はてなキーワード: 誤情報とは
少し前まで、はてなの新着やYahoo!のリアルタイム検索、Twitter、その他ニュース・ゴシップサイト(NHK、文春オンラインなど)を周回する日々を過ごしていた。
ニュースを読むだけではなくて、ブコメやヤフコメといったニュースに対するリアクションを特に読んでいた。
普通に暮らす人たちの意見を吸収しなければという強迫観念があった(職場ではなんとかコミュニケーション取っているが、本来の自分を隠して仮面を被っている)。
生活時間に暇ができると、ほとんどニュースサイトや一般人のリアクションを読んで過ごしており、今考えると恐怖でしかない。
信じられないだろうが、度々「はてブを開いていたウインドウを閉じたと思ったら、次の瞬間またはてブを開いていた」現象が起きていた。
メタ的に見ている自分が「これは病気だ」と思っても、やめられないでいた。
裁量労働とフレックスにリモートワークを足したら、生活時間がひどいことになった。
確かに実際に周囲で聞いた・見た事例の多くはスマホゲームだったりLINEのメッセージのやりとり、Twitterでの発信だった。
自分のように完全に受け身になり、しかもニュースサイトを見て回る人間はどうすればいいのか。
ランキング上位を目指しているとかチームを引っ張るとか、相手があるわけでもない。有名ブクマカですらない。
しがらみもないし、止められそうなものだが、どうしてもやめられなかった。なぜかわからないが、世界から取り残された気がしてやめることが尚更難しかった。
最近、とある出来事があり、事情通によって予想されていた諸々と全く異なる結果になってしまった。
具体的なことは明記しないが、色んな憶測が飛び交い、諸兄があれこれ予測しているうちに全く別方向に至ってしまったのだった。
これほど一般人の情報があてにならないとは、今までの時間はなんだったのだ。それ以前に、当事者だけで決めるような問題だったのだ、このニュースは。
政治や経済、芸能に至るまで、専門家や内情を知る人に比べてあまりにも知識が欠落しており、私には正しい情報と誤情報の判断がつかない。
「もう自分が知るのは事後でよい」「災害など自分の身にすぐ降りかかる情報がすぐに届けばいい」と、ふと情報を集めるのを諦めた。
本当はずいぶん前から諦めたかったが、この時何かが吹っ切れて、世間の情報に縋り付くのを止めるに至った。
なんでこれを増田に書いたかというと、同じ状況の人間がいなかったからだ。
今でも暇になると手が勝手にスマホを操作してニュースサイトを開いてしまう。
私はこの悪習を断ち切るために、とにかくたくさんの本をものすごいスピードで読むことにした。
一人の人間の主張を自分一人で受け止める、この構図が怖くてしばらく本を読むのをやめていたが、読んでいるときに「この表現はおかしい」「この文脈でこれは語れない」「これは自分と違う意見」と考えて読めるようになり、少しずつ対話できる形で読み進められている。
augsUK トランプがワクチン否定派だったことはなかったのでは?むしろ大統領選の時のワクチン前のめりを民主党が批判してたくらい。マスク否定してたのと混同してない?
事実誤認。トランプは大統領になる前も後もアンチワクチンで、麻疹の流行とコロナ禍において保身のために転向した。
例えば、MMRワクチンで自閉症になるという古典的なアンチワクチン論をずっと提唱し続けていたし(参考、を出したかったがtwitter凍結されてる)、大統領就任後はアンチワクチンのRケネディJrを政権に入れるのではと危惧されていたくらいだ。
そう言う背景を持ちながら当選したんだから、支持者も当たり前にアンチワクチンが多い。
実際、トランプのTwitter投稿がワクチン誤情報の拡散源として最大級であり、アンチワクチン派のハブとして機能したことは研究によって示されている(参考)。
で、なぜ転向したかといえばそれは保身。トランプは良くも悪くも自分ファーストなので、陰謀論にしろ偏った思想にしろ、自分にとって旗色が悪くなったら切り捨てる。一部の陰謀論者みたいに陰謀論と心中したりはしない。
MMRワクチンについても長らく「打てば自閉症になる」と主張してきたが、2019年に麻疹の大流行が起こって責任を問われたらワクチン推進に転向した。
コロナ禍も同様。米国でのコロナ地獄を引き起こした主因の一つはトランプの無策(どころか対策の妨害)であるが、それに対して「いや私はワクチンを推進しているから無罪」と言い逃れようとしたのが転向の発端。
アンチワクチンだったトランプが責任逃れの過程でワクチン推進に転向したというのが事実なので、タイトルのブコメがどういう事実認識で発せられたのかまるで分らん。
ちなみに人気米(8/26)の中ではこれが事実を認識している。
otokinoki トランプ前大統領が、ワクチン肯定派に変わったことは、米国や共和党にとっても良いことだけど、産み出した反ワクチン派という怪物はどうにもならないか
シークレットシューズに見えた とは書いてないです…
その塾生徒なら全員知ってたんだよねぇ…
以下は小山田圭吾さんの辞任騒動をきっかけに、SNSの問題やマスコミの姿勢についての疑問、虐めの本質とは何かを私なりの視点で考えた物です。
本来はTwitterで呟くつもりでしたが、かなりの長文となってしまいましたので、こちらで書く事にしました。
基本私はTwitterであまり呟く事はないのですが、ファンである小山田さんの擁護をきっかけに今回の炎上の渦中に入りました。
そんな私のツイートにリプして来た人の殆どが汚い言葉を使い、怒りの感情をぶつけて来ました。私はそれを〝攻撃〟と呼び、ミュートやブロック等でスルーしましたが、冷静に対話出来ると感じた人とは出来る限りやり取りしていました。
そうしたリプの中に、障害者と直接接触する機会がなかったのか、TVドラマによくある表現に影響されたのか、「障害者は純粋である」とか、障害者はとにかく「被害者となる対象(弱く可哀想な人)だから優しくしろ」と思い込んでる人が多い印象を受けました。「障害者が小山田の音楽を聴く訳がない」と言う人もいました。
しかしそれこそが私は差別的だと常々思っていて、それを今回の辞任騒動で再認識しました。
障害者の中にはして貰って当たり前の態度の人もいれば、席を譲る等の声かけに強く拒む人もいるし、嘘をつく人もいます。多様な人格や価値観があるのは健常者と一緒です。
(その点ではQJを見る限り、小山田さんは障害者である沢田さんを事細かに観察し、〝探究心〟で接しています。先入観なく人を知ろうとする姿勢そのものは、虐めはともかく差別はしていないと思います。)
それを想像せずに叩いて来るのは〝正義感〟ではなく〝傲慢〟であり、自己中心的な価値観の〝押し付け〟でしかありません。
そもそもSNSにおいて、なぜただの擁護者までも攻撃するのでしょう。それはまるで、殺人犯の家族まで同罪のように扱うのと同じ事です。
いえ、元々そう言う思考を持っている人達が攻撃しているのかもしれませんが。
攻撃は問答無用で人を傷付ける事ができます。その武器が言葉なら、傷が目に見えない分だけどこまでも攻撃でき、相手が死のうとする迄のダメージを与えていても気付かないのです。その行為こそが「虐め」そのものなのに。
誰かを虐める理由のひとつとして、相手と同じ立場に立った時の想像力が欠けている〝経験の浅さ〟があると思います。それだけなら大抵は躾や注意で改善されるでしょう。
それが駄目なら実際にその立場に立った時にしか気付けないかもしれません。
他には承認欲求が満たされないストレスがその行為に繋がっていると見られるパターン。
劣等感は内に向く人と外に向く人とがいて、内に向く人は自分に自信がなく自分を責めて病む。外に向くと他人を見下したり攻撃的になりやすく、虐めに発展しやすくなる。
