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はてなキーワード: 内田樹とは

2024-03-19

予言日本ではこれから数年間の間に最大約500万人が追加で死亡する

 内田樹が触れているように、日本は「立ち帰るべき初期設定」(注1)がない国である。立ち返るべき初期設定がないということは、現行のルール自発的に、外部からイベントなしに、変更しにくいということでもある。何かがおかしいと感じられていても「平穏である限り、そのルールは維持される。仮にその「平穏」がル・グウィンの書いた「理想都市オメラス」のような平穏であってもだ。「立ち返るべき初期設定」がないから、そのルールの良しあしを判断できないのだ。官僚機構は、自らに課せられたルールを忠実に守る。それが官僚機構の役目だからだ。官僚機構自発的な変革は期待できないし、期待してはいけない。期待するとすれば、政治家国民の、そして、外部からイベントになる。

 さて、ルール再考きっかけとなる、外部からイベントの一つが、「人の死」であるブラック企業対策きっかけになったのは、高橋まつりさんの死だったし、統一教会対策に動き出したのは安倍晋三元首相の死がきっかけだった。でも、この2つはもともと国民の側にある程度の不満が溜まっていたからこそ、一人の死でここまで動いた。では、もし、国民政治の側が致命的な選択肢を選んでいるにもかかわらず、その致命さに気づいておらず、不満も持っていなかったら?

参考になるのは、前世紀において、日本アジアに対して行った侵略戦争である日中戦争開始当時、そのことを間違っていると考えた国民は少数派だった。みずから選択肢が誤っていると判断して無条件降伏するまで、多くの人が亡くなった。特に戦争末期になって戦没者の数は急激に増える。全戦没者のうち9割を占めると言われる。最終的に、東京大空襲沖縄戦ソ連の侵攻、原爆投下にいたる。死者は軍人軍属民間人合わせて240万人〜310万人とも言われる。当時の総人口を7500万人とすると、3.2〜4.1%にあたる。それだけの犠牲者が出た段階で、ようやく政府終戦決断した。

 さて、今現在日本は、戦時下にある。それはCOVID-19との戦争である。互いに殺し殺されるという関係では、戦争公衆衛生もたいして変わりがない。違うのは、ウイルスには意志戦争遂行責任者もない点である歴史は繰り返さないが韻を踏むという。すでにその兆候は見えている。

 

 ・責任者の不在

  5類の意向により、政府感染対策民間に丸投げし、積極的感染対策を取らなくなった。

  一方、民間民間で、上の指示がない限り積極的感染防止対策を行わない。結果、誰が責任者かわからないまま、だらだらと戦争は続いている。

 ・初期段階は現場努力で上手く行く

  すくなくとも、戦争が始まってからの数年間の動きは素晴らしかった。しかし、それらは、現場民間努力によるものであり、長続きはしなかった。

 ・戦争相手の実力を甘く見積もる

  中国米国の実力を見誤ったように、コロナウイルスの実力を甘く見積もる。「ただの風邪」という言説はその最たるものであるしかし、実際にはコロナウイルスは想定よりも厄介なウイルスである心臓疾患や認知障害をはじめとする様々な疾患を引き起こし感染性も高く、免疫逃避性も高い。繰り返し感染するごとに、後遺症発症する確率もあがってゆく。

 ・戦争に対して不足する自リソース

  脱マスク診療報酬の削減、ワクチン任意接種化で、全数把握の取り止め、無料検査事業の終了、患者の届け出の把握など、わざと自らのリソースを削減する。

    

 これらの結果、戦争開始当初は、現場の奮闘と戦術でうまくいくが、戦略の無さとリソースの不足でやがて負ける。いくら指揮命令系統を強化しても意味がない。負ける理由戦略の不足であり、決断の不足であり、思想の欠如であり、「立ち帰るべき初期設定」の欠如だからだ。幸か不幸か、戦争相手ウイルスであり、どこかに大本営があるわけではない。現場で戦う個々人に対し、リソースを潤沢に供給し、支援し、戦い続けられば、少なくとも五分五分には持ち込めるだろう。マスクを着用させ、手洗いを励行させ、ワクチンを接種させ、その代金を支援し、発熱外来コロナ病床を提供する医療機関資金面支援し、ワクチン製造し、備蓄し、抗原検査キットを配布させれば戦い続けることはできるであろう。しかし、緊縮財政の名のもとにそのリソースを絞ってしまった。

 おそらく、前戦争におけるミッドウェー海戦に相当するものは、コロナウイルス感染症の5類移行である。あれをきっかけに潮目が変わった。明らかに社会コロナウイルス感染症は警戒しなくて良いというメッセージと受け取った。テレビでは、「コロナ明け」という単語が飛び交い、マスクをつけなくなり、飲み会に繰り出し、満員電車は復活し、学校では積極的に脱マスクが推進されている。ウイルスは弱毒化どころか、ますますその凶悪性質が明らかになっているというのに。

やがて、免疫が弱体化して感染症が蔓延し、または、再感染でロングCOVIDが蔓延し、人がバタバタ死に始め、国民おかしいと気づくまでこの状況は変わらないであろう。どのくらいの人が死ぬだろうか。前大戦では総人口の3.2〜4.1%であったことを思い出してほしい。2024年現在日本人口を1億2000万人とすると、死者数は、384〜492万人に及ぶ。そこまでの死者を出して、ようやく国民政府は、自らの選択肢が間違っていると気づくであろう。

 筆者は、この予言が当たらないことを祈るのみである

 

注1 内田樹,『日本辺境論』,新潮新書,p24

2024-01-13

知の巨人が恥の巨人反原発陰謀論者になっても左派ならリベラル批判しないんだから楽チンでいいよなあ

内田樹@levinassien

これは僕も同じ意見です。初動があれほど遅かったのも、議員被災地入り自粛を申し合わせたり、ドローン禁止したりしたのも「志賀原発被害状況がわからなかったから」ということならすべて腑に落ちます総理大臣が「私は被災地には行かない」と言明するなんて、おかしいでしょう?

