はてなキーワード: ゴールラインとは
9月9日の開幕戦から、20チームの激闘を見守り続けてきたウェブ・エリスカップ。
50日間の戦いの末に、今日、その所有者が決まる。
4年に1度のラグビーの祭典ワールドカップ、2023年フランス大会も、ついに決勝を迎えた。
47試合の末、ファイナルに駒を進めたのは、南半球、いや世界のラグビーの象徴・ニュージーランドと、ディフェンディングチャンピオン・南アフリカ。
開催国フランスの好調や、ランキング1位で乗り込んだアイルランド、フィジー・サモアなどのアイランダーチームやアルゼンチンの成長などで、勢力図の変化が噂される中で開幕した今大会だが、蓋を開けてみると、決勝はおなじみの最強同士の対戦となった。
ニュージーランドは開幕戦でフランス相手に1試合を落として以降は、圧倒的な得点力で対戦相手を沈黙させてプールステージを突破した上、準々決勝ではアイルランド相手に守備の硬さも見せつけて準決勝に進出。チーム初の優勝を狙うアルゼンチンに完勝して決勝まで勝ち上がってきた。
大会前までは仕上がりを不安視されていた黒衣の軍団だが、オールブラックスに関しては「史上最強」「完全な優勝候補」とみなされていたような大会の方が勝てないことが多く、今回のように「ぱっとしない」と言われる時の方が優勝を攫ったりする。
チームをみると、LOサム・ホワイトロックやSHアーロン・スミスなど、レジェンダリーなベテラン選手が活躍する一方、PRイーサン・デクラーク、ティレル・ロマックス、CTBリーコ・イオアネ、WTBマーク・テレア、ウィル・ジョーダンなど20代のプレーヤーも多く、ベテラン、中堅の経験値と、若手のエネルギーがバランス良くミックスされたチームになっている。
前大会で最強と呼ばれた世代の多くが引退した後、世代交代の最中で完成形が見えづらいままW杯に臨んだが、まさにこのW杯で成長したのかもしれない。
7週間にも及ぶ戦いの中で調子を上げ、持ち前の得点力だけではない守備の硬さ、意外とも言えるスクラムの強さも見せつけてきた。
HCのイアン・フォスターは大会後の勇退が決定しており、スーパーラグビーの常勝軍団クルセイダーズHCのスコット・ロバートソンにその場を引き継ぐことが決定している。
つなぎの世代と言わせず、このチームこそが最強のオールブラックスであることを証明できるだろうか。
対する南アフリカはというと、フィジカルバトルを得意とするチームが集まったプールBをアイルランド戦の1敗以外に圧倒的な強さを見せつけて決勝トーナメントに進出。
フランス戦、イングランド戦の2試合を連続の1点差で制して決勝に進出した。
優勝した前大会の時点で主力メンバーが若かったため、本大会でも優勝メンバーが残り、FWの安定感がチームを支えてきた南ア代表だが、なぜかこのチームに起こりがちな「完全な1本目のSOがいない」という問題に今回も悩まされ、重要な得点源のキックの精度などはイマイチとみなされていた。
そこに、負傷で代表メンバーから外れていたハンドレ・ポラードが、大会中に負傷したメンバーと交代して第4戦目から復帰。
ポラードはあまり華麗なパスを見せる司令塔ではなく、南アらしいキックとFW戦のタクトを振るのを得意としているが、この試合に望むリザーブのメンバーを見ても、南アがどういう試合にしたいのかが垣間見える。というかクッキリ見える。
SOはおろか、SHの替えすらなく、デクラークが負傷した際にはWTBチェスリン・コルビが務めるとアナウンスされるほど。
80分間、FWを惜しみなく使って身体を当て、キックで得点する気満々で、スプリングボクスらしい戦いでオールブラックスを迎え撃つ構えだ。
オールブラックスとスプリングボクスが戦えば、激しいフィジカルバトルに耐えてちょっとの差を掴み取るゲームになるしかない。
決勝のスタット・ド・フランスは雨。
身体をぶつけあうには絶好のコンディションだ。
どちらが「ちょっと」をモノにしてウェブエリスカップを掲げることができるのだろうか。
両国の国歌斉唱につづいて、オールブラックスが今大会最後のハカ、カパ・オ・パンゴを披露し、オールブラックス、ボーデン・バレットのキックオフで試合が始まった。
開始早々、大会を通して南アのスクラムを引っ張ってきたンボナンビが脚を痛めてグラウンドに倒れて負傷後退。
その直後の交錯でオールブラックスのシャノン・フリゼルがイエローカード。
自ボールをキープしてパスとランからゲインをねらうオールブラックスに対して、ディフェンスからキックを蹴らせ、受けたボールを蹴り上げて、キックで前進する南ア。
もとからお互いやりたいことをするとこうなるわけだが、南アがジリジリ前進できている。
フリゼルの反則で獲得したものにつづいて、オールブラックスを押し込んで序盤に2つ連続でペナルティを獲得した南ア。
ロースコアゲームで蹴り勝ちたい南アにしたら上首尾なゲームの入りだ。
オールブラックスがボールを回しながら前進してPGを返すが、南アはFW戦で圧力をかけてペナルティを狙い、PGを重ねて差を詰めさせない。
スコアで突き放されながらも、ゲームが進行するにつれボールをまわす攻撃で徐々に先進し始めたオールブラックスだが、雨の影響でボールが手元で滑り、掴みかけた攻撃のチャンスでボールを失っている。
そしてゲームの流れを大きく変える瞬間が訪れた。
28分にFLサム・ケインがハイ・タックルでレッドカードの退場。
前評判の低かったチームを獅子奮迅の活躍で牽引してきたキャプテンがまさかの決勝の舞台で一足先に試合を去ることになった。
荒れ模様前半はその後、双方がPGを重ね、南ア 12 - 6 NZ でゲームを折り返した。
試合としては前半の25分過ぎからオールブラックスがボールを保持した攻めで南アディフェンスを切り裂き始めており、圧倒されているわけではない。
しかし、ラインアウトの不首尾や、滑る手元、高く入ってしまうタックルなどで得点のチャンスを失うオールブラックスに対して、南アが手に入った機会に過大な結果を狙わず即座のPGで得点を重ねて6点差。
攻めがつながっているので、後半での逆転もあり得る点差だが、相手がそもそもロースコアを狙ってきている南アだなると話が違う。
それに、フィジカルバトルを狙ったオーダーを組んできた南ア相手に人数の不利を被ったのは大打撃だ。
南アにしてみれば、相手のミスに救われているところもあるが、それは要所でうまくプレッシャーをかけて、危機を切り抜け続けているという事になる。
この決勝でも当然のように発揮される南アの勝負強さは驚くべきものだ。
オールブラックスは不利を跳ね返して逆転のトライを決められるのか、それとも南アが得点以外でも前半につけた差を活かして突き放すのか。
得点の匂いがする猛攻だったが、この攻撃のなかで、今度はシア・コリシの頭が当たってイエローカードで退出し、人数のアドバンテージを失う。
後半頭で試合を決めるチャンスを逃した南アに対して、オールブラックスは人数の不利がないうちに攻め込んでいく。
ボール展開すればゴールライン間際まで迫ることができるが、オールブラックスとしては歯がゆいことにスコアまでに至らず、トライラインまで到達したプレーも、ノックオンでチャンスを失ってしまう。
全てがうまくハマる日もあれば、そのピースをはめる時に手がパズルの傍にあるグラスに当たったり、膝がテーブルの下を叩いたりする日もある。
それが起きているのが、4年間の努力の末のW杯の決勝の場で、相手が最後まで勝負を投げない南アだというのが最悪だ。
ズルズルと時間と勝機を失ういかけていたオールブラックスだが、58分、ついにゴールラインを破るトライを獲得。
ここで7点を取れば、ロースコアの試合で果てしなく大きい1点のアドバンテージを得ることができたところだが、決定力の高いモウンガのCVは外れて、リードを奪うまでに至らない。
W杯も残りは20分となり、ゲームの内容としてはボールを敵陣に運べているオールブラックスに傾きかけているのだが、勢いにのってひっくり返したいところで、雨の影響もあってかボールが手に付かない。
ゲームが動かないまま10分がすぎ、1本のPGが勝利に直結する時間になってきた。
オールブラックスはPG1本でも欲しい、南アは逆にこれをとって試合を決めたい。
試合を分ける攻防の中で、南ア・コルビの故意と見做されるノックオンでオールブラックスのPKとなり、またも試合をひっくり返すチャンスが訪れるが、ジョーディ・バレットの重要な1本が外れて1点差のまま。
1プレーで逆転できる1点差が果てしなく遠い。
のこりは5分を切り、最後の攻めのチャンスが巡ってきたオールブラックスだが、ここでも敵陣深くまで迫りながらノックオンでボールを失う。
残り10秒のスクラムに最後の希望をかけるも、必死で守る南アにボールをラインに押し出されて、試合終了を告げるホイッスル。
最終スコア
降りしきる雨、試合開始直後の負傷退場やイエローカード、両キャプテンの反則退出、度重なるハンドリングエラーなど、双方にとってゲームは思惑通りに進まなかった。
しかし、オールブラックスが何度も訪れた逆転のチャンスを悉く掴み損ねたのに対して、ひっくり返されそうになった南アは、諦めずに自分達のするべきことに徹して耐え抜き、ゲームを決める「ちょっと」をものにした。
大会前はアイルランド、フランスなどが見事な戦績を積み上げ、南アもNZも今回は圧倒的な存在ではないと見做されていたが、両チームは大会の中で成長しながら決勝まで辿り着いた。
そして、歯を食いしばりながら薄氷の勝利を積み上げた南アは、なんとこのW杯の決勝トーナメントの試合全てを1点差の勝利で勝ち抜いて、ついに連覇のウェブエリスカップを掲げる最後の勝者になった。
この大会は前回大会から8年間、時代の主役だったプレヤーたちの多くが代表を去る。
ウェールスのダン・ビガー、アイルランドのジョニー・セクストン、ニュージーランドのアーロン・スミス。
日本代表でも年齢的に堀江などは次の大会で見られないかもしれない。
選手が入れ替わるだけでなく、大会のレギュレーションも見直され、次のオーストラリア大会からは出場チームが24に拡大される。
時代の終わりに少しの寂しさがある。
でも、次の時代の準備はもう始まっている。