劣等感の元は無意識下にあるので、罪悪感が伴わないのではないでしょうか。
最近になって本当にケアが必要なのは虐める側だと言われていますが、そこに本質があると思います。無意識にストレスが存在したままの人は、今回のような出来事がスイッチとなり、ヒステリーを起こすのでしょう。
虐められる側には理由がなく、仮にあったとしても虐めていい理由にはなりません。だから世間は虐めを許さないと言う。学校や会社と言う限られた世界でそうならば、今回の件は異常なまでの規模での虐めです。
しかも真実の検証も本人の説明の時間もない完全に不利な状況で始まっているのです。
それをマスコミはこのまましれっと終わらせようとしている空気になっていますが、私自身は謝罪しない限り許す気はありません。何が出来る訳でもありませんが。
煽られた攻撃者は個人なので、私が何かを要求する義理はく、真実が世に出た時は黙っていればそれでいいと思っています。ただ、最初に誤情報を拡散した人は別ですが。
ここまでで私が言っている事は虐めを容認している訳ではないと解るはずですが、そうでない人は読解力が足りないと言っておきます。
どんな場合でも相手を理解しようとする姿勢で対話しなければ、お互いの考えや価値観を知る事はできません。その上で解り合えなかったとしても、認め合う事はできます。
いきなり断罪しては真実も何もあったものじゃ無い。まだ「真実」には辿り着いていないのだから。
現時点で検証しているのは擁護側(しかも個人)だけで、本来は攻撃側もしなければなりません。QJ全文を読んだけど印象は変わらなかったと言う人がいますが、それは検証ではなく文字通り〝印象〟で留まっているだけに過ぎません。
しかし、双方が検証をしてもやはりまだ〝検証〟の段階でしかなく、何割が、どこが嘘か真実かは
それら全てが揃って始めて〝真実〟と呼べるのではないでしょうか。
こういう事を書くと「汚名を晴らしたいなら本人が会見すればいいじゃないか」等とよく言われましたが、普通に考えればパラリンピックが終了しないとタイミングとして難しいと思います。
オリンピックは終了したと言っても今回の発端が〝障害者を虐めた〟である以上、パラリンピックではより過敏にならざるを得ず、水を差す事になりますから。
私はまずそこまでは待ちたいと思っています。
会見が行われた場合、雑誌社からの証拠の提出やライター本人の釈明がなければ、小山田さんの発言が全てとなります。
そして世に出た情報が嘘であった場合には、彼がこれまでと同じ活動が行えるようになるレベルでの、マスコミやコメンテーターの謝罪を含まなければ終了にはなりません。
逆に、証拠が全て揃わなければ言い訳としか取らない人がいる事は容易に想像できますが、その場合は雑誌社を追及するのが正しい姿勢です。
会見がなかったなら、被害者とされる人が虐められたと思っていたとしても、謝罪文を出していれば本来は〝社会的〟には終了する話であり、これ以上叩く必要はありません。
本人に謝らなければ意味がないと言うならば、謝罪文には〝本人に連絡を取り直接謝罪したい〟と書いてあります。連絡が取れて受け入れられなかったとしても、後は当事者同士の話であり、外野が口を出す事ではありません。会えなかったとしても同じです。
本人に連絡を取っても傷口を広げるだけだと言う人もいますが、それも当事者の問題です。何故なら
その点について言及する人を少なくとも私は見た事がありません。攻撃者が常に小山田さんが〝許されない〟事を前提で話しているのには疑問が残ります。
また、この件について同じ経験のある人を刺激したという声もありますが、それは小山田さんだけが悪いのでしょうか?
確認しておかなかったJOC、沈黙したままの当の雑誌社、問題になったブログ、検証なく報道したマスコミ、間に受けて拡散・コメントしたタレントや識者、それに煽られた一般人。
無闇に人の目に入るような形にしたのは決して小山田さんだけのせいではありません。その点は責任転嫁ではないかと思っています。
本来マスコミは、検証、取材、時代背景、あらゆる面からひとつの物事を捉えてからでないと報道するべきではありません。憶測がひとり歩きするような今回の事態は普通ならあり得ないのです。エンタメ的な雑誌やワイドショーならともかく、公的なニュースを慎重に考察した上で伝えるはずの新聞や報道番組でさえ、エンタメ化しているようにしか私には見えませんでした。
しかも著名な識者までもが感情的にコメントしていた事には愕然としました。連続殺人事件のような大きな事件ですら、冷静にコメントしているのにです。
国民の半数が反対していた五輪だったからなのか、コロナ禍でのストレスが噴き出したからなのか、とにかくどこでも爆発的に感情が横行していた事に唖然としました。
敢えてTwitterの炎上に飛び込みましたが、その異常さを目の当たりにして、文字にここまでの殺傷能力がある事に恐怖を感じました。
木村花さんの出来事が遠い昔でも無いのに、こんなにも簡単に忘れてしまうのかと。
また内容の是非はともかく、その後に起こったメンタリストのDaiGoさんや、アーティストの大森靖子さんの騒動は、ご本人の口から出た確実な証言です。
それを考えると、小山田さんの場合は本来、ここまでのバッシングを受ける物であったのだろうかと違和感を覚えます。
ここまで書いて、ただの擁護という印象を持たれる方もいるかもしれませんが、一度冷静に考えて欲しいのです。「小山田」と言う主語を、貴方の敬愛する誰かに当て嵌めて。
そしてそれを守る為にその時、自分はどうするべきなのかを〝想像〟してみて下さい。
傷つける人、傷つく人が一人でも減る事を祈って。
https://news.yahoo.co.jp/articles/599c8b09e78f0a8f30f90cd9be091f26d9ea7fe6
あまりにも分かりやすすぎるア◯だからか、せっかくの文春砲もちょっと空振り気味。
社長がどんなに狂っててもちゃんと稼いでいれば株主も文句は言わないし。
昨年初春、日本中がコロナにびびりまくる中、社長は苛立っていた(いつものことだけど)。
扱っている商品は生活必需品ではないので、世の中が落ち込めばその空気をモロに受ける。
各店舗の売上を見てはあたり構わず怒鳴り散らしながら社長がやった事
↓
2月:
・中国からマスク買い付け。足元見られまくり、送られてきたのは向こうが透けて見えるような明らかな粗悪品。しかも原価一枚50円だったか。もっとしたかな。売り物にならないので泣く泣く社内頒布へ。
・大◯薬品がクレ◯リンを売りつけに来たのをごっそり買い込み販売。あんまり売れなかったみたいでその後キャンペーンをうち、さばく。社販もしつこくやってた(いらねー)
3月:
・コロナはお湯に弱いから26〜27度のお湯でウイルスが死滅するという例のアレを重要度高で社内に一斉メール。
・その後追い討ちをかけるように塩水だとなお効果ありとか、トイレに入るときに息を止めろだとかのデマメールをじゃんじゃん流す(それに「有益な情報ありがとうございます!」とか返すア◯も微レ存)。
4月:
・流石にお湯はデマと悟ったのか、忘れたのか、マスクや密を避けるなどの比較的まともな対策を中心にイラストを使った啓発ポスターを作らせる。ただし間違いや誤情報も散見される。
もちろん医師などの監修はなし。これを顧客や取引先に配るよう強要。SNSでも流せとか。このポスター、今では無かったことになっている。
激務な職場で、目に見える実害もなかったのでたぶん社員も皆忘れてる。
未知のウイルス怖い! 今できることはなんでもやらなきゃ!という思いが強過ぎて行動しちゃったんだろうけど、善意から出てる分始末に負えない。周囲にはイエスマンしかいないので正されることもない。
危機にこそ、その人の知性が白日のもとに晒される、本当でした。
一読者ならば雑誌のアンケートとかできちんと意見表明をすれば良いのでは?