https://twitter.com/levinassien/status/1746087879565332661

岸田が現地に行かないのは原発のせい!と陰謀を好き放題言おうがリベラルは一切批判しないんだから

コイツのことはてブでさんざん持て囃してただろうが。

劣化して恥の巨人になった後もちゃんと面倒見て言論空間から叩き出せや。

2023-11-15

ユダヤ人とかユダヤ系団体とか、そんなふうに呼ぶから自分はてっきりそういうなんかの人種的特徴もつ民族集団があると思ってた

そうじゃなくて、ユダヤ教信徒ユダヤ人とかユダヤ系とかみたいに呼んでいるのか……

スラブ系とかゲルマン系と並列で並ぶようなものだとてっきり……

ということはモンゴロイド日本人かつユダヤ系というパターンも当然ありうるわけか

ややこしい、なんでユダヤ教徒と呼ばないのだろう

不思議だなあ

日記

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ユダヤ人 - Wikipedia

原義は狭義のイスラエル民族のみを指した。

ハラーハーでは、ユダヤ人母親からまれた者、あるいは正式手続きを経てユダヤ教に入信した者がユダヤ人である規定されている[10]。

ハラーハーって何

ハラーハー - Wikipedia

ハラーハー、ハラハー(halakhah, הֲלָכָה hălākhāh)は、ヘブライ語概念用語で、ユダヤ法(Jewish law)とも呼ばれる。次の意味使用される。

1.ラビ達の承認したユダヤ

2.ユダヤ教法規的な側面の総称

3.ラビ文献において、アッガーダー(聖書の注解や格言を通して教訓的なものを引き出したり、聖書に書かれていない物語、様々な逸話などの類)との対象として用いる用語


言語の面をみても、イディッシュ語話者もいればラディーノ語の話者もいる。歴史的にはユダヤ人とはユダヤ教徒のことであったが、現状では国籍言語人種の枠を超えた、ひとつ尺度だけでは定義しえない文化的集団しか言いようのないものとなっている[12]。

内田樹は、英語であれば "Jew" や "Jewish" の一語で表せるが、日本語では単に「ユダヤ」とは呼ばず、その後に「〜人」「〜民族」「〜教徒」とつけて呼び習わしているが、「教徒」では宗教的意味合いだけで考慮されることが多く、「〜人」「〜民族」という表現から民族人種概念混同して)「ユダヤ人」がひとつの「人種であるという誤った印象を受けてしまう人もいるが、実際にはユダヤ人とほかの民族集団とを区別しうる有意人種的特徴はないという[17]。


うーんなるほど、単にユダヤ教徒と呼んでしまうとニュアンスが少し違ってくる……と言われたらその通りなのかもしれないな

2023-10-17

anond:20231017110925

その「ネット以前の論壇」の生き残りが宮台真司とか佐藤優とか内田樹とかやん。無理やろ。

2023-05-20

何年か前に内田樹

ネトウヨ韓国叩きばかりして中国には触れない。中国には敵わないから弱いものいじめ韓国を叩いてる」のような分析をしてた。

でも最近は、日韓関係は良くなって、中国には反中どころか武力で対抗しようって感じになってるじゃん。

中国に敵わないか軍事力で対抗するなって言ってるのは左派だし。

ほんと適当だよね。

2023-04-16

大阪維新について

ヨッピー:働かずに給料もらってた公務員問題視して減らしました。

https://note.com/yoppymodel/n/nfb5ed80ea890

内田樹公務員は減らせるだけ減らす。行政コストは削るだけ削る。

http://blog.tatsuru.com/2023/04/16_1101.html

先生、そう言う都合の悪いとこは伏せて語るようなとこはもうみんなに見破られてるからやめた方がいいんでは。

維新評価」として書いた文章やけど賢い先生なはずやのにヨッピーさんに明らかに負けとるがな。あと維新あかんいうならもう少し具体的な違う未来像見せてくれ。国際競争から外れるのが良い言うなら北朝鮮みたいな国になるのがいいってこと?絶対はっきり言わんのよね。「維新ダメだよねーはいはいマッチョマッチョなことばかり、あかんわー」くらいなことしか言ってないぞ。

2023-04-05

anond:20230404001501

はいダウト

なんではてな民って毎回毎回この手のしょーもない専門性無人文系おじさんの戯言をわざわざ読みに行って

俺は内田樹なる名前を見ただけで「いつも何か変なこと言ってるおっさんか」と思うだけでわざわざ読みに行ったりせんわ

2023-04-04

anond:20230403182404

この増田は、内田樹という権威脱構築するものだし、内田樹本人が広めるべきだよな。

anond:20230404091244

ちなみに内田樹とか亡き小田嶋隆も実はそういう「ちょっとおかしくね?」的なことにツッコミを入れる芸風でウケたので(内田の方がよっぽど上品ではあったが。俺は小田嶋の方が好きだけど)、ある意味ひろゆきとかの先駆者ではある。問題は、これは彼らに限らないけど、ネットSNSガチ専門家発言力を持つようになったことによって、その「ちょっとおかしね?なツッコミもっとおかしくね?」と可視化されてしまたことにある。

内田樹の論評って、事実誤認っていうか、認知の歪みレベル事実解釈おかしいのが多々見られるからブクマがついてホットエントリに来ていても見なくなったわ。

2023-04-03

anond:20230403182404

色々間違っているのは内田樹ではない。

日本アメリカの属領でアメリカの機嫌をソコネルとクビが飛ぶ。

これは陰謀論ではなくて本当。

まず事実関係認知が甘い。

あと日本人がなにをどう言おうとロシア認識アジアで最もロシア制裁積極的な国とされている。

サハリン利権を確報?それだけじゃだめだね。

この辺の認知は甘すぎるし雑。

あと岸田はロシアに嫌われすぎ。全く信用や人望がない。

しか日本人の批判内田樹とかーと大体似てるの。

一つ言っておくと国内でなにをどう言おうと真珠湾攻撃でまったく世界から信用されないのが日本

サハリン2はサハリンの人たちの生活もあるからやっているけど9条を改憲したらアウトだな。9条は国際的日本誓約で(なぜ死文化してるデマ流行るのか?)それを破ればその時点で戦争になる。

なにしろ嘉手納基地岩国三沢アメリカ基地ばっかり。どこかに核ミサイルあるでしょ。

さらパトリオットポンコツで役に立たない。撃つのに人数が多すぎ。あとスピードもおそい。ロシア中国には通じない。あっちのミサイル極超音速

まあなにを言っても文字しか読めないカタログミリヲタには通じないけどな。

内田樹記事事実誤認が多すぎて体調崩しそうになった

ネタ

http://blog.tatsuru.com/2023/04/02_0947.html

賛成できる部分もあるが、個別の具体例に対して事実認識が古いか間違っている内容が多すぎて、読んでて気分悪くなった

一つは米国に徹底的に追随すること

外圧を利用して政策を通す、といういつも通りの政府のやりかたであって、米国のいいなりと言い切ってしまうのは一面的にすぎない。米国日本要求している事項は多くあるが、日本にとって都合のいい要求だけ呑んでいる。例えば、米国ははロシアへの経済制裁圧力をかけているが、日本サハリン2から撤退する気配はない。米国へ徹底的に追従するというなら、今すぐにでもサハリン2から撤退してしかるべきだが、そうしていない。