自分の話をさせてもらうと、今回は大会が始まる前までレビューを書くか迷っていた。
前大会は日本開催で多くの人が試合を見ることが予想されていたのに対して、今回はフランス開催で試合もリアルタイムでは観戦しづらく、日本代表の苦戦も大会前から予測されていた。
また、自分自身この夏から本業が急に忙しくなったので、1ヶ月半以上毎週レビューを書くだけの気力が続くかという心配もあった。
ただ、やはり4年に一度しかないからと、初戦のチリ戦からレビューを書き始めると、まだ待っていてくれていた人からの応援のコメントや、他の試合をみたトラバなどが寄せられて、ともにラグビーの祭典を楽しみたいという人がいたことにとても支えられた。
(あと、本業の厳しい局面でも「リーチ・マイケルや堀江もあんなに頑張ったしな」なんて思って自分を奮い立たせたりもした)
「ラグビーを見る人の楽しみに少しの助けになりたい」と始めたことが、皆の支えでやり切れて、自分自身がこの4年の集大成を、そして時代の変わり目をしっかり目に焼きつけられたのは感謝の気持ちでいっぱいだ。
ラグビーは身体のぶつかり合いが特徴のスポーツで、試合の感想を語ろうとすると「フィジカルに圧倒された」という話になりがちで、それ以外だと「反則が多かった」「あの選手のあのプレーが」という結果の一部だけを取り上げた議論になってしまう。
このレビューを書く上で意識していたのは、結果の現象だけでなく、双方のチームがどういう強みとプランをもって試合に臨んだのか、キックオフなどのゲームの状況が基本的にどちらに優位に働くのかなどに注目して、「なんとなく身体能力で負けた」「多分ミスで自滅した」「全力を尽くして感動した」よりもう少し理解度をあげて、とはいえ1つのサインプレーなどの細かい話に入りすぎて全体像が見えづらくならないようにと思って書いていた。
自分はいちファンにすぎないので、長年のオールドファンを唸らせるようなレビューは書けないと思っていたけど、日本代表の試合だから見てみようと思った人に、今回少しでも役に立てたなら嬉しい。
もう一度、みなさんありがとう。
最後まで書き切れたのはみんなのおかげです。
またどこかで、会いましょう。
9月18日に20チームで開幕したラグビーW杯2023フランス。
1ヶ月経った今、16のチームが大会を去り、未だ戦っているのは4チームのみ。
おはようございます、こんにちは、こんばんは、レビュー増田です。
遠いヨーロッパでの開催のため、日本の放送は深夜、早朝になったこのW杯。
日本が大会を去った今、試合を追いかけるのもなかなか大変だが、決勝トーナメントに入ってからは深夜早朝の試合を追いかけても後悔のない、まさに1点を争うような好試合が続いている。
遊手候補と目されていた開催国、フランスは南アフリカにまさに1点で涙を飲み、イングランドは初戦を彷彿とさせるドロップゴールでトーナメントを駆け上がろうとするフィジーを止めた。
今夜戦うのは、前半にペースを握られながら流れを引き寄せてウェールズから試合を取り返したアルゼンチンと、最終盤に37フェイズにも及ぶアイルランドの猛攻を耐え切ったニュージーランド。
日本の視聴者は日本を下したアルゼンチンを応援しながら決勝トーナメンを観戦している人も多いようだが、ニュージーランドはラグビーファンにとって昔も今もラグビー界の神の如き存在だ。
ニュージーランドの国としての強みは、どれだけ良い選手が変わっても、さらに上回る選手が現れる層のぶ厚さで、世界最優秀選手に輝いたこともあるLOブロディ・レタリックや、稲妻のようなランで日本にもファンが多いダミアン・マッケンジーがリザーブで出てくるなんて、他の国からしたら考えられないような贅沢さだし、W杯がすでに始まっている状況で「真剣な大会中に門限に遅れたから」と日の出の勢いの若手、マーク・テレアをメンバーから外せば、「じゃあ」とウィル・ジョーダンがトライを取る。
チームは家族とも言われており、アンストラクチャーからの混乱状態で誰がボールを持っても、かならずフォローするランナーが現れて、見事な連携でトライを取る。
大会が始まる前までは「パッとしない仕上がり」と言われていても、いざ始まれば、初戦以外は対戦相手から大量トライを奪い、世界一位のアイルランドのフィジカルを全面に出した猛攻にも耐え切ってみせた。
豊富な人材と、流れるような連携、そしてここぞという時の硬いディフェンス。
ちなみに家族の話題が出たが、この試合、オールブラックスは本物の家族が3人、スタメンに名を連ねる。
スコット・バレット、ジョーディー・バレット、ボーデン・バレット。
8人兄弟という時点でなかなかだが、そのうちの3人が同時期に世界最強チームの代表プレーヤーというはなかなかない。
さて、対するアルゼンチンだが、どういうチームかというのは予選プールから試合を見てきたみんなにはもはやおなじみだろう。
スキルフルなキック、フィジカルを押し出した展開攻撃、個人のラン突破などを組み合わせて戦う好チームだ。
アルゼンチンにとっては、この準決勝で対戦成績 2勝33敗1分けのニュージーランドと戦うのは大きなチャレンジとなる。
負けられない大一番に向けて、前節でウェールズを破ったメンバーから1名のみを変えて試合に臨む。
アルゼンチンにとって気がかりなのは、メンバーにどれだけ疲労が残っているかではないだろうか。
準々決勝でフィジカルな激闘を制したのは相手も一緒だが、ニュージーランドは予選プールでフランス以外に脅かされるような存在がなく、それほど激しい消耗を強いられていないように見える。
アルゼンチンはというと、予選プールの日本戦も終盤までもつれ、ウェールズ戦もギリギリで勝ちをさらった。
クロスゲームを制したこの2戦では、身体を当てながらの展開を繰り返して後半にディフェンスをこじ開けたので、これが攻めの切り札だろう。
こういうスタイルだと、FWの体力がいつまでもつのか心配になってくる。
相手はアイルランドの波状攻撃を耐え切ったニュージーランドである。
攻撃に、守備に、身体を打つけづつけるのはここにきて難儀だけど、ではと崩しを狙って迂闊にコンテストキックを蹴って、ちょっとでも甘くなれば、それこそオールブラックスの大好物、思う壺だ。
勝負どころで勢いを掴みながら接戦を切り抜けてきたアルゼンチンが、ここでも我慢比べに勝って巨星を飲み込むのか、それとも黒衣の最強軍団が死神となって挑戦者の息の根を止めるのか。
小雨降るスタット・ド・フランセに響く両国の国歌斉唱につづき、オールブラックスがカパオ・パンゴを披露し、アルゼンチンのキックオフで試合が始まった。
キックオフ直後から、身体をあてて敵陣深くに侵入、開始3分でPKを獲得し、先制のゴールで3点を獲得した。
両チーム、キックを蹴りあげて激しく序盤のペースを争う中で、アルゼンチンはハイボール処理もよく、自分達の攻めにつなげられている。
対するオールブラックスはモールなどをつかった硬い攻めを見せ、手元を落ち着かせてから着実に攻める。
するとニュージーランドがセットプレーから再びのモールでペナルティを獲得。
ゴールライン上の攻防から外でまつでウィル・ジョーダンにボールが渡り、ゴールライン右に飛び込むトライ。
先ほどトライを決めたウィル・ジョーダンから今度はジョーディ・バレットにつないで、またもゴール右にトライ。
キックオフからの攻めを2本失ってスコアされているアルゼンチン。
20分までに3回22mまで侵入できているが、その度にオールブラックスのディフェンスでボールを失っている。
ノックオンというわけではなく、ジャッカルで引き抜かれてなので、アルゼンチンとしては全力を出せているのに黒い壁を抜けない。
ゲームの風景としては双方が入ったボールをキープして展開して、手元のエラーも少ないので、ボールインプレーが長い試合となっている。
29分にやっとファーストスクラムとなり、アルゼンチンがPKを獲得。
追いかけるアルゼンチンが苦労して点差を積めるが、オールブラックスはすぐにPGで取り返す
そして終了間際、今度はオールブラックスボールのスクラムから、ミスなく攻め込んで、41分にトライ。
双方がボールを持った時に、保持して攻め込んでいく。
アルゼンチンとしては、攻めが良くつながっているし、手元のミスもない。
しかし、ゴールライン直前まで迫ったところでオールブラックスの守備に捕まってしまう。
結果として、似たようなカードを出し合っているのに、スコアは開いている。
自責のミスでチャンスを失っているわけではないので、力負けと言っていい状況で、アルゼンチンとしては修正が難しく見える。
2トライ2コンバージョンの差を埋めるため、アルゼンチンは後半にどうやって流れを掴みにかかるのだろうか。
後半の入りは前半と打って変わってアルゼンチンにとって不幸なものだった。
オールブラックスがアルゼンチンのキックオフ処理のエラーにつけ込み、わずか2分でトライを奪う。
この失点後、アルゼンチンはキックオフの有利状況なので攻めたいのだが、ハイパンを蹴り合って、結果はオールブラックスにボールが渡ってしまう。
後半開始直後のトライは事故みたいなものだが、このトライがアルゼンチンにとっては厳しい。
前半最後の繋ぐラグビーから一転、ハイパントで崩しを狙った攻めをしたところで、ボールがオールブラックスに渡ってしまい、攻め切られる。
相手の有利な形に飛び込んで取られていているのは悪いシナリオだ。
ボールを上げるのでスクラムも多くなっているが、このスクラムでも負けていて、黒衣の戦士はどんどん自陣に入り込んでくる。
守勢一方のアルゼンチン対して、オールブラックスは55分に選手を大幅に入れ替える。
交代で入るのはフロントロー3人と、ダミアン・マッケンジー、トライも取れる俊足SHフィンレー・クリスティ。
タイミングとしてはかなり早いが、点差があるので、余裕をもって体力のあるメンバーを投入できる。
攻めのチャンスがあっても前半のように敵陣に侵入できないアルゼンチン。
ボールはオールブラックスのものとなり、61分に、ウィル・ジョーダンが2つめのトライ。
65分はまだ時間があるが、33点のビハインドはあまりに重い。
どこでここまでの差がついたのだろうか?