wikipediaだけの情報だが、そもそも政治思想が濃いことでは有名な雑誌らしい。発行部数も12万と比較的多いのは、新幹線のグリーン車で無料配布しているからだろう。読者層もアッパーミドルの男性向けなのでニーズをつかんでいるんだろうな。はっきり言えば読者層が固定化されているものが政治的に偏るのはよくあるし、まして地域と場所がある程度限定されるならその傾向はより強くなるだろう。
少し違ってくるが企業の社長とかは年1くらいで本を出したりするし、そういうのは大抵どっか偏ってる。スピ寄りだったり独自の価値観を煮詰めすぎていたり。アパホテルとか泊まればなんとなくわかると思うけど。
だから増田の言うところの「大企業だから偏ってるのはおかしい」という発想はちょっと幼いのでは。企業の大きさと思想は全然関係ない。
確かに偏向報道や誤情報を伝えることはよろしくないが、はっきりいってしまえば新幹線車内限定の雑誌と思われているWedgeごときで政治思想云々の語るのは発想が小さすぎる。そんな場所で偏っていたところで全体に波及することはまずないのだから。
BL同人誌の内容をVTuberであるさくらみこさんと宝鐘マリンさんが配信内で「朗読」したとして「炎上」した件ですが、当初から腐女子界隈とVTuber界隈の抗争の様相を呈しており、一方を装った愉快犯が現れたり、誤情報が拡散されたりと、見るに堪えない状況です。
そこで、BLとVTuber両方が好きで、腐女子界隈とVTuber界隈いずれにもつながりのある私が、できるだけ客観的に彼女たちの「炎上」の経緯を整理しようと思いました。
以下では、この「炎上」の背景にある腐女子界隈の不文律としての「掟」や、一次情報であるVTuberの元配信について言及しつつ、実態を伝えられたらと思います。
また、そのうえで、百合やVTuber本人などBL以外の同人誌であれば「炎上」しなかったという考えの根拠を説明します。
やや長めですが、3日前の「作戦会議」の配信から経緯を把握している方も、後半部分には目を留めていただけると幸いです。
元となった配信は、3月28日(日)13時から10時間以上にわたって行われた、『ときめきメモリアル2』というギャルゲーの実況配信です。
この日は前日同様、オフコラボで、さくらみこさんと宝鐘マリンさんは同じ一室にいて、ゲームを実況したり、サプライズでプレゼントを贈ったりしていました。話題となったBL同人誌も、サプライズプレゼントとして贈られたものでした。
配信内でのサプライズやドッキリは、突発的なものではなく、事前にリスナーとともに作戦が練られたものでした。
この日の3日前にはみこさんが、2日前にはマリンさんが、それぞれ土日のオフコラボへの「作戦会議」と称した配信をしています。
これらの配信は、オフコラボ相手へのサプライズ案をリスナーに募る内容でした。そして、みこさんの「作戦会議」のなかで、リスナーから「BL同人誌を冷蔵庫に入れてプレゼントする」というサプライズが提案されたのでした。
なぜ「BL同人誌」なのかというと、マリンさんがBL好きであることを以前から公言していたためです。
この件においてBL同人誌は、あくまでサプライズプレゼントの一つとして、みこさんがマリンさんのために用意したものでした。
「同人誌の朗読でスパチャを稼いだ」という意見が拡散されていますが、配信の主目的はあくまでギャルゲー実況にありました。
BL同人誌が登場したのは、そのなかでの「サプライズプレゼント」のゆえであり、配信内で同人誌自体はあくまで脇役でした。(ギャルゲー実況配信は10時間以上ありましたが、BL同人誌への言及は数分間で、それも「スパチャを稼ぐ」ためではありませんでした)
さて、「BL同人誌を冷蔵庫に入れてサプライズプレゼントする」という作戦は、みこさんのマリンさんへの、冷蔵庫の飲み物を取ってきてという言葉から開始されます。
そうして、マリンさんは冷蔵庫のなかにBL本を発見することとなり、その遠回しすぎるシュールな渡し方に爆笑しながら部屋に戻ってきます。
Twitterなどでは、BL同人誌の内容を嘲笑しているとの意見もありますが、あくまでサプライズプレゼントとしてのBL本の「奇抜な渡し方」に対しての笑いでした。
続く笑いも、内容そのものに対してではなく、作品タイトルや2つの台詞の奇抜さに対してのものです。
「陽キャがオタクの創作を嘲笑した」という構図に見立てた意見がTwitter上にありましたが、両名とも二次元好きで、そもそもこの配信自体ギャルゲー実況です。
では、二人は、このBL同人誌の内容をどのように「朗読」したのでしょうか。
この後、VTuber二人は作品タイトルと2つの台詞に言及します。
作品タイトルは、躊躇いながらもマリンさんが部分的に伏せつつ発音し、続いて裏表紙にある「シャトルの発射まで時間がある」という台詞をみこさんが低い声で発音、そして「中に出せよ」という台詞を強気受けによる命令形であることに着目しつつマリンさんが発音します。
作品タイトルは、ガン●ムの登場人物の名前を奇抜にもじったもので、それが二人の笑いを誘います。二人はBL本の「奇抜な渡し方」の時点からほぼ休みなく笑っており、ツボが浅くなっている状態です。
「シャトルの発射まで時間がある」という台詞は、ガン●ムをある程度知っている人ならばわかりますが、印象に残る強烈なものなので、二人は笑います。
当然のことながら、作品タイトルと2つの台詞を発することが「朗読」に該当するかどうか、VTuber界隈からは意見が上がります。
それに対して、腐女子界隈では、元配信を視聴していないこともあり、事実とは異なる「朗読」という伝聞やそこからの憶測が拡散され、「炎上」が拡大していきます。
当初、BL同人誌の「朗読」は(二次創作物であっても)著作権問題だとして批判されていました。
しかし、実際には「朗読」ではなく、著作権上も問題ないことが切り抜きなどから確かめられ、法的な問題でないと明らかになります。
そうして腐女子界隈の一部でも「朗読」でない点を認める意見が現れるようになるのですが、それでも否定意見はやみません。
「朗読」ではないとしても、腐女子界隈の基準では問題があるということです。
以下では、腐女子界隈に特有の規範について触れていくのですが、その前に「朗読」という認識形成の過程を確認しましょう。
いったい、なぜ、「朗読」したとして「炎上」したのでしょうか。
作品タイトルは部分的に伏せられていたとはいえ、配信内容から作品が特定され、エゴサを経た作者さんがTwitterにて言及することになります。
ツイートの内容は、「私の本朗読してスパチャ貰われてる」という報告に、「ぶいちゅばって何でこんなに人気なの……??」とVTuber自体への批判を含んだものでした。
「朗読」という単語は、おそらくエゴサから引用したのでしょう。作者さんも「~っぽい」と表現を用いていたので、元配信を確認したわけではなかったようです。
しかし結果的に、この投稿は、腐女子界隈とVTuber界隈で急速に拡散され、腐女子界隈では次々と「朗読」が話題になり議論が紛糾する一方で、VTuber界隈では「朗読」は拡大解釈だという意見が上がります。また、「何でこんなに人気なの……??」という表現から、VTuberそのものを貶められたという認識が広がります。
いずれの界隈にも感情的な意見を書き込む層はいるもので、決して一部とは言いがたい数の人々のあいだで、誹謗中傷の投げ合いにまで発展します。
作者さんは、まとめサイトへの対策などからTwitterアカウントに鍵をかけ、これが双方にさらなる邪推を生んだりもします。
作者さんのbioを見ると「早急に事態が収束するよう祈ります」「訴訟しません」「キレてません」と記載されているのですが、争いは作者さんを置き去りにしてエスカレートしていきます。
それから「朗読」という言葉は腐女子界隈の広範で用いられ、「min_retweets:500 朗読」とTwitter検索すると確かめられるように、「朗読」についていくつもの投稿が拡散されていきます。
伝聞が伝聞を呼び、人々の感情を逆なでし、「朗読」配信という憶測ばかりが、噂の伝言ゲームのように一人歩きしていったのです。
それに対して、VTuber界隈では「朗読」というデマを拡散されているとして一次情報(元配信)の確認を求めます。ですがこの時点ですでに元配信は削除されていたので、一部の人々は切り抜き動画を視聴することになります(Twitter上でも切り抜きが投稿され、拡散されました)。
しかし切り抜き動画もまた文脈が省略されているために、あらぬ誤解を生み出すことになりました。
切り抜きを観ると、「朗読」の誤解は解けます。しかし「BL同人誌が晒されて嘲笑された」ように受け取れることから、そのような認識が腐女子界隈に広がっていきます。
実際には、先述したように、VTuber二名は作品を嘲笑したわけではありませんでした。
