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2021-08-23

anond:20210821213108

何か障害がある可能性もあるので、心配なら医者にかかったほうが良いが、そうではない場合の話を書く。

当たり前っちゃ当たり前だが、自分が読もうとしている本に書かれている知識をあらかじめたくさん持っているほど、基本的には速く正確に読めるし、読んだ後の記憶の定着も良い。

ではその知識をどうやって仕入れるのか。

読書することで仕入れ場合には、

① 読み書き能力をつけるための読書語学教科書数学教科書など

② ある分野の重要アイデアを身につけるための読書教科書、基本書、古典など

③ ①②以外で簡単もの通俗的ハウツー本新聞記事など

③' ①②以外で簡単ではないもの:専門書など

これらのどれに該当するかで、その読書の難度、費やす時間、読み方が変わってくる。

①が一番ハード。書かれているアイデアが腑に落ちて、習慣的に使えるようになるまで、何度も読んで、唱えて、書いて、例題を解くなどして練習する。身につける必要のある部分については、身につくまで何十回でも練習することもざらにある。

②がその次にハード通読だけなら難しくない場合もあるが、深く理解して自分のものにするには線を引いたり、考えたことを書き込んだり、縮訳したり、と何遍か読む必要がある。理解を深めるために類書や解説書を比較読みすることもある。モノにしたい本は3回以上読むと良い。

③' は、その本を読むための前提知識となる①②があれば難度はたいてい②と同等。覚え込むほどの必要が無いなら、割くべき労力は②よりも少なく済む。

③が最も簡単。流し読み、拾い読みでザクザク読み、重要と思ったところだけじっくり読む。

①②が読書の基礎体力。読んで理解不能な本は、自分にとって読書の基礎体力が足りていない本か、そもそも読者に理解可能なように書かれていない本。どちらの場合も、現時点の自分がそれを読むのは時間無駄なので、一旦その読書放棄して良い。

他の増田https://anond.hatelabo.jp/20210823205016も言うように、まずは読書の基礎体力をつけるために、自分が興味の持てる理解可能な本からどんどん読んでいくと良い。

最終的に、興味を持った新書学術系の文庫を数冊通読して、「面白かった」と思える頃に、一応、読書の基礎体力は付いたと思っていい。

読書の仕方が書かれた本もある。読書の基礎体力がついた頃に読むと色々発見がある。

思考の整理学/外山滋比古

本を読む本/M.J.アドラー

読書技法/佐藤優

もう一つ、読書のコツとして文章一般的構造を知っておくことも役立つ。

論説的な文章であれば、パラグラフライティング/リーディング知識が有るのと無いのとで、読みの速さと正確さが変わってくる。

物語にも典型的な展開というものがあり、三幕構成など知っていると物語構造俯瞰して観れるので理解に役立つ。

2021-07-11

佐藤優による曲解官僚

霞が関リアル』という本を佐藤優氏(以下敬称略)が書評している。辛い評価を付けているが、少し前に読んだ身として、このレビューにはかなり問題を感じた。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/291751

なお、佐藤が取り上げている部分の内容は、https://www3.nhk.or.jp/news/special/kasumigaseki/article/article_190408.htmlにあたる(ウェブ連載を本にしているので、違いはあるのだろうが大筋は同じと思われる)。

本の内容の曲解

 佐藤は、東大法学部卒、国家試験首位合格しながら官僚にならなかった、以下の青年発言を引いている。

官僚最初の数年間は下積み時代っていうのがありますし、実際のいい仕事意思決定に関われるのは8年目とか10年目の課長補佐以降だと聞いています。それまでの期間がもったいないですね。上の世代の人が下積みの重要性を言いたがるのは正直理解できません。むだに思える雑用時間を費やしたくない。新卒という、ある意味社会の変化にいちばん敏感な時期の力を最初から最大限発揮していきたいし、そういう力を積極的に使っていこうという企業の中で成長したいんです。年功序列であったり、政治家意見も聞きつつ空気を読んで判断しないといけないという霞が関風土にも染まりたくない」

 これに対して、

国際的にも高度な専門知識、あるいはキャリア官僚として必要な知見と能力を身に付けるには、最低、10年くらいの下積み期間は必要

とし、10年下積みもできないやつは官僚になるな、と主張する。こんな志の低いやつばかりで、日本若いエリートは質が下がっている……というのが、佐藤レビュー趣旨だ。

 だがこの青年は、はじめから第一線の専門家として活躍したいとは書いていない。形式的無駄雑用をしたくないし、若い時期の感性をきちんと使いたいし、意味のある仕事をして成長したい、という主張であり、まっとうと思える。ある意味ではそれも「下積み」であり、この青年が嫌がっているのは、もっと無意味で非合理的な「下積み」だろう。若手官僚能力を活かして働ける環境になっていないのは確かだ(そのことは、この本でも繰り返し言われている)。だいたい、こういう状況が続いたために官僚の志望者が減っているという現状を、佐藤はどう考えているのだろうか。

内容を都合よくかいつまんで批判している

 佐藤言及していないが、この後で青年には親類に官僚がいて仕事ぶりもある程度知っており、官僚を目指したと書かれている。だが、近年の霞が関不祥事をみて、組織全体が振り回されることにげんなりして止めた、とある。分量の制約があるといわればそれまでだが、佐藤が取り出した部分だけ見ると、優秀だが志の低い学生が語っているようにみえる。

 国家公務員試験一定の準備と対策必要とする試験で、どれほど優秀であっても、勉強せずに合格できるものではない。トップ合格であればなおさらだ。この学生に対して、佐藤

「この青年人事院から国家公務員総合職試験1位合格という通知書を用いて、コンサルタント会社投資銀行のような年収の高い企業に入る道具にしようと考えているのだと思う。こういう志の低い者は、霞が関に来ない方がいい」

と評している。コンサル外資就職しようとするやつが、国家公務員試験合格アピールポイントに使うようなコスパの極めて悪いやりかたをするとは思えない。邪推侮辱の類だと思うし、そう思わせるような切り出し方をしているとも感じる。

佐藤があえてこの例を取り上げる理由

 この連載や本で取り上げられている事例の大半は、朝から夜中まで働かされ、しかも前時代的な慣習に絡め取られている霞が関の現状についてだ。政治家小間使のごとく使われ、昔に比べてやりがいもない、そういう話ばかりだ。上の東大生の話も、それが知れ渡ってきたので優秀な人材官僚を目指さなくなった、という文脈に置かれている。

