2015-09-08

脳科学」が教育論に不要だと思う、たった一つの理由

朝日新聞に「脳の発達段階のサインと思って」という脳科学者の記事がある(http://www.asahi.com/articles/ASH806WJZH80UEHF00Z.html)。

この記事脳科学言葉はいらないと思った。

 

この記事の真ん中あたりの文章から脳科学」の言葉を省くと、例えば、次のような、すっきりした、ひじょうに分かりやす文章になる。

 

 社会的な行動をつかさどる機能は、思春期から25歳くらいまでにつくられます。おおまかに三つあります

 一つ目は思いやりです。人が傷つくことは言わないとか、誰かが悲しむと自分もつらいとか。幼い子は残酷なことをしたり、言ったりすることがありますね。

 二つ目合理性判断です。大人になると損得勘定意思決定しますね。「冷たいやつ」と言われる人は、子どもより大人の方が多いでしょう。

 三つ目は空気を読んで自らの振る舞いを決める、つまり社会性です。男性より女性の方が発達が早いことがわかっています。例えばウソ女の子は5歳くらいからウソをつき始めます空気を読めないのは、女子より男子の方が多いと思いませんか?

 これらの発達を促すには、しっかり食べて寝ること。あとは健全な刺激を受けること。つまりコミュニケーションです。共感や同情、社会性は一人では身につかないので、コミュニケーションの相手が多い方が望ましいです。

 

要するに、大人として生きるのに大事なのは次の3つ、ということだ。

 

 

でも、こんなことは脳科学がなくても分かっていたことじゃん。

ちなみに、元は次のような文章

 

 脳の中で共感性や意思決定社会的な行動をつかさどる機能成熟が遅く、思春期から25歳くらいまでにつくられます。おおまかに三つあります

 一つは眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)。思いやりの領域です。人が傷つくことは言わないとか、誰かが悲しむと自分もつらいとか。幼い子は残酷なことをしたり、言ったりすることがありますね。それは眼窩前頭皮質が未発達だからです。

 二つ目は背外側部(はいがいそくぶ)。合理性判断をつかさどります。大人になると損得勘定意思決定しますね。「冷たいやつ」と言われる人は、子どもより大人の方が多いでしょう。

 三つ目は上側頭部(じょうそくとうぶ)。空気を読んで自らの振る舞いを決める、つまり社会性です。男性より女性の方が発達が早いことがわかっています。例えばウソ女の子は5歳くらいからウソをつき始めます空気を読めないのは、女子より男子の方が多いと思いませんか?

 これらの発達を促すには、脳も食べ物によって作られるわけですから、しっかり食べて寝ること。あとは健全な刺激を与えること。つまりコミュニケーションです。共感や同情、社会性は一人では身につかないので、コミュニケーションの相手が多い方が望ましいです。

 

脳科学がなくても分かっていたことに、「眼窩前頭皮質が・・」「背外側部が・・」「上側頭部が・・」といった言葉を足すことに何の意味があるのだろう?

何となく科学っぽい雰囲気を出す以上の意味があるのだろうか?

もともと分かっていたことに合わせて脳の部位を紹介することに何の意味があるんだろう?

 

 脳科学者が教育について語るのなら、

 「脳科学がなければ人々が気づかなかったこと」

 を語って欲しい、と思う。

 

なお、記事に出ている脳科学者の方は、しっかりした話し方をしているし、立派な科学者なんだと思う。この記事を取り上げたのも、たまたま今日見かけたのがこの記事、というだけで。

ちなみに、人生論にも脳科学は要らないと思う。

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