このように、「朗読」による「炎上」は、もともと「朗読」だとして著作権的な問題とされていたのが、作者さんを置き去りにして、「晒されて嘲笑された」問題にすり替わっていきます。
そうして、「朗読ではないとしても、読み上げたことが問題」「逆カプ表記をしたのが許せない」「影から引きずり出して明るみに出したのが許せない」という主張がなされるのです。
「朗読ではないとしても、読み上げたことが問題」とは言いますが、VTuber界隈をはじめとして、腐女子界隈以外では、作品タイトルや一部の台詞を読み上げたところで批判の対象にはならない傾向があります。
例えば、Twitter上で自分の入手した同人誌の写真を、「戦利品ゲット!」という気分で投稿したとしても、問題視されることはありません。
しかし、腐女子界隈では、これは大問題です。にわかには理解しがたいかもしれませんが、作品を公の場に明るみにするのは事実上の禁忌とされる傾向があるのです。
同人誌の写真のみならず、作品タイトルも、作品内容も、直接的な言及は控えられています。
ですから、配信内などでBL同人誌を取り上げるのは、以ての外ということになるのです。
こうした傾向は、女性オタク文化のなかでも特に腐女子界隈に顕著で、百合作品や異性愛作品の界隈ではあまり見られません。
腐女子界隈はさまざまな事情から村社会化しているがゆえに、ほかにも数多くの特殊な掟があります。「逆カプ表記」もそうした禁忌の一つです。
件の配信内でも、BL同人誌について、あまりBLに詳しくないみこさんが「逆カプ」だと勘違いし、マリンさんが訂正する場面があり、Twitterでは「朗読」と併せて「逆カプ表記」が批判されていました。
結局のところ、BL同人誌をサプライズプレゼントとしたみこさんとマリンさんは、このような腐女子界隈での規範に従っていないととらえられたがゆえに、作者さんを置き去りにして「炎上」につながったのでした。
ですが、そうは言っても、法的には問題のないことに対してまで、法律をさし置いて界隈独自の規範によって判断するのは、あまりに強権的ではないでしょうか。
他の界隈にまで独自の規範を遵守させようとする姿勢は、自国の法を他国内部にまで適用させようとするも同然の姿勢ではないでしょうか。
百合界隈であれ、異性愛作品の界隈であれ、またVTuber界隈であれ、配信内で同じ出来事があったとしても、批判は集中しなかったでしょう。また、BL同人誌でも、海外の界隈であれば同じく批判されることはなかったでしょう(海外の界隈では「逆カプ表記」が許されているなど、界隈としての特殊性はあまり見られません)。
以上より、本件は、腐女子界隈の特殊な規範の存在を前提に成立した「炎上」として理解できます。
VTuber界隈の文化的感覚でBL同人誌を取り上げたことこそが問題として「炎上」につながったのです。
この出来事は、VTuber界隈と腐女子界隈の文化性の相違による、ディスコミュニケーションだったと言えそうです。
(ところで、本筋から離れるので深入りはしませんが、「逆カプ」がだめということになっているのは、そもそもBL文化が男性表象を用いた異性愛の表現だからです。BLは、男性同性愛者の作り手が極端に希少であることからも明らかなように、実際には男性表象を用いて異性愛を語り直す表現なのです。受け攻めは女性と男性に対応し、だからこそ受けの発言も行為も表情も女性的に描かれているのです。
ですからこの場合、受け攻めの反転である「逆カプ」は、男女の反転同然であり、そのような意味合いにおいて「地雷」だとして非難されるのです。
しかし、いくら「地雷」だとしても現在のBL自体、異性愛のジェンダーロールを同性愛に持ち込む点で、「強制的異性愛」一歩手前でLGBTQ的にグレーな行為ですし、また感情を基準に禁忌を定義することは感情で法を定めるような危うさを含んでいます。あらかじめ論理性を劣位に退け、情動性を優位に配するのですから。
「逆カプ」について、「地雷」だからと言及を禁忌とする規範は、盲目的に「好き」だけを肯定し「嫌い」を徹底して排斥する、同一性の称揚かつ多様性の全否定である点も見逃せません。
この点については、腐女子界隈の内部からの批判もあるのですが、全体として賛成多数となっており画一的で抑圧的な趨勢は変わっておりません)
VTuberのさくらみこさんと宝鐘マリンさんが配信内でBL同人誌を「朗読」したとして「炎上」したこの一件は、そもそも「朗読」という伝聞が拡散され、感情的な憶測を次々に引き起こしたという、事実に基づかない「炎上」でした。
事実に基づいた批判であれば、VTuber界隈からの反発もこれほどまでに大きくならず、腐女子界隈とVTuber界隈による衝突の様相を呈することもなかったでしょう。
「min_retweets:500 朗読」などでTwitter検索すると、一次情報を知らずに噂に便乗した投稿が何件も拡散されています。事実確認もせず、濡れ衣を着せることも躊躇わず、伝聞をもとに憶測から感情を爆発させられればそれで納得できてしまうのだろう――との印象を、VTuber界隈に広げることになっています。
さらに、切り抜きなどを経て「朗読」という誤解が解かれたかと思いきや、被害者意識の先行か、「晒されて嘲笑された」と悪意的に読解し、またも事実とは異なる憶測で「炎上」を加速させていきます。
そのうえ、作品への言及自体が腐女子界隈独自の規範に反しているとして、非難するようになります。
しかし、界隈のルールを、界隈の外側にまで求めるのは、自国の法を他国にまで適用しようとするも同然の行為で、あまりに強権的です。他の界隈ではありえません。
それに、無知からとった行動が、たまたま界隈の規範に反するものだったとしても、悪意的にばかりとらえるべきではないでしょう。
この件でVTuber本人は、BL同人誌をプレゼントとして用意し、サプライズのために冷蔵庫に入れ、そうした渡し方や作品タイトルや台詞の奇抜さによって笑いを引き起こしたのでした。
そこに悪意は見られませんでした。
しかし、にもかかわらずTwitterを中心に、「朗読」という伝聞から悪意的に解釈され、事実とは異なる感情的な憶測が拡散され、切り抜きからも悪意的に誤読され、誹謗中傷を投げられるという被害を、VTuber本人が強いられることになったのです。
このような構図では、Googleアナリティクスの仕様から台湾に言及しただけでVTuber本人が大陸のネットユーザーから攻撃を受けた、昨年9月の一件と重ねてしまいます(詳細は、「ホロライブ 台湾」などで検索してみてください)。
前々から気になっていたことですが、腐女子界隈は、この件に限らず、伝聞や憶測で悪意的に解釈するのではなく、事実に基づいて慎重に意見することが必要です。
https://toyokeizai.net/articles/-/414929?display=b
まず、私は自分が大別すれば「左翼」かつ「リベラル」の立場にあることを自覚している。左翼の定義やリベラルの定義の困難さ、特に現在の日本で「リベラル」が「左翼」の言い換えのように使われて混乱が生じていることは十分承知しているが、そのあたりに触れるといくら前置きをしても足りなくなるので、要するにここを見るような人間たちがイメージする「左翼」であり「リベラル」であると考えてもらえばいい。ただし、左翼かつリベラル、というように私はこの両者は区別している。区別した上でどちらでもあるということだ。参考までに、最近やってみた下記サイトのポリティカルコンパスでは、
https://www.idrlabs.com/jp/political-coordinates/test.php
という結果だった。これを見てもわかるように「左派」と「自由主義」(リベラル)は別軸である。混同している人は気をつけてほしい。
そういう一人の人間として、件のイシグロ氏の発言への感想や疑問を書いてみる。
まず、社会制度の大枠を議論したり決定したりする際に、感情より科学的なデータやエビデンスが重視されるべきだというイシグロ氏の意見には私も異論がない。陰謀論やフェイクニュース、似非科学や歴史改竄に代表されるような事実軽視は、それが誰によるものであれ批判したいと思う。私は左派だが、左派の中にこの種の問題がないとも言わない。
たとえば近年では、日本共産党などがHPVワクチン副反応被害者の立場に寄り添うあまり、反ワクチン的な言説を許してしまっている(自分で言わないとしても、運動内部のそういう言説をはっきり否定しない)ことを歯がゆく思っている。誤解している人もいるようだが、日本共産党は本来はワクチンに否定的ではない。HPVワクチンについても、むしろ導入を行政に要求したりしてきた。しかし副反応被害を訴える声が上がり、裁判になってその原告を支援する立場となると、原告側の科学的根拠が弱い言説に対しても必要以上に寛容になっているように見える。それが被害を訴える原告の「感情」を優先したためなのか、あるいは裁判や運動を進める上での利害を計算したためなのかはわからない。そのあたりは人によっても違うだろう。しかし現在出ている科学的検証の結果が原告側に有利ではない以上、主張はデータを軽視しつつ苦痛の強調など感情に訴えるものになりやすい。イシグロ氏が言う「科学的エビデンスより感情が優先される」問題として私が連想したのはこのような例だ。