ゲームは終盤に向かい、アルゼンチンがほとんど深く攻め込めない中で、74分にもウィル・ジョーダンがラインをブレイクしてハットトリックとなるトライ。
一矢報いたいアルゼンチン、自陣深くのスクラムからの最後の攻めもオールブラックスの守備を突破できず、試合終了。
最終スコア
支配率
スタッツの示すこの数字、オールブラックスはボールを持たなくても勝てるチームだが、今日はボールを保持して戦い、アルゼンチンを圧倒した。
ボールを蹴り上げる状況としては、繋いで前進できない末にボールと引き換えにエリアの前進を取るか、攻撃が停滞する前に先制で崩すかなので、繋ぎで前進できた今日のオールブラックスは蹴る必要がなかったとも見える。
ただ、これは想像なのだが、結果でそうなったというより、初めからアルゼンチンの疲労を見越して高いエネルギーをつかうポゼッションラグビーを仕掛けたのではないだろうか。
直近の対戦成績で2勝を挙げていたアルゼンチンは、勝てるチームを作り上げてきたが、ここに来たときにはにすでに満身創痍の状態だった。
開始ホイッスル前の前段を書き終えたのは前日で、双方がどういうチームか知っている人にとってこの辺りの予測はおそらく特別なものではない。
その流れにおおむね沿う「驚きのない試合」になったのは、オールブラックスが圧巻の強さを見せたということだろう。
あまりに一方的な試合となったので、母国では批判も起きるかもしれないが、ここまで死線の際で戦い続けてベスト4まで駆け上がったアルゼンチンは、前評判に相応の結果を残したと言っていいと思う。
これで決勝に進出するチームの1つが決まった。
準決勝のもう1試合は、前回日本大回の決勝カード、イングランド対南アフリカ。
このW杯の最後の試合でラグビー界の黒衣の神と対戦するのは、白か、緑か。
これが最後のW杯になるかもしれないリーチ・マイケルが、日本の最終試合後に代表ジャージのまま夜の街に出て、カフェでファンとの交流を楽しんだ夜から1週間。
2023年大会は、フランスの地でに残った8チームによる決勝トーナメントが始まった。
ノックアウトステージの最初の試合は、プールC1位・ウェールズとプールD2位・アルゼンチンの対戦となった。
イギリス連邦とはいえ、日本ではあまり馴染みがないウェールズはどういうチームなのかというと、硬い守備をベースに、獲得したペナルティーからのセットプレーであったり、ハイパントで守備を崩してから、シンプルにボールを順目に送り、ランナーが個々のスキルでディフェンスを振り切ってトライを狙うチームだ。
正確な上に射程距離が長いので、ハーフウェーライン前後でペナルティを獲得しても3点を狙える。
長時間ボールを持つチームではなく、ポゼッションは相手に取られることが多いが、一瞬の切り返しで点を取る。
予選プールでも相手に攻めさせてからの一撃必殺の切り返しで対戦相手を沈めてきた。
得点源のバックスはベテラン揃いで、ダン・ビガー、SHガレス・デービス、CTBジョージ・ノース、WTBジョシュ・アダムス、FBリアム・ウィリアムズの前W杯出場組の合計キャップ数が420を超える。
もう3回もW杯に出ているダン・ビガーは今大会での代表引退を表明しており、この大会にかける気持ちは強いだろう。
注目の若手の14番ルイス・リーズ=ザミットもベテランに負けじと予選プールでトライを量産した。
対するアルゼンチンはHOフリアン・モントーヤ、LOギド・ペティ、トマス・ラバニーニなどFWに地キャップ数80を超えるベテランを揃えるが、攻撃の指揮を取るサンティアゴ・カレーラスはキャップ数34の25歳、日本戦で3トライを決めたマテオ・カレーラスはキャップ数10・23歳の新鋭。
リザーブにキャップ数97のSOニコラス・サンチェス、キャップ数100のアグスティン・クレービー(38歳!)も控えており、若手をベテランが支える。
ボールをつないで走るラグビーの代表といえるオーストラリアを前大会まで指揮していたマイケル・チェイカをHCに迎えて、今大会でも強力なフィジカルの突破力と左右への展開力で戦ってきた。
戦い方をアップグレードしている最中のチームで、大会前にテストマッチでニュージーランドを破ったりもしているが、今大会に入ってからはボールを持ちすぎて攻めが停滞する場面があったり、ハンドリングエラーが多く、調子に波があるのが気掛かりだ。
アルゼンチンはセットプレーを渡したくないし、ダン・ビガーにキックも蹴らせたくない。
日本のファンとしては、日本を破って進出を決めたアルゼンチンの戦いぶりも気になるところだろう。
どちらがペースを握って自分達の形でゲームを進めることができるだろうか。
試合に先立って紛争が激化しているイスラエル・パレスチナの人々に対する黙祷に続いて、両国の国歌斉唱が斉唱され、ウェールズのキックオフで試合がはじまった。
開幕直後、ダンビガーのキックから前進するウェールズにアルゼンチンは自陣に押し込まれる。
ゲームの入りはウェールズのペースだが、コンテストキックの処理からボールを獲得したアルゼンチンが守備良くウェールズに勝るポイントである連続の展開でフォワードのフィジカルをぶつける。
ボールを持って地面を縦横に走るアルゼンチンに対して、ウェーズルはガレス・デービスとダン・ビガーが垂直に蹴ってからシンプルに順目に送ってまっすぐ走る。
コンテストキックを蹴るのは再獲得にも相手の取られての守備にも自信があるからで、パントの多いゲームでその後の処理をどちらがうまく進めるかが前半のポイントとなる。
序盤10分までのボールポゼッション77%のアルゼンチンだが、キックから押し込んでくるウェールズに対して、なかなか相手陣の深くに侵入できない。
すると、15分、ウェールズはスクラムから必殺のセットプレーでアルゼンチンのディフェンスを崩し、ジョージ・ノース、ガレス・デービスと繋いで、ダンビガーがトライ!
これぞウェールズの得点パターンというトライからコンバージョンも決まり
とする。
ここで、レフェリーヤコ・ペイパーさんがブレイクダウン周りの攻防に巻き込まれ脚を痛めるという珍しい展開になり、レフェリーの負傷交代という激しいフィジカルバトルを象徴するような場面となった。
先制のトライを許し、早く返したいアルゼンチンが地上の展開に持ち込もうとして攻めるが、ウェールズの硬い守備にあってのエラーで攻撃も途切れてしまう。
そして突破できないうちに、ウェールズに切り返され反則、こうなるとウェールズのしたいラグビーだ。
ダン・ビガーの長距離砲で、ウェールズ 10-0 アルゼンチン
ウェールズのやっていることはほとんどワンパターンにも見えるのだが、アルゼンチンはスコアをリードされたまま、押し込まれて自陣を出ることができない。
序盤を完全に持っていかれているアルゼンチン、スコアが内容ほど離れていないのはウェールズの最後の一手でのミスに助けられている。
なんとか前半のうちに少しでもスコアして、流れを変えたい。
ハーフタイムまで5分を切ってやっとそのチャンスが来る。
相手陣深く侵入してラインアウトからペナルティを獲得してショットを選択。
この38分のスコアがアルゼンチンに勢いと幸運を呼ぶことになる。
前半最後に追加でスコアしたいアルゼンチンが攻める中、タックル後のボール処理をめぐってジョシュ・アダムズがレイトタックルを犯し、掴み合いの末、ゴール正面でPGを獲得する。
4点差なら1トライで逆転できるので、後半に望むプレッシャーが全く違う。
ここで前半のスタッツで気になる点がある。
ウェールズのラインアウト成功率の 成功 2/5 という数字。
ここまで内容で支配しているなら、6点取られようが問題ないくらい離せていてもおかしくウェールズだが、重要な得点源の一つがフルにいかせていない。
ウェールズはこの細部で顔を出す荒さが気がかりだ。
アルゼンチンのキックオフから始まった後半は前半の最後の流れがそそまま続いているように、アルゼンチンが身体を当てて攻め込む。
22mに深く侵入してゴール直前でPGを獲得、ウェールズ 10-6 アルゼンチン とする。
さらに47分、自陣からのPGでアルゼンチンはついに逆転に成功。
アルゼンチンはウェールズのミスにも助けられて前半ほど自陣に押し込められていない。
この35分から55分までの20分で、流れがアルゼンチンに行きかけてる中、ボールを上げてキックゲームに戻そうとするウェールズは56分、やっと巡ってきたセットプレーのチャンスに抜け出したトモス・ウィリアムズが乱れたアルゼンチンのディフェンスをすり抜けて中央にトライ!
流れが変わりかている中、60分の5点差は全く安心できない数字だ。
ウェールズはなんとか逃げ切りたいが、ルイス・リーズ=ザミットのミスキックはアルゼンチンにチャンスを与えてしまう。
そしてそのミスキックで押し込まれた状態から、アルゼンチンのセットプレーを耐える展開となり、最終ラインをこじあけられてトライを許してしまう。
コンバージョンも決まって ウェールズ 17-19 アルゼンチン。
残り10分の2点差はPG1本でウェールズの逆転もある数字だが、前半とは景色がすっかり変わっている。
アルゼンチンは、先立って投入したクレービーにつづいてサンチェスも入って、キャップ数197のベテランでこのクロスゲームを制しにかかる。
逆転にかけるウェールズは、22歳のルイス・リーズ=ザミットがゴールラインに迫るが、わずか10cnmほど足らずにタッチラインを割る。
ここで決まればゲームはウェールズのものだったが、76分、34歳のサンチェスがウェールズのパスを読み切ってインターセプト、勝負をほぼ決めるトライ!