 そうした労働問題に全く触れず、「志の低いやつは官僚になるな」という主張に合致する例をなんとか引っ張り出してきた(上記の通り、合致しているとは思えないが)という事自体が、佐藤の考えを明確に示しているといえる。官僚の志に比べたら、深夜労働も、政治家官僚への横暴も、意味不明な慣習もさほど問題ではないということだ。

佐藤経験との合致

 佐藤がこのような評価をすることも、なんとなくわかる。佐藤著作を読む限り、官僚時代は昼夜を問わず働いて活躍してきたようだし、政治家に尽くしてこそ官僚、という信念もあるのだろう。何の著作か忘れたが、「忙しいし徹夜したいところだが、なにかあったときちゃんと頭が働くように毎日5時間は寝るようにした」という、一周回った社畜自慢に苦笑したことがある。

 そういう彼にとって、「官僚長時間労働で体調を壊す」「妊婦官僚が夜中まで働かざるを得ない」「政治家の支持者の子もの宿題官僚がやらされる」というのは、べつに驚くことでもないし、問題にするようなことでもないのだろう。だが、そうした実情も知れ渡り政治支配が強まって官僚権限も減り、官僚を目指す若者は減っている。そうしたこと問題にしたこの本を読んで、「10年下積みできないやつは官僚を目指すな」と臆面もなく書けるというのは、どういうことなのだろうか。それによって状況は悪くなるとしか思えないが、後輩たちにたいしてそれでいいのだろうか。

増田佐藤氏にたいする評価

 一応書いておくが、私は別に佐藤が嫌いというわけではない。著書もなんだかんだで10冊近く読んできたし、官僚としては有能だったのだろうとは思う。『国家の罠』と『自壊する帝国』の2つは今でもおすすめできるし、

外交官時代エピソードはなかなかおもしろい(「盛ってる」と思われる部分は多いが)。それを離れたビジネス教養主義的な本は、薄っぺらくあまり見るべきところはないと感じるが、かといってひどい本というわけでもない(宗教系の本は未読)。

 これまで佐藤の書く文章で、そこまで大きな違和感を覚えたことはなかったのだが、このレビューには佐藤もつ官僚観が剥き出しで現れたのだろうし、それゆえに強く引っかかったのだと思う。こうした佐藤官僚観は、とても認められるものではないし、一般的には「老害」と呼ぶのではないかと思う。

2021-06-24

anond:20210623205102

専門家が専門的知識を持って哲学的未来を語るってパターンは今でもあるけど

立花隆みたいにジャーナリストが横断的知識でもって哲学的未来位を語るってのは今出ても胡散臭さで叩きの対象しかならんよね

池上彰も「知の巨人」なんて演出テレビに出てないし「知の巨人」で売ってる佐藤優は胡散臭さを隠せなくてメジャーになりきれてないもんな

2021-05-03

中野信子の言っていることはおかしい、具体的に何がおかしいか挙げる

きっかけは母親が「空気を読む脳」を買ってきたことだった。以前からこの人の主張はおかしいと思っていて耐えられなくなりこの人の他の本も読み、言動についても調べた

酷い。矛盾だらけ、エビデンスにならない動物実験ソース、人を見た目で判断することは科学的に正しいという主張、本人の言っていることとも矛盾した倫理観

彼女がいつも言う「日本人セロトニントランスポーターが少ないか不安に駆られやすい」という理論、まずこれが怪しい。SSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬)について知っている人なら奇妙に感じるだろう。この薬は、セロトニントランスポーター機能をあえて弱めることでシナプス中のセロトニン濃度を増やし不安を和らげる薬だとされている。つまり彼女理論SSRI作用機序についての理論正反対なのだ。モノアミン仮説にもやや怪しい部分はあるが、正反対解釈というのは流石におかしい。神経科学専門家はどう思っているのだろうか。

些細なことから飛躍して「日本人の脳」を論じる。

空気を読む脳」で日本人サイコパシーの傾向が強い人が「どちらかといえば」少ないから内側前頭前皮質が発達していて倫理や美醜の観念に厳しくそれが変わりやすいのだと書いていた。当たり前だがサイコパスの人の数を正確に見積もるのは難しいのであってそういった数字は単なる誤差か診断基準の違いによるものである可能性の方がずっと高い。仮にサイコパスの人が少なかったとしても内側前頭前皮質が発達している人が多いことを意味するわけではない。サイコパスとは行動や心理をもってそう判断されるものであって実際に内側前頭前皮質機能が弱いとは限らない。内側前頭前皮質機能が強い人も弱い人も共に少ないということもあり得る。

ついでに「不倫」では日本人保守的で変化を好まない民族だとも言っていた。それなのに倫理観が変わりやすいらしい。数年前には問題でなかったことが問題になるのは日本に限ったことではないし「日本人の脳」に原因を求めるのは無理がある。

戦国武将精神分析」では汚い手も使って勝った徳川家康が今でも日本人理想モデルとして存在しているとも宣っていた。日本人は美しい敗者を好むのではなかったのだろうか。美醜の観念が変わりやすいのではなかったか

美醜の観念が変わりやすいのに何百年にも渡って義経のような「美しい敗者」が理想化されているらしい。

不倫」でもこういった飛躍がある。たかだか寝かしつけの習慣があるからといって日本人オキシトシン受容体が多いのだということにしていた。もちろん実際に日本人の脳を調べたわけではなし。スキンシップの総量が他の国と比べて多いか少ないかからないのであるオキシトシンの多い人は不倫傾向が弱いとも書いていたが、日本人不倫が多いという同著での主張とも矛盾する。(よくよく見ると厳密には比較不能な国際調査国内調査比較していたが)

更に、セロトニン神経細胞にはオキシトシン受容体存在し、オキシトシンが増えるとセロトニンが増えるという事実は「日本人セロトニンが少なく、オキシトシンが多い」というモデルとも上手くかみ合わない。彼女もこの矛盾に気付いているのか、週刊新潮 2020年12月17日号での佐藤優との対談でまだ発見されていない要因があるのかもしれないと言っていた。

彼女日本人論は矛盾だらけだ。

更に中国韓国の「反日」まで「セロトニンが少なく、オキシトシンに頼りがちな遺伝特質」のせいにしているのには呆れを通り越して笑ってしまった。歴史上何度も革命を起こしている中国人もまた、保守的リスクを好まない形質の持ち主らしい。

サイコパス」でフロイトトンデモだという声もあるほどだなどと書いていたが、リビドー無意識という概念の代わりにセロトニンオキシトシンや脳部位が万能の説明法として君臨するようになっただけで間違い方に大して違いはない。