この件で一応私の意見を言っておくと、副反応を訴える人にはなるべく広く補償を適用しつつ、HPVワクチン自体は普及を進めるべきだと思っている。副反応裁判の原告団体については、補償の範囲を広げる運動としては支持するが、同時にHPVワクチンの勧奨再開に反対したり、さらには反ワクチン的な主張をする人物が混じっているのが支持できない。また便宜的に日本共産党の名前を出したが、私は共産党員ではなく関係も薄い。共産党に限らずHPVワクチン訴訟原告を支援する左派系政党や団体に共通する問題として挙げた。
しかし多くの部分で、私はイシグロ氏の発言に同意できず疑問を感じる。そもそも現状認識が私とは大きく違うように思うからだ。たとえば次のような部分だ。
"小説であれ、大衆向けのエンタメであれ、もっとオープンになってリベラルや進歩的な考えを持つ人たち以外の声も取り上げていかなければいけないと思います。リベラル側の人たちはこれまでも本や芸術などを通じて主張を行ってきましたが、そうでない人たちが同じようにすることは、多くの人にとって不快なものかもしれません。
しかし、私たちにはリベラル以外の人たちがどんな感情や考え、世界観を持っているのかを反映する芸術も必要です。つまり多様性ということです。これは、さまざまな民族的バックグラウンドを持つ人がそれぞれの経験を語るという意味の多様性ではなく、例えばトランプ支持者やブレグジットを選んだ人の世界を誠実に、そして正確に語るといった多様性です。
リベラル側の人が理解しないといけないのは、ストーリーを語ることはリベラル側の専売特許ではなく、誰もが語る権利があり、私たちはお互いに耳を傾けなければいけないということです。"
ここは私には非常に疑問が湧くところだ。何よりわからないのは、いったいいつどこの世界で「ストーリーを語ることはリベラル側の専売特許」になったのかということだ。
イシグロ氏が住むイギリスのどこかにはそういう特殊な場所もあるのだろうか。まあおそらく、イシグロ氏が属するコミュニティの大半が教養ある「リベラル」で、そこでは「トランプ支持者やブレグジットを選んだ人」はほとんど目につかず、その声が抑圧され死に瀕しているかのように錯覚してしまったのだろう。しかしイシグロ氏自身が言っているように、アメリカでは半数近くの人が一時的にであれトランプを支持し、イギリスではブレグジット派が不正ではない投票で多数を占めてしまったのだ。「リベラルや進歩的な考えを持つ人たち以外の声」は十分に力を持ち、各国の舵取りに影響を与えている。
語ることがリベラルの専売特許に見える世界とは、イシグロ氏を取り巻く知的で文学芸術を愛する少数のインテリの世界のことでしかないだろう。イシグロ氏もそれを自覚はしているようで、だからこそ「縦の旅行」というようなことを言う。しかしその狭いインテリ業界での経験を一般化し、世界全体がそうなっているかのように語ることこそがまさにインテリの傲慢であり、相変わらずその狭さに無自覚な発言だとは気づいているのだろうか。
イシグロ氏と違い、私は左翼でありリベラルである自分のような立場が日本社会で主流になり、語る権利を独占しているなどと錯覚できたことは一瞬たりともない。たしかに近い考えを持つ人の集まる場所というものはある。しかしそういう場に足を運びながら、その場を一歩踏み出せば「世間」は全く違うのだと常に意識している。「縦の旅行」などするまでもなく、日本社会で「普通に」暮らせば、全くリベラルでない人、左翼を蛇蝎の如く嫌っている人、そもそもそういう言葉も、そういう違いがあることも知らない人などに電柱並みの頻度で出会うのである。
たとえば私は天皇制は廃止すべきだと考えているが、世論調査では天皇制に反対する人はずっと一割を切っている。周囲の人間をランダムに選べば十人中九人以上はこの点で私と考えが違うわけである。まあ日常生活でいきなり天皇制の話をする機会は少ないが、先日の代替わりだの改元だのの騒ぎの時には、自分が少数派であることをあらためて意識させられた。特に天皇の問題については、過去に右翼の襲撃のような直接的暴力による脅迫があり、言論の自由が大きく損なわれたことを知っておくべきだろう。「じゃあこっちはどうなんだ」をあまり振り回したくはないが、ポリティカルコレクトネスなどによる言論の不自由を懸念するのであれば、日本社会にはびこる天皇をめぐる言論の不自由にも一通りの知識と関心は持ってほしいと思う。
「自由民主主義」の社会を享受してきたと語るイシグロ氏は、部屋で文章を書くだけでなく、デモに参加し、街頭で語ったりビラを撒いたりしたことがあるのだろうか。それは自由民主主義を維持するための不可欠な活動の一つなのだが。やってみるとわかるが、街頭では温かく応援してくれる人だけでなく、口汚く罵ってくる人にも出会う。私の知人の中には、突然殴りかかられてけがをした人さえいた。手渡したビラを一目見るなり舌打ちして破り捨てる人もいる。私たちはその断片を拾う。それでも受け取ってくれるだけましとも言え、多くの人は避けるように通り過ぎていく。「自分とは違う世界がある」どころか、周囲の人の大半は自分とは違う考えだが、それでも少数者として声を上げていくことは無意味ではないはずだ、と私は自由民主主義社会で日々自分に言い聞かせている。
日本で左翼をやっていると、自分が投票した候補者が当選することも少ない。民族的、性的、その他さまざまなマイノリティの権利擁護運動に関わっていると、そもそも多数決に任せれば無視されるのが当然、そういう世界でいかに存在を認識させ、主張を届けるかというのがあらゆる活動の第一歩になる。言うまでもない前提だ。
上記のイシグロ氏の発言で何度読んでもわからないのは、「多様性」についてわざわざ「さまざまな民族的バックグラウンドを持つ人がそれぞれの経験を語るという意味の多様性ではなく」と言っていることだ。これは何なのだろう。イシグロ氏はここで、「さまざまな民族的バックグラウンドを持つ人」と「トランプ支持者やブレグジットを選んだ人」をあえて対立させ、前者より後者の多様性が重要であるように言う。前者の多様性と同時に、それに加えて後者の多様性も、というならまだわかる。しかし、少なくとも多数決投票で勝利したことのあるような「トランプ支持者やブレグジットを選んだ人」の声を「さまざまな民族的バックグラウンドを持つ人」の声より優先して聞こうというような提案が現状の「多様性」をどれだけ高めるというのだろうか。
また、「トランプ支持者やブレグジットを選んだ人の世界を誠実に、そして正確に語る」という記述を読んで私が疑問に感じるのは、これはいったい誰が、どの立場から語るのだろうか、ということだ。翻訳の問題などもあるのかもしれないが、これを読むと、その人々の世界を外の人間が「誠実に」語ることのように読める。たとえばイシグロ氏のような作家がブレグジット支持者の内面世界を誠実に想像して描くというようなことなのだろうか。
しかしそれは、その傍で言われている「誰もが語る権利」と矛盾する。「語る権利」と言う時、マイノリティの運動の中などでは特に、当事者が自ら語ることを重視する。当事者の心中を非当事者が想像して代弁することは推奨されず、場合によっては本人の言葉を奪う行為として非難される。トランプ支持者やブレグジット支持者にしても、たとえばイシグロ氏のようにもともと思想的立場の違う作家がいかにも理解ありげに、「あなたはこんなふうに思っているのでしょう」とばかりにその思いを代弁したら多くは反発するのではないか。だから原則としては、その声に耳を傾けたいなら、非リベラルと言われる人々に語る場を保障し、自ら直接語ってもらうのが正しい。
その上でイシグロ氏は、そうして語る場を提供して耳を傾けた時に飛び出してくる言葉が、「○○○人はゴキブリ、この国から出ていけ」や「同性愛者は天罰を受けて死ね」だったり、静かな口調で確信に満ちて語られる「あなたがたは皆ディープステートに洗脳されているのです、ぜひこの資料を見てください」だったりした時にどういう反応をすべきか、どこまで現実感をもって考えているのだろう。この発言が単なる綺麗事に見え、それゆえ面白くないのはこのあたりの現実に何も触れていないからだ。