ウェールズの最後の攻めを断ち切ってとどめを刺したのも38歳のクレービーのジャッカルだった。
最終スコア
終盤に機会は双方に訪れたけれど、ウェールズの期待の俊英から溢れた幸運を、アルゼンチンのベテランがしっかりと掴んだのは劇的だ。
ゲーム全体でみると、前半最後の勢いを活かせたアルゼンチンと、決めるべきところでミスをしたウェールズで明暗が分かれた。
ウェールズはもとからボールを持ちつづけるチームじゃないので、攻める時に絶対決めないといけない。
予選まではその脅威の決定力で勝ちを重ねたが、この試合の後半でエラーをたくさん出してしまった。
12年間、ウェールズのSOとしてチームを牽引し、ライオンズでも司令塔を勤めたダン・ビガーは、ここで最後のW杯、そして国際レベルのラグビーから去ることになる。
最後の旅を最高の結果で終えられなかったのは残念だろうが、その場に立った全ての人々が全力を尽くし、誰かはその真剣な望みが断ち切られることになる、それが勝負事の世界なのだ。
相対するのは、これに続くゲームでアイルランドを破ったニュージーランドだ。
アルゼンチンが優勝候補の一角とも見なされるようになったのが、オールブラックスを破ってからだった。
ここにきて勢い勢いを取り戻しつつアルゼンチンは、その勢いで再び強豪を飲み込むことができだろうか。
開幕戦から選手の入場を見守るウェブ・エリスカップ、その所有者は、あと5試合で決まる。
秋も深い10月の第1週に、日本は予選突破をかけて南米の強豪アルゼンチンと対戦する。
予選リーグラウンドは今週が最終週だが、これまでにほとんどのプール突破の2チームが決定しているような状況で、まだ2位が確定していないプールCでも、勝ち点計算としては順位の変動がありうるが、実力差を勘案すればほとんど逆転はないという状況になっている。
そんな中、今日行われる日本 vs アルゼンチンは勝敗の帰趨が予測しづらい一戦で、最終週の試合としてはもっとも注目度と緊張感の高い試合と言える。
アルゼンチンといえば、国際リーグ、スーパーラグビーに代表のクローンチームを送り込む手法で強化を図ったチームの草分け的存在であり、参戦チームのハグアレスは参加当初こそ南半球最強リーグで苦戦していたが、2020シーズンにはファイナルに進出するほどに成長。
自分が見るアルゼンチンはボールを持った時の選択肢がサモアより豊富だ。
ランもあるしエリアを取るキックもあるしアタッキングキックもある。
日本としては、ボールを持たれたら裏へのキックのリスク承知で早いディフェンスでアタックを潰して切り返すより攻めに転じる機会が無いように思う。
前進から始められるので原則として有利な自ボールのキックオフ時でも一筋縄では行かなそうだ。
キックオフからボールの保持をやりとりして、相手陣まで入っての自ボールセットプレーまで落ち着けられたらしめたものだけど、そこにたどり着くまでに手前に蹴っても奥に蹴ってもアルゼンチンはコンテストキックやカウンターのランを仕掛けてきそうだ。
「この攻め方がハマれば相手を封じられる」というような戦略が立てづらく、常にリスクをとってチャンスを掴みに行かないといけない。
日本代表は今大会、キックを主体とした戦術で試合を組み立てている。
日本が蹴るキックはオールドファンに批判が多いが、現代ラグビーではディフェンスが整備されていて、突破のきっかけを見出せないままボールをもってフェイズを重ねすぎても、相手からのプレッシャーを受けてボールを失うリスクが高くなる。
とはいえ、アルゼンチンとしては日本のキックからのカウンターを狙っていることだろう。
日本代表はPL稲垣が侍の生死をかける抜刀にこの一戦を例えたが、まさに緊張感を表したような発言だと思う。
ところで全くの余談だが、アルゼンチンのHCを務めるマイケル・チェイカ氏がファッションビジネスで大成功を収めたビジネスマンであることは国際ラグビーファンの間では有名な話で、このことについて、チェイカ氏は「お金のことを考えずに意欲だけで仕事ができるのが自分の強みだ」とコメントしている。
なんとなく余裕を感じないでもない発言だが、南米の強豪の代表監督ともなれば、成果が振るわなかった時の批判は想像を絶するものであろうことを思うと、お金の心配どころではないもっとヤバめの心配が別にあるのかもしれない。
とはいえ生活資金で追い詰められる心配をすることなく、名誉と使命感と情熱だけで勝敗が全てを決する世界に臨めるのは、職業人として羨ましい限りである。
選手たちもまた、激しい衝突を恐れることなく、その腕の中に使命をしっかりと握りしめて戦う。
国歌斉唱では姫野は涙を流し、アルゼンチンの選手は周囲の気温が上がるような闘志を発している。
情熱的な空気の中、アルゼンチンのキックオフで試合は始まった。
アルゼンチンは自ボールのキックオフから松田の返しのキックを蹴らせて、日本陣内のラインアウト獲得でリスタート。
この冒頭にとった非常に有利な展開で、日本は一度攻めをストップさせたものの、モールを組まれて崩された後に、抜けだしたサンティアゴ・チョコバレスに2分で先制トライを許してしまった。
日本のキックオフでのリスタート、蹴らせたキックでラインアウトを獲得したのはアルゼンチンと同じ展開だったが、ここでのラインアウトを日本FWは確保できず、アルゼンチンのボールとなってしまった。
攻撃のチャンスはそう簡単にこないので最大限に活かしたいが、ラインアウトは日本代表がW杯に入っても修正が間に合わなかったポイントで、貴重な機会が安定していないのが痛い。
この展開で日本は22m付近まで侵入を許した位置でスクラムになったが、こちらは素晴らしいスクラムとなり、組み勝った日本がPKで陣地を挽回した。
スクラムは結果によってラインアウトにつながる可能性がある重要なセットプレーなので、優位性が見えるのは大きい。
再び攻め込んでくるアルゼンチンに対し、日本は粘り強くディフェンスをする。
何度かお互いに小さな反則を獲得しながら、日本が齊藤のスペシャルプレー、背面に向いてのハイパントから敵陣深く侵入し、トライ目前まで迫るがノックオンでトライならず。
引き続き、ボールを回して攻める。
14分にアルゼンチンボールのスクラムから日本が切り返し、リーチがラインブレイク、このボールを繋いだロックのファカタバがまさかのチップキックとキャッチからの快走をみせトライ!
アルゼンチンとしてはすぐさまキックオフからやり返したいが、せっかくの有利なシチュエーションでノックオン。
また、エリアをとりにきたキックもミスになり、日本に攻撃を継続させてしまう。
前半20分というのはここでどちらが取るかで、中盤までの試合の流れが大きく動く時間帯だ。
22分、日本はディフェンスでピーター”ラピース”ラブスカフニの頭が当たってしまい、イエローカードとなる。
日本に攻められ続けて乗り切れなかったので、まずスコアを狙うのは良い判断のように思えたが、これをボフェリが外してしまう。
アルゼンチンは歯車がずれたような感じで、リズムを掴み切れなくなってきた。
相手が調子を出せない間に畳み掛けたい日本だが、攻撃の中で蹴ったキックがクレメルのチャージにあい、ボールを取り返したアルゼンチンに一気にゴールラインを越えられた。
アルゼンチンはボフェリのキックが当たっていないので、コンバージョンで突き放し切れない。
日本が1人少ないのは絶好の得点チャンスなのに、5点しか取れないというのはアルゼンチンとしては納得できない結果だが、ラピースが帰ってくる直前にやっとボフェリのPGがきまり、苦労しながら1トライ差以上に突き放す8点差とした
それでも均衡は簡単に崩れない。
日本はライリー、フィフィタと繋いだボールを齊藤が受け、これこそが彼のアビリティといえるフォローランで前半も残り少ない37分にトライ!
日本 14-15 アルゼンチン とし、決定的な優位を見せられないアルゼンチンに日本が食らいつく形で前半が終了した
前半のスタッツ は
日本はこの一戦でもキックを使っているもの今までの3戦と比較するとやや少なく、ランで前進できている。
逆に数字が似通っているアルゼンチンはボールを持っての攻めがディフェンスに捕まったり、ミスで停滞している印象を受け、結果日本の攻撃時間が長くなっている。
ハイボ、ラインアウトで機会が取れない日本と、単調な攻撃やミスで決定機を掴めないアルゼンチン。
どちらがより上手に修正して後半を自分達の形にできるのだろうか。
ほとんど点差がない中でなんとか後半最初の得点で相手にプレッシャーをかけたい。
長い攻防でお互いスコアできない時間帯が続くが、アルゼンチンは試合冒頭で優位性を見せたものの、使っていなかったモールで日本を押し込み、45分にトライ。
自分達の強みに立ち戻ろうとするようなプレーで、単なる7点以上に大きな影響を感じさせるものだった。
離されたくない日本は49分にアルゼンチンのキックミスで深く侵入しての松田のショットで追い縋り、日本 17-22 アルゼンチン。
国際映像2度目の登場となるラグビー芸人しんやのガッツポーズがフランスからシーソーゲームの熱気を伝える。
後半に入ってからも、アルゼンチンはボールを持ってのランでなかなか前進できない。
日本のディフェンスがいいのか、アルゼンチンがまだ自分達の強みを発見しきれてないのか、どうも両方のように見える。
アルゼンチンが未だ調子を掴み切れない中、56分にはレメキが意表をつくドロップゴールを決め、日本 20-22 アルゼンチン。勝敗の帰趨がまだ全く見えてこない。
しかし、ここでアルゼンチンのキックオフは、キャッチ時に正面の日光が目に入った姫野がノックオン。
22mセンター、絶好の位置で獲得したスクラムから、59分にアルゼンチンがチャンスを生かしてトライ。
60分は非常に重要な時間帯だ、ここでどちらが加点できるかで試合が終わるか、終盤までもつれるか決まる。
少しでも点差を詰めたい状況で日本がペナルティキックを獲得する。
3点でもあとワントライで逆転までの点差内にとらえるが、トライを狙いに行く日本。
このリスクをとった選択があたり、65分にタップキックからの攻撃で交代出場のナイカブラがゴール右隅に飛び込んでトライ!