この記事でも指摘されているように、彼女不要場合でもひたすら専門用語を使って話す。https://anond.hatelabo.jp/20150908145246そういう言葉を用いれば多くの人間科学っぽく感じてしまうことをわかっているのだろう。

人間でもそうだという根拠にならない動物実験をたびたび引用して人間の話に繋げる。キツネマウスプレーリータネズミサバクトビバッタと…

「脳・戦争ナショナリズム 近代人間観の超克」(嫌な部分が剥き出しで、是非お勧めしたい本だ!)で人間に何世代も飼いならされたキツネ容姿が変わってくることを挙げて人を見た目で判断するのは科学的に正しいのだという主張に持っていっていた。少し脱線するが「空気を読む脳」でもたかだか0.126の相関で「容姿と知能に関係がないとは言い切れない」などと書いていた。それだけの数値なら関係いかあったとしてもごくわずかな関係しかないというべきだろう。

戦国武将精神分析」でマウスを取り上げて人間テレゴニーが起こらないと証明されきったわけではないなどと立証責任押し付けた。確かに人間にもマイクロキメリズムはあるがそれはテレゴニーとは違うものだ。それにしても不倫バッシング批判する中野がヒト・テレゴニー説に対して好意的なのは面白い

不倫」でプレーリータネズミのAVPR1a遺伝子を操作すると生殖行動が変わり、AVPR1a遺伝子が人間ボノボで「ほぼ」同じだからといって人間本来ボノボのように乱婚的だと示唆した。

そのわずかな違いが重要な違いであ可能性はあるしAVPR1a遺伝子も実際は空間記憶能力に関わる遺伝子で空気記憶能力の高いプレーリータネズミは行動範囲が狭く単婚的になるというのが実際のようであるhttps://www.eurekalert.org/pub_releases_ml/2015-12/aaft-_4120715.php中野はかなり単純化・歪曲して解釈している。

空気を読む脳」で書いていたサバクトビバッタに至ってはなんとセロトニンが多いバッタ集団志向になるのだそうだ。同著での主張とは真逆だ。

文藝春秋4月特別号の「脳科学者が小室圭を「分析」する 世間常識はなぜあの母子には通じないのか」でゴールドウォータールールに触れておきながら小池百合子ドナルド・トランプサイコパスだなどと言っている。精神科医ですらない人間が直接の診察もなしであの人はサイコパスだなんだと言っているのである

ペルソナ」でセクハラ告発していたが、「脳・戦争ナショナリズム」では以前なら当たり前だったことも「セクハラ」「パワハラ」にされてしまうなどと言い、今日かわいいねと言ったら今まではかわいくなかったってことだと思って泣いた子供批判的に取り上げて世の中が過敏だというニュアンスを込めて論じていた。以前とは考えが変わったという見方もできようが最近でも「昔は乱婚だった、現在倫理を相対化すべきだ」という主張を繰り返している。当たり前だがある倫理が新しいことはそれを否定する根拠にはならない。私は乱婚社会を悪だとは思わないが。

ペルソナ」の話に戻ると、親と子の関係他人が口を挟むなとも書いていた。虐待の温床となる態度である。旧式の価値観に従っていい子でいるくらいなら~などと宣っているが、旧式の価値観にしがみついているのは彼女自身である

そして最後に「不倫」で書いていた、不倫遺伝子によって決定されているのだからそれを断罪することは差別優生学に繋がるという主張について批判しておこう。

別に不倫遺伝子とはあれば絶対不倫するという因果律支配する魔法のようなものではない。ある人はない人に比べてその確率が高くなるといった程度のものなのだ。もし殺人レイプのような重犯罪についてもそのような遺伝子があれば殺人レイプ断罪してはいけないことになってしまうだろう。不倫バッシング遺伝子のせいだとすれば不倫バッシング差別優生学だと断罪することもまた差別ということになり自己論駁に陥る。「あなたの脳のしつけ方」では後天的に脳を変えることもできるのだと書いていた。この頃はまだまともな内容を書いていた。

思うに、彼女の本がベストセラーになるのはこういった免罪的側面のせいなのだろう。そういった遺伝決定論に従えば不道徳な行動も遺伝のせいになり免罪される。世の理不尽なことも「脳や遺伝子のせい」とわかった気になれる。

橘玲の本のレビューにも「遺伝によって決まっているのだから学生時代あんなに頑張ることはなかった」とか「子育てするお母さんに読ませたい」というものを見た。遺伝率とは集団規模での決定係数のことであって個人レベルでは親のIQから予想された数値より高かったり低かったりして当たり前でどのくらい予想された数値と違うかも個人によるのだが。


この記事おかしなところがあったら、具体的な反論をしてほしい。私も流石に脳や遺伝子についてそこまで詳しいわけではない。中野の本を読み、関連する内容を調べた程度なのだ。それでもこれだけ矛盾が見つかる。

追記:2021/5/8

https://next49.hatenadiary.jp/entry/20161220/1482228666

2000年論文で「この損害回避セロトニントランスポータープロモーター領域遺伝子多型との関連を支持する研究と支持しない研究存在し,今後さらなる検討必要である」とあり、2009年メタ分析論文で少なくともフィンランド人サンプルにて不安遺伝子を持っているかどうかと損害回避性(harm avoidance)と神経症的傾向を持っているかどうか調べたところ関係があるという証拠はないという結果がでているのだからセロトニントランスポーター遺伝子が少ないから損害回避的にふるまう傾向があり、そのため、「上位の人間に対して勇気を持って行動できる性質」が日本人にないというのは適切でない主張。”

https://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/kenkyu59.pdf

さらに、この S/L 多型は、PET により測定される脳内 5-HTT 結合に影響しないこと、前述したように、5-HTTLPR の多型は S 型と L 型の 2 つではなく、14 種類のアリルからなり、それぞれの機能の異なる複雑な多型であることからS 型、L型の2分法での研究自体に疑問が生じているのが現状である

https://neurophys11.hatenablog.com/entry/2016/03/01/223747

ざっとこんな趣旨記事だが、先に書いたようにそんな気質のものがたった1つの遺伝子で決まるものでは無いんである。このセロトニントランスポーター気質を決めるというのは実は結構な前から沢山の論文が発表され、ある程度そう言える部分はありそうなのだが、それでもその決まる程度は極僅かで、決して「日本人気質」を作ってなどいない。