イシグロ氏は「誰もが語る権利があり、私たちはお互いに耳を傾けなければいけない」と言うが、これは理想論、原則としては全くその通りである。しかし現在問題になっているのは、その「誰もが語る権利」を尊重した結果次々と湧き出してくる陰謀論やヘイトスピーチへの対処を現実的にどうするかということなのではないか。先日話題になったツイッター社のトランプアカウント凍結なども、この原則と現実の間で行われた苦渋の選択だった。こういうリベラルの原則と現実とのジレンマは、「寛容は不寛容に対して寛容になるべきか」といった形で長く議論されてきたテーマでもある。それで言えば、トランプ陰謀論支持者に向き合いつつ、あえて寛容の原則に立とうと語る下の記事の方に私は感銘を受けた。
"「トランプの陰謀論」が今なお5000万人を魅了するワケ。『白人ナショナリズム』著者、渡辺靖に訊く"
https://finders.me/articles.php?id=2529
私はリベラルだが、この問題についてはここまではっきりと「寛容」に立つとは言い切れない。ヘイトスピーチ規制にも慎重派でありつつ、現実的にやむを得ないとも思っている。各国の法規制の方針を見ても、それぞれの背景に基づく大きな違いがある。現時点で何が妥当か判断しにくい難しい問題なのだ。「私たちはお互いに耳を傾けなければいけない」と書斎で言い放つだけでいいならそんなに楽なことはない。
また、いくつかのブコメが触れていたが、たとえばトランプ支持者が陰謀論を信じるのはそもそもイシグロ氏が言うような「感情優先」のせいなのかというのも疑わしい。選挙の敗北を認めたくないという感情が陰謀論を信じさせているのだ、というのはあくまでも外からの解釈で、本当に信じている人にとっては陰謀論は「事実」そのものだ。実際、陰謀論を広めている人はしばしば「まずは事実を知ってください」と言う。誤情報にさらされ、修正機会がないまま信じ込んでしまうという現象は特に感情がからまなくも起きる。平凡な思想を感情的に主張する人もいれば、陰謀論を冷静に信じる人もいるのだ。トランプ支持のような現象を「感情優先」として批判するのは、陰謀論やフェイクニュースのような誤情報の浸透をどう制御していくかという問題に対してあまり有効でないように思う。
ちなみに、トランプ支持者やブレグジット支持者に向き合ってその声を聞こうとした研究や取材はすでに数多く行われていて、下の記事のように日本の記者によるものさえある。
"トランプ支持者はなぜ熱狂的に支持しているの? とにかく彼らに会い続けた記者が、これからも語り合う理由"
https://www.nhk.or.jp/d-navi/note/article/20210208.html
イシグロ氏が自宅でなぜリベラルは非リベラルの声を聞かないのかとぼんやり嘆いている間にも、実際にトランプ支持者の家を訪ねて話を聞こうとしているリベラル寄りの人間は山ほどいるのだ。イシグロ氏は「リベラルが」ではなく「自分が」ご近所の非リベラルの声さえ聞いてこなかった、と言うべきだろう。主語を大きくしすぎてはいけない。
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某SNSのちっさいコミュニティにいた時のこと、ふとしたメンバーの思いつきでオフ会を開催することになった。
コミュニティの内容は断定を避けるために伏せるが、「ポケGO」とか「初心者バンド」とかそれくらいの「有り体」具合を想像すると良い。
顔出しアイコンの人が一人もいなく、平均年齢も30代くらいの比較的大人しめなコミュニティで、オフ会もママさんが来て手作りのお菓子を振る舞ってくれたりした。
まあまあ楽しかった。みんなもそう思っていたからか、メンバーの中のいろんな人がオフ会を主催するようになり、参加できる人はポツポツと4,5人で集まるようになった。
ある日のこと、コミュニティの掲示板で自分がADHDだと打ち明けた人がいた。(以降、Aさんとする。)
先述の通り、比較的大人しくて平均年齢も高いコミュニティだったのでそれで過剰に反応することはなかった。
言われてみればまあちょっとズレた発言をするような気はしていたが、別に気にするほどでもなかったし、Mさんの投稿に乗っかってADHDを打ち明けた人(以下、Bさんとする)もいたが、その人ともそつなくやれていた。
今のなってはこの反応が良くなかったのかもしれない。Aさんのズレた発言や行動が徐々に目立ち始めた。
例えばサバゲーの話で盛り上がったとしたら、Aさんはミリオタばりの武器の知識や戦争の詳しい話を延々と繰り広げてしまう。
Aさんは博識だった。だけど我々はライトな話題で盛り上がっていたいのだ。
かと思えば「あー、明日死ぬなら今日何したい?」などと突拍子もなければ答えに困るような話をぶっこんでくる。
まあそれでも、なんとかやり過ごせる範疇だった。
このオフ会を何度か開催していくにつれ、Aさんにとってこのコミュニティは「自分が居ていい」場所から「自分が居なくてはならない」という勝手な使命感に変わっていったように思う。毎回のオフ会の写真を撮っては掲示板に貼っていたから、Aさんはオフ会皆勤賞だったのだと思う。
ただAさんの「エアークラッシャー」ぶりを良く思わない人も出てくる訳で、最初のうちは参加していたけど参加しなくなった人や、
1回のみの参加でそれっきりの人が増えてきた。
ある日、一人のメンバー(以下、Cさんとする)がオフ会を主催した時のこと、いつも通りAさんが参加表明をした。
自分もその日は空いていたので参加することにした。あとは2,3人が参加表明していた気がする。
しかし、数日後に主催のCさんが「すいません!やっぱりバイトが入りました...」と中止の連絡をしたのだ。
別にそれ自体は気にすることはなかった。20代でバンド活動とかをやりながらフリーターをやってる人も何人かいて、シフトが入っちゃうみたいなことはよくあった。
じゃ、予定が無きゃ無いで別に、と思っていた矢先、Aさんから「その幹事、引き受けますよ!(=予定通り開催しましょう)」というメッセージが。
自分含め「暇なんで参加します」と返答していた手前で引くにも引けず、Aさん幹事のオフ会が強行開催された。
Aさんに「中止になりかけたオフ会を存続させた自分えらい!やっぱり自分はここにいるべきなんだ!」と思わせてしまったのだろう。
自己肯定感爆上がりでオタトーク炸裂状態。会場はお通夜状態なんだが気づかないんだコレが。
参加者の中でも若い女の子(以下、Dさんとする)がいて、Dさんは初対面の人がいたので「初めまして〜」などと話していた。
そこへも割って入るAさん。「DちゃんはXXっていう会社で働いている子でね、XXってサイトの記事にもインタビューが掲載されているんだよ!XXっていうサービス知ってる?それの開発に関わっていてね」と言いかけたところでDさんが
と遮った。後から聞けば働いている会社こそ合っているものの、開発に携わっているサービスが違うのだという。しかも幾度とその誤情報をAさんが言いふらして回っているからその度に訂正しなければならなくて困っていたとのこと。
Dさんは比較的穏やかな人だったが、この時ばかりは怒っていた。
「ごめん。僕がADHDだから無神経に気に障ることを言った?」
Aさんのこの言い方がまた逆撫でするような言い方だった。謝罪のつもりが、自分がADHDであることを言い訳にしている上に、
発言のどこに問題があるのかすら分かっていないという意思表明に過ぎなかった。
そう、Aさんはよく会話の中で「ADHD」を連発した。「俺がADHDだからかな〜」というように、自虐で使ったり言い訳にしたり。
一方、Bさんは初めてカミングアウトして以降、一切口にしなかったあたり、AさんがADHDを言い訳にする様子は対照的だった。
Dさんが怒ったオフ会以降、掲示板でオフ会の開催をする人はなくなった。
当時も既にTwitterやFacebookが普及していたから、コミュニティでこそ知り合うものの、それ以降のやり取りはTwitterで事足りた。だから初期のオフ会で知り合ったメンバーで今でも繋がっていて、時折会ったりしている。Bさんとも会っている。
あのコミュニティはAさんに話を合わせるためのボランティアだった訳じゃないし、プライベートでわざわざ我慢することもないからこそ言うけど、障害者だから優しくされるべき理由にもならないし、誰かに嫌な思いをさせても許される理由にはならないよねーっていう。
基準は以下の通り。
名称 | ペダル無の重さ(kg) | ペダル有の重さ(kg) | 最小シート高(cm) | 最大シート高(cm) | 体重制限(kg) | ペダルの付け外しにかかる時間(秒) | 税込の値段(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
STRIDER 14x | 5.5 | 6.5 | 38 | 55 | 36 | 180 | 24500 |
peapleケッターサイクル | 7.5 | 9.1 | 34 | 53 | 25 | 300 | 23000 |