松田が脅威の正確性で難しい角度のコンバージョンキックも決めて、日本 27-29アルゼンチン。
残り時間は15分、こんな時間になってまでまだ勝敗が朧げにも見えてこないのは全く驚きだ。
ここでアルゼンチンがキックオフから今まで結果としてつながっていなかったランでの崩しがついに成功し、トライ。
70分をすぎても終盤まで続くペース争い、80分がすぎてもボールがつながっている間はプレーが続くラグビーにあって、9点差は未だ逆転の可能性がある点数だ。
しかし残り時間が刻々とすぎていく中で、点差の意味が徐々に変わっていく。
しかし勝利を確実にしたいアルゼンチンが75分についにPGを獲得、1トライ1ゴール1PGでも追いつけない12点差をつけることに成功した。
78分、2分で2トライというほとんど不可能にも見える可能性をまだ捨てず、相手陣深く侵入する日本。
ここでトライできるかどうかは勝利への最後のチャンスと言っていいが、無情にもアルゼンチンがこのボールを取り返す。
張り詰めた80分の末、勝利は青と白のジャージの選手たちが掴んだ。
試合後、SNSのタイムラインには「やはりアルゼンチンは強かった、差があった」という感想が踊った。
確かにアルゼンチンの圧力は強く、点差も1トライ以上離されたが、では内容までアルゼンチンが圧倒していたかというと、実態は全然違う。
日本代表の戦いぶりは素晴らしく、アルゼンチンは終盤までペースを掴めていなかった。
最後の瞬間まで日本が勝利の可能性を追い、アルゼンチンが突き放すために死力を尽くすという、見る側にまで強度を要求するようなゲームだった。
試合の細かい点をふりかえると、アルゼンチンは試合冒頭ではモールの優位性を見せた割に、前半をランの単調な攻めに固執してペースを掴み損ねていたものの、後半になってから思い出したようにモール、パントを織り交ぜた攻めを見せてきて、そこから日本は失点した。
不調時にあって見事な修正力が効いた形になったように思う。
日本としてはラインアウトが悪かったのは、試合を支配できなかった大きな要因だと思う。
数字上では8/9で1本しか失っていないが、プレッシャーにさらされクリーンに攻めにつなげられた機会は少なかった。
この点はW杯前に完成度の粗が指摘されていた面でもあり、予選の最終盤でそれが結果として跳ね返ってきてしまった。
同じく心配されていたスクラムが完璧に近い形で修正に成功していただけに悔まれるポイントだった。
8年前、日本代表は世界最強のチームの一つである南アフリカを破って、日本中、ラグビーファン以外にまで広がるインパクトを届けた。
4年前には自国開催のW杯で欧州の強豪を次々と破って史上初となる予選リーグ突破を成し遂げた。
一時のピークなのではないか、自国開催が実力以上のパフォーマンスを出させたのではないか。
今大会は強化への道のりも平坦ではなく、遠いフランスへの遠征で地の利もない。
3敗、4敗があったとしても不思議ではないとさえ感じていた。
しかし、初出場の勇敢なチリを降し、前評判の高かったサモアをプランが見えるような試合で封じ込めた。
負けた対イングランド、アルゼンチン戦でも、流れに入っていけず一蹴されたような試合ではなく、むしろ少し違っていれば勝てるかもしれないというような見事な内容だった。
礎を作ったエディー・ジョーンズと今回で勇退するジェイミー・ジョセフは、日本を真に強いチームに押し上げた。
そして、日本代表の選手たちは強豪国の選手というのにふさわしい戦いぶりを見せてくれた。
すばらしい1ヶ月、そして10年以上にも及ぶ戦いだった。
これで日本代表の2023年W杯は終わり、大会を去ることになる。
日本中を巻き込むようなインパクトの再来がならずとなったのは残念だ。
でも、今大会で日本が見せてくれたたしかな軌跡は、4年後にも確実につながっていくことになるだろうと思う。
4年前、南アフリカに敗れて流は泣き、今日、アルゼンチンに敗れて松田が泣いた。
また4年後涙が流れるかもしれない、でもその涙が、次の日本代表の戦士の喜びの涙となると、僕は信じている。
残暑もようやくその勢いを失いつつある9月半ばの初秋、月曜未明のキックオフは普通だったら観戦するのを躊躇する時間帯だが、幸いにも日本は今日、3連休の最終日だ。
フランスで開幕したラグビーW杯は2週目、日本代表はラグビーの母国、イングランドと対戦する。
このイングランド、対戦成績でいうと、日本は勝てたことがない。
ただ「勝てたことがない」でいうと日本は南アフリカにもアイルランドにも勝ててなかったわけで、それがいつ「勝ったことがある」に変わるかはわからない。
実際、日本はすでに全ての国に警戒されるまで地位を上げてきており、強豪国といえど研究を重ね、策を練って当たるようになってきている。
国際的に認知されている日本の強みといえば、ボールを保持しての素早い展開であり、保持しての攻めは強豪国も手を焼くものだ。
なので、増田としては多くの人が予想する「キックをぶつけてくる」のではなく、イングランドは「保持して渡さない」という戦術を予測した。
まったく主流でない予測だが、保持された方が日本としては対応がないように思えたのだ。
果たしてイングランドはどういった戦術を取ってくるか、そして日本は。
イングランドはアルゼンチンとの初戦、戦慄のキックで全得点を叩き出したジョージ・フォードだけでなく、フロントローもベテランで固めてきた。
もし予想外のことがあっても、素早く修正してくるだろう。
対する日本も通常リザーブ出場が多いラスボス堀江をフッカースタメンに起用。
スタット・ド・ニースのピッチはマイクで拾っているはずの中継の声も聞こえづらいほどの大歓声。
観客もこの1戦が、過去の対戦成績やランキング通りの結果で簡単に予想できるものではないものになると期待しているのかもしれない。
不評を受けて今回から合唱だけでなく伴奏付きに選択できるようになった国歌斉唱は、双方が伴奏アリを選択し、聴き慣れた君が代とゴッド・セイブ・ザ・キングに続いて大一番はキックオフとなった。
イングランドのキックオフで始まった大一番は、開始直後にFBマシレワがインゴールでノックオン。
いきなり危機にさらされた日本は最初のスクラムを見事止め被トライを防いだが、その後イングランドにペナルティを獲得されPG。
その後もフォードのロングキックでエリアを取ってくるイングランド。
増田はイングランドの戦術としてホールドしてくるのもアリかと思ったが、気を衒わず利があるキックをぶつけるのが最善、ということなのだろう。
イングランドが蹴ってエリアを獲得してくるので、FBはキックを処理しなくてはならず、マシレワの今日の仕事は多いのだが、そのマシレワがキック処理後に不運にも右脚を負傷。
早々にレメキと交代となった。
交代カードをあまり早く切ると、その分消耗が早くなったり、戦術の替え場をコントロールできなくなったりするのだが、怪我ではしょうがない。
ただ、マシレワは蹴った後にハムストリングを痛めたように見えたので、次戦以降にどうなるのかが心配だ。
さて大方の予想通りキック主体に攻め入るイングランドに対して日本はというと、こちらは意外と言うか、蹴り返して応戦する。
この蹴り合いは、テリトリーではやや押されている場面があるものの、あまり決定的なゲインを許していない。
「ラスボス」堀江がコントロールするスクラムいまのところは互角に見える。
20分にはフォードのキックをチャージしてイングランド陣内に深く侵入、ペナルティを獲得して松田のキックでスコアを先行した。
その直後の24分、今度はミスを見逃さずキックで深く侵入したイングランドにトライを被るが、対する日本も再びキックを有効活用して深く侵入してPGをかえし、1点差まで詰め寄る。
日本代表は出来過ぎなくらい上手く戦っている。
ほぼ差のないまま後半に入ることができればこの大一番の勝利もうっすらと見えてくる。
なので、前半終了間際にゴールライン側まで大きく押し込まれたシーンはピンチだ。
日本は守りたいところだし、イングランドとすればトライで突き放して気勢を削ぎたい。
前半最後の攻防は41分まで粘った日本からPG獲得、イングランドがわずかだが確実なアドバンテージをもち帰り、4点差での折り返しとなった。
それにしてもイングランドが蹴るのは予想の範囲内だったが、日本がこれだけ蹴るとは、そして蹴り合いとなって僅差で前半を折り返すとは誰が想像したろう。
蹴り合いのゲームはハマれば消耗が少ない。
日本はスタミナを温存して後半に臨むことができる。
前半に予想外の戦術をとり、後半をどう戦うか注目された日本だが、50分を過ぎても流のボックスキックなど、キックで前進。
前半最後の1本を帳消しにする松田のPGで再び1点差まで詰め寄る。
前半よりキックを使う回数は多いくらいだ、大方の予測通りに蹴ってきたイングランドに対して、日本もこの試合では徹底的に蹴るつもりかもしれない。
ゴールライン手前までイングランドが押し込んでから、ジョー・マーラーの金髪モヒカン頭に当たったボールがコートニー・ローズの手元に入り、ノックオンかと日本の選手の脚が止まったなかでこれがトライ。
日本は堀江がスクラムで存在感を見せているが、イングランドのベテランは強運で思わぬアシスト引き寄せ、ラグビーの母国がこの試合初めて1トライ分以上の点差をつける。
ここでノックオンのセルフジャッジをして足を止めた一瞬は、日本にとってのちに響く大きな差となった。
日本代表選手の集中が少しだけ切れたのか、見えない流れがイングランドに渡ったのか、蹴り合いの後のボールを獲得できない日本に対して、ゴールではなくライン側を狙ってもイングランドの名手のキックが冴え渡る。
64分にはフォードのキックパスが長身フレディ・スチュワードにピンポイントで渡り、見るものを感嘆せしめるトライで安全圏の2トライ以上の差をつける。
67分で15点差はこちらに展開を持ってくることができれば追いつけない差ではない、しかしラグビーの母国の選手たちは抜け目なく、挑戦者にチャンスを与えない。
残り時間が減っていく中で、日本は狙うべき現実的なターゲットが逆転から、同点、7点差以内敗戦のボーナスポイントへとズルズルと下がっていく。
78分で自陣で相手ボールのスクラムになってしまえば、15点差から8点をとってボーナスポイントを狙うのももう無理だ。
苦い味のする最後のケーキは相手にボーナスポイントを渡さない被トライ3以下。
しかし、妥協しないイングランドはこれすらも許さず、81分に日本は4トライ目を献上してしまった。
キックに自信をもつイングランドに蹴り合いを挑み、前半を互角に戦った日本だが、勝ち点の上では完敗とも言える結果、どこで、どのように流れがイングランドに渡ったのだろうか?