国民がこの大きな増額にそれほど違和感を覚えないで、ぼんやり傍観しているのは、安全保障戦略について考えるのは日本人の仕事ではないと思っているかである

でたよ雑な日本人論。安全保障について考えるのが政府仕事というのは世界共通であり、別に日本に限ったことではない。日本人が平和ボケしているという人は多いが、実際平和なのだからしょうがない。ウクライナ戦争が始まってから慌てて軍縮撤回しているドイツなど見てわかる通り、平和ボケ別に日本に限ったことではない。紛争を抱えていない国はたいていこんなもんであるロシア中国隣国とは言えども海を隔てているのであり、例えばロシアと陸続きの東欧などとは、安全保障に対する意識の差は比べようもない。世界中積極的揉め事引き起こしているアメリカでさえ、一般国民の大半は安全保障に関しては無関心で、日本人より関心を持っていないまである共和党の有力な大統領候補ポピュリスト二人がウクライナへの関与を減らせと言って支持を得ているのが、その証左だ。

安全保障戦略米国が起案する。日本政府はそれを弱々しく押し戻すか、丸呑みする。戦後80年、それしかしてこなかった。その点では日本政府の態度は戦後80年一貫しており、岸田政権別に安全保障政策の「大転換」したわけではない。政権によって米の要求に従うときの「おもねりかた」の度合いが多少違うだけであり、そこにはアナログ的な変化しかない。だから国民は誰も驚かないのである

最近日本外交政策を全く追いかけられていない無能アピールか?俺は安倍首相政策に対してはかなり批判的な方と思っているが、「外交安倍」に関してはかなり評価している。というのも、QUAD提唱したのが安倍からだ。QUADが始まったのが2007年アメリカが対中シフトを始めたのが2011年であることを考えると、むしろ日本アメリカ外交政策を動かしたといっても過言ではない。いや、過言かもしれないが、少なくともアメリカのいいなりになってQUADを始めたわけではないというただ一点において、内田樹の言説は全く持って誤っていると言わざるを得ない。安倍首相時代安全保障政策は大転換しており、そして、その時の外務大臣は岸田である安倍政権がクソであったことはさておき、日本外交安保政策における主体性は正しく評価されるべきである

岸田首相の党内の政権基盤は決して堅牢ものではない。だから長期政権をめざすなら、米国からの「承認」がその政治権力生命線となる。ホワイトハウスから米国にとってつごうのよい統治者」とみなされれば政権の安定が保証されるし、少しでも「米国に盾突く 」そぶりを示せば、たちまち「次」に取って替わられ、政権は短命に終わる。

陰謀論。まだGHQ日本駐留してるならともかく、21世紀現代でそれは無理がある。日本アメリカ属国であるという命題から逆算した結果、とんでもない主張をしているとしか思えない。属国であるということは否定しない。外国軍隊駐留していて、その駐留費用日本負担しており、外国軍隊治外法権享受している事実を列挙してみれば、属国扱いもしょうがない。だが、現代アメリカに、その時の気分次第で日本首相の首を挿げ替えるような力があるのだろうか。いやない。あるなら事例を出せよという感想しかない。菅首相アメリカのいうことを聞かなかったかアメリカに首を挿げ替えられたとでも思っているのだろうか。

岸田政権にはとりわけ実現したい政策があるわけではない。最優先するのは「政権延命」だけである。喩えて言えば、船長目的地を知らない船のようなものである自公連立政権という「船」を沈めないことだけが目下の急務であり、岩礁や氷山が目の前にきたら必死に舵を切って逃げる。だが、どこに向かっているのかは船長自身も知らない。

岸田首相安倍首相外交安保政策主体的継承、推進しているので、指摘は当たらない。岸田首相動機に関しては、本当かどうかはともかく、NHKの以下の記事示唆である

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/93812.html

総理周辺はこう解説する。「岸田さんは安倍さんが成立させた、集団的自衛権などを盛り込んだ安全保障法制の体系を機能させるために、防衛力を量的・質的な面で担保していくのが自分仕事だと、よく語っている」岸田は第2次安倍政権で、4年半余り外務大臣経験短期間だが防衛大臣兼務した。国民の命を守るため、最優先は外交努力だとしながらも、外交説得力を持たせるためには防衛力必要だという考えを持つに至った。「安倍さんの“バトン”を自分はつなぐ」

それが、岸田の信念だという。その言葉の裏には、安倍が亡くなる直前まで防衛費の大幅増を主張し、最大派閥安倍派の議員たちも、その遺志の実現を重視する声を強めていたという政治状況もあったとみられる。

国民の声を聴く」とか「個性多様性尊重する」とか「新しい資本主義」とか公約を掲げていた時は、首相になれば少しはこのシステムをいじれると思っていたのだろうが、実際に船長になってみたら「お前が動かしてよい舵輪の角度はここからここまで」と言われ、ほとんど政策選択の自由がないことを思い知らされた。

これは同意。まあ選挙向けの適当アピールだったんだろうが、特に「新しい資本主義」の中身のなさっぷりにはかなり失望した。何をどうやったら再分配が消えて投資連呼になるんだよ、内容が180度転換してるじゃん。これこそ国民をナメてるとしか思えない。

今回の防衛予算の積み上げも、まず米国から要求があり、それに合うように予算が組まれさらにその予算枠に合うように、「中国北朝鮮の脅威」なる「現実」が想定されている。ふつうの国なら、まず現実認識があり、それに基づいて国防戦略が立てられ、それに基づいて必要経費が計上されるのだが、今の日本はみごとにそれが逆立しているのである

ここに関しても同意金額ありきなのは本当に意味不明アメリカから外圧を利用しての2%なのは構わないが、予算の内容について防衛省と調整してから出せよ。それを悠長に待ってたらタイミングを逃すから、という極めて政局的な判断なのであれば、それは批判されてしかるべき。