こういった「1つの遺伝子が性格を決めている」系の話は、すべて科学漫談として楽しんでおけばいい。特にセロトニントランスポーター気質を決めるという話は良く出てくるが、そんなにすごい力コレだけにはないですよ。”

https://www.amed.go.jp/news/release_20160128.html

SNP品質管理などから、最終的に1088名について解析を行いました。その結果、BMP2遺伝近傍SNPストレスフルライフイベント相互作用が、統計学的有意うつ状態と関連することを見出しました(図2、図3)。そして、抗うつ薬作用点であるセロトニントランスポーターなど、古くから知られる候補遺伝子には、有意な関連は認められませんでした。”

どうやらセロトニントランスポーターが「日本人らしさ」を決めているというのがトンデモだというのはまともな研究者ならすぐわかる話のようだ。中野信子はあまりにも本を流行らせ過ぎた。研究者はもっと積極的反論するべきだろう。

2021-04-19

「僕の父は,銀行電気技師ですが,仕事が忙しくて,4~5日に1回は夜勤で家に帰ってきません.夜勤がないとき帰宅は,だいたい最終バスで夜の10時半です」

第一線で働いている人は,みんなそうだよ.ヨーロッパ旅行すると日本人が働きすぎていることがよく分かる.こんな余裕のない生活をしていると中長期的に日本は衰退していく」

「なぜですか」

アウトプットばかりしていて,インプットをする時間がないからだ」

もっとわかりやす説明してください」

仕事に追われて,本を読んだり,考えたりする時間がなくなってしまうということだ」

佐藤優,「十五の夏 下」,幻冬舎より

2019-12-31

2019年宮城県大学野球を振り返る

半年で見事にリバウンド、1年前の脂肪肝状態に戻った反省から断酒をしていたが、大晦日くらいは……ということで、アルコール支配された脳みそを振り絞り、何とか年内中に書いてみたいと思う。

春秋ともにリーグ制覇を達成した福祉大も、全国ではいずれも早期敗退と寂しい結果に終わってしまった。特に秋は最終回に4失策(実質5失策)という、鉄壁守備を誇る野球エリート軍団しからぬショッキングな形での敗退となった。

春は打力不足を露呈しただけに、秋は東海大相手に8得点課題の克服はアピールしたものの、自慢の守備があそこまで乱れては……4年になってからずっと良くなかった津森が最後最後復調の兆しを見せていただけに惜しかった。

春の反省で打撃を磨きまくった結果、秋は守備が疎かになってしまったのだろうか?

春は無双状態を続けていた山野も、秋は不安定さを感じさせるピッチングに終始した。ラストイヤーは、年間を通してモノの違いを見せ続けて欲しい。

レギュラー野手陣では、個性豊かで頼れる4年生軍団がゴッソリと抜けてしまうのが痛い。残された下級生レギュラーでは、プロ注目のショート元山全国大会決勝点となるHRを放ったサード楠本弟もラストイヤーを迎える。元山は、ドラフトを考えると走力でのアピール全国大会での打撃の結果がもうひとつ楠本は速球の対応と、意外に守備の安定感が課題。2人とも来年は、圧倒的なパフォーマンス数字を見せつけて欲しい。

下級生の投手では、三浦がまずまず活躍を続け、ノーノー男・綱脇が台頭してきたものの、椋木・佐川の2年生コンビがパタリと姿を見せなくなった。来年リーグ戦で投げているところを久々に見たいものだ。

野手では、最終的にスタメンを勝ち取った大里新人戦でキャプテンを務めた斎藤の打撃面での成長が著しい。走攻守そろうルーキー・杉澤も木製バットでの対応力に成長の余地があり、定位置の確保が期待される選手だ。

ロマンあふれる4年生軍団の全国出場があちこちファンから期待されながらも、福祉の壁を超えられなかった仙台大。

投手では大関稲毛田小林

野手では佐藤優、柿澤といった有力な4年生たちの全国での活躍が見たかった。

怪物・宇田川は、決して満足のいくシーズンではなかった。特に秋は、自慢の速球が走らず、フォーク頼みのピッチングが続いた。また、苦しい時のマウンド捌きにも課題を残す印象を受ける。素材は素晴らしいものがあるだけに、一つ一つを克服し、全国出場と最高評価での指名を目指し、精進して欲しい。

その他投手陣では、長久保松本佐藤亜と1年生の活躍が目立った。

特に1年生左腕らしからぬコントロール変化球の精度を兼ね備える長久保ピッチトンネルの使い方は、もはや学生レベルを超えていると言って良い。

来年以降も先発の柱として大きな期待がかかる。同じく実戦派の佐藤亜、サイズは宇田川以上の巨漢・松本と、今後の同校を担う投手たちの成長が非常に楽しみだ。

野手では、今津佐野といったスーパールーキーも早いものラストイヤーを迎える。コンスタント活躍し続けてきた姿は立派だが、来年はチームを全国へと導く爆発的な活躍にも期待がかかる。

その他、永長・益子小笠原大北川村といった経験豊富な下級生レギュラー組が残る点も大きなアドバンテージ

番手は、持ち得るパフォーマンスをフルに発揮できる学院大か(その点を県内高校で例えると、なんとなく三高が被る)。

長いこと4番・捕手を務めた渡邉離脱は痛いが、早坂という成長著しい正捕手候補がいるのは大きい。投手陣も速球派右腕が揃っており、左腕の台頭がポイントか。

野手陣も布施林田根本など打力のある新人が残る。新入生でも、一芸に秀でた逸材たちが入部予定とのことで、早いうちから出場機会を与えられるかもしれない。

学院とは対照的に、個々の能力資質は確かながらそれらを実戦で中々生かすことのできない工大は、投打において絶対的な柱となれる選手必要だろう。

軟投派投手で小刻みに繋いだり、新人戦のようにアベレージヒッターを4番に置いてなんとかしてもらうのではなく、有望株は多いだけに、王道の戦法で挑んで欲しい。

東北大・宮教大の国公立勢も、田村・鳩原・松下クラスはいかなくとも、例によって見所のある選手複数存在する(つい先日、松下独立リーグで再開すると知った時はものすごく嬉しかった)。

ラストイヤーを迎える東北大・中尾は素材だけなら先輩の田村と比べても遜色ないし、指にかかった時の140キロ超の速球は私学勢でも苦戦するはず。そろそろひとり立ちしなければならない時期だ。

宮教の速球派・青木も、ラストイヤーを迎える。速球のスピードは確かだが、1年の頃からほとんど変わっていないのも事実だ。今シーズンチェンジアップはじめ変化球に大きな成長を感じただけに、速球の進化次第では大化けも期待される。