試合のスタッツを見てみよう。
キャリーメートル数:イングランド 533m -324m 日本 に対して、
キックゲイン:イングランド 1177m - 938m 日本だからお互い蹴ったゲームだった
試合全体のテリトリーはイングランド 61%-39% 日本、ボール支配率はイングランド 66%-34% 日本。
大きく押し込まれていたことを示す数字だが、これらの数字がイングランドに傾いたのはおそらく後半だろう。
ラインアウトはイングランド 成功10/13 - 成功8/12 日本。
イングランドもミスはしていたものの、日本が失った4本を成功できていれば、ここを起点にもっと前進できたかもしれない。
スタッツで取られないところだが、ハイボールの競り合いも日本がクリーンにとれていたところがあまりなく、イングランドが局面で優勢だった印相。
ディティールではこの辺りでイングランドに流れが渡ったように思える。
ノックオンになればスクラムだが、ベテランを起用した日本のスクラムは抜群に安定しており、組み負けてPGを取られるという悪い展開にならなかった。
キックを多用した戦術選択は、このスクラムの自信と、滑る手元でボールを動かすことの不確実性が考慮されたのかもしれない。
戦術の選択についてたらればを言うのは本当におこがましいのだが、ハイボが入らない、ラインアウトが完全に支配できないという状況で、個人的には後半のもう少し早くにボールを保持して、イングランドが前進できる機会を減らすというオプションがあったらどうなっていただろう、という感想はもった。
ただ、試合後の選手のインタビューでは、プランというより、遂行の面での不備を振り返るものが多く、実際にもプランがそこまで破綻した場面はないように見えたので、増田の感想はあくまで素人考えの域をでないだろう。
「落ち込む時間もない。10分ぐらい落ち込んで、次の10日間でサモア戦に向けて準備したい。」
10日後に日本代表とまみえるサモアは23日に先立ってアルゼンチンとも対戦する。
この結果はどちらに転んでもプールDに大きな混沌をもたらしそうだ。
そしてその帰趨ともに、次戦の結果で日本がこの混沌に潜む魔物の犠牲者となるか、他国にとっての死神となるかが決まるだろう。
混戦を抜け出す勝利を掴むことはできるだろうか、日本 vs サモアは29日未明、日本時間4:00にキックオフだ。
みんな4年ぶりのW杯を楽しんでくれているだろうか。
見ているだけでエキサイティングなラグビーだが、このスポーツは試合後にすぐスタッツが発表され、これをもとに議論が交わされるという特徴があり、この統計を見ると、感覚で見ていた試合の姿が詳細に浮かび上がってくる。
各チームの開幕戦となった先週の試合から2試合をピックアップして、スタッツから試合を振り返ってみよう。
W杯の開幕戦は南アフリカと並ぶ最多3回の優勝を誇るニュージーランドと開催国フランスの対戦となった。
テストマッチで調子が上がらない上、キャプテンのFLサム・ケインを出場停止で欠くニュージーランドに対し、直近のテストマッチでオーストラリアを41-17で降し、好調を維持して自国開催W杯の初戦を迎えたフランス。
地の利を活かし優勝候補にも挙げられるフランスを、それでもオールブラックスが上回るのかとの注目が集まった。
アーロン・スミスがリードするハカ、カパ・オ・パンゴの後に始まった前半、マーク・テレアのトライで早々にリードしたニュージーランドだが、その後はトライを取れないまま、PGで刻むフランスとシーソーゲームを演じることとなる。
後半もテレアがトライを奪ったが、その後はフランスの猛攻にさらされる。
印象でいうと、フランスのデフェンスが冴え渡り、フィジカルでも押されたニュージーランドが攻めあぐねている感が強かった。
という数字は、押し込まれたニュージーランドが自陣からよく走ったということだ。
もともと切り返しからボールを動かしていくオールブラックスにとって、このスタッツは特別なものではないが、結果としてトライがついてきていない。
という数字を見ると、フランスがキックで陣地を押し込んだ上でタックルを決め、ニュージーランドの前進をよく防いだと言うことになるだろう。
自陣でのターンオーバー
に対し
敵陣でのターンオーバー
というのも、フランスほうがより押し込んだところから切り返せていたことを示している。
試合中、ずっと感じていたのが、ニュージーランドがラックで食い込めていないと言う印象で、この身体ひとつ分の前進ができるかできないかが、相手のディフェンスのしやすさに大きく影響する。
NO8、アーディー・サヴェアのチップキックなど、個々の引き出しの多さは随所に見られるのだが、フランスをパニックに陥れるような状況で技を繰り出せていたのかと言うと、そうではなかったように思う。
サム・ケインを欠いていたことが、地上戦で多少なり影響していたのかもしれない。
フィジカルのぶつかり合いで利が相手にあるなら、ハイボール後の混乱状況などで打開したいところだが、キャッチの役割を担うウィル・ジョーダンまた当たってなく、イエローカードで一時退出したあとも、あわや2枚目という場面があった。
結果、ニュージーランドにPGつけたリードを維持したまま、試合を決定づけるジャミネのトライでフランスが開幕戦を制した。
開幕戦を落としたとはいえ今日の試合でナミビアを71 - 3 で降したニュージーランドは、プールAを突破する公算が強いが、残り2試合で修正をかけ、決勝でフランスにリベンジとなるだろうか。
ウェールズ、オーストラリア、フィジー、ジョージアが同居し混戦の予想されるプールCでは、伝統国の一角、ウェールズと、台風の目と噂されるフィジーが対戦した。
今まで国内に大きなリーグがなかったため、個々の力は強かったものの、才能あふれる選手の寄せ集め感という感が強かったフィジーだが、2年前から国内の選手で結成した「フィジアン・ドゥルア」でスーパーラグビーに参戦。
スコッドにも多くの選手を送り込んで、外国で活躍する主力選手とミックスしたことにより、大人のチームへと変貌。
強化策は功を奏して「フライング・フィジアンズ」とも呼ばれる魔法のようなパスとランはそのまま、しっかりとラックでもファイトする安定感で、直近のテストマッチでは日本代表を圧倒した。
対するウェールズは、3度目のW杯で今大会を最後に国際レベルから引退を表明しているSO、ダン・ビガー、前大会に続きビガーとコンビを組むSHガレス・デービス、前大会トライ王のジョシュ・アダムズ、鋭いランとハイボ処理に抜群の安定感を見せるリアム・ウィリアムズといった歴戦のベテランを揃え、屈強なFWと共に赤い壁となってフィジーを迎え撃った。
試合は、ゲームの大半の時間をフィジーが攻め立てて、ウェールズが守って切り返す展開となる。
フィジーは前評判通り、ラックでしっかりボールを落ち着かせながらも、一度ラインを突破すれば魔法のようなランやオフロードに次々と湧き出てくるフォローでこれぞフィジーというトライを決める。
しかし、立て続けに2本トライを決めると、その後は赤い壁の向こうのゴールラインが遠くなる。
気がつくと、ほとんどボールを渡していないはずのウェールズにリードを広げられていた。
試合後のスタッツを見てみよう。
獲得したテリトリー
これらの数字を見ると、ゲームのほとんどでフィジーがボールをもって前進し、ウェールズは自陣に侵入してくる敵に3倍ものタックル数を強いられていたことになり、ウェールズがまるで防戦一方にみえる。
フィジーの6割ほどしか走る機会のなかったウェールズだが、走れば4割に迫る確率でフィジーにタックルを外させ、キックではフィジーの倍に迫る距離を前進したことになる。
後半に印象的だったのが、出入りの激しい展開のなか、ノータイムで蹴ったダン・ビガーのキックが50:22になり、その後のセットプレーできっちりトライをあげていた事で、これに限らず、ウェールズは機会こそ少ないものの、攻めに出れば、確実にトライして帰ってくる。
まさに一撃必殺。
対するフィジーは圧倒的に攻めているのにウェールズのタックルに次々と捕まってしまう。
こんな言い方は変だが「相手がウェールズじゃなかったら」という言葉が頭に浮かぶ。
成長を見せたフィジーを高く分厚い赤壁が跳ね返すという結果に。
荒れると見られたプールCでも、伝統国は甘くないと言うことだろう。
最後にスコアやスタッツとあまり関係ないが、プレーが止まる度いちいち文句を言うウェールズの大男たちに対し、レフェリーが「喋りすぎ」と注意を与えていたシーンがこの試合の増田のお気に入りだ。
ラグビーW杯公式サイトでは試合後のスタッツが公開されている。
気になった試合のスタッツを確認して分析して感想戦に興じるのも面白い。
https://www.rugbyworldcup.com/2023
ラグビーW杯は2週目となり、1週目に試合がなかったチームも登場、いよいよ勝ち点争いも本格的にスタートしている。
日曜未明にはいよいよ日本代表はイングランドと戦うこととなる。
チリを破って勝ち点5で暫定トップに立つ日本は、追う勝ち点4の強豪イングランドに、どのようなディティールで差を生みだすことができるだろうか。
毎度のことながら赤き◯チガイ集団こと例のサッカークラブファンが人類にご迷惑をおかけしているようで。
さてさてこの手の話題になる度にいつも言われているのが
で御座います。
これには立派な理由があるのです。
という類の話に帰結するのですよ。
無期限出禁にするということは、クラブが出禁にしたファンのコントロールを行う機会を完全に失うということです。
特定の試合数を出禁にした場合は、「大人しくしていたらまた来てもいいよ」という餌をチラつかせることが可能になりますが、無期限で出禁にした場合はそれは不可能です。
期限付きの出禁とは、「出禁の期間中は大人しくする」という行為に対してクラブが「大人しくしていたら許す」というインセンティブを与えて首輪をつけている状態なのです。
この首輪を手放してしまえば、相手は「どうせ真っ当にやっても駄目なら変装なり不法侵入なりをすれば良い」と考え始めます。
もちろん法的措置を取るという手段はあるのですが、これはクラブ側もかなりの体力を使うことになる。
そしてそこまでやってしまうと今度はフーリガン側が強い逆恨み意識を持って何をしてくるかわからない危険性が生まれます。
サッカーは遠征をして行うスポーツであることを考えれば、コントロール不能な暴徒のリスクを他所に押し付けるのは回避したいわけです。
期限付き出禁のメリットとしてファン同士の間に「大人しくしていれば良いじゃないか」という空気を醸成できるというものものもあります。
サッカーファンの中でもフーリガンになるような人種は得てして承認欲求が強く、サッカーやクラブが好きというよりも「応援を通して仲間意識を感じられるのが好き」という意識が強いものです。
こういった連中は仲間から「クラブもそう言ってるんだし大人しくしてなよ」という圧をかけられると黙って従います。
もしもここで完全に出禁にしてしまえば「そこまでするなんて酷いよね。僕たちが支えてきたのに」と勝手に盛り上がられる危険性さえあります。
期限付きの出禁というのは罰則としてはそこまで重くないわけですが、それが結果として罰則を回避した他のファンの警戒心を必要以上に煽らずに済むのです。
より厳格な罰則や法的措置を行ってしまえば、明日は我が身ではと怯えた一部のファンが逆ギレ的な抗議活動を始めるリスクが発生します。
最悪自分が同じ目にあっても大人しくしていればいいという安心感があるから、「今回は諦めて大人しくしていろ」と周囲が気軽に行ってくれるのです。
もしもこれがファン活動の死刑宣告に等しい無期限出禁となれば、ゴールラインが自分たちに伸びてくるよりも前に先に死刑宣告を食らった仲間を扇動して「このようなクラブの措置に我々は講義をするものである」と活動を行わせようとする圧をかけてくる者たちが出てくるでしょう。
罰則処分というのは誰かの公正世界仮説を支えるための手段ではなく、相手をコントロールして再発のリスクを下げるための手段です。
ここを見誤っている人が結構多いんですよね。
ここを区分けできないと近代社会における罰則の本質を見誤ることになる。
