良くなったんだと思う。
友達みたいに、私たちの人生を少しだけ良い方向に変える『救い』になるって、
これまで「現実の人の気持ちだけが人を少しだけ救う」というテーマに、
おしまい。
批判的な意見はただの逆張りだから