D-Bike MASTER 12 EZB | 7.3 | 33 | 49 | 20 | 5 | 16000 | |
D-Bike MASTER+ 16 | 10 | 45 | 55 | 5 | 22800 | ||
へんしんバイク | 6 | 8.2 | 37.5 | 46.5 | 30 | 3600 | 15700 |
へんしんバイクX14 | 6.3 | 8 | 41 | 50 | 35 | 22000 | |
へんしんバイク2 | 4.5 | 6.6 | 33 | 43 | 30 | 20000 | |
ケルコグバイク | 4.6 | 5.8 | 43 | 55 | 30 | 180 | 20370 |
rennrad12 | 8.54 | 35 | 1800 | 31000 |
(ペダルの付け外しをお店に頼む必要があるものは1時間=3600秒とした。)
(誤情報あったらごめんなさい。)
気に入ってたくさん乗ってくれるといいな。
近頃youtubeなどでゲーム実況の配信を見ていると、一部の視聴者がコメント欄に間違った情報を書き込み、それに対して別の視聴者が「エアプは黙れ」「エアプ湧きすぎ」などと反応してバトルになっている光景をよく目にする。
「エアプ」とは「エアプレイ/エアプレイヤー」の略で、まあ英語としては意味不明な和製英語だが、ざっくり言って「その場で話題となっているゲームを自分ではプレイしていないのに、あたかもプレイ済みであるかのように訳知り顔で振る舞う奴」というような意味である。
実際のところ、このようなコメントを書き込んでいる人間の中には、原義の通り実況対象のゲームをプレイしていないのに偉そうにコメントしている「エアプ」や、あるいはコメントで配信者を混乱させて楽しんでいるような愉快犯も少なからず存在していると思うが、
しかし、一時期ゲーム開発・運営に関わった経験から言って、おそらく大半は「プレイ済みでありながらシステムを正しく理解できない・していないプレイヤー」によるコメントだと確信している。
熱心なゲーマーには想像もできないことかも知れないが、以下に書いていくように、ゲームシステムの理解には実に様々なハードルがあって、それぞれの段階に実にたくさんのプレイヤーが存在しているのだ。
まず、根本的にゲームシステムを理解することが難しいプレイヤーというのが一定の割合で存在している。これは、開発側のプレイヤー統計の数値などを出さなくても確認できる実例がある。
Steamなどの実績システムで、細かめに実績が設定されているゲームを適当に選び、グローバル実績解除率を確認してみてほしい。
作品のジャンルや難易度、長さによって傾向差はあるものの、多くのゲームで最序盤のうちに2~4割のプレイヤーがドロップアウトする解除率の「壁」のようなものがあることがわかるはずだ。
この内には、「遊んではみたが好みに合わなかったから辞めた」というようなプレイヤーも一定数存在するだろうが、やはり一定数は「システムが根本的に理解できず、先に進めなくて諦めた」プレイヤーなのだ。
また、サイドクエストやアイテム収集、カスタム要素などに関わる脇道的実績に関しては、「ストーリーを進めなくてもその要素を少しでも触ればすぐ取れる」というような実績でも解除率が低い傾向にある。
これも同じようなことで、そもそもそのシステム自体を認識していなかったり、認識した上でもシステムが理解できず、放置しているのだ。
そういうわけで、実績からはプレイヤーのゲームに対する理解能力の割合というものを窺い知ることができる。事実として、ゲームプレイヤーのうち何割かは「そんなもん」なのだ。
システム理解の最初のハードルを乗り越えてプレイを継続したプレイヤーであっても、ゲームの理解度には大きな開きがある。ゲームのアクティブユーザー数に対して、攻略wikiなどを利用してデータ面の情報収集をしながらプレイに臨んでいるプレイヤーの割合は、体感では7割ぐらい。
そしてその7割のうちでも、大半はわかりやすいFAQ系のページや、キャラなどの性能評価などをざっと洗っているだけのことが多い。システムの内部的な確率や計算式などパラメータ的な側面を詳細に解説しているページは、如実に閲覧数が低下しているのが見て取れる。
「内部計算式や理論を理解した上で、この部分が強いからこのキャラは強いのだと理解し説明できる」というようなレベルに届かず、「キャラのページに強いと書いてあるから強いらしい」レベルの理解で止まっているプレイヤーはかなり多い。
このようなざっくり理解にとどまっているプレイヤーや、そもそも攻略情報を見ていないプレイヤーは、知識の不足分をイメージや経験則や直感、時にオカルトなどによって補ってプレイしている。そしてその内容は残念ながらしばしば間違っているのだ。
そして、このハードルを乗り越えてゲームシステムの理解に努め、しっかり情報収集しているプレイヤーでさえ、そもそもその情報源となるwikiなどに書かれている情報が事実である保証がないという問題にぶち当たる。
内部的な処理の説明に関しては攻略サイト側が勘違いして記載しているパターンも多いし、確率などが絡む要素についてはさらにひどい。(このあたりの内部ロジックを過度に隠蔽するゲーム開発側にも罪はある)
そもそも匿名のwikiであれば悪意を持って誤情報を書き入れることも出来るだろうし、近頃は広告収入目当てなのか粗製乱造的なゲーム攻略サイトも目立つようになってきた。
このような理由で最初から誤情報が書かれているサイトを読んでしまう、というパターンもあるが、近年はアップデートなどでゲームのデータや判定計算などに随時調整が入ることが多いため、攻略サイトの側がキャッチアップ出来ず、過去の情報が残っていて結果的に嘘になってしまっているケースも多い。
また、個々のプレイヤーの側でも、そうした調整が行われたこと自体を把握しておらず、過去の時点での情報理解で止まっていたせいで、結果的に嘘を言ってしまう……という事例も少なくないだろう。
そういうわけで、自分のシステム理解が間違っているかもしれないとか、攻略上どの選択が一番有利だとか、確率論的にどの選択が一番丸いとか、システム上の最高効率を考えた場合の立ち回りとか、最新のメタゲーム動向とアップデート情報とか、そういうことをとことん突き詰めて「最新かつ正確な情報を抑えてアドバイスできるプレイヤー」というのは、上記のような大量のハードルを全て飛び越えた一握りのスーパーエリート層であり、逆に言えばそうでないプレイヤーはどこかで間違った認識を持ってしまっている可能性がある。
そして、その上で、多くのプレイヤーは各々の段階において「それでよし」としてゲームを遊んでいる。ここまで割と否定的なニュアンスで書いてしまったが、ゲームは娯楽なんだから各々のスタンスでやればいいし、たとえシステム理解が間違っていようとなんだろうと、本人がゲームを楽しめているならそれが一番なのだ。
しかし、ゲーム実況のコメント欄という空間においては、こうした様々な理解段階のプレイヤーが同じ視聴者として接触してしまう。
そして、各々の視聴者は自分のプレイ経験の範囲で事実を言っているだけなのに、ごく一部のスーパーエリートを除けば上記のハードルのどこかで引っかかってしまい、「エアプ」として責められてしまうことになる。
「誰もがエアプ扱いされる可能性があるから優しくなろう」とか、逆に「スーパーエリートを崇めてそれ以下のプレイヤーは黙るべきだ」とかそういうことを言うつもりはないし、そもそもこの問題を解決できるとは思っていない。
ただ、従来このようなプレイヤー同士は、それぞれ分かたれたコミュニティの中で活動している傾向が強かった。そうした垣根がなくなり、いち視聴者として一つのゲームを楽しむ実況配信という環境において、対立が強く表面化しているのはとても悲しいことだと思っている。
いきなり大上段に話をブッタが、この度の新型コロナウィルスにおいて国内でも様々な怪文書やら誤報、事実の誤認に基づく誤情報が飛び交った。
他愛のないものや無知から出るもの、社会生活を送れているか怪しい日本語能力の欠如カラクルものまで様々だったが、その中でもある程度発信者の属性を推測しやすいツイッターにおいて、特定のクラスターから「誤った情報や解釈に基づく政権擁護や反マスコミ的言説」がこの数か月間目立って発信されている。
最近見つけた誤情報を例に挙げるが@TechnoTreasure氏はツイッターにおいて
あの、マスクは結局8000枚近く回収して実際にカビてたのはたった12枚だった話も多分碌に報道されてないよね。
0.00001%
早い話、カビたのは捨てて多めに作った新品に変えるだけでよかったのに、クソみたいな報道するから8億飛んだ。
https://twitter.com/TechnoTreasure/status/1270324735251902466
という主張を発信した。