https://twitter.com/judo_gonoi/status/1621547869072429056
暇空茜
@himasoraakane
ああ、「共産党の議員には何度も同席してもらって後押ししてもらったけど」、「連帯を表明してまずい!と思った人のことは会ったこともないし知りません」って言ってるのか
小狡いなあ、信じられんわ
@anselyosemite
18分
返信先: @himasoraakaneさん
本人がTwitterに手紙を公開してるけど、本人が明確にゴールがどこかを定めてないから周囲にゴールラインをずらされ、利用されてるように感じる。
当初求めていたのは真実と謝罪だったが、10月の手紙では再発防止になる
発言が食い違っているのはヒューマンライツナウやヒューマンライツウォッチのような人権ビジネス団体、共産党ほか野党がバックにいる。
嘘は言わなくていい。裁判に有利になるように動いてもらっていて今更それはない。
ちょうどW杯でもそんな話があったから、例として適切でないかもしれないけどこんな風に感じている。
これまで、法律がゴールラインで、弁護士は入った・入ってないを議論しているもの、と思っていた。
けれど、今はやりの件とか見ていると、ゴールラインはあんまりはっきりしていなくて(あるいははっきりしているが)、弁護士は「解釈」でゴールラインを動かして、セーフだ、無罪だ、とやっているのでは、と思うようになってきた。
個人情報の流用の件では多くのツイッタラ弁護士の方々がセーフだなんだといっていて、でも確定的なことは言わなくて、あー、解釈か。いかに自分に都合の良い解釈ができるかなのか、と感じた。
まぁ、でもそれはそうか。普段の仕事が(みんなが刑事ばっかりじゃないだろうけど)世の中ほとんどの人がこいつ悪人で有罪だ、というような案件であっても弁護側にたったら少しでも罪を軽くすべく弁護しなきゃいけないんだから、ここをこう解釈すれば、この法律ではだめでもこっちの法律に絡めれば、って少しでも有利な解釈を使って弁護するわけだから。
ついでに言えば、これも当然かもしれないけど、白か黒か、という判断をしてくれるものかと思ったら、黒でなければセーフ、っていう持ってき方、法的にアウトでなければセーフ、グレーはセーフっていう考え方なのかなってのもすごく感じた。
それらが、いわゆる弁護の際にはそれでいいんだろうけど、そうじゃないステージで使われると、すごい傲慢な印象を受けてしまう。
言い方が悪いけど、自分たちに都合の良いように解釈して、ゴールラインを動かして、それが当然のようにふるまう。
裁判ではそうしなければいけないからそうするんだろうけど、そういうのが弁護士の人たちの認知のゆがみになってたりしないだろうか、と感じてしまう。
もちろん、ネットに表出する弁護士なんて全体の極一部で、かつどちらかというとちょっと押しの強い特殊な例で、ほとんどの弁護士の方々は真面目に弁護士の使命を果たしていらっしゃるだろうと思うのだけれども、今回のもろもろを見ていると、裁判なりなんなりまでいかないと法律にのっとった判断にならず、民事的なものって本当に守られるのか、強者しか勝たん、なのかと思ってしまう。
ちなみに、弁護士の使命は
(弁護士の使命)
だそうです。(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC1000000205)
社会正義の定義しだいだよね。これも。本来は、社会正義・社会ってのはみんなに共通なものを前提にこの言葉は使われたんだろうけど、最近、この社会ってのが、分断というか、自分に都合の良い社会、っていう風になってきている気がする。上流だったり底辺だったりオタクだったりフェミだったりアンフェミだったり右だったり左だったり、社会正義が一つじゃない、弁護士それぞれにとっても社会正義が違うってなったら、この使命って大丈夫なのかな、信じていいのかなって思ってしまうね。
キックオフをそのままゴールに蹴り込んだらゴールになる
小学生でよくある
スローインしたボールがそのままゴールに入っても得点にならない
ゴールキックで再開する
オフサイドのフリーキックは間接フリーキックなのでそのままゴールしても得点にならない
味方選手が「足で」キーパーに出したボールをキーパーが手で触ると反則でフリーキックになるが
なのでゴールまで1mの位置であってもそこから間接フリーキックになる
味方がちょっとだけ蹴ってその瞬間に蹴り込む
ただ、ゴールライン上に壁を作ることは認められているのでゴールライン上に選手がずらっと並ぶ壁が作られる
昨日の決勝でアルゼンチンがやっていたけど、膝とか腿でのGKへのパスはバックパスにならない
ちょっとややこしいけどゴール後にみんなで騒いでピッチに誰もいないと相手チームがキックオフできてしまう
自陣内だとキックオフできてしまうので、相手陣内かもしくはセンターサークル内に残す
例えばGKが前に出てしまっていた場合にDFが一人残っていたとするとオフサイドラインは二人目のDFになる
選手も結構勘違いしてしまうけれどGKともう一人、ではなくて単純に二人目がオフサイドラインを作る
だいたいチャンスの時に起きるのでオフサイドノーゴールになることが結構ある(開幕戦の1点目が確かこれ)
コーナーキックのときに邪魔になりそうなあの旗はゴールポストと同じ役割でボールが当たってタッチを割らなければインプレー
なのでフラッグに当たって跳ね返ってきたボールを、最初にキックした時点でオフサイドエリアにいた選手が触るとオフサイドになる
まぁカメルーンは91分だったし、分かっててやった可能性がある?いや、ないか(2位通過の可能性あったし)
今回のW杯スペイン戦の三笘選手のアシストに関連してこんな記事が話題になっている。
https://www.nikkansports.com/soccer/qatar2022/news/202212020000720.html
この記事にはボールに内蔵されているIMUというチップによりボールの位置を測定し、今回の判定が下されたと書かれている。しかし、実際には内蔵チップは使用されていないと思われる。なお私は一介のサッカーファンであり専門家ではないので間違っていたら指摘してほしい。
FIFA公式サイト(https://www.fifa.com/technical/football-technology/football-technologies-and-innovations-at-the-fifa-world-cup-2022/goal-line-technology)には内蔵チップはGLTに使用しないとされている。
Q:Does goal-line technology use the data from the sensor inside the ball?(GLTはボールに内蔵されたセンサーからのデータを使用していますか?)
A:The goal-line technology system used at the FIFA World Cup 2022™ is based on 14 high-speed cameras. The data from the sensor inside the ball is not used to determine if the ball has crossed the goal line or not. (2022年W杯のGLTは14のハイスピードカメラで構成されています。ボールに内蔵されたセンサーのデータはゴールラインを超えたか否かの判定には使用されません。)
ただ、この記述だけでは今回の判定に使用されていないことを確定することはできない。GLTはゴールが入ったかどうかの判定にのみ使用されるシステムであって、今回の三笘選手のアシストのようなゴール横のラインを超えたかどうかの判定には使用されない為である。しかし、内蔵チップがゴール判定に使われないのであれはゴール横のラインを割ったかどうかの判定にも使われていないと考えるのが自然である。(今回の判定に使えるならわざわざGLTのためにハイスピードカメラを導入する必要がないため。)
FIFAが今回の判定について説明するツイートをしており、そこに
The video match officials used the goal line camera images to check if the ball was still partially on the line or not.(マッチオフィシャルは、ゴールラインのカメラ画像を使用して、ボールがまだ部分的にライン上にあるかどうかを確認しました。)
【オフサイド】
フットボールがアソシエーション(サッカー)とラグビーの2つに収束していく前からある概念。
オフサイドにいる選手はプレイしてはいけない。⇔プレイするためにはオンサイドにいる必要がある。
単にオフサイドにいる分には構わないが、何かしらプレイと関係があると判断されれば反則になる。
昔のフットボールはボール保持者が常に前線で、ボールより前でパスを待つのはつまらないという思想だった。前にいくにはドリブル。手で持ったら後ろの選手にパス。タックルも前方から。
サッカーが確立するにしたがって、前方へのパスを解法したいが、ガン待ちは引き続き禁じたいということになった。
そのため、古くはボールの位置だったオフサイドライン(オフサイドの境界線)が緩和されて、「ボール」・「ハーフウェーライン」・「ゴールラインから2人目の守備側選手(通常GK+1人)」の3つうち、一番相手ゴール側のものをオフサイドラインとするようにかわっていった。
競技規則の書き方に沿って書くと、"相手競技者のハーフ内"で"ボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い"とオフサイドにいることになる。
ラグビーでは無秩序にならないようにより厳しくプレーを制限するよう進化した。シチュエーションによってボールより後ろに色々なオフサイドラインができる。
密集から剥がれた選手が止まっていたりぐるっと後ろに回ったりするのはオフサイドの位置でプレーに関与しないため。
スクラムから離れたところで横に並んでるのは、そこにスクラムに関与しない選手のオフサイドラインがあるから。
オフサイドルールはサッカーの中ではややこいけど、サッカーは野球やラグビーやアメフトの細かいルールに比べたらシチュエーションによる違いとかそんなにないので難しくないと思う。
次のワールドカップ(各国の代表チームが争うサッカーの世界大会)でAIが判定するとか言ってる。
このルールは近年変更されまくっているので現役選手でも”知ってる”とはなかなか言えないルール。スタジアムに観戦に行けば周りに詳しい人がいれば教えてくれるし、実況中継ならアナウンサーが必ず今試合が止まったのはオフサイドのせいって教えてくれるので理解できてなくても大丈夫。
基本的には守備側チームのキーパーとフィールドプレイヤーの間にボールを持っていない攻撃側のフィールドプレイヤーがいて、その人に対してパスが出るとオフサイド。
このルールがないと、誰かひとり選手を相手ゴール前に残しておいて、ロングパスすればよくなってしまう。
チームの中で一番前(キーパーがいるほうが後ろということはわかるか?)の選手のことを指す。
二列目、三列目の選手がどれだけゴール数を稼いでいても、フォワードとはいわない。そういう意味で分かりやすいはず。
スポーツが違うので一緒とは言いづらい。キーパーのすぐ前に4~5人の選手が並んだときに左右外側の二人のことを指す。3人のときはたぶん言わない。
〇 〇 ← フォワード 〇〇 〇〇 ← ミッドフィルダー ●〇 〇● ← ディフェンダー(●がサイドバック) 〇 ← ゴールキーパー
ごくおおざっぱには現代のサッカーでは攻撃参加するディフェンダー。ディフェンダーはわかるか?フォワードとは対になる守備側の役割だ。
ラインで囲まれたフィールド内のことを指してピッチということも多い
youtubeでリフティング サッカーで検索すればリフティングしてるとこが見られるよ!
百聞は一見に如かず
wikipedia見るほうが早いな。イタリアのトップリーグの名前だ
サイドバックは外側、そうじゃないディフェンダーは内側ってわかるかい?