日本政府が購入を決めたトマホークにしても、その前に「爆買い」したF35戦闘機にしても、米国内でははっきりと「使い物にならないほど時代遅れ(レガシープログラム)」の兵器とされている。中国との競争において、米国AI軍拡で後れを取っている。もう大型固定基地空母戦闘機時代ではない。AIに優先的に予算を投じるべきなのであるしかし、米国には軍産複合体という巨大な圧力団体があって、国防戦略に強い影響を及ぼしている。兵器産業にいま大量の在庫が残されている以上、それを処理しなければならない。だから、それを日本に売りつけるのである日本に不良在庫を売りつけ、それで浮いた金を軍のヴァージョンアップに投じる。そういう「合理的な」メカニズムである

ここに関しては完全に誤認している。情報が間違ってるし古い。開発中は開発期間の延期と開発費の高騰で失敗作扱いされることもあったF-35も、今では様々な不具合が改修され、最新鋭の戦闘機として各国に順次導入されている。本当に時代遅れの欠陥機なら、米国と仲が悪いトルコがわざわざF-35供与要求するわけないじゃん。トマホークも初出は古いものの常にアップデートされており、日本が購入するブロックVは2021年開発である亜音速巡航ミサイルが古いという言説も、ロシアウクライナ戦争前に自慢していた超音速ミサイルが期待通りの成果を上げていないことを見れば、何言ってんだこいつしか思えない。

米国AI軍拡で後れを取っているという言説に至っては完全に意味不明だ。OpenAI中国製だったのだろうか。中国米国比較して先進的な軍用AIを開発した、というのも聞いたことがない。一応中華ソースニュース記事も調べてはみたが、中国AI開発に遅れを取っているというような内容しか見つからない。

不良在庫を言い値で買ってくれるのだから米国にしてみたら日本自公連立政権ほど「使い勝手のよい」政権はない。だから、この政権が半永久的に続いてくれることを米国が願うのは当然なのである

前提があらゆる部分で完全に間違っているため、この結論にもうなずけない。思いやり予算批判でもしてればいいのに。

日本国民属国身分にすっかり慣れ切っているので、自国政権正統性根拠第一に「米国から承認されていること」だと思い込んでいる。「国民のための政治を行っていること」ではないのである米国に気に入られている政権であることが何よりも重要だと日本国民自身が思い込んでいる以上、日本人が岸田政権に不満を持つはずがない。だから、岸田政権防衛増税を進めても、インボイス制度マイナンバーカードなどで、国民負担を増大させても、国民デモストライキもしない。それは国民自身が「政府というのは、国民生活のために政策実施するものではない」という倒錯に慣れ切ってしまっているかである

全体的に批判が雑。岸田政権に不満があるから支持率が下がってるんじゃないのか…最近また上がってるけど。デモストライキをしない=政権支持というのは短絡的すぎるし。

インボイス制度の導入で被害を被るのは零細の個人事業主という狭いターゲットであり、これに対して大規模なデモストライキは起きにくい。というかデモ自体はやっているが、ニュースにならないだけである安保闘争の時のように、100万人単位で動員しないとデモ認定されないんだろうか。サラリーマン非正規というプロレタリアートにとって個人事業主というプチブルは敵であるから、むしろインボイス導入を喜ぶべきであるという冗談はさておき、労働組合個人事業主に雇われる側なんだからストライキにはならんだろ。

またマイナンバーカード国民負担を減らすための施策であり、マイナポイントというエサで導入を釣ったり、保険証からの性急な切り替えに対して文句を言うのはともかく、国民負担増大というくくりに入れるのは具体事例としてどうなの。復興特別所得税防衛費へのつけかえとかもっと直球な負担増大の具体例あるじゃん

そうやって政府に対する国民の期待を下げれば下げるほど、棄権率は高まり結果的に20%の鉄板支持層を持つ自民党選挙には勝ち続けることができる。

https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/ritu/index.html

長期的なトレンドとしては下がってますが、ここ数年の国政選挙投票率は上がっています。この理屈だと菅と岸田政権国民の期待が上がってるみたいじゃん。

通してみると、全体的に認識が間違っているというより古い認識からアップデートできてないのかな、と悲しい気分になった。

2022-11-26

anond:20221125182635

内田樹さんかだれか現役の名前さらしてる大学教授だったか

ハラスメント対策室はなにもできません」っていってた

なにしろ教授間のハラスメントも、さえぼうさんへのものをはじめとして、たくさん実在してるわけなので。

生徒へのハラスメント以前にオレへのハラスメントやめろや!ってがちけんかになる人間たちが

回り持ちでうしろだてもなく「室」の肩書きつけてたって解決するほうがおかしいでしょ。

あと研究者ってのはどう説教されても主義主張をまげないよ。首にされたら不当解雇訴訟するし。

野球選手だのブラックジャックみたいなフリーランスだし、そのうえ高給でもないのにこきつかわれるのは部活ブラック高校教諭と大差ないからね

論文同人誌とおもえばほぼ自分勝手エログロかい一部の人からもちあげられて喜んでる同人作家とおなじタイプの生き物なんだぜ、研究者ってのは。

組織にいても不自由なだけだから理不尽なことで注意されたとおもったらすぐ出て行く(訴訟も起こす)だけなんだよ。

じゃあ第三者委員会権力もたせればいいだろって?

オリンピック委員会みててもそうだけど、なんとか協調させるために第三者委員会つくったら、いずれはそいつらが権力の甘い汁をすい散らかすから

その上に第四者委員会必要になるんだよ。泥沼だよ。

2022-11-25

anond:20221124164642

内田樹国内外国軍基地があるとき反基地運動の先頭に立たない右翼なんか世界中探してもどこにもいませんよ。親米右翼というのは、日本だけに存在している奇形的な存在なんです。」

http://blog.tatsuru.com/2022/09/12_1044.html

2022-10-13

係長なのにいつも雑務をこなしている自分肯定したくて書いた

内田樹村上春樹小説に出てくる雪かきのような仕事をする人が現代には必要だと言っていた。

誰かがしなくてはいけないが、責任者が明確でない作業遂行する人のことだ。

会社だと給湯器補給とかコピー用紙の補充とかFAX担当部署に持っていくとかシュレッダー袋の交換とか2コールでも誰も取らない電話を取るとか運送業者荷物を取りにくとかだろう。