東北大は、打力強化の成果が出てきており、椋木・山野高川学園福祉コンビ連続無失点記録を2年連続HRによって破るなど、インパクトのあるシーンを量産している(近年の二高といい、インテリ守備を捨ててでも打撃を強化するという方向に落ち着くのだろうか?)。

宮教も、4番も務める守備職人小原、あと一歩で盗塁王を逃したシュアな打撃も魅力な菅野高校時代は4番も大学洗礼を味わった猛肩・大川口など、見所のある野手散見される。全体的にパワー不足は否めないので、投打共々、一冬での成長を期待したい。

福祉一強の様相を見せる仙六リーグだが、すべての大学に見るべきものがあり、今後どう勢力図が変わってもおかしくない雰囲気がある。一度ハマると、高校に負けず劣らず魅力的な仙台大学野球を、来年度も追い続けていきたい。

2019-08-22

知識人読書量・知識ランキング

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2019-04-29

哲学じゃないけど、佐藤優神学本(こんなものを読んでるとしれたらうちの助祭先生からバカにされそうだがナカナカ面白いのだ)に書いてる話を思い出した。

彼がロシア大学神学部に派遣されていたときアフガン帰りの元兵士学生から、「かつて戦場で負傷した戦友をその場で射殺してしまたことが、今でも正しかったのか苦しんでる」と相談されたとかそういう話だったかな。

曰く、ムジャヒディン捕虜になったら想像を絶する拷問の末に斬首されると分かってたから、帰投する見込みの無い重傷兵はその場で射殺してあげたほうがマシだと。

どっちがよかったんだろうね、どちらにせよ死ぬのなら、自分が楽に殺したほうがいいのか?でもいざその場に居合わせたら、自分はとても引き金を引ける自信はない…

2019-03-19

anond:20190319172319

横ですが、

佐藤優自伝的なやつはいいですよ。

国家の罠からはじまる新潮社のものと、

先生と私』『十五の夏』の幻冬舎と、

岩波の『獄中記』です。

広くお薦めやすいのは新潮社の『紳士協定 私のイギリス物語』あるいは『先生と私』。

紳士協定』は、佐藤優の『初秋』(ロバート・B・パーカーである、と主張したい。

anond:20190319170640

佐藤優は、いくつか手にとったが、面白いときとそうでない時の落差はやっぱりあるかな?

でも全部はフォローしてないので、できれば中でもどれが傑作なのかが知りたかたかな!

しかし、なるほど。どういう立場の人が読むかが分かったのはイイ!

ありがとう

2018-12-29

書店とか図書館いくとネトウヨ本ばかり

うんざりするわー

マルクス主義内田樹とか佐藤優おもちゃにされてるくらい

まともな左派って消えたのよな日本って

2018-11-21

anond:20181121205336

かにそうですね。

野口悠紀夫さんとか佐藤優さんとか

まりディープな内容でなくてよくて

池上彰さんの 知らないと恥を書く~みたいな

軽めの本を希望していました。こちらは文庫になっていますよね。

ちょっとニーズが少ないかもですね。

Amazonポチポチして海外配送するのが良いですかね。

2018-02-12

佐藤優「何十年も潜伏して普通に生活してる北朝鮮工作員がいる」

http://www.1242.com/lf/articles/81956/?cat=politics_economy&pg=asa

佐藤)去年の6月から朝鮮中央通信という短波放送の終了後に、数字の読み上げが始まりました。各国に潜入して何十年も普通市民生活をしているスパイに、いざというとき攻撃を指令しているわけです。これは暗号いくら傍受してもわかりません。まずはいくつかの数字を出すことによって誰あてというメッセージとなりますが、そのあとは本が決まっています。わかりやすく例えると昭和35年の『吾輩は猫である岩波文庫の何ページ目、右から何行目の上から6文字目、次は何ページの何行目と繋げていくと有事の際には横田基地攻撃しろというような指令が出ているわけですよ。

2016-12-22

佐藤優という人物

この人の本が本屋にズラッと並んでいた。見てみるとタイトルや帯には『知』『教養』『インテリジェンス』といったワードが目立つ。

最初に僕はこの人についてたいして詳しくないってことを断っておくけど、いつからこの人は知の番人みたいなポジションに収まったの?

そしてなぜ人々はそれを素直に受け入れているの?いや、受け入れているのかはしらないが少なくとも佐藤に対して「胡散臭いやつ」って評価を下している人はあんまり見受けられない。

担当していたロシア情勢、あと大学時代からずっと関心を持っている神学は相当な知識なんだろうけど、それ以外についても他の知識人と比べてそんなに凄いものを持ってるの?

確かにあの鋭い目つきと人相の悪い面は怪しげな雰囲気を漂わせていて発言説得力があるように見えるけども。

それとも僕が知らないだけで、知の番人を裏付け説得力あるエピソードとかあるんだろうか。

2016-11-19

[]【佐藤優安倍トランプ会談は失敗!官邸勇み足外務省の不

ぶっちゃけ、「安倍総理会談に乗り出したのは、世界的に前例が無く、常識外れで無意味」という内容。外務省の内的な見解の代弁

プライドを傷つけられて外務省が各所に垂れ流しているんだろうけど、正直、柔軟性を欠いた視点と言うわざるを得ない

そもそもトランプ氏が当選したこと自体ある意味予想外の出来事で、だからこそコネクションを確保出来ていない状況なのに

外務省は仮にこのままコネクションを持たない状態が続いてトランプ氏が「日本は私の事を交渉相手とは思っていないようだ」みたいな非常識・予想外な事を言ってごね始めた時に、「そんな非常識な事を言われるとは存外で想定していなかった」とでも言って放置し、対応他人任せにするつもりなんだろうか

常識外の相手が出てきてしまった以上、それでも想定しうるあらゆる事象可能な限り対応出来る手を前例の有無にかかわらず打つのは当然であり、そういう姿勢を失っている外務省は改めて猛省するべきである

2016-05-03

池上彰がなめられすぎなんだよなー

例えば朝日新聞ナナメ読みであるとか宗教を扱った本とか

もしくは資本主義について佐藤優と語っているやつとか大学での講義をまとめた本とか読むと池上彰の知識には底知れないって感じがするよ?