基本的に攻撃側はボールをナカに入れたい。ゴールはゴールラインの中央にあるから。
守備側は当然ボールをソトに追い出したい。ちょっとでもボールをゴールから遠ざけたいからね。
ラインに近いほうを外、遠いほうが中
野球で審判が選手を恫喝したのが評判になってるけど、野球の審判って主審塁審含めて映像から自動的に
ストライク/ボール、セーフ/アウト、フェア/ファール の判定をするだけで殆どは十分で
コリジョンとか判断が必要な場面のみ、人間の審判の判断を交えればいいって事が殆どだよな。
動きが多いサッカーでもゴールラインを割ったかどうかって判定は、ゴールラインテクノロジーによって自動的に判定されるべきって意見も強い。
まして、ほとんど動きのない野球の様なスポーツであれば、機械的な判定で十分すぎる場面が殆どだと思う。
サッカーではVARが導入された事で、得点に関わる場面ではビデオによるチェックと意見が増えて、取り消される事も増えたし
試合のテンポも悪くなると言った弊害はあるけど、ジャッジの内容に信頼がおけるようになって、重要な試合程VARがあるべきという意見が
ファンの間では主流になった。野球でも、ビデオレフリーを導入すれば、それなしでは考えられなくなると思う。
各球場に、VR室でも設けてカメラを多数設置して、主には機械判定しつつ映像チェックしてる人間の審判が判定の正当性を見守る。
俺はアメリカ人でもなければ、在米日本人でもないし、アメリカのことなんてメディアを通してしか知らない凡百な日本人だ。
だが、今回のビンタ事件を機に数年前ネトフリだかアマプラだかで見ていたサタデーナイトライブのことを思い出した。
サタデーナイトライブはアメリカで人気のコント番組だが、はっきりいって日本人が見ても半分も笑えない。アメリカの内輪で受けるネタなんだから当然だが。
だからどんなコントをやっていたのかは殆ど覚えてないんだが、ただ一つ強く印象に残っていたものがある。
ネタがボストンマラソンのテロ、アメリカ同時多発テロ、アメリカの儲け至上主義批判、銃規制反対運動と日本人でも比較的理解しやすい内容だったのもあるが、何よりこんなことをテレビで言っていいんだという驚きがあった。
やってのける芸人がヤバいのはもちろんだが、それを電波に乗せるテレビ局、そしてそれに怒ることもなく笑う視聴者、それらすべてから、アメリカのお笑い文化の懐の深さを感じた。
クリス・ロックが飛びぬけて過激なのか、たまたま炎上しなかっただけなのか、数年前と今とでは基準が変わってもうアウトになってるのか、そんな詳しいことはわからない。
だけれども一つ言えるのは、現在の日本人がお笑いにおいて最も重視している「人を傷つけないこと」はアメリカ人にとってはそんなに大事じゃないってことだ。
日本人は「誰も傷つけない表現こそ至高であり、誰も傷つけないお笑いこそが最高なんだ。逆にどんなに面白くても、そのネタで傷つく人がいるならそのお笑いは最低で、やってはいけないんだ。」と考えている節があるのでクリス・ロックの今回のジョークは謝罪相当に思えるんだろう。
そこには文化の違いしかなく、どちらの方が優れているとか、どちらが正しいとかはないと思う。
まあ御託はこの辺りにしておいて、とりあえず俺が日米のお笑い文化の違いを印象付けられたオープニングトークを見てくれ。
そしてその違いを体験してくれ。
https://www.youtube.com/watch?v=gYZLKqGhSZs
[バンドが音楽を演奏] [クリス・ロックがステージに登場] [歓声と拍手]
クリス・ロック ありがとうございます。ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます 皆さん、ありがとうございました。ヘイ、ヘイ!私はとても興奮しています。戻ってこれて最高だ、日本人の慣れした視点でいるデーナイトライブに出られて最高、ハロウィンの翌日にここに来られて最高だ。何人かは成功したようですが、私は信じられません。[会場笑]
昨日はハロウィンだったけど 明日はニューヨークのシティマラソンです。そうですね、怖いですね。
何が起こるかわからないよ?ニューヨークは大丈夫です、ボストンがマラソンの後、元気になったようにね。ボストンマラソンは恐ろしかった、怖かったな。おい ボストンは好きだよ、そこの人たちが大好きだ。でも、あれはこれまでで最も恐ろしくて、サディスティックな、テロ攻撃だった。
ちょっと考えてみてくれ。
26マイル。26マイル![会場笑] (※注:26マイル=42.195㎞)
もし友達に電話して 「迎えに来てほしいんだ」と言ったら?「どこにいるんだ?」「26マイル先だ!」「Uberに頼んだ方がいいよ」
膝を痛めてる、足が痛くてたまらない、女性なら胸から血が出ている。[会場笑]
26マイル!1年間も練習してきた。そしてとうとうゴールラインを踏んだんだ。
そしたら誰かが叫んだ、
「走れ !(逃げろ!)」って。 ワオ![会場笑]
ひどい話だ!でもね、ボストンの善良な人々は立ち直った。その通りだ。そして、ニューヨークは立ち直った。その通りだ。ニューヨークでもテロがあったんだ そして立ち直った その通りだ。今、私たちはフリーダムタワー(※注:911で倒壊した世界貿易センタービルの跡地に建てられた高層ビル)を手に入れました。フリーダムタワーを見たことがありますか?あなたがどこにいても、それを見ることができます。見えないなら、そこはコネチカットだろうね。
フリーダムタワー、どこにいても見える。"フリーダムタワー "を "ネバーゴーイングインゼアタワー "に変えるべきだよ。だって、私は絶対にあそこには行かないんだから。[会場笑]
あのビルに入るような事情はないんです。冗談でしょう?[観衆笑い]なんてこった!どうなってるんだ?この建物はアヒルか?[観衆笑い]何を考えているんだ?スポンサーは誰だ?ターゲット?[会場笑]
やめてくれ!同じ場所に 別の超高層ビルを?フロイド・メイウェザーの傲慢なたわごとは何だ?同じ場所に?
フリーダムタワーにはどんな企業が入るんだ?彼らはそこにいくつかの必須のものを置く方が良いです。国税庁、家庭裁判所、DNVのような、抜け出せないものを。サングラスハットを入れたら、空っぽになりそうです。[会場笑]
フリーダムタワーには絶対に入らないぞ。冗談だろう?同じ場所だぞ!
20年前、48丁目で強盗にあったんだ。そこに戻ったことは一度もない。(※注:昔強盗に遭ったことがあり、持ちネタにしている)
フリーダムタワーには行かないよ スカーレット・ヨハンソンが89階で裸でリブを食べていても気にしない。[観衆笑い]ダメだ、ダメだ。
みんな「いい加減にしろ!」という感じです。「フリーダムタワーのことを冗談で言うんじゃないよ」って。9.11と関係があるんだ。9.11のことを冗談で言っているのではありませんよ。違うってば!
でも、みんな気づいただろ?ここはアメリカだ。アメリカには神聖な日というものがないんだ、何でも商業化してしまうからね。
そうです、ラジオで言うんだ「レッドロブスターにおいでよ、このエビは9ドル11セントです。」
その通りです。祝日なんて関係ないんです。マーティン・ルーサー・キングの日だろうが、同じことだ。
「トヨタがついに無料になった」 (※注:キング牧師の演説「free at last!(ついに自由になった!)」の引用、トヨタがMLKセールをやってることを揶揄している)
それがアメリカです。何でもかんでも商業化する。クリスマスに何をしたか見てみましょう。クリスマス!クリスマスは神様の誕生日よ イエスの誕生日だ!
私はキリストのことは知らないが でも、読んだ限りでは、イエスは地球上で最も物質主義的でない人だと思う。装飾品もない。
でも我々はイエスは目立たないようにし、彼の誕生日を一年で最も物質主義的な日にした。実は、イエスの誕生日シーズンがあるのです。そのシーズン中ずっと、物質主義の季節なのです。そして、イエスの誕生日シーズンの終わりに、経済学者にテレビに出演してもらい、今年のイエスの誕生日シーズンがいかにひどいものであったかを話してもらうという有り様です。「ああ、今年はひどい誕生日でしたね。うまくいけば、彼の磔の刑までにビジネスは回復するでしょう。」そうです。[会場笑]
でもね、助けようとするんですよ。ジーザスは助けようとした- [歓声と拍手] ジーザスは助けようとしたんです。
私も助けようとしたんです。助けると傷つくんだ。そういうことなんです。
銃反対運動でワシントンDCに行ったんだ、いいかい?ホワイトハウスで銃反対運動。
私がそこらの道でナスカーの運転が禁止されてるように、学校の向かいの家に住んでるならマシンガンを持てないようにすべきだ。簡単なことでしょう?[歓声と拍手]ダメだ、ダメだ。
私はこのイベントに参加した、私と大勢の芸能人がいて銃反対を訴えたんだ。そして家に帰り、自分のウェブサイトをチェックする。
そこには脅し文句が書いてある。
「お前を殺す」 「お前の頭に一発ぶち込んでやる」「ノドを切り裂くぞ」 「俺と武器の間に割って入るんじゃない」
それで、「ああ、大変だ!」と思ったんだ。
その瞬間から、私は一生、どんな慈善事業や大義にも関わらないことにしました。自分のことは自分でやる。それがどんな病気であろうと、子供を守ることであろうと、環境を守ることであろうと、そんなことはどうでもいいんです。もし私が病気のことを話しているのを見たら、私はそれを手に入れたんだ! [会場笑]
今夜は素晴らしいショーがありますよ。プリンスが来たよ。すぐ戻ってくるから待っててね。
https://snltranscripts.jt.org/14/chris-rock-monologue.phtml
※この書きおこし(英語原文)を元にdeepLの助けを借りて訳した。
元増田にある月600円の出費とあるけど、月々600円のサブスクのわけではない。600円は携帯電話の基本料金で、そこに各自プランが付与されていくイメージを持ってほしい。生理用ショーツなどの本体代に鎮痛剤やカイロなどのオプション、経血がショーツやシーツについたら洗濯する洗剤に生理用品用のゴミ箱やゴミ袋にナプキンや経血を処理するための大量のトイレットペーパーなど細かいことを言えばキリがない。
そんなものなくてもいいだろう貧困なんだから贅沢言うな、という意見もあるだろうけど「私は貧しいから汚くて当たり前だ」と本人が思い込んでしまうといつまでも不衛生な生理の手当を続けてしまい、母になって娘にも同じことを繰り返す負の連鎖になってしまう。「お金が無いから同じナプキンを何度も使う」というのは「同じトイレットペーパーを何度も使う」「水が勿体ないから1日に1度しかトイレの水を流さない」というのと変わらない。
若い人のそう言った状況を少しでも改善するために活動しようとすることは悪いことではないと思う。ただ元増田のように感じる人や「私の頃はそんなんじゃなかった!我慢して貧乏になれ!」と反発する女性もいるだろうし結局何がしたいのかよくわからない印象を持たれてしまうのでもっとしっかりゴールラインを提示してほしいと思う。
しかし海外ではどうなのだろうか。日本の生理用品は非常に安価で高性能ということで海外で大人気とあるけど、海外の生理事情と比べて日本は衛生的に求めるものが高水準すぎたりしないだろうか。衛生観念も人によるところがあるから、こういった「正しい生理用品の使用」みたいなのを押し付ける形になったら、それはそれで息苦しくならないか。杞憂だと思うけど。
あらゆる女性はあらゆる男性に、歴史的に女性が受けてきた不利益や迫害に対して復讐の権利があるのだ、って感情が牢固としてあるんだなと思う。
歴史的な女性差別の存在やその悪は民主主義や人権主義に照らして自明であるから、そこに依拠して「今の自分の過ちや誤解」を全部それで相殺して批判を無効化しようとする。
頭が悪いと「ネトフェミ」がそうである様に、剥き出しの表現でしばしば理不尽な憎悪が叩きつけられ、賢いフェミニストだと表現が婉曲になって悪意の指摘が難しくなる。
男の方もまた、頭が悪いやつはわかりやすくミソジニストやインセルになり、賢いやつは内なるミソジニーを隠しつつ「女性による復讐」の反人権性を全力で叩く、みたいになる。
燃え広がった革命が復讐感情と切り離せないように、フェミニズムもまたあらゆる男性に対する復讐感情から切り離せず、出来ることは「民主主義の限界(ゴールライン)をどこまで動かすことが出来るか」って勝負になってきているのではないかと思う。 例えば、前提条件がなければ差別にしかならない施策でも、アファーマティブアクションであると認定されればそれが可能となる、という様な闘争方針だ。
どこまで行ってもフェミニズムは、両性の権利の平等化を追求すると言うだけでなく、虐げられてきた女性による男性に対する復讐であるという側面を切り離せず、「どこまで復讐できるか」の線で全ての男性との永久戦争を戦う宿命にあると思う。 少なくとも個々の女性が「屈辱を覚えている限り」は。