市場原理的にはこれはイレギュラーで、引き受ける人は損な役割だと思う。

ここまで書いて筆が止まったのでAIに続きを書いてもらった↓

だけど「みんながやりたがらない仕事」を引き受ける人が日本には足りないらしい。

「みんながやりたがらない仕事」を引き受ける人は確かに損をすると思う。

でもその分、大きなリターンもあるのだ。

村上春樹はそのことをよくわかっている。

ノルウェイの森」も直子が直美のアパートのドアを開けて入って来たところで終わっている。あの後、直美と直子がどうなったのかはわからないが、おそらく二人は再び出会ことないだろう。しかし二人の間に何があったかはわかる。それが「ノルウェイの森」の結末である

ノルウェイの森」を書いた時、村上春樹は「この小説は終わりませんよ」と言ったそうだ。つまり二人の物語は終わらない。二人が再会しないからと言って、それは終わりではない。これからも直子は直子として生きていくし、直美だってそうである。そして直美のことを好きだった和司や裕也たちもまたそれぞれの人生を歩んでいく。

ノルウェイの森」は「終わる世界」の物語だが、「終わる世界」はまだ終わらない。直子たちはその後も生きていかなくてはならない。

直子たちが生きることが、すなわち直子たちの物語の終わりなのだ。直子たち自身が直子たちの物語を終わらせる。

ノルウェイの森」にはそういう側面があるように思える。

ノルウェイの森」は直子の物語であり、直子の物語の先に他の登場人物たちの未来がつながっている。「ノルウェイの森」は直子の人生物語であると同時に、直子以外の人々の人生物語でもある。直子と直子を取り巻く人々は、彼らの人生を生きている。直子自身も彼らと同じように自分人生を歩む。直子は直子として直子の人生を生きる。直子は直子なりに、彼らと一緒に生きる。彼らは直子と共に生きている。

直子の夫であり、直美の父親であるレイジは、直子と共に直子の人生を生きている。直子の家族であるタカシリョウコは直子と共に直子の人生を生きている。直子の友人であり、直子の恋人であったミドリは直子と共に直子の人生を生きている。直子の仕事仲間であり、直子の元恋人であったワタナベさんは直子と共に直子の人生を生きている。

読者もまた、読者自身人生を生きている。

2022-09-16

うっわ

松井市長インタビューへのリプライで「所得制限つら」って言ってる人がいた(個人的同意)のに

それについたクソリプライで「昭和のころも(補助金など)なかったですがなんでできないんですか」って書いてる人がいて

内田樹くらいよまんのか…っておもった

麻雀で払える学費(数万円)だったものを、(学生運動に凝りた)国立大学費ガンガンあげて今や50万超え。

高校たかバイトで50万貯金があるから大学入ろうかなんてやつおらん。親が学費払わないといけないのが大学

もちろん留年でもしたらそのたびに同じ金がかかる。休学も同様でコロナ休学や犯罪被害者休学の人が訴訟おこしてた。

日本大学富豪のためのものにしてしまったって内田教授の話マジで同意です

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クソリプついてたかソースよめ

https://togetter.com/li/1943663 これをみた内田さん

2022-08-15

共感にあらがえ - 内田樹の研究室を読んで

これは、いろいろと考えさせられるいい文章だと思った。永井陽右という青年を振り回すかのように語る内田樹。こういうマウントは嫌いじゃない。

ただ、内田が、

感情の器」って、あくまでも個人的身体条件のようなものから

というとき、何か逃げた回答のような印象を受けた。

たとえそれが自分の中から湧き出す内発的なものだとしても、大昔にアダム・スミス道徳感情論で追求したように、何かのテコで共鳴し、社会規範構成するに至るメカニズムが何かしらあるんだろうと俺には思えてならない。

そういう感覚を身に着けるのにどうすればいいかと問うた永井氏に、家風だとか、弟子入りだとか、そんな表現内田氏がするのは、けむに巻いているようにしか思えなかった。

家風にしても弟子入りにしても、そのつながり方が、社会規範にむすびつくメカニズムがあるはずだ。

アレックス・カー20年前に書いた本で『犬と鬼』という著作がある。

おりしも建設省代表される特別会計の闇が浮き彫りになった時代

アメリカの7倍のコンクリートを使って日本山河コンクリートで固めようとしていた、公共事業のあり方に疑問を呈した名著。

その『犬と鬼』のなかでカーは、そんな日本に至った問題を解明するヒントは「徳の逆説」にあるという。

「徳の逆説」というのは、国家も人も同様に、自分たちに最も欠けている資質を最も高く評価する傾向があるという、カーが常々思っている真理を彼なりに名付けたものだ。


A・カーは、フェアプレイ精神といいつつ、七つの海を支配した大英帝国の事例、平等を錦の御旗にしていた共産主義者トップ黒海に豪奢な別荘を保有し、人民実質的農奴と変わらない生活だったというソ連の例などを挙げつつ、最後に、和を貴ぶ日本人がなぜ明治開国後、対外侵略に夢中になったかという精神性に触れてゆく。

「徳の逆説」は、身近なところでも当てはまる。口うるさい親や上司説教ブーメランに思えてならない、という経験は誰もがしているはず。そして気が付くと俺も親父と同じことを子供に、という連鎖

最近、想起するのはやはり旧統一教会家族価値を高らかに謳いあげておきながら、その活動が原因で多くの家族崩壊している、といった、「おまゆう問題崩壊させているがゆえにますます高まる家庭の価値、という悪循環。これもA・カーのいう「徳の逆説」が見事に当てはまる。これは人が自分自身を規律しようとするとき動機付けメカニズムなのだ

内田永井議論テーマひとつである人権平等。あたか普遍的原理についても、

それを概念として具体化して社会が取り込んだ過程を決して忘れてはならない。

アメリカ建国者の一人、トーマスジェファーソン人権宣言を起草した当時、200人以上も奴隷を抱えていた。

これは矛盾というよりも、むしろ奴隷制にどっぷりと漬かっていたからこそ人権宣言が生まれたという「徳の逆説」のメカニズムを見るべきだろう。

どんなに薄汚れた社会であっても、一度高らかに掲げた理想は、その社会を真綿で絞めてゆく。欲望大全開の人民を前提にすると、民主政は成り立つのか。多数決をすれば少数者が圧政に苦しむのではないか、これがマディソン含め、建国者懸念だった。しかし、為政者の徳(アリストクラシー)と、欲望とは別に社会で正しいと思うことに投票する、二重人格的な資質人民に備わっていると信じて建国者デモクラシー設計した。裁判を通じ、繰り返し憲法価値観をテストする、という振り返りをビルトインした設計は本当に優れたものだ。結果として、最高裁が突き付けた奴隷制と財産権矛盾が、南北戦争北軍正当性を決定的にする。