いつか講演で「自分の本は入門書。そこを入り口にして勉強していってほしい」的なことを言ってたけど、たしかテレビや一部の著作では意図的ハードルを低く設定してるっぽいんだよね

そこばっかスポットライト当たるからなめられちゃうのかもなぁ

非常に残念です

そういえば、イスラム国に殺された後藤さんとは昔現地で知り合ったらしいね

それくらい現場を大切にするというイメージが強いんだけど

海外取材独自ルートを持っていない」と思う理由をぜひ聞かせてほしい

http://anond.hatelabo.jp/20160503203335

2016-01-01

今年が終わるまでにはまだまだ余裕があるので、読書がしたい

1冊で人生が変わるなどと思うな、と誰かがお説教していた記憶があるので、

ここ増田で今年読むべき50冊を募集したいと思います

あなた人生に一番インパクトを与えた1冊を教えて下さいませんか。

ジャンル不問!


(でもあんまり高価すぎない本のほうがいいかも。Kindleの本でもダイジョーブです)



ご協力に感謝しながら、並べてみました(ありがとうございます作業中です

  1. 城平京名探偵薔薇を』
  2. 筒井康隆『エディプスの恋人』(『家族八景』『七瀬ふたたび』)
  3. ティムール・ヴェルメシュ『帰って来たヒトラー
  4. 沼正三家畜人ヤプー
  5. レオナルド・サスキンド『宇宙ランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す』
  6. 佐藤優国家の罠外務省ラスプーチンと呼ばれて』『獄中記』
  7. 岩波文庫編集部世界名言集』
  8. リチャード・ドーキンス利己的な遺伝子
  9. 蓮實重彦『反=日本語論』
  10. 宮崎駿風の谷のナウシカ』(全7巻)
  11. 谷崎潤一郎春琴抄http://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56866_58169.html
  12. ジェスパー・ホフマイヤー生命記号論宇宙意味表象
  13. ウィリアムフォークナー『アブサロム、アブサロム!』
  14. オリヴァー・サックス火星人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者
  15. 中島らもガダラの豚
  16. 孫武孫子http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/31_sonshi/
  17. 鷹家秀史『英語の構文150―UPGRADED 99 Lessons』??
  18. 石川正明『化学の発想法―原点から化学シリーズ
  19. 渡辺次男『数学I(なべつぐのあすなろ数学)』
  20. 山本周五郎橋の下」(『日日平安』所収)
  21. ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか』
  22. 遠藤周作沈黙

実際に読み始める前の期待に胸膨らませてるこの感じのほうが好きかもしれません。

いや、読まなきゃ意味ねーですね。頑張って読んでみます

2015-12-19

誰が草食系男子を嗤ったか

たまにネットとかで「女が草食系男子かいって叩きやがって」とか「草食系って馬鹿にされた」っていう人がいるんだが、いまいち実感がわかなかった。

そもそも笑ったり叩いたりする対象としてできた言葉だっけ?

調べてみたところ、お誂え向きに大宅壮一文庫特集記事が組まれていた。

大宅壮一文庫:草食系男子

簡潔にまとまってるので詳しくはリンク先を読んでもらいたいのだが

ざっと流れを書くと

07年 『平成男子図鑑 リスペクト男子としらふ男子深沢真紀)』のなかで「草食男子」という分類が生まれ

08年 『草食系男子の恋愛学森岡正博)』で注目される

09年  流行語大賞に選ばれる

ちなみにすでに言葉としてのブーム終焉を迎えているようなので、「草食系男子」ってセクハラを受けた男性は「まだ草食とか言ってんのかダッサ」と思っても別にいい気はする。


上記記事掲載されている雑誌女性向け・男性向けに分けてまとめなおしてみる。

年齢層と雑誌カテゴリは各誌の媒体資料等を参考にしている。

女性誌における「草食系男子

年代掲載誌読者層・中心見出し
2007With20代/ファッション男の本能を知れば、恋はどんどんうまくいく! あなたのまわりにも急増中! 口グセでわかる“7大平男子カタログ(内1カテゴリとして「草食男子」)
2008non-no1020代/ファッション出会い「4月革命」に勝利せよ! 巷で急増中!「草食男子」の実態に迫る! サバサ女子モテる理由男子の変化にあり!
2009OZ plus20~30代/ライフスタイル恋愛リアル白書 今どき男子攻略編 “肉食系から草食系”まで、今どきの男子の「生態分類図鑑」 生態別で考える男子攻略テク
 清流中高年/総合情報白河桃子トレンド講座 3回 「草食系男子
 an・an20代/恋愛総合情報男を見る目 良さも悩みもそれぞれです。草食と肉食、どっちと恋する? ※草食系男子肉食系男子
 家の光40~60代主婦/食と農情報早わかり!ニュースナビ 経済 お酒よりスイーツ草食系男子経済に影響を与える!? ※自動車販売台数の減少、草食系が増えた背景
 シュシュ20~30代/総合情報婚活」の生みの親・白河桃子アラサー婚活常識非常識 11回 好きですか?草食男子 ※草食男子を好きな女性のほうが結婚に近い?
 Hanako WEST20代/総合情報タイプ別分析! 草食、肉食だけじゃない。今どき男子のホンネ 本当のところ男子は何を考えているの?
2010清流中高年/総合情報オトナになりなさい! 23回 「草食男子」はなぜ増えた?
 non-no1020代/ファッション恋愛崩壊の緊急リサーチ男子編 今ドキ男子白書2010春 ※ツルみ男子の過ごし方調査、草食派・肉食派の本音と生態、男子趣味ストレスイライラ劇場彼女を作らない本当の理由
 CREA30代/美容テーマ読書という冒険 心に効く!読書処方箋 アラサー女子の悩みを解決する魂の100冊! 草食系男子感性を知る10冊 ※『風の歌を聴け』『本当はちがうんだ日記』『銀河鉄道の夜』他
2011女性セブン50~60代/週刊誌澤口脳学堂 7回 人差し指と薬指の長さでわかる脳的「草食系男子

男性・一般誌における「草食系男子」 (12/19一件追記)

