2022-03-26

タコピー原罪タイザン5とキスしたい男、対話物語

タコピーよかった、よかったよ。

批判的な人が思ったより多くて悲しい。

タイザン5先生らしい、少し悲しくも地に足のついた、たくさんの人へ送る救いの物語だったと思う。

ここに個人の感想を記す。




タイザン5先生の前の読み切りの『キスしたい男』では、高校生主人公はすごい困難に遭ってずっと一人で耐えてるんだけど、

ヒロインがそれに対して、


もっと ユーチューブとか見てよ!」


って叫ぶんだよね。それがすごく好きで。

「なんとかしてあげる」でも「助けてあげる」でも「愛してる」でもなくて。

もっとユーチューブとか見てよ」って。

もっと普通高校生みたいに、平凡に、普通に周りがやってるような、青春若さを浪費して欲しい、後から、あれが幸せだったねあれが永遠に続くと思って

無為に過ごしちゃったね、っていう、その今しかない贅沢を味わって欲しい、って。

主人公を取り巻くひどい現状についてはどうしたらいいかからないけど、でもほんとに幸せになって欲しいって

絞り出した、背伸びしない等身大の愛の言葉だと思った。



人生には苦しいことがたくさんあって、

でも自分人の力ではたいてい全く太刀打ちできなかったりする。

そして、それを劇的に変える漫画みたいな方法現実には存在しない。

人生を劇的にハッピーエンドに変える魔法はないし、最悪なら最悪なまま人生は続いていく。




タコピー原罪』で、しずかちゃんまりちゃんも、

ずっと周りを取り巻く酷い環境は変わらなくて一人で耐えて互いに憎しみあってきたけど、

実は二人はよく似てて、きっかけさえあれば二人はい親友になれて、最悪な環境も二人なら少しマシにすることができた。

家族は最悪だし問題解決したわけじゃないけど、物語の途中にあったみたいにひとりぼっちで死ななくて済んだ。

タコピー最終話に、劇的な、ハッピー道具みたいな(あるいはドラえもんひみつ道具みたいな)

すごいカタルシスの救いを求めていた人は肩透かしだったのかもしれないけど、

現実に、私たち人生魔法ハッピー道具はないし、なにかのきっかけで劇的に人生が良くなることはなくて、

最悪な今日の続きには何も変わらない最悪が続いていくだけだったりする。

しずかちゃんまりちゃん人生もそんなに変わらなかった。

まりちゃんのお母さんは相変わらず最悪だし、しずかちゃんのお父さんは多分帰ってきてないし。

でも、タコピーという小さな物語人生を少しだけ変えてくれた。

タコピーが繋いでくれたおかげで、お互いにたくさん「おはなし」して、

小さくても大きな救いを得ることができた。

そのおかげで、少しずつ人生が良くなったんだと思う。



私たち人生タコピーはいないし、ハッピー道具もないけど、

タコピー原罪』という“おはなし”が、

友達みたいに、私たち人生を少しだけ良い方向に変える『救い』になるって、

タイザン5先生がそんな魔法をかけてくれたって思うよ。






蛇足だけど、これまでとは違う、サイエンスフィクションである

ハッピー道具」を先生物語に取り入れたことは、

これまで「現実の人の気持ちけが人を少しだけ救う」というテーマに、

逆説的にさらに踏み込んだものであると思ったよ。

おしまい

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