内田議論に戻ると、外付けの人権というテーマと同時に、内発的なものとしての感情の器という、とても重要キーワードを出している。それは他方で外付け実装された人権と、どのような整理ができるのだろうか。

自分でうまく整理がつかなかった。内田はいう。

「人としてどうふるまうべきか」を子どもに刷り込むのは「家風」なんですよ。子どもたちは親の背中を見て、人間としての生き方を学ぶ。それは教科書で教えることじゃない。

これは、親子を中心とした自分史と言い換えられるのではないかと思った。さらにいえば、自分史は必ずしも親は関係いかもしれないのではないか。つまりこれまでの人生、来し方がキーなのでは。

内発的なものと外付けのもの、この二つはやはり、きちんと切り分けて、そして二つが、どうつながってゆくのか。以下、自分なりに整理を試みる。

まず外付けの倫理から。どのように受容されてきたか

舶来の概念というのは明治以来、洪水のように入った。民法など契約法の世界は、ほぼほぼ圧倒されたし、戦後憲法のものアメリカ経験に基づいたものだ。

しかし、日本人権教育は、残念なことに、人権普遍性を論証することに熱を上げてしまって、そもそも誰の内発的な経験がもとになっていたかという成り立ちのメカニズムを忘れた議論が多い。公共の福祉論などをいくら学説定義を整理してきれいに論じても、だから何?の議論だった。

戦後人権を外付け実装してきた日本は、そのルール規範の成り立ちといった背景をもう少し知る必要がある。それは教養として。

現在、旧統一教会問題話題の、国家宗教というテーマにしてもそうだ。

政教分離キーワードとなるのは、恐怖から解放だ。宗教に悩まされ、その扱いに苦慮するのは古今東西課題だ。宗教いかに折り合いをつけた制度設計をするか、古代ローマ時代からずっと抱えてきた。宗教的寛容、これが統治のカギだと気が付いたのはカルタゴ勝利した古代ローマ

そのテーマに対して、新天地アメリカに到着したプロテスタントたちの子孫が18世紀になってメイフラワー号の協約を思い出して試みたのは、旧世界では試みたことのない壮大な社会実験だった。百家争鳴な多様性のなかで社会構成するには、誰が正しいことを言っているのかは誰も断定できない、という前提に立つ必要再確認された。それが言論の自由関係では、20世紀初頭にホームズ裁判官らに代表されるように、自由市場比喩が生まれる背景ともなった。

他方、旧世界フランスでは、唯一の正しさを神に代わって宣言するカトリック教会権威苛烈弾圧が恐怖であった。だから公共空間合理化を徹底し、宗教を一掃する制度設計になった。フランス言論の自由は、その意味カトリック否定する権利が原点となる経験なのだ。だからこそ、フランスでは今でも神を冒涜する言論というのが非常に重要意味をもっていて、先日、仏風刺紙シャルリー編集長が英作家ラシュディ氏襲撃を非難したこと歴史的な背景は深い。

このように、人権というものは、何に対して恐怖してきた歴史があり、生まれてきたものなのか、という原点に思いを致すことが大切だし考えるコツだ。利他性じゃなくね。

それは、実は国によって微妙コンテクストが異なるものであり、普遍的価値として昇華できなくもないけれども、むしろ司法を通じて、原点となった恐怖を大切に思い出す機会が重要で、その社会が、その真理を繰り返し確信し、制度を強化し、再生産する重要な仕組みなのだと思う。逆に言うと、普遍的価値なら、なぜ何千年も克服できなかったか意味を問うというか。

しかし、外付けの倫理として受け取ったものを、思い出すかのように歴史を振り返るのは容易ではない。戦後日本裁判所も含めて。

でも、それこそが日本人権教育に欠如したものだということは個人的には強く思うところだ。


その意味では、外付けではない、外国の借り物ではない、内発的なもの感情の器からみえてくる倫理、これは本当に大きな価値がある。

内発的なものを自省するうえで、もっとも大切なのは自分の国や自分家族自分自身の歴史だと俺は思う。

自分自分先祖が痛い目にあってきた経験、あるいは他者を痛めにあわせてきた経験というのは、その人固有のものであって、その自分史や国の歴史を忘れてしまうと、あとは外付けの倫理けが残る。国レベルで言えば、それは端的に明治以降の日本アジア欧米との対外関係であり、開国以降、アメリカに敗北するまでの戦争に明け暮れた体験に他ならないし、国家神道によって死生観まで国に洗脳されかけた手痛い経験だ。

歴史というと大げさだが、要するに「自分たちに最も欠けている資質を最も高く評価する」、おまゆう精神自覚することだ。これは教養として学ぶというよりも、もう少し内省的なものだと思う。

自分理想とするもの現実とのギャップを振り返る作業といってもいい。

自分に欠けている部分、そこにこそ追い求めている何か理想的な姿の反転がある、という振り返り。

ネイションとしていえば、戦争体験の振り返りが重要キーになるし、国家宗教というのは、国家神道と戦争という経験で痛い目をみているのであり、ある意味、輸入された欧米経験教養として追体験するだけではなく、日本人が原体験としてもっていた大切な教訓。愛媛県靖国神社玉串料訴訟(1997年)の最高裁判決行政戦没者の遺族の援護行政のために靖国神社などに対し玉串料支出したこと違憲とした歴史的判決で、戦争経験がしっかり振り返えられた、という点で、司法仕事としてとても大きなものを残したと思う。建国精神を振り返るのが裁判所の仕事の一つだと思う。

しかし、戦後77年。戦争体験が風化するなかで、「あの時代を生き抜いた」という共通体験共通項として持っていたものがどんどん失われているのが今の時代

50年前の高度成長期だったら、戦争で死んだ部下を思い出しながら、仕事にまい進し、酒場で同期の仲間と語り合う、とか、厳粛に生きるための厳粛な死が記憶としてあった。

「あの頃は」という共通過去で人はつながることができた。それが内発的なものとして60年安保闘争を支え、水俣闘争があった。外付けの倫理ではない、思い出としての切実さの空気の共有があった。