年代掲載誌読者層・中心見出し
2008DIME20~30代男性/トレンド情報DIME BUSINESS REPORT 外よりウチが好き、仕事中にお菓子を欠かさない、女子の間にいても自然… 「草食系男子」が増えてるってホント!?
2009日経エンタテインメント20~30代男女(男性2/3)/エンタメ情報2009年ヒットを見通す!ヒット10大予測 モテ 草食系男子vs肉食系女子 「受け」のおっとり男と「攻め」のイケイケ女がモテる
 週刊プレイボーイ20~30代男性/週刊誌佐藤優の「セカイを見破る読書術」 19回 草食系男子がわかる2冊 本当は彼女が欲しい草食系男子! 瞳読みの技法を… 森岡正博草食系男子の恋愛学』 ローレンツソロモン指輪
 週刊新潮中高年男女/週刊誌あとの祭り 249回 草食系男子論 その1/その2
 AERA30代~男性/週刊誌勝間和代のあの人をまねたい 6回 今月のテーマ 男と女 森岡正博 哲学者 ※草食系男子ブームきっかけをつくったこの人に会ってきました
 サイゾー30代男性/エンタメ情報ベストセラー草食系男子の恋愛学』著者を直撃 “草食系応援団長森岡正博に聞く 「ブーム違和感」「草食系の落とし方」
 クーリエ・ジャポン2040代男女/国際ニュース世界が見たNIPPON 「草食男子」の台頭は果して日本社会にとって悪いことなのか 消費にも恋愛にも消極的男性が急増している。「男らしさ」が変化する日本社会世界が注目している
 DIME20~30代男性/トレンド情報DIME REPORT 次世代を担う「G25男子」の実態レポート モノを持たない、買わない“草食系男子”の消費動向をつかむヒント!
 マンスリーウイル読者層データなし/オピニオンHEADLINE オバタカズユキのしょせんヒトゴト 「草食(系)男子」の就職活動 ※某私大で行われた就職活動イベントでの男子学生の印象は草食男子というより“へたれ男子”…
2010週刊文春50代以上男女/週刊誌勘三郎勝新石田純一…最強の「肉食男子」は? 竹内久美子の新説 「草食」「肉食」は薬指で決まる ※薬指と人差し指の長さのさでわかるオス度
 正論読者層データなし/オピニオンもう1つの日本危機 草食系男子を生んだ時代精神分析する なぜかくも欲望の欠如した男が大量に生まれるのか ※2度にわたる日米戦争の敗北、続く卑屈な米国への依存、他
 現代エスプリ医療教育関係者/心理臨床学系性とこころ 性と現代若者 草食系男子肉食系女子 ※物欲競争欲も弱い草食系男子、親と仲がいい「イエラブ族」、見た目にこだわる理由、受け身で男女平等恋愛感、肉食系女子婚活、他
2011週刊プレイボーイ20~30代男性/週刊誌科学恋愛講座 19回 草食系男子結婚市場で人気!? 男には「肉食と草食を使い分ける演技力」と「知性をお金に換える能力」が求められている!
 週刊プレイボーイ20~30代男性/週刊誌篠田麻里子草食系男子改造計画(連載/~2013)
2014SPA!30代~男性/週刊誌第1次世代大戦 169回 草食化男子 異性との接し方がわからない 失敗することを強く恐れている
2015週刊プレイボーイ20~30代男性/週刊誌爆笑問題の笑えるニュース解説 182回 草食男子を超えた絶食男子話題! 絶食男子が急増中!? 爆笑問題と考える性交渉問題

ざっと見た感じ

08~09年 女性誌で、『気になるあの人の攻略方法』みたいな感じで使われる(ここまでは肯定的

09年 「若者論」として高年齢向け雑誌が使い始める

10年 高年齢向けや特定政治思想雑誌で「無気力若者」の代名詞として扱われ始める

って流れのような気がする

ネットをもう少しもぐればまた違うかもしれんが

草食系男子」をいじめてんの、基本的には若い女じゃなくて、おっさんおばさんじゃね?

12/19追記)

「だから女の子は悪くないんだもん☆☆」というニュアンスで受け取ってる人がいるようで、文章力がなく申し訳なかったが

そうじゃなくて、冒頭に書いた「女が草食系男子を叩いてる!」という認識は不完全じゃねえのかと言う話である

女が叩いてないわけではないだろうが、おっさんも叩いている

っていうかここに取り上げられた雑誌記事範囲だと、おっさんが率先して叩いている

草食系男子が叩かれる」背景にあるのは、男女対立の構造ではないよねってこと

(12/20追記)

他の記事と関連させて読んでいるのか、

「(言葉意味肯定的否定的かに関わらず)お前は草食系男子だと発言するのはセクハラになりうる」

という旨のコメントしてるひともいるようだけど

べつにその点に異論を挟もうとしてる記事ではないし、文中でも最初段落で、その点について肯定スタンスで触れている。

ある言葉セクハラかどうかは、その言葉が発された文脈に大きく依存するが、

ある言葉を「叩き」と受け止めるには、語義自体の変化があるのではないか?という仮定の下、

雑誌の扱われ方から語義の変遷やその震源地を追おうとしたのがこの記事

なんでかって言われたら興味があったから。

例えば「美人」の現在の語義は肯定的ものだが、時と場合と相手によってセクハラになり得ると考えている。

しかしそれとは別に、「美人」って言葉を「叩き」と受け止める人を複数見かけたとしたら(「美人って叩かれた」とか言う人がいたら)、自分不思議に思うし、美人の語義の変化を疑って状況を調べると思う。

そういうわけなので、別に男性セクハラ問題矮小化しようとかそういう意図は一切ありませんし

増して「こっちの語義が正しくてこっちが間違ってるんです」というような主張もありません。

2015-06-15

http://anond.hatelabo.jp/20150614221914

池上彰とか佐藤優とか養老孟司とかのみ許されるわけ

自分で言ってるじゃん

そのどこの誰だか知らねーオヤジをお前が知らないだけじゃん、お前が無知なだけじゃん

2015-06-14

本の帯に写る謎の顔

本屋に行くたび思うんだが本の帯に著者の顔が載ってるもの多くない?

帯ってそもそも購買欲を煽るためにあるんだよな?

どこの誰だか知らねーオヤジ顔写真デカデカと載っけて何の意味があるの?

自己顕示欲の強い著者自らが載せてって頼むのか?

出版社から載せましょうって提案するのか?