しかしながらこの主張は持ち出す数値がおかしい上に主客が転倒している。いかに列挙するが、
ひとまず近い数字である4/21付の朝日新聞の報道の7800枚超の数字の事だとすると
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために政府が妊婦向けに配布している布マスクに汚れや異物混入などがあった問題で、不良品はさらに増え、7800枚にのぼることが厚生労働省への報告でわかった。
とあるように、この数字は妊婦向けマスクで判明した初期の不良品の数であり、全戸配布の不良品の数ではない。その上妊婦向けマスクの不良品回収数は7800枚にとどまらず、概算で4万7千枚程度の回収が発生したのを受けて全配布数47~50万枚の回収に及んだというのが事実である。(報道機関によって配布数に差)
厚労省によると、27日昼時点で約400の市町村から3万枚が国に送り返されたという。髪の毛の混入や汚れなどがあったものや、黄ばみがあるなどとして箱ごと返送されているものもあり、厚労省はすべてが不良品かどうか確認している。妊婦用の布マスクは14日に50万枚が国から市町村に発送された後に不良品が見つかり、政府は妊婦用の配布を中断している。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた妊婦向けの布マスクは、国から全国の自治体に47万枚が送られましたが、そのおよそ1割で汚れなどの不良品が見つかり、国がいったんすべてを回収し、検品を行っています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012430001000.html
氏はあたかも「回収した布マスクでカビが発生してたのを12枚見つけた」というように主張しているが、これは全戸向けの検品と妊婦向けの検品の時系列を混同しており、理解に苦しむ。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。失礼いたしました。
全戸向けマスクにつきましては、これまで配布いたしましたマスクの中で、それぞれ配布先から指摘をいただいて返送があったマスク、そして、それを私どもの方で検品をさせていただいて、先ほど申し上げましたように、異物の混入があるなど不良品と認めたもの、五月十二日時点で十二枚というふうに私ども把握をしてございます。
○福島みずほ君 十二枚ということですと、十二枚なんですね。どうして妊婦用マスクは、同じ企業がかなりダブっていますが、大量にあって、こちらはないんですか。
二つ考えられるかと思います。
一つは、全戸配布マスクにつきましては、ここを今配布をさせていただいているところでございますので、妊婦用マスクのときの経験から申し上げますと、配布をしてある程度時間がたってからこれはどうだろうかという御指摘をいただいて私どもの方にお話をいただく、また、それに基づいて私どもの方から返送をお願いして、返送をさせていただいて確認をするというところで若干のタイムラグが出ますので、先ほど申し上げました十二枚というのは五月十二日時点で私ども不良品として認められるものということでございますが、今後、御照会をいただいたり、あるいは物を送っていただいて私どもが確認すれば、この数字はこれから十二よりも増えることは予想されるということが一点でございます。
(引用注:ページ内下段に該当箇所)
厚労省は18日、妊婦向けの布マスクに関して「変色している」「髪の毛が混入していた」「異臭がする」などの報告が相次ぎ、80市町村で1901件の報告があったと発表。大阪府内の自治体では、ガーゼの黄ばみや変色、ゴミの混入も確認。発表を受け、ツイッター上では「健康被害はないのか」「安心して使えない」などの不安の声が広がった。
しかし、政府の対策班に配られた内部文書によると、18日時点で妊婦向け以外の全戸配布用に包装を始めた200万枚のうちでも、虫や髪の毛、糸くずの混入、カビの付着など200件の異物混入などの問題事例を確認。これについては公表しなかった。マスク配布を担当する厚労省経済課は、妊婦向け以外の不良品を非公表とした理由について「回答できない」とし、全戸向けのマスク配布については「現時点で中止は検討していない」としている。
上に述べたように時系列がおかしいので氏の確立に関する主張は失当だが、もし氏が主張する時系列に合わせると単純計算で8000枚の内12枚カビ、【12/8000=0.15%】で20万枚ほどカビマスクが13000万枚の中に隠れていることになる。
抜き取り検査のサンプル策定は素人だが、マスクの配布時期や趣旨からすると出荷側の不良品率や不良ロット数の許容感覚をそのまま当てはめるのは無理があるのではないだろうか。
まず、氏の主張に沿うと、4月ごろの報道が出る以前からあらかじめ「マスクには不良品がある可能性があり、不良品があった時には迅速に交換する」という広報を広く行っていなければならないがその兆しは全くなかった。
また【8億飛んだ】に関しても事実の誤認があり、不良品が続発した妊婦向けマスクの検品に要した費用は800万余であり、全戸向けマスクも含めた検品作業に要する金額が8億円である。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために政府が妊婦向けに発送した布マスクに不良品が見つかった問題で、厚生労働省は16日までに、約8億円かかるとしていた検品費用は全世帯向けの布マスクの検品も含んでおり、妊婦向けの検品自体は800万円未満だったと説明を修正した。
妊婦向けマスクの検品費用の低さは、当初地方自治体の保健所の責任においてマスクの検品作業を行っていた為と考えられるが、そもそもコロナ対策の実戦部隊として当たっていた地方の保健所に検品業務をすることに無理があり、国が引き受けなかったら地方各地の負担において同等の検品費用が発生していたことは想像に難くない。
また更に大量の不良品が初期納入分の妊婦向けマスクで発覚し、広く報道されたために納入業者が検品を強化し全戸向けマスクの不良品納入率の低下につながったのであり、報道がなければ膨大な不良マスクの返還と再送付に費用が発生していたことは容易に想像できる。この関係を無視して報道自体を悪者にするのは物事の主客が転倒しており理論が破たんしている。
さらには問題が発覚し業者の検品体制が強化された時点で、政権への批判を甘受して先述したような「不良マスクの迅速な再配布」の方針を取ることも可能だったはずだが、そうしなかったのは政府の選択であり、この点に関して報道機関の行動に原因を求めるのは筋違いである。
それと、二つ目につきましては、妊婦マスクとの関係で、これは、妊婦マスクについての不具合について今原因分析をしている過程でございますので、それがしっかり解明されてから申し上げるべきものかと思いますが、これまでの私どもの分析の中で把握をしているものにつきましてで申し上げますと、非常に限られた時間の中で製造工程管理をしている中、それぞれ製造工程管理について若干の甘さがあったのではないかということを私どもとしては現時点で想定をして分析をしているところでございます。
全戸向けマスクにつきましては、先ほど申しましたように、妊婦マスクのときの経緯も踏まえまして、検品の充実、あるいはメーカーに対する製造工程過程に対してのしっかりとした対応、メーカー自身としての検品についても取組を求めているところであり、その上での全戸配布マスクを行わせていただいているという状況でございます。
以上のように通常社会生活を送れている人間であれば、到底間違いようがない時系列を混同した上で上記の批判が成り立つような主張を氏は行ったが、なぜこんなことを氏は主張できたのか?
コレは推測だが、昨年から一昨年に掛けて各地で行われている多種多様の鉄オタによる迷惑/犯罪行為の行状がマスメディアによって広く報道されていたのが影響していたのではないだろうか?
むろん趣味として楽しんでいた人間からすればいい迷惑だったろうが、自浄能力のなさから異常者の跳梁に対してただ手をこまねいていたのは確かである。
それを棚にあげて「マスコミが大げさに一部の異常者を取り上げるから、自分たちの肩身が狭くなってしまった」と考え「自分たちを攻撃したマスコミに対していつか仕返ししてやろう」という(半ば無意識な)感情が鉄道アイコンクラスターの行動の根底にあったのではないか?
その感情によって視野狭窄を起こし、インターネット空間にせっせと「誤った政権擁護/反マスコミ的言説」を流している…と考えると『鉄道アイコン』から出て来る誤情報の多さも理屈が通るかもしれない。
それを許容できるかどうかは別として。
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