まり、舶来の外付けの価値観と内発的な器は、その頃はわりと調和していた、といえるのだ。

それが、失われ、外付けの価値観だけがカラカラと空回りし始めているのが今の時代の特徴で、失われつつある寛容性の正体なのだろう。

永井氏はそんな時代に生まれ育った。彼は対談のなかで、大学時代

「そうかそうか、人権というものがあるのか、みんな賛同してるし普遍性高いじゃん」となりました。

と、外付けの人権から始まったと語っているが、外付けのものにも普遍性のみに着目し、それが生まれてきたプロセスを振り返らない、人権教育の失敗が見て取れる。

また、日本憲法に組み込まれ歴史への反省(前文含め)も記憶の風化とともに、個々人の内省が、時代への共鳴という形で、共感を醸成しなくなってしまっている。

高度成長期に「あの頃」といえば戦争時代だった。

それはかろうじて80年代までは存在していた。「おしん」が異例の1年間の朝ドラで始まってしばらくすると、

視聴者からは、おしん私自身そのものです、という声が橋田壽賀子のもとに多数届いたという。

しかし、時代は変わって、平成から令和になって「あの頃」といえば、昭和の末期なのだ

しかもそれをノスタルジックに思い出す、三丁目の夕日的な振り返りだった。さらには、あさま山荘であり、学歴社会バイクを盗んで走る尾崎豊であり、バブルの思い出なのだ。それは、その遺産に苦しんだ次の世代にとっては共感を呼びにくいものであるし、自分たちの社会の重圧と、戦争記憶との関連が薄まった。当然、日本憲法リアリティが失われ、右派から改憲論議が盛り上がってくるのは必然的なことだった。そんななか、統一教会が国の内部を白アリのように巣くって愕然とした先月から今月にかけての出来事というのは、忘れかけた宗教国家の結びつきの恐ろしさを、突如呼び覚まされるものだったに違いない。

しかし、いずれにしても過去記憶憲法規範が直接に結び付かない、その世代経験、そこに、永井紛争国の辺境の地を自分テーマに選んだヒントがあるように思えてならない。

紛争リアルがそこにある。そこに普遍的価値として大学生ときに知った人権、そして憲法価値を、自分なりの振り返りとして再確認する、動機付けがあったようにも思う。

しかし、たとえ社会の人々と共有されないものであったとしても、ひとは自分史のなかで、どうふるまうべきかを動機付けられる。

永井氏が、内田氏との対話のなかで

私は逆に、子どもの頃はよく母親に殴られたり色々と物を捨てられたりされていて、そのときに「この家では力を持った奴は殴ったり物を捨てたりしていいんだな」と思ってしまったんです。そして中学生になって殴られたときに「よく見たら小さいし別に喧嘩が強いわけでもないな」ということに気が付きまして。それでそこから自分母親のことを殴りまくるようになりました。ひどい時はアザだらけでしたよね。父親単身赴任でしたし。

といったときに、内田はそこにしっかりと気が付くべきだったと思う。

全然人権派じゃないね(笑)。」と返した内田に若干物足りなさを感じたのは、まさにそこだ。

動機付けられるものが、必ずしも、家風であったり、模範的ロールモデルとは限らないのだ。

この体験辺境の地での人権探し、自分探しは、多分無関係ではない。


ともあれアレックス・カー面白い

読んだのは20年前だが、年齢を重ねれば重ねるほど、彼のいう、逆徳精神の考え方が真理に思えてくる。

A clue to the problem may be found in what I call the theory of Opposite Virtues. Nations, like people in this respect, may pride themselves most highly on the quality they most lack. Hence “fair play” is a golden virtue in Great Britain, the country that attacked and subjugated half the globe. “Equality” was the banner of Soviet Russia, where commissars owned lavish dachas on the Black Sea and the proletariat lived no better than serfs. The United States prides itself on its high “moral standard,” while perpetuating racial and moral double standards. And then there is l’amour in France, a nation of cold-blooded rationalists. Or Canadians priding themselves most on being so distinctively “Canadian.” In Japan we must look at the time-honored ideal of Wa, “peace.” Wa means security, stability, everything in its proper place, “knowing what is enough.”Yet a persistent irony of Japanese history since 1868 is that for all the emphasis on peace and harmony, they are exactly the virtues that Japan did not pursue. At the end of the nineteenth century, rather than settling back to enjoy its new prosperity, Japan embarked on a campaign to conquer and colonize its neighbors. By the 1930s, it had already acquired a tremendous empire in East Asia; this inability to stop led to its suicidal attack on the U.S. base at Pearl Harbor, as a result of which it lost everything. Something similar is happening again. Perhaps Japan values Wa so highly for the very reason that it has such a strong tendency toward imbalance and uncontrollable extremes.

Dogs and Demons, 2002, A

2022-07-20

教養」とは何か

教養を身に付けられる本を教えて欲しい。

anond:20220720124155


この問いに答えるには先に「『教養』とは何か」ということをクリアにしないといけないと思うが、これを抽象的に論じ始めると喧々諤々の議論となって、増田の「本を教えて」という望みにたどり着かない。

ブクマトラバがもうそんな状態になりつつある)

しかし、日本の「教養人」と言われる人/自称している人たちの中で「教養」の範囲は割と共通していて、だいたい以下のラインナップに自分の専門や好みを付け加えたものになるのではないかと思う。

ほぼ全員が「教養」と認めるであろう分野

(1) キリスト教

 これはもう間違いない。およそ西洋で発展した学問は深掘りすればすぐにキリスト教にぶち当たる。

ただ日本キリスト教について知識を身に付けようとしてもなかなか良い本が無いのが現状。(その辺で売ってる入門書は表面をなぞってるものばっかりなので読んでも誤解して終わりだと思う)

個人的には内村鑑三の一連の著作から入るのが分かりやすくて良いと思うが、古くて読みづらいかも。田川建三から入るのも面白いかもしれないけどどうかなぁ。

なお、「教養人」といえど聖書は誰も通読していないので、上記の本で引用されたところを拾い読みしておけばよい。

(2) マルクス主義

 ひと昔前までマルクス主義はすべての学問を包括する「グランドセオリー」と言われていて、どんな問題でも切れる便利なナイフのように活躍していた。

その残滓が今でもあって、社会科学においては今でも学生が知らず知らずのうちにマル経用語を覚えさせられていたりする。

むかしは手に入りやすくてわかりやす入門書不破哲三のものしかなかったが、数年前のマルクスブームでたくさん良い本が出ており、個人的にはデヴィッド・ハーヴェイ入門書お勧めしたい。(ただ抵抗が無ければ不破哲三著作は今でも分かりやすくてよい)