とにかく何の意味もねーからやめろ

意味ないどころか「どうせこんな顔したやつ大したこと書いてないに決まってる」って思って手に取らないことのが多いから逆効果だぞ

美人、もしくは知名度あってある種のブランドを築いてる奴以外写真宣伝効果ないのに気づけ

池上彰とか佐藤優とか養老孟司とかのみ許されるわけ

2015-05-16

図書館とはどうあるべきか

【日本の議論】悪い図書館「究極の寄贈図書館は東京拘置所」…市民にとって“気持ちいい図書館”が本当に良いのか(1/4ページ) - 産経ニュース

最初は、

「本はタダで読むもの」との認識が広がった

という主張はどうかな、と思ったが、あながち間違いでもなさそうだ。

b:id:wackunnpapa ところで佐藤義亮は新潮社を立ち上げた後,角館町公共図書館に自社の出版物をせっせと寄贈していたはずですが,自社の歴史に泥を塗るつもりかい石井さんとやらは。

b:id:tamasuji 世の中には買いたい本と借りて済ませばいい本があり、買いたいと思える本は少ない。

スーパー試食コーナーでタダで食べられるから、売り物もタダだろみたいな理論賛同が集まる。かと思えば、買いたいと思うほどじゃないから違法ダウンロードしてもいいだろ、みたいな意見もある。なるほど、程度が低い。

出版社が主張したこと

さて新潮社石井氏は、図書館に対して

せめて増刷されそうな本については6カ月、図書館での貸し出しを猶予してもらえないか

しか(少なくとも記事中では)要望していない。それが図書館にとって受け入れ難いものだろうか。あるいは文化的な何かが衰退することに繋がるだろうか。

出版社とは元来(当然ではあるが)利益を追求する。そう言った意味で、図書館古本屋を目の敵にしてもある程度は理解できる(しか賛同はしない)。コメントでも

b:id:bogus-simotukare 新潮社のアホは本が売れないのを図書館のせいにすんじゃねえっての。そのうち「ブックオフの営業を規制して欲しい」と言いそうな勢いだな。

b:id:kako817v002子供たちを読書に誘う為の手段」とは考えないんですか、そうですか。

b:id:meshupecialshi1 自分達だけが儲かろうとするあまり、頭の悪い偏見肩書きで権威付けて押し通そうとする(よくある)例。しかしこういうのが本当に大手を振ってまかりとおるようになってきましたね。

と、先入観というか決め付けを書き込んでいる人がいたが、今回の主張はそこまで過激ではない。図書館目的に照らしても、速報性のない資料をすぐに貸し出せるようにする必要はないし、スタートダッシュを決めたいという戦略ならば、理解可能な折衷案である図書館あるいは一利用者側としても、一過性のもの費用を充てるより、落ち着いて良書を買ってもらった方がよい。そういう意味で、出版社側の思惑とは関係なく、この提案が実現することを望んでいる。

結論が正しいからと言って前提が正しいわけではない

無論、大抵の人たちが噛みついたのは「図書館のせいで我々の売り上げが落ちた」とする出版社側のイイワケだ。

b:id:shag ついに図書館にまでケチをつけるとは...。

b:id:saki_n 図書館のせいで「本はタダで読むもの」の認識が広がったと言いつつ、8割の人は来てないとか言ってみたり。結局図書館のせいではないと分かってるじゃないか。

b:id:The-Globe 返本率が4割近い、って需要予測ガバガバ過ぎるわ、ドイツ10%とは言わんから20%まで下げろ。日本の本需要は高い方だし物流は早いし図書館が極端に多いわけでもない、外部に問題を探す前に企業努力しろ

b:id:mugi-yama 複本の件はよくわからないんだけど「初版部数の9割が売れれば採算が取れるような価格設定」これがそもそもオカシイような気が…

結局、自分不振理由を分かりやすそうな所に求めているあたりは他と大差がない。外野から見れば、お前らが目を逸らしている問題を解決する方が先だろ、と思ったりするわけだ。しかしだからと言ってそういう輩に攻撃的になるのもナンセンスだ。その内絶滅するので「仇敵である図書館を打倒だ」とか叫ばない限り「おじいさん、ご飯は昨日食べたでしょ」といなすのが吉である

図書館のあり方

老害はさておき、図書館とはどうあるべきか、というのは重要問題である

b:id:xuggbo まぁ娯楽作品は1個ずつしか入荷しないとかい制限必要だと思うけどな。

b:id:ssids かと言って「先生が読ませたい本」ばっかり揃って閑古鳥が泣くタイプ学校図書館みたいなことになっても無駄なわけで。

b:id:nowa_s 時間はあっても金はない人(子供や老人、主婦)が主な利用者だよね。被告人も確かにそうだ。図書館がなく新刊も買えないなら、本が読めなくなるだけ/古い本(古典絶版本)も新しい本(流行本)もあるのが図書館のいいとこ

b:id:teebeetee 利用の指標として貸出冊数を使うのはしょうがないとして、複本は所蔵数で割るようには出来ないのかな。/ところで「図書館も人気ある本の需要に答えて当たり前」みたいなのって意見としては読んだことないんだよな。

b:id:yuki_chika 佐藤優氏が図書館の味方のような書かれ方だが、以前から図書館商業出版を圧迫してると批判していた/書物が「商品」なのか地域・個人にとっての受け継がれるべきナレッジベースなのかは明確な解がない難しい問題

2014-11-18

佐藤優創価学会平和主義」を読んだ。佐藤優にしてはつまらないと思うが、物語としては面白く読んだ。


集団的自衛権の話があったので、個人的公明党には興味を持っていた。

公明党護憲だったはずなのに今回は解釈改憲に協力したので、いろいろ批判もされていたが

その実態はけして「与党椅子が惜しくて自民迎合した」というような単純なものではなかったらしい。

公明党側が意図したのは、閣議決定と従来の政府見解1972年見解)との論理的整合性を取ること、

言い方を変えれば、閣議決定1972年見解から逸脱させないことだった。


そもそも「改憲は難しいので解釈変更で代用する」というのが安倍首相の目論見だったが

それに対して公明党は、内閣法制局を抱き込んでギリギリまで閣議決定を骨抜きにした上で

「これは従前の政府見解基本的論理を変更するものではない。そもそも基本的論理にかかわる解釈変更は行えないし、その場合改憲必要

とぶちあげた。

安保関連法案は来年以降だからまだ最終的な結論は出ていないが、

現状では集団的自衛権は確かに骨抜きにされているように見えるし、

骨抜きにされてなお強行した安倍首相の異様さばかりが際立っている。


佐藤優はこれを「安倍首相トラウマ」と評している。

偉大な祖父・岸信介が果たせなかった「米国と対等の国になる」という悲願に憑かれているのだと。

そのきわめて個人的妄執に憑かれ暴走する安倍首相掣肘できたのは、

民主でも社民でもなくもちろん共産でもなく、公明党だけだった。


残念に思うのは、

選挙がどうなるのかわからないけど、どう転んだところで

安保関連法案の審議で社民共産がなんらかの役割を果たすことはないだろうということだ。

「たしか野党必要です」そのとおり。

しか共産党は結局のところ夢想的な理想主義に閉じこもってなんら現実にかかわろうとしなかった。

一方、政教一致カルト政党揶揄され続けた公明党は、解釈改憲に協力しながらそれを骨抜きにするという泥臭い闘争を選んだ。

どちらが「たしか野党」だったか、考えるだけ空しい。

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