みんなの憧れ『資本論』も上記入門書の傍らに置いてちびちび読んでみると良い。そこらの難解な哲学書に比べればぜんぜん読める。

だいたいの人が「教養」と認めるであろう分野

(1) 歴史

 マルクスをやればみんな歴史がやりたくなる。マルクス主義史観学校で習った日本史/世界史に当てはめて、その切れ味を試したくなるからだ。

好きな時代や分野をやれば良いと思うが、「教養人」はみんな網野善彦と遅塚忠躬の著作が大好き(偏見)なので、ぺらぺらめくっておくと良いだろう(マルクス主義史観の多少の解毒剤にもなる)。

ウォーラーステインも読みたくなるが、長すぎて誰も通読していないので、川北稔のアンチョコを読んで、読んだふりをしておくと良い。

なお、第二次世界大戦については最近川田稔昭和陸軍全史』という誰でも読めるすばらしい本が出たので、知ったかぶりができなくなった。

(2) 文学

 文学となると何を読むか、ということになるが、サマセット・モーム先生が『世界の十大小説』というすばらしいアンチョコを出しているのでまずはこれを読むと良い。

そこで採り上げられている小説のうち、『カラマーゾフの兄弟』と『戦争と平和』は「読まなければ人ではない」という風潮があるので、せめて読んだふりはできるように。キリスト教知識がここで生きてくる。

日本小説では、夏目漱石についての柄谷行人の論考を読んで、日本近代について一席ぶてるようにしておこう。

それと『失われた時を求めて』はとりあえず買って挫折するのが大事

(3) 哲学

 わが国では哲学について昔からデカンショデカンショ半年暮らす、あとの半年寝て暮らす」という有名な言葉があり、デカルトカントショーペンハウアーが昔の「教養人」の必須科目となっていたらしい。

ただショーペンハウアーがここに入っているのは少し不思議で、今ならニーチェが入るのではないかと思う。

どうせ正確な理解なんて無理なのだから適当アンチョコを読んで知ったかぶりができるようにしておくと良い。

なお、なんか知らんが日本人はヘーゲルが大好き(な割に誰も理解していない)なので、一応挨拶だけしておこう。

教養」として挙げる人が一定数いる分野

(1) 法律学

 「教養」として名前が挙がることが多い一方で、まともに条文を運用できる人がほとんどいない分野。

上述してきた分野と違って、本を読むだけではだめで、指導教官のもとで実際の事例にぶち当たってトレーニングを積まなければならないので難しいのだろう。

下手に基本書を読んでも本職に知ったかぶりをすぐ見抜かれるので、時折ネットで話題になる法律問題について法曹解説を読んで都度勉強すると良いだろう。

(2) 中国思想インド思想(仏教含む)

 ここまで挙げた学問はいずれも西洋で発展したものなので、「日本にはなんもねぇのか」という気分になってくる。

こうした「教養人」が抱えるコンプレックスについて内田樹が『日本辺境論』という本で書いているので、ちょろっと見ておくと良いだろう(Amazonで1円で売っている)。

ここらで本居宣長とか丸山真男とかを読み出す人も多いのだが、どうせ不毛作業になるので、視野を広げて中国思想インド思想辺りに目を向けるのが良い。

個人的には森三樹三郎の著作が分かりやすくて良い。

(3) 自然科学

 「教養人」というのは大概文系であり、自然科学についてはからっきしな奴が多い。

自然科学話題になると、トーマスクーン科学革命構造』をそれらしく引用して逃げ切りを図る人が多いのだが、本職に馬鹿を見抜かれるので素直に勉強しましょう。

ヨビノリをはじめとした学習コンテンツYouTubeに転がっているので、せめて高校数学物理ぐらいはやっておかないといけない。

人によっては「教養」として挙げる分野

(1) 詩

 上述してきたような分野をやっていると、唐突に詩が登場したりして困惑する場面が多々出てくる。

論理的(笑)な「教養人」の中にはこれを不得手として敬遠する人が多いのだが、どこかで対決しなければならない。

幸いなことに最近詩人渡邊十絲子という人が『今を生きるための現代詩』という詩についての分かりやすい概論を出したので、一読した上で適当な詩のアンソロジーでも買ってくれ。

(2) 映画

 なんか知らんが「教養人」は映画好きな人が多いので、ある程度は観ておかないといけない。

イギリスエンパイアという雑誌が「史上最高の映画500本」という特集をやっているので、上から適当に観ておけば良い。


 とりあえずこの辺を押さえておけば周囲からは「教養がある」という認定を受けるのではないかと思う。

ただ教養があったとしても「教養人」からマウントを取られる可能性が低くなるだけであり、「他人との会話が盛り上が」るなんてことはまず無いから気を付けて呉れ給へ。

2022-07-01

共産党はきちんと見直しするとかいう割に選挙公報見ると酷いよな

共産党毎日のようにTwitterトレンド汚染してるの見る度に嫌な気持ちになるんだけど、はてなー限界中年独身オジサン界隈ではなぜか共産党人気だよな。

家族持ちじゃない人に響くなんかあるんだろうけどさ。

そういう限界中年共産党改善見直しができるとかいうもんだから自分とこの選挙区選挙公報読んでみたんだよ。

公約にまともなこと書いてるのかな?と思って。

選挙公報に書いてる公約上意下達の酷いもんじゃねーかよ。

なんだよ、オスプレイがどうこうって。

自衛隊採用して問題なく空飛んでるのに、未だにくだらない住民運動政治闘争ネタのためだけに載せてるのかよ。

闘争したい老人向けの公約を挙げるのも問題外だし、自分で考えてないのが丸わかり。

しかも左側1/3くらいのスペース使って、共産党応援者の名前が載ってるんだけど、内田樹とか宇都宮健児はあーそーねーって感じなるけど、浜矩子とか載せちゃうのかよ。

浜矩子支援者として堂々と書いちゃう経済感覚の無さは致命的じゃないの?

共産党支持者って、みんな浜矩子とか言ってること正しいと思ってるの?

2022-06-10

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震災話題からコロナ話題になりました。

anond:20220610111821

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結論

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2022-03-20

anond:20220320135302

内田樹がそれを「知らない」かどうか、君は知っとるんか、すごいな。

それとも本人なんか? 自虐

2022-01-24

左翼からいまのウクライナ情勢はこう見えている

米英の諜報界(軍産複合体)が、ロシア挑発してウクライナ東部に侵攻させようとしている。

正直狂ってるとしか思えない文章だが、田中宇の関連ユーザーで出てくるのは宮台真司金子勝内田樹左翼界隈の重鎮ばかり。

未だに冷戦時代から一歩も世界観進歩してない老害が牛耳ってるのが左翼